JP2017075064A - 複層ガラスの処理方法及び複層ガラスの処理装置 - Google Patents

複層ガラスの処理方法及び複層ガラスの処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスのリサイクルに当って、カレットに樹脂が混入せず、ガスの発生がない複層ガラスの処理方法の提供。【解決手段】複層ガラス3の第1のガラス板及び第2のガラス板のガラスエッジ又はガラスエッジ近傍を含む表面に夫々初期亀裂20aを形成する工程、初期亀裂20a近傍の集光予定線Lに、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を透過する赤外光を集光照射し、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を加熱して初期亀裂20aから亀裂を伝播させた伝播亀裂20bを形成する工程、及び集光予定線Lに沿って該赤外光をガラス板の表面に対して相対的に移動させ、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の伝播亀裂20bを、集光予定線Lの終端まで伝播させる工程、を有し、ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、該ガラス部は集光予定線Lに囲まれた範囲であり、集光予定線Lは該接着性樹脂よりガラス板の面内側にある複層ガラス3の処理方法。【選択図】図3

Description

本発明は、接着性樹脂を使用している複層ガラスからガラス部分を回収する複層ガラスの処理方法に関するものである。
複層ガラスは、通常、少なくとも2枚のガラス板の間に、中空層を設けるために周辺部にスペーサーを挟み込み、スペーサーとガラス板の間を接着性樹脂等によって接着し、一体化したガラス物品である。また、この複層ガラスは、スペーサーの外縁とガラス板の外縁を含む周縁部は、接着性樹脂によって封止されている。上記の複層ガラスを実際の建物に用いる場合は、サッシ等の枠体に複層ガラスを嵌め込む事で、建物の窓材として設置される。
一般的に、産業廃棄物となったガラス製品は、ガラス部分を破砕する処理を行い、カレット化した後に溶融することにより、リサイクル使用することができる。従来のガラス製品の処理方法としては、人手によりハンマー等を用いて破砕したり、地面やコンクリート等にガラス製品を落下させる方法が挙げられる。しかし、前述した複層ガラスを処理する場合、ガラス板が2枚ある為に地面やコンクリートに落下させる方法では効率が悪いという問題があった。また、周辺部や周縁部に付着した樹脂がガラス板と分離できないまま破砕されてしまい、樹脂の付着したガラス片はリサイクル使用するカレットとしては不適であることから、これを分別する作業が必要となり、作業が極めて煩雑になるという問題もあった。
上記の問題を解決するために、例えば特許文献1は、格子状の桟を有する破砕フレーム上に該複層ガラスを落下させ、ガラスを破砕するガラス破砕装置が開示されている。当該文献によれば、ガラスは桟に衝突することによって破砕され、生じたカレットが桟の間から下方へ落下し、周辺のスペーサーや接着性樹脂は桟上に残される。しかし、一般的な建物の窓材のサイズや寸法は様々であり、複層ガラスのサイズや寸法によっては対応し難いという問題がある。また、落下するガラス片に接着性樹脂の一部が付着する問題があった。
また、例えば特許文献2には、ガラス周辺部の接着性樹脂にレーザビームを照射し、接着力を消失させて2枚のガラスを分離する複層ガラスの分解処理方法が開示されている。
また、例えば特許文献3には、赤外線照射機により近赤外線を照射して、接着部を加熱することによって、接着性樹脂を軟化または変質させてガラスを分離するガラス分離処理方法が開示されている。
特開2003−71313号公報 特開2008−155197号公報 特開2009−50801号公報
前述したように、複層ガラスを処理し、ガラス部分をリサイクルする場合、従来のようにハンマーや落下による処理方法では効率が悪い、又はカレットに樹脂が混入するといった問題があった。
特許文献2、3は接着性樹脂を加熱して軟化や変質させることにより、ガラス板と樹脂とを分離する方法である。一般的な複層ガラスに使用される接着性樹脂はブチル系樹脂やシリコーン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂だが、加熱によって揮発性のガスが発生することがあり、このようなガスの発生は環境への負荷や作業の点から好ましくない。
従って、本発明は、カレットに樹脂が混入せず、かつガスの発生がない複層ガラスの処理方法を得ることを目的とした。
前述した課題に対して鋭意検討を行ったところ、予めガラス板表面にガラスエッジから傷をつけた後に、ガラスエッジから離れた箇所の該傷上を赤外光で集光照射すると、ガラス板の全厚に亘る亀裂が、上記の傷を起点として集光照射位置まで伝播することがわかった。この時、赤外光を接着性樹脂に照射しない事で、ガスの発生を防ぐことが可能である。
また、通常、ガラスに入射する赤外光は一部がガラスに吸収され、ガラスの温度を上昇させるが、その一方で吸収されなかった赤外光はガラスを透過する。上記の知見に基づいてさらに検討を行ったところ、前述したような複層ガラスにおいて、一方向から赤外光を集光照射することによって、2枚のガラス板に同時に亀裂が発生することが明らかとなった。
