JP2017072680A - ベルト装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト装置を構成する種々の部材に、狙いの形状に対してバラツキが生じていても、光学センサによってスケール状パターンを高精度に検知することができる、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供する。【解決手段】中間転写ベルト8(ベルト部材)のスケール状パターン30p、30sを検知する複数の光学センサ41A、41Bには、それぞれ、発光素子42から射出された光LBをスケール状パターン30p、30sの形状に合わせて整形する複数のスリット45aが形成された整形板45が設けられている。そして、スケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの傾きを調整する調整板61(調整機構)が設けられている。【選択図】図4

Description

この発明は、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等のベルト部材が所定方向に走行されるベルト装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、中間転写ベルトなどのベルト部材の走行速度を安定化することを目的として、無端状のベルト部材の内周面又は外周面における幅方向端部に、スケール状パターン(光学マーク)を周状に形成して、スケール状パターンを光学センサ(ヘッド部)によって光学的に検知した検知結果に基いてベルト部材の駆動制御をおこなう技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、特許文献1には、光学センサ(ヘッド部)によってスケール状パターン(光学マーク)を高精度に検知することを目的として、発光素子(光源)から射出された光をスケール状パターンの形状に合わせて略矩形状に整形する複数のスリットが形成された整形板(光整形手段)を用いる技術が開示されている。
また、特許文献1には、スケール状パターン(光学マーク)を高精度に検知する光学センサを、周方向に間隔をあけて2つ設置する技術が開示されている。
従来の技術は、光学センサを保持する保持部材や、スケール状パターンや、整形板に形成されたスリットなど、ベルト装置を構成する種々の部材に、狙いの形状(寸法)に対してバラツキが生じているときに、光学センサによってスケール状パターンを高精度に検知することができない可能性があった。そのため、ベルト部材の駆動制御が良好におこなわれなくなる可能性があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ベルト装置を構成する種々の部材に、狙いの形状に対してバラツキが生じていても、光学センサによってスケール状パターンを高精度に検知することができる、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
この発明におけるベルト装置は、その内周面又は外周面にスケール状パターンが周状に形成されて、所定方向に走行する無端状のベルト部材と、前記スケール状パターンに対向する位置に周方向に所定の間隔をあけて設置されて、前記スケール状パターンをそれぞれ検知する複数の光学センサと、を備え、前記複数の光学センサは、それぞれ、発光素子から射出された光を前記スケール状パターンの形状に合わせて整形する複数又は単数のスリットが形成された整形板を具備し、前記スケール状パターンに対する当該整形板の前記スリットの傾きを調整する調整機構を備え、前記複数の光学センサにおける出力波形の波長の差異が所定範囲内になるように、前記調整機構によって前記スリットの傾きを調整するものである。
本発明によれば、ベルト装置を構成する種々の部材に、狙いの形状に対してバラツキが生じていても、光学センサによってスケール状パターンを高精度に検知することができる、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。 作像部の一部を拡大して示す構成図である。 中間転写ベルト装置を示す構成図である。 中間転写ベルトの要部を内周面側からみた概略図である。 スケール状パターンと2つの光学センサとの走行方向の位置関係を示す模式図である。 (A)スケール状パターンと整形板のスリットとの位置関係を示す図と、(B)光学センサの構成を示す図と、(C)整形板と受光窓とを示す図と、である。 中間転写ベルトの要部を側方からみた図である。 中間転写ベルト装置における光学センサの調整機構を示す斜視図である。 一例としての、スケール状パターンと整形板のスリットとの位置がずれた状態を示す模式図である。 別の一例としての、スケール状パターンと整形板のスリットとの位置がずれた状態を示す模式図である。 波形表示装置に表示される2つの光学センサの出力波形を示す模式図である。 変形例1としての、光学センサの調整機構を示す斜視図である。 変形例2としての、光学センサの調整機構を示す斜視図である。
実施の形態.
