JP2017079635A - 腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアー - Google Patents

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敏博 井原
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Abstract

【課題】本発明は、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーに関する。【解決手段】 本発明の腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーは、(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、を備えている。【選択図】なし

Description

本発明は、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアー、当該キャリアーの利用に関する。
医療現場でがんの判定に使われる代表的な手法として、腫瘍マーカーを用いた生検が含まれる。しかしながら、腫瘍は単クローン性の細胞の集合体ではなく、異なるプロファイルを持った細胞で構成されているため、細胞を採取する場所の違いで判定に異なる結果が生じるなど、現在その判断指標としての信憲性に懐疑的な意見が出てきている。
進行したがんでは、腫瘍細胞が原発腫瘍細胞組織から剥離し、血液やリンパ液の流れに乗り、体内の別の臓器に移動することでがんの転移が起こっていると考えられている。このように血流に乗って体内を循環している腫瘍細胞は、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)と呼ばれている。近年、単位血液量(体積)あたりのCTCの個数が、がんの予後や治療奏功に深く関与することが明らかとなってきており、腫瘍マーカーに代わるがんの病態診断マーカーとしてCTCが着目されている。血中に存在するCTCの数が、がんの病態に対して高い相関を示すことが確認されており、がんの予後や治療奏功の有用な判断材料として考えられている。しかしながら、1mLの血液中には10億個の血液細胞が存在するのに対し、CTCはわずか数個〜10個程度しか含まれていないため、CTCの検出は極めて困難である。
現在のところ、CTC数のカウントを原理とする予後診断システムとして米国食品医薬品局(FDA)が承認しているのは、米国ベリデックス社のCell Search Systemのみである。多くの固形腫瘍は細胞膜上にEpCAM(上皮細胞接着分子)を高発現していることが知られている(1細胞あたり約40万個以上)。同システムでは、磁性微粒子上に抗EpCAM抗体が修飾されており、これを介してCTCが磁気微粒子上に捕捉される。捕捉されたCTCを抗サイトケラチン抗体ならびにDAPIで染色し、セルカウンターでCTC数をカウントする仕組みとなっている。末梢血7.5mL中の1個のCTCまで再現性よく検出可能であるが、末梢血濃縮に約40分、その後の測定に2−3時間と比較的長い時間を診断に要する、という課題がある。近年は、術後に開腹状態でCTC数をカウントし、病巣摘出の奏功の確認を行いたいとのニーズが医療現場からあがってきている。しかしながら、Cell Search Systemでは診断までに、合計4時間近く要するためこのニーズに応えることができない。診断時間の短縮が喫緊の課題である。また、抗体を使用し、高価なシステムを利用する必要があるため、診断コストが非常に高く、同システムの普及の妨げになっている。Cell Search Systemに変わる新しい診断方法の開発が望まれている。
Cell Search System の磁気微粒子を利用した手法以外にも、CTCを選択的に捕集、捕捉する技術として、CTCと他の末梢血成分の細胞サイズの差(CTC:約30μm、白血球:約8−20μm程度、赤血球:約8μm、厚さ約2μm、血小板:直径約2−4μm)を利用してフィルターで分離捕集する手法、誘電泳動特性の違いを利用し、マイクロ流体デバイスで分離捕集する手法、アビジン修飾プレート(プレートリーダー用)にビオチン修飾核酸アプタマーを固定化したものを用いて捕捉する手法などが提案されている。
しかし、公知のフィルターによる分離捕集法やマイクロ流体デバイスにおいては、標的細胞である腫瘍細胞以外の血球細胞や付着したタンパク質成分などによってフィルターの目詰まりを起こす恐れがあるため、全血に対して前処理を行ったり、希釈したりする必要があるものが多い。また、マイクロ流体デバイスでは、構造上流路が狭いため、一度に流せるサンプル量が限られており、分離捕集に長い時間(数時間)を要することが多い。アビジン修飾プレート上へのアプタマー修飾法を用いても、検出装置、検出方法が限定されてしまう。
腫瘍細胞を簡便かつ効率良く捕捉するためのキャリアー及び方法の開発が望まれている。
WO 2014/019025 A1
Analytical Chemistry, 2013,85,p.4141-4149 PLOS ONE, 2013,8,2,e57613 Angew. Chem. Int. Ed. 2014,53,p.13145-13149 International Journal of Nanomedicine, 2014,9,p.1083-1096 Mol.Cells,37,742-746(2014) Cancer Sci., 102, 991-998(2011) Tumor Biol., 27, 289-301(2006) Cancer Res., 70, 9371-9380(2010) Biochem. Biophys. Res. Commun., 453, 681-685(2014) PLOS ONE, 9, e90752(2014) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 8170-8175(2013) Bull. Korean Chem. Soc., 30, 1827-1831(2009) Nucleic. Acid Ther., 21, 173-178(2011) J. Transl. Med., 10, 148-158(2012) J. Cancer Sci. Ther., 4, 214-222(2012) Mol. Ther. Nucleic Acids, 1, e21(2012) Nucleic Acid Ther., 23, 401-407(2013) Cancer Lett., 330, 84-95(2013) Mol. Cell. Proteomics, 2230-2230(2007) Mol. Cancer Ther., 5, 1790-1799(2006) J. Biol. Chem., 276, 16464-16468(2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 15416-15421(2003) J. Proteome Res., 7, 2133-2139(2008) Clin. Chem., 53, 1153-1158(2007) Anal. Chem., 80, 721-728 (2008) J. Hematol. Oncol., 7, 5(2014) Leukemia, 23, 235-244(2009) Biomaterials,29,4177-4186(2008)
