JP2017067316A - 熱回収方法、及び熱回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小容量なボイラであっても、簡単な構成でボイラ効率を高められる熱回収装置及び熱回収方法を提供する。【解決手段】熱回収装置1Aは、給液管6から導入された液体熱媒体(水L)が充填される液体槽2Aと、ボイラBからの排気ガスGを液体槽2A内の液体熱媒体中に導入する導入管3Aと、液体熱媒体中を通過した排気ガスGを液体槽2A外に排出する排気管4と、導入管3Aから液体熱媒体を経て排気管4から液体槽2A外に排気ガスGが排出されるように、排気ガスGの圧力を調整する圧力調整部5(ブロア50,52)と、排気ガスGとの接触によって加熱された液体熱媒体を液体槽2A外に排出する排液管7とを備える。排気ガスGと液体熱媒体とを直接接触させるため、排気ガスGが有する熱を液体熱媒体に効率よく伝達できる。【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラで発生した排気ガスから熱エネルギー(以下、単に熱と呼ぶことがある)を回収する熱回収装置及び熱回収方法に関する。特に、小容量なボイラであっても、簡単な構成でボイラ効率を高められる熱回収方法及び熱回収装置に関する。
熱交換装置の一つにボイラがある。ボイラは、燃料を燃焼させて得た熱をボイラ水(代表的には水)に伝えて、水を高温高圧の水蒸気や温水に状態変化させる。発生させた水蒸気や温水は、種々の用途に利用される。例えば、水蒸気はタービン発電、温水は暖房などに利用される。
ボイラは、煙管型、水管型と呼ばれるものが代表的である。煙管型ボイラは、水缶内に複数の鋼管といった金属管が配置され、各管に燃焼ガスが導入されて管周囲の水を加熱する。水管型ボイラは、燃焼室内に複数の水管が配置され、燃焼室内の燃焼ガスによって水管内の水を加熱する。いずれの形式も、水と燃焼ガスとは管材によって分離され、燃焼ガスから水への伝熱は、金属管や水管といった金属部材を介して行われる。つまり、密度の低いガスの顕熱を、金属部材を介して水に伝達する構成である。
一方、昨今、重視されてきた再生可能エネルギーの一つに、バイオマス発電がある。バイオマス発電は、燃料によって分類されており、例えば、林地残材などの木材を燃料とするボイラを用いた木質バイオマス発電がある。木質バイオマス発電には、木材を直接燃焼する蒸気タービン方式と、木質バイオマスからガスを発生させ、この木質バイオマスを起源とするガスを燃焼させるガスタービン方式(例えば、特許文献1)とがある。
特開2004−011578号公報
ボイラには、ボイラ効率が高いことが望まれる。
ボイラ効率とは、ボイラに供給された燃料が完全燃焼することによって発生すべき熱量に対する水蒸気や温水を発生するために実際に用いられた熱量との比率である。ボイラ効率は、一般に、ボイラの容量が大きいほど高い傾向にある。例えば5MW程度以上といったMW級の発電には、従来、発生蒸気量でいうと最高使用圧力が数MPa以上で、数10ton/h以上といった大容量のボイラを使用する。
上述の蒸気タービン方式の木質バイオマス発電に対して、水分量(含水率)が一定値以下の乾燥チップと、既知の蒸気タービン(軸流タービン)とを用いて効率よく発電するためには、発電容量が2MW〜5MW、又はそれ以上が望まれる。この発電容量に対応した蒸気タービンは非常に大きく、非常に大型のボイラが必要になる。この要求に対応した非常に大型の木質バイオマスボイラを併設したり、燃料となる木材を大量に確保して供給したりすることは容易ではなく、実現が難しい。そのため、木質バイオマス発電では、発電以外の効果、例えば温排水の活用や加工木材の端材処理といった効果を期待して、既知の蒸気タービン方式を用いる。小容量、例えば、0.5MW級以下の発電に対しては、近年、蒸気タービン方式よりもガスタービン方式を利用する傾向にある。但し、ガスタービン方式では、構造が複雑である、特別な操作条件が付加される、装置が高価である、などの様々な制限が未だ有り、開発要素が残る。
一方、近年検討されている「中山間地域での木質バイオマス発電」では、小容量のボイラを多数分散させて配置することが計画されている。ここでの使用が検討されるボイラの容量は、発電電力でいうと、1MW未満、特に500kW程度以下、主として300kW程度以下であり、発生蒸気量でいうと、最高使用圧力が1MPa以下で、3ton/h〜10ton/h程度である。このような小容量のボイラは、上述の非常に大容量のボイラに比較してボイラ効率が低く、ボイラ効率の向上が望まれる。
ボイラ効率を高める方法の一つとして、例えば、液体熱媒体である水と燃焼温度との温度差を大きくすることが挙げられる。例えば、天然ガスを燃料とするガスボイラを用いたり、木質バイオマスボイラであれば乾燥チップを用いたりすれば、燃焼温度を高め易い。
しかし、上述の場合、地産資源の木質バイオマス材の代わりに化石燃料である天然ガスの入手が必要であったり、木材の乾燥設備などといった専用の設備や、専門知識を有する技術者などが必要な上に、これらの処理に時間がかかったりする。伐採直後の生木は、一般に水分が多く、含水率が30質量%〜50質量%程度である。天然乾燥された木材(以下、天然乾燥材と呼ぶ)では、含水率が30質量%程度のものが多い。このような含水率が高い木材を燃焼させると、木材中の水分を気化するために水1gあたりに約2260J(540cal)の熱量が利用される。その結果、燃焼温度を十分に高められない。燃焼温度を高めるために、伐採材を人工的に強制乾燥して、含水率を30質量%未満、好ましくは10質量%以下程度とする必要がある。以下、伐採材のうち、含水率が30質量%〜50質量%程度であるものを生木、天然乾燥によって含水率が30%程度であるものを天然乾燥材と呼ぶ。
ボイラ効率を高める別の方法として、従来、エコノマイザーが知られている。エコノマイザーは、燃料を燃焼して生じた排気ガスをボイラ外に排出する煙道内に鋼管といった金属管を設置して、この管内に主として水を供給して予熱する給水加熱器である。
排気ガスの発生量が多い大容量のボイラでは、エコノマイザーの利用によって、ボイラ効率を高められる。しかし、上述のような小容量のボイラにエコノマイザーを付加しても、必ずしも効率が良いとはいえない。エコノマイザーによる水への伝熱も上記金属管を介して行われるからである。詳しくは、気体(排気ガス)⇒固体(鋼管など)⇒液体(水)という伝熱経路は、密度が相対的に非常に低い気体から密度が相対的に非常に高い固体に熱を伝えることになるため、固体に熱が伝わり難い。
以上のことから、上述のような小容量のボイラを用いて、1MW未満程度の発電などの仕事を行う場合に簡単な構成でありながら、ボイラ効率を向上できることが望まれる。
特に、伐採材などの木材を入手し易いものの、専用の設備の設置や専門技術者の配置などが難しい中山間地域、山林近くの小さな町村などで木質バイオマス発電を行う場合に、ボイラの燃料に、伐採直後の生木を実質的にそのまま(例えば含水率が40質量%〜50質量%程度の木材)、又は天然乾燥材(例えば含水率が30質量%程度、好ましくは20質量%程度の木材)、又はこれらを薪や一般的なチップにする程度の加工を行ったものなどを利用した場合でも、ボイラ効率を向上できることが望まれる。
近年、スクリュータービンなどと呼ばれる高効率で小容量の蒸気タービンが開発されてきている(例えば、特開2009−228569号公報)。このような高効率で小容量の蒸気タービンに適した、高効率で小容量のボイラの実用化が期待される。
そこで、本発明の目的の一つは、小容量なボイラであっても、簡単な構成でボイラ効率を高められる熱回収方法、及び熱回収装置を提供することにある。
(1)本発明の熱回収方法は、ボイラからの排気ガスを液体熱媒体中に導入して通過させて、前記液体熱媒体を前記排気ガスによって直接加熱する。
上述の本発明の熱回収方法の実施には、例えば、以下の熱回収装置を利用できる。
(3)本発明の熱回収装置は、給液管から導入された液体熱媒体が充填される液体槽と、ボイラからの排気ガスを前記液体槽内の液体熱媒体中に導入する導入管と、前記液体熱媒体中を通過した前記排気ガスを前記液体槽外に排出する排気管と、前記導入管から前記液体熱媒体を経て前記排気管から前記液体槽外に前記排気ガスが排出されるように、前記排気ガスの圧力を調整する圧力調整部と、前記排気ガスとの接触によって加熱された前記液体熱媒体を前記液体槽外に排出する排液管とを備える。
上記の熱回収方法及び上記の熱回収装置は、排気ガスを通過させる液体熱媒体を煙道に備えるという簡単な構成でありながら、小容量のボイラであっても、ボイラ効率を高められる。大容量のボイラでは排気ガス量が多く、排気不良の防止の観点から、排気を促す煙道には排気ガスを気体の状態で存在させる必要がある。しかし、小容量のボイラでは排気ガス量が比較的少ないため、排気ガスを液体熱媒体に直接、かつ余す事無く導入しても排気不良による燃焼不良が実質的に生じず、ボイラの機能を十分に発揮できるからである。
実施形態1の熱回収装置の概略構成図である。 実施形態2の熱回収装置の概略構成図である。 実施形態3の熱回収装置の概略構成図である。 実施形態4の熱回収装置の概略構成図である。 実施形態5の熱回収装置に備える液体槽及びその近傍を示す概略構成図である。 (A)は、実施形態6の熱回収装置に備える液体槽及びその近傍を示す概略斜視図、(B)は概略上面図である。 実施形態7の熱回収装置に備える液体槽及びその近傍を示す概略構成図である。 実施形態8の熱回収装置に備える液体槽、導入管、排気管及びその近傍を示す概略構成図である。
上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置は、以下の知見に基づくものである。
ボイラで燃料を燃焼して生じる排気ガスの温度は比較的高い。例えば、200℃〜500℃程度である。このような高温の排気ガスは、十分に高い熱エネルギーを有するとはいえ、単に大気中に放出すればボイラ効率が低下する。燃料を木材とした場合のボイラ効率は、木材の材質やボイラの種類などにもよるものの、一般に50%〜75%程度であり、ボイラの発生熱量の25%〜50%程度を活用せずに大気中に放出していることになる。従って、ボイラからの排気ガスが有する熱を活用すれば、ボイラ効率を向上できる。
しかし、上述のような小容量のボイラでは、排気ガスの発生量も比較的少ないことから、排気ガスの排出に用いる金属管も比較的細い。そのため、排気ガスの熱の回収にあたり、排気ガスといった気体から金属管といった固体への熱伝達を行うと、金属管の表面積が小さい上に金属管を介した間接的な熱伝達であることから、熱伝達効率が悪く、熱回収量を高め難い。一方、排気ガスといった気体から水といった液体への熱伝達は、両者間に介在物が無く、かつ両者の混合によって両者が万遍なく接触できる上に、気体が液体中から排出されるまでの間、両者の接触を繰り返すため(接触し続けるため)、上述の固体への熱伝達に比較して熱伝達効率が良い。
そこで、上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置は、ボイラから生じる排気ガスが有する熱の回収を行うものであって、排気ガスを液体熱媒体に通過させて、排気ガスと液体熱媒体とを直接接触させる構成とする。(3)熱回収装置では、液体槽内に導入された排気ガスを除いて、液体槽内に気相を存在させず液体熱媒体を充填させて液相のみとすると共に、圧力調整部によって排気ガスの圧力が調整されることで、排気ガスは導入管から排気管に移動する途中で液体熱媒体と必ず接触する。特に、小容量のボイラでは、排気ガス量が比較的少なく、煙道中に液体槽を備えても、ボイラ本来の機能の低下を抑制でき、ボイラの機能を良好に発揮できる。
かつ、上記の構成は、気体(排気ガス)⇒液体(液体熱媒体)という伝熱経路とし、排気ガスと液体熱媒体との間に熱伝達部材とする金属部材といった固体を介在させず、排気ガスと液体熱媒体とを直接接触させて、排気ガスが有する熱を液体熱媒体に直接伝える。液体は、金属などの固体とは異なり流動性を有するために気体との接触面積を上記固体と比較して格段に大きくできる。その結果、液体熱媒体と、主として気泡となる排気ガスとの混合により排気ガスの熱を液体熱媒体に効率よく伝えられる。理想的には排気ガスが有する熱をほぼ100%回収可能である。
上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置は、排気ガスを液体熱媒体に通過させるという非常に簡単な構成でありながら、上述の回収した熱量分だけ、ボイラの発生熱量に対して、実際に仕事に用いられた熱量を増大したことになり、ボイラ効率を向上できる。例えば、ボイラとして、発生蒸気量でいうと、最高使用圧力が1MPa以下で、3ton/h〜10ton/h程度の小容量のものを利用したり、生木や天然乾燥材といった含水率が高い木材を直接燃焼する燃料に利用したりした場合などでも、(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置を利用することで、ボイラ効率を高められる。木質バイオマス発電などを行う場合には、システム全体として発電効率(=発電電力エネルギー/燃料燃焼エネルギー)の向上を期待できる。
ボイラ効率の向上は、燃料の削減を期待できる上に、経済性の向上にも繋がる。特に、木質バイオマスボイラの燃焼燃料に生木や天然乾燥材を含むことは、人工的な強制乾燥といった燃料の前処理の軽減、好ましくは燃料の前処理を実質的に無くすことに繋がる。
上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置は、上述のように小容量のボイラの利用と、燃料となる木材の削減、生木や天然乾燥材を含む木材の使用や燃料とする木材の前処理の軽減や省略とを可能にする。このことから、燃料となる木材を十分に調達し難い地域や、乾燥専用の設備を構築し難い地域、専門知識を有する技術者が不足し易い地域、例えば、中山間地域、山林近くの小さな町村などであっても、原理的に取り扱い易く、非常に容易に用いることができる。かつ、コンパクトな(1)熱回収方法や(3)熱回収装置を利用することで、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などの実施を可能にすると期待される。
