JP2017066992A - 排気浄化装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルタ内に堆積したPMの量を多く見積もってしまうことによってフィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうことを抑制することのできる排気浄化装置の制御装置を提供する。
【解決手段】ECU5は、排気中のPMを捕集するフィルタの前後の差圧を用いてPM堆積量算出値を算出するPM堆積量算出部500と、PM堆積量算出値が判定値よりも大きい場合にフィルタに導入される排気の温度を高めるよう燃料添加弁2を制御する燃料添加弁制御部505(フィルタ再生処理部)と、前記フィルタに堆積可能なPMの量の上限を算出する上限PM堆積量算出部504と、を有している。ECU5では、PM堆積量算出部500は、上限PM堆積量算出部504により算出された上限PM堆積量よりもPM堆積量算出値が大きいことを条件に、PM堆積量算出値を小さくする。
【選択図】図2

Description

この発明は排気浄化装置の制御装置に関するものである。
ディーゼルエンジンや、筒内噴射を行うガソリンエンジン等の内燃機関の排気には、カーボンを主成分とする微粒子物質(PM:Particulate Matter)が含まれる。こうしたPMの大気中への排出を抑えるため、PMを捕集するフィルタを排気通路に設けることがある。
こうしたフィルタに捕集されたPMの量が多くなると、フィルタが目詰まりを起こして排気の圧力損失が増大し、内燃機関の最大出力や燃費性能が低下する。そこで、この種のフィルタを備える内燃機関の多くでは、フィルタに捕集されたPMが一定量に達したときに、排気温度を上昇させることで、フィルタに堆積したPMを燃焼させて取り除くフィルタ再生制御を行っている。
こうしたフィルタ再生制御における排気温度の上昇は、例えば排気への未燃燃料の供給により行うことができる。排気通路に設置された燃料添加弁による排気中への燃料添加や、燃焼後の燃料噴射(ポスト噴射、アフター噴射)により、排気中に未燃燃料を供給すると、排気通路のフィルタの上流に設けられた触媒コンバータ等でその未燃燃料が酸化して、フィルタに流入する排気の温度が高められる。そして、排気温度が十分に上昇すると、高温の排気により、堆積したPMが燃焼して、フィルタから除去される。
それ以外にも、排気通路におけるフィルタよりも上流側にヒータを設置して、そのヒータにより排気を加熱すること、内燃機関の吸入空気量を絞って燃焼される混合気の空燃比をリッチ化すること、燃料噴射時期を遅角すること等でも、フィルタ再生制御における排気温度の上昇が行われることがある。
こうしたフィルタ再生制御を過不足なく、適切なタイミングで実行するには、フィルタに捕集されたPMの量を把握することが重要となる。フィルタに捕集されたPMの量は、例えば次の態様で推定することができる。フィルタに捕集されたPMの量が多くなると、フィルタを通過する際の排気の流れに対する抵抗が大きくなって、フィルタ前後の圧力の差が大きくなる。そこで、フィルタ前後の排気の差圧から、フィルタに捕集されたPMの量を推定することができる。
なお、こうしたフィルタには、PMの他に、エンジンオイルの燃焼により生成される灰分のアッシュも堆積する。アッシュの主成分は、金属製清浄剤のようなエンジンオイルの添加物に含まれるマグネシウムやカルシウム等の金属成分と、燃料中の硫黄分の酸化により生成された硫黄化合物となっている。
こうしたアッシュの堆積によっても、フィルタ前後の排気の差圧は大きくなる。そのため、フィルタ前後の差圧からPMの堆積量を推定するために、フィルタに堆積したアッシュによる圧力損失の大きさを把握して、アッシュによる圧力損失の大きさも考慮した上でPMによる圧力損失の大きさを把握する方法もある。
例えば、特許文献1には、アッシュのみによる圧力損失を示すことになるフィルタ再生制御完了直後のフィルタ前後差圧からフィルタ内のアッシュの堆積量を推定し、推定したアッシュの堆積量を用いてPM堆積量算出値を算出する方法が提案されている。
また、特許文献2には、排気と共にシリンダから排出されるアッシュ量の比率であるアッシュ流入率と、エンジンオイルの消費量とに基づいてフィルタ内のアッシュの堆積量を推定し、推定したアッシュの堆積量を用いてPM堆積量算出値を算出する方法が提案されている。
特開2007‐16722号公報 特開2013‐245615号公報
ところが、フィルタ再生制御完了直後のフィルタには、PMが存在しないため、フィルタ前後の圧力の差は小さくなりやすい。フィルタ前後差圧が小さいと、検出される差圧の大きさにおける誤差の占める割合が多くなるため、アッシュの堆積量の違いは差圧に現れにくい。そのため、特許文献1の方法では、アッシュの堆積量を高い精度で推定することは難しい。
また、特許文献2の方法の場合にも、内燃機関の運転状態の変化に応じて刻々と変化するアッシュ流入率やエンジンオイルの消費量を正確に推定することは難しく、アッシュの堆積量を高い精度で推定することは難しい。
そのため、アッシュの堆積量を推定して、推定したアッシュの堆積量からPMの堆積量を推定する方法を採用した場合にも、PMの堆積量を的確に推定できないおそれがある。
そして、特に、PMの堆積量を実際よりも多く見積もりすぎてしまった場合には、フィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうおそれがある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、フィルタ内に堆積したPMの量を多く見積もってしまうことによってフィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうことを抑制することのできる排気浄化装置の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための排気浄化装置の制御装置は、排気中の微粒子物質を捕集するフィルタと、同フィルタの前後における排気の差圧を検出する差圧検出部と、前記フィルタに導入される排気の温度を上昇させる排気温度昇温部と、を有する内燃機関の排気浄化装置に適用され、前記差圧検出部によって検出された差圧を用いて前記フィルタ内に堆積している微粒子物質の量を示すPM堆積量算出値を算出するPM堆積量算出部と、前記PM堆積量算出値が判定値よりも大きい場合に、前記排気温度昇温部を制御して前記フィルタ内に堆積している微粒子物質を燃焼させるように排気温度を制御するフィルタ再生制御を実行するフィルタ再生処理部と、を備える排気浄化装置の制御装置において、そのときに前記フィルタ内に堆積している可能性のある微粒子物質の量の上限である上限PM堆積量を算出する上限PM堆積量算出部を更に備え、前記PM堆積量算出部は、前記上限PM堆積量よりも前記PM堆積量算出値が大きいことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくすることをその要旨とする。
PM堆積量算出部によって算出されたPM堆積量算出値が、そのときにフィルタ内に堆積している可能性のある微粒子物質の量の上限である上限PM堆積量よりも大きいということは、PM堆積量算出値を多く見積もりすぎているといえる。
上記構成によれば、PM堆積量算出部によって算出されたPM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部により算出された上限PM堆積量よりも大きいときに、PM堆積量算出値が小さくされる。そのため、多く見積もりすぎたPM堆積量算出値を少なくすることができる。その結果、フィルタ内に堆積したPMの量を多く見積もってしまうことによってフィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうことを抑制することができる。
上記排気浄化装置の制御装置は、前記判定値を第1の判定値としたとき、前記PM堆積量算出部が、前記PM堆積量算出値が前記第1の判定値よりも小さな第2の判定値より大きいことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくすることが好ましい。
フィルタ内に堆積しているPMの量が少ない場合は、フィルタ前後差圧が小さいため、差圧検出部が検出した差圧に占める誤差の割合が大きくなる。その結果、差圧検出部が検出した差圧を用いて算出するPM堆積量算出値の精度も低くなる。
これに対して上記構成によれば、ある程度の量のPMがフィルタ内に堆積していることを条件に、すなわちPM堆積量算出値の算出精度が高まっていることが期待できるようになったときに、算出したPM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が実行されるようになる。そのため、算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
上記排気浄化装置の制御装置は、車両に搭載される前記内燃機関に適用される排気浄化装置の制御装置であり、前記PM堆積量算出部が、前回のフィルタ再生制御が完了したときからの走行距離が所定距離より長いことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくすることが好ましい。
前回のフィルタ再生制御が完了したときからの走行距離が短い場合は、フィルタ内にPMがあまり堆積しておらず、フィルタ前後差圧が小さいため、差圧検出部が検出した差圧に占める誤差の割合が大きくなる。その結果、差圧検出部が検出した差圧を用いて算出するPM堆積量算出値の精度も低くなる。
これに対して上記構成によれば、前回のフィルタ再生制御が完了したときからある程度の走行距離を走行していることを条件に、すなわち、ある程度のPMがフィルタ内に堆積してPM堆積量算出値の算出精度が高まっていることが期待できるようになったときに、算出したPM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が実行されるようになる。そのため、算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
