JP2017069775A - 音響信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げる。
【解決手段】加算部210は、音響信号入力装置11から供給されたLチャネル信号とRチャネル信号とを加算し、同相信号として非線形処理部211に供給する。一方、減算部220は、Rチャネル信号からLチャネル信号を減算し、逆相信号として非線形処理部221に供給する。非線形処理部211および221は、入力信号に飽和関数に従った非線形増幅を施す信号処理機能、或いはコンプレッサである。非線形処理部221の増幅率は、非線形処理部211の増幅率よりも小さい。減算部212は、同相信号から逆相信号を減算し、乗算部213に供給する。乗算部213は、振幅を半分にしてLチャネル信号として出力する。一方、加算部222は、同相信号と逆相信号を加算し、乗算部223に供給する。乗算部223は、振幅を半分にしてRチャネル信号として出力する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げる信号処理技術に関する。
例えばCDプレイヤなどのデジタル音響信号にしたがって音を再生するデジタルオーディオ機器の普及に伴い、ノイズや歪みのないクリアな音を手軽に再生することが可能となっている。
特開2004−048140号公報 特開2004−264502号公報
デジタル音響信号に信号処理を施すことで、まるでアナログレコードを再生しているかのような再生音を得ることができれば、再生音の表現力の幅を広げることができる。近年では、アナログレコードの再生音の温かみのある音質に注目が集まっているため、この信号処理に対するニーズも高いと考えられる。
まるでアナログレコードを再生しているかのような再生音とする信号処理としては、例えば、アナログレコードの再生音には必ず含まれるノイズをデジタル音響信号に付与する信号処理が考えられる。
しかし、ノイズをデジタル音響信号に付与する信号処理では、アナログレコードを再生しているかのような再生音とするには不十分である。その理由は以下の通りである。アナログレコードはアナログレコード針がアナログレコードに設けられた溝をトレースすることで再生される。アナログレコード針はアナログレコードの溝に垂直方向に押し当てられているため、アナログレコードの溝をトレースする際に、アナログレコード針は垂直方向よりも水平方向に動きやすく、垂直方向の動きが抑制される傾向にある。このようなアナログレコードに特有の物理現象によって、アナログレコードの再生音には、この物理現象に応じた歪みが生じるが、デジタル音響信号にノイズを付与する信号処理を施しても、このようなアナログレコードに特有の物理現象に応じた歪みが生じた再生音とはならないからである。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げる信号処理技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、Lチャネル信号とRチャネル信号を加算して得られる同相信号の振幅を非線形増幅する第1の非線形処理部と、Lチャネル信号とRチャネル信号のいずれか一方から他方を減算して得られる逆相信号の振幅を非線形増幅する第2の非線形処理部と、を有し、第1の非線形処理部の増幅率と、第2の非線形処理部の増幅率とが異なることを特徴とする音響信号処理装置を提供する。
本発明によれば、第1の非線形処理部の増幅率が第2の非線形処理部の増幅率と異なるので、再生音の表現力の幅が広がる。特許文献1には、複数の入力信号をグループ化し、グループごとに入力信号の振幅を増幅する技術が開示されている。特許文献2には、入力信号を複数の周波数帯域に分割し、周波数帯域ごとに入力信号の振幅を増幅する技術が開示されている。しかし、特許文献1および特許文献2に開示の技術は、再生音の表現力の幅を広げる信号処理技術ではなく、本願発明とは全く異なる技術である。
より好ましい態様としては、第2の非線形処理部の増幅率は、第1の非線形処理部の増幅率よりも小さい。アナログレコードでは、同相信号よりも逆相信号の方に、アナログレコードに特有の物理現象に応じた再生音の歪みが生じやすい。この態様によれば、アナログレコードに特有の物理現象に応じた歪みを再現した再生音となり、アナログレコードを再生しているかのような再生音となる。
より好ましい態様としては、非線形増幅後の同相信号の振幅は第1の値以下に制限され、非線形増幅後の逆相信号の振幅は第2の値以下に制限され、第2の値が、第1の値よりも小さい。この態様によれば、アナログレコードに特有の物理現象に応じた歪みを再現した再生音となり、アナログレコードを再生しているかのような再生音となる。
