JP2017067631A - 検出装置及び検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来よりも精度の高い検出を行うことができる検出装置を提供することを目的とする。【解決手段】 被検物106中の異物を検査する検査装置100であって、テラヘルツ波を発生する発生部101と、複数の異なる散乱角における被検物からのテラヘルツ波の散乱波を検出する検出部103と、検出部の検出結果に基づいて被検物中に異物が含まれているか否かを判定する判定部104と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、検出装置及び検出方法に関する。
粉末状の試料を被検物として、被検物中に含まれる異物を検出することは、例えば食品製造業界等において、最終的な製品の品質を向上するうえで重要である。粉末状の試料から異物を検出する方法として、可視光やX線などの電磁波を試料に照射する検出手法がある。
電磁波を用いた検出方法では、被検物の高い透過性と異物の吸収、散乱による非透過性を組み合わせて利用することで異物の有無を判別する。例えば特許文献1には、異物として混入するプラスチックが、被検物である食品、例えばレーズン、とは異なる透過率スペクトルを示すことを利用し、レーズンに照射された光の透過光強度から異物混入の有無を判別することが記載されている。異なる波長を持つ複数の光を用いることで検出精度を上げることも可能である。
また、特許文献2では、リチウムイオン二次電池内の電極合剤層を含む活物質にテラヘルツ波を照射し、活物質で散乱した散乱波を集光して測定した強度から、電極合剤層に混入した金属異物を検出する。
特開2005−233724公報 特許第5615941号公報
しかしながら、先行文献1の検出装置では、近赤外外を用いているため、被検物が粉末状の試料の場合は被検物による光散乱が強く、電磁波がほとんど透過しない。よって試料の内部まで光が届かず試料中の異物を検出することができないことがある。また、先行文献2の検出装置では、散乱波のうち、例えば散乱角が約83度以上123度以下の狭い領域の散乱波を集光してその強度を検出している。散乱波の一部を利用しているため、異物の形状によっては検出器に到達する散乱波が弱く、その結果、異物を検出できないことがある。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたもので、従来よりも精度の高い検出を行うことができる検出装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面としての検出装置は、被検物中の異物を検査する検査装置であって、テラヘルツ波を発生する発生部と、複数の異なる散乱角における前記被検物からのテラヘルツ波の散乱波を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて前記被検物中に異物が含まれているか否かを判定する判定部と、を有することを特徴とする。
本発明の検出装置によれば、従来よりも精度の高い検出を行うことができる。
第1の実施形態の検出装置の構成を説明する模式図。 第1の実施形態の検出装置の構成の一例を説明する模式図。 テラヘルツ波の強度変調を説明する模式図。 第1の実施形態の検出方法のフローチャート。 第1の実施形態における、FDTD法によるシミュレーションに用いたモデルを説明する模式図。 第1の実施形態のFDTD法による粒子からの散乱波の強度分布の計算結果を示す図。 第1の実施形態のFDTD法による粒子の位置を変化させた場合の粒子からの散乱波の強度分布の計算結果を示す図。 第1の実施形態のFDTD法による、屈折率又は形状を変化させた場合の粒子からの散乱波の強度分布の計算結果を示す図。 第1の実施形態における、FDTD法によるシミュレーションに用いたモデルを説明する模式図。 第2の実施形態におけるFDTD法による散乱体からの散乱波の強度分布の計算結果。 第2の実施形態の検出装置の構成を説明する模式図。 第3の実施形態の検出装置の構成を説明する模式図。 第3の実施形態の検出方法のフローチャート。
粉体状の試料を被検物として、その被検物の内部の情報を得るためには、粉体による散乱の影響が小さい電磁波を利用する必要がある。そのため、先行技術2のように、波長が長いテラヘルツ波を用いて検出を行う方法は、粉体状の試料の検査に有効である。なお、本明細書における「テラヘルツ波」は、周波数が30GHz以上30THz以下の電磁波である。以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態の検出装置100(以下、「装置100」と呼ぶ)について、図1を参照して説明する。図1(a)は、装置100の構成を示す図である。装置100は、発生部101、検出器アレイ(検出部)103(以下、「アレイ103」と呼ぶ)、処理部104を有する。被検物106は、粉末状の試料であり、搬送部(伝送路)102によって搬送される。
発生部101は、30GHzから30THzの周波数を有するテラヘルツ波105を発生する。発生部101としては、共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:RTD)を用いる。また、発生部101は、量子カスケードレーザ(Quantum Cascade Laser:QCL)、ガンダイオード、タンネットダイオード、インパットダイオード、ナノ秒パルスレーザと非線形光学結晶とを有する発生装置、等も利用できる。
発生部101で発生したテラヘルツ波105は、テラヘルツ波105の周波数帯域で透過率の高いレンズ又は放物面鏡等の光学素子を利用することによって、ほぼ平行光となって被検物106に照射される。なお、テラヘルツ波105を平行光に変換する構成に限らず、被検物106上(被検物上)の集光位置に集光したビームや、ビーム形状が楕円形状としてもよい。光学素子は、必要に応じて追加してもよい。