上記排気浄化装置の制御装置としては、前記フィルタそのものによる圧力損失の大きさを示す値である基材圧損を算出する基材圧損算出部と、前記フィルタ内に堆積しているアッシュによる圧力損失の大きさを示す値であるアッシュ堆積圧損を算出するアッシュ堆積圧損算出部と、前記差圧検出部によって検出された差圧と前記アッシュ堆積圧損と前記基材圧損とを用いて、前記フィルタ内に堆積している微粒子物質による圧力損失の大きさを示す値であるPM堆積圧損を算出するPM堆積圧損算出部と、を有し、前記PM堆積量算出部が、前記PM堆積圧損から前記PM堆積量算出値を算出する排気浄化装置の制御装置であって、前記PM堆積量算出部が、前記上限PM堆積量よりも前記PM堆積量算出値が大きいときに、前記アッシュ堆積圧損を増大させる補正を行うことで、前記PM堆積量算出値を小さくするという構成を採用することができる。
フィルタ内にはPMの他にアッシュが堆積する。フィルタ前後の差圧はアッシュによる圧力損失によっても大きくなるため、アッシュによる圧力損失の大きさを見積もってそれを用いてPM堆積量算出値を算出することもある。
PM堆積量算出部により算出されたPM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部により算出された上限PM堆積量よりも大きい場合は、アッシュによる圧力損失の大きさを実際よりも小さく見積もってしまっている可能性が高い。
上記構成によれば、PM堆積量算出部により算出されたPM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部により算出された上限PM堆積量よりも大きいときに、アッシュ堆積圧損を増大させる補正を行うことで、PM堆積量算出値が小さくされる。そのため、多く見積もりすぎていたPM堆積量算出値を少なくするとともに、小さく見積もりすぎていたアッシュ堆積圧損を大きくすることができる。
第1実施形態にかかるECUの制御対象である排気浄化装置の構成を模式的に示す略図。 第1実施形態にかかるECUと各構成の入出力の関係を示すブロック図。 第1実施形態にかかるECUが実行するフィルタ再生制御の開始タイミングを判断するための処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態にかかるECUのPM堆積量算出部がPM堆積量算出値を算出する処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態にかかるECUのアッシュ堆積圧損因子算出部がアッシュ堆積圧損因子を算出する処理の流れを示すフローチャート。 第1実施形態にかかるECUを適用した場合における走行距離とPM堆積量算出値の関係を表したグラフ。 第2実施形態にかかるECUと各構成の入出力の関係を示すブロック図。 第2実施形態にかかるECUのPM堆積量算出部がPM堆積量算出値を算出する処理の流れを示すフローチャート。 第2実施形態にかかるECUのアッシュ堆積圧損算出部がアッシュ堆積圧損を算出する処理の流れを示すフローチャート。
(第1実施形態)
以下、排気浄化装置の制御装置の第1実施形態であるECU5について、図1〜図6を参照して説明する。
まず、ECU5が制御する排気浄化装置の構成を説明する。なお、この排気浄化装置は、車載ディーゼルエンジンに適用されている。
図1に示すように、車載ディーゼルエンジンであるエンジン20の排気通路1には、排気中に燃料を添加する燃料添加弁2が設置されている。また、排気通路1における燃料添加弁2が設置されている部分よりも下流側の部分には、排気中の微粒子物質(以下、PM)を捕集するフィルタとしてディーゼル・パティキュレート・フィルタ(以下、DPF)3が配設されている。DPF3は、コージェライト等の多孔質材料により形成されたハニカム構造の担体からなっている。また、排気通路1における燃料添加弁2が設置されている部分よりも下流側であり、且つDPF3が配設されている部分よりも上流側の部分には、酸化触媒6が配設されている。酸化触媒6は、排気中の未燃燃料の酸化を促進させる触媒である。更に、排気通路1には、DPF3の前後における排気通路1内の排気の圧力の差(差圧ΔP)を検出する差圧検出部として差圧センサ4が配設されている。そして、エンジン20の各気筒には燃料を噴射する燃料噴射弁7がそれぞれ設けられている。
なお、燃料添加弁2は、排気中に燃料を添加して酸化触媒6で燃料を酸化させ、その酸化熱によってDPF3の温度を昇温させる。すなわち、燃料添加弁2は、DPF3に導入される排気の温度を上昇させる排気温度昇温部である。
燃料添加弁2及び燃料噴射弁7は、ECU5により制御される。排気浄化装置の制御装置であるECU5には、上記差圧センサ4に加え、排気温度を検出する排気温度センサ8、排気の流量を検出する排気流量センサ9の検出信号が入力される。また、ECU5はエンジン20を制御する制御装置でもあるため、ECU5には、クランク角を検出するクランク角センサ10、吸入空気量を検出するエアフロメータ11及びエンジン20内のウォータジャケット等の冷却水通路内を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ12等の検出信号も入力される。
次に図2を参照してECU5について説明する。
図2に示すように、ECU5は、DPF3に堆積しているPMの量であるPM堆積量算出値を算出するPM堆積量算出部500を備えている。また、ECU5は、DPF3に堆積しているPMを燃焼させるようにDPF3に導入される排気の温度を制御するフィルタ再生制御を実行するフィルタ再生処理部として、排気温度昇温部である燃料添加弁2を制御する燃料添加弁制御部505を備えている。燃料添加弁制御部505は、燃料添加弁2を制御して排気中に燃料を添加し、DPF3に導入される排気の温度を上昇させることにより、DPF3に堆積しているPMが燃焼する温度まで排気の温度を上昇させてフィルタ再生制御を実行する。
また、PM堆積量算出部500は、DPF基材圧損算出部501、アッシュ堆積圧損因子算出部502、PM堆積圧損算出部503及びシミュレーションモデル507を備えている。DPF基材圧損算出部501は、DPF3の基材による圧力損失、すなわちエンジンオイルの燃焼により生成される灰分のアッシュやPM等の堆積物の影響を除いたDPF3そのものによる圧力損失の大きさを示す基材圧損を算出する。アッシュ堆積圧損因子算出部502は、PM堆積量算出値を算出するために用いるパラメータの1つであるアッシュ堆積圧損因子を算出する。そして、PM堆積圧損算出部503は、PMによる圧力損失の大きさを示す値であるPM堆積圧損を算出する。また、シミュレーションモデル507は、機関回転速度と燃料噴射量からPM堆積量積算値を算出する。
なお、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、後述する上限PM堆積量を算出する上限PM堆積量算出部504を備えている。
ECU5は、PM堆積量算出部500によって算出したPM堆積量算出値が一定の量を超えると、フィルタ再生制御を実行してDPF3に堆積したPMを燃焼させて取り除く。
図3は、フィルタ再生制御を開始するタイミングを判定するための処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、エンジン20の運転中であり、フィルタ再生制御が実行されていないときにECU5により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
図3に示すように、この処理が開始されると、まず、ECU5は、ステップS100において、PM堆積量算出値が第1の判定値である判定値αを超えているか否かを判定する。
なお、判定値αはフィルタ再生制御を行うか否かを決定するPM堆積量算出値の判定値であり、この値はDPF3の性能、形状及び大きさ等に加え、どの程度の量までPMの堆積を許容するかによって決まる値である。
ステップS100において、PM堆積量算出値が判定値αを超えていないと判定した場合(ステップS100:NO)、すなわちPM堆積量算出値が判定値α以下であれば、ECU5は、そのまま何もせずにこの一連の処理を一旦終了する。
一方、ステップS100において、PM堆積量算出値が判定値αを超えていると判定した場合(ステップS100:YES)には、ECU5は、ステップS101に処理を進める。
ステップS101では、ECU5は、燃料添加弁制御部505を通じて排気温度昇温部である燃料添加弁2を制御し、排気中への燃料添加を実施してDPF3に導入される排気の温度をPMが燃焼する温度まで上昇させ、フィルタ再生制御を開始する。こうしてフィルタ再生制御を開始すると、ECU5はこの一連の処理を一旦終了する。
こうして開始されたフィルタ再生制御は、一定の期間継続される。なお、フィルタ再生制御を継続させる期間の長さは、設計段階で行う実験を通じて割り出したDPF3に堆積しているPMを全て燃焼させるために必要な期間の長さに基づいて設定されている。具体的には、ステップS100において肯定判定がなされたときにDPF3に堆積しているPMを全て燃焼させるために十分な長さに決定されている。そのため、フィルタ再生制御が開始された後、フィルタ再生制御が完了したときには、DPF3に堆積していたPMは全て燃焼し、除去されていることになる。
次に、図4を参照してPM堆積量算出値の算出方法について詳しく説明する。
図4は、ECU5のPM堆積量算出部500が実行するPM堆積量算出値を算出する処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、エンジン20の運転中であり、フィルタ再生制御が実行されていないときにECU5のPM堆積量算出部500により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
