JP2017089748A - オイルダンパの異音低減構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造であって絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているオイルダンパにおいて生ずるカタカタあるいはコトコトという異音は、逆止弁が閉じ終わる瞬間に弁体が弁座に強い力で叩きつけられることによるものと判断し、それに基づいて異音を抑制する対策を提供する。【解決手段】逆止弁の弁体は弁座に着座する表面部が緩衝性とされる。【選択図】図1
Description
本発明は、オイルダンパの異音を低減する構造に係る。
シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造のオイルダンパにおいては、絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているが、この種のオイルダンパの作動時にコトコトという異音が発生することがあることに関し、それは、従来の逆止弁においては、弁体が平板面にてシート部に面接触しており、弁が閉じ状態から開状態へ変化するとき、シート面での油による吸着現象で弁体がシート面からスムーズに離間できずに開弁が遅れ、シリンダ室内に異常な負圧が発生し、該負圧の反動で弁体が再度シート面に衝突することによるとの認識に基づき、逆止弁の弁体のピストンあるいは底板のシート部と面接触する表面に第1,2の環状の溝を設け、第1の環状溝と第2の環状溝とを連通するとともに弁体の内側、外側に開口する導油スリットを形成し、弁体が閉じ状態から開状態へ変化するとき、弁体がシート部からスムーズに離間できるようにすることが、下記の特許文献1において提案されている。
シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造のオイルダンパにおいては、従来一般に、本願の図7に例示する如く、逆止弁100では所定の弾性を呈する板状の弁体102が弁座104に逆止的に着座しており、戻り通路106を開弁方向に流れる油流により弁座104から離間した弁体102は、該油流の停止とともに弁座104上に着座した状態に戻る。かかる逆止弁は、僅かに開弁している状態では油流に対し一種のオリフィスを呈するが、開口面積Aのオリフィスの前後に差圧ΔPが作用するときオリフィスを流れる油量Qは、油の密度をρとし、オリフィスの流量係数をcとすると、
であるので、
の如く、弁が全閉となる(Aが0に戻る)瞬間に弁体102には大きな差圧が作用し、弁体102は強い力で弁座104に叩き付けられることが注目される。本件発明者は、この認識に基づいて事象を追求した結果、確かに逆止弁の閉弁の完了時に図8に示す如く弁体102と弁座104の突合せ部から衝撃音が発せられることを確認した。
本発明は、上記の認識と確認から、シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造であって絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているオイルダンパにおいて生ずるカタカタあるいはコトコトという異音は、逆止弁が閉じ終わる瞬間に弁体が弁座に強い力で叩きつけられることによるものと判断し、それに基づいて異音を抑制する対策を提供することを課題としている。
上記の課題を解決すべく、本発明は、シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造であって前記絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているオイルダンパにおいて、前記逆止弁の弁体は弁座に着座する表面部が緩衝性とされていることを特徴とするオイルダンパを提案するものである。
上記の如く、シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造であって前記絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているオイルダンパにおいて、前記逆止弁の弁体は弁座に着座する表面部が緩衝性とされていれば、逆止弁が閉じ終わりに近付き、逆止弁の開口度が0に近付くことにより逆止弁に掛かる差圧が急上昇し、弁体が弁座に強く叩き付けられるとき、弁座に着座する弁体の表面部が緩衝性を発揮するので、弁座への弁体の着座は緩衝的に行われ、カタカタあるいはコトコトという異音の発生は回避される。
図1において、10はピストンであり、12は一端にてピストン10を支持するピストンロッドである。ピストン10は、図には示されていないシリンダ内にてピストンロッド12の中心軸線に沿ってシリンダに対し図にて上下に摺動するようになっている。ピストン10がシリンダに対し図にて下方へ向かう方向の力を受けてシリンダに対し図にて下方へ摺動するときには、ピストン10より下側のシリンダ室14内にある流体の一部は、絞り通路16にて絞られつつピストン10より上側のシリンダ室18へ向けて移動し、かかる流体の絞り流動を伴うピストンの移動によってシリンダとピストンの間に作用する衝撃が和らげられるようになっている。絞り通路16を通ってシリンダ室14よりシリンダ室18へ移動した流体は、その後ピストン10がシリンダに対し図にて上方へ摺動するとき、絞り通路16をバイパスする戻り通路20を経てシリンダ室18よりシリンダ室14へ戻るが、戻り流路20にはシリンダ室18よりシリンダ室14へ向う流体の流れのみを許す逆止弁22が設けられている。逆止弁22は、戻り通路20の下端を囲む弁座24と、常時は該弁座に当接してシリンダ室14よりシリンダ室18への流体の流れを阻止する弁体26とを含んでいる。
