JP2017088430A - GaNウエハ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な結晶性を有するGaNウエハを提供すること【解決手段】GaNウエハは、GaN結晶のみからなり、該GaN結晶の成長方向はM軸となす角度が0〜20度であり、該GaN結晶の赤外吸収スペクトルには、3100〜3500cm-1にガリウム空孔‐水素複合体に帰属するピークが観察されず、かつ、当該GaNウエハの表面上の少なくとも一点において測定した(200)面のXRC−FWHMが20arcsec未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、GaN(窒化ガリウム)結晶のみからなる半導体ウエハであるGaNウエハに関する。
GaNは、III−V族化合物半導体の一種であり、六方晶系に属するウルツ鉱型の結晶構造を備える。
不純物でドープすることにより、GaNは導電性とすることができる。O(酸素)、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)などがn型不純物として知られている。Mg(マグネシウム)、Zn(亜鉛)などがp型不純物として知られている。 GaNを高抵抗の絶縁体とするために用いられる不純物もあり、その代表例はFe(鉄)である。
GaNウエハの材料であるバルクGaN結晶の成長方法には、HVPE法に代表される気相法、Naフラックス法に代表される液相法、超臨界または亜臨界アンモニアを溶媒に用いるアモノサーマル法等がある。
HVPE法には、液相法に比べ成長レートが高いという利点がある。
アモノサーマル法により成長されたGaN結晶の赤外吸収スペクトルには、3100〜3500cm-1に、ガリウム空孔‐水素複合体(gallium vacancy ‐ hydrogen complex)に帰属するピークが観察されることが知られている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。かかる赤外吸収ピークは、HVPE法で成長されたGaN結晶では観察されない。
HVPE法でGaN結晶を成長させたときリアクター内に付着する堆積物を効果的に除去するために、リアクター内に塩化水素ガスを流しながらリアクターをベークする方法が知られている(特許文献2)。
特許文献3(特開2013−82611)には、HVPE法でGaNシードのM面上にGaN結晶を成長させる際、970℃で成長を開始させた後、成長温度を1020℃まで上げたところ、シードとの界面から80μmまでの部分で酸素濃度が5×1019cm-3という異常に高い濃度となったGaN結晶が得られたことが開示されている。
国際公開WO2004/061923号 特開2007−197302号 特開2013−82611号
M.P. D’Evelyn, H.C. Hong, D.-S. Park, H. Lu, E. Kaminsky, R.R. Melkote, P. Perlin, M. Lesczynski, S. Porowski, R.J. Molnar, Journal of Crystal Growth 300 (2007) 11‐16 F. Tuomisto, T. Kuittinen, M. Zajac, R.Doradzinski, D.Wasik, Journal of Crystal Growth 403 (2014) 114‐118
本発明の主たる目的は、良好な結晶性を有するGaNウエハを提供することである。結晶性の指標としては、X線ロッキングカーブ(XRC)の半値全幅(Full Width at half Maximum)が代表的である。以下では、X線ロッキングカーブの半値全幅をXRC−FWHMと略称する場合がある。
本発明によれば、次に記載のGaNウエハが提供される。
(1)GaN結晶のみからなるGaNウエハであって、該GaN結晶の成長方向はM軸となす角度が0〜20度であり、該GaN結晶の赤外吸収スペクトルには、3100〜3500cm-1にガリウム空孔‐水素複合体に帰属するピークが観察されず、かつ、当該GaNウエハの表面上の少なくとも一点において測定した(200)面のXRC−FWHMが20arcsec未満であることを特徴とするGaNウエハ。
(2)前記GaN結晶においては、どのアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素についても濃度が1×1015cm-3未満である、前記(1)に記載のGaNウエハ。
(3)前記GaN結晶における水素濃度が1×1017cm-3未満である、前記(1)または(2)に記載のGaNウエハ。
(4)前記GaN結晶においては、どのハロゲン元素についても濃度が5×1015cm-3未満である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaNウエハ。