上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置は、木質バイオマス発電において、小容量のボイラを高効率で使用可能にする、更には直接燃焼させる燃料に生木や天然乾燥材を含む木材の使用を可能にする上に、燃料の木材使用量を低減できる点で社会的意義が高い。
なお、上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置におけるボイラの燃料には、上述の木材の他、石油や石炭などの化石燃料、産業廃棄物なども利用できる。化石燃料を用いると、燃焼温度を高め易くボイラ効率を高め易い。但し、この場合、排気ガスと液体熱媒体とを接触させると、液体熱媒体が汚染される恐れがある。化石燃料では酸性液体が生じるために熱回収装置の構成部材や煙突などを腐食させる可能性があったり、石炭や産業廃棄物などでは異物が混入する恐れがあったりする。また、化石燃料は、中山間地域や山林などでは、搬送が必要な上に、環境保全の観点からは使用を制限することが好ましいと考えられる。従って、上述の(1)熱回収方法の実施、及び(3)熱回収装置の使用にあたり、ボイラは木質バイオマスボイラが好ましく、その燃料には倒木、伐採材、間伐材などの林地残材といった木材、つまり加工端材及び使用済み廃棄木材を除く木材であって、伐採したままの未加工の木材、いわば純木材を含むバイオマスが好ましい。
以下、上述の(1)熱回収方法及び(3)熱回収装置について、より具体的な形態を列記して説明する。
(2)上述の熱回収方法の一例として、上記液体熱媒体が水であり、上記ボイラの燃料に生木及び天然乾燥材の少なくとも一方を含む木材を用い、上記木材の燃焼で生じた水蒸気を上記液体熱媒体に混合させて、上記液体熱媒体を上記水蒸気によって直接加熱する形態が挙げられる。
上記形態は、高温の排気ガスの熱エネルギーに加えて、水蒸気が有する高温の顕熱エネルギーと、水蒸気が液体(水)に戻るときの大きな潜熱エネルギーとを利用して、液体槽内の液体熱媒体をより効率よく加熱でき、ボイラ効率をより向上し易い。詳しくは、上記形態は、液体熱媒体が水であれば水蒸気と容易に混合できるため、両者の温度差に基づく熱エネルギーに加えて、水蒸気が液化する際に水蒸気が有する大きな潜熱を液体熱媒体である水に効率よく伝えられる。また、上記形態は、水蒸気の発生によって排気ガスの温度が低い場合でも、排気ガスの顕熱と水蒸気の顕熱及び潜熱との双方によって液体熱媒体を加熱するため、液体熱媒体を良好に加熱できる。上記形態は、水蒸気の発生源をボイラの燃料に用いる生木や天然乾燥材とし、この水蒸気を、液体熱媒体を加熱する加熱源とみなすため、水蒸気の発生に熱量を用いて燃焼温度を高め難いことから燃焼燃料にすることが困難とされていた生木や天然乾燥材を積極的に利用できる。
また、液体熱媒体が水であれば、1.液体熱媒体の温度管理が容易である、2.任意の地域において入手し易い、3.自然環境に対して悪影響を実質的に与えない、などの点から利用し易い。液体熱媒体とする水は、水道水の他、川や池などの地表水や地下水などの原水(天然水)が挙げられる。中山間地域、山林などでは原水が豊富に存在することが多く、容易に入手できる。必要に応じて、水に腐食防止剤などを添加することができる。腐食防止剤などの添加剤は公知のものを利用できる。
上述の燃焼燃料に生木や天然乾燥材を含むことができる点、液体熱媒体を水とする点で、上記形態は、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電、特に中山間地域における小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などの実施に好適に利用できる。
(4)上述の熱回収装置の一例として、上記導入管内に上記液体熱媒体と同じ液体を噴霧する噴霧器を備え、上記噴霧器は、上記排気ガスとの接触によって加熱されて気化し、上記液体槽内の液体熱媒体との接触によって冷却されて液化する液滴を噴霧する形態が挙げられる。
上記形態は、液体熱媒体と同じ液体の液滴であって、以下の特定の大きさ及び量の液滴を噴霧する噴霧器を備える。この液滴は、液体槽に到達するまでの間に高温の排気ガスとの接触によって加熱されて気化温度を超え、大きな潜熱を吸収して気化し、排気ガスとの接触によって更に高温の気体になり得るものであり、かつ液体槽内に貯留される気化温度未満の低温の液体熱媒体との接触によって十分に冷却されて液化し得る程度のものである。上述の両者の接触によって、液体槽内の液体熱媒体に潜熱が伝達される。例えば、液体熱媒体及び液滴が水であれば、気化してできた水蒸気は、約2260J(540cal)/1gの潜熱を液体熱媒体(水)に与える。この熱伝達は、同じ物質であって状態が異なる気体と液体との間で行われるため、熱伝達効率がよく、上記形態は、ボイラ効率をより高め易い。上記潜熱を利用することで、結果として、液体槽内の液体熱媒体は排気ガスの熱をより効率的に吸収できる。そのため、仮に液体熱媒体の量を少なくしても、排気ガスからの熱回収量を十分に確保できる。従って、上記形態は、例えば液体槽をより小型にできる。
(5)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽は、その内面における対向箇所に互いに噛み合うように立設される複数の板状の仕切り部、又は螺旋状の仕切り部を備える形態が挙げられる。
上記複数の板状の仕切り部や螺旋状の仕切り部は、上記排気ガスにおける上記液体熱媒体中の移動距離を増大する接触促進部として機能する。上記形態は、このような接触促進部を有することで、排気ガスと液体熱媒体とが十分に接触できるため、排気ガスの熱を液体熱媒体により多く伝達できて、ボイラ効率をより高め易い。
複数の板状の仕切り部を備える形態では、液体槽の内面のうち、対向配置される箇所、例えば底面部及び天面部や、一対の側面部などに板材を噛合うように立設することで容易に設けられて、構成が簡単である。上述の噴霧器を備える場合には、排気ガスに加えて、液滴が気化したガスと液体熱媒体とを十分に接触できる。後述の熱交換部を備える場合には、各板材の配置位置を調整することで、仕切り部と熱交換部とが干渉せずに液体槽内に双方を備えられる。
螺旋状の仕切り部を備える形態では、液体槽内に導入された排気ガスは、螺旋状の仕切りに部に沿って螺旋を描きながら排気管側に移動できる。そのため、排気ガスや上述の噴霧器を備える場合には気化したガスと、液体熱媒体とがより接触し易く、ボイラ効率をより一層高め易い。
(6)上述の熱回収装置の一例として、上記(5)で説明した接触促進部として、上記液体槽が上記複数の板状の仕切り部を備える場合に、各板状の仕切り部が上記液体槽の上方に向かって傾斜している形態が挙げられる。
上記形態は、上記複数の板状の仕切り部を備えるため、上述のように排気ガスと液体熱媒体とが十分に接触でき、排気ガスから液体熱媒体への伝熱量を十分に確保して、ボイラ効率をより高め易い。特に、上記形態は、各仕切り部が液体槽の上方に向いて傾斜しているため、排気ガスの気泡を、それ自身の浮力を利用して仕切り部に沿って上昇させ易い。従って、上記形態は、液体槽内における排気ガスの滞留を防止し易い上に、圧力調整部による圧力調整をより行い易い。
(7)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽は、その底面部側かつ上記ボイラに近い側に設けられた上記導入管の開口部と、その天面部側かつ上記ボイラから離れる側に設けられた上記排気管の開口部とを備える形態が挙げられる。
「液体槽の底面部側に設けられた導入管の開口部」とは、液体槽の底面部自体に開口するように設けられた場合、底面部に連続する側面部であって底面部の近傍に開口するように設けられた場合、導入管が液体槽内に挿入されて底面部に向かって開口するように設けられた場合などが挙げられる。
「液体槽の天面部側に設けられた排気管の開口部」とは、液体槽の天面部自体に開口するように設けられた場合、天面部に連続する側面部であって天面部の近傍に開口するように設けられた場合などが挙げられる。
上記形態は、上記(5),(6)で説明した接触促進部を備えていない場合でも、液体槽における排気ガスの導入側(導入管の開口部)と排気ガスの排出側(排気管の開口部)とが十分に離れているため、液体槽内に導入された排気ガスが液体熱媒体と十分に接触でき、排気ガスから液体熱媒体への伝熱量を十分に確保して、ボイラ効率を高め易い。上記接触促進部を備える場合には、排気ガスと液体熱媒体との接触距離がより長くなるため、上記伝熱量を増大できて、ボイラ効率を更に高め易い。
(8)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽は、その底面部よりもその側面部が長い縦長の縦置き槽である形態が挙げられる。
液体槽が縦長の容器であれば、液体槽内の貯留量を十分に確保できて上記気泡と液体熱媒体との接触距離を増大できる上に、液体槽の設置面積を小さくでき、小型な装置とすることができる。この液体槽を縦置きすると、液体熱媒体中に導入されて小さな気泡となって存在する排気ガスに作用する浮力を、排気ガスが液体槽内を底面部側(導入側)から天面部側(排気側)に移動すること(上昇すること)に利用できる。従って、上記形態は、排気ガスと液体熱媒体との接触を十分に行えて熱回収を良好に行えながら、排気ガスを液体槽から排出し易いため、液体槽内における排気ガスの滞留を防止できる上に、圧力調整部よる圧力調整を行い易い。上記(5)で説明した接触促進部を備えたり、上記(7)で説明したように排気ガスの導入側と排気側とを十分に離隔したりする場合には、排気ガスと液体熱媒体との接触距離をより増大できる上に、排気ガスの滞留もより防止し易い。上記(6)で説明した液体槽の上方に傾斜した複数の板状の仕切り部を備える場合には、上記接触距離の更なる増大、かつ液体槽の内面と仕切り部間に囲まれる空間における排気ガスの滞留防止を期待できる。
(9)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽は、その底面部側かつ上記ボイラに近い側に設けられた上記導入管の開口部と、その天面部側かつ上記ボイラから離れる側に設けられた上記排気管の開口部とを備え、上記底面部は、水平方向に対して、上記底面部における上記排気管の開口部に近い側の領域が上記導入管に近い側の領域よりも上方に位置するように傾斜して支持される形態が挙げられる。
上記形態は、上記(7)で説明したように、排気ガスの導入側と排気ガスの排出側とが十分に離れていることで、排気ガスから液体熱媒体への伝熱量が多く、ボイラ効率を高め易い。かつ、上記形態は、液体槽における排気ガスの導入側よりも排気ガスの排出側が高くなるように、液体槽の底面部が斜め上向きに配置される。このような上記形態は、排気ガスの気泡を、それ自身の浮力を利用して、天面部側に設けられた排気管の開口部に向かって上昇させ易く、液体槽内における排気ガスの滞留を防止できる上に、圧力調整部による圧力調整をより行い易い。
上記(9)の形態において、液体槽が上記(8)で説明した縦長の縦置き槽である場合には、排気ガスの気泡を更に上昇させ易い。上記(5)で説明した接触促進部を備えたり、上記(7)で説明したように排気ガスの導入側と排気側とを十分に離隔したりする場合には、排気ガスと液体熱媒体との接触距離を更に増大できる上に、排気ガスの滞留を更に防止し易い。上記(6)で説明した液体槽の上方に向かって傾斜した複数の板状の仕切り部を備える場合には、排気ガスの気泡を、それ自身の浮力を利用して仕切り部に沿って上昇させ易く、液体槽の内面と仕切り部間に囲まれる空間に排気ガスが滞留することを防止できる。また、これらの場合では、圧力調整部による圧力調整を更に行い易い。
(10)上述の熱回収装置の一例として、上記圧力調整部は上記排気管に設けられるブロアを備え、上記導入管における上記液体槽よりも上流側と、上記排気管における上記ブロアよりも上流側及び下流側の少なくとも一方とを連結し、上記排気ガスを上記ブロアの上流及び下流の少なくとも一方に導入する分岐管を備える形態が挙げられる。
ブロアの上流側に分岐管を備える場合には、以下の理由によりブロアの腐食を防止できる。液体槽の下流に配置されるブロアは、排気ガスと共に液体槽からの液滴などを吸い込む恐れがある。この液滴などとの接触によってブロアが腐食する恐れがある。これに対し、この形態は、上記の分岐管からブロアの上流に高温の排気ガスを導入でき、この高温の排気ガスによって上記液滴などを高温ガスにできて、上記腐食を防止できる。上記(4)で説明した噴霧器を導入管に備える場合には、排気ガスと共に、噴霧された液体熱媒体に起因する低温ガスを上記ブロアが吸い込む可能性がある。導入管における噴霧器よりも上流側に上述の分岐管を備えることで、高温の排気ガスを液体槽の下流側のブロアに確実に供給できる。
ブロアの下流側に分岐管を備える場合には、排気ガスが水蒸気を含んでいても、水蒸気が冷却されて液化し、煙突から白煙が排出されることを防止できる。
(11)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽は上記排気ガスの一つの気泡を複数に分割する気泡分割部材を備える形態が挙げられる。
上記形態は、液体槽内に配置された気泡分割部材によって排気ガスを一つの大きな塊ではなく複数の微細な気泡とすることができる。排気ガスの通過領域で気泡を分割可能である上記形態は、排気ガスが一つの大きな気泡となって液体熱媒体に接触することを防止できるため、排気ガスと液体熱媒体とがより接触し易く、ボイラ効率をより高められる。気泡分割部材の具体例及び液体槽への配置例などは後述する。
(12)上述の熱回収装置の一例として、上記液体槽に配置されて、上記加熱された液体熱媒体によって加熱される別の液体熱媒体が流通される熱交換部を備える形態が挙げられる。
