JP2017082799A - 予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来と比較して、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期の推定精度を向上させることができる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置を提供すること。【解決手段】予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置は、少なくとも、圧力状態値としての筒内圧Pcyl_10BTDCと、燃料割合値としての当量比φと、既燃ガス状態値としての残留ガス割合Xrgとをアレニウス式の頻度因子とし、該頻度因子と圧縮上死点前10°CAにおける筒内温Tcyl_10BTDCとをアレニウス式に用いて予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように予混合圧縮自着火式内燃機関を制御する。【選択図】図3

Description

本発明は、予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置に関する。
近年、気筒内に高温の既燃ガスを導入して混合気を自着火させる予混合圧縮自着火燃焼を燃焼形態として利用する予混合圧縮自着火式内燃機関が提案されている。このような予混合圧縮自着火燃焼は、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼と称され、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの燃焼形態の1つとして利用される。
HCCI燃焼は、気筒内の混合気を圧縮し、高温・高圧化することにより、火花点火によらず混合気を自着火させるというものである。HCCI燃焼は、気筒内の各所で同時多発的に自着火する燃焼であり、燃焼期間が短く、より高い熱効率が得られるという利点を有する。
したがって、例えばガソリンエンジンでは、HCCI燃焼が利用されることで主に燃費の向上が期待される。また、ディーゼルエンジンでは、HCCI燃焼が利用されることで主にスートや窒素酸化物の低減が期待される。
一方で、HCCI燃焼を利用する予混合圧縮自着火式内燃機関の自着火時期は、筒内温度や筒内圧力、空気量、残留ガス量および燃料量などの種々の筒内状態量によって大きく変化する。したがって、予混合圧縮自着火式内燃機関においては、自着火時期を正確にコントロールしなければ最適な時期に燃焼を行うことができず、ノッキングや失火が発生しやすいという問題があった。ここで、自着火時期を正確にコントロールするためには、HCCI燃焼における正確な自着火時期や燃焼時期を推定する必要がある。
従来、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期を推定する予混合圧縮自着火式内燃機関として、特許文献1〜3に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関は、残留ガス残量および空気量の調整量の少なくとも一方、先行の行程で噴射された燃料量、平均圧力、先行の行程における燃焼重心の瞬時値および各種調整係数に基づく関係式から燃焼重心を推定するものである。
特許文献2に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関は、筒内圧力、筒内温度および空燃比等に応じた係数に基づきアレニウス式を用いて着火遅れ期間を推定するものである。
特許文献3に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関は、筒内圧力、活性化エネルギ、筒内絶対温度、気体定数および各種定数に基づきアレニウス式を用いて着火遅れ期間を推定するものである。
特開2009−168027号公報 特開2006−2637号公報 特開2008−101591号公報
しかしながら、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期は、低温酸化反応および高温酸化反応という化学反応に律速される着火遅れ時間に対して、例えば乱流混合や壁面熱損失による温度分布といった物理的な因子が影響を及ぼすことによって支配される。また、HCCI燃焼における化学反応速度にあっては、筒内圧力以外に、例えば当量比や残留ガス割合などが大きく影響する。
ところが、上述の特許文献1〜3に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関にあっては、上述したような物理的な因子や、化学反応速度に影響を与える因子を全て考慮してHCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期を推定するものではない。したがって、上述の特許文献1〜3に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関では、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期の推定精度が必ずしも高いとはいえない。
