JP2017079635A - 腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアー - Google Patents
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Abstract
Description
[態様1]
腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーであって、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
を備えている
前記キャリアー。
[態様2]
自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、核酸アプタマーと結合している、態様1に記載のキャリアー。
[態様3]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部はキャップされている、態様1又は2に記載のキャリアー。
[態様4]
担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、態様1〜3のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様5]
自己組織化単分子膜は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む、態様1〜4のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様6]
核酸アプタマー及び/又は前記自己組織化単分子膜は、チオール結合により担持層を構成する元素と結合している、態様1〜5のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様7]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部は、メトキシ基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ヒドロキシル基から選択される基でキャップされている、態様1〜6のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様8]
自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基であって、核酸アプタマーが結合していない末端基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基である、態様1〜7のいずれか1に記載のキャリアー。
[態様9]
自己組織化単分子膜が、ポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール基である、態様1−8のいずれか1項のキャリアー。
[態様10]
核酸アプタマーが、DNAである、態様1−9のいずれか1項のキャリアー。
[態様11]
核酸アプタマーが配列番号1からなる、又は、を含むDNAである、態様1−10のいずれか1項に記載のキャリアー。
[態様12]
腫瘍細胞が血中循環腫瘍細胞である、態様1−11のいずれか1項に記載のキャリアー。
[態様13]
態様1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む、腫瘍細胞を捕捉するための方法。
[態様14]
態様1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法。
[態様15]
生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、態様13又は14に記載の方法。
[態様16]
生体試料が、血液である、態様13又は14に記載の方法。
本発明は、一態様において、腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーを提供する。
本発明のキャリアーは、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
を備えている。
本発明の捕捉の対象は腫瘍細胞である。腫瘍の種類は特に限定されず、脳悪性腫瘍、胃癌、肺癌、乳癌、咽頭癌、食道癌、大腸癌、肝癌、子宮癌、精巣癌、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、基底細胞癌、悪性リンパ腫、白血病、神経膠腫等を含む。腫瘍細胞は、原発性腫瘍細胞、転移性腫瘍細胞、血中循環腫瘍細胞等を含む。好ましくは、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell:CTC)である。
本発明のキャリアーにおいて、担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して、核酸アプタマーが設けられている。
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
CTCの検出には、その他にも以下のような配列が利用可能である。(以下、塩基配列の記載において、特に明記しない限り5’から3’の向きに記載する。)
EpCAMアプタマー(EP166):AACAGAGGGACAAACGGGGGAAGATTTGACGTCGACGACA(配列番号2)(Mol.Cells,37,742-746(2014))