被検物106は、伝送路102によって搬送される。被検物106を搬送方法としては、図1(a)に示したように、伝送路102として、テラヘルツ波105を透過するベルトコンベアを用い、ベルトコンベア上に被検物106を配置して搬送する方法がある。これに限らず、テラヘルツ波105を透過させる素材でできたパイプ中を被検物106が移動する方法等もある。その他にも、図2(b)に示したように、伝送路212によって搬送した被検物106を伝送路212から自由落下させて別の伝送路213に移動する形態でもよい。その場合、自由落下中の被検物106にテラヘルツ波105を照射して検出のための測定を行う。なお、本実施形態では、テラヘルツ波105の照射位置が固定されている状態で粉体106を移動してテラヘルツ波105の照射位置と被検物106との相対位置を変更している。しかし、上述の構成に限らず、図2(a)に示したように被検物106の位置は動かさず発生部101が移動して照射位置と被検物106との相対位置を変更する構成でもよい。
本実施形態では異物からの散乱光を異物検出に用いるため、被検物106による散乱光が弱く、異物107からの散乱光の方が強いこと望ましい。よって、被検物106を構成する粒子の粒径は、典型的には、テラヘルツ波105の波長λの1/10以下であることが好ましい。また、異物107からの散乱光を検出可能な強度で得るためには、異物107の粒径は、典型的には波長λ以上であることが好ましい。なお、本明細書における「粒径」は、その粒子を包含する最小の球の直径であると定義する。被検物106中に特性の異なる複数の粒子が含まれている場合には、複数の粒子のうち最も大きい粒子の粒径が上記の条件を満たすことが望ましい。
アレイ103は、被検物106に照射されたテラヘルツ波105が被検物106で散乱された後の散乱波のうち、被検物106及び伝送路102を透過した散乱波(前方散乱波)108を検出する検出部である。具体的には、アレイ103は、複数の検出素子が並んで配置されているアレイ状の検出部であり、被検物106からの前方散乱波108を、散乱角毎に検出する。なお、本明細書において、「散乱波」は、特に記載がなければ、被検物106で散乱されたテラヘルツ波と被検物106を透過したテラヘルツ波(透過波)とを含むと定義する。本実施形態では、前方散乱波108を検出するアレイ103のみを配置している。これに限らず、図1(b)に示したように、被検物106からの散乱波のうち伝送路102の発生部101側に散乱した散乱波(後方散乱波)112を検出する別の検出器アレイ111を更に有する構成にしてもよい。また、アレイ103は、透過波を検出しない構成や、後方散乱波のみを検出する構成にしてもよい。
アレイ103は、複数の検出素子が一列に並んで配置されている1次元型アレイでもよいし、複数の検出素子が並んでいる列を複数列有している複数の検出素子が2次元的に配置されている2二次元アレイでもよい。2次元アレイ型の場合は、複数の検出素子を伝送路102の被検物106が配置されている面に平行な平面状に配置したものでもよいし、複数の検出素子を球面状又は円柱状に配置したものでもよい。特定の散乱角度領域の散乱波の強度のみで異物の有無の判別が可能な場合は、アレイ103は、判別に必要な散乱角度領域のみの散乱波を検出できるように複数の検出素子を配置した形態でもよい。検出素子としては、ショットキーバリアダイオード(SBD)、プラズモニック検出器、ボロメーター、焦電検出器などを利用できる。
装置100は、アレイ103によるテラヘルツ波の検出におけるSN比を向上させるために、テラヘルツ波に強度変調を加え、アレイ103の検出結果である出力信号をロックインアンプ110に送って復調信号を得ている。具体的には、電圧発生器109が、発生部101に電圧を印加することにより、その電圧値に応じた強度のテラヘルツ波105が得られる。印加電圧を正弦波や矩形波などの一定周波数を有する信号とすることで、同じ周波数で強度変調されたテラヘルツ波105を得ることができる。そして、アレイ103の検出信号をロックインアンプ110に入力し、電圧発生器109の出力信号で復調することで検出信号を得ることができる。得られた信号は、ロックインアンプ110から処理部104に送信され、異物の有無の判定に用いられる。なお、十分なSN比がとれていたり、特に必要のない場合は、電圧発生器109及びロックインアンプ110を持たない構成にしてもよい。
テラヘルツ波に強度変調を加える方法としては、例えばテラヘルツ波の伝搬経路中に光学チョッパーを配置する方法がある。その他に、例えば発生部101にRTD等を用いた場合は、図3(a)に示したように特定の電圧を印加した時にテラヘルツ波を放射するため、適当な周波数の矩形波信号を印加電圧として用いることで出力されるテラヘルツ波に強度変調をかけることもできる。
変調した印加電圧と出力されるテラヘルツ波との時間変化を図3(b)に示した。図3(b)は、変調信号として、RTDからの放射テラヘルツ波が最大となる電圧をVmaxとしたときに最大値がVmaxとなる周波数fの矩形波を用いた場合の、テラヘルツ波の強度の時間変化を示す図である。Vmaxの電圧を印加した時出力されるテラヘルツ波の強度をImaxとすると、出力されるテラヘルツ波の強度も同じ周波数fの矩形波になり、最大値はImax、最小値は0となる。
図3(c)では平均電圧がVmaxとなる周波数fの正弦波をRTDの印加電圧に利用した場合のテラヘルツ波の強度について示した。印加電圧がVmaxから離れるに従ってテラヘルツ波の強度が弱くなるため、図3(c)に示したようテラヘルツ波の強度の時間変化は正弦波を示す。また、正弦波の1周期の間に印加電圧がVmaxとなる回数は2回であるため、テラヘルツ波強度の時間変化の周期は1/(2×f)であることが分かる。よって検出器アレイ103からの信号を周波数2×fで復調することで、処理部104は、検出信号(検出結果)が得られる。正弦波の振幅が大きいほどテラヘルツ波が出力される時間が短くなり、また正弦波の振幅が小さすぎると出力されるテラヘルツ波の強度変化が得られないため、復調した信号強度が最大となる正弦波の振幅を選択するのがよい。