そこで、本発明は、従来と比較して、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期の推定精度を向上させることができる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決する本発明に係る制御装置は、筒内の混合気を圧縮することにより自着火させて燃焼させる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置において、少なくとも、圧縮上死点前10°CAにおける筒内圧と、当量比と、筒内混合気量に対する、吸気バルブ開弁時の筒内圧及び排気温と該筒内圧及び排気温が検出されたときの燃焼室の容積とに基づき気体の状態方程式を用いて算出した残留ガス量の割合とをアレニウス式の頻度因子とし、該頻度因子と圧縮上死点前10°CAにおける筒内温とをアレニウス式に用いて前記予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御する。
本発明は、従来と比較して、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期の推定精度を向上させることができる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る制御装置が適用される車両の概略を示す構成図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態における燃焼時期推定制御の概略を示すブロック図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係るECUによって実行される燃焼時期推定制御および着火時期制御の処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、燃焼時期の推定精度について従来と比較した図であり、(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る制御装置による燃焼時期の推定精度、(b)は、従来の制御装置による燃焼時期の推定精度を示す。 図5は、本発明の第2の実施の形態に係るECUによって実行される燃焼時期推定制御および着火時期制御の処理の流れを示すフローチャートである。 図6は、本発明の第3の実施の形態に係るECUによって実行される燃焼時期推定制御および着火時期制御の処理の流れを示すフローチャートである。
以下、図1〜図6を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、エンジン2と、吸気管3と、排気管4と、EGR装置5と、制御装置としてのECU10とを含んで構成されている。
エンジン2は、例えば直列4気筒のガソリンエンジンで構成されている。また、エンジン2は、シリンダ21内、すなわち燃焼室内に直接燃料を噴射するためのインジェクタ23を備えた、いわゆる直噴エンジンである。なお、エンジン2の気筒数は4気筒に限られない。また、エンジン2は、ガソリンエンジンに限らず、ディーゼルエンジンであってもよい。
また、本実施の形態に係るエンジン2は、スパークプラグ20によらず、シリンダ21内の混合気を圧縮することにより自着火させて燃焼させる予混合圧縮自着火燃焼(以下、「HCCI燃焼」という)が可能な予混合圧縮自着火式内燃機関である。
また、エンジン2は、スパークプラグ20からの火花放電により強制的に混合気を着火させるSI(Spark Ignition)燃焼も可能な構成となっている。したがって、エンジン2は、エンジン回転数やエンジン負荷などのエンジン運転状態に応じてHCCI燃焼とSI燃焼とを切り替えることが可能となっている。
吸気管3の内部には、吸気通路3aが形成されている。吸気通路3a上には、過給機30と、インタクーラ31とが設けられている。過給機30は、ハウジング内を2つのロータが連動して回転することで吸入空気を圧縮して過給する、いわゆる機械式の過給機である。過給機30は、エンジン2を駆動源としている。
インタクーラ31は、過給機30の吸気方向下流側に設けられ、過給機30によって圧縮された吸入空気を冷却する。これにより、吸入空気の体積効率が高まるとともに、吸入効率が向上する。
排気管4の内部には、排気通路4aが形成されている。排気通路4a上には、触媒40が設けられている。触媒40は、エンジン2から排出された排気ガスを浄化する。
EGR装置5は、EGR通路50aが内部に形成されたEGR配管50と、EGRバルブ51とを備えている。EGR通路50aは、排気通路4aと吸気通路3aとを連通し、排気通路4aを流れる排気ガスの一部を吸気通路3aに還流させる通路である。
EGRバルブ51は、EGR通路50a上に設けられ、吸気通路3aに還流させる排気ガスの量であるEGR量を調節するものである。EGRバルブ51は、ECU10によって開閉制御される。
ECU10は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
また、ECU10の入力側には、エアフロセンサ101、吸気温センサ102、吸気圧センサ103、吸気Oセンサ104、筒内圧センサ105、排気温センサ106、リニアA/Fセンサ107、クランク角センサ180、水温センサ181などの各種センサ類が接続されている。
エアフロセンサ101は、過給機30よりも吸気方向上流側の吸気通路3a上に設けられ、吸入空気量を検出する。吸気温センサ102は、インタクーラ31よりも吸気方向下流側の吸気通路3a上に設けられ、吸入空気の温度である吸気温度(以下、単に「吸気温」という)を検出する。
吸気圧センサ103は、インタクーラ31よりも吸気方向下流側の吸気通路3a上に設けられ、吸入空気の圧力である吸気圧を検出する。吸気Oセンサ104は、インタクーラ31よりも吸気方向下流側の吸気通路3a上に設けられ、シリンダ21内に吸入されるガスの酸素濃度を検出する。
筒内圧センサ105は、シリンダ21を形成する図示しないシリンダヘッドに設けられ、シリンダ21内の圧力である筒内圧を検出する。排気温センサ106は、触媒40よりも排気方向上流側の排気通路4a上に設けられ、排気ガスの温度である排気温度(以下、単に「排気温」という)を検出する。