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15(ベルト装置)が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8(ベルト部材)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Y(感光体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示のモータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、像担持体としての中間転写ベルト8(ベルト部材)及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
ここで、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15は、図3を参照して、ベルト部材としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部10、2次転写ローラ70、センサユニット40、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材80、12A〜12D、13によって張架・支持されるとともに、駆動モータ91による1つのローラ部材(駆動ローラ12A)の回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ70との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ80が、2次転写ローラ70との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等の記録媒体P上に2次転写される。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対(不図示である。)によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、図2にて、作像部における現像部5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
次に、図3及び図4を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置15について詳述する。
図3を参照して、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15は、ベルト部材としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部10、2次転写ローラ70、2つの光学センサ41A、40Bなどが設置されたセンサユニット40、等で構成される。
中間転写ベルト8(ベルト部材)は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように配設されている。中間転写ベルト8は、主として6つのローラ部材(駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ80、テンションローラ12B、従動ローラ12C、12D、クリーニング対向ローラ13、である。)によって張架・支持されている。
本実施の形態において、中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が106〜1013Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が107〜1013Ωcmの範囲となるように調整されている。また、中間転写ベルト8は、厚さが20〜200μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態では、中間転写ベルト8の厚さが60μm程度に、体積抵抗率が109Ωcm程度に、設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。また、上述した中間転写ベルト8の体積抵抗率は、「ハイレスターUP MCP HT45」(三菱化学社製)を用いて印加電圧100Vの条件にて測定したものである。
ここで、中間転写ベルト8の内周面であって幅方向(図3の紙面垂直方向で合って、図4の上下方向である。)の片側端部には、スケール状パターン30p、30sが形成されたスケールテープ30が周状に貼着されており、そのスケール状パターン30p、30sを検知する2つの光学センサ41A、41Bがスケール状パターン30p、30s(スケールテープ30)に対向するように設置されているが、これらについては後で詳しく説明する。
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに対向し、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに対向し、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに対向し、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに対向している。1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、直径が10mm程度の芯金上に、外径が16mm程度の導電性スポンジ層が形成された弾性ローラであって、体積抵抗が106〜1012Ω(好ましくは、107〜109Ω)の範囲となるように調整されている。
駆動ローラ12Aは、制御部90によって制御される駆動モータ91によって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。
テンションローラ12Bは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。2つの従動ローラ12C、12Dは、中間転写ベルト8の内周面に当接している。2次転写対向ローラ80とテンションローラ12Bとの間には、中間転写ベルト8を介してクリーニング対向ローラ13に対向するように中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
図3を参照して、2次転写対向ローラ80は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ70に当接している。2次転写対向ローラ80は、ステンレス鋼等からなる円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が107〜108Ω程度で、硬度(JIS−A硬度)が48〜58度程度のNBRゴムからなる弾性層83(層厚は5mm程度である。)が形成されたものである。