より好ましい態様としては、第1の非線形処理部は、同相信号の振幅が第1の閾値以上であると、非線形増幅を行い、第2の非線形処理部は、逆相信号の振幅が第2の閾値以上であると、非線形増幅を行い、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さい。アナログレコードでは、溝に記録されている信号の振幅が大きいほど、アナログレコードに特有の物理現象に応じた再生音の歪みが顕著になる。この態様によれば、同相信号は、その振幅が第1の閾値以上であると非線形増幅される一方、逆相信号は、その振幅が第2の閾値(但し、第2の閾値<第1の閾値である)以上であると非線形振幅されるので、アナログレコードに特有の物理現象に応じた歪みをより再現した再生音となり、アナログレコードを再生しているかのような再生音により近づけることができる。
より好ましい態様としては、同相信号の低周波数成分を第1の非線形処理部に供給する第1のローパスフィルタと、逆相信号の低周波数成分を第2の非線形処理部に供給する第2のローパスフィルタと、の少なくとも一方を有する。アナログレコードでは、再生音の周波数が低いと、アナログレコードに特有の物理現象に応じた再生音の歪みが生じやすくなる。この態様によれば、同相信号と逆相信号の少なくとも一方の低周波数成分が非線形増幅されるので、アナログレコードに特有の物理現象に応じた歪みをより再現した再生音となり、アナログレコードを再生しているかのような再生音により近づけることができる。
本発明の第1実施形態の音響信号処理装置10を用いた再生装置1の構成例を示すブロック図である。 同音響信号処理装置10の構成例を示すブロック図である。 同音響信号処理装置10の信号処理部110が信号処理プログラム134aにしたがって実現する信号処理機能の一例を示す機能ブロック図である。 非線形処理部211および221における入力信号と出力信号の振幅の関係を示すグラフである。 アナログレコード30で用いられる45−45方式を説明するための断面図である。 Lチャネル信号とRチャネル信号が同相信号である場合のアナログレコード針20の挙動を示す断面図である。 Lチャネル信号とRチャネル信号が逆相信号である場合のアナログレコード針20の挙動を示す断面図である 本発明の第2実施形態の非線形処理部211および221における入力信号と出力信号の振幅の関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態の信号処理部110が信号処理プログラム134bにしたがって実現する信号処理機能の一例を示す機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態の変形例を示す機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態の変形例を示す機能ブロック図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
(A:構成)
図1は、本発明の第1実施形態の音響信号処理装置10を用いた再生装置1の構成例を示すブロック図である。再生装置1は、音響信号処理装置10、音響信号入力装置11および音響信号出力装置12を有する。音響信号入力装置11は、例えばCDプレイヤであり、音響信号出力装置12は、例えばスピーカである。
音響信号入力装置11は、デジタル音響信号であるLチャネル信号とRチャネル信号を音響信号処理装置10に供給する。音響信号処理装置10は、アナログレコードを再生しているかのような再生音となる信号処理(本実施形態では、非線形増幅)をLチャネル信号とRチャネル信号に施し、音響信号出力装置12に供給する。なお、音響信号処理装置10が施す非線形増幅の信号処理には、入力信号の振幅に対して出力信号の振幅が大きくなる信号処理だけでなく、出力信号の振幅が入力信号の振幅以下となる信号処理も含まれる。これは、本実施形態だけでなく、他の実施形態においても同様である。音響信号出力装置12は、供給されたLチャネル信号とRチャネル信号に基づいて音を再生する。
図2は、音響信号処理装置10の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、音響信号処理装置10は、信号処理部110、通信インタフェース(以下、「I/F」と略記)部120、記憶部130、およびこれら構成要素間のデータ授受を仲介するバス140を含んでいる。
信号処理部110は例えばCPU(Central Processing Unit)である。信号処理部110は記憶部130(より正確には不揮発性記憶部134)に記憶されている信号処理プログラム134aにしたがって作動することで、音響信号処理装置10の制御中枢として機能する。信号処理部110が信号処理プログラム134aにしたがって実行する処理の詳細については後に明らかにする。
