JP2017074558A - トリチウムの除去装置及び除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染水からトリチウム水を効率よく分離し、もって汚染水からトリチウムを除去する装置及び方法を提供する。
【解決手段】トリチウム水を含有する汚染水を散布する散水器2と、冷媒が流通する製氷コイル3からなる冷却面を有する装置であって、製氷コイル3の冷却面をトリチウム水が凍結して付着する温度に調整し、この冷却面又は冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を汚染水が流下することにより凍結トリチウム水が生成され、もって汚染水からトリチウム水が分離されることで汚染水からトリチウムを除去する方法。
【選択図】図1
【解決手段】トリチウム水を含有する汚染水を散布する散水器2と、冷媒が流通する製氷コイル3からなる冷却面を有する装置であって、製氷コイル3の冷却面をトリチウム水が凍結して付着する温度に調整し、この冷却面又は冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を汚染水が流下することにより凍結トリチウム水が生成され、もって汚染水からトリチウム水が分離されることで汚染水からトリチウムを除去する方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子力発電所内で発生する汚染水や、今後の廃炉作業で発生する放射性核種を含んだ排水など(以下においては特段の記載がない限りこれらを総称して「汚染水」という。)から、現行の多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System。以下、「ALPS」という。)で除去することができないトリチウムを除去するための装置及び方法に関する。
現在、原子炉建屋内に滞留している汚染水は、複数の浄化設備で処理されている。通常、まず既設の水処理設備で汚染水中に含まれる油分、セシウム及びストロンチウムの濃度を低減し、その後、ALPSにて処理する。ALPSにおいては、汚染水は前処理として鉄共沈処理設備、炭酸塩共沈設備にて処理され、次に吸着剤交換式及びカラム式の吸着塔にて処理される。これらの処理により汚染水から62核種の放射性物質が取り除かれ、処理済み水としてタンク等で貯蔵される。また、処理により取り除かれた放射性物質は高性能容器にて一時保管施設へ輸送され貯蔵される。
ところが、汚染水に含まれるトリチウムについては、多くが水素の同位体として水(T2O、HTO)の形態で存在するため、分離が困難であり、現在のところ有効な分離・除去手段が存しない。そのため、取り除かれる上記62核種の放射性物質にはトリチウムは含まれておらず、上記処理済み水はトリチウムが含有されたままタンク等で貯蔵されているのが現状である(以上につき、非特許文献1参照)。
このように、現在、汚染水からトリチウムを除去するための技術が強く望まれている。
トリチウム水を分離除去するための装置・方法として、特許文献1に記載の発明が提案されている。これは、トリチウム水の凝固点を4.49℃(セ氏温度。以下の温度表示につき同じ。)と捉え、逆円錐形の収集容器をこの温度に冷却して上部開口からトリチウム水を含む軽水を注ぎ、収集容器の内壁面でトリチウム水を凍結させ、凝固点が0℃である軽水と分離し、収集容器の内壁面に凍結したトリチウム水につき、前記収集容器を加熱することによって融解させるというものである。
しかしながら、汚染水にはトリチウムだけでなく多数の放射性核種や物質が含まれており、また汚染水の水H2Oに含まれるT2O、HTOの含有量はごく微量であって、汚染水につき単に液体の凝固点の違いのみを利用してトリチウムを凍結分離しようとしても、生成される氷にHTO分子は必ずしも十分に取り込まれない反面、トリチウム以外の放射性物質や汚損物質が氷中へ取り込まれてしまい、充分な効果を得ることはできない。