リニアA/Fセンサ107は、触媒40よりも排気方向上流側の排気通路4a上に設けられ、排気ガスの空燃比に比例した線形な出力特性を有するA/Fセンサである。リニアA/Fセンサ107は、シリンダ21内から排出された排気ガス中の酸素濃度に基づき排気ガスの空燃比を検出する。
クランク角センサ180は、エンジン2に設けられ、エンジン2のクランクシャフトのクランク角を検出する。水温センサ181は、エンジン2に設けられ、エンジン2の冷却水の温度、すなわち冷却水温を検出する。
また、ECU10の出力側には、EGRバルブ51やスパークプラグ20、インジェクタ23などの各種機器類が接続されている。ECU10は、上述した各種センサからの入力に基づき前述の各種機器類を制御する。
例えば、ECU10は、上述した各種センサからの入力に基づき、エンジン2におけるHCCI燃焼の燃焼時期を演算により推定する燃焼時期推定制御を行うようになっている。また、ECU10は、燃焼時期推定制御によって推定された燃焼時期に基づき、エンジン2において最適な時期にHCCI燃焼が行われるよう、インジェクタ23およびスパークプラグ20を制御する着火時期制御を行うようになっている。
次に、図2を参照して、ECU10によって実行される燃焼時期推定制御および着火時期制御について説明する。
図2に示すように、ECU10は、クランク角センサ180から入力される検知結果に基づきエンジン回転数Neを算出する。また、ECU10は、アクセル開度センサから入力されるアクセル開度に基づきエンジン負荷を算出する。
ECU10は、エンジン回転数Neとエンジン負荷とエアフロセンサ101で検出された吸入空気量とに基づき、基本燃料噴射量を算出する。また、ECU10は、基本燃料噴射量と吸入空気量とに基づき、エンジン2に吸入される混合気の空燃比と理論空燃比との比率である当量比φを算出する。
ECU10は、吸入空気量と吸気Oセンサ104で検出された酸素濃度とリニアA/Fセンサ107で検出された実際の空燃比に基づき求められる当量比とから、EGR装置5によって吸気側に還流される排気ガスの量(以下、外部EGRガス量という)を算出する。
ここで、空気中の酸素(O)、窒素(N)および二酸化炭素(CO)などの割合は、空気の組成であるため既知である。このため、エアフロセンサ101で検出される吸入空気量における酸素濃度等も既知である。したがって、ECU10は、リニアA/Fセンサ107で検出された酸素濃度の排気ガスを含む吸入空気の酸素濃度を吸気Oセンサ104で検出することによって、外部EGRガス量を検出することができる。
ECU10は、吸気バルブの開弁時に、筒内圧センサ105および排気温センサ106によって検出された筒内圧および排気温と、該筒内圧および排気温が検出されたときの燃焼室の容積とに基づき、気体の状態方程式を用いて残留ガス量として残留ガスの質量を算出する。気体の状態方程式は、筒内圧を「P」、燃焼室の容積を「V」、残留ガスの質量を「m」、残留ガスのガス定数を「R」、筒内温に略一致する排気温を「T」としたとき、「PV=mRT」で表される。
ECU10は、外部EGRガス量と残留ガス量とに基づき残留ガス割合Xrgを算出する。具体的には、ECU10は、外部EGRガス量と残留ガス量と吸入空気量と基本燃料噴射量の合計である筒内混合気量に対する残留ガス量の割合である残留ガス割合Xrgを算出する。
ECU10は、外部EGRガス量、吸入空気量、基本燃料噴射量、残留ガス量および筒内圧に基づき、筒内圧Pcyl_10BTDCを算出する。ここで、「cyl」は、筒内であること、「10BTDC」は、圧縮上死点前10°CAのタイミングであることを示す。
具体的には、ECU10は、筒内圧センサ105を用いて筒内圧を検出する場合、次のように筒内圧Pcyl_10BTDCを算出する。すなわち、ECU10は、例えばポリトロープ変化を仮定し、吸気バルブの閉弁時の筒内圧Pcyl_ivcと燃焼室の容積Vcyl_ivcと圧縮上死点前10°CAにおける燃焼室の容積Vcyl_10BTDCとを用いて下記式(1)に基づき、筒内圧Pcyl_10BTDCを算出する。ここで、「ivc」は、吸気バルブの閉弁時を示す。また、下記式(1)における「n」は、ポリトロープ指数である。
また、ECU10は、筒内温Tcyl_10BTDCも上述の筒内圧Pcyl_10BTDCと同様に、下記式(2)に基づき、算出することができる。
ここで、上記式(2)における筒内温Tcyl_ivcは、吸気バルブの閉弁時の筒内圧Pcyl_ivcと、燃焼室の容積Vcyl_ivcと、筒内混合気の質量mと、混合気のガス定数Rを用いて気体の状態方程式「Pcyl_ivccyl_ivc=mRT」からECU10によって求められる。
混合気のガス定数Rは、外部EGRガスや残留ガス、吸入空気と燃料との混合気などの各ガスの質量割合であるモル分率から気体の平均分子量を算出し、算出した気体の平均分子量で一般ガス定数(R=8.3144621(75)JK−1mol−1)を除算することで得られる。なお、筒内温Tcyl_ivcは、エネルギ保存の法則を用いて求めてもよい。
また、筒内圧センサ105を用いない場合には、ECU10は、上述の筒内圧Pcyl_ivcおよび筒内温Tcyl_ivcを、次式(3)、(4)を用いてそれぞれ算出することも可能である。
ここで、上記式(3)におけるMairは、エアフロセンサ101で検出された吸入空気量、Pin_ivcは、吸気バルブの閉弁時の吸気圧である。また、上記式(4)におけるTin_ivoは、吸気バルブの開弁時の吸気温、Tex_ivoは、吸気バルブの開弁時の排気温、Twaterは、水温センサ181で検出された冷却水温である。
