JP2017088006A - 車両走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】白線認識に基づく走行制御を好適に実施する。【解決手段】車両走行制御装置(1)は、車両が走行する道路の白線境界を示す特徴点を検出する検出手段(11,12,13,14)と、特徴点にカルマンフィルタを適用することで、車両の道路に対する位置及び姿勢、並びに道路の状態を示す走路パラメータ(X)を推定する推定手段(15)と、走路パラメータの推定時にカルマンフィルタにおいて算出された誤差共分散(P)から、走路パラメータの信頼度を判定する判定手段(16)と、信頼度が所定値以上の場合に、走路パラメータに基づいて車両の走行を制御する制御手段(110,120)とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車等の車両において、該車両の走行に関する制御を実行する車両走行制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、白線の認識結果を用いて車両の走行を制御するものが知られている。特許文献1では、白線認識センサの出力をカルマンフィルタに入力し、そこで推定された走路パラメータを利用してLQ(Linear Quadratic)制御を実行するという技術が開示されている。
特開2007−302204号公報
上記特許文献1では、カルマンフィルタの推定誤差共分散行列における各走路パラメータに対応する対角値が小さいほど、LQ制御の線形二次形式評価関数で用いる走路パラメータにかかる重みを大きく設定している。このように検出精度に応じて重みを設定すれば、LQ制御における検出精度が低い走路パラメータのフィードバック量が少なくなり、誤差による制御への影響が抑制できるとされている。
しかしながら、誤差共分散行列の各走路パラメータの対応項が収束、発散するまでの経過時間は、例えば各走路パラメータの初期値や、観測行列、システムノイズの影響によって夫々異なる。このため、制御開始直後においては、一部の走路パラメータのみ検出精度が不当に低くなるという状況が発生してしまう。また、カルマンフィルタへの入力である各センサの入力が誤っている場合にも、一部の走路パラメータのみ検出精度が不当に低くなるという状況が発生してしまう。
上述した状況下では、検出精度の低い走路パラメータの重みが不当に小さく設定されることになる。この結果、検出結果が高い他の走路パラメータの重みに引っ張られて、制御が不適切なものになってしまうおそれがある。より具体的には、白線認識に基づいたレーンキープ制御等では、不適切な制御に起因して車両のふらつきが発生してしまうおそれがある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、白線認識に基づく走行制御を好適に実施することが可能な車両走行制御装置を提供することを課題とする。
<1>
本発明の車両走行制御装置は、車両が走行する道路の白線境界を示す特徴点を検出する検出手段と、前記特徴点にカルマンフィルタを適用することで、前記車両の前記道路に対する位置及び姿勢、並びに前記道路の状態を示す走路パラメータを推定する推定手段と、前記走路パラメータの推定時に前記カルマンフィルタにおいて算出された誤差共分散から、前記走路パラメータの信頼度を判定する判定手段と、前記信頼度が所定値以上の場合に、前記走路パラメータに基づいて前記車両の走行を制御する制御手段とを備える。
本発明の車両走行制御装置によれば、その動作時には、車両の道路に対する位置及び姿勢、並びに道路の状態を示す走路パラメータが推定されると共に、該走路パラメータの信頼度が判定される。そして、信頼度が所定値以上の場合には、走路パラメータに基づいて車両の走行が制御される。言い換えれば、信頼度が所定値以上でない場合には、走路パラメータに基づいて車両の走行が制御されない。よって、走路パラメータの信頼度が低い場合にも車両の走行が制御されてしまうことで、制御内容が不適切なものとなり、車両にふらつき等が生じてしまうことを防止することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
第1実施形態に係る車両走行制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る白線認識センサの具体的な構成を示すブロック図である。 第1実施形態に係る車両走行制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。 カルマンフィルタにおける処理の流れを示す概要図である。 第2実施形態に係る車両走行制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る白線認識センサの具体的な構成を示すブロック図である。