(5)前記GaN結晶の酸素濃度が1×1017cm-3以上である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のGaNウエハ。
(6)前記GaN結晶の酸素濃度が5×1017cm-3以上であり、かつ、結晶内で均一である、前記(5)に記載のGaNウエハ。
(7)前記GaN結晶が、c軸方向に延びる貫通転位を実質的に含まない、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のGaNウエハ。
(8)M面となす角度が0〜20度の主表面を有する、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のGaNウエハ。
(9)前記主表面には、その内側で観察される積層欠陥のトータル長が4cm未満である1cm×1cmの正方形領域が少なくともひとつ存在する、前記(8)に記載のGaNウエハ。
(10){10−10}ウエハ、{30−31}ウエハ、{30−3−1}ウエハ、{20−21}ウエハ、{20−2−1}ウエハ、{30−32}ウエハまたは{30−3−2}ウエハである、(8)または(9)に記載のGaNウエハ。
(11)前記主表面の面積が18cm2以上である、前記(8)〜(10)のいずれかに記載のGaNウエハ。
良好な結晶性を有するGaNウエハが提供される。
図1(a)は円盤形状のGaNウエハの斜視図であり、図1(b)は矩形GaNウエハの斜視図である。 図2は、GaN結晶からなるシードの主表面上に、GaN結晶をエピタキシャル成長させたところを示す断面図である。 図3は、製造過程でタイリング法が使用されたGaN結晶で構成され、そのせいで主表面に結晶性低下帯が存在する、GaNウエハを示す平面図である。 図4は、複数のシードを密に並べてなる集合シードの上に、ひとつの連続したバルクGaN結晶が成長したところを示す断面図である。 図5は、M面GaNシードのEPDと、該M面GaNシード上に成長したバルクGaN結晶の積層欠陥密度との関係を示すグラフである。
GaN結晶では、[0001]および[000−1]に平行な結晶軸がc軸、<10−10>に平行な結晶軸がm軸、<11−20>に平行な結晶軸がa軸と呼ばれる。また、c軸に直交する結晶面がC面、m軸に直交する結晶面がM面、a軸に直交する結晶面がA面と呼ばれる。
以下において、結晶軸、結晶面、結晶方位等に言及する場合には、特に断らない限り、GaN結晶の結晶軸、結晶面、結晶方位等を意味するものとする。
GaNウエハの名称に付される結晶面の名称またはミラー指数は、当該ウエハが有する、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された主表面と、平行または最も平行に近い低指数面のそれである。
例えば、M面GaNウエハまたはGaN{10−10}ウエハと呼ばれるGaNウエハでは、半導体デバイスの形成や結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された主表面と平行または最も平行に近い低指数面が、M面すなわち{10−10}である。
通常は、ミラー指数{hkml}における整数h、k、mおよびlの絶対値がいずれも3以下である結晶面が、低指数面とされる。
1.好ましい実施形態
本発明のGaNウエハが有し得る形状の一例を、図1(a)および(b)にそれぞれ示す。図1(a)および図1(b)では、対応する構成に同じ符号を付与している。
図1(a)に示す円盤形状のGaNウエハ10も、図1(b)に示す矩形GaNウエハ10も、一方の主表面である第一主表面11と、その反対側の主表面である第二主表面12とを有している。第一主表面11と第二主表面12は、側面13を介してつながっている。第一主表面11と第二主表面12は、通常、互いに平行である。
第一主表面11は、窒化物半導体デバイスの形成やGaN結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された主表面であり、かかる目的に適するよう、ダメージ層が除去された平坦面に仕上げられている。第二主表面12も、ダメージ層が残らないように仕上げることが好ましいが、平坦性については第一主表面11と同程度であってもよいし、第一主表面11より低くてもよい。第二主表面12を第一主表面11と同様に仕上げることもできる。
第一主表面11の面方位に限定はなく、第一主表面と平行または最も平行に近い低指数面は、例えば、M面、A面、C面、{30−31}、{30−3−1}、{20−21}、{20−2−1}、{30−32}、{30−3−2}、{10−11}、{10−1−1}等であり得る。
好適例において、第一主表面11は、M面と0〜20度の角度をなす。
GaNウエハ10の厚さtは、当該ウエハがハンドリング中に簡単に割れないように設定されている。厚さtは経験的に設定することができるが、通常200μm以上、好ましくは250μm以上、より好ましくは300μm以上であり、第一主表面11の面積に応じて更に厚くすることもできる。
