JP2017074194A - 画像処理装置及びx線診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】造影画像の補正を容易にすることを可能にするX線診断装置を提供すること。【解決手段】実施の形態の画像処理装置は、取得機能と、補正機能とを備える。取得機能は、造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値の造影剤の各濃度と前記造影剤の投影方向の厚みに基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。補正機能は、補正情報を用いて、造影画像を補正する。【選択図】図1

Description

本発明の実施の形態は、画像処理装置及びX線診断装置に関する。
従来、X線診断装置においては、例えばヨード(iodine)を主成分とする造影剤を用いた血管内インターベンション(intervention)治療が行われている。この血管内インターベンション治療においては、X線診断装置によって収集されたX線画像から被検体内の造影剤濃度を推定する場合がある。例えば、虚血性心疾患における心臓冠状動脈のインターベンション治療の手技中に組織へ流れ込む造影剤の灌流(perfusion)を評価することで、予後を良くすることができると知られており、2次元の血管造影画像で灌流を測定する試みが提案されている。
ここで、X線診断装置においては、散乱線やビームハードニングなどにより2次元画像の輝度値と造影剤濃度とが比例関係を示さない。従って、2次元の血管造影画像での灌流の測定を精度よく行おうとした場合、輝度値と造影剤濃度とが比例するような補正を行うことが求められる。このような補正の手法としては、例えば、造影画像の収集時に事前にキャリブレーションを行う手法や、ファントムを用いて補正を行う手法などが知られている。しかしながら、上述した従来技術では、事前に複雑なキャリブレーションが必要であったり、ファントムを準備することが必要であったりするため手間がかかり、さらに、収集済みの造影画像に対しては補正処理が困難であった。
特開2008−136800号公報 特開2012−115651号公報 特開2015−142719号公報
本発明が解決しようとする課題は、造影画像の補正を容易にすることを可能にする画像処理装置及びX線診断装置を提供することである。
実施の形態の画像処理装置は、取得部と、補正部とを備える。取得部は、造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値の造影剤の各濃度と前記造影剤の投影方向の厚みに基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた前記造影画像の輝度値の補正情報を取得する。補正部は、前記補正情報を用いて、前記造影画像を補正する。
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示す図である。 図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置の処理の概要を説明するための図である。 図3は、第1の実施形態に係るX線について説明するための図である。 図4は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤による補正曲線の推定処理を説明するための図である。 図5は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤による補正曲線の推定処理を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤による補正曲線の推定処理を説明するための図である。 図7は、第1の実施形態に係る補正機能による処理を模式的に示す図である。 図8は、第1の実施形態における補正処理を行った場合の一例を示す図である。 図9は、第1の実施形態に係る算出機能による処理の一例を説明するための図である。 図10Aは、第1の実施形態に係るインジェクターによって注入される造影剤を説明するための図である。 図10Bは、第1の実施形態に係るインジェクターによって注入される造影剤を説明するための図である。 図11Aは、第1の実施形態に係る造影剤濃度の変化例を示す図である。 図11Bは、第1の実施形態に係る造影剤濃度の変化例を示す図である。 図12は、第1の実施形態に係る複数の濃度の造影剤による補正曲線の算出処理を説明するための図である。 図13は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤によって推定された補正曲線を用いた補正処理の手順を示すフローチャートである。 図14は、第1の実施形態に係る複数の濃度の造影剤によって推定された補正曲線を用いた補正処理の手順を示すフローチャートである。 図15は、第2の実施形態に係る記憶回路によって記憶される情報を模式的に示す図である。 図16は、第3の実施形態に係る取得機能による処理の一例を説明するための図である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、高電圧発生器11と、X線管12と、コリメータ13と、天板14と、Cアーム15と、X線検出器16とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、Cアーム回転・移動機構17と、天板移動機構18と、Cアーム・天板機構制御回路19と、絞り制御回路20と、処理回路21と、入力回路22と、ディスプレイ23とを備える。また、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、画像データ生成回路24と、記憶回路25と、画像処理回路26とを備える。また、X線診断装置100は、インジェクター30と接続される。そして、X線診断装置100は、図1に示すように、各回路が相互に接続され、各回路間で種々の電気信号を送受信したり、インジェクター30と電気信号を送受信したりする。
インジェクター30は、被検体Pに挿入されたカテーテルから造影剤を注入するための装置である。ここで、インジェクター30からの造影剤注入は、後述する処理回路21を介して受信した注入指示に従って実行される。具体的には、インジェクター30は、後述する処理回路21から受信する造影剤の注入開始指示や、注入停止指示、さらに、注入速度などを含む造影剤注入条件に応じた造影剤注入を実行する。なお、インジェクター30は、操作者が直接インジェクター30に対して入力した注入指示に従って注入開始や、注入停止を実行することも可能である。また、インジェクター30は、濃度を変化させながら造影剤を注入することも可能である。例えば、インジェクター30は、異なる濃度の造影剤をそれぞれ注入することで造影剤の濃度を変化させたり、単一の濃度の造影剤に対して所定の希釈率となるように水を加えることで造影剤の濃度を変化させたりすることができる。
図1に示すX線診断装置100においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路25へ記憶されている。Cアーム・天板機構制御回路19、絞り制御回路20、処理回路21、画像データ生成回路24、及び、画像処理回路26は、記憶回路25からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
高電圧発生器11は、処理回路21による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管12に供給する。X線管12は、高電圧発生器11から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
コリメータ13は、絞り制御回路20による制御の下、X線管12が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。例えば、コリメータ13は、スライド可能な4枚の絞り羽根を有する。コリメータ13は、絞り制御部20による制御の下、これらの絞り羽根をスライドさせることで、X線管12が発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。天板14は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置100に含まれない。
X線検出器16は、被検体Pを透過したX線を検出する。例えば、X線検出器16は、マトリックス状に配列された検出素子を有する。各検出素子は、被検体Pを透過したX線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積した電気信号を画像データ生成回路24に送信する。
