JP2017090312A - 電流センサー用磁性コア - Google Patents
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Abstract
【課題】大電流を測定する磁性材料からなるコアを用いる電流センサーにおいて、被計測電流の最大値側の測定精度を確保することは勿論、さらに被計測電流が最大値よりも低い値の計測においても最大値側の場合と同等の測定精度を維持するのに寄与する、コアを提供する。
【解決手段】電流センサー用の磁性コアにおいて、前記磁束を計測するための磁気センサーを配置する第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが、式0.6Lg≦Ls≦Lgを満足する構成とする。
【選択図】図3
【解決手段】電流センサー用の磁性コアにおいて、前記磁束を計測するための磁気センサーを配置する第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが、式0.6Lg≦Ls≦Lgを満足する構成とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、導体に流れる電流値を計測する際に、該計測対象の被計測電流によって磁性コアに発生する磁束量を該磁性コアに設けられたギャップに配置された磁束検出用センサーにて計測することによって電流値を求める、電流センサーにおける該磁性コアに関するものである。
導体に流れる電流値を計測する方法には、電流の流路に直接抵抗を挿入して電流量に応じて該抵抗に生じる電圧値を測定することによって求める方法や、被計測電流が発生する磁界によって磁性材料からなるコアが磁化される時の磁化の大きさを何らかの手段で計測することによって求める方法などがある。
磁性材料からなるコアを用いる電流測定方法の一つに、磁性材料からなる環状コアの内径部に被計測電流線を貫通させ、コア中に発生した磁束を当該環状コアに設けたギャップ部に設置されたホール素子などの検出用センサーを用いて計測する方法がある。このようにして電流値を求める方法が、例えば特許文献1に記載されている。
磁性材料からなるコアを用いる電流測定方法では、磁性コアの磁気飽和が測定精度を悪化させる原因として指摘されている。ここでいう磁気飽和とは、電流が高くなってある閾値になると、それ以上磁性体の磁束密度が変化しなくなる現象である。つまり、電流によって生じる磁束密度に上限があるために、その上限以上の電流は測定できない。そして、磁気飽和となる時の磁束密度を、飽和磁束密度という。飽和磁束密度の大きさは、磁性材料の材質で決まる。
磁性コアの磁気飽和が発生する電流を大きくするには、該コアに設けたギャップ部の磁気抵抗を大きくすればよい。そのためには、該ギャップ部の長さを大きくすれば良いことが知られている。例えば、特許文献2には、コアに設けるギャップの個数を増やしてギャップ部の全長(総計)を大きくすることによって、磁気飽和に達する電流値を大きくできることが開示されている。特許文献2の図8の磁界−磁束密度の関係で示されるように、ギャップ部の全長が大きくなれば、磁界が大きくなっても磁束密度を小さくすることができる。磁界の大きさは電流に比例するから、計測対象の電流が大きくなっても、磁気飽和することなく電流測定が可能になる。
磁性コアの磁気飽和が発生する電流を大きくするには、該コアに設けたギャップ部の磁気抵抗を大きくすればよい。そのためには、該ギャップ部の長さを大きくすれば良いことが知られている。例えば、特許文献2には、コアに設けるギャップの個数を増やしてギャップ部の全長(総計)を大きくすることによって、磁気飽和に達する電流値を大きくできることが開示されている。特許文献2の図8の磁界−磁束密度の関係で示されるように、ギャップ部の全長が大きくなれば、磁界が大きくなっても磁束密度を小さくすることができる。磁界の大きさは電流に比例するから、計測対象の電流が大きくなっても、磁気飽和することなく電流測定が可能になる。
特許文献2に記載された方法のように、ギャップ部の全長を大きくして磁気抵抗を大きくすれば、コアが磁気飽和する時の電流は大きくなるが、特許文献2の図8から明らかなように、被計測電流が小さい場合は、センサーが検出するコアの磁束密度は小さな値となってしまう。被計測電流の大きさは一定とは限らず、変化している場合もあるので、ホール素子などの磁束密度検出用センサーの検出感度を考えると、SN比(信号とノイズとの比)の観点からも、検出すべき信号の値、上記の例で言えばコアの磁束密度はセンサーの測定可能範囲において極力高い方が良い。
