JP2017072669A - 波長変換装置、照明装置およびプロジェクター - Google Patents

波長変換装置、照明装置およびプロジェクター Download PDF

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Abstract

【課題】低コスト化と高い冷却効率を実現できる、波長変換装置、照明装置およびプロジェクターを提供する。【解決手段】回転蛍光板30は、モーター50と、モーター50により回転する円板40と、円板40に設けられた蛍光体層42と、円板40に接着剤56を介して固着された、円板40とは別体のヒートシンク51と、を備え、モーター50は、回転軸50aを中心に回転するハブ55を有し、円板40は、ハブ55に嵌合する第1の開口部43を有し、ヒートシンク51は、ハブ55が挿通する第2の開口部54と、接着剤56の少なくとも一部を収容する逃げ部60と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、波長変換装置、照明装置およびプロジェクターに関する。
近年、プロジェクター用の照明装置として、蛍光体が用いられている。
下記特許文献1の照明装置では、蛍光体を支持する基材の裏面に冷却フィンが設けられている。基材と冷却フィンは、一体に形成されている。
特開2012−013897号公報
ところで、基材の蛍光体を支持する面には、高精度な平面粗さ及び平面度が要求される。上記従来技術では、基材と冷却フィンとを一体に形成する場合にはダイカスト等の製造方法を採用しなければならない。そのため、要求された平面粗さ及び平面度を得るには研磨等の2次加工が必要であり、コストが嵩んでしまっていた。
一方で、基材と冷却フィンを別体とした場合、基材と冷却フィンとを接着剤で固定することが考えられる。しかしながら、基材と冷却フィンとの間に接着層が介在すると、接着層が熱抵抗となる。そのため、できるだけ接着層を薄く、かつ気泡等が残留しないよう均一に広げることにより、密着性を上げて、冷却効率を高める必要がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、低コスト化と高い冷却効率を実現できる、波長変換装置、照明装置およびプロジェクターを提供することを目的とする。
本発明の第1態様に従えば、回転装置と、前記回転装置により回転する基材と、前記基材に設けられた波長変換素子と、前記基材に接着剤を介して固着された、前記基材とは別体のヒートシンクと、を備え、前記回転装置は、回転軸を中心に回転するハブを有し、前記基材は、前記ハブに嵌合する第1の開口部を有し、前記ヒートシンクは、前記ハブが挿通する第2の開口部と、前記接着剤の少なくとも一部を収容する逃げ部と、を有する波長変換装置が提供される。
第1態様に係る波長変換装置によれば、基材とヒートシンクとが別体であるため、ダイカスト等を用いて製造する必要が無い。よって、製造コストが抑えられ、コスト低減が図られる。また、基材とヒートシンクとを接着剤を介して固着すると、基材にヒートシンクを押し付けた際に、余剰分の接着剤がヒートシンクの外径側と内径側とに移動する。ヒートシンクには、接着剤を収容する逃げ部が形成されているため、接着層の厚みを薄くすることができる。よって、接着層の厚みを全体的に薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。
また、上記第1態様において、前記逃げ部は、前記第1の開口部よりも大きな径を有する前記第2の開口部によって、前記ヒートシンクの内径側に形成されている、という構成を採用する。
この構成によれば、第2の開口部が、ハブが嵌合する第1の開口部よりも大きな径を有するため、ヒートシンクとハブとの間に環状の隙間が形成され、その隙間に余剰分の接着剤を移動させることができる。ヒートシンクの外径側には接着剤の逃げを阻害する構造物が無く、接着層の厚みを薄くできるが、ヒートシンクの内径側には、回転装置のハブと基材の第1の開口部とが嵌合した嵌合構造がある。この構成によれば、接着剤の逃げを阻害する嵌合構造があるヒートシンクの内径側に、接着剤の逃げ部が形成されているため、ヒートシンクの内径側の接着層の厚みを薄くすることができる。よって、接着層の厚みを全体的に薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。
また、上記第1態様において、前記逃げ部は、前記第2の開口部から放射状に形成された複数の溝によって形成されている、という構成を採用する。
この構成によれば、第2の開口部から放射状に複数の溝が形成されているため、ヒートシンクとハブとの間に部分的に隙間が形成され、その隙間に余剰分の接着剤を移動させることができる。
