この発明は,複数の照明モジュールを並列配置して照明装置を構成した場合に,多少の製造誤差があっても隣接する照明モジュール間に透き間を生じさせないようにすることを目的とする。
この発明はまた,1つの照明モジュールを,または複数の照明モジュールを並列配置して天井,壁等に形成した凹所内に収納して設置した場合であっても,凹所の輪郭が見えず,インテリアとしても優れた配置を可能とすることを目的とする。
この発明はさらに,照明手段のみならず,価値の高い建築物内装飾手段としての利用可能性を追求することを目的とする。
この発明による照明モジュールは,周囲を囲む側面部と底面部とを有する外装ケース,前記外装ケース内に収められる導光板,前記外装ケースの側面部内において前記導光板の端面に臨むように配置され,前記導光板に導入する照明光を発光する光源部,および前記外装ケースの開口を覆うように設けられ,前記導光板の表面から出射する光が入射する拡散板を備え,前記拡散板の側面が,少なくともその後部で後方に向って内方に傾斜し,かつその前端部分が前記外装ケースの側面部外面よりも側方に突出しているものである。好ましくは,前記拡散板の側面の後端は前記外装ケースの側面の位置に一致する(連続的につながる)。
照明モジュールの拡散板の表面から照明光が出射する。拡散板の表面の光出射面が照明モジュールの前,または正面であり,外装ケース側が照明モジュールの後部または後面側もしくは背面側である。拡散板および外装ケースの形状にかかわらず(正方形,長方形,その他の形状であっても),それらの周囲の面を側面という。
この発明による照明モジュールにおいては,拡散板の側面が,少なくともその後部で後方に向って内方に傾斜し(前方に向って外方に傾斜し),かつ拡散板の側面の前端部分が外装ケースの側面部外面(側面)よりも側方(外方)に突出している。したがって,複数の照明モジュールを,その光出射面が段差のない一平面を形成するように互いに接して配置(並列配置)した場合に,互いに隣接する照明モジュールの拡散板の側面の前端部分(前端およびこれよりも後方の部分を含む)が互いに当接(密接)し,互いに隣接する照明モジュールの外装ケースの側面は互いに離れている。したがって,外装ケースが製造誤差により若干大きくなつたとしても,隣接する照明モジュール間において外装ケースの側面が当接することはない。隣接する照明モジュールはその拡散板(光出射面)がそれらの側面の前端または前端付近で密着する。したがって,並列配置された複数の照明モジュールをそれらの正面から見ても照明モジュール間の境界に輝線が生じることがなく,または殆どなく,均一な明るさの照明光を出射する面積の広い照明装置が実現する。前記拡散板の側面はその後部で前記傾斜面となっているので,複数の照明モジュールを並列配置した場合,隣接する拡散板の側面の互いに接触する部分の面積を最小限とすることができる。
また,この発明においては,1つの照明モジュールを,または複数の照明モジュールを並列配置して,天井,壁等に形成した凹所内にその外装ケース部分を収納して設置した場合であっても,これを正面から見た場合,正面の拡散板の輪郭が凹所の輪郭よりも外方に出張るから,凹所の輪郭は見えず,意匠的に優れたものとなる。前記拡散板の側面はその後部で前記傾斜面となっているので,天井,壁等の凹所内に配置した場合,照明モジュールの外装ケースのみならず拡散板の後部の少なくとも一部も凹所内に入れることができ,天井,壁等からの拡散板の突出量を少なくすることができる。
好ましい実施態様では,前記拡散板は,少なくとも前記光源部が配置された前記導光板の周縁部に対向し,前記導光板側に突出する凸条部を有している。凸条部の存在により,拡散板の周縁部にも光源部からの照明光が充分に供給され,出射光の明るさの均一化が図られる。