処理部104は、検出器アレイ103の検出結果を用いて散乱波の空間分布を取得し、異物の有無の判定、すなわち異物の検出を行う判定部である。また、処理部104は、異物の特性として、例えば異物の屈折率が予め分かっていればその粒径を取得することもできる。さらに、処理部104は、装置100の各構成の動作を制御する。
処理部104は、CPU、メモリ等の記憶デバイス、及び入出力部等を備えたコンピュータである。なお、処理部104としては、コンピュータに限らず、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、特定アプリケーション向け集積回路(ASIC)などを用いてもよい。処理部104の各機能を分けて行う構成としてもよい。
続いて、装置100を用いて被検物106中に含まれている異物を検出するための検出方法の手順について、図4を参照しながら説明する。図4(a)は本実施形態の検出方法のフローチャートである。
まず、伝送路102が動作を開始する(S101)。次に発生部101が被検物である粉体106にテラヘルツ波の照射を開始する(S102)。発生部101がテラヘルツ波の照射を開始すると、伝導路102によって伝送されてきた粉体106にテラヘルツ波が照射される。粉体106に照射されたテラヘルツ波は、粉体106で散乱する。その散乱波及び透過波をアレイ103が検出する(S103)。その後、処理部104が、アレイ103の検出結果を用いて取得した散乱波の強度分布を用いて、被検物106内のテラヘルツ波105の照射領域に条件を満たさない被検物が含まれているか否かを判定する(S104)。ステップS104は、具体的には、被検物106内に異物が含まれているか否かを判定する。異物の有無の判定方法の詳細については後述する。
処理部104で異物ありと判定された場合は、処理部104は不図示の除去部を制御して、粉体106から異物の除去を行う(S105)。異物を除去する方法としては、異物のみを除去することは困難であるため、異物があると判定された領域に圧縮空気を吹き付けて試料106とともに飛ばして除去するなどの方法を用いる。異物除去後、処理部104は、粉体106の伝送を続けるか否かを判定し(S106)、搬送を続ける場合は散乱波の検出(S103)に戻る。粉体106の搬送が終了した場合は、処理部104は検査を終了する。
検出方法のステップS104において異物の有無の判定方法について説明する。図4(b)は、判定方法の一例のフローチャートである。図4(b)に示した方法では、まず、処理部104が、ステップS103におけるアレイ103の検出結果のうち、特定の散乱角における散乱波の強度を取得し(S1041)、取得した特定の散乱角における強度と閾値とを比較する(S1042)。ステップS1042で比較した結果から、条件を満たすか否かを判定する。例えば、強度が閾値より高い場合は異物ありと判定し、閾値以下の場合は異物なしと判定する。
判定方法について、図6を参照して説明する。図6は、解析によって、異物に見立てた粒子401からの散乱波の散乱角の違いによる強度分布をシミュレーションした計算結果である。解析手法としては、有限要素時間領域差分法(Finite−difference time−domain method:FDTD法)と呼ばれる解析法がある。FDTD法は、セルに分割された空間を伝搬する電磁波分布について、マクスウェル方程式に従って電磁波の伝搬を逐次計算する解析法である。有限の空間中を伝搬した電磁波分布から無限遠方解、即ち光散乱角度分布を求めることができる。
ここで、シミュレーションには、図5に示したようなモデルを用いて行った。モデルの空間全体(以下、モデル空間)は、x軸方向が25mm、y軸方向が25mm、z軸方向が15mmの長さを有する直方体である。図5に示したように、直方体の頂点の1つが原点と一致しており、モデル空間である直方体の重心の座標は(12.5、12.5、7.5)である。このとき、粒子401に対して矢印402方向に照射される入射波の波長や粒子401の粒径よりもセルを細かく設定する必要がある。計算における入射波の波長は1mm、偏波はy軸と平行であるとした。また、粒子401が数mm程度の粒径を有する球であると設定した。以上の条件から、セルは一辺50μmの立方体とした。つまり、モデル空間におけるセル数はx軸方向、y軸方向、z軸方向それぞれ500、500、300とした。
入射波は、上述したように波長1mm(周波数は0.3THz)であると仮定した。また、入射波は、断面の強度分布がガウス型のビームであり、ビームウエスト位置における直径を10mmに設定した。入射波の直径は、強度が強度の最大値の1/eとなる領域の直径であると定義する。この場合、入射波のビームの広がり角度は1.8度であり、ほぼ平行光とみなすことができる。入射波は、矢印402方向、すなわちz方向に伝搬する。
図6(a)、図6(b)には、異なる条件で計算した計算結果を、z軸の正の方向から見た強度分布として、(2)〜(4)式を満たす散乱角(θ、φ)を用いた極座標表示によって表した。後述の図6、図7及び図10も、同様の方法で強度を示している。図5にも示したように、散乱角θはz軸と散乱波がなす角の大きさで、散乱角φは散乱波のxy平面方向成分とx軸とがなす角の大きさである。
まず、粒子401としての誘電体の球を、モデル空間内に1つ配置した場合の、粒子401で散乱した散乱波の強度分布を計算した。計算の際、粒子401は屈折率1.6を有し、光吸収はないものとした。また、粒子401と入射波とは、粒子401の中心(重心)、ビームウエストの中心及びモデル空間の重心が一致するように配置して計算を行った。その計算結果を、図6(a)に示した。また、図6(b)に、粒子401が存在しない場合の散乱波の強度分布の計算結果を示した。