通信I/F部120は、所定の規格に準拠した通信を行う送受信器である。通信I/F部120は、信号処理部110から引き渡されたデータを音響信号出力装置12へ送信する一方、音響信号入力装置11から送信されたデータを受信し信号処理部110に与える。本実施形態では、音響信号処理装置10と音響信号入力装置11或いは音響信号出力装置12との間のデータ通信を有線通信により実現するが、無線通信で実現してもよい。音響信号処理装置10と音響信号入力装置11或いは音響信号出力装置12の間のデータ通信を有線通信により実現する態様であれば、通信I/F部120としてUSB(Universal Serial Bus)I/FやシリアルI/F、NIC(Network Interface Card)等を用いるようにすればよい。また、音響信号処理装置10と音響信号入力装置11或いは音響信号出力装置12との間のデータ通信を無線通信により実現する態様であれは、両者の間に無線アクセスポイント装置などの他の装置を介する態様であってもよく、インターネットなどの電気通信回線を介する態様であってもよい。
記憶部130は、揮発性記憶部132と不揮発性記憶部134を含んでいる。揮発性記憶部132は例えばRAM(Random Access Memory)である。揮発性記憶部132は、信号処理プログラム134a等の各種プログラムを実行する際のワークエリアとして信号処理部110によって利用される。不揮発性記憶部134は例えばフラッシュROM(Read Only Memory)である。不揮発性記憶部134には、前述した信号処理プログラム134aが予め格納されている。
信号処理部110は、音響信号処理装置10の電源(図示略)の投入或いはリセットを契機として、信号処理プログラム134aを不揮発性記憶部134から揮発性記憶部132に読み出し、その実行を開始する。信号処理プログラム134aにしたがって作動している信号処理部110には、信号処理機能が付与される。この信号処理機能の詳細については、音響信号処理装置10の動作において説明する。
(B:動作)
図3は、信号処理部110が信号処理プログラム134aにしたがって実現する信号処理機能の一例を示す機能ブロック図である。信号処理部110が信号処理プログラム134aにしたがって実現する信号処理機能は、加算部210および222と、減算部212および220と、非線形処理部211および221と、乗算部213および223との各ブロックに大別される。
加算部210は、音響信号入力装置11から供給されたLチャネル信号とRチャネル信号を加算し、両信号に含まれる同相成分を表す同相信号を非線形処理部211に供給する。同相成分とは、Lチャネル信号とRチャネル信号の両方に含まれる、同時刻における位相が同一である信号成分のことをいう。一方、減算部220は、Rチャネル信号からLチャネル信号を減算し、両信号に含まれる逆相成分を表す逆相信号を非線形処理部221に供給する。逆相成分とは、Lチャネル信号とRチャネル信号の両方に含まれる、同時刻における位相が半周期異なる信号成分のことをいう。
非線形処理部211および221は、入力信号に対して飽和関数に従った非線形増幅を施し後段に出力する。非線形処理部211および221では、入力信号の振幅が大きくなればなるほど、増幅率を小さくする。増幅率とは、入力信号の振幅に対する出力信号の振幅の割合のことである。図4は、非線形処理部211および221における入力信号と出力信号の振幅の関係(すなわち、飽和関数)を示すグラフである。図4のx軸が入力信号の振幅であり、y軸が出力信号の振幅である。さらに、図4のグラフの傾きが増幅率である。図4に示すように、非線形処理部211および221への入力信号の振幅が大きくなっても、出力信号の振幅は所定の一定値に近づくだけで、出力信号の振幅がこの一定値を超えることはない。
減算部212は、非線形処理部211から供給された同相信号から、非線形処理部221から供給された逆相信号を減算し、乗算部213に供給する。乗算部213は、供給された信号の振幅を半分にしてLチャネル信号として出力する。一方、加算部222は、同相信号と逆相信号を加算し、乗算部223に供給する。乗算部223は、供給された信号の振幅を半分にしてRチャネル信号として出力する。
本実施形態では、非線形処理部211および221の各々における非線形増幅の内容が異なり、この点に本実施形態の特徴がある。具体的には、図4に示すように、非線形処理部221における一定値qの方が、非線形処理部221における一定値pよりも小さい。さらに、非線形処理部221の増幅率は、非線形処理部211の増幅率よりも小さい。このようになっている理由は以下の通りである。