第一主表面11の面積は、通常2cm2以上であり、好ましくは5cm2以上、より好ましくは10cm2以上である。第一主表面の面積は18cm2以上、更には40cm2以上、更には72cm2以上であり得る。
本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶は、GaN結晶からなる板状シードの主表面上に、GaNをHVPE法でエピタキシャル成長させることにより製造される。その際の成長方向は、M軸と0〜20度の角度をなす方向である。
図2は、GaN結晶からなる板状シード200の主表面201上に、GaN結晶100をエピタキシャル成長させたところを示す断面図である。GaN結晶100の成長方向は、図中に矢印で示す方向であり、シード200の主表面201の法線と平行である。
GaN結晶100の方位はシード200の方位と同じであるから、シード200の主表面201の法線がM軸と0〜20度の角度をなしているとき、GaN結晶100の成長方向はM軸と0〜20度の角度をなす。
本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶は、その成長方向がM軸となす角度が0〜20度であることから、c軸方向に延びる貫通転位を実質的に含まない。これは、c軸成長により得られるGaN結晶とは大きく異なる構造上の特徴である。
成長方向がM軸となす角度が0〜20度であるGaN結晶が、c軸成長したGaN結晶と異なる点は、他にもある。それは、n型不純物として有用な酸素(О)を5×1017cm-3以上の濃度で、かつ、均一に含有し得る点である。c軸成長するGaN結晶に5×1017cm-3以上の濃度で酸素を添加するには、成長面にピットまたはグルーブを形成するファセット成長法を用いて、結晶の微視的な成長方向を局所的にc軸から傾斜させればよいが、そうして得られるGaN結晶では、微視的な成長方向がc軸から傾斜していた部分(ファセット成長部)と、そうでない部分(C面成長部)とで、酸素濃度の差が10倍にも達し得る。
本発明のGaNウエハは、製造過程でタイリング法が使用されたGaN結晶で構成されていてもよい。かかるGaN結晶からなるGaNウエハの一例を図3に示す。図3に示すGaNウエハ10では、転位等の結晶欠陥の密度が局所的に高くなった帯状領域である結晶性低下帯14が、第一主表面11に存在している。
タイリング法とは、図4に断面図を示すように、複数のシード200を結晶方位が揃うように密に並べてなる集合シード300の上に、ひとつの連続したバルクGaN結晶100を成長させる、バルクGaN結晶の製造方法である。この方法で成長されるバルクGaN結晶100は、隣り合うシードの境界線上に発生する結晶性低下部104を含む。該バルクGaN結晶100をシード200の主表面に平行にスライスすると、得られるGaNウエハの主表面には、結晶性低下部104が結晶性低下帯として露出する。
更に、結晶性低下帯を主表面に有するGaNウエハをシードに用いてバルクGaN結晶を成長させると、シードの結晶性低下部が該バルクGaN結晶にも引き継がれるため、該バルクGaN結晶をスライスして得られるGaNウエハの主表面には、シードと同じパターンの結晶性低下帯が現れる。
本発明のGaNウエハの主表面に存在し得る結晶性低下帯の幅は、通常1mm未満である。
本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶は、HVPE法で成長されたGaN結晶の特徴を備える。
例えば、本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶では、赤外吸収スペクトルの3100〜3500cm-1に、ガリウム空孔‐水素複合体に帰属するピークが観察されない。
例えば、本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶では、どのアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素についても、濃度が1×1015cm-3未満であり得る(これらの元素を意図的に添加した場合を除く)。
例えば、本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶では、水素濃度が1×1017cm-3未満であり得る(マグネシウムのような、水素と結合し易い元素を意図的に添加した場合を除く)。
例えば、本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶では、どのハロゲン元素についても、濃度が5×1015cm-3未満であり得る。
前述の通り、本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶は、酸素を均一に含有し得る。酸素濃度は、1×1017cm-3以上、更には5×1017cm-3以上、更には1×1018cm-3以上であり得る。
