本発明に係る遊技機の実施形態について、遊技機の一種である弾球遊技機の一例としてのパチンコ機100を説明し、その後に変形例や他の種類の遊技機を説明する。まず、パチンコ機100の実施形態について、構造的な構成、電気的な構成、各種の制御処理を順に説明する。
<構造的な構成>
まず、図1から図9を主に参照して、パチンコ機100の構造部分の構成について説明する。図1〜図4は、パチンコ機100の各種状態を示す斜視図であり、図1はパチンコ機100の閉鎖状態を示し、図2は外枠101に対して前ブロック102及び中間ブロック103が一体的に開放されている状態を示し、図3は中間ブロック103に対して前ブロック102が開放されている状態を示し、図4は中間ブロック103に対して後ブロック104が開放されている状態を示している。また、図5は、パチンコ機100の正面図であり、図6は、図5の状態からパチンコ機100の前ブロック102を取り外した状態を示している。なお、各図において各種の配線は省略されており、また、図3及び図6において遊技盤400の構成の一部は省略されている。
パチンコ機100は、例えば、図1〜図4に示すように、外枠101と、前ブロック102と、中間ブロック103と、後ブロック104とを備え、これら各部位を所定の操作により相対的に変位可能に構成されている。
外枠101は、パチンコ機100の本体部分を支持する本体支持手段としての機能を有している。外枠101は、例えば、図2に示すように、天板部111、底板部112、左側板部113及び右側板部114が組み付けられた略四辺形状の枠体であり、パチンコ機100を設置する遊技場に設けられた遊技機設置設備(島設備)に嵌め込まれると共に固定具(図示せず)によって強固に固定される。なお、パチンコ機100において外枠101は必須の構成ではなく、外枠101又は外枠101と同一の内形形状を有し、外枠101を除いたパチンコ機100の構成に相当する本体部分を支持する支持機構や、その本体部分を施錠する施錠機構の一部が島設備に備え付けられた構成としても良い。
外枠101における左右方向の一方側(左側板部113側)には、中間ブロック支持機構121,122が設けられている。この中間ブロック支持機構121,122によって外枠101と中間ブロック103とが接続(連結)され、パチンコ機100の本体部分が、パチンコ機100の正面視における左右方向の一端側(左側)を回動基端側とし、他端側(右側)を回動先端側として前方へ回動可能に構成されている。
中間ブロック支持機構121,122は、例えば、図1に示すように、外枠101の上端部と下端部とに離間して設けられている。中間ブロック支持機構121,122の各々は、例えば、外枠101に設けられる軸支持部によって、中間ブロック103に設けられる軸部が下側より支持され、軸支持部に設けられる軸孔に軸部が差し込まれた状態とされることにより、回動可能に構成されている。なお、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分を回動可能とする構成は、上記構成に限らず、中間ブロック103側に軸孔を設け、外枠101側に軸部を形成するなど、他の構成としても良い。
中間ブロック支持機構121,122には、所定の取り外し操作によって外枠101と中間ブロック103との接続状態を解除する機能が設けられ、中間ブロック103を含むパチンコ機100の本体部分が外枠101に対して取り外し可能に取り付けられている。例えば、外枠101に対して中間ブロック103を一定量以上開放し、且つ、上方側へ一定量移動させるという所定の取り外し操作をすることにより、外枠101に対する中間ブロック103の接続状態が解除される。これにより、外枠101に対してパチンコ機100の本体部分が取り外し可能とされている。
中間ブロック103に対して前側には、前ブロック102が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる前ブロック支持機構131,132によって中間ブロック103と前ブロック102とが接続されている。前ブロック支持機構131,132は、中間ブロック支持機構121,122と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して前ブロック102を前方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に構成されている。
中間ブロック103に対して後側には、後ブロック104が重なるようにして配置され、正面視左側に設けられる後ブロック支持機構136,137(図8参照)によって中間ブロック103と後ブロック104とが接続されている。後ブロック支持機構136,137には、中間ブロック支持機構121,122及び前ブロック支持機構131,132と同様の構成とされ、中間ブロック103に対して後ブロック104を後方へ回動可能に支持し、且つ、所定の取り外し操作により取り外し可能に支持する構成とされている。
また、パチンコ機100には、外枠101に対する中間ブロック103の開閉を規制する中間ブロック施錠機構と、中間ブロック103に対する前ブロック102の開閉を規制する前ブロック施錠機構と、中間ブロック施錠機構及び前ブロック施錠機構の解錠や施錠を行うために操作される錠操作機構とが設けられている。また、図3に示すように、中間ブロック103には、前ブロック102の開口を通してパチンコ機100の前面側に露出する錠操作機構としてのキーシリンダ141が設けられている。
キーシリンダ141に対する所定の操作として、操作キー(図示せず)による右回転操作をした場合には、中間ブロック103に設けられた中間ブロック施錠機構の可動部143が作動する。これにより、中間ブロック施錠機構の一部として外枠101に設けられた被係合部142と可動部143との係合が解除されて、中間ブロック103は外枠101に対して開閉許容状態となる。
一方、キーシリンダ141に対する所定の操作キーによる左回転操作に応じて、中間ブロック103に設けられた前ブロック施錠機構の可動部144が作動する。これにより、前ブロック施錠機構の一部として前ブロック102に設けられた被係合部145と可動部144との係合が解除されて、前ブロック102は中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103に対する後ブロック104の開閉を規制する後ブロック開閉規制機構が設けられている。この後ブロック開閉規制機構により、中間ブロック103に対して後ブロック104は、開閉が禁止された状態(開閉禁止状態)と開閉が許容された状態(開閉許容状態)とを所定の操作によって切り替え可能とされている。