従って、上記したように磁性材料からなるコアを用いた電流測定では、コアが磁気飽和する電流をできるだけ大きくするようにし、かつセンサーが検出すべきコアの磁束密度が極力高い領域で測定を行う必要がある。そのために、被計測電流が大きくなってもコアが磁気飽和しないようにギャップ長さを調整するのであるが、ギャップ長を大きくしすぎると測定される磁束密度が小さくなってしまうから、コアに設けるギャップ長を、設定可能な範囲の中で最も小さな値に設定することによって、コアの磁気飽和とSN比の問題を解決するのが一般的である。
従って、上記したように磁性材料からなるコアを用いた電流測定では、コアが磁気飽和する電流をできるだけ大きくするようにし、かつセンサーが検出すべきコアの磁束密度が極力高い領域で測定を行う必要がある。そのために、被計測電流が大きくなってもコアが磁気飽和しないようにギャップ長さを調整するのであるが、ギャップ長を大きくしすぎると測定される磁束密度が小さくなってしまうから、コアに設けるギャップ長を、設定可能な範囲の中で最も小さな値に設定することによって、コアの磁気飽和とSN比の問題を解決するのが一般的である。
また、例えば特許文献3には、複数の分割コア部材からなる環状磁性体コアの第1のギャップにホール素子を設置し、第2のギャップの内部に必要に応じて磁性体を挿入することで環状コアの磁気抵抗を調整してセンサーの測定精度の向上を図ることが開示されている。
図1は、コアの被測定電流と磁束密度との関係を示すグラフである。被測定電流と磁束密度との関係は、同図に点線で示すように、ある電流値まで比例関係にあるが、その後磁気飽和する。磁束検出用センサーとして用いる場合、測定の全範囲にわたって被測定電流と磁束密度とが比例関係にあることが理想的である。この点線を、以降理想曲線とも称する。磁気飽和した後は、電流値が大きくなっても、磁束密度は大きくならない。この、磁気飽和したときの磁束密度を、飽和磁束密度とも称する。理想曲線において被測定電流と磁束密度との関係が直線関係からずれはじめる、被測定電流値が当該磁性コアの測定可能な最大電流値Imaxとなる。
しかし、現実には、被測定電流と磁束密度との関係は、コア磁性材料の磁化特性が非線形性を有するため、図1に実線で示すようになるのが一般的である。すなわち、電流値に対応する磁束密度の値は、ある部分では理想曲線に一致するものの、その他の部分では実線と理想曲線とが乖離している。この実線を、以降測定電流―磁束密度曲線とも称する。
実際の電流の測定においては、まずコアに発生している磁束の磁束密度を磁気センサーで測定して、その値から対応する電流値を算出する。被測定電流と磁束密度との関係は、図1の理想曲線の関係が成立していることが前提となっている。しかし、現実には、図1の測定電流―磁束密度曲線のようになっているから、たとえば、図1におけるA点では電流値に対応する磁束密度の値に一致しているが、B点では乖離している。この乖離が測定誤差となるので、この乖離を小さくしない限り、精度の良い電流の測定は出来ない。
したがって、特許文献3に記載の技術のように、例えば図1のA点で出力特性を調整したとしても、それ以外の領域では本質的に誤差を含んでおり、測定された磁束の大きさから電流値を算出してその電流値を制御する場合には、適切な制御が出来なくなる場合がある。
したがって、特許文献3に記載の技術のように、例えば図1のA点で出力特性を調整したとしても、それ以外の領域では本質的に誤差を含んでおり、測定された磁束の大きさから電流値を算出してその電流値を制御する場合には、適切な制御が出来なくなる場合がある。
特許文献3の段落[0039]、[0040]および図8には、環状コアの磁気抵抗を調整して最適化することによって、広範囲の被計測電流に対してセンサーの出力特性を目標のものに調整できることが記載されている。具体的には、段落[0039]および[0040]に記載されたように、環状コアの磁気抵抗を第2の空隙部に所定の厚みの磁性板を取り付けることによって最適化している。しかし、被計測電流がある値となる条件で磁気抵抗を最適化するので、被計測電流が前記条件ではない場合は、算出された電流値の精度が悪くなる。さらに、特許文献3で開示された技術は、一度環状コアを作製した後に出力特性を調整することになる。この調整は個別に行わなければならないので、多数の製品を製造する場合には、それに要する時間と手間が膨大になる。
加えて、前記した測定電流―磁束密度曲線については、何ら考慮されていない。
加えて、前記した測定電流―磁束密度曲線については、何ら考慮されていない。