また、上記第1態様において、前記逃げ部は、前記第2の開口部の周りに形成された複数の貫通孔によって形成されている、という構成を採用する。
この構成によれば、第2の開口部の周りに複数の貫通孔が形成されているため、ハブに至る手前に複数の隙間が形成され、その隙間に余剰分の接着剤を移動させることができる。
また、上記第1態様において、前記逃げ部は、前記回転軸を中心とする点対称形状を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、逃げ部が回転軸を中心とする点対称形状を有するため、余剰分の接着剤を回転軸を中心にバランスよく分配することができる。
また、上記第1態様において、前記波長変換素子と前記基材との間に設けられた反射部材を有する、という構成を採用する。
この構成によれば、反射型の波長変換装置が提供される。
また、上記第1態様において、前記基材は、透光性部材によって形成されている、という構成を採用する。
この構成によれば、透過型の波長変換装置が提供される。
本発明の第2態様に従えば、第1の波長帯の光を射出する光源と、前記第1の波長帯の前記光を受けて第2の波長帯の光を射出する、上記第1態様に係る波長変換装置と、を備える照明装置が提供される。
第2態様に係る照明装置は、上記第1態様に係る波長変換装置を備えるので、低コスト化と高い冷却効率を実現でき、明るい照明光を生成することができる。
本発明の第3態様に従えば、上記第2態様に係る照明装置と、前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、前記画像光を投写する投写光学系と、を備えるプロジェクターが提供される。
第3態様に係るプロジェクターは、上記第2態様に係る照明装置を備えるので、低コスト化と高い冷却効率を実現でき、明るく画像品質に優れた表示を行うことができる。
本実施形態に係るプロジェクターの光学系を示す上面図である。 本実施形態に係る回転蛍光板の(a)蛍光体層側の構成図、(b)ヒートシンク側の構成図である。 本実施形態に係る回転蛍光板の構成を示す分解斜視図である。 本実施形態に係る回転蛍光板の断面図及び要部拡大図である。 一別実施形態に係る回転蛍光板の断面図及び要部拡大図である。 一別実施形態に係るヒートシンクの構成図である。 一別実施形態に係るヒートシンクの構成図である。 一別実施形態に係る回転蛍光板の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR(被投写面)上にカラー映像を表示する投写型画像表示装置である。
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の光学系を示す上面図である。
プロジェクター1は、図1に示すように、第1照明装置100(照明装置)、第2照明装置102、色分離導光光学系200、赤色光、緑色光、青色光の各色光に対応した液晶光変調装置400R,400G,400B(光変調装置)、クロスダイクロイックプリズム500及び投写光学系600を備える。
第1照明装置100は、第1光源10(光源)、コリメート光学系70、ダイクロイックミラー80、コリメート集光光学系90、回転蛍光板30(波長変換装置)、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、偏光変換素子140及び重畳レンズ150を備える。
第1光源10は、励起光としてレーザー光からなる第1の波長帯の青色光(発光強度のピーク:約445nm)Eを射出する半導体レーザー(発光素子)からなる。第1光源10は、1つの半導体レーザーからなるものであってもよいし、多数の半導体レーザーからなるものであってもよい。
なお、第1光源10は、445nm以外の波長(例えば、460nm)の青色光を射出する半導体レーザーを用いることもできる。
本実施形態において、第1光源10は、光軸が照明光軸100axと直交するように配置されている。
コリメート光学系70は、第1レンズ72と、第2レンズ74とを備え、第1光源10からの光を略平行化する。第1レンズ72及び第2レンズ74は、凸レンズからなる。
ダイクロイックミラー80は、コリメート光学系70からコリメート集光光学系90までの光路中に、第1光源10の光軸及び照明光軸100axのそれぞれに対して45°の角度で交わるように配置されている。ダイクロイックミラー80は、青色光を反射し、赤色光及び緑色光を含む黄色の蛍光を通過させる。
コリメート集光光学系90は、ダイクロイックミラー80からの青色光Eを略集光した状態で回転蛍光板30の蛍光体層42に入射させる機能と、回転蛍光板30から射出される蛍光を略平行化する機能とを有する。コリメート集光光学系90は、第1レンズ92及び第2レンズ94を備える。第1レンズ92及び第2レンズ94は、凸レンズからなる。
