JP2017075925A - 電池監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で組電池の状態を監視することができる電池監視装置を提供する。【解決手段】電池セルCEと導電部材SPの直列接続体である電池ブロック11を複数個直列接続して構成した組電池10を監視する電池監視装置は、各電池ブロック11に切り替え可能に並列接続されたキャパシタ22と、導電部材SPの異常時に、導電部材SPに代えて電池セルCEの電流を一方向に流すように導電部材SPに並列接続したダイオードDと、導電部材SPに並列接続されたコンデンサCと、測定対象の電池ブロック11の電圧よりも大きい電圧でキャパシタ22を充電する充電処理を行う制御装置30とを備え、制御装置30は、電池ブロック11にキャパシタ22の電荷を放電する放電処理と、放電処理後のキャパシタ22の電圧に基づき、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無を判定する異常判定と、を行う。【選択図】 図1

Description

本発明は、組電池の異常の有無を監視する電池監視装置に関する。
特許文献1では、複数個の電池セル(単位電池)の直列接続体として電池ブロックを構成している。そして複数個の電池ブロックを導電部材を介して接続することで組電池を構成している。各電池ブロックを構成する電池セルの両側の電気径路にはフライングキャパシタが切り替え接続されるように構成されており、各電池セルの電圧で充電されたフライングキャパシタの充電電圧から各電池セルの電圧が検出されるようになっている。
ところで上記構成においては、電池ブロック間の導電部材の異常(断線等)を検出することが必要となる。そこで、特許文献1では、電池ブロック間の導電部材の両側に接続された一対の電気径路に、ツェナダイオードを有するバイパス経路を並列接続する。そして、電池ブロック間の導電部材の両端に接続された一対の電気経路にフライングキャパシタを接続した状態で、その一対の電気径路にフライングキャパシタからの放電電流を流す。この際、電池ブロック間の導電部材に異常が生じていなければ、放電電流は導電部材を介して流れることとなる。一方、電池ブロック間の導電部材に異常が生じていれば、放電電流はバイパス経路を介して流れることとなる。
フライングキャパシタの放電電流がバイパス経路側へ流れる場合、ツェナダイオードの降伏電圧(ツェナ電圧)が生じる。そのため、電池ブロック間の導電部材が正常な場合に対して、導電部材に異常がある場合には、バイパス経路の両端の電位差、および放電時のフライングキャパシタの端子間電圧が大きく乖離することが生じる。このように、電池ブロック間の導電部材の異常の有無によって、バイパス経路の両端における電位差またはフライングキャパシタの端子間電圧が異なることに基づいて、電池ブロック間の導電部材の異常の有無を判定することができる。
2015−83960号公報
しかし特許文献1の構成では、電池ブロック間に設けられた導電部材の異常検出のために、電池ブロック間の導電部材ごとにバイパス経路等の部材を設ける必要があり部品点数が増加することに伴う不都合が生じてしまう。
また、電池ブロックを構成する複数個の電池セルを導電部材を介して接続することも想定される。しかし電池ブロック内の導電部材の異常検出を行うために、特許文献1に示されるようなバイパス経路等の部材を設けることは、部品点数の増加を招くことに繋がる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で組電池の状態を監視することができる電池監視装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、電池セル(CE)と導電部材(SP)との直列接続体で構成された電池ブロック(11)を複数個直列に接続して構成された組電池(10)における異常の有無を監視する電池監視装置であって、前記電池ブロックのそれぞれに対して切り替え可能に並列接続されたキャパシタ(22)と、前記導電部材の異常時に、前記導電部材に代えて前記電池セルの電流を一方向に流すように前記導電部材に対して並列接続された電流制限素子(D)と、前記導電部材に対して並列接続された容量成分(C)と、測定対象の前記電池ブロックの電圧よりも大きい電圧で前記キャパシタが充電されるように、複数の前記電池セルと前記キャパシタとを並列接続して、前記キャパシタを充電する充電処理を行う充電処理部(30)と、前記測定対象の電池ブロックと前記充電処理後のキャパシタとを並列接続して、前記測定対象の電池ブロックに対して前記キャパシタの電荷を放電する放電処理を行う放電処理部(30)と、前記放電処理後の前記キャパシタの電圧に基づいて、前記測定対象の前記電池ブロック内における前記導電部材の異常の有無を判定する異常判定部(30)と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、電池セルと導電部材との直列接続体として電池ブロックを構成する。