JP2017075877A - 歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および歪みセンサを用いた腐食測定方法を提供する。【解決手段】腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体19と、被検体19に応力を付与する応力付与部材(ロッド29)と、被検体19における応力を検出する歪みセンサ30とを有する歪み式腐食センサ1の製造方法であって、ロッド29により被検体19に応力を付与して、被検体19を塑性領域まで歪ませる。【選択図】図5

Description

本発明は、歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法に関し、腐食環境中に曝される金属材料の腐食の進行を測定するためのセンサおよび測定方法に関する。
構造物の金属材料部分が腐食環境中に曝される場合、当該金属材料の腐食の進行を監視したいという要求がある。
このような要求に対して、監視対象と同じ金属製の被検体を、監視対象がおかれる同じ腐食環境中に配置し、被検体の表面(腐食環境により腐食される被腐食面)の腐食状態を経時的に測定することで、代替的に監視対象の腐食状態を推定する腐食測定方法が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に類する腐食測定方法では、監視対象と同じ金属製の被検体を用い、被検体に初期応力を導入したうえで腐食環境中に暴露し、歪みセンサにより被検体の応力変化を監視する。腐食環境によって被検体の腐食が進行すると、その断面積の減少によって応力が変化する。応力の変化は、歪みセンサの出力信号の変化として検出することができ、これにより腐食度合いを測定することができる。
このような腐食測定方法に好適な装置として、筒状の被検体の内部にロッドを設置し、ロッドで被検体に軸力を付与することで被検体に初期応力を導入するとともに、被検体の内周またはロッドの外周に歪みセンサを設置した歪み式腐食センサが用いられている。
前述した歪み式腐食センサは、特許文献1の腐食測定方法に好適であるが、被検体の腐食が進んだ後期に比べて、腐食の初期段階での歪み量が小さく、歪みセンサの出力変化が小さい。このため、腐食の初期段階で腐食の進行を認識しにくいという問題があった。
とくに、前述した歪み式腐食センサにおいては、同じ腐食の進行に対して、時期によって歪みの現れ方が極端に変化し、検出感度が十分でない時期が生じてしまう。このため、解像度が十分でない小型で廉価なデータ処理装置を用いた場合など、腐食の進行を確実に検出できない期間が生じるという問題があった。
これに対し、本発明の発明者らにより、歪み式腐食センサの製造方法として、腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体と、被検体に応力を付与する応力付与部材と、被検体における応力を検出する歪みセンサとを有し、被検体を前記応力付与部材により応力が付与された状態とした後、被腐食面での厚みが減少するように被検体の材料を除去することが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献2の製造方法では、被検体は、十分な厚さを有する状態で応力付与部材により応力が付与された後、被腐食面での厚みが減少するように材料を除去される。つまり、被検体は、従来の歪み式腐食センサにおいて、被検体が腐食されて厚みが減少するのと同様な状況とされる。
従って、特許文献2の製造方法で製造された歪み式腐食センサによれば、予め被検体を薄肉化した状態で応力を付与した場合のような被検体の降伏を回避し、測定レンジの縮小を回避することができる。そして、測定レンジの縮小を回避しつつ、被検体の薄肉化により腐食測定の初期から十分な検出感度を得ることができ、腐食の進行を確実に検出することができる。
特開昭53−65783号公報 特開2014−173926号公報
前述した特許文献2の歪み式腐食センサの製造方法では、応力付与部材により応力を付与した状態で被検体の材料の除去を行う手段として、被腐食面の切削もしくは被腐食面のエッチング処理を行うとしている。
このうち、被腐食面の切削によれば、機械加工であるため作業効率が優れている。一方、被腐食面のエッチング処理によれば、機械加工のような加工応力がないため、被検体を不必要に変化させることがない。