一実施態様では前記拡散板の側面の前端部分に丸味がつけられている。これにより,隣接する照明モジュールの光出射面が滑らかに連続する。隣接する照明モジュールの拡散板は丸味がつけられた部分の後部で互いに密着する。この密着部分を,拡散表面(光出射面)と直角となるように形成しておくと,密着性が高まる。
他の実施態様では,前記拡散板の側面の傾斜した面が前記拡散板の側面の前端まで達している。この実施態様では,隣接する照明モジュールの拡散板はその側面前端で細い線状に密着する。密着面積が小さいので,密着しやすい。
さらに他の実施態様では,前記拡散板の側面の前端部分が前記拡散板の光出射面に垂直である。この実施態様では,隣接する照明モジュールの拡散板はこれらの垂直面で面状に密接する。
さらに他の実施態様では,前記拡散板の光出射面にステンドグラス調の着色層が形成される。ステンドグラス調とは,ステンドグラスを模擬したもので,複数色からなる図柄(絵柄)を表わし,異なる色の境界にケイムに相当する黒系(黒または黒に近い色)の色で縁取りを施したものである。
一実施態様では,前記着色層は前記光出射面に塗布された塗料により形成される。着色層を絵の具,ペンキ等により手で描くこともできるし,インクジェットプリンタのようなプリンタを用いて,図柄データに基づき印刷により形成することもできる。
他の実施態様では着色層はステンドグラス柄が描画されたフィルムによって拡散板の光出射面を覆うことによって形成する。フィルムは拡散板の表面を単に覆うだけでも,貼着してもよい。
さらに他の実施態様では,ケイム筋に相当する線状遮光部が前記着色層に設けられる。遮光部は塗料によって形成することもできるし,遮光部材(他の絵柄部分よりも光透過の少ない部材)を別途設けてもよい。遮光部材は拡散板の周縁に設けてもよい。
ステンドグラス装飾は建築物の内部と外部とを隔てる窓等に設けられることが多いが,この場合には,ステンドグラス装飾は外からの光,特に外部の天候(晴,曇り,雨天,太陽光の強弱,高低)に多くを依存する。この発明による疑似ステンドグラス装飾では,照明モジュールや複数の照明モジュールからなる照明装置の光出射面にステンドグラス調の着色層が形成されているから,外部環境に全く左右されることなく,また昼夜を問わず,常に最適の条件(照明光の調光)で最も効果的な状態において装飾を行うことができる。照明モジュール,照明装置の光出射面にステンドグラス調の着色層を形成すればよいから,複雑な図柄であっても,ステンドグラスのガラス加工やケイム加工等に比べれば,比較的容易に製作することができる。さらに,従来のステンドグラスのように建築物に工事を施して窓等を造作するのではなく,照明モジュール,照明装置を壁,天井等に設置するだけでよいので,施工が容易である。
この発明はまた,上述した照明モジュールを用いた照明装置を提供している。この照明装置は複数の上記照明モジュールを備えるもので,複数個の前記照明モジュールがそれらの拡散板の光出射面が面一となるように配置され,隣接する照明モジュールの対向する側面がそれらの前端で突き合わされているものである。上述したように,各照明モジュールにおいて,その拡散板の側面が,少なくとも後部で後方に向って内方に傾斜し,その前端部分が外装ケースの側面部外面よりも側方に突出しているから,製造誤差により外装ケースの大きさに多少のばらつきがあっても,隣接する拡散板はその側面で密着し,好ましくない輝線の外部への出射が抑えられる。
ステンドグラス調の着色層を形成する場合には,好ましくは,複数の照明モジュールの拡散板のすべてにわたって,統一したステンドグラス調図柄が連続的に形成される。
この発明はさらに上記照明モジュールまたは照明装置を用いた照明設備構造を提供している。
この発明による照明モジュールを利用した照明設備構造は,照明モジュールの外装ケースの少なくとも一部が,支持体に形成された凹所内に収められ,前記照明モジュールの拡散板はその外周が前記凹所の外周の外側に出張っているものである。支持体とは天井,壁等の建築物の一部である。
