JP2017088558A - セラミド合成促進剤 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進し、セラミド合成を促進できるセラミド合成促進剤を提供することを提供することである。【解決手段】硫酸化グルコサミノグリカンには、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進する作用があり、表皮細胞によるセラミド合成を促進できる。【選択図】なし

Description

本発明は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進し、セラミド合成を促進できるセラミド合成促進剤に関する。
皮膚は、生体の最外層を覆い、外界との境界を形成して外界物質の浸入防止、水分を包含する体内成分の損失防止等の生命維持に必須なバリア機能を有している。角質細胞間には、セラミドを主成分とする脂質がラメラ構造を形成し、バリア機能を発揮する上で重要な役割を果たしている。
セラミドが、加齢、紫外線暴露等の内的又は外的な要因によって減少すると、バリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、皮膚感染症等の様々な皮膚障害を誘発することが知られている。従来、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害を抑制するために、減少したセラミドを外部から補給する手法が試みられている。しかしながら、減少したセラミドを外部から補給する手法では、効果の持続性が不十分であったりするため、その効果は満足できるものではない。
一方、表皮細胞が角化する過程において、セラミドは、セリンパルミトイルトランスフェラーゼが触媒するセリンとパルミトイル−CoAの縮合反応からはじまり、いくつかの反応を経て合成されることが知られている。また、セラミドの生合成において、セリンパルミトイルトランスフェラーゼによる縮合反応が律速になっていることも知られている。
そこで、近年、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害を抑制する手法として、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進させることにより、細胞自身によるセラミドの合成を促進させる方法が検討されており、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進させる成分も見出されている。例えば、特許文献1には、アシタバの抽出物、イラクサの抽出物、インチンコウの抽出物、クマザサの抽出物、ゲンチアナの抽出物、及びトウニンの抽出物には、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進する作用があることが報告されている。また、特許文献2には、イロハモミジの抽出物には、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進する作用があることが報告されている。しかしながら、製剤処方の多様化、セラミド合成促進作用の更なる向上等の要望に追従するために、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進させる新たな成分の開発が望まれている。
特開2009−107965号公報 特開2011−68594号公報
本発明は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進し、セラミド合成を促進できるセラミド合成促進剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、硫酸化グルコサミノグリカンには、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進する作用があり、表皮細胞によるセラミド合成を促進できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、セラミド合成促進剤。
項2. 前記硫酸化グルコサミノグリカンがヘパリン類似物質である、項1に記載のセラミド合成促進剤。
項3. 皮膚外用剤である、項1又は2に記載のセラミド合成促進剤。
項4. アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、又は皮膚感染症の予防又は治療に使用される、項1〜3のいずれかに記載のセラミド合成促進剤。
項5. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ発現促進剤。
本発明のセラミド合成促進剤によれば、表皮細胞のセリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進することにより、セラミドの合成を促進できるので、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害の予防又は治療に有効である。
ヘパリン類似物質の存在下で通常表皮モデル細胞を培養し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を測定した結果を示す図である。 ヘパリン類似物質の存在下で表皮上層モデル細胞を培養し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を測定した結果を示す図である。
1.セラミド合成促進剤
本発明のセラミド合成促進剤は、硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする。以下、本発明のセラミド合成促進剤について詳述する。
硫酸化グルコサミノグリカン
硫酸化グルコサミノグリカンとは、アミノ糖を構成単位の1つとして含み、硫酸基を有しているムコ多糖である。
本発明で使用される硫酸化グルコサミノグリカンの種類については、薬学的に許容されることを限度として、特に制限されないが、例えば、ヘパリン類似物質、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン等が挙げられる。なお、硫酸化グルコサミノグリカンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン等の金属塩;アンモニウム塩等の塩の形態であってもよい。
これらの硫酸化グルコサミノグリカンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、より一層効果的にセラミド合成を促進させるという観点から、好ましくはヘパリン類似物質が挙げられる。
また、硫酸化グルコサミノグリカンの由来については、特に制限されず、例えば、ムコ多糖類を多硫酸化することにより得られたもの、食用獣の組織(例えば、ヘパリン類似物質の場合であれば、ウシやブタ等の気管軟骨を含む肺臓)等から抽出したもの等が挙げられる。
また、例えば、硫酸化グルコサミノグリカンとしてヘパリン類似物質を使用する場合であれば、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質が好適である。
本発明のセラミド合成促進剤における硫酸化グルコサミノグリカンの配合量については、当該セラミド合成促進剤の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明のセラミド合成促進は、前記硫酸化グルコサミノグリカンの他に、必要に応じて、他の薬理成分を含有していてもよい。このような薬理成分としては、例えば、抗ヒスタミン剤(グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等)、局所麻酔剤(プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、清涼化剤(メントール、カンフル等)、ビタミン類(ビタミンA等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン等)等が挙げられる。
