図1は、本発明が適用されるオーディオシステム10の構成を示す図である。オーディオシステム10は、有線LAN2およびアクセスポイント(外部アクセスポイント)3を含むネットワーク9で接続された複数のオーディオ機器4(4−1〜4−7)、および、コントローラ1として機能する多機能携帯電話機(携帯端末装置)1を有している。各オーディオ機器4は、ネットワーク9を介して相互にオーディオ信号の送受信を行う。コントローラ1は、ネットワーク9を介してオーディオ機器4に対してコマンドメッセージを送信する。
オーディオシステム10を構成する各オーディオ機器4(以下、再生機器およびコンポーネント機器とも言う)は、有線LAN機能および2つの無線LAN機能を有している。オーディオ機器4は、2つの無線LAN機能の一方を用いてアクセスポイントを起動することができる。オーディオ機器4によって起動されたアクセスポイントは内部アクセスポイント4Aと呼ばれる。内部アクセスポイント4Aには、下位のオーディオ機器4が接続される。内部アクセスポイント4Aは、通常は(後述のイニシャル接続時以外は)ステルスモードで動作しており、他の機器にその存在を知られにくいようになっている。もう一方の無線LAN機能は、無線LANの子機として機能し、上位のオーディオ機器4の内部アクセスポイント4A、または、外部アクセスポイント3に接続される。
有線LAN2にはアクセスポイント(外部アクセスポイント)3が接続されている。オーディオ機器4−1は有線LAN2にケーブルで接続されている。オーディオ機器4−2,4−3は、上位のオーディオ機器4−1の内部アクセスポイント4A−1に無線LANで接続されている。オーディオ機器4−4,4−5は、上位のオーディオ機器4−2の内部アクセスポイント4A−2に無線LANで接続されている。また、オーディオ機器4−6は、上位のオーディオ機器4−3の内部アクセスポイント4A−3に無線LANで接続されている。オーディオ機器4−7は、外部アクセスポイント3に接続されている。
この実施形態において、ネットワーク9は、有線LAN2、および、外部アクセスポイント3、内部アクセスポイント4Aを含む無線LANで構成される。有線LAN2は、たとえばEthernet(登録商標:IEEE802.3)が用いられればよく、無線LANは、Wi−Fi(IEEE802.11g)が用いられればよい。また、ネットワーク9には、有線LAN2からゲートウェイ(不図示)およびインターネット5経由で配信サーバ6が接続されている。配信サーバ6は、オーディオ機器4に楽曲データを配信する。
各オーディオ機器4は、有線LAN2に対する接続の形態に応じてルート機器、ノード機器、リーフ機器、および、ブランチ機器と呼ばれる。ルート機器は、有線LAN2に直接(ケーブルで)接続されている最上位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−1がルート機器である。ルート機器は、オーディオシステム10の構築時に最初に登録されたオーディオ機器であり、オーディオシステム10の基点となる。ルート機器は、下位のオーディオ機器4をネットワークに接続してオーディオシステム10に参加させるための内部アクセスポイント4Aを起動する。ルート機器以下に接続されているオーディオ機器4(ノード機器、リーフ機器)で再生される音楽情報は全てここを経由して送信されることになる。
ノード機器は、無線LANによってルート機器(ルート機器の内部アクセスポイント4A)に接続されている中位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−2,4−3がノード機器である。ノード機器は、下位のオーディオ機器4をネットワークに接続してオーディオシステム10に参加させるための内部アクセスポイント4Aを起動する。ノード機器以下に接続されているオーディオ機器4(リーフ機器)で再生される音楽情報はここを経由して送信されることになる。
リーフ機器は、無線LANによってノード機器(ノード機器の内部アクセスポイント4A)に接続されている下位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−4〜4−6がリーフ機器である。なお、リーフ機器は、内部アクセスポイント4Aを起動しないが、起動するようにしてもよい。
ブランチ機器は、ルート機器を頂点とするツリーとは別に外部アクセスポイント3に無線LANで接続され有線LAN2を経由してオーディオシステム10内の他のオーディオ機器4と通信するオーディオ機器4であり、図1においては、オーディオ機器4−7がブランチ機器である。なお、ブランチ機器は、内部アクセスポイント4Aを起動しないが、起動するようにしてもよい。
このオーディオシステムでは、高品質のオーディオ信号の伝送のため、ルート機器には2台までのノード機器の接続が許可される。また、各ノード機器には2台までのリーフ機器の接続が許可される。また、内部アクセスポイント4Aを用いた接続の階層は、ルート機器−ノード機器−リーフ機器の3階層までとする。したがって、ルート機器を頂点とする無線LANのツリーにより、ルート機器を含めて7台までのオーディオ機器を接続することができる。図1に示したツリーには、7台のオーディオ機器4(4−1〜4−7)が接続されている。また、ブランチ機器の台数に制限はないが、コントローラ1の制御対象としては、オーディオシステム10全体でオーディオ機器4の台数が10台までに制限される。ただし本発明において、ツリーの階層の数、各オーディオ機器4に接続可能な下位の機器の台数などの最大数は、この実施形態に限定されない。
また、各オーディオ機器4−1〜4−7は、たとえば、居宅内のリビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルーム、キッチン、ルームA、ルームBの各ルームに配置されている。
オーディオシステム10の各オーディオ機器4−1〜4−7は、それぞれ別々のコンテンツを独立して再生可能であるが、オーディオシステム10では、複数のオーディオ機器をグループ化することができ、グループ化された複数のオーディオ機器では、同一のオーディオソースから供給されるコンテンツが同期再生される。コンテンツは、たとえば、楽曲である。オーディオソースは、各オーディオ機器4−1〜4−7が備えるCD、ハードディスクなどのメディアや配信サーバ6による楽曲配信サービスなどがある。楽曲データのファイル形式は、例えば、MP3、WAV、SoundVQ(登録商標)、WMA(登録商標)、AACなどである。
また、オーディオシステム10は、オーディオ機器4−1〜4−7のうち2台以上のオーディオ機器をペア設定(ステレオペア設定)し、これらのオーディオ機器に同一コンテンツの別チャンネルをそれぞれ同期再生させることが可能である。たとえば、オーディオ機器4−4,4−5がステレオペア設定された場合、ステレオ再生として、同一コンテンツの楽曲データ(オーディオ信号)に含まれる右チャンネルのオーディオ信号がオーディオ機器4−4のスピーカ65から出力され、左チャンネルのオーディオ信号がオーディオ機器4−5のスピーカ65から出力される。なお、ステレオペア設定は、上述の同期再生のグループ設定とは異なる処理である。以下、ステレオペア設定におけるステレオでの同期再生をステレオ再生とし、グループ設定における同期再生を同期再生と表現して区別する。なお、グループ設定および同期再生については後述する。
携帯電話機1は、オーディオシステム制御プログラム70(図2参照)が起動されることによりオーディオシステムコントローラ(以下、コントローラ)1として機能する。携帯電話機1(コントローラ1)は、オーディオシステム10に所属する各オーディオ機器4とネットワーク9を介して通信する。コントローラ1は、この通信により、オーディオシステム10の各オーディオ機器4−1〜4−7で再生するオーディオソース(たとえば、どのオーディオ機器4でどの楽曲を再生するか、どの楽曲をどのオーディオ機器4に配信するかなど)やその音量などを統括制御する。さらに、コントローラ1として、同期再生を行うグループ設定も行う。
《構成の説明》
次に、図2のブロック図を参照して、携帯電話機1の構成を説明する。携帯電話機1は、いわゆるスマートフォンと言われる多機能電話機である。携帯電話機1は、携帯通信網である3G/4G通信機能、無線LAN(Wi−Fi)通信機能、および、Bluetooth(登録商標)通信機能を有している。携帯電話機1は、アプリケーションプログラムであるオーディオシステム制御プログラム70を起動することにより、コントローラ1として機能し、ネットワーク9経由でオーディオシステムのオーディオ機器4と通信し、ユーザの操作に応じたコマンドメッセージをオーディオ機器4に送信してオーディオシステム10を制御する。
携帯電話機1は、バス26上に、制御部20、操作部30、メディアインタフェース31、Wi−Fi通信回路32、3G/4G通信回路33、および、Bluetooth(登録商標)通信部34を有している。制御部20は、CPU21、ROM(フラッシュメモリ)22、RAM23、画像プロセッサ24および音声プロセッサ25を含んでいる。画像プロセッサ24には、ビデオRAM(VRAM)40が接続され、VRAM40には表示部41が接続されている。表示部41は液晶のディスプレイを含んでいる。ディスプレイには、待ち受け画面や電話番号などが表示される。また、コントローラ1として機能する場合は、オーディオ機器4を制御するための画面が表示される。音声プロセッサ25には、D/Aコンバータを含むアンプ42が接続され、アンプ42にはスピーカ16が接続されている。
画像プロセッサ24は、待ち受け画面や電話番号等などの種々の映像を生成するGPU(Graphics Processing Unit,グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を備えている。画像プロセッサ24は、オーディオシステム制御プログラム70が起動された場合には、CPU21の指示に従ってオーディオコントローラの画像を生成し、これをVRAM40上に展開する。VRAM40上に展開された画像は表示部41に表示される。