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ80は、不図示の電源(バイアス出力手段)に電気的に接続されていて、その電源から−10kV程度の高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ80に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップに搬送される記録媒体Pに中間転写ベルト8に担持されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)のバイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ80側から2次転写ローラ70側に向かって静電移動することになる。
2次転写ローラ70は、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に当接して、記録媒体Pが搬送される2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ70は、外径が15.5mm程度であって、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる直径9mm程度の中空状の芯金上に、硬度(アスカーC硬度)が40〜50度程度の弾性層が形成(被覆)されたものである。2次転写ローラ70の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成することができる。本実施の形態において、弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が106.5〜107.5Ω程度に設定されている。
なお、2次転写ローラ70の表面に半導電性のフッ素樹脂やウレタン樹脂などの離型層を形成して、ローラ表面のトナーに対する離型性を向上させることもできる。
以下、図3〜図11等を用いて、本実施の形態において特徴的な、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15の構成・動作について詳述する。
なお、図8(及び、後述する図12、図13)は、構成の理解を容易とするために、上下方向を逆転して図示している。
図3〜図5等を参照して、中間転写ベルト装置15(ベルト装置)において、所定方向に走行する無端状の中間転写ベルト8(ベルト部材)には、その表面(本実施の形態では内周面である。)にスケール状パターン30p、30sが周状に形成されている。詳しくは、スケール状パターン30p、30sが形成された有端状のスケールテープ30(テープ状部材)が、中間転写ベルト8の内周面に周状に貼着されている。
スケール状パターンは、光を反射する材料からなる反射部30pと、光を反射しないで吸収する材料からなる非反射部30sと、が走行方向(図4、図5において白矢印方向に示す中間転写ベルト8の走行方向である。)に交互に同じピッチXで配列されたものである。
本実施の形態において、スケールテープ30は、表面側から、層厚が25μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)からなる表面層、層厚が数μm程度のアルミニウムを蒸着してなる中間層(アルミ蒸着層)、中間転写ベルト8に接着するための接着剤からなる層厚が20μm程度の接着層、が積層されたものである。そして、スケールテープ30の表面層には、公知のように、エッチング加工やプリントなどを施すことによって、スケール状パターン30p、30sが形成されることになる。
また、図3〜図7等を参照して、中間転写ベルト装置15には、中間転写ベルト8の内周面側であってスケール状パターン30p、30s(スケールテープ30)に対向する位置に、周方向に間隔Dをあけて、スケール状パターン30p、30sを検知する2つの光学センサ41A、41B(検知手段)が設置されている。特に、本実施の形態では、図4、図5、図7を参照して、周方向に所定の間隔Dをあけて2つの光学センサ(上流側の第1光学センサ41Aと、下流側の第2光学センサ41Bと、である。)が設置されている。
詳しくは、2つの光学センサ41A、41Bの間隔D(後述する発光素子42からの射出光が中間転写ベルト8上で反射する位置が基準となる。)は、図5に示すように、スケール状パターン30p、30sのピッチXの整数倍になるように設定されている。そのため、スケール状パターン30p、30sのピッチXが正確に狙いの値になっている場合には、2つの光学センサ41A、41Bの出力波形(パルス波形、又は、アナログ化された略正弦波形である。)の位相は一致することになる。これに対して、環境変動などによる中間転写ベルト8(スケールテープ30)の伸縮などによってスケール状パターン30p、30sのピッチXが狙いの値になっていない場合には、それに応じて、2つの光学センサ41A、41Bの出力波形の位相がずれることになる。本実施の形態では、2つの光学センサ41A、41Bのうち少なくとも一方の光学センサによるスケール状パターン30p、30sの検知によって、中間転写ベルト8の走行速度の変動を検知するとともに、その検知結果に対して、2つの光学センサ41A、41Bによって検知したスケール状パターン30p、30sのピッチXの変化分を補正して、制御部90によって駆動モータ91の回転数を調整しているため、色ズレなどの異常が生じないように中間転写ベルト8の速度を適正化することができる。この中間転写ベルト8の駆動制御(走行速度の調整)は、公知のものと同様に、中間転写ベルト8が駆動されているときに常時おこなうこともできるし、所定のタイミングでおこなうこともできる。
ここで、図6(B)を参照して、2つの光学センサ41A、41Bは、それぞれ、発光素子42、受光素子43、コリメートレンズ44、複数のスリット45aが形成された整形部材としての整形板45(スリットマスク)、受光窓46、等で構成されている。2つの光学センサ41A、41Bは、1つの保持部材47に一体的に保持されて、センサユニット40を構成している(図7等を参照できる。)。すなわち、1つのセンサユニット40(保持部材47)には、発光素子42、受光素子43、コリメートレンズ44、整形板45、受光窓46等を具備した第1光学センサ41Aと、発光素子42、受光素子43、コリメートレンズ44、整形板45、受光窓46等を具備した第2光学センサ41Bと、が一体的に設けられている。