また、磁性体として電磁鋼板の積層体を用いて環状コアを構成する場合に、空隙部に磁性板を挟み込んで特性を調整することは、交流電流を測定する場合には、現実には大きな困難をともなうことも問題であった。
第一に、前記磁性板を、コアの電磁鋼板と同じ物質でできた薄板状のものとすると、磁束が磁性板に垂直方向から入射することになるため、磁性板に大きな渦電流が発生して発熱する。電流が大きい場合、または交流周波数が高い場合は、渦電流も大きくなり、発熱量が増加する。さらに、渦電流が発生する磁界によって磁性コアの磁束密度が小さくなるため、センサーの測定誤差が大きくなって、測定精度がさらに悪くなる。
第一に、前記磁性板を、コアの電磁鋼板と同じ物質でできた薄板状のものとすると、磁束が磁性板に垂直方向から入射することになるため、磁性板に大きな渦電流が発生して発熱する。電流が大きい場合、または交流周波数が高い場合は、渦電流も大きくなり、発熱量が増加する。さらに、渦電流が発生する磁界によって磁性コアの磁束密度が小さくなるため、センサーの測定誤差が大きくなって、測定精度がさらに悪くなる。
前記の問題は、例えば図2に示すように、磁性コア100におけるギャップ101および102の一方のギャップ101に挟み込む、磁性板103を幅の狭い板104の積層体とすれば、解消することが可能である。しかし、一般に、電流センサーのギャップの調整は1mm以下で行われるので、そのようなオーダーの磁性板を複数のサイズで準備し、調整のたびに入れ替えるのは現実的ではない。まして、電流センサーを量産しようとする場合には、非現実的である。
さらに、コアは透磁率が大きい物質で作られており、磁性板の透磁率がコアのそれよりも小さいと、磁性板のほうが先に磁気飽和してしまい、空隙の調整は意味を成さなくなる。
さらに、コアは透磁率が大きい物質で作られており、磁性板の透磁率がコアのそれよりも小さいと、磁性板のほうが先に磁気飽和してしまい、空隙の調整は意味を成さなくなる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁性材料からなるコアを用いる電流センサーにおいて、被計測電流の最大値付近の測定精度をよくすることは勿論、さらに被計測電流が最大値よりも低い場合においても最大値の場合と同様の測定精度を実現する磁性コアを提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意究明したところ、上記した特許文献3に記載のように、第2のギャップに磁性板を取り付けて第2のギャップを第1のギャップより狭くして磁気抵抗を制御するのではなく、逆に磁気センサーを設置する第1のギャップを狭くすることが、広範囲の被計測電流に対して高い測定精度を得ることができることを新たに知見するに到った。本発明は、上記の知見に由来するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.電流センサー用の磁性コアであって、
磁束を計測する磁気センサーを配置する第一のギャップおよび第二のギャップを有し、
前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(1)を満足する電流センサー用磁性コア。
記
0.6Lg≦Ls≦Lg …(1)
1.電流センサー用の磁性コアであって、
磁束を計測する磁気センサーを配置する第一のギャップおよび第二のギャップを有し、
前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(1)を満足する電流センサー用磁性コア。
記
0.6Lg≦Ls≦Lg …(1)
2.前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(2)を満足する前記1に記載の電流センサー用磁性コア。
記
0.67Lg≦Ls≦0.90Lg …(2)
記
0.67Lg≦Ls≦0.90Lg …(2)
3.U字形の複数枚の電磁鋼板を積層した積層体の対を、前記ギャップLsおよびLgの長さを隔てて相対配置した環状組立体である前記1または2に記載の電流センサー用磁性コア。
本発明によれば、被計測電流の最大値付近の測定精度と、さらに被計測電流が最大値よりも低い時でも、最大値付近の場合と同等の測定精度とを実現することができる。
磁性コアを用いる方式の電流センサー用コアにおいて、被計測電流が大電流である場合には当該コアの磁気飽和の影響のため、電流測定値の精度が著しく悪くなる。これを防止するためには、上述のとおりコアに磁路を分断するギャップを設けて磁気抵抗を大きくすれば良い。