さらに、粒子401が存在する場合と存在しない場合のそれぞれにおける、θと散乱波の強度との関係をプロットした関係図を図6(c)に示した。なお、図6(c)には、φに関しての情報は記載しておらず、φが異なっていてもθが同じであれば同じθ上にプロットしている。図6(c)の縦軸の強度は、粒子401からの散乱波の各散乱角における強度を、粒子401が存在しない場合の散乱波の散乱角θ=0度の成分で規格化したものである。
粒子401が存在する時と存在しない時とを比較すると、例えばθが約10度以上の領域において、散乱波の強度に1000倍以上の差が得られていることが分かる。具体的には、θが約10度以上の領域における粒子401が存在する場合の散乱波の強度は、θが約10度以上の領域における粒子401が存在しない場合の散乱波の強度の1000倍以上である。
また、被検物に見立てた粒子401がランダムに配置された層(以下「粉末層」と呼ぶ)からの散乱波の強度について、上述の手法と同じ手法で計算した結果を図6(d)に示した。図6(d)は、θと粉末層からの散乱波の強度との関係をプロットした図である。なお、被検物106としての粉末の粒子の典型的な粒径は100μm程度であるため、同程度の粒径を有する粉体の堆積層による散乱波の強度を計算した。粒子が小さいほど、また、波長が長いほど粒子からの散乱波の強度は弱くなる。本実施形態では、直径200μm、厚さ3mmの粉末を含む粉末層に入射波が入射した場合の散乱波の強度分布をFDTD法で計算した。
図6(d)において、縦軸の強度は、粉末層からの散乱波の各散乱角における強度を、粒子401が存在しない場合の散乱波の散乱角θ=0度の成分で規格化したものである。透過率は、粉末層からの散乱波のθ=0における強度と、粉末層が存在しない場合の散乱波のθ=0における強度と、の比から、入射波の透過率を求めることができる。本実施形態の計算から、粒子401を透過したテラヘルツ波の透過率は約98%であった。θが10度以上における散乱波の強度は、図6(c)に示した粒子401からの散乱波の強度の約1/1000であり、粉末層からの散乱が、異物に見立てた粒子401からの散乱よりも十分小さいことが分かる。すなわち、本実施形態において、散乱波の強度分布を用いて異物の存在を推定することができる程度に、被検物106からの散乱波の強度と異物からの散乱波の強度との間に差があると言える。
よって、粒子401のような異物107が被検物106中に存在しない場合の散乱波の強度を、計算又は実際に測定することによって求め、それをアレイ103の検出結果と比較すれば、異物の有無を判定できると考えられる。例えば、異物を含まない被検物106のみの試料からの散乱波の特定の散乱角における強度、又は特定の散乱角における強度の最大値に所定の数値を加えた値を、ステップS1042における閾値として用いる。その場合、測定値が閾値を超える場合は異物あり、閾値以下の場合は異物なしと判定する。閾値としては、上述の値に限らず、例えば異物を含まない粉体106からの散乱波の強度の複数回の測定結果から取得した特定の散乱角における強度の最大値又は平均値、あるいは最大値又は平均値に所定の数値を加えた値等を用いることができる。
異物の有無の判定方法の別の一例について、図4(c)を参照して説明する。図4(c)は、判定方法の別の一例のフローチャートである。判定方法としては、まず、ステップS103で取得したアレイ103の検出結果から、強度分布中の第1の範囲内の散乱波の強度の合計値(第1の合計値)と、強度分布中の第2の範囲内の散乱波の強度の合計値(第2の合計値)と、を取得する(S1043)。このとき、第1の範囲と第2の範囲とは、重複しないことが望ましい。その後、取得した第1の合計値と第2の合計値とを比較して差を取得し(S1044)、その差と閾値とを比較して、条件を満たすか否かを判定する(S1045)。具体的には、例えば、処理部104はステップS1044で取得した差が閾値より大きければ異物ありと判定し、差が閾値以下であれば異物なしを判定する。
この判定方法について、図7を参照して詳細を説明する。図7は、被検物及び異物がテラヘルツ波の照射位置に対して移動した場合の、散乱波の強度分布の変化を計算した結果を示す図である。計算の手法は上述と同様でFDTD法を用いた。このとき、粒子401の中心(粒子401としての球の中心)とビーム中心とが一致する位置からφ=0度側(+x軸方向)へ移動した場合の強度分布の変化を求めた。粒子401の中心の移動量の最大値は、ビームウエスト半径に相当する5mmとした。図7(a)は移動量が0mmの場合、図7(b)は移動量が1mmの場合、図7(c)は移動量が2.5mmの場合、図7(d)は移動量が5mmの場合の強度分布の計算結果である。
粒子401の中心がビーム中心にある場合、即ち移動量が0mmの場合に散乱波の強度が最大となり、粒子401がビーム中心から離れるほど散乱波の強度が小さくなることが分かる。また、x軸方向の散乱波の強度分布を見ると、移動量が大きいほど、+x方向つまりφ=0度方向、と−x方向つまりφ=180度方向、とで強度分布に違いが現れることが分かる。これは粒子401の移動によって生じる粒子401と照射されるテラヘルツ波105との空間対称性の変化が、散乱波108の強度分布の対称性に影響していることを示している。このような強度分布の非対称性を、異物検出に利用できる。
図7(e)に、移動量が0mmの時のφ=0度における散乱波の強度とθとの関係を示した。また、図7(e)には、粒子401が存在しない場合の強度を実線で、粉末層からの散乱波の強度を破線で示した。θが7度以上の場合、粉体層からの散乱波の強度よりも粒子401からの散乱波の強度が大きい。
7度≦θ≦12度の領域において、粒子401で散乱した散乱波の強度の合計値は、入射波の強度の合計値の約0.2%であった。すなわち、入射波の強度の合計値が約1mWであった場合、アレイ103で検出される散乱波の強度の合計値は約2μWである。アレイ103に用いる検出素子の一例であるSBDなどは、100pW/√Hz程度の雑音等価パワー(Noise Equivalent Power:NEP)を有する。ノイズの大きさInoiseは(5)式で強度に換算される。なお、アレイ103における検出時間をτとする。