また、本発明のセラミド合成促進剤は、所望の製剤形態にするために、必要に応じて、基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤については、薬学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、多価アルコール(グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)等の水性基剤;油類(オリーブ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ラード、スクワラン、魚油等)、鉱物油(流動パラフィン、パラフィン、ゲル化炭化水素、ワセリン等)、ワックス類・ロウ類(ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、ライスワックス、マイクロクリスタリンワックス等)、エステル油(ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル等)、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノリン等)、脂肪酸エステル(パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル等)、高級アルコール(ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等)、コレステロール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、シリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等)等の油性基剤;POE(10〜50モル)フィトステロールエーテル、POE(10〜50モル)ジヒドロコレステロールエーテル、POE(10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、POE(10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)オレイルエーテル、POE(2〜50モル)セチルエーテル、POE(5〜50モル)ベヘニルエーテル、POE(5〜30モル)ポリオキシプロピレン(5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、POE(10〜50モル)ポリオキシプロピレン(2〜30モル)セチルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、これらのリン酸・リン酸塩(POEセチルエーテルリン酸ナトリウムなど)、POE(20〜60モル)ソルビタンモノオレート、POE(10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート、POE(10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(10〜30モル)グリセリルモノステアレート、POE(20〜100モル)・ポリオキシプロピレン変性シリコーン、POE・アルキル変性シリコーン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、ジリシノレイン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(5〜100)、ポリソルベート(20〜85)、グリセリン脂肪酸エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、水素添加大豆リン脂質、水素添加ラノリンアルコール等の界面活性剤;清涼化剤(メントール、カンフル、ボルネオール、ハッカ水、ハッカ油等)、防腐剤(メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸等)、着香剤(シトラール、1,8−シオネール、シトロネラール、ファルネソール等)、着色剤(タール色素(褐色201号、青色201号、黄色4号、黄色403号等)、カカオ色素、クロロフィル、酸化アルミニウム等)、粘稠剤(カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン等)、pH調整剤(リン酸、塩酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、湿潤剤(dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、D−ソルビトール液、マクロゴール等)、安定化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、グリシン、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、クロロゲン酸、カテキン、ローズマリー抽出物等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、粘着剤、緩衝剤、溶解補助剤、可溶化剤、保存剤等の添加剤が挙げられる。
製剤形態
本発明のセラミド合成促進剤は、皮膚外用剤、内服剤等のいずれの剤型であってもよいが、セラミド合成をより一層効果的に促進させるという観点から、好ましくは皮膚外用剤が挙げられる。
本発明のセラミド合成促進剤を皮膚外用剤として使用する場合、その形状については、経皮適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、液状、固形状、半固形状(ゲル状、軟膏状、ペースト状)等が挙げられる。
また、本発明のセラミド合成促進剤を皮膚外用剤として使用する場合、その製剤形態については、経皮適用できることを限度として特に制限されないが、例えば、皮膚外用医薬品、皮膚外用医薬部外品、化粧料、皮膚洗浄料等が挙げられる。本発明のセラミド合成促進剤を皮膚外用剤にする場合の製剤形態として、具体的には、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、貼付剤、エアゾール剤、軟膏剤、パック剤等の皮膚外用医薬品;クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、貼付剤、エアゾール剤、軟膏剤、パック剤等の皮膚外用医薬部外品;クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、軟膏剤、パック剤等の化粧料;ボディーシャンプー、ヘアシャンプー、リンス等の皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは皮膚外用医薬品、更に好ましくはクリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、パック剤が挙げられる。
用途・用量
本発明のセラミド合成促進剤は、表皮細胞(特に、表皮の上層に存在する細胞)においてセリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進できるので、表皮におけるセラミドの合成を促進させるために使用される。また、表皮におけるセラミドの合成促進は、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、ウイルスや細菌による皮膚感染症等の皮膚障害の予防又は治療に有効であることが知られているので、本発明のセラミド合成促進剤は、これらの皮膚障害の予防又は治療目的で使用できる。
