JP2017086521A - 遺体用臼歯接着用器具 - Google Patents

遺体用臼歯接着用器具 Download PDF

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【課題】 遺体の咀嚼筋の弛緩による口開けを防止するための遺体用弛緩対策として、製作容易で、しかも、遺体への取り付けがし易く、遺体の顔の状態を美しくすること。【解決手段】 遺体の上下臼歯の咬合面に装着されて使用される遺体用臼歯接着用器具であって、前歯の裏側を沿うよう略U字形状に形成された繋ぎ部と、該繋ぎ部の両端に連接され上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する左右一対の、中央部に貫通孔を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部の内面に、接着剤が流れる溝が設けられ、該溝の先端は前記貫通孔と連通し、基端は側壁部の外面に連通している。【選択図】 図1

Description

本発明は、遺体の咀嚼筋の弛緩による口開けを防止するための遺体用弛緩対策の臼歯接着用器具に関する。
一般的に、遺体の顔の状態を美しくすることが、そのヒトの尊厳を守るためにも極めて重要なことであり、その対策として、口を閉じた状態にすることが以前から必要であった。
この問題を解決するために、遺体の臼歯を覆う水平な板状部と、該板状部に対して略垂直に形成され、臼歯の側面に配置される壁部とを有する左右一対の接合部材を備え、該接合部材が略U字状に屈曲した弾性の連結部で一体的に連結されており、上記板状部に貫通孔が形成されていると共に、上記板状部の上面及び下面の臼歯と接触する面に粘接着剤層が形成されており、上記粘接着剤で上下の歯列を接着し、顎の弛緩による開口を防止できるようにした遺体用顎弛緩防止具が提案されている(特許文献1参照)。
特許第5139893号公報
しかし、従来技術の特許文献1では、板状部の上面及び下面の臼歯と接触する面に粘接着剤層を形成する構造とされており、この板状部の上面および下面に粘接着剤層を形成するため製造工程が多くなり、また、上記板状部の上面および下面に形成されている上記粘接着剤層が剥き出し状態となっている状態で遺体の上下の臼歯間に装着しなければならないため、装着作業に困難を伴うという問題があった。
そこで、上記課題を解決する手段として請求項1の発明は、遺体の上下臼歯の咬合面に装着されて使用される遺体用臼歯接着用器具であって、前記上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部に、接着剤が流れる通路が設けられ、該通路の先端は前記臼歯接触板部の上面と連通していることを特徴とする遺体用臼歯接着用器具である。
また、請求項2の発明は、前記通路が、前記側壁部の内面に形成された溝であることを特徴とする請求項1記載の遺体用臼歯接着用器具である。
また、請求項3の発明は、前記通路の基端が前記側壁部の端面に連通しており、この端面に接着剤を前記通路に注入する注入口が形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の遺体用臼歯接着用器具である。
また、請求項4の発明は、前記臼歯接触板部が、その中央部に貫通孔を有し、前記通路の先端が前記貫通孔に連通していることを特徴とする請求項1か3のいずれかに記載の遺体用臼歯接着用器具
また、請求項5の発明は、遺体の上下臼歯の咬合面に装着されて使用される遺体用臼歯接着用器具であって、前歯の裏側を沿うよう略U字形状に形成された繋ぎ部と、該繋ぎ部の両端に連接され上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する左右一対の、中央部に貫通孔を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部に、接着剤が流れる通路が設けられ、該通路の先端は前記臼歯接触板部の貫通孔と連通し、基端は側壁部の外面に連通していることを特徴とする遺体用臼歯接着用器具である