図5は、アナログレコード30で用いられる45−45方式を説明するための断面図である。アナログレコード30には、90°に溝が掘られており、この溝を例えばダイヤモンドで形成されたアナログレコード針20がトレースすることで音が再生される。一般的に、この溝の内周側45°はLチャネル信号に対応して掘られており、外周側45°はRチャネル信号に対応して掘られている。ダイヤモンド等で形成されたアナログレコード針20には互いに垂直な方向に伝搬する振動には相互干渉が発生しない性質があるため、アナログレコード針20がアナログレコード30の溝をトレースすることで、相互干渉の少ないLチャネル信号とRチャネル信号を取り出すことができる。これが、アナログレコード30で用いられている45−45方式である。
図6は、Lチャネル信号とRチャネル信号が同相信号である場合のアナログレコード針20の挙動を示す断面図である。Lチャネル信号とRチャネル信号が同相信号であると、アナログレコード針20には、図6(a)に示すようなアナログレコード30と平行に外周側から内周側に向けて力が加わるか、図6(b)に示すようなアナログレコード30と平行に内周側から外周側に向けて力が加わる。したがって、この場合、アナログレコード針20は、アナログレコード30の水平方向に振れる。
図7は、Lチャネル信号とRチャネル信号が逆相信号である場合のアナログレコード針20の挙動を示す断面図である。Lチャネル信号とRチャネル信号が逆相信号であると、アナログレコード針20には、図7(a)に示すようなアナログレコード30と垂直に下向きの力が加わるか、図7(b)に示すようなアナログレコード30と垂直に上向きの力が加わる。したがって、この場合、アナログレコード針20は、アナログレコード30の垂直方向に振れる。
アナログレコード針20は、アナログレコード30の溝に垂直方向に押し当てられているため、垂直方向の動きが抑制される。そのため、Lチャネル信号とRチャネル信号に含まれる逆相成分の振幅は、本来の振幅の値よりも小さくなり、再生音が歪むことになる。
本実施形態の非線形処理部211および221の各々における非線形増幅において、逆相信号が供給される非線形処理部221の増幅率を、同相信号が供給される非線形処理部211の増幅率より小さくし、非線形処理部211における一定値qを、非線形処理部221における一定値pよりも小さくしたのは、上記で説明した45−45方式のアナログレコード30の再生音における逆相成分の歪みを再現するためである。本実施形態であれば、アナログレコード30を再生しているかのような再生音とすることができ、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げることができる。
<第2実施形態>
図8は、この発明の第2実施形態の非線形処理部211および221における入力信号と出力信号の振幅の関係を示すグラフである。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、非線形処理部211および221の入力信号に対する非線形増幅の処理内容である。具体的には、非線形処理部211および221の各々は、コンプレッサである。この非線形増幅の処理内容以外に関しては、本実施形態は第1実施形態と同一である。従って、本実施形態では、同一の構成要素には同一の符号を付けて、その説明を省略する。以下では非線形処理部211および221の非線形増幅の処理内容を中心に説明する。
図8のx軸が入力信号の振幅であり、y軸が出力信号の振幅である。さらに、図8のグラフの傾きが増幅率である。図8に示すように、非線形処理部211および221は、入力信号の振幅が閾値よりも小さい場合には、入力信号を線形増幅し後段に供給する。一方、入力信号の振幅が閾値以上の場合には、入力信号の振幅が閾値よりも小さい場合の増幅率とは異なる増幅率で入力信号に線形増幅を施し後段に出力する。結果として、非線形処理部211および221が入力信号に対して施す処理内容は、非線形増幅となる。
図8に示すように、本実施形態における逆相信号の振幅についての閾値qの方が同相信号の振幅についての閾値pよりも小さい。そして、非線形処理部221の増幅率は、非線形処理部211の増幅率よりも小さい。このため、本実施形態においても、アナログレコード30における逆相成分の歪みを再現することができ、アナログレコード30を再生しているかのような再生音となる。
アナログレコード30の再生音の歪みは、溝に記録されている信号の振幅が大きいほど顕著になる。すなわち、アナログレコード30の再生音は、溝に記録された信号の振幅が小さいと歪まず、振幅が大きいと歪むのである。本実施形態によれば、非線形処理部211および221は、入力信号の振幅が閾値以上の場合にのみ、入力信号に非線形増幅を施すため、第1実施形態よりも、アナログレコード30を再生しているかのような再生音により近づけることができ、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅をより広げることができる。
<第3実施形態>