Cアーム15は、X線管12、コリメータ13及びX線検出器16を保持する。X線管12及びコリメータ13とX線検出器16とは、Cアーム15により被検体Pを挟んで対向するように配置される。なお、図1では、X線診断装置1がシングルプレーンの場合を例に挙げて説明しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、バイプレーンの場合であってもよい。
Cアーム回転・移動機構17は、Cアーム15を回転及び移動させるための機構であり、天板移動機構18は、天板14を移動させるための機構である。Cアーム・天板機構制御回路19は、処理回路21による制御の下、Cアーム回転・移動機構17及び天板移動機構18を制御することで、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。絞り制御回路20は、処理回路21による制御の下、コリメータ13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
画像データ生成回路24は、X線検出器16によってX線から変換された電気信号を用いて画像データを生成し、生成した画像データを記憶回路25に格納する。例えば、画像データ生成回路24は、X線検出器16から受信した電気信号に対して、電流・電圧変換やA(Analog)/D(Digital)変換、パラレル・シリアル変換を行い、画像データを生成する。一例を挙げると、画像データ生成回路24は、造影剤が注入されていない状態で撮像された画像データ(マスク画像)及び造影剤が注入された状態で撮像された画像データ(コントラスト画像)を生成する。そして、画像データ生成回路24は、生成したマスク画像及びコントラスト画像を記憶回路25に格納する。ここで、画像データ生成回路24は、同一被検体に対して注入する造影剤の濃度を変化させながらそれぞれ撮像された複数のコントラスト画像を生成し、記憶回路25に格納することもできる。
記憶回路25は、画像データ生成回路24によって生成された画像データを受け付けて記憶する。例えば、記憶回路25は、造影剤が投与される前後の被検体Pの画像データを記憶する。また、記憶回路25は、図1に示す各回路によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。一例を挙げると、記憶回路25は、処理回路21によって読み出されて実行される取得機能211に対応するプログラム、補正機能212に対応するプログラム及び算出機能213に対応するプログラムを記憶する。
画像処理回路26は、記憶回路25が記憶する画像データに対して各種画像処理を行う。例えば、画像処理回路26は、記憶回路25が記憶するマスク画像とコントラスト画像とを読み出し、サブトラクション(Logサブ)することで差分画像を生成する。ここで、画像処理回路26は、異なる濃度の造影剤が注入された状態で撮像された複数のコントラスト画像とマスク画像とをそれぞれサブトラクションすることで複数の差分画像を生成することもできる。
入力回路22は、所定の領域(例えば、カテーテルの領域)などの設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等によって実現される。入力回路22は、処理回路21に接続されており、オペレータから受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路21へと出力する。
ディスプレイ23は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像処理回路26によって生成された差分画像などを表示する。
処理回路21は、X線診断装置100全体の動作を制御する。処理回路21は、装置全体を制御するための各種処理機能に対応するプログラムを記憶回路25から読み出して実行することにより、種々の処理を実行する。例えば、処理回路21は、入力回路22から転送された操作者の指示に従って高電圧発生器11を制御し、X線管12に供給する電圧を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量やON/OFFを制御する。また、例えば、処理回路21は、操作者の指示に従ってCアーム・天板機構制御回路19を制御し、Cアーム15の回転や移動、天板14の移動を調整する。また、例えば、処理回路21は、操作者の指示に従って絞り制御回路20を制御し、コリメータ13が有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。
また、処理回路21は、操作者の指示に従って、画像データ生成回路24による画像データ生成処理や、画像処理回路26による画像処理、あるいは解析処理などを制御する。また、処理回路21は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや記憶回路25が記憶する画像などを、ディスプレイ23に表示するように制御する。また、処理回路21は、インジェクター30に対して、造影剤注入開始及び終了の信号を送信することで、造影剤の注入タイミングを制御する。ここで、処理回路21は、造影剤の濃度を変化させるための信号をインジェクター30に送信することで、被検体に注入される造影剤の濃度を制御する。
以上、X線診断装置100の構成の一例について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係るX線診断装置100は、以下、詳細に説明する処理回路21による処理によって、造影画像の補正を容易にすることを可能にする。上述したように、2次元の造影画像では、画像の輝度値と造影剤濃度とが比例関係を示さないため、例えば、灌流の測定を精度よく行おうとした場合、輝度値と造影剤濃度とが比例するような補正を行うことが求められる。そこで、本実施形態では、造影画像の補正を容易にするために、従来技術における複雑なキャリブレーションによる補正や、ファントムを用いた補正を行うことなく、造影画像のみを用いた補正を実行する。
具体的には、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、2次元の造影画像において造影剤の濃度と厚みが既知の領域における輝度値を用いて、当該造影画像における造影剤濃度と輝度値との関係を示す補正曲線を推定し、推定した補正曲線を用いて造影画像における各画素の輝度値を補正する。図2は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理の概要を説明するための図である。例えば、2次元の造影画像には、図2に示すように、カテーテルが含まれている場合が多い。そして、造影画像を収集する際に使用される造影剤の濃度及びカテーテルのサイズは既知である。すなわち、造影画像におけるカテーテル領域の輝度値は、投影方向にカテーテル分の厚みの薄まっていない造影剤に基づく値である。
そこで、X線診断装置100は、例えば、図2に示すように、造影画像(差分画像)において造影剤が既知の濃さ(例:370mg/ml)で既知の厚み(例:3mm)のカテーテル領域の信号強度(輝度値)を計測し、計測した信号強度(輝度値)と造影剤の濃度及び厚みとの関係からシミュレーションによって補正曲線を推定する。例えば、X線診断装置100は、図2に示すように、横軸を「造影剤濃度×厚み」、縦軸を「差分画像の信号強度(輝度値)」としたグラフ上に、計測した信号強度をプロットし、プロットした点を通るカーブを補正曲線として推定する。ここで、造影画像(差分画像)における信号強度と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す曲線は、X線の線質と散乱線に依存する。すなわち、差分画像を撮像した際のX線の線質及び散乱線を推定することができれば、計測した信号強度と造影剤の濃度及び厚みとから差分画像における補正曲線を決めることができる。
第1の実施形態に係るX線診断装置100は、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像した差分画像において計測した輝度値と造影剤の濃度及び厚みとを用いて、X線の線質と散乱線に関する条件を変えながらシミュレーションすることにより、補正曲線を推定することができる。また、X線診断装置100は、造影剤の濃度を変化させて撮像した複数の差分画像においてそれぞれ計測した輝度値と造影剤の濃度及び厚みとを用いてX線の線質と散乱線とを算出し、算出したX線の線質及び散乱線に基づいて補正曲線を算出することができる。なお、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づく補正曲線の推定及び造影剤の濃度を変化させて撮像された複数の差分画像に基づく補正曲線の算出の詳細については、後述する。
