JP2017081996A - ぬり心地調整剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚外用剤をヒトの皮膚に塗布した際の「もっちり感」を客観的に評価できる、皮膚外用剤のぬり心地評価方法を提供する。【解決手段】皮膚外用剤を塗布した際のもっちり感を、剥離力を計測することにより評価する、皮膚外用剤のぬり心地評価方法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚外用剤を皮膚へ塗布する際の「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を客観的に評価することに基づいて提供されるぬり心地調整剤に関する。
皮膚外用剤において、ぬり心地は消費者の嗜好に大きな影響を及ぼす。そのため、「とろみ感」や「伸びの良さ感」といったぬり心地を改善するために、例えば、多価アルコール、水溶性高分子、非イオン性界面活性剤、糖類を配合した皮膚外用剤が知られている。
特許文献1では、多価アルコール、水溶性高分子、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる1種以上を含有する化粧料において、セロオリゴ糖を配合することによって、べたつきが少なく、さらさら感を有し、皺のばし効果を有することができる化粧料について開示している。
特許文献2では、特定の皮膚用水性化粧料に、平均粒径0.1〜500μmのオイル液滴中に平均粒径0.05〜100μmの架橋シリコーン粒子を含有する水性エマルジョンを添加することで、使用時に、べたつき感の無さが大きく、のびが軽く、使用後に、さっぱり感、しっとり感、および指すべり感が優れ、かつ、貯蔵安定性が優れる皮膚用水性化粧料を開示している。
特開2009−179567号公報 特開2002−205911号公報 特開2010−18584号公報
従来べたつきが少なく、さらさらとした塗布感もしくは軽い伸び感のものは知られていたが、手で肌に皮膚外用剤を伸ばし広げる際の「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を両立させる皮膚外用剤はこれまで得られていなかった。また、これらの感覚は主観的なものであり、「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」が数値化されていなかったため、客観的に評価することができなかった。
本発明の目的は、前記の従来の問題点を解決することにあり、「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」の客観的な評価に基づくぬり心地調整剤を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、(a)「とろみ感」は粘度が大きいほど大きく感じること、(b) シェアレート 100sec−1のとき粘度0.18Pa・sec以下の化粧品の場合「伸びの良さ感」は粘度が大きいほど大きく感じること、一方、シェアレート 100sec−1のとき粘度0.18Pa・secより大きい化粧品の場合「伸びの良さ感」は粘度が大きいほど小さく感じること、(c)乾き際の「吸い付くようなもっちり感」は最大剥離力が大きいほど大きく感じること、(d)乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」は120秒後の剥離力が大きいほど大きく感じること、を見出し、「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を両立させるぬり心地調整剤の発明に到達したものである。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(項1)
イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート 100sec−1のとき0.05〜0.15Pa・secであり、25℃での最大剥離力が150〜270gf/cm、25℃での120秒後の剥離力が15〜30gf/cmであることを特徴とする水溶性高分子からなるぬり心地調整剤。
(項2)
イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート 100sec−1のとき0.002〜0.02Pa・sec であり、25℃での最大剥離力が100〜135gf/cm、25℃での120秒後の剥離力が5〜15gf/cmであることを特徴とする項1に記載の水溶性高分子からなるぬり心地調整剤。
(項3)
平均分子量が80万以上である水溶性高分子からなることを特徴とする項1又は2に記載のぬり心地調整剤。
(項4)
ポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩である水溶性高分子からなることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載のぬり心地調整剤。
(項5)
項1〜4のいずれかに記載のぬり心地調整剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
本発明により、「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」の客観的な評価に基づくぬり心地調整剤を提供することができる。
化粧水(しっとりタイプ)の剥離力を測定した結果を示す図である。 化粧水(さっぱりタイプ)の剥離力を測定した結果を示す図である。
実際に人が皮膚外用剤を塗布した際に感じる「とろみ感」は、皮膚外用剤の粘度の大きさを感じていると推定される。そのため、出願人は、皮膚外用剤の粘度測定を実施し、「とろみ感」との対応関係を検討した。その結果、皮膚外用剤の「とろみ感」は粘度が大きいほど大きく感じることを見出した。