しかし、いずれの手段を利用するにしても、応力付与部材により応力を付与した状態で、被検体の材料の除去を行うための別途工程が必要となる。
すなわち、切削加工であれば、応力付与部材により応力を付与した状態の被検体を、工作機械まで搬送し、工作機械に装着し、切削加工を実行する、という手順が必要となる。
また、エッチング処理であれば、応力付与部材により応力を付与した状態の被検体を、エッチング処理槽まで搬送し、前処理を行い、槽内に浸漬し、後処理を行う、という手順が必要となる。
このような別途工程があるため、製造時間が長くなり、製造コストが増大する可能性があった。
本発明の目的は、検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供することにある。
本発明の歪み式腐食センサの製造方法は、腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを有する歪み式腐食センサの製造方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与して、前記被検体を塑性領域まで歪ませることを特徴とする。
本発明において、塑性領域とは、応力による歪みが被検体の材料の弾性限度を超えた領域をいう。例えば鋼材など、被検体の材料が明瞭な降伏点を有する場合、降伏点を超える応力を付与することで、被検体を塑性領域まで歪ませた状態とすることができる。一方、被検体の材料が明瞭な降伏点を示さず、弾性領域と塑性領域とが明瞭に区別できない場合、日本工業規格「JISG0202」に規定される「耐力」(例えば0.2%耐力)を利用することができる。
本発明において、被検体を塑性領域まで歪ませた状態とは、被検体の歪みが材料の降伏点あるいは耐力に達した状態あるいは超えた状態に限らず、これらに近い値、例えば被検体の歪みが材料の降伏点あるいは耐力の95%まで達した状態も含む。
このような本発明では、歪み式腐食センサの基本構成として、応力付与部材により被検体に応力が付与される。
すなわち、応力付与部材から被検体へと力(通常は圧縮力または引張り力、曲げモーメント、捻り力であってもよい)を加えることで、被検体にはその断面積に応じた応力が生じる。応力付与部材には、被検体に対する力の反力により逆向きの応力が生じる。
この歪み式腐食センサを腐食測定に適用した際には、被検体の腐食の進行に伴って、被検体の断面積が減少し、応力が高まり、応力付与部材からの力の方向の歪みが増大する。応力付与部材では、被検体の歪みの増大に伴って、被検体へ伝えられる力が弱まり、応力および歪みが減少する。
従って、歪みセンサを被検体に設置することで、被検体の応力を直接検出することができる。一方、歪みセンサを応力付与部材に設置し、応力付与部材の応力を検出することで、相互の関係から被検体に付与される応力を間接的に検出することができる。いずれの場合も、検出された応力に基づいて、被検体の断面積の減少度合いから、腐食を測定することができる。
ここで、本発明では、歪み式腐食センサ製造にあたって、被検体は応力付与部材からの応力により塑性領域まで歪ませられる。
通常、金属材料の応力と歪みとの関係は、弾性領域では応力変化に対応する歪み変化が小さい(応力−歪み曲線の傾きが大きい)のに対し、塑性領域では応力変化に対応する歪み変化が大きい(応力−歪み曲線の傾きが小さい)。つまり、歪みセンサで検出される歪み変化の応力変化に対する比率は、弾性領域にある被検体よりも塑性領域にある被検体のほうが大きく顕著となる。
被検体を弾性領域で応力付与する場合、図1の応力−歪み曲線に示す関係となる。
歪み式腐食センサの製造時には、応力付与部材により初期応力として応力σ1を付与する。これにより被検体には歪みε1が生じる(図1の点P1)。
腐食試験では、腐食によって被検体の断面積が減少し、被検体の応力は応力σ2まで増加する。これに伴い被検体の歪みは歪みε2まで増加する(図1の点P2)。
図1のように、点P1および点P2が弾性領域の途中であれば、応力−歪み曲線の傾きG2=(σ2−σ1)/(ε2−ε1)が塑性領域よりも大きい。
つまり、応力変化幅dσ2=σ2−σ1に対して、歪み変化幅dε2=ε2−ε1は大きなものとはいえない。
被検体を塑性領域で応力付与する場合、図2の応力−歪み曲線に示す関係となる。