図4に示すように、この処理が開始されると、まず、PM堆積量算出部500は、ステップS200の処理を実行する。このステップS200では、DPF基材圧損算出部501が、DPF3の基材圧損(X)を算出する。DPF3にアッシュやPMが堆積していない状況は同じであっても排気流量が多くなるほど圧力損失は大きくなる。また、排気温度が低いほど、排気の密度は高くなるため、圧力損失は大きくなる。すなわち、DPF3の状況は同じであっても基材圧損の大きさは排気流量や排気温度に応じて変化する。そのため、基材圧損(X)は、設計段階において把握している所定の排気温度及び所定の排気流量におけるDPF3の基材圧損の値を、排気温度センサ8により検出された排気温度及び排気流量センサ9により検出された排気流量に応じて補正することによって算出される。こうしてDPF基材圧損算出部501がDPF3の基材圧損(X)を算出すると、PM堆積量算出部500は、処理をステップS201へと進める。
ステップS201では、アッシュ堆積圧損因子算出部502が、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出する。なお、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)は、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)及びアッシュ堆積圧損増量因子(Z)の積(Y×Z)で定義される値であり、後述する数式(1)を用いてPM堆積圧損を算出するために用いるパラメータである。ステップS201におけるアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出するための処理の詳細は、図5を参照して後述する。アッシュ堆積圧損因子算出部502がアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出すると、PM堆積量算出部500は、処理をステップS202へと進める。
ステップS202では、PM堆積圧損算出部503が、差圧センサ4により検出されたDPF3の前後の差圧ΔP、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)及びDPF3の基材圧損(X)を用いて下記の数式(1)によりPM堆積圧損を算出する。
こうしてPM堆積圧損算出部503がPM堆積圧損を算出すると、PM堆積量算出部500は、処理をステップS203へと進める。
ステップS203では、PM堆積量算出部500が、ステップS202において算出されたPM堆積圧損に基づきPM堆積量算出値を算出する。ここでは、ステップS202において算出されたPM堆積圧損の値に加え、排気温度センサ8により検出された排気温度及び排気流量センサ9により検出された排気流量を利用してPM堆積圧損からPM堆積量算出値を算出する。
そして、ステップS203を通じてPM堆積量算出値を算出すると、PM堆積量算出部500は、この一連の処理を一旦終了する。
なお、上述したように、フィルタ再生制御が開始された後、フィルタ再生制御が完了したときには、DPF3に堆積していたPMは全て燃焼し、除去されている。そのため、ECU5は、PM堆積量算出部500が算出したPM堆積量算出値をフィルタ再生制御が完了する度に「0」にリセットする。
次に、図5を参照して、上記のステップS201においてアッシュ堆積圧損因子算出部502が実行するアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出する処理について説明する。なお、この一連の処理は、上記のステップS201が実行される度に、アッシュ堆積圧損因子算出部502が実行する。
図5に示すように、ステップS201の処理が実行され、この一連の処理が開始されると、まず、ステップS300において、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)を算出する。なお、エンジン20を運転させるほど、DPF3へのアッシュの堆積量は多くなる。そのため、ここでは、まず、これまでのエンジン20の総運転時間からアッシュの堆積量に比例する値を算出する。そして、この値を、排気温度センサ8によって検出された排気温度及び排気流量センサ9によって検出された排気流量を用いて補正することにより、アッシュの堆積による圧力損失の大きさに比例するアッシュ堆積圧損ベース因子(Y)を算出する。こうしてアッシュ堆積圧損ベース因子(Y)を算出すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS301に進める。
ステップS301では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、差圧センサ4により検出された差圧ΔP、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)、DPF3の基材圧損(X)及び前回ステップS201を通じて算出したアッシュ堆積圧損増量因子(Zn−1)を用いて、下記の数式(2)により仮PM堆積圧損を算出する。なお、アッシュ堆積圧損増量因子(Zn−1)の算出方法については後述する。
こうして仮PM堆積圧損を算出すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS302へと進める。
ステップS302では、アッシュ堆積圧損因子算出部502が、ステップS301で算出した仮PM堆積圧損に加え、排気温度センサ8により検出された排気温度及び排気流量センサ9により検出された排気流量を利用して仮PM堆積圧損からPM堆積量算出値として仮PM堆積量算出値を算出する。そして、ステップS302を通じて仮PM堆積量算出値を算出すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS303に進める。
ステップS303では、アッシュ堆積圧損因子算出部502の上限PM堆積量算出部504が、そのときDPF3に堆積している可能性のあるPMの量の上限である上限PM堆積量を算出する。DPF3に堆積するPMの量は、エンジン20から排出される排気に含まれるPMの量に応じて変化する。エンジン20から排出される排気に含まれるPMの量はクランク角センサ10が検出したクランク角に基づいて算出したクランク軸の回転速度である機関回転速度及び燃料噴射量に基づいて推定することができる。そのため、ここでは、そのときの運転状態において最も多くPMが堆積する状況を想定して機関回転速度と燃料噴射量を用いてPMの瞬時堆積量を算出し、その瞬時堆積量をシミュレーションモデル507を通じて算出したPM堆積量積算値に積算し、上限PM堆積量を算出している。
こうして上限PM堆積量算出部504が、上限PM堆積量を算出すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS304へと進める。
ステップS304では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS302においてPM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値が第2の判定値である実行判定値Aよりも大きいか否かを判定する。なお、実行判定値Aは第1の判定値である判定値αよりも小さい値であり、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きければ、差圧ΔPがある程度大きくなり差圧ΔPに占める誤差の割合が小さくなってPM堆積量算出値の推定精度が十分に高くなっていると判定できる程度の大きさに設定されている。
ステップS304において、仮PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいと判定した場合(ステップS304:YES)には、次にアッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS305においてPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいか否かを判定する。なお、PM堆積走行距離とは、前回のフィルタ再生制御が完了したときからの走行距離を意味する。フィルタ再生制御が完了してからの走行距離が長くなり、フィルタ再生制御が完了してからのエンジン20の運転時間が長くなるほど、PMの堆積量は多くなり、差圧ΔPに占める誤差の割合が小さくなって差圧ΔPに基づくPM堆積量算出値の推定精度が高くなる。実行判定値BはPM堆積量算出値の推定精度が十分に高くなっていると判断できるようになる距離である所定距離よりもPM堆積走行距離が長くなっていることを判定するための判定値である。そのため、実行判定値Bは、PM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きければ、PM堆積量算出値の推定精度が十分に高くなっていると判定できる程度の大きさに設定されている。
ステップS305において、PM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいと判定した場合(ステップS305:YES)には、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS306に進める。
ステップS306では、ステップS302においてPM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値がステップS303において算出した上限PM堆積量よりも大きいか否かを判定する。