後ブロック開閉規制機構は、例えば、図4に示すように、中間ブロック103に設けられる2つの開閉規制部150A,150Bと、後ブロック104に設けられる1つの開閉規制部150Cとによって構成されている。これら3つの開閉規制部150A〜150Cには、回転操作が可能な回動片151A〜151Cが設けられている。回動片151A〜151Cは、回転操作により、後ブロック104の閉鎖状態において前後に重なるように配置される開口部分との係合状態が変化し、これにより、開閉禁止状態に対応した開閉禁止姿勢と、開閉許容状態に対応した開閉許容姿勢とを切り替え操作可能とされている。全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢にすると各回動片151A〜151Cが開口を通過可能となって、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉許容状態となる。なお、開閉禁止姿勢及び開閉許容姿勢としては、開閉禁止状態と開閉許容状態が回動片151A〜151Cの位置及び向きの少なくともいずれかの変化により切り替えられれば良く、一定位置で回転のみする構成としても良いし、一定方向に移動する構成としても良いし、移動と回転との組合せにより動作する構成としても良い。以下、各装置における構成部材が複数の姿勢の間を移行する場合における姿勢の変化についても同様とする。
3つの回動片151A〜151Cのうち、それらの一部に相当する2つの回動片151A,151Bは、図2に示すように、後ブロック104の開閉禁止状態において後ブロック104に形成された開口を通してパチンコ機100の背面側に露出し、残り部分に相当する1つの回動片151Cは、図6に示すように、中間ブロック103の前側に露出している。このため、パチンコ機100の背面側、又は中間ブロック103の前面側といった一方側からの操作だけでは、全ての回動片151A〜151Cを開閉許容姿勢に切り替えることはできず、これにより、防犯性が高められている。
また、パチンコ機100には、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動を規制する遊技球移動規制機構が設けられている。遊技球移動規制機構は、例えば、図3及び図6に示すように、中間ブロック103に設けられた流下規制片161と、前ブロック102に設けられた規制変更部162との組合せにより構成され、前ブロック102が位置する前方側へ流下規制片161がコイルバネ(図示せず)により付勢される構成とされている。
中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖された状態(前ブロック102の閉鎖状態)においては、流下規制片161は、遊技球の流下を許容する移動許容状態とされ、具体的には、規制変更部162により中間ブロック103の後方側へ押圧されて押し込まれる。流下規制片161は、移動許容状態において中間ブロック103から前ブロック102に遊技球を誘導するための誘導通路(図示せず)に対して後側にずれて配置される。これにより、前ブロック102の閉鎖状態においては、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が許容される。
一方、中間ブロック103に対して前ブロック102が開放された状態(前ブロック102の開放状態)においては、規制変更部162による流下規制片161の押圧が解除され、前ブロック102の閉鎖状態に比べて流下規制片161が前ブロック102側へ突出する移動禁止状態とされる。流下規制片161は、移動禁止状態において誘導通路内に突出し、下流側への遊技球の流下を阻止する。これにより、中間ブロック103から前ブロック102への遊技球の移動が禁止される。
また、パチンコ機100には、図2に示すように、例えば中間ブロック103の後側であって回動先端側(背面視左側)における下端部に、外枠101に対して中間ブロック103が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ108が設けられ、また、図3に示すように、例えば中間ブロック103の前側であって回動先端側(正面視右側)における下端部に、中間ブロック103に対して前ブロック102が閉鎖されているか否かを検出する開閉検出スイッチ109が設けられている。
次に、前ブロック102、中間ブロック103及び後ブロック104の各構成について順に説明する。
前ブロック102は、図1及び図3に示すように、パチンコ機100の前面の略全体を形成し、前後方向に厚みを有する略長方形状の部材であり、パチンコ機100の前側表面部分を装飾する前面装飾手段としての機能を有している。前ブロック102は、合成樹脂製の基枠201を主体に構成され、基枠201の前後に複数の機能部品を取り付けて構成されている。基枠201の前面側には、パチンコ機100の前面を形成する前面装飾体210が、前ブロック102の正面視中央部分を含んで形成される開口210Aの外縁に沿って開口210Aを囲った状態にして取り付けられている。前ブロック102を構成する基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態においては、前面装飾体210が取り付けられた外周部を除いた広範囲にわたって開口210Aが前後方向に貫通形成される。この開口210Aを通じて、前ブロック102の後側に位置する遊技盤400を含む中間ブロック103が遊技者から視認可能に構成されている。
また、前ブロック102には、図1及び図3に示すように、開口210Aを塞ぐように基枠201の背面側に設けられた中央パネル220と、遊技球を貯留する主貯留機構230と、遊技球を貯留する補助貯留機構240と、主貯留機構230に貯留されている遊技球を発射するために遊技者によって操作される発射操作装置250とを備えている。
また、前ブロック102には、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の一部として、開口210Aの周縁を囲う開口周縁部211と、開口210Aに対して下側において前方に突出する上側突出部217と、上側突出部217に対して下側に位置して前方に突出する下側突出部218と、下側突出部218の右側であって上側突出部217及び下側突出部218より奥側に位置する概ね平坦な領域で構成されて発射操作装置250が配置される平坦部219とが形成されている。上側突出部217には、主貯留機構230が配置され、下側突出部218には、補助貯留機構240が配置される。
中央パネル220は、基枠201と前面装飾体210とを組み合わせた状態において前後方向に貫通形成される開口210Aを塞ぎつつ後方側を視認可能とするカバー体としての機能を有している。中央パネル220は、例えば、図1及び図3に示すように、基枠201の後方側から取着されるパネル枠221(図3参照)と、パネル枠221の前側に嵌め込まれた光透過性の前方板222(図1参照)と、パネル枠221の後側に前方板222と所定の間隙を隔てて略平行に嵌め込まれた光透過性の後方板223(図3参照)とを備えている。
