JP2017094780A - 車両の制御装置 - Google Patents

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達也 今村
田端 淳
Atsushi Tabata
淳 田端
由充 横内
Yoshimitsu Yokouchi
由充 横内
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Abstract

【課題】エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制する。
【解決手段】車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチCLがスリップされるので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられる。これにより、この流体継手62において共振トルクを逃がし、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振を抑えることができる。特に、エンジントルクTeが動力伝達装置14の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路と第2回転機MG2との間の動力伝達経路に流体継手62が設けられているので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられることで、流体継手62や第2回転機MG2がダイナミックダンパとして機能させられて、こもり音を抑制することができる。よって、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
【選択図】図10

Description

本発明は、エンジンと、エンジンの動力を駆動輪へ伝達する動力伝達装置と、動力伝達装置の出力回転部材に動力伝達可能に連結された回転機とを備えた車両の制御装置に関するものである。
エンジンと、前記エンジンの動力を駆動輪へ伝達する動力伝達装置と、前記動力伝達装置の出力回転部材に動力伝達可能に連結された回転機とを備えた車両の制御装置が良く知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド自動車がそれである。この特許文献1には、エンジンの運転効率を優先する燃費動作ラインのうちで、エンジンの運転に起因する騒音や振動が乗員に違和感を与え得る騒音振動領域内にある部分を、振動騒音領域外に移行させた移行動作ラインを設定することが開示されている。
特開2013−44291号公報
ところで、振動騒音領域を回避した移行動作ラインに沿ってエンジン動作点を設定することで、こもり音は抑制される。しかしながら、エンジン動作点が燃費動作ラインから離れる為、燃費が悪化する可能性がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1の発明の要旨とするところは、(a) エンジンと、前記エンジンの動力を駆動輪へ伝達する動力伝達装置と、前記動力伝達装置の出力回転部材に動力伝達可能に連結された回転機とを備えた車両の、制御装置であって、(b) 前記車両は、前記回転機と前記動力伝達装置の出力回転部材との間の動力伝達経路に設けられた流体式伝動装置と、前記流体式伝動装置の入出力回転部材を連結する直結クラッチとを備えており、(c) 前記車両が前記エンジンの運転に伴う所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定するこもり音発生領域判定部と、(d) 前記車両が前記所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、前記直結クラッチをスリップ又は解放する直結クラッチ制御部とを、含むことにある。
前記第1の発明によれば、車両が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチがスリップ又は解放されるので、流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられる。これにより、この流体式伝動装置において共振トルクを逃がし、エンジントルクを伝達する駆動系の共振を抑えることができる。例えば、エンジントルクが動力伝達装置の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路と回転機との間の動力伝達経路に流体式伝動装置が設けられている場合、流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられることで、流体式伝動装置や回転機がダイナミックダンパとして機能させられて、こもり音を抑制することができる。又は、エンジントルクが動力伝達装置の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路に流体式伝動装置が設けられている場合、流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられることで、駆動系の共振域をずらす効果が得られて、こもり音を抑制することができる。よって、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
ここで、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記直結クラッチ制御部は、前記車両が前記所定のこもり音発生領域にないと判定された場合には、前記直結クラッチを係合することにある。このようにすれば、車両が所定のこもり音発生領域にない場合には、流体式伝動装置を介した動力伝達が為されず燃費性能の低下が抑制される。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記流体式伝動装置は、前記回転機の双方向回転に対して、カップリング特性を有する流体継手である。このようにすれば、回転機の一方向の回転による車両前進走行、及び回転機の他方向の回転による車両後進走行の何れの走行も適切に行える。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記直結クラッチ制御部は、エンジントルク振動が大きい程、前記直結クラッチのスリップ量を大きくすることにある。このようにすれば、エンジントルク振動の大きさに応じて流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられる。よって、こもり音を適切に抑制することができる。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記直結クラッチ制御部は、こもり音が収束していない場合には、現在の前記直結クラッチのスリップ量を増加させることにある。このようにすれば、こもり音を適切に抑制することができる。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記直結クラッチ制御部は、前記車両が前記所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、先ず、前記直結クラッチを解放し、その後、前記直結クラッチをスリップに移行することにある。このようにすれば、直結クラッチの解放によって共振トルクの増大をいち早く制限することができると共に、直結クラッチを解放からスリップへ移行することによって流体式伝動装置の入出力回転部材の相対回転による燃費性能低下を抑制することができる。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記動力伝達装置は、前記エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構と前記差動機構に動力伝達可能に連結された差動用回転機とを有し前記差動用回転機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式変速機構を備えており、前記流体式伝動装置は、前記電気式変速機構から出力されるエンジントルクが前記動力伝達装置の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路と前記回転機との間の動力伝達経路に設けられていることにある。このようにすれば、流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられることで、流体式伝動装置や回転機がダイナミックダンパとして機能させられて、こもり音を抑制することができる。
また、好適には、前記第1の発明に記載の車両の制御装置において、前記動力伝達装置は、前記エンジンに動力伝達可能に連結された差動機構と前記差動機構に動力伝達可能に連結された差動用回転機とを有し前記差動用回転機の運転状態が制御されることにより前記差動機構の差動状態が制御される電気式変速機構を備えており、前記流体式伝動装置は、前記電気式変速機構から出力されるエンジントルクが前記動力伝達装置の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路に設けられていることにある。このようにすれば、流体式伝動装置の入出力回転部材が相対回転させられることで、駆動系の共振域をずらす効果が得られて、こもり音を抑制することができる。