LED等の発光素子42から射出された光LBは、コリメートレンズ44を透過して平行光となった後に、整形板45に形成された複数のスリット45aを透過してスケールテープ30のスケール状パターン30p、30sに照射される。そして、スケール状パターン30p、30sに照射されて反射部30pで反射した光が、受光窓46を透過して、フォトトランジスタ等の受光素子43に受光される。そして、その光量に応じた出力が受光素子43(光学センサ41A、41B)から制御部90に向けて送られることになる。
ここで、整形板45における複数のスリット45a(本実施の形態では、1つの光学センサ41A、41Bにつき3つのスリット45aである。)は、図6(A)、(C)に示すように、スケール状パターン30p、30sの形状に合わせて、そのピッチXと形状(矩形状である。)とが定められている。そのため、スケール状パターン30p、30s(反射部30p)の形状に合わせた反射光が受光素子43に入射されることになり、精度の高いスケール状パターン30p、30sの検知が可能になる。
また、図7を参照して、2つの光学センサ41A、41Bは、いずれも1つの保持部材47に保持されていて、センサユニット40を構成している。
保持部材47は、その当接部47aが中間転写ベルト8に当接するように構成されている。保持部材47の当接部47aは、スケールテープ30(スケール状パターン30p、30s)を傷つけないように、弾性を有する低摩擦材料(例えば、テフロン植毛シールである。)で形成されている。
また、センサユニット40は、調整板61を介して中間転写ベルト装置15の筐体としてのフレーム60(図8を参照できる。)に保持されている。
ここで、上述したように、本実施の形態における中間転写ベルト装置15(ベルト装置)において、2つの光学センサ41A、41Bには、それぞれ、発光素子42から射出された光LBをスケール状パターン30p、30sの形状に合わせて略矩形状に整形する複数のスリット45aが形成された整形板45が設けられている。
そして、図4、図8等を参照して、本実施の形態における中間転写ベルト装置15(ベルト装置)には、スケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの面方向の傾き(図4の破線両矢印方向の姿勢である。)を調整する調整機構60、61、65が設けられている。この調整機構60、61、65は、2つの光学センサ41A、45Bがセンサユニット40として2つの整形板45とともに回動可能に構成されたものである。すなわち、整形板45がそれぞれ設置された2つの光学センサ41A、45Bを保持するセンサユニット40は、調整機構によって、支軸61aを中心にして図4の破線両矢印方向に一体的に回動可能に構成されている。
調整機構60、61、65は、整形板45を回動させることにより、スリット45aの長手方向の一端(例えば、図9や図10において、スリット45aの下端である。)に対する、スリット45aの長手方向の他端(例えば、図9や図10において、スリット45aの上端である。)の位置を、スケール状パターン30p、30sの移動方向(中間転写ベルトの移動方向であって、図8〜図10において左右方向である。)へと移動させる。これにより、スリット45aの傾きを調整する。
詳しくは、調整機構は、調整板61(調整部材)、フレーム60(筐体)、保持部材47、ネジ65などで構成されている。
保持部材47は、先に説明したように整形板45とともに光学センサ41A、41Bを保持するものであって、センサユニット40の構成部品としても機能している。保持部材47や整形板45は、樹脂材料又は金属材料で形成されている。
フレーム60は、中間転写ベルト装置15の筐体の一部として機能するものであって、中間転写ベルト8の幅方向(白矢印で示す中間転写ベルト8の走行方向に直交する方向であって、図4の上下方向である。)の範囲を超えて中間転写ベルト8の内周面に対向するように配設されている。本実施の形態において、筐体としてのフレーム60は、亜鉛鋼板などの金属材料で形成された板状部材である。
調整板61は、中間転写ベルト装置15のフレーム60(筐体)において面方向の傾きを可変できるように支軸61aを中心にして回動可能に保持されている。調整板61には、保持部材47(センサユニット40)が保持されている。本実施の形態において、調整板61は、樹脂材料又は金属材料で形成された板状部材である。
ネジ65は、調整板61に形成された貫通穴(支軸61aを中心にした略円弧状の長穴である。)を介してフレーム60(筐体)に形成された雌ネジ部に螺合して、フレーム60において調整板61の面方向の傾きが変化しないように固定するためのものである。すなわち、支軸61aを中心にして調整板61とともにセンサユニット40を回動させるとき(調整時である。)には、ネジ65の螺合が緩められて、それ以外のとき(非調整時である。)には、ネジ65がしっかり螺合されて支軸61aを中心にしたセンサユニット40(調整板61)の回動方向の位置が定められることになる。なお、本実施の形態では、ネジ65による固定箇所が幅方向両端部にそれぞれ設けられている(ネジ65が2つ設けられている)。
このように、本実施の形態では、スケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの姿勢(面方向の傾き)をセンサユニット40として光学センサ41A、41Bごと一体的に調整する調整機構を設けているため、光学センサ41A、41Bを保持する保持部材47や、スケール状パターン30p、30sや、整形板45に形成されたスリット45aなど、中間転写ベルト装置15を構成する種々の部材に、狙いの形状(寸法)に対してバラツキが生じているときであっても、光学センサ41A、41Bによってスケール状パターン30p、30sを高精度に検知して、中間転写ベルト8の駆動制御を良好におこなうことができることになる。
詳しくは、光学センサ41A、41Bによってスケール状パターン30p、30sを高精度に検知して中間転写ベルト8の駆動制御を良好におこなうためには、狙いの矩形状で狙いのピッチXに形成されたものに対して誤差(寸法公差)の少ないスケール状パターン30p、30sを、狙いの矩形状で狙いのピッチXに形成されたものに対して誤差(寸法公差)の少ないスリット45aが形成された整形板45を有する光学センサ41A、41Bを用いて検知して、光学センサ41A、41Bから出力される波形(出力波形)として、反射部30pのものと非反射部30sのものとにはっきり切り分けられるパルス波形又は略正弦波を得られることが必要になる。すなわち、図9(A)に示すように、スケール状パターン30p、30sと、スリット45a(スケール状パターン30p、30sに照射される整形後の光LBの形状)と、がほぼ一致するように構成される必要がある。