X線診断装置100は、推定した補正曲線を用いることで、造影画像における各画素の輝度値を補正する。例えば、X線診断装置100は、補正曲線を用いて、造影画像における各画素の輝度値に対応する「造影剤濃度×厚み」の値を算出して、各画素の輝度値を算出した値とすることで造影画像の補正を行う。以下、上述した実施形態の詳細について説明する。第1の実施形態に係るX線診断装置100においては、処理回路21が図1に示す取得機能211、補正機能212及び算出機能213に対応するプログラムを記憶回路25から読みだして実行することで、上述した造影画像の補正処理を行う。なお、図1に示す取得機能211、補正機能212及び算出機能213は、それぞれ特許請求の範囲における取得部、補正部及び算出部に対応する。
ここで、以下の実施形態では、まず、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定し、推定した補正曲線を用いて造影画像を補正する場合の例について説明し、その後、造影剤の濃度を変化させて撮像された複数の差分画像に基づく補正曲線を算出する場合の例について説明する。
単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定する場合、取得機能211は、造影剤を用いて収集された造影画像における所定の領域の造影剤の濃度及び投影方向の造影剤の厚みに基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。具体的には、取得機能211は、造影画像における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線が、所定の領域における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を満たす場合の散乱線と体厚とを推定し、推定した散乱線及び体厚に対応する曲線に基づいて補正曲線を取得する。
上述したように、差分画像の輝度値と、造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線は、差分画像収集時の線質及び散乱線に依存して種々の曲がり方を示す。ここで、実際の臨床場面での被検体としては、人体組織と造影剤である。従って、線質に依存するファクターは、X線管の管電圧と被検体の体厚であるとみなすことができる。また、散乱線は、被検体とX線検出器との間の距離などで変化する。以上のことから、造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線は、管電圧、体厚及び散乱線含有率(直接線に対する散乱線の割合)の関数によって曲がり方が変わってくるとみなすことができる。この点について、下記の式(1)〜(3)及び図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係るX線について説明するための図である。図3においては、左側にマスク画像収集時のX線について示し、右側にコントラスト画像収集時のX線について示す。例えば、図3に示すように、X線管12から照射されるX線を「I0」とすると、マスク画像において造影剤が流れる血管に対応する画素の輝度値は、「I0」が血管を含む被検体Pを透過した際のX線と、「I0」が被検体内を透過する際の散乱線とに基づくものである。すなわち、血管に造影剤が注入されていない被検体においてX線検出器16に到達したX線「IB」は、以下の式(1)のように示すことができる。
ここで、式(1)における「μ」は線減弱係数を示し、「L」はX線透過長(厚み)を示し、「α」は散乱線含有率を示す。また、添え字「b」は「body」を示し、「w」は「water」を示し、「c」は「contrast」を示す。例えば、X線「IB」は、式(1)に示すように、被検体の体における線減弱係数「μb」と被検体の体厚「Lb」、及び、血管の水(血液)における線減弱係数「μw」と血管(造影剤)の厚み「Lc」による影響を受けた「I0」と、散乱線「α×I0×exp(−μbb)」とを加算したものとなる。ここで、血液は水と同じ吸収特性とみなす。
また、図3に示すように、コントラスト画像において造影剤が流れる血管に対応する画素の輝度値は、「I0」が造影剤が流入した血管を含む被検体Pを透過した際のX線と、「I0」が被検体内Pを透過する際の散乱線とに基づくものである。すなわち、血管に造影剤が注入された被検体PにおいてX線検出器16に到達したX線「Ic」は、以下の式(2)のように示すことができる。
ここで、式(2)における「μ」は線減弱係数を示し、「L」はX線透過長(厚み)を示し、「α」は散乱線含有率を示す。また、添え字「b」は「body」を示し、「c」は「contrast」を示す。例えば、X線「Ic」は、式(2)に示すように、被検体の体における線減弱係数「μb」と被検体の体厚「Lb」、及び、造影剤における線減弱係数「μc」と血管(造影剤)の厚み「Lc」による影響を受けた「I0」と、散乱線「α×I0×exp(−μbb)」とを加算したものとなる。
そして、マスク画像とコントラスト画像をLogサブした差分画像を式(1)及び式(2)を用いて示すと、以下の式(3)のように示すことができる。ここで、式(3)における「τ」は質量減弱係数を示し、「ρ」は濃度を示す。すなわち、式(3)では、線減弱係数「μ」を、質量減弱係数「τ」と濃度「ρ」に置き換えて示している。
式(3)に示すように、式(1)及び式(2)を対数変換して差分すると、画像の信号値(輝度値)「S」は、質量減弱係数、濃度、造影剤の厚み及び散乱線含有率によって定まる。ここで、式(3)における質量減弱係数「τ」は、X線のスペクトル(エネルギー)に依存することから、X線管の管電圧と被検体の体厚が関係する。例えば、図3におけるX線管12から照射された「I0」のスペクトルは、管電圧に応じたものであり、被検体Pの体厚がどの程度であるかによって「I0」のスペクトルの変化が変わってくる。
ここで、実際に収集された差分画像において造影剤の濃度と厚みが既知の領域(例えば、カテーテル領域など)における輝度値を式(3)に適用すると、差分画像の収集時の散乱線含有率と被検体の体厚のみが未知になる。例えば、式(3)において、「τ」に関係する管電圧は収集時の管電圧であり、造影剤の濃度「ρc」は、カテーテルに注入された造影剤濃度(血液によって希釈される前の濃度)であり、造影剤の厚み「Lc」はカテーテルの内径であり、水(血液)の濃度「ρw」は例えば「1」とみなすことができる。すなわち、式(3)において未知となるファクターは、「τ」に関係する被検体の体厚と、散乱線含有率「α」となる。
そこで、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定する場合、X線診断装置100は、差分画像において造影剤の濃度と厚みが既知の領域(例えば、カテーテル領域)の輝度値を計測して、計測した輝度値で式(3)を満たす体厚と散乱線含有率とを推定し、推定した体厚と散乱線含有率を用いて、対象の差分画像における輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す補正曲線を推定する。上述したように、式(3)において未知となっているファクターは、被検体の体厚と散乱線含有率である。すなわち、一方のファクターの値を定めることによって、他方のファクターの値が定まる。換言すると、式(3)を満たす2つのファクターの組み合わせの中に、実際の差分画像における輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す曲線に対応する値が含まれることとなる。
そこで、X線診断装置100は、式(3)を満たす体厚と散乱線含有率との組み合わせを抽出して、抽出した組み合わせに対応する曲線から補正曲線を取得する。例えば、取得機能211は、カテーテル領域の輝度値と既知の造影剤濃度及び厚みとを式(3)に適用して、体厚と散乱線含有率との組み合わせを複数抽出して、補正曲線を取得する。以下、図4〜図6を用いて、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定する場合の取得機能211の処理について説明する。図4〜図6は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤による補正曲線の推定処理を説明するための図である。図4〜図6においては、カテーテル領域の輝度値を用いて動脈などの他の領域の輝度値を補正する補正曲線を取得する場合を例に挙げて説明する。