図9は、この発明の第3実施形態の信号処理部110が信号処理プログラム134bにしたがって実現する機能の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、不揮発性記憶部134に信号処理プログラム134aではなく、信号処理プログラム134bが格納されている点である。この点以外においては、本実施形態は第1実施形態と同一である。従って、本実施形態では、同一の構成要素には同一の符号を付けて、その説明を省略する。以下では信号処理プログラム134bを中心に説明する。
図9と図4を比較すれば明らかなように、信号処理部110が信号処理プログラム134bにしたがって実現する信号処理機能は、信号処理部110が信号処理プログラム134aにしたがって実現する信号処理機能と同様の各ブロックに、ハイパスフィルタ310および320と、ローパスフィルタ311および321と、加算部330および331との各ブロックに大別される。ハイパスフィルタ310および320は、所定の周波数よりも高周波数帯域の信号のみを後段に供給する帯域分割フィルタであり、ローパスフィルタ311および321は、所定の周波数以下の低周波数帯域の信号のみを後段に供給する帯域分割フィルタである。
入力信号は、ハイパスフィルタ310および320と、ローパスフィルタ311および321とにより帯域分割される。そして、ハイパスフィルタ310および320により帯域分割された入力信号の高周波数成分は、何ら処理を加えられずに加算部330および331に供給される。一方、ローパスフィルタ311および321により帯域分割された入力信号の低周波数成分は、第1実施形態と同様の非線形増幅を施される。なお、この非線形増幅は第2実施形態の非線形増幅であってもよい。
ハイパスフィルタ310および320により帯域分割された入力信号の高周波成分と、非線形増幅を施された入力信号の低周波数成分は、加算部330および331により加算され、出力信号として音響信号出力装置12に供給される。
本実施形態では、入力信号の低周波数成分にのみ非線形増幅を施しているが、これは以下の理由による。入力信号の低周波数成分は振幅が大きいため、低周波数帯域では、再生音の歪みが顕著になる。本実施形態は、この現象を再現するためのものである。
本実施形態であれば、第1実施形態よりも、アナログレコード30を再生しているかのような再生音により近づくことができ、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅をより広げることができる。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第3実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、アナログレコード30を再生しているかのような再生音が得られるようにするため、非線形処理部211および221は、入力信号に対して、図4や図8に示すような非線形増幅を施した。しかし、この非線形増幅は、図4や図8に示す非線形増幅に限られず、アナログレコード30を再生しているかのような再生音となるならば、他の非線形増幅であってもよい。
(2)上記各実施形態では、この発明による信号処理をコンピュータプログラムである信号処理プログラム134a或いは134bにより実現した。しかし、この発明による信号処理(非線形増幅)を実施するための手段の態様は、コンピュータプログラムに限定されるものではない。例えば電子回路等により、加算部210や非線形処理部211および221等を構成し、これら各部を組み合わせて構成してもよい。
(3)上記各実施形態では、Rチャネル信号からLチャネル信号を減算し、逆相信号としていたが、Lチャネル信号からRチャネル信号を減算し、逆相信号としてもよい。ただし、この場合、減算部212の替わりに同相信号と逆相信号を加算する加算部を設け、加算部222の替わりに同相信号から逆相信号を減算する減算部を設ける必要がある。これは、音響信号出力装置12にLチャネル信号とRチャネル信号を供給するためである。
(4)上記各実施形態では、逆相信号が供給された非線形処理部221の増幅率は、同相信号が供給された非線形処理部211の増幅率より小さかったが、その逆でもよい。この場合、従来にはなかった新しい音を作り出すことが可能となり、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げることができる。さらに、上記第1実施形態では、逆相信号の一定値qが、同相信号の一定値pよりも小さかったが、その逆でもよい。また、上記第2実施形態では、逆相信号の閾値qが、同相信号の閾値pよりも小さかったが、その逆でもよい。いずれも場合においても、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅を広げることができる。