EpCAMアプタマー(EpDT3):GCGACUGGUUACCCGGUCG(配列番号3)(Cancer Sci., 102, 991-998(2011))
MUC1アプタマー(MUC1 S1.3):GCAGTTGATCCTTTGGATACCCTGG(配列番号4)(Tumor Biol., 27, 289-301(2006))
EGFRアプタマー:GGCGCUCCGACCUUAGUCUCUGUGCCGCUAUAAUGCACGGAUUUAAUCGCCGUAGAAAAGCAUGUCAAAGCCGGAACCGUGUAGCACAGCAGAGAAUUAAAUGCCCGCCAUGACCAG(配列番号5)(Cancer Res., 70, 9371-9380(2010))
EGFRアプタマー(TuTu22):TACCAGTGCGATGCTCAGTGCCGTTTCTTCTCTTTCGCTTTTTTTGCTTTTGAGCATGCTGACGCATTCGGTTGAC(配列番号6)(Biochem. Biophys. Res. Commun., 453, 681-685(2014))
EGFRvIIIアプタマー(U2):ATCCAGAGTGACGCAGCATTTTGACGCTTTATCCTTTTCTTATGGCGGGATAGTTTCGTGGACACGGTGGCTTAGT-3’(配列番号7)(PLOS ONE, 9, e90752(2014))
HER2アプタマー(2−2):GCACGGTGTGGGG(配列番号8)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 8170-8175(2013))
HER2アプタマー(S6):TGGATGGGGAGATCCGTTGAGTAAGCGGGCGTGTCTCTCTGCCGCCTTGCTATGGGG(配列番号9)(Bull. Korean Chem. Soc., 30, 1827-1831(2009))
HER2アプタマー(Mini):AGCCGCGAGGGGAGGGAUAGGGUAGGGCGCGGCU(配列番号10)(Nucleic. Acid Ther., 21, 173-178(2011))
HER2アプタマー(HSB5):AACCGCCCAAATCCCTAAGAGTCTGCACTTGTCATTTTGTATATGTATTTGGTTTTTGGCTCTCACAGACACACTACACACGCACA(配列番号11)(J. Transl. Med., 10, 148-158(2012))
ABCG2アプタマー(ABCG2/A12):ACGCTCGGATGCCACTACAGGCCCACCCTCATGGACGTGCTGGTGAC(配列番号12)(J. Cancer Sci. Ther., 4, 214-222(2012))
CD71アプタマー(c2.min):GGGGGAUCAAUCCAAGGGACCCGGAAACGCUCCCUUACACCCC(配列番号13)(Mol. Ther. Nucleic Acids, 1, e21(2012))
CD44アプタマー(Apt1):GGGAUGGAUCCAAGCUUACUGGCAUCUGGAUUUGCGCGUGCCAGAAUAAAGAGUAUAACGUGUGAAUGGGAAGCUUCGAUAGGAAUUCGG(配列番号14)(Nucleic Acid Ther., 23, 401-407(2013))
CD133アプタマー(CD133−A15):CCCUCCUACAUAGGG(配列番号15)(Cancer Lett., 330, 84-95(2013))
免疫グロブリンμ重鎖アプタマー(TD05):ACCGGGAGGATAGTTCGGTGGCTGTTCAGGGTCTCCTCCCGGTG(配列番号16)(Mol. Cell. Proteomics, 2230-2230(2007))
ヌクレオリンアプタマー(AS1411):GGTGGTGGTGGTTGTGGTGGTGGTGG(配列番号17)(Mol. Cancer Ther., 5, 1790-1799(2006))
ピグペンアプタマー(III.1):ATACCAGCTTATTCAATTAGGCGGTGCATTGTGGTGGTAGTATACATGAGGTTTGGTTGAGACTAGTCGCAAGATATAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号18)(J. Biol. Chem., 276, 16464-16468(2001))
テナシンCアプタマー(GBI−10)GGCTGTTGTGAGCCTCCTCCCAGAGGGAAGACTTTAGGTTCGGTTCACGTCCCGCTTATTCTTACTCCC(配列番号19)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 15416-15421(2003))
PTK7アプタマー(sgc8):ATCTAACTGCTGCGCCGCCGGGAAAATACTGTACGGTTAGA(配列番号20)(J. Proteome Res., 7, 2133-2139(2008))
Toledo細胞アプタマー(Sgd5):ATACCAGCTTATTCAATTATCGTGGGTCACAGCAGCGGTTGTGAGGAAGAAAGGCGGATAACAGATAATAAGATAGTAAGTGCAATCT(配列番号21)(Clin. Chem., 53, 1153-1158(2007))
MEAR細胞アプタマー(TLS11a):ACAGCATCCCCATGTGAACAATCGCATTGTGATTGTTACGGTTTCCGCCTCATGGACGTGCTG(配列番号22)(Anal. Chem., 80, 721-728(2008))