また、請求項6の発明は、前記遺体用臼歯接着用器具は、シリコン樹脂により一体成形されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遺体用臼歯接着用器具である。
また、本願の請求項7に記載の発明は、前記した遺体用臼歯接着用器具をセットする工程と、前記遺体用臼歯接着用器具の通路(溝)に接着剤を注入する接着剤注入工程とを含むことを特徴とする遺体の臼歯接着方法である。
本発明によれば、遺体用臼歯接着用器具の装着時に、臼歯接触板部の上面に臼歯接着用の粘接着剤層が形成されていないので遺体用臼歯接着用器具と上側の臼歯とが接着するおそれが無く位置決めが容易に行えるなど、装着作業がスムーズに行え、しかも遺体に遺体用臼歯接着用器具を装着した後に、通路を経由して臼歯接触板部と臼歯との間に接着剤を注入でき、臼歯接触板部と上側の臼歯とを確実に接着することができる。
しかも、側壁部の内面に溝が形成されて通路を構成する場合は、接着剤が貫通孔のみならず臼歯の側面と側壁部との間にも行き渡り、遺体の上下の臼歯の接着強度が向上する。
また通路が側端部の端面に連通しており、この端面に接着剤を通路に注入する注入口が形成されてなる場合は、遺体の正面側から、注入口に接着剤を注入することによって臼歯接触板部と上側の臼歯との間に接着剤を注入でき臼歯接触板部と上側の臼歯を容易に接着することができる。
また前記臼歯接触板部が、その中央部に貫通孔を有する場合は、上記した効果を奏すると共に、通路を通じて注入された接着剤が臼歯接触板部の貫通孔内に流入され、貫通孔を介して下側の臼歯と臼歯接触板部の下面と間にも接着剤が充填できるので、上下の臼歯を合わせて接着させることができ、作業が容易となると共に確実に接着を行うことができる。
また遺体用臼歯接着用器具が、前歯の裏側を沿うよう略U字形状に形成された繋ぎ部と、該繋ぎ部の両端に連接され上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する左右一対の、中央部に貫通孔を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部に、接着剤が流れる通路が設けられ、該通路の先端は前記臼歯接触板部の貫通孔と連通し、基端は側壁部の外面に連通している場合は、左右の臼歯間に同時に装着でき、しかも接着剤層が無いので装着作業が容易であり、さらに器具を装着後に接着剤を通路を通じて臼歯接触板部の貫通孔に確実に供給することができ、通路を通じて注入された接着剤が貫通孔内に注入され、貫通孔を介して下側の臼歯と臼歯接触板部の間にも接着剤が充填できるので、上下の臼歯を合わせて接着させることができる。
また、前記遺体用臼歯接着用器具が、シリコン樹脂により一体成形されてなる場合は、装着作業性がよく、接着剤の注入もスムーズで容易に行え、遺体の火葬に付した再に完全に燃焼しやすい。
また、本願の他の発明である遺体の臼歯接着方法は、前記した遺体用臼歯接着用器具をセットする工程と、前記遺体用臼歯接着用器具の通路に接着剤を注入する接着剤注入工程とからなるので、遺体の上下の臼歯を作業性良く、容易に接着でき、遺体の顔の状態を短時間で美しく仕上げることができる。
本発明に係る実施例の遺体用臼歯接着用器具の斜視図である。 図1に示す遺体用臼歯接着用器具の正面図である。 図2に示す遺体用臼歯接着用器具のIII−III線断面図である。 図3に示す遺体用臼歯接着用器具のIV−IV線断面図である。 図4に示す遺体用臼歯接着用器具のV−V線断面図である。 本発明に係る他の実施例の遺体用臼歯接着用器具の部分正面図である。 図6のVII−VII線断面図である。 図7のVIII−VIII線断面図である。 本発明に係る実施例の遺体用臼歯接着用器具の表着状態を説明する断面図である。
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。