また、上記式(3)における指数J、Kは、エンジン2の仕様等による個体差を考慮して予め実験的に求めた値をもとに重回帰分析によって求めた値である。さらに、上記式(3)および式(4)における係数I、L、N、Qは、指数J、Kと同様、エンジン2の仕様等による個体差を考慮して予め実験的に求めた値をもとに重回帰分析によって求めた値である。
また、ECU10は、燃焼反応パラメータおよび燃料状態パラメータを頻度因子としてアレニウス式に用いてエンジン2の燃焼時期CA50を推定する。本実施の形態では、燃料が50%消費された時点のクランク角CA50を燃焼時期CA50として取り扱う。
ここで、エンジン2のような予混合圧縮自着火式内燃機関の燃焼時期は、低温酸化反応および高温酸化反応という化学反応に律速される着火遅れ時間に対して、乱流混合や壁面熱損失による温度分布といった物理的な因子が影響を及ぼすことによって支配される。このため、正確な燃焼時期を推定するためには、前述したような物理的な因子や化学反応速度に影響を与える因子などを考慮する必要がある。
そこで、本実施の形態では、燃焼時期の推定精度を向上させるために、ある温度における化学反応の速度を定義するアレニウス式に上述の各燃焼反応パラメータおよび各燃料状態パラメータを頻度因子として用いることとした。
上述の燃焼反応パラメータとしては、筒内圧に基づく圧力状態値として上記式(1)で算出した筒内圧Pcyl_10BTDC、シリンダ21内の既燃ガス量に基づく既燃ガス状態値としての残留ガス割合Xrg、および基本燃料噴射量と吸入空気量とに基づき算出した当量比φが含まれる。ここで、本実施の形態の当量比φは、シリンダ21内の燃料量と空気量との状態に基づく燃料割合値に相当する。なお、燃料割合値は、空気過剰率を表す当量比φの逆数であってもよい。
また、上述の燃料状態パラメータとしては、シリンダ21内の燃料の混合状態を推定する混合推定値としてのエンジン回転数Neの逆数、燃料の噴射終了時期EoI、およびシリンダ21内の壁面と燃料との熱の授受による熱損失を推定する熱損失推定値としての排気温Texと吸気温Tinとの偏差(Tex−Tin)が含まれる。なお、混合推定値は、エンジン回転数Neであってもよい。
具体的には、ECU10は、上述の各燃焼反応パラメータ、各燃料状態パラメータおよび上記式(2)で算出した筒内温Tcyl_10BTDCに基づき、次式(5)を用いて燃焼時期CA50を算出する。
ここで、上記式(5)におけるRは、混合気のガス定数、Aは、エンジン2の仕様等による個体差を考慮して予め実験的に求めた値をもとに重回帰分析によって求めた係数である。
また、上記式(5)において、各燃焼反応パラメータおよび各燃料状態パラメータには、予め定められたB〜D、F〜Hの指数がそれぞれ付されている。これら指数B〜D、F〜Hは、係数Aと同様、エンジン2の仕様等による個体差を考慮して予め実験的に求めた値をもとに重回帰分析によって求めた値である。
また、ECU10は、目標燃焼時期マップから得られる目標燃焼時期と上記式(5)を用いて算出した燃焼時期CA50とを比較し、その比較結果に基づき、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数をそれぞれ決定する。目標燃焼時期マップは、例えばエンジン回転数Neをパラメータに目標燃焼時期を決定するマップであり、エンジン回転数Neと燃焼時期との関係を予め実験的に求めてECU10のROMに記憶したものである。
なお、目標燃焼時期は、クランク角で表され、燃焼時期CA50と同様、燃料が50%消費された時点の目標のクランク角CA50である。したがって、以下においては、目標のクランク角CA50を目標燃焼時期CA50として取り扱うものとする。
具体的には、ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かに応じて、燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数をそれぞれ決定する。ここで、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するとは、完全に一致する場合のほか、例えば燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に対して所定の閾値以内の範囲にあることを含む。なお、所定の閾値は、エンジン2の仕様等によって任意に定められるが、例えば±1°CAである。
ECU10は、例えば燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致する場合には、予め定められた噴射量マップ、噴射時期マップ、点火時期マップおよび点火回数マップ等によって決定される燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数で燃料噴射および点火を行うよう、インジェクタ23およびスパークプラグ20の駆動を制御する。
一方、ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致しない場合には、燃料噴射量の増量または減量や点火時期の進角あるいは遅角などによって燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数の補正を行う。この場合、ECU10は、補正後の燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数で燃料噴射および点火を行うよう、インジェクタ23およびスパークプラグ20の駆動を制御する。
次に、図3を参照して、ECU10によって実行される燃焼時期推定制御および着火時期制御の処理の流れについて説明する。この燃焼時期推定制御および着火時期制御は、ECU10によって所定の時間間隔で繰り返し実行される。