そして電池ブロックを複数個直列に接続して組電池を構成する。そして、電池ブロックのそれぞれに対して切り替え可能にキャパシタを並列接続する。また電池ブロック内の導電部材に対して、導電部材の異常時に導電部材に代えて電池ブロックの電流を一方向に流す電流制限素子並びに容量成分を並列接続する。
以上の構成において、測定対象の電池ブロックの電圧よりも大きい電圧でキャパシタが充電されるように、複数の電池セルとキャパシタとを並列接続してキャパシタを充電する。この際、電池ブロック内の導電部材に異常(断線等)が生じていたとしても電流制限部材を介して電流が流れるため、電池ブロックの電圧でキャパシタを充電することができる。
その後、測定対象の電池ブロックとキャパシタとを並列接続して、測定対象の電池ブロックに対してキャパシタの電荷を放電する。この際、測定対象の電池ブロック内の導電部材に異常が生じていなければ、電池ブロック内の電池セル及び導電部材のみを介して流れる放電電流により、キャパシタの電圧は測定対象の電池ブロックの電圧まで低下する。一方、測定対象の電池ブロック内の導電部材に異常が生じていれば、その異常箇所の導電部材には電流は流れず、導電部材に並列接続された容量成分に放電電流が流れることとなる。この際、容量成分に発生する電圧によって、キャパシタの電圧は測定対象の電池ブロックの電圧よりも高い電圧までしか低下しないこととなる。
以上のように、キャパシタを測定対象の電池ブロックよりも大きい電圧を充電した後、測定対象の電池ブロックとキャパシタとを接続してキャパシタの放電を行った際には、電池ブロック内の導電部材の異常の有無に応じて、キャパシタの電圧に差が生じることとなる。このことを利用して、測定対象の電池ブロック内の導電部材の異常の有無を簡易な構成で検出することができる。
電池監視システムの回路構成を示す図。 電池ブロック及び周辺の回路構成を示す図。 制御装置によるキャパシタの充放電処理の説明図。 電池ブロックの異常の有無とキャパシタの充電処理との関係を示す図。 電池ブロックの異常の有無とキャパシタの放電処理との関係を示す図。 電池ブロックの異常判定処理のフローチャート。 変容例の電池ブロックの回路構成を示す図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。なお本実施形態の組電池は、インバータ等を介して車両走行用の電動機(走行用モータ)に電力を供給する電源として用いられる。
(第1実施形態)
図1に示すように、電池監視システム100は、組電池10、電池監視装置20、制御装置30を備えている。
組電池10は、複数個の電池ブロック11の直列接続体として構成される。図1では組電池10を、5個の電池ブロック11(11a〜11e)の直列接続体として構成した例を示している。これ以外にも、組電池10は任意の個数の電池ブロックの直列接続体として構成することができる。
ここで電池ブロック11の構成について説明する。図2に電池ブロック11aの例を示す。なお、他の電池ブロック11b〜11eの構成は電池ブロック11aと同様であるため詳述は省略する。電池ブロック11aは、複数個の単位電池UBと導電部材SPとを直列に接続することで構成されている。単位電池UBは、充放電の最小単位としての電池セルCEを用いて構成されている。なお電池セルCEは、リチウムイオン蓄電池や鉛蓄電池等である。また図2の例では、単位電池UBを複数個の電池セルCEで構成しているが、単位電池UBは単一の電池セルCEで構成してもよい。
導電部材SPは例えばワイヤであり、隣接する単位電池UB間を接続するために用いられる。また、単位電池UBと導電部材SPの各々には従来からのノイズ対策としてコンデンサCが並列接続されている。
図1の説明に戻り、電池監視装置20は、抵抗体R、入力側スイッチ21、キャパシタ22、出力側スイッチ23、電圧検出部24、監視IC25を備えており、隣接する電池ブロック11間又は電池ブロック11の端部に設けられた各検出ラインL1〜L10を介して組電池10に接続されている。
各検出ラインL1〜L10のうち、各電池ブロック11の高電圧側に奇数番目の検出ラインLi(i=1,3,5,7,9)が接続され、各電池ブロック11の低電圧側に偶数番目の検出ラインLj(j=2,4,6,8,10)が接続されている。