主貯留機構230は、遊技進行に応じて獲得した遊技球や、遊技場から貸し出された遊技球を貯留する機能を有している。主貯留機構230は、例えば、図1に示すように、貯留部231と、球抜き機構(図示せず)と、その球抜き機構を作動させる球抜き操作部材232とを備えている。貯留部231には、パチンコ機100の内部から貯留部231へ遊技球を流入させる流入口231Aと、貯留部231からパチンコ機100の内部へ遊技球を流出させる流出口(図示せず)と、流出口より上流側に形成される放出口(図示せず)とが設けられている。この放出口の開放により貯留部231から遊技球がパチンコ機100の内部に取り込まれることなく遊技者側に放出される。球抜き機構は、遊技球の放出先を、流出口と放出口との間で切り換える機能を有している。
遊技進行に応じて獲得した遊技球や、後述する貸出操作装置292に対する貸出操作に応じて貸し出された遊技球は、主に流入口231Aを通して貯留部231に流入する。また、貯留部231は、上方側に開口形成されており、この開口部分を通じて、遊技者が所有する遊技球が手操作により投入されたり、遊技場において貸し出される遊技球が供給されたりする。
貯留部231に流入した遊技球は一列に整列させられながら流出口及び放出口の形成されている側(図1の右上側)へ順次に案内される。球抜き操作部材232に対する球抜き操作(例えば、押下操作)が行われていない場合には遊技球は流出口を通して後述する発射装置330(図3参照)に誘導される。一方、球抜き操作部材232に対する球抜き操作が行われている場合には、遊技球は放出口を通して補助貯留機構240(図1参照)に誘導される。
補助貯留機構240は、図1及び図5に示すように、遊技球の流入口241A,241C(図5参照)及び放出口241B(図1参照)を有する貯留部241と、放出口241Bを開閉させる球抜き機構243と、その球抜き機構243を作動させる球抜き操作部材242とを備えている。遊技進行に応じて獲得した遊技球等は主に主貯留機構230に流入するが貯留部231が満杯であれば流入口241Aを通して貯留部241に流入する。また、球抜き操作部材232に対する球抜き操作に応じても、遊技球は流入口241Cを通して貯留部231から貯留部241に流入する。
貯留部241の底面は放出口241Bに向けて下降傾斜している。球抜き操作部材242に対する球抜き操作(例えば、押圧操作)によって放出口241Bを開放すると、貯留部241に貯留されている全ての遊技球を順次にパチンコ機100の外部に放出できる。なお、球抜き操作部材242に対する球抜き操作によって放出口241Bが完全に開放された場合には、球抜き操作部材242に対する復帰操作(例えば、再度の押圧操作)がなされるまで、その開放状態に維持される。流入口241Aの奥方には貯留部241に過剰に遊技球が貯留されているか否かを検出する球溢れスイッチ249(図10参照)が設けられている。
発射操作装置250は、図1及び図5に示すように、前面装飾体210の平坦部219から前方に突出する台座251と、台座251の周囲に設けられた回動自在な発射ハンドル252と、発射ハンドル252の回転操作量を検出する可変抵抗器253(図10参照)と、発射ハンドル252に遊技者が接触していることを検出する接触センサ254(図10参照)と、発射ハンドル252の回転操作に伴う遊技球の射出を遊技者の操作によって無効化する発射停止スイッチ255(図5参照)とを含んでいる。遊技者によって発射ハンドル252が回転操作されると、その回転操作量に対応する強度で発射装置330(図3参照)から遊技球が遊技盤400(図3参照)に向けて射出される。なお、接触センサ254によって発射ハンドル252と遊技者との接触が検出されていない場合や、発射停止スイッチ255の操作によって発射操作が無効化されている場合には、発射ハンドル252が回転操作されていても発射装置330から遊技球は射出されない。
また、前ブロック102における前面装飾体210の奥方には、枠発光装置271〜275(図10参照)が設けられている。枠発光装置271〜275は、前面装飾体210の開口周縁部211に対して奥側に重なるようにして配置され、基枠201に取り付けられている。開口周縁部211は、図5に示すように、上側中央縁部211Aと、上側中央縁部211Aに対して左右両側に位置する左上側縁部211B及び右上側縁部211Cと、左上側縁部211Bに対して下側に位置する左側縁部211Dと、右上側縁部211Cに対して下側に位置する右側縁部211Eとを発光部として有し、それぞれの発光部に対応して枠発光装置271〜275が設置されている。
枠発光装置271〜275は、上側中央縁部211Aに対応する上中央枠発光装置271と、左上側縁部211Bに対応する左上枠発光装置272と、右上側縁部211Cに対応する右上枠発光装置273と、左側縁部211Dに対応する左側枠発光装置274と、右側縁部211Eに対応する右側枠発光装置275(図10参照)とにより構成されている。枠発光装置271〜275の各々は、1又は複数の発光手段としての発光ダイオード(LED)と、LEDを制御するための抵抗等の電子部品と、これら電子部品を一体化して電気的に接続するプリント基板とを有している。
また、前ブロック102には、図5に示すように、例えばその開口周縁部211の上部に、左上音響出力口211Fと、右上音響出力口211Gとが設けられ、また、それら左上音響出力口211F及び右上音響出力口211Gのそれぞれに対応して左上音響装置281及び右上音響装置282(図3及び図10参照)が設けられている。左上音響装置281及び右上音響装置282は、前面装飾体210の開口周縁部211の奥方(後方)に位置するようにして基枠201に取り付けられている。
また、前ブロック102には、図1に示すように、例えば上側突出部217の上面右側部分に、遊技球貸出装置290が設けられている。遊技球貸出装置290は、パチンコ機100に並んで配置されるカードユニット(図示せず)に投入された紙幣やカード等の残額に応じた数値を表示する度数表示装置291と、遊技球の貸し出しを受ける際に遊技者によって操作される貸出操作装置292と、カードユニットに投入された紙幣やカード等を返却させる際に遊技者によって操作される返却操作装置293とを含んでいる。カードユニットに紙幣やカード等を投入して、それらの金額に対応する数値が度数表示装置291に表示されている有効状態において、貸出操作装置292に対して貸出操作が行われると、貸出操作に応じて所定の個数の遊技球が後ブロック104の払出装置540(図8参照)から貸し出され、遊技球の貸し出しに伴って度数表示装置291の表示が更新される。一方、有効状態において返却操作装置293に対して返却操作が行われると、返却操作に応じて残額に対応する紙幣の等価物や残額を記録したカードがカードユニットから返却される。