上記形態は、液体槽内の液体熱媒体を別の液体熱媒体の加熱に利用するため、別の液体熱媒体を別の仕事に利用できる。従って、上記形態は、これらの液体熱媒体による仕事の用途の自由度を高められる。また、例えば、液体槽内の液体熱媒体を別の液体熱媒体の加熱にのみ利用して、実質的に液体槽内の貯留量を変化させなければ、液体槽内の液体熱媒体の温度を一定に保持し易くなるため、別の液体熱媒体を所定の温度にし易くなる。従って、上記形態は、所定の温度に加熱した別の液体熱媒体を安定して仕事に利用できると期待される。
(13)上述の熱回収装置において上記(12)で説明した熱交換部の配置例として、上記熱交換部は、上記液体槽における上記排気管側に配置されて、上記別の液体熱媒体が導入される導入部と、上記液体槽における前記導入管側に配置されて、加熱された上記別の液体熱媒体を排出する排出部とを備える形態が挙げられる。
液体槽における排気ガスの導入管側には、液体槽内の液体熱媒体との温度差が比較的大きい高温の排気ガスが導入されるため、両者間で熱交換が十分に行われて、比較的高温の液体熱媒体が存在し易い。液体槽における排気ガスの排気管側には、熱交換によって温度が低下した排気ガスが存在し易く、この低温の排気ガスと液体熱媒体との温度差が小さいことで相対的に熱交換量が少なく、比較的低温の液体熱媒体が存在し易い。液体槽内の液体熱媒体には、このような温度分布が生じる場合がある。上記形態では、熱交換部が液体槽において相対的に低温である排気管側から、相対的に高温である導入管側に亘って配置される。この熱交換部内を通過する別の液体熱媒体の温度が液体槽における排気管側の液体熱媒体の温度よりも低温であれば、この別の液体熱媒体は、液体槽内の低温側から高温側に移動する際に液体槽内の液体熱媒体から熱を受け取って徐々に高温になりながら排出部から排出される。従って、上記形態は、別の液体熱媒体を良好に加熱でき、この別の液体熱媒体によって所望の仕事を行える。
(14)上述の熱回収装置において上記(13)で説明した上記熱交換部を流通する別の液体熱媒体の具体例として、上記ボイラに用いるボイラ水を上記別の液体熱媒体とし、上記導入部は上記ボイラ水が仕事を行う第一仕事部に接続されて、仕事を行った上記ボイラ水が導入され、上記排出部は上記ボイラに接続されて、加熱された上記別の液体熱媒体を前記ボイラに供給する形態が挙げられる。
上記形態は、熱交換部にボイラ水を流通させて、熱交換部で予熱してボイラに供給する構成であり、ボイラからの排気ガスの熱をボイラが仕事の対象とする第一仕事部に利用しており、ボイラ効率を一層高められる。また、上記形態は、予熱を行うことで、ボイラが蒸気などの生成に必要な燃料を削減できる。更に、上記形態では、ボイラ水を循環使用できる。この場合、給水設備からボイラにボイラ水を随時供給する場合に比較して、ボイラ水の節約が可能であると共に、ボイラ水の供給に伴う異物等の混入を防止し易い。上記予熱温度は、ボイラ水の気化温度未満とすることが挙げられる。この場合、液体槽内の液体熱媒体の最高温度部分、例えば熱交換部の排出部近傍において、ボイラ水が液体状態となるように、液体槽内の液体熱媒体の温度を調整し、ボイラ水を液体状態で熱交換部から排出する。熱交換部のボイラ水及び液体槽内の液体熱媒体の双方が水であれば、予熱温度及び液体槽内の水温はいずれも、気化温度未満(100℃未満)とするとよい。予熱温度をボイラ水の気化温度未満とすることで、液体槽内の液体熱媒体の温度が高くなり過ぎないように、貯留量を少なくする、即ち液体槽を小型にしたり、燃料を削減したりすることができる。液体槽の小型化によって、圧力調整部として能力が小さい小型のものなどを利用できる。燃料が少なくてもよいことから、上記形態は、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などに好適に利用できる。
(15)上述の熱回収装置の一例として、上記給液管と上記排液管とが上記加熱された液体熱媒体が仕事を行う第二仕事部を介して接続されており、上記液体熱媒体が循環使用される形態が挙げられる。
上記形態は、液体槽内の液体熱媒体を循環使用可能な仕事に利用できる。また、上記形態は、液体熱媒体を循環使用するため、仕事後の液体熱媒体の排熱をも利用できる上に、液体熱媒体を随時供給する場合に比較して、液体熱媒体の節約が可能であると共に、液体熱媒体に異物等が混入し難い。液体槽内の液体熱媒体の貯留量を一定に保持できる場合には、液体熱媒体の温度管理を行い易い。
(16)上述の熱回収装置の一例として、上記液体熱媒体が水であり、上記ボイラは燃料に生木及び天然乾燥材の少なくとも一方を含む木材が用いられる木質バイオマスボイラである形態が挙げられる。
上記形態は、上述のように生木や天然乾燥材の燃焼によって生じる水蒸気を液体槽内の液体熱媒体である水への加熱源に利用でき、ボイラ効率の低下をより防止し易く、ボイラ効率に優れる上に、生木や天然乾燥材を燃料に活用できる点で上述のように社会的意義が高い。また、上述のように液体熱媒体が水であり、木材に含まれる液体も水であるため利用し易いことから、上記形態は、上述のように中山間地域における小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などの実施に好適に利用できる。
以下、本発明の熱回収方法の実施に使用する本発明の熱回収装置のより具体的な形態を図に基づいて説明する。各図において、同一符号は同一名称物を示す。
図1〜図8はいずれも分かり易いように概念的に示し、各構成要素の大きさ、大小関係などは実際と異なる場合がある。
また、以下の実施形態では、ボイラBに用いられる液体熱媒体(ボイラ水)を水として説明する。
[実施形態1]
図1を参照して、実施形態1の熱回収装置1Aを説明する。
(全体構成)
熱回収装置1Aは、ボイラBからの排気ガスGが有する熱を回収する装置である。
ボイラB(内部構成は図示せず)は、燃料を燃焼して生じた熱によって水を加熱して水蒸気Sや温水を生成し、この水蒸気Sや温水を第一仕事部100で仕事に利用する。燃焼によって生じた排気ガスGは、煙道(図示せず)に導入し、煙道の終端である煙突(図示せず)から排出する。
図1〜図4では、第一仕事部100として発電機を例示する。発電機は、例えば、スクリュータービンと呼ばれる雄雌一対のスクリューローターを主体とする容積型膨張機を備えるもの(例えば、特開2009−228569号公報参照)が挙げられる。このような発電機であれば、小容量で小型なボイラBを用いて、例えば500kW以下といった小容量の発電を行う場合でも高効率な発電を行える。このようなボイラBに対して熱回収装置1Aを用いることで、ボイラ効率を高められる。温水を利用する第一仕事部100には、例えば、暖房設備や給湯設備などが挙げられる。ボイラBは、公知のものを利用できる。
熱回収装置1Aは、ボイラBの煙道に設けられて、ボイラBからの排気ガスGの熱を回収し、熱が奪われて低温となった排気ガスGを煙突から排出する。ボイラBと、煙突との間は、後述の液体槽2Aを設置可能な程度に十分に離隔されている。
詳しくは、熱回収装置1Aは、ボイラBからの排気ガスGを液体熱媒体(ここでは水L)中に導入して通過させて、液体熱媒体を排気ガスGによって直接加熱するものであり、液体熱媒体が充填される液体槽2Aと、液体熱媒体(水L)中を通過するように排気ガスGの圧力を調整する圧力調整部5とを備える点を特徴の一つとする。より具体的には、熱回収装置1Aは、液体槽2Aと、ボイラBからの排気ガスGを液体槽2A内の液体熱媒体中に導入する導入管3Aと、液体槽2Aに接続されて、液体熱媒体中を通過した排気ガスGを液体槽2A外に排出する排気管4と、ボイラB及び排気管4の少なくとも一方に設けられて排気ガスGの圧力を調整する圧力調整部5(ここでは導入側のブロア50,排出側のブロア52)と、液体槽2Aに液体熱媒体を導入する給液管6と、排気ガスGとの接触によって加熱された液体熱媒体(ここでは温水)を仕事に利用するために液体槽2A外に排出する排液管7とを備える。
以下、熱回収装置1Aの各構成要素をより詳細に説明する。
また、本例、及び後述する実施形態2〜8などでは、液体槽2Aに充填される液体熱媒体を水Lとして説明する。
(液体槽)
液体槽2Aは、給液管6から導入された液体熱媒体である水Lが貯留される容器であり、任意の形状、任意の設置形態のものが利用できる。図1では、対向配置される底面部20と天面部22と、対向配置される側面部24,26とを備える直方体状の容器を例示するが、有底円筒状などとすることができる。直方体状の容器は安定性に優れ、設置し易い。有底円筒状の容器は、排気ガスGが容器全体を均一的に流動し易く、角部などに溜まるといった不具合を防止し易い。
また、図1では、液体槽2Aが、側面部24,26よりも底面部20及び天面部22が長い横長の容器であって、横長に設置する横置き槽である場合を例示する。横置き槽は、その高さがある程度低い容器にできるため、水頭Hに基づく水の圧力(水頭圧力)を小さくできて排気ガスGを液体槽2A外に排出し易い。そのため、圧力調整部5による排気ガスGの圧力調整を行い易い。また、横置き槽は、その容量(=液体熱媒体の貯留量)を大きく確保できて、排気ガスGからの熱回収量を多くできる。
その他、液体槽2Aは、底面部20よりも側面部24,26が長い縦長の容器であって、縦長に設置する縦置き槽とすることもできる(後述する実施形態5参照)。又は、液体槽2Aは、排気ガスGの導入側が低く、排気側が高くなるように底面部20及び天面部22に傾斜を設けることができる(後述する実施形態6,7参照)。これらの形態は、液体槽2A中で排気ガスGをそれ自身に作用する浮力によって排気管4に導き易い。
液体槽2A内には、液体槽2A内に導入された排気ガスGを除いて気相を介することなく液体熱媒体(水L)が充填されて、実質的に液相のみとする。気相は排気ガスGに対する流通抵抗が液体熱媒体よりも小さいため、仮に液体槽2A内の天面部22側に連続した気相が存在すると、液体槽2A内に導入した排気ガスGは上記の気相部分を通過して排気管4に直行し易い。従って、液体槽2A内の気相の存在は排気ガスGの排出に効果的である反面、排気ガスGから水Lへの伝熱量が極めて少ない又は、排気ガスGからの熱回収が実質的に行われず、ボイラ効率を十分に向上できない。そのため、排気ガスGの導入前の液体槽2A内には、気相を有さず液体熱媒体(水L)のみが充填されていることが重要である。
液体槽2A内に上述のように気相を設けないため、液体槽2Aの容積は、実質的に水Lの貯留量といえる。水Lの貯留量が所望の量となるように、ボイラBの容量、燃料の材質(発生熱量)などに応じて液体槽2Aの容積を選択するとよい。
特に、液体槽2Aに貯留される水Lが排気ガスGによって加熱されて温度が高くなっても、水L(温水)が液体状態を維持でき、気化しない温度(ここでは100℃未満)となるように、液体槽2Aの容積を選択することが好ましい。液体槽2Aの容積の調整に代えて、又は調整に合わせて、燃料の削減によっても、水Lの気化を防止することができる。例えば、液体槽2Aが小さくて水Lの貯留量が少ない場合、水Lが十分に加熱されて温度が上昇し易いことから、燃料を削減すると、液体槽2Aの小型化と、燃料の削減とが行える。又は、後述するブロア50,52として、能力が小さい小型のものを利用できる。液体槽2Aの容積、ボイラBの燃料の使用量、ブロア50,52の能力などは、ボイラBの能力や、水Lにおける排気ガスGからの熱回収能力などを考慮して設計することができる。
(導入管)
導入管3Aは、一端がボイラB本体に接続され、他端が液体槽2A内に挿入されて、ボイラBで発生した排気ガスGを液体槽2A内の液体熱媒体である水Lに導入する部材である。この例の導入管3Aは、ボイラBから上方に延びる上向きの縦管と、この縦管に直交方向(図1では右方向)に延びる外側横管と、この外側横管に直交すると共に上向きの縦管に並列され、液体槽2Aの天面部22(図1ではボイラBに近い左側の領域)を貫通し、液体槽2A内に収納され、底面部20に向かって下方に延びる下向きの内側縦管とを備える。下向きの内側縦管の端部が底面部20近傍に配置される。導入管3Aは、排気ガスGを上向きの縦管に沿って上方に導き、外側横管を経た後、下向きの縦管に沿って下方に導く形状である。更に、この例の導入管3Aは、下向きの内側縦管の端部にL字状のエルボ管を介して接続されて、液体槽2A内に配置されるガイド管30を備える。
ガイド管30は、液体槽2Aの底面部20に近い側(図1では下方)においてボイラBに近い側(以下、ボイラB側と呼ぶことがある。図1では左側)から、ボイラBから離れる側(ここでは煙突側、図1では右側)に配置される。このガイド管30は、水平方向に沿って配置される横管であり、その外周面に排気ガスGを排出する複数の貫通孔が設けられている。ボイラBの非運転時(停止時)、ガイド管30内は、貫通孔から浸入した水Lが充填され、導入管3Aの内側縦管内に水Lの液面が存在する。ボイラBの運転時、圧力調整部5によって排気ガスGの圧力が調整されることで、ガイド管30における貫通孔の形成箇所のうち、導入管3Aに最も近い箇所までは排気ガスGが十分に充填される。
ガイド管30に案内された排気ガスGは、各貫通孔から気泡となって排出される。この気泡は水Lよりも軽いため、各気泡に作用する浮力と圧力調整部5による圧力調整とによって、天面部22側(上方)に向かい、最終的に排気管4から液体槽2A外に排出される。排気ガスGの気泡は、排気管4から排出されるまでの間に水L中を通過することで水Lと接触し、水Lに熱を伝達する。
ガイド管30の形状は適宜選択できる。図1の例では、直線的な形状としているが、波型などの曲線的な形状としてもよい。直線的なガイド管30は単純な形状で形成し易い上に、排気ガスGがガイド管30内を通過し易い。波型やクランク形状などの凹凸形状のガイド管30であれば、液体槽2A内におけるガイド管30の存在空間が大きくなり、排気ガスGの気泡が液体槽2A内を均一的に存在し易くなり、液体槽2A内の水Lの温度を全体的に高め易いと考えられる。
ガイド管30の貫通孔の個数、大きさは、排気ガスGの圧力調整の作業性、装置の設置空間の大きさ、ボイラ効率などを考慮して選択するとよい。