すなわち本発明は、対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスから、ガラス部を該接着性樹脂と分離して該ガラス部を回収する複層ガラスの処理方法において、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の、ガラスエッジ又はガラスエッジ近傍を含む表面にそれぞれ初期亀裂を形成する工程、該初期亀裂近傍の集光予定線に、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を透過する赤外光を集光照射し、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を加熱して該初期亀裂から亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程、及び該集光予定線に沿って該赤外光をガラス板の表面に対して相対的に移動させ、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の該伝播亀裂を、該集光予定線の終端まで伝播させる工程、を有し、ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、該ガラス部は該集光予定線に囲まれた範囲であり、該集光予定線は該接着性樹脂よりガラス板の面内側にあることを特徴とする複層ガラスの処理方法である。
また、本発明は、対対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスを保持する保持機構と、赤外光を集光照射する赤外線照射装置と、該赤外線照射装置を集光予定線に対して相対的に移動させる移動機構と、を備える複層ガラスの処理装置である。
以上より、本発明によって、赤外光を利用するだけで、カレットに樹脂が混入せず、かつガスの発生がない複層ガラスの処理方法を得ることが可能となった。
複層ガラスの(a)断面から見た時の簡易図、及び(b)第1のガラス板の板面側から見た時の簡易図である。 本明細書における(a)ガラスエッジ、(b)ガラス部及び枠部、(c)赤外光の初期照射位置を説明する簡易図である。 本発明の複層ガラスの処理装置を第1のガラス板の板面側から見た時の簡易図である。 本発明の複層ガラスの処理装置をガラス板の断面側から見た時の簡易図である。 本発明の複層ガラスの処理方法を説明する簡易図である。
1:用語の説明
本発明の複層ガラスの一例を図1に示した。本明細書では、図1のX方向を幅方向、Y方向を高さ方向、Z方向を厚み方向とする。また、Z方向は第1のガラス板1側をマイナス、第2のガラス板2側をプラス方向とする。
また、本明細書では、「表面」や「面内」等の「面」とは、図1のX−Y面を指すものとする。また、「面内側」とは、ガラス板のX−Y面上において、ガラス板の各辺から見てガラス板のX−Y面の中心側を指すものとする。また、「端面」とは、図1のX−Z面、Y−Z面を指すものとする。
「ガラスエッジ」とは、図2の(a)に示したように、表面上やガラス端面上にあり、図1のX−Y面とX−Z面、又はX−Y面とY−Z面とが交わる稜部を含むものとする。
また、「ガラスエッジ近傍」とは、ガラスエッジから数ミリ程度離れたX−Y面上を指すものとする。ガラスエッジからの距離は、例えば5mm以下程度としてもよい。
「ガラス部」とは、図2の(b)に示したように、ガラス板と接着性樹脂との間に亀裂を入れ、ガラス部10と枠部11に分離する際の、接着性樹脂が付着していない方のガラス部分を指すものとする。また、切断前に集光予定線Lに囲まれた範囲が、切断後にガラス部10になる。また、ガラス部10は板状でも、ガラス片状でもよい。前述したように、ガラス部10を分離した後、回収した該ガラス部10をカレットとすることによってガラスのリサイクルが可能となる。
「ガラス板の周辺部」とは、ガラス板の各辺を含むガラス板の表面(X−Y面)であり、ガラス板の表面の中央部を含まない部分とする。また、X−Y面においては、「ガラス部の面積」>「ガラス板の周辺部の面積」としてもよい。例えば図2の(b)では、1次シール材4及び2次シール材5が付着した枠部11のガラス板のX−Y面上を「ガラス板の周辺部」としてもよい。
「集光予定線」とは、赤外光の焦点を含むX−Z面及びY−Z面と、X−Y面との交点の、X−Y面上の移動ラインを指し、該集光予定線LはZ方向から見た時、接着性樹脂と重ならないものとする。また、該集光予定線の始端と末端は一致しているのが好ましく、該集光予定線で囲まれた範囲が前述したガラス部になる。
また、「集光予定線上」とは、集光予定線Lを含むガラス板面上を指すものとする。集光予定線Lを含むX−Z面やY−Z面は切断後又は伝播亀裂が伝播した後に切断面となる。また、切断前又は伝播亀裂が伝播する前は、「切断予定面」とする。
「接着性樹脂」とは、2枚以上のガラス板を一体化する為の接着剤を指すものとする。図1においては、1次シール材4及び2次シール材5が接着性樹脂である。また、接着剤の他にスペーサー等に樹脂を含む場合があり、そのような樹脂部材と接着性樹脂を総称して「樹脂材」とする。
「初期亀裂近傍」とは、前記ガラス板の対向面を垂直方向から見た時の初期亀裂との距離が近い領域を表すものであり、初期亀裂と重なるものでも、初期亀裂の末端から数ミリ程度離れた位置でもよい。初期亀裂の末端から赤外光の初期照射位置との距離は離れ過ぎなければよいが、例えば図2の(c)に示したように、初期亀裂20aの末端と初期照射位置との距離mが30mm以下程度としてもよい。
2:複層ガラス
まず、以下に図1を参照しながら本発明の複層ガラスについて説明する。
(ガラス板)
