JP2017075724A - エジェクタ式冷凍サイクル - Google Patents

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【課題】気液分離部を有するエジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、蒸発器へ確実に冷媒を流入させる。【解決手段】エジェクタ13に一体的に構成された気液分離部(気液分離空間)として、遠心分離方式のものであって、旋回中心部に分離された気相冷媒を流出させる気相出口が形成されたものを採用する。さらに、エジェクタ13の内部に旋回促進部材としての整流板を配置することによって、気液分離空間内で旋回する冷媒に作用する遠心力FCと牽引力FDが同等となるように設定する。そして、エジェクタと蒸発器の搭載位置関係によって決定される位置ヘッド差Hが、圧縮機11の吐出流量Gnが最小吐出流量Gminとなっている際の臨界ヘッド差Hrよりも小さくなるようにエジェクタ13を配置する。【選択図】図4

Description

本発明は、エジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルに関する。
従来、エジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であるエジェクタ式冷凍サイクルが知られている。この種のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器から流出した冷媒をエジェクタの冷媒吸引口から吸引し、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒をエジェクタのディフューザ部(昇圧部)にて昇圧させて圧縮機へ吸入させる。
これにより、エジェクタ式冷凍サイクルでは、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機へ吸入される吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、吸入冷媒の圧力を上昇させることができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクルでは、通常の冷凍サイクル装置よりも圧縮機の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)の向上を狙うことができる。
さらに、特許文献1には、ディフューザ部から流出した冷媒の気液を分離する気液分離部が一体的に構成された気液分離機能付きエジェクタ(エジェクタモジュール)が開示されている。
この特許文献1のエジェクタによれば、気液分離部にて分離された気相冷媒を流出させる気相出口の下流側に圧縮機の吸入口側を接続し、気液分離部にて分離された液相冷媒を流出させる液相出口の下流側に蒸発器の冷媒流入口側を接続し、さらに、冷媒吸引口に蒸発器の冷媒流出口側を接続することによって、極めて容易にエジェクタ式冷凍サイクルを構成することができる。
特開2013−177879号公報
ところが、特許文献1のように、気液分離部が一体的に構成されたエジェクタでは、エジェクタが蒸発器よりも下方側に配置されていると、ヘッド差によって気液分離部にて分離された液相冷媒を蒸発器へ流入させることができなくなってしまうおそれがある。
さらに、分離された液相冷媒を蒸発器へ流入させることができなくなってしまうと、エジェクタ式冷凍サイクルが冷凍能力を発揮できなくなってしまうだけでなく、分離された液相冷媒が気相出口から圧縮機の吸入口側へ流出してしまい、圧縮機の液圧縮の問題を生じさせてしまうおそれもある。
これに対して、エジェクタを蒸発器よりも上方側に配置する手段が考えられる。しかしながら、搭載上の制約からエジェクタを蒸発器よりも上方側に配置することができないこともある。
さらに、エジェクタを蒸発器よりも下方側に配置する場合は、蒸発器へ確実に冷媒を流入させることが可能な搭載位置を決定することは難しい。その理由は、蒸発器へ確実に冷媒を流入させることが可能なエジェクタの搭載位置は、気液分離部の方式やエジェクタ式冷凍サイクルの負荷変動等によって変化するからである。
本発明は、上記点に鑑み、気液分離部を有するエジェクタを備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、蒸発器へ確実に冷媒を流入させることを目的とする。
本発明は、以下の解析的知見に基づいて案出されたものである。まず、本発明者らは、従来技術のエジェクタでは、遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する遠心分離方式の気液分離部が採用されていることに着眼した。
より具体的には、従来技術の気液分離部では、図9に示すように、略円柱状の気液分離空間(30f)内で、冷媒を中心軸周りに旋回させる。そして、気液分離空間(30f)の旋回中心側に配置された気相出口(30h)から分離された気相冷媒を流出させるとともに、気液分離空間(30f)の外周側に配置された液相出口(30g)から分離された液相冷媒を流出させている。
このため、図9の黒点で示す気液分離空間(30f)内で旋回する微細な液相冷媒の粒(以下、液滴と記載する。)には、中心軸側から外周側へ作用する力として遠心力(FC)が作用する。さらに、気相出口(30h)の下流側には、圧縮機(11)の吸入口側が接続されているので、液滴には、外周側から中心軸側へ作用する力として牽引力(FD)が作用する。
なお、図9は、エジェクタ(13)のボデー部(30)内部に形成された気液分離空間(30f)の軸方向垂直断面図、およびその一部拡大図を用いた説明図であり、後述する実施形態で説明する図3のIX−IX断面に対応する断面図である。
ここで、遠心力FCが牽引力FDよりも大きくなっている場合は、良好な気液分離を期待できるものの、遠心力FCが大きくなるに伴って、旋回速度も速くなるので、冷媒が気液分離部内を旋回する際に生じる圧力損失が増加してしまう。
一方、牽引力FDが遠心力FCよりも大きくなっている場合は、気液分離性能の低下を招くだけでなく、大量の液滴が気相出口(30h)から流出して、圧縮機の液圧縮の問題を生じさせてしまうおそれもある。従って、遠心力FCおよび牽引力FDは、同等となるように設定されることが望ましい。
次に、遠心力FCは、以下数式1で表すことができる。また、牽引力FDは、以下数式2で表すことができる。
ここで、Nは、液滴数(単一液滴では、N=1)である。DLは、液滴の直径である。ρLは、液相冷媒の密度である、Vθは、液滴の旋回速度(周方向の速度)である。rは、液滴の旋回半径である。従って、最内周側で旋回する液滴の旋回半径rは、気相出口(30h)の開口半径rout(図7参照)に等しい。
ここで、CDは、抵抗係数であり、以下数式3で定義される。ρgは、気相冷媒の密度である。Vgは、気相出口(30h)から圧縮機の吸入側へ吸入される気相冷媒の流速であり、圧縮機の吐出流量Gn(質量流量)によって決定される。VLは、気相出口(30h)から圧縮機の吸入側へ流出する液滴の流速であり、遠心力FCと牽引力FDが等しければ、VL=0である。
ここで、ReLは、気液分離空間(30f)内の液相冷媒のレイノルズ数であり、以下数式4で定義される。
ここで、νgは、気相冷媒の動粘性係数である。
上述した数式1〜F4によれば、遠心力FCおよび牽引力FDが、互いに同等となるように設定されると、液滴の旋回速度Vθは、圧縮機へ吸引される気相冷媒の流速Vgによって表すことができることが判る。さらに、圧縮機へ吸引される気相冷媒の流速Vgと、圧縮機の吐出流量Gnとの関係は、以下数式5で表される。
ここで、Arは、気相出口(30h)の有効通路面積である。従って、液滴の旋回速度Vθは、圧縮機の吐出流量Gnで表すことができる。
また、旋回する液滴が有する遠心力の速度エネルギによって、液相冷媒を鉛直方向上方側へ持ち上げることができる高さに対応する臨界ヘッド差Hrは、以下数式6で表すことができる。
ここで、gは、重力加速度である。
数式6によれば、臨界ヘッド差Hrは、液滴の旋回速度Vθによって決定される。つまり、従来技術のように、気液分離部(30f)として遠心分離方式のものが採用されており、さらに、気相出口(30h)が気液分離部内の旋回中心側に配置されるエジェクタ(13)では、臨界ヘッド差Hrを、圧縮機の吐出流量Gnを用いて決定することができる。