回転蛍光板30は、モーター50(回転装置)と、円板40(基材)と、反射膜41(反射部材)と、蛍光体層(波長変換素子)42と、ヒートシンク51と、を備える。蛍光体層42は、第1光源10からの第1の波長の青色光Eによって励起されて第2の波長帯の蛍光Yを射出する。蛍光体層42の青色光Eが入射する面は、蛍光Yが射出される射出面でもある。蛍光Yは、赤色光及び緑色光を含む黄色の光である。
第2照明装置102は、第2光源710、集光光学系760、散乱板732及びコリメート光学系770と、を備える。
第2光源710は、第1照明装置100の第1光源10と同一の半導体レーザーから構成される。
集光光学系760は、第1レンズ762及び第2レンズ764を備える。集光光学系760は、第2光源710からの青色光を散乱板732付近に集光する。第1レンズ762及び第2レンズ764は、凸レンズからなる。
散乱板732は、第2光源710からの青色光Bを散乱し、回転蛍光板30から射出される蛍光Yの配光分布に似た配光分布を有する青色光Bとする。散乱板732としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
コリメート光学系770は、第1レンズ772と、第2レンズ774とを備え、散乱板732からの光を略平行化する。第1レンズ772及び第2レンズ774は、凸レンズからなる。
本実施形態において、第2照明装置102からの青色光Bはダイクロイックミラー80で反射され、回転蛍光板30から射出されダイクロイックミラー80を透過した蛍光Yと合成されて白色光Wとなる。当該白色光Wは第1レンズアレイ120に入射する。
第1レンズアレイ120は、ダイクロイックミラー80からの光を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122を有する。複数の第1小レンズ122は、照明光軸100axと直交する面内にマトリクス状に配列されている。
第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を有する。第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150とともに、第1レンズアレイ120の各第1小レンズ122の像を液晶光変調装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に結像させる。複数の第2小レンズ132は照明光軸100axに直交する面内にマトリクス状に配列されている。
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束を、直線偏光光に変換する。偏光変換素子140は、偏光分離層と、反射層と、位相差板とを有している。偏光分離層は、回転蛍光板30からの光に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに他方の直線偏光成分を反射層に向けて反射させる。
反射層は、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸100axに平行な方向に反射する。位相差板は、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する。
重畳レンズ150は、偏光変換素子140からの各部分光束を集光して液晶光変調装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍で互いに重畳させる。第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130及び重畳レンズ150は、回転蛍光板30からの光の面内光強度分布を均一にするインテグレーター光学系を構成する。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220、反射ミラー230,240,250及びリレーレンズ260,270を備える。色分離導光光学系200は、第1照明装置100および第2照明装置102からの白色光Wを赤色光R、緑色光G及び青色光Bに分離し、赤色光R、緑色光G及び青色光Bをそれぞれが対応する液晶光変調装置400R,400G,400Bに導光する。
色分離導光光学系200と、液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、フィールドレンズ300R,300G,300Bが配置されている。
ダイクロイックミラー210は、赤色光成分を通過させ、緑色光成分及び青色光成分を反射するダイクロイックミラーである。