音声プロセッサ25は、通話音声をエンコード/デコードするDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)を有している。音声プロセッサ25は、デコード/生成した音声をアンプ42に出力する。アンプ42は、この音声信号を増幅してスピーカ16に出力する。
無線LAN通信回路32は、ルータ2との間でIEEE802.11gなどの規格で無線通信を行い、アクセスポイント3,7を介してオーディオ機器4と通信する。3G/4G通信回路33は、携帯電話通信網を介して、音声通話およびデータ通信を行う。Bluetooth通信部34は、他のBluetooth対応機器と通信し、例えばオーディオ信号の送受信等を行う。
操作部30は、表示部41上に形成されたタッチパネル310(図16等参照)を含み、タッチパネル310上のタッチ操作、フリック操作を検出する。オーディオシステム制御プログラム70が起動されると、表示部41には、セットアップボタン、スキャンボタンなどの複数の操作子が表示される。操作部30は、タッチパネル310でユーザのタッチ操作およびその座標を検出し、どの操作子が操作されたかを判断する。
メディアインタフェース31にはメモリカード15が接続される。メモリカード15は、たとえばマイクロSDカードである。オーディオシステム制御プログラム70は、メモリカード15またはROM22に保存される。この実施形態では、図2に示したように、オーディオシステム制御プログラム70はメモリカード15に保存されるものとする。なお、オーディオシステム制御プログラム70は、3G/4Gまたは無線LANのデータ通信によってダウンロードされてもよく、ROM22またはメモリカード15に予め記憶されていてもよい。また、メモリカード15には、オーディオシステムの構成(後述するシステム管理テーブル、オーディオ制御テーブルなど)を記憶する記憶エリア71が設定される。
ROM22には、この携帯電話機1の通話やアプリケーションプログラムを実行するための基本プログラムが記憶されている。また、ROM22はフラッシュメモリであり、基本プログラムのほか、ダウンロードされたアプリケーションプログラムなどを記憶することも可能である。RAM23には、CPU20がオーディオシステム制御プログラム70を実行する際に使用されるワークエリアが設定される。
次に図3を参照してオーディオ機器4の構成について説明する。オーディオ機器4は、制御部50、オーディオ処理部51、スピーカ65、操作部59、メモリ60、点灯回路61およびLED62を有するとともに、2つの無線LAN通信部(RFモジュール)56、57および有線LAN通信部58を有している。操作部59は、コネクトボタン59A、再生/停止ボタン59B、ボリュームアップボタン59Cおよびボリュームダウンボタン59Dを有している。制御部50は、CPUおよびメモリを含み、オーディオシステムプログラム50Aを記憶している。制御部50は、オーディオシステムプログラム50Aにより、オーディオ処理部51、無線LAN通信部56、57、有線LAN通信部58、および点灯回路61の動作を制御する。また、制御部50は、コネクトボタン59Aが押下されたとき、このオーディオ機器4をネットワーク(オーディオシステム10)に接続するための動作であるイニシャル接続動作を実行する。イニシャル接続動作については詳細説明は省略する。
さらに、制御部50は、再生/停止ボタン59Bが押下されたときオーディオ処理部51などを制御してオーディオソースの再生動作を実行する。また、制御部50は、ボリュームアップボタン59Cおよびボリュームダウンボタン59Dが押下されたときオーディオ処理部51を制御してオーディオソースの音量のアップおよびダウンを行う。また、制御部50は、再生/停止ボタン59Bとボリュームアップボタン59Cとが同時に長押し(たとえば3秒間押下)されたとき、Rch(右チャンネル)用のステレオペア設定を実行する。さらに、制御部50は、再生/停止ボタン59Bとボリュームダウンボタン59Dとが同時に長押し(たとえば3秒間押下)されたとき、Lch(左チャンネル)用のステレオペア設定を実行する。ステレオペア設定については後述する。
また、オーディオシステムプログラム50Aを実行することにより、コンテンツの同期再生を制御するマスタとなる同期再生コントローラとしても機能する。
無線LAN通信部56は、IEEE802.11gなどの無線LAN規格で外部アクセスポイント3または上位オーディオ機器4の内部アクセスポイント4Aと無線通信を行う。また、もう一つの無線LAN通信部57は、アクセスポイント(内部アクセスポイント4A)として起動され、他のオーディオ機器(たとえばオーディオ機器4−2,4−3など)を有線LAN2に中継する。また、無線LAN通信部57は、このオーディオ機器4のイニシャル接続時にもイニシャル接続用の仮アクセスポイントとして起動され、コントローラ1(携帯電話機1)と通信する。イニシャル接続時の動作は後述する。なお、2つの無線LAN通信部56、57は、1つのハードウェアを時分割で動作させて実現してもよい。有線LAN通信部58は、ケーブルコネクタを有し、IEEE802.3などの通信規格で有線LAN2−アクセスポイント3を介した通信を行う。アクセスポイント3には、コントローラ(携帯電話機)1が接続されており、制御部50は、ネットワーク9を経由してコントローラ1と通信し、動作状態を送信したり、コマンドメッセージを受信したりする。
内部アクセスポイント4AのSSIDおよびパスワードは、無線LAN通信部57のMACアドレスから割り出し可能な文字列にされている。たとえば、MACアドレスをオクテット表現したものをSSIDとし、下3オクテット(機種ID+シリアル番号)をパスワードとするなどである。これにより、新たにオーディオシステムに参加するオーディオ機器は、SSIDに基づいて、すなわち、MACアドレスのベンダーIDおよび機種IDに基づいて、内部アクセスポイント4Aを発見することができ、且つ、自らパスワードを生成してその内部アクセスポイント4Aに接続することができる。これにより、内部アクセスポイント4Aに接続する場合の、ユーザによるSSID、パスワードの入力を省略することができる。なお、内部アクセスポイント4AのSSID、パスワードの生成方式は上記のものに限定されない
オーディオ処理部51は、チューナ52、オーディオ回路53、パワーアンプ54を有している。チューナ52は、FM放送またはインターネットからオーディオ信号を受信してオーディオ回路53に入力する。オーディオ回路53は、入力されたオーディオ信号に対してイコライズ、音量調整などの処理を行う。
また、オーディオ回路53は、ステレオペア設定中、ぺアとなる他のオーディオ機器4とのステレオ再生のため、入力されたオーディオ信号からRchまたはLchのオーディオ信号を分離する。たとえば、このオーディオ機器4がステレオペア設定においてRch設定であった場合、オーディオ回路53は、入力されたオーディオ信号からRchのオーディオ信号を分離する。
オーディオ回路53は、処理したオーディオ信号をパワーアンプ54に出力する。パワーアンプ54は入力されたオーディオ信号を増幅し、外部接続されているスピーカ65に出力する。スピーカ65は、たとえばモノラルスピーカであり、入力されたオーディオ信号を音響として放音する。
また、オーディオ回路53は、同期再生などのため他のオーディオ機器4に送信するべく、処理したオーディオ信号を通信部56,57,58に出力可能である。さらに、オーディオ回路53は、同期再生などのため他のオーディオ機器4から送信されたオーディオ信号も通信部56,57,58を経由して入力される。
メモリ60は、たとえばEEPROMであり、オーディオ機器4自身の機器情報(機器名称、無線LAN通信部のMACアドレスやIPアドレス、設置場所、ペアリング情報、グルーピング情報など)、システム情報(システム管理テーブル:図4照)、再生パラメータなどを記憶する。機器名称は、機器の出荷時に書き込まれる「デバイス名」が含まれる。
ペアリング情報(機器間の関係情報)は、ペア設定された他のオーディオ機器4とのステレオ再生に関する情報となる。具体的には、ペア設定有無、親子情報および再生チャンネル(Rch/Lch)の情報が含まれる。親子情報には、自身が親機であるか子機であるかを特定する情報、および、ペアとなる他のオーディオ機器を特定する情報が含まれる。他のオーディオ機器を特定する情報としては、たとえばIPアドレスがある。再生チャンネルは、自身が再生するオーディオ信号の再生チャンネル(Rch/Lch)を特定する情報である。再生パラメータは、各オーディオ機器4の再生に関する設定情報となる。たとえば、イコライザおよび音量等のコントローラ1で設定されてオーディオ機器4に送信されてくる設定情報が含まれる。
本実施形態における親機/子機の設定は、各オーディオ機器4の接続位置によって決定される。接続位置には優先順位が対応付けられている。この実施形態では、優先度の高い順からルート(有線接続)、ブランチ(アクセスポイントなどルータ接続)、ノード、リーフとなっている。なお、優先順位が等しい場合は、たとえばRch設定のオーディオ機器4を親機とすればよい。また、優先順位は、適宜設定すればよく、また優先順位に基づいて親機/子機の設定を行わなくてもよい。
グルーピング情報は、同期再生のグループに関する情報である。具体的には、グループ設定有無、マスタ/クライアント情報が含まれる。マスタ/クライアント情報には、自身が同期再生のマスタであるかクライアントであるかを特定する情報、および、マスタおよびクライアントを特定する情報が含まれる。マスタおよびクライアントを特定する情報としては、たとえばIPアドレスがある。マスタおよびクライアントについては後述する。