歪み式腐食センサの製造時には、応力付与部材により初期応力として応力σ3を付与する。これにより被検体には歪みε3が生じる(図2の点P3)。
腐食試験では、腐食によって被検体の断面積が減少し、被検体の応力は応力σ4まで増加する。これに伴い被検体の歪みは歪みε4まで増加する(図2の点P4)。
図2のように、点P3および点P4が塑性領域の途中であれば、応力−歪み曲線の傾きG4=(σ4−σ3)/(ε4−ε3)が弾性領域よりも小さくなる。
つまり、応力変化幅dσ4=σ4−σ3に対して、歪み変化幅dε4=ε4−ε3は大きく、顕著なものとなる。
従って、被検体にひずみセンサを設置することで、歪み式腐食センサとしての検出感度を高感度にすることができる。
また、応力付与部材にひずみセンサを設置した場合でも、被検体のひずみ変化が大きいが、応力付与部材のひずみも同じだけ(ただし逆符号)ひずみが変化するため、その分だけ応力付与部材のひずみ変化も大きくなる。この場合も、歪み式腐食センサとしての検出感度を高感度にすることができる。
このように、本発明の歪み式腐食センサでは、被検体を塑性領域まで歪ませておくことで、腐食測定により被検体が腐食された際には、被検体の応力変化に対する被検体の歪みの変化幅を、応力−歪み特性に基づいて、被検体が弾性領域にある場合よりも大きくすることができる。
その結果、歪み式腐食センサとしての検出感度を高感度にすることができる。
さらに、本発明においては、被検体を塑性領域まで歪ませる操作は、応力付与部材により被検体に応力を付与する工程において実施することができる。このため、従来の被腐食面の切削、あるいは被腐食面のエッチング処理などの、別途の工程を導入する必要がなく、製造工程を効率化することができる。
このように、本発明によれば、高感度の歪み式腐食センサを、効率よく製造することができる。
本発明の歪み式腐食センサの製造方法において、前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与する際に、前記応力付与部材を塑性領域まで歪ませることが望ましい。
このような本発明では、腐食測定に適用された際に、被検体の腐食に伴って応力付与部材の応力および歪みが減少してゆく。この際、応力付与部材が塑性領域まで歪ませられていることで、応力および歪みが大きな状態とされ、応力がゼロつまり被検体が破壊に至るまでのレンジを大きくとることができる。
応力付与部材が降伏点の明瞭な金属材料であれば、従来は弾性領域の途中を利用していたりするが、塑性領域まで応力付与することで、弾性領域の最大応力近くに相当あるいは超える応力を付与するようにできる。一方、降伏点が明瞭でない金属材料では、一般に塑性領域は弾性領域よりも応力が大きくなる。
このような測定レンジの拡大により、歪み式腐食センサの長期間の使用が可能となる。
応力付与部材を弾性領域内で使用する場合、図3の応力−歪み曲線に示す関係となる。
歪み式腐食センサの製造時には、被検体に対する初期応力付与に伴って応力付与部材には応力σ5が生じ、これにより歪みε5が生じる(図3の点P5)。
腐食試験では、腐食によって被検体の歪みが増加し、応力付与部材の応力は応力σ6まで減少し、歪みも歪みε6まで減少する(図3の点P6)。
このような応力付与部材においては、応力0〜応力σ5までの範囲が測定レンジR5となる。
応力付与部材の初期応力を塑性領域まで引き上げる場合、図4の応力−歪み曲線に示す関係となる。
歪み式腐食センサの製造時には、被検体に対する初期応力付与に伴って応力付与部材には応力σ7が生じ、これにより歪みε7が生じる(図4の点P7)。
腐食試験では、腐食によって被検体の歪みが増加し、応力付与部材の応力は応力σ8まで減少し、歪みも歪みε8まで減少する(図4の点P8)。
このような応力付与部材においては、応力0〜応力σ7までの範囲が測定レンジR7となる。
図4および図3の比較からも明らかなように、測定レンジR7は測定レンジR5よりも大きくでき、応力0になるまでの期間、つまり歪み式腐食センサの使用期間を拡張することができる。
本発明の歪み式腐食センサの製造方法において、前記歪みセンサは前記被検体に設置されていることが望ましい。
このような本発明では、腐食測定に適用された際の被検体の歪みを直接検出することができる。このため、被検体を塑性領域まで歪ませたことによる検出感度の向上を最大限に得ることができる。