本発明の車両走行制御装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
以下では、第1実施形態に係る車両走行制御装置について説明する。第1実施形態では、車両走行制御装置が、白線認識に基づくレーンキープ制御を実行する装置として構成される例を説明する
(車両走行制御装置の構成)
先ず、第1実施形態に係る車両走行制御装置の全体的な構成について、図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る車両走行制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。
図1において、第1実施形態に係る車両走行制御装置1は、白線認識センサ10、ヨーレートセンサ20、車速センサ30、制御ECU100、及び操舵アクチュエータ200を備えて構成されている。
白線認識センサ10は、図示せぬカメラ等で撮像された画像を解析して、車両が走行する道路の白線を認識することが可能に構成されている。また、白線認識センサ10は、検出した白線に関する情報から、車両の横位置、ヨー角、及び道路の先読み曲率を含む走路パラメータを推定し、制御ECU100に出力することが可能に構成されている。更に、白線認識センサ10は、走路パラメータの信頼度を判定し、制御ECU100に出力することが可能に構成されている。
ここで「走路パラメータ」とは、後述する車両の操舵制御に利用されるパラメータであり、具体的には車両の道路に対する位置及び姿勢、並びに道路の状態を示すパラメータである。なお、車両の横位置、ヨー角、及び道路の先読み曲率は、走路パラメータの一例であり、他のパラメータが走路パラメータとして用いられてもよい。また、「信頼度」とは、白線認識センサ10において推定された走路パラメータの信頼性(言い換えれば、正確性)を示す値であり、走路パラメータの信頼性が高いほど高い値となる。
ヨーレートセンサ20は、車両のヨーレートを検出することが可能に構成されている。ヨーレートセンサ20で検出されたヨーレートは、制御ECU100に出力される構成となっている。
車速センサ30は、車速(即ち、自車両の走行速度)を検出することが可能に構成されている。車速センサ30で検出された車速は、制御ECU100に出力される構成となっている。
制御ECU100は、車両の走行を制御するためのコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。制御ECU100は、ROMに格納される各プログラムをCPUで実行することによって実現される機能ブロックとして、状態推定部110及びLQ制御部120を備えている。
状態推定部110は、カルマンフィルタとしての機能を有するように構成されている。具体的には、状態推定部110は、白線認識センサ10、ヨーレートセンサ20及び車速センサ30から入力されるパラメータの入力量として複数の状態量を推定し、LQ制御部120に出力することが可能に構成されている。状態推定部110は、推定された状態量として、共分散(各パラメータの誤差共分散)、車両の横偏差、横車速、ヨー角、及びヨーレートを出力することが可能とされている。
LQ制御部120は、状態推定部110から入力された状態量に基づいて、レーンキープ制御における車両の制御量を算出することが可能に構成されている。より具体的には、LQ制御部120は、状態推定部110から入力された誤差共分散行列の対角値を利用してLQ制御の線形二次形式評価関数を最少にするフィードバックゲインを求める。また、LQ制御部120は、フィードバックゲインと状態推定部110から入力された状態量とを利用して、操舵角の制御量を求め、操舵アクチュエータ200に対し操舵制御信号を出力する。
上述した状態推定部110(即ち、カルマンフィルタ)及びLQ制御部120を利用した制御については既存の技術を利用することができるため、ここでのより詳細な説明については省略する。なお、状態推定部110及びLQ制御部120は、「制御手段」の一具体例である。
操舵アクチュエータ200は、車両の操舵機構の操舵角を変化させるアクチュエータである。操舵アクチュエータ200は、制御ECU100から入力される操舵制御信号に応じて操舵角を変化させることが可能に構成されている。
(白線認識センサの構成)
次に、上述した白線認識センサ10の具体的な構成について、図2を参照して説明する。図2は、第1実施形態に係る白線認識センサの具体的な構成を示すブロック図である。