ガイド管30の貫通孔が小さ過ぎたり、個数が少な過ぎたりすると排気ガスGが排出され難くなり、排気ガスGの流動抵抗が高くなる。そのため、排気ガスGの導入圧力(押込圧力)をより大きくする、つまり導入側のブロア50の圧力を大きくする、又は排気ガスGの排出圧力(引込圧力)をより小さくする、つまり排出側のブロア52の圧力を小さくする必要がある。水頭H(ここではガイド管30における液体槽2Aの底面部20に近い面と、排気管4内の水Lの液面までの距離)をより大きくしてもよいが、この場合、圧力調整部5の大型化を含めて装置の大型化を招く。
一方、貫通孔が大き過ぎると、大きな気泡ができて、水Lと排気ガスGとの接触面積が低下する。貫通孔が多過ぎると、排気ガスGがガイド管30におけるボイラBから離れる側の端部にまで到達できず、液体槽2A内の水LをボイラB側から煙突側に亘って万遍なく加熱することが難しい。ひいてはボイラ効率の向上効果が小さくなる。
ここで、液体槽2A内の水Lは、排気ガスGとの温度差が大きいほど熱交換を行い易いため、熱交換状態(熱吸収状態)によっては、液体槽2A内に温度分布が生じ得る。ガイド管30を用いると、高温の排気ガスGに接触する水Lが比較的多くなり易い。そのため、液体槽2A内の水Lの温度差が小さく、均一的な温度にし易い。導入する排気ガスGの温度や液体槽2A内の水Lの貯留量、排気ガスGと水Lとの接触距離などによっては、液体槽2A内の水Lにおける排気ガスGの排出部分及びその近傍が高温になり得るものの、液体槽2A内の全体でみれば温度差が小さく、均一的な温度にし易い。
ガイド管30を省略することもできる。この場合、導入管3Aの内側縦管の一端の開口部全体を排気ガスGの排出口とすることが挙げられる(図2〜図8参照)。この場合、液体槽2A内に貯留される液体熱媒体(水L)の対流によって、より均一的な温度になるまでの間に、液体槽2A内の液体熱媒体(水L)における導入管3Aの一端の開口部に近い領域(例えばボイラB側かつ底面部20側)が高温、この開口部から離れる領域(例えば排気管4側かつ天面部22側)が低温といった温度差が大きい温度分布を生じ得る。このような温度差が大きい温度分布を有する液体熱媒体を利用する用途などに応じて、ガイド管の有無、形状を選択するとよい。
(排気管)
排気管4は、一端が液体槽2Aに接続され、他端が煙突(図示せず)などの煙道に接続され、液体槽2A内の液体熱媒体である水Lを経た排気ガスGを他端から排出する部材である。この例の排気管4の一端は、液体槽2Aの天面部22におけるボイラBから離れる側(煙突側)を貫通し、天面部22に開口する。そのため、この例の液体槽2Aは、天面部22におけるボイラBに近い側に設けられた導入管3Aの貫通部と、天面部22におけるボイラBから離れる側に設けられた排気管4の開口部とを備える。排気管4内には、液体槽2Aの水Lが浸入して、排気管4における液体槽2Aの天面部22よりも上方に突設される部分に水Lの液面が存在する。
(圧力調整部)
排気ガスGが、導入管3Aから液体槽2A内の液体熱媒体(水L)を経て、液体槽2A内で滞留などせずに支障なく排気管4から液体槽2A外に排出され、最終的に煙突から大気中に流れるためには、排気ガスGが水Lによって押し戻される圧力、具体的には水頭Hに基づく水の圧力(水頭圧力)よりも大きな圧力を有する必要がある。この排気ガスGの圧力調整のために、熱回収装置1Aは圧力調整部5として、ブロア又はファンを備える。
1.ボイラBにブロア(又はファン)50を取り付けて燃焼ガスを加圧すること、2.排気管4にブロア(又はファン)52を取り付けて排気ガスを吸い込み、水Lに対して負圧にすること、3.これらの双方を行うこと、から選択される一つを、常時、又は運転状態に応じて行うとよい。図1では、ボイラBにブロア50が取り付けられ、排気管4にブロア52が取り付けられた状態を例示する。
圧力調整部5によって、排気ガスGの導入側の圧力と排気側の圧力との差が水頭Hに基づく水頭圧力を超える大きさとなるようにブロア50,52の出力などを調整するとよい。具体的な大きさは、(H/10)MPa程度以上、定量的には0.05MPa程度以上が挙げられる。
排気管4に液面計110を備え、液体槽2Aにおける水頭圧力Hの基準となる面(位置)に水圧計112を備えると、水頭Hを正確に把握して、圧力調整を行い易い。
排気ガスGが、液体槽2A内の水Lを通過して排気管4を経て煙突から排出されるように圧力調整部5を調整することで、上述のようにボイラBの運転時にはガイド管30内に排気ガスGが充填される。ガイド管30の貫通孔から排気ガスGが気泡となって液体槽2A内に排出されて水Lと混合される。
(給液管及び排液管)
液体槽2Aには、液体熱媒体である水Lを液体槽2Aに導入する給液管6と、排気ガスGによって所定の温度に加熱された水L(温水)を排出する排液管7とが接続される。
給液管6及び排液管7の接続位置は適宜選択できる。例えば、図1に示すように、液体槽2Aの底面部20側であって、導入管3Aの取付側(この例ではボイラB側)に給液管6を接続し、排気管4の取付側(この例では煙突側)に排液管7を接続することが挙げられる。この場合、液体槽2A内における排気ガスGの流れ方向(導入管3A側から排気管4側に向かう方向)と、液体槽2A内における水Lの流れ方向(給液管6側から排液管7側に向かう方向)とが同じになり、水Lの流れが排気ガスGの流れを乱し難い。また、液体槽2A内における導入管3Aの近傍に高温の排気ガスGを導入し、かつこの導入管3Aの近傍に低温の水Lを導入すると、高温の排気ガスGと低温の水Lとの間で温度差が大きく、熱交換を良好に行える。この熱交換によって排気ガスGの温度が低下し、液体槽2A内を移動する水Lの温度はある一定の温度に上昇する。
上述のように水Lの流れ方向と排気ガスGの流れ方向とを等しくすることで、ブロア50,52の能力が比較的小さい場合などであっても、液体槽2A内における排気ガスGの流れが上述の液体槽2A内における水Lの流れに妨げられず、排気ガスGを良好に排出できる。
なお、圧力調整部5による圧力調整で排気ガスGを液体槽2Aから十分に排出できれば、排気ガスGの流れ方向と水Lの流れ方向とを異ならせる(例えば逆方向とする)こともできる。
排液管7にはバルブ70が設けられており、加熱された水L(温水)を所望の仕事に利用する場合には、バルブ70が開かれて、排液管7は加熱された水L(温水)を排出する。仕事に利用しない場合にはバルブ70が閉じられる。
加熱された水L(温水)を仕事に利用すると、液体槽2A内の水Lが減り、所定の水頭Hを維持できなくなる。給液管6は、仕事に使用した分や蒸発による減少分などの水Lを液体槽2Aに追加、供給する。給液管6には、ポンプ60が設けられており、液体槽2Aに供給する水Lは、ポンプ60によって圧送される。給液作業は、液面計110,水圧計112によって液体槽2A内の貯留量、水圧を確認しながら行うとよい。この水Lには、水道水の他、原水を利用できる。
(その他の構成)
その他、排気ガスGに有害物質や異物などの不純物が含まれている場合がある。この不純物は、排気ガスGが液体槽2A内の水Lに接触することで排気ガスGから除去され、水Lに含まれて水Lよりも重いものは、その自重によって液体槽2Aの底面部20に沈殿する。この沈殿物を除去し易いように、異物排出部130(図2,図3参照)を設けることができる。図2,図3では、底面部20に設けられ、中央部が下方に向かって先細ったすり鉢状の部材を異物排出部130として例示する。異物排出部130にはバルブ132を設けておくと、所望の時期に沈殿物などの異物の除去を行える。底面部20は、図3に示すように網目状やすのこ状などとすると、水Lと沈殿物などの異物とを分離し易い。
異物排出部130の設置に代えて、例えば、排気管4などにバグフィルター(図示せず)を設けることができる。排気ガスGは液体槽2A内の水Lを通過することで冷却されて温度が下がるため、排気ガスGによってバグフィルターが熱損傷し難い。そのため、別途、水冷塔などを設ける必要もない。異物排出部130やバグフィルターは、その他の実施形態においても備えることができる。
なお、導入管3A、排気管4、給液管6、排液管7といった各種の配管の構成材料には、液体熱媒体である水Lに対する耐食性及び耐熱性に優れるもの、更に導入管3Aでは高温(例えば200℃〜500℃程度)の排気ガスGに対する耐熱性を有するものが利用できる。代表的な構成材料として、鋼などの金属が挙げられる。その他の構成材料として、耐熱性に優れる樹脂などが挙げられる。熱回収装置1Aの構成要素のうち、高温部の構成要素であって液体槽2A及び上記各種の配管以外の構成材料として煉瓦などの耐熱材、低温部の構成要素の構成材料として樹脂などが挙げられる。
(ボイラ)
ボイラBは、煙管型、水管型、その他公知の種々の形式のものが利用できる。特に、燃料に木材を利用し、木材を直接燃焼する木質バイオマスボイラであれば、木材を入手し易い中山間地域、山林などでも、実施形態1の熱回収装置1Aを構築し易く好ましい。ボイラBを、発生蒸気の最高使用圧力が1MPa以下で、発生蒸気量が3ton/h〜10ton/h程度のボイラや、発電電力が1MW未満、特に500kW程度以下、更に300kW程度以下の発電用ボイラといった小容量の木質バイオマスボイラとすれば、燃料使用量が多大である大容量のボイラを利用し難い地域、例えば中山間地域、山林近くの小さな町村であっても、実施形態1の熱回収装置1Aを構築し易く好ましい。
燃料とする木材は、倒木、伐採材、間伐材などの林地残材が挙げられる。いわゆる純木であると、燃焼によって有害物質などが生じなくて好ましい。特に、人工的に強制乾燥を行っておらず含水率が高いもの、具体的には含水率が10質量%超、20質量%超、更には30質量%以上50質量%以下程度である生木及び天然乾燥材の少なくとも一方を含む木材を燃料に用いると、燃料に必要な加工・処理を低減できる。例えば、生木などの木材を適当な大きさに切断して薪とする程度の加工でもよい。更に切断してチップとすると、天然乾燥でも含水率を低減して燃焼し易くなり、ボイラ効率の向上に寄与する。生木や天然乾燥材の薪、チップ、乾燥チップなどを混合して用いてもよい。混合割合を調整することで、燃焼温度などを調整できる。
含水率が高い木材である生木や天然乾燥材を用いた効果を説明する。
木質バイオマスボイラは、上述のように木材中の水分の気化に熱量が使用されることを低減するために、通常、含水率が30質量%未満の木材のみを燃料に用いる。熱回収装置1Aを利用すれば、木材中の水分が蒸発してできた水蒸気を液体槽2A内の水Lへの伝熱材に利用して熱回収を行える。そのため、含水率が30質量%未満となるように人工的に乾燥させた木材しか燃料に利用できなかった木質バイオマスボイラに対して、熱回収装置1Aを用いれば、含水率が30質量%以上である木材を、例えば燃料使用量の30質量%以上、更には40質量%以上、更には半分以上含むことができる。含水率が高い木材を多く利用できることで燃料の確保が容易になる点は、化石燃料の確保などが難しいとされる中山間地域における小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電に対して大きな利点と考えられる。
(効果)
実施形態1の熱回収装置1Aは、ボイラBからの排気ガスGが通過する煙道に液体熱媒体である水Lが充填された液体槽2Aを備え、排気ガスGと水Lとを直接接触させ、両者を混合できる。この接触・混合によって、排気ガスGが有する熱を水Lに伝達して、例えば200℃〜500℃程度といった高温の排気ガスGが有する熱を回収する。排気ガスGといった気体と水Lといった液体との接触による熱伝達は、比重及び密度が小さい気体と、金属などの固体との面接触による熱伝達に比較して、熱伝達効率がよい。また、水Lといった液体は、金属といった固体よりも流動性に優れるために、排気ガスGと水Lとが接触して混合され易い。ひいては、熱回収装置1Aは、排気ガスGの熱を水Lに効率よく伝達でき、理想的には排気ガスの熱をほぼ100%回収可能である。従って、熱回収装置1Aは、煙道に液体槽2A(水槽)を備えるという非常に簡単な構成でありながら、排気ガスの熱を大気中に廃棄せず水Lに回収させて、この熱を活用できるため、ボイラ効率を向上できる。特に、熱回収装置1Aは、排気ガスGを大気中に放出するという機構の観点から、排気ガスGが比較的少ない上述の小容量のボイラに組み合わせることで排気ガスGが有する熱の利用率を高められて、ボイラ効率の向上に寄与することができる。
また、ボイラBを木質バイオマスボイラとし、燃料に生木や天然乾燥材といった含水率が高い木材を人工的な乾燥等せずに直接燃焼する場合、木材中の水分が気化して水蒸気(ガス)が生じる。この水蒸気も、ガイド管30によって液体槽2A内に運ばれて、排気ガスGと共に水Lに接触し得る。上記水蒸気は顕熱と大きな潜熱とを有するため、水Lに混合させることで、排気ガスGの顕熱と、上記水蒸気の顕熱及び潜熱とによって水Lを直接加熱できる。特に、水蒸気と水Lとは状態が異なるだけで同種の物質であって混合し易いことから、水蒸気が有する顕熱及び潜熱を水Lに効率よく伝達できる。実施形態1の熱回収装置1Aは、燃料に生木や天然乾燥材を用いて直接燃焼する場合でも上記燃焼に用いた熱量を、水Lによって回収できるため、ボイラ効率を向上できる。生木や天然乾燥材を燃料に利用できれば、人工的な強制乾燥などの前処理を省略できる又は強制乾燥の時間を短縮できるなど、強制乾燥の前処理を軽減できる。
ボイラ効率の向上によって、燃料とする木材を削減できる。特に、燃料に生木を利用すれば、燃料とする木材の加工・処理の作業負担の軽減を期待できる。そのため、木質バイオマスボイラと熱回収装置1Aとを組み合わせ、更に燃焼燃料に生木や天然乾燥材を含む木材を利用することで、例えば、中山間地域、山林近くの小さな町村などであっても、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などを実施できると期待される。
更に、本例の熱回収装置1Aは、液体槽2Aに、貫通孔を有するガイド管30を配置するという非常に簡単な構成でありながら、液体槽2A内の水Lに排気ガスGを十分に接触させられて、排気ガスGの熱を水Lに良好に伝達できる。液体槽2Aにおける排気ガスGの導入側(ここでは底面部20側)と排気ガスGの排出側(ここでは天面部22側)とが十分に離れていることからも、排気ガスGと水Lとが十分に接触できる。