そして、蒸発器(14)に対するエジェクタ(13)の取付位置によって決定される実際の位置ヘッド差Hが臨界ヘッド差Hrより小さくなるようにエジェクタ(13)を配置することで、気液分離部(30f)にて分離された液相冷媒を確実に蒸発器(14)へ流入させることができる。
そこで、請求項1に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器から流出した冷媒を減圧させるノズル部(13a)、並びに、ノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引する冷媒吸引口(31b)、噴射冷媒と冷媒吸引口から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部(13c)、および昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する気液分離部(30f)が形成されたボデー部(30)を有するエジェクタ(13)と、気液分離部にて分離された液相冷媒を蒸発させる蒸発器(14)と、を備え、
気液分離部は、冷媒を旋回させた際の遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する遠心分離方式のものであり、
ボデー部には、気液分離部にて分離された液相冷媒を気液分離部から流出させる液相出口(30g)、および気液分離部にて分離された気相冷媒を気液分離部から流出させる気相出口(30h)が形成されており、気相出口は、気液分離部の旋回中心側に配置されており、気相出口の下流側には、圧縮機の吸入口側が接続されており、
気液分離部内の液相冷媒の粒が旋回することによって、液相冷媒の粒に気液分離部の旋回中心側から外周側へ向かう方向に作用する力を遠心力(FC)と定義し、気液分離部内の気相冷媒が気相出口を介して圧縮機へ吸引されることによって、液相冷媒の粒に気液分離部の外周側から中心側へ向かう方向に作用する力を牽引力(FD)と定義したときに、
FC=FD
となるように設定されており、
さらに、液相出口から蒸発器を介して冷媒吸引口へ至る冷媒経路(15)のうち、最高部位と最低部位との高低差によって生じるヘッド差を位置ヘッド差(H)と定義し、圧縮機の吐出流量(Gn)が圧縮機の実使用範囲における最小吐出流量(Gmin)となっている際に、液相冷媒を鉛直方向上方側に持ち上げることが可能な高さに対応するヘッド差を臨界ヘッド差(Hr)と定義したときに、
Hr>H
となっているエジェクタ式冷凍サイクルを特徴としている。
これによれば、位置ヘッド差(H)が臨界ヘッド差(Hr)よりも小さくなっているので、エジェクタ(13)を備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、負荷変動によって圧縮機(11)の吐出流量(Gn)が変化しても、蒸発器(14)へ確実に冷媒を流入させることができる。
ここで、本請求項における「FC=FD となるように設定されており」とは、遠心力(FC)と牽引力(FD)が完全に一致するように設定されているという意味に限定されない。つまり、気液分離部(30f)における気液分離性能を不必要に悪化させることがなく、かつ、気液分離部(30f)内で生じる圧力損失を不必要に増加させない範囲であれば、遠心力(FC)と牽引力(FD)が完全に一致せず、僅かに異なっていることも含まれる意味である。
さらに、遠心力(FC)と牽引力(FD)と一致させるために、エジェクタ(13)は、気液分離部(30f)へ流入する冷媒の旋回流れを促進することによって遠心力(FC)を調整する旋回促進部材(38)を有していても良いし、気相出口(30h)の有効冷媒通路断面積を調整することによって牽引力(FD)を調整する面積調整部材(39)を有していても良い。
また、本請求項における「圧縮機(11)の実使用範囲」とは、エジェクタ式冷凍サイクル(10)に想定される負荷変動の範囲において、圧縮機(11)が安定的に吐出する必要のある吐出流量(Gn)の範囲を意味している。従って、圧縮機(11)の起動直後の過渡時のように、吐出流量(Gn)が不安定となる範囲は含まれない。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの模式的な全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第1実施形態のエジェクタの各冷媒通路等を説明するための模式的な断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの車両への搭載態様を説明するための説明図である。 第1実施形態の圧縮機の吐出流量と臨界ヘッド差との関係を示すグラフである。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第2実施形態のエジェクタの各冷媒通路等を説明するための模式的な断面図である。 第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの車両への搭載態様を説明するための説明図である。 液滴に作用する力を説明するための説明図である。
(第1実施形態)
図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。図1の全体構成図に示す本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内(室内空間)へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。圧縮機11は、車両走行用の駆動力を出力するエンジン(内燃機関)とともにエンジンルーム内に配置されている。さらに、圧縮機11は、プーリ、ベルト等を介してエンジンから出力される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機である。
より具体的には、本実施形態では、圧縮機11として、吐出容量を変化させることによって冷媒吐出能力を調整可能に構成された斜板式の可変容量型圧縮機を採用している。この圧縮機11では、吐出容量を変化させるための図示しない吐出容量制御弁を有している。吐出容量制御弁は、後述する制御装置から出力される制御電流によって、その作動が制御される。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。放熱器12は、エンジンルーム内の車両前方側に配置されている。
より具体的には、本実施形態の放熱器12は、凝縮部12a、レシーバ部12b、および過冷却部12cを有する、いわゆるサブクール型の凝縮器である。
凝縮部12aは、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮用の熱交換部である。レシーバ部12bは、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える冷媒容器である。過冷却部12cは、レシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風される外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却用の熱交換部である。
冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。放熱器12の過冷却部12cの冷媒流出口には、エジェクタ13の冷媒流入口31aが接続されている。
エジェクタ13は、放熱器12から流出した過冷却状態の高圧液相冷媒を減圧させて噴射し、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって後述する蒸発器14から流出した冷媒(すなわち、蒸発器14出口側冷媒)を吸引し、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて昇圧させる機能を果たすものである。
さらに、本実施形態のエジェクタ13は、昇圧させた混合冷媒の気液を分離する気液分離機能を有している。つまり、本実施形態のエジェクタ13は、気液分離部を一体化(モジュール化)させた気液分離機能付きエジェクタ(エジェクタモジュール)として構成されている。