また、各検出ラインL1〜L10には、それぞれ抵抗体Rが設けられている。そして、抵抗体Rとキャパシタ22との間に入力側スイッチ21が設けられている。入力側スイッチ21は、各検出ラインL1〜L10上に個別に設けられたスイッチSW1〜SW10を有している。
キャパシタ22は、複数個の電池ブロック11の電圧で充電可能な容量を有するものが用いられる。本実施形態では、2個のコンデンサの直列接続体としてキャパシタ22を構成している。これにより個々のコンデンサの耐電圧を抑えることができる。なお、キャパシタ22は少なくとも1つのコンデンサで構成してもよく、2個以上のコンデンサの直列接続体として構成してもよい。なお上述したコンデンサCは、キャパシタ22よりも小さい容量のものが選択されるとする。
キャパシタ22の正極側(+)には、入力側スイッチ21の奇数番目のスイッチSWi(i=1,3,5,7,9)が接続される。キャパシタの負極側(−)には、入力側スイッチ21の偶数番目の第2スイッチSWj(j=2,4,6,8,10)が接続される。
また、キャパシタ22は、出力側スイッチ23を介して電圧検出部24に接続されている。出力側スイッチ23はスイッチSWA,SWBからなり、スイッチSWAがキャパシタ22の正極側(+)、スイッチSWBがキャパシタ22の負極側(−)に接続されている。
電圧検出部24は、差動増幅回路やマイクロコンピュータ(マイコン)等を備えて構成されており、キャパシタ22の充電電圧を、制御装置30が読み込み可能なデジタル信号に変換する。
監視IC25は、電池ブロック11ごとの状態を検出するものであり、図1では、各電池ブロック11a〜11eに対して、監視IC25a〜25eが個別に設けられている。ここで監視IC25の構成について、図2の監視IC25aの例を用いて詳しく説明する。
監視IC25aは、電池ブロック11a内の個々の電池セルCEの高電圧側と低電圧側に設けられた電気径路EPを介して電池ブロック11aに接続されている。また、監視IC25a内には、電池ブロック11a内の導電部材SPが断線した際に、監視IC25内に異常な電流(過電流)が流れないようにするために、従来から電流制限素子としてのダイオードDが内蔵されている。ダイオードDは、電池ブロック11a内の導電部材SPの両側に設けられた一対の電気径路EPに接続されている。詳しくは、ダイオードDのアノードが低電位側の電気径路EPに接続され、ダイオードDのカソードが高電位側の電気径路EPに接続されている。
以上により、各導電部材SPの両側に接続された一対の電気径路EPを介して、低電位側から高電位側への一方向の電流の流れのみが許容され、その逆方向の電流の流れが遮断される。これにより、監視IC25a内に過電流が流れることが抑制することができる。
また、電池ブロック11a内の導電部材SPの両端にダイオードDが接続されていることによって、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常がある場合には、導電部材SPの異常箇所に代えて、ダイオードDを介して電流が流れるため、導電部材SPの異常の有無に関わらずキャパシタ22を充電することができる。なお図2では、電流制限素子としてダイオードを用いているが、これ以外にも、電流制限素子としては、監視IC25内での電流の流れを一方向に制限できる各種の半導体素子を用いることができる。なお、他の監視IC25b〜25eの構成は監視IC25aと同様であるため、ここでの詳述は省略する。
図1の説明に戻り、制御装置30は、CPU、メモリ等を備えて構成されるマイクロコンピュータであり、メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。例えば制御装置30は、入力側スイッチ21の各スイッチSW1〜SW10の開状態(オフ)と閉状態(オン)とを切り替えることで、キャパシタ22に対して各電池ブロック11を切り替え接続する。また制御装置30は、各電池ブロック11の電圧を検出する電圧検出処理を行う。
電圧検出処理について詳しく説明すると、制御装置30は、まず、出力側スイッチ23をオフとした状態で、いずれかの電池ブロック11の高電圧側に設けられたスイッチSWi(i=1,3,5,7,9)及び低電圧側に設けられたSWj(j=2,4,6,8,10)をオンに切り替えて、その電池ブロック11とキャパシタ22とを接続する。なお、電池ブロック11とキャパシタ22とが接続されると、電池ブロック11の電圧でキャパシタ22が充電される。キャパシタ22の充電が完了すると、入力側スイッチ21をオフ、出力側スイッチ23をオンに切り替える。これにより、電圧検出部24に入力されたキャパシタ22の電圧がデジタル信号に変換される。そして制御装置30が、電圧検出部24による変換後の電圧を読み込むことにより、キャパシタ22を充電した測定対象の電池ブロック11の電圧を検出する。