点灯回路61は、LED62を点灯させる。たとえば、オーディオ機器4の起動中に点灯し、起動している状態をユーザに報知する。本実施形態では、オーディオ機器4の起動中、再生/停止ボタン59Bのみを長押し(たとえば3秒間)することによって、このオーディオ機器4のステレオペア設定の再生チャンネルの状態を報知する点灯が行われる。Rch設定の場合、短い点滅間隔でLED62が点滅し、Lchの場合、Rchの場合よりも長い点滅間隔でLED62が点滅する。制御部50は、上述したステレオペア設定の情報に基づいて上記点滅動作を制御する。
なお、オーディオ機器4−1〜4−7は、それぞれ異なる機器であってよいが、通信機能およびオーディオ信号処理機能の基本的な構成は図3に示したものである。
《テーブルの説明》
図4および図5は、オーディオシステム10を管理するテーブルの一例を示す図である。図4は、ネットワーク9における各オーディオ機器4の接続形態を管理するシステム管理テーブルである。また、図5は、オーディオシステム10における各オーディオ機器4の動作を管理するオーディオ制御テーブルである。システム管理テーブルは、主としてルート機器4−1によってネットワーク接続の管理に用いられる。また、オーディオ制御テーブルは、主としてコントローラ1によって、オーディオソースの再生制御に用いられる。
システム管理テーブルは、オーディオシステム10を構成する各オーディオ機器4(コンポーネント機器)の接続形態を記憶したものであり、オーディオシステム10の構築時にコントローラ1が作成する。また、オーディオシステム10へ新たなオーディオ機器4が追加されたとき、コントローラ1がこのオーディオ機器4を追加する更新を行う。作成または追加更新されたシステム管理テーブルは、コントローラ1からルート機器4−1に送信される。その後、システム管理テーブルは、オーディオシステム10の動作中に、いずれかのコンポーネント機器の切断または再接続が発生するごとに、ルート機器4−1よって該切断、再接続が検出され、内容が更新される。また、ルート機器4−1は、定期的にシステム管理テーブルの内容の全部または一部をシステム情報として各コンポーネント機器およびコントローラ1に送信する。これにより、各コンポーネント機器およびコントローラ1は常に最新のシステム情報を保持することができる。以上のシステム情報の送信の詳細動作については後述する。
システム管理テーブルは、このオーディオシステム10毎に割り当てられるシステムID(詳述せず)で識別される。各コンポーネント機器は、各機器の機器IDに対応づけて、上位側(子機側)/下位側(内部アクセスポイント側)のMACアドレス(すなわち無線LAN通信部56/57のMACアドレス)、上位側/下位側のIPアドレス(すなわち無線LAN通信部56/57のIPアドレス)、ルート機器4−1からの接続段数(HOP数)、内部アクセスポイントの起動の有無、内部アクセスポイント4Aに接続している下位機器の数(Child数)などの情報を記憶している。
なお、各コンポーネント機器は、個別のIPアドレスを有しているが、このオーディオシステム10は、マルチキャストグループとしてマルチキャストアドレスが設定されている。このマルチキャストアドレス宛に上記のシステム情報のIPパケットを送信することにより、オーディオシステム10の全コンポーネント機器にこのシステム情報パケットを受信させることができる。なお、システム情報パケットを各コンポーネント機器のIPアドレス宛にユニキャストで送信してもよいが、マルチキャストで送信することによりネットワーク9の負荷を小さくすることができる。
図5のオーディオ制御テーブルは、各機器の機器IDに対応づけて、各コンポーネント機器の上位側IPアドレス(無線LAN通信部56のIPアドレス)、機種、設置場所、グルーピング、ペアリング、サービスおよび各種設定情報が記憶される。オーディオ制御テーブルの各欄とシステム管理テーブルの各欄とは機器IDで対応づけられる。コントローラ1は、このオーディオ制御テーブルの内容に基づいてコントロール画面(図16〜17参照)を作成し、ユーザによる各コンポーネント機器の制御を受け付ける。コントローラ1は、定期的にオーディオ制御テーブルの内容の全部または一部を設定情報として各コンポーネント機器に送信する。これにより、各コンポーネント機器は常に最新の設定情報を保持することができる。
機種情報は、オーディオ機器4の機器名称の情報(たとえばテキストデータ)である。設置場所情報は、オーディオ機器4が設置されているルームを特定する情報である。グルーピング情報は、オーディオ機器4が所属するグループの情報であり、上述したコンテンツの同期再生を行うグル―プを示す。なお、この実施形態では、1つのグループのみが設定される。また、1グループに所属するオーディオ機器4は、同期再生マスタ(マスタ機器)と、同期再生クライアント(クライアント機器)のいずれかに設定される。
同期再生マスタは、グループ全体へのオーディオソースの供給および同期再生の制御を担当するとともに、また自身も同期再生の1機器として機能する。同期再生クライアントは、同期再生マスタの指示にしたがってコンテンツを再生する。たとえば、同図に示す「1A」は、同期再生マスタとしてグループに所属するオーディオ機器4を示す。また、「1B」は、同期再生クライアントとしてグループに所属するオーディオ機器4を示す。「1A」,「1B」以外は、グループに所属していないオーディオ機器4を示す。グループは、上述したようにコントローラ1を操作して機器単位でマスタ、クライアントなどを設定することで形成することができる。詳細は後述する。
ペアリング情報は、ステレオ再生するペアとなる2つのオーディオ機器4に関する情報となる。具体的には、ペア番号、親子関係および再生チャンネル(Rch,Lch)の情報が書き込まれる。ペア番号は、いずれのオーディオ機器4がペアであるかを特定する番号である。親子関係は、ペアとなる2つのオーディオ機器4のいずれが親機であるか子機であるかを特定する情報である。再生チャンネルは、ペアとなる2つのオーディオ機器4のいずれがRchのオーディオ信号を再生するか、Lchのオーディオ信号を再生するかを特定する情報である。本実施形態では、これらの情報が数値情報として(ペア番号,再生チャンネル,親子関係)の順に記述されている。
なお、オーディオ制御テーブルに含まれるペアリング情報は、オーディオ機器4間でステレオペア設定された際、コントローラ1の各機器のポーリング時に取得されたペアリング情報に基づいて更新される。
サービス情報は、オーディオ機器が再生可能なオーディオソースであり、CD(CDプレーヤ)、Radio(FM放送、ネットラジオを含む)、ネット配信等がある。ネット配信とは、オーディオ機器4がインターネット5を介して楽曲配信サービスの配信サーバ6にアクセスし、ユーザによって選択された楽曲(コンテンツ)のオーディオデータをストリーミングでダウンロードして再生する機能である。
各種設定情報は、各オーディオ機器4の再生パラメータなどの各種設定情報が記憶される。再生パラメータは、各オーディオ機器4の再生に関する設定情報となる。たとえば、イコライザおよび音量の設定情報が含まれる。なお、ステレオ設定された親機および子機では、親機の再生パラメータが共通の再生パラメータとなるので、親機および子機の再生パラメータは同一内容となる。
オーディオシステム10を構築する場合、最初にコントローラ1の制御アプリにてルート機器4−1を設定してオーディオシステム10を構築する。その後、このオーディオシステム10にルート機器4−1以外のオーディオ機器4を追加してゆく。ユーザは、以下の手順で作業する。ルート機器となるオーディオ機器4−1を有線LAN2にケーブルに接続する。携帯電話機1上でコントローラ1をセットアップモードで起動する。コントローラ1の画面の指示に従いオーディオ機器4−1のコネクトボタン59Aを押下する。ユーザが以上の作業を行えば、コントローラ1とルート機器4−1は、相互に通信し、自動でオーディオシステム10を構築する。その後、オーディオシステム10に新たなオーディオ機器4を追加する場合、ユーザは、コントローラ1をセットアップモードで起動し、追加するオーディオ機器4の電源をオンして(無線LAN通信部56,57を起動して)、コネクトボタン59Aを押下すれば、そのオーディオ機器4は、コントローラ1およびルート機器4−1と通信し、上述のSSIDからパスワードを自動生成することで、自動でオーディオシステム10に追加される。
《オーディオシステム構築手順の説明》
図6〜図9を参照して、オーディオシステム10の構築時、および、オーディオシステム10へのオーディオ機器4の追加時におけるコントローラ1とオーディオ機器4との通信手順について説明する。
図6は、新規にオーディオシステム10を構築する場合のコントローラ1とルート機器となるオーディオ機器4−1との通信手順を示す図である。携帯電話機1は、オーディオシステム制御プログラム70(アプリ)が起動されて、コントローラ1として機能している。ユーザの操作によってコントローラ1がセットアップモードになると(S31)、表示部41にオーディオ機器4のコネクトボタン59Aを押下することを促す案内画面が表示される。この画面の案内に従いユーザはオーディオ機器4−1のコネクトボタン59Aを押下する(S41)。次に、コントローラ1は、有線LAN2に接続された新規のオーディオ機器を検索する(S32)。この検索はポーリングなど返信を要求するメッセージを送信することで行われる。オーディオ機器4−1は、この検索に対して応答する(S42)。これにより、コントローラ1とオーディオ機器4−1は、有線LAN2,アクセスポイント3を介して相互通信を開始する。
オーディオ機器4−1は、自分自身の機器情報(無線LAN通信部のMACアドレスやIPアドレスなど)をコントローラ1に送信する(S43)。コントローラ1は、このオーディオ機器4−1をルート機器とする新規のオーディオシステム10を構築する。オーディオシステム10にシステムIDを割り当て(S34)、図4、図5に示すシステム管理テーブルおよびオーディオ制御テーブルを作成して、現在通信しているオーディオ機器4をルート機器とするオーディオシステム10を構築する(S35)。オーディオシステム10が構築されると、システム管理テーブルをルート機器となったオーディオ機器4−1に送信し(S36)、セットアップモードを終了する(S37)。オーディオ機器4−1はこのシステム管理テーブルを受信して(S44)、保存する(S45)。これにより、オーディオ機器4−1を基幹の構成要素(コンポーネント)であるルート機器とするオーディオシステム10が構築される。以後は、コントローラ1によって、再生楽曲やその音量などを制御されるようになる。オーディオ機器4は、ステルスモードでアクセスポイントを起動する(S46)。