本発明が適用される車両の走行に関わる各部の概略構成を説明する図であると共に、その各部を制御する為の制御系統の要部を説明する図である。 油圧制御回路のうちで、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSの作動状態の制御に関わる部分の一例を示す図である。 各走行モードにおける各係合装置の各係合作動を示す図表である。 単独駆動EVモード時の共線図である。 両駆動EVモード時の共線図である。 HV走行モードのロー状態でのパラレルモード時の共線図である。 HV走行モードのハイ状態でのパラレルモード時の共線図である。 HV走行モードのシリーズモード時の共線図である。 エンジントルク振動と直結クラッチのスリップ量との予め定められた関係(CLスリップ量マップ)の一例を示す図である。 電子制御装置の制御作動の要部すなわちエンジン動作点を変更することなくこもり音を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートである。 図10のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例である。 図10のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例であって、流体継手に替えてトルクコンバータを用いた場合の実施例であり、図11とは別の実施例である。 本発明が適用される車両の走行に関わる各部の概略構成を説明する図であり、図1とは別の実施例である。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される車両10の走行に関わる各部の概略構成を説明する図であると共に、その各部を制御する為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、走行用の駆動力源となり得る、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2と、動力伝達装置14と、駆動輪16とを備えるハイブリッド車両である。
エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等、所定の燃料を燃焼させて動力を出力させる公知の内燃機関である。このエンジン12は、後述する電子制御装置90によってスロットル開度或いは吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が電気的に制御されることにより、エンジントルクTeが制御される。
第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を有する所謂モータジェネレータである。第1回転機MG1及び第2回転機MG2は、インバータ部や平滑コンデンサなどを有する電力制御ユニット18を介してバッテリユニット20に接続されており、後述する電子制御装置90によって電力制御ユニット18が制御されることにより、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の各々の出力トルク(力行トルク又は回生トルク)であるMG1トルクTmg1及びMG2トルクTmg2が制御される。
動力伝達装置14は、エンジン12と駆動輪16との間の動力伝達経路に備えられており、車体に取り付けられる非回転部材であるケース22内に、第1回転機MG1及び第2回転機MG2と共に収容されている。動力伝達装置14は、第1動力伝達部24、第2動力伝達部26、第1動力伝達部24の出力回転部材であるドライブギヤ28と噛み合うドリブンギヤ30、ドリブンギヤ30を相対回転不能に固設するドリブン軸32、ドリブン軸32に相対回転不能に固設されたファイナルギヤ34(ドリブンギヤ30よりも小径のファイナルギヤ34)、デフリングギヤ36を介してファイナルギヤ34と噛み合うディファレンシャルギヤ38、ディファレンシャルギヤ38に連結された車軸40等を備えている。
第1動力伝達部24は、第1動力伝達部24の入力回転部材である入力軸42と同軸心に配置されており、変速部44と差動部46とを備えている。変速部44は、第1遊星歯車機構48、クラッチC1、及びブレーキB1を備えている。差動部46は、第2遊星歯車機構50及びクラッチCSを備えている。
第1遊星歯車機構48は、第1サンギヤS1、第1ピニオンギヤP1、第1ピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持する第1キャリヤCA1、第1ピニオンギヤP1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1を有する公知のシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、差動作用を生じる差動機構として機能する。第1遊星歯車機構48は、第2遊星歯車機構50よりもエンジン12側に配置された入力側差動機構である。第1キャリヤCA1は、入力軸42に一体的に連結され、その入力軸42を介してエンジン12に連結された回転要素(例えば第1回転要素RE1)である。第1サンギヤS1は、ブレーキB1を介してケース22に選択的に連結される回転要素(例えば第2回転要素RE2)である。第1リングギヤR1は、差動部46の入力回転部材(すなわち第2遊星歯車機構50の第2キャリヤCA2)に連結された回転要素(例えば第3回転要素RE3)であり、変速部44の出力回転部材として機能する。又、第1キャリヤCA1と第1サンギヤS1とは、クラッチC1を介して選択的に連結される。
クラッチC1及びブレーキB1は、好適には何れも湿式の摩擦係合装置であり、油圧アクチュエータによって係合制御される多板型の油圧式摩擦係合装置である。このクラッチC1及びブレーキB1は、後述する電子制御装置90によって油圧制御回路52が制御されることにより、油圧制御回路52から各々供給されるC1油圧Pc1、B1油圧Pb1に応じて作動状態(係合や解放などの状態)が制御される。
クラッチC1及びブレーキB1が共に解放された状態においては、第1遊星歯車機構48の差動が許容される。よって、この状態では、第1サンギヤS1にてエンジントルクTeの反力トルクが取れない為、変速部44は機械的な動力伝達が不能な中立状態(ニュートラル状態)とされる。又、クラッチC1が係合され且つブレーキB1が解放された状態においては、第1遊星歯車機構48は各回転要素が一体回転させられる。よって、この状態では、エンジン12の回転は等速で第1リングギヤR1から第2キャリヤCA2へ伝達される。一方で、クラッチC1が解放され且つブレーキB1が係合された状態においては、第1遊星歯車機構48は第1サンギヤS1の回転が止められ、第1リングギヤR1の回転が第1キャリヤCA1の回転よりも増速される。よって、この状態では、エンジン12の回転は増速されて第1リングギヤR1から出力される。このように、変速部44は、直結状態(変速比=1.0)となるローギヤと、オーバードライブ状態(例えば変速比=0.7)となるハイギヤとに切り替えられる2段の有段変速機として機能する。又、クラッチC1及びブレーキB1が共に係合された状態においては、第1遊星歯車機構48は各回転要素の回転が止められる。よって、この状態では、変速部44の出力回転部材である第1リングギヤR1の回転が停止されることで、差動部46の入力回転部材である第2キャリヤCA2の回転が停止させられる。
第2遊星歯車機構50は、第2サンギヤS2、第2ピニオンギヤP2、第2ピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持する第2キャリヤCA2、第2ピニオンギヤP2を介して第2サンギヤS2と噛み合う第2リングギヤR2を有する公知のシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、差動作用を生じる差動機構として機能する。第2遊星歯車機構50は、第1遊星歯車機構48よりも駆動輪16側に配置された出力側差動機構である。第2キャリヤCA2は、変速部44の出力回転部材(すなわち第1遊星歯車機構48の第1リングギヤR1)に連結された回転要素(例えば第1回転要素RE1)であり、差動部46の入力回転部材として機能する。第2サンギヤS2は、第1回転機MG1のロータ軸54に一体的に連結され、そのロータ軸54を介して第1回転機MG1に連結された回転要素(例えば第2回転要素RE2)である。第2リングギヤR2は、ドライブギヤ28に一体的に連結された回転要素(例えば第3回転要素RE3)である。又、第2サンギヤS2は、クラッチCSを介して第1キャリヤCA1と選択的に連結される。よって、クラッチCSは、第1キャリヤCA1に連結されたエンジン12と、第2サンギヤS2に連結された第1回転機MG1とを選択的に連結する係合装置である。
クラッチCSは、好適には湿式の摩擦係合装置であり、油圧アクチュエータによって係合制御される多板型の油圧式摩擦係合装置である。このクラッチCSは、後述する電子制御装置90によって油圧制御回路52が制御されることにより、油圧制御回路52から供給されるCS油圧Pcsに応じて作動状態が制御される。