実際に人が皮膚外用剤を塗布した際に感じる「伸びの良さ感」は、皮膚外用剤を伸ばし広げた際の皮膚外用剤の粘性に起因する摩擦力である粘性摩擦力を感じており、粘度が大きな皮膚外用剤ほど伸ばし広げる際の「伸びの良さ感」を大きく感じるが、一方、粘度が大きすぎると伸ばし広げる際に皮膚外用剤の重さを感じて「伸びの良さ感」を小さく感じると推定される。そのため、出願人は、皮膚外用剤の粘度測定を実施し、「伸びの良さ感」との対応関係を検討した。その結果、皮膚外用剤の「伸びの良さ感」は、シェアレート100sec−1のとき粘度0.18Pa・sec以下の皮膚外用剤の場合は粘度が大きいほど大きく感じ、シェアレート100sec−1のとき粘度0.18Pa・secより大きい皮膚外用剤の場合は粘度が小さいほど大きく感じることを見出した。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート 100sec−1のとき0.05〜0.15Pa・sec であることを特徴とする。そのため、本発明におけるぬり心地調整剤は、「とろみ感」と「伸びの良さ感」を皮膚外用剤に付与することができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水にぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート100sec−1のとき、より好ましくは0.05〜0.14Pa・secであり、さらに好ましくは0.06〜0.13Pa・secである。これは、粘度が、上記範囲を超えると、「とろみ感」は向上するが、「伸びの良さ感」が低下するからである。一方、下限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃、シェアレート100sec−1のときの粘度より大きいことが望ましい。
前記粘度は、動的粘弾性測定装置(ARES:Rheometric Scientific F.E.社製)を用いて測定した。
粘度測定の条件を以下に記す。
温度:25℃
ギャップ設定:0.054mm
コーンプレート:直径50mm、Cone Angle0.0195radians
人が皮膚外用剤を塗布した後の乾き際に感じる「吸い付くようなもっちり感」に関し、発明者らは、皮膚外用剤の剥離力測定を実施し、剥離力と乾き際の「吸い付くようなもっちり感」の対応関係を検討した。その結果、剥離力は塗布直後から一定時間上昇して最大剥離力となり、その後低下することを見出した。剥離力測定の結果の一例を図1及び図2に示す。そして、剥離力とモニターによる主観評価を行った結果、皮膚外用剤の乾き際の「吸い付くようなもっちり感」は、剥離力測定において最大剥離力が大きいほど大きく感じることを見出した。
さらに、実際に人が皮膚外用剤を塗布した後の乾燥後に感じる「吸い付くようなもっちり感」は、剥離力測定における120秒後の剥離力が大きいほど大きく感じていると推定される。そのため、発明者らは、皮膚外用剤の剥離力測定を実施し、120秒後の剥離力と乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」の対応関係を検討した。その結果、皮膚外用剤の乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」は、剥離力測定において120秒後の剥離力が大きいほど大きく感じることを見出した。
本発明における乾き際の「吸い付くようなもっちり感」とは、人の顔面の頬の肌に皮膚外用剤を1〜数滴(約30μl)塗布し、手で伸ばし広げた場合の15〜120秒後に吸い付くようにもっちりと感じるぬり心地であり、後述の測定機器で剥離力を測定する場合は6〜110秒後に対応するぬり心地である。
本発明における乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」とは、人の顔面の頬の肌に皮膚外用剤を1〜数滴(約30μl)塗布し、手で伸ばし広げた場合の150〜240秒後に吸い付くようにもっちりと感じるぬり心地であり、後述の測定機器で剥離力を測定する場合は120秒後に対応するぬり心地である。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が150〜270gf/cmであることを特徴とする。そのため、本発明におけるぬり心地調整剤は、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」を皮膚外用剤に付与することができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が150〜270gf/cmであり、より好ましくは160〜265gf/cmである。これは、最大剥離力が上記範囲を超えると、「べたつき感」として感じる可能性があるからである。一方、下限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力より大きいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が15〜30gf/cmであることを特徴とする。そのため、本発明におけるぬり心地調整剤は、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を皮膚外用剤に付与することができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が15〜30gf/cmであり、より好ましくは16〜29gf/cmである。これは、120秒後の剥離力が上記範囲を超えると、「べたつき感」として感じる可能性があるからである。一方、下限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力より大きいことが望ましい。
前記剥離力は、KES−G5(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、3分間繰り返して圧縮した際の剥離力を計測した。
剥離力測定の条件を以下に記す。
温度:25℃
湿度:50%RH
試料台:フィルム
加圧子:10mm角の前記フィルムにスポンジを貼り付け、スポンジ側を加圧板に貼り付けた。
荷重:1000gf
速度:10mm/sec
試料台と加圧子の距離:2mm
塗布量:6μl