また、前ブロック102には、図1に示すように、遊技者によって発射操作とは別の入力操作が可能な入力操作装置260が設けられている。入力操作装置260は、例えば、押込操作が可能な押圧操作装置261と、回転操作が可能な回転操作装置262と、上下左右の方向操作が可能な選択操作装置263とを備えている。これら操作装置261〜263により、パチンコ機100において実行される演出を選択する演出選択操作や、パチンコ機100の演出を実行する各装置の音量や光量を設定する装置設定操作、或いは、遊技者に関する情報を入力して前回以前の遊技に応じたパチンコ機100の演出を実行可能とする演出設定操作等が実行可能とされ、これら操作を必要に応じて遊技者や遊技場の管理者が実行可能とされている。なお、入力操作装置260において遊技者が接触する入力操作部(例えば、回転操作装置262における円環状の回転操作部)は、モータやソレノイド等の入力操作部駆動手段によって回転、上下動、又は、振動等の動作がパチンコ機100の制御(例えば、副制御基板940(図10参照)の制御)により実行可能に構成されることが好ましく、入力操作の前後、又は、入力操作中のいずれか又は複数のタイミングで入力部分を動作させることにより、入力操作を積極的に促すなど入力操作を伴う演出を多様にすることができる。
次に、中間ブロック103について説明する。中間ブロック103は、前ブロック102と略同一サイズの略長方形状をした部材であり、前ブロック102と後ブロック104とが取り付けられることにより、パチンコ機100の本体部分を一体化した状態にする機能を有している。中間ブロック103は、基枠301に対して遊技盤400を含む複数の機能部品を取り付けて構成されている。
中間ブロック103は、図3及び図4に示すように、開口を有する基枠301と、基枠301の開口を覆いつつ前面側より取着される遊技盤400(図3参照)と、基枠301に対して遊技盤400を回動自在及び着脱自在に支持する遊技盤支持機構と、基枠301に対して遊技盤400の位置を固定する遊技盤固定機構と、遊技盤400に遊技球を射出する発射装置330(図3参照)と、遊技盤400の背面側に装着されて遊技進行を統括的に制御する主制御装置370(図4参照)と、主制御装置370からの命令に基づいて遊技演出や状態報知を制御する副制御装置390(図4参照)とを備えている。
基枠301には、図3に示すように、後述する払出装置540(図8参照)から放出された遊技球を前ブロック102に誘導する誘導通路が内部に形成される誘導通路部301Aと、複数の配線(図示せず)や信号中継装置311が位置する開孔301Bとが設けられている。開孔301Bは、遊技盤400より下側において前後方向に貫通する形状をなし、開孔301Bに挿通される複数の配線は、前ブロック102に設けられる種々の装置(例えば、枠発光装置271〜275、左上音響装置281及び右上音響装置282)と、中間ブロック103の背面側や後ブロック104に設けられる装置(例えば、主制御装置370や副制御装置390)とを電気的に接続するための配線を含み、信号中継装置311は、その配線の一部を中継する中継基板としての機能を有している。
遊技盤400は、図3に示すように、排出口401A等の遊技球が前後に通過可能な貫通孔を有する平板状の基体401と、基体401の左下から右上に亘り滑らかに湾曲する外レール402と、基体401の右下から左上に亘り滑らかに湾曲する内レール403と、内レール403の左上側の先端に取着された戻り球防止機構404と、外レール402の右上側の先端に取着される反跳防止部材405とを備えている。外レール402は、後述する発射装置330から発射された遊技球を遊技領域内へ誘導するものである。戻り球防止機構404は、外レール402及び内レール403が平行に対向する間部分で形成される発射通路401Bから遊技領域内へ一旦放出された遊技球が発射通路401Bに戻ることを防止する。反跳防止部材405は、遊技盤400の上部中央を越えて右側に向かった遊技球が再び上部中央を経由して左側に戻るような遊技球の大幅な反跳を防止する衝撃吸収性を有し、例えば、制振ゴム等の材料により形成されている。
前ブロック102の背面側下部には、図3に示すように、戻り球通路部163が形成されている。発射装置330から発射通路401Bの方向へ遊技球を誘導する誘導部材335と外レール402との間には間隙があり、発射装置330から発射されたが戻り球防止機構404を超えるに至らず発射通路401Bを逆戻りする遊技球は、この間隙の下方に配置される戻り球通路部163を介して流入口241A(図5参照)から補助貯留機構240(図5参照)に返却される。
戻り球防止機構404を超えて進行した遊技球は、遊技領域に到達し、遊技領域内を自重により落下しながら移動(流下)する。遊技領域は、略円形状の外周形状をなし、遊技球の直径より僅かに大きな前後幅を有する領域を大部分とする形状に区画されている。遊技領域は、概ね、外レール402及び内レール403とで外周部分が区画され、前側が中央パネル220の後方板223によって略平面状に区画され、後側が遊技盤400の基体401によって略平面状に区画されている。なお、遊技領域に設けられる各種の構造物については後述する。
発射装置330は、図3に示すように、主貯留機構230に貯留されている遊技球を順次に発射位置に送り出す球送り機構331と、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332(図10参照)と、発射位置に配置された遊技球を射出する発射機構333と、発射機構333を駆動する発射ソレノイド334(図10参照)と、発射機構333から発射された遊技球を遊技盤400の発射通路401Bに誘導する誘導部材335とを備えている。発射装置330は、上述のように発射操作装置250に対する発射操作に応じて作動し、発射操作装置250に対する発射操作に応じて発射ソレノイド334の駆動制御が変化して発射力が調整される。
主制御装置370は、図4に示すように、主制御基板920(図10参照)と、主制御基板920を収容する2つ割り構造の基板ケース371とを備えている。主制御基板920は、痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース371の内部に収容されている。
また、主制御装置370は、遊技盤400の背面側に回動自在に取り付けられている。具体的には、遊技盤400の基体401に対して背面側に取り付け部372が回動可能に連結固定され、その取り付け部372に主制御装置370が取り付けられている。これにより、主制御装置370の背面側(表面側)だけでなく、取り付け部372を回動操作することで主制御装置370の前面側(裏面側)も、遊技盤400に主制御装置370を取り付けたままで容易に確認可能とされている。取り付け部372に対して主制御装置370は、痕跡を残さずには取り外しできないように連結しても良く、主制御装置370の取り外し状況を管理し易くしても良い。
副制御装置390は、副制御基板940(図10参照)と、副制御基板940を収容する2つ割り構造の基板ケース391とを備えている。副制御基板940は、例えば、主制御基板920と同様に痕跡を残さずには開封できないように封止された透光性を有する基板ケース391の内部に収容された状態にして遊技盤400の背面側に取り付けられている。
ここで、遊技盤400において、遊技領域に配置される各種の構造物について、図7を主に参照して説明する。図7は、遊技盤400の正面図である。