図2において、第1実施形態に係る白線認識センサ10には、画像センサ40、ヨーレートセンサ20及び車速センサ30の各々から、画像(即ち、車載カメラ等による撮像画像)、ヨーレート及び車速が夫々入力される構成となっている。白線認識センサ10は、エッジ検出部11、線分検出部12、線分ペアリング部13、白線境界選択部14、走路パラメータ推定部15、信頼度判定部16、及び出力部17を備えて構成されている。
エッジ検出部11は、画像センサ40から入力される画像において、輝度が大幅に変化する部分であるエッジを検出する。エッジ検出部11は、画像を一方向に走査することにより、明度が高くなる部分である上りエッジと、明度が低くなる部分である下りエッジとを検出する。エッジ検出部11で検出された各エッジは、線分検出部12に出力される構成となっている。
線分検出部12は、ハフ変換を利用して、エッジ検出部11で検出された上りエッジに対応する上りエッジ線分、及び下りエッジに対応する下りエッジ線分を夫々検出する。線分検出部12で検出された各エッジ線分は、線分ペアリング部13に出力される構成となっている。
線分ペアリング部13は、線分検出部12で検出された上りエッジ線分と下りエッジ線分とをペアリングする。線分ペアリング部13は、例えば上りエッジ線分と下りエッジ線分とで角度や横位置等を比較し、白線を構成すると考えられる線分同士をペアリングする。線分ペアリング部13によってペアリングされたエッジ線分ペアは、白線境界選択部14に出力される構成となっている。
白線境界選択部14は、線分ペアリング部13でペアリングされたエッジ線分ペアのうち、総合的に白線らしさが高い線分ペアを白線を構成するペアとして選択する。白線境界選択部14は、例えば、時間的連続性(前回の検出結果との距離等)や、幾何的連続性(手前位置の検出結果との連続性等)に基づいて、白線らしさが高い線分ペアを選択する。また、白線境界選択部14は、選択した線分ペアの線分上から、白線境界を構成する特徴点(エッジ点)を抽出して、走路パラメータ推定部15に出力可能に構成されている。
上述したエッジ検出部11、線分検出部12、線分ペアリング部13、及び白線境界選択部14は、「検出手段」の一具体例である。
走路パラメータ推定部15は、白線境界選択部14で抽出された特徴点を入力とするカルマンフィルタとして構成されており、推定した状態量である走路パラメータを出力可能に構成されている。走路パラメータ推定部15で推定された走路パラメータは、推定時に算出された誤差共分散と共に、信頼度判定部16に出力される構成となっている。
信頼度判定部16は、走路パラメータ推定部15から入力された誤差共分散に基づいて、走路パラメータの信頼度を判定することが可能に構成されている。なお、信頼度は、信頼性の有無を示すの選択的な値であってもよいし、より細かく数値化した複数段階の値であってもよい。また、信頼度は、複数の走路パラメータ全体に対する総合的な信頼度として判定されるものであってもよいし、複数の走路パラメータの各々に対して別々に判定されるものであってもよい。信頼度判定部16で判定された信頼度は、走路パラメータと共に、出力部17に出力される構成となっている。
出力部17は、信頼度判定部16から入力された走路パラメータ及び信頼度を、制御ECU100に出力可能に構成されている。
(白線認識走行制御)
次に、本実施形態に係る車両走行制御装置によって実行される白線認識走行制御(即ち、白線認識に基づく車両の自動操舵制御)について、図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係る車両走行制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下では、白線認識走行制御における各処理うち、本発明と関連が深い処理について詳細に説明し、その他の処理については適宜説明を省略するものとする。
図3において、白線認識走行制御が開始されると、先ず白線認識センサ10により車載カメラ等で撮像された画像が取得される(ステップS101)。即ち、画像センサ40からエッジ検出部11に画像データが入力される。
画像が取得されると、エッジ検出部11によりエッジ点が検出される(ステップS102)。検出されたエッジ点からは、線分検出部12によりエッジ線分が検出される(ステップS103)。検出されたエッジ線分は、線分ペアリング部13によりペアリングされる(ステップS104)。そして、白線境界選択部14により、ペアリングされたエッジ線分ペアのうち白線らしさの高いエッジ線分ペアが選択され、その特徴点が走路パラメータ推定部15に出力される(ステップS105)。
走路パラメータ推定部15では、白線境界選択部14から入力された特徴点を入力として、走路パラメータが推定される(ステップS106)。走路パラメータ推定部15では、下記数式(1)で示される走路パラメータXが推定される。