エジェクタ13の具体的構成については、図2〜図5を用いて説明する。なお、図2〜図4における上下の各矢印は、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に搭載した状態における上下の各方向を示している。また、図3は、エジェクタ13の各冷媒通路の機能等を説明するための模式的な拡大断面図であって、図2と同一の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
本実施形態のエジェクタ13は、図2に示すように、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー部30を備えている。ボデー部30は、エジェクタ13の外殻を形成するハウジングボデー31を有している。ハウジングボデー31は、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の角柱状部材あるいは円柱状部材で形成されている。ハウジングボデー31は、樹脂にて形成されていてもよい。
さらに、ハウジングボデー31の内部には、略円柱状の空間が形成されている。そして、この空間内部に、ノズルボデー32、ディフューザボデー33、ロワーボデー34が固定されていることによって、ボデー部30が構成されている。
ハウジングボデー31には、冷媒流入口31a、冷媒吸引口31b、液相冷媒流出口31c、気相冷媒流出口31dといった複数の冷媒流入出口が形成されている。
冷媒流入口31aは、放熱器12から流出した冷媒を流入させる冷媒流入口である。冷媒吸引口31bは、後述する蒸発器14から流出した冷媒を吸引する冷媒流入口である。液相冷媒流出口31cは、ボデー部30の内部に形成された気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14の冷媒入口側へ流出させる冷媒流出口である。気相冷媒流出口31dは、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させる冷媒流出口である。
ノズルボデー32は、冷媒流れ方向に向かって先細る形状の金属製(本実施形態では、ステンレス製)の円筒状部材で形成されている。ノズルボデー32は、ハウジングボデー31の内部に圧入等の手段によって固定されている。ノズルボデー32の中心軸は、鉛直方向に延びて、後述する通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
ノズルボデー32の上方側とハウジングボデー31との間には、冷媒流入口31aから流入した冷媒を旋回させる旋回空間30aが形成されている。旋回空間30aは、回転体形状に形成され、旋回空間30aの中心軸も、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)の周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間30aは、略円柱状に形成されている。もちろん、円錐あるいは円錐台と円柱とを結合させた形状等に形成されていてもよい。
冷媒流入口31aと旋回空間30aとを接続する冷媒流入通路31eは、旋回空間30aの中心軸方向から見たときに、旋回空間30aの外周側壁面の接線方向に延びている。このため、冷媒流入通路31eから旋回空間30aへ流入した冷媒は、旋回空間30aの外周側の壁面に沿って流れ、旋回空間30a内を中心軸周りに旋回する。
ここで、旋回空間30a内で旋回する冷媒には遠心力が作用するので、旋回空間30a内では中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させるようにしている。
このような旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力の調整は、旋回空間30a内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することによって実現することができる。さらに、旋回流速の調整は、例えば、冷媒流入通路31eの通路断面積と旋回空間30aの軸方向垂直断面積との面積比を調整すること等によって行うことができる。なお、本実施形態の旋回流速とは、旋回空間30aの最外周部近傍における冷媒の旋回方向の流速を意味している。
ノズルボデー32の内部には、旋回空間30aから流出した冷媒を減圧させて下流側へ流出させる減圧用空間30bが形成されている。この減圧用空間30bは、円柱状空間とこの円柱状空間の下方側から連続して冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる円錐台形状空間とを結合させた回転体形状に形成されている。さらに、減圧用空間30bの中心軸は、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
減圧用空間30bの内部には、通路形成部材35の頂部側が配置されている。通路形成部材35は、ボデー部30の内部に冷媒通路を形成するとともに、中心軸CL方向に変位することによって、冷媒通路の通路断面積を変化させる機能を果たすものである。通路形成部材35は、樹脂製の円錐状部材で形成されている。より詳細には、通路形成部材35は、減圧用空間30bから離れるに伴って(すなわち、冷媒流れ下流側へ向かって)、外径が徐々に拡大する略円錐形状に形成されている。
ノズルボデー32の減圧用空間30bを形成する部位の内周面と通路形成部材35の頂部側(すなわち、鉛直方向上方側)の外周面との間に形成される冷媒通路としては、図3に示すように、先細部131および末広部132が形成される。
先細部131は、通路断面積が最も縮小した最小通路面積部30mよりも冷媒流れ上流側に形成されて、最小通路面積部30mに至るまでの通路断面積が徐々に縮小する冷媒通路である。末広部132は、最小通路面積部30mから冷媒流れ下流側に形成されて、通路断面積が徐々に拡大する冷媒通路である。
先細部131の下流側および末広部132では、中心軸CLに垂直な方向から見たときに減圧用空間30bと通路形成部材35が重合(オーバーラップ)しているので、冷媒通路の軸方向垂直断面の形状が円環状(すなわち、円形状から同軸上に配置された小径の円形状を除いたドーナツ形状)となる。さらに、末広部132における通路断面積は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。
本実施形態では、このように冷媒通路の通路断面積を変化させることによって、減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の頂部側の外周面との間に形成される冷媒通路を、ラバールノズルとして機能するノズル通路(ノズル部)13aとしている。そして、このノズル通路13aにて、冷媒を減圧させるとともに、冷媒の流速が超音速(すなわち、二相音速よりも速い流速)となるように増速させて噴射している。
ディフューザボデー33は、図2に示すように、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の略円筒状部材で形成されている。ディフューザボデー33は、外周側がハウジングボデー31の内部に圧入されることによって、ハウジングボデー31内のノズルボデー32の下方側に固定されている。
なお、ディフューザボデー33の外周側とハウジングボデー31との間には、図示しないシール部材としてのO−リングが配置されており、これらの部材の隙間から冷媒が漏れることはない。
ディフューザボデー33の中心部には、図2に示すように、その表裏(上下)を貫通する回転体形状の貫通穴33aが形成されている。さらに、ディフューザボデー33の上面(ノズルボデー32側の面)には、後述する駆動機構37を構成する円環状の溝部33bが形成されている。
貫通穴33aおよび溝部33bは、ディフューザボデー33がハウジングボデー31に固定された際に、貫通穴33aおよび溝部33bの中心軸が通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されるように形成されている。
ディフューザボデー33の上面とこれに対向するハウジングボデー31の内壁面(底面)との間には、冷媒吸引口31bから流入した冷媒を滞留させる吸引空間30cが形成されている。本実施形態では、ノズルボデー32の下方側の先端部がディフューザボデー33の貫通穴33aの内部に位置付けられるため、吸引空間30cは、中心軸CL方向から見たときに、断面円環状に形成される。