例えば、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定する場合、取得機能211は、図4に示すように、差分画像上に指定されたカテーテル領域に設定された関心領域R1における輝度値を計測する。なお、関心領域R1は、例えば、操作者が入力回路22を介して設定される。ここで、取得機能211は、所定の領域(造影剤濃度及び厚みが既知の領域)において造影剤による信号が最大となる位置の輝度値に基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚とを推定する。例えば、取得機能211は、関心領域R1においてカテーテルの中心に沿った複数の画素の信号強度を計測して、計測した複数の信号強度のうち最も高い値を用いる。
図5は、カテーテルの断面とカテーテル内の造影剤に基づく信号との関係を示す。例えば、円柱形状のカテーテルに対してX線が照射された場合、図5に示すように、カテーテルにおいて一番厚みのある部分だけではなく、厚みの薄い部分に対してもX線が照射される。このとき、造影剤に基づく信号は、一番厚みのある部分をピークとした信号強度を示すこととなる。すなわち、カテーテルの中心に対応する画素の信号強度を計測することで、造影剤の厚みがカテーテルの内径となり、最も厚い部分での輝度値を計測することができる。さらに、カテーテルにおいて一番厚みのある部分が必ずしも画素と一致するわけではないことから、取得機能211は、関心領域R1におけるカテーテルの中心に沿った複数の画素について信号強度を計測して、最も高い値を用いる。すなわち、取得機能211は、最も高い信号強度に対応する輝度値を式(3)に適用して、散乱線含有率と体厚とを推定する。なお、造影剤の濃度及びカテーテルの内径は、入力回路22を介して操作者によって入力される場合であってもよいが、例えば、バーコードを用いた管理情報の中から、取得する場合であってもよい。現在、インターベンション治療などで用いられる造影剤やカテーテルは、バーコードを用いて管理されている場合が多く、取得機能211は、この管理情報から現在用いられている造影剤の濃度及びカテーテルの内径の情報を取得することも可能である。
このように、差分画像におけるカテーテル領域の輝度値と、造影剤濃度及び厚みとを取得すると、取得機能211は、上述した式(3)に取得した値を適用する。そして、取得機能211は、式(3)において、取得した輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を満たす散乱線含有率と体厚との組み合わせを抽出し、抽出した組み合わせに対応する曲線から補正曲線を取得する。例えば、取得機能211は、図6の(A)に示すように、縦軸に「信号強度(輝度値)」を示し、横軸に「造影剤濃度×厚み(mg/ml×cm)」を示したグラフに取得した値をプロットして、プロットした点を通る曲線を抽出する。
例えば、造影剤の濃度が「370(mg/ml)」であり、カテーテルの内径が「2mm」であり、差分画像上の信号強度が「0.257」であった場合、取得機能211は、図6の(A)に示すように、式(3)の関係を満たす(散乱線含有率,体厚)の組み合わせ(α1,Lb1)、(α2,Lb2)、(α3,Lb3)、(α4,Lb4)及び(α5,Lb5)を抽出する。そして、取得機能211は、抽出した(散乱線含有率,体厚)の組み合わせを式(3)に適用して、「造影剤濃度×厚み」の値を変化させることで各組み合わせに対応する曲線を取得する。例えば、取得機能211は、式(3)に(α1,Lb1)を適用して、「造影剤濃度×厚み」の値を変化させることで図6の(A)に示す(α1,Lb1)の曲線を取得する。同様に、取得機能211は、各組み合わせについて曲線を取得する。
そして、取得機能211は、取得した曲線に基づいて補正曲線を取得する。ここで、取得機能211は、散乱線及び体厚を臨床的にとりうる値となるように推定し、推定した散乱線及び体厚に対応する曲線に基づいて補正曲線を取得する。例えば、取得機能211は、図6の(B)に示すように、(散乱線含有率,体厚)の組み合わせ(α1,Lb1)、(α2,Lb2)、(α3,Lb3)、(α4,Lb4)及び(α5,Lb5)の中から、実際の被検体の体厚として取りうる値である「10cm」、「20cm」及び「30cm」の組み合わせに対応する候補曲線を抽出する。そして、取得機能211は、抽出した候補曲線を例えば、平均することによって、図6の(C)に示すような補正曲線を取得する。
一例を挙げると、取得機能211は、図6の(B)に示す(α,Lb)=(0.82,10cm)、(0.66,20cm)、(0.53,30cm)に対応する候補曲線を平均した5次関数「ρc×Lc=2317×S5−2912×S4+1610×S3−134×S2+255」を補正曲線として取得する。
図1に戻って、補正機能212は、取得機能211によって取得した補正情報を用いて、造影画像を補正する。具体的には、補正機能212は、補正曲線を用いて造影画像における画素の輝度値を補正する。図7は、第1の実施形態に係る補正機能212による処理を模式的に示す図である。
例えば、補正機能212は、図7に示すように、動脈における画素の輝度値(信号強度)を補正曲線に適用することで、対応する「濃度×厚み」の値を算出する。そして、補正機能212は、動脈における輝度値を算出した値に置き換えることで、動脈の画素における値を補正する。これにより、差分画像内の輝度値を「造影剤の濃度×厚み」を正確に反映した値に補正することができ、例えば、インターベンション治療における灌流の測定などを精度よく行うことができる。
ここで、補正機能212は、差分画像内の任意の領域について補正処理を行うことができる。例えば、補正機能212は、差分画像内の全ての画素の輝度値を「濃度×厚み」の値に置き換えることで、画像全体を補正することができる。また、補正機能212は、差分画像内の所定の領域の画素の輝度値を「濃度×厚み」の値に置き換えることで、画像を部分的に補正することができる。差分画像内の所定の領域としては、例えば、造影剤が流入する領域(血管や組織など)などが挙げられる。
上述したように、差分画像の輝度値を補正することで、インターベンション治療における灌流の測定などを精度よく行うことができる。図8は、第1の実施形態における補正処理を行った場合の一例を示す図である。なお、図8においては、造影剤を注入して経時的に収集されたX線画像(フレーム)における各画素の輝度値を上述した補正によって補正した場合を示す。また、図8は、横軸にフレームを示し、縦軸に信号強度を示した、所定の画素における補正前後のTDC(Time Density Curve)を示す。図8に示すように、補正を行うことにより、TDCの信号強度のレンジが広がり、造影剤濃度の違いを信号強度の違いにより反映させることができる。
上述したように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、差分画像のみを用いて輝度値と造影剤濃度との補正処理を行う。ここで、造影剤の厚みとしてカテーテルの内径を用いる場合には、X線の照射方向(画像の投影方向)に対してカテーテルの長手方向が直交していることが求められる。すなわち、投影方向に対してカテーテルが直交していない(傾いている)場合、造影剤の厚みはカテーテルの内径ではなく、傾いた状態の投影方向の厚みとなる。
そこで、第1の実施形態に係るX線診断装置100においては、算出機能213はカテーテルが傾いているか否かを判定して、カテーテルが傾いている場合に投影方向の造影剤の厚みを算出する。具体的には、算出機能213は、カテーテルの長手方向と投影方向とのなす角度に基づいて、投影方向の造影剤の厚みを算出する。図9は、第1の実施形態に係る算出機能213による処理の一例を説明するための図である。例えば、図9の(A)に示す内径「2mm」のカテーテルが、図9の(B)に示すように、X線の照射方向(投影方向)に対して「45°」傾いている場合には、算出機能213は、投影方向と平行になる方向でのカテーテルの厚み「2√2」を算出し、算出した「2√2」を造影剤の厚みとする。
ここで、カテーテルの長手方向と投影方向とのなす角度(カテーテルの傾き)は、バイプレーン撮像や、カテーテルに付いた距離マーカーを用いることによって算出することができる。例えば、バイプレーン撮像によって、目的の方向から収集する差分画像に加えて、それに直交する方向から差分画像を収集する。そして、算出機能213は、直交する方向から収集した差分画像に含まれるカテーテルの垂直方向(或いは、水平方向)に対する傾きを計測し、計測した傾きを目的の方向から収集した差分画像におけるカテーテルの傾きとする。