ガラス板は、一般的な建築用板ガラス(例えばJIS R3202に記載の板ガラス)として用いられる、厚み2mm以上、25mm以下の板状のガラスが好ましい。ただし、この厚みに限定されるものではなく、より薄いガラス板でも、より厚いガラス板でも本発明の方法によって切断可能である。
また、第1のガラス板1と第2のガラス板2は、異なるガラスをガラス板として用いてもよい。本明細書においては、赤外光の入射方向に配置されたガラス板を第1のガラス板1とする。
また、複層ガラス3はガラス板の表面に低放射膜を有するLow−Eガラスを組み込んでいる場合がある。本発明者が、Low−Eガラスを第2のガラス板2側に組み込んだ複層ガラス3を検討したところ、問題なく亀裂を発生させ、ガラス部10を分離することが可能であることがわかった。
(接着性樹脂)
接着性樹脂は、少なくとも第1のガラス板1及び第2のガラス板2とを接着する接着剤である。図1の場合はガラス板間にスペーサー6が挟まっているため、ガラス板とスペーサー6との間を接着している。この時、ガラス板とスペーサー6との間の接着剤を1次シール材4、スペーサー6と、第1のガラス板1及び第2のガラス板2との隙間を封着するように設ける接着剤を2次シール材5とする。1次シール材4としてはポリイソブチレン系樹脂等、2次シール材5としてはポリサルファイド系樹脂やシリコーン系樹脂等を用いるのが一般的である。
本発明は、接着性樹脂がガラス板の周辺部のみに付着した複層ガラス3を想定している。ガラス板の全面に接着性樹脂が付着したような合わせガラスの場合、赤外光を接着性樹脂に照射せざるを得ず、回収したガラスの中に樹脂が付着したガラスが混在してしまうことがある。
(スペーサー6)
スペーサー6は、第1のガラス板1と第2のガラス板2との間に設置されるものであり、スペーサー6、第1のガラス板1、及び第2のガラス板2によって囲まれた中空層7を形成する。スペーサー6は内部に乾燥剤8を有し、前述したようにガラス板の周辺部に1次シール材4によって固定される。また、X方向に長尺を有するスペーサー6と、Y方向に長尺を有するスペーサー6とは、スペーサー8の端部をコーナー部材(図示しない)で連結する事によって位置を固定する。
スペーサー6は、アルミ製が広く普及しているが、断熱性を高めるために熱伝導率の低い樹脂や樹脂複合材、アルミと樹脂の複合材等を用いてもよい。用いられる樹脂としては、可塑剤としてフタル酸化合物やリン酸化合物、安定剤として金属有機酸化合物等が添加された、塩化ビニルを主成分とする樹脂が挙げられる。スペーサー6に樹脂を含む場合は、該スペーサー6にも赤外光を照射しないようにすることが望ましい。
(中空層7)
複層ガラス3が、スペーサー6を介して第1のガラス板1と第2のガラス板2を一体化させたものである場合、図1の(a)に示したように中空層7が形成される。該中空層7は断熱性や遮音性等の所望する機能に応じて、乾燥空気や各種ガスを充填させることが可能である。
中空層7の厚みは、一般的な建築ガラスに用いる程度の厚みであれば処理可能である。例えば本実施例では、厚み3mmのフロートガラス板を2枚用いて、中空層7が16mmになるように形成した複層ガラス3において、本発明の方法でガラス部10を分離可能である事を見出した。
(複層ガラス3)
本発明は、上記のような部材からなる複層ガラス3から、ガラス部10を分離する。通常、ガラス板のガラスエッジ9は強度が弱く、亀裂を発生させ易いため、後述する初期亀裂の始端を形成する位置として適している。この時、ガラスエッジ9が露出していると初期亀裂を形成し易いことから、複層ガラス3はガラス板のガラスエッジ9が露出したものであるのが好ましい。
3:複層ガラスの処理装置
本発明は、対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスを保持する保持機構と、赤外光を集光照射する赤外線照射装置と、該赤外線照射装置を集光予定線に対して相対的に移動させる移動機構と、を備える複層ガラスの処理装置である。
以下に、図3、図4を参照しながら本発明の複層ガラスの処理装置を説明する。図3、図4は、地面に対してガラス板の表面が水平になるように複層ガラス3を設置しており、最上面が第1のガラス板1となっている。また、図3、図4は、後述する図5(a)に示すように、第1のガラス板1及び第2のガラス板2の表面(X−Y面)の対向する位置に初期亀裂20a、30aを形成した後、赤外線照射装置22を移動させて、伝播亀裂20b、30bを伝播させている状態を示している。
(赤外線照射装置22)
赤外線照射装置22はガラス板の切断予定面を加熱するものであり、赤外光21の光源である赤外線ランプと、該ランプから発する光を集光する集光部とを有する。赤外線照射装置22を用いると、上記の集光部によって集光した赤外光21を、ガラス板の集光予定線L上を含む切断予定面に照射することが可能である。また、赤外光21はガラス板内部を透過するが、透過中に一部ガラス板内に吸収されることによって、ガラス板の温度を上昇させる。すなわち、入射する赤外光21は焦点近傍で一部吸収され、吸収されなかった赤外光21は焦点を過ぎた後、ガラス板内部を進行する。ガラス板内部を進行する赤外光21についても一部吸収され、吸収されなかった赤外光21はさらに進行し、第2のガラス板2へ到達する。
赤外線照射装置22は、既存のものを用いれば良いが、例えば赤外線スポットヒーター又は赤外線ラインヒーターを用いるのが好ましい。赤外線スポットヒーターは赤外光21を点状に集光照射可能であり、伝播亀裂20b、30bの伝播方向の自由度が高い。また、赤外線ラインヒーターは伝播亀裂20b、30bの伝播速度を早くすることが可能である。