ディフューザボデー33の貫通穴33aのうち、ノズルボデー32の下方側の先細先端部が挿入される範囲、すなわち軸線に垂直な径方向から見たときにディフューザボデー33とノズルボデー32が重合する範囲では、吸引空間30cと減圧用空間30bの冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路30dが形成されている。
この吸引通路30dも、旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸方向からみたときに、断面円環状に形成されている。このため、吸引用通路13bの冷媒出口(具体的には、吸引通路30dの冷媒出口)は、ノズル通路13aの冷媒出口(冷媒噴射口)の外周側に、円環状に開口している。
つまり、本実施形態では、冷媒吸引口31bと吸引空間30cとを接続する吸引冷媒流入通路、吸引空間30c、および吸引通路30dによって、外部から冷媒を吸引する吸引用通路13bが形成されている。さらに、吸引用通路13bの冷媒流れ最下流部の形状は、冷媒流れ下流側へ向かって、通路断面積が徐々に縮小する形状となっている。
ディフューザボデー33の貫通穴33aのうち、吸引通路30dの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間30eが形成されている。昇圧用空間30eは、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒、および吸引用通路13bを介して吸引された吸引冷媒を流入させる空間である。昇圧用空間30eの中心軸は、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。
昇圧用空間30eの内部には、通路形成部材35の下方側が配置されている。さらに、ディフューザボデー33の昇圧用空間30eを形成する部位の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒流れ下流側に向かって通路断面積を徐々に拡大させる形状に形成されている。これにより、この冷媒通路では、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換することができる。
従って、昇圧用空間30eを形成するディフューザボデー33の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、図3に示すように、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザ(昇圧部)として機能するディフューザ通路13cを形成している。このディフューザ通路13cも、吸引用通路13b等と同様に、断面円環状に形成されている。
通路形成部材35のディフューザ通路13cの出口側を形成する部位には、気液分離空間30fへ流入する冷媒の中心軸CL周りの旋回流れを促進する旋回促進部材である複数の整流板38が配置されている。
より具体的には、整流板38は、通路形成部材35の中心軸CL方向に広がる樹脂製の板状部材であって、通路形成部材35と一体的に成形されている。複数の整流板38は、それぞれ旋回流れ方向に沿って湾曲あるいは傾斜した形状に形成されており、中心軸CL周りに等角度間隔で円環状に配置されている。なお、整流板38の形状、数量、および配置等を決定については、後述する。
次に、通路形成部材35を中心軸CL方向へ変位させる駆動機構37について説明する。本実施形態の駆動機構37は、ディフューザボデー33の溝部33bに配置されている。より具体的には、駆動機構37は、ダイヤフラム371、蓋部材372等を有している。ダイヤフラム371、蓋部材372は、中心軸CL方向から見たときに、いずれも溝部33bと重合する程度の大きさの円環状に形成されている。
ダイヤフラム371は、円環薄板状に形成されており、溝部33bの内部空間を上下の2つの空間に仕切るように、その内周側と外周側が溝部33b内に固定されている。
ダイヤフラム371によって仕切られた2つの空間のうち上方側(吸引空間30c側)の空間は、蒸発器14出口側冷媒の温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入される封入空間37aである。封入空間37aには、エジェクタ式冷凍サイクル10を循環する冷媒と同等の組成の感温媒体が予め定めた密度となるように封入されている。従って、本実施形態における感温媒体は、R134aを主成分とする媒体である。
封入空間37aの上方側(すなわち、溝部33bの開口部)は、蓋部材372によって密閉されている。従って、蓋部材372は、ダイヤフラム371および溝部33bとともに、封入空間37aを形成する封入空間形成部材である。
一方、ダイヤフラム371によって仕切られた2つの空間のうち下方側の空間は、図示しない連通路を介して、蒸発器14出口側冷媒を導入させる導入空間37bを構成している。従って、封入空間37aに封入された感温媒体には、吸引空間30cと封入空間37aとを仕切る蓋部材372およびダイヤフラム371を介して、蒸発器14出口側冷媒の温度が伝達される。
ダイヤフラム371は、封入空間37aの内圧と導入空間37bへ流入した蒸発器14出口側冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材である。このため、ダイヤフラム371は弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、強靱な材質にて形成することが好ましい。そこで、本実施形態では、耐圧性およびシール性に優れる基布入りEPDM(エチレンプロピレンジエン共重合ゴム)等のゴム製のものを採用している。
ダイヤフラム371の下方側の面(導入空間37b側の面)には、複数(本実施形態では、3本)の円柱状の作動棒373の一端側端部(上方側端部)が接合されている。作動棒373は、駆動機構37から通路形成部材35へ、通路形成部材35を変位させるための駆動力を伝達するものである。作動棒373の他端側端部(下方側端部)は、通路形成部材35の最下方側(底部)の外周側に固定されている。
また、図2に示すように、通路形成部材35の底面は、コイルバネ40の荷重を受けている。コイルバネ40は、通路形成部材35に対して、上方側(通路形成部材35が最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小する側)に付勢する荷重を加える弾性部材である。従って、通路形成部材35は、作動棒373から受ける荷重とコイルバネ40から受ける荷重が釣り合うように変位する。
より具体的には、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が上昇すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が上昇し、封入空間37aの内圧から導入空間37bの圧力を差し引いた差圧が大きくなる。これにより、ダイヤフラム371が導入空間37b側へ変位して、通路形成部材35が作動棒373から受ける荷重が増加する。
このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が上昇すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる方向(鉛直方向下方側)に変位する。
一方、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が低下すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が低下して、封入空間37aの内圧から導入空間37bの圧力を差し引いた差圧が小さくなる。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37a側へ変位して、通路形成部材35が作動棒373から受ける荷重が減少する。
このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が低下すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる方向(鉛直方向上方側)に変位する。