或いは、算出機能213は、予め決まった間隔でカテーテルに付いている距離マーカーの変化に基づいて、カテーテルの傾きを算出する。例えば、「10mm」間隔でマーカーがついているカテーテルを用いた場合、算出機能213は、マスク画像に含まれる距離マーカーの間隔が「10mm」に相当する間隔である場合には、カテーテルは傾いていないと判定する。一方、算出機能213は、マスク画像に含まれる距離マーカーの間隔が「10mm」に相当する間隔ではない場合には、カテーテルが傾いていると判定して、カテーテルの傾きを算出する。一例を挙げると、マスク画像に含まれる距離マーカーの間隔が「8mm」に相当する間隔である場合に、算出機能213は、カテーテルの傾き「θ」=「cos-18/10」を算出する。
そして、算出機能213は、算出したカテーテルの傾き(角度)を用いて、造影剤の厚みを算出する。取得機能211は、算出機能213によって算出された造影剤の厚みを上述した式(3)に適用して、補正曲線を取得する。
上述したように、X線診断装置100は、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定し、推定した補正曲線を用いて差分画像の輝度値を補正することができる。ここで、単一の濃度の造影剤を注入した状態で撮像された差分画像に基づいて補正曲線を推定する場合には、上述したように式(3)を満たす被検体の体厚と散乱線含有率との組み合わせを抽出して、抽出した組み合わせに対応する曲線から補正曲線を取得する。しかしながら、造影剤の濃度を変化させた状態で撮像された複数の差分画像を用いることで、被検体の体厚と散乱線含有率とを決定することができ、決定した体厚と散乱線含有率とから補正曲線を取得することができる。
すなわち、異なる造影剤濃度に基づく複数の差分画像において、同一位置での輝度値を計測し、計測した輝度値と各造影剤濃度及び厚みとから、式(3)で未知となっているファクターである被検体の体厚と散乱線含有率とを算出し、算出した被検体の体厚と散乱線含有率とを用いて補正曲線を算出することができる。第1の実施形態に係るX線診断装置100は、被検体に対して注入する造影剤の濃度を変化させ、異なる造影剤濃度における差分画像を取得する。そして、X線診断装置100は、取得した複数の差分画像から補正曲線を取得して差分画像の輝度値を補正する。以下、造影剤の濃度を変化させて撮像された複数の差分画像に基づく補正曲線を算出する場合の例について説明する。
造影剤の濃度を変化させて撮像された複数の差分画像に基づく補正曲線を算出する場合、X線診断装置100は、まず、インジェクター30を制御して、造影剤濃度を変化させる。具体的には、処理回路21が、造影剤濃度を変化させるための信号をインジェクター30に送信することで、被検体に注入される造影剤の濃度を制御する。ここで、インジェクター30は、異なる濃度の造影剤をそれぞれ注入することで造影剤の濃度を変化させたり、単一の濃度の造影剤に対して所定の希釈率となるように水を加えることで造影剤の濃度を変化させたりすることができる。
図10A及び図10Bは、第1の実施形態に係るインジェクター30によって注入される造影剤を説明するための図である。例えば、インジェクター30は、図10Aに示すように、濃度「300(mg/ml)」の造影剤の瓶及び濃度「150(mg/ml)」の造影剤の瓶が接続され、処理回路21から受信した信号に応じて注入する造影剤を切り替えることで造影剤濃度を変化させる。例えば、処理回路21は、最初に濃度「300(mg/ml)」の造影剤を注入するように制御し、数秒後に濃度「150(mg/ml)」の造影剤を注入するように制御する。
また、例えば、インジェクター30は、図10Bに示すように、濃度「300(mg/ml)」の造影剤の瓶及び水(生理食塩水)の瓶が接続され、処理回路21から受信した信号に応じて造影剤を水で希釈することで造影剤濃度を変化させる。例えば、処理回路21は、最初に濃度「300(mg/ml)」の造影剤を注入するように制御し、数秒後に「造影剤:水=1:1」で希釈した造影剤(濃度「150(mg/ml)」の造影剤)を注入するように制御する。ここで、造影剤の希釈は、例えば、造影剤の瓶と水の瓶とからそれぞれ同量の造影剤と水を流し、撹拌することによって行われる。
ここで、カテーテルを介して注入される造影剤の濃度は、任意に変化させることができる。図11A及び図11Bは、第1の実施形態に係る造影剤濃度の変化例を示す図である。図11A及び図11Bにおいては、縦軸にカテーテル位置での造影剤濃度を示し、横軸に時間(time)を示したグラフを示す。例えば、処理回路21は、図11Aに示すように、カテーテル位置の造影剤濃度を、一定時間、濃度「300(mg/ml)」で推移させ、その後、濃度「150(mg/ml)」で推移させるように制御することができる。また、例えば、処理回路21は、図11Bに示すように、カテーテル位置の造影剤濃度を、濃度「300(mg/ml)」から徐々に薄めて、濃度「150(mg/ml)」となるように制御することもできる。
上述したように、処理回路21は、インジェクター30を制御して被検体に注入する造影剤の濃度を変化させる。そして、X線診断装置100は、造影剤の濃度を変化させながら経時的にX線画像を撮像して、複数の差分画像を収集する。一例を挙げると、例えば、処理回路21は、まず、生理食塩水をカテーテル内に注入させてマスク画像を撮像させ、その後、濃度「300(mg/ml)」の造影剤と濃度「150(mg/ml)」の造影剤とを段階的に注入して、それぞれの濃度におけるコントラスト画像を撮像させる。そして、処理回路21は、撮像させた各コントラスト画像とマスク画像とをサブトラクションさせることで、複数の差分画像を生成させる。
ここで、処理回路21は、画像処理回路26によって生成された複数の差分画像にそれぞれインジェクション情報を対応付けて格納することができる。例えば、処理回路21は、生理食塩水を注入させた時間、造影剤を注入して濃度「300(mg/ml)」の造影剤を注入していた時間、及び、濃度「150(mg/ml)」の造影剤を注入していた時間の情報をDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)のヘッダーに格納して記憶回路25に記憶させる。ここで、例えば、インターベンション治療における灌流の測定を行う場合、生理食塩水を注入させた後、濃い濃度の造影剤を注入させてPerfusionデータを収集した後、最後の1秒程度で薄い濃度の造影剤を注入させる。この時、薄い造影剤については、カテーテルの先端まで流れ出る時間まで撮像を行えばよく、薄い造影剤が血管に入った時点で撮像を終了してもよい。
上述したように複数の濃度の造影剤に基づく差分画像がそれぞれ収集されると、取得機能211は、造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値の造影剤の各濃度と造影剤の投影方向の厚みに基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。例えば、取得機能211は、2つ以上の濃度の造影剤を用いて収集された造影画像それぞれにおける所定の領域の造影剤の各濃度と造影剤の投影方向の厚みに基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。すなわち、取得機能211は、造影画像における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線が、造影画像それぞれの所定の領域における各輝度値と造影剤の各濃度及び厚みとの関係を満たす場合の散乱線と体厚とを算出し、算出した散乱線及び体厚に対応する曲線に基づいて補正曲線を取得する。
例えば、取得機能211は、異なる造影剤濃度に基づく複数の差分画像において、同一位置での輝度値を計測し、計測した輝度値と各造影剤濃度及び厚みとから、式(3)で未知となっているファクターである被検体の体厚と散乱線含有率とを算出し、算出した被検体の体厚と散乱線含有率とを用いて補正曲線を算出する。ここで、取得機能211は、画像処理回路26によって収集された各差分画像における造影剤の濃度は、例えば、DICOMのヘッダーに格納されたインジェクション情報から取得することができる。