CTC以外の腫瘍細胞、例えば、急性骨髄性白血病等の検出には、例えば以下に記載の核酸アプタマーを利用可能である。
HL60細胞アプタマー(KH1C12):ATCCAGAGTGACGCAGCATGCCCTAGTTACTACTACTCTTTTTAGCAAACGCCCTCGCTTTGGACACGGTGGCTTAGT(配列番号24)(Leukemia, 23, 235-244(2009))
II.腫瘍細胞を捕捉するための方法
本発明は、一態様において、腫瘍細胞を捕捉するための方法を提供する。本発明の方法は、本発明のキャリアーに腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む。
本発明は、一態様において、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法を提供する。本発明の方法は、本発明のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む。「生体試料」及び「本発明のキャリアーに腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させる」工程については、「II.腫瘍細胞を捕捉するための方法」の項目で前述した通りである。
非限定的例として本発明の態様を記載する。
(i)自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基であるキャリアー(図4(1))
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(N−ヒドロキシスクシンイミド基)を導入して、末端基を活性化させる。次いで、末端アミノ化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基は水中で分解されてヒドロキシル基として残る。
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(カルボキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、炭酸N,N’−ジスクシンイミジル(DSC)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(N−ヒドロキシスクシンイミド基)を導入して、末端基を活性化させる。次いで、末端アミノ化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基は水中で分解されてカルボキシル基として残る。
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(アミノ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、末端N−ヒドロキシスクシンイミド化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端のアミノ基と核酸アプタマーのN−ヒドロキシスクシンイミド基を反応させ、核酸アプタマーをアミド結合によって連結させてキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端の官能基はそのままアミノ基として残る。
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して、担持層31を調製する。次いで、担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(アミノ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液)中に浸漬し、担持層31上に自己組織化単分子膜32を形成させる。次いで、自己組織化単分子膜32が形成されている担持層31に、マレイミド基及びN−ヒドロキシスクシンイミド基を両末端に有する二価性試薬溶液(EMCS(N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド:化1)のアセトニトリル溶液)を滴下し、自己組織化単分子膜32の末端に官能基(マレイミド基)を導入する。次いで、末端チオール化核酸アプタマー溶液を滴下して、自己組織化単分子膜32の末端の官能基と核酸アプタマーチオール基を反応させることで、核酸アプタマーを結合させキャリアーを作製する。この際、核酸アプタマーと結合しなかった末端のマレイミド基は、一方の末端にSH基を有し、他方の末端がメトキシ基(−OCH3)、カルバモイル基(−CONH2)、メチルカルバモイル基(−CONHCH3)及びヒドロキシル基(−OH)を有するキャッピング剤でキャッピングすることが必要となる。
自己組織化単分子膜32の末端に官能基を導入した後、末端アミノ化核酸アプタマーとキャッピング剤(メトキシ基(−OCH3)、カルバモイル基(−CONH2)、メチルカルバモイル基(−CONHCH3)基、又はヒドロキシル基(−OH)などを含む)を添加する以外は、上記(1)〜(3)と同様にして、自己組織化単分子膜の末端官能基をキャップしたキャリアーを作製する。
銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施して担持層31を調製する。次に、末端チオール化核酸アプタマー溶液を担持層31表面に添加し、担持層31に核酸アプタマー33を直接、金−チオール結合により結合させる。次いで、核酸アプタマー33が結合している担持層31を自己組織化単分子膜形成分子の溶液(ヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール)中に浸漬し、自己組織化単分子膜32を形成させてキャリアーを作製する。この場合、自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端は、ヒドロキシル基若しくは上記キャッピング剤でキャップされた官能基でよい。
腫瘍細胞を含むサンプル溶液を修飾基板(キャリアー)上に滴下し、標的とする腫瘍細胞を選択的に捕捉する。血清培地中の腫瘍細胞を用いて、細胞捕捉効率(捕捉数)や細胞選択性の確認を行う。また、基板洗浄法も最適化する。得られた結果を基板調製法の検討(アプタマー固定化密度、リンカー長、SAM膜の末端ヒドロキシル基のキャッピングなどの最適化)にフィードバックする。図2に示すように、血清培地中における腫瘍細胞検出を試みた結果、選択的に腫瘍細胞を捕捉することに成功している。インキュベーション時間は、例えば30分程度でよいが、反射光(SPR)、重量(QCM)などの分析手法を用い、基板に対する細胞の結合の速度論的な解析を行って、捕捉のためのインキュベーション時間を最適化することが可能である。
本実施例は、腫瘍細胞を特異的に捕捉可能なキャリアーの作製方法に関する。元素周期表第10族元素、第11族元素又はこれらの組み合わせを含む担持層に対して、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーで修飾することで、腫瘍細胞の捕捉用キャリアーとして用いることが可能となる。核酸アプタマーを介しない非特異的な細胞の吸着を抑制するため、(1−1)担持層上に自己組織化単分子膜を作製後、その上にアプタマーを修飾する、もしくは(1−2)アプタマーを担持層上に直接修飾後、残りの残余面に自己組織化単分子膜を作製する。以下に、代表例として担持層として金を用いる際のキャリアー製造方法の詳細を述べる。
(a) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基のキャリアーの製造方法
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄後、窒素を吹きかけて乾燥させた。
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’
(配列番号1)
(b) 自己組織化単分子膜の末端がヒドロキシル基以外のキャリアーの製造方法
自己組織化単分子膜末端のヒドロキシル基を別の官能基(−OCH3、−CONHCH3、−CONH2など)に変えることも可能である。導入したい官能基と共に、脂肪族アミンを有する化合物であれば、これを用いて自己組織化単分子膜末端を修飾可能である。本実施例(実施例1−1(b))では、その一例としてメトキシエチルアミンを使用した例を説明する。
金メッキを施した基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層に核酸アプタマーを直接、チオール結合させた。次いで、核酸アプタマーが結合している担持層を1mMヒドロキシ−EG6−ウンデカンチオールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた。
本実施例では、実施例1で調製した腫瘍細胞に対する核酸アプタマーを修飾したキャリアーを用い、腫瘍細胞を特異的に捕捉した。核酸アプタマーは、多くの固形癌種の細胞膜上に高発現しているEpCAMに対するアプタマー(配列番号1)である。
5’−CACTACAGAGGTTGCGTCTGTCCCACGTTGTCATGGGGGGTTGGCCTG−3’ (配列番号1)
MDA−MB−453(ヒト乳癌細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)及びKATOIII(ヒト胃癌由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を標的細胞として、細胞膜をDiO(緑色標識染色体)で染色し、HEK293T(ヒト胎児腎由来細胞)(独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を対照となる正常細胞として、細胞膜をDiD(赤色標識染色体)で染色し、細胞の核をDAPI(4’、6−ジアミジノ−2−フェニルインドール、青色標識染色体)で染色した後、それぞれの懸濁液(2×105細胞/mL)中に、細胞膜上の疎水性が高い部位への非特異的な吸着を抑えるため、マスキング剤としてtRNA(1mg/mL)を加え、撹拌後、37℃で30分インキュベートし、3種類のサンプル生体試料を調製した。
実施例1(1−1)(a)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図6に示す。
実施例(1−2)で製造したキャリアーを用いた以外は実施例2と同様にして、標的細胞を捕捉し、蛍光観察を行った。結果を図7に示す。