本発明のGaNウエハを構成するGaN結晶には、n型不純物であるケイ素(Si)およびゲルマニウム(Ge)の一方または両方を意図的に添加することができる。
本発明のGaNウエハの表面上で(200)面のXRCを測定すると、少なくとも一点において、そのFWHMは20arcsec未満である。該一点は、主表面上の点であってもよいし、側面上の点であってもよい。
測定条件は、例えば、X線の入射面をc軸に平行とし、測定点における入射X線のビームサイズをc軸方向200μm、a軸方向5mmとすることができる。
上記少なくとも一点における(200)面のXRC−FWHMは、好ましくは18arcsec未満、より好ましくは15arcsec未満である。
本発明のGaNウエハにおいて、(200)面のXRC−FWHMが20arcsec未満となる点は、窒化物半導体デバイスの形成やGaN結晶のエピタキシャル成長に使用することが意図された主表面上の点であることが好ましい。その場合、該点の、該主表面の外縁からの距離は2mm以上であり得る。該主表面に結晶性低下帯が存在する場合、該点は結晶性低下帯上以外に位置することが普通である。
本発明のGaNウエハが、M面となす角度が0〜20度の主表面を有する場合、該主表面には、その内側で観察される積層欠陥のトータル長が4cm未満である1cm×1cmの正方形領域が、少なくともひとつ存在することが好ましい。
該少なくともひとつ存在する正方形領域において、その1cm×1cmの領域内に見出される積層欠陥のトータル長は、より好ましくは2cm未満、より好ましくは0.5cm未満、より好ましくは0.3cm未満である。
本発明のGaNウエハは、各種の窒化物半導体デバイスを製造する際の基板として使用することができる。窒化物半導体は、窒化物系III−V族化合物半導体、III族窒化物系化合物半導体、GaN系半導体、などとも呼ばれ、GaNの他に、GaNのGaの一部または全部が、他の周期表13族元素(B、Al、In)に置換された化合物を含む。一例を挙げれば、AlN、InN、AlGaN、AlInN、GaInN、AlGaInN等である。
通常は、本発明のGaNウエハ上に一種以上の窒化物半導体を気相エピタキシャル成長させて、デバイス構造を形成する。エピタキシャル成長法として、薄膜の形成に適したMOCVD法、MBE法、パルス蒸着法などを好ましく用いることができる。
窒化物半導体デバイスの具体例としては、発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光デバイス、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子デバイス、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス、振動子、共振子、発振器、MEMS(Micro Electro Mechanical System)部品、電圧アクチュエータ、太陽電池などがある。
2.実験結果
2.1.実験1(円盤形ウエハの試作)
(1)タイリング用GaNシードの作製
HVPE法で成長されたGaN結晶のみからなるC面GaNウエハを準備し、その(000−1)面(窒素極性面)上にTiW合金を用いてストライプパターンの成長マスクを形成した。ストライプ方向はGaNのa軸に平行とし、開口部の幅は100μmとした。
かかる成長マスクを形成したC面GaNウエハの(000−1)面上に、アモノサーマル法でGaN結晶を成長させた。フィードストックには多結晶GaN、鉱化剤にはフッ化アンモニウム(NH4F)およびヨウ化アンモニウム(NH4I)を用いた。鉱化剤の仕込み量は、成長容器内に封入するNH3に対するNH4FおよびNH4Iのモル比が、それぞれ0.5〜1.5%および1.5〜3.5%となるように、かつ、NH4Iに対するNH4Fのモル比が0.2〜0.5となるように決定した。
成長条件は、成長容器内の平均温度(結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度の平均値)を590〜630℃、結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度差を5〜20℃、成長容器内の圧力を200〜220MPaとした。
途中で2回の成長容器交換を挟みながら、トータルで100日間の成長を行ったところ、成長マスクの各開口部の位置に、c軸方向を高さ方向、m軸方向を厚さ方向とする壁状のGaN結晶が成長した。
この壁状に成長したGaN結晶をC面GaNウエハから切り離し、M面を主表面とする平坦な板(M面GaNシード)に加工した。M面GaNシードの主表面は、両方ともラッピングにより平坦化した後、ダメージ層を除去するためにCMP仕上げした。
次いで、このM面GaNシード上に、再びアモノサーマル法でGaN結晶を成長させた。この2回目のアモノサーマル成長でもNH4FおよびNH4Iを鉱化剤に用いた。NH3に対するNH4FおよびNH4Iのモル比は、それぞれ0.5%および1.5%とし、成長容器内の平均温度は600〜611℃、結晶成長ゾーンと原料溶解ゾーンの温度差は9〜13℃に設定した。成長容器内の圧力は1回目のアモノサーマル成長と同じとした。