クラッチCSが解放された状態においては、第2遊星歯車機構50の差動が許容される。よって、この状態では、第2遊星歯車機構50は、第2キャリヤCA2に入力される動力を第1回転機MG1及び第2リングギヤR2へ分配する動力分配機構として機能することが可能である。すなわち、差動部46において、第2リングギヤR2へ分配される機械的な動力伝達に加え、第1回転機MG1に分配された動力で第1回転機MG1が発電され、その発電された電力が蓄電されたりその電力で第2回転機MG2が駆動される。これにより、差動部46は、後述する電子制御装置90によって電力制御ユニット18が制御されて第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより変速比を制御する公知の電気式差動部(電気式無段変速機)として機能する。つまり、差動部46は、エンジン12に動力伝達可能に連結された差動機構としての第2遊星歯車機構50と、第2遊星歯車機構50に動力伝達可能に連結された差動用回転機としての第1回転機MG1とを有し、第1回転機MG1の運転状態が制御されることにより第2遊星歯車機構50の差動状態が制御される電気式変速機構である。又、クラッチCSが係合された状態においては、エンジン12と第1回転機MG1とが連結される為、エンジン12の動力によって第1回転機MG1にて発電を行い、その発電した電力を蓄電したりその電力で第2回転機MG2を駆動することが可能である。
このように構成された第1動力伝達部24においては、エンジン12の動力や第1回転機MG1の動力はドライブギヤ28からドリブンギヤ30へ伝達される。従って、エンジン12及び第1回転機MG1は、第1動力伝達部24を介して駆動輪16に動力伝達可能に連結される。又、変速部44は、オーバードライブであるので、第1回転機MG1の高トルク化が抑制される。
第2動力伝達部26は、入力軸42とは別にその入力軸42と平行に配置された副軸56、ドリブンギヤ30と噛み合うと共にその副軸56に連結されたリダクションギヤ58(ドリブンギヤ30よりも小径のリダクションギヤ58)、副軸56と平行に配置された第2回転機MG2のロータ軸60、副軸56とロータ軸60とを連結する流体継手(フルードカップリング)62、及び流体継手62の入出力回転部材(すなわちロータ軸60に連結された入力回転部材であるポンプ羽根車62pと、副軸56に連結された出力回転部材であるタービン羽根車62tとの間)を連結する直結クラッチ(すなわちロックアップクラッチ)CLを備えている。これにより、第2動力伝達部26においては、第2回転機MG2の動力は第1動力伝達部24を介すことなくドリブンギヤ30へ伝達される。従って、第2回転機MG2は、第1動力伝達部24を介さずに駆動輪16に動力伝達可能に連結される。つまり、第2回転機MG2は、第1動力伝達部24を介さずに動力伝達装置14の出力回転部材である車軸40に動力伝達可能に連結された回転機である。流体継手62は、第2回転機MG2と車軸40との間の動力伝達経路に設けられた流体式伝動装置である。特には、流体継手62は、差動部46から出力されるエンジントルクTeが車軸40へ伝達される動力伝達経路と第2回転機MG2との間の動力伝達経路に設けられている。又、流体継手62は、第2回転機MG2の双方向回転に対して、カップリング特性を有している。これにより、第2回転機MG2の一方向の回転による車両前進走行、及び第2回転機MG2の他方向の回転による車両後進走行の何れの走行も適切に行える。尚、動力伝達装置14の出力回転部材としては、車軸40の他に、ファイナルギヤ34やデフリングギヤ36も同意である。
直結クラッチCLは、好適には油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。この直結クラッチCLは、後述する電子制御装置90によって油圧制御回路52が制御されることにより、油圧制御回路52から供給されるCL油圧PcLに応じて作動状態が制御される。
このように構成された動力伝達装置14は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式の車両に好適に用いられる。又、動力伝達装置14では、エンジン12の動力や第1回転機MG1の動力や第2回転機MG2の動力は、ドリブンギヤ30へ伝達され、そのドリブンギヤ30から、ファイナルギヤ34、ディファレンシャルギヤ38、車軸40等を順次介して駆動輪16へ伝達される。又、動力伝達装置14では、エンジン12、第1動力伝達部24、及び第1回転機MG1と、第2回転機MG2とが異なる軸心上に配置されることで、軸長が短縮化されている。又、第2回転機MG2の減速比を大きくとることができる。又、直結クラッチCLがスリップ又は解放されると流体継手62がカップリング状態とされるので、車両停止状態でも第2回転機MG2の回転が許容される。従って、流体継手62のカップリング状態では、例えば登坂路などにおいて第2回転機MG2の高トルクで車両停止状態となって第2回転機MG2が回転していない為に第2回転機MG2の1つの相に電流が流れ続けてしまうということを、回避することができる。又、流体継手62のカップリング状態では、バッテリユニット20における充電電力の制限時でも流体継手62のスリップによって第2回転機MG2にて電力消費できるので、第1回転機MG1による追加発電が可能となり、エンジントルクTeの反力受けとしてのMG1トルクTmg1を増加でき、エンジン出力を増加できる。又、流体継手62は、流体継手62に替えて単に摩擦係合装置が配置されてその摩擦係合装置をスリップさせることと比較して、熱的に余裕がある。
車両10は、走行に関わる各部を制御する車両10の制御装置を含む電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置90は、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2の各出力制御、各油圧式摩擦係合装置の作動状態の制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用、回転機制御用、油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置90には、車両10に設けられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、出力回転速度センサ72、レゾルバ等のMG1回転速度センサ74、レゾルバ等のMG2回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、バッテリセンサ80など)による検出値に基づく各種信号(例えばエンジン回転速度Ne、車速Vに対応するファイナルギヤ34の回転速度である出力回転速度Nout、MG1回転速度Nmg1、MG2回転速度Nmg2、アクセル開度θacc、バッテリユニット20の充電状態(充電容量)SOCなど)が供給される。又、電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン12、電力制御ユニット18、油圧制御回路52など)に各種指令信号(例えばエンジン制御指令信号Se、回転機制御指令信号Sm、油圧制御指令信号Spなど)が供給される。
図2は、油圧制御回路52のうちで、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSの作動状態の制御に関わる部分の一例を示す図である。図2において、油圧制御回路52は、機械式のオイルポンプ(MOP)100、プライマリーレギュレータバルブ102、リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSL3、同時供給防止バルブ104、同時供給防止バルブ106、同時供給防止バルブ108、電磁切替えバルブ110、第2レギュレータバルブ112、電動式のオイルポンプ(EOP)114、電動モータ116、逆止弁118を備えている。
機械式のオイルポンプ100は、第2遊星歯車機構50の第2キャリヤCA2に連結されており(後述する図8中のMOP参照)、第2キャリヤCA2の回転に伴って駆動される(すなわちエンジン12により駆動される)。オイルポンプ100から吐出された作動油(オイル)は、プライマリーレギュレータバルブ102によりライン圧PLに調圧される。リニアソレノイドバルブSL1、リニアソレノイドバルブSL2、リニアソレノイドバルブSL3は、各々、ライン圧PLを元圧として、C1油圧Pc1、B1油圧Pb1、CS油圧Pcsを調圧する。同時供給防止バルブ104は、C1油圧Pc1の供給路に設けられており、クラッチC1の係合時でも、B1油圧Pb1が立ち上がると、同時供給防止バルブ104が作動してC1油圧Pc1の供給がカット(遮断)される。同時供給防止バルブ106は、B1油圧Pb1の供給路に設けられており、ブレーキB1の係合時でも、C1油圧Pc1が立ち上がると、同時供給防止バルブ106が作動してB1油圧Pb1の供給がカット(遮断)される。同時供給防止バルブ108は、クラッチC1にC1油圧Pc1が供給されている場合又はブレーキB1にB1油圧Pb1が供給されている場合には、クラッチCSにCS油圧Pcsが供給されることを防止する。又、クラッチCSにCS油圧Pcsが供給されている時は、クラッチC1にC1油圧Pc1が供給されること、及びブレーキB1にB1油圧Pb1が供給されることが回避される。クラッチC1及びブレーキB1を共に係合する後述する両駆動EVモード時以外の例えばエンジン駆動状態では、同時供給防止バルブ104と同時供給防止バルブ106とが各々作動する。