本発明の歪み式腐食センサの製造方法において、前記歪みセンサは前記応力付与部材に設置されていることが望ましい。
このような本発明では、腐食測定に適用された際の応力付与部材の歪みを直接検出することができる。このため、応力付与部材を塑性領域まで歪ませたことによる使用期間の延長効果を最大限に得ることができる。
本発明の腐食測定方法は、腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを用いる腐食測定方法であって、前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与して、前記被検体を塑性領域まで歪ませておき、前記塑性領域まで歪ませた前記被検体を腐食環境中に暴露して、前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することを特徴とする。
このような本発明の測定方法によれば、前述した本発明の歪み式腐食センサの製造方法で説明した通りの効果を得ることができる。
本発明によれば、検出感度が高くかつ製造を効率よく行える歪み式腐食センサの製造方法および腐食測定方法を提供することができる。
応力付与が弾性領域までの被検体の応力−歪み曲線 塑性領域まで応力付与した被検体の応力−歪み曲線 応力付与が弾性領域までのロッドの応力−歪み曲線 塑性領域まで応力付与したロッドの応力−歪み曲線 本発明の一実施形態の歪み式腐食センサを示す断面図。 本発明の他の実施形態の歪み式腐食センサを示す断面図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔歪み式腐食センサの構成〕
図5において、歪み式腐食センサ1は、筒状の被検体19を有する外ピース10と、応力付与部材であるロッド29を有する内ピース20とを備えている。
外ピース10は、腐食測定対象(監視対象)と同じ金属材料で形成された筒体であり、一端は封止部11で閉じられているが、他端の接続部12は内部空間が外部に開放されており、接続部12の内周面には内ピース20を螺合させるための雌ねじ13が形成されている。
外ピース10の外周面は、封止部11および接続部12が比較的大径とされているが、これらの間の部分は比較的小径に形成されている。この小径の部分により筒状の被検体19が形成され、この被検体19の外周面が腐食環境中に暴露される被腐食面18とされている。
内ピース20は、円筒状の本体21の一端側に、本体21と同軸上を延びる丸棒状のロッド29を有する。ロッド29と本体21とは、外ピース10と同じ金属材料から一連で削り出されたものである。
本体21の外周のロッド29側には、前述した外ピース10の雌ねじ13に螺合可能な雄ねじ23が形成されている。
内ピース20と外ピース10とは、ロッド29を接続部12から外ピース10の内部へ挿入し、雄ねじ23を雌ねじ13に螺合させることで一体に連結される。連結された状態では、ロッド29の先端が封止部11の内側に当接される。
この状態で、雄ねじ23と雌ねじ13とをさらに締め込むことで、封止部11および接続部12には、ロッド29を介して各々を離隔させる向きの力を加えることができる。
これにより、封止部11および接続部12を連結する被検体19には、応力付与部材であるロッド29を介して、封止部11および接続部12を離隔させる方向の軸力が付与され、被検体19に応力が付与される。
本実施形態において、被検体19に付与される応力、およびロッド29に生じる反力による応力は、それぞれ各々の材料の塑性領域に達する応力とされている。
被検体19およびロッド29の初期応力がともに塑性領域に入るようにするために、予め内ピース20の製造時に、ロッド29の断面積(主に直径)を調整しておく。ロッド29の断面積は、被検体19の断面積を基準として算出することができる。
このようにロッド29の断面積を調整しておくことで、被検体19に初期応力を付与する際に、被検体19とロッド29との間に作用する力によって、被検体19およびロッド29をともに塑性領域とすることができる。
被検体19の内周面には歪みセンサ30が設置されている。
歪みセンサ30は複数(例えば4個)が、周方向に一定間隔で配列されている。歪みセンサ30の各々には、検出信号の信号線が接続されている。信号線の各々は、封止部11の挿通孔14を通して外部に引き出され、図示しないデータ処理装置に接続されている。