照明モジュールの拡散板(光出射面)は前記凹所の外周よりも外側に出張っている外周を有するから,正面からみたときに,光出射面の輪郭が見え,凹所の輪郭は見えず,意匠的に優れたものとなっている。
この発明による上記照明装置を利用した照明設備構造は,支持体に凹所が形成され,前記凹所内に,前記照明装置を構成する複数の前記照明モジュールの外装ケースの少なくとも一部が収められ,前記照明装置を構成する前記照明モジュールのすべての拡散板によって形成される光出射面の外周が前記凹所の外側に出張っているものである。この照明設備構造においても,凹所の輪郭は照明装置の光出射面の後方に隠れるから,正面からみたときに凹所の輪郭は見えず,違和感のない優れた照明設備が実現する。
ステンドグラス調の着色層を有する照明モジュールまたは照明装置は,拡散板の側面が外装ケースの側面よりも外方に突出している構成を必ずしも必要としない。
すなわちステンドグラス調の着色層を有する照明モジュールは,周囲を囲む側面部と底面部とを有する外装ケース,前記外装ケース内に収められる導光板,前記外装ケースの側面部内において前記導光板の端面に臨むように配置され,前記導光板に導入する照明光を発光する光源部,および前記外装ケースの開口を覆うように設けられ,前記導光板の表面から出射する光が入射する拡散板を備え,前記拡散板の光出射面にステンドグラス調の着色層が形成されているものである。一実施態様では拡散板の側面は光出射面に垂直である。他の実施態様では拡散板の側面は外装ケースの側部外面と面一である。必要ならばケイム筋に相当する線状遮光部を拡散板の表面の周縁部のみならず,拡散板の側面,さらには外装ケースの側面にも設けることができる。これにより,特に拡散板の側面からの光の漏れが防止できる。
ステンドグラス調の着色層を有する照明装置は,周囲を囲む側面部と底面部とを有する外装ケース,前記外装ケース内に収められる導光板,前記外装ケースの側面部内において前記導光板の端面に臨むように配置され,前記導光板に導入する照明光を発光する光源部,および前記外装ケースの開口を覆うように設けられ,前記導光板の表面から出射する光が入射する拡散板を備える照明モジュールを複数個備え,これらの複数個の照明モジュールがそれらの拡散板の光出射面が面一となるように配置され,隣接する照明モジュールの対向する側面が突き合わされ,配置されたすべての照明モジュールのすべての拡散板の光出射面にステンドグラス調の着色層が連続的に形成されているものである。ステンドグラス調の着色層は照明装置の光出射面の全体にわたって統一した図柄であっても,個々の照明モジュールの光出射面毎に異なるものであってもよい。一実施態様では拡散板の側面は光出射面に垂直である。他の実施態様では拡散板の側面は外装ケースの側部外面と面一である。必要ならばケイム筋に相当する線状遮光部を拡散板の表面の周縁部のみならず,拡散板の側面,さらには外装ケースの側面にも設けることができる。これにより,照明装置全体の側面,特に拡散板の側面からの光の漏れが防止できるのみならず,隣接する照明モジュールの境界から輝線が漏れるのを防止することができる。
図1は照明モジュールの正面(前面,表面)を示す平面図である。後述する説明のために,特に拡散板20の凸条部21および外装ケース50の側面部52が破線で示されている。図2は図1の鎖線IIで囲んだ部分を,図3のII−II線に沿って切断して示す拡大断面図である。図3および図4はそれぞれ図1のIII−III線,IV−IV線に沿う拡大断面図であり,特にビス13,12が通る部分を示している。図5は図1のV−V線に沿う拡大断面図であり,ビス13が存在しない部分を示している。図5は図3とビス13を除いて同じであるが,光源からの光を示すために導光板30および拡散板20のハッチングが省略されている。