本例の熱回収装置1A及び後述する実施形態2〜8などでは、液体熱媒体として水Lを用いるため、液体槽2A内の水温管理を行い易い、液体熱媒体の入手が容易である、自然環境に対して優しい点から好ましい。
[実施形態2]
図2を参照して、実施形態2の熱回収装置1Bを説明する。
実施形態2の熱回収装置1Bの基本的構成は、実施形態1の熱回収装置1Aと同様であり、液体槽2Bと、導入管3Bと、排気管4と、圧力調整部5(ブロア50,52)と、給液管6及び排液管7とを備え、液体槽2B内の液体熱媒体である水LをボイラBからの排気ガスGによって直接加熱する。実施形態2の熱回収装置1Bは、導入管3B内に噴霧器320を備える点、ガイド管30を備えておらず、液体槽2Bに接触促進部8を備える点が、実施形態1との主要な相違点である。以下、上記相違点を中心に説明し、実施形態1と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。後述するように、噴霧器320は、接触促進部8の有無に関係なく備えることができる。
(導入管)
実施形態2の熱回収装置1Bに備える導入管3Bは、その中間部に噴霧器320が設けられた噴霧室32を備える。噴霧器320は、液体槽2Bに貯留される液体熱媒体(水L)と同じ液体(この例では水)が導入されて、噴霧室32内に噴霧する。
噴霧室32に噴霧された液滴(この例では水滴)が所定の大きさ及び所定の量であれば、導入管3Bに導入される高温の排気ガスGに接触することで気化温度を超えて気化し、蒸気(この例では水蒸気S)を生成できる。液滴が気化する際に周囲の排気ガスGの熱を奪い、この熱を有する水蒸気Sは、更に排気ガスGからの熱を得て高温になりながら、排気ガスGと共に導入管3Bを経て液体槽2Bに到達し、水Lに接触すると冷却されて、気化温度未満(ここでは沸点未満)の低温である水Lで冷却され、気化温度以下になると液化する。このとき、水蒸気Sの顕熱と共に大きな潜熱が水蒸気Sの周囲の水Lに伝達される。水蒸気Sは、水Lと同じ物質であるため水Lと混合し易く、この熱伝達を良好に行える。
噴霧器320は、排気ガスGとの接触によって加熱されて気化し、液体槽2B内の液体熱媒体(水L)との接触によって冷却されて液化するように、液滴の大きさ及び噴霧量を調整して、液滴(この例では水)を噴霧する。このような噴霧器320には、所定の大きさの液滴、所定の量の噴霧が可能な適宜なものを利用できる。運転開始時、又は終了時、運転条件の変更時などに、噴霧器320で噴出された液滴がそのまま、噴霧室32内に残留することが考えられる。そこで、例えば、図2に示すように導入管3Bのうち、噴霧室32の底面を形成する部分(外側横管)を、ボイラB側(図2では左側)から液体槽2B側(同右側)に向かって下方に下がるように傾斜させることが挙げられる。こうすることで、滴下した液体がボイラB側に流出せず、液体槽2Bに確実に流れる。
後述する図8に示すように、噴霧室32の底面部分を上述のように傾斜させず、水平方向に沿って配置することもできる。この場合、構成が簡単である。
噴霧器320が噴霧する液体熱媒体は、液体槽2B内の液体熱媒体と同じ物質であることから、液体槽2B内の液体熱媒体の一部を噴霧器320に供給する構成、即ち噴霧器320と液体槽2Bとの間で液体熱媒体を循環供給する構成とすることもできる。この場合、液体槽2Bの水Lの貯留量を一定に保持し易い。本例のように液体槽2B内の水Lの貯留量を別途制御する場合には、上述の循環供給とはせずに噴霧用の液体熱媒体を別途供給できる。
(液体槽)
実施形態2の熱回収装置1Bに備える液体槽2Bは、その内面において対向配置される底面部20及び天面部22と、両部20,22の間に設けられる複数の板状の仕切り部とを備える直方体状の密閉容器である。天面部22におけるボイラB側に導入管3Bの一部(内側縦管)が挿通固定され、煙突側に排気管4の一端部が接続されて開口し、実施形態1と同様に、排気ガスGを除いて気相を介することなく水Lが充填される。この例の液体槽2Bは、その底面部20自体に開口すると共にボイラBに近い側に設けられた導入管3Bの開口部と、その天面部22自体に開口すると共にボイラBから離れる側に設けられた排気管4の開口部とを備える。
(接触促進部)
接触促進部8は、液体槽2Bに備えられて、排気ガスGにおける液体熱媒体(水L)中の移動距離を増大するためのものである。この例の接触促進部8は、液体槽2Bの底面部20と天面部22とに互いに噛み合うように立設される複数の板状の仕切り部80,82で構成される。この例の各仕切り部80,82は鉄製の板材で構成される。
底面部20には、下側の仕切り部80を構成する板材が、ボイラB側から煙突側に向かって所定の間隔をあけて立設される。立設された各板材は、天面部22に接しない大きさである。その他、板材を天面部22から吊り下げて、底板面20から立設された状態とすることができる。
天面部22には、上側の仕切り部82を構成する板材が、ボイラB側から煙突側に向かって所定の間隔をあけて、かつ、下側の仕切り部80,80間に介在するように立設される。立設された各板材は、底面部20に接しない大きさである。また、この例では、仕切り部82の端部は、導入管3Bの一端よりも上方に位置し、排気ガスGは、より底面部20側に導入される。
仕切り部80,82が設けられた液体槽2Bの内部空間は、ボイラB側から煙突側に向かって上下に蛇行するように仕切られる。排気ガスGや噴霧室32で生成された水蒸気Sは、排気ガスGや水蒸気Sが水Lよりも比重が小さく軽いことを利用して、図2の点線黒矢印で示すように、液体槽2Bの底面部20側に配置された導入管3Bの一端側の開口部から導入されると、両仕切り部80,82に挟まれつつ、下側の仕切り部80に沿って液体槽2Bの天面部22側に向かう。次に、両仕切り部80,82に挟まれつつ、上側の仕切り部82に沿って液体槽2Bの底面部20側に向かう。排気ガスGや水蒸気Sはこのような上下移動を繰り返しながら水Lに接触し、液体槽2B内をボイラB側から煙突側に移動する。複数の仕切り部80,82は、このように排気ガスGなどの移動距離を効果的に長くして、水Lとの接触を十分に行わせる。
仕切り部80,82を構成する板材の大きさ、配置位置、個数などは適宜選択できる。例えば、排気ガスGを排出する液体槽2Bの煙突側には、天面部22に固定された排気管4に排気ガスGを誘導し易いように、排気ガスGを天面部22側に促す上側の仕切り部82を設けることが挙げられる。又は、排気ガスGや水蒸気Sの気泡が天面部22側に滞留し難いように、液体槽2Bにおける最も導入管3Bに近い側に下側の仕切り部80を設けることが挙げられる。仕切り部80,82の個数を多くすれば、排気ガスGなどの移動距離をより長くし易い。この場合、流通抵抗が大きくなるため、圧力調整部5を適宜調整するとよい。
ブロア50及びブロア52の少なくとも一方における排気ガスG及び水蒸気Sの混合ガスの排気力や吸引力が、排気ガスGにおける液体熱媒体(水L)に対する浮力に対して、不適切なほどに小さい場合、液体槽2B内に導入した排気ガスGは、液体槽2Bの内面(特に天面部22)と仕切り部80,82間に形成される空間に気相として滞留し得る。排気ガスGの滞留によって、排気ガスGと液体熱媒体(水L)との接触による熱伝達が大きく阻害され得る。このような恐れがある場合には、例えば、1.ブロア50の排気力、ブロア52の吸引力を増大する、2.仕切り部80,82の個数を低減する、3.液体槽の配置形態を変更する(後述の実施形態5など)、などの対策を行うことが挙げられる。
(効果)
実施形態2の熱回収装置1Bは、実施形態1と同様に、煙道に液体槽2B(水槽)を備えるという非常に簡単な構成でありながら、排気ガスGと水Lとを直接接触させて排気ガスGの熱を回収することで、ボイラ効率を向上できる。
特に、実施形態2の熱回収装置1Bは、液体熱媒体(水L)と同じ液体(水)を噴霧する噴霧器320を導入管3Bに備えて、この液体を、ボイラBから排出されたばかりで高温である排気ガスGによって気化して蒸気(水蒸気S)を生成し、更に高温の排気ガスGによって高温の蒸気にし、この蒸気(水蒸気S)を排気ガスGと共に液体槽2Bに導入する。蒸気(水蒸気S)は、液体槽2Bの水Lで気化温度未満に冷却されて液化すると水Lと良好に混合できる上に、顕熱及び大きな潜熱を水Lに付与する。実施形態2の回収装置1Bは、水Lと混合し易い水蒸気Sを積極的に生成して排気ガスGの熱を吸収し、この水蒸気Sの顕熱及び潜熱を水Lの加熱源に利用することで、排気ガスGが有する熱をより容易に、かつ無駄なくに液体槽2Bの水Lに与えられる。そのため、熱回収装置1Bは、例えば液体槽2Bの小容量化を可能にしつつ、ボイラ効率をより向上し易い。
この例では、水蒸気Sが冷却されて液化した水と、液体槽2B内の水Lとが混合し易く、水Lへの熱伝達を良好に行えることからも、ボイラ効率を向上し易い。また、この例では、噴霧器320を用いるため、燃料に生木や天然乾燥材を用いて燃焼させて、生木や天然乾燥材から水蒸気Sを発生させる場合に比較して、水蒸気量を一定量に保持し易い。その結果、水Lの温度調整を行い易い。
実施形態1で説明したように燃料に生木や天然乾燥材を用いて燃焼させる場合に噴霧器320を備えて、最適な水蒸気量を調整することも勿論できる。以下の実施形態についても同様である。
更に、実施形態2の熱回収装置1Bは、接触促進部8として複数の板状の仕切り部80,82を備えるため、液体槽2B内に導入された排気ガスGは、液体槽2B内に充填される水Lと万遍なく接触し易い。従って、熱回収装置1Bは、液体槽2Bに複数の板状の仕切り部80,82を配置するといった簡単な構成でありながら、排気ガスGから水Lへの熱伝達を良好に行えて、ボイラ効率をより向上し易い。液体槽2Bにおける排気ガスGの導入側(ここでは底面部20側かつボイラBに近い側)と排気ガスGの排出側(ここでは天面部22側かつボイラBから離れる側)とが十分に離れていることからも、排気ガスGと水Lとが十分に接触できる。
ボイラ効率の更なる向上によって、実施形態2の熱回収装置1Bは、燃料の更なる削減、燃料とする木材の加工・処理の作業負担の更なる軽減と共に小型化も期待できる。そのため、木質バイオマスボイラと熱回収装置1Bとを組み合わせることで、例えば、中山間地域、山林近くの小さな町村などであっても、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電であって、小容量でも効率の良い発電などを実施し易いと期待される。
[実施形態3]
図3を参照して、実施形態3の熱回収装置1Cを説明する。
実施形態3の熱回収装置1Cの基本的構成は、実施形態1の熱回収装置1Aと同様であり、液体槽2Bと、導入管3Aと、排気管4と、圧力調整部5(ブロア50,52)と、給液管6及び排液管7とを備え、液体槽2B内の液体熱媒体である水LをボイラBからの排気ガスGによって直接加熱する。この例の熱回収装置1Cは、実施形態2と同様に接触促進部8として複数の板状の仕切り部80,82を備える。実施形態3の熱回収装置1Cは、液体槽2B内の水Lが循環使用される点が、実施形態1,2との主要な相違点である。以下、相違点を中心に説明し、実施形態1,2と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
(循環経路)
実施形態3の熱回収装置1Cでは、液体熱媒体である水Lを液体槽2Bに導入する給液管6と、液体槽2Bから加熱された水L(温水)を排出する排液管7とが加熱された水L(温水)が仕事を行う第二仕事部102を介して接続されている。液体槽2Bと給液管6及び排液管7と第二仕事部102とで、水Lが流通する経路を実質的に閉じられた経路とする。
排液管7を経て第二仕事部102に導入された加熱された水Lは、第二仕事部102で仕事を行うことで温度が低下する。この低温の水Lを給液管6から液体槽2Bに戻すことで、排気ガスGによって再度加熱でき、加熱された水Lを第二仕事部102に供給できる。
この例では、実施形態1,2と同様に給液管6を液体槽2Bにおける導入管3A側、排液管7を排気管4側に設けて、液体槽2B内を流れる液体熱媒体(水L)の流れ方向と、液体槽2B内における排気ガスGの流れ方向とを同一にし、排気ガスGの流れが水Lによって阻害されることを防止する。このような配管の配置によって、排液管7から排出される水L(温水)の温度がある程度低くなる場合がある。そこで、排出される水L(温水)の温度が所望の値となるように、排気ガスGの温度、液体槽2Bの容量などを調整するとよい。圧力調整部5による圧力が大きく、かつ循環使用される水Lの流速が遅いなどして、排気ガスGの流れが水Lの流れによって阻害され難い場合には、図3に示す例とは逆に、給液管6を液体槽2Bにおける排気管4側、排液管7を導入管3A側に配置することができる。
(効果)
実施形態3の熱回収装置1Cは、実施形態1と同様に、煙道に液体槽2B(水槽)を備えるという非常に簡単な構成でありながら、排気ガスGと水Lとを直接接触させて排気ガスGの熱を回収することで、ボイラ効率を向上できる。
特に、実施形態3の熱回収装置1Cは、液体槽2B内の液体熱媒体(水L)を循環利用するため、1.排気ガスGに加熱された水Lが仕事をした後の排熱をも利用できる、2.仕事に利用して不足した水Lを随時供給する場合と比較して、水Lへの異物の混入などを低減し易い、3.液体熱媒体(水L)を節約できる。上述のように水Lの流通経路を閉じた経路とし、かつ仕事の前後で水量が実質的に変化しない場合には、液体槽2B内の貯留量を一定に保持し易いため、水Lの温度管理が行い易く、水Lを所定の温度に維持し易い。また、上述のように閉じた経路とし、液体槽2Bに接触促進部8を備える場合には排気ガスGと水Lとの接触を十分に行えることから、水Lの温度を高め易いと期待される。
水Lが蒸発などして減少した場合には、適宜、水Lを追加供給するとよい。例えば、給液管6に三方弁62などを設けておき、必要に応じて、水Lを給液管6に供給するとよい。低温である仕事後の水Lに、新たな水Lを追加供給する構成とすることで、排気ガスGで加熱した水Lの温度を維持し易く、仕事に良好に利用できる。