剥離力測定で用いるフィルムは、皮膚外用剤の剥離力が測定できるフィルムであれば特に制限されないが、例えばポリエステル系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルムなどが挙げられる。また、セロハンテープやポリエステル系テープ、ポリエチレン系テープ、ポリイミド系テープなどの粘着テープでもかまわない。剥離力測定で用いるスポンジは、皮膚の柔軟性を再現できる材料であれば特に制限されないが、例えばウレタン系スポンジ、メラミン系スポンジ、ゴム系スポンジなどが挙げられる。また、シリコーン系シートなどでもかまわない。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート 100sec−1のとき0.002〜0.02Pa・sec であることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水にぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート100sec−1のとき、好ましくは0.0025〜0.018Pa・sec であり、より好ましくは0.003〜0.016Pa・sec である。これは、粘度が上記範囲を下回ると「とろみ感」や「伸びの良さ感」が十分に感じられないからである。一方、上限値は、イオン交換水にぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃、シェアレート100sec−1のときの粘度より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が100〜135gf/cmであることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が100〜135gf/cmであり、より好ましくは105〜130gf/cmである。これは、最大剥離力が上記範囲を下回ると、「吸い付くようなもっちり感」が十分に感じられないからである。一方、上限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が5〜15gf/cmであることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が5〜15gf/cmであり、より好ましくは6〜14gf/cmである。これは、120秒後の剥離力が上記範囲を下回ると、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」が十分に感じられないからである。一方、上限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.2重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート 100sec−1のとき0.005〜0.04Pa・sec であることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水にぬり心地調整剤を0.2重量%になるように添加したときの25℃での粘度が、シェアレート100sec−1のとき、好ましくは0.006〜0.039Pa・sec であり、より好ましくは0.007〜0.035Pa・sec である。イオン交換水にぬり心地調整剤を0.2重量%になるように添加したときの粘度は、イオン交換水にぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃、シェアレート100sec−1のときの粘度より大きくなることが望ましい。一方、上限値は、イオン交換水にぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃、シェアレート100sec−1のときの粘度より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.2重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が115〜145gf/cmであることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.2重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力が115〜145gf/cmであり、より好ましくは117〜140gf/cmである。イオン交換水にぬり心地調整剤を0.2重量%になるように添加したときの最大剥離力は、イオン交換水にぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力より大きくなることが望ましい。一方、上限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃での最大剥離力より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.2重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が10〜20gf/cmであることを特徴とする。
本発明におけるぬり心地調整剤は、イオン交換水に0.2重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力が10〜20gf/cmであり、より好ましくは11〜19gf/cmである。イオン交換水にぬり心地調整剤を0.2重量%になるように添加したときの120秒後の剥離力は、イオン交換水にぬり心地調整剤を0.1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力より大きくなることが望ましい。一方、上限値は、イオン交換水に水溶性高分子からなるぬり心地調整剤を1重量%になるように添加したときの25℃での120秒後の剥離力より小さいことが望ましい。
本発明におけるぬり心地調整剤は、皮膚外用剤に添加する重量%により、皮膚外用剤の粘度を変えることができ、「とろみ感」の大きさを変えることができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、皮膚外用剤に添加する重量%により、皮膚外用剤の粘度を変えることができ、「伸びの良さ感」の大きさを変えることができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、皮膚外用剤に添加する重量%により、皮膚外用剤の最大剥離力を変えることができ、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」の大きさを変えることができる。