ダイクロイックミラー220は、緑色光成分を反射して、青色光成分を通過させるダイクロイックミラーである。
反射ミラー230は、赤色光成分を反射する反射ミラーである。
反射ミラー240,250は青色光成分を反射する反射ミラーである。
ダイクロイックミラー210を通過した赤色光は、反射ミラー230で反射され、フィールドレンズ300Rを通過して赤色光用の液晶光変調装置400Rの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー210で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー220でさらに反射され、フィールドレンズ300Gを通過して緑色光用の液晶光変調装置400Gの画像形成領域に入射する。
ダイクロイックミラー220を通過した青色光は、リレーレンズ260、入射側の反射ミラー240、リレーレンズ270、射出側の反射ミラー250、フィールドレンズ300Bを経て青色光用の液晶光変調装置400Bの画像形成領域に入射する。
液晶光変調装置400R,400G,400B各々は、入射された色光を画像情報に応じて変調して各色光に対応する画像を形成するものである。なお、図示を省略したが、各フィールドレンズ300R,300G,300Bと各液晶光変調装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が配置され、各液晶光変調装置400R,400G,400Bとクロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が配置される。
クロスダイクロイックプリズム500は、各液晶光変調装置400R,400G,400Bから射出された各画像光を合成してカラー画像を形成する光学素子である。
このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、スクリーンSCR上で画像を形成する。
次に、図2〜図4を参照して、回転蛍光板30の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る回転蛍光板30の(a)蛍光体層42側の構成図、(b)ヒートシンク51側の構成図である。図3は、本実施形態に係る回転蛍光板30の構成を示す分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る回転蛍光板30の断面図及び要部拡大図である。
回転蛍光板30は、蛍光体層42を有する円板40をモーター50によって回転させる。モーター50は、例えば、アウターロータ型のモーターである。蛍光体層42は、図2(a)に示すように、円板40の第1の面40aの周方向に沿って設けられている。ヒートシンク51は、図2(b)に示すように、円板40の第1の面40aとは反対の第2の面40bに設けられている。
モーター50は、図4に示すように、回転軸50aを中心に回転するハブ55を有する。ハブ55は、回転軸50aに軸心が一致する円筒形状を有する。
円板40は、例えば、アルミや銅といった放熱性に優れた金属製の円板から構成されている。円板40は、第1の開口部43を有する。第1の開口部43は、図2(a)に示すように、円板40の中心に形成され、ハブ55と略同一の径を有し、ハブ55が嵌合可能な構成となっている。
蛍光体層42は、例えば、YAG系蛍光体である(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ceを含有する層からなる。
反射膜41は、蛍光体層42と円板40との間に設けられており、蛍光体層42によって励起された蛍光Y(図1参照)を高い効率で反射するように設計されている。
反射膜41および蛍光体層42は、リング形状を持つ。
ヒートシンク51は、例えば、アルミ、銅、銀、鉄などといった放熱性に優れた金属材料から構成されている。ただし、円板40と線膨張係数等の物性値が大きく異なる場合、蛍光体層42の発熱に伴う熱収縮により、応力が発生する可能性がある。そのため、円板40と同じか、または円板40の上記物性値との差が小さい金属材料を選択することが好ましい。ヒートシンク51は、図2(b)に示すように、複数のフィン52と、平板53とを含んでいる。
複数のフィン52は、平板53と一体に形成されている。複数のフィン52は、ハブ55の周囲を囲むように配置されている。複数のフィン52は、図2(b)に示す平面視で、円板40の径方向外側から内側に向かって渦状となるように湾曲した突状部材から構成されている。この構成によれば、円板40の回転時に、径方向内側から外側に空気の流れを形成することができる。