図3に示すように、ECU10は、まずクランク角センサ180から入力される検出結果に基づき、燃焼時期推定制御および着火時期制御で行われる各種演算、各種センサでの計測のタイミングであるか否かを判定する(ステップS1)。ECU10は、各種演算、各種センサでの計測のタイミングでないと判定した場合には、再度ステップS1の処理を繰り返す。
一方、ECU10は、各種演算、各種センサでの計測のタイミングであると判定した場合には、エンジン回転数Neやアクセル開度などのエンジン運転状態を検出する(ステップS2)。
次いで、ECU10は、例えば吸入空気量、吸気温Tin、排気温Tex、冷却水温Twaterなどの燃焼時期推定制御および着火時期制御で用いられる各種センサ値を検出する(ステップS3)。
その後、ECU10は、エンジン回転数Ne、エンジン負荷および吸入空気量に基づき基本燃料噴射量を算出する(ステップS4)。次いで、ECU10は、上記式(5)を用いて燃焼時期CA50を算出する(ステップS5)。
次いで、ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かを判定する(ステップS6)。なお、上述した通り、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かは、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に完全に一致するか否か、あるいは燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に対して所定の閾値以内の範囲にあるか否かによって判定される。
ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致すると判定した場合には、本処理を終了する。この場合、ECU10は、予め定められた噴射量マップ、噴射時期マップ、点火時期マップおよび点火回数マップ等によって決定される燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数で燃料噴射および点火を行うよう、インジェクタ23およびスパークプラグ20の駆動を制御する。
一方、ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致しないと判定した場合には、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50よりも大きいか否か、つまり目標燃焼時期CA50に対して燃焼時期CA50が遅角しているか否かを判定する(ステップS7)。
ECU10は、目標燃焼時期CA50に対して燃焼時期CA50が遅角していると判定した場合には、燃焼時期CA50の進角補正を行う(ステップS8)。具体的には、ECU10は、燃焼時期CA50を進角させるように、例えば燃料噴射量の増量、点火時期の進角などによって燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数の補正を行う。これにより、燃焼時期CA50が進角側に補正される。
一方、ECU10は、目標燃焼時期CA50に対して燃焼時期CA50が遅角していない、すなわち進角していると判定した場合には、燃焼時期CA50の遅角補正を行う(ステップS9)。具体的には、ECU10は、燃焼時期CA50を遅角させるように、例えば燃料噴射量の減量、点火時期の遅角などによって燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数の補正を行う。これにより、燃焼時期CA50が遅角側に補正される。
なお、ステップS8およびステップS9で用いられる燃料噴射量や点火時期などの補正値は、予め実験的に求められた値であり、例えば燃料噴射量や点火時期などの補正マップとしてECU10のROMに記憶されている。
次いで、ECU10は、ステップS8およびステップS9で燃焼時期CA50が補正された後、再度ステップS5で補正後の燃焼時期CA50を算出し、補正後の燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かを判定する。このように、本実施の形態では、補正後の燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するまで、補正後の燃焼時期CA50が補正される。
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置における燃焼時期CA50の推定精度について説明する。図4は、本実施の形態の制御装置において上記式(5)を用いて推定した燃焼時期CA50の推定精度と、従来のアレニウス式を用いて推定した燃焼時期CA50の推定精度との比較を示したものである。
図4(a)において、図中、「CA50 Calculated deg.ATDC」で示す横軸は、上記式(5)を用いて推定した燃焼時期CA50、図中、「CA50 Measured deg.ATDC」で示す縦軸は、実際に測定された燃焼時期CA50を示している。
また、図4(b)において、図中、「CA50 Calculated deg.ATDC」で示す横軸は、従来のアレニウス式を用いて推定した燃焼時期CA50、図中、「CA50 Measured deg.ATDC」で示す縦軸は、実際に測定された燃焼時期CA50を示している。なお、これら燃焼時期CA50は、いずれも上死点後となる。
また、図4(a)、(b)は、それぞれ推定した燃焼時期CA50と実際に測定された燃焼時期CA50との相関を表すグラフであり、グラフ中の各プロットが図中に示す実線(傾きが「1」の一次関数)に近似するほど、推定した燃焼時期CA50と実際に測定された燃焼時期CA50との相関が高い、つまり燃焼時期CA50の推定精度が高いことを示している。