図3は、本発明による電流センサー1を示す図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は上面図である。電流センサー1は、磁性体からなるコア11に磁気センサー4を組み合わせたものである。
コア11は、略環状であり、これを分断するギャップ2および3が設けられている。コア11の内径側に、電流を測定する被計測電流線10が配置される。被計測電流線10に電流が流れると、その電流の大きさに見合った磁束がコア11に発生する。この磁束は、アンペールの法則に従って、前記電流線10を一周するように形成される。
この電流が大きくなれば、コア11内の磁束も大きくなる。しかし、電流が大きくなればやがて磁気飽和に至る。
コア11は、略環状であり、これを分断するギャップ2および3が設けられている。コア11の内径側に、電流を測定する被計測電流線10が配置される。被計測電流線10に電流が流れると、その電流の大きさに見合った磁束がコア11に発生する。この磁束は、アンペールの法則に従って、前記電流線10を一周するように形成される。
この電流が大きくなれば、コア11内の磁束も大きくなる。しかし、電流が大きくなればやがて磁気飽和に至る。
ここで、コア11を分断するギャップ2および3を2箇所に設けることによって、当該コア11の磁気抵抗を大きくする。そうすると、磁気飽和に至る電流値を大きくすることができる。このようなコアを用いる電流センサーでは、計測対象が大電流であっても電流測定が可能となる。
そして、ギャップ2および3のいずれかに、例えばホール素子などの磁束密度検出用の磁気センサー4を配置し、被計測電流によってコア11に発生する磁束密度を磁気センサー4にて測定し、該磁束密度に基づいて被計測電流を算出する。
そして、ギャップ2および3のいずれかに、例えばホール素子などの磁束密度検出用の磁気センサー4を配置し、被計測電流によってコア11に発生する磁束密度を磁気センサー4にて測定し、該磁束密度に基づいて被計測電流を算出する。
さらに、上記のコア11において、磁気センサー4を設置する一方のギャップ2の長さをLs、他方のギャップ3の長さをLgとしたとき、0.6Lg≦Ls≦Lgの関係にあることが肝要である。
例えば、上記した特許文献3に記載のコアでは、同文献の図3に示されるように、磁気センサーを設置していないギャップに磁性板を挿入して調整を行っている。この手法によれば、被計測電流がある値、例えば測定範囲の最大値付近であるときの電流センサーの精度を高くすることができるが、最大値付近よりも低い被計測電流の測定精度も同時に高くすることが難しかった。その原因を追究したところ、特許文献3に記載されたコアでは、磁気センサーを設置しないギャップに磁性板が挿入されているため、上記したギャップの長さの関係がLs>Lgとなっていることが原因の一端であることを突き止めた。すなわち、2箇所に設けたギャップの長さの関係がLs>Lgの場合、電流センサーの精度向上ができないことが判明した。
例えば、上記した特許文献3に記載のコアでは、同文献の図3に示されるように、磁気センサーを設置していないギャップに磁性板を挿入して調整を行っている。この手法によれば、被計測電流がある値、例えば測定範囲の最大値付近であるときの電流センサーの精度を高くすることができるが、最大値付近よりも低い被計測電流の測定精度も同時に高くすることが難しかった。その原因を追究したところ、特許文献3に記載されたコアでは、磁気センサーを設置しないギャップに磁性板が挿入されているため、上記したギャップの長さの関係がLs>Lgとなっていることが原因の一端であることを突き止めた。すなわち、2箇所に設けたギャップの長さの関係がLs>Lgの場合、電流センサーの精度向上ができないことが判明した。
そこで、被計測電流が最大値であるときの電流センサーの精度を良くした上で、さらに被計測電流が最大電流よりも低い時の測定精度を向上させ得る手段について検討した。その結果、コアのギャップ条件がLs>Lgを満たす範囲とするよりも、むしろLs≦Lgとする方が、被計測電流が最大電流の時の測定精度と、最大電流よりも低い時の測定精度を同時によくすることを見出した。
すなわち、Ls≦Lgとすることによって、測定電流―磁束密度曲線を上記した理想曲線に近づけることが出来る。これは、センサーが設置されるギャップの長さを短くすることで、当該ギャップ部の磁束分布の空間的な均一性が改善されるためと考えられる。
すなわち、Ls≦Lgとすることによって、測定電流―磁束密度曲線を上記した理想曲線に近づけることが出来る。これは、センサーが設置されるギャップの長さを短くすることで、当該ギャップ部の磁束分布の空間的な均一性が改善されるためと考えられる。