Figure 2017088006
なお、θは車両のヨー角、eは車両のオフセット(即ち、横方向のずれ量)、C0は道路の曲率、C1は道路の曲率変化率である。
また、下記数式(2)を用いれば、上記各走路パラメータから他の走路パラメータである白線の横位置Xを算出できる。
Figure 2017088006
なお、Zvは車両座標系における距離であり、上記数式(2)で算出されるXは、距離Zvにおける白線の3次元横位置である。
ここで、カルマンフィルタの処理について、図4を参照して説明する。図4は、カルマンフィルタにおける処理の流れを示す概要図である。なお、カルマンフィルタにおける処理内容については既存のものであるため、以下では詳細な説明を適宜省略している。
図4に示すように、カルマンフィルタ(即ち、走路パラメータ推定部15)では、観測更新ステップと時間更新ステップとが繰り返し実行されることにより、状態量(即ち、走路パラメータ)が推定される。
観測更新ステップでは、白線境界点情報(即ち、特徴点のi座標、j座標)の取得、観測ノイズ分散Rの取得、観測行列Hの算出、カルマンゲインKの算出、誤差共分散行列Pt|tの算出、観測関数hの算出、及び走路パラメータXt|tの算出が実行される。カルマンゲインK、誤差共分散行列Pt|t、走路パラメータXt|t、及び観測関数hは、下記数式(3)、(4)、(5)及び(6)を用いて夫々算出できる。また、観測行列Hについては、観測関数hの偏微分結果として算出できる。
Figure 2017088006
なお、yは白線境界の特徴点の観測位置、fはカメラの焦点距離、PosZはカメラのZ座標位置、YawCAMはカメラのヨー角、Iはカメラの光学中心位置である。
一方、時間更新ステップでは、状態遷移行列Ftの算出、予測走路パラメータXt+1|tの算出、予測誤差共分散行列Pt+1|tの算出が実行される。予測走路パラメータXt+1|t及び予測誤差共分散行列Pt+1|tは、下記数式(7)及び(8)を用いて夫々算出できる。
Figure 2017088006
なお、Dは外部制御(本実施形態では“0”)であり、Qはシステムノイズの共分散行列である。
図3に戻り、走路パラメータの推定後、信頼度判定部16では、上述したカルマンフィルタで算出された誤差共分散を用いて走路パラメータの信頼度が判定される(ステップS107)。ちなみに、数式(1)で示した走路パラメータXの各々に対応する誤差共分散行列Pは以下の行列(9)として表される。
Figure 2017088006
なお、PのM行N列の値PMNは、走路パラメータのM番目の項とN番目の項と共分散を示している。例えばP24は、ヨー角θとオフセットeとの共分散を示している。
上述した誤差共分散と走路パラメータとの関係性を利用すれば、好適に走路パラメータの信頼性を判定することができる。以下では、信頼度判定方法について3つの例を挙げて具体的に説明する。
先ず、システムからの制御要求値に基づく信頼性の判定方法について説明する。この判定方法では、ヨー角θの分散、オフセットeの分散、先読み曲率の分散が、制御ECU100からの制御要求値を満たした場合に信頼性ありと判断される。一方、ヨー角θの分散、オフセットeの分散、先読み曲率の分散が制御ECU100からの制御要求値を満たさない場合には信頼性なしと判断される。
なお、先読み曲率の分散は、曲率C0の分散、曲率変化率C1の分散、及び曲率C0と曲率変化率C1との共分散から求めることができる。具体的には、N秒先の曲率における分散は、P55(曲率C0の分散)+2×(車速V×N)×P56(曲率C0と曲率変化率C1との共分散)+(車速V×N)×P66(曲率変化率C1の分散)として求めることができる。
制御ECU100からの制御要求値は、例えば各パラメータの許容誤差に応じて設定される。具体的には、分散が許容誤差の二乗を超える場合には、許容誤差を超えてしまう可能性がある。よって、このような条件下で信頼性なしと判定されるようにすればよい。また、制御ECU100からの制御要求値は、実際の走路に対して逆方向に操舵する可能性に応じて設定されてもよい。具体的には、推定された走路パラメータの二乗が分散よりも小さくなる場合、操舵方向が反転している可能性がある。よって、このような条件下で信頼性なしと判定されるようにすればよい。
次に、誤差共分散行列Pの定常値に基づく信頼性の判定方法について説明する。この判定方法では、事前にオフラインで算出した誤差共分散の定常値を基準として、誤差共分散行列Pの最新更新値を評価して、その信頼性が判定される。即ち、誤差共分散行列Pの最新更新値の定常値の各々のヨー角θの分散、オフセットeの分散、先読み曲率の分散を比較して、設定閾値以上の差があれば信頼性なしと判断される。