電動式のオイルポンプ114は、電動モータ116で駆動される。よって、第2キャリヤCA2が回転していないとき(例えば両駆動EVモード時)には、意図的にオイルポンプ114を駆動しないと油圧が発生せず、電磁切替えバルブ110の作動に関係なく、同時供給防止バルブ104及び同時供給防止バルブ106への各信号油圧は発生しない。オイルポンプ114が意図的に駆動されることによってオイルポンプ114から吐出された作動油は、第2レギュレータバルブ112により所定油圧に調圧される。電磁切替えバルブ110が切り替えられて、上記所定油圧が電磁切替えバルブ110を介して、同時供給防止バルブ104及び同時供給防止バルブ106へ各信号油圧として供給されると、同時供給防止バルブ104及び同時供給防止バルブ106が固定されて、クラッチC1及びブレーキB1の同時係合が許容される。
電子制御装置90は、ハイブリッド制御手段すなわちハイブリッド制御部92、及び動力伝達切替手段すなわち動力伝達切替部94を備えている。
ハイブリッド制御部92は、電子スロットル弁を開閉制御し、燃料噴射量や噴射時期を制御し、点火時期を制御するエンジン制御指令信号Seを出力して、エンジントルクTeの目標値が得られるようにエンジン12の出力制御を実行する。又、ハイブリッド制御部92は、第1回転機MG1や第2回転機MG2の作動を制御する回転機制御指令信号Smを電力制御ユニット18へ出力して、MG1トルクTmg1やMG2トルクTmg2の目標値が得られるように第1回転機MG1や第2回転機MG2の出力制御を実行する。
ハイブリッド制御部92は、アクセル開度θaccからそのときの車速Vにて要求される駆動トルク(要求駆動トルク)を算出し、充電要求値(充電要求パワー)等を考慮して低燃費で排ガス量の少ない運転となるように、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2の少なくとも1つから要求駆動トルクを発生させる。ハイブリッド制御部92は、走行モードとして、後述するEV走行モード或いはHV走行モードを走行状態に応じて選択的に成立させる。例えば、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクが予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)閾値よりも小さなモータ走行領域にある場合には、EV走行モードを成立させる一方、要求駆動トルクが予め定められた閾値以上となるエンジン走行領域にある場合には、HV走行モードを成立させる。又、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクがモータ走行領域にあるときであっても、充電容量SOCが予め定められた閾値未満となる場合には、HV走行モードを成立させる。
ハイブリッド制御部92は、EV走行モードを成立させたときには、エンジン12の運転を停止させると共に、第1回転機MG1及び第2回転機MG2のうちの少なくとも一方の回転機を走行用の駆動力源とするモータ走行(EV走行)を可能とする。ハイブリッド制御部92は、EV走行モードを成立させたときに、第2回転機MG2のみで要求駆動トルクを賄える場合には、後述する単独駆動EVモードを成立させる一方で、第2回転機MG2のみでは要求駆動トルクを賄えない場合には、後述する両駆動EVモードを成立させる。ハイブリッド制御部92は、単独駆動EVモードを成立させた場合には、第2回転機MG2のみを走行用の駆動力源とするEV走行を可能とする一方で、両駆動EVモードを成立させた場合には、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の両方を走行用の駆動力源とするEV走行を可能とする。ハイブリッド制御部92は、第2回転機MG2のみで要求駆動トルクを賄えるときであっても、MG2回転速度Nmg2及びMG2トルクTmg2で表される第2回転機MG2の動作点が第2回転機MG2の効率を悪化させる動作点として予め定められた領域内にある場合には(換言すれば第1回転機MG1及び第2回転機MG2を併用した方が効率が良い場合には)、両駆動EVモードを成立させる。ハイブリッド制御部92は、両駆動EVモードを成立させた場合には、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の運転効率に基づいて、第1回転機MG1及び第2回転機MG2にて要求駆動トルクを分担させる。
ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクがエンジン走行領域にあることでHV走行モードを成立させた場合には、後述するパラレルモードを成立させる。ハイブリッド制御部92は、パラレルモードを成立させた場合には、エンジン12の動力に対する反力を第1回転機MG1の発電により受け持つことでドライブギヤ28にエンジン直達トルクを伝達すると共に第1回転機MG1の発電電力により第2回転機MG2を駆動することで駆動輪16にトルクを伝達して少なくともエンジン12を走行用の駆動力源とするエンジン走行を可能とする。すなわち、ハイブリッド制御部92は、パラレルモードを成立させた場合には、第1回転機MG1の運転状態を制御することによりエンジン12の動力を駆動輪16へ伝達して走行するエンジン走行を可能とする。このエンジン走行では、ハイブリッド制御部92は、公知のエンジン12の最適燃費線を考慮したエンジン動作点(すなわちエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで表されるエンジン動作点)にてエンジン12を作動させる。このパラレルモードでは、バッテリユニット20からの電力を用いた第2回転機MG2の駆動トルクを更に付加して走行することも可能である。ハイブリッド制御部92は、充電容量SOCが予め定められた閾値未満にあることでHV走行モードを成立させたときに、第2回転機MG2のみでは要求駆動トルクを賄えない場合にはパラレルモードを成立させる一方で、第2回転機MG2のみで要求駆動トルクを賄える場合には後述するシリーズモードを成立させる。ハイブリッド制御部92は、シリーズモードを成立させた場合には、エンジン12を作動させて第1回転機MG1を発電させ、第1回転機MG1の発電電力により第2回転機MG2を駆動することで駆動輪16にMG2トルクTmg2を伝達して走行することができる。この走行では、エンジントルクTeは機械的に駆動輪16へ伝達されないが、第2回転機MG2を駆動する基の動力源はエンジン12であるので、シリーズモードの走行もエンジン走行に含める。
動力伝達切替部94は、ハイブリッド制御部92により成立させられた走行モードに基づいて、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSの各係合作動を制御する。動力伝達切替部94は、ハイブリッド制御部92により成立させられた走行モードにて走行する為の動力伝達が可能となるように、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSを各々係合及び/又は解放させる油圧制御指令信号Spを油圧制御回路52へ出力する。
ここで、車両10にて実行可能な走行モードについて図3、及び図4−図8を用いて説明する。図3は、各走行モードにおけるクラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSの各係合作動を示す図表である。図3の図表中の○印は係合装置(C1,B1,CS)の係合を示し、空欄は解放を示し、△印は回転停止状態のエンジン12を連れ回し状態とするエンジンブレーキの併用時に何れか一方を係合することを示している。又、「G」は回転機(MG1,MG2)を主にジェネレータとしての機能させることを示し、「M」は回転機(MG1,MG2)を駆動時には主にモータとしての機能させ、回生時には主にジェネレータとしての機能させることを示している。図3に示すように、車両10は、走行モードとして、EV走行モード及びHV走行モードを選択的に実現することができる。EV走行モードは、エンジン12を運転停止して、第1回転機MG1及び第2回転機MG2のうちの少なくとも一方の回転機を駆動力源としてEV走行することができる走行モードである。EV走行モードは、第2回転機MG2のみを駆動力源としてEV走行することができる単独駆動EVモードと、第1回転機MG1及び第2回転機MG2の両方を駆動力源としてEV走行することができる両駆動EVモードとの2つのモードを有している。HV走行モードは、少なくともエンジン12を駆動力源としてエンジン走行することができる走行モードである。HV走行モードは、エンジントルクTeを機械的に駆動輪16へ伝達することでエンジン走行することができるパラレルモードと、エンジン12の動力による第1回転機MG1の発電電力により駆動された第2回転機MG2のMG2トルクTmg2を機械的に駆動輪16へ伝達することでエンジン走行することができるシリーズモードとの2つのモードを有している。パラレルモードでは、エンジン12に加えて、第2回転機MG2を駆動力源として走行することができる。