2回目のアモノサーマル成長後、M面GaNシード上に成長した結晶をM面と略平行にスライスして、板状で約330μm厚のタイリング用GaNシードを作製した。
タイリング用GaNシードの主表面は、長辺がa軸に平行、短辺がc軸に平行な長方形とした。
(2)HVPE法によるバルクGaN結晶の成長
HVPE装置のサセプター上に、複数枚の該タイリング用GaNシードをc軸方向に密に並べ、集合シードを構成した。使用したタイリング用GaNシードは、いずれもEPDが104cm-2台以下であった。
ここでいうEPDとは、前述の2回目のアモノサーマル法で成長させたバルクGaN結晶を成長炉から取り出す前に、成長炉内を一時的にエッチングが生じる条件としたことにより、該バルクGaN結晶のM面に平行な表面に発生したエッチピットの密度のことである。つまり、M面GaNシードに加工される前の、バルクGaN結晶の表面に発生したエッチピットの密度を、そのM面GaNシードのEPDと呼んでいる。
このように定義されるEPDは、当該M面GaNシードを、硫酸濃度85〜90wt%、温度265〜275℃、エッチング時間90分間という条件で熱硫酸エッチングしたときに、その主表面に形成されるエッチピットの密度と略一致することが確認されている。
集合シードを載せたサセプターをリアクター内に設置した後、該リアクター内にアンモニアとキャリアガスを流しながら加熱を行い、温度が850℃に達したところでGaClを供給してGaNの成長を開始させた。成長開始後も基板温度を上げ続け、1050℃に達した後は基板温度を一定に保持して、70時間、GaN結晶を成長させ続けた。リアクター内に供給するキャリアガスは、終始窒素ガス(N2)のみとした。
ここで、シードを設置する前に行ったリアクターのクリーニングについて説明する。
使用したHVPE装置が備えるリアクターは、縦型のホットウォール・リアクターで、原料ガスとキャリアガスがリアクター内を上方から下方に向かって流れるように構成されていた。リアクターの最下部にはサセプター等を出し入れするための開口が設けられており、結晶成長時には、該開口を蓋によって閉じることが可能であった。
本発明者は定法に従い、シードをリアクター内に設置する前に、塩化水素ガスを流しながらリアクターをベークした。しかし、かかるベーキングをした後に成長させたGaN結晶は、1019cm-3台中盤という異常に高い酸素濃度を有する特異層を、シードとの界面付近に含んでいた。
推測される理由は、前回GaN結晶を成長させた際にリアクター内に付着した多結晶GaNが、塩化水素ガスによるクリーニングで除去し切れなかったことである。GaN結晶の成長時に用いるキャリアガスが窒素ガスのみであると、副生物として多量の多結晶GaNが発生するので、このようなことが起こり得る。多結晶GaNを除去し切れないと、塩化水素とGaNの反応により生じる塩化アンモニウムや塩化ガリウムなどの塩化物が、クリーニング後もリアクター内に残留する。これらの塩化物は吸湿性が高く、僅かでも残留しているとリアクターを解放したときに吸湿し、その後の結晶成長において酸素源として働くと考えられる。
一方、同じように塩化水素ガスを流してリアクターをベークした後、更に、窒素ガス(N2)のみを流してリアクターをベークしてから成長させたバルクGaN結晶は、上記のような酸素濃度が異常に高い特異層を含んでいなかった。窒素ガスのみを用いた追加ベーキングでは新たに塩化物が生成しないので、塩化水素ガスによるクリーニングで発生した塩化物が十分に除去できたものと推察される。
参考のために注記すると、GaN結晶をc軸成長させた場合には、塩化水素ガスを用いたべーキングしか行っていないリアクターを用いても、酸素濃度が異常に高い特異層が形成される問題は生じなかった。このことは、m軸成長ではc軸成長に比べGaN結晶への酸素の取り込みがずっと起こり易いために、リアクター内の僅かな水分がGaN結晶の品質に与える影響が大きいことを示唆している。
(3)GaNウエハの作製および評価
上記の手順で成長させた、異常に高い酸素濃度を有する特異層を含まないバルクGaN結晶をスライスして、直径50mm、厚さ280μmで、各々がc軸に直交する方向に延びる複数本の結晶性低下帯を主表面上に有する、円盤形のM面GaNウエハを得た。該ウエハの一方の主表面は、研削して平坦化した後、ダメージ層を除去するためにCMP処理した。
作製したM面GaNウエハから1枚を選び、そのCMP処理した主表面にX線(CuKα1線)を入射させて、(200)面のXRCを測定した。選んだウエハは、バルクGaN結晶のうちシード表面から3mm離れた部分から切り出したものであった。
測定には、入射側光学系にX線ミラーとGe(440)4結晶モノクロメータを備えた高分解能X線回折計(PANalyticalのX’Pert Pro MRD)を用いた。光学系の分解能は6〜7arcsecであった。X線の入射面はc軸に平行とした。ウエハ表面におけるX線のビームサイズはc軸方向200μm、a軸方向5mmであった。ウエハ主表面中央部の、結晶性低下帯上ではない一点において、FWHMが13.1arcsecのXRCが得られた。