既存の定常カルマンフィルタの知見によれば、状態パラメータが一定で、十分に観測時間が経った時点のカルマンフィルタの共分散行列Pの定常値は、下記数式(10)に示す既存の代数リカッチ方程式の解として得られることが分かっている。
Figure 2017088006
このとき、F、H、R、Qは、ある特定の走路パラメータに対して、8項で設定した行列である。ただし、F、H、R、Qの設定値は、車速、走路パラメータ、白線境界特徴点の位置の条件に依存して変化するため、代表的な設定条件において共分散行列の定常値をオフラインで計算して、その定常値を車載メモリ等に記憶しておき、オンライン時に読み出して利用すればよい。
最後に、クラメル・ラオの下限に基づく信頼性の判定方法について説明する。拡張カルマンフィルタを含む統計的推定手法による推定精度は、既存のクラメル・ラオの下限により制限される。このため、クラメル・ラオの下限を信頼度の指標とすれば、好適に信頼度を判定することができる。クラメル・ラオの下限値行列Cは、下記数式(11)及び(12)で示される繰り返し計算によって求めることができる。
Figure 2017088006
このとき、F、H、R、Qは、ある特定の走路パラメータに対して、8項で設定した行列である。ただし、F、H、R、Qの設定値は、車速、走路パラメータ、白線境界特徴点の位置の条件に依存して変化するため、代表的な設定条件におけるクラメル・ラオの下限値をオフラインで計算して、その値を車載メモリ等に記憶しておき、オンライン時に読み出して利用すればよい。なお、クラメル・ラオの下限値行列Cは、共分散行列Pに対応している。よって、ヨー角θ、オフセットe、先読み曲率C1の各々のクラメル・ラオの下限値は、行列Cの対応する行列値から読み出せばよい。
以上のようにして判定された信頼度は、走路パラメータと共に、出力部17から制御ECU100へと出力される(ステップS108)。
状態推定部110では、カルマンフィルタによって状態量を推定する前に、走路パラメータに信頼性があるか否かが信頼度に基づいて判定される(ステップS109)。なお、信頼度が信頼性の有無を選択的に示す値であれば、信頼度から直接的に信頼性があるか否かを判定できる。一方、信頼度が複数段階で信頼性を示す値である場合には、信頼度が所定値以上であるか否かによって信頼性があるか否かを判定すればよい。
走路パラメータに信頼性があると判定された場合(ステップS109:YES)、状態推定部110では、入力される各パラメータにカルマンフィルタが適用され、状態量(横偏差、横速度、ヨー角、ヨーレート)が推定される(ステップS110)。推定された状態量は、誤差共分散と共にLQ制御部120に出力され、LQ制御が実施される(ステップS111)。その結果、求められた制御量は、操舵アクチュエータ200に操舵制御信号として出力される(ステップS112)。これにより、車両が白線内を走行するようにレーンキープ制御される。
一方、走路パラメータに信頼性がないと判定された場合(ステップS109:NO)、上述したステップS110からS112の処理は省略される。即ち、走路パラメータに信頼性がないと判定された場合には、白線認識走行制御が中止される。
本願発明者の研究するところによれば、誤差共分散行列の各走路パラメータの対応項が収束、発散するまでの経過時間は、各走路パラメータの初期値や、観測行列H、システムノイズRの影響によって夫々異なることが判明している。このため、制御開始直後においては、一部の走路パラメータのみ検出精度が不当に低くなるという状況が発生してしまう。また、カルマンフィルタへの入力である各センサの入力が誤っている場合にも、一部の走路パラメータのみ検出精度が不当に低くなるという状況が発生してしまう。
上述した状況下では、検出精度に応じた重みを付けて走行制御を行う場合に、検出精度の低い走路パラメータの重みが不当に小さく設定されることになる。この結果、検出結果が高い他の走路パラメータの重みに引っ張られて、制御が不適切なものになってしまうおそれがある。より具体的には、本実施形態のように白線認識に基づいたレーンキープ制御を行う場合において、不適切な制御に起因する車両のふらつきが発生してしまうおそれがある。
これに対し本実施形態では、上述したように、走路パラメータに信頼性があると判定された場合にのみ白線認識走行制御が実行され、走路パラメータに信頼性がないと判定された場合には白線認識走行制御が中止される。従って、不適切な走路パラメータに起因する車両のふらつき等を好適に防止することができる。
<第2実施形態>