照明モジュール10は全体的に平板状でかつ厚さが薄いものである。前面(正面,表面)にある拡散板20の表面(光出射面22)から一様な明るさの照明光が出射する。拡散板20はたとえば光散乱粒子が含まれたアクリル系樹脂等で成形されている。照明モジュール10の背面(裏面,後面)は外装ケース(保持ケース,保護ケース)50によって覆われている。外装ケース50は鉄,ステンレススチール,アルミニウム合金等の薄い金属板から,プレス加工(曲げ加工)により作られる。
外装ケース50は底面部(背面部,後面部,裏面部)51とその周囲から立上った側面部(側壁,端面部)52とを有する。図示の照明モジュール10は正面(または背面)からみて長方形であり,4つの辺を有するが,これらのすべての辺において,外装ケース50の底面部51から立上った部分を側面部(側壁)52ということにする。照明モジュールは,正面からみて正方形でもよいし,五角形,六角形,八角形など任意の形状をとりうるが,いずれの形状のものにおいても,照明モジュールの背面を規定する底面部の周囲から立上り,外装ケースの深さを規定する部分を側面部という。
外装ケース50の底面部51において,底面部51の周縁部51Aの内側(中央寄り)に凹溝部51Bが一周にわたり形成され,さらに凹溝部51Bの内側(中央寄り)(中央部51C)がやや後方(外方)に向かって突出している。凹溝部51Bの凹溝は外面の形状を表わすものであるが,この部分の内面は前方(内方)に向かって突出する凸条となっている。後方に突出した中央部51Cの内部(前面側)の空間53には,制御回路等(図示略)が内蔵されかつ保持されている。
外装ケース50の側面部52の内面に沿って(接して),4隅の部分を除いてLEDフレーム70が配置されている。LEDフレーム70はアルミニウム,鉄,ステンレススチール,その他の薄い金属を曲げ加工して形成され,外装ケース50の側面部52の内面に沿う側部71と,側部71から内方(外装ケース50の内方)に直角に曲げられ拡散板20の凸条部21の内端面21Aに沿う遮光部72と,遮光部72の反対側で同じく内方に直角に曲げられてメインフレーム40に沿う固定部73とから構成される。固定部73を貫通するビス12等によってLEDフレーム70はメインフレーム40に固定される。
外装ケース50内に収められる導光板30は光透過率の高いアクリル系樹脂で成形され,必要に応じて光散乱粒子が含まれる。また,より多くの光を拡散板20の方向に導く必要のある箇所には導光板30に光散乱面(多数の小さな凹凸)が形成される。導光板30の端部には,光源としてのLED(発光ダイオード)61が対応する箇所において,複数個(図2では3個)のLED61が入る凹部31が形成され,凹所31間は凸部32となっている。
LED61は複数個ずつフレキシブル基板62に固定されている。フレキシブル基板62はLEDフレーム70の側部71の内面に沿って配置されている。フレキシブル基板62にはLEDに動作電流を供給する導体パターンが形成され(当然,その表面は絶縁膜で覆われている),フレキシブル基板の一部(図示略)がLEDフレーム70の固定部73に形成された孔を通ってLEDフレーム70の外部に出て,外装ケース50の底面部51の内面に沿って中央部51Cの内部53に配置された制御回路に達している。
LED61の発光面は,導光板30の凹所31内において導光板30の端面33(凹所31の底面)に対向する(臨んでいる)。LED61で発光した照明光はこの端面33から導光板30内に入射する。導光板30の凸部32はフレキシブル基板62に当り,フレキシブル基板62をLEDフレーム70の側部71に押し付け,さらにLEDフレーム70を外装ケース50の側面部52の内面に押し付けている。
光源部60は,LED61とそれが固定された(電気的に接続された)フレキシブル基板62とを含む。この場合において,1個のLED61とそれが固定されたフレキシブル基板62の部分とを光源部60と言ってもよいし,導光板30の凹所31内に配置された3個のLED61とそれらが固定されたフレキシブル基板62の部分を光源部60と言ってもよいし,さらに光源部60は,より多くのLED61とそれらの固定されたフレキシブル基板62の部分との組合せを指すものと考えてもよい。光源部60は,照明光を発光する素子(装置)とそれを支持する部材の組合せである。