また制御装置30は、電池ブロック11内の導電部材SPに異常があるか否かを判定する異常判定処理を行う。なお、導電部材SPの異常としては、導電部材SPの断線や、ボルトの締結不良等が挙げられる。これ以外にも、導電部材SPが図示を略すコネクタを介して電池ブロック11に接続される場合には、コネクタの接続不良等も導電部材SPの異常に含まれるとする。
そして、電池ブロック11内の導電部材SPに異常がある場合には、その影響が電池ブロック11に接続された監視IC25に及ぶおそれがあるため、電池ブロック11内の導電部材SPの異常が検出される必要がある。しかし電池ブロック11内の導電部材SPの異常検出をするために、新たな構成を追加することは、部品点数の増加、並びにコストアップにつながる。
ところで、電池ブロック11内の導電部材SPに異常がある場合と、電池ブロック11内の導電部材SPに異常がない場合とでは、制御装置30が次のような処理を行った際にキャパシタ22によって検出される電圧値に違いが生じることが分かった。ここで、図1,図3〜図5を用いて制御装置30による処理について説明する。
はじめに制御装置30は、測定対象の電池ブロック11の電圧を基準電圧として取得する(図3の第1処理P1)。詳しくは、制御装置30は、はじめに測定対象の電池ブロック11を選択する。測定対象の電池ブロック11としては、一つの電池ブロック11が選択される他、隣接する複数の電池ブロック11がまとめて選択されてもよい。そして、測定対象の電池ブロック11とキャパシタ22とを接続して、測定対象の電池ブロック11の電圧でキャパシタ22を充電する。
ここで、測定対象の電池ブロック11として、電池ブロック11aが選択された例を挙げて説明する。この場合、図4に示すように、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていなければ、電池ブロック11a内の各電池セルCE及び導電部材SPのみを介して充電電流が流れる(経路A1)。一方、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていれば、その導電部材SPの異常箇所は、導電部材SPに代えてダイオードDを経由して充電電流が流れることとなる(経路A2)。
すなわち、第1処理P1においては、電池ブロック11a内の導電部材SPの異常の有無に関わらず、キャパシタ22の電圧が測定対象の電池ブロック11の電圧となるように充電されることとなる(図3参照)。そして制御装置30は、キャパシタ22の充電電圧を基準電圧VBとして取得する。
次に制御装置30は、測定対象の電池ブロック11aの電圧よりも大きい電圧でキャパシタ22を充電する充電処理を行う(図3の第2処理P2)。例えば図1において、スイッチSW7,SW10をオンに切り替えて、電池ブロック11d,11eの直列接続体の電圧でキャパシタ22を充電する。このように、測定対象の電池ブロック11aの個数よりも多い個数の電池ブロック11とキャパシタ22とを接続することで、測定対象の電池ブロック11aの電圧よりも大きい電圧でキャパシタ22を充電することができる。
次に、充電処理後のキャパシタ22と測定対象の電池ブロック11aとを接続して、キャパシタ22の放電処理を行う(図3の第3処理P3)。すなわち、第2処理P2で行われた充電によってキャパシタ22の充電電圧が測定対象の電池ブロック11aの電圧よりも高くなっている。そのため、電池ブロック11aとキャパシタ22とが接続された際に、キャパシタ22から電池ブロック11aに対して電荷が放電されることとなる。
この際、図5に示すように、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていなければ、各電池セルCE及び導電部材SPを介して放電電流が流れる(径路A3)。この場合、キャパシタ22の電圧が電池ブロック11aの電圧まで低下した際に放電が終了することとなる。
一方、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていれば、導電部材SPの断線箇所には放電電流が流れず、その断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCに放電電流が流れることになる(径路A4)。この場合、断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCに発生する電圧によって、キャパシタ22の電圧が電池ブロック11aの電圧に低下する前に放電が終了することとなる。
