JP2017075104A - アレルギー症状緩和剤 - Google Patents

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【課題】ヒトなどのアレルギー症状を効果的に緩和させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心な機能性食品、医薬品等を提供する。【解決手段】食経験が豊富な煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、好塩基球の脱顆粒抑制やマクロファージのサイトカイン産生促進などの作用によってアレルギー症状を効果的に緩和することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を緩和させるための経口剤等に関するものである。
現在では、日本人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患に羅患していると言われており、これは従前の統計より増加している。アレルギー疾患の代表例としては、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、食物アレルギーなどが挙げられ、例えば、花粉症は日本人の3分の1が羅患するいわば国民病である。
花粉症は、I型アレルギーに分類され、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどと同様に、体内のIgE抗体が好塩基球やマスト細胞に結合し、ここにアレルゲンが反応することによって症状が発症する。アレルゲンによる刺激がなされると、好塩基球やマスト細胞は細胞内に保持していた顆粒を細胞外に放出し、この顆粒中にはヒスタミンやロイコトリエンといったアレルギー症状を誘発する物質が含まれており、この結果、花粉症特有の目や鼻の症状が発症する。
このようなアレルギー症状を緩和するためには抗ヒスタミン薬などを用いることが多いが、副作用や継続使用による効果の大幅な低減など問題も多い。したがって、多くの人は、食経験の少ない医薬成分の服用よりはむしろ、アレルギー症状緩和効果のある食品成分の摂取により症状を和らげたいと考えている。このようなことから、食経験が豊富な食品由来成分を用いた抗アレルギー食品や抗アレルギー薬の研究・開発もいくつか進められている。
このような食品由来成分としては、例えば、牛乳の主要タンパク質であるβ−ラクトグロブリンと柑橘フラボノイドであるノビレチンを併用したもの(特許文献1)、茶葉抽出物を利用したもの(特許文献2)、イモ焼酎粕を利用したもの(特許文献3)などが提案されているが、いまだ十分とは言えないのが現状である。
以上のような技術背景の中、当業界においては、食経験が豊富な食品由来成分を用いた抗アレルギー食品や抗アレルギー薬、特に好塩基球やマスト細胞の脱顆粒などを効果的に抑制できるような食品由来成分を用いた剤などのさらなる開発が引き続き求められていた。
特開2015−036369号公報 特開2014−114303号公報 特開2011−093815号公報
本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を効果的に緩和させることが可能な、経口用剤として用いても安全・安心なアレルギー症状緩和剤(機能性食品、医薬品等)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、食経験が豊富な煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液(煮干し粉砕品酵素処理液)又はその乾燥物等を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、その好塩基球の脱顆粒抑制やマクロファージのサイトカイン産生促進などの作用によってアレルギー症状を効果的に緩和できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
(2)煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量500以下の分子を除去(主として脱塩)した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
(3)煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量14000以上の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
(4)煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量500以下及び分子量14000以上の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
(5)上記上清液又は処理液を更に陰イオン交換カラムクロマトグラフィー処理して得た非吸着画分(液体又は乾燥物)を有効成分とすることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤。
(6)100℃20分間の加熱処理で活性が低下しないことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の剤。
(7)アレルギー症状緩和が、好塩基球の脱顆粒抑制及び/又はマクロファージのサイトカイン産生促進である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の剤。
(8)煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物を、1日当たり0.1〜50mg/kg、好ましくは1.0〜30mg/kgで経口投与することを特徴とする、アレルギー症状緩和方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