図7は、構築済みのオーディオシステム10に、新たなオーディオ機器が追加される場合の通信手順を示す図である。コンポーネント機器は、既にオーディオシステム10の構成要素となっているオーディオ機器4であり、ここでは、内部アクセスポイント4Aを起動しているルート機器またはノード機器である。新規機器は、これから新たに追加されるオーディオ機器4である。
コントローラ1として機能している携帯電話機1が、ユーザの操作によってセットアップモードになる(S51)と、表示部41にオーディオ機器4(新規機器)のコネクトボタン59Aを押下することを促す案内画面が表示される。この画面の案内に従いユーザは新規機器のコネクトボタン59Aを押下する(S71)。コントローラは、既に登録されているオーディオ機器4であるコンポーネント機器に、内部アクセスポイント4Aのステルスモードを解除するよう指示する(S52)。これによりコンポーネント機器は、内部アクセスポイント4Aのステルスモードを解除し、自己の存在を知らせるビーコンフレームを送信して新規機器のパッシブスキャンを可能にする(S61)。次に、コントローラ1は、新規機器の検索を開始する(S53)。
新規機器は、ユーザによってコネクトボタン59Aが押下されると(S71)、イニシャル接続モードになり、接続可能なアクセスポイントを検索(パッシブスキャン)する(S72)。この検索で、新規機器は、接続可能なアクセスポインとして、コンポーネント機器の内部アクセスポイント4Aを発見する。上述したように、内部アクセスポイント4Aは、新規機器から見てオーディオシステム10の機器であることを識別可能なSSIDを有しており、かつ、そのSSID(またはMACアドレス)からパスワードを生成して接続可能である。新規機器は、発見した内部アクセスポイント4Aのなかから最寄りの(最も接続しやすい)ものを選択し、このSSIDおよび生成したパスワードを用いて、選択した内部アクセスポイント4Aに仮接続する(S73)。この接続は、システム情報を取得するための仮接続であり、オーディオシステム10に参加するための本接続ではない。そして、接続した内部アクセスポイント4A(コンポーネント機器)からオーディオシステム10の現時点でのシステム情報を取得する(S62、S74)。システム情報は、システム管理テーブルの全部または一部の内容からなる情報であり、定期的にルート機器4−1が更新して他のコンポーネント機器に配信される。新規機器は、取得したシステム情報に基づいて、オーディオシステム10に参加するために最適のアクセスポイントを選択する(S75)。この選択は、各アクセスポイントの電波強度、ルート機器4−1からの接続段数、そのアクセスポイントに接続されているコンポーネント機器の数などに基づいて行われ、通信条件がよさそうなアクセスポイントが選択される。
図7の例(S100が実行されない例)では、仮接続した内部アクセスポイント4Aが本接続においても最適であると判断し、接続先を変更しない場合の流れを示している。たとえば、ルート機器4−1の内部アクセスポイント4A−1に接続されている場合等がこれに相当する。本接続で仮接続の内部アクセスポイント4Aから接続先を変更する場合には、図7に示すS100の区間で図8または図9の手順が実行される。本接続が完了すると(図7の場合には仮接続を本接続としたのち)、新規機器は、コントローラ1からの新規機器検索メッセージ(S53)を受信し、これに対して応答する(S76)。これで新規機器は、コントローラ1と通信可能になる。これにより、新規機器は、コントローラ1によって再生する楽曲やその音量などが制御されるようになり、オーディオシステム10の構成要素(コンポーネント)となる。
新規機器は、自分自身の機器情報(無線LAN通信部のMACアドレスやIPアドレス、設置場所など)をコントローラ1に送信する(S77)。コントローラ1は、この機器情報を受信し(S54)、システム管理テーブルおよびオーディオ制御テーブルにこの新規オーディオ機器4を登録してこれらを更新する(S55)。コントローラ1は、更新したシステム管理テーブルをルート機器4−1に送信して(S56)、セットアップモードを終了する(S57)。ルート機器4−1は、システム管理テーブルの全部または一部の内容からなるシステム情報を、接続確認メッセージとして、定期的に他のコンポーネント機器に配信する。セットアップモード終了の通知はコントローラ1から全てのオーディオ機器4に送信されるが、コントローラ1がルート機器4−1に対して行い、ルート機器4−1がオーディオシステム10の他のオーディオ機器4に転送するようにしてもよい。
ルート機器4−1からシステム情報を受信した新規機器は、このシステム情報を保存する(S78)。こののち新規機器は、ステルスモードで内部アクセスポイント4Aを起動する(S79)。また、ルート機器4−1からシステム情報を受信したコンポーネント機器は、この情報で内部に記憶しているシステム情報を更新する(S63)。そして、内部アクセスポイント4Aをステルスモードに戻す(S64)。以上の処理により、構築済みのオーディオシステム10に新たな機器を追加することができる。なお、コンポーネント機器、新規機器ともに、ステルスモードで内部アクセスポイント4Aを立てるのは、ルート機器、ノード機器のみであり、リーフ機器、ブランチ機器ではS64、S79の処理は行われない。
図8は、新規機器が、S75で仮接続の内部アクセスポイント4Aを切断して、ツリー内の他の内部アクセスポイント4Aに接続し直す場合の通信手順を示す図である。図6のS75で本接続の接続先として他の内部アクセスポイント4Aが選択されると、現在仮接続している内部アクセスポイント4Aを切断し(S81)、選択された内部アクセスポイント4Aにシステム情報のアドレス情報を用いて本接続する(S82)。こののち、図7のS76に進む。
図9は、新規機器が、S75で仮接続の内部アクセスポイント4Aを切断して、外部アクセスポイント3にブランチ機器として接続し直す場合の通信手順を示す図である。図6のS75で本接続の接続先として外部アクセスポイント3が選択されると、現在仮接続している内部アクセスポイント4Aを切断し(S91)、イニシャル接続時のみの仮アクセスポイントをスタンドアローンで起動する(S92)。すなわち、有線LAN2には接続されず新規機器に接続されるのみの内部アクセスポイント4Aを起動する。コントローラ1は、このイニシャル接続仮アクセスポイントのSSIDおよびパスワードを予め記憶している。すなわち、このSSIDおよびパスワードは、オーディオシステム制御プログラム70に予めデータとして書き込まれている。したがって、コントローラ1は、S53で開始した新規機器検索の中でこの仮アクセスポイントを発見し、外部アクセスポイント3との接続を一旦解除して、新規機器が起動した仮アクセスポイントに接続する(S83)。コントローラ1は、携帯電話機1のシステムプログラムから外部アクセスポイント3のSSID、パスワードを取得することができない可能性が高いため、ここでは、ユーザに外部アクセスポイント3のSSIDおよびパスワードの入力を求める(S84)。SSIDの入力は、そのとき見えている接続先(SSID)の一覧をディスプレイに表示し、ユーザに外部アクセスポイント3のSSIDを選択させる方式でよい。パスワード(通常は外部アクセスポイント3の本体に表記されている)は、ユーザに入力させる。
そして、この入力された接続情報を仮アクセスポイントを起動している新規機器に送信する(S85)。新規機器がこの接続情報を受信する(S93)。コントローラ1は、新規機器に外部アクセスポイント3の接続情報(SSID,パスワード)を送信したのち、仮アクセスポイントとの接続を解消する(S86)。新規機器は、外部アクセスポイント3の接続情報をコントローラ1から受信すると、仮アクセスポイントを停止する(S94)。コントローラ1は、一旦接続を解除した外部アクセスポイント3に再度接続する(S87)。新規機器も取得した接続情報を用いて外部アクセスポイント3に接続する(S95)。こののち図7の手順にもどって、コントローラ1は新規機器検索を行い(S53)、新規機器はこれに応答する(S76)。なお、仮接続したコンポーネント機器から取得したシステム情報に外部アクセスポイント3の接続情報が含まれている場合は、S101で示した処理(S83−S87、S92−94)を省略して図8と同じように外部アクセスポイント3に接続し直せばよい。
《ステレオペア設定・解除手順の説明》
次に、図10に示すフローチャートを参照してステレオペア設定処理について説明する。図10(A)は、Rchのステレオペア設定処理を示すフローチャートである。図10(B)は、Lchのステレオペア設定処理を示すフローチャートである。各ステレオペア設定処理では、ペアとなる2つのオーディオ機器4を特定し、親機および子機の設定およびR/Lchの設定が行われる。
Rchのステレオペア設定処理は、Rchでステレオペア設定させたいオーディオ機器4の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームアップボタン59Cを同時に長押しした場合に実行される。一方、Lchのステレオペア設定処理は、Lchでステレオペア設定させたいオーディオ機器4の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームダウンボタン59Dを同時に長押しした場合に実行が開始される。すなわち、ステレオペア設定におけるR/Lchの設定は、上述したようにいずれの組合せのボタンを長押しするかによってステレオペア設定処理の開始時に決定される。
