JP2017081850A - 造粒物及びこれを含む経口製剤並びに造粒物及び経口製剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イブプロフェン(A)と、β−シクロデキストリン(B)と、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種(C)と、を含有する造粒物。
【選択図】なし
Description
このため、イブプロフェンの粘膜刺激性を抑制する方法やイブプロフェンの溶出性を向上するための方法が検討されている。
特許文献2には、イブプロフェンと、ポリビニルピロリドン又はコポリビドンと、ラウリル硫酸ナトリウムと、リン酸水素二ナトリウム又はスメクタイトを含み、イブプロフェンの溶出性が向上されたイブプロフェン含有製剤が開示されている。しかしながら、特許文献2の技術では、イブプロフェンに由来する刺激を充分に抑制できなかった。さらにイブプロフェンの溶出性についても改善の余地があった。
また、イブプロフェンの溶出性を向上する方法として、イブプロフェンを含有する製剤を微細化する方法がある。微細化することで表面積が増大し、イブプロフェンの溶出性が高められる。しかし、微細化することでイブプロフェンに由来する刺激を強く感じるようになるという問題がある。
すなわち本発明は、以下の構成を有する。
[1]イブプロフェン(A)と、β−シクロデキストリン(B)と、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種(C)と、を含有する造粒物。
[2]前記(B)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.4以上である、[1]に記載の造粒物。
[3]前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.03以上である、[1]又は[2]に記載の造粒物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の造粒物を含有する経口製剤。
[5]前記経口製剤の剤形が、顆粒剤、錠剤、丸剤、グミ剤又はゼリー剤である、[4]に記載の経口製剤。
[6]さらに、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル及びdl−カンフルからなる群より選ばれる少なくとも一種(D)を含有し、前記(D)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.003以上である、[5]に記載の経口製剤。
[7]剤形が錠剤であり、前記錠剤がチュアブル錠または口腔内崩壊錠である、[5]又は[6]に記載の経口製剤。
[8][1]〜[3]のいずれかに記載の造粒物の製造方法であって、溶融造粒法又は湿式造粒法により、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する原料を造粒し、造粒物を得る、造粒物の製造方法。
[9][8]に記載の造粒物の製造方法により造粒物を得る工程と、前記工程で得た造粒物を配合する工程とを備える、経口製剤の製造方法。
本発明の造粒物は、イブプロフェン((A)成分)と、β−シクロデキストリン((B)成分)と、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種((C)成分)と、を含有する。本発明の造粒物は、(A)〜(C)成分を含有する造粒された粒子の群である。
本発明の造粒物は、(A)成分由来の刺激の抑制性に優れ、かつ、(A)成分の溶出性に優れるため、経口製剤として好適である。また、固結抑制性に優れるため、保管や経口製剤に配合する際の取り扱い性に優れる。さらに、口腔内で溶解しやすく、ザラツキ感が抑制された良好な食感が得られるため、例えば水なしで服用するチュアブル錠や口腔内崩壊錠の原料として好適に用いられる。
本明細書において、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法による装置(例えば、ベックマン・コールター社製のLS13 320)により測定される体積平均粒子径を意味する。
本明細書において、嵩密度は、JIS K 3362に準拠して測定される値である。
(A)成分は、イブプロフェンである。イブプロフェンは公知の非ステロイド系抗炎症薬であり、解熱鎮痛薬や感冒薬の有効成分として配合されている薬物である。
(A)成分の含有量は、造粒物の総質量に対して、10〜70質量%が好ましく、15〜65質量%が好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が前記下限値以上であると、所望の服用量となるように(A)成分を造粒物中に配合しやすくなる。また、(A)成分の含有量が前記上限値以下であると、(A)成分に由来する刺激が抑制されやすくなる。
(A)成分の1回あたりの服用量は、30〜300mgが好ましく、40〜250mgが好ましく、50〜200mgがさらに好ましく、65〜160mgが特に好ましい。(A)成分の1回あたりの服用量が前記下限値以上であると、解熱鎮痛効果が向上される。(A)成分の1回あたりの服用量が前記上限値以下であると、(A)成分に由来する刺激が抑制されやすくなる。
(B)成分は、β−シクロデキストリンである。本発明の造粒物は、後述の(C)成分とともに(B)成分を含有することで、(A)成分由来の刺激が抑制され、かつ、(A)成分の溶出性が高められる。さらに造粒物の溶解性が高められ、ザラツキ感が抑えられた食感に優れる造粒物が得られやすくなる。