ところが、例えば、図9(B)に示すように、中間転写ベルト8に対してスケール状パターン30p、30sが少し傾いた状態で形成されるなどして、スケール状パターン30p、30sに狙いのものに対してバラツキがある場合には、スケール状パターン30p、30sと、スリット45a(スケール状パターン30p、30sに照射される整形後の光LBの形状)と、が一致せずに大きなズレが生じることになる。
これに対して、本実施の形態では、スケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの姿勢(面方向の傾き)を可変する調整機構を設けているため、スケール状パターン30p、30sと、スリット45aと、がほぼ一致するように(又は、一致しないまでも整形後の光LBの多くが反射部30pと非反射部30sとに切り分けて照射されるように)、することができる。例えば、図9(B)の例では、スリット45a(センサユニット40)が図9(B)の破線矢印方向に回動してスケール状パターン30p、30sに略一致するように、調整板61が支軸61aを中心に回動されることになる。そして、そのような調整機構による調整をおこなって、その調整後のセンサユニット40の姿勢を上述したネジ65の締結によって固定することにより、通常の画像形成動作において光学センサ41A、41Bによってスケール状パターン30p、30sを高精度に検知して中間転写ベルト8の駆動制御を良好におこなうことができる。
なお、本実施の形態では、調整機構によって整形板45が単独で回動されるのではなくて、調整機構によってセンサユニット40として整形板45が光学センサ41A、41Bごと一体的に回動されるため、調整機構による調整をおこなった後に、発光素子42から射出された光LBがスリット45aから大きく外れてしまったり、反射部30pで反射した光が受光素子43から大きく外れてしまったりする不具合を防止することができる。
また、図9(B)では、中間転写ベルト8に対してスケール状パターン30p、30sが少し傾いた状態で形成される例について説明したが、図10(A)に示すように、センサユニット40に対してスリット45a(整形板45)が少し傾いた状態で形成されてしまったような場合であっても、スリット45a(センサユニット40)が図10(A)の破線矢印方向に回動してスケール状パターン30p、30sに略一致するように、調整板61が支軸61aを中心に回動されることで、上述したものと同様の効果を得ることができる。
さらに、図10(B)に示すように、中間転写ベルト8に対してスケール状パターン30p、30sがばらばらな方向で傾いた状態で形成されてしまったような場合であっても、スケール状パターン30p、30sとスリット45aとが一致しないまでも、スリット45aを透過した整形後の光LBの最大量が反射部30pと非反射部30sとに切り分けて照射されるように、調整機構による調整をおこなうことで、上述したものと同様の効果を得ることができる。
なお、図9、図10にて例示したものは一部であるが、中間転写ベルト装置15を構成する種々の部材が狙いの形状に対してばらついていることのよって、スケール状パターン30p、30sとスリット45aとが、周方向にわたって全体的にみて、その他の形態で大きく一致しないものになっている場合にも、同様に、スリット45aを透過した整形後の光LBの最大量が反射部30pと非反射部30sとに切り分けて照射されるように、調整機構による調整をおこなうことで、上述したものと同様の効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態では、このような調整機構による調整を、工場出荷時や市場でのメンテナンス時(例えば、中間転写ベルト8などのベルト駆動制御に関わる構成部品が交換されるときである。)に、作業者が手動でおこなえるように構成している。
詳しくは、図8(及び、図4)を参照して、調整板61には、略矩形状(短辺が直線状ではなく曲線状のものも含むものとする。)の貫通穴部61bが形成されている。また、フレーム60(筐体)には、調整板61の貫通穴部61bを介して露呈するように穴部60a(円形穴部である。)が形成されている。そして、調整機構による調整をおこなうときには、治具62が用いられて、ネジ65が緩められた状態で作業者が治具62を用いて調整板61を回動することになる。
さらに具体的に、治具62には、小径軸部62aと大径軸部62bとが設けられている。小径軸部62aは、フレーム60の穴部60aに挿入可能(嵌合可能)に形成されている。大径軸部62bは、小径軸部62aに対して偏芯するように小径軸部62aと一体的に形成されるとともに、その外径部が矩形状の貫通穴部61bに係合可能に形成されている。そして、そのように構成された治具62を、穴部60aに小径軸部62aを挿入した状態で回転させて偏芯した大径軸部62bを貫通穴部61bに係合させて調整板61を押動することで、調整板61を支軸61aを中心にして回動してスケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの面方向の傾きを調整する。
ここで、本実施の形態では、図8に示すように、スケール状パターン30p、30sが、中間転写ベルト8(ベルト部材)の幅方向(走行方向に直交する方向であって、図4の上下方向である。)の一端側に形成されている。そして、調整板61は、中間転写ベルト8の幅方向の範囲を超えて幅方向の一端側から他端側にかけて延在するように設置されている。また、調整板61の支軸61aは幅方向の一端側(スケール状パターン30p、30sが形成された側である。)に形成されて、治具62が挿入される貫通穴部61b(及び、穴部60a)は幅方向の他端側(スケール状パターン30p、30sが形成されていない側である。)に形成されている。
このような構成により、センサユニット40の回動動作において、支点となる調整板61の支軸61aと、力点となる治具62(貫通穴部61b)の位置と、の距離を大きく設定することができるため、その距離を小さく設定した場合に比べて、作業者が治具62を同じ角度だけ回転操作したときにセンサユニット40を微小角度だけ回動させることができる。すなわち、センサユニット40の回動角度を高精度に調整することができる。したがって、調整機構の調整精度が高められて、中間転写ベルト8の駆動制御の精度も高められることになる。
また、図4、図8を参照して、本実施の形態において、ネジ65と貫通穴部61b(及び、穴部60a)とは、中間転写ベルト8の幅方向の範囲外に設けられている。これにより、調整機構による調整をおこなうときに、中間転写ベルト8に干渉することなく、ネジ65を緩めたり固定したりする作業や、貫通穴部61bや穴部60aに治具62を係合させて回転させる作業を、容易におこなうことができる。