一方、トリチウム水を含む軽水からトリチウム水を効率的に分離除去することを目的とした特許文献2が提案されている。これは、トリチウム水の凝固点よりも低い温度(4℃程度)の凍結槽2でトリチウム水を含む汚染水を冷却してトリチウム水の結晶を層状に析出させた後、これを一旦物理的に除去してから、更に所定の分離手段を用いて凍結トリチウム水の結晶を分離するというものである(明細書段落[0029]〜[0033]、請求項1など)。
特許文献2の発明では、上記のとおりトリチウム水の結晶を層状に析出させた後、更に分離手段を用いて凍結トリチウム水の結晶と軽水とに分離させる必要がある。また実際上は、トリチウム水の結晶を物理的に除去した後に、更に熟成槽3でトリチウム水の結晶を成長させ、凍結トリチウム水の結晶と軽水との分離を促進させるのが好ましいものとされている(明細書段落[0015]、[0034]以下、図1など)。特許文献2の発明は、これらの異なる工程を同時並行的に行うことで効率化を図るものであるが(明細書段落[0024])、工程数自体が多いものとならざるを得ない。また、特許文献2においては汚染水を単に供給管路6から凍結槽2に供給して凍結させるが、かかる静置槽で汚染水を単に所定の温度で冷却しても、後述のとおりトリチウム水を高濃度で凍結させることはできない。
http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/alps/index-j.html 汚染水の浄化処理
従来技術、先行技術においては、そもそも汚染水からトリチウム水を適切ないし十分に分離できず、またそのため、トリチウムを最終的に除去するまでに(同時並行的であれ)複数の異なる工程を要しているものと考えられる。本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、汚染水からトリチウム水を効率よく分離する装置及び方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、トリチウムを含む汚染水を所定の温度により緩やかな速度で凍結させながらトリチウム水を含んだ氷を徐々に成長させることで、氷中へのHTO分子の取り込みを増大させるとともに、凍結界面を洗浄しつつ氷を成長させることで、トリチウム以外の放射性物質や汚損物質の氷中への取り込みを低減させ、もってトリチウム濃度の高い氷を生成することによって、汚染水からトリチウム水を分離するとの技術的思想に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、第1の側面として、トリチウム水を含有する汚染水を散布する散水器と、冷媒が流通する製氷コイルであって、冷却面を有し、前記散水器から散布され該冷却面に付着した汚染水を冷却する製氷コイルと、前記散水器及び前記製氷コイルの下方に配置され、凍結せず落下する汚染水を受容する貯水槽とを備え、前記製氷コイルの冷却面はトリチウム水が凍結して付着する温度に調整可能であり、前記散水器から散布された汚染水が前記製氷コイルの冷却面又は該冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を流下することにより凍結トリチウム水が生成され、もって前記汚染水からトリチウム水が分離されることで汚染水からトリチウムを除去するように構成したことを特徴とするトリチウムの除去装置を提供する。
第2の側面として、隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された前記トリチウムの除去装置を提供する。
第3の側面として、前記貯水槽に受容された汚染水が前記散水器から再度散布されるように構成した前記いずれかのトリチウムの除去装置を提供する。
第4の側面として、トリチウム水を含有する汚染水を散水器により製氷コイルに向けて散布する工程と、前記散水器から散布され前記製氷コイルに付着した汚染水を冷却する工程であって、該製氷コイルの冷却面においてトリチウム水が凍結する温度で前記付着した汚染水を冷却し、前記冷却面又は該冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を汚染水が流下しながら凍結トリチウム水を生成する工程とを有し、前記凍結トリチウム水が生成されることにより前記汚染水からトリチウム水が分離され、もって汚染水からトリチウムを除去するものとしたことを特徴とするトリチウムの除去方法を提供する。