以下、オーディオ機器4−4の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームアップボタン59Cを同時に長押しし、オーディオ機器4−5の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームダウンボタン59Dを同時に長押しした場合を例として説明する。
オーディオ機器4−4は、記憶しているシステム管理テーブルから自身の接続位置(優先順位情報)、MACアドレス1(識別情報)を取得する(S130)。そして、オーディオ機器4−4は、取得した接続位置、MACアドレス1に加え、再生パラメータを含む待受通知を、オーディオシステム10内の他のオーディオ機器4に向けてマルチキャストで送信する(S131)。
再生パラメータは、オーディオ機器4−4が記憶している再生パラメータである。本実施形態では、ステレオ設定された親機および子機では、親機の再生パラメータが共通の再生パラメータとなる。
一方、オーディオ機器4−5は、マルチキャストで送信された待受通知を受信し(S140)、受信した接続位置と、自身の接続位置とを比較して親子関係を決定する(S141)。オーディオ機器4−4,4−5では、同じリーフで優先順位としては同じであるため、Rch設定となるオーディオ機器4−4が親機に決定される。
次に、オーディオ機器4−5は、ペアリング情報などの各設定を更新する(S142)。オーディオ機器4−4が親機になる場合には、ペアリング情報に加え、待受通知とともに受信した再生パラメータを、自身の再生パラメータとして更新する。一方、オーディオ機器4−4が子機になる場合には再生パラメータの更新は行わない。その後、オーディオ機器4−5は、親子関係、自身の再生パラメータおよび自身のMACアドレス1を含む応答通知(ACK)を、ユニキャストでオーディオ機器4−4に送信する(S143)。
その後、オーディオ機器4−4は、応答通知を受信し(S132)、上述と同様にペアリング情報などの各設定を更新する(S133)。この場合も、オーディオ機器4−5が親機になる場合には、応答通知とともに受信した再生パラメータを自身の再生パラメータとして更新する。一方、オーディオ機器4−5が子機になる場合には再生パラメータの更新は行わない。
その後、親機であるオーディオ機器4−4は、コントローラ1にペアリング情報を送信する(S134)。ペアリング情報を受信したコントローラ1は、オーディオ制御テーブルのペアリング情報を更新する。なお、S134に代えて、S143の応答通知の後に子機からコントローラ1にペアリング情報を送信するようにしてもよい。
なお、オーディオ機器4−4は、S131においてマルチキャストでの送信を行っているが、たとえば5分間繰り返してマルチキャスト送信を行って、応答通知がなければタイムアウトとして処理を終了すればよい。また、オーディオ機器4−5においても、たとえば、Lchのステレオペア設定処理を開始して5分間、待受通知を受信しなかった場合にはタイムアウトとして処理を終了すればよい。
また、R/Lchのステレオペア設定処理は、タイムアウトとならないタイミングで開始すれば、いずれが先に開始されてもよい。
さらに、上述のステレオペア設定処理では、優先順位情報を待受通知に含めて送信して相手のオーディオ機器4において親子関係を決定しているが、各オーディオ機器4が全てのオーディオ機器4の優先順位情報を記憶している場合には、各オーディオ機器4で親子関係を決定するようにしてもよい。この場合、待受通知に接続位置の情報を含めなくてもよい。また、応答通知に親子関係を含めなくてもよい。さらに、再生パラメータも、各オーディオ機器4が全てのオーディオ機器4の再生パラメータを記憶している場合には、待受通知および応答通知に含めなくてもよい。
次に、図11に示すフローチャートを参照してステレオペア解除処理について説明する。ステレオペア解除処理では、現在設定されているステレオペア設定が解除(リセット)される。この処理は、親機または子機で解除操作を行うことで開始される。たとえば、親機または子機の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームアップボタン59Cを同時に長押しした場合に長押しされた親機(または子機)によって実行が開始される。以下、上述の例を用いて子機4−5が再生/停止ボタン59Bおよびボリュームアップボタン59Cを同時に長押しした場合について説明する。
子機4−5は、解除通知をユニキャストで親機4−4に送信する(S150)。次に、子機4−5は、ステレオペア設定を解除する(S151)。具体的には、ペアリング情報をリセットする。すなわち、ペアリング情報のペア設定を設定無しに変更する。なお、S151において、再生パラメータをステレオ設定される前の自身の再生パラメータに戻すようにしてもよい。この場合、ステレオ設定される前の再生パラメータを別の記憶領域に記憶しておけばよい。
一方、親機4−4は、解除通知を受信し(S160)、上述と同様にステレオペア設定を解除する(S161)。なお、解除通知を送信してきた子機4−5へは応答通知は必要ない。これにより、親機4−4および子機4−5がネットワークから切断されて通信不能である場合であっても、互いのステレオペア設定を解除することができる。
たとえば、親機4−4がネットワークから切断されていた場合、子機4−5からの解除通知を受信できないが、図11に示すように子機4−5自身は、設定を解除できる。一方、親機4−4では、別途、ユーザが親機4−4の再生/停止ボタン59Bおよびボリュームアップボタン59Cを同時に長押しすることで設定が解除される。
また、ペア設定解除後、親機であったオーディオ機器4は、ペア設定解除情報をコントローラ1に送信する。なお、子機であったオーディオ機器4がコントローラ1に送信してもよい。また、親機であったオーディオ機器4および子機であったオーディオ機器4のそれぞれがコントローラ1に送信してもよい。ペア設定解除情報を受信したコントローラ1は、ペア設定解除情報に基づいてオーディオ制御テーブルのペアリング情報を更新する。
《ステレオペアにおけるコマンド送受信手順の説明》
次に、図12〜図15を参照してステレオペア設定されているオーディオ機器4の再生パラメータの更新処理および再生/停止コマンドの送信処理について説明する。図12は、ステレオペア設定されたオーディオ機器4間のコマンドなどの送信形態を説明する説明図である。図13は、コントローラ1による再生パラメータの更新処理および再生/停止コマンドの送信処理を示すフローチャートである。図14は、親機による再生パラメータの更新処理および再生/停止コマンドの送信処理を示すフローチャートである。図15は、子機による再生パラメータの更新処理および再生/停止コマンドの送信処理を示すフローチャートである。
本実施形態では、ユーザが、ステレオペア設定された親機および子機の操作部59(ボリュームアップボタン59Cおよびボリュームダウンボタン59Dなど)、または、コントローラ1の操作部30(タッチパネル30A)を操作することによってステレオ設定されているオーディオ機器4の再生パラメータの設定を変更することが可能である。ステレオペア設定の場合、親機および子機は同一の再生パラメータとなるので、変更内容は親機および子機の再生パラメータの両方に反映される。
再生/停止コマンドは、コンテンツの再生、停止(一時停止含む)の指示である。再生/停止コマンドを受信したオーディオ機器4は、コマンドに従って再生などを開始する。ステレオペア設定されている場合、ユーザによる親機および子機の操作部59(再生/停止ボタン59B)、または、コントローラ1の操作部30(タッチパネル30A)の操作に応じて再生/停止コマンドが発生する。
本実施形態の再生パラメータの更新処理および再生/停止コマンドの送信処理は、コントローラ1、親機および子機のいずれの操作部30,59でユーザの操作が行われたかによって処理手順が異なる。なお、コントローラ1においては、各オーディオ機器4の再生パラメータの設定変更が可能であるが、子機に対する再生パラメータの更新、子機のみに対する再生/停止の操作は受け付けられない。
たとえば、オーディオ機器4−4が親機4−4であり、オーディオ機器4−5が子機4−5である場合につてい説明する。上述したように親機4−4および子機4−5は、1台のデバイスとして扱われる。そのため、コントローラ1で再生パラメータの変更が行われた場合は、コントローラ1から親機4−4にのみ更新された再生パラメータおよび更新コマンドが送信される。その後、親機4−4から子機4−5に更新された再生パラメータおよび更新コマンドが送信(転送)される。なお、更新コマンドは、再生パラメータの更新を指示するコマンドである。
また、親機4−4で再生パラメータの変更が行われた場合は、親機4−4からコントローラ1および子機4−5のそれぞれに更新された再生パラメータおよび更新コマンドが送信される。そして、子機4−5で再生パラメータの変更が行われた場合は、子機4−5から親機4−4にのみ更新された再生パラメータおよび更新コマンドが送信される。その後、親機4−4からコントローラ1に更新された再生パラメータおよび更新コマンドが送信される。なお、再生/停止コマンドなども同様である。したがって、本実施形態では、再生パラメータおよびコマンドの送信に関しては、親機が他の装置との通信を担当している。
次に、上述したコントローラ1(操作部30)において親機の再生パラメータの設定変更の操作が行われた場合について図13のフローチャーを参照して説明する。なお、図12と同様に親機4−4、子機4−5を例として説明する。
コントローラ1は、操作部30が受け付けた操作情報に基づいて、再生パラメータの更新を行う(S190)。この場合、親機4−4の再生パラメータと同一の内容で子機4−5の再生パラメータの更新も行われる。次に、コントローラ1は、親機4−4に、更新された再生パラメータを更新コマンドとともに送信する(S191)。
親機4−4は、コントローラ1から再生パラメータなどを受信し(S200)、現在記憶している再生パラメータを、受信した再生パラメータに更新する(S201)。次に、親機4−4は、受信した再生パラメータとともに更新コマンドを子機4−5に送信する(S202)。