すなわち、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていなければ、キャパシタ22の電圧と基準電圧VBとが略等しくなる。これに対し、電池ブロック11a内の導電部材SPに異常が生じていれば、キャパシタ22の電圧は基準電圧VBよりも高くなる(図3参照)。
そこで本実施形態では、上記処理を行った際に、電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無に応じてキャパシタ22の電圧の検出値が異なることを利用して、電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無を判定する。
例えば図3に示すように、第1処理P1で取得した基準電圧VBに基づいて閾値Thを設定する。例えば閾値Thは、基準電圧VBに所定の電圧誤差αを加算した値に設定する。そして、第2処理P2後に第3処理P3を実施した際のキャパシタ22の電圧が閾値Thよりも小さければ、測定対象の電池ブロックにおける導電部材SPの異常が生じていないと判定する。一方、第3処理P3の実施後のキャパシタ22の電圧が閾値Thよりも大きければ、測定対象の電池ブロック内の導電部材SPに異常があると判定する。
なお、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じている場合には、第2処理P2と第3処理P3とが交互に繰り返されると、断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電圧が次第に上昇し、第3処理P3の実施後のキャパシタ22の電圧と閾値Thとの差が拡大する。
そこで、本実施形態では、測定対象の電池ブロック11に対して、第2処理P2と第3処理P3とが所定回数以上繰り返されたことを条件に、測定対象の電池ブロック11における導電部材SPの異常の有無を判定する。
また、電池ブロック11内の導電部材SPに異常がある状態で、第2処理P2と第3処理P3とを交互に繰り返す場合に、第2処理P2で使用する電池ブロック11に測定対象の電池ブロック11が選択されると、断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電圧が0Vにリセットされてしまう。すなわち、断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電荷が、キャパシタ22を充電する第2処理P2において放電されることにより、断線箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電圧が0Vに戻されてしまう。そこで本実施形態では、第2処理P2でキャパシタ22を充電する際に、測定対象の電池ブロック11が選択されないようにする。
次に本実施形態の異常判定処理の手順を図6のフローチャートを用いて説明する。本処理は、電池ブロック11毎に制御装置30が繰り返し実施する。
まず、S11〜S12で基準電圧VBを取得する第1処理S1を行う。第1処理S1では、まず測定対象の電池ブロック11を選択する(S11)。本処理では、例えば異常判定を未実施の電池ブロック11が選択される。または、所定のシーケンスに従って測定対象の電池ブロック11が選択されてもよい。
次に、S11で選択された電池ブロック11の基準電圧VBを取得する(S12)。本処理は、測定対象の電池ブロック11によって充電されたキャパシタ22の充電電圧を読み込むことにより実施する。
次に、キャパシタ22を基準電圧VBよりも大きい電圧で充電する第2処理P2を行う(S13)。本処理は、測定対象の電池ブロック11以外の電池ブロック11であって、隣接する複数個の電池ブロック11とキャパシタ22とを接続した状態で、キャパシタ22を充電する。この際、選択される電池ブロック11の個数は、測定対象の電池ブロック11の個数よりも多くなるようにする。
次に、キャパシタ22を放電する第3処理P3を行う(S14)。本処理では、測定対象の電池ブロック11とキャパシタ22とを並列接続する。次に、測定対象の電池ブロックに対する放電処理が所定回数以上繰り返し実施されたか否かを判定する(S15)。S15を否定した場合にはS13に戻る。