第5の側面として、隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された前記トリチウムの除去方法を提供する。
第6の側面として、前記散水器から散布されたが凍結せずに前記製氷コイルより下に落下した汚染水が受容され、これが前記散水器から再度散布される工程を有する前記いずれかのトリチウムの除去方法を提供する。
第2の側面として、隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された前記トリチウムの除去装置を提供する。
第3の側面として、前記貯水槽に受容された汚染水が前記散水器から再度散布されるように構成した前記いずれかのトリチウムの除去装置を提供する。
第4の側面として、トリチウム水を含有する汚染水を散水器により製氷コイルに向けて散布する工程と、前記散水器から散布され前記製氷コイルに付着した汚染水を冷却する工程であって、該製氷コイルの冷却面においてトリチウム水が凍結する温度で前記付着した汚染水を冷却し、前記冷却面又は該冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を汚染水が流下しながら凍結トリチウム水を生成する工程とを有し、前記凍結トリチウム水が生成されることにより前記汚染水からトリチウム水が分離され、もって汚染水からトリチウムを除去するものとしたことを特徴とするトリチウムの除去方法を提供する。
第5の側面として、隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された前記トリチウムの除去方法を提供する。
第6の側面として、前記散水器から散布されたが凍結せずに前記製氷コイルより下に落下した汚染水が受容され、これが前記散水器から再度散布される工程を有する前記いずれかのトリチウムの除去方法を提供する。
なお、本発明において凍結トリチウム水とは、トリチウム水(HTO)分子が氷相に取り込まれている氷を意味する。
本発明によれば、氷中へのHTO分子の取り込みを増大させつつ、トリチウム以外の放射性物質等の氷中への取り込みを低減させることによって、トリチウム濃度の高い氷を生成することができる。そのため、汚染水からトリチウム水を効率よく分離することができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるトリチウムの除去装置の概略構成を示す図である。このトリチウムの除去装置1は、散水器2と、製氷コイル3と、その下方に配置される貯水槽4とを備える。
汚染水に含有されるトリチウムは、上記のとおり水素原子がトリチウムに置き換わったT2O、HTOの形態で、水(H2O)に対する異物として存在する。ここで、T2Oのトリチウム水の氷点は約4.45℃であるが、これは、水と混合すると直ちにHTOのトリチウム水に変わると考えられる。そして、その場合の氷点は約2.23℃となる。本発明においては、この氷点(約2.23℃)と、純水の氷点0℃との差を利用する。すなわち、汚染水の水(H2O)に含まれるT2O、HTOの含有量はごく微量であるが、汚染水を冷却し、氷が生成される初期段階において氷点の高いT2O、HTOにつき、H2Oを主体とする氷に取り込めば、汚染水からこれらを効率よく分離することが可能となる。本発明の装置は、これに適したものとなるように構成する。
散水器2は、トリチウム水を含有する汚染水を後述の製氷コイル3に散布するものであり、例えば製氷コイル3の一部でなく全体に散布されるようにするなど、汚染水を製氷コイル3に付着させるのに適した構成とする。ただ、散水器自体は公知のものを用いてもよく、例えば公知の散水パン、散水ノズルなどを用いることができる。
散水器2は製氷コイル3及び貯水槽4よりも上方に設ける。ただし、散水器は後述のように汚染水を製氷コイルに付着させるためにこれを散布するものであるため、製氷コイルとの関係では必ずしも上方でなくともよく、製氷コイルの位置する高さや製氷コイルより下方であっても、汚染水を製氷コイルに付着させることができればよい。