燃料に含水量が多い木材を用いて生じた水蒸気や、噴霧器320を備える場合に生成した水蒸気などによって、液体槽2B内の水Lの貯留量や圧力が所定値を超える場合などでは、適宜、液体槽2B内の水Lを排出するとよい。この水Lの排出は、液面計110や水圧計112などで液体槽2B内の水Lの貯留量や圧力を確認しながら行うことが好ましい。異物排出部130のバルブ132を開くことで、水Lの排出を行うこともできる。
その他、以下の場合には、液体槽2Bの容量を調整したり、接触促進部8の大きさや個数、配置位置などを調整したりするとよい。
1.排液管7から所定の流量で排出する水Lの温度が所定の温度を満たさない場合。例えば高過ぎる場合、更には気化温度を超えて気化し得る場合。
2.液体槽2B内の水Lの貯留量が少ない場合。
3.排気管4から排出される排気ガスGの温度が高過ぎる場合。
[実施形態4]
図4を参照して、実施形態4の熱回収装置1Dを説明する。
実施形態4の熱回収装置1Dの基本的構成は、実施形態1の熱回収装置1Aと同様であり、液体槽2Bと、導入管3Aと、排気管4と、圧力調整部5(ブロア50,52)と、給液管6及び排液管7とを備え、液体槽2B内の液体熱媒体である水LをボイラBからの排気ガスGによって直接加熱する。実施形態4の熱回収装置1Dは、液体槽2B内の液体熱媒体である水Lとは別の液体熱媒体が流通される熱交換部9を液体槽2Bに備え、この別の液体熱媒体が液体槽2B内で排気ガスGによって加熱された水L(温水)によって加熱される点、ボイラBに用いるボイラ水を上記別の液体熱媒体とする点が、実施形態1〜3との主要な相違点である。この例の熱回収装置1Dは、実施形態2と同様に接触促進部8として複数の板状の仕切り部80,82を備え、実施形態3と同様に水Lを循環使用する。以下、相違点を中心に説明し、実施形態1〜3と重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。なお、図4では、熱交換部9を備えると共に、給液管6及び排液管7と第二仕事部102とを含む循環経路を備える場合を示すが、熱交換部9を備え、かつ上記循環経路を備えていない形態とすることができる。
(熱交換部)
熱交換部9は、液体槽2B内に配置されて液体熱媒体である水Lに周囲を覆われる配管である。熱交換部9の内部には、所望の仕事に利用する液体熱媒体が流通され、この液体熱媒体は、液体槽2B内に充填されて排気ガスGによって加熱された水L(温水)によって主として加熱される。熱交換部9は液体槽2B内に配置されるため、液体槽2B内に導入された排気ガスG自体によって加熱されることも勿論許容する。熱交換部9内の液体熱媒体は、仕事の用途に応じて適宜選択できる。例えば、水などとすると、水L(温水)に加熱されることで、温水を形成でき、この温水によって所望の仕事を行える。
熱交換部9を構成する配管は、液体槽2B内の水Lと接触面積が大きくなるように設けることが好ましい。例えば、図4に示すように、液体槽2B内を蛇行して配置されるように、クランク状(本例)や波型といった凹凸形状の配管とすることができる。その他、螺旋状に巻回したコイル状の配管などが挙げられる。この例の液体槽2Bは、複数の板状の仕切り部80,82を備えて、その内部空間が上述のように蛇行するように区画されている。この蛇行空間に沿って、クランク状の配管を配置することで、熱交換部9は、液体槽2B内での排気ガスGの流通を阻害し難いと考えられる。
熱交換部9を構成する配管には、フィン(図示せず)などを設けて、水Lとの接触面積を大きくすると、内部の液体熱媒体(ボイラ水)をより効率よく加熱できて好ましい。
導入される別の液体熱媒体が排気管4側の水Lよりも低温であれば、熱交換部9は、液体槽2Bにおける排気管4側(煙突側)に設けられて、別の液体熱媒体(本例ではボイラ水)が導入される導入部90と、液体槽2Bにおける導入管3A側(ボイラB側)に設けられて、加熱された別の液体熱媒体(ボイラ水)を排出する排出部92とを備えることが好ましい。この場合、比較的低温である別の液体熱媒体が導入される熱交換部9の導入部90は、上述のように液体槽2Bにおいて比較的低温側である排気管4側に配置され、排出部92は、比較的高温側である導入管3A側に配置されることになる。この配置によって、別の液体熱媒体は、排気管4側の導入部90から導入管3A側の排出部92に向かって流動する間に、液体槽2B内の水Lから熱を順次受け取れ、熱伝達が効率よく行われる。そして、排出部92から、最高温度になった別の液体熱媒体を排出できる。図4に示す例では、水Lの給液管6及び熱交換部9の排出部92が液体槽2BのボイラB側に接続され、水Lの排液管7及び熱交換部9の導入部90が液体槽2BのボイラBから離れる側(煙突側)に接続される例を示す。
導入される別の液体熱媒体が排気管4側の水Lよりも高温であれば(低温低圧の蒸気を含んでいてもよい)、導入管3A側に熱交換部9の導入部90、排気管4側に排出部92を配置することで、排気ガスGに加えて、熱交換部9内の別の液体熱媒体によって水Lを効率よく加熱できる。
別の液体熱媒体には種々のものが利用できる。この例では、ボイラ水を別の液体熱媒体とし、熱交換部9ではボイラ水を予熱する。特にボイラ水を原水などの水とすると、入手が容易で利用し易い上に、予熱温度の最高温度を液体槽2B内の液体熱媒体である水Lの液体可能の最高温度である100℃近くにすることができる。熱交換部9の容量(この例ではボイラ水の充填量)や水Lの貯留量、排気ガスGからの加熱状態などによって予熱温度が100℃以上になる恐れがある場合には、以下の対応を行うとよい。例えば、燃料を削減したり燃料に生木や天然乾燥材を用いたりして燃焼温度を低下させたり、上述の噴霧器320を備える場合には噴霧量を増やしたり、別の液体熱媒体の流量を増加させたり、液体槽2Bの容量を大きくしたりすることなどが挙げられる。予熱温度が低過ぎる場合には、上述の対応の逆を行うとよい。排気ガスGの温度が高く、排気ガスGが十分な熱を有する限り、液体槽2Bの容積を大きくして水Lの貯留量を大きくすると、排気ガスGの熱回収の効率が良く好ましい。
更に、この例の熱交換部9の導入部90は、ボイラ水が仕事を行う第一仕事部100に接続されて、仕事を行って蒸気が液化したボイラ水や温度が低くなったボイラ水が導入されると共に、排出部92は、ボイラBに接続されて、液体槽2Bの水Lによって加熱されたボイラ水(予熱されたボイラ水)をボイラBに供給する。この例の熱回収装置1Dでは、図4に示すように熱交換部9と、ボイラBと、第一仕事部100との間を適宜配管などで接続して、ボイラ水が流通する経路を実質的に閉じられた経路とし、ボイラ水を循環使用する。また、上述のようにボイラ水の予熱を行う。
排出部92にはバルブ94を設けておき、必要量のボイラ水(特に予熱されたもの)がボイラBに供給されるようにすることができる。
(効果)
実施形態4の熱回収装置1Dは、実施形態1と同様に、煙道に液体槽2B(水槽)を備えるという非常に簡単な構成でありながら、排気ガスGと水Lとを直接接触させて排気ガスGの熱を回収することで、ボイラ効率を向上できる。
更に、実施形態4の熱回収装置1Dは、液体槽2B内に熱交換部9を備えて、熱交換部9内にボイラ水を流通させ、水Lによってボイラ水を予熱してボイラB自身に供給するため、ボイラBの発生熱量に対して仕事に用いた熱量を効果的に増大でき、ボイラ効率をより一層高められる。更に、この例の熱回収装置1Dでは、以下の点からもボイラ効率を高め易く、燃料の更なる削減、燃料とする木材の加工・処理の作業負担の更なる軽減が期待できる。
1.導入するボイラ水の温度が排気管4側の水Lよりも低温である場合に、液体槽2Bにおける低温側(排気管4側)から高温側(導入管3A側)にボイラ水を流通させるため、液体槽2B内の水Lによるボイラ水の予熱を効率よく行える。
2.ボイラ水を循環使用して、仕事後のボイラ水の排熱を利用するため、予熱温度を高め易い上に、ボイラBで所定の蒸気や温水などを生成し易い。
3.液体槽2B内の水Lを循環使用するため、水Lの温度を管理し易く、予熱温度を所望の温度に精度よく調整できる。
この例の熱回収装置1Dは、液体(水L)⇒固体(熱交換部9)⇒液体(熱交換部9内の液体熱媒体)という伝熱経路を構築できる。ここで、公知の予熱技術であるエコノマイザー等では、上述のように伝熱経路が気体(排気ガス)⇒固体(鋼管など)⇒液体(水)である。液体と気体とでは、比重差及び比熱差が非常に大きく、同じ体積で保有する熱量は液体の方が気体に比較して極めて大きい。そのため、従来のエコノマイザー等において、排気ガスが鋼管に付与する熱量よりも、熱回収装置1Dにおいて、液体槽2B内の水Lが熱交換部9を構成する配管に付与する熱量の方が遥かに大きい。このような熱回収装置1Dは、従来のエコノマイザー等を用いた場合の問題、具体的には熱回収の効率を十分に向上できない上に、排気ガスと鋼管表面との接触による熱伝達効率が悪いことによって装置の大型化を招くという問題を解決でき、高効率な熱回収を行える上に、簡単な構成でコンパクトな装置とすることができる。
熱回収装置1Dと木質バイオマスボイラとの組み合わせは、上述のように小容量のボイラであってもボイラ効率を向上できるため、経済的な観点からも商業化を可能にし得る。例えば、従来、実現が困難であると考えられていた500kW以下の小容量の火力蒸気発電、なかでも小容量の木質バイオマス蒸気発電が可能になると期待される。また、中山間地域、山林近くの小さな町村などであっても、上述の小容量及び分散・多数配置型の木質バイオマス発電などを実施し易いと期待される。
以下、図5〜図7を参照して、実施形態5〜7の熱回収装置1E〜1Gを説明する。図5〜図7は、液体槽2E〜2G及びその近傍を抜粋して示し、ボイラBなどを省略する。
実施形態5〜7の熱回収装置1E〜1Gの基本的構成は、実施形態2の熱回収装置1Bと同様であり、液体槽2E〜2Gと、導入管3Aと、排気管4と、圧力調整部5(ブロア52のみ図示)と、給液管6及び排液管7(図5〜図7では図示せず)とを備え、液体槽2E〜2G内の液体熱媒体である水LをボイラBからの排気ガスGによって直接加熱する。液体槽2E〜2Gは、接触促進部8として板状の仕切り部80,82を備える。実施形態5〜7の熱回収装置1E〜1Gにおける実施形態2との主な相違点は、液体槽2E〜2Gの配置状態及び接触促進部8の配置状態にある。
ここで、気体の密度は液体に比較して非常に小さいため、気体が液体中を気泡の状態で存在すると、各気泡には大きな浮力が働く。実施形態5〜7は、この浮力を、排気ガスGにおける液体槽2E〜2G内に充填された液体熱媒体(ここでは水L)中の移動を容易にすることに利用する。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態2などと重複する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
[実施形態5]
図5に示す実施形態5の熱回収装置1Eは、液体槽2Eとして、その底面部20よりもその側面部24,26が長い縦長のものであって、縦置きされるものを備える。この例の液体槽2Eは、底面部20及び天面部22と、対向する側面部24,26とを備える概ね直方体状の容器である。液体槽2Eの底面部20側に導入管3Aが接続され、天面部22に排気管4が接続され、液体槽2Eは、その底面部20側かつボイラBに近い側に設けられた導入管3Aの開口部と、その天面部22側に設けられた排気管4の開口部とを備える。図5では、導入管3Aが下向きから横向き(水平方向)に屈曲した形状であり、液体槽2Eの側面部24であって底面部20の近くに開口するように液体槽2Eに接続される例を示す。また、天面部22は、水平方向に平行な面ではなく、排気管4との接続箇所が最も高い傾斜面(図5では左上がりの傾斜面)で構成される例を示す。両面部20,22の形状は適宜変更できる。例えば、天面部22を底面部20と同様に、水平方向に平行な平面とすることもできる。
底面部20側から天面部22に向かって排気ガスGが移動できるように、水頭Hに基づく水頭圧力を超えるように圧力調整機部5によって、圧力調整を行う。
(接触促進部の配置状態)
液体槽2Eの内面における各側面部24,26に互いに噛み合うように複数の板状の仕切り部80,82が立設されている。この例の各板状の仕切り部80,82は、その端部が液体槽2Eの上方に向かって傾斜している。より具体的には、各仕切り部80,82における各側面部24,26との固定端よりも自由端が水平方向に対して上方に位置するように傾斜している。各仕切り部80,82における水平方向に対する傾斜角度θは、例えば、5°以上45°以下が挙げられる。図5に示す傾斜角度θは例示であり、上述の範囲で適宜選択できる(後述する図6,7に示す実施形態6,7についても同様である)。傾斜角度θが大きいほど、仕切り部80,82に沿って気泡が上方に誘導され易いため、傾斜角度θを10°以上、更に15°以上とすることができる。45°超、更に60°以上とすることもできるが傾斜角度θが大き過ぎると、液体槽2Eの高さを大きくする必要があり、大型化を招くことから、45°以下が好ましく、傾斜角度θを30°以下、更に10°以下とすることができる。
(効果)
上述のように上方に傾斜した仕切り部80,82を備える縦置き槽を液体槽2Eとする実施形態5の熱回収装置1Eは、導入管3Aから液体槽2Eに排気ガスGが導入されると、排気ガスGの気泡は、液体熱媒体である水Lと混合しながら、圧力調整部5による強制的な圧力と、各気泡自身の浮力との合力によって液体槽2E内を上昇する。上昇した気泡は、一方の側面部(ここでは、導入管3Aに近い側の側面部24)から立設される最下方の仕切り部82に到達すると、この仕切り部82の上向きの傾斜に沿って、仕切り部82の固定端側から自由端側に移動して、上昇する。この上昇した気泡は、次に、他方の側面部(ここでは導入管3から離れる側の側面部26)から立設される下方の仕切り部80に到達すると、この仕切り部80の上向きの傾斜に沿って固定端側から自由端側に移動して上昇する。上述の仕切り部80,82の傾斜に沿った上昇を繰り返して、排気ガスGの気泡は最終的に排気管4から排出される。この例では、上述のように天面部22を仕切り部80と同様に傾斜させていることで、排気ガスGの気泡は、天面部22の内面の傾斜に沿って排気管4側に移動して排気管4に向かって上昇し易い。