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が知られており、それぞれ分子中の環状構造内部の空孔の大きさが異なる。本発明においては、β−シクロデキストリン((B)成分)を用いることで、(A)成分由来の刺激が抑制され、かつ、(A)成分の溶出性が高められる。これは、α−シクロデキストリン等に比べて、(B)成分が(A)成分と相互作用しやすいためと考えられる。
図1に、β−シクロデキストリンの1H−NMRチャート図を、図2に、実施例3の造粒物の1H−NMRチャート図をそれぞれ示す。
図2の1H−NMRチャート図に示されるように、本発明の造粒物におけるβ−シクロデキストリンのH3、H5のピークは、図1のβ−シクロデキストリン単体のH3、H5のピークに比べ高磁場側へシフトしている。このことから、本発明の造粒物においては、少なくとも(A)成分の一部は(B)成分に包接されていると考えられる。
なお、上記1H−NMRチャート図は、測定対象物(β−シクロデキストリン又は実施例3の造粒物)を重水に溶解し(試料濃度30質量%)、これを1H−NMR(JEOL社製のJNM―LA300 FT NMR SYSTEM)により測定して得られたものである。
(C)成分は、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種である。本発明の造粒物は、上述の(B)成分とともに(C)成分を含有することで、(A)成分由来の刺激を抑制でき、かつ、(A)成分の溶出性が高められる。また、造粒物の固結抑制性が高められる。さらに、造粒物の溶解性が高められ、服用した際に良好な食感が得られやすくなる。
ポリビニルアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が、1,000〜5,000,000g/molのものが好ましく、2,000〜3,000,000g/molのものがより好ましく、3,000〜1,000,000g/molのものがさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重量平均分子量が前記下限値以上であると、(A)成分由来の刺激が抑制されやすくなり、かつ、(A)成分の溶出性が高められやすくなる。ポリビニルアルコールの重量平均分子量が前記上限値以下であると、ポリビニルアルコールの取り扱い性が良好となり造粒物を製造しやすくなる。また、ポリビニルアルコールの水酸基と酢酸基の総量に対する水酸基の割合を示すケン化度(モル%)としては、80.0〜95.0モル%のものが好ましく、85.0〜90.0モル%のものがより好ましく、86.5〜89.0モル%のものがさらに好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度が前記下限以上であると、被膜強度が強くなり、刺激抑制効果が高くなる。ポリビニルアルコールのケン化度が前記上限以下であると、造粒物の溶解性が高められ、即効性が高められやすくなる。
また、メチルセルロースとしては、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が、1,000〜5,000,000g/molのものが好ましく、2,000〜3,000,000g/molのものがより好ましく、3,000〜1,000,000g/molのものがさらに好ましい。メチルセルロースの重量平均分子量が前記下限値以上であると、(A)成分由来の刺激が抑制されやすくなり、かつ、(A)成分の溶出性が高められやすくなる。メチルセルロースの重量平均分子量が前記上限値以下であると、メチルセルロースの取り扱い性が良好となり造粒物を製造しやすくなる。
なお、本発明における重量平均分子量は、GPC−MALLSシステムにて測定される値である。
(C)成分としては、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
造粒物中の(A)〜(C)成分の合計含有量は100質量%以下である。
賦形剤としては、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、バレイショデンプン;マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、パラチニット、ラクチトール等の糖アルコール;タルク等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、アルファー化デンプン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、寒天、ハチミツ等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
甘味剤としては、例えば、ショ糖、果糖、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、ステビア、精製白糖、サッカリン、グリチルリチン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラベン類、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、例えば、リモネン、オレンジフレーバー、ライチフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、ストロベリーフレーバー、パイナップルフレーバー、ピーチフレーバー、ミントフレーバー、グレープフルーツフレーバー等が挙げられる。