本発明によれば、ヒトなどのアレルギー症状を緩和するための安全・安心な経口剤等の提供が可能となり、また、この剤等の経口投与により好塩基球の脱顆粒抑制やマクロファージのサイトカイン産生促進などが行われ、アレルギー症状を効果的に緩和できる。そして、この結果として、アレルギー患者などの生活の質(QOL)をより向上させることができる。
実施例2における脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)及び細胞毒性(RBL−2H3細胞の破砕処理直前の相対生細胞数)を示すグラフである。左側グラフが脱顆粒抑制活性、右側グラフが細胞毒性を表し、ブランク(斜線)、コントロール(黒塗り)、及び、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液から分子量500以下の分子を除去した処理液(本発明品)で細胞を処理したもの(白抜き)を示す。 実施例2におけるコントロール(黒塗り)と本発明品(白塗り)のIgE抗体と抗原(DNP)の抗原抗体反応の度合い(比色定量)を示すグラフである。なお、縦軸は620nmの吸光度を表す。 実施例2におけるA23187誘導性の脱顆粒抑制活性と細胞内カルシウムイオン濃度の挙動を示すグラフである。左側グラフがA23187誘導性の脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)、右側が相対細胞内カルシウムイオン濃度を表す。 実施例2における分子量の違いによる脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)の違いを示すグラフである。ブランクは斜線、コントロールは黒塗りで示し、左側の白抜きグラフが本発明品(分子量500以下カットオフ透析膜処理済)、右側の白抜きグラフがこれを更に分子量14000以下カットオフ透析膜で処理したもののデータである。 実施例2における陰イオン交換カラムで分画した各サンプルの分画データ(左側)、及び、これらの脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)の違い(右側)を示すグラフである。グラフ中のAが分画処理前のサンプル、1が非吸着画分、2が初期溶出画分、3が吸着画分、4が後期溶出画分である。 実施例2におけるコントロール(C:黒塗り)及び本発明品を加熱処理したもの(A:白抜き)の脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)を示すグラフである。 実施例3における受動皮膚アナフィラキシーモデルマウスに及ぼすコントロール(黒塗り)及び本発明品(白抜き)の投与実験結果を示すグラフである。なお、上段は実験内容を模式的に示したものである。
本発明では、アレルギー症状緩和剤等の有効成分として、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を使用する。
この煮干し粉砕品は、カタクチイワシなどの小魚を煮てから干した乾物を粉砕したものを意味し、特に、カタクチイワシの煮干しを粉砕機、ハンマーミル等で処理して細粉砕したものを用いることが好ましい。
そして、この煮干し粉砕品をプロテアーゼ処理する。使用するプロテアーゼは、微生物から得られた、作用最適pHが酸性域(例えばpH2〜6など)の食品用プロテアーゼが好ましく、特に、糸状菌Aspergillus属由来の酸性プロテアーゼを用いるのが好適である。市販品としては、デナプシン2P(Aspergillus niger由来、ナガセケムテックス株式会社製品)などが例示される。
プロテアーゼ処理は、例えば次のようにして行う。まず、煮干し粉砕品に1〜10倍量(好ましくは3〜5倍量)加水し、必要に応じてpH2〜6に調整を行ってから酵素を0.05〜3.0%(好ましくは0.1〜1.0%)添加して、使用酵素の至適温度である20〜55℃(好ましくは30〜50℃)で0.5〜30時間(好ましくは1〜20時間)反応を行う。なお、酵素反応は攪拌しながら行うのが好ましいが、酵素反応を円滑に進める手段を行うのであればこれに限定されるものではない。
プロテアーゼ処理後は、必要であれば中和処理を行い、70℃以上(好ましくは90℃〜100℃)の温度に2〜60分間(好ましくは5〜30分間)保持して酵素失活を行った後、不溶性固形分除去処理(遠心分離、フィルター濾過)を行って上清液を得る。その後、必要に応じて濃縮処理、滅菌、殺菌処理、粉末化(乾燥化)処理などを行っても良い。なお、粉末化は、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥などの定法により行うことができる。これにより、粉末剤形態の製剤などを得ることができる。また、不溶性固形分除去処理後の上清液から、さらに透析等により低分子成分や高分子成分を除去しても良い。透析を行う場合、例えば、分子量500以下カットオフの透析膜、分子量14000以上カットオフの透析膜等により除去処理を行う。
本発明品の形態は、上記のような粉末剤のみならず、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散剤、スティック剤、液剤、ゲル剤、ペースト剤、シロップ剤などでも良く、経口投与可能な形態であれば特段の限定はない。そして、本発明品では、有効成分の効果を妨げない範囲で、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤の1種又は2種以上を適宜組み合わせて配合した製剤とすることもできる。そして、形態、組成等を勘案し、原料の段階から製品が完成するまでの工程で本発明の有効成分と補助剤等を適宜配合して製造すればよい。
本発明のアレルギー症状緩和剤の用法ないし用量については、使用目的(予防、治療、又は保健の用途)、被検者の年齢、剤形等に応じて適宜定めればよく、0.1〜50mg/kg/日、好ましくは1.0〜30mg/kg/日の煮干し粉砕品酵素処理液又はその乾燥物等を、ヒトなどに対して例えば30日間以上経口投与するのが好適である。しかしながら、本有効成分は安全性について全く問題がないので、上記範囲よりも多量使用しても一向にさしつかえない。