また、こうした相関の程度は、決定係数Rで表すことができ、決定係数Rが「1」に近いほど、推定した燃焼時期CA50と実際に測定された燃焼時期CA50との相関が高いことを示している。したがって、燃焼時期CA50の推定精度は、決定係数Rが「1」に近いほど高い。
ここで、図4(a)に示すグラフにおける決定係数Rは、「0.9675」であり、図4(b)に示すグラフにおける決定係数R=0.698よりも「1」に近い値である。したがって、図4(a)、(b)からも明らかなように、上記式(5)を用いて推定した燃焼時期CA50の推定精度のほうが従来のアレニウス式を用いて推定した燃焼時期CA50の推定精度よりも高いことが分かる。
よって、本実施の形態に係る制御装置は、従来のアレニウス式を用いて燃焼時期CA50を推定する制御装置と比較して、燃焼時期CA50の推定精度が高いといえる。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置は、燃焼時期CA50の変化に影響のある燃焼反応パラメータおよび燃料状態パラメータを、燃焼時期CA50を推定するためのアレニウス式に用いて演算を行うので、従来と比較して正確な燃焼時期CA50を推定することができる。
本実施の形態に係る制御装置は、複数の燃焼反応パラメータおよび複数の燃料状態パラメータをアレニウス式に用いて演算を行うため、エンジン2の運転状態が変化する場合であっても、正確に燃焼時期CA50を推定することができる。
このように、本実施の形態に係る制御装置は、従来と比較して、HCCI燃焼における自着火時期や燃焼時期CA50の推定精度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る制御装置は、各燃焼反応パラメータおよび各燃料状態パラメータのそれぞれに予め定められた指数が付されているので、より正確に燃焼時期CA50を推定することができる。
例えば、各燃焼反応パラメータおよび各燃料状態パラメータのそれぞれに付される指数を予め実験的に求めておけば、エンジン2の仕様による個体差を吸収でき、高い精度で燃焼時期CA50を推定することができる。
また、本実施の形態に係る制御装置は、既燃ガス状態値として、残留ガス割合Xrgを用いる。残留ガスは、窒素酸化物や部分酸化した燃料などを含み、新気すなわち吸入空気に対して熱力学的な物性値である比熱比や温度が異なる。
このため、残留ガス量は、シリンダ21内の温度上昇や燃焼の科学的な特性を変え、燃焼時期CA50に影響をもたらす。したがって、本実施の形態に係る制御装置は、残留ガス割合Xrgをアレニウス式の演算に用いるので、燃焼時期CA50の推定精度を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る制御装置は、混合推定値として、エンジン回転数Neを用いる。ここで、燃料の混合状態は、燃焼の速度に影響を及ぼすことが知られており、エンジン回転数Neに依存してその混合度合が変化する。
したがって、本実施の形態に係る制御装置は、燃料の混合状態を推定可能なエンジン回転数Neをアレニウス式の演算に用いるので、燃焼時期CA50の推定精度を向上させることができる。
さらに、本実施の形態に係る制御装置は、熱損失推定値として、排気温Texと吸気温Tinとの偏差を用いる。ここで、排気温Texと吸気温Tinとの偏差は、シリンダ21内にできるガス温度の分布と相関がある。また、シリンダ21内にできるガス温度の分布は、燃焼時期CA50に影響を与えることが知られている。
したがって、本実施の形態に係る制御装置は、シリンダ21内にできるガス温度の分布の影響を考慮するべく、排気温Texと吸気温Tinとの偏差をアレニウス式の演算に用いるので、燃焼時期CA50の推定精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、式(5)による燃焼時期CA50の推定にあたって燃焼反応パラメータおよび燃料状態パラメータの全てを用いたが、これに限らず、例えばエンジン2としてシリンダ21内の温度分布や当量比分布が比較的少ないエンジンを用いる場合には、式(5)からシリンダ21内の温度分布や当量比分布の影響を排除した下記式(6)〜式(8)を燃焼時期CA50の推定に用いてもよい。
また、エンジン2として乱流混合などの影響が小さいエンジンを用いる場合には、式(5)からエンジン回転数Neに係る項を省略した下記式(9)を燃焼時期CA50の推定に用いてもよい。
なお、上記に掲げた式(6)〜(9)は、エンジン2の仕様などに応じて式(5)における燃焼反応パラメータおよび燃料状態パラメータが変更される一例であって、これに限定されるものではない。
例えば、本実施の形態に係る制御装置は、式(5)において、筒内圧Pcyl_10BTDC、残留ガス割合Xrg、および当量比φのうち少なくとも2つの燃焼反応パラメータを用いることとしてもよい。
また、本実施の形態に係る制御装置は、式(5)において、筒内圧Pcyl_10BTDC、残留ガス割合Xrg、および当量比φのうち少なくとも1つの燃焼反応パラメータと、エンジン回転数Ne、噴射終了時期EoI、および偏差(Tex−Tin)のうち少なくとも1つの燃料状態パラメータを用いることとしてもよい。
また、本実施の形態に係る制御装置は、燃焼時期CA50の進角補正および遅角補正を行うにあたって点火時期および点火回数の補正を行っているが、例えばこれら点火時期および点火回数の補正を行わず、燃料噴射量や燃料噴射時期の補正のみを行う構成であってもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、上述した第1の実施の形態とは、燃焼時期推定制御および着火時期制御の一部処理が異なるが、他の構成および処理内容は第1の実施の形態と同様である。したがって、以下においては、第1の実施の形態と同一の構成および処理内容については説明を省略し、第1の実施の形態と異なる箇所のみ説明する。