平板53は、円板形状を有し、図3に示すように、第2の開口部54を有する。第2の開口部54は、平板53の中心に形成され、第1の開口部43(ハブ55)よりも大きな径を有し、ハブ55が挿通可能な構成となっている。
ヒートシンク51は、円板40の第2の面40bに接着剤56を介して固着される。接着剤56は、ヒートシンク51の平板53と対向する領域に塗布される。接着剤56としては、熱伝導性が高いシリコン系接着剤の他、金属粒子やセラミック粒子を含む樹脂接着剤等を用いることができる。
上記構成の回転蛍光板30は、円板40に接着剤56を介してヒートシンク51を固着した後、モーター50のハブ55を第1の開口部43に嵌合させることで組み立てられる。なお、本実施形態の回転蛍光板30には、図4に示すように、モーター50とヒートシンク51との間に環状のスペーサ57が配置されており、ヒートシンク51はスペーサ57を介して円板40とモーター50との間に挟持される。
図4の要部拡大図に示すように、第2の開口部54が設けられたヒートシンク51の内径側に、接着剤56の逃げ部60が形成されている。なお、ヒートシンク51の内径側とは、平板53の外周と内周(第2の開口部54)の中間の半径を有する円を境界線とした内径側の領域を意味する。また、ヒートシンク51の外径側とは、平板53の外周と内周の中間の半径を有する円を境界線とした外径側の領域を意味する。
本実施形態の逃げ部60は、第1の開口部43よりも大きな径を有する第2の開口部54によって形成されている。例えば、モーター50の外径が100〜200mm程度の場合、第2の開口部54の径D2は、第1の開口部43の径D1よりも3〜4mm程度大きい。これにより、円板40、ヒートシンク51、ハブ55、及びスペーサ57によって囲まれた環状の隙間が形成され、この環状の隙間が接着剤56の逃げ部60となる。
上記構成の回転蛍光板30によれば、円板40とヒートシンク51とが別体であるため、ダイカスト等を用いて製造する必要が無い。すなわち、ヒートシンク51を固着した円板40に、要求される平面粗さ及び平面度を得るための2次加工(研磨等)は必要とされない。このように、円板40に2次加工をすることなく、要求される平面粗さ及び平面度が得られるため、反射膜41及び蛍光体層42を良好に形成することができる。よって、製造コストが抑えられ、コスト低減が図られる。
また、円板40と別体のヒートシンク51とを接着剤56を介して固着すると、円板40にヒートシンク51を押し付けた際に、余剰分の接着剤56がヒートシンク51の外径側と内径側とに移動する。ヒートシンク51の外径側には接着剤56の逃げを阻害する構造物が無く、余剰分の接着剤56は平板53の外周にはみ出るため、接着層の厚みを薄くできる。一方、ヒートシンク51の内径側には、図4に示すように、モーター50のハブ55と円板40の第1の開口部43とが嵌合した嵌合構造がある。
本実施形態の回転蛍光板30には、接着剤56の逃げを阻害する嵌合構造があるヒートシンク51の内径側に、接着剤56の逃げ部60が形成されている。逃げ部60は、第1の開口部43よりも大きな径を有する第2の開口部54によって形成されている。この構成によれば、第2の開口部54が、ハブ55が嵌合する第1の開口部43よりも大きな径を有するため、ヒートシンク51とハブ55との間に環状の隙間が形成され、その隙間に余剰分の接着剤56を移動させることができる。
このように、ヒートシンク51の内径側に移動した余剰分の接着剤56が逃げ部60に移動することで、ヒートシンク51の内径側の接着層の厚みを薄くすることができる。よって、熱抵抗となる接着層の厚みを全体的に薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。
すなわち、蛍光体層42にはレーザー光からなる青色光Eが入射するため、蛍光体層42において熱が発生する。モーター50は、円板40を回転させることで、蛍光体層42における青色光Eの入射位置を順次変化させる。これにより、蛍光体層42の同じ部分に青色光Bが集中的に照射されて劣化するといった不具合の発生を防止できる。そして、蛍光体層42において発生した熱は、接着層が薄くなることで、ヒートシンク51を介して効率よく放熱される。
以上述べたように、本実施形態によれば、モーター50と、モーター50により回転する円板40と、円板40に設けられた蛍光体層42と、円板40に接着剤56を介して固着された、円板40とは別体のヒートシンク51と、を備え、モーター50は、回転軸50aを中心に回転するハブ55を有し、円板40は、ハブ55に嵌合する第1の開口部43を有し、ヒートシンク51は、ハブ55が挿通する第2の開口部54と、接着剤56の少なくとも一部を収容する逃げ部60と、を有する回転蛍光板30を採用することによって、低コスト化と高い冷却効率を実現できる。また、回転蛍光板30を備えた第1照明装置100は、信頼性が高く、かつ低コストで明るい照明光(白色光W)を生成できる。また、この第1照明装置100を備えたプロジェクター1は、低コストで品質に優れた画像を表示することができる。