また、図8を参照して、本実施の形態において、フレーム60(筐体)は、フレーム60に対して面方向の傾き(支軸61aを中心にした回動方向の姿勢である。)が可変された調整板61の位置を示す調整用目盛60bが形成されている。一方、調整板61には、調整用目盛60bに対応して、その位置を把握するための目印(本実施の形態では、調整板61のエッジ部が目印として機能している。)が形成されている。
これにより、治具62を用いて調整板61の姿勢(回動角度)を順次可変しながら、最適なセンサユニット40(調整板61)の姿勢(回動角度)を見つけるときの作業効率を向上させることができる。すなわち、作業者は、調整用目盛60bを確認しながら調整板61の姿勢(回動角度)を順次可変することで、同じ姿勢での確認作業(後述するオシロスコープ120を用いた出力波形の確認作業である。)が繰り返されないようにすることができる。
ここで、本実施の形態では、2つの光学センサ41A、41Bにおける出力波形の波長の差異が所定範囲内になるように、調整板61(調整機構)によってスリット45aの面方向の傾きを調整している。すなわち、調整板61の姿勢を可変したときの2つ光学センサ41A、41Bの出力波形を確認しながら、2つの出力波形の波長の差異がなくなるように、最適となる調整板61(センサユニット40)の姿勢を決定している。
詳しくは、図3、図4、図8等を参照して、中間転写ベルト装置15(画像形成装置100)は、2つの光学センサ41A、41Bにおける出力波形を表示する波形表示装置としてのオシロスコープ120を外部から接続・離脱できるように構成されている。図示は省略するが、画像形成装置本体100には、センサユニット40(受光素子43)に接続されたハーネスに接続されていて、オシロスコープ120に接続されたハーネスを接続するための中継端子が、外部に露呈するように設けられている。そして、上述した調整機構を用いた調整をおこなうときに、その中継端子に外部からオシロスコープ120(波形表示装置)が接続されることになる。
そして、調整時において上述したように治具62を用いて調整板61の姿勢(回動角度)を可変するごとに、2つの光学センサ41A、41Bの出力波形をオシロスコープ120の表示画面で確認して、2つの出力波形の波長(1周期の波形幅であって、周期である。)の差異が所定範囲内となるように調整板61を回動して、調整板61の姿勢を決定する。
具体的に、図11(A)に示すように、実線で示す第1光学センサ41Aの出力波形の波長Aと、破線で示す第2光学センサ41Bの出力波形の波長Bと、がほぼ等しいとき(A=Bである。)には、2つの光学センサ41A、41B(センサユニット40)とスケール状パターン30p、30sとの関係において、先に図9(A)を用いて説明したように、スケール状パターン30p、30sと、スリット45a(スケール状パターン30p、30sに照射される整形後の光LBの形状)と、が全体的にほぼ一致するような狙いの状態になっている。そのため、センサユニット40に接続されたオシロスコープ120に、図11(A)に示すような出力波形が確認された場合には、調整板61(調整機構)による調整はおこなわない。
これに対して、図11(B)に示すように、実線で示す第1光学センサ41Aの出力波形の波長Aと、破線で示す第2光学センサ41Bの出力波形の波長Bと、が大きく異なるとき(A≠Bである。)には、2つの光学センサ41A、41B(センサユニット40)とスケール状パターン30p、30sとの関係において、先に図9(B)、図10を用いて説明したように、スケール状パターン30p、30sと、スリット45a(スケール状パターン30p、30sに照射される整形後の光LBの形状)と、が全体的に狙いの状態から大きくはずれて一致しない状態になっている。そのため、センサユニット40に接続されたオシロスコープ120に、図11(B)に示すような出力波形が確認された場合には、先に図9(B)、図10を用いて説明したような調整板61(調整機構)による調整をおこなうことになる。
具体的に、オシロスコープ120の表示画面で確認される2つの出力波形の波長の差異(A−B)が、A(又はB、又はAとBとの平均値)に対して±3%以内になって、図11(A)に示す波形に近づくように、調整板61の姿勢(回動角度)を調整することになる。そして、そのように波長差(A−B)が所定範囲(±3%)内となるような調整板61の姿勢(回動角度)が、問題になるような色ずれが生じない姿勢であるものとして、その姿勢(回動角度)にて調整板61を固定する。
これにより、中間転写ベルト8の駆動制御を高精度におこなうことができるセンサユニット40(光学センサ41A、41B)の姿勢を確実に定めることができる。
なお、上述したような調整作業を繰り返しても、オシロスコープ120の表示画面で確認される2つの出力波形の波長の差異(A−B)が所定範囲(±3%)内にならない場合には、センサユニット40や中間転写ベルト8(スケール状パターン30p、30s)などの部品不良が考えられるため、それ以上の調整作業を中断して、それらを交換する作業をおこなった後に、再び調整作業をおこなうことになる。
また、本実施の形態では、上述した調整時において、さらに、2つの光学センサ41A、41Bにおける出力波形の波長の差異(A−B)が最小になるように、調整板61(調整機構)によってスリット45aの面方向の傾きを調整している。すなわち、オシロスコープ120の表示画面で確認される2つの出力波形の波長の差異(A−B)が、所定範囲(±3%)内になり、さらにその差異(A−B)が最小となって図11(A)に示す波形に近づくように、調整板61の姿勢(回動角度)を調整することになる。
これにより、中間転写ベルト8の駆動制御をさらに高精度におこなうことができるセンサユニット40(光学センサ41A、41B)の姿勢を確実に定めることができる。
ここで、本実施の形態では、このように非画像形成時に調整作業がおこなわれるとき(調整機構によってスリット45aの面方向の傾きを調整するときである。)に、中間転写ベルト8が通常時(先に図1等を用いて説明した通常の画像形成プロセスがおこなわれるときである。)と同等の速度(プロセス線速)で走行される。具体的に、中間転写ベルト8を駆動する駆動モータ91は、調整時にも、通常時と同様に、中間転写ベルト8を639mm/sの走行速度で走行するように制御部90によって駆動制御される。
このように、調整時に、通常の画像形成時と同様のプロセス線速で中間転写ベルト8を走行させながらセンサユニット40の姿勢調整をおこなうことで、通常の画像形成時と同様の状態で、中間転写ベルト8の駆動制御を高精度におこなうことができるセンサユニット40(光学センサ41A、41B)の姿勢を定めることができる。