以下では、第2実施形態に係る車両走行制御装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の多くの部分については第1実施形態と同様である。このため、以下では第1実施形態と異なる部分について詳細に説明するものとし、第1実施形態と重複する部分については適宜説明を省略する。
(車両走行制御装置の構成)
先ず、第2実施形態に係る車両走行制御装置の全体的な構成について、図5を参照して説明する。図5は、第2施形態に係る車両走行制御装置の概略的な構成を示すブロック図である。なお、図1で示した第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付している。
図5において、第2実施形態に係る車両走行制御装置2は、制御ECU100bがECU信頼度判定部130を備えて構成されている。ECU信頼度判定部130は、状態推定部110の前段に配置されている。このため、白線認識センサ10b、ヨーレートセンサ20、車速センサ30から入力される各パラメータは、ECU信頼度判定部130を介してから、状態推定部110に入力される構成となっている。
(白線認識センサの構成)
次に、第2実施形態に係る白線認識センサの具体的な構成について、図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る白線認識センサの具体的な構成を示すブロック図である。なお、図2で示した第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付している。
図6において、第2実施形態に係る白線認識センサ10bは、第1実施形態のように信頼度判定部16を備えていない。このため、走路パラメータ推定部15で推定された走路パラメータ及び誤差共分散は、信頼度を判定されないまま、出力部17を介して出力される。
ちなみに、第1実施形態の出力部17からは、走路パラメータ及び信頼度が出力されていたが、第2実施形態の出力部17からは、走路パラメータ及び誤差共分散が出力されている。
(信頼度の判定タイミングの違い)
第2実施形態に係る車両走行制御装置2は、上述した構成を有するため、第1実施形態と比べると、信頼度を判定するタイミングが異なっている。具体的には、第1実施形態における信頼度は、白線認識センサ10の走路パラメータ15において走路パラメータが推定された直後に、同じ白線認識センサ10の信頼度判定部16において判定される。これに対し、第2実施形態における信頼度は、白線認識センサ10bから各パラメータ及び誤差共分散が出力された後、制御ECU100のECU信頼度判定部130で判定される。
上述したように信頼度の判定タイミング(言い換えれば、判定箇所)が異なる場合であっても、既に説明した本実施形態に係る技術的効果には何ら変わりはない。よって、第2実施形態に係る車両走行制御装置2においても、第1実施形態と同様に、不適切な走路パラメータに起因する車両のふらつき等を好適に防止することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両走行制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1,2 車両走行制御装置
10,10b 白線認識センサ
11 エッジ検出部
12 線分検出部
13 線分ペアリング部
14 白線境界選択部
15 走路パラメータ推定部
16 信頼度判定部
17 出力部
20 ヨーレートセンサ
30 車速センサ
40 画像センサ
100,100b 制御ECU
110 状態推定部
120 LQ制御部
130 ECU信頼度判定部
200 操舵アクチュエータ
X 走路パラメータ
P 誤差共分散
θ ヨー角
オフセット
C0 曲率
C1 曲率変化率
観測ノイズ分散
観測関数
特徴点位置
カメラ焦点距離
PosZ カメラ位置
YawCAM カメラヨー角
カメラ光学中心位置
Ft 状態遷移行列
外部制御
システムノイズ共分散行列

Claims (1)

  1. 車両が走行する道路の白線境界を示す特徴点を検出する検出手段と、
    前記特徴点にカルマンフィルタを適用することで、前記車両の前記道路に対する位置及び姿勢、並びに前記道路の状態を示す走路パラメータを推定する推定手段と、
    前記走路パラメータの推定時に前記カルマンフィルタにおいて算出された誤差共分散から、前記走路パラメータの信頼度を判定する判定手段と、
    前記信頼度が所定値以上の場合に、前記走路パラメータに基づいて前記車両の走行を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする車両走行制御装置。
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