本実施形態においては、原子力発電所などの汚染水供給源5から供給される汚染水を貯める汚染水槽6を設ける。この汚染水槽が汚染水供給路7を介して散水器2に接続され、汚染水槽内の汚染水が汚染水供給路7を通って散水器2に供給されて散布される。汚染水供給路7には、汚染水を供給するためのポンプ8や汚染水の供給量を調整するためのバルブ(図示せず)を適宜設けることができる。汚染水槽には、槽内の水を排出するための排出路、バルブなどを適宜設けることができる。
製氷コイル3は、散水器2から散布された汚染水が付着して冷却される箇所(冷却面12、図2参照)を有する。製氷コイルの冷却は一般的な製氷コイルと同様に冷媒を流通させて行うことができ、冷却面を所望の温度に冷却できるように構成する。本実施形態においては、冷媒11を供給するための熱源機として冷凍機9が冷媒供給ポンプ10を介して製氷コイル3に接続されている。熱源機はブラインチラータイプ、直膨タイプ等を用いることができる。
製氷コイルの冷却面の温度は、HTOのトリチウム水の氷点が約2.23℃であることを考慮して適宜設定することができる。
本発明においては、上記のとおりトリチウム水の氷点と純水の氷点の違いを利用して凍結トリチウム水(トリチウム水の氷)を生成させるが、トリチウムを該氷に取り込むには、生成される氷の表面に汚染水が更に接触する機会を増やすのが有効である。ここで、製氷においては、一般に(1)円管外面製氷、(2)円管内面製氷、(3)平板上製氷の3つの方式が考えられるところ、氷と水の接触表面積は、氷の成長とともに、(3)平板上製氷では変化せず、(2)円管内面製氷では表面積が減少する。一方、(1)円管外面製氷では氷の成長とともに氷の表面積が増大する。以上から、(1)円管外面製氷によれば、汚染水と氷の表面のとの接触機会を多くすることが可能となるため、本発明では円管外面製氷とし、(平板等でなく)円管状である製氷コイルの外面に冷却面を有するように構成するのが好適である。
散水器2から散布された汚染水は、製氷コイル3の冷却面に付着する。冷却面は、トリチウム水が凍結する温度に設定されているため、凍結トリチウム水を生成することが可能となる。
本発明においてより重要なのは、汚染水が単に上記温度で冷却されるのではなく、凍結トリチウム水が徐々に(緩やかな速度で)生成されていくように構成する点である。一般に、水溶液は凝固(凍結)するときにその氷中に不純物が取り込まれず、不純物は残された溶液中に排除されながら氷結晶が成長していくとの性質を有する。氷は不純物を押し出すように分離しながら成長し、この成長速度が速くなると分離した不純物を氷の結晶と結晶の間に取り込むこととなり、成長速度が遅くなるとこの不純物の取り込みが無い氷が生成される。本発明においては、かかる自然現象・自然法則を利用する。すなわち、本発明では製氷コイルの冷却面を所定の低温の冷媒又はブラインで冷却し、散布された汚染水はこの冷却面を滴下し、流下しながら冷却される。この温度を例えば冷却面でH2Oが凍結する程度に設定すると、H2Oよりも氷点の高いトリチウム水は氷に効率よく取り込まれ又は吸着されつつ、その氷は緩やかな速度で成長し、トリチウム以外の放射性物質等の不純物は氷から界面に押し出されるものとなる。なお、H2OとHTOは物性が近く、HTOは異物とならずに氷に取り込まれ易いことも利用され得る。
ところで、上記のようにして生成される氷により押し出された(図2の矢印17参照。)トリチウム以外の放射性核種等の不純物の濃度は、界面で非常に高いものとなる。そのままの状態で氷が成長すると、結局不純物が氷に取り込まれやすいものとなる。本発明においては、図2に示されるように、製氷コイル3の冷却面12に生成される凍結トリチウム水の表面に、散水器2から継続又は断続して散布される汚染水15が更に付着して流下し、この流下に伴い、凍結トリチウム水(トリチウム水の氷)の界面14が矢印16で示すように緩やかに移動する。これにより氷13から界面14に押し出された他の放射性核種等の不純物25が洗い流される。このようにして、不純物が氷に取り込まれることが低減される結果、より高濃度の凍結トリチウム水が生成されることとなる。