ステップS306において、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいと判定した場合(ステップS306:YES)には、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS307へと処理を進める。ステップS307では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、前回算出したアッシュ堆積圧損増量因子(Zn−1)に所定値βを加え、その和をアッシュ堆積圧損増量因子(Z)とする。なお、アッシュ堆積圧損増量因子の初期値は「1.0」であり、所定値βは「1.0」よりも小さな正の値である。すなわちアッシュ堆積圧損増量因子は、ステップS307が実行される度に所定値βずつ増量補正される。初めてステップS307が実行されたときには、初期値である「1.0」に所定値βが加算される。ステップS307を通じてアッシュ堆積圧損増量因子を増量補正すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS309に進める。
ステップS309では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)とアッシュ堆積圧損増量因子(Z)との積と、アッシュの堆積による圧損によりエンジン20が正常に運転できなくなることのないアッシュの量の最大値と等しい量だけアッシュが堆積している場合に対応するアッシュ堆積圧損因子である許容限界値と、を比較する。そして、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)とアッシュ堆積圧損増量因子(Z)との積と、許容限界値と、のうち小さい方の値をアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)として採用する。すなわち、ステップS307を通じて増量補正されたアッシュ堆積圧損増量因子(Z)を用いて算出したアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が許容限界値を超えている場合には、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が許容限界値と等しい値にされる。一方で、ステップS307を通じて増量補正されたアッシュ堆積圧損増量因子(Z)を用いて算出したアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が許容限界値以下である場合には、増量補正されたアッシュ堆積圧損増量因子(Z)を用いて算出したアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)がそのままアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)として採用される。要するに、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きい場合(ステップS306:YES)には、ステップS307,ステップS309の処理を通じて、許容限界値を上限としてアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正が行われる。こうしてアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出すると、ステップS201の処理は終了し、処理は図4を参照して説明したようにステップS202へと進む。
一方、ステップS306において、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下であると判定した場合(S306:NO)には、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS308へと処理を進める。ステップS308では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、前回算出したアッシュ堆積圧損増量因子(Zn−1)をそのままアッシュ堆積圧損増量因子(Z)とする。すなわち、この場合にはアッシュ堆積圧損増量因子は、増量補正されない。初めてステップS308が実行されたときには、初期値である「1.0」がそのままアッシュ堆積圧損増量因子(Z)になる。ステップS308を通じてアッシュ堆積圧損増量因子を更新すると、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、処理をステップS310に進める。
ステップS310では、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS300を通じて算出したアッシュ堆積圧損ベース因子(Y)とステップS308を通じて算出したアッシュ堆積圧損増量因子(Z)との積をアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)として採用する。要するに、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下である場合(ステップS306:NO)には、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正が行われない。こうしてステップS310を通じてアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を算出した場合にも、ステップS201の処理は終了し、処理は図4を参照して説明したようにステップS202へと進む。
また、ステップS304において仮PM堆積量算出値が実行判定値A以下であると判定した場合(ステップS304:NO)及びステップS305においてPM堆積走行距離が実行判定値B以下であると判定した場合(ステップS305:NO)には、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、ステップS306を経ずに処理をステップS308へと進める。すなわち、これらの場合には、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいか否かに拘わらず、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正は行われない。要するに、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正は、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと並びにPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に行われているといえる。
ECU5は、図4を参照して説明したようにこうしてステップS201を通じて算出したアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を用いてPM堆積量算出値を算出する。
次に、ECU5によって、上述したようにPM堆積量算出値を算出することによる作用を説明する。
ECU5では、図4を参照して説明したように、PM堆積量算出部500によって差圧ΔPとアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)とDPF基材圧損(X)とからPMの堆積による圧力損失の大きさを示すPM堆積圧損が算出される。そして、PM堆積圧損からPM堆積量算出値が算出される。
アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)は、図5を参照して詳細に説明したステップS201の処理を通じてアッシュ堆積圧損因子算出部502によって算出されるが、アッシュ堆積圧損因子算出部502は、PM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値と上限PM堆積量とをステップS306の処理において比較する。そして、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいことを条件に、アッシュ堆積圧損増量因子に所定値βを加算することにより、アッシュ堆積圧損増量因子を増量補正する。
そのため、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときには、アッシュ堆積圧損増量因子が増量補正されることにより、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)も増量補正されることになる。
数式(1)では、差圧ΔPをアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)で割った商からDPF基材圧損(X)を減算し、その差をPM堆積圧損としているため、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が増量補正されると、差圧ΔPをアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)で割った商が小さくなり、PM堆積圧損も小さくなる。なお、アッシュ堆積圧損ベース因子は、アッシュの堆積量が多くなるほど大きくなる値であるが、数式(1)によってPM堆積圧損を算出することができるように、設計段階で適合されている。
こうしてアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が増量補正されることによってPM堆積圧損が小さくなる結果、PM堆積圧損から算出されるPM堆積量算出値も少なくなる。すなわち、ECU5のPM堆積量算出部500を通じて算出されるPM堆積量算出値は、上限PM堆積量よりも大きいことを条件に、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正を通じて小さくされる。