検出時間τが1msであるすると、(5)式より、Inoiseは約1nWとなる。粒子401からの散乱波は約2μWであるため、SN比が2000程度となり、粒子401からの散乱波を検出することができると言える。よって、図4(b)に示したような、特定の散乱角における強度の値と閾値との比較から、異物の有無の判定を行うこともできる。このとき、例えば、閾値として入射波の強度の0.01%(100nW相当)の値を用いる。
図7(f)は、粒子401の移動量が5mmの時の、φ=0度及びφ=180度のそれぞれにおける散乱波の強度とθとの関係を示した図である。図7(f)から、7度≦θ≦12度の範囲の散乱波の強度が、φの値によって異なることが分かる。すなわち、上述した通り、粒子401が移動することによって散乱波の強度分布の空間対称性が変化している。任意のφにおける7度≦θ≦12度の範囲内の散乱波の強度の合計値を計算すると、φ=0度の場合の強度の合計値は0.2μで、φ=180度の場合の強度の合計値はと0.6μWである。よって、φ=0度、180度のそれぞれにおける散乱光の強度の差は0.4μW程度のため検出可能である。
このことから、散乱波の強度分布の非対称性を用いて、異物の有無の判定を行うことができる。本実施形態では、第1の合計値として散乱角がφ=0度、7度≦θ≦12度の第1の範囲内の測定値の合計値を用い、第2の合計値として散乱角がφ=180度、7度≦θ≦12度の第2の範囲内の測定値の合計値を用いる。そして、第1の合計値と第2の合計値との差の絶対値と閾値とを比較する。絶対値と閾値との比較の結果、条件を満たす場合は異物あり、条件を満たさない場合は異物なしと判定する。例えば、絶対値と閾値との差の絶対値が閾値よりも大きい場合は異物あり、差の絶対値が閾値より小さい場合は異物なしと判定する。
閾値は、異物107が存在するために強度分布がビーム中心を通るy軸を対称軸として非対称となった場合に、対称軸より+x方向の領域内の第1の合計値と、対称軸より−x方向の領域内の第2の合計値と、の差が検出可能な大きさであればよい。例えば、上述の条件の場合、閾値は0.1μW程度であれば良い。閾値は、予め上述のFDTD法等の計算から求めておけばよい。以上、判定方法の一例について、説明した。
伝送路102上の粉末層(粉末106の層)の厚さが不均一だと、粉末106が厚い部分にテラヘルツ波が照射された時は、異物検出においてノイズである粉末層からの散乱波の強度が大きくなり、SN比の低下が起こりうる。しかし、上述の2つの判定方法において、粉末106によるテラヘルツ波の散乱波の強度は弱く、粉末層の厚さの変化が検出に与える影響は大きくない。
具体的には、例えば、上述したように厚さ3mmの粉末層がある場合、テラヘルツ波の透過率は約98%である。仮に、透過率が厚さに対して幾何級数的に減る、即ち厚さが3mm増加すると透過率が0.98倍になると仮定すると、厚さが30mmへと増加した場合のテラヘルツ波の透過率は82%になる。このように、透過波の強度の減少は顕著でない。このとき、近似的に粉末層からの散乱波の強度が粉末層の厚さに比例すると仮定すると、散乱波の強度は約10倍になる。上述したように、粉末層の厚さが3mmの場合はSN比が約1000であったので、粉末層の厚さの数10mm程度増加が検出に与える影響は軽微である。
装置100を用いて検出したい物体(対象物)は、粒径、形状及び屈折率などの特性が様々であることが多い。例えば、製造過程の粉体食品に混入する異物は、特定の種類に限定されない。このように特性が異なる複数の種類の物体の検出について、説明する。
まず、粒子401の屈折率の違いによる散乱波の強度分布の違いについて述べる。図8(a)に、0度≦θ≦45度の範囲における、粒子401の屈折率を変化させて計算した散乱波の強度とθとの関係を示した。具体的には、図8(a)は、図6(c)等と同じように、横軸をθ、縦軸を散乱波の強度として、各屈折率における計算結果をプロットしたものであり、φに関する情報は省いている。計算に用いたシミュレーションのモデルは、図5に示したモデルと同じである。計算では、粒子401の屈折率を、それぞれ1.3、1.6、2.0とした。
粒子401の屈折率が1.3、1.6、2.0の場合のそれぞれについて、θが約10度の位置に散乱波の強度のピークがあるが、屈折率1.3の粒子からの散乱波の強度は、屈折率1.6又は2.0の粒子からの散乱波の強度と比較して小さい。また、θが10度以上では、散乱波の強度の極小値、極大値を与えるθが屈折率によって異なっている。しかし、いずれも粒子がない場合の散乱波の強度と比べると大きく、上述の判定方法で異物の有無を判定できることが分かる。よって、様々な屈折率の異物を検出可能である。
また、粒子401の形状の違いによる散乱波の強度分布の違いについて述べる。図8(b)に、0度≦θ≦45度の範囲における、粒子401の形状を変化させて計算した散乱波の強度とθとの関係を示した。具体的には、図8(b)は、図6(c)等と同じように、横軸をθ、縦軸を散乱波の強度として、各形状における計算結果をプロットしたものであり、φに関する情報は省いている。計算には、粒子401の形状として、上述の直径4mmの球以外に、立方体と及び八面体を設定した。いずれも、粒子401の重心がビームウエストの中心と一致しているものとして計算を行った。立方体は、1辺が4mmで、各面がx軸、y軸、z軸と垂直に交わるように配置される。八面体は、モデル空間の重心を原点として8つの各頂点がx軸、y軸、z軸上にあり、各頂点と原点との距離を2mmと設定する。球、立方体及び八面体のそれぞれは、屈折率が1.6の吸収のない誘電体とする。