図1乃至図5は第1の実施例を示す図である。第1の実施例の遺体用臼歯接着用器具1は、図1乃至図5に示すように、略U字形状に形成されて歯列に沿って下側の前歯の裏側に沿うように配置される繋ぎ部3と、この繋ぎ部3の左右両端部に連接され、左右上下臼歯の咬合面に接触する臼歯接触板部5,5とからなる。換言すれば、左右の臼歯接触板部5,5同士が、略U字形状の繋ぎ部3にて連接されている。
臼歯接触板部5,5は、遺体の臼歯に接する上面5a及び下面5bを有する。臼歯接触板部5,5は左右一対をなしている。臼歯接触板部5は、中央部に貫通孔7を有しており、この臼歯接触板部5,5には遺体の臼歯の側面に接触する側壁部51,53,55,57を設けている。この内、外側の側壁部51,55に通路13が形成されている。通路13は、図4に示す例では周囲が囲まれた長穴である。通路13を構成する長穴の先端13aは臼歯接触板部5の上面を経由して貫通孔7に連通しており、通路13の基端13bは側壁部51の外面に連通している。
通路の先端と貫通孔7との連通というのは、接着剤が通路から貫通孔13に流入し得るようにしている構成であることを意味しており、図5では、臼歯接触板部5の上面に形成した連通路14によって連通している。側壁部51の外面というのは、側壁部51の内面すなわち臼歯と接する側以外の外に面している面を意味している。
図6〜図8は、第2の実施例を示しており、通路13は図7に示す例では溝(以下では、溝13とも表現する)からなり、側壁部51の内面に開口している。すなわち側壁部51の内面に溝13が形成されていて、溝13は、その先端13aが貫通孔7に連通路14によって連通している。
溝13の基端13bは、側壁部の外面に連通している。すなわち、接着剤を注入できる位置に開口している。
図7の例では、側壁部51の繋ぎ部3側に形成した接着剤注入口9に連通している。
臼歯接触板部5の貫通孔7は、その中に充填した接着剤によって上下の臼歯が接着されるために開口されたもので、図示の例では、臼歯接触板部5に各2本の長孔としている。また、接着剤注入口9は、接着剤の注入針若しくは注入ノズルが適合する大きさが好ましい。これにより、遺体用臼歯接着用器具1を遺体に取り付けた後、接着剤を注入し、通路を介して貫通孔7に接着剤を充填し、上下の臼歯同士を確実に接着させることができる。
側壁部51の内側に溝13を設けた場合は、接着剤が接着剤注入口9から注入された後、臼歯接触板部5の貫通孔7および側壁部51と臼歯との間に拡散し、上下の臼歯の接着を強固にしている。側壁部57についても同様である。
側壁部51と側壁部53の開口部の間隔は、側壁部51と側壁部53の中央部の間隔よりも狭くなるようにし、側壁部51,53の自由端部に内向きの突縁部11を設けている。これにより、側壁部の自由端部と遺体の臼歯との当接が確実になることで、接着剤注入口9から注入した接着剤が十分多量である場合、注入側と反対側の側壁部53によって漏れ出るのが阻止されると共に、側壁部51,53の自由端部からの接着剤の漏れも阻止され、接着強度が向上する。
また、側壁部51の高さは、その先端の突縁部11が遺体の歯肉の先端部分に当接する程度が好ましい。これにより、遺体の臼歯との接触性が良くなることで、瞬間接着剤の漏れが確実に阻止され、さらに接着強度が向上する。
図9に示す例は、第1の実施例あるいは第2の実施例の繋ぎ部を除いて左右の臼歯接触板部を独立して形成して例を示したものである。
遺体用臼歯接着用器具1は、弾力性のある、シリコン樹脂又はエラストマー樹脂、ウレタン樹脂により一体成形するのが好ましく、特にシリコン樹脂が好ましく、貫通孔7や接着剤注入口9,9や溝13の成形が容易に行え、遺体に装着されて焼却された場合黒くなるおそれがない。
遺体への遺体用臼歯接着用器具1の取り付け方法は、遺体の口を開き、上下臼歯30,30、好ましくは小臼歯の間に遺体用臼歯接着用器具1を装着し、一端、口を閉じて咬み合わせを確認し、再度口を開いて、接着剤の注入針を側壁部51に設けた接着剤注入口9に挿入して接着剤を注入すると、溝13により接着剤が貫通孔13に導かれ、貫通孔内に充満し、上下の臼歯30,30の端面に接着剤が行き渡るので、その段階で口を閉じる。なお、接着剤は、短時間で接着効果の生じるもの、例えば瞬間接着剤と言われているものが好適に使用される。