本発明は、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアー、当該キャリアーの製造方法等を提供する。
本発明者ら上記問題の解決のために鋭意研究を重ね、腫瘍細胞の捕捉、検出、除去等の目的のために利用できる、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーを構築し、本発明を想到した。限定されるわけではないが、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーであって、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
を備えている
前記キャリアー。
[態様2]
自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、核酸アプタマーと結合している、態様1に記載のキャリアー。
[態様3]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部はキャップされている、態様1又は2に記載のキャリアー。
[態様4]
担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、態様1〜3のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様5]
自己組織化単分子膜は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む、態様1〜4のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様6]
核酸アプタマー及び/又は前記自己組織化単分子膜は、チオール結合により担持層を構成する元素と結合している、態様1〜5のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様7]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部は、メトキシ基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ヒドロキシル基から選択される基でキャップされている、態様1〜6のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様8]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基であって、核酸アプタマーが結合していない末端基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基である、態様1〜7のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様9]
自己組織化単分子膜が、ポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール基である、態様1−8のいずれか1項のキャリアー。
[態様10]
核酸アプタマーが、DNAである、態様1−9のいずれか1項のキャリアー。
[態様11]
核酸アプタマーが配列番号1からなる、又は、を含むDNAである、態様1−10のいずれか1項に記載のキャリアー。
[態様12]
腫瘍細胞が血中循環腫瘍細胞である、態様1−11のいずれか1項に記載のキャリアー。
[態様13]
態様1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む、腫瘍細胞を捕捉するための方法。
[態様14]
態様1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法。
[態様15]
生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、態様13又は14に記載の方法。
[態様16]
生体試料が、血液である、態様13又は14に記載の方法。
図1は、核酸アプタマー修飾金基板の調製法のスキームを示す。 図2は、実施例2において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞、正常細胞及び比較例の蛍光観察写真である。 図3は、OligoAnalyzerによるEpCAMアプタマーの予測される二次元構造を示した図である。 図4は、自己組織化単分子膜上に核酸アプタマーが修飾されたキャリアーの製造方法のスキームを示す。 図5は、担持層の上に核酸アプタマーが直接結合しているキャリアーの製造方法のスキームを示す。 図6は、実施例3において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図7は、実施例4において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図8は、実施例5において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。 図9は、実施例6において本発明の標的細胞捕捉キャリアーで捕捉した標的細胞及び正常細胞の蛍光観察写真である。
I.キャリアー
本発明は、一態様において、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーを提供する。
キャリアーの構造
本発明のキャリアーは、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
を備えている。
本発明の一態様において、自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、核酸アプタマーと結合している。
担持層は、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む金属基板、あるいは金属、ガラス、プラスチック又は紙などの支持基板の少なくとも一面に上記元素をメッキ、蒸着、スパッタリングなどの公知の方法を用いて成膜したものでよい。また、ニッケル系合金(たとえばニッケル−コバルト、ニッケル−リンなど)、クロム系合金、スズ系合金などで支持基板をメッキした後に、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を電鋳により成膜して、担持層を形成してもよい。いずれの成膜方法でも、支持基板は特に限定されず、担持層の少なくとも表面に、元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を有していればよく、特に金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含むことが好ましい。
赤血球(約7μm)や白血球(約15μm)などの正常細胞の寸法よりも大きな、例えば、直径20μm程度の孔のあいた担持層を使用しても良い。このような形状の場合、血液(全血)マトリックスのうち、正常細胞は担持層を通り抜け、より大きな腫瘍細胞を選択的に捕捉しやすくなる。