図4−図8は、第1遊星歯車機構48及び第2遊星歯車機構50の各々における3つの回転要素RE1,RE2,RE3の回転速度を相対的に表すことができる共線図である。この共線図において、第1遊星歯車機構48における各回転要素の回転速度を表す縦線Y1−Y3は紙面向かって左から順に、縦線Y1がブレーキB1を介してケース22に選択的に連結される第2回転要素RE2である第1サンギヤS1の回転速度を、縦線Y2がエンジン12に連結された第1回転要素RE1である第1キャリヤCA1の回転速度を、縦線Y3が第2キャリヤCA2に連結された第3回転要素RE3である第1リングギヤR1の回転速度をそれぞれ示している。又、第2遊星歯車機構50における各回転要素の回転速度を表す縦線Y4−Y6は紙面向かって左から順に、縦線Y4が第1回転機MG1に連結された第2回転要素RE2である第2サンギヤS2の回転速度を、縦線Y5が第1リングギヤR1に連結された第1回転要素RE1である第2キャリヤCA2の回転速度を、縦線Y6がドライブギヤ28に連結された第3回転要素RE3である第2リングギヤR2の回転速度をそれぞれ示している。
図4は、単独駆動EVモード時の共線図である。単独駆動EVモードは、図3に示すように、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSを共に解放した状態で実現される。単独駆動EVモードでは、図4に示すように、クラッチC1及びブレーキB1が解放されることで、第1遊星歯車機構48の差動が許容され、変速部44は中立状態とされる。変速部44が中立状態とされると、第1リングギヤR1に連結された第2キャリヤCA2にてMG1トルクTmg1の反力トルクが取れない為、差動部46は中立状態とされる。従って、クラッチC1及びブレーキB1が解放されることで、第1動力伝達部24は中立状態とされる。動力伝達切替部94は、クラッチC1及びブレーキB1を解放することで、第1動力伝達部24を中立状態とする。ハイブリッド制御部92は、第2回転機MG2から走行用のMG2トルクTmg2を出力させる。後進時は、前進時に対して第2回転機MG2を逆回転させる。車両走行中には、駆動輪16の回転に連動してドライブギヤ28に連結された第2リングギヤR2が回転させられる。単独駆動EVモードでは、第1回転機MG1を空転させても良いが、第1回転機MG1における引き摺り損失等を低減する為に、ハイブリッド制御部92は、MG1回転速度Nmg1を零回転に維持する。例えば、ハイブリッド制御部92は、第1回転機MG1をジェネレータとしての機能させて、フィードバック制御によりMG1回転速度Nmg1を零回転に維持する。或いは、ハイブリッド制御部92は、第1回転機MG1の回転が固定されるように第1回転機MG1に電流を流す制御(d軸ロック制御)を実行して、MG1回転速度Nmg1を零回転に維持する。或いは、MG1トルクTmg1を零トルクとしても第1回転機MG1のコギングトルクによりMG1回転速度Nmg1を零回転に維持できるときはMG1トルクTmg1を加える必要はない。尚、MG1回転速度Nmg1を零回転に維持する制御を行っても、第1動力伝達部24は中立状態であるので、駆動トルクに影響を与えない。
単独駆動EVモードでは、第1リングギヤR1は第2キャリヤCA2に連れ回されるが、変速部44は中立状態であるので、エンジン12は連れ回されず零回転で停止状態とされる。よって、単独駆動EVモードでの走行中に第2回転機MG2にて回生制御を行う場合、回生量を大きく取ることができる。単独駆動EVモードでの走行時に、バッテリユニット20の充電状態SOCが満充電状態となり回生エネルギーが取れない場合、エンジンブレーキを併用することが考えられる。エンジンブレーキを併用する場合は、図3に示すように、ブレーキB1又はクラッチC1が係合される。ブレーキB1又はクラッチC1が係合されると、エンジン12は連れ回し状態とされて、エンジンブレーキが作用させられる。MG1回転速度Nmg1を上昇させることで、エンジン12の連れ回し状態におけるエンジン回転速度Neを上昇させることができる。ブレーキB1又はクラッチC1を係合することでエンジン回転速度Neを上昇させることができるので、EV走行モードからエンジン12を始動するときには、ブレーキB1又はクラッチC1を係合した状態として、必要に応じて第1回転機MG1によりエンジン回転速度Neを引き上げて点火する。このとき、第2回転機MG2に反力キャンセルトルクを追加で出力させる。尚、車両停止時にエンジン12を始動する際には、ブレーキB1又はクラッチC1を係合した状態で第1回転機MG1により第2キャリヤCA2の回転を引き上げることでエンジン回転速度Neを上昇させても良いし、又、第1回転機MG1により第2キャリヤCA2の回転を引き上げてからブレーキB1又はクラッチC1を係合することでエンジン回転速度Neを上昇させても良い。
図5は、両駆動EVモード時の共線図である。両駆動EVモードは、図3に示すように、クラッチC1及びブレーキB1を係合し、且つクラッチCSを解放した状態で実現される。両駆動EVモードでは、図5に示すように、クラッチC1及びブレーキB1が係合されることで、第1遊星歯車機構48の差動が規制され、第1サンギヤS1の回転が停止させられる。その為、第1遊星歯車機構48は何れの回転要素も回転が停止させられる。これによって、エンジン12は零回転で停止状態とされ、又、第1リングギヤR1に連結された第2キャリヤCA2の回転も停止させられる。第2キャリヤCA2の回転が停止させられると、第2キャリヤCA2にてMG1トルクTmg1の反力トルクが取れる為、MG1トルクTmg1を第2リングギヤR2から機械的に出力させて駆動輪16へ伝達することができる。従って、クラッチC1及びブレーキB1が係合されることで、第1動力伝達部24は機械的な動力伝達が可能な非中立状態とされる。動力伝達切替部94は、クラッチC1及びブレーキB1を係合することで、第1動力伝達部24を非中立状態とする。ハイブリッド制御部92は、第1回転機MG1及び第2回転機MG2から各々走行用のMG1トルクTmg1及びMG2トルクTmg2を出力させる。両駆動EVモードでは、前進時に対して第1回転機MG1及び第2回転機MG2を共に逆回転させて後進走行することも可能である。
図6は、HV走行モードのロー状態でのパラレルモード時の共線図である。ロー状態でのパラレルモード(以下、パラレルローモードという)は、図3に示すように、クラッチC1を係合し、且つブレーキB1及びクラッチCSを解放した状態で実現される。パラレルローモードでは、図6に示すように、クラッチC1が係合されることで、第1遊星歯車機構48の差動が規制され、第1遊星歯車機構48の回転要素が一体回転させられる。その為、エンジン12の回転は等速で第1リングギヤR1から第2キャリヤCA2へ伝達される。
図7は、HV走行モードのハイ状態でのパラレルモード時の共線図である。ハイ状態でのパラレルモード(以下、パラレルハイモードという)は、図3に示すように、ブレーキB1を係合し、且つクラッチC1及びクラッチCSを解放した状態で実現される。パラレルハイモードでは、図7に示すように、ブレーキB1が係合されることで、第1サンギヤS1の回転が停止させられる。その為、エンジン12の回転は増速されて第1リングギヤR1から第2キャリヤCA2へ伝達される。
パラレルローモード及びパラレルハイモードでは、エンジン12の動力に対する反力を第1回転機MG1により受け持つことでエンジントルクTeの一部(エンジン直達トルク)を第2リングギヤR2から機械的に出力させて駆動輪16へ伝達することができる。従って、クラッチC1又はブレーキB1が係合されることで、第1動力伝達部24は機械的な動力伝達が可能な非中立状態とされる。動力伝達切替部94は、クラッチC1を係合することで変速部44をローギヤに切り替える一方で、ブレーキB1を係合することで変速部44をハイギヤに切り替える。動力伝達切替部94は、クラッチC1又はブレーキB1を係合することで、第1動力伝達部24を非中立状態とする。ハイブリッド制御部92は、エンジントルクTeに対する反力トルクとなるMG1トルクTmg1を第1回転機MG1の発電により出力させると共に、第1回転機MG1の発電電力により第2回転機MG2からMG2トルクTmg2を出力させる。パラレルローモードでは、前進時に対して第2回転機MG2を逆回転させて後進走行することも可能である。
ハイブリッド制御部92は、車速Vが予め定められた閾値以上の高車速時には、パラレルハイモードを成立させる一方で、車速Vが予め定められた閾値未満の中低車速時には、パラレルローモードを成立させる。ここで、MG1回転速度Nmg1が零回転とされてエンジン12の動力が電気パス(第1回転機MG1や第2回転機MG2の電力授受に関わる電気経路である電気的な動力伝達経路)を介することなく全て機械的にドライブギヤ28へ伝達される状態となる所謂メカニカルポイントでは、理論伝達効率が最大の「1」となる。このメカニカルポイントは、図6,図7の共線図における差動部46(縦線Y4−Y6参照)において、MG1回転速度Nmg1が零回転となる状態(すなわち第2サンギヤS2の回転速度が零回転となる状態)である。HV走行モードにおいてパラレルハイモードとパラレルローモードとが切り替えられることでこのメカニカルポイントが2つとなり、パラレルハイモードを有することでメカニカルポイントが高車速側に増えることになり、高速燃費が向上する。
第1動力伝達部24において、変速部44と差動部46とは直列に接続されている。変速部44を変速すれば第1動力伝達部24の変速比も変化させられる。そこで、ハイブリッド制御部92は、変速部44の変速時に第1動力伝達部24の変速比の変化が抑制されるように、動力伝達切替部94による変速部44の変速に合わせて、差動部46の変速を実行する。例えば、ハイブリッド制御部92は、変速部44がローギヤからハイギヤへアップシフトされる場合、それと同時に、差動部46をダウンシフトする。これによって、第1動力伝達部24は、所謂電気的無段変速機として機能させられる。又、変速部44と差動部46とが直列に接続された第1動力伝達部24は変速比幅がワイドになるので、差動部46から駆動輪16までの動力伝達経路における変速比を比較的大きくとることができる。