本実施形態の駆動機構37では、このように蒸発器14出口側冷媒の過熱度SHに応じてダイヤフラム371が通路形成部材35を変位させることによって、蒸発器14出口側冷媒の過熱度SHが予め定めた基準過熱度KSHに近づくように、最小通路面積部30mにおける通路断面積を調整している。この基準過熱度KSHは、コイルバネ40の荷重を調整することによって変更することもできる。
なお、作動棒373とディフューザボデー33との隙間は、図示しないO−リング等のシール部材によってシールされており、作動棒373が変位してもこの隙間から冷媒が漏れることはない。また、複数の作動棒373は、ダイヤフラム371の変位を全周に亘って均等に通路形成部材35へ伝達するために、中心軸CL周りに等角度間隔で配置されていることが望ましい。
次に、ロワーボデー34は、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の略円柱状部材で形成されており、ハウジングボデー31の底面側の開口部を閉塞するように、ハウジングボデー31内にネジ止め等の手段によって固定されている。ロワーボデー34の上方側とディフューザボデー33との間には、ディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離部としての気液分離空間30fが形成されている。
気液分離空間30fは、略円柱状の回転体形状の空間として形成されており、気液分離空間30fの中心軸も、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。この気液分離空間30fでは、ディフューザ通路13cから流出した冷媒を中心軸周りに旋回させ、遠心力の作用によって冷媒の気液を分離している。
気液分離空間30fの内容積は、サイクルに負荷変動が生じてサイクルを循環する冷媒循環流量が変動しても、実質的に余剰冷媒を溜めることができない程度の容積になっている。このため、気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、パイプ34aの外周側に一時的に滞留して、気液分離空間30fの外周側に形成された液相出口30gから流出する。
気液分離空間30fから液相冷媒を流出させる液相出口30gは、分離された液相冷媒が気液分離空間30fの外周の接線方向の速度成分を含んで流出するように形成されている。さらに、液相出口30gと液相冷媒流出口31cとを接続する液相冷媒流出通路31fは、気液分離空間30fの外周の接線方向に延びるように形成されている。
ロワーボデー34の中心部には、気液分離空間30fに対して同軸上に配置されて、上方側へ向かって延びる円筒状のパイプ34aが設けられている。パイプ34aの上端部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を、気液分離空間30fから流出させる気相出口30hが形成されている。従って、本実施形態の気相出口30hは、気液分離空間30fの旋回中心側に配置されている。
パイプ34aの内部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を気相冷媒流出口31dへ導く気相冷媒流出通路34bが形成されている。パイプ34aの上端部には、前述したコイルバネ40が固定されている。このコイルバネ40は、冷媒が減圧される際の圧力脈動に起因する通路形成部材35の振動を減衰させる振動緩衝部材としての機能も果たしている。
さらに、ロワーボデー34の気液分離空間30fの底面を形成する部位には、液相冷媒中の冷凍機油を気相冷媒流出通路34bを介して圧縮機11内へ戻すオイル戻し穴34cが形成されている。
また、図1に示すように、エジェクタ13の液相冷媒流出口31cには、流入配管15aおよびコネクタ51を介して、室内空間に配置された蒸発器14の冷媒入口側が接続されている。蒸発器14は、エジェクタ13にて減圧された低圧冷媒と送風ファン14aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
送風ファン14aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器14の冷媒出口側には、コネクタ51および流出配管15bを介してエジェクタ13の冷媒吸引口31bが接続されている。さらに、エジェクタ13の気相冷媒流出口31dには圧縮機11の吸入側が接続されている。
ここで、流入配管15aには、主にエジェクタ13から流出した液相冷媒が流通し、流出配管15bには、主に蒸発器14にて蒸発した気相冷媒を流通する。このため、流出配管15bでは、流入配管15aよりも冷媒の圧力損失が生じ易い。そこで、本実施形態では、流出配管15bの配管径を流入配管15aの配管径よりも大きく設定している。
これにより、本実施形態では、冷媒がエジェクタ13の液相出口30gから蒸発器14を介して冷媒吸引口31bへ至る冷媒経路15を流通する際に生じる圧力損失を低減させている。
次に、図4を用いて、車両に対するエジェクタ式冷凍サイクル10の搭載態様を説明する。図4に示すように、この車両には、車室外であるエンジンルームと車室内とを仕切る仕切板としてのファイアウォール50が設けられている。ファイアウォール50は、エンジンルーム内から車室内へ伝達される熱、音等を低減する機能を有しており、ダッシュパネルと呼ばれることもある。
コネクタ51は、エジェクタ13と蒸発器14とをファイアウォール50を貫通させて接続するための専用の接続継手である。図4に示すように、蒸発器14は車室内(室内空間)に配置され、エジェクタ13は、エンジンルーム内に配置され、さらに、エジェクタ13は、蒸発器14よりも下方側に配置されている。
このため、エジェクタ13の液相冷媒流出口31cから流出した冷媒を確実に蒸発器14へ流入させるためには、液相冷媒流出口31cから流出する冷媒が、位置ヘッド差Hよりも大きな動圧エネルギ(動的エネルギ)を有している必要がある。
位置ヘッド差Hは、エジェクタ13と蒸発器14との搭載位置によって決定される。すなわち、位置ヘッド差Hは、上述した冷媒経路15のうち鉛直方向の最高部位と最低部位との高低差によって決定される。そこで、本実施形態では、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように、すなわち、FC=FD となるように、整流板38の形状、数量、および配置等を決定している。
ここで、遠心力FCは、気液分離空間30f内の液相冷媒の粒(液滴)が旋回することによって、液滴に中心側から外周側へ向かう方向に作用する力である。牽引力FDは、圧縮機11が気相出口30hを介して気相冷媒を吸引することによって、液滴に外周側から中心側へ向かう方向に作用する力である。
さらに、圧縮機11の吐出流量Gnが最小吐出流量Gminとなっている際に、気液分離空間30fから流出した液相冷媒を鉛直方向上方側に持ち上げることが可能な高さに対応するヘッド差を臨界ヘッド差Hrと定義したときに、Hr>H を満足する範囲に、エジェクタ13を配置している。
また、本実施形態では、最小吐出流量Gminとして、圧縮機11の耐久性から決定される最大吐出流量Gmaxの5%の流量を採用している。ここで、一般的な圧縮機の実使用範囲は、図5に示すように、耐久性から決定される最大吐出流量Gmaxの5%以上、かつ、95%以下の吐出流量Gnの範囲に設定される。その理由は、当該範囲では、圧縮機の吐出流量Gn(すなわち、冷媒吐出能力)が安定しているからである。
より具体的には、本実施形態の圧縮機11では最小吐出流量Gminが、概ね20kg/hとなり、最小吐出流量Gminとなっている際の臨界ヘッド差Hrは、概ね0.5mとなる。
次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。そして、上述の各種電気式のアクチュエータ11、12d、14a等の作動を制御する。
また、制御装置には、内気温センサ、外気温センサ、日射センサ、蒸発器温度センサ、出口側温度センサ、出口側圧力センサ等の複数の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