図12は、第1の実施形態に係る複数の濃度の造影剤による補正曲線の算出処理を説明するための図である。ここで、図12においては、濃度「300(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像と、濃度「150(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像とから補正曲線を算出する場合について示す。例えば、取得機能211は、図12に示すように、濃度「300(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像のカテーテルの関心領域R1における輝度値と、濃度「150(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像の同一位置(カテーテルの関心領域R1)における輝度値とを計測する。
そして、取得機能211は、各差分画像における輝度値と、造影剤の各濃度及び厚みを上述した式(3)にそれぞれ適用した2つの式を取得し、取得した2つの式から未知のファクターである被検体の体厚及び散乱線含有率を算出する。これにより、取得機能211は、差分画像を収集した際の被検体の体厚及び散乱線含有率を決定することができ、決定した被検体の体厚及び散乱線含有率に応じた補正曲線を取得することができる。すなわち、取得機能211は、決定した被検体の体厚及び散乱線含有率に基づいて、図12に示すように、計測した輝度値の2点を通る補正曲線を取得することができる。
なお、輝度値を計測する位置(画素)は、上述した処理と同様に、造影剤による信号が最大となる位置が選択される。すなわち、取得機能211は、造影剤の厚みが最大となる位置の輝度値を計測する。また、造影剤の厚みとしてカテーテルの内径を用いる場合には、上述した処理と同様に、算出機能213が、カテーテルの長手方向と投影方向とのなす角度に基づいて、投影方向の造影剤の厚みを算出する。また、補正機能212は、単一の濃度の造影剤によって推定された補正曲線を用いた補正処理と同様に、複数の造影剤によって算出された補正曲線を用いて補正処理を実行する。例えば、補正機能212は、図12に示す補正曲線を用いて、濃度「300(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像の輝度値や、濃度「150(mg/ml)」の造影剤をカテーテルに注入した状態で撮像された差分画像の輝度値を補正する。
次に、図13及び図14を用いて、第1の実施形態に係るX線診断装置100の処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係る単一の濃度の造影剤によって推定された補正曲線を用いた補正処理の手順を示すフローチャートである。また、図14は、第1の実施形態に係る複数の濃度の造影剤によって推定された補正曲線を用いた補正処理の手順を示すフローチャートである。
図13に示すステップS101は、入力回路22によって実行されるステップである。ステップS101では、入力回路22が、操作者から造影剤の濃度及び厚みが既知の領域(例えば、カテーテル領域など)の設定操作を受け付ける。ステップS102は、処理回路21が記憶回路25から取得機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS102では、処理回路21が、領域内の造影剤濃度及び厚みを取得する。
ステップS103及びS104は、処理回路21が記憶回路25から算出機能213に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS103では、処理回路21が、カテーテルが傾いているか否かを判定する。ここで、カテーテルが傾いていると判定した場合には(ステップS103肯定)、ステップS104において、処理回路21は、角度に基づいて厚みを修正する。一方、カテーテルが傾いていないと判定した場合には(ステップS103否定)、処理回路21はステップS104を実行しない。
ステップS105及びS106は、処理回路21が記憶回路25から取得機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS105では、処理回路21が、領域内の輝度値と造影剤濃度及び厚みとから候補曲線を推定する。そして、ステップS106では、処理回路21が、例えば、候補曲線を平均するなどの処理により、候補曲線から補正曲線を導出する。
ステップS107は、処理回路21が記憶回路25から補正機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS107では、処理回路21が、補正曲線を用いて造影画像を補正する。
図14に示すステップS201は、入力回路22によって実行されるステップである。ステップS101では、入力回路22が、操作者から造影剤の濃度及び厚みが既知の領域(例えば、カテーテル領域など)の設定操作を受け付ける。ステップS202は、処理回路21が記憶回路25から取得機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS202では、処理回路21が、領域内の造影剤濃度及び厚みを取得する。
ステップS203及びS204は、処理回路21が記憶回路25から算出機能213に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS103では、処理回路21が、カテーテルが傾いているか否かを判定する。ここで、カテーテルが傾いていると判定した場合には(ステップS203肯定)、ステップS204において、処理回路21は、角度に基づいて厚みを修正する。一方、カテーテルが傾いていないと判定した場合には(ステップS203否定)、処理回路21はステップS204を実行しない。
ステップS205〜S207は、処理回路21が記憶回路25から取得機能211に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS205では、処理回路21が、第1の濃度の造影剤を注入して、領域内の輝度値を計測する。そして、ステップS206では、処理回路21が、第2の濃度の造影剤を注入して、領域内の輝度値を計測する。さらに、ステップS207では、処理回路21が、第1の濃度の造影剤における領域内の輝度値、第2の濃度の造影剤における領域内の輝度値及び領域の厚みに基づいて、補正曲線を導出する。
ステップS208は、処理回路21が記憶回路25から補正機能212に対応するプログラムを読み出して実行するステップである。ステップS208では、処理回路21が、補正曲線を用いて造影画像を補正する。
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能211は、2つ以上の濃度の造影剤を用いて収集された造影画像それぞれにおける所定の領域の造影剤の各濃度と造影剤の投影方向の厚みに基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。補正機能212は、補正情報を用いて、造影画像を補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、造影画像のみを用いて補正を行うことができ、造影画像の補正を容易に行うことを可能にする。また、造影画像のみを用いて補正を行うことができるため、収集済みの造影画像に対しても補正を行うことができる。
また、第1の実施形態によれば、取得機能211は、造影画像における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線が、造影画像それぞれの所定の領域における各輝度値と造影剤の各濃度及び厚みとの関係を満たす場合の散乱線と体厚とを算出し、算出した散乱線及び体厚に対応する曲線に基づいて補正曲線を取得する。補正機能212は、補正曲線を用いて造影画像における画素の輝度値を補正する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、造影画像の輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す曲線を変化させるファクターである散乱線と体厚とを考慮した補正を行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、取得機能211は、所定の領域において造影剤による信号が最大となる位置の輝度値に基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚とを推定する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、より正確な補正曲線を取得することができる。