また、同じ出力の赤外線ラインヒーターと赤外線スポットヒーターを比較すると、前者の方が亀裂の伝播速度が速い傾向にあり、赤外線ラインヒーター同士を比較すると赤外線ランプの長い方が、伝播速度が速い傾向にある。従って、集光予定線L上において、赤外光21の照射範囲が広い方が、伝播速度が速いと予想される。赤外光21の照射範囲を広げる為には、上記のように赤外線ランプの長さを長くしたり、複数台の赤外線照射装置22を並べることで対応することが可能である。また、赤外線スポットヒーターの場合であれば、例えば楕円形状に赤外光21を集光したり、複数を近接した範囲に集光照射するものでもよい。
赤外線ランプは赤外光21を発するものであればよく、近赤外線、中赤外線、遠赤外線等から適宜選択すればよい。ガラス板は近赤外線領域における透過率が30〜85%程度であり、他の波長領域よりもガラス板内部の光吸収率が高い。その為、使用する赤外線ランプとしては、780〜2500nmの波長光を発するものが好ましい。
集光部は、上記の赤外線ランプの光を焦点で集光させるものであればよいが、例えば凹面鏡等の反射鏡が挙げられる。反射鏡を用いる場合は、赤外線ランプを挟んでガラス板の照射面と向き合うように設置する。また、赤外線ランプから発する赤外光21を無駄なく集光するために、反射鏡は、赤外線ランプを覆うように使用するのが好ましい。また、反射鏡表面を金メッキ処理すると反射率が向上し、より赤外光21を無駄なく集光することができる。また、反射鏡の他にも、例えばシリンドリカルレンズ等の各種レンズを用いてもよい。シリンドリカルレンズを用いる場合は、赤外線ランプとガラス板との間に設置する。
また、切断精度を上げることを目的として、赤外光21の焦点における集光幅は極力狭くするのが好ましい。例えば、赤外線ラインヒーターの場合は集光幅を1〜5mm程度とするのが一般的であるが、これに限定されるものではない。また、さらに集光幅を狭くするために、図示しない遮光スリットを用いてもよい。また、集光の効率を上げるために、ガラス板の表面の集光予定線L上に赤外線吸収層を形成してもよい。該赤外線吸収層は集光幅以下とするのが好ましく、例えば黒色ペン等でラインを引くのが簡便である。
また、赤外線照射装置22は、赤外線光源のフィラメントを冷却可能な冷却装置(図示しない)を備えるのが好ましい。該冷却装置はフィラメントを冷却可能であればよく、例えばフィラメント近傍に流路を備え、該流路に冷却水を流す循環冷却装置が挙げられる。フィラメントの発熱が過ぎると、赤外線ランプの寿命を短くしたり、装置の故障等の原因となるが、上記の循環冷却装置を用いると過度の発熱を抑制することが可能となる。また、該冷却装置は既存のものであれば特に限定するものではなく、上記の冷却水を用いる装置の他に風冷装置等であってもよい。
(移動機構50)
図3、図4は赤外線照射装置22の移動機構50として、フレーム51、搬送レール56を備える。上記のフレーム51は門型で、スライダ52を介して赤外線照射装置22がY方向へ移動するのを可能としている。また、フレーム51は搬送レール56上をX方向へ移動する。尚、赤外線照射装置22は、集光予定線Lに対して相対的に移動すればよいので、赤外線照射装置22を支持柱等で固定し、複層ガラス3を移動させるものでもよい。その場合、該複層ガラス3を保持機構40を構成する載置台上に載置し、該載置台を移動させることによって、赤外線照射装置22を集光予定線Lに対して相対的に移動させることが可能となる。
また、上記移動機構50は回転部55を有するのが好ましい。該回転部55は前記赤外線照射装置22、又は複層ガラスを載置する載置台が固定されるものであり、該回転部55が回転することによって、該赤外光の移動方向を変えることが可能である。
(フレーム51)
図3、図4では、赤外線照射装置22の保持に門型のフレーム51を用いている。フレーム51はガラス板をY方向に横切るように配置され、赤外線照射装置22とガラス板の表面とが、平行を保つようにしている。フレーム51は、ガラス板の真上をY方向に移動可能なスライダ52を備える。
スライダ52は移動部54と回転部55とを備え、図3、図4では上部が移動部54、下部が回転部55になっており、移動部54と回転部55とは連結されている。移動部54はY方向に貫通孔を有し、フレーム51が該貫通孔に挿通されている。また、回転部55は連結用の孔を有し、該孔を介してロッド53が連結されている。ロッド53は、赤外線照射装置22上部に設けられた孔とも連結することによって、回転部55に赤外線照射装置22を固定する。
移動部54はフレーム51上をY方向へ移動可能であり、赤外線照射装置22をY方向へ移動させ、赤外光21の照射位置を調整することが可能である。また、回転部55はロッド53をX−Y面と水平を維持したまま回転させるものであり、この回転によって、赤外線照射装置22の移動方向を変えることが可能となる。赤外線照射装置22が線状に照射するものである場合、回転部55を用いて赤外線照射装置22の移動方向を変えると、連続的に赤外光21を集光照射可能となるので好適である。
また、フレーム51は、赤外線照射装置22を昇降させる昇降装置(図示しない)を有してもよい。赤外線照射装置22を昇降可能とすることによって、赤外光21の焦点位置を自在に調整することができる。
(搬送レール56)
上記のフレーム51は、搬送レール56上を移動可能に設置される。フレーム51は下部にスライダ57を備え、スライダ57を介することによって、搬送レール56上をX方向へ移動する。
(保持機構40)
保持機構40は、複層ガラス3を所定位置に保持するものである。図3、図4では載置台を保持機構40として用いているが、搬送機能のあるコンベア等でもよい。