遊技盤400は、図7に示すように、基体401と、遊技球の流下方向や流下速度に変化を与える釘411や風車412等の流下変化部材と、基体401の概ね中央に配置された中央構造体420と、中央構造体420に対して下側に配置された第1特別図柄に係る始動装置(具体的には、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)と、中央構造体420に対して右下側に配置された第2特別図柄に係る始動装置(具体的には、右始動入賞装置432)と、右始動入賞装置432の下方に配置された大入賞装置433,434(具体的には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434)と、右始動入賞装置432の上側(上流側)に配置された普通図柄に係る始動装置436と、遊技盤400の右上側であって上下の大入賞装置433,434に対して上方(上流側)に配置された役連作動装置435と、下側中始動入賞装置431Bの左右両側に配置された一般入賞装置439A,439Bとを備えている。
また、遊技盤400には、上記した上側中始動入賞装置431A等に対応して遊技球の通過を検出する検出手段としてのスイッチが複数設けられており(図10参照)、各スイッチに対応した所定領域への遊技球の進入が検出可能とされている。例えば、上側中始動入賞装置431Aに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(上側中始動入賞スイッチ441A)、下側中始動入賞装置431Bに進入した遊技球を検出する中始動入賞スイッチ(下側中始動入賞スイッチ441B)、右始動入賞装置432に進入した遊技球を検出する右始動入賞スイッチ442、下大入賞装置433に進入した遊技球を検出する下大入賞スイッチ443、上大入賞装置434に進入した遊技球を検出する上大入賞スイッチ444、役連作動装置435に進入した遊技球を検出する役連作動スイッチ445、始動装置436に進入した遊技球を検出する始動スイッチ446、下大入賞装置433の内部に形成された非特定通路TB(図32(A)参照)に進入した遊技球を検出する非特定通路スイッチ447、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路TA(図32(A)参照)に進入した遊技球を検出する特定通路スイッチ448、一般入賞装置439A,439Bに進入した遊技球を各々検出する一般入賞スイッチ449A,449B等が遊技盤400に設置されている。
中央構造体420及び始動装置436の遊技球の入口部分は入球口を構成し、各入球口に進入した遊技球は遊技領域に放出される。各入賞装置、具体的には、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433、上大入賞装置434及び一般入賞装置439A,439Bの遊技球の入口部分は入賞口を構成し、各入賞口に進入した遊技球は基体401に形成された貫通孔を通して基体401の背面側に形成された回収排出通路(図示せず)に案内される。また、各入賞装置に進入しなかった遊技球は、遊技領域の最下流側部分に設けられる排出口401Aを通して回収排出通路へ案内される。回収排出通路に案内された遊技球は、パチンコ機100から遊技場に設けられた遊技球循環装置(図示せず)に排出される。いずれかの入賞装置に遊技球が進入した場合には、入賞装置の種類に応じた所定の個数の遊技球が払出装置540(図8及び図9参照)から払い出される。なお、各入賞装置は、他の入賞装置と別々に構成されても良いし、2以上の入賞装置(例えば、上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B)が一体化された装置によって入賞装置が構成されても良く、また、上側中始動入賞装置431A等の始動装置については必ずしも遊技球が進入した場合に所定の個数の遊技球が払い出される入賞口とする必要はなく、遊技球が払い出されることなく遊技領域に再び放出される入球口としても良い。
第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A及び下側中始動入賞装置431B、並びに、一般入賞装置439A及び一般入賞装置439Bの各々は、それらへの遊技球の進入確率を変化させず、進入した遊技球を基体401の背面側へ誘導する。また、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、その内部への遊技球の進入確率を変化させる機構を有している。なお、遊技球の進入確率を変化させる機構は、第2特別図柄に係る始動装置のみに設ける必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、第1特別図柄に係る始動装置、一般入賞装置439A,439Bのいずれか又は複数に設けても良い。また、遊技球の進入確率を変化させる機構は、電気的に駆動されるソレノイド等の駆動手段により構成しても良いし、所定領域へ入球した遊技球の自重により動作する機構に代表される機械的に動作する機構により構成しても良い。
第2特別図柄に係る右始動入賞装置432は、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入確率を変化させる右進入規制機構452と、右進入規制機構452を駆動する右進入規制ソレノイド462(図10参照)とを備えている。右進入規制機構452は、右進入規制ソレノイド462によって駆動される2つの可動片を備えており、右進入規制機構452が進入禁止姿勢である場合には、2つの可動片が進入口(入賞口)を狭窄する(又は閉鎖する)配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できないが、右進入規制機構452が進入許容姿勢である場合には、2つの可動片がそれらの先端部の間隔が拡大するような配置をとることによって遊技球は右始動入賞装置432に進入できるようになる。右進入規制機構452は、普通図柄に係る始動装置436へ進入した遊技球が始動スイッチ446で検出されることに基づく抽選(以下において「普通図柄抽選」とも称す)で当選した場合に、右進入規制ソレノイド462による駆動に応じて所定の回数及び所定の時間だけ進入許容姿勢に移行する。
下大入賞装置433には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する下進入規制機構453と、下進入規制機構453の姿勢を変化させる下進入規制ソレノイド463(図10参照)と、非誘導姿勢と誘導姿勢との間の移行によって、下大入賞装置433に進入した遊技球を非特定通路TB又は特定通路TAに振り分け、特定通路TAに対して進入許容姿勢と進入禁止姿勢とをとる振分機構601と、振分機構601の姿勢を変化させて遊技球の誘導先を切り換える切換ソレノイド465(図10参照)とが設けられている。下大入賞装置433の下進入規制機構453が進入禁止姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できないが、下進入規制機構453が進入許容姿勢である場合には、下進入規制機構453が進入口を開放することによって遊技球は下大入賞装置433に進入できるようになる。また、下大入賞装置433に進入した遊技球は、振分機構601が前方に突出する非誘導姿勢である場合には非特定通路TBに案内され、振分機構601が後方に没入する誘導姿勢である場合には特定通路TAに誘導される。特定通路TA、非特定通路TB及び振分機構601は、遊技状態の移行を多様にするために設けられ、特定通路TAへ遊技球が進入した場合には、遊技者に特典として有利な遊技状態が付与される。