なお、本発明は、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を有効成分とするアレルギー症状緩和剤をヒトなどに経口投与してアレルギー症状を緩和させるものであるが、これは医薬品(医薬剤)だけでなく、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の、特定の機能及び形態を有し、健康維持などを目的として摂取され、有効成分の用量(有効量)や用法が規定され且つ単位包装当たりでその用量が摂取できる、単に食品としてのみ利用されるものとは明確に区別される食品組成物(医薬部外品を含む)も含まれる。
このようにして、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を有効成分としてなるアレルギー症状緩和剤等を使用し、これをアレルギー患者などに経口投与することで、安全に且つ効果的にアレルギー症状を緩和させることが可能となる。
なお、本発明は、煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を有効成分とするアレルギー症状緩和剤というプロセスによって特定された物の発明であるが、この有効成分中の具体的な活性成分はいまだ特定できておらず、また、この活性成分特定は著しく過大な経済的支出や時間を要するものであると推察されるため、この活性成分をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在すると認められる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(アレルギー症状緩和剤の製造)
以下の方法で、本発明品である煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液(煮干し粉砕品酵素処理液)を有効成分とするアレルギー症状緩和剤を製造した。
煮干し粉砕品に、その重量に対して3.7倍量の水を添加し、pH調整(pH3.3〜4.3)を行ってから、0.3%のプロテアーゼ(デナプシン2P:ナガセケムテック株式会社製品)を添加し、酵素の至適温度(40〜50℃)で15〜20時間処理した。その後、中和処理(pH5.2〜5.6に調整)を行い、加熱処理(97〜99℃で30分間加熱)により酵素を失活させ、遠心分離操作により固形分を除去し、上清液を回収した。このようにして得られた煮干し粉砕品酵素処理液をアレルギー症状緩和剤とした。
(アレルギー症状緩和機能評価確認試験I)
実施例1で製造したアレルギー症状緩和剤の効果を機能評価確認するため、以下の試験を実施した。なお、機能評価確認試験を実施するために、煮干し粉砕品酵素処理液を分子量500以下カットオフの透析膜で脱塩処理したものを用いた。
まず、好塩基球によるヒスタミンを含む顆粒の放出を指標とした、ラット好塩基球細胞株RBL−2H3細胞(ヒューマンサイエンス研究資源バンクより分与)を用いた脱顆粒評価系を用いて確認した。脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液を各種タンパク質濃度に希釈したもので常法により培養したRBL−2H3細胞を処理し、コントロール(バッファー処理)も含め、これらの細胞を溶解処理して得た細胞溶出物についてブランク(細胞培養上清)とともに活性を測定した。なお、脱顆粒抑制活性は、ヒスタミンと同様に顆粒中に含まれ、定量がヒスタミンより容易なβ−ヘキソサミニダーゼ放出率の測定・算出により評価した。また、細胞溶解処理直前の相対生細胞数も測定し、細胞の生存に対する影響も確認した。
この結果、煮干し粉砕品酵素処理液を有効成分とするアレルギー症状緩和剤は、抗原刺激によって誘発されるRBL−2H3細胞の脱顆粒を濃度依存的に抑制した(図1の左側グラフ)。また、この時、細胞の生存には影響を与えないことから(図1の右側グラフ)、これが細胞傷害性による脱顆粒の抑制ではないことが明らかになった。
さらに、この脱顆粒抑制効果が、単に抗原と抗体の結合を阻害することに由来するものであるかを検討するため、IgE抗体とその抗原であるジニトロフェニル(DNP)の抗原抗体反応に及ぼすアレルギー症状緩和剤の影響を検討した。具体的には、抗原(DNP−HSA)、1次抗体(抗DNP−IgE)及び2次抗体(抗マウスIgE)を用いた系に脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液を加え、コントロールとともにELISA法により比色定量を行った。
この結果、煮干し粉砕品酵素処理液を有効成分とするアレルギー症状緩和剤は、抗原抗体反応には何ら影響しないことが明らかになった(図2)。したがって、この脱顆粒抑制効果は、単に好塩基球細胞表面での抗体による抗原刺激を阻害するものではなく、抗原刺激が成立したあとの細胞内のシグナル伝達を阻害することで脱顆粒を抑制していることが明らかになった。
また、A23187誘導性の脱顆粒について細胞内カルシウムイオン濃度の挙動も含めて同様に確認を行った結果、煮干し粉砕品酵素処理液を有効成分とするアレルギー症状緩和剤は、細胞内カルシウムイオン濃度上昇の抑制なしにA23187誘導性の脱顆粒を抑制することが示された(図3)。
ここで、煮干し粉砕品酵素処理液中に含まれる活性物質を推察するため、まず、分子量14000以下カットオフの透析膜で透析したあとのサンプルを各種タンパク質濃度に希釈したものでRBL−2H3細胞を処理した際の脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ放出率)を同様に測定・算出した。この結果、透析処理により脱顆粒抑制活性は完全に消失した(図4)。このことから、煮干し粉砕品酵素処理液中に含まれる活性物質の分子量は14000よりも小さい分子であることが推察された。