また、集光予定線Lの直下は、ガラス板の裏面と接触するような保持機構40を設けないのが望ましい。これは、赤外線照射装置22の照射により、長期使用を経ると熱による損傷が懸念されるためである。また、集光予定線L上のガラス板の裏面と接触することによって、保持機構40の部材によっては裏面からの放熱を妨げたり、逆に裏面を不必要に冷却することが考えられる。また、保持機構40の下に分離したガラス部10を回収する回収ボックスや、コンベア等を設けてもよい。
また、前述したように保持機構40は、複層ガラス3を載置する載置台と、該載置台を回転させる回転部と、該載置台を移動させる移動機構50とを備えてもよい。この時、複層ガラス3の位置ずれを防止することを目的として、冶具等を用いて複層ガラス3を載置台に固定してもよい。
(加傷機構)
ガラスエッジ9を始端として、前記第1のガラス板1及び前記第2のガラス板2の表面上を非加熱手段によって加傷する、加傷機構(図示しない)を備えるのが好ましい。加傷機構はガラスカッター等が挙げられ、第1のガラス板1及び第2のガラス板2上に初期亀裂20a、30aを形成する。初期亀裂20a、30aはZ方向に重なるのが好ましい。
(制御部)
上記の処理装置は、図示しない制御部を設けてもよい。制御部は赤外線照射装置22や保持機構40、移動機構50、及び加傷機構等と接続し、各装置をコンピューター等で遠隔操作することを可能にする。上記に挙げた操作の他にも、各装置のX方向、Y方向、及びZ方向の位置合わせ等に用いてもよい。
4:複層ガラスの処理方法
本発明は、対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスから、ガラス部を該接着性樹脂と分離して該ガラス部を回収する複層ガラスの処理方法において、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の、ガラスエッジ又はガラスエッジ近傍を含む表面にそれぞれ初期亀裂を形成する工程、該初期亀裂近傍の集光予定線に、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を透過する赤外光を集光照射し、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を加熱して該初期亀裂から亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程、及び該集光予定線に沿って該赤外光をガラス板の表面に対して相対的に移動させ、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の該伝播亀裂を、該集光予定線の終端まで伝播させる工程、を有し、ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、該ガラス部は該集光予定線に囲まれた範囲であり、該集光予定線は該接着性樹脂よりガラス板の面内側にあることを特徴とする複層ガラスの処理方法である。
以下に複層ガラスの処理方法の一例を、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の処理手順を説明する簡易図である。また、図5はX−Z面の断面図であり、説明の便宜上X−Z面と平行に設けられたスペーサー6、1次シール材4、及び2次シール材5は記載しない。また、図5では、伝播亀裂20b、30bが生じた(b)〜(e)の工程においても、初期亀裂20a、30aを便宜上記載している。しかし、実際は伝播亀裂20b、30bが生じた後、初期亀裂20a、30aと伝播亀裂20b、30bとは明確な区別が出来なくなることがあり、伝播亀裂20b、30b形成後、初期亀裂20a、30aは必ずしも目視できるものではない。尚、図5は赤外光21を線状に集光照射しているが、点状に集光照射するものでもよい。
(初期亀裂20a、30aの形成)
まず、図5の(a)に記載したように、第1のガラス板1及び第2のガラス板2の表面(X−Y面)の対向する位置にそれぞれ初期亀裂20a、30aを形成する。この初期亀裂20a、30aを形成することにより、ガラス板の強度を局所的に低下させることが可能となる。初期亀裂20a、30aは、ガラスエッジ9を含まないガラスエッジ9近傍に形成するものでもよいが、ガラスエッジ9は他の部分より潜在的に強度が低いため、作業時間の短縮のためにガラスエッジ9を含むガラス板の表面上に形成するのが好ましい。また、この時ガラス板の端面を含んでもよい。
また、初期亀裂20a、30aは線状であるのが好ましく、該線状の初期亀裂はガラスエッジ9とガラス板の集光予定線L上を含むのがより好ましい。上記のように形成することで、予定外の亀裂の伝播を防ぐことが可能である。また、上記の初期亀裂20a、30aは、ガラス板のX方向又はY方向のガラスエッジから対向する辺のガラスエッジまでに至る長さを有していても、必要最低限に数ミリ程度形成するものでもよい。
また、後述する伝播亀裂20b、30bを伝播させる工程において、第1のガラス板1及び第2のガラス板2で、同時に亀裂を伝播させることが可能である。伝播亀裂20b、30bは初期亀裂20a、30aから伝播するものであることから、作業時間を短縮するために、第1のガラス板1に形成する初期亀裂20a及び第2のガラス板2に形成する初期亀裂30aは、Z方向のマイナス側からプラス側を見た時、重なっているのが好ましい。
初期亀裂20a、30aは、簡易的にはガラスカッター等を用いて、ガラス板の表面に浅く傷をつけることで形成することが可能である。また、不必要に樹脂材の温度が上昇してガスが発生するのを防ぐために、非加熱手段を用いて初期亀裂20a、30aを形成するのが好ましい。すなわち、前記初期亀裂20a、30aを形成する工程が、ガラスエッジ9を含むガラス板の表面上を、非加熱手段を用いて加傷するものであるのが好ましい。