(5)上記第1実施形態と上記第2実施形態を組み合わせてもよい。非線形処理部211或いは221は、入力信号の振幅が閾値よりも小さい場合は、入力信号に線形増幅を施し、入力信号の振幅が閾値よりも大きい場合は、入力信号の振幅が大きくなればなるほど増幅率を小さくし、入力信号の振幅が所定の一定値に近づくような非線形増幅を施す。非線形増幅が施された入力信号の振幅が、この一定値を超えることはない。このようにすることで、アナログレコード30を再生しているかのような再生音により近づけることができ、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅をより広げることができる。
(6)上記第3実施形態では、ローパスフィルタ311および321の後段に加算部210および減算部220を各々設けたが、図10に示すように、これらの順序が逆であってもよい。また、図11に示すように、加算部210の後段にハイパスフィルタ310とローパスフィルタ311を設け、減算部220の後段にハイパスフィルタ320とローパスフィルタ321を設けてもよい。ただし、この場合、非線形処理部211および221の後段に加算部330および331を各々設ける必要がある。要は、同相信号の低周波数成分が非線形処理部211に供給され、逆相信号の低周波数成分が非線形処理部221に供給される態様であれば、どのような態様であってもよい。
(7)上記第3実施形態では、ハイパスフィルタ310とローパスフィルタ311の2つのフィルタにより入力信号を所定の周波数で分割する帯域分割を行ったが、バンドパスフィルタをさらに用いてもよい。この態様であれば、より細かく再生音の歪みを調整することができ、アナログレコード30を再生しているかのような再生音により近づけることができ、デジタル音響信号の再生音の表現力の幅をより広げることができる。
(8)上記第3実施形態では、Lチャネル信号とRチャネル信号の両方が帯域分割されていたが、Lチャネル信号とRチャネル信号のいずれか一方のみが帯域分割されていてもよい。すなわち、信号処理部110が信号処理プログラム134bにしたがって実現する信号処理機能において、ハイパスフィルタ310、ローパスフィルタ311および加算部330が存在しなくてもよいし、ハイパスフィルタ320、ローパスフィルタ321および加算部331が存在しなくてもよい。
1……再生装置、10……信号処理装置、11……音響信号入力装置、12……音響信号出力装置、20……アナログレコード針、30……アナログレコード、110……信号処理部、120……通信I/F部、130……記憶部、132……揮発性記憶部、134……不揮発性記憶部、134a,134b……信号処理プログラム、140……バス、210,222,330,331……加算部、220,212……減算部、211,221……非線形処理部、213,223……乗算部、310,320……ハイパスフィルタ、311,321……ローパスフィルタ。

Claims (5)

  1. Lチャネル信号とRチャネル信号を加算して得られる同相信号の振幅を非線形増幅する第1の非線形処理部と、
    前記Lチャネル信号と前記Rチャネル信号のいずれか一方から他方を減算して得られる逆相信号の振幅を非線形増幅する第2の非線形処理部と、
    を有し、
    前記第1の非線形処理部の増幅率と、前記第2の非線形処理部の増幅率とが異なる
    ことを特徴とする音響信号処理装置。
  2. 前記第2の非線形処理部の増幅率は、前記第1の非線形処理部の増幅率よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1に記載の音響信号処理装置。
  3. 非線形増幅後の前記同相信号の振幅は第1の値以下に制限され、
    非線形増幅後の前記逆相信号の振幅は第2の値以下に制限され、
    前記第2の値が、前記第1の値よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の音響信号処理装置。
  4. 前記第1の非線形処理部は、前記同相信号の振幅が第1の閾値以上であると、非線形増幅を行い、
    前記第2の非線形処理部は、前記逆相信号の振幅が第2の閾値以上であると、非線形増幅を行い、
    前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の音響信号処理装置。
  5. 前記同相信号の低周波数成分を前記第1の非線形処理部に供給する第1のローパスフィルタと、
    前記逆相信号の低周波数成分を前記第2の非線形処理部に供給する第2のローパスフィルタと、
    の少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の音響信号処理装置。


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