図8(b)から、粒子401の形状によって、散乱波の強度が極大となる散乱角、及び角散乱角における散乱波の強度等、散乱のされ方にも違いがあることが分かる。この違いは、粒子の形状の違いを反映している結果であり、例えば周囲とは異なる形状を有する異物の検出に利用できる。また、粒子の形状によっては散乱波の強度があまり大きくない場合があるが、特定の散乱角においては、試料106及び別の粒子からの散乱波の強度と、それらとは形状が異なる粒子からの散乱波の強度と、の差が大きくなることがある。そのため、特定の散乱角における強度について閾値との比較を行えば、異物を検出することができる。また、被検物106に含まれる粒子の粒径と異物107の粒径とに違いがなく、形状のみが異なる場合等でも、特定の散乱角における強度の比較から形状の異なる異物107を検出することができる。
本実施形態では、照射波としてビームウエストの直径が10mmのテラヘルツ波を用いたが、散乱波の強度を大きくするために、光学系にレンズを追加するなどの変更を加えてビームウエストの直径を小さくしてもよい。
異物107がテラヘルツ波105のビームの中に存在すると、アレイ103は異物107からの散乱波を検出する。そのため、異物107が照射波のビーム中を通過することによって生じるアレイ103における信号変動の周期をtとすると、tは(1)式で表すことができる。なお、異物107上におけるテラヘルツ波105の照射領域の異物107の搬送方向における距離をd、異物107の搬送速度をvとする。
t=d/v (1)
周期tよりも短いもしくは長い時間の検出信号変動は雑音であると考えられる。雑音を除去するために、ロックインアンプが出力する検出信号に対して、周期tを含む周波数領域の信号の通し、それ以外の信号を除去するバンドパスフィルタを追加するとよい。バンドパスフィルタによるノイズの除去は、アレイ103の検出結果としての信号が、アレイ103から処理部104に送信される間に行われることが望ましい。
以上、本実施形態の装置100の構成を述べた。装置100は、試料106からの散乱波を異なる複数の散乱角毎に検出して強度分布を取得する。試料106中に粒子401のような異物からの散乱波の強度は、試料106のみの領域からの散乱波の強度と比較して大きいため、強度分布から試料106中の異物の有無を判定することができる。装置100は、異なる複数の散乱角毎に散乱波の強度を取得するため、異物の屈折率、形状及び粒径等の特性の違いによって散乱のされ方が変化しても検出することができる。以上のことから、装置100によれば、従来よりも精度の高い検出が可能である。
また、特性の違いによって、テラヘルツ波が散乱される様子に違いがあるため、その違いを、異物の特性の特定に利用できる。
先行文献2の検出装置では、狭い領域内の散乱波を集光してその強度を検出していた。よって、異物の形状又は配置によっては、上述したように散乱のされ方が変化して、検出器に届く散乱波が非常に弱くなり、散乱波を検出できないことがある。また、散乱波を集光する構成の場合、より広い領域内の散乱波を集光しようとすると光学系が複雑になる。本実施形態の場合は、そのような光学系を設ける必要がなく、装置の小型化にも貢献できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の検出装置について、図11を参照して説明する。図11は、本実施形態の検出装置の検出部の構成を説明する模式図である。本実施形態の検出装置は、第1の実施形態とは検出部の構成が異なっており、毛髪等の細長い繊維状の物体の検出により適した構成である。なお、上述の実施形態とものと同じ構成には同じ符番を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態の検出装置は、不図示の発生部と、検出器アレイ(検出部)1005と、処理部104と、ストッパー1008と、を有する。搬送部102によって搬送されている粉末上の試料106に、不図示の発生部からのテラヘルツ波105を照射し、試料106からの散乱波を検出器アレイ1005が検出する。不図示の発生部は、第1の実施形態の発生部101と同様の構成である。
検出器アレイ1005は、複数の検出素子1001が球面状に配置されている、球面は、テラヘルツ波1002の試料106への照射位置におけるビーム径の中心を中心とした球面であることが望ましい。ストッパー1008は、試料からの散乱波の一部を遮断し、検出器アレイ1005に到達するのを防ぐ。
ここで、図10を参照して、繊維状の物体が存在する場合の散乱波の様子について説明する。図10は、直線状の物体に見立てた誘電体の円柱のモデルにテラヘルツ波を照射した場合の散乱波の強度分布をFDTD法で計算した計算結果を示す図である。図9に、この計算に用いたモデルの模式図を示した。モデル空間の大きさは、x方向、y方向、z方向のそれぞれの長さが25mm、25mm、10mmとし、各セルが1辺25μmの立方体とした。テラヘルツ波(入射波)の設定は、第1の実施形態と同様とした。入射波は、散乱体801に対して矢印802方向に照射される。本実施形態では、直線状の物体に見立てた誘電体を散乱体801として、散乱体801からの散乱波の強度分布を計算している。散乱体801は、直径100μm、高さ(長さ)10mmの円柱形状で、屈折率を1.6、吸収係数を0とした。また、散乱体801の重心はビームウエスト中心と一致し、かつ散乱体801の円柱の軸がy軸と一致するように配置した。偏波については円柱軸と平行、円柱軸と垂直となる2つの場合について計算した。
図10(a)は偏波方向がx軸に平行の場合、すなわち偏波方向と円柱軸とが直交する場合の計算結果で、図10(b)は偏波方向がy軸に平行の場合、すなわち偏波方向と円柱軸とが平行である場合の計算結果である。図10(a)、図10(b)のそれぞれは、第1の実施形態と同じように、散乱波の強度分布を極座標表示で示した。