(伝播亀裂20b、30bの形成)
次に、該初期亀裂20a、30a近傍の集光予定線Lに、該第1のガラス板1及び該第2のガラス板2を透過する赤外光21を集光照射し、該第1のガラス板1及び該第2のガラス板2を加熱して該初期亀裂20a、30aから亀裂を伝播させた伝播亀裂20b、30bを形成する。上記のように伝播亀裂20b、30bを形成する為に赤外光を集光照射することを、以下「初期照射」と記載することもある。
まず、初期亀裂20a近傍の集光予定線Lに赤外光21を初期照射すると、図5の(b)に示したように、第1のガラス板1の初期亀裂20aがZ方向及びX方向に伝播し、伝播亀裂20bが形成される。形成される伝播亀裂20bは第1のガラス板1の全厚に亘るものであり、伝播亀裂20bは赤外光21が照射されている範囲を伝播する。また、この時、樹脂材からガスが発生しないように、1次シール材4及び2次シール材5に赤外光21を照射しないようにする。
上記のように赤外光21を初期照射することによって、ガラス板は局所的に温度が上昇し、赤外光21を初期照射していない箇所との間に温度差を生じるようになる。ここで、ガラスのような脆性材料は温度差を生じると温度が低い箇所に引っ張り応力が誘起され、この引っ張り応力が脆性材料の強度より強くなると熱割れが発生する。本発明において、伝播亀裂20b、30bが発生する原因は上記の熱割れと同様であると考えられ、初期亀裂20a、30aが起点となって亀裂が伝播すると推測される。
赤外光21は伝播亀裂30bが発生するまで固定照射する。この時、赤外光21の初期照射開始から伝播亀裂30bが発生するまでにかかる時間は、加熱源やガラス板の厚み、種類等によって異なるが、例えば第1のガラス板1の最高温度が約100〜120℃程度以上になると伝播亀裂20bを形成することが可能となる。また、伝播亀裂20b形成後も赤外光を固定照射し続けると第2のガラス板2の温度も第1のガラス板1と同様に上昇し、伝播亀裂30bを形成することが可能となる。尚、通常は赤外光21の焦点又は焦点近傍が最高温度となる。ガラス板の表面は大気中への放熱が生じ温度が僅かに下がるため、赤外光21の焦点がガラス板の表面である場合は、焦点のZプラス方向側が最高温度となる。また、上記の「固定照射」とは、赤外光21が照射される範囲に初期亀裂20a、30a近傍を含んでいればよい。例えば長尺の赤外線ランプ等を使用して必要な位置への赤外光21の照射を維持可能であれば、初期照射中に該赤外線ランプを移動させてもよい。
また、Zマイナス方向から見た時に、初期亀裂20aと初期亀裂30aとが重なっていると、赤外光21の焦点を移動させることなく集光照射を続けた場合であっても、赤外光21が第1のガラス板1を透過し、第2のガラス板2まで達して伝播亀裂30bを形成することが可能である。従って、第1のガラス板1に形成する初期亀裂20aと、第2のガラス板2に形成する初期亀裂30aとは、ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、重なっているのが好ましい。
赤外光21の焦点は、第1のガラス板1の表面から第2のガラス板2の裏面の間に設定することが好ましい。特に、スペーサー間隔が広い場合は、第1のガラス板1と第2のガラス板2を均等に加熱するために、焦点位置を中空層7に設定することが特に好ましい。
また、上記以外であっても複層ガラスの構成によっては伝播亀裂20b、30bの形成は可能であるが、焦点位置からの距離に比例して赤外光21の照射範囲は広がり、温度差に由来して発生する引っ張り応力が小さくなるため、効率の面で不利である。
また、前記ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、前記集光予定線Lとガラスエッジ9との距離が70mm以下であるのが好ましい。これは、図2の(c)に記載した距離lを指す。70mmを超えると伝播亀裂20b、30bが蛇行したり、伝播亀裂20b、30bを発生させるために行う加熱時間が長くなる場合がある。
また、前記ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、接着性樹脂と集光予定線Lとの距離が5mm以上であるのが好ましい。これは、図5の(a)に記載した距離dを指す。5mm未満だと光源との距離や種類によっては、接着性樹脂の温度が上昇しガスの抑制が不十分になることがある。
(伝播亀裂20b、30bの伝播)
次に、集光予定線Lに沿って赤外光21を相対的に移動させ、第1のガラス板1及び第2のガラス板2の伝播亀裂20b、30bを伝播させる。赤外光21を相対的に移動させるには、複層ガラス3を移動させるか、赤外光21の光源を移動させればよいが、図5の(d)に示したように赤外光21の光源を移動させるのが簡便である。
伝播亀裂20b、30bは、赤外光21の移動に伴って各ガラス板の集光予定線L上を末端まで伝播する。この時、伝播亀裂20bと30bの伝播速度は同程度である。
また、赤外光21を移動させて行くと、伝播方向の前方にガラス板の別の辺に沿う樹脂材が現れる。前述したように、本発明は、樹脂材に赤外光21を当てないものである為、図5の(e)に示したように、赤外光21の進行方向を変更する。発明者が検討を行ったところ、亀裂の伝播方向から90度曲げた位置を赤外光21で集光照射すると、線状に照射する場合でも点状に照射する場合でも、伝播亀裂20b、30bは90度曲がって伝播することが明らかとなった。この時、図に示したように、樹脂材から距離d離れた位置を赤外光21で集光照射するのが好ましい。また、各辺ごとに初期亀裂20a、30bを形成して伝播亀裂20b、30bを伝播させてもよい。