次に、こうしてPM堆積量算出値を小さくする補正を行うことによって生じる作用について図6を参照して説明する。
図6における実線は、ECU5による制御を適用した場合における走行距離とPM堆積量算出値の関係を表している。なお、一点鎖線は上限PM堆積量を表しており、二点鎖線は上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正を行わない場合のPM堆積量算出値の推移を示している。
図6に示すように、走行距離が長くなるにつれ、PM堆積量算出値は次第に大きくなる。図6に示す例では、ECU5のPM堆積量算出部500が算出するPM堆積量算出値が、上限PM堆積量よりも大きくなっている。しかし、ECU5では、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと並びにPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正を行う。そのため、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きく、且つPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを示す領域Uに入るまではPM堆積量算出値の補正は行われない。
そして、PM堆積量算出値が実行判定値Aより大きくなり、且つPM堆積走行距離が実行判定値Bより大きくなって領域Uに入ると、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいと判定される度にアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が増量補正される。その結果、PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下になるまでPM堆積量算出値が徐々に小さくされる(期間H)。
PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下になるまで小さくされた後は、また走行距離が長くなるにつれ、PM堆積量算出値が増加していき、PM堆積量算出値が判定値αを超えた時点(タイミングD2)で、フィルタ再生制御が実行される。
一方、図6に二点鎖線で示すように、こうしたPM堆積量算出値の補正を行わない場合には、タイミングD2よりも前のタイミングD1の時点でPM堆積量算出値が判定値αを超え、フィルタ再生制御が実行される。
すなわち、ECU5が実行する制御によれば、上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正を行わない場合と比較して、フィルタ再生制御が実行されるまでの走行距離が長くなる。すなわち、フィルタ再生制御の実行頻度が少なくなる。
以上説明した第1実施形態によれば、下記の(1)〜(4)の効果が得られるようになる。
(1)PM堆積量算出部500によって算出されたPM堆積量算出値が、そのときにDPF3内に堆積している可能性のある微粒子物質の量の上限である上限PM堆積量よりも大きいということは、PM堆積量算出値を多く見積もりすぎているといえる。
上記構成によれば、PM堆積量算出部500によって算出されたPM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部504により算出された上限PM堆積量よりも大きいときに、PM堆積量算出値が小さくされる。そのため、多く見積もりすぎたPM堆積量算出値を少なくすることができる。その結果、DPF3内に堆積したPMの量を多く見積もってしまうことによってフィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうことを抑制することができる。
(2)DPF3内に堆積しているPMの量が少ない場合は、DPF3の前後の差圧が小さいため、差圧ΔPに占める誤差の割合が大きくなる。その結果、差圧ΔPを用いて算出するPM堆積量算出値の精度も低くなる。
これに対して上記構成によれば、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいことを条件に、PM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が行われる。そのため、ある程度の量のPMがDPF3内に堆積していることを条件に、すなわちPM堆積量算出値の算出精度が高まっていることが期待できるようになったときに、算出したPM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が実行されるようになる。したがって、算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
(3)同様に、前回のフィルタ再生制御が完了したときからの走行距離が短い場合は、DPF3内にPMがあまり堆積しておらず、DPF3の前後の差圧が小さいため、差圧ΔPに占める誤差の割合が大きくなる。その結果、差圧ΔPを用いて算出するPM堆積量算出値の精度も低くなる。
これに対して上記構成によれば、PM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に、PM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が行われる。そのため、ある程度のPMがDPF3内に堆積してPM堆積量算出値の算出精度が高まっていることが期待できるようになったときに、算出したPM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が実行されるようになる。したがって、これによっても算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
(4)アッシュの堆積による圧損によりエンジン20が正常に運転できなくなることのないアッシュの量の最大値と等しい量だけアッシュが堆積している場合に対応するアッシュ堆積圧損因子である許容限界値を上限に、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)の増量補正を行う。そのため、実際にはありえない値にまでアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が増量補正されてしまうことを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、排気浄化装置の制御装置の第2実施形態であるECU2000について、図7〜9を参照して説明する。なお、ECU2000は第1実施形態のECU5と同じ排気浄化装置を制御するものであるため、排気浄化装置の構成については同一の符号を付して説明し、詳しい説明は繰り返さない。
図7は、ECU2000と各構成の入出力の関係を示すブロック図である。
図7に示すように、ECU2000には、第1実施形態と同様に、差圧センサ4、排気温度センサ8、排気流量センサ9の検出信号が入力される。また、ECU2000には、クランク角センサ10、エアフロメータ11及び水温センサ12等の検出信号も入力される。
ECU2000は、DPF3に堆積しているPMの量であるPM堆積量算出値を算出するPM堆積量算出部2001を備えている。また、ECU2000は、DPF3に堆積しているPMを燃焼させるようにDPF3に導入される排気の温度を制御するフィルタ再生制御を実行するフィルタ再生処理部として、排気温度昇温部である燃料添加弁2を制御する燃料添加弁制御部2006を備えている。
また、PM堆積量算出部2001は、DPF基材圧損算出部2002、アッシュ堆積圧損算出部2003、PM堆積圧損算出部2004及びシミュレーションモデル2007を備えている。DPF基材圧損算出部2002は、DPF3の基材による圧力損失、すなわちエンジンオイルの燃焼により生成される灰分のアッシュやPM等の堆積物の影響を除いたDPF3そのものによる圧力損失の大きさを示す基材圧損を算出する。アッシュ堆積圧損算出部2003は、PM堆積量算出値を算出するために用いるパラメータの1つであるDPF3に堆積したアッシュによる圧力損失の大きさを示す値であるアッシュ堆積圧損を算出する。そして、PM堆積圧損算出部2004は、PMによる圧力損失の大きさを示す値であるPM堆積圧損を算出する。また、シミュレーションモデル2007は、機関回転速度と燃料噴射量からPM堆積量積算値を算出する。
なお、アッシュ堆積圧損算出部2003は、後述する上限PM堆積量を算出する上限PM堆積量算出部2005を備えている。
ECU2000も、第1実施形態と同様に、PM堆積量算出部2001によって算出したPM堆積量算出値が判定値αを超えると、燃料添加弁制御部2006を通じて燃料添加弁2を制御し、フィルタ再生制御を実行してDPF3に堆積したPMを燃焼させて取り除く。
図8は、第2実施形態にかかるECU2000のPM堆積量算出部2001が実行するPM堆積量算出値を算出する処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、エンジン20の運転中であり、フィルタ再生制御が実行されていないときにECU2000のPM堆積量算出部2001により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
図8に示すように、この処理が開始されると、まず、PM堆積量算出部2001は、ステップS600の処理を実行する。ステップS600では、DPF基材圧損算出部2002が、図4を参照して説明したステップS200と同様に、DPF3の基材圧損(X)を算出する。すなわち、設計段階において把握している所定の排気温度及び所定の排気流量におけるDPF3の基材圧損の値を、排気温度センサ8により検出された排気温度及び排気流量センサ9により検出された排気流量に応じて補正することによって基材圧損(X)を算出する。こうしてDPF基材圧損算出部2002がDPFの基材圧損(X)を算出すると、PM堆積量算出部2001は、処理をステップS601に進める。