なお、本実施の形態では、波形表示装置としてのオシロスコープ120を中間転写ベルト装置15(画像形成装置100)に対して外部から着脱可能に構成した。
これに対して、中間転写ベルト装置15(画像形成装置100)に、複数の光学センサ41A、41Bにおける出力波形を表示する波形表示装置としてのオシロスコープ120を設置することもできる。すなわち、中間転写ベルト装置15(画像形成装置100)に、波形表示装置としてのオシロスコープ120を構成部材として内蔵することができる。
このような構成は、市場でのメンテナンスとして上述した調整作業をおこなう場合に、特に有用である。
ここで、本実施の形態では、1つの保持部材47によって2つの光学センサ41A、41Bを保持するようにセンサユニット40を構成して、調整板61(調整機構)によってセンサユニット40を回動して、2つの光学センサ41A、41Bを一体的に支軸61aを中心に回動するように構成した。これにより、2つの光学センサ41A、41Bを用いておこなう検知の精度を、総合的に効率的に調整することが可能になる。
これに対して、2つの光学センサ41A、41Bをそれぞれ別々の保持部材に設置して、それぞれ別々の調整機構によって調整(回動)できるように構成することもできる。その場合、2つの光学センサ41A、41Bを用いて別々におこなう検知の精度を、それぞれ細かく調整することが可能になる。
さらに、2つの光学センサ41A、41Bのうち、一方の光学センサのみを調整機構によって調整(回動)できるように構成して、他方の光学センサを回動できないように固定・設置することもできる。このような構成は、一方の光学センサ(調整用のものである。)の検知結果が制御の精度に主として影響するものであって、他方の光学センサ(固定されるものである。)の検知結果が制御の精度にそれほど影響しない補助的なものである場合に、有用である。
なお、本実施の形態では、調整板61を、中間転写ベルト8の幅方向の範囲を超えて幅方向の一端側から他端側にかけて延在するように形成した。
これに対して、図12に示すように、調整板61を、幅方向の一端側(スケール状パターン30p、30sが形成された側である。)に設置することもできる。
このように構成した場合には、ネジ65の位置や治具62がセットされる位置がすべて幅方向一端側になるため、手動でおこなう調整作業を比較的容易におこなうことができる。特に、幅方向のサイズが長い大型の装置において、このような構成が有用になる。
なお、このように構成した場合であっても、調整作業を容易なものにするため、図12に示すように、ネジ65と貫通穴部61b(及び、穴部60a)とを、中間転写ベルト8の幅方向の範囲外に設けることが好ましい。
また、本実施の形態では、調整板61(調整機構)を、治具62を用いて手動で操作するように構成した。
これに対して、図13に示すように、調整板61(調整機構)を、駆動モータ95を用いて自動で操作するように構成することもできる。詳しくは、調整機構には、調整板61を支軸61aを中心にして回動可能に駆動する駆動モータ95が設置されている。具体的に、先に説明した治具62が貫通穴部61b及び穴部60aに常時係合した状態になるように、貫通穴部61b及び穴部60aに係合した治具62の小径軸部62aに止め輪96が設置される。そして、治具62には、小径軸部62aの軸中心を回転軸として治具62を正逆方向に回転する駆動モータ95(ステッピングモータである。)が接続されている。一方、ネジ65は、ネジ頭と調整板61との間に弾性材としての皿バネ66が介在されている。この皿バネ66は、ネジ65が締結された状態で、調整時における駆動モータ95の駆動による調整板61の回動を妨げることなく、非調整時における調整板61の回動位置を維持するためのものである。
このような構成により、調整機構による調整をおこなう場合には、画像形成装置本体100の外装部に設置された操作パネルを作業者が操作することによって、駆動モータ95の駆動によって、皿バネ66を介したネジ65の締結力に抗するように、調整板61が支軸61aを中心に回動されて、本実施の形態のものと同様に、センサユニット40の回動位置が適正化されることになる。そして、適正化されたセンサユニット40の回動位置が、駆動モータ9が駆動停止された状態で、皿バネ66を介したネジ65の締結力によって固定されることになる。
このように構成した場合であっても、本実施の形態のものと同様に、光学センサ41A、41Bによってスケール状パターン30p、30sを高精度に検知して、中間転写ベルト8の駆動制御を良好におこなうことができることになる。
特に、図13のもののように調整機構を自動化する構成は、工場出荷前のように装置本体100が完成品となる前の裸に近い状態(中間転写ベルト装置15が露呈した状態である。)での調整作業が可能な場合ではなく、例えば、市場でのメンテナンス時のように、装置本体100をなるべく分解しないで調整したいときに有用である。
なお、図13の例では、駆動モータ95を治具62を介して調整板61に連結するように構成したが、調整板61の支軸61aに駆動モータを直接的に接続したり、センサユニット40(保持部材47)に駆動モータの回転軸を直接的に接続したりすることもできる。ただし、図13の構成は、先に説明した図8のものと同様に、センサユニット40の回動動作において支点と力点との距離を大きく設定することができるため、センサユニット40の回動角度を高精度に調整することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、中間転写ベルト8(ベルト部材)のスケール状パターン30p、30sを検知する複数の光学センサ41A、41Bには、それぞれ、発光素子42から射出された光LBをスケール状パターン30p、30sの形状に合わせて整形する複数又は単数のスリット45aが形成された整形板45が設けられている。そして、スケール状パターン30p、30sに対するスリット45aの傾きを調整する調整板61(調整機構)が設けられている。
これにより、中間転写ベルト装置15(ベルト装置)を構成する種々の部材に、狙いの形状に対してバラツキが生じていても、光学センサ41A、41Bによってスケール状パターン30p、30sを高精度に検知することができる。