より具体的には、内気温センサは、車室内温度を検出する内気温検出装置である。外気温センサは、外気温を検出する外気温検出装置である。日射センサは、車室内の日射量を検出する日射量検出装置である。蒸発器温度センサは、蒸発器14の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度検出装置である。出口側温度センサは、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度検出装置である。出口側圧力センサは、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力検出装置である。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御部を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の吐出容量制御弁の作動を制御する構成が吐出能力制御部を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図6のモリエル線図を用いて説明する。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の吐出容量制御弁、冷却ファン12d、送風ファン14a等を作動させる。そして、エンジンから出力される回転駆動力が圧縮機11に伝達されると、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図6のa点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入し、冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて凝縮した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図6のa点→b点)。
放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、エジェクタ13の減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の外周面との間に形成されるノズル通路13aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される(図6のb点→c点)。この際、減圧用空間30bの最小通路面積部30mにおける通路断面積は、蒸発器14出口側冷媒(図6のh点)の過熱度が予め定めた基準過熱度KSHに近づくように調整される。
そして、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒(図6のh点)が、冷媒吸引口31bから吸引される。ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口31bから吸引された吸引冷媒は、ディフューザ通路13cへ流入して合流する(図6のc点→d点、h1点→d点)。
ここで、本実施形態の吸引用通路13bの最下流部(具体的には、吸引通路30dの最下流部)は、冷媒流れ方向に向かって通路断面積が徐々に縮小する形状に形成されている。このため、吸引用通路13bを通過する吸引冷媒は、その圧力を低下させながら(図6のh点→h1点)、流速を増加させる。
これにより、吸引冷媒と噴射冷媒との速度差を縮小させ、ディフューザ通路13cにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ通路13cでは冷媒通路断面積の拡大により、冷媒の運動エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒が混合されながら混合冷媒の圧力が上昇する(図6のd点→e点)。ディフューザ通路13cから流出した冷媒は気液分離空間30fにて気液分離される(図6のe点→f点、e点→g点)。
気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、蒸発器14へ流入する際のヘッド差によって圧力低下して(図6のg点→g1点)、蒸発器14へ流入する。蒸発器14へ流入した冷媒は、送風ファン14aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図6のg1点→h点)。これにより、送風空気が冷却される。
一方、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒は気相冷媒流出口31dから流出して、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図6のf点→a点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ通路13cにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、旋回空間30aにて冷媒を旋回させることで、旋回空間30a内の旋回中心側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させることができる。これにより、旋回中心軸の外周側よりも内周側に気相冷媒が多く存在するようにして、旋回空間30a内の旋回中心線近傍はガス単相、その周りは液単相の二相分離状態とすることができる。
このように二相分離状態となった冷媒がノズル通路13aへ流入することで、ノズル通路13aの先細部131では、円環状の冷媒通路の外周側壁面から冷媒が剥離する際に生じる壁面沸騰および円環状の冷媒通路の中心軸側の冷媒のキャビテーションによって生じた沸騰核による界面沸騰によって冷媒の沸騰が促進される。これにより、ノズル通路13aの最小通路面積部30mへ流入する冷媒が、気相と液相が均質に混合した気液混合状態となる。
そして、最小通路面積部30mの近傍で気液混合状態の冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングによって音速に到達した気液混合状態の冷媒が末広部132にて加速されて噴射される。このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって、気液混合状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路13aにおけるエネルギ変換効率を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、駆動機構37を備えているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて通路形成部材35を変位させて、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路断面積)、およびディフューザ通路13cの通路断面積を調整することができる。これにより、サイクルを循環する冷媒の循環流量に応じて、最小通路面積部30mにおける通路断面積等を適切に変化させて、エジェクタ13を適切に作動させることができる。
ところで、本実施形態のように、気液分離部(気液分離空間30f)が一体的に構成されたエジェクタ13が、蒸発器14よりも鉛直方向下方側に配置されるエジェクタ式冷凍サイクル10では、位置ヘッド差Hによって気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14へ流入させることができなくなってしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態では、気液分離部として、遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する遠心分離方式のものであって、さらに、気液分離空間30fから圧縮機11の吸入口側へ気相冷媒を流出させる気相出口30hが、旋回中心側に配置されたエジェクタ13を採用している。
従って、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように設定することで、圧縮機11の最小吐出流量Gminを用いて、臨界ヘッド差Hrを算定することができる。そこで、本実施形態では、整流板38の形状、数量、および配置等を調整することによって、遠心力FCが牽引力FDと同等となるように設定している。