ステップS601では、アッシュ堆積圧損算出部2003が、アッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出する。なお、アッシュ堆積圧損(λ×ω)は、アッシュ堆積ベース圧損(λ)及びアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)の積(λ×ω)で定義される値である。ステップS601におけるアッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出するための処理の詳細は、図9を参照して後述する。アッシュ堆積圧損算出部2003がアッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出すると、PM堆積量算出部2001は、処理をステップS602へと進める。
ステップS602では、PM堆積圧損算出部2004が、差圧センサ4により検出されたDPF3の前後の差圧ΔP、アッシュ堆積圧損(λ×ω)及びDPF3の基材圧損(X)を用いて下記の数式(3)によりPM堆積圧損を算出する。
こうしてPM堆積圧損算出部2004がPM堆積圧損を算出すると、PM堆積量算出部2001は、処理をステップS603へと進める。
ステップS603では、PM堆積量算出部2001が、ステップS602において算出されたPM堆積圧損に基づき、第1実施形態におけるステップS203と同様に、PM堆積量算出値を算出する。
そして、ステップS603を通じてPM堆積量算出値を算出すると、PM堆積量算出部2001は、この一連の処理を一旦終了する。
なお、上述したように、フィルタ再生制御が開始された後、フィルタ再生制御が完了したときには、DPF3に堆積していたPMは全て燃焼し、除去されている。そのため、ECU2000は、PM堆積量算出部2001が算出したPM堆積量算出値をフィルタ再生制御が完了する度に「0」にリセットする。
次に、図9を参照して、上記のステップS601においてアッシュ堆積圧損算出部2003が実行するアッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出する処理について説明する。なお、この一連の処理は、上記のステップS601が実行される度に、アッシュ堆積圧損算出部2003が実行する。
図9に示すように、ステップS601の処理が実行され、この一連の処理が開始されると、まず、ステップS700において、アッシュ堆積圧損算出部2003は、アッシュ堆積ベース圧損(λ)を算出する。なお、エンジン20を運転させるほど、DPF3へのアッシュの堆積量は多くなる。そのため、ここでは、まず、これまでのエンジン20の総運転時間からアッシュの堆積量に比例する値を算出する。そして、この値を、排気温度センサ8によって検出された排気温度及び排気流量センサ9によって検出された排気流量を用いて補正することにより、アッシュの堆積による圧力損失の基本値であるアッシュ堆積ベース圧損(λ)を算出する。こうしてアッシュ堆積ベース圧損(λ)を算出すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、処理をステップS701に進める。
ステップS701では、アッシュ堆積圧損算出部2003は、差圧センサ4により検出された差圧ΔP、アッシュ堆積ベース圧損(λ)、DPF3の基材圧損(X)及び前回ステップS601を通じて算出したアッシュ堆積圧損増量補正値(ωn−1)を用いて、下記の数式(4)により仮PM堆積圧損を算出する。
こうして仮PM堆積圧損を算出すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、処理をステップS702へと進める。
ステップS702では、アッシュ堆積圧損算出部2003が、ステップS701で算出した仮PM堆積圧損に加え、排気温度センサ8により検出された排気温度及び排気流量センサ9により検出された排気流量を利用して、仮PM堆積圧損からPM堆積量算出値として仮PM堆積量算出値を算出する。そして、ステップS702を通じて仮PM堆積量算出値を算出すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、処理をステップS703に進める。
ステップS703では、アッシュ堆積圧損算出部2003の上限PM堆積量算出部2005が、そのときDPF3に堆積している可能性のあるPMの量の上限である上限PM堆積量を算出する。ここでは、図5を参照して説明したステップS303と同様に、そのときの運転状態において最も多くPMが堆積する状況を想定して機関回転速度と燃料噴射量を用いてPMの瞬時堆積量を算出し、その瞬時堆積量をシミュレーションモデル2007を通じて算出したPM堆積量積算値に積算し、上限PM堆積量を算出している。
こうして上限PM堆積量算出部2005が、上限PM堆積量を算出すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、処理をステップS704へと進める。
ステップS704では、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS702においてPM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値が第2の判定値である実行判定値Aよりも大きいか否かを判定する。なお、このステップS704の処理は、第1実施形態において説明したステップS304と同じ処理であり、実行判定値Aの値も第1実施形態における実行判定値Aと同一の値である。
ステップS704において、仮PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいと判定した場合(ステップS704:YES)には、次にアッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS705においてPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいか否かを判定する。なお、このステップS705の処理も、第1実施形態において説明したステップS305と同じ処理であり、実行判定値Bの値も第1実施形態における実行判定値Bと同一の値である。
ステップS705において、PM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいと判定した場合(ステップS705:YES)には、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS706へと処理を進める。
ステップS706では、ステップS702においてPM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値がステップS703において算出した上限PM堆積量よりも大きいか否かを判定する。
ステップS706において、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいと判定した場合(ステップS706:YES)には、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS707へと処理を進める。ステップS707では、アッシュ堆積圧損算出部2003は、前回算出したアッシュ堆積圧損増量補正値(ωn−1)に所定値δを加え、その和をアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)とする。なお、アッシュ堆積圧損増量補正値の初期値は「1.0」であり、所定値δは「1.0」よりも小さな正の値である。すなわちアッシュ堆積圧損増量補正値は、ステップS707が実行される度に所定値δずつ増量補正される。初めてステップS707が実行されたときには、初期値である「1.0」に所定値δが加算される。こうしてステップS707を通じてアッシュ堆積圧損増量補正値を増量補正すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、処理をステップS709に進める。
ステップS709では、アッシュ堆積圧損算出部2003は、アッシュ堆積ベース圧損(λ)とアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)との積と、アッシュの堆積による圧損によりエンジン20が正常に運転できなくなることのないアッシュの量の最大値と等しい量だけアッシュが堆積している場合に対応するアッシュ堆積圧損である許容限界値と、を比較する。そして、アッシュ堆積ベース圧損(λ)とアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)との積と、許容限界値と、のうち小さい方の値をアッシュ堆積圧損(λ×ω)として採用する。すなわち、ステップS707を通じて増量補正されたアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)を用いて算出したアッシュ堆積圧損(λ×ω)が許容限界値を超えている場合には、アッシュ堆積圧損(λ×ω)が許容限界値と等しい値にされる。一方で、ステップS707を通じて増量補正されたアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)を用いて算出したアッシュ堆積圧損(λ×ω)が許容限界値以下である場合には、増量補正されたアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)を用いて算出したアッシュ堆積圧損(λ×ω)がそのままアッシュ堆積圧損(λ×ω)として採用される。要するに、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きい場合(ステップS706:YES)には、ステップS707,ステップS709の処理を通じて、許容限界値を上限としてアッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正が行われる。こうしてアッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出すると、ステップS601の処理は終了し、処理は図8を参照して説明したようにステップS602へと進む。