色素としては、例えば、カラメル、カルミン、カロチン液、β−カロテン、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク等が挙げられる。
これらの添加剤は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の経口製剤は、上記造粒物を含有する。本発明の経口製剤には、上記造粒物が溶解されたり溶融されたりせずに、造粒物の形態で含まれる。
本発明の経口製剤は、上記造粒物を含むことで、(A)成分に由来する刺激が抑制され、かつ、(A)成分の溶出性が高められる。また、造粒物の溶解性に優れ、ザラツキ感が抑えられた良好な食感が得られやすくなる。
経口製剤としては、特に限定されないが、例えば、粒状剤(顆粒剤、散剤等)、錠剤(チュアブル錠、口腔内崩壊錠、発泡錠等)、丸剤、グミ剤、ゼリー剤が好ましい。本発明の効果をより享受しやすい点から、錠剤が好ましく、チュアブル錠、口腔内崩壊錠がより好ましく、水なしで服用するチュアブル錠、口腔内崩壊錠がさらに好ましい。
本発明の経口製剤は、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル及びdl−カンフルからなる群より選ばれる少なくとも一種((D)成分)を含有することができる。
経口製剤が(D)成分を含有することで、(A)成分由来の刺激がより抑制される。
(D)成分の含有量は、適宜に調整されるが、例えば経口製剤の総質量に対して、0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜8質量%がより好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましく、0.01〜3質量%が特に好ましい。(D)成分の含有量が前記の好ましい範囲であると、(A)成分由来の刺激が抑制され、服用性に優れる経口製剤が得られやすくなる。
前記(D)成分/前記(A)成分で表される質量比[(A)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の質量割合、以下「D/A比」ともいう]は、0.003以上が好ましく、0.005以上がより好ましく、0.008以上がさらに好ましく、0.01以上が特に好ましく、0.02以上が最も好ましい。D/A比が前記下限値以上であると、刺激の抑制効果が高められやすくなる。また、D/A比は、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましく、0.18以下が特に好ましく、0.15以下が最も好ましい。D/A比が前記上限値以下であると、服用性に優れる経口製剤が得られやすくなる。D/A比は、0.003〜0.5が好ましく、0.005〜0.3がより好ましく、0.008〜0.2がさらに好ましく、0.01〜0.18が特に好ましく、0.02〜0.15が最も好ましい。
これらの添加剤は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、これらの添加剤は、いずれか1種又は2種以上を含有する顆粒として配合されてもよい。
pH調整剤としては、例えば、コハク酸、酢酸、酢酸アンモニウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、ホウ砂、乳酸、乳酸カルシウム水和物、乳酸ナトリウム、リンゴ酸等が挙げられる。
甘味剤としては、例えば、ショ糖、液糖、果糖、果糖ブドウ糖液、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水飴、黒砂糖、高果糖液糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水飴、水飴、高ブドウ糖水飴、乳糖、白糖、精製白糖、精製白糖球状顆粒、ハチミツ、精製ハチミツ、単シロップ、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、D−ソルビトール液、マルチトール、マルチトール液、マルトース、D−マンニトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、アマチャ抽出物、甘草抽出物、サッカリン、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア抽出物、ネオテーム、ソーマチン、グリシン、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、甘草等が挙げられる。
増粘剤の含有量は、経口製剤の剤形及び増粘剤の種類等に応じて適宜に調節されるが、グミ剤又はゼリー剤の総質量に対して、例えば0.01〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
保存剤・防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、エタノール、エデト酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、カンテン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリセリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸フェニル、ジブチルヒドロキシトルエン、D−ソルビトール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、プロピレングリコール、l−メントール、ユーカリ油等が挙げられる。