図10(a)、図10(b)のどちらにおいても、θによらずφが0度及び180度の領域で、他の領域よりも強度が強い。これは、テラヘルツ波1002が散乱体801で散乱されて、円柱を中心に円柱軸に対して垂直な方向に同心円状に広がっているということである。この特徴的な強度分布は、散乱体801の円柱形状を反映したものであり、毛髪等のような繊維状の異物の検出に利用することが可能である。強度分布において、y偏波の場合の方がx偏波の場合よりも散乱波の強度が2倍程度以上大きいため、y偏波を用いるほうが好ましい。しかし、偏波の違いによって、散乱のされ方に大きな違いは見られないため、いかなる偏波方向のテラヘルツ波を用いてもよい。散乱波の強度が小さい散乱角と散乱波の強度が大きい散乱角との間で強度を比較すると、約1000倍の差があることから、散乱波が強い角度と弱い角度のコントラストは十分にあると言える。
上述のような特徴的な強度分布を取得するために、アレイ1005は、より広範囲に散乱した散乱波を検出できるように、球面状に検出素子1001が配置されている。アレイ1005の検出結果は、散乱波1004の検出信号として処理部104に送られる。処理部104は、取得したアレイ1005の検出結果から、上述のステップS1044と同様に、任意の領域における強度の合計値を求める。
被検物106及び伝送路を透過した透過波1007は、図10に示した結果から散乱波1004より1000倍以上の強度を持つ。アレイ1005を構成する検出素子の飽和光量が同じであり、各検出素子が散乱波1004を検出できる程度の感度を有する場合は、検出素子の飽和を避けるために、透過波のみをストッパーで遮断して検出されないようにする。また、透過波を含む散乱角θが10度以下の散乱波を遮断したい場合、アレイ1005において、θが10度以下の領域には検出素子1001を配置しない構成でもよい。
φ=0度もしくは180度において、θが10度以上の散乱波全ての強度は、入射波の強度を1mWとするとおよそ6μWになると思われる。第1の実施形態の検出器アレイ103の検出結果におけるノイズは強度に換算すると約1nWであった。本実施形態の検出器アレイ1005も同じ検出素子を用いて構成すると、被検物106からの散乱波を、SN比1000以上で検出することが可能である。
このように、装置100によれば、従来よりも精度の高い検出が可能である。また、繊維状の物体の検出の精度を向上できる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の検出装置1100(以下、「装置1100」と呼ぶ)について図12を参照して説明する。図12は、装置1100の構成を説明する模式図である。複数の発生部1101、伝送路102、検出器アレイ(検出部)1103(以下、「アレイ1103」と呼ぶ)、電圧発生器1105、ロックインアンプ1109、処理部104を有する。なお、上述の実施形態と同じ構成には、上述の実施形態と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。装置1100は、発生部1101の構成が上述の実施形態と異なり、第1の実施形態よりも広範囲にテラヘルツ波1104を照射する構成となっている。
複数の発生部1101は、伝送路102による被検物106の搬送方向と垂直な方向に並んで配置されており、それぞれの発生部1101からのテラヘルツ波が被検物106の異なる位置に照射される。そのため、単一の発生部101を有する場合と比較して、被検物106の広い範囲にテラヘルツ波を照射できる。複数の発生部1101のそれぞれから照射されたテラヘルツ波1104の散乱波1108をアレイ1103で検出し、処理部104が異物の有無の判定を行う。なお、透過波の強度を測定するだけで異物107の検出が可能であれば、アレイ1103は、各発生部1101からのテラヘルツ波1104の透過波を検出できる構成にしてもよい。複数の発生部1101のそれぞれは、第1の実施形態の発生部101と同様の構成である。
装置1100における検出方法について、図13を参照して説明する。図13は、本実施形態における検出方法の一例を説明するフローチャートである。
まず、伝送路102が被検物106の搬送を開始する(S201)。その後、複数の発生部1101が被検物にテラヘルツ波1104を照射する(S202)。被検物106で散乱された散乱波1108をアレイ1103で検出する(S203)。続いて、処理部104が、発生部1101ごとに分離された検出器アレイ1103の検出結果を取得する(S204)。
ここで、処理部104における検出結果の分離について説明する。装置1100では、複数の発生部1101のそれぞれから発生したテラヘルツ波が、単一のアレイ1103で検出される。そのため、ロックインアンプ1109を用いて、アレイ1103の検出結果を発生部1101毎に分離する必要がある。また、処理部104の処理によって、検出結果の分離を行ってもよい。
分離方法としては、発生部1101に変調電圧信号を印加することで強度変調のかかったテラヘルツ波を得られる場合、印加する変調電圧信号である矩形波や正弦波等の周波数を、発生部1101ごとに変えればよい。例えば、i番目の発生部1101に周波数fiの変調信号を印加すると周波数fiの強度変調されたテラヘルツ波が出射される。そのため、アレイ1103の各検出素子からの検出信号を周波数fiで復調することで、i番目の発生部からの信号を単独で取得することができる。この方法に必要な検出素子の数は、必要な散乱角度領域の強度分布を取得するために必要な数だけで十分であり、発生部の数が増えたとしても変わらない。
このように、複数の周波数の変調信号を発生部1101の駆動に用いることによって、複数の発生部1101それぞれからのテラヘルツ波1104の検出信号を分離することが可能である。処理部104は、分離した検出信号を取得する。
その後、処理部104は、取得した検出結果を用いて、異物の有無の判定を行う(S205)。異物の判定には、上述の判定方法と同様の方法である。その後の処理は、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
以上、装置1100によれば、従来よりも精度の高い検出を行うことができる。また、複数の発生部1101を有することにより、第1の実施形態と比較して、伝送路102によって搬送される被検物106に対するテラヘルツ波の照射範囲を広げることができる。そのため、より多くの被検物106を一度に測定することができるようになる。