また、例えば、単一の濃度の造影剤によって補正曲線を推定する場合、補正曲線において精度の高い部分を用いた補正を行うことを可能にする。例えば、図6(B)に示すように、差分画像における輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す複数の候補曲線を抽出した場合、曲線において、カテーテルの輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係をプロットした点から「濃度×厚み」が低い部分は、複数の曲線においてほとんど同じようなカーブを描く。一方、カテーテルの輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係をプロットした点から「濃度×厚み」が高い部分は、各曲線間で異なるカーブを示す。
すなわち、候補曲線を平均して補正曲線を算出する場合、カテーテルの輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係をプロットした点よりも低い部分では平均することによって生じる誤差は少なく、高い部分では誤差が大きくなる。従って、補正処理を行う際に、補正曲線においてプロットした点よりも低い部分のカーブを用いる方が精度の高い補正を行うことができる。従って、最初にプロットする点をより信号強度が高くなるようにプロットすることで、補正曲線においてプロットした点よりも低い部分が増え、造影画像の補正をより高精度に行うことができる。
また、第1の実施形態によれば、所定の領域が、造影画像に含まれるカテーテルの領域であり、取得機能211は、造影画像それぞれの所定の領域における造影剤の各濃度及び厚みとして、カテーテルを介して濃度を変化させて注入される造影剤の各濃度及びカテーテルの内径を用いる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、造影剤の濃度及び厚みを容易に取得することを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、算出機能213は、カテーテルの長手方向と投影方向とのなす角度に基づいて、投影方向の造影剤の厚みを算出する。取得機能211は、所定の領域における造影剤の厚みとして、算出機能213によって算出された造影剤の厚みを用いる。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、カテーテルが傾いている場合にも、正確に補正処理を行うことを可能にする。
また、第1の実施形態によれば、算出機能213は、少なくとも2方向から収集されたカテーテルの造影画像、又は、カテーテルに備えられた距離マーカーに基づいて、カテーテルの長手方向と投影方向とのなす角度を算出する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、カテーテルの傾きを容易に算出することを可能にする。
(第2の実施形態)
上述した実施形態では、輝度値と造影剤の濃度及び厚みとから散乱線含有率及び体厚を推定して、補正曲線を取得する場合について説明した。第2の実施形態では、補正曲線を予め記憶しておき、輝度値と造影剤の濃度及び厚みとから補正曲線を選択する場合について説明する。なお、第2の実施形態に係るX線診断装置100は、第1の実施形態に係るX線診断装置100と比較して、記憶回路25によって記憶される情報と、取得機能211による処理内容が異なる。以下、これらについて説明する。
図15は、第2の実施形態に係る記憶回路25によって記憶される情報を模式的に示す図である。例えば、記憶回路25は、図15に示すように、種々の濃度の造影剤を用いて算出された補正曲線(或いは、候補曲線)を記憶する。例えば、図15に示す造影剤は、厚みが一定で種々の濃度を示すものが準備される。そして、造影剤を種々の条件で撮像することで図15に示すような補正曲線セットが取得され、記憶回路25は取得された補正曲線セットを記憶する。例えば、管電圧、被検体の厚さなどの条件をいろいろと変更して補正曲線が取得され、記憶回路25に格納される。
取得機能211は、散乱線及び体厚の条件ごとに予め設定された造影画像における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す複数の曲線の中から、所定の領域における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を満たす曲線を抽出し、抽出した曲線に基づいて補正曲線を取得する。例えば、カテーテル領域の輝度値と、造影剤濃度及び厚みとを取得すると、取得した値を満たす曲線を補正曲線セットから取得する。ここで、複数の曲線が取得された場合、取得された曲線を平均する場合であってもよい。
上述したように、第2の実施形態によれば、取得機能211は、散乱線及び体厚の条件ごとに予め設定された造影画像における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す複数の曲線の中から、所定の領域における輝度値と造影剤の濃度及び厚みとの関係を満たす曲線を抽出し、抽出した曲線に基づいて補正曲線を取得する。補正機能212は、補正曲線を用いて造影画像における画素の輝度値を補正する。従って、第2の実施形態に係るX線診断装置100は、簡易な処理により造影画像の補正を実行することを可能にする。
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、造影剤の濃度と厚みが既知の領域としてカテーテル領域を用い、さらにカテーテル内の造影剤濃度を変化させることで、2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値を取得する場合について説明した。第3の実施形態では、その他の手法により2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値を取得する場合について説明する。なお、第3の実施形態に係るX線診断装置100は、第1及び第2の実施形態に係るX線診断装置100と比較して、取得機能211による処理内容が異なる。以下、これについて説明する。
例えば、取得機能211は、造影画像において既知の造影剤濃度及び厚みに相当する信号を示す医療デバイスの造影画像における輝度値に基づいて、造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた造影画像の輝度値の補正情報を取得する。一例を挙げると、取得機能211は、カテーテル内の造影剤の他に、カテーテルに備えられたマーカーや、大動脈に挿入されるデバイスなどの輝度値に基づいて補正情報を取得することができる。ここで、カテーテルに備えられるマーカーや、大動脈に挿入されるデバイスは、予め所定の造影剤濃度と厚みが対応付けられる。すなわち、マーカー等は、所定の造影剤濃度と同一の濃さ(濃淡)を有し、かつ、所定の厚みとなるように設けられる。これにより、カテーテルに備えられるマーカーや、大動脈に挿入される医療デバイスが、既知の造影剤濃度と厚みを有するものとなり、造影画像における輝度値と造影剤濃度及び厚みとの関係を示す補正曲線の算出に用いることができるようになる。
なお、カテーテルに備えられるマーカーや、大動脈に挿入される医療デバイスを用いた補正曲線の算出は、上述したカテーテル内の造影剤とともに用いられる場合であってもよく、或いは、それだけで用いられる場合であってもよい。すなわち、2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値のうち、一方をカテーテル内の造影剤から取得し、他方をマーカー等から取得してもよく、2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値をすべてマーカー等から取得してもよい。図16は、第3の実施形態に係る取得機能211による処理の一例を説明するための図である。図16においては、2つの造影剤濃度に対応する2つの輝度値をカテーテルに付けられたマーカーから取得する場合の例を示す。
例えば、図16に示すように、カテーテルにマーカー1とマーカー2とが設けられる。ここで、マーカー1及びマーカー2は、既知の造影剤濃度と同一の濃さ(濃淡)となるように設けられる。例えば、マーカー1は、第1の造影剤濃度と同一の濃さとなるように設けられ、マーカー2は、第1の造影剤濃度よりも濃い第2の造影剤濃度と同一の濃さとなるように設けられる。さらに、マーカー1及びマーカー2は、所定の厚みで設けられる。マーカー1及びマーカー2が取り付けられたカテーテルを用いて手技が行われ、造影画像が収集されると、取得機能211は、マーカー1及びマーカー2に対応する各造影剤濃度と厚みとをそれぞれ取得する。そして、取得機能211は、取得した各造影剤濃度及び厚みと、造影画像内のマーカー1及びマーカー2の輝度値とを用いて補正曲線を取得する。