安定化剤としては、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、DL−アラニン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、L−アルギニン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、アルブミン、イオウ、イノシトール、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エリソルビン酸、エルソルビン酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩酸システイン、カカオ脂、果糖、カルボキシビニルポリマー、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、乾燥炭酸ナトリウム、キサンタンガム、キシリトール、クエン酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、グリチルリチン酸二ナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酢酸トコフェロール、酢酸ナトリウム、デキストリン、ショ糖脂肪酸エステル、水酸化カルシウム、精製ゼラチン、精製大豆レシチン、セスキオレイン酸ソルビタン、セタノール、ソルビタン脂肪酸エステル、D−ソルビトール液、大豆油不けん化物、デキストラン、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、ニコチン酸アミド、乳糖、濃グリセリン、パントテン酸カルシウム、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブドウ糖、フマル酸−ナトリウム、ベントナイト、没食子酸プロピル、ポリアクリル酸部分中和物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、マルトース、D−マンニトール、無水ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリン、薬用炭、ラウリル硫酸ナトリウム、卵白アルブミン等が挙げられる。
これらの添加剤は、いずれか1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
また、これらの添加剤は、いずれか1種又は2種以上を含有する顆粒として配合されてもよい。
<造粒物の製造方法>
本発明の造粒物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を造粒して製造される。
造粒方法としては、公知の造粒方法を適用できる。造粒方法としては、例えば、溶融造粒法、湿式造粒法が挙げられる。
溶融造粒法は、一般に、薬物を加熱等により溶融して液体とし、その後冷却固化して造粒する方法である。
湿式造粒法は、水等の液体を添加して造粒する方法であり、例えば、押出造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、転動造粒法等が挙げられる。
これらの造粒方法の中でも、固結抑制性に優れる造粒物が得られる点、(A)成分由来の刺激が抑制された造粒物が得られる点、ザラツキが抑えられ良好な食感が得られる造粒物が得られる点等から、溶融造粒法が好ましい。
溶融造粒法としては、(A)成分を溶融して液体にする溶融工程と、前記(A)成分と、(B)成分及び(C)成分を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を冷却して造粒を行う造粒工程とを備える方法が挙げられる。
上記溶融工程では、(A)成分を加熱溶融して液体にする。加熱温度としては、(A)成分の融点以上の温度が好ましく、例えば80℃以上とされる。
上記混合工程では、(A)成分と、(B)成分及び(C)成分を混合して混合物を得る。(A)成分と、(B)成分及び(C)成分を混合する順序としては、特に限定されないが、(A)成分由来の刺激がより抑制されやすくなり、かつ、(A)成分の溶出性がより高められやすくなる点から、(A)成分と(C)成分を混合した後、(B)成分を混合するのが好ましい。また、(A)成分と、(B)成分及び(C)成分との混合は、(A)成分を加熱溶融する前に行ってもよいし、(A)成分を加熱溶融して液体にした後に行ってもよい。(A)成分由来の刺激がより抑制されやすくなり、かつ、(A)成分の溶出性がより高められやすくなる点から、(A)成分と(C)成分を混合した後、(A)成分を加熱溶融して液体とし、その後、(B)成分を混合することが好ましい。
上記造粒工程では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の混合物を冷却して造粒物を調製する。前記造粒物は、前記混合物をノズル等で液滴として噴霧しながら冷却することによって調製されてもよいし、前記混合物を冷却して固体としこれを粉砕して調製されてもよい。生産性に優れる点から、前記混合物を冷却して固体としこれを粉砕して調製することが好ましい。前記冷却温度としては、前記混合物が固体となる温度であれば特に限定されないが、生産性に優れる点から、室温(例えば15〜35℃)が好ましい。
溶融造粒法では、例えば、平均粒子径50〜300μm、好ましくは平均粒子径100〜200μmの造粒物が製造される。溶融造粒法は、平均粒子径の小さな造粒物が得られやすく、口当たりが良好で食感により優れる造粒物が製造できる点、さらに、製造装置への付着が抑制されハンドリング性に優れた造粒物が製造できる点で、後述の押出造粒法より好ましい。