また、本実施形態では、複数の発生部1101を有し、複数の発生部1101のそれぞれが発生するテラヘルツ波の強度変調周波数を異なる構成としている。アレイ1103が出力する検出値分布をある特定の発生部の強度変調周波数で復調することで、他の発生部が発したテラヘルツ波の信号を除去し、該当する発生部が発したテラヘルツ波のみの散乱分布を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、上述の各実施形態の検出方法では、検出方法の各ステップのうち、いくつかのステップを並行して行ったり、必要に応じて順番を入れ替えたりすることが可能である。具体的には、第1の実施形態を例にとると、ステップS103が終了した後、処理部104は、ステップS104〜S105の動作と並行して、ステップS106を行い、検査を続ける必要がある場合はステップS103に戻って測定を行う構成でもよい。
101 発生部
103 検出部
104 処理部

Claims (16)

  1. 被検物中の異物を検査する検査装置であって、
    テラヘルツ波を発生する発生部と、
    複数の異なる散乱角における前記被検物からのテラヘルツ波の散乱波を検出する検出部と、
    前記検出部の検出結果に基づいて前記被検物中に異物が含まれているか否かを判定する判定部と、を有する
    ことを特徴とする検出装置。
  2. 前記被検物は、複数の粒子を含む粉体である
    ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記複数の粒子のそれぞれの粒径は、前記発生部が発生するテラヘルツ波の波長の1/10以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載の検出装置。
  4. 前記検出部は、複数の異なる散乱角における前記被検物からのテラヘルツ波の散乱波の強度を検出する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検出装置。
  5. 前記判定部は、前記検出部の検出結果のうちの特定の散乱角における散乱波の検出結果と、閾値と、を比較することにより、前記被検物中に異物が含まれているか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検出装置。
  6. 前記判定部は、前記検出部の検出結果のうちの第1の範囲内に含まれる複数の散乱角のそれぞれにおける散乱波の検出結果の合計値と、前記検出部の検出結果のうちの第2の範囲内に含まれる複数の散乱角のそれぞれにおける散乱波の検出結果の合計値と、を比較することにより、前記被検物中に異物が含まれているか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検出装置。
  7. 前記検出部は、前記被検物からの前記テラヘルツ波の散乱波のうち前方散乱波を検出する
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の検出装置。
  8. 前記被検物からの前記テラヘルツ波の散乱波のうち後方散乱波を検出する前記検出部と異なる検出部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の検出装置。
  9. 一列に並んで配置されている複数の前記発生部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の検出装置。
  10. 前記検出部は、アレイ状に配置されている複数の検出素子を有し、
    前記複数の検出器のそれぞれが検出する散乱波の散乱角が、異なる
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の検出装置。
  11. 前記検出部の検出結果としての信号が前記検出部から前記判定部に送信される間に、周期tの周波数を含む周波数領域の信号を通過させるバンドパスフィルタを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の検出装置。
    t=d/v (1)
    前記被検物上における前記発生部からのテラヘルツ波の照射領域の前記被検物の搬送方向における距離をd、前記被検物の搬送速度をvとする。
  12. 前記発生部は、共鳴トンネルダイオードを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の検出装置。
  13. 前記検出部は、ショットキーバリアダイオードを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の検出装置。
  14. 前記発生部が発生するテラヘルツ波の周波数と異なる周波数のテラヘルツ波を発生する発生部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の検出装置。
  15. 前記判定部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記被検物に異物が含まれているか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の検出装置。
  16. 被検物中の異物を検査する検査方法であって、
    テラヘルツ波を発生する発生ステップと、
    複数の異なる散乱角における前記被検物からのテラヘルツ波の散乱波を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップの検出結果に基づいて前記被検物中に異物が含まれているか否かを判定する判定ステップと、を有する
    ことを特徴とする検出方法。
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