〔歪み式腐食センサの製造手順〕
このような本実施形態の歪み式腐食センサ1は、次のような手順で製造される。
はじめに、歪み式腐食センサ1となる部品である外ピース10、内ピース20および歪みセンサ30を準備する。この際、内ピース20については、ロッド29の断面積を、被検体19の断面積を基準として調整しておく。
次に、外ピース10、内ピース20および歪みセンサ30を組立てて歪み式腐食センサ1とするとともに、雄ねじ23を雌ねじ13に更にねじ込み、ロッド29により被検体19に初期応力を付与してゆく。
初期応力を付与する際には、歪みセンサ30により現在の被検体19の応力を直接モニタしながら、雄ねじ23の雌ねじ13への螺合状態を操作し、被検体19が塑性領域に入ったことを確認してもよい。
一方、予め組立て試験を行う等により、被検体19が塑性領域に入ったことを示す状態量を取得しておき、他の歪み式腐食センサ1の組立て時に間接的に塑性領域を確認するようにしてもよい。
例えば、組立て試験では、外ピース10および内ピース20を螺合させ、被検体19が塑性領域に入った状態としておく。この状態で、例えば外ピース10および内ピース20の相対距離、あるいは雄ねじ23の雌ねじ13に対するねじ込み量などの状態量を検出しておく。そして、他の外ピース10および内ピース20の組立て時に、先に検出しておいた組立て試験での状態量を参照して調整することで、間接的に塑性領域に入った状態を得ることができる。
〔本実施形態の効果〕
このような本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の歪み式腐食センサ1では、被検体19を塑性領域まで歪ませておくことで、腐食測定により被検体19が腐食された際には、被検体19の応力変化に対する被検体19の歪みの変化幅を大きくすることができる。
すなわち、被検体19を弾性領域で応力付与する場合、先に図1の応力−歪み曲線で説明したように、応力変化幅dσ2=σ2−σ1に対して、歪み変化幅dε2=ε2−ε1は大きなものとはいえない。
これに対し、本実施形態では、被検体19を塑性領域で応力付与するので、図2の応力−歪み曲線に示すように、応力変化幅dσ4=σ4−σ3に対して、歪み変化幅dε4=ε4−ε3は大きく、顕著なものとすることができる。
その結果、被検体19の腐食減肉により同程度の応力変化が生じたとしても、本実施形態のように塑性領域で応力付与しておくことで、顕著な歪み変化を示すようにでき、歪み式腐食センサ1としての検出感度を高感度にすることができる。
さらに、本実施形態においては、被検体19を塑性領域まで歪ませる操作は、応力付与部材であるロッド29により被検体19に応力を付与する工程において、実施することができる。このため、従来の被腐食面の切削あるいは被腐食面のエッチング処理などの、別途の工程を導入する必要がなく、製造工程を効率化することができる。
従って、本実施形態によれば、高感度の歪み式腐食センサ1を、効率よく製造することができる。
本実施形態では、歪みセンサ30を被検体19の内面に設置したため、被検体19の歪みを直接検出することができる。このため、被検体19を塑性領域まで歪ませたことによる、歪み式腐食センサ1の検出感度の向上効果を最大限に得ることができる。
本実施形態では、応力付与部材であるロッド29により被検体19に応力を付与する際に、被検体19だけでなくロッド29についても塑性領域まで歪ませるようにしたため、歪み式腐食センサ1としての測定レンジを大きくとることができる。
すなわち、ロッド29を弾性領域で用いる場合、先に図3の応力−歪み曲線で説明したように、歪み式腐食センサ1の測定レンジは、応力0〜応力σ5までの測定レンジR5となる。
これに対し、ロッド29についても塑性領域まで歪ませることで、図4の応力−歪み曲線に示すように、歪み式腐食センサ1の測定レンジは、測定レンジR7となる。
測定レンジR7は、測定レンジR5よりも大きくでき、応力0になるまでの期間、つまり歪み式腐食センサの使用期間を拡張することができる。
〔他の実施形態〕
前述した図5の実施形態では、被検体19の初期応力付与を塑性領域とし、かつ応力付与部材であるロッド29の初期応力も塑性領域とする構成について説明した。
ただし、被検体19の初期応力付与を塑性領域としつつ、応力付与部材であるロッド29の初期応力は弾性領域で使用するとしてもよい。具体的には、被検体19の断面積に対して、ロッド29の断面積を十分に大きくしておけばよい。