湿式造粒法の中で例えば押出造粒法としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する混練物を調製する混練物調製工程と、前記混練物を押出機に供給して押出物を調製し、前記押出物から造粒物を調製する造粒工程とを備える方法が挙げられる。
上記混練物調製工程では、公知の混練機に、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じて賦形剤等の添加剤を投入して混合物とし、前記混合物に液体成分を添加して混練する操作が行われる。(A)成分、(B)成分、(C)成分の投入順序は、任意であり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を任意の順に投入してもよいし、前記2成分又は3成分を同時に投入してもよい。前記液体成分の添加量は、適宜に調整されるが、例えば前記混合物の総質量に対して10〜20質量%とされる。また、前記液体成分としては、(A)成分と(B)成分との相互作用をより高めることができる点から、水が好ましい。前記液体成分として水が用いられると、(A)成分由来の刺激が抑制され、かつ、(A)成分の溶出性が高められた造粒物が得られやすくなる。
上記造粒工程では、上記混練物を公知の押出造粒機に投入し、スクリュー、プランジャー、ローラ等により圧力をかけ、任意の孔を備えるスクリーンダイから前記混練物を押し出して押出物を調製しつつ、前記押出物をカッター等で切断して造粒物とする操作が行われる。
上記押出造粒法においては、造粒工程の後に、造粒物を乾燥する乾燥工程、造粒物の平均粒子径や粒度分布を整える整粒工程が設けられてもよい。前記乾燥工程では、造粒物を乾燥して造粒物の水分量を調整する操作が行われる。この乾燥工程では、造粒物の水分量が、造粒物の総質量に対して、例えば0〜5質量%とされる。前記整粒工程では、粉砕や篩過等により、造粒物の平均粒子径や粒度分布を整える操作が行われる。
押出造粒法では、例えば、平均粒子径500〜2000μm、好ましくは平均粒子径750〜1500μmの造粒物が製造される。
本発明の経口製剤は、特に限定されないが、上記造粒物の製造方法により造粒物を得る工程と、前記工程で得た造粒物を配合する工程とを備える。
本発明の経口製剤は、剤形に応じ、常法により製造できる。
例えば、本発明の経口製剤が、粒状剤(顆粒剤、散剤等)の場合であれば、上記造粒物をそのまま粒状剤とすることができる。また、上記造粒物と、他の任意成分又は他の任意成分を含む顆粒等とを混合した混合物を調製しこれを粒状剤としてもよい。前記造粒物及び/又は他の任意成分には、コーティングが施されてもよいし、造粒操作や整粒操作等が行われてもよい。
本発明の経口製剤が、錠剤の場合であれば、上記造粒物をそのまま打錠して錠剤としてもよいし、上記造粒物と、他の任意成分又は他の任意成分を含む顆粒等とを混合した混合物を調製しこれを打錠して錠剤としてもよい。前記造粒物及び/又は他の任意成分には、コーティングが施されてもよいし、造粒操作や整粒操作等が行われてもよい。打錠は、公知の打錠成型機を用いて行うことができる。前記打錠成型機としては、特に限定されないが、ロータリー式の打錠成型機等が挙げられ、例えば株式会社菊水製作所製の製品名「LIBRA」、株式会社畑鐵工所製の製品名「HP−AP−MS型」等が挙げられる。打錠圧は、適宜調整されるが、例えば錠剤の引っ張り強度が75〜250N/cm2になるように調整されるのが好ましい。
本発明の経口製剤が、グミ剤又はゼリー剤である場合、水と増粘剤を加温混合して液状物を調製し、前記液状物に任意成分を添加して溶解した後、前記液状物を(A)成分の融点以下まで冷却し、上記造粒物及び残りの任意成分を添加して混合した混合物とし、この混合物を型に入れ冷却してグミ剤又はゼリー剤とする方法が挙げられる。
本発明の経口製剤は、前記造粒物を含有するため、(A)成分由来の刺激が抑制され、かつ、(A)成分の溶出性に優れる。さらに、口腔内で溶解しやすくザラツキ感が抑えられた良好な食感が得られる。例えば経口製剤の剤形を、水なしで服用するチュアブル錠や口腔内崩壊錠とした場合でも本発明の効果を充分に享受できる。
[1]イブプロフェン(A)と、β−シクロデキストリン(B)と、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種(C)と、を含有する造粒物。
[2]前記(B)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.4以上である、[1]に記載の造粒物。
[3]前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.03以上である、[1]又は[2]に記載の造粒物。
[4]前記(A)の含有量が、造粒物の総質量に対して、10〜70質量%であり、前記(B)成分の含有量が、造粒物の総質量に対して、10〜80質量%であり、前記(C)成分の含有量が、造粒物の総質量に対して、0.01〜40質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の造粒物。ただし、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分の合計含有量は、100質量%を超えない。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の造粒物を含有する経口製剤。