図3(a)(b)(c)は図1とは異なる方向から本装置、特に製氷コイルを見た場合の例を簡略して示すものであり、製氷コイルを水平方向に配した場合の垂直(縦)方向断面図である。上記のとおり、本発明は汚染水を製氷コイルの冷却面又はそこに生成された氷の表面に流下させるものであり、汚染水が氷の表面に接触する機会を増やすことにより、凍結トリチウム水が効率よく生成される。そこで、製氷コイル3につき各段を、図3(a)に示されるようないわば碁盤目状に整列させるのではなく、互い違いとなるようずらして(垂直断面方向からみてずれるように)配置するのが好ましい。例えば、隣り合う製氷コイルを、図3(b)に示されるように垂直方向又は水平方向にずらし、いわば千鳥状に配置したり、図3(c)に示されるように不規則に配置すると、上方の製氷コイルで凍結せずに落下したり製氷コイルに衝突して飛散したりした汚染水がその下に位置する製氷コイルに接触することとなるため、バイパスを生じず、効率的に汚染水を冷却面又は氷に接触させることが可能となり、好適である。
製氷コイルを図3(b)の配置とした場合に氷13が製氷コイル3の冷却面に付着し成長した状態を図4に示す。矢印24は汚染水が流下する方向を示す。
汚染水が氷の表面に接触する機会を増やすため、汚染水は均一かつ大量に氷の表面を流下するのが好ましい。例えば、外径15.8mmの製氷コイルの場合、汚染水の散布量が5L/min・m以上、好ましくは10L/min・m以上とする。
製氷コイルの下方には、散水器から散布され、製氷コイルによって凍結せず落下した汚染水を受容する貯水槽が備えられる。
この貯水槽に受容された汚染水を、循環用ポンプや配管を用いて循環させ、散水器から再度散布されるように構成することができる。製氷コイルによって凍結せず落下した汚染水の循環を繰り返すことにより、製氷コイルの冷却面に更に高濃度の凍結トリチウム水を生成することが可能である。換言すれば、汚染水を循環させることにより、汚染水中のトリチウムの除去が繰り返され、汚染水におけるトリチウムの濃度は低下する。
本実施形態においては、散水器2及び製氷コイル3の下方に配された貯水槽4が、汚染水返送路19を介して汚染水槽6に接続される。これにより、汚染水を循環させることが可能となる。
凍結トリチウム水の生成量が所定の量に達した場合、例えば汚染水の1%〜20%程度となった時点で、汚染水の散布を止める。貯水槽4に貯められた汚染水を汚染水槽6に送り、貯水槽4を空にする。そして、製氷コイル内の冷媒の流通を停止して自然解凍させ、又は製氷コイル内に熱媒を流通させて、解氷水を得る。この解氷水にはトリチウムが濃縮されているため、保管処理する。
本実施例においては、解氷水(濃縮トリチウム水)を回収するための濃縮トリチウム水回収槽20を設けている。濃縮トリチウム水回収槽は、濃縮トリチウム水供給路21を介して貯水槽4に接続される。製氷コイル3に付着した凍結トリチウム水は解氷すると貯水槽4に落下し、濃縮トリチウム水供給路21を通り濃縮トリチウム水回収槽20へ供給される。
濃縮トリチウム水回収槽20と散水器2を接続する濃縮トリチウム水供給路22を設けてもよい。解氷され濃縮トリチウム水回収槽20に供給された濃縮トリチウム水を、濃縮トリチウム水供給路22から散水器2に返送し、散水器2から製氷コイル3に向けて散水し、これを繰り返す(解氷した濃縮トリチウム水を循環させる)と、製氷コイル3において凍結している氷の解氷を早めることが可能となる。
濃縮トリチウム水回収槽20には、槽内の水を排出するための排出路、バルブなど(図示せず)を適宜設けることができる。
汚染水返送路19、濃縮トリチウム水供給路21には、返送される汚染、解氷された濃縮トリチウム水を、汚染水槽6、濃縮トリチウム水回収槽20に分岐する自動弁18をそれぞれ設ける。
本発明によれば、氷中へのHTO分子の取り込みを増大させつつ、トリチウム以外の放射性物質や汚染物質の氷中への取り込みを低減させることによって、トリチウム濃度の高い氷を生成することができるので、汚染水からトリチウム水を効率よく分離することができる。かかる技術はこれまで模索されていた汚染水からのトリチウム分離に新たな知見をもたらし、汚染水の処理を飛躍的に改善させるものであり、本発明の産業上の利用可能性は極めて大きい。
1 トリチウムの除去装置
2 散水器
3 製氷コイル
4 貯水槽
5 汚染水供給源
6 汚染水槽
7 汚染水供給路
8 ポンプ
9 冷凍機