外装ケース50内には,照明モジュール10の前面から背面に向って,導光板30,反射シート35,メインフレーム40がこの順に収められている。導光板30,反射シート35およびメインフレーム40の周縁部がLEDフレーム70の遮光部72と固定部73との間に挟まれている。反射シート35は,たとえばアルミニウム箔のような反射率の高い材料で形成され,導光板30の背面側の表面全体に密着している。反射シートに代えて導光板30に反射コートを形成してもよい。
外装ケース50の底面部51の周縁部51Aや凹溝部51Bには適当な間隔でビス12,13等が設けられている。周縁部51Aに設けられたビス12はLEDフレーム70の固定部73の孔76,メインフレーム40の孔44,反射シート35の孔,導光板30の孔34を,これらの孔との間に間隙をあけて通り,拡散板20まで達して拡散板20の凸条部21にねじはめられ,外装ケース50,LEDフレーム70,メインフレーム40,反射シート35,導光板30および拡散板20を相互に締結する。ビス12の頭は外装ケース50の周縁部51Aにあけられた孔55内にゆるく嵌っている。外装ケース50の底面部51の凹溝部51Bに設けられたビス13はメインフレーム40にねじはめられ,外装ケース50(底面部51)とメインフレーム40とを締結する。凹溝部51Bの孔54とビス53との間には若干の間隙がある。
外装ケース50の底面部51の中央部51Cには,照明モジュール10を壁,天井等に取付けるための取付孔,吊下げ孔があけられるか,取付具(いずれも図示略)が取付けられている。
拡散板20は上述した外装ケース50の開口(導光板30がわ)を覆うように設けられている。拡散板20には,LED61が配列された導光板30の周縁部に対向するように凸条部21が一体的に形成されている。凹条部21の内端面21Aは外装ケース50の側面部50の後端面およびLEDフレーム70の遮光部72に接している。この凸条部21は照明モジュール10の周縁部からも充分な照明光を出射させ,全面にわたって均一な明るさを実現するように作用する。LEDフレーム70の遮光部72はLED61からの光が直接に拡散板20に向い,外部からみて輝点が生じるのを防ぐ。
さらに拡散板20の外側面(側面)23は全周にわたって外装ケース50の側面部50の外面よりも側方(外方)に突出している。すなわち,拡散板20の外側面23は,外装ケース50の側面部50の後端面と接している部分から前方に向って外方(側方)に傾斜し(傾斜面またはテーパ面23A),続いて拡散板20の光出射面22と垂直となる垂直面23Bとなり,最後に湾曲面(外方に向って凸の丸味)23Cを経て表面の光出射面22に連続している。逆方向に表現すれば,拡散板20の外側面の先端部分において光出射面22から連続する丸味のついた湾曲面23Cが形成され,続いて垂直面23Bがあり,垂直面23Bから,拡散板20の外側面の後部で,後方に向って内方に傾斜して(傾斜面23A),外装ケース50の側面部52の外面に連続している。拡散板20の外側面23は,その前端部分が外装ケース50の側面部52外面よりも外方(側方)に突出している。
光源部(LED61)で発光する照明光は導光板30の端面33から導光板30内に入射し,導光板30内を伝搬する過程で,散乱粒子または散乱面による散乱,導光板30の界面による全反射,反射シート35による鏡面反射等により,導光板30から前方に出射して,最終的に拡散板20に入射し,さらに拡散板20内で散乱,全反射,鏡面反射して拡散板20の表面(光出射面22)から外部に出射する。拡散板20表面における明るさが均一になるように,導光板30内の光散乱粒子の分布,密度,散乱面の分布,拡散板20内の光散乱粒子の分布,密度,拡散板20の凸条部21の形状,大きさ,遮光部72の大きさ等が適切に設計される。