子機4−5は、親機4−4から再生パラメータを受信し(S210)、現在記憶している再生パラメータを、受信した再生パラメータに更新する(S211)。これにより、コントローラ1側で変更された再生パラメータが、該当する親機および子機と同期される。
なお、再生/停止コマンドも同様の処理が行われて親機および子機に送信される。たとえば、再生コマンドの場合、コントローラ1での親機および子機の再生ステータスが再生中に更新され(S190)、再生コマンドがコントローラ1から親機4−4、親機4−4から子機4−5に送信される(S191,S202)。なお、再生ステータスは、各オーディオ機器4の再生状態を示す情報である。そして、再生コマンドを受信した親機4−4および子機4−5は、ステレオ再生を開始する。
次に、上述した親機の操作部59において再生パラメータの設定変更の操作が行われた場合について図14のフローチャートを参照して説明する。なお、図12と同様に親機4−4、子機4−5を例として説明する。また、親機4−4の操作部59では、自身の再生パラメータの設定変更のみ操作入力が受け付けられる。
親機4−4は、操作部59が受け付けた操作情報に基づいて、再生パラメータの更新を行う(S220)。次に、親機4−4は、コントローラ1および子機4−5に、更新された再生パラメータを更新コマンドとともに送信する(S221)。
コントローラ1および子機4−5は、親機4−4から再生パラメータなどを受信し(S230,S240)、現在記憶している再生パラメータを、受信した再生パラメータに更新する(S231、S241)。なお、コントローラ1は、オーディオ制御テーブルの各種設定情報に含まれる再生パラメータを更新する。これにより、親機4−4側で変更された再生パラメータが、コントローラ1および子機4−5と同期される。
なお、再生/停止コマンドも同様の処理が行われてコントローラ1および子機4−5に送信される。たとえば、再生コマンドの場合、親機および子機の再生ステータスが再生中に更新され(S220)、再生コマンドが親機から子機およびコントローラ1に送信される(S221)。そして、親機4−4および子機4−5は、ステレオ再生を開始する。
次に、上述した子機の操作部59において再生パラメータの設定変更の操作が行われた場合について図15のフローチャートを参照して説明する。なお、図12と同様に親機4−4、子機4−5を例として説明する。また、子機4−5の操作部59では、ステレオペアの子機に設定されている状態であるので、親機4−4の再生パラメータの設定変更であるとして操作入力が受け付けられる。
子機4−5は、操作部59が受け付けた操作情報に基づいて、再生パラメータの更新を行う(S250)。次に、子機4−5は、親機4−4に、更新された再生パラメータを更新コマンドとともに送信する(S251)。
親機4−4は、子機4−5から再生パラメータなどを受信し(S260)、現在記憶している再生パラメータを、受信した再生パラメータに更新する(S261)。次に、親機4−4は、コントローラ1に、受信した再生パラメータを更新コマンドとともに送信する(S262)。
コントローラ1は、親機4−4から再生パラメータなどを受信し(S270)、現在記憶しているオーディオ制御テーブルの各種設定情報に含まれる再生パラメータを、受信した再生パラメータに更新する(S271)。これにより、子機4−5側で変更された再生パラメータが、親機4−4およびコントローラ1と同期される。
なお、再生/停止コマンドも同様の処理が行われてコントローラ1および親機4−4に送信される。たとえば、再生コマンドの場合、親機4−4および子機4−5の再生ステータスが再生中に更新され(S250)、再生コマンドが子機4−5から親機4−5、親機4−4からコントローラ1に送信される(S251,S262)。そして、親機4−4および子機4−5は、ステレオ再生を開始する。
また、再生/停止コマンドのほか、オーディオ機器4の再生デバイスとして機能する部分の電源のON/OFFを指示する電源ON/OFFコマンドも同様な手順で送信すればよい。
《グループ設定の操作手順の説明》
次に、図16および図17に記載のオーディオシステム10におけるコントローラ1(携帯電話機1)のコントロール画面(表示部41の表示内容)を参照して、コントローラ1を用いたオーディオ機器4の制御手順(再生手順およびグループ設定手順)について説明する。図16(A)〜図16(D)は、再生制御時のコントロール画面の一例を示す図である。図17(A)および図17(B)は、グループ設定時のコントロール画面の一例を示す図である。
コントローラ1が起動されると、表示部41にコントロール画面が表示される。最初に、図16(A)の初期メニュー画面が表示される。ユーザが、セットアップボタン91をタップすると、タッチパネル410がこの操作を検出して上述したセットアップモードが開始される。また、ユーザが、同様にシステム接続ボタン92をタップすると、オーディオシステム10のオーディオ機器4との通信が開始される。そして、コントローラ1は、たとえば、停止するまでポーリング方式で各オーディオ機器4と定期的(たとえば10秒毎)に通信を行う。そして、各オーディオ機器4からの情報を受信する。
まず、オーディオ機器4にオーディオソースを再生させる再生手順について説明する。オーディオ機器4との通信が開始されると、コントローラ1(携帯電話機1)のコントロール画面(表示部41)に、図16(B)に示すような機器選択画面(一覧画面)が表示される。機器選択画面には、オーディオ機器4の選択ボタン(機器選択ボタン)が表示される。機器選択ボタンには、オーディオ機器4の機器名称が表示されている。なお、機器名称は、オーディオ制御テーブルの機種情報に基づいて表示される。
図16(B)の例では、4つの機器選択ボタン93〜96が表示されている。機器選択ボタン93は、AVレシーバを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−1が選択される。機器選択ボタン94は、プレーヤAを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−2が選択される。機器選択ボタン95は、プレーヤBを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−3が選択される。機器選択ボタン96は、スピーカAを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−4が選択される。ユーザは機器選択ボタン93〜96のいずれかを操作(タップ)することでオーディオ機器4を選択することができる。なお、図16(B)の例では、コントロール画面に表示されている機器選択ボタンは、93〜96の4つであるが、その他の機器選択ボタンもコントロール画面をタッチ操作によりスクロールさせることで表示可能である。
ユーザにより機器選択ボタンのいずれかが選択(タップ)されると、コントローラ1は、選択されたオーディ機器4のソース選択画面を表示する。ソース選択画面では、選択されたオーディオ機器4の再生可能(サービス可能)なソースを示すアイコンボタン(ソース選択画像)が表示される。図16(C)は、機器選択ボタン94のタップによりオーディオ機器4−2が選択された場合のソース選択画面を示している。このソース選択画面では、オーディオ機器4−2の再生可能なソースを示すアイコンボタン97〜99が表示されている。
アイコンボタン97は、CDを選択するボタンである。アイコンボタン98は、配信サーバ5によるネット配信を選択するボタンである。アイコンボタン99は、FM(ラジオ)を選択するボタンである。ユーザがアイコンボタンのうちの1つを選択(タップ)することで、選択されたソースが再生される。
たとえば、図16(C)において、アイコンボタン97が選択されると、コントローラ1は、オーディオ機器4-2に対してCDの再生をスタートする旨のコマンドメッセージ(再生コマンド)を送信し、図16(D)に示すようなCDの再生画面(Now Playing画面)を表示する。この画面には、PLAY/PAUSEボタンやボリュームスライダなどの操作部が表示されており、ユーザはこれら操作部を操作することでCDの楽曲(楽曲データ)の再生/停止・音量調節などを実行することができる。
次に、複数のオーディオ機器4で同じソースを同期して再生するグループの設定手順について説明する。グループ設定手順では、グループのマスタ(マスタ機器)となるオーディオ機器と、クライアント(クライアント機器)となるオーディオ機器とが選択される。グループ設定手順について、図17を用いて説明する。
グループ設定手順は、図16(B)に示すリンク(Link)ボタン230を選択することで開始される。リンクボタン230が選択されると、図17(A)に示すマスタ機器選択画面(一覧画面)が表示される。マスタ機器選択画面では、グループで同期再生されるオーディオ信号(オーディオソース)の供給元となるマスタを選択するためのマスタ機器選択ボタン121〜125が表示される。この画面で、たとえば、マスタ機器選択ボタン121が操作されると、オーディオ機器4−1が同期再生のマスタとなる。なお、図17(A)では、理解の容易のために、マスタ機器選択ボタンとして5つのボタン121〜125のみ表示しているが、その他のマスタ機器選択ボタンもコントロール画面をタッチ操作によりスクロールさせることで表示可能である。
マスタが選択されると、画面表示は図17(B)に示すクライアント機器選択画面に移行する。クライアント機器選択画面では、グループのクライアントを選択するためのクライアント機器選択ボタン225〜228が表示される。クライアント機器選択ボタン225〜228のいずれかがタップされると、タップされたボタン内のチェックボックスにチェックマークが表示され、選択された状態となる。図17(B)では、クライアント機器選択ボタン225,226の両方がタップされた状態を示している。この場合、クライアント機器選択ボタン225,226の両方のチェックボックスにチェックマークが表示され、オーディオ機器4−2,4−3がクライアントとなる。なお、図17(B)においても、理解の容易のために、クライアント機器選択ボタンとして4つのボタン225〜228のみ表示しているが、その他のクライアント機器選択ボタンもコントロール画面をタッチ操作によりスクロールさせることで表示可能である。