パラレルハイモードはパラレルローモードと比べて同じエンジン回転速度Neに対して第2キャリヤCA2の回転速度が高くされるので、HV走行モードのパラレルモードにおけるエンジン走行では、高車速時に第1回転機MG1が負回転且つ負トルクの力行状態となって第1回転機MG1に電力が供給される動力循環状態となることが抑制される。
図8は、HV走行モードのシリーズモード時の共線図である。シリーズモードは、図3に示すように、クラッチC1及びブレーキB1を共に解放し、且つクラッチCSを係合した状態で実現される。シリーズモードでは、図4に示すように、クラッチC1及びブレーキB1が解放されることで、第1遊星歯車機構48の差動が許容され、変速部44は中立状態とされる。従って、差動部46は中立状態とされ、第1動力伝達部24も中立状態とされる。加えて、シリーズモードでは、図4に示すように、クラッチCSが係合されることで、エンジン12と第1回転機MG1とが連結される。その為、エンジン12を作動させることで第1回転機MG1を回転駆動して発電をすることができる。この際、第1動力伝達部24は中立状態であるので、エンジントルクTeは機械的に駆動輪16へ伝達されない。動力伝達切替部94は、クラッチC1及びブレーキB1を解放することで、第1動力伝達部24を中立状態とし、クラッチCSを係合することで、エンジン12と第1回転機MG1とを連結する。ハイブリッド制御部92は、エンジン12を作動させ、エンジン12の動力によって第1回転機MG1を発電させ、第1回転機MG1の発電電力により第2回転機MG2を駆動して第2回転機MG2から走行用のMG2トルクTmg2を出力させる。シリーズモードでは、前進時に対して第2回転機MG2を逆回転させて後進走行することも可能である。車両走行中には、駆動輪16の回転に連動してドライブギヤ28に連結された第2リングギヤR2が回転させられる。又、エンジン回転速度Neに連動して第2サンギヤS2が回転させられる。このように回転させられる、第2リングギヤR2の回転速度と第2サンギヤS2の回転速度とにより、第2キャリヤCA2の回転が決められる。
HV走行モードのシリーズモードからEV走行モード(又はエンジン停止)への遷移(切替え)では、クラッチCSを係合したままでエンジン12の運転を停止し、第1回転機MG1にてエンジン12を回転停止させる。そして、単独駆動EVモードの場合は、エンジン12の回転停止後に、クラッチCSを解放して単独駆動EVモードへ遷移する。両駆動EVモードの場合は、エンジン12の回転停止後に、クラッチC1及びブレーキB1を同時係合して両駆動EVモードへ遷移する。
HV走行モードのシリーズモードからパラレルローモードへの遷移では、クラッチCSを解放した後、一旦、エンジン12を自立運転状態とし、その後、クラッチC1を係合してパラレルローモードとする。
EV走行モード(又はエンジン停止)からHV走行モードのシリーズモードへの遷移では、MG1回転速度Nmg1を零回転としてクラッチCSを係合し、第1回転機MG1にてエンジン12を回転駆動してエンジン12を始動する。エンジン12の始動後、エンジン12の動力で第1回転機MG1にて発電する。
動力伝達装置14では、クラッチC1、ブレーキB1、及びクラッチCSの各係合作動や各部の潤滑や各部の冷却に用いられる作動油を供給する為の機械式のオイルポンプ100が第2キャリヤCA2に連結されており(図8のMOP参照)、第2キャリヤCA2の回転に伴って駆動される。よって、HV走行モードのシリーズモードでの走行中には、潤滑等に必要な作動油がオイルポンプ100から供給可能である。尚、両駆動EVモードのように第2キャリヤCA2の回転が停止される場合、電動式のオイルポンプ114により作動油が供給される。
ここで、前述した通り、動力伝達装置14は、第2回転機MG2と車軸40(ファイナルギヤ34やデフリングギヤ36も同意)との間の動力伝達経路に設けられた流体継手62を備えている。又、動力伝達装置14は、流体継手62の入出力回転部材を連結する直結クラッチCLを備えている。流体継手62を介した動力伝達よりも直結クラッチCLを介した動力伝達の方が伝達効率が良い。その為、燃費性能を考えれば、直結クラッチCLを係合した状態で走行する。
ところで、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで表されるエンジン動作点が特定の領域(例えば所定のこもり音発生領域)にあると、エンジントルク変動による回転変動が強制源(振動強制力)となり、特定のエンジン回転速度Neで発生する駆動系(例えば入力軸42から駆動輪16までの、エンジントルクTeを伝達する動力伝達系)の共振により振動が増幅されて、エンジン12の運転に起因するこもり音が発生する。エンジン12の最適燃費線から離れたこもり音回避動作ラインを考慮したエンジン動作点にてエンジン12を作動させることで、こもり音を抑制することが考えられ。しかしながら、燃費性能が低下する可能性がある。
そこで、電子制御装置90は、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができるように、車両10が所定のこもり音発生領域にある場合には、直結クラッチCLをスリップする。これにより、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられる。流体継手62は、差動部46から出力されるエンジントルクTeが車軸40へ伝達される動力伝達経路と第2回転機MG2との間の動力伝達経路に設けられている。従って、主運動系(大きなマス)としての、エンジントルクTeが車軸40へ伝達される動力伝達経路に対して、入出力回転部材が相対回転させられた流体継手62と、その主運動系にぶら下がる小さなマスとしての、ポンプ羽根車62p及び第2回転機MG2とが、ダイナミックダンパとして機能させられる。これにより、共振トルクを逃がし、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振を抑えることができるので、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
以上説明したこもり音を抑制する制御を実現する為に、電子制御装置90は、こもり音発生領域判定手段すなわちこもり音発生領域判定部96、直結クラッチ制御手段すなわち直結クラッチ制御部98、及びこもり音収束判定手段すなわちこもり音収束判定部99を更に備えている。
こもり音発生領域判定部96は、車両10がエンジン12の運転に伴う所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定する。具体的には、こもり音発生領域判定部96は、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとで示される実際のエンジン動作点が所定のこもり音発生領域にあるか否かに基づいて、車両10が所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定する。この所定のこもり音発生領域は、例えば直結クラッチCLを係合した状態ではこもり音を抑制する必要がある程の大きなこもり音が発生するエンジン動作点の領域として予め定められたエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの領域である。要は、こもり音発生領域判定部96は、駆動系の共振域に対応するエンジン回転速度NeにてエンジントルクTeが大きいか否かを判定するということである。
直結クラッチ制御部98は、こもり音発生領域判定部96により車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチCLを所定量にてスリップ制御する指令を油圧制御回路52に出力して、直結クラッチCLをスリップする。この所定量は、例えば図9に示すような、エンジントルク振動と直結クラッチCLのスリップ量(すなわち流体継手62の入出力回転部材間の差回転速度)との予め定められた関係(CLスリップ量マップ)に従って算出される直結クラッチCLのスリップ量である。エンジントルク振動が大きい程、こもり音が大きくなる為、図9のCLスリップ量マップでは、エンジントルク振動が大きい程、直結クラッチCLのスリップ量が大きくされている。直結クラッチ制御部98は、エンジン回転速度NeとエンジントルクTeとに応じて予め定められた関係(エンジントルク振動マップ)にエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとを適用することでエンジントルク振動を算出する。直結クラッチ制御部98は、図9に示すようなCLスリップ量マップにエンジントルク振動を適用することでスリップ制御時の所定量としての直結クラッチCLのスリップ量を算出する。これにより、エンジントルク振動の大きさに応じて流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられて、こもり音を適切に抑制することができる。又、必要以上に流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられず、燃費性能の低下が抑制される。