なお、本実施の形態では、ベルト部材としての中間転写ベルト8が設置されたベルト装置(中間転写ベルト装置15)に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることはない。例えば、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等のベルト部材が設けられたベルト装置に対しても、ベルト部材にスケール状パターンが形成されて、それを検知する光学センサが設置されたものであれば、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト8の内周面にスケール状パターン30p、30sが形成された中間転写ベルト装置15に対して本発明を適用したが、中間転写ベルト8の外周面にスケール状パターン30p、30sが形成された中間転写ベルト装置15に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト8のスケール状パターン30p、30sを検知する光学センサ41A、41Bが2つ設置された中間転写ベルト装置15に対して本発明を適用したが、中間転写ベルト8のスケール状パターン30p、30sを検知する光学センサが3つ以上設置された中間転写ベルト装置に対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト8にスケール状パターン30p、30sが形成されたスケールテープ30が貼着された中間転写ベルト装置15に対して本発明を適用したが、中間転写ベルト8にスケール状パターン30p、30sが直接的に形成された中間転写ベルト装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、整形板45に3つのスリット45aが形成された光学センサ41A、41Bが設置された中間転写ベルト装置15に対して本発明を適用したが、整形板に形成されるスリットの数はこれに限定されることなく、整形板に単数(1つ)のスリットが形成された光学センサが設置された中間転写ベルト装置や、整形板に2つ又は4つ以上のスリットが形成された光学センサが設置された中間転写ベルト装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(感光体)、
8 中間転写ベルト(ベルト部材)、
15 中間転写ベルト装置(ベルト装置)、
30 スケールテープ(スケール状パターン)、
30p 反射部(スケール状パターン)、
30s 非反射部(スケール状パターン)、
40 センサユニット、
41A 第1光学センサ(光学センサ、検知手段)、
41B 第2光学センサ(光学センサ、検知手段)、
42 発光素子、 43 受光素子、 44 コリメートレンズ、
45 整形板(整形部材、スリットマスク)、 45a スリット、
46 受光窓、
47 保持部材、 47a 当接部、
60 フレーム(筐体)、
60a 穴部、 60b 調整用目盛、
61 調整板(調整機構)、
61a 支軸、 61b 貫通穴部、
62 治具、
62a 小径軸部、 62b 大径軸部、
65 ネジ、
66 皿バネ(弾性材)、
95 駆動モータ、 96 止め輪、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
120 オシロスコープ(波形表示装置)、
P 記録媒体。
特許第5145891号公報

Claims (9)

  1. その内周面又は外周面にスケール状パターンが周状に形成されて、所定方向に走行する無端状のベルト部材と、
    前記スケール状パターンに対向する位置に周方向に所定の間隔をあけて設置されて、前記スケール状パターンをそれぞれ検知する複数の光学センサと、
    を備え、
    前記複数の光学センサは、それぞれ、発光素子から射出された光を前記スケール状パターンの形状に合わせて整形する複数又は単数のスリットが形成された整形板を具備し、
    前記スケール状パターンに対する当該整形板の前記スリットの傾きを調整する調整機構を備え、
    前記複数の光学センサにおける出力波形の波長の差異が所定範囲内になるように、前記調整機構によって前記スリットの傾きを調整することを特徴とするベルト装置。
  2. 前記複数の光学センサにおける出力波形の波長の差異が最小になるように、前記調整機構によって前記スリットの傾きを調整することを特徴とする請求項1に記載のベルト装置。
  3. 前記複数の光学センサにおける出力波形を表示する波形表示装置を外部から接続・離脱できるように構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
  4. 前記複数の光学センサにおける出力波形を表示する波形表示装置が設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
  5. 前記調整機構によって前記スリットの傾きを調整するときに、前記ベルト部材が通常時と同等の速度で走行されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のベルト装置。
  6. 前記調整機構は、
    前記整形板とともに前記光学センサを保持する保持部材と、
    装置の筐体において前記スリットの傾きを可変できるように支軸を中心にして回動可能に保持されて、前記保持部材を保持する調整板と、
    前記調整板に形成された貫通穴を介して前記筐体に形成された雌ネジ部に螺合して、前記筐体において前記調整板の面方向の傾きが変化しないように固定するネジと、
    を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のベルト装置。
  7. 前記調整板は、略矩形状の貫通穴部が形成され、
    前記筐体は、前記貫通穴部を介して露呈するように穴部が形成され、
    前記穴部に挿入可能に形成された小径軸部と、前記小径軸部に対して偏芯するように前記小径軸部と一体的に形成されるとともに外径部が前記貫通穴部に係合可能に形成された大径軸部と、を具備した治具を、前記穴部に前記小径軸部を挿入した状態で回転させて前記大径軸部を前記貫通穴部に係合させて前記調整板を押動することで、前記調整板を前記支軸を中心にして回動して前記スケール状パターンに対する前記スリットの傾きを調整することを特徴とする請求項6に記載のベルト装置。
  8. 前記複数の光学センサは、2つの光学センサであって、
    前記保持部材は、前記2つの光学センサを保持する1つの保持部材であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のベルト装置。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載のベルト装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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