上述のようにして、熱回収装置1Eでは、圧力調整部5の圧力不足や排気ガスGの気泡自身の浮力によって液体槽2E内の一部に滞留し得るという問題が実質的に生じず、排気ガスGと液体熱媒体(水L)との熱交換を十分に行える。特に、液体槽2Eを縦置き槽とするため、液体槽2E内の貯留量を十分に確保できて、排気ガスGの気泡と液体熱媒体(水L)との接触距離を増大できつつ、液体槽2Eの設置面積を小さくできる。排気ガスGの気泡は傾斜した仕切り部80,82に沿って移動できるために、液体熱媒体との接触距離を更に増大でき、排気ガスGからの伝熱量を更に多くできる。液体槽2Eにおける排気ガスGの導入側(ここでは底面部20側)と排気ガスGの排出側(ここでは天面部22側)とが十分に離れていることからも、排気ガスGと水Lとが十分に接触できる。実施形態5の熱回収装置1Eは、実施形態2に対して、液体槽2Eの配置状態と仕切り部80,82の配置状態とを変更することで容易に構築できながら、ボイラ効率を更に向上できる。また、熱回収装置1Eは、排気ガスGの気泡に作用する浮力を排気ガスGにおける液体槽2E内の移動に利用するため、圧力調整部5による圧力調整を行い易く、作業性にも優れる。
[実施形態6]
図6(A)は、実施形態6の熱回収装置1Fに備える液体槽2Fを設置面(図6(A)ではハッチングを付して示す)に配置した状態を模式的に示す斜視図であり、図6(B)は、液体槽2Fにおいて天面部22を省略した状態の上面図である。
図6に示す実施形態6の熱回収装置1Fは、水平面に対して、導入管3A側が低く、排気管4側が高くなるように傾斜して配置される液体槽2Fを備える。詳しくは、液体槽2Fは、実施形態1の液体槽2Aと同様に、対向配置される底面部20及び天面部22と、対向配置される側面部24,26とを備える直方体状の容器である。この例では、液体槽2Fの天面部22においてボイラB側(図6では左側)の領域を貫通し、底面部20に向かって開口するように導入管3Aが接続され、天面部22におけるボイラBから離れる側(同右側、煙突側)に排気管4が接続される。つまり、液体槽2Fは、その底面部20自体に開口すると共にボイラBに近い側に設けられた導入管3Aの開口部と、その天面部22自体に開口すると共にボイラBから離れる側に設けられた排気管4の開口部とを備える。そして、液体槽2Fは、図6(A)に示すように、底面部20における排気管4の開口部に近い側(図6では右側)の領域が導入管3Aに近い側(同左側)の領域よりも上方に位置するように、底面部20が水平方向に対して傾斜して支持される。
(液体槽の配置状態)
液体槽2Fは、上述のように排気ガスGを導入する導入管3Aの開口部が下方、排気ガスGを排出する排気管4の開口部が上方に位置するように傾斜して配置される。液体槽2Fにおける水平面に対する傾斜角度θは、例えば、10°以上45°以下が挙げられる。図6に示す傾斜角度θは例示であり、上述の範囲で適宜選択できる(後述する図7に示す実施形態7でも同様である)。傾斜角度θが大きいほど、導入管3Aの開口部から排出された排気ガスGの気泡が上昇し易いことから、傾斜角度θを10°以上、更に15°以上とすることができる。45°超とすることもできるが傾斜角度θが大き過ぎると、液体槽2Fの安定性を低下させ得ることから、45°以下が好ましく、傾斜角度θを30°以下、更に10°以下とすることができる。このような傾斜配置は、例えば、液体槽2Fを水平に配置して(図1〜図4参照)、傾斜角度θが所定の角度となるように液体槽2Fの排気管4側を持ち上げ、この所定の角度を維持するように液体槽2Fの排気管4側に支持台や固定具(いずれも図示せず)などを配置するとよい。
(接触促進部の配置状態)
更に、この例の液体槽2Fは、その内面における対向する側面部24,26に互いに噛み合うように複数の板状の仕切り部80,82が立設されている。各板状の仕切り部80,82は、図2に示すように液体槽2Bの内面に直交するように立設することができるが、この例では、液体槽2Fの上方に向かって傾斜している。より具体的には、各仕切り部80,82における側面部24,26の内面に直交する方向(図6(B)では上下方向)に対して、各側面部24,26との固定端よりも自由端が上方に向かって傾斜している。各仕切り部80,82において、側面部24,26の直交方向に対する傾斜角度θは、例えば、10°以上30°以下が挙げられる。傾斜角度θは、実施形態5と同様に、大きいほど仕切り部80,82に沿って排気ガスGの気泡が上方に誘導され易いため、傾斜角度θを15°以上、更に20°以上とすることができる。傾斜角度θを10°未満、更に5°以下とすることもできる。30°超、更には45°以上とすることができるが傾斜角度θが大き過ぎると、液体槽2Fの大型化を招くため、30°以下が好ましく、傾斜角度θを25°以下、更に20°以下とすることができる。
導入管3A側から排気管4側に向かって排気ガスGが移動できるように、水頭Hに基づく水頭圧力を超えるように圧力調整機部5によって圧力調整を行う。
(効果)
上述のように導入管3A側が下方になり、排気管4側が上方になるように傾斜配置される液体槽2Fを備える実施形態6の熱回収装置1Fは、導入管3Aから液体槽2Fに排気ガスGが導入されると、排気ガスGの気泡は、液体熱媒体である水Lと混合しながら、圧力調整部5による強制的な圧力と各気泡自身の浮力との合力によって液体槽2F内を上昇して、排気管4側に向かう。この例では、実施形態5と同様に、自由端が上方(ここでは排気管4側でもある)に向かって傾斜した仕切り部80,82を備えるため、仕切り部80,82に沿って、排気ガスGが排気管4側に移動して上昇し易い。このような実施形態6の熱回収装置1Fでは、実施形態5と同様に、液体槽2F内の一部に排気ガスGが実質的に滞留せず、排気ガスGと液体熱媒体(水L)との熱交換を十分に行える。かつ、上述の特定の傾斜した仕切り部80,82を備えることに加えて、液体槽2Fにおける排気ガスGの導入側(ここでは底面部20側かつボイラBに近い側)と排気ガスGの排出側(ここでは天面部22側かつボイラBから離れる側)とが十分に離れており、排気ガスGと水Lとの接触距離を更に増大できる。従って、熱回収装置1Fは、実施形態2に対して、液体槽2Fの配置状態と仕切り部80,82の配置状態とを変更することで容易に構築できながら、ボイラ効率を更に向上できる。また、熱回収装置1Fは、排気ガスGの気泡に作用する浮力を排気ガスGにおける液体槽2F内の移動に利用するため、圧力調整部5による圧力調整を行い易く、作業性にも優れる。更に、縦置き槽を備える上述の実施形態5では、排気ガスGの気泡に作用する浮力を最も有効に活用できて、排気ガスGの流れ易さに優れるものの、圧力調整部5の能力に関与する水頭Hが大きくなる傾向にある。これに対して、実施形態6の熱回収装置1Fでは水頭Hを小さくできるため、圧力調整部5の能力が小さくてよく、圧力調整部5を小型化し易い。
[実施形態7]
図7に示す実施形態7の熱回収装置1Gは、実施形態6と同様に、水平面に対して、導入管3A側が低く、排気管4側が高くなるように傾斜して配置される液体槽2Gを備える。液体槽2Gは、実施形態2と同様に、液体槽2Gの内面における対向する底面部20,天面部22に互いに噛み合うように複数の板状の仕切り部80,82が立設され、実施形態5と同様に、各仕切り部80,82は、液体槽2Gの上方に向かって傾斜している。より具体的には、各仕切り部80,82は、底面部20,天面部22との固定端よりも自由端が上述のように上方に位置する排気管4側に向かって傾斜している。液体槽2Gは、対向配置される底面部20及び天面部22と、対向配置される側面部24,26とを備え、図7に示すように側面視平行四辺形状の角柱容器である。この例では、液体槽2Gの底面部20側かつボイラB側(図7では左側に示す一方の側面部24であって底面部20の近傍)に導入管3Aが接続され、天面部22におけるボイラBから離れる側(図7では右側、煙突側)に排気管4が接続される。つまり、液体槽2Gは、その側面部24における底面部20側かつボイラBに近い側に設けられた導入管3Aの開口部と、その天面部22自体に開口すると共にボイラBから離れる側に設けられた排気管4の開口部とを備える。そして、液体槽2Gは、その底面部20が水平方向に対して底面部20における排気管4の開口部に近い側(図7では右側)の領域が導入管3Aに近い側(同左側)の領域よりも上方に位置するように傾斜して支持される。また、液体槽2Gは、側面部24,26ではなく、底面部20と天面部22とに板状の仕切り部80,82が立設され、各仕切り部80,82における自由端側が上方(排気管4側)に向かって傾斜している。
(液体槽及び接触促進部の配置状態)
実施形態6で説明したように、傾斜角度θは、例えば10°以上45°以下が挙げられる。所定の傾斜角度θを維持できるように支持台(図示せず)などによって液体槽2Gを支持するとよい。
各仕切り部80,82における水平方向に対する傾斜角度θは、例えば5°以上30°以下が挙げられる。
導入管3A側から排気管4側に向かって排気ガスGが移動できるように、水頭Hに基づく水頭圧力を超えるように圧力調整機部5によって、圧力調整を行う。
(効果)
実施形態7の熱回収装置1Gは、実施形態6と同様に導入管3A側が下方になり、排気管4側が上方になるように傾斜配置される液体槽2Gを備えると共に、液体槽2Gにおける排気ガスGの導入側と排出側とが十分に離れており、かつ実施形態5と同様に自由端が液体槽2Gの上方(ここでは排気管4側でもある)に向かって傾斜した仕切り部80,82を備える。そのため、実施形態7の熱回収装置1Gは、実施形態5,6と同様に、排気ガスGが排気管4側に上昇し易く、液体槽2G内の一部に排気ガスGが実質的に滞留しない上に、排気ガスGと液体熱媒体(水L)との接触距離を十分に確保して熱交換を効率よく行える。特に、液体槽2Gを側面視平行四辺形状とすることで、液体槽2Gにおける排気管4側の近傍の角部に排気ガスGの気泡が集まり易い。従って、熱回収装置1Gは、実施形態2に対して、液体槽2Gの配置状態及び形状と仕切り部80,82の配置状態とを変更することで容易に構築できながら、ボイラ効率を更に向上できる。また、熱回収装置1Gは、排気ガスGの気泡に作用する浮力を排気ガスGにおける液体槽2G内の移動に利用するため、圧力調整部5による圧力調整を行い易く、作業性にも優れる。更に、熱回収装置1Gは上述の実施形態6と同様に、縦置き槽を備える実施形態5に比較して水頭Hを小さくできるため圧力調整部5の小型化を図ることができる。
[実施形態8]
図8に示す実施形態8の熱回収装置1Hは、圧力調整部5として、排気管4に設けられるブロア52を備え、このブロア52の腐食を防止する構成を有する。具体的には、導入管3Bにおける液体槽2Bよりも上流側と、排気管4におけるブロア52よりも上流側とを連結し、ボイラB(図示せず)から排出された高温の排気ガスGをブロア52の上流に導入する分岐管35,45を備える。
図8では、実施形態2で説明した導入管3Bに噴霧室32を備える場合を例示する。導入管3Bにおける噴霧室32よりも上流側にガス分岐管35が接続される。排気管4におけるブロア52よりも上流側、かつ液体槽2Bよりも下流側であって液面よりも下流側に上流側分岐管45が接続される。これら両分岐管35,45が接続されて、連続した排気ガスGの流路を形成する。上流側分岐管45には、バルブ450を備える。
(分岐管の作用)
液体槽2Bに導入された排気ガスGが液体槽2Bから排出されるとき、排気ガスGと共に、液体槽2B内の液体熱媒体の液滴(ここでは水滴)や液体熱媒体(水L)から生じる低温水蒸気などが排出され得る。この例のように噴霧室32を備える場合には、噴霧室32で生成した液体熱媒体の高温ガス(ここでは高温水蒸気)が冷却されるものの液化せずに液体槽2B内を気体として通過した低温ガス(ここでは低温水蒸気)を含み得る。これら液滴や低温水蒸気が排気ガスGと共にブロア52に吸い込まれると、ブロア52で冷却され、低温水蒸気は液化する。これらの液体によってブロア52が濡れて腐食する恐れがある。これに対し、実施形態8の熱回収装置1Hは、バルブ450を適宜開くことで、ガス分岐管35から上流側分岐管45を経てブロア52の上流に、ボイラBから排出された高温の排気ガスGを導入できる。この高温の排気ガスGによって上述の液滴や低温水蒸気を高温ガス(ここでは高温水蒸気)にすることができる。そのため、熱回収装置1Hは、上述のブロア52の腐食を効果的に防止できる。特に噴霧室32を備えて高温ガスを積極的に形成する場合などには、上述のように排気管4から低温ガスが排出され得るものの、分岐管35,45を備えて、高温の排気ガスGを導入する構成とすることで、ブロア52の腐食を防止できる。
(その他の分岐管)
上述の分岐管35,45を備えることに加えて、又は上流側分岐管45を備えずに、図8に示すように導入管3Bにおける液体槽2Bよりも上流側と、排気管4におけるブロア52よりも下流側とを連結し、ボイラBから排出された高温の排気ガスGをブロア52の下流に導入する分岐管35,47を備えることができる。排気管4におけるブロア52よりも下流側に下流側分岐管47の一端が接続され、他端がガス分岐管35に接続され、両分岐管35,47によって連続した排気ガスGの流路を形成する。下流側分岐管47には、バルブ470を備える。
煙突から排出される排気ガスGが水蒸気を含む場合、煙突外の外気(冷気)で冷却されて水蒸気が液化して、煙突から排出されるガスが白煙となり得る。環境問題などの観点から、上記白煙の排出が好ましくない場合がある。これに対し、分岐管35,47を備えて、バルブ470を適宜開くことで、ガス分岐管35から下流側分岐管47を経てブロア52の下流に、ボイラBから排出された高温の排気ガスGを導入できる。この高温の排気ガスGによって、ブロア52を経たガスの温度を上昇できるため、上述の白煙問題を解消できる。噴霧室32を備えて水蒸気を積極的に形成する場合に熱回収装置1Hの運転条件などによってはブロア52の下流に水蒸気が排出される可能性があるものの、水蒸気が排出される場合であっても分岐管35,47を備えて、高温のガスGを導入して煙突から排出されるガスの温度調整を行う構成とすることで、白煙化を防止できる。