一方、0.6Lg>Lsになると、測定精度が悪くなる。これはセンサーを設置しないギャップが長くなりすぎると、コア内部の磁束の分布の均一性が悪くなるためと考えられる。したがって、0.6Lg≦Lsとする必要がある。より好ましくは、0.67Lg≦Ls≦0.90Lgである。
また、上記したコアは、U字形の電磁鋼板を積層した積層体の対からなる環状組立体であることが好ましい。コアの材質は特に限定されないが、透磁率が大きい電磁鋼板を用いることが好ましい。
コアの作製方法も特に限定されないが、電磁鋼板を積層する方法が最も適している。たとえば、電磁鋼板の薄板を芯金に巻きつけて作製する巻きコアと呼ばれるコアがある。しかし巻きコアは、鋼板を芯金に巻きつけた後に歪取り焼鈍を行う必要があり、作製に余計な手間をかける必要がある。一方で、積層体であれば、所定の形状に鋼板を打ち抜き、それらを積み重ねればよいので、余計な手間がかからず、大量生産により適している。
ここで、形状は、U字形のほか略半円形であってもよく、環状の形態が形作られるものであればよい。
本発明によるコアの大きさは、特に限定されない。コアは、使用される環境や条件により、その直径または内径が0.5cm程度から、最大で30cm程度の大きさになる。また厚さも数mmから数cm程度である。本発明の効果は、磁性コアの大きさによる影響はないため、使用される環境や条件に応じて、適当な大きさを適宜選択すればよい。
コアの作製方法も特に限定されないが、電磁鋼板を積層する方法が最も適している。たとえば、電磁鋼板の薄板を芯金に巻きつけて作製する巻きコアと呼ばれるコアがある。しかし巻きコアは、鋼板を芯金に巻きつけた後に歪取り焼鈍を行う必要があり、作製に余計な手間をかける必要がある。一方で、積層体であれば、所定の形状に鋼板を打ち抜き、それらを積み重ねればよいので、余計な手間がかからず、大量生産により適している。
ここで、形状は、U字形のほか略半円形であってもよく、環状の形態が形作られるものであればよい。
本発明によるコアの大きさは、特に限定されない。コアは、使用される環境や条件により、その直径または内径が0.5cm程度から、最大で30cm程度の大きさになる。また厚さも数mmから数cm程度である。本発明の効果は、磁性コアの大きさによる影響はないため、使用される環境や条件に応じて、適当な大きさを適宜選択すればよい。
被計測電流の最大値が1000Aの電流センサーを作製した。この電流センサーの測定対象である被計測電流は、インバータで出力されることとした。当該インバータはスイッチング周波数10kHzで動作するため、被計測電流には周波数10kHzの高周波電流が含まれ、当該電流センサーは周波数10kHzの高周波電流も正確に測定する必要がある。そして、目標性能として電流センサーの許容誤差は、被計測電流1000Aのときは3%、被計測電流450Aのときは1.5%である。
このような電流センサーに用いるコアは、U字型の電磁鋼板(Si含有量が6.5質量%である0.1mm厚の珪素鋼板)60枚を積層した積層体の対を組み合わせることによって、図4に示すように、その磁路中に2箇所のギャップ2および3を有するコアとし、一方のギャップ2に磁気センサー(ホール素子)を備える形式とする(磁気センサーは図示を省略)。そして、磁気センサーを備える一方のギャップ2の長さLsと、他方のギャップ3の長さLgとを図4(a)〜(c)に示すように変化させてコアを作製した。
このような電流センサーに用いるコアは、U字型の電磁鋼板(Si含有量が6.5質量%である0.1mm厚の珪素鋼板)60枚を積層した積層体の対を組み合わせることによって、図4に示すように、その磁路中に2箇所のギャップ2および3を有するコアとし、一方のギャップ2に磁気センサー(ホール素子)を備える形式とする(磁気センサーは図示を省略)。そして、磁気センサーを備える一方のギャップ2の長さLsと、他方のギャップ3の長さLgとを図4(a)〜(c)に示すように変化させてコアを作製した。
コアの内径部を被計測電流線が貫通するようにコアを設置した。すなわち計測される電流は一方向のみに流れる構成とした。ただし、前記電流線は、1芯でも、複数の芯で構成されるものでもよい。
前記電流センサーによる電流測定を行って、次のとおり測定誤差を評価した。
すなわち、電流センサーの誤差評価方法は、以下のとおりである。はじめに、被計測電流として図5に示すように周波数10kHz、振幅50Aの交流電流に直流電流がオフセット電流として重畳する電流を与えたときに、磁気センサー(ホール素子)を設置する方のギャップの中心位置における磁束密度を測定する。そして、被計測電流のオフセット電流がゼロのときの当該磁束密度をB0、オフセット電流450Aのときの当該磁束密度をB450、オフセット電流1000Aのときの当該磁束密度をB1000としたとき、