(ガラス部の分離)
上記の伝播亀裂20b、30bが集光予定線L上の終端まで伝播すると、伝播亀裂20b、30bが1周し、図5に示したように、ガラス部10と枠部11とを分離するのが可能となる。ガラス部10は、回収しカレットとしてリサイクルすることが可能である。尚、枠部11は、第1のガラス板1、第2のガラス板2、1次シール材4、2次シール材5、及びスペーサー6が接着した状態となっており、該枠部11はリサイクルに不適である為、別途処理を行う。
以下に、本発明の実施例を示す。
実施例1
フロート板ガラス(350×500mm、厚み3mm)を2枚、アルミ製のスペーサー6を介して一体化した複層ガラス3を用いた。中空層7の厚みは6mmとした。また、樹脂性接着剤としてスペーサー6とガラス板の間に1次シール材4、スペーサー6の外周に次シール材5を設けた。
また、使用した赤外線照射装置22は、赤外線スポットヒーター(出力:350W、焦点距離:19mm) ハイベック社製 型番HYS−30Wである。保持機構40としては図3、図4に示したような載置台を使用し、赤外線スポットヒーターを移動させる移動機構50を用いて、赤外光21を移動させた。この時、集光予定線Lの直下は、載置台とガラス板とが接触しないものとした。
まず、複層ガラス3を保持機構40の上に置き、第1のガラス板1及び第2のガラス板2のガラスエッジ9に、ガラスカッターを用いて加傷した。この時、第1のガラス板1は赤外線照射装置22側、第2のガラス板2は保持機構40側になっており、ガラス板のX−Y面は地面と水平になるように保持される。
形成した初期亀裂20a、30aのガラスエッジ9からの長さは50mmであり、その末端と樹脂材との距離dは39mmであった。また、初期亀裂20aと30aは、Z方向に重なるものであり、長さもほぼ同じものとした。
次に、初期亀裂20a及び30aに赤外線スポットヒーターを集光照射(m=0mm、l=50mm)し、伝播亀裂20b、30bを発生させた。この時、焦点は第1のガラス板1の赤外線照射装置22側のX−Y面上とし、赤外光21が初期亀裂20aの末端を照射するようにした。伝播亀裂20bは照射開始から19秒程度で生じ、伝播亀裂30bはその約7秒後に生じた。
次に、移動機構50を操作して赤外光21を移動させ、集光予定線L上を集光照射した。また、複層ガラス3のコーナー部は赤外線スポットヒーターの移動方向を90度変更させ、連続的に赤外光21を集光照射した。
次に、集光予定線Lの末端まで赤外光21を集光照射した後、枠部11とガラス部10が分離した。ガラス部10は樹脂等の付着がないものだった。
また、接着性樹脂に赤外光21を照射しなかったため、揮発性ガスを発生させることなく、ガラス部10を得ることができた。得られたガラス部10を回収ボックスへ回収し、破砕してカレットとした。
実施例2
フロート板ガラス(350×500mm、厚み3mm)を2枚、アルミ製のスペーサー6を介して一体化した複層ガラスを用いた。中空層7の厚みは16mmとした。また、樹脂性接着剤としてスペーサー6とガラス板の間に1次シール材4、スペーサー6の外周に次シール材5を設けた。
また、使用した赤外線照射装置22は、赤外線ラインヒーター(出力:2100W、有効発光長:120mm、焦点距離:25mm) ハイベック社製 型番HYL25−12Nである。載置台は実施例1と同様のものを用いた。
また、実施例1と同様に、複層ガラス3を保持機構40の上に置き、第1のガラス板1及び第2のガラス板2のガラスエッジ9に、ガラスカッターを用いて加傷した。
形成した初期亀裂20a、30aのガラスエッジ9からの長さは20mmであり、その末端と樹脂材との距離dは9mmであった。また、初期亀裂20aと30aは、Z方向に重なるものであり、長さもほぼ同じものとした。
次に、初期亀裂20a及び30aに赤外線ラインヒーターを集光照射(m=0mm、l=20mm)し、伝播亀裂20b、30bを発生させた。この時、焦点は第1のガラス板1の赤外線照射装置22側のX−Y面上とし、赤外光21が初期亀裂20aの末端を照射するようにした。伝播亀裂20bは照射開始から16秒程度で生じ、伝播亀裂30bはその約10秒後に生じた。
次に、移動機構50を操作して赤外光21を移動させ、集光予定線L上を集光照射した。また、複層ガラス3のコーナー部は赤外線ラインヒーターの進行方向を90度変更させ、連続的に赤外光21を集光照射した。
次に、集光予定線Lの末端まで赤外光21を集光照射した後、枠部11とガラス部10が分離した。ガラス部10は樹脂等の付着がないものだった。また、揮発性ガスの発生も無かった。得られたガラス部10を回収ボックスへ回収し、破砕してカレットとした。
実施例3
初期亀裂20a、30aのガラスエッジ9からの長さを30mm、その末端と樹脂材との距離dを9mm、初期亀裂20aの末端と初期照射位置との距離mを20mmとした他は実施例2と同様の方法で、赤外光21を集光照射(l=50mm)した。
伝播亀裂20bは照射開始から20秒程度で生じ、伝播亀裂30bはその約10秒後に生じた。
次に、移動機構50を操作して赤外光21を移動させ、集光予定線L上を集光照射した。また、複層ガラス3のコーナー部は赤外線ラインヒーターの進行方向を90度変更させ、連続的に赤外光21を集光照射した。
次に、集光予定線Lの末端まで赤外光21を集光照射した後、枠部11とガラス部10が分離した。ガラス部10は樹脂等の付着がないものだった。また、揮発性ガスの発生も無かった。得られたガラス部10を回収ボックスへ回収し、破砕してカレットとした。