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
図5は、一別実施形態に係る回転蛍光板30の断面図及び要部拡大図である。
図5に示す回転蛍光板30は、スペーサ57が無い点、及び、ヒートシンク51が、第1の開口部43よりも大きく、且つ、モーター50の外周よりも大きな径の第2の開口部54Aを有する点で、上記実施形態と異なる。
逃げ部60は、モーター50の外周よりも大きな径の第2の開口部54Aによって形成されている。例えば、第2の開口部54Aの径D2は、モーター50の径D3よりも3〜4mm程度大きい。これにより、円板40、ヒートシンク51、モーター50によって囲まれた環状の隙間(凹溝)が形成され、この環状の隙間が接着剤56の逃げ部60となる。この逃げ部60に接着剤56が移動することで、上記実施形態と同様に、熱抵抗となる接着層の厚みを全体的に薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。
図6は、一別実施形態に係るヒートシンク51の構成図である。
図6に示すヒートシンク51は、第2の開口部54から放射状に形成された複数の溝61を有する点で、上記実施形態と異なる。
逃げ部60は、ヒートシンク51の内径側において、平板53を貫通するように設けられた複数の溝61によって形成されている。逃げ部60は、回転軸50aを中心に点対称形状を有する。すなわち、複数の溝61は、第2の開口部54の周方向に等間隔で配置されている。なお、この別実施形態では、複数の溝61が逃げ部60となるため、第2の開口部54の径は、第1の開口部43(ハブ55)の径と同一であってもよい。この構成によれば、ヒートシンク51の内径側に移動した余剰分の接着剤56が複数の溝61に移動することで、ヒートシンク51の内径側の接着層の厚みを薄くすることができる。よって、熱抵抗となる接着層の厚みを薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。また、逃げ部60(複数の溝61)が回転軸50aを中心とする点対称形状を有するため、余剰分の接着剤56を回転軸50aを中心にバランスよく分配することができる。よって、回転蛍光板30の偏心による回転ブレが抑制される。
また、溝61は、平板53において、円板40の第2の面40b側にのみ凹部として設け、さらに複数のフィン52が形成されている範囲まで延在させてもよい。この構成により形成された逃げ部60は、円板40と平板53との間に塗布された接着剤56の余剰分に加え、接着剤56中に残留する気泡をバランスよく収容することができ、熱抵抗となる接着層の厚みを薄くし、接着面積および密着性を向上することで、冷却効率を高めることができる。また、溝61が凹部として設けられることにより、所謂アンカー効果を得ることができ、円板40と平板53との間の接着強度を高く維持することができる。
図7は、一別実施形態に係るヒートシンク51の構成図である。
図7に示すヒートシンク51は、第2の開口部54の周りに形成された複数の貫通孔62を有する点で、上記実施形態と異なる。
逃げ部60は、ヒートシンク51の内径側に複数の貫通孔62によって形成されている。逃げ部60は、回転軸50aを中心に点対称形状を有する。すなわち、複数の貫通孔62は、第2の開口部54の周方向に等間隔で配置されている。なお、この別実施形態では、複数の貫通孔62が逃げ部60となるため、第2の開口部54の径は、第1の開口部43(ハブ55)の径と同一であってもよい。この構成によれば、ヒートシンク51の内径側に移動した余剰分の接着剤56が複数の貫通孔62に移動することで、ヒートシンク51の内径側の接着層の厚みを薄くすることができる。また、接着剤56中に残留する気泡や、接着剤56が硬化する際に発生するガスを外部に排出することができる。よって、熱抵抗となる接着層の厚みを薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。また、逃げ部60(複数の貫通孔62)が回転軸50aを中心とする点対称形状を有するため、余剰分の接着剤56を回転軸50aを中心にバランスよく分配することができる。よって、回転蛍光板30の偏心による回転ブレが抑制される。