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、この基板を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、12時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、この基板をエタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、10mM N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を滴下し、飽和蒸気圧下で5時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端にN−ヒドロキシスクシンイミド基を導入した。次いで、乾燥アセトニトリルで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させた後、PBS(リン酸緩衝食塩水)中にて調製した10μM末端アミノ化アプタマー溶液(3’末端側にトリエチレングリコールスペーサーを介し、ヘキサメチレンアミンを導入した構造のアプタマー)を滴下して、飽和蒸気圧下で3時間静置し、自己組織化単分子膜32の末端のN−ヒドロキシスクシンイミド基とアプタマーのアミノ基を反応させ、アミド結合にてアプタマーを結合させた。最後にPBSで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
担持層31として、銅基板の一面にNiメッキを施した後、金メッキを施した基板を準備した。この基板をピラニア溶液と10分間接触させて表面を洗浄し、さらに、超純水及びエタノールで洗浄した後、窒素を吹きかけて乾燥させた。次いで、PBS溶液中にて調製した10μM末端チオール化アプタマー溶液(3’末端側にヘキサエチレングリコールスペーサーを介し、トリメチレンチオールを導入した構造のアプタマー)を基板表面に添加し、飽和蒸気圧下で24時間反応させて、担持層31にアプタマー33を直接、チオール結合させた。次いで、アプタマー33が結合している担持層31を1mM6−メルカプト−1−ヘキサノールのエタノール溶液中に浸漬し、飽和蒸気圧下、2時間室温で反応させて自己組織化単分子膜32を形成させた。次いで、エタノールで洗浄し、窒素を吹きかけて乾燥させ、標的細胞捕捉キャリアーを製造した。
32:自己組織化単分子膜
33:核酸アプタマー
Claims (16)
- 腫瘍細胞を捕捉するためのキャリアーであって、
(i)元素周期表第10族元素、第11族元素及びこれらの組み合わせから選択される元素を含む担持層と、
(ii)当該担持層上に設けられている自己組織化単分子膜と、
(iii)当該担持層上に直接、又は当該自己組織化単分子膜を介して設けられており、上皮細胞接着分子に対する核酸アプタマーと、
を備えている
前記キャリアー。 - 自己組織化単分子膜は、一方の末端基が担持層を構成する元素と結合しており、担持層に結合していない側の末端基の少なくとも一部は、核酸アプタマーと結合している、請求項1に記載のキャリアー。
- 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部はキャップされている、請求項1又は2に記載のキャリアー。
- 担持層は、金、白金、銀、パラジウム、銅及びこれらの組み合わせからなる群から選択される元素を含む、請求項1〜3のいずれか1に記載のキャリアー。
- 自己組織化単分子膜は、一方の末端にチオール基を含み、他方の末端にカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基又はN−ヒドロキシスクシンイミド基を含む、請求項1〜4のいずれか1に記載のキャリアー。
- 核酸アプタマー及び/又は前記自己組織化単分子膜は、チオール結合により担持層を構成する元素と結合している、請求項1〜5のいずれか1に記載のキャリアー。
- 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基のうち核酸アプタマーが結合していない末端基の全部又は一部は、メトキシ基、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ヒドロキシル基から選択される基でキャップされている、請求項1〜6のいずれか1に記載のキャリアー。
- 自己組織化単分子膜の担持層に結合していない側の末端基であって、核酸アプタマーが結合していない末端基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はアミノ基である、請求項1〜7のいずれか1に記載のキャリアー。
- 自己組織化単分子膜が、ポリエチレングリコール膜又はヒドロキシアルカンチオール基である、請求項1−8のいずれか1項のキャリアー。
- 核酸アプタマーが、DNAである、請求項1−9のいずれか1項のキャリアー。
- 核酸アプタマーが配列番号1からなる、又は、を含むDNAである、請求項1−10のいずれか1項に記載のキャリアー。
- 腫瘍細胞が血中循環腫瘍細胞である、請求項1−11のいずれか1項に記載のキャリアー。
- 請求項1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、腫瘍細胞を含む可能性のある生体試料を接触させることを含む、腫瘍細胞を捕捉するための方法。
- 請求項1−12のいずれか1項に記載のキャリアーに、生体試料を接触させることを含む、生体試料中の腫瘍細胞の有無を調べる方法。
- 生体試料が、体液又は細胞単離液から選択される、請求項13又は14に記載の方法。
- 生体試料が、血液である、請求項13又は14に記載の方法。
Priority Applications (1)
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