腫瘍細胞をキャリアーに捕捉するための核酸アプタマーについては、後述する。
本発明の方法に使用可能なキャリアーの例を図4及び図5に示す。
図5は核酸アプタマー33が担持層31に直接、化学的に結合している態様である。図4は核酸アプタマー33が自己組織化単分子膜32に化学的に結合した状態で担持層31に設けられている態様である。図示した態様において、核酸アプタマー33、及び/又は、自己組織化単分子膜32は、チオール結合により担持層31を構成する元素と結合している。
自己組織化単分子膜32は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む。これらの官能基で末端が修飾されているポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール膜から形成することができる。ヒドロキシアルカンチオールとしては、例えば、ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオール、ヒドロキシ−EG3−ウンデカンチオール、6−メルカプト−1−ヘキサノール等を好適に挙げることができるが、これらに限定されない。
自己組織化単分子膜32に核酸アプタマー33が結合している態様では、自己組織化単分子膜32の末端のカルボキシル基又はヒドロキシル基を活性化するために官能基で修飾した後に、当該官能基を核酸アプタマー33で置換してもよい。非限定的に、自己組織化単分子膜32の末端基を修飾する官能基は、N−ヒドロキシスクシンイミド基、又はマレイミド基であることが好ましい。
自己組織化単分子膜32の末端がN−ヒドロキシスクシンイミド基の場合、アミノ化アプタマー33のアミノ基と反応させて、これらを自己組織化単分子膜32に結合させることができる。自己組織化単分子膜32の末端がアミノ基の場合、例えば化学合成したN−ヒドロキシスクシンイミド化核酸アプタマーを、自己組織化単分子膜32に結合させることができる。
自己組織化単分子膜32の末端がアミノ基の場合、これをさらにマレイミド化して、自己組織化単分子膜32の末端を修飾する官能基をマレイミド基としてもよい。具体的には、非限定的に、片方の端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を有し、もう一方の端にマレイミド基を有する二価性試薬、例えば、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)(例えば、株式会社 同仁化学研究所より入手可能)を、末端にアミノ基を有する自己組織化単分子膜と反応させると、自己組織化単分子膜32の末端を修飾する官能基がマレイミド基となる。この場合、化学合成したチオール化核酸アプタマーを、自己組織化単分子膜32に結合させることができる。
核酸アプタマー33で置換されなかった官能基が残存することもある。核酸アプタマーが結合しなかった官能基、たとえばN−ヒドロキシスクシンイミド基は水中で分解し、自己組織化単分子膜32の末端としてはヒドロキシル基又はカルボキシル基が残る。自己組織化単分子膜32の末端基がマレイミド基で修飾されている場合には、核酸アプタマーが結合しなかったマレイミド基は自己組織化単分子膜32の末端基として残る。残ったマレイミド基は、一方の末端にSH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)を有するキャッピング剤でキャッピングすることが必要となる。
自己組織化単分子膜32の末端基のうち核酸アプタマー33が結合していない末端基がN−ヒドロキシスクシンイミド基である場合、その全部又は一部は、一方の末端にNH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)から選択される基を有するキャッピング剤でキャップされていることがより好ましい。
自己組織化単分子膜32の末端基のうち核酸アプタマー33が結合していない末端基がアミノ基である場合、その全部又は一部は、一方の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)から選択される基を有するキャッピング剤でキャップされていることがより好ましい。
上記のように、核酸アプタマー33が結合していない末端基をキャップすることで、標的細胞である腫瘍細胞以外の細胞との非特異的結合を抑制することができ、より確実に腫瘍細胞のみを捕捉することができる。
腫瘍細胞
本発明の捕捉の対象は腫瘍細胞である。腫瘍の種類は特に限定されず、脳悪性腫瘍、胃癌、肺癌、乳癌、咽頭癌、食道癌、大腸癌、肝癌、子宮癌、精巣癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、基底細胞癌、悪性リンパ腫、白血病、神経膠腫等を含む。腫瘍細胞は、原発性腫瘍細胞、転移性腫瘍細胞、血中循環腫瘍細胞等を含む。好ましくは、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)である。
核酸アプタマー
本発明のキャリアーにおいて、担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して、核酸アプタマーが設けられている。
本明細書において、「核酸アプタマー」の「核酸」の種類は特に限定されず、DNA、RNA、あるいはDNA−RNA複合体のいずれであってもよい。好ましくはDNAである。
「アプタマー」(Aptamer)とは、特定の分子と特異的に結合する分子やペプチドである。通常ランダム配列の巨大ライブラリ中から選び出してくるが、自然界にも存在しておりリボスイッチとして知られている。基礎から薬剤探索などの応用まで幅広く研究されている。リボザイムと複合体化したアプタマーも存在しており、ターゲット分子存在下で自己切断するものが知られている。大きく分けると核酸(DNA・RNA)アプタマー、ペプチドアプタマーの2種に分類される。
「核酸アプタマー」は進化工学的に得られており、その手法はインビトロ選択法、もしくはSELEX法として知られている。有機小分子や蛋白質、核酸、細胞、組織、微生物といった様々な標的と特異的に結合するものが存在する。核酸アプタマーは抗体に代わる分子認識が可能な生体物質として、生物工学的応用、薬剤への応用が検討されている。核酸アプタマーは核酸自動合成装置で化学的に、しかも短時間で合成可能であり、免疫原性もほとんどないか全くない点が抗体にはない利点である。核酸アプタマーとしてRNAとDNAの間に本質的な違いは存在しないが、DNAの方が化学的に安定である。DNA及びRNAアプタマーの両者とも、様々な分子に対して高い親和性と特異性を示す。
核酸アプタマーは化学合成が可能であるため、コストを大幅に下げることができる。また、核酸を用いることでDNA折り紙やナノワイヤー等のように”静的な構造”のみならず、DNAウォーカーや、リボスイッチ、アプタザイムのような”動的な構造”を自在にプログラミングすることが可能となる(ダイナミックプログラミング)。このプログラムを利用して、腫瘍細胞捕捉のシグナルを増幅することも可能である。