燃焼時期推定制御および着火時期制御において、第1の実施の形態では、ECU10は、図3のステップS8およびステップS9でそれぞれ進角補正、遅角補正を行った後の燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するまで、燃焼時期CA50の補正を繰り返し行っていた。
これに対して、本実施の形態に係るECU10は、燃焼時期CA50の補正を繰り返すことなく、ステップS18およびステップS19において燃焼時期CA50の補正を1回のみ行うこととした。
具体的には、図5に示すように、本実施の形態に係るECU10は、ステップS18で燃焼時期CA50の進角補正を行った後、本処理を終了する。また、本実施の形態に係るECU10は、ステップS19で燃焼時期CA50の遅角補正を行った後、本処理を終了する。
また、ステップS18において、ECU10は、例えば、燃焼時期CA50と目標燃焼時期CA50の偏差と、燃料噴射量の増量量および点火時期の進角量などとの関係が規定された補正マップを参照することによって、1回の処理で燃焼時期CA50の進角補正を行うことができる。前述の補正マップは、予め実験的に求めてECU10のROMに記憶されている。
また、ステップS19についても、ECU10は、ステップS18と同様に、燃焼時期CA50と目標燃焼時期CA50の偏差と、燃料噴射量の減量量および点火時期の遅角量などとの関係が規定された補正マップを参照することによって、1回の処理で燃焼時期CA50の遅角補正を行うことができる。
なお、図5のステップS11〜ステップS19の各ステップの内容は、第1の実施の形態における図3のステップS1〜ステップS9の各ステップの内容と同一であるため、本実施の形態では、その説明を省略する。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置は、第1の実施の形態における作用効果に加えて、次の作用効果を奏する。すなわち、本実施の形態に係る制御装置は、ステップS18およびステップS19において燃焼時期CA50の補正を1回のみ行う構成としたので、燃焼時期CA50の補正を繰り返すことがなく、ECU10の処理負担を軽減することができる。
(第3の実施の形態)
次に、図6を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態では、燃焼時期CA50が最適なタイミングとなるよう、燃料噴射量の増量または減量や点火時期の進角あるいは遅角などによって燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期および点火回数の補正を行った。
しかし、こうした補正を行って燃焼時期CA50を最適なタイミングとした場合、燃焼期間が短くなり、ノイズやエンジン強度に問題が生じるおそれがある。このように燃焼期間が短くなるのは、例えば筒内圧の圧力上昇率dP/dCAが増大するためである。
そこで、本実施の形態では、ECU10は、上述した第1の実施の形態の燃焼時期CA50の推定方法と同様の方法で、燃焼期間CA10−CA90や最大筒内圧力Pmax、圧力上昇率dP/dCAを推定する。燃焼期間CA10−CA90は、シリンダ21内の燃焼が10%消費された時点から90%消費される時点までの時間すなわちクランク角である。
また、ECU10は、推定した圧力上昇率dP/dCAに基づき、燃料噴射量の減量や点火時期の遅角を行う。これにより、筒内圧が低減され、圧力上昇率dP/dCAの増大が抑制される。
ここで、図6を参照して、本実施の形態に係る燃焼時期推定制御および着火時期制御について説明する。なお、図6におけるステップS21〜ステップS25までの各処理は、第1の実施の形態で示した図3におけるステップS1〜ステップS5と同様である。したがって、以下においては、第1の実施の形態と異なる処理についてのみ説明する。
図6に示すように、ECU10は、ステップS25において算出した燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かを判定する(ステップS26)。燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致するか否かは、第1の実施の形態と同様に判断される。
ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致すると判定した場合には、ステップS28に処理を移す。一方、ECU10は、燃焼時期CA50が目標燃焼時期CA50に一致しないと判定した場合には、燃焼時期CA50の補正を行って(ステップS27)、ステップS25に処理を戻す。
燃焼時期CA50の補正として、ECU10は、例えば燃料噴射量の増量や減量、点火時期の進角または遅角などを行う。これにより、燃焼時期CA50が進角側または遅角側に補正される。
ステップS28において、ECU10は、圧力上昇率dP/dCAを算出する。次いで、ECU10は、ステップS28で算出した圧力上昇率dP/dCAが目標圧力上昇率より小さいか否かを判定する(ステップS29)。ここで、目標圧力上昇率は、燃焼期間が短くなることを抑制可能な圧力上昇率であって、予め実験的に求められマップとしてECU10のROMに記憶されている。
ECU10は、圧力上昇率dP/dCAが目標圧力上昇率より小さいと判定した場合には、本処理を終了する。一方、ECU10は、圧力上昇率dP/dCAが目標圧力上昇率より小さくない、つまり目標圧力上昇率以上であると判定した場合には、筒内圧低減制御を行って(ステップS30)、ステップS28に処理を戻す。