次にSuperQ 650Mゲル(TOSOH社製品)による陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによる精製を試みた。脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液をこの陰イオン交換カラムによる分画の後、得られたフラクションの脱顆粒抑制活性(β−ヘキソサミニダーゼ活性)を同様に測定・算出した結果、活性は非吸着画分(フラクション1)に認められた(図5)。
さらに、脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液を100℃で加熱処理した後の残存活性を上記と同様に測定・算出した。その結果、20分までの加熱処理は、脱顆粒抑制活性には影響しないことが明らかになった(図6)。
これらのことから、煮干し粉砕品酵素処理液に含まれるアレルギー症状緩和効果を有する主成分は、陰イオン交換カラムの非吸着画分にある分子量が500〜14000の間の物質であり、熱に安定であることが明らかになった。
(アレルギー症状緩和機能評価確認試験II)
実施例1で製造したアレルギー症状緩和剤の効果をさらに機能評価確認するため、以下の試験を実施した。なお、実施例2と同様に、機能評価確認試験を実施するため煮干し粉砕品酵素処理液を分子量500以下カットオフの透析膜で脱塩処理したものを用いた。
ここでは、マウスマクロファージ細胞株J774.1細胞株、及びマウス腹腔から回収した初代腹腔マクロファージP−Macのサイトカイン産生に及ぼす煮干し粉砕品酵素処理液の効果、及び、TNF−α産生に及ぼす効果を検討した。
脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液を各種濃度に希釈したもので両細胞を処理したところ、J774.1細胞株、およびP−Macの双方のTNF−α産生が、濃度依存的に促進されることが明らかになった。また、IL−6産生に及ぼす効果を検討した結果、IL−6産生も非常に強く促進されることが明らかになり、煮干し粉砕品酵素処理液はマクロファージを活性化する効果があることが明らかになった。
さらに、受動皮膚アナフィラキシーモデルマウスに及ぼす煮干し粉砕品酵素処理液の投与効果を確認した。具体的には、受動皮膚アナフィラキシーモデルマウス(BALB/c(メス、7週齢):日本エスエルシー社製品)にIgEの耳介皮下投与を行い、それから23時間後にサンプル(脱塩処理した煮干し粉砕品酵素処理液)を経口投与し、それから1時間後にアレルゲンの尾静脈注射を行い、その0.5時間後に耳介を回収してELISA法により比色定量を行った。
この結果、煮干し粉砕品酵素処理液の経口投与により受動皮膚アナフィラキシー応答を抑制できることが明らかとなった(図7)。
(アレルギー症状緩和機能評価確認試験III)
実施例1で製造したアレルギー症状緩和剤の効果をヒトで確認するため、以下の試験を実施した。
実施例1で得られた煮干し粉砕品酵素処理液の乾燥物を有効成分とするアレルギー症状緩和剤を用意し、春季にアレルギー症状を感じる年齢30〜60の男女4名(各2名)を被験者として、当該時期に有効成分を0.1g/日の量で30日間食事と供に経口投与を行った。
その結果、アレルギー症状が緩和したと感じた人が3名、感じられなかった人が1名であった。この結果から、煮干し粉砕品酵素処理液の経口投与により、アレルギー症状を一定程度緩和できると推察された。
以上より、煮干し粉砕品酵素処理液が好塩基球に脱顆粒を抑制し、また、マクロファージのサイトカイン産生を促進し、ヒトなどのアレルギー症状を緩和させることができるということが示された。なお、煮干し粉砕品酵素処理液を所定量毎日食べ続けても、副作用等は全くなく、安全に継続摂取出来ることも確認された。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、ヒトなどのアレルギー症状を効果的に緩和させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心な機能性食品、医薬品等を提供することを目的とする。
そして、食経験が豊富な煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物等を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、好塩基球の脱顆粒抑制やマクロファージのサイトカイン産生促進などの作用によってアレルギー症状を効果的に緩和することができる。

Claims (7)

  1. 煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
  2. 煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量500以下の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
  3. 煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量14000以上の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
  4. 煮干し粉砕品をプロテアーゼで処理した上清から、分子量500以下及び分子量14000以上の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、アレルギー症状緩和剤。
  5. 液を更に陰イオン交換カラムクロマトグラフィー処理して得た非吸着画分を有効成分とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
  6. 100℃20分間の加熱処理で活性が低下しないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤。
  7. アレルギー症状緩和が、好塩基球の脱顆粒抑制及び/又はマクロファージのサイトカイン産生促進である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤。
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