当業者は、目的とする腫瘍細胞の種類に応じて細胞の細胞表面物質に特異的に結合する核酸アプタマーを適宜選択しうる。核酸アプタマーは、非限定的に、上皮細胞接着分子(EpCAM:Epithelial Cell Adhesion Molecule)に対する核酸アプタマーである。上皮細胞接着分子は、特に血中循環腫瘍細胞(CTC)の細胞表面物質であることが知られており、これに対する核酸アプタマーを利用可能である。例えば、Analytical Chemistry, 2013,85,p.4141−4149を参照されたい。当該文献には、SYL1、SYL2、SYL3,SYL4及びSYL3Cの5種類の核酸アプタマーが記載されている。その中でも、SYL3の部分配列であるSYL3Cの配列が、EpCAMに対する特異性が高く望ましい。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
CTCの検出には、その他にも以下のような配列が利用可能である。(以下、塩基配列の記載において、特に明記しない限り5’から3’の向きに記載する。)
EpCAMアプタマー(EP166):AACAGAGGGACAAACGGGGGAAGATTTGACGTCGACGACA(配列番号2)(Mol.Cells,37,742-746(2014))
EpCAMアプタマー(EpDT3):GCGACUGGUUACCCGGUCG(配列番号3)(Cancer Sci., 102, 991-998(2011))
MUC1アプタマー(MUC1 S1.3):GCAGTTGATCCTTTGGATACCCTGG(配列番号4)(Tumor Biol., 27, 289-301(2006))
EGFRアプタマー:GGCGCUCCGACCUUAGUCUCUGUGCCGCUAUAAUGCACGGAUUUAAUCGCCGUAGAAAAGCAUGUCAAAGCCGGAACCGUGUAGCACAGCAGAGAAUUAAAUGCCCGCCAUGACCAG(配列番号5)(Cancer Res., 70, 9371-9380(2010))
EGFRアプタマー(TuTu22):TACCAGTGCGATGCTCAGTGCCGTTTCTTCTCTTTCGCTTTTTTTGCTTTTGAGCATGCTGACGCATTCGGTTGAC(配列番号6)(Biochem. Biophys. Res. Commun., 453, 681-685(2014))
EGFRvIIIアプタマー(U2):ATCCAGAGTGACGCAGCATTTTGACGCTTTATCCTTTTCTTATGGCGGGATAGTTTCGTGGACACGGTGGCTTAGT-3’(配列番号7)(PLOS ONE, 9, e90752(2014))
HER2アプタマー(2−2):GCACGGTGTGGGG(配列番号8)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 8170-8175(2013))
HER2アプタマー(S6):TGGATGGGGAGATCCGTTGAGTAAGCGGGCGTGTCTCTCTGCCGCCTTGCTATGGGG(配列番号9)(Bull. Korean Chem. Soc., 30, 1827-1831(2009))
HER2アプタマー(Mini):AGCCGCGAGGGGAGGGAUAGGGUAGGGCGCGGCU(配列番号10)(Nucleic. Acid Ther., 21, 173-178(2011))
HER2アプタマー(HSB5):AACCGCCCAAATCCCTAAGAGTCTGCACTTGTCATTTTGTATATGTATTTGGTTTTTGGCTCTCACAGACACACTACACACGCACA(配列番号11)(J. Transl. Med., 10, 148-158(2012))
ABCG2アプタマー(ABCG2/A12):ACGCTCGGATGCCACTACAGGCCCACCCTCATGGACGTGCTGGTGAC(配列番号12)(J. Cancer Sci. Ther., 4, 214-222(2012))
CD71アプタマー(c2.min):GGGGGAUCAAUCCAAGGGACCCGGAAACGCUCCCUUACACCCC(配列番号13)(Mol. Ther. Nucleic Acids, 1, e21(2012))
CD44アプタマー(Apt1):GGGAUGGAUCCAAGCUUACUGGCAUCUGGAUUUGCGCGUGCCAGAAUAAAGAGUAUAACGUGUGAAUGGGAAGCUUCGAUAGGAAUUCGG(配列番号14)(Nucleic Acid Ther., 23, 401-407(2013))
CD133アプタマー(CD133−A15):CCCUCCUACAUAGGG(配列番号15)(Cancer Lett., 330, 84-95(2013))
免疫グロブリンμ重鎖アプタマー(TD05):ACCGGGAGGATAGTTCGGTGGCTGTTCAGGGTCTCCTCCCGGTG(配列番号16)(Mol. Cell. Proteomics, 2230-2230(2007))
ヌクレオリンアプタマー(AS1411):GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号17)(Mol. Cancer Ther., 5, 1790-1799(2006))
ピグペンアプタマー(III.1):ATACCAGCTTATTCAATTAGGCGGTGCATTGTGGTGGTAGTATACATGAGGTTTGGTTGAGACTAGTCGCAAGATATAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号18)(J. Biol. Chem., 276, 16464-16468(2001))
テナシンCアプタマー(GBI−10)GGCTGTTGTGAGCCTCCTCCCAGAGGGAAGACTTTAGGTTCGGTTCACGTCCCGCTTATTCTTACTCCC(配列番号19)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 15416-15421(2003))
PTK7アプタマー(sgc8):ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA(配列番号20)(J. Proteome Res., 7, 2133-2139(2008))
Toledo細胞アプタマー(Sgd5):ATACCAGCTTATTCAATTATCGTGGGTCACAGCAGCGGTTGTGAGGAAGAAAGGCGGATAACAGATAATAAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号21)(Clin. Chem., 53, 1153-1158(2007))
MEAR細胞アプタマー(TLS11a):ACAGCATCCCCATGTGAACAATCGCATTGTGATTGTTACGGTTTCCGCCTCATGGACGTGCTG(配列番号22)(Anal. Chem., 80, 721-728(2008))
CTC以外の腫瘍細胞、例えば、急性骨髄性白血病等の検出には、例えば以下に記載の核酸アプタマーを利用可能である。