10 冷媒供給ポンプ
11 冷媒
12 冷却面
13 氷
14 凍結界面
15 汚染水
16 界面の動きを示す矢印
17 氷の成長(トリチウム以外の放射性核種等を押し出す方向)を示す矢印
18 自動弁
19 汚染水返送路
20 濃縮トリチウム水回収槽
21 濃縮トリチウム水供給路
22 濃縮トリチウム水供給路
23 ポンプ
24 汚染水が流下する方向
25 不純物
2 散水器
3 製氷コイル
4 貯水槽
5 汚染水供給源
6 汚染水槽
7 汚染水供給路
8 ポンプ
9 冷凍機
10 冷媒供給ポンプ
11 冷媒
12 冷却面
13 氷
14 凍結界面
15 汚染水
16 界面の動きを示す矢印
17 氷の成長(トリチウム以外の放射性核種等を押し出す方向)を示す矢印
18 自動弁
19 汚染水返送路
20 濃縮トリチウム水回収槽
21 濃縮トリチウム水供給路
22 濃縮トリチウム水供給路
23 ポンプ
24 汚染水が流下する方向
25 不純物
Claims (6)
- トリチウム水を含有する汚染水を散布する散水器と、
冷媒が流通する製氷コイルであって、冷却面を有し、前記散水器から散布され該冷却面に付着した汚染水を冷却する製氷コイルと、
前記散水器及び前記製氷コイルの下方に配置され、凍結せず落下する汚染水を受容する貯水槽とを備え、
前記製氷コイルの冷却面はトリチウム水が凍結して付着する温度に調整可能であり、
前記散水器から散布された汚染水が前記製氷コイルの冷却面又は該冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を流下することにより凍結トリチウム水が生成され、もって前記汚染水からトリチウム水が分離されることで汚染水からトリチウムを除去するように構成したことを特徴とするトリチウムの除去装置。
- 隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された請求項1に記載のトリチウムの除去装置。
- 前記貯水槽に受容された汚染水が前記散水器から再度散布されるように構成した請求項1又は2に記載のトリチウムの除去装置。
- トリチウム水を含有する汚染水を散水器により製氷コイルに向けて散布する工程と、
前記散水器から散布され前記製氷コイルに付着した汚染水を冷却する工程であって、該製氷コイルの冷却面においてトリチウム水が凍結する温度で前記付着した汚染水を冷却し、前記冷却面又は該冷却面に付着した凍結トリチウム水の表面を汚染水が流下しながら凍結トリチウム水を生成する工程とを有し、
前記凍結トリチウム水が生成されることにより前記汚染水からトリチウム水が分離され、もって汚染水からトリチウムを除去するものとしたことを特徴とするトリチウムの除去方法。
- 隣り合う前記製氷コイルが垂直断面方向からみてずらされて配置された請求項4に記載のトリチウムの除去方法。
- 前記散水器から散布されたが凍結せずに前記製氷コイルより下に落下した汚染水が受容され、これが前記散水器から再度散布される工程を有する請求項4又は5に記載のトリチウムの除去方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019025452A (ja) * | 2017-08-02 | 2019-02-21 | 株式会社東芝 | 同位体分離装置および同位体分離方法 |
WO2020085046A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2020-04-30 | 洋文 太田 | トリチウム含有水からのトリチウム水分離除去方法及び装置 |
JP7093443B1 (ja) * | 2021-04-16 | 2022-06-29 | 新日本空調株式会社 | 凍結濃縮方法 |
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JPWO2020085046A1 (ja) * | 2018-10-26 | 2021-02-15 | 洋文 太田 | トリチウム含有水からのトリチウム水分離除去方法及び装置 |
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