図1およびその一部を拡大した図2に示す実施例においては、弁体26はピストンロッド12の周りに嵌め合わされた第一の環状の板部材28、第二の環状の板部材30、第二の環状の板部材30の周りに嵌め合わされた第三の環状の板部材32、ピストンロッド10の周りに嵌め合わされた第四、五、六の環状の板部材34、36、38よりなっている。これらの環状の板部材のうち、第三の環状の板部材32はゴム状弾性材の如く弾性係数が比較的小さい材料よりなっており、その他の環状の板部材は金属の如く弾性係数が比較的大きい材料よりなっている。
図3に示す実施例においては、弁体40はピストンロッド12の周りに嵌め合わされた第一〜第五の環状の板部材42、44、46、48、50よりなっている。これら第一〜第五の環状の板部材はいずれも金属の如く弾性係数が比較的大きい材料よりなっているが、第二の環状の板部材44はピストンロッド10の周りに嵌め合わされた内側環状部44−1とその外側を囲む外側環状部44−2が橋渡し部44−3により連結された構造を有する。第二の環状の板部材44は、その内側環状部44−1とその外側を囲む外側環状部44−2の間に残された環状の空隙部44−4が弁座24に対向する位置にあることから、板部材42が弁座24に着座するとき、弁座24に対峙する部分にては裏から支持されない状態となり、このことによって弁体40は弁座24に着座する表面部が緩衝性とされている。
図4に示す実施例は、図3に示す実施例における第一の板部材42の弁座24に着座する部分に小孔52を開けたものである。図4に示す実施例におけるその他の構成は図3に示す実施例におけるものと同じであるので、図4に示す弁体を図3に示す弁体と区別して40aとし、また図4に示す弁体における第一の板部材を図3に示す弁体における第一の板部材と区別して42aとし、その他の部分については図3におけると同じ符号を付する。小孔52の作用効果については、図6を参照して後述する。
図5は、図1および図2に示す弁体26が閉弁に際して弁座24に着座する直前であって、弁体26と弁座24の間に残された流体通路が0に近づき、弁体26の上下に掛かる差圧の急上昇によって弁体26が弁座24に強く叩き付けられようとするとき、弁体26がゴム状弾性材の板部材32の弾性圧縮によって弁座24に着座する表面部に緩衝性を呈している状態を示す。
図6は、図3に示す弁体40が閉弁に際して弁座24に着座する直前であって、弁体40と弁座24の間に残された流体通路が0に近づき、弁体40の上下に掛かる差圧の急上昇によって弁体40が弁座24に強く叩き付けられようとするとき、弁体40が板部材44の環状空隙部44−4によって弁座24に着座する表面部に緩衝性を呈している状態を示す。
上記の図6の実施例においては、板部材42の一部が環状空隙部44−4内に嵌まり込むとき、それまで環状空隙部44−4内を充たしていた流体の一部は板部材44と板部材42の間および板部材44と板部材46の間を通って環状空隙部44−4外へ流出し、その分の流体は弁体40の上下に掛かる差圧の急上昇が解除されて環状空隙部44−4内への板部材42の一部の嵌まり込みが元に戻るにつれて、板部材44と板部材42の間および板部材44と板部材46の間を通って環状空隙部44−4内へ流入する。この点に関し、図4の実施例における如く、板部材42aの弁座24に着座する部分に小孔52が開けられていると、弁体40aの上下に掛かる差圧の急上昇により板部材42aの一部が環状空隙部44−4内へ嵌まり込むときには、小孔52より流出する流体流は弁座24に噴き付けられる噴流となって上記の緩衝性の発揮に寄与し、その上で、弁体40aの上下に掛かる差圧の急上昇が解除され、板部材42aの一部の環状空隙部44−4内への嵌まり込みが元に戻るにつれて流体が環状空隙部44−4内へ戻る際には、環状空隙部44−4内への流体の流れが小孔52により板部材間を通る場合より容易となり、オイルダンパを次の作動に備えた状態に速やかに復帰させることができる。
以上においては本発明を実施例について詳細に説明したが、かかる実施例について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
10…ピストン、12…ピストンロッド、14…シリンダ室、16…絞り通路、18…シリンダ室、20…戻り通路、22…逆止弁、24…弁座、26…弁体、28,30,32,34,36,38…板部材、40,40a…弁体、42,44…板部材、44−1…内側環状部、44−2…外側環状部、44−3…橋渡し部、44−4…環状空隙部、46,48,50…板部材、52…小孔、100…逆止弁、102…弁体、104…弁座、106…戻り通路
Claims (1)
- シリンダ内におけるピストンの摺動によりピストンの両側のシリンダ室間に移動する流体の流れを絞り通路により絞ることによってシリンダとピストンの間に作用する衝撃を和らげる構造であって前記絞り通路をバイパスして流体を元に戻す戻り通路に逆止弁が設けられているオイルダンパにおいて、前記逆止弁の弁体は弁座に着座する表面部が緩衝性とされていることを特徴とするオイルダンパ。
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JP2015220381A JP2017089748A (ja) | 2015-11-10 | 2015-11-10 | オイルダンパの異音低減構造 |
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JPS6427581U (ja) * | 1987-08-10 | 1989-02-16 | ||
JPH0434568U (ja) * | 1990-07-18 | 1992-03-23 | ||
JP2001041271A (ja) * | 1999-07-28 | 2001-02-13 | Tokico Ltd | 油圧緩衝器 |
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