Siglec−5アプタマー(K19):AAGGGGTTGGGTGGGTTTATACAAATTAATTAATATTGTATGGTATATTT(配列番号23)(J. Hematol. Oncol., 7, 5 (2014))
HL60細胞アプタマー(KH1C12):ATCCAGAGTGACGCAGCATGCCCTAGTTACTACTACTCTTTTTAGCAAACGCCCTCGCTTTGGACACGGTGGCTTAGT(配列番号24)(Leukemia, 23, 235-244(2009))
II.腫瘍細胞を捕捉するための方法
本発明は、一態様において、腫瘍細胞を捕捉するための方法を提供する。本発明の方法は、本発明のキャリアーに腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む。
「生体試料」とは、目的の腫瘍細胞を含む可能性のある試料であれば、種類は特に限定されない。例えば、生体試料は、体液又は細胞単離液から選択されうる。「体液」とは、一般に、血液(血液全体又は血漿)、リンパ液、組織液(組織間液、細胞間液、間質液)、体腔液(関節液、脳脊髄液、漿膜腔液、眼房水等)等を意味する。さらに、消化液(唾液、胃液、胆汁、膵液、腸液等)、汗、涙等も含まれる。好ましくは、血液(血液全体又は血漿)である。「細胞単離液」とは、生体組織を公知の方法で単離・分散し、液体状にしたものを意味する。組織の種類は特に限定されず、胃、腸、皮膚、肺、乳房、前立腺、精巣、卵巣、子宮、骨髄等、任意の生体組織を適宜対象として使用しうる。細胞の単離・分散のための試薬は、例えば、トリプシン、パパイン、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、又は、これらの混合物、などの酵素を含む試薬を、生体組織、細胞の種類に応じて適宜使用しうる。例えば、トリプシン、コラゲナーゼ等の複数の酵素をセットとして含むCell Isolation Optimizing System(フナコシ株式会社製)などが含まれる。
生体試料は、非限定的に、例えばヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット等の哺乳動物に由来する。
腫瘍細胞の腫瘍の種類は特に限定されず、脳悪性腫瘍、胃癌、肺癌、乳癌、咽頭癌、食道癌、大腸癌、肝癌、子宮癌、精巣癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、基底細胞癌、悪性リンパ腫、白血病、神経膠腫等を含む。腫瘍細胞は、原発性腫瘍細胞、転移性腫瘍細胞、血中循環腫瘍細胞等を含む。好ましくは、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)である。
本発明のキャリアーに腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させる工程の具体的な手法は特に限定されない。液体の生体試料を本発明のキャリアー上に滴下してもよい。あるいは、液体の生体試料を含む容器中に本発明のキャリアーを入れても良い。
キャリアーを生体試料に接触させた後、非特異的結合を除去するために、キャリアーを洗浄することが好ましい。
腫瘍細胞を捕捉後、本発明の方法における細胞捕捉効率(捕捉数)や細胞選択性の確認を行うことが可能である。また、基板洗浄法も最適化することが可能である。得られた結果をキャリアーの製造方法の検討(アプタマー固定化密度、リンカー長、SAM膜の末端ヒドロキシル基のキャッピングなどの最適化)にフィードバックすることができる。
III.生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法
本発明は、一態様において、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法を提供する。本発明の方法は、本発明のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む。「生体試料」及び「本発明のキャリアーに腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させる」工程については、「II.腫瘍細胞を捕捉するための方法」の項目で前述した通りである。
腫瘍細胞の有無は、キャリアーに捕捉された腫瘍細胞を検出することにより確認することが可能である。検出方法は特に限定されない。腫瘍細胞は、例えば、キャリアーをDiD等の蛍光色素で染色し、キャリアー表面を蛍光顕微鏡で観察することにより、検出することができる。
あるいは、目的とする腫瘍細胞に特異的な抗体を用いてもよい。例えば、腫瘍細胞が、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)の場合、上皮細胞接着分子(EpCAM:Epithelial Cell Adhesion Molecule)に対する抗体を好適に挙げることができる。たとえば、abcam製カタログNo.ab32392で入手可能なウサギ抗ヒトEpCAMモノクローナルIgG抗体などを挙げることができる。また、腫瘍細胞がCTCでない場合も、腫瘍細胞表層に発現しているタンパク質を介して、特異的に捕捉することができる。たとえば急性骨髄性白血病を発症している白血球を捕捉する場合、abcam製カタログNo.ab97426を用いればよい。
あるいは、核酸アプタマーに腫瘍細胞が結合することをきっかけとして増幅される核酸プローブのシグナルを検出してもよい。
IV.本発明の態様
非限定的例として本発明の態様を記載する。
(1)キャリアーの製造
(i)自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基であるキャリアー(図4(1))
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(N−ヒドロキシスクシンイミド基)を導入して、末端基を活性化させる。次いで、末端アミノ化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基は水中で分解されてヒドロキシル基として残る。
(ii)自己組織化単分子膜の末端がカルボキシル基であるキャリアー
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(カルボキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(N−ヒドロキシスクシンイミド基)を導入して、末端基を活性化させる。次いで、末端アミノ化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基は水中で分解されてカルボキシル基として残る。
(iii)自己組織化単分子膜の末端がアミノ基であるキャリアー
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(アミノ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、末端N−ヒドロキシスクシンイミド化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端のアミノ基と核酸アプタマーのN−ヒドロキシスクシンイミド基を反応させ、核酸アプタマーをアミド結合によって連結させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基はそのままアミノ基として残る。