[6]剤形が、粒状剤、錠剤、丸剤、グミ剤又はゼリー剤である、[5]に記載の経口製剤。
[7]さらに、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル及びdl−カンフルからなる群より選ばれる少なくとも一種(D)を含有する、[6]に記載の経口製剤。
[8]前記(D)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.003以上である、[7]に記載の経口製剤。
[9]剤形が錠剤であり、前記錠剤がチュアブル錠または口腔内崩壊錠である、[6]〜[8]のいずれかに記載の経口製剤。
[10]前記チュアブル錠または口腔内崩壊錠が、水なしで服用するものである、[9]に記載の経口製剤。
[11]剤形が、粒状剤であり、かつ、上記造粒物を、粒状剤の総質量に対して30〜100質量%含有する、[5]〜[8]のいずれかに記載の経口製剤。
[12]剤形が、錠剤又は丸剤であり、かつ、上記造粒物を、錠剤又は丸剤の総質量に対して5〜100質量%含有する、[5]〜[10]のいずれかに記載の経口製剤。
[13]剤形が、グミ剤であり、かつ、上記造粒物を、グミ剤の総質量に対して0.1〜50質量%含有する、[5]〜[8]のいずれかに記載の経口製剤。
[14]剤形が、ゼリー剤であり、かつ、上記造粒物を、ゼリー剤の総質量に対して0.001〜20質量%含有する、[5]〜[8]のいずれかに記載の経口製剤。
[15][1]〜[4]のいずれかに記載の造粒物の製造方法であって、
溶融造粒法又は湿式造粒法により、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する原料を造粒し、造粒物を得る、造粒物の製造方法。
[16]前記溶融造粒法は、前記(A)成分を溶融して液体にする溶融工程と、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を冷却して造粒を行う造粒工程とを備える、[15]に記載の造粒物の製造方法。
[17]前記湿式造粒法は押出造粒法であり、前記押出造粒法は、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する混練物を調製する混練物調製工程を備え、前記混練物調製工程において、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する混合物に液体成分を添加して混練する操作が行われる、[15]に記載の造粒物の製造方法。
[18][15]〜[17]のいずれかに記載の造粒物の製造方法により造粒物を得る工程と、前記工程で得た造粒物を配合する工程とを備える、経口製剤の製造方法。
本実施例で使用した原料は、以下のとおりである。
<(A)成分>
・イブプロフェン、BASF社製。
・β−シクロデキストリン、日本食品化工株式会社製。
・ポリビニルアルコール、「製品名:ゴーセノール EG−05PW」、日本合成化学工業株式会社製。
・メチルセルロース、「製品名:メトローズ SM−4000」、信越化学工業株式会社製。
・ヒドロキシプロピルセルロース、「製品名:HPC−SSL」、日局、日本曹達株式会社製。
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース、「製品名:メトローズ60SH−4000」、信越化学工業株式会社製。重量平均分子量30万(g/mol)。
・ポリビニルピロリドン、「製品名:コリドン90F」、日局、BASF社製。重量平均分子量100万(g/mol)。
・l−メントール、長岡実業株式会社製。
・dl−カンフル、小城製薬株式会社製。
・エリスリトール、「製品名:エリスリトール100M」、物産フードサイエンス株式会社製。
・トウモロコシデンプン、「製品名:局方松谷コーンスターチ」、松谷化学工業株式会社製。
・ヒドロキシプロピルセルロース、「製品名:HPC−SSL」、日本曹達株式会社製。
・乳糖水和物、「製品名:Dilactose」、フロイント産業株式会社製。
・結晶セルロース、「製品名:UF−702」、旭化成ケミカルズ株式会社製。
・クロスポビドン、「製品名:Kollidon CL−SF」、BASF社製。
・dl−カンフル、小城製薬株式会社製。
・ステアリン酸マグネシウム、太平化学産業株式会社製。
・還元麦芽糖水飴、「製品名:アマルティシロップ」、三菱商事フードテック株式会社製。
・D−ソルビトール液、「製品名:ソルビットD−70」、三菱商事フードテック株式会社製。
・白糖、「製品名:上白糖」、三井製糖株式会社製。
・ゼラチン、「製品名:ニッピゼラチン AP−270」、株式会社ニッピ製。
・ゲル化剤製剤(カラギーナン22.0質量%、ローカストビーンガム19.0質量%、塩化カリウム7.5質量%、乳酸カルシウム7.0質量%、デキストリン44.5質量%の混合物)、「製品名:NEWGELIN LB−98F」、三菱商事フードテック株式会社製。
・クエン酸、扶桑化学工業株式会社製。
・クエン酸ナトリウム、扶桑化学工業株式会社製。
<実施例1〜10、比較例1〜6>
表1,2の組成に従い、混合造粒機(ハイスピードミキサー、株式会社アーステクニカ製)に、(A)成分及び(C)成分を投入して混合し、80℃以上に加熱して(A)成分を溶融した。その後、前記混合造粒機に(B)成分を投入して撹拌し、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の混合物を得た。前記混合物を室温(25℃)まで冷却して保温した状態で、アジテーター回転数200rpm、チョッパー回転数2000rpmの条件で撹拌しながら造粒し造粒物を得た。この造粒物を振動篩い(株式会社ダルトン製)にかけて篩分し、実施例1〜10の造粒物(平均粒子径150μm)を得た。