本発明におけるぬり心地調整剤は、皮膚外用剤に添加する重量%により、皮膚外用剤の120秒後の剥離力を変えることができ、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」の大きさを変えることができる。
本発明の水溶性高分子からなるぬり心地調整剤としては、例えば、ポリ−γ−L−グルタミン酸、及び/又は、その塩、カルボキシアルキルキチン、キトサン、ヒドロキシアルキルキチン、低分子キトサン、キトサン塩、硫酸化キチン、リン酸化キチンアラビアガム、グアーガム、クインスシードガム、マルメロ、寒天、キサンタンガム、フルクタン、プルラン、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーおよびその変性物、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン重合物および共重合可能なモノマーとの共重合物、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明の水溶性高分子からなるぬり心地調整剤は、平均分子量が好ましくは80万以上、より好ましくは100万以上であるのが、ぬり心地の向上のために好ましい。本発明の平均分子量とはプルラン標準物質の分子量換算にて算出した数平均分子量(Mn)のことを指す。
本発明の水溶性高分子からなるぬり心地調整剤としては、例えば、ポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩が挙げられる。ポリ−γ−グルタミン酸とは、グルタミン酸のみからなるホモポリマ−である。その構造は式(I)にて示される構造である。α−COOHの水素は水素であっても良いし他の金属対イオンでも良い。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛及び鉄等一般的なものあれば限定する必要はない。そのなかでも好ましくはナトリウムである。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩は、例えば、AminoPGALE(R)―P(登録商標、東洋紡(株)製)を用いることができる。また、既存の方法で得ることもでき、特許文献3に記載された方法で、ポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩を得ることができる。
本発明に使用するポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩の分子量は、特に限定されないが、好ましくは80万以上、より好ましくは100万以上である。
ポリ−γ−グルタミン酸及び/又はその塩の分子量の上限値は特に限定されるものではないが、前述のポリ−γ−グルタミン酸、及び/又は、その塩の製造方法によれば、例えば、600万、最大で1500万である。
ポリ−γ−グルタミン酸としては、L−グルタミン酸及びD−グルタミン酸の両光学異性体が不規則に結合してなるポリ−γ−グルタミン酸が一般的であるが、L−グルタミン酸のみが結合してなるポリ−γ−L−グルタミン酸や、D−グルタミン酸のみが結合してなるポリ−γ−D−グルタミン酸も報告されており、本明細書のポリ−γ−グルタミン酸の光学異性体は特に制限されない。
本発明の皮膚外用剤とは、化粧品、医薬部外品および医薬品を含み、通常の整肌、栄養化粧水の他、アストリンゼントローション、シェーブローション、ボディローション、液状パック料等の水系皮膚外用剤等の化粧用ローションおよび栄養乳液、ボディ乳液、ネック乳液、ハンド乳液等の乳液類、パック類などが主なものである。
本発明の皮膚外用剤は、前記のぬり心地調整剤に加えて、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬品等に一般に用いられる各種成分、すなわち水性成分、粉末成分、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、色材、紫外線吸収剤、薬剤等を配合することができる。また本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば可溶化系、乳液、クリーム等の乳化系あるいは軟膏、分散液、粉末製品などの剤型をとることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。以下において、含有量ないし使用量を表す「%」は、特記しないかぎり質量基準である。
(分子量分析方法)
HLC−8220GPC(東ソー社製)を用いて分子量を分析した。カラムはTSKgel α−M(東ソー社製)、流速は0.6ml/min、溶出液は0.15M NaCl水溶液、カラム温度は40℃、注入量は10μl、検出器は示差屈折計を用いた。
(粘度測定方法)
動的粘弾性測定装置(ARES:Rheometric Scientific F.E.社製)を用いて粘度を測定した。温度25℃、ギャップ設定0.054mmとし、コーンプレート(直径50mm、Cone Angle0.0195radians)を用いた。
(剥離力測定方法)
KES−G5(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、3分間繰り返して圧縮した際の剥離力を計測した。測定環境は温度25℃、湿度50%RHとし、試料台にはポリエステルフィルム(東洋紡(株)製 クリスパーK2379 厚さ188μm)、加圧子には10mm角の前記フィルムにオイルオフスポンジ(株式会社シャンティ製)を貼り付け、スポンジ側を加圧板に貼り付けたものを用いた。荷重1000gf、速度10mm/sec、加圧子と試料台の距離2mm、塗布量6μlとした。
(モニターによる「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」、「べたつき感の無さ」、「総合的に好ましい」の一対比較評価)
20〜30代女性11名により、試料の塗布中の「とろみ感」「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」「べたつき感の無さ」「総合的に好ましい」を一対比較法により判定した。