また、本発明のセラミド合成促進剤の用量については、剤形、製剤形態、適用する症状の程度等に応じて適宜設定すればよい。例えば、本発明のセラミド合成促進剤を皮膚外用剤として使用する場合であれば、その用量の一例として、1回当たり、皮膚1cm2当たり、硫酸化グルコサミノグリカンが0.1〜3mg程度となる量で、1日1〜数回程度の頻度が挙げられる。
2.セリンパルミトイルトランスフェラーゼ発現促進剤
前述するように、硫酸化グルコサミノグリカンには、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進する作用があるので、本発明は、更に、硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とするセリンパルミトイルトランスフェラーゼ発現促進剤を提供する。本発明のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ発現促進剤において、使用される硫酸化グルコサミノグリカン、配合可能な他の成分、製剤形態、用途、用量等については、前記「1.セラミド合成促進剤」の欄に記載の通りである。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1:硫酸化グルコサミノグリカンによるセラミド合成への影響
硫酸化グルコサミノグリカンが表皮細胞のセラミド合成能に与える影響を評価するために以下の実験を行った。
1.実験材料
(細胞)
本試験例において細胞は以下の2種類を使用した。
(A)通常表皮モデル細胞(HaCaT細胞)
通常表皮モデル細胞として、HaCaT細胞(ヒト表皮角化細胞(Deutsches Krebsforschungszentrum,Stiftung desoffentlichen Rechts(DKFZ),Heidelberg,Germany))を使用した。
(B)表皮上層モデル細胞(シンタキシン4高発現HaCaT細胞)
ある程度分化が進んだ表皮上層部の細胞モデルを作製し、試験に使用した。(i)表皮細胞は角化すると基底層から有棘層・顆粒層に移動すること、(ii)上層に移動するに従い、細胞外にシンタキシン4が多く分泌されること、及び(iii)HaCaT細胞においてシンタキシン4を高発現させると角化が進行すること(Kadono N.et al.,Mol Med 2015)が知られている。そこで、表皮上層モデル細胞として、シンタキシン4が高発現しているHaCaT細胞を作製し、本試験例において使用した。作製方法は、以下の通りである。
先ず、細胞外に強制的に提示させるために21アミノ酸残基からなるマウス由来IL−2シグナルペプチドをコードする遺伝子をマウスシンタキシン4遺伝子のN末端に付加し、これをpQCXINレトロウイルスベクターのマルチクローニングサイトに挿入した。次に、これをトランスフェクション試薬Lipofectamine PLUS(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を用いて、パッケージング細胞PT67に導入した。得られた細胞の培養上清からレトロウイルスを得た。得られたウイルスをHaCaT細胞に感染させることにより、細胞外にシンタキシン4を強制発現したHaCaT細胞(表皮上層モデル細胞)を作製した。
(培地)
D−MEM/Ham’s F−12(和光純薬工業株式会社)/10%FCS添加
(被験物質)
ヘパリン類似物質
2.実験方法
(1)通常表皮モデル細胞におけるセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量
12ウェルプレートの各ウェルにモデル細胞を1×105個/ウェルの濃度でそれぞれ播種し、37℃、5%CO2条件下で培養した。翌日に、各ウェルにヘパリン類似物質を0.5mg/mLとなるように添加し、37℃、5%CO2条件下で培養した。その翌日に、モデル細胞を回収しRNeasy mini kit(株式会社キアゲン製)を用いて全RNAを抽出した。その後、ReverTra Ace(東洋紡株式会社製)を用いて逆転写を行い、cDNAを合成した。次いで、Fast Start Essential DNA Green Master on LightCycler Nano system(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製)を用いて、qRT−PCRにてセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子(SPTLC1及びSPTLC3)の増幅を行った。β−アクチンを内部標準として使用し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を標準化した。このmRNAの発現量を、ヘパリン類似物質を添加しなかった以外は前記と同様にして確認したmRNAの発現量(コントロール)で除算した。
(2)表皮上層モデル細胞におけるセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量
通常表皮モデル細胞に代えて表皮上層モデル細胞を使用した以外は、前記(1)と同様に操作し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を確認し、コントロール(ヘパリン類似物質を添加しなかった場合のmRNA発現量)で除算した。
得られた結果を図1及び2に示す。図1及び2から分かるように、通常表皮モデル細胞及び表皮上層モデル細胞のいずれも、ヘパリン類似物質を添加した条件では、セリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量の増加が認められ、特に、表皮上層モデル細胞ではその発現量の増加が著しかった。即ち、本結果から、ヘパリン類似物質等の硫酸化グルコサミノグリカンは、表皮細胞、特に表皮上層の細胞(投与された硫酸化グルコサミノグリカンが直接影響する細胞)のセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を増大させる作用があり、セラミドの合成を促進できることが明らかとなった。なお、通常表皮モデル細胞におけるコントロールと、表皮上層モデル細胞におけるコントロールとでは、mRNAの発現量に大きな差はなかった。
処方例
表1〜2に示す組成のクリーム剤(処方例1〜8)、表3に示すローション剤(処方例9〜14)、表4に示すジェル剤(処方例15〜19)、及び表5〜6に示す乳液剤(処方例20〜29)を調製した。これらの製剤は、いずれも、前記試験例1の場合と同様に、表皮細胞のセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を増大させる効果が期待され、セラミドの合成促進に有効である。

Claims (5)

  1. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、セラミド合成促進剤。
  2. 前記硫酸化グルコサミノグリカンがヘパリン類似物質である、請求項1に記載のセラミド合成促進剤。
  3. 皮膚外用剤である、請求項1又は2に記載のセラミド合成促進剤。
  4. アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、又は皮膚感染症の予防又は治療に使用される、請求項1〜3のいずれかに記載のセラミド合成促進剤。
  5. 硫酸化グルコサミノグリカンを含有することを特徴とする、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ発現促進剤。
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