次に、顎をしっかり持って少しきつめに咬み合わせた状態で、接着剤20の規定硬化時間を保持することにより、接着を完了し、遺体の咀嚼筋の弛緩による口開けを防止するための遺体用弛緩対策が完了する、遺体の臼歯に接着する構造としていることにより、取り付け易く、安定感もあり、且つ、外から見えないので、遺体の顔の状態を美しくすることができる。
本発明は、以上の実施例に限定されるものではなく、第1の実施例あるいは第2の実施例の繋ぎ部3を除いて左右の臼歯接触板部5,5を独立して形成してもよい。繋ぎ部3によって左右の臼歯接触板部5,5が一体に構成されているときは、装着作業を一回の操作で行うことができるので作業性がよい。左右の臼歯接触板部5,5が繋ぎ部3によって連結されていない場合は、作業を別途行う必要があるが、接着剤の硬化時間に合わせて別々に装着することができる。
あるいは、臼歯接触板部に貫通孔を設けず、接着剤が臼歯接触板部の上面に導かれる構成としてもよい。このようにした場合においても臼歯接触板部の上面には接着剤層を予め設ける必要が無く装着作業を容易に行うことができるとともに、通路を介して接着剤を注入することにより臼歯接触板部5と上側の臼歯30とを確実に接着することができるものである。
また、臼歯が欠損している遺体の場合は、ダミー歯を介在させて接着を行うこともできる。
1 遺体用臼歯接着用器具
3 繋ぎ部
5 臼歯接触板部
7 貫通孔
9 接着剤注入口
11 突縁部
13 通路(溝)
20 接着剤
30 臼歯
51 側壁部
53 側壁部
55 側壁部
57 側壁部

Claims (7)

  1. 遺体の上下臼歯の咬合面に装着されて使用される遺体用臼歯接着用器具であって、前記上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部に、接着剤が流れる通路が設けられ、該通路の先端は前記臼歯接触板部の上面と連通していることを特徴とする遺体用臼歯接着用器具。
  2. 前記通路が、前記側壁部の内面に形成された溝であることを特徴とする請求項1記載の遺体用臼歯接着用器具。
  3. 前記通路の基端が前記側壁部の端面に連通しており、この端面に接着剤を前記通路に注入する注入口が形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の遺体用臼歯接着用器具。
  4. 前記臼歯接触板部が、その中央部に貫通孔を有し、前記通路の先端が前記貫通孔に連通していることを特徴とする請求項1か3のいずれかに記載の遺体用臼歯接着用器具。
  5. 遺体の上下臼歯の咬合面に装着されて使用される遺体用臼歯接着用器具であって、前歯の裏側を沿うよう略U字形状に形成された繋ぎ部と、該繋ぎ部の両端に連接され上下臼歯の咬合面に接触する上下面を有する左右一対の、中央部に貫通孔を有する臼歯接触板部と、該臼歯接触板部の外側端部が上方に略垂直に延伸して臼歯の側面に沿って伸びる側壁部とを備え、該側壁部に、接着剤が流れる通路が設けられ、該通路の先端は前記臼歯接触板部の貫通孔と連通し、基端は側壁部の外面に連通していることを特徴とする遺体用臼歯接着用器具。
  6. 前記遺体用臼歯接着用器具は、シリコン樹脂により一体成形されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遺体用臼歯接着用器具。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の遺体用臼歯接着用器具をセットする工程と、前記遺体用臼歯接着用器具の通路に接着剤を注入する接着剤注入工程とを含むことを特徴とする遺体の臼歯接着方法。
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