さらに、本実施形態では、エジェクタ13を車両に搭載する際に、実際の位置ヘッド差Hが臨界ヘッド差Hrよりも小さくなるように搭載しているので、負荷変動等によって圧縮機11の吐出流量Gnが変化しても、蒸発器14へ確実に冷媒を流入させることができる。その結果、エジェクタ式冷凍サイクル10に確実に冷凍能力を発揮させることができるとともに、圧縮機11の液圧縮の問題が生じてしまうことも回避できる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、旋回促進部材としての整流板38を有しているので、液滴に作用する遠心力FCを調整することができる。従って、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように容易に設定することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、中心軸CL方向から見たときに、液相冷媒が気液分離空間30fの外周の接線方向の速度成分を含んで流出するように、液相出口30gが形成されている。これによれば、液相冷媒が気液分離空間30fから流出する際のエネルギ損失を抑制することができるので、より一層確実に、冷媒を蒸発器14へ流入させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、気液分離空間30f内の液滴に作用する牽引力FDを調整することによって、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように設定した例を説明する。具体的には、本実施形態では、図7に示すように、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように、パイプ34aの開口半径routや高さを決定している。従って、本実施形態のパイプ34aは、気相出口30hの有効通路面積Arを調整する面積調整部材である。
なお、図7は、第1実施形態で説明した図3に対応する図面であって、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
より詳細には、気相出口30hの有効通路面積Arは、図7の網掛けハッチングで示す円柱状領域の筒状側面の面積であり、以下数式7によって算出される。
ここで、hは、図7に示すを気相冷媒吸込高さである。
上述の数式7によれば、圧縮機11へ吸引される気相冷媒の流速Vgは、有効通路面積Arによって変化する。このため、有効通路面積Arを調整することによって、牽引力FDと遠心力FCが同等となるように設定することができる。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、第1実施形態と同様に、COPを向上させることができる。さらに、負荷変動等によって圧縮機11の吐出流量Gnが変化しても、蒸発器14へ確実に冷媒を流入させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、面積調整部材としてのパイプ34aを有しているので、液滴に作用する牽引力FDを調整することができる。従って、牽引力FDと遠心力FCが同等となるように容易に設定することができる。
また、本実施形態では、図7に図示したように、牽引力FDを調整するためにパイプ34aをロワーボデー34に対して別部材として形成しているが、予め試験的、実験的に求めた所望の牽引力FDが得られるように設定されたパイプ34aを、ロワーボデー34に一体的に形成してもよい。
(第3実施形態)
本実施形態では、図8の説明図に示すように、いわゆるデュアルタイプの車両用空調装置に適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10aについて説明する。デュアルタイプの車両用空調装置とは、主に車両前席側へ送風される前席側送風空気の温度調整を行う前席側室内空調ユニットと、主に車両後席側へ送風される後席側送風空気の温度調整を行う後席側室内空調ユニットと、を備える車両用空調装置である。
このため、エジェクタ式冷凍サイクル10aは、前席側送風空気を冷却する蒸発器14、蒸発器14側へ低圧液相冷媒を流出させるエジェクタ13、後席側送風空気を冷却する後席用蒸発器24、後席用蒸発器24側へ低圧液相冷媒を流出させる後席用エジェクタ23等を備えている。
なお、エジェクタ13および蒸発器14は第1実施形態と同様の構成のものであるが、本実施形態では説明の明確化のため、それぞれ前席用エジェクタ13および前席用蒸発器14と記載する。また、後席用エジェクタ23および後席用蒸発器24の基本的構成は、それぞれ前席用エジェクタ13および前席用蒸発器14と同様である。
本実施形態の放熱器12の冷媒流出口には、分岐部16aの冷媒流入口側が接続されている。分岐部16aは、放熱器12から流出した冷媒の流れを分岐するものである。より具体的には、分岐部16aは、三方継手で構成されており、3つの冷媒流入出口のうち、1つを冷媒流入口として用い、残りの2つを冷媒流出口として用いたものである。
分岐部16aの一方の冷媒流出口には、前席用エジェクタ13の冷媒流入口側が接続されている。分岐部16aの他方の冷媒流出口には、車両床下に配置された高圧側床下配管17aを介して、後席用エジェクタ23の冷媒流入口側が接続されている。
後席用エジェクタ23の液相冷媒流出口には、後席用蒸発器24の冷媒入口側が接続されている。後席用エジェクタ23の冷媒出口には、後席用エジェクタ23の冷媒吸引口側が接続されている。後席用エジェクタ23は、後席用蒸発器24よりも下方側に配置されている。
前席用エジェクタ13の気相冷媒流出口には、合流部16bの一方の冷媒流入口側が接続されている。後席用エジェクタ23の気相冷媒流出口には、車両床下に配置された低圧側床下配管17bを介して、合流部16bの他方の冷媒流入口側が接続されている。
合流部16bは、前席用エジェクタ13の気相冷媒流出口から流出した冷媒の流れと、後席用エジェクタ23の気相冷媒流出口から流出した冷媒の流れとを合流させるもので、その基本的構成は分岐部16aと同様である。つまり、合流部16bでは、三方継手の3つの冷媒流入出口のうち、2つを冷媒流入口として用い、残りの1つを冷媒流出口として用いている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、前席用エジェクタ13および後席用エジェクタ23が、冷媒流れに対して並列的に接続されている。
ここで、前席用エジェクタ13と前席用蒸発器14との搭載位置によって決定されるヘッド差を前席用ヘッド差H1と定義し、後席用エジェクタ23と後席用蒸発器24との搭載位置によって決定されるヘッド差を後席用ヘッド差H2と定義する。
さらに、圧縮機11の吐出流量Gnが最小吐出流量Gminとなっている際の前席用エジェクタ13の冷媒流入口へ流入する冷媒の流量をGmin1と定義し、圧縮機11の吐出流量Gnが最小吐出流量Gminとなっている際の後席用エジェクタ23の冷媒流入口へ流入する冷媒の流量をGmin2と定義する。
なお、Gmin1とGmin2との流量比は、分岐部16aから前席用エジェクタ13を介して合流部16bへ至る冷媒流路の流路抵抗や、分岐部16aから前席用エジェクタ13を介して合流部16bへ至る冷媒流路の流路抵抗等によって決定される。
そして、本実施形態では、上述した数式5の吐出流量Gnとして、Gmin1を用いることによって前席用臨界ヘッド差Hr1を決定し、Gmin2を用いることによって後席用臨界ヘッド差Hr2を決定する。さらに、Hr1>H1を満足する範囲に、前席用エジェクタ13を配置し、Hr2>H2を満足する範囲に、後席用エジェクタ23を配置している。
その他のエジェクタ式冷凍サイクル10aの構成および作動は、第1実施形態で説明したエジェクタ式冷凍サイクル10と同様である。従って、並列的に接続された前席用蒸発器14にて第1実施形態と同様に前席側送風空気を冷却することができ、後席側蒸発器18にて後席側送風空気を冷却することができる。
さらに、本実施形態では、Gmin1を用いて前席用臨界ヘッド差Hr1を決定し、前席用エジェクタ13を車両に搭載する際に、実際の前席用位置ヘッド差H1が前席用臨界ヘッド差Hr1よりも小さくなるように搭載しているので、負荷変動等によって圧縮機11の吐出流量Gnが変化しても、前席用蒸発器14へ確実に冷媒を流入させることができる。