上大入賞装置434には、図7に示すように、進入許容姿勢と進入禁止姿勢との間の移行によって、その内部への遊技球の進入を規制する上進入規制機構454と、上進入規制機構454の姿勢を変化させる上進入規制ソレノイド464(図10参照)とが設けられている。上進入規制機構454が進入禁止姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口(入賞口)を閉鎖することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できないが、上進入規制機構454が進入許容姿勢である場合には、上進入規制機構454が進入口を開放することによって遊技球は上大入賞装置434に進入できるようになる。
なお、右進入規制機構452等の内部への遊技球の進入確率を変化させる機構としての進入許容姿勢及び進入禁止姿勢としては、各機構を構成して各装置の入賞口(又は入球口)に遊技球が進入可能な特別状態と、遊技球が進入不能な通常状態とを切り替える動作部材の姿勢変化に対応し、各姿勢に応じて動作部材の位置及び向きの少なくともいずれかが異なるものであれば良い。また、右進入規制機構452等の遊技球の進入確率を変化させる機構として、遊技球が進入不能な状態を通常状態とする必要は必ずしもなく、通常状態においても遊技球の進入を許容し、特別状態においては通常状態より遊技球が進入し易い状態に動作部材の姿勢が変化する構成としても良い。
下大入賞装置433及び上大入賞装置434には、大当りの抽選に当選した場合に遊技球が進入可能となる。具体的には、第1特別図柄に係る上側中始動入賞装置431A若しくは下側中始動入賞装置431Bへ進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A若しくは下側中始動入賞スイッチ441Bで検出されることに基づく抽選(以下において「第1特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合、又は、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432へ進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442で検出されることに基づく抽選(以下において「第2特別図柄抽選」とも称す)に当選した場合には、下進入規制ソレノイド463又は上進入規制ソレノイド464の少なくとも一方が作動する。この作動によって所定の回数に亘り所定の時間だけ下進入規制機構453又は上進入規制機構454の少なくとも一方が進入許容姿勢をとる。また、振分機構601は、下進入規制機構453の進入許容姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の作動に応じて誘導姿勢に移行し、更に誘導姿勢への移行から所定の時間後に切換ソレノイド465の停止に応じて非誘導姿勢に戻る。
役連作動装置435は、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が作動を開始するために必要な条件を設定するための装置である。大当りの抽選に当選した後には、役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する。このため、遊技者は、大当りに当選した場合、自らの意図するタイミングで特別遊技状態を開始させることができる。なお、必ずしも役連作動装置435の遊技球の通過を条件として、下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成とする必要はなく、それに代えて、又は、それに加えて、予め定めた時間の経過により下大入賞装置433又は上大入賞装置434のいずれかが作動を開始する構成としても良い。
また、遊技盤400には、図7に示すように、図柄の変動表示や抽選結果を表示する表示装置471〜473と、遊技の保留回数を表示する表示装置476〜478とが一体化された複数の発光部を有する表示器が、遊技盤400の一部に相当する左下部分に設けられている。複数の発光部は、各装置に対応する発光領域に予め区画され、各装置の状態が発光状態によって表示される。
具体的には、遊技盤400には、第1特別図柄抽選に伴って、第1特別図柄を変動表示したり、第1特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471と、第2特別図柄抽選に伴って、第2特別図柄を変動表示したり、第2特別図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472と、第1特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置476と、第2特別図柄に係る単位遊技の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置477とが設けられている。第1特別図柄に係る単位遊技の権利及び第2特別図柄に係る単位遊技の権利はそれぞれ最大4回まで保留される。ここで、単位遊技とは、1回の始動入賞に基づいて実行される1回分の遊技であり、1回の始動入賞に基づいて実行される抽選の当否判定と、その当否判定に基づいた抽選結果を表示するまでの変動表示の開始から終了までを含む一連の遊技をいう。