こもり音収束判定部99は、直結クラッチ制御部98による直結クラッチCLのスリップ制御でこもり音が収束したか否かを判定する。こもり音収束判定部99は、MG2回転速度Nmg2の変動に対応付けて予め定められた(例えばモデル化された)こもり音の大きさに、レゾルバ等のMG2回転速度センサ76の信号であるMG2回転速度Nmg2の変動を適用することでこもり音の大きさを算出し、そのこもり音が一定値以下であるか否かに基づいて、こもり音が収束したか否かを判定する。
直結クラッチ制御部98は、こもり音収束判定部99によりこもり音が収束したと判定された場合には、現在の直結クラッチCLのスリップ制御におけるスリップ量をそのまま維持する。一方で、直結クラッチ制御部98は、こもり音収束判定部99によりこもり音が収束していないと判定された場合には、こもり音収束判定部99によりこもり音が収束したと判定されるまで、現在の直結クラッチCLのスリップ制御におけるスリップ量を所定増加分だけ増加させる。つまり、直結クラッチ制御部98は、こもり音の収束具合に応じてスリップ量を増加させる、所謂フィードバック制御を実施する。この所定増加分は、例えばこもり音が収束していないときに増加させるスリップ量として予め定められた値である。これにより、こもり音を適切に抑制することができる。
直結クラッチ制御部98は、こもり音発生領域判定部96により車両10が所定のこもり音発生領域にないと判定された場合には、直結クラッチCLを係合する指令を油圧制御回路52に出力して直結クラッチCLを係合し、ロックアップ状態とする。すなわち、既に直結クラッチCLが係合されているときは直結クラッチCLの係合を維持し、直結クラッチCLがスリップ又は解放されているときは直結クラッチCLの係合へ切り替える。これにより、車両10が所定のこもり音発生領域にない場合には、流体継手62を介した動力伝達が為されず燃費性能の低下が抑制される。
図10は、電子制御装置90の制御作動の要部すなわちエンジン動作点を変更することなくこもり音を抑制する為の制御作動を説明するフローチャートであり、エンジン走行中に繰り返し実行される。図11は、図10のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例である。
図10において、先ず、こもり音発生領域判定部96の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、車両10が所定のこもり音発生領域にあるか否かが判定される。このS10の判断が肯定される場合は直結クラッチ制御部98の機能に対応するS20において、直結クラッチCLが所定量にてスリップ制御される。次いで、こもり音収束判定部99の機能に対応するS30において、直結クラッチCLがスリップ制御させられることでこもり音が一定値以下となり、こもり音が収束したか否かが判定される。このS30の判断が否定される場合は直結クラッチ制御部98の機能に対応するS40において、現在の直結クラッチCLのスリップ制御におけるスリップ量が所定増加分だけ増加させられる。このS40に次いで、上記S30が実行される。S30の判断が肯定される場合は直結クラッチ制御部98の機能に対応するS50において、現在の直結クラッチCLのスリップ制御におけるスリップ量がそのまま維持される。一方で、上記S10の判断が否定される場合は直結クラッチ制御部98の機能に対応するS60において、直結クラッチCLが完全係合されてロックアップ状態とされる。
図11において、t1時点は、パラレルローモードでのエンジン走行中に、エンジントルクTeが増加して(強制力が増加して)、車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された時点を示している。その後、t2時点から、CL油圧PcLが低下されて、係合されていた直結クラッチCLがスリップ制御させられる。つまり、流体継手62が滑り始める。その為、MG2回転速度Nmg2が車速Vに応じた回転速度増の傾き(破線参照)より大きな傾きで増加させられる(t2時点からt3時点までの実線参照)。t3時点以降は、直結クラッチCLが所望のスリップ量になったので、CL油圧PcLが一定とされている。
上述のように、本実施例によれば、車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチCLがスリップされるので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられる。これにより、この流体継手62において共振トルクを逃がし、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振を抑えることができる。特に、エンジントルクTeが動力伝達装置14の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路と第2回転機MG2との間の動力伝達経路に流体継手62が設けられているので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられることで、流体継手62や第2回転機MG2がダイナミックダンパとして機能させられて、こもり音を抑制することができる。よって、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。尚、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
前述の実施例1では、第2回転機MG2と車軸40との間の動力伝達経路に設けられた流体式伝動装置として、トルク増幅作用のない流体継手62を例示した。この流体式伝動装置としては、トルク増幅作用を有する公知のトルクコンバータであっても良い。流体継手62に替えてトルクコンバータを用いる場合、直結クラッチCLがスリップされると、トルクコンバータのトルク増幅作用によりトルク比分だけ増大されたMG2トルクTmg2(=本来要求されるMG2トルクTmg2×トルク比)がリダクションギヤ58に入力される。アウトプットトルクTout(例えばファイナルギヤ34に入力されるトルク)は、エンジントルクTeに基づくトルクとMG2トルクTmg2に基づくトルクとの合計トルクである。そうすると、直結クラッチCLのスリップ制御時には、要求駆動トルクよりも大きなトルクが発生させられる可能性がある。その為、電子制御装置90は、直結クラッチCLのスリップ制御中には、トルクコンバータのトルク比が大きくなる程、MG2トルクTmg2を小さくする。つまり、トルク比分だけ増大されたMG2トルクTmg2が本来要求されるMG2トルクTmg2となるようにMG2トルクTmg2を小さくする。
図12は、図10のフローチャートに示す制御作動を実行した場合のタイムチャートの一例であって、流体継手62に替えてトルクコンバータを用いた場合の実施例であり、図11とは別の実施例である。図12において、MG2トルクTmg2は、直結クラッチCLのスリップ制御時には、二点鎖線に示す流体継手62の場合と比較して、トルクコンバータのトルク比による増大分だけMG2トルクTmg2が小さくされている。これにより、MG2トルクTmgがトルク比分だけ増大されることに伴うアウトプットトルクToutの変動が抑制される。
上述のように、本実施例によれば、トルクコンバータのトルク比に応じてMG2トルクTmg2が制御されるので、アウトプットトルクTout(駆動トルクも同意)の変動を抑制することができる。
前述の実施例1では、流体継手62は、差動部46から出力されるエンジントルクTeが車軸40へ伝達される動力伝達経路と第2回転機MG2との間の動力伝達経路に設けられることで、第2回転機MG2と車軸40との間の動力伝達経路に設けられた。本実施例の車両200では、このような実施例1での実施態様に替えて、流体継手62は、差動部46から出力されるエンジントルクTeが車軸40へ伝達される動力伝達経路に設けられている。従って、流体継手62は、第2回転機MG2と車軸40との間の動力伝達経路に設けられた流体式伝動装置である。
図13は、本発明が適用される車両200の走行に関わる各部の概略構成を説明する図であり、図1とは別の実施例である。図13において、車両200は、走行用の駆動力源となり得る、エンジン12、第1回転機MG1、及び第2回転機MG2と、動力伝達装置202と、駆動輪16とを備えるハイブリッド車両である。動力伝達装置202は、第1動力伝達部24、第2動力伝達部204、ドライブギヤ28と噛み合うドリブンギヤ30、ドリブンギヤ30を相対回転不能に固設するドリブン軸32、入力回転部材であるポンプ羽根車62pがドリブン軸32に連結された流体継手62、流体継手62の出力回転部材であるタービン羽根車62tに連結されたファイナル軸206、ファイナル軸206に相対回転不能に固設されたファイナルギヤ34、デフリングギヤ36を介してファイナルギヤ34と噛み合うディファレンシャルギヤ38、ディファレンシャルギヤ38に連結された車軸40、流体継手62の入出力回転部材を連結する直結クラッチCL等を備えている。
第2動力伝達部204は、入力軸42とは別にその入力軸42と平行に配置された、第2回転機MG2のロータ軸208、及びドリブンギヤ30と噛み合うと共にそのロータ軸208に連結されたリダクションギヤ58を備えている。これにより、第2動力伝達部204においては、第2回転機MG2の動力は第1動力伝達部24を介すことなくドリブンギヤ30へ伝達される。従って、第2回転機MG2は、第1動力伝達部24を介さずに駆動輪16に動力伝達可能に連結される。