また、貫通孔62は、複数のフィン52が形成されている範囲、すなわちフィン52の間に設けてもよい。この構成により形成された逃げ部60は、円板40と平板53との間に塗布された接着剤56の余剰分に加え、接着剤56中に残留する気泡や、接着剤56が硬化する際に発生するガスをバランスよく移動させて外部に排出することができる。よって、熱抵抗となる接着層の厚みを薄くし、密着性を上げて、冷却効率を高めることができる。
図8は、一別実施形態に係る回転蛍光板30の断面図である。
図8に示す回転蛍光板30は、透明性部材によって形成された円板40Aを有する点で、上記実施形態と異なる。
円板40Aは、例えば、ガラス基板によって形成され、第2の面40bに蛍光体層42が設けられる。すなわち、第1の面40aが、青色光Eが入射される入射面となり、第2の面40bが、蛍光Yが射出される射出面となる。第2の面40bに設けられたヒートシンク51は、蛍光Yと干渉しない大きさを有する。この構成においても、第2の開口部54が設けられたヒートシンク51の内径側に、接着剤56の逃げ部60を設けることで、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、上述した各実施形態は適宜組み合わせることができる。例えば、逃げ部60が、第2の開口部54、複数の溝61、及び複数の貫通孔62の全部または一部から形成されてもよい。
また、上記実施形態では、3つの液晶光変調装置400R,400G,400Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの液晶光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに適用することも可能である。また、光変調装置として、デジタルミラーデバイス(DMD)を用いてもよい。
1…プロジェクター、10…第1光源(光源)、30…回転蛍光板(波長変換装置)、40…円板(基材),40A円板(基材)、41…反射膜(反射部材)、42…蛍光体層(波長変換素子)、43…第1の開口部、50…モーター(回転装置)、50a…回転軸、51…ヒートシンク、54…第2の開口部,54A第2の開口部、55…ハブ、56…接着剤、60…逃げ部、61…溝、62…貫通孔、100…第1照明装置(照明装置)、400R,400G,400B…液晶光変調装置(光変調装置)、600…投写光学系。

Claims (9)

  1. 回転装置と、
    前記回転装置により回転する基材と、
    前記基材に設けられた波長変換素子と、
    前記基材に接着剤を介して固着された、前記基材とは別体のヒートシンクと、を備え、
    前記回転装置は、回転軸を中心に回転するハブを有し、
    前記基材は、前記ハブに嵌合する第1の開口部を有し、
    前記ヒートシンクは、
    前記ハブが挿通する第2の開口部と、
    前記接着剤の少なくとも一部を収容する逃げ部と、を有する
    波長変換装置。
  2. 前記逃げ部は、前記第1の開口部よりも大きな径を有する前記第2の開口部によって、前記ヒートシンクの内径側に形成されている
    請求項1に記載の波長変換装置。
  3. 前記逃げ部は、前記第2の開口部から放射状に形成された複数の溝によって形成されている
    請求項1または2に記載の波長変換装置。
  4. 前記逃げ部は、前記第2の開口部の周りに形成された複数の貫通孔によって形成されている
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換装置。
  5. 前記逃げ部は、前記回転軸を中心とする点対称形状を有する
    請求項3または4に記載の波長変換装置。
  6. 前記波長変換素子と前記基材との間に設けられた反射部材を有する
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換装置。
  7. 前記基材は、透光性部材によって形成されている
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換装置。
  8. 第1の波長帯の光を射出する光源と、
    前記第1の波長帯の前記光を受けて第2の波長帯の光を射出する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の波長変換装置と、を備える
    照明装置。
  9. 請求項8に記載の照明装置と、
    前記照明装置からの照明光を画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置と、
    前記画像光を投写する投写光学系と、を備える
    プロジェクター。
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