第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動入賞装置431に進入した遊技球が上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)又は下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)によって検出されたとしても第1特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。同様に、第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合に、右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442(図10参照)によって検出されたとしても第2特別図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の各々は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。第1特別図柄の表示及び第2特別図柄の表示の各々は、複数の発光部の発光パターン(発光色を含む発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せ)によって表現される。第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、普通図柄抽選に伴って、普通図柄を変動表示したり、普通図柄を抽選結果に応じた停止図柄で確定表示したりする普通図柄表示装置473と、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留回数を表示する普通図柄保留表示装置478とが設けられている。普通図柄に係る単位遊技の権利は最大4回まで保留される。普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されている場合には、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出されたとしても普通図柄に係る単位遊技の権利は追加されない。
普通図柄表示装置473は、複数の発光部で構成されており、主制御基板920(図10参照)によって制御される。普通図柄は、複数の発光部の発光パターンによって表現される。また、普通図柄保留表示装置478は、2個の単色の発光部の発光状態(消灯、点灯、点滅)の組合せによって保留回数を表示する。
また、遊技盤400には、中央構造体420の後方に重なるようにして、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技において、装飾図柄を変動表示したり、装飾図柄を確定表示したりする装飾図柄表示装置479が設けられている。装飾図柄の変動表示及び確定表示は、副制御基板940により制御され、主制御基板920による第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と同期している。装飾図柄の変動表示においては、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示よりも複雑かつ多様な演出が実行される。なお、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示及び確定表示と装飾図柄の変動表示及び確定表示とは、必ずしも完全に一致するタイミングで変動開始したり、確定表示として停止表示をしたりする必要はなく、各タイミングに僅かな時間差を設けつつ略同じタイミングで変動を開始し、略同じタイミングで確定表示が行われる設定としても良い。
また、遊技盤400は、各種の構造物の裏側に設けられた盤面発光装置490(図10参照)を備えており、盤面発光装置490は、副制御基板940による制御に基づいて遊技進行に伴う各種の発光演出や発光による状態報知を実行する。
ここで、各種の遊技状態及び遊技状態間の移行について説明する。通常時の遊技状態(以下において「通常遊技状態」とも略記する)は、第1特別図柄、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が長い状態(以下において「非時短状態」とも称す)に対応する。
第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、その当選に基づいて移行する特別遊技状態中に遊技球が特定通路TA(下大入賞装置433の内部通路)へ進入するか否かに対応して、特別遊技状態後に移行する遊技状態が異なる。特別遊技状態中に遊技球が特定通路TAへ進入しなかった場合には、第1特別図柄抽選、第2特別図柄及び普通図柄の変動表示時間が非時短状態よりも短い状態(以下において「時短状態」とも称す)であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態と同一の状態(以下において「低確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「時短遊技状態」とも称す)へ移行する。一方、特別遊技状態中に遊技球が特定通路TAへ進入した場合には、時短状態であって、かつ、第1特別図柄抽選及び第2特別図柄抽選における大当りの当選確率が通常遊技状態より高い状態(以下において「高確率状態」とも称す)である遊技状態(以下において「確変遊技状態」とも称す)へ移行する。
時短遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、50回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。また、確変遊技状態は、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る単位遊技の総数が所定の回数(例えば、100回)となるまで維持されるが、その後は通常遊技状態に戻る。
なお、遊技状態及び遊技状態間の移行について、必ずしも上述した構成とする必要はなく、例えば、高確率状態が次回の大当りの当選まで継続する構成としても良いし、他の内容によって上記遊技状態の少なくとも1つを構成しても良いし、上述した各遊技状態とは別の遊技状態を更に含む構成としても良いし、上述した条件とは異なる条件によって遊技状態間が移行する構成としても良い。
次に、遊技盤400の主要な装置の動作について概ね時系列に沿って説明する。主制御基板920においては、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄で共通)に係る当選乱数、大当り図柄乱数、停止パターン乱数、各種の変動パターン乱数が生成されており、各種の遊技状態において第1特別図柄に係る始動入賞装置431A,431Bのいずれかに進入した遊技球が中始動入賞スイッチ441A,441B(図10参照)のいずれかによって検出された場合に第1特別図柄の始動入賞となる。第1特別図柄の始動入賞時に、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていない場合には、特別図柄に係る当選乱数、大当り図柄乱数及び停止パターン乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。
第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、特別遊技状態中でなく、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中でもなく、第1特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されていない場合には、それらの乱数の格納の直後に開始される。また、特別遊技状態中でない場合であっても、第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技中や第1特別図柄又は第2特別図柄に係る単位遊技の権利が保留されている場合には、今回の入賞より前に保留されていた全ての特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)に係る単位遊技の終了後に、今回の始動入賞に基づく単位遊技が開始される。特別遊技状態中に第1特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その乱数による単位遊技は、特別遊技状態後において今回の始動入賞より前に保留されていた全ての特別図柄に係る単位遊技の後に開始される。