同様に、Gmin2を用いて後席用臨界ヘッド差Hr2を決定し、後席用エジェクタ23を車両に搭載する際に、実際の後席用位置ヘッド差H2が後席用臨界ヘッド差Hr2よりも小さくなるように搭載しているので、負荷変動等によって圧縮機11の吐出流量Gnが変化しても、後席用蒸発器24へ確実に冷媒を流入させることができる。
なお、本実施形態の変形例として、高圧側床下配管17aを開閉する開閉装置を追加してもよい。そして、後席側送風空気の温度調整を行わない場合には、開閉装置によって高圧側床下配管17aを閉塞させてもよい。これによれば、後席側送風空気の温度調整を行わない場合に、第1実施形態と全く同様のサイクル構成を実現することができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)エジェクタ13(後席用エジェクタ23)の構成は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、通路形成部材35を備えるエジェクタ13について説明したが、通路形成部材35は必須の構成ではない。つまり、通路形成部材35を備えていない通常のエジェクタであっても、ディフューザ部から流出した冷媒の気液を分離する気液分離部を備えるものであれば、本発明の効果を得ることができる。
また、上述の実施形態では、通路形成部材35を変位させる駆動装置として、駆動機構37を採用した例を説明したが、駆動装置はこれに限定されない。例えば、感温媒体として温度によって体積変化するサーモワックスを採用してもよい。さらに、駆動装置として形状記憶合金性の弾性部材を有して構成されたものを採用してもよいし、電動モータやソレノイド等の電気的機構によって通路形成部材35を変位させるものを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、駆動機構37のダイヤフラムとしてゴム製のものを採用した例を説明したが、駆動機構37に適用可能なダイヤフラムはこれに限定されない。例えば、金属(具体的には、SUS304)の薄板で形成された金属製ダイヤフラムを採用してもよい。さらに、駆動機構37を廃止してもよい。
(2)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、エンジン駆動式の可変容量型圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用してもよい。さらに、固定容量型圧縮機構と電動モータとを備え、電力を供給されることによって作動する電動圧縮機を採用してもよい。電動圧縮機では、電動モータの回転数を調整することによって、冷媒吐出能力を制御することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。さらに、通常の放熱器とともに、この放熱器にて放熱した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える受液器(レシーバ)を一体化させたレシーバ一体型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aを採用可能であることを説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、HFO系冷媒(具体的には、R1234yf、HFO−1234ze、HFO−1234zd)、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(3)上述の第1実施形態では、流入配管15a、流出配管15bおよびコネクタ51を介して、エジェクタ13と蒸発器14とを接続した例を説明したが、搭載上の制約がなければ、エジェクタ13と蒸発器14とをコネクタ51のみを介して接続してもよい。これによれば、位置ヘッド差Hを縮小させやすくなり、より一層確実に、冷媒を蒸発器14へ流入させることができる。
(4)また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、第3実施形態の前席用エジェクタ13では、旋回促進部材(整流板38)を設けることによって、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように設定してもよいし、後席用エジェクタ23では、面積調整部材(パイプ34a)を設けることによって、遠心力FCと牽引力FDが同等となるように設定してもよい。
(5)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、車両用の冷凍冷蔵装置に適用してもよいし、据置型空調装置、冷温保存庫等に適用してもよい。
10 エジェクタ式冷凍サイクル
11 圧縮機
13 エジェクタ
14 蒸発器
30f 気液分離空間(気液分離部)
30g 液相出口
30h 気相出口
FC 遠心力
FD 牽引力
H 位置ヘッド差
Hr 臨界ヘッド差

Claims (5)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
    前記放熱器から流出した冷媒を減圧させるノズル部(13a)、並びに、前記ノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引する冷媒吸引口(31b)、前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部(13c)、および前記昇圧部から流出した冷媒の気液を分離する気液分離部(30f)が形成されたボデー部(30)を有するエジェクタ(13)と、
    前記気液分離部にて分離された液相冷媒を蒸発させる蒸発器(14)と、を備え、
    前記気液分離部は、冷媒を旋回させた際の遠心力の作用によって冷媒の気液を分離する遠心分離方式のものであり、
    前記ボデー部には、前記気液分離部にて分離された液相冷媒を前記気液分離部から流出させる液相出口(30g)、および前記気液分離部にて分離された気相冷媒を前記気液分離部から流出させる気相出口(30h)が形成されており、
    前記気相出口は、前記気液分離部の旋回中心側に配置されており、
    前記気相出口の下流側には、前記圧縮機の吸入口側が接続されており、
    前記気液分離部内の液相冷媒の粒が旋回することによって、前記液相冷媒の粒に前記気液分離部の旋回中心側から外周側へ向かう方向に作用する力を遠心力(FC)と定義し、
    前記気液分離部内の気相冷媒が前記気相出口を介して前記圧縮機へ吸引されることによって、前記液相冷媒の粒に前記気液分離部の外周側から中心側へ向かう方向に作用する力を牽引力(FD)と定義したときに、
    FC=FD
    となるように設定されており、
    さらに、前記液相出口から前記蒸発器を介して前記冷媒吸引口へ至る冷媒経路(15)のうち、最高部位と最低部位との高低差によって生じるヘッド差を位置ヘッド差(H)と定義し、
    前記圧縮機の吐出流量(Gn)が前記圧縮機の実使用範囲における最小吐出流量(Gmin)となっている際に、前記液相冷媒を鉛直方向上方側に持ち上げることが可能な高さに対応するヘッド差を臨界ヘッド差(Hr)と定義したときに、
    Hr>H
    となっていることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 前記最小吐出流量(Gmin)は、前記圧縮機の最大吐出流量(Gmax)の5%以上の流量であることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  3. 前記エジェクタは、前記気液分離部へ流入する冷媒の旋回流れを促進する旋回促進部材(38)を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  4. 前記エジェクタは、前記気相出口の有効通路面積(Ar)を調整する面積調整部材(34a)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  5. 前記気液分離部は、回転体形状に形成されており、
    前記気液分離部の中心軸方向から見たときに、前記液相出口は、前記液相冷媒が前記気液分離部の外周の接線方向の速度成分を含んで流出するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
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