以上の手順ののち、ユーザによって決定(OK)ボタン229が操作されることで、グループの設定が完了する。そして、このグループの情報が、図5に示すオーディオ制御テーブルに登録される。図5に示すオーディオ制御テーブルでは、上述した例のように、マスタがオーディオ機器4−1であり、クライアントがオーディオ機器4−2,4−3であるグループ情報が登録されている。グループが設定されると、グループに所属するオーディオ機器4では、同期して同じオーディオ信号(オーディオソース)が再生される。オーディオソースはマスタのオーディオ機器4で再生され、そのオーディオ信号がマスタからクライアントのオーディオ機器4へ配信される。したがって、グループで再生されオーディオソースは、マスタが再生可能なものに限定される。
グループ設定操作の完了後、図17(B)に示すクライアントルーム選択画面から機器選択画面に表示が戻る。グループが設定されると、機器選択画面にもグループ設定が反映される。たとえば、クライアントとなったオーディオ機器4−2,4−3に対応する機器選択ボタン94,95は、ユーザが選択できないようにグレイアウトされた状態で表示される。すなわち、コントローラ1は、オーディオ制御テーブルのグループ情報を参照して機器選択画面を表示する。一方、マスタであるオーディオ機器4−1に対応する機器選択ボタン93は選択可能である。したがって、たとえば、機器選択ボタン93がされた場合、上述したようにオーディオ機器4−1のソース選択画面が表示され、ソースが選択されたのち再生画面が表示される。そして、選択されたソースについて、マスタのオーディオ機器4−1およびクライアントのオーディオ機器4−2,4−3での同期再生が実行される。
次に、ステレオペア設定されているオーディオ機器4に関する機器選択画面およびグループ設定画面について図18および図19を参照しつつ説明する。コントローラ1の機器選択画面などのコントロール画面は、上述したペアリング情報を含むオーディオ制御テーブルに基づいて表示が制御される。具体的には、コントロール画面において子機のオーディオ機器4が操作されないように非表示とする。図18(A)および図18(B)は、ステレオペア設定前後の再生制御時のコントロール画面(機器選択画面)の一例を示す図である。図19(A)および図19(B)は、ステレオペア設定前後のグループ設定御時のコントロール画面(マスタ機器選択画面)の一例を示す図である。
たとえば、スピーカであるオーディオ機器4−4,4−5がステレオペア設定される場合について説明する。オーディオ機器4−4,4−5がステレオペア設定されていない状態の機器選択画面では、図18(A)に示すように、オーディオ機器4−4,4−5に対応する機器選択ボタン96,100が表示された状態である。その後、オーディオ機器4−4が親機として、オーディオ機器4−5が子機としてステレオペア設定された状態になると、表示制御時にオーディオ制御テーブルのペアリング情報を確認し、ペアリング情報が「子」である場合は、図18(B)に示すようにオーディオ機器4−5に対応する機器選択ボタン100が非表示となる。すなわち、コントローラ1において、ステレオペア設定されたオーディオ機器4−4,4−5は、1台のデバイスとして認識され、機器選択画面では親機のオーディオ機器4−4のみが表示される。
なお、オーディオ制御テーブルのペアリング情報は、図10に示すステレオペア設定処理などで説明したように、オーディオ機器4−4が親機としてオーディオ機器4−5が子機としてステレオペア設定された際、オーディオ機器4−4(親機)から送信されたペアリング情報に基づいて更新される。また、オーディオ制御テーブルのペアリング情報は、図11に示すステレオペア解除処理などで説明したようにステレオペア設定が解除された際も、ペア設定解除情報に基づいて更新される。
また、グループ設定におけるマスタ機器選択画面においても同様に、ステレオペア設定されていない状態では、図19(A)に示すようにオーディオ機器4−4,4−5に対応するマスタ機器選択ボタン124,125が表示される。その後、オーディオ機器4−4が親機として,オーディオ機器4−5が子機としてステレオペア設定された状態になると、表示制御時にオーディオ制御テーブルのペアリング情報を確認し、ペアリング情報が「子」である場合は、図19(B)に示すようにオーディオ機器4−5に対応するマスタ機器選択ボタン125が非表示となる。なお、クライアント機器選択画面においても同様である。すなわち、コントローラ1において、ステレオペア設定されたオーディオ機器4−4,4−5は、1台のデバイスとして認識され、グループ設定における選択画面においても親機4−4のみが表示される。そして、親機がマスタまたはクライアントとしてグループに所属する場合は、子機もグループに所属している状態となる。なお、オーディオ制御テーブルのグループ情報には子機がグループに所属している情報は含まれない。また、ステレオペア設定が解除された場合は、上述したようにオーディオ制御テーブルのペアリング情報が更新されるので、子機であったオーディオ機器4の表示が再び行われる。
《コントローラの動作の説明》
次に、図20を参照してオーディオシステム10におけるコントローラ1(制御部20)の処理動作について説明する。ユーザによってシステム接続ボタン92が押されると、この処理が開始される。なお、一部の処理については図示を省略する。
まず、システム管理テーブル、オーディオ制御テーブル、ルームテーブルなどに基づいて、図16(B)などに示すような機器選択画面を表示部41に表示させる(S260)。そして、機器選択画面上でいずれかの機器選択ボタンが操作されるまで待機する(S261)。この処理において、上述したようにペアリング情報(オーディオ制御テーブル)に基づいて子機に対応する機器選択ボタンは非表示となる。そして、いずれかのボタンが操作されると(S261でYES)、操作されたボタンに応じた処理を行う(S262)。リンクボタン230が操作された場合、グループ設定処理(図21参照)を行う。また、機器選択ボタンのいずれかが操作された場合、この操作によって選択されたオーディオ機器4がクライアントであるかを判断する(S263)。この判断は、オーディオ制御テーブルのグループ情報を参照して行われる。クライアントである場合(S263でYES)、S260の処理に戻る。
また、選択されたオーディオ機器4がクライアントでない場合(S263でNO)、図16(C)などに示すような、選択されたオーディオ機器4のソース選択画面を表示部41に表示させる(S264)。具体的には、選択されたオーディオ機器4のオーディオ制御テーブルのサービス情報などに基づいてソース選択画面を表示させる。そして、いずれかのソースのアイコンボタンが操作されるまで待機する(S265)。アイコンボタンが操作されると(S265でYES)、図16(D)に示すような、選択されたアイコンボタン(ソース)に対応する再生画面が表示され、再生画面上での処理が進行する。
次に、図21を参照してこのオーディオシステム10におけるコントローラ1のグループ設定処理について説明する。図21は、コントローラ1(制御部20)のグループ設定処理を示すフローチャートである。ユーザによってルーム選択画面中のリンクボタン230が操作されると、この処理が開始される。
まず、図17(A)に示すようなマスタ機器選択画面を表示部41に表示させ(S270)、マスタが選択されるまで待機する(S271)。マスタが選択されると(S271でYES)、図17(B)に示すように、選択されたマスタに対応するクライアント機器選択画面を表示部41に表示させる(S272)。このとき、クライアント機器選択画面には、チェックボックスにチェックマークが表示されていない初期状態のクライアント機器選択画面が表示される。なお、S270およびS272におけるマスタ機器選択画面およびクライアント機器選択画面においても、上述したようにペアリング情報(オーディオ制御テーブル)に基づいて子機に対応する機器選択ボタンは非表示となる。
そして、クライアントが選択される(S273YES)毎にクライアント機器選択画面の表示を更新する(S274)。すなわち、選択されたオーディオ機器4のチェックボックスにチェックアイコンを追加するように画面を更新する。また、選択されたオーディオ機器4のチェックボックスにチェックアイコンがある場合にはチェックアイコンを削除するように画面を更新する。そして、選択が確定する(決定ボタン229がタップされる)までS273,S274の処理を繰り返し実行する(S275)。選択が確定すると(S275でYES)、選択結果に基づいてオーディオ制御テーブルを更新する(S276)。
その後、オーディオ制御テーブルの更新内容に基づいて、グルーピング情報とグルーピング情報を更新させる更新コマンドとがマスタおよびクライアントに送信される。また、同期再生のグループを解除されたオーディオ機器4に対しては、グルーピング情報をリセットするコマンドメッセージが送信される。なお、ステレオペアの親機がマスタまたはクライアントに含まれる場合には、子機もグループに所属することになるが、コントローラ1から子機にグルーピング情報は送信されない。子機に対しては、図22および図23に示すように親機からグルーピング情報及び更新コマンドが送信される。図22および図23は、コントローラ1によるグルーピング情報の送信処理を示すフローチャートである。
最初に、図22を参照して親機(および子機)がクライアントに設定された場合のグルーピング情報および更新コマンドの送信処理を説明する。コントローラ1は、更新されたグルーピング情報をマスタであるオーディオ機器4およびクライアントである親機に送信する(S300)。マスタであるオーディオ機器4は、グルーピング情報等を受信して(S310)自身のグルーピング情報を更新する(S311)。また、クライアントである親機は、グルーピング情報を受信し(S320)、子機にグルーピング情報等を送信(転送)する(S321)。その後、親機は、自身のグルーピング情報を更新する(S322)。