(B)成分及び/又は(C)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3の造粒物を得た。また、(C)成分に代えて(C’)成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4〜6の造粒物を得た。
なお、実施例1〜10及び比較例1〜6の造粒物は、溶融造粒法により製造されたものである。
表3の組成に従い、混合造粒機に、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び乳糖水和物を投入して得られた混合物に、水を添加しながら、アジテーター回転数300rpm、チョッパー回転数2000rpmの条件で混練して混練物を得た。前記水の添加量は、前記混合物の総質量に対して、10〜20質量%とした。得られた混練物を湿式押出造粒機(不二パウダル株式会社製の「ドームグラン」)を用いて押出造粒し造粒物を得た。この造粒物を乾燥機(送風定温恒温器、ヤマト科学株式会社製)を用いて棚乾燥(50℃、2〜3時間)した後、整流機(クアドロコーミル、株式会社パウレック製)にかけて整粒し、実施例11〜15の造粒物を得た。実施例11〜15の造粒物の平均粒子径は、1000〜1500μm、水分量は0.5〜3.0質量%であった。
(B)成分を用いなかったこと以外は、実施例11と同様にして比較例7の造粒物を得た。また、(C)成分に代えて(C’)成分を用いたこと以外は、実施例11と同様にして比較例8の造粒物を得た。
なお、実施例11〜15及び比較例7〜8の造粒物は、押出造粒法により製造されたものである。
<実施例16〜31、比較例9〜11>
表4の組成に従い、上記各例の造粒物と、エリスリトールとトウモロコシデンプンを混合し、ヒドロキシメチルセルロースを水に溶解した結合液にて造粒して得た顆粒と、結晶セルロースと、クロスポビドンと、ステアリン酸マグネシウムとを、混合機(ボーレコンテナミキサー、コトブキ技研工業株式会社製)に投入して20分間混合し、打錠用混合物を得た。この打錠用混合物を、打錠機(LIBRA、株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、実施例16〜25、比較例9〜11の錠剤を製造した。なお、各例の錠剤は錠剤径φ9.0mmのスミ角平錠とした。また、各例の錠剤の引っ張り強度は90〜120N/cm2となるように打錠圧を調整した。
また、表5の組成に従い、実施例3の造粒物と、(D)成分と、上記顆粒と、結晶セルロースと、クロスポビドンと、ステアリン酸マグネシウムとを、混合機に投入したこと以外は、実施例16と同様にして実施例26〜31の錠剤を製造した。
<実施例32、比較例12〜13>
ゼラチンに加水して膨潤させた後、60℃に昇温してゼラチンを溶解した溶液を調製した。この溶液に、還元麦芽糖水飴、D−ソルビトール、白糖を添加し、撹拌しながら加水し、130℃まで昇温した。その後、溶液を冷却し、60℃になった時点で、実施例3の造粒物を添加し攪拌した後、半球状の型(約1.5g)に分注し、室温にて冷却、乾燥して実施例32のグミ剤を製造した。なお、上記各成分の組成は表6に従った。
また、実施例3の造粒物に代えて、比較例2の造粒物又は比較例3の造粒物を用いたこと以外は、実施例32と同様にして比較例12〜13のグミ剤を製造した。
<実施例33、比較例14〜15>
表7の組成に従い、精製水に、ゲル化剤製剤(カラギーナン、ローカストビーンガム、塩化カリウム、乳酸カルシウム、デキストリンの混合物)、白糖を添加し撹拌して溶液を調製した。この溶液に、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを添加し、100℃まで加熱して前記各成分を溶解した。その後、溶液を冷却し、60℃になった時点で、実施例3の造粒物を添加し攪拌した後、スティック状の三方シール容器(10mL、約9g)に分注し、5℃の環境で冷却して実施例33のゼリー剤を製造した。なお、上記各成分の組成は表7に従った。
実施例3の造粒物に代えて、比較例2の造粒物又は比較例3の造粒物を用いたこと以外は、実施例33と同様にして比較例14〜15のゼリー剤を製造した。
表4〜7に、得られた各例の経口製剤の組成(配合成分、含有量(mg))を示す。
表1〜7中、配合量の記載がない場合、その成分は配合されていない。
表1〜7中、配合成分の含有量は純分換算量を示す。
それぞれの評価結果を表1〜7に示す。
各例の造粒物又は経口製剤(イブプロフェン65mg含有)について、日本薬局方(第16改)に収載の溶出試験法(パドル法、50rpm、溶出試験第1液(pH1.2))に従って溶出率を求めた。溶出試験第1液(pH=1.2)を使用し、5分時点でのイブプロフェンの溶出率(%)を算出した。算出された溶出率を下記評価基準に従い評価し、3以上を合格とした。なお、この5分時点での溶出率が20%以上であると、服用後60分時点での頭痛改善率が良好となる。
≪溶出率の評価基準≫
5:30%以上。
4:25%以上、30%未満。
3:20%以上、25%未満。
2:10%以上、20%未満。
1:10%未満。
各例の造粒物300gを蓋のない容器に充填し、25℃相対湿度60%の条件下で10日間静置し、その後、前記造粒物を、目視、指触により観察し、造粒物の吸湿状態における固結抑制性を下記評価基準に従い評価し、3以上を合格とした。なお、前記評価が3以上であれば、例えば造粒物と任意成分等とを混合して経口製剤を調整する際に、固結した造粒物を崩すことができ、薬剤の含有量が均一な経口製剤を調整しやすくなる。