このように、本実施形態に係るX線診断装置100は、カテーテル内の造影剤濃度を用いることなく、造影画像を補正することもできる。なお、取得機能211は、最初に挿入されたカテーテルとは別の場所に挿入された別のカテーテル内の造影剤の輝度値に基づいて補正情報を取得することもできる。すなわち、同一のカテーテル内の造影剤濃度を変化させることなく、異なる濃度の造影剤をそれぞれ異なるカテーテルから注入することで、2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値を取得することもできる。
(第4の実施形態)
さて、これまで第1〜第3の実施形態について説明したが、上述した第1〜第3の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
上述した第1の実施形態では、造影剤濃度及び厚みが既知である領域としてカテーテル領域を用いる場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、3次元画像データを用いる場合であってもよい。例えば、インターベンション治療を行う場合、予め3次元画像データが取得されることが多い。そこで、3次元画像データから厚みを取得して、取得した厚みを用いることもできる。例えば、造影剤を用いて事前に収集された画像データに含まれる対象の血管と、差分画像における血管とを位置合わせして重ねて、差分画像における投影方向における血管の厚みを、3次元画像を用いて計測することで、差分画像における造影剤の厚みを取得することができる。ここで、血管の厚みを計測する位置で造影剤を注入することで、造影剤の濃度として希釈前の濃度を用いてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、複数の差分画像における各造影剤の濃度情報をDICOMのヘッダーに格納されたインジェクション情報から取得する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、差分画像の輝度値に基づいて、造影剤の濃度が変化したタイミングを判定する場合であってもよい。具体的には、取得機能211は、注入された造影剤の濃度の情報のみを取得し、差分画像の輝度値の変化に基づいて、各差分画像における造影剤の濃度を判定する。例えば、取得機能211は、所定の領域における輝度値を経時的に取得し、取得した輝度値が所定の閾値を超えて変化した時点の前後の輝度値それぞれを、異なる濃度の造影剤に基づく輝度値として判定する。
上述した実施形態では、X線診断装置が各処理を行う場合を例に挙げて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、画像処理装置において上述した処理を実行する場合であってもよい。かかる場合には、画像処理装置に上述した記憶回路25及び処理回路21が含まれ、上述した各処理を実行する。
また、第1の実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
以上説明したとおり、少なくとも一つの実施形態のX線診断装置によれば、造影画像の補正を容易にすることを可能にする。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
21 処理回路
25 記憶回路
100 X線診断装置
211 取得機能
212 補正機能
213 算出機能

Claims (13)

  1. 造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値の造影剤の各濃度と前記造影剤の投影方向の厚みに基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた前記造影画像の輝度値の補正情報を取得する取得部と、
    前記補正情報を用いて、前記造影画像を補正する補正部と、
    を備える、画像処理装置。
  2. 前記取得部は、前記造影画像における輝度値と前記造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す曲線が、前記造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する各輝度値と造影剤の各濃度及び厚みとの関係を満たす場合の散乱線と体厚とを算出し、算出した散乱線及び体厚に対応する曲線に基づいて補正曲線を取得し、
    前記補正部は、前記補正曲線を用いて前記造影画像における画素の輝度値を補正する、請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記取得部は、前記散乱線及び体厚の条件ごとに予め設定された前記造影画像における輝度値と前記造影剤の濃度及び厚みとの関係を示す複数の曲線の中から、前記造影画像における2つ以上の造影剤濃度に対応する各輝度値と造影剤の各濃度及び厚みとの関係を満たす曲線を抽出し、抽出した曲線に基づいて補正曲線を取得し、
    前記補正部は、前記補正曲線を用いて前記造影画像における画素の輝度値を補正する、請求項1記載の画像処理装置。
  4. 前記取得部は、2つ以上の濃度の造影剤を用いて収集された造影画像それぞれにおける所定の領域の前記造影剤の各濃度と前記造影剤の投影方向の厚みに基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた前記造影画像の輝度値の補正情報を取得する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  5. 前記取得部は、前記所定の領域において前記造影剤による信号が最大となる位置の輝度値に基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚とを算出する、請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 前記取得部は、前記所定の領域における輝度値を経時的に取得し、取得した輝度値が所定の閾値を超えて変化した時点の前後の輝度値それぞれを、異なる濃度の造影剤に基づく輝度値として判定する、請求項4又は5に記載の画像処理装置。
  7. 前記所定の領域が、前記造影画像に含まれるカテーテルの領域であり、
    前記取得部は、前記造影画像それぞれの所定の領域における造影剤の各濃度及び厚みとして、前記カテーテルを介して濃度を変化させて注入される造影剤の各濃度及び前記カテーテルの内径を用いる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  8. 前記造影剤は、異なる濃度の造影剤がそれぞれ前記カテーテルに注入されることにより濃度が変化される、又は、単一の濃度の造影剤に対して所定の希釈率となるように水が加えられることで濃度が変化される、請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記造影剤は、前記カテーテル内で段階的に薄くなるように注入される、請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記カテーテルの長手方向と前記投影方向とのなす角度に基づいて、前記投影方向の造影剤の厚みを算出する算出部をさらに備え、
    前記取得部は、前記所定の領域における造影剤の厚みとして、前記算出部によって算出された造影剤の厚みを用いる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  11. 前記算出部は、少なくとも2方向から収集された前記カテーテルの造影画像、又は、前記カテーテルに備えられた距離マーカーに基づいて、前記カテーテルの長手方向と前記投影方向とのなす角度を算出する、請求項10に記載の画像処理装置。
  12. 前記取得部は、前記造影画像において既知の造影剤濃度及び厚みに相当する信号を示す医療デバイスの前記造影画像における輝度値に基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた前記造影画像の輝度値の補正情報を取得する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  13. 2つ以上の造影剤濃度に対応する複数の輝度値を含む造影画像を収集する収集部と、
    前記造影画像における複数の輝度値の前記造影剤の濃度と前記造影剤の投影方向の厚みに基づいて、前記造影画像の収集時の散乱線と被検体の体厚に応じた前記造影画像の輝度値の補正情報を取得する取得部と、
    前記補正情報を用いて、前記造影画像を補正する補正部と、
    を備える、X線診断装置。
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