(電流450Aのときの誤差)=(B450―B0)/B0×100 (%)
(電流1000Aのときの誤差)=(B1000―B0)/B0×100 (%)
として評価する。
前記電流センサーによる電流測定を行って、次のとおり測定誤差を評価した。
すなわち、電流センサーの誤差評価方法は、以下のとおりである。はじめに、被計測電流として図5に示すように周波数10kHz、振幅50Aの交流電流に直流電流がオフセット電流として重畳する電流を与えたときに、磁気センサー(ホール素子)を設置する方のギャップの中心位置における磁束密度を測定する。そして、被計測電流のオフセット電流がゼロのときの当該磁束密度をB0、オフセット電流450Aのときの当該磁束密度をB450、オフセット電流1000Aのときの当該磁束密度をB1000としたとき、
(電流450Aのときの誤差)=(B450―B0)/B0×100 (%)
(電流1000Aのときの誤差)=(B1000―B0)/B0×100 (%)
として評価する。
コアを作製するに当たり、まず、磁界解析ソフトを用いて電流1000Aのときの誤差が3%以下となるコアの寸法を決定した。このときのギャップの長さを、図4(a)に示すように、Ls=Lg=L0 とする
次に、図4(b)や(c)に示すようにU字型積層体の対からなるコアの外寸を一定として、コア全体の磁気抵抗を一定とするためギャップの長さを一定(Ls+Lg=2L0)にしたままギャップの各長さLsとLgの長さ配分比を変えて磁界解析を行い、上記定義の電流センサーの誤差を評価した。その評価結果を表1に示す。なお、表1の仕様達成状況において、○は電流センサーの目標性能としての前記許容誤差、すなわち被計測電流1000Aのときは3%以下、被計測電流450Aのときは1.5%以下を満足するもの、×は前記許容誤差を満足しないものを示している。
表1の結果をグラフに整理したものを図6に示す。本発明に従うギャップの長さ範囲とすることによって、被計測電流の最大電流時の測定精度を満たした上で、さらに被計測電流が最大電流よりも低い時の測定精度も向上できることがわかる。とりわけ、Lsが0.67 Lg〜0.90 Lgであるときに、低電流値での誤差が小さくなっていることがわかる。
1 電流センサー
2 第一のギャップ
3 第二のギャップ
4 磁気センサー
10 被計測電流線
11 コア
100 コア
101 第1のギャップ
102 第2のギャップ
103 磁性板
104 電磁鋼板
2 第一のギャップ
3 第二のギャップ
4 磁気センサー
10 被計測電流線
11 コア
100 コア
101 第1のギャップ
102 第2のギャップ
103 磁性板
104 電磁鋼板
Claims (3)
- 電流センサー用の磁性コアであって、
磁束を計測する磁気センサーを配置する第一のギャップおよび第二のギャップを有し、
前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(1)を満足する電流センサー用磁性コア。
記
0.6Lg≦Ls≦Lg …(1)
- 前記第一のギャップの長さLsと第二のギャップの長さLgとが下記式(2)を満足する請求項1に記載の電流センサー用磁性コア。
記
0.67Lg ≦Ls≦0.90Lg …(2)
- U字形の複数枚の電磁鋼板を積層した積層体の対を、前記ギャップLsおよびLgの長さを隔てて相対配置した環状組立体である請求項1または2に記載の電流センサー用磁性コア。
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017156160A (ja) * | 2016-02-29 | 2017-09-07 | Jfeスチール株式会社 | 電流センサー用磁性コア |
CN109387690A (zh) * | 2018-12-06 | 2019-02-26 | 国网辽宁省电力有限公司鞍山供电公司 | 一种基于弧形叠片铁芯的便携式高压无线电流检测装置 |
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2015
- 2015-11-12 JP JP2015222379A patent/JP2017090312A/ja active Pending
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