子機は、親機から転送されたグルーピング情報等を受信して(S330)、自身がクライアントであるかを判断する(S331)。子機は、受信したグルーピング情報からクライアントであるかを判断する。図22に示す例において、子機は、クライアントであるので(S331でYES)、セットサーバコマンドおよび子機のIPアドレスをマスタのオーディオ機器4に送信する(S332)。その後、子機は、自身のグルーピング情報を更新する(S333)。なお、セットサーバコマンドは、子機もグループのクライアントであってオーディオ信号を送信するようにマスタに要求するコマンドである。
マスタのオーディオ機器4は、セットサーバコマンド等を受信して(S312)グルーピング情報のクライアントIPを更新する(S313)。すなわち、クライアントIPアドレスに子機のIPアドレスを追加する。これにより、同期再生において、子機はクライアントとしてマスタのオーディオ機器4からオーディオ信号を受信することができる。
次に、図23を参照して親機(および子機)がクライアントに設定された場合のグルーピング情報および更新コマンドの送信処理を説明する。コントローラ1は、上述と同様に、更新されたグルーピング情報等をマスタである親機およびクライアントであるオーディオ機器4に送信する(S300)。マスタである親機は、グルーピング情報等を受信し(S320)、子機にグルーピング情報等を送信(転送)する(S321)。その後、親機は、自身のグルーピング情報を更新する(S322)。
また、クライアントであるオーディオ機器4は、グルーピング情報等を受信して(S310)自身のグルーピング情報を更新する(S311)。さらに、子機は、親機から転送されたグルーピング情報等を受信して(S330)、自身がクライアントであるかを判断する(S331)。図23に示す例において、子機は、マスタであるので(S331でNO)、セットサーバコマンドは送信せず、自身のグルーピング情報を更新する(S333)。
なお、グループに所属している状態で、ステレオペア設定が解除された場合には、例えば、子機がクライアントである場合にはマスタのオーディオ機器4にリセットサーバコマンドを送信して同期再生のオーディオ信号の送信を停止するようにすればよい。また、子機がマスタに含まれる場合には、特に何もしなくてよい。親機であったオーディオ機器4がマスタとして機能するためである。
《ステレオペアを含むグループにおけるオーディオ信号配信形態の説明》
次に、図24を参照しつつ親機および子機が所属するグループでの同期再生について説明する。図24は、同期再生時におけるグループに所属するオーディオ機器4間のオーディオ信号の送信形態を説明する説明図である。なお、同期再生の制御は、特開2015−100085号公報に記載されているような一般的な技術を適用すればよく、詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、1のグループにおいて所属できるオーディオ機器4の台数は2以上である。
また、上述したように、親機がマスタとして選択された場合には親機および子機がマスタとして扱われる。また、親機がクライアントとして選択された場合には親機および子機がクライアントとして扱われる。
最初に、図24(A)の例について説明する。図24(A)に示すグループは、マスタが親機4−4および子機4−5であり、クライアントがオーディオ機器4−6となっている。
マスタである親機4−4は、無線LAN通信部56から同期再生の対象であるコンテンツとなるオーディオ信号(R/L)を3つに分配して、子機4−5およびクライアントのオーディオ機器4−6に配信(送信)する。また、親機4−4は、分配した1のオーディオ信号(R/L)からRchのオーディオ信号(R)を分離してパワーアンプ55に出力することでRchのオーディオ信号の出力を行う。
子機4−5は、受信したオーディオ信号(R/L)からオーディオ信号(L)を分離し、パワーアンプ55に出力することでLchのオーディオ信号の再生を行う。これにより、親機4−4および子機4−5によるステレオ再生が行われる。一方、オーディオ機器4−6は、受信したオーディオ信号(R/L)を出力する。たとえば、オーディオ機器4−6からは、受信したオーディオ信号(R/L)がダウンミックスされて出力(モノラル出力)される。
次に、図24(B)の例について説明する。図24(B)に示すグループは、マスタがオーディオ機器4−1であり、クライアントがオーディオ機器4−2,親機4−4および子機4−5となっている。
マスタであるオーディオ機器4−1は、無線LAN通信部56から同期再生の対象であるコンテンツとなるオーディオ信号(R/L)を4つに分配して、クライアントのオーディオ機器4−2、親機4−4および子機4−5に配信(送信)する。また、オーディオ機器4−1は、分配した1のオーディオ信号(R/L)を、たとえばダウンミックスしてパワーアンプ55に出力(モノラル出力)する。
そして、オーディオ機器4−2は、受信したオーディオ信号(R/L)を出力する。また、親機4−4および子機4−5は、それぞれ分離したオーディオ信号(R),(L)出力する。
《オーディオ機器の異常発生時の表示内容の説明》
次に、図25を参照しつつオーディオ機器4の異常発生時のコントロール画面の表示について説明する。図25(A)は、オーディオ機器4−1が異常状態の場合の再生制御時のコントロール画面(機器選択画面)の一例を示す図である。図25(B)は、子機であるオーディオ機器4−5が異常状態の場合の再生制御時のコントロール画面(機器選択画面)の一例を示す図である。
図16(B)などに示すようにオーディオ機器4の一覧画面では、機器名称が表示されているが、オーディオ機器4が異常状態の場合には機器名称に加えて異常状態であることを示す情報が表示される。
たとえば、オーディオ機器4−1が異常状態の場合には、図25(A)に示すように機器選択ボタン93には「AVレシーバ」に加えて「(異常)」が表示される。異常状態は、オーディオ機器4の再生処理部が機能しないなどのオーディオ機器4の一部の機能が正常に動作しない場合のほか、オーディオ機器4全体が動作しない場合も含まれる。
オーディオ機器4が異常であるか正常であるかは、オーディオ機器4が自己診断機能を用いて判断する。そして、異常と判断した場合、オーディオ機器4は、ポーリングによる通信において異常であることを示す情報をコントローラ1に送信する。なお、オーディオ機器4全体が動作しない場合には、オーディオ機器4が異常を判断できないが、この場合はコントローラ1との通信が中断されることになるので、コントローラ1側で判断すればよい。具体的には、コントローラ1は、通信が成功していたオーディオ機器4との通信が一定期間できない状態になった場合に異常と判断する。なお、マスタ選択画面などでの表示態様も同様にしてもよい。
また、ステレオペア設定されているオーディオ機器4の場合、親機の場合も上述と同様に異常状態であることを示す情報が表示される。また、子機の場合にも、異常状態であることを示す情報が表示されるが、表示される領域は親機の表示領域(表示欄)となる。
たとえば、子機であるオーディオ機器4−5が異常状態である場合、図25(B)に示すように親機であるオーディオ機器4−4の機器選択ボタン96に親機の機器名称「スピーカA」に加え「{異常(子機)}」が表示される。この場合、子機であるオーディオ機器4−5が、異常の判断を行ってポーリングによる通信において異常であることを示す情報をコントローラ1に送信している。なお、親機経由で子機の異常状態をコントローラ1に送信してもよい。また、子機の異常状態の表示内容は「異常状態(子機)」に限定されない。たとえば「異常状態(機器名称)」としてもよい。
子機は、機器選択画面のようなオーディオ機器4の一覧画面には表示されないが、上述のように親機の表示領域(表示欄)において異常状態を表示できるので、ユーザに子機の異常を告知することができる。
以上のように、複数の再生機器(オーディオ機器4)に、親機および子機のステレオペアとして設定されている複数のオーディオ機器4が含まれる場合、複数の再生機器の一覧画面(機器選択画面など)の表示において子機であるオーディオ機器4を非表示とし、1つの再生機器のように見せることが可能となる。
《尚書き》
なお、上述の実施形態では、親機については機器選択画面などにおける表示は変化しないが、親機であることを示す情報を付加表示するようにしてもよい。たとえば、親機の機器選択ボタン内に子機の機器名称を含めて表示する。
また、上述の実施形態では、1のステレオペアの設定のみが行われていたが、複数のステレオペアを設定してもよい。また、ステレオペアは、2台のオーディオ機器に限らずたとえば4台のオーディオ機器をステレオペアとしてもよい。
さらに、上述の実施形態では、図10に示すようにステレオペアとなる相手(他のオーディオ機器)を探索する構成であるが、特にこれに限定されるものではない。ユーザが手動で再生チャンネルや親子関係などのステレオペア設定を行ってもよい。また、ステレオペア設定を携帯電話機で行ってもよい。
さらに、上述の実施形態では、オーディオシステムに所属するオーディオ機器の全てがステレオペア設定の対象であるとして説明したが、ステレオペア設定の対象とならないオーディオ機器が含まれていてもよい。
また、上述の実施形態では、オーディオ機器に関する一覧画面として機器選択画面、マスタ機器選択画面、クライアント機器選択画面について説明しているが、特にこれに限定されるものではない。
さらに、上述の実施形態では、オーディオ機器のネットワーク接続時にシステム管理テーブル、オーディオ制御テーブルなどが自動生成されているが、特にこれに限定されるものではない。ユーザが必要な情報を直接にコントローラ1などに入力してもよい。
なお、この発明の再生機器は、映像再生機能を持つオーディオ・ビジュアル(AV)機器であってもよく、これらが混在するシステムを含む。