筒内圧低減制御としては、例えば燃焼時期CA50を遅角させたり、燃料噴射量を減量する制御を行う。これにより、筒内圧が低減される。
また、HCCI燃焼における自着火と火花点火式エンジンにおけるノッキングとは、同一の現象である。したがって、上述の各実施の形態で説明した燃焼時期の推定手法は、火花点火式エンジンのノッキング制御にも利用可能である。例えば、こうしたノッキング制御では、燃焼時期に代えてノッキングの有無が推定される。また、燃焼時期の推定手法は、ノッキング制御だけでなく、例えば過給時に発生するプレイグニッションの制御にも利用可能である。この場合、燃焼時期に代えてプレイグニッションの発生有無が推定される。
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 車両
2 エンジン(予混合圧縮自着火式内燃機関)
5 EGR装置
10 ECU
20 スパークプラグ
21 シリンダ
23 インジェクタ
30 過給機
101 エアフロセンサ
102 吸気温センサ
103 吸気圧センサ
104 吸気Oセンサ
105 筒内圧センサ
106 排気温センサ
107 リニアA/Fセンサ
180 クランク角センサ
181 水温センサ

Claims (7)

  1. 筒内の混合気を圧縮することにより自着火させて燃焼させる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置において、
    少なくとも、圧縮上死点前10°CAにおける筒内圧と、当量比と、筒内混合気量に対する、吸気バルブ開弁時の筒内圧及び排気温と該筒内圧及び排気温が検出されたときの燃焼室の容積とに基づき気体の状態方程式を用いて算出した残留ガス量の割合とをアレニウス式の頻度因子とし、該頻度因子と圧縮上死点前10°CAにおける筒内温とをアレニウス式に用いて前記予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御することを特徴とする予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  2. 前記アレニウス式の頻度因子として用いられる前記筒内圧、前記当量比および前記残留ガス量の割合のそれぞれには、予め定められた指数が付されていることを特徴とする請求項1に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  3. 筒内の混合気を圧縮することにより自着火させて燃焼させる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置において、
    前記予混合圧縮自着火式内燃機関の回転数と、筒内噴射される燃料の噴射終了時期と、前記筒内の壁面と前記燃料との熱の授受による熱損失を推定する熱損失推定値と、圧縮上死点前10°CAにおける筒内圧と、当量比と、筒内混合気量に対する、吸気バルブ開弁時の筒内圧及び排気温と該筒内圧及び排気温が検出されたときの燃焼室の容積とに基づき気体の状態方程式を用いて算出した残留ガス量の割合とをアレニウス式の頻度因子とし、該頻度因子と圧縮上死点前10°CAにおける筒内温とをアレニウス式に用いて前記予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御することを特徴とする予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  4. 前記アレニウス式の頻度因子として用いられる前記予混合圧縮自着火式内燃機関の回転数、前記噴射終了時期、前記熱損失推定値、前記筒内圧、前記当量比および前記残留ガス量の割合のそれぞれには、予め定められた指数が付されていることを特徴とする請求項3に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  5. 筒内の混合気を圧縮することにより自着火させて燃焼させる予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置において、
    少なくとも、圧縮上死点前10°CAにおける筒内圧と、当量比と、筒内混合気量に対する、吸気バルブ開弁時の筒内圧及び排気温と該筒内圧及び排気温が検出されたときの燃焼室の容積とに基づき気体の状態方程式を用いて算出した残留ガス量の割合と、前記筒内の壁面と燃料との熱の授受による熱損失を推定する熱損失推定値とをアレニウス式の頻度因子とし、該頻度因子と圧縮上死点前10°CAにおける筒内温とをアレニウス式に用いて前記予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御することを特徴とする予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  6. 前記熱損失推定値は、排気温と吸気温との偏差であることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
  7. 前記予混合圧縮自着火式内燃機関において筒内噴射した燃料が50%消費された時点を推定し、推定した時点が目標燃焼時期となるように前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御した後に、筒内圧の圧力上昇率が目標圧力上昇率以上であれば、筒内圧を低減させるように、前記予混合圧縮自着火式内燃機関を制御する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の予混合圧縮自着火式内燃機関の制御装置。
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