(iv)自己組織化単分子膜の末端をマレイミド基で修飾して核酸アプタマーを結合させたキャリアー
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(アミノ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、マレイミド基及びN−ヒドロキシスクシンイミド基を両末端に有する二価性試薬溶液(EMCS(N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド:化1)のアセトニトリル溶液)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(マレイミド基)を導入する。次いで、末端チオール化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と核酸アプタマーチオール基を反応させることで、核酸アプタマーを結合させキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端のマレイミド基は、一方の末端にSH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)及びヒドロキシル基(−OH)を有するキャッピング剤でキャッピングすることが必要となる。
(v)自己組織化単分子膜の末端を官能基でキャップしたキャリアー(図4(2))
自己組織化単分子膜32の末端に官能基を導入した後、末端アミノ化核酸アプタマーとキャッピング剤(メトキシ基(−OCH)、カルバモイル基(−CONH)、メチルカルバモイル基(−CONHCH)基、又はヒドロキシル基(−OH)などを含む)を添加する以外は、上記(1)〜(3)と同様にして、自己組織化単分子膜の末端官能基をキャップしたキャリアーを作製する。
(vi)担持層31に核酸アプタマー33を直接結合させたキャリアー(図5)
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して担持層31を調製する。次に、末端チオール化核酸アプタマー溶液を担持層31表面に添加し、担持層31に核酸アプタマー33を直接、金−チオール結合により結合させる。次いで、核酸アプタマー33が結合している担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール)中に浸漬し、自己組織化単分子膜32を形成させてキャリアーを作製する。この場合、自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端は、ヒドロキシル基若しくは上記キャッピング剤でキャップされた官能基でよい。
(2)腫瘍細胞の基板への捕捉効率の評価
腫瘍細胞を含むサンプル溶液を修飾基板(キャリアー)上に滴下し、標的とする腫瘍細胞を選択的に捕捉する。血清培地中の腫瘍細胞を用いて、細胞捕捉効率(捕捉数)や細胞選択性の確認を行う。また、基板洗浄法も最適化する。得られた結果を基板調製法の検討(アプタマー固定化密度、リンカー長、SAM膜の末端ヒドロキシル基のキャッピングなどの最適化)にフィードバックする。図2に示すように、血清培地中における腫瘍細胞検出を試みた結果、選択的に腫瘍細胞を捕捉することに成功している。インキュベーション時間は、例えば30分程度でよいが、反射光(SPR)、重量(QCM)などの分析手法を用い、基板に対する細胞の結合の速度論的な解析を行って、捕捉のためのインキュベーション時間を最適化することが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・変更を加えることができ、それらは本発明の技術的範囲に含まれる。
[実施例1]
本実施例は、腫瘍細胞を特異的に捕捉可能なキャリアーの作製方法に関する。元素周期表第10族元素、第11族元素又はこれらの組み合わせを含む担持層に対して、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーで修飾することで、腫瘍細胞の捕捉用キャリアーとして用いることが可能となる。核酸アプタマーを介しない非特異的な細胞の吸着を抑制するため、(1−1)担持層上に自己組織化単分子膜を作製後、その上にアプタマーを修飾する、もしくは(1−2)アプタマーを担持層上に直接修飾後、残りの残余面に自己組織化単分子膜を作製する。以下に、代表例として担持層として金を用いる際のキャリアー製造方法の詳細を述べる。
担持層としては、パターニング工程を施していない(パターンの無い)平面の金基板を用いた。金基板は、金属板または通電性のあるSi基板の一面に、Niメッキ後、金メッキを施ししたものを用いた。
(1−1) 自己組織化単分子膜上に核酸アプタマーが修飾されたキャリアーの製造(図4)
(a) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基のキャリアーの製造方法
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させた。
核酸アプタマーの配列は、以下の通りである。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’
(配列番号1)
(b) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基以外のキャリアーの製造方法
自己組織化単分子膜末端のヒドロキシル基を別の官能基(−OCH、−CONHCH、−CONHなど)に変えることも可能である。導入したい官能基と共に、脂肪族アミンを有する化合物であれば、これを用いて自己組織化単分子膜末端を修飾可能である。本実施例(実施例1−1(b))では、その一例としてメトキシエチルアミンを使用した例を説明する。
自己組織化単分子膜を形成させ、N−ヒドロキシスクシンイミド基を導入して末端ヒドロキシル基を活性化させるまでの操作は上記(a)と同様な操作を行った。上記(a)で製造したヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールの自己組織単分子膜の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した後、10μM末端アミノ化アプタマー(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)と0.1μMメトキシエチルアミンの混合溶液(PBS中にて調製)を添加し、37℃で3時間静置した。PBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させ、次に2mg/mLメトキシエチルアミン溶液(PBS中にて調製)を基板上に添加し、37℃で3時間静置した。最後にPBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させた。