上述の液滴などの高温ガス化、煙突から排出されるガスの温度調整などに使用する高温の排気ガスGの量は、排気ガスGからの熱回収を考慮すると、可及的に少ないことが望まれる。そのため、バルブ450,470によって、分岐管35,45,47への排気ガスGの導入量を調整して、高温の排気ガスGの過度な使用を制限することが好ましい。
[変形例]
上述の実施形態1〜8において、以下の変更が可能である。
(1)実施形態2で説明した噴霧器32を実施形態1,3〜7に備えることができる。この場合、排気ガスGの熱と共に、水蒸気Sの顕熱及び潜熱を効率よく回収して、ボイラ効率をより向上できる。この場合に、更に、実施形態8で説明したガス分岐管35と、上流側分岐管45及び下流側分岐管47の少なくとも一方とを実施形態1,3〜7に備えることができる。
(2)実施形態3,4で説明した液体槽内の液体熱媒体を循環利用する構成を実施形態1,2,5〜8に備えることができる。又は、実施形態3,4を、上記液体槽内の液体熱媒体を循環利用する構成とせず、液体熱媒体の供給と排出とを適宜行う構成とすることができる。
(3)実施形態4で説明した熱交換部9を、接触促進部8を有さない実施形態1、又は傾斜した複数の板状の仕切り部80,82を備える実施形態5〜7に備えることができる。後者の場合、熱交換部9には、仕切り板部80,82間に形成される空間に配置可能な配管、又は仕切り板部80,82の傾斜に対応した形状を有する配管などを利用できる。
(4)実施形態4で説明した熱交換部9を流通させる液体熱媒体をボイラ水以外とすること、熱交換部9によるボイラ水の予熱を行うがボイラ水を循環使用しないこと、及び水Lを循環使用しないことの少なくとも一つを満たす構成とすることができる。
(5)排気管4における液体槽との接続箇所を、液体槽に向かって開口径が大きくなるテーパ形状とすることができる。この場合、液体槽からの排気ガスGの気泡を効率よく排気管4に集められて、排気ガスGを排出し易い。
(6)実施形態5で説明した縦置き槽を、実施形態6,7で説明した底面部22を傾斜して支持されるものとすることができる。この場合、排気ガスの気泡を更に上昇させ易い。
(7)実施形態2,5〜7で説明した複数の板状の仕切り部80,82に代えて、螺旋状の仕切り部(図示せず)とすることができる。
螺旋状の仕切り部は、例えば、軸部に螺旋状の羽部を設けたものや、帯板材を螺旋状に巻回したものなどが利用できる。螺旋状の仕切り部は液体槽2A,2B,2E〜2G(以下、液体槽2と呼ぶ)内において、導入管3A,3B側(ボイラB側)から排気管4側(煙突側)に亘って配置される程度の大きさを有すると、排気ガスGにおける水L中の移動距離を十分に増大できて好ましい。
螺旋状の仕切り部を配置することで、液体槽2内の内部空間は、螺旋状に仕切られて、排気ガスGは、液体槽2の導入管3A,3B側から排気管4側に向かって、螺旋を描くように移動する。そのため、排気ガスGは液体槽2が小さい場合でも液体槽2内を万遍なく流動し易く、排気ガスGにおける水L中の移動距離を増大し易い。螺旋のピッチは適宜選択することができ、小さくする場合には接触距離を増大し易く、大きくする場合には圧力調整を行い易い。
接触促進部8として、螺旋状の仕切り部を備える形態は、上述のように排気ガスGにおける水L中の移動距離を良好に増大できるため、排気ガスGと水Lとをより一層接触させられて、排気ガスGから水Lへの熱伝達を良好に行える。実施形態2で説明した導入管3Bに噴霧器320を備える場合には、噴霧室32で生成された水蒸気S(気化したガス)と、液体槽2内の水Lとを混合でき、水蒸気Sから水Lへの熱伝達も良好に行える。
実施形態5〜7で説明したように、液体槽の上方に向かうように上記羽部などを設けることができる。この場合、上述のように排気ガスGの気泡と液体槽内の液体熱媒体との接触距離を更に増大できる上に、圧力調整部5による圧力調整を行い易い。
(8)実施形態1〜7において、液体槽内に排気ガスの一つの気泡を複数に分割する気泡分割部材を備えることができる。
液体槽における気泡が溜まり易い箇所では、複数の小さな気泡が結合して大きな気泡となることで、液体熱媒体との接触面積が低下する。液体槽の適宜な位置に気泡分割部材を備えることで、大きな気泡を複数の小さな気泡に分割でき、排気ガスGにおける液体熱媒体との接触面積の増大、排気ガスGの流動性の向上などを図ることができる。
気泡分割部材は、板状材、筒状材、柱状材などの種々のものが利用できる。板状材は、開気孔を有する多孔質体、メッシュ材、複数の小さな貫通孔が設けられたパンチングメタルなどが挙げられる。筒状材は、上述の板状材を筒状に丸めたもの、ハニカム構造材のような複数の細い筒材が集合されたものなどが挙げられる。柱状材は、多孔質体が挙げられる。これらの少なくとも1種を液体槽に備えることができる。特に、多孔質体は、複数の微細な気泡を形成できる上に、多孔質体を抜けた気泡が液体槽中に分散し易いため、複数の気泡が結合して大きな気泡になり難く好ましい。
気孔率(多孔質体)、メッシュの大きさ(メッシュ材)、開口径(多孔質体、パンチングメタル、ハニカム構造材など)は、排気ガスGの排出量、液体槽内における排気ガスGの流速、圧力調整部5の能力などに応じて選択することができる。
液体槽に一つだけでなく、複数の気泡分割部材を備えると、液体槽内に流動する排気ガスを複数の小さな気泡の状態とすることができて好ましい。複数の気泡分割部材を備える場合に、例えばメッシュ材のメッシュ位置をずらして積層したり、ハニカム構造材の開口位置をずらして積層したりするなどすれば、多孔質体と同様に複数の微細な気泡を形成し易い上に微細な気泡を維持し易い。
気泡分割部材の配置箇所、配置形態は、適宜選択できる。
例えば、実施形態1で説明したガイド管30に代えて多孔質体の柱状材を配置したり、メッシュ材の筒状材としたりすることが挙げられる。又はガイド管30の外周に多孔質体やメッシュ材の板材を巻き付けることが挙げられる。
又は、実施形態2〜8で説明した板状の仕切り部80,82を備える形態では、仕切り部80,82の一部又は全部に気泡分割部材を備えて、仕切り部80,82と一体化された複合形態、仕切り部80,82と気泡分割部材とが独立した独立形態とすることができる。
複合形態では、例えば、仕切り部80,82を形成する板材の端部に板状の気泡分割部材を取り付けた複合板材とすることが挙げられる。この場合、気泡が仕切り部80,82を乗り越える箇所及びその近傍に気泡分割部材を備えることができる。
独立形態では、例えば、隣り合う仕切り部80,82間に架け渡すように板状の気泡分割部材などを配置させたり、隣り合う仕切り部80,82間にこれら仕切り部80,82に並列するように板状の気泡分割部材などを配置させたりすることが挙げられる。又は、複数の板状の気泡分割部材を、液体槽の天面部から所定の間隔で固定したり、吊り下げたりして、液体槽の内部空間における所定の位置に配置させることが挙げられる。
(9)実施形態8で説明した分岐管35,45,47を備える場合に排気ガスGを、液体槽を介在せずに排出させることができる。
例えば、ボイラBの運転初期、運転から停止への切替時期、その他ボイラBの燃焼のみを実施したい場合などでは、排気ガスGを液体槽に導入せず、そのまま排出させることが望まれることがある。また、ブロア52を介さずに排出させることもある。このような場合、導入管3Bにおける噴霧室32よりも上流側であって、分岐管35との結合部分の近傍などにバルブを設けておき、このバルブの開閉によって、排気ガスGが液体槽に導入されないようにする(液体槽を切り離すことができるようにする)とよい。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の熱回収装置及び熱回収方法は、ボイラからの排気ガスが有する熱の回収に利用できる。特に、本発明の熱回収装置及び熱回収方法は、小容量なボイラ、例えば、木材を直接燃焼して、木質バイオマス発電などに用いられる木質バイオマスボイラなどに利用できる。とりわけ、本発明の熱回収装置及び熱回収方法は、発電容量が500kW以下の小容量の木質バイオマス発電に用いられる木質バイオマスボイラに好適に利用できる。
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H 熱回収装置
B ボイラ L 水(液体熱媒体) S,S 水蒸気 G 排気ガス H 水頭
2A,2B,2E,2F,2G 液体槽
3A,3B 導入管 4 排気管 5 圧力調整部 6 給液管
7 排液管 8 接触促進部 9 熱交換部
20 底面部 22 天面部 24,26 側面部
30 ガイド管 32 噴霧室 320 噴霧器
35 ガス分岐管 45 上流側分岐管 47 下流側分岐管
450,470 バルブ
50,52 ブロア 60 ポンプ 62 三方弁 70 バルブ
80,82 仕切り部
90 導入部 92 排出部 94 バルブ
100 第一仕事部 102 第二仕事部
110 液面計 112 水圧計 130 異物排出部 132 バルブ

Claims (16)

  1. ボイラからの排気ガスを液体熱媒体内に導入して通過させて、前記液体熱媒体を前記排気ガスによって直接加熱する熱回収方法。
  2. 前記液体熱媒体は、水であり、
    前記ボイラの燃料に生木及び天然乾燥材の少なくとも一方を含む木材を用い、
    前記木材の燃焼で生じた水蒸気を前記液体熱媒体に混合させて、前記液体熱媒体を前記水蒸気によって直接加熱する請求項1に記載の熱回収方法。
  3. 給液管から導入された液体熱媒体が充填される液体槽と、
    ボイラからの排気ガスを前記液体槽内の液体熱媒体中に導入する導入管と、
    前記液体熱媒体中を通過した前記排気ガスを前記液体槽外に排出する排気管と、
    前記導入管から前記液体熱媒体を経て前記排気管から前記液体槽外に前記排気ガスが排出されるように、前記排気ガスの圧力を調整する圧力調整部と、
    前記排気ガスとの接触によって加熱された前記液体熱媒体を前記液体槽外に排出する排液管とを備える熱回収装置。
  4. 前記導入管内に前記液体熱媒体と同じ液体を噴霧する噴霧器を備え、
    前記噴霧器は、前記排気ガスとの接触によって加熱されて気化し、前記液体槽内の液体熱媒体との接触によって冷却されて液化する液滴を噴霧する請求項3に記載の熱回収装置。
  5. 前記液体槽は、その内面における対向箇所に互いに噛み合うように立設される複数の板状の仕切り部、又は螺旋状の仕切り部を備える請求項3又は請求項4に記載の熱回収装置。
  6. 前記液体槽は、前記複数の板状の仕切り部を備え、
    各板状の仕切り部は、前記液体槽の上方に向かって傾斜している請求項5に記載の熱回収装置。
  7. 前記液体槽は、その底面部側かつ前記ボイラに近い側に設けられた前記導入管の開口部と、その天面部側かつ前記ボイラから離れる側に設けられた前記排気管の開口部とを備える請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  8. 前記液体槽は、その底面部よりもその側面部が長い縦長の縦置き槽である請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  9. 前記液体槽は、その底面部側かつ前記ボイラに近い側に設けられた前記導入管の開口部と、その天面部側かつ前記ボイラから離れる側に設けられた前記排気管の開口部とを備え、
    前記底面部は、水平方向に対して、前記底面部における前記排気管の開口部に近い側の領域が前記導入管に近い側の領域よりも上方に位置するように傾斜して支持される請求項3〜請求項8のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  10. 前記圧力調整部は、前記排気管に設けられるブロアを備え、
    前記導入管における前記液体槽よりも上流側と、前記排気管における前記ブロアよりも上流側及び下流側の少なくとも一方とを連結し、前記排気ガスを前記ブロアの上流及び下流側の少なくとも一方に導入する分岐管を備える請求項3〜請求項9のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  11. 前記液体槽は、前記排気ガスの一つの気泡を複数に分割する気泡分割部材を備える請求項3〜請求項10のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  12. 前記液体槽に配置されて、前記加熱された液体熱媒体によって加熱される別の液体熱媒体が流通される熱交換部を備える請求項3〜請求項11のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  13. 前記熱交換部は、前記液体槽における前記排気管側に配置されて、前記別の液体熱媒体が導入される導入部と、前記液体槽における前記導入管側に配置されて、加熱された前記別の液体熱媒体を排出する排出部とを備える請求項12に記載の熱回収装置。
  14. 前記ボイラに用いるボイラ水を前記別の液体熱媒体とし、
    前記導入部は、前記ボイラ水が仕事を行う第一仕事部に接続されて、仕事を行った前記ボイラ水が導入され、
    前記排出部は、前記ボイラに接続されて、加熱された前記別の液体熱媒体を前記ボイラに供給する請求項13に記載の熱回収装置。
  15. 前記給液管と前記排液管とは、前記加熱された液体熱媒体が仕事を行う第二仕事部を介して接続されており、
    前記液体熱媒体が循環使用される請求項3〜請求項14のいずれか1項に記載の熱回収装置。
  16. 前記液体熱媒体は、水であり、
    前記ボイラは、燃料に生木及び天然乾燥材の少なくとも一方を含む木材が用いられる木質バイオマスボイラである請求項3〜請求項15のいずれか1項に記載の熱回収装置。
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