23℃、50%RHの恒温恒湿室内でモニターの左右の頬に2種類の試料を各々塗布した。そして、指で伸ばし広げた際の「とろみ感」「伸びの良さ感」、試料が少し乾燥した状態である60秒後の乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、試料がほとんど乾燥した状態である180秒後の乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」「べたつき感の無さ」「総合的に好ましい」を、左右どちらの試料がよりとろみがあり、伸びが良く、乾き際に吸い付くようにもっちりし、乾燥後に吸い付くようにもっちりし、べたつき、総合的に好ましいかについて判定した。全試料の組合せにて一対比較判定後、中屋の変法を用いたシェッフェの一対比較法に準拠し、「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」、「べたつき感の無さ」「総合的に好ましい」をー2〜+2点で得点化した。
(実施例1〜3)
表1に示す組成の水溶液を調製した。
(比較例1〜2)
比較例1〜2を表2に示す。
(実施例4〜6と比較例3)
表3に示す処方で化粧水を調製した。
(比較例4)
水、グリセリン、BG、ジグリセリン、PEG−30、PPG−24グリセレス−24、ポリメタクリル酸メチル、ヒアルロン酸ジメチルシラノール、トレハロース硫酸Na、オリゴペプチド−6、ヒアルロン酸クロスポリマーNa、ソルビトール、ペンチレングリコール、PEG−150、ベントナイト、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、カルボマー、キサンタンガム、水酸化K、フェノキシエタノール、メチルパラベンからなる保湿用ゲル状化粧料。
(比較例5)
α―オレフィンオリゴマー、濃グリセリン、BG、DPG、SEステアリン酸グリセリル、ワセリン、オリーブ油、ステアリン酸、コレステロール、ジメチコン、フェノキシエタノール、イソステアリン酸ソルビタン、キサンタンガム、ベントナイト、水酸化k、クロルフェネシン、ベヘニルアルコール、エデト酸塩、エタノール、無水エタノール、水からなる保湿用乳液。
モニターによる「とろみ感」、「伸びの良さ感」、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」、「べたつき感の無さ」、「総合的に好ましい」の主観評価結果を表4に示した。−2以上−1より小さな得点の場合は×、−1以上0より小さな得点の場合は△、0以上+1より小さな得点の場合は○、+1以上+2以下の得点の場合は◎で示した。
粘度と最大剥離力、120秒後の剥離力、180秒後の剥離力、を表5に示した。
表4、5より、実施例1〜6、比較例1〜5の粘度が大きいほど、「とろみ感」を大きく感じる傾向がみられた。
皮膚外用剤の「伸びの良さ感」は、シェアレート 100sec−1のとき粘度0.18Pa・sec以下の皮膚外用剤の場合は粘度が大きいほど大きく感じる。そのため、表4、5より、実施例1〜6、比較例1、3においては、粘度が大きいほど、「伸びの良さ感」を大きく感じる傾向がみられた。
皮膚外用剤の「伸びの良さ感」は、シェアレート 100sec−1のとき粘度0.18Pa・secより大きい皮膚外用剤の場合は粘度が小さいほど大きく感じる。そのため、表4、5より、比較例4、5においては、粘度が小さいほど、「伸びの良さ感」を大きく感じる傾向がみられた。
表4、5より、実施例1〜6、比較例1〜5の最大剥離力が大きいほど、乾き際の「吸い付くようなもっちり感」を大きく感じる傾向がみられた。
表4、5より、実施例1〜6、比較例1〜5の120秒後の剥離力が大きいほど、乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を大きく感じる傾向がみられた。
表4、5の実施例1〜6の皮膚外用剤のように、本発明のぬり心地調整剤の添加濃度を変えることで「べたつき感の無さ」が大きく、かつ「とろみ感」「伸びの良さ感」乾き際の「吸い付くようなもっちり感」乾燥後の「吸い付くようなもっちり感」を感じる大きさを調整することができる。

Claims (7)

  1. 皮膚外用剤を塗布した際のもっちり感を、剥離力を計測することにより評価する、皮膚外用剤のぬり心地評価方法。
  2. 前記剥離力は圧縮試験機を用いて計測する、請求項1に記載のぬり心地評価方法。
  3. 前記圧縮試験機の加圧子にスポンジ及びフィルムを貼付し、試料台にフィルムを貼付して、試料台のフィルム上に塗布した皮膚外用剤の剥離力を計測する、請求項1又は2に記載のぬり心地評価方法。
  4. 前記スポンジが、ウレタン系スポンジ、メラミン系スポンジ、ゴム系スポンジ又はシリコーン系シートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のぬり心地評価方法。
  5. 前記フィルムが、ポリエステル系フィルム、ポチエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、セロハンテープ、ポリエステル系テープ、ポリエチレン系テープ又はポリイミド系テープである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のぬり心地評価方法。
  6. 皮膚外用剤を塗布後、6〜110秒後に剥離力を計測する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のぬり心地評価方法。
  7. 皮膚外用剤を塗布後、120秒後に剥離力を計測する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のぬり心地評価方法。
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小松陽子、松井まり子 他2名: "「スキンケア化粧品のぬり心地の計測方法」", SCCJ研究討論会(第69回)講演要旨集, JPN7017004194, 30 November 2011 (2011-11-30), JP, pages 6 - 7 *

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