(1−2) 核酸アプタマーが直接修飾されたキャリアーの製造方法(図5)
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層に核酸アプタマーを直接、チオール結合させた。次いで、核酸アプタマーが結合している担持層を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた。
[実施例2]
本実施例では、実施例1で調製した腫瘍細胞に対する核酸アプタマーを修飾したキャリアーを用い、腫瘍細胞を特異的に捕捉した。核酸アプタマーは、多くの固形癌種の細胞膜上に高発現しているEpCAMに対するアプタマー(配列番号1)である。
SYL3C:
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
MDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)及びKATOIII(ヒト胃癌由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を標的細胞として、細胞膜をDiO(緑色標識染色体)で染色し、HEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を対照となる正常細胞として、細胞膜をDiD(赤色標識染色体)で染色し、細胞の核をDAPI(4’、6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、青色標識染色体)で染色した後、それぞれの懸濁液(2×10細胞/mL)中に、細胞膜上の疎水性が高い部位への非特異的な吸着を抑えるため、マスキング剤としてtRNA(1mg/mL)を加え、撹拌後、37℃で30分インキュベートし、3種類のサンプル生体試料を調製した。
次いで、実施例1(1−1)(b)で製造したキャリアーに3種類の生体試料を滴下し、PBSで洗浄した後、蛍光を観察した。結果を図2に示す。比較例として、標的細胞捕捉フィルターの代わりに、アプタマーを修飾していない金メッキ銅基板からなるフィルターを用いた以外は同様に行った。
図2左側からMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)及びKATOIII(ヒト胃癌由来細胞)の赤色の蛍光は観察されたが、正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)の赤色の蛍光は観察されなかったことから、本発明の標的細胞捕捉装置を用いることで、標的細胞のみを特異的に捕捉できたことが確認できた。また、比較例(図2右側)では、赤色の蛍光が観察できず、標的細胞を捕捉できなかったことが確認できた。
[実施例3]
実施例1(1−1)(a)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図6に示す。
図6(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図6(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図6(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図6(a)〜(c)より、正常細胞はほとんど捕捉されていないことが確認できる。図6(d)は捕捉されたMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiOの蛍光で観察した画像であり、図6(e)は捕捉されたMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図6(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図6(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の蛍光が確認できた。図6(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例4]
実施例(1−2)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図7に示す。
図7(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図7(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図7(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図7(a)〜(c)より、赤色の蛍光は非常に少なく、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図7(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図7(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図7(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図7(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の蛍光が多数確認できた。図7(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例5]
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
上記製造されたキャリアーを用いた以外は、実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図8に示す。
図8(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図8(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり,図8(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図8(a)〜(c)より、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図8(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図8(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図8(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図8(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の多数の蛍光が明瞭に確認できた。図8(c)と(f)を対比することによって標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
[実施例6]