≪固結抑制性の評価基準≫
5:造粒物がさらさらした状態であり固結が観察されない。
4:造粒物が非常に弱く固結しており、指で軽く押圧するとすぐに崩れる。
3:造粒物が弱く固結した状態であり、指で軽く押圧すると崩れる。
2:造粒物が強く固結した状態であり、指で強く押圧すると崩れる。
1:造粒物が非常に強く固結した状態であり、指で強く押圧しても崩れない。
パネラー5人が、各例の造粒物又は各例の経口製剤(イブプロフェン65mg含有)を水なしで服用した際に感じる刺激を、下記刺激抑制性の判定基準に従い点数をつけた。そして、その合計点数を算出し、下記刺激抑制性の評価基準に従い評価し、3以上を合格とした。
≪刺激抑制性の判定基準≫
5点:刺激を感じない。
4点:わずかな刺激を感じる。
3点:やや刺激を感じる。
2点:刺激を感じる。
1点:強い刺激を感じる。
≪刺激抑制性の評価基準≫
5:合計点数が22〜25点。
4:合計点数が18〜21点。
3:合計点数が14〜17点。
2:合計点数が10〜13点。
1:合計点数が9点以下。
パネラー5人が、各例の造粒物又は経口製剤(イブプロフェン65mg含有)を水なしで服用し、舌と上顎でシアーをかけて溶解させた際に感じたザラツキの強さを、下記食感の判定基準に従い点数をつけた。そして、その合計点数を算出し、下記食感の評価基準に従い評価し、3以上を合格とした。なお、下記判定基準で2点以下であると、服用した際にザラツキを感じ服用性が不良であり、また、経口製剤を服用した際に舌と上顎でシアーを強くかける等して口腔内で造粒物を溶解しなければならず、刺激を強く感じる原因にもなる。
≪食感の判定基準≫
5点:ザラツキを感じない。
4点:ザラツキをやや感じる。
3点:ザラツキを少し感じる。
2点:ザラツキを感じる。
1点:ザラツキをかなり感じる。
≪食感の評価基準≫
6:23〜25点。
5:20〜22点。
4:17〜19点。
3:14〜16点。
2:11〜13点。
1:10点以下。
また、表4〜7に示すように、本発明を適用した実施例16〜33の経口製剤は、イブプロフェンの溶出性及び刺激抑制性に優れていた。さらに、食感にも優れていた。
これに対して、溶融造粒法で製造され、(B)成分、(C)成分の一方又は両方を含有しない造粒物(比較例1〜3)、(C)成分に代えてポリビニルピロリドンを含有する造粒物(比較例6)は、イブプロフェンの溶出性、刺激抑制性が充分でなかった。(C)成分に代えてヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する造粒物(比較例4,5)は、イブプロフェンの溶出性が充分でなかった。また、比較例1〜6の造粒物は、良好な固結抑制性が得られなかった。さらに、比較例1,3の造粒物は、良好な食感が得られなかった。
押出造粒法で製造され、(B)成分を含有しない造粒物(比較例7)、(C)成分に代えてヒドロキシプロピルセルロースを含有する造粒物(比較例8)は、イブプロフェンの溶出性、刺激抑制性が充分でなかった。また、比較例7,8の造粒物は、良好な固結抑制性が得られなかった。さらに、比較例7の造粒物は、良好な食感が得られなかった。
比較例1〜3のいずれかの造粒物を含有する経口製剤(比較例9〜15)は、イブプロフェンの溶出性、刺激抑制性が充分でなかった。さらに、比較例9,11の経口製剤は、良好な食感が得られなかった。
以上の結果から、本発明を適用することで、イブプロフェンの溶出性及び刺激抑制性に優れる造粒物及び経口製剤が得られることが確認できた。
Claims (9)
- イブプロフェン(A)と、β−シクロデキストリン(B)と、ポリビニルアルコール及びメチルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種(C)と、を含有する造粒物。
- 前記(B)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.4以上である、請求項1に記載の造粒物。
- 前記(C)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.03以上である、請求項1又は請求項2に記載の造粒物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の造粒物を含有する経口製剤。
- 剤形が、粒状剤、錠剤、丸剤、グミ剤又はゼリー剤である、請求項4に記載の経口製剤。
- さらに、l−メントール、dl−メントール、d−カンフル及びdl−カンフルからなる群より選ばれる少なくとも一種(D)を含有し、前記(D)成分/前記(A)成分で表される質量比が0.003以上である、請求項5に記載の経口製剤。
- 剤形が錠剤であり、前記錠剤がチュアブル錠または口腔内崩壊錠である、請求項5又は請求項6に記載の経口製剤。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の造粒物の製造方法であって、
溶融造粒法又は湿式造粒法により、前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する原料を造粒し、造粒物を得る、造粒物の製造方法。 - 請求項8に記載の造粒物の製造方法により造粒物を得る工程と、前記工程で得た造粒物を配合する工程とを備える、経口製剤の製造方法。
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