2.2.実験2(積層欠陥密度の評価)
EPDが102cm-2台、103cm-2台または104cm-2台である複数のM面GaNシードを準備した。作製手順は、上記実験1で作製したタイリング用GaNシードと同じである。EPDの定義は前述の通りである。
上記準備したM面GaNシード上に、同時にHVPE法でバルクGaN結晶を成長させた。HVPE成長条件は実験1と同じとした。結晶成長前のリアクターのクリーニングも実験1と同様で、塩化水素ガスを流すベーキングをした後、続いて、窒素ガスのみを流すベーキングを行った。従って、成長したバルクGaN結晶に、異常に高い酸素濃度を有する特異層は形成されなかった。
成長させたバルクGaN結晶は、シード表面から1.6mm離れた位置でM面に略平行に切断した。該切断面を研削およびラッピングにより平坦化し、更にCMPでダメージ層を除去した後、該切断面から1cm×1cmの正方形領域をひとつ選び、該正方形領域内に見出される積層欠陥のトータル長を測定した。この積層欠陥のトータル長の値をもって、バルクGaN結晶の積層欠陥密度とした。
積層欠陥の長さは、液体窒素温度(82〜83K)で波長364nmにおける単色低温CL(Cathodoluminescence)像を取得し、該画像中に見られる輝線の本数と長さを調べる方法で測定した。該測定において、いちどに取得できるCL像の視野サイズは300μm×400μmであった。
評価結果は図5に示す通りで、M面GaNシードのEPDが104cm-2台、103cm-2台、102cm-2台と低下するにつれ、その上に成長したバルクGaN結晶の積層欠陥密度は、2.4〜3.7cm-1、0.7〜1.3cm-1、0.1〜0.2cm-1と低下した。
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本明細書に記載された各実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
10 GaNウエハ
11 第一主表面
12 第二主表面
13 側面
14 結晶性低下帯
100 バルクGaN結晶
104 結晶性低下部
200 シード
300 集合シード

Claims (11)

  1. GaN結晶のみからなるGaNウエハであって、
    該GaN結晶の成長方向はM軸となす角度が0〜20度であり、
    該GaN結晶の赤外吸収スペクトルには、3100〜3500cm-1にガリウム空孔‐水素複合体に帰属するピークが観察されず、かつ、
    当該GaNウエハの表面上の少なくとも一点において測定した(200)面のXRC−FWHMが20arcsec未満である
    ことを特徴とするGaNウエハ。
  2. 前記GaN結晶においては、どのアルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素についても濃度が1×1015cm-3未満である、請求項1に記載のGaNウエハ。
  3. 前記GaN結晶における水素濃度が1×1017cm-3未満である、請求項1または2に記載のGaNウエハ。
  4. 前記GaN結晶においては、どのハロゲン元素についても濃度が5×1015cm-3未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のGaNウエハ。
  5. 前記GaN結晶の酸素濃度が1×1017cm-3以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のGaNウエハ。
  6. 前記GaN結晶の酸素濃度が5×1017cm-3以上であり、かつ、結晶内で均一である、請求項5に記載のGaNウエハ。
  7. 前記GaN結晶が、c軸方向に延びる貫通転位を実質的に含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載のGaNウエハ。
  8. M面となす角度が0〜20度の主表面を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のGaNウエハ。
  9. 前記主表面には、その内側で観察される積層欠陥のトータル長が4cm未満である1cm×1cmの正方形領域が少なくともひとつ存在する、請求項8に記載のGaNウエハ。
  10. {10−10}ウエハ、{30−31}ウエハ、{30−3−1}ウエハ、{20−21}ウエハ、{20−2−1}ウエハ、{30−32}ウエハまたは{30−3−2}ウエハである、請求項8または9に記載のGaNウエハ。
  11. 前記主表面の面積が18cm2以上である、請求項8〜10のいずれか一項に記載のGaNウエハ。
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