図5を参照して詳しく説明すると,LED61から出射した光の一部は,導光板30の前後面で全反射を繰返して反対方向(図5の右方向)に進む(符号L1で示す)。LED61から出射し,反射シート35で鏡面反射し,また導光板30の前面で界面反射して導光板30内を進行する光(符号L2で示すものなど)もある。さらに導光板30内に分散している光散乱粒子や導光板30に形成された光散乱凹凸面等で散乱する光もある(一例を符号L3で示す)。反対側に配置された光源(図示略)から出射した光(または反対側で反射した光)も同じように,全反射,鏡面反射,界面反射,散乱等によりLED61の方向(図5の左方向)に進行してくる。図5における左右方向に平行な導光板30の側部に配置された光源から出射し,伝播してくる光もある。いずれにしてもこれらの光は導光板30の表面35から出射し,光拡散板20の中央部の凹所(凸条部21の内方)の表面25から光拡散板20内に入射する。光拡散板20内において,界面反射,散乱粒子による散乱などにより拡散板20内を伝播する光もあるが,最終的には,殆どの光は拡散板20の光出射面22から出射することになる。拡散板20の光出射面22の周縁部を除く中央部分から出射する光は上記のようにしてその明るさが均斉化される。
LED61から出射し,または反対方向から進行してきた光のうち拡散板20の凸条部21の内端面21Aから入射する光(符号L4で示す)もある。凸条部21の内側面24から凸条部21の内部に入射する光(符号L5で示す)もある。これらの光は凸条部21の外側面23と内側面24との間で界面反射,全反射により凸条部21内を進み,または凹条部21内で散乱し,主要に拡散板20の周縁部表面(光出射面22の周縁部および外側面23)から出射する。拡散板20の周縁部では導光板30内を伝播する光が届きにくくなり勝ちであるが,凸条部21の存在によりこの凸条部21に光が集中して拡散板20の周縁部から出射するので,この周縁部でも中央部分と同程度の明るさを確保することができる。
このようにして,拡散板20の光出射面22の全体に一様な明るさの照明光が得られることになる。LED61から出射して直接に凸条部21内に入射しようとする強い光はLEDフレーム70の遮光部72で遮光され,強い光が外部に漏れることはない。
上述した照明モジュール10は,もちろん,それ単独で建物内の壁面,天井などに設置して照明装置として用いることができる。さらに,照明モジュール10は,図6に示すように,複数個の照明モジュール10A,10B,10C,10Dを,それらの光出射面が段差のない一平面を形成するように(面一に)互いにそれらの側面を接触させた状態で配置(並列配置という)して設置することができる。このように,複数個の照明モジュール10A〜10Dを並列配置した構成を照明装置90という。図6では長方形状の4個の照明モジュールが上下左右に並列配置されている。上述したように,照明モジュール10A〜10Dはその光出射における照明光の明るさが均一であるから,複数の照明モジュールを並列配置しても,照明装置90全体の光出射面の照明光の明るさも均一となる。
この照明装置90における2つの照明モジュール10Aと10Bとが接している部分を側面からみた拡大図が図7に示されている。上述のように,照明モジュール10A,10Bの拡散板20は,その外側面23が,その後部において後方に向って内方に(前方に向って外方に)傾斜した傾斜面23Aを有し,前部において,外装ケース50の側面部外面よりも外方に突出している。すなわち,2つの照明モジュール10Aと10Bは拡散板20の外側面23の垂直面23Bで接触(密着)しており,それらの外装ケース50は互いに離れている。外装ケース50に多少の製造誤差があっても,照明モジュール10A,10Bの外装ケース50同志が互いに接触することはない。