流体継手62は、ドリブン軸32とファイナル軸206との間の動力伝達経路に設けられている。すなわち、本実施例では、流体継手62は、図1の車両10におけるドリブン軸32上に配置されている。その為、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられることで、図1の車両10とは異なり、流体継手62と第2回転機MG2とがダイナミックダンパとして機能させられないものの、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振域をずらす効果が得られる。これにより、共振トルクを逃がし、駆動系の共振を抑えることができるので、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。この車両200においても、電子制御装置90は、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができるように、車両10が所定のこもり音発生領域にある場合には、直結クラッチCLをスリップする。
上述のように、本実施例によれば、車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチCLがスリップされるので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられる。これにより、この流体継手62において共振トルクを逃がし、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振を抑えることができる。特に、エンジントルクTeが動力伝達装置14の出力回転部材へ伝達される動力伝達経路に流体継手62が設けられているので、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられることで、駆動系の共振域をずらす効果が得られて、こもり音を抑制することができる。よって、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、直結クラッチCLをスリップしたが、直結クラッチCLを解放しても良い。直結クラッチCLが解放されても、流体継手62の入出力回転部材が相対回転させられるので、流体継手62において共振トルクを逃がし、エンジントルクTeを伝達する駆動系の共振を抑えることができる。よって、エンジン動作点を変更することなく、こもり音を抑制することができる。
直結クラッチCLを解放する場合には、直結クラッチCLをスリップする場合と異なり、エンジントルク振動の大きさに応じて流体継手62の入出力回転部材を相対回転させることはできない。反面、直結クラッチCLを解放する場合には、直結クラッチCLをスリップする場合と比較して、流体継手62の入出力回転部材を速やかに相対回転させることができて、共振トルクの増大をいち早く制限することができる。
従って、直結クラッチ制御部98は、こもり音発生領域判定部96により車両10が所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には(見方を換えれば、直結クラッチCLを所定量にてスリップ制御する場合には)、先ず、直結クラッチCLを解放し、その後、直結クラッチCLをスリップに移行しても良い。このようにすれば、直結クラッチCLの解放によって共振トルクの増大をいち早く制限することができると共に、直結クラッチCLを解放からスリップへ移行することによって流体継手62の入出力回転部材の相対回転による燃費性能低下を抑制することができる。ところで、流体継手62に替えて摩擦係合装置を用いた場合、スリップへ移行する際に摩擦係合装置のトルク容量を急減させると差回転速度(スリップ量)が急増する為、ある程度の時間をかけてトルク容量の低減を行う必要があり、その間にも駆動系の共振は続く。これに対して、流体継手62を用いた場合、直結クラッチCLを解放状態に急に移行しても、流体継手62の容量係数に応じて入出力回転部材間の差回転速度の増加に制限が掛かる。そして、この後に、直結クラッチCLをスリップに移行することで、共振トルクの増大をいち早く制限することと、流体継手62の入出力回転部材の相対回転による燃費性能低下を抑制することとを両立することができる。
また、前述の実施例では、こもり音発生領域判定部96は、車両10が所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定した。この所定のこもり音発生領域は、実際にこもり音が発生する領域以外に、実際にこもり音が発生する領域近傍の、こもり音の発生が予測される領域を含んでも良い。この予測される領域とは、例えばこのままエンジントルクが大きくなると、車両10が実際にこもり音が発生する領域に入るような領域である。又、こもり音発生領域判定部96は、車両10(例えば車室内、特には運転席近傍)に備えられたマイクロホン等のセンサによって検出されたこもり音又はこもり音に関する指標が所定値以上であるか否かに基づいて、車両10が所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定しても良い。
また、前述の実施例において、こもり音収束判定部99は、車両10に備えられたマイクロホン等のセンサによって検出されたこもり音又はこもり音に関する指標が所定値以上であるか否かに基づいて、こもり音が収束したか否かを判定しても良い。
また、前述の実施例では、直結クラッチ制御部98は、エンジントルク振動マップを用いてエンジントルク振動を算出したが、これに限らない。例えば、直結クラッチ制御部98は、エンジン12の気筒内に設けられた圧力センサによって検出された爆発の圧力に基づいてエンジントルク振動を算出(又は検出)しても良い。又、図9はエンジントルク振動と直結クラッチCLのスリップ量との予め定められた関係であったが、これに限らない。例えば、エンジントルク振動に替えて、動力伝達装置14の出力回転部材における共振トルクの大きさを用いても良い。この場合、直結クラッチ制御部98は、例えばセンサによって直接的に共振トルクを検出したり、又は、MG2回転速度Nmg2の変動に対応付けて予め定められた(例えばモデル化された)共振トルクの大きさに、レゾルバ等のMG2回転速度センサ76の信号であるMG2回転速度Nmg2の変動を適用することで共振トルクの大きさを算出する。
また、前述の実施例では、第1動力伝達部24は変速部44と差動部46とを備えており、差動部46は第2遊星歯車機構50及びクラッチCSを備えていたが、これに限らない。例えば、第1動力伝達部24は変速部44を備えず、エンジン12が第2遊星歯車機構50の第2キャリヤCA2に直接的に連結されても良いし、差動部46はクラッチCSを備えなくても良い。又、車両10は、第2回転機MG2が第1動力伝達部24の軸心とは別の軸心上に配置されるような連結関係のギヤトレーンであったが、例えば第2回転機MG2が第1動力伝達部24の軸心と同じ軸心上に配置されるような連結関係のギヤトレーンなどであっても良い。そもそも、エンジン12と、エンジン12の動力を駆動輪16へ伝達する動力伝達装置14と、動力伝達装置14の出力回転部材に動力伝達可能に連結された回転機(第2回転機MG2)とを備えた車両であれば、本発明を適用することができる。又、FF方式の車両10に好適に用いられる動力伝達装置14を用いて発明を説明したが、本発明は、例えばRR方式など他の方式の車両に用いられる動力伝達装置においても適宜適用することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
12:エンジン
14:動力伝達装置
16:駆動輪
40:車軸(動力伝達装置の出力回転部材)
62:流体継手(流体式伝動装置)
62p:ポンプ羽根車(流体式伝動装置の入力回転部材)
62t:タービン羽根車(流体式伝動装置の出力回転部材)
90:電子制御装置(制御装置)
96:こもり音発生領域判定部
98:直結クラッチ制御部
CL:直結クラッチ
MG2:第2回転機(回転機)

Claims (1)

  1. エンジンと、前記エンジンの動力を駆動輪へ伝達する動力伝達装置と、前記動力伝達装置の出力回転部材に動力伝達可能に連結された回転機とを備えた車両の、制御装置であって、
    前記車両は、前記回転機と前記動力伝達装置の出力回転部材との間の動力伝達経路に設けられた流体式伝動装置と、前記流体式伝動装置の入出力回転部材を連結する直結クラッチとを備えており、
    前記車両が前記エンジンの運転に伴う所定のこもり音発生領域にあるか否かを判定するこもり音発生領域判定部と、
    前記車両が前記所定のこもり音発生領域にあると判定された場合には、前記直結クラッチをスリップ又は解放する直結クラッチ制御部と
    を、含むことを特徴とする車両の制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210004875A (ko) 2019-07-05 2021-01-13 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 유기막 형성용 조성물, 반도체 장치 제조용 기판, 유기막의 형성 방법, 패턴 형성 방법, 및 중합체
WO2024062836A1 (ja) * 2022-09-20 2024-03-28 株式会社Soken 車両制御システム

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