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層31にアプタマー33を直接、チオール結合させた。次いで、アプタマー33が結合している担持層31を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
上記製造されたキャリアーを用いた以外は、実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図9に示す。
図9(a)は正常細胞であるHEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)をDiDの蛍光で観察した画像であり、図9(b)はHEK293TをDAPIの蛍光で観察した画像であり、図9(c)は(a)と(b)をマージした画像である。図9(a)〜(c)より、正常細胞はあまり捕捉されていないことが確認できる。図9(d)はMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の細胞膜をDiO蛍光で観察した画像であり、図9(e)はMDA−MB−453の細胞核をDAPIの蛍光で観察した画像であり、図9(f)は(d)と(e)をマージした画像である。図9(d)〜(f)より、標的細胞であるMDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)の多数の蛍光が明瞭に確認できた。図9(c)と(f)を対比することによって、標的細胞のみを特異的に捕捉できたといえる。
インキュベーション時間は、本実施例では30分で行ったが、反射光(SPR)、重量(QCM)などの分析手法を用い、基板に対する細胞の結合の速度論的な解析を行って、捕捉のためのインキュベーション時間を最適化することが可能である。
血清培地中での実験で得られた最適条件を元に、血液(全血)マトリックス中で腫瘍細胞捕捉実験を行う。実際の患者の血液を想定し、これと同等な腫瘍細胞濃度(10mL中に数個の腫瘍細胞)となるように、血液に対して腫瘍細胞を混合し、これを捕捉実験に用いる。必要があれば、遠心分離により、血球成分と血漿成分とを別け、血球成分を用いる。最適化された条件により実際に腫瘍細胞を捕捉することが可能である。
キャリアーとして、赤血球(約7μm)や白血球(約15μm)などの正常細胞の寸法よりも大きな直径(20μm程度)の穴のあいたフィルター状の構造物、平面上に複数の微小なピラーを有する構造物、渦巻状の立体構造物などを用いることで、血液(全血)マトリックス中から腫瘍細胞の捕捉を行うことが可能となる。必要があれば、遠心分離により、血球成分と血漿成分とを別け、血球成分を用いる。
本発明は、チオールを介して担持層と核酸アプタマーとを結合させ、担持層上に形成したポリエチレングリコール誘導体SAM膜上に核酸アプタマーを修飾する手法を用いて形成されるキャリアーであり、蛍光や電気化学的ラベル化、反射光(SPR)、重量(QCM)などのリアルタイムモニタリングなどを検出手法として用いることが可能となる。また、ポリエチレングリコール誘導体SAM膜上に核酸アプタマーを修飾すると同時に又は修飾した後に、必要に応じてSAM膜の末端基をキャップすることで、非特異的吸着を抑制することができる。よって、本発明のキャリアーを用いて血清培地中における腫瘍細胞の検出において誤検出(フォールスポジティブ)をほぼ完全に抑えることができる。本発明のキャリアーはがん患者への外科手術中に病巣摘出の奏功を判断するための検査にも利用することが可能である。超高齢社会の進展による医療費の高騰という課題に対してもがんの早期発見による利点は大きく、社会のニーズに対して時適を得ており、将来性も高い。
31:担持層
32:自己組織化単分子膜
33:核酸アプタマー

Claims (16)

  1. 腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーであって、
    (i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
    (ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
    (iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
    を備えている
    前記キャリアー。
  2. 自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、核酸アプタマーと結合している、請求項1に記載のキャリアー。
  3. 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部はキャップされている、請求項1又は2に記載のキャリアー。
  4. 担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、請求項1〜3のいずれか1に記載のキャリアー。
  5. 自己組織化単分子膜は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む、請求項1〜4のいずれか1に記載のキャリアー。
  6. 核酸アプタマー及び/又は前記自己組織化単分子膜は、チオール結合により担持層を構成する元素と結合している、請求項1〜5のいずれか1に記載のキャリアー。
  7. 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部は、メトキシ基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ヒドロキシル基から選択される基でキャップされている、請求項1〜6のいずれか1に記載のキャリアー。
  8. 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基であって、核酸アプタマーが結合していない末端基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基である、請求項1〜7のいずれか1に記載のキャリアー。
  9. 自己組織化単分子膜が、ポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール基である、請求項1−8のいずれか1項のキャリアー。
  10. 核酸アプタマーが、DNAである、請求項1−9のいずれか1項のキャリアー。
  11. 核酸アプタマーが配列番号1からなる、又は、を含むDNAである、請求項1−10のいずれか1項に記載のキャリアー。
  12. 腫瘍細胞が血中循環腫瘍細胞である、請求項1−11のいずれか1項に記載のキャリアー。
  13. 請求項1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む、腫瘍細胞を捕捉するための方法。
  14. 請求項1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法。
  15. 生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 生体試料が、血液である、請求項13又は14に記載の方法。
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