逆にいえば,多少の製造誤差があっても隣接する外装ケース50が接触しない(離隔している)程度に,拡散板20の外側面23は外方に突出するように設計されている。したがって,各照明モジュール10A,10Bの拡散板20の外側面23から照明光が出射していても,複数の照明モジュールからなる照明装置90をその前面(光出射面側)から見たときに,拡散板20の外側面23から出射する照明光が輝線となって見えることはない。このようにして,照明モジュールの境界に輝線が生じない,均一な明るさの照明光を出射する面積の広い照明装置90が実現する。図7に示すものは,拡散板20の外側面23の前部に丸味をもつ湾曲面23Cがあるので,正面からみた場合に,光出射面が滑らかに連続してみえる。傾斜面23Aが外側面の後部にあることによって,隣接する照明モジュールの外側面23はその前部において最小限の面(垂直面23B)で接触する。
また,図8,図9に示すように,天井,壁等(支持体)98に凹所99を形成し,この凹所99内に,照明モジュール10を,その外装ケース50の部分程度を収納した状態で設置することができる。この場合でも,照明モジュール10の拡散板20の外側面23は外装ケース50の側面部外面よりも外方に突出しているので,正面から見た場合に,拡散板20の輪郭が凹所の輪郭99Aよりも外方(側方)に出張り,凹所99の輪郭99Aは見えず,意匠的に優れたものとなる。なお,凹所99内に入れる部分は,照明モジュール10の外装ケース50の全部であっても,一部であってもよく,拡散板20の一部を凹所99内に入れてもよい。拡散板20の外側面の後部に傾斜面23Aがあるので,拡散板20の後部も凹所99内に入れることができる。
上記のことは1個の照明モジュールのみならず,図6に示すような,複数個の照明モジュールから構成される照明装置90についてもあてはまる。すなわち,複数個の照明モジュールから構成される照明装置の一部(後部)を天井,壁等の凹所内に入れて設置してもよく,この場合にも,凹所の輪郭は照明装置によって隠れて見えない。
図10は変形例を示すもので,この照明装置90Aにおいては照明モジュール10A1,10B1の拡散板20の外側面23の傾斜面23Aが前部まで達している。すなわち,拡散板20の外側面23が前方に向って外方に傾斜した(後方に向って内方に傾斜した)傾斜面23Aによって構成される。並列配置された2つの照明モジュール10A1と10B1はその傾斜面23Aの先端で細い線状に密接するので,密接しやすい。
図11はさらに他の変形例を示すもので,照明装置90Bを構成する2つの照明モジュール10A2,10B2の拡散板20の外側面23の前端部分が垂直面23Bによって形成され,この垂直面23Bから後方に傾斜面23Aが連続している。垂直面の密着面積が図10に示す線状接触に比べて大きいので,外側面から出射する照明光が前方に漏れにくい構成である。
図10,図11に示す変形例は,複数の照明モジュールからなる照明装置のみならず,1つの照明モジュールにも適用できるのはいうまでもなく,この場合に,図9に示すように1つの照明モジュールを天井,壁等の凹所に設置することもできる。
図12は他の実施例を示し,この照明モジュール10Eでは,拡散板20の光出射面22にステンドグラス調の着色層80が形成されている。ステンドグラス調とは,ステンドグラスを模擬したもので,複数色からなる図柄(絵柄)を表わし,異なる色の境界にケイム81(さまざまな太さのものがある)に相当する黒系(黒または黒に近い色)の色で縁取りを施したものである。他の構成は先に示した実施例または変形例と同じである。好ましくは照明モジュール10Eの縁部に一周にわたってやや太めの黒系縁取りを施す。
着色層80は,一例として光出射面22に塗布された塗料により形成される。着色層80を絵の具,ペンキ等により手で描くこともできるし,インクジェットプリンタのようなプリンタを用いて,図柄データに基づき印刷により形成することもできる。