一方、ステップS706において、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下であると判定した場合(ステップS706:NO)には、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS708へと処理を進める。ステップS708では、アッシュ堆積圧損算出部2003は、前回算出したアッシュ堆積圧損増量補正値(ωn−1)をそのままアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)とする。すなわち、この場合にはアッシュ堆積圧損増量補正値は、増量補正されない。初めてステップS708が実行されたときには、初期値である「1.0」がそのままアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)になる。ステップS708を通じてアッシュ堆積圧損増量補正値を更新すると、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS700を通じて算出したアッシュ堆積ベース圧損(λ)とステップS708を通じて算出したアッシュ堆積圧損増量補正値(ω)との積をアッシュ堆積圧損(λ×ω)として採用する。要するに、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下である場合(ステップS706:NO)には、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正が行われない。こうしてステップS710を通じてアッシュ堆積圧損(λ×ω)を算出した場合にも、ステップS601の処理は終了し、処理は図8を参照して説明したようにステップS602へと進む。
また、ステップS704において仮PM堆積量算出値が実行判定値A以下であると判定した場合(ステップS704:NO)及びステップS705においてPM堆積走行距離が実行判定値B以下であると判定した場合(ステップS705:NO)には、アッシュ堆積圧損算出部2003は、ステップS706を経ずに処理をステップS708へと進める。すなわち、これらの場合には、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいか否かに拘わらず、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正は行われない。要するに、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正は、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと並びにPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に行われているといえる。
ECU2000は、図8を参照して説明したようにこうしてステップS601を通じて算出したアッシュ堆積圧損(λ×ω)を用いてPM堆積量算出値を算出する。
次に、ECU2000によって、上述したようにPM堆積量算出値を算出することによる作用を説明する。
ECU2000では、図8を参照して説明したように、PM堆積量算出部2001によって差圧ΔPとアッシュ堆積圧損(λ×ω)とDPF基材圧損(X)とからPMの堆積による圧力損失の大きさを示すPM堆積圧損が算出される。そして、PM堆積圧損からPM堆積量算出値が算出される。
アッシュ堆積圧損(λ×ω)は、図9を参照して詳細に説明したステップS601の処理を通じてアッシュ堆積圧損算出部2003によって算出されるが、アッシュ堆積圧損算出部2003は、PM堆積量算出値として算出した仮PM堆積量算出値と上限PM堆積量とをステップS706の処理において比較する。そして、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときには、アッシュ堆積圧損増量補正値に所定値δを加算することにより、アッシュ堆積圧損増量補正値を増量補正する。
そのため、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときには、アッシュ堆積圧損増量補正値が増量補正されることにより、アッシュ堆積圧損(λ×ω)も増量補正されることになる。
数式(3)では、差圧ΔPからアッシュ堆積圧損(λ×ω)及びDPF基材圧損(X)を減算し、その差をPM堆積圧損としているため、アッシュ堆積圧損(λ×ω)が増量補正されると、差圧ΔPからアッシュ堆積圧損(λ×ω)及びDPF基材圧損(X)を減算した差が小さくなり、PM堆積圧損も小さくなる。
こうしてアッシュ堆積圧損(λ×ω)が増量補正されることによってPM堆積圧損が小さくなる結果、PM堆積圧損から算出されるPM堆積量算出値も少なくなる。すなわち、ECU2000のPM堆積量算出部2001を通じて算出されるPM堆積量算出値は、上限PM堆積量よりも大きいことを条件に、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正を通じて小さくされる。
なお、ECU2000でも、第1実施形態のECU5と同様に、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと並びにPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正を行う。そのため、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きく、且つPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを示す領域Uに入るまではPM堆積量算出値の補正は行われない。
そして、PM堆積量算出値が実行判定値Aより大きくなり、且つPM堆積走行距離が実行判定値Bより大きくなって領域Uに入ると、仮PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいと判定される度にアッシュ堆積圧損(λ×ω)が増量補正され、PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下になるまでPM堆積量算出値が徐々に小さくされる。
PM堆積量算出値が上限PM堆積量以下になるまで小さくされた後は、走行距離が長くなるにつれ、PM堆積量算出値が増加していき、PM堆積量算出値が判定値αを超えた時点で、フィルタ再生制御が実行される。
すなわち、ECU2000が実行する制御によっても、図6を参照して例示した場合と同様に、上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正を行わない場合と比較して、フィルタ再生制御が実行されるまでの走行距離が長くなる。すなわち、フィルタ再生制御の実行頻度が少なくなる。
以上説明した第2実施形態によれば、下記の(1)〜(5)の効果が得られるようになる。
(1)PM堆積量算出部2001によって算出されたPM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部2005により算出された上限PM堆積量よりも大きいときに、PM堆積量算出値が小さくされる。そのため、多く見積もりすぎたPM堆積量算出値を少なくすることができる。その結果、DPF3内に堆積したPMの量を多く見積もってしまうことによってフィルタ再生制御の頻度が高くなってしまうことを抑制することができる。
(2)PM堆積量算出部2001のアッシュ堆積圧損算出部2003によりPM堆積量算出値として算出された仮PM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部2005により算出された上限PM堆積量より大きい場合は、アッシュ堆積圧損を実際のアッシュ堆積圧損よりも小さく見積もってしまっている可能性が高い。
これに対して上記構成によれば、仮PM堆積量算出値が、上限PM堆積量算出部2005により算出された上限PM堆積量よりも大きいときに、アッシュ堆積圧損を増量補正することで、PM堆積量算出値が小さくされる。そのため、多く見積もりすぎていたPM堆積量算出値を少なくするとともに、少なく見積もりすぎていたアッシュ堆積圧損を多くすることができる。
(3)第1実施形態と同様に、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいことを条件に、PM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が行われる。そのため、算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
(4)第1実施形態と同様に、PM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件に、PM堆積量算出値と上限PM堆積量との比較に基づくPM堆積量算出値の補正が行われる。そのため、これによっても算出精度が低いときに算出されたPM堆積量算出値に基づいて無闇にPM堆積量算出値の補正が行われてしまうことを抑制することができる。
(5)アッシュの堆積による圧損によりエンジン20が正常に運転できなくなることのないアッシュの量の最大値と等しい量だけアッシュが堆積している場合に対応するアッシュ堆積圧損である許容限界値を上限に、アッシュ堆積圧損(λ×ω)の増量補正を行う。そのため、実際にはありえない値にまでアッシュ堆積圧損(λ×ω)が増量補正されてしまうことを抑制することができる。