前述した図5の実施形態では、歪みセンサ30を被検体19の内周面に設置していた。
これに対し、図6に示すように、歪みセンサ30はロッド29の外周面に設置してもよい。
このような配置としても、被検体19の腐食に伴う歪みによる延びを、ロッド29の延びとして間接的に検出することができる。さらに、歪みセンサ30をロッド29の外周面に設置することで、ロッド29の歪みを直接検出することができ、使用期間を延長する構成として有効である。
ただし、図5の実施形態のように、歪みセンサ30を被検体19の内周面に設置することで、被検体19の歪みを直接検出することができ、検出感度を高める構成として有効である。
前述した図5の実施形態では、歪みセンサ30からの信号線を、それぞれ封止部11の挿通孔14を通して外部へと引き出していた。また、前述した図6の実施形態では、歪みセンサ30からの信号線を、それぞれ本体21の挿通孔24を通して外部へと引き出していた。
しかし、歪みセンサ30は有線接続ではなく、無線接続としてもよく、この場合、挿通孔14,24などによる信号線の引き出しを省略することができる。
前述した図5の実施形態では、予め歪み式腐食センサ1として組立てておき、腐食測定に利用するものであった。
しかし、本発明の腐食測定方法としては、歪み式腐食センサ1の各構成を測定現場で組立て、これにより腐食測定を行うようにしてもよい。
この場合、測定現場において歪み式腐食センサ1の被検体19、ロッド29などの応力付与部材、歪みセンサ30などの各機能が構成されればよく、歪み式腐食センサ1として独立した機材が形成されることは必要ではない。
このような場合でも、被検体19に対する塑性領域までの応力付与による検出感度の向上など、前述した実施形態で説明した効果を得ることができる。
以上のように、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
本発明は、歪み式腐食センサの製造方法および歪みセンサを用いた腐食測定方法に関し、腐食環境中に曝される金属材料の腐食の進行を測定するためのセンサおよび測定方法に利用できる。
1…歪み式腐食センサ、10…外ピース、11…封止部、12…接続部、13…雌ねじ、14…挿通孔、18…被腐食面、19…被検体、20…内ピース、21…本体、23…雄ねじ、24…挿通孔、29…ロッド(応力付与部材)、30…歪みセンサ。

Claims (5)

  1. 腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを有する歪み式腐食センサの製造方法であって、
    前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与して、前記被検体を塑性領域まで歪ませることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。
  2. 請求項1に記載した歪み式腐食センサの製造方法において、
    前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与する際に、前記応力付与部材を塑性領域まで歪ませることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載した歪み式腐食センサの製造方法において、
    前記歪みセンサは前記被検体に設置されていることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載した歪み式腐食センサの製造方法において、
    前記歪みセンサは前記応力付与部材に設置されていることを特徴とする歪み式腐食センサの製造方法。
  5. 腐食環境中に暴露される被腐食面を有する被検体と、前記被検体に応力を付与する応力付与部材と、前記被検体における応力を検出する歪みセンサとを用いる腐食測定方法であって、
    前記応力付与部材により前記被検体に応力を付与して、前記被検体を塑性領域まで歪ませておき、
    前記塑性領域まで歪ませた前記被検体を腐食環境中に暴露して、前記歪みセンサで前記被検体の応力を検出することを特徴とする腐食測定方法。
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