実施例4
赤外光21の焦点のZ方向位置を、第1のガラス板1の最上面(赤外線照射側のX−Y面)からZプラス方向に8mmの位置(中空層7内部)にした他は実施例2と同様の方法で、赤外光21を集光照射した。
伝播亀裂20bは照射開始から7秒程度で生じ、伝播亀裂30bはその約13秒後に生じた。
次に、移動機構50を操作して赤外光21を移動させ、集光予定線L上を集光照射した。また、複層ガラス3のコーナー部は赤外線ラインヒーターの進行方向を90度変更させ、連続的に赤外光21を集光照射した。
次に、集光予定線Lの末端まで赤外光21を集光照射した後、枠部11とガラス部10が分離した。ガラス部10は樹脂等の付着がないものだった。また、揮発性ガスの発生も無かった。得られたガラス部10を回収ボックスへ回収し、破砕してカレットとした。
比較例1
1次シール材4の真上(Zマイナス方向)の第1のガラス板1におけるX−Y面上を、赤外線照射装置22の焦点とした他は、実施例2と同様の方法で、赤外光21を集光照射した。集光照射開始から約8秒後にガスの発生が見られ、本発明には適さないことがわかった。
比較例2
初期亀裂20a、30aを形成しない他は、実施例2と同様の方法で、赤外光21を集光照射した。集光照射開始から約38秒後にガラスエッジ9より亀裂が発生したが、発生した亀裂が分岐し、一部のガラス片で接着性樹脂が付着した状態で脱落し、本発明には適さないことが分かった。
これは、実施例1、2よりも赤外光21を照射する時間が長くなったことにより、赤外光21を照射した箇所とガラスエッジ9との温度差が大きくなり、温度差の発生によってガラスエッジ9に生じる引っ張り応力が過度に大きくなった事から、亀裂の伝播方向を調整出来なくなったためと推察される。
L:集光予定線、1:第1のガラス板、2:第2のガラス板、3:複層ガラス、4:1次シール材、5:2次シール材、6:スペーサー、7:中空層、8:乾燥剤2、9:ガラスエッジ、10:ガラス部、11:枠部、20a,30a:初期亀裂、20b,30b:伝播亀裂、21:赤外光、22:赤外線照射装置、40:保持機構、50:移動機構、51:フレーム、52:スライダ、53:ロッド、54:移動部、55:回転部、56:搬送レール、57:スライダ

Claims (8)

  1. 対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスから、ガラス部を該接着性樹脂と分離して該ガラス部を回収する複層ガラスの処理方法において、
    該第1のガラス板及び該第2のガラス板の、ガラスエッジ又はガラスエッジ近傍を含む表面にそれぞれ初期亀裂を形成する工程、
    該初期亀裂近傍の集光予定線に、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を透過する赤外光を集光照射し、該第1のガラス板及び該第2のガラス板を加熱して該初期亀裂から亀裂を伝播させた伝播亀裂を形成する工程、及び
    該集光予定線に沿って該赤外光をガラス板の表面に対して相対的に移動させ、該第1のガラス板及び該第2のガラス板の該伝播亀裂を、該集光予定線の終端まで伝播させる工程、を有し、
    ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、該ガラス部は該集光予定線に囲まれた範囲であり、該集光予定線は該接着性樹脂よりガラス板の面内側にあることを特徴とする複層ガラスの処理方法。
  2. 前記ガラス板の対向面を垂直方向から見た時、前記集光予定線とガラスエッジとの距離が70mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複層ガラスの処理方法。
  3. 赤外光の焦点は、第1のガラス板1の表面から第2のガラス板2の裏面の間に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複層ガラスの処理方法。
  4. 前記赤外光の光源が、線状に集光照射するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の複層ガラスの処理方法。
  5. 対向する第1のガラス板及び第2のガラス板が、該ガラス板の周辺部に付着した接着性樹脂を介して一体化した複層ガラスを保持する保持機構と、
    赤外光を集光照射する赤外線照射装置と、
    該赤外線照射装置を集光予定線に対して相対的に移動させる移動機構と、を備える複層ガラスの処理装置。
  6. ガラスエッジを始端として、前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板の表面上を非加熱手段によって加傷する、加傷機構を備えることを特徴とする請求項5に記載の複層ガラスの処理装置。
  7. 前記移動機構は回転部を有し、該回転部は前記赤外線照射装置、又は複層ガラスを載置する載置台が固定されるものであり、該回転部が回転することによって、該赤外光の移動方向を変えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の複層ガラスの処理装置。
  8. 前記赤外線照射装置が、赤外線スポットヒーター又は赤外線ラインヒーターであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の複層ガラスの処理装置。
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