その他、上記実施形態から変更可能な要素としては次のようなものがある。
・上記各実施形態では、ディーゼルエンジンの排気浄化装置を制御対象としているが、必ずしもディーゼルエンジンの排気浄化装置を制御対象にする必要はなく、筒内噴射を行うガソリンエンジンの排気浄化装置を制御対象とすることもできる。なお、その場合、フィルタは、DPFではなくガソリン・パティキュレート・フィルタ(GPF)となる。また、更に言えば、筒内噴射を行うガソリンエンジンに限ることなく、PMを排出する内燃機関の排気浄化装置全てに適用することができる。
・上記各実施形態では、排気温度昇温部として燃料添加弁を設け、燃料添加弁を用いて、排気中に燃料を添加することにより、フィルタ再生制御を実行する例を示したが、排気温度昇温部の構成は適宜変更することができる。例えば、燃料添加弁を設けなくても、筒内噴射弁によるポスト噴射やアフター噴射等で排気中に燃料を送ってフィルタ再生制御を実行することもできる。すなわち、この場合には、筒内噴射弁が排気温度昇温部を兼ねることになる。また、それ以外にも、排気通路におけるフィルタよりも上流に排気温度昇温部としてヒータを設置してそのヒータによりフィルタに導入される排気を加熱する構成や、吸入空気量を絞って燃焼される混合気の空燃比をリッチ化すること、燃料噴射時期を遅角すること等でも、フィルタ再生制御における排気温度の上昇が実現できる。すなわち、スロットルバルブや、燃料噴射弁を排気温度昇温部として利用することもできる。
・PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと並びにPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことを条件にPM堆積量算出値を小さくする例を示したが、PM堆積量算出値を小さくする補正の実行条件は適宜変更可能である。例えば、PM堆積量算出値が実行判定値Aよりも大きいこと及びPM堆積走行距離が実行判定値Bよりも大きいことのいずれか一方のみを実行条件とする構成を採用したり、他の実行条件を更に加えたりすることもできる。また、こうした実行条件を設定せずに、PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときには常にPM堆積量算出値を小さくする補正を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、許容限界値を上限として増量補正を行う例を示したが、こうした上限を設定せずに増量補正を行う構成を採用してもよい。
・上記各実施形態では、上限PM堆積量算出部は、最も多くPMが堆積する状況を想定して機関回転速度と燃料噴射量を用いてPMの堆積量を積算し、上限PM堆積量を算出しているが、上限PM堆積量の算出方法はこうした方法に限定されない。例えば、機関回転速度と燃料噴射量からそのときのPM排出量の中央値を算出し、この中央値に「1.0」以上の係数を乗算した積を積算することによって上限PM堆積量を算出するようにしてもよい。こうした構成であっても、係数の大きさを適切に設定すれば、上限PM堆積量を算出することができるようになる。
・PM堆積圧損やPM堆積量算出値を算出するための方法は適宜変更することができる。例えば、上記第1実施形態では数式(1)を用いてPM堆積圧損を算出したが、下記の数式(5)を用いてPM堆積圧損を算出することもできる。
数式(5)では、基材圧損(X)とアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)とを乗算した積を、差圧ΔPから減算してその差をPM堆積圧損としているため、アッシュ堆積圧損因子(Y×Z)が増量補正されると、基材圧損(X)とアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)とを乗算した積が大きくなり、PM堆積圧損が小さくなる。そのため、この場合にも、PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときにアッシュ堆積圧損因子(Y×Z)を増量補正することにより、PM堆積量算出値が小さくなる。なお、この場合には、アッシュ堆積圧損ベース因子(Y)が、数式(5)によってPM堆積圧損を算出することができる値となるように、設計段階で適合する必要がある。
・また、PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときにPM堆積量算出値を小さくする方法は、適宜変更することができる。PM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときにPM堆積量算出値から所定の補正量を減算するようにしてもPM堆積量算出値を小さくすることができる。また、PM堆積量算出値に「1.0」よりも小さな正の値である補正係数を乗じることによってもPM堆積量算出値を小さくすることができる。
・また、機関回転速度及び燃料噴射量に基づいてシミュレーションモデル507,2007を通じて算出されるPM堆積量積算値と、ステップS203,ステップS603を通じて算出されるPM堆積量算出値とを比較し、大きい方の値を最終的なPM堆積量算出値として採用する構成とすることもできる。
・上記各実施形態では、フィルタ再生制御を一定の期間継続させる例を示したが、フィルタ再生制御を終了させる条件は適宜変更することができる。例えば、フィルタ再生制御を実行している間にもPM堆積量算出値を推定し続け、推定しているPM堆積量算出値が「0」になったときにフィルタ再生制御を終了させるようにしてもよい。
・アッシュ堆積量やアッシュ堆積圧損の算出方法は適宜変更することができる。例えば、機関回転速度や燃料噴射量等からオイル消費量を推定し、推定したオイル消費量からアッシュの発生量を推定してアッシュ堆積量やアッシュ堆積圧損を算出することもできる。
こうした方法によってアッシュ堆積量やアッシュ堆積圧損を算出する場合であっても、上記各実施形態のようにPM堆積量算出値が上限PM堆積量よりも大きいときにPM堆積量算出値を小さくすることにより、アッシュ堆積量やアッシュ堆積圧損の見積もりのずれによるPM堆積量算出値のずれを是正することができるようになる。
1…排気通路、2…燃料添加弁、3…DPF、4…差圧センサ、5,2000…ECU、6…酸化触媒、7…燃料噴射弁、8…排気温度センサ、9…排気流量センサ、10…クランク角センサ、11…エアフロメータ、12…水温センサ、20…エンジン、500,2001…PM堆積量算出部、501,2002…DPF基材圧損算出部、502…アッシュ堆積圧損因子算出部、503,2004…PM堆積圧損算出部、504,2005…上限PM堆積量算出部、505,2006…燃料添加弁制御部、507,2007…シミュレーションモデル、2003…アッシュ堆積圧損算出部。

Claims (4)

  1. 排気中の微粒子物質を捕集するフィルタと、
    同フィルタの前後における排気の差圧を検出する差圧検出部と、
    前記フィルタに導入される排気の温度を上昇させる排気温度昇温部と、を有する内燃機関の排気浄化装置に適用され、
    前記差圧検出部によって検出された差圧を用いて前記フィルタ内に堆積している微粒子物質の量を示すPM堆積量算出値を算出するPM堆積量算出部と、
    前記PM堆積量算出値が判定値よりも大きい場合に、前記排気温度昇温部を制御して前記フィルタ内に堆積している微粒子物質を燃焼させるように排気温度を制御するフィルタ再生制御を実行するフィルタ再生処理部と、を備える排気浄化装置の制御装置において、
    そのときに前記フィルタ内に堆積している可能性のある微粒子物質の量の上限である上限PM堆積量を算出する上限PM堆積量算出部を更に備え、
    前記PM堆積量算出部は、前記上限PM堆積量よりも前記PM堆積量算出値が大きいことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくする
    ことを特徴とする排気浄化装置の制御装置。
  2. 前記判定値を第1の判定値としたとき、
    前記PM堆積量算出部が、前記PM堆積量算出値が前記第1の判定値よりも小さな第2の判定値より大きいことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくする
    請求項1に記載の排気浄化装置の制御装置。
  3. 車両に搭載される前記内燃機関に適用される排気浄化装置の制御装置であり、
    前記PM堆積量算出部が、前回のフィルタ再生制御が完了したときからの走行距離が所定距離より長いことを条件に、前記PM堆積量算出値を小さくする
    請求項1又は2に記載の排気浄化装置の制御装置。
  4. 前記フィルタそのものによる圧力損失の大きさを示す値である基材圧損を算出する基材圧損算出部と、
    前記フィルタ内に堆積しているアッシュによる圧力損失の大きさを示す値であるアッシュ堆積圧損を算出するアッシュ堆積圧損算出部と、
    前記差圧検出部によって検出された差圧と前記アッシュ堆積圧損と前記基材圧損とを用いて、前記フィルタ内に堆積している微粒子物質による圧力損失の大きさを示す値であるPM堆積圧損を算出するPM堆積圧損算出部と、を有し、
    前記PM堆積量算出部が、前記PM堆積圧損から前記PM堆積量算出値を算出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気浄化装置の制御装置であって、
    前記PM堆積量算出部が、前記上限PM堆積量よりも前記PM堆積量算出値が大きいときに、前記アッシュ堆積圧損を増大させる補正を行うことで、前記PM堆積量算出値を小さくする
    ことを特徴とする排気浄化装置の制御装置。
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