S15を肯定した場合には、キャパシタ22の電圧(残存電圧)が閾値Thよりも小さいか否かを判定する(S16)。S16でキャパシタ22の電圧が閾値Thよりも小さいと判定されれば、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPに異常は生じていない、すなわち電池ブロック11内の導電部材SPは正常であると判定する(S17)。S16でキャパシタ22の電圧が閾値Thよりも大きいと判定されれば、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じていると判定する(S18)。
次に上記処理の実行例について図3〜図5を用いて説明する。ここでは、測定対象の電池ブロック11として電池ブロック11aが選択されるとする。また第2処理P2理の際に、キャパシタ22に接続される電池ブロック11として、電池ブロック11d,11eが選択されるとする。そして、測定対象の電池ブロック11a内の複数本の導電部材SPのうちの1箇所に断線が生じているとする。
まず、第1処理P1の実施により、電池ブロック11aの基準電圧VBが取得される。次に1回目の第2処理P2の実施により、電池ブロック11d,11eによってキャパシタ22が充電されると、キャパシタ22の充電電圧が基準電圧VBよりも高くなる。その後、1回目の第3処理P3の実施により、測定対象の電池ブロック11aとキャパシタ22とが接続され、キャパシタ22が放電される。この際、導電部材SPの断線箇所に並列接続されたコンデンサCに電圧が発生する。そして、2回目の第2処理P2及び第3処理が実施された後に、第3処理P3の実施後のキャパシタ22の電圧と閾値Thとが比較される。この際、キャパシタ22の電圧が閾値Thよりも高いと判定されることにより、測定対象の電池ブロック11a内の導電部材SPに異常があると判定されることとなる。
なお、測定対象の電池ブロック11a内の導電部材SPに異常がある場合には、制御装置30は、組電池10から電動機(図示略)等への電力供給が行われないような処理を実施する。例えば、組電池10と電動機とを接続する図示を略すシステムメインリレーをオフの状態とする。
上記によれば以下の優れた効果を奏することができる。
(1)電池ブロック11内の導電部材SP対してダイオードDが並列接続されているため、電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無に関わらず、電池ブロック11の電圧でキャパシタ22を充電することができる。また、測定対象の電池ブロック11よりも大きい電圧でキャパシタ22を充電した後、測定対象の電池ブロック11とキャパシタ22とを接続してキャパシタ22を放電した際に、電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じていなければ、キャパシタ22の電圧が測定対象の電池ブロック11の電圧まで低下する。一方、電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じていれば、導電部材SPに並列接続されたノイズ対策用のコンデンサCに発生する電圧によって、キャパシタ22の電圧は測定対象の電池ブロック11の電圧までは低下しないこととなる。このように、電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無に応じて、キャパシタ22の電圧に差が生じることを利用して、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無を検出する場合、電池ブロック11に新たな構成を追加することなく異常検出をすることができる。
(2)測定対象の電池ブロック11の電圧を予め基準電圧VBとして取得しておくことにより、その基準電圧VBと放電処理後のキャパシタ22の電圧とを比較することで、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無を精度よく判定することができる。
(3)測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPのうちの少なくとも一つに異常が生じていれば、放電処理後のキャパシタ22の電圧が基準電圧VBよりも高くなる。そのため、測定対象の電池ブロック11として、充電処理の際にキャパシタ22に接続する電池ブロック11の個数よりも少ない個数の電池ブロック11を接続して放電処理を行うことにより、その測定対象の電池ブロック11に含まれる導電部材の異常を一度に判定することができる。
(4)隣接する2個以上の電池ブロック11とキャパシタ22とを並列接続することで、測定対象の電池ブロック11の電圧よりも大きい電圧でキャパシタ22を充電することができる。