他の例としては,着色層80はステンドグラス柄が描画されたフィルムによって拡散板20の光出射面22を覆うことによって形成することができる。フィルムは拡散板の表面を単に覆うだけでも,貼着してもよい。
さらにケイム筋81に相当する線状遮光部を着色層80に設けてもよい。遮光部は塗料によって形成することもできるし(この場合は,ステンドグラス調着色層そのものでよい),遮光部材(他の絵柄部分よりも光透過の少ない部材)を別途設けてもよい。遮光部材は拡散板20の周縁に設けてもよい。
図13は複数個の照明モジュール10F,10G,10H,10Iを並列配置にして構成される照明装置90Cの光出射面の全面にステンドグラス調着色層80を形成したものである。照明装置90Cを構成する複数個の照明モジュールの全体に統一観がある一つの図柄を描いたものでもよいし(好ましくは,黒色の枠模様を照明装置90Cの光出射面の縁部に施す),各照明モジュールのそれぞれに独立した図柄を描いてもよい。
一般に,ステンドグラス装飾は建築物の内部と外部とを隔てる窓に設けられることが多いが,この場合には,ステンドグラス装飾は外からの光,特に外部の天候(晴,曇り,雨天,太陽光の強弱,高低)に多くを依存する。上記実施例では,照明モジュールや複数の照明モジュールからなる照明装置の光出射面にステンドグラス調の着色層が形成さているから,外部環境に全く左右されることなく,また昼夜を問わず,常に最適の条件(照明光の調光)で最も効果的な状態において装飾を行うことができる。照明モジュール,照明装置の光出射面にステンドグラス調の着色層を形成すればよいから,複雑な図柄であっても,ステンドグラスのガラス加工やケイム加工等に比べれば,比較的容易に製作することができる。さらに,従来のステンドグラスのように建築物に工事を施して窓等を造作するのではなく,照明モジュール,照明装置を壁,天井等に設置するだけでよいので,施工が容易である。上記実施例の照明モジュールや照明装置はその照明光が均一性を有しているから,ステンドグラス調着色層が描かれた通りにきれいに見える。
ステンドグラス調の着色層を有する照明モジュールまたは照明装置における照明モジュールは,拡散板の側面が外装ケースの側面よりも外方に突出している構成を必ずしも必要としない。すなわち,照明モジュールの拡散板の外側面と外装ケースの側面部外面とが一平面を形成するように面一のものでもよい(多少の製造誤差は許容される)。
すなわちステンドグラス調の着色層を有する照明モジュールは,周囲を囲む側面部と底面部とを有する外装ケース,前記外装ケース内に収められる導光板,前記外装ケースの側面部内において前記導光板の端面に臨むように配置され,前記導光板に導入する照明光を発光する光源部,および前記外装ケースの開口を覆うように設けられ,前記導光板の表面から出射する光が入射する拡散板を備え,前記拡散板の光出射面にステンドグラス調の着色層が形成されているものであると規定できる。拡散板の側面はその光出射面と垂直でもよい。必要ならばケイム筋に相当する線状遮光部を拡散板の表面の周縁部のみならず,拡散板の側面,さらに外装ケースの側面にも設けることができる。遮光部を拡散板の側面に設けることにより,拡散板の側面からの光の漏れが防止できる。このような照明モジュールを複数個並列配置して,照明装置としてもよい。
照明モジュールまたは照明装置(ステンドグラス調着色層を有するものを含む)が天井,壁等の支持体に形成された凹所内に配置された構造(図8,図9等に例示されたもの。複数個の照明モジュールが凹所内に配置されたものを含む。)を照明設備構造という。照明設備構造では,照明モジュールまたは照明装置の拡散板の外周が凹所の外周(輪郭)の外側に出張っている。照明モジュールまたは照明装置の拡散板(光出射面)は凹所の外周よりも外側に出張っている外周を有するから,凹所の存在は照明モジュールまたは照明装置によって隠れ,正面からみたときに凹所の輪郭は見えず,違和感のない優れた照明設備が実現する。