(5)測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じている場合に、測定対象の電池ブロック11に対して放電処理を繰り返し実施すると、異常箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電圧が次第に上昇し、これに伴って、基準電圧VBと放電処理後のキャパシタ22の充電電圧との差が拡大する。そこで、測定対象の電池ブロック11に対して充電処理と放電処理とが所定回数よりも多く繰り返されたことを条件に異常判定を実施する。以上により、電池ブロック11内の導電部材SPの異常判定の精度を高めることができる。
(6)電池ブロック11内の導電部材SPに異常がある場合に、充電処理後の放電処理が行われると、異常箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCに電圧が発生する。ここで、充電処理と放電処理とが繰り返される際に、充電処理として測定対象の電池ブロック11が使用されると、キャパシタ22を充電する第2処理P2において、異常箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電荷が放電され、電圧が0Vにリセットされてしまう。そこで、測定対象の電池ブロック11を用いて充電処理を行わないようにする。以上のように、充電処理と放電処理との繰り返しによりキャパシタ22に蓄積された電圧の上乗せ分がリセットされないようにすることで、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPの異常判定の精度を高めることができる。
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。なお以下の説明において上述の構成を同様の構成については同じ図番号を付し詳述は省略する。
・上記において、図6のフローチャートでは、S15でキャパシタ22の充電処理(第2処理P2)と放電処理(第3処理P3)とが所定回数以上繰り返し実施されたことを条件としているが、この処理を省略してもよい。例えば、キャパシタ22の充電処理後の放電処理が実施されるごとに、電池ブロック11内の導電部材SPの異常判定を行ってもよい。
・上記では、電池ブロック11内の導電部材SPに異常があれば、キャパシタ22の充電処理(第2処理P2)と放電処理(第3処理P3)とを繰り返し実施することで、その導電部材SPの異常箇所に並列されたコンデンサCの電圧を次第に上昇させ、これにより電池ブロック11内の導電部材SPの異常の有無の判定精度が高められるようにしている。これ以外にも、キャパシタ22の充電処理の際に、電池ブロック11内の導電部材SPの異常箇所に並列されたコンデンサCの電圧の上昇の度合いを高めることにより、異常判定の精度を高めるようにしてもよい。例えば、キャパシタ22の充電処理の際に、キャパシタ22と全電池ブロック11とを接続する。この場合、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPに異常が生じていれば、放電処理によって異常箇所の導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの電圧が大きく上昇する。このように、充電処理(第2処理P2)の際にキャパシタ22の充電電圧を高めることにより、充電処理と放電処理とを繰り返さなくとも、コンデンサCの電圧を上昇させることができ、これにより異常判定の精度を高めることができる。
・上記では、第1処理P1で取得した基準電圧VBに基づき閾値Thを設定しているが、予め記憶された所定の閾値Thを用いて異常判定を行ってもよい。また閾値Thは、電池ブロック11毎に個別に設定されるほか、各電池ブロック11に共通の閾値Thが予め設定されていてもよい。
・上記では、第2処理P2の際に電池ブロック11単位でキャパシタ22を充電している。これ以外にも、キャパシタ22への充電を電池セルCE単位で実施できる構成の場合には、複数個の電池セルCEの合計電圧が基準電圧VBよりも高くなることを条件に、複数個の電池セルCEとキャパシタ22とを接続して第2処理P2を行うようにしてもよい。
・上記において、電池ブロック11内に設けられた複数個の導電部材SPに異常が生じている可能性もある。この場合には、第3処理P3でキャパシタ22を放電した際に、異常のある導電部材SPに並列接続されたコンデンサCの各々に電圧が発生するため、これに伴って、第3処理P3の実施後にキャパシタ22の電圧と基準電圧VBとの差が拡大する。そこで、第3処理P3を実施した際のキャパシタ22の電圧の上昇度合いに基づいて電池ブロック11内における導電部材SPの異常の度合いを判定してもよい。すなわちキャパシタ22の電圧と基準電圧VBとの差が大きくなる程、電池ブロック11内に設けられた導電部材SPの異常の度合いが高いと判定してもよい。
・上記の図2の例では、電池ブロック11内の電池セルCE及び導電部材SPのそれぞれに対して個別にコンデンサCを並列接続している。これ以外にも図7の例に示すように、電池ブロック11内の全電池セルCE及び全導電部材SPに対して共通の一つのコンデンサCが並列接続された構成としてもよい。この場合にも、上記と同様の処理を行うことで、放電処理後のキャパシタ22の充電電圧を用いて、測定対象の電池ブロック11内の導電部材SPの異常判定をすることができる。なおコンデンサCは、少なくとも1つの導電部材SPを跨いで、電池ブロック11あるいは組電池10の回路内の正極側と負極側とに接続されたものであればよく、上記に限定されない。
10…組電池、11…電池ブロック、22…キャパシタ、30…制御装置、C…コンデンサ、CE…電池セル、D…ダイオード、SP…導電部材。

Claims (8)

  1. 電池セル(CE)と導電部材(SP)との直列接続体で構成された電池ブロック(11)を複数個直列に接続して構成された組電池(10)における異常の有無を監視する電池監視装置であって、
    前記電池ブロックのそれぞれに対して切り替え可能に並列接続されたキャパシタ(22)と、
    前記導電部材の異常時に、前記導電部材に代えて前記電池セルの電流を一方向に流すように前記導電部材に対して並列接続された電流制限素子(D)と、
    前記導電部材に対して並列接続された容量成分(C)と、
    測定対象の前記電池ブロックの電圧よりも大きい電圧で前記キャパシタが充電されるように、複数の前記電池セルと前記キャパシタとを並列接続して、前記キャパシタを充電する充電処理を行う充電処理部(30)と、
    前記測定対象の電池ブロックと前記充電処理後のキャパシタとを並列接続して、前記測定対象の電池ブロックに対して前記キャパシタの電荷を放電する放電処理を行う放電処理部(30)と、
    前記放電処理後の前記キャパシタの電圧に基づいて、前記測定対象の電池ブロック内における前記導電部材の異常の有無を判定する異常判定部(30)と、
    を備えることを特徴とする電池監視装置。
  2. 前記充電処理の実施前に、前記測定対象の電池ブロックの電圧で前記キャパシタを充電し、その際の前記キャパシタの充電電圧を前記測定対象の電池ブロックの電圧の基準値である基準電圧(VB)として取得する基準電圧取得部(30)を備え、
    前記異常判定部は、前記放電処理後の前記キャパシタの電圧が前記基準電圧よりも大きくなることを条件に、前記測定対象の電池ブロックに異常があると判定する請求項1に記載の電池監視装置。
  3. 前記測定対象の電池ブロックとして、前記充電処理の際に前記キャパシタに接続する前記電池ブロックの個数よりも少ない個数の前記電池ブロックを選択する選択部(30)を備える請求項1〜2のいずれか1項に記載の電池監視装置。
  4. 前記充電処理部は、隣接する2個以上の前記電池ブロックと前記キャパシタとを並列接続して前記充電処理を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の電池監視装置。
  5. 前記異常判定部は、前記測定対象の電池ブロックに対する前記充電処理と前記放電処理とが所定回数よりも多く繰り返されたことを条件に、前記測定対象の電池ブロックの異常判定を実施する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池監視装置。
  6. 前記充電処理部は、前記測定対象の電池ブロック以外の電池ブロックを用いて前記充電処理を行う請求項5に記載の電池監視装置。
  7. 前記充電処理部は、前記組電池を構成する前記電池ブロックの全てと前記キャパシタとを並列接続し、その電池ブロックの電圧で前記キャパシタを充電する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池監視装置。
  8. 前記電池ブロックは複数の導電部材を備えて構成されており、
    前記異常判定部は、前記放電処理後の前記キャパシタの電圧の上昇度合いに基づいて、前記測定対象の電池ブロック内の前記導電部材の異常の度合いを判定する請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池監視装置。
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