また、第1特別図柄の始動入賞に基づいて取得された乱数による単位遊技は、第2特別図柄に係る全ての単位遊技の終了後に開始される。すなわち、今回の始動入賞の後に第2特別図柄の始動入賞に基づいて各乱数が取得された場合には、その第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が優先して実行される。なお、必ずしも第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技が第1特別図柄に係る単位遊技に優先して実行される構成とする必要はなく、始動入賞の順に第1特別図柄と第2特別図柄に係る単位優位制御が実行される構成であっても良いし、2つの特別図柄が択一的でなく同時に変動可能な構成であっても良い。
第1特別図柄の始動入賞に基づく第1特別図柄抽選において大当りに当選している場合には、更に、取得された大当り図柄乱数に基づいて第1特別図柄抽選の大当り当選に対応する停止図柄(大当り図柄)の種類が決定される。この停止図柄の種類と大当りの種類とが対応し、例えば、下進入規制機構453又は上進入規制機構454が進入許容姿勢をとる回数に相当するラウンド数(例えば、6ラウンドと16ラウンド)や、特別遊技状態後に移行する遊技状態(確変遊技状態へ移行させるか否か)といった遊技状態の種類に対応して大当りの種類が複数種類設定され、その種類毎に大当り図柄が設定されている。第1特別図柄抽選において大当りに当選しなかった場合には、大当り図柄とは別のハズレ図柄が停止図柄として設定される。
第1特別図柄抽選の後に、現在の遊技状態、抽選結果、停止パターン乱数の値、各種の変動パターン乱数の値、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留回数に基づいて、第1特別図柄の変動表示時間が決定されると共に、装飾図柄の変動パターンが選択される。その後、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471における第1特別図柄の変動表示及び装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動表示(変動演出)が開始され、第1特別図柄にあっては変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、装飾図柄にあっては変動表示時間に亘って変動パターンに従った変動表示が継続される。その後、変動表示時間の経過に伴って、第1特別図柄に係る停止図柄が確定表示され、また、装飾図柄として第1特別図柄の停止図柄に対応する図柄が確定表示される。第1特別図柄及び装飾図柄の確定表示は少なくとも所定の一定時間に亘って継続される。
第1特別図柄に係る停止図柄が大当り図柄である場合には、第1特別図柄の確定表示後に、遊技状態は特別遊技状態に移行する。特別遊技状態においては、下大入賞装置433の下進入規制機構453及び上大入賞装置434の上進入規制機構454が、大当りの種類に応じた所定の順序で所定の回数だけ進入許容姿勢となる。下進入規制機構453及び上進入規制機構454における各回の進入許容姿勢中において、所定の個数(例えば、8個)の遊技球が大入賞スイッチ443,444によって検出された場合、又は、所定の最大進入許容時間(例えば、29.5秒)が経過した場合には、下進入規制機構453又は上進入規制機構454は進入禁止姿勢に移行する。その後、所定の進入禁止時間の経過後に、再度、下進入規制機構453又は上進入規制機構454のいずれかが進入許容姿勢に復帰する。この進入規制動作が大当りの種類に対応した所定の順序で所定の回数だけ繰り返される。
下進入規制機構453及び上進入規制機構454は、特別遊技状態中においていずれか一方のみが進入許容姿勢をとる構成とされ、特別遊技状態の開始から所定の待機時間が経過した後(オープニング期間後)に初回の進入許容姿勢に一方が移行する。また、最終回の進入禁止姿勢への復帰から所定の進入禁止時間が経過し、更にその後に所定の待機時間が経過した後(エンディング期間後)に特別遊技状態は終了する。特別遊技状態の終了後には、上述のように、時短遊技状態又は確変遊技状態に移行する。
各種の遊技状態において、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432に進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合に第2特別図柄の始動入賞となる。第2特別図柄の始動入賞に基づく単位遊技の制御は、上述した第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。すなわち、第2特別図柄の始動入賞時に第2特別図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、特別図柄に係る各乱数が取得されて、この始動入賞に基づく単位遊技が実行される。また、第2特別図柄抽選に応じた停止図柄の決定、装飾図柄の変動パターンの選択、変動表示の実行、及び、遊技状態の移行制御等についても、第1特別図柄に係る制御と同様に実行される。
各種の遊技状態において、始動装置436に進入した遊技球が始動スイッチ446によって検出された場合、普通図柄に係る単位遊技の権利が最大回数まで保留されていなければ、普通図柄に係る当選乱数が取得されて、主制御基板920のRAMの所定の領域に格納される。このとき、普通図柄に係る単位遊技中でなければ、その格納の直後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。一方、普通図柄に係る単位遊技中であれば、既得の普通図柄に係る単位遊技の権利に基づく単位遊技の終了後に、その取得された普通図柄に係る単位遊技が開始される。
普通図柄に係る単位遊技においては、当選乱数の値に基づいて当選したか否かが判定され、当選した場合には、停止図柄として所定の当り図柄が設定される。一方、普通図柄抽選において当選しなかった場合には、停止図柄として所定のハズレ図柄が設定される。普通図柄抽選後に、普通図柄表示装置473において普通図柄の変動表示が開始され、非時短状態にあっては所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続され、時短状態にあっては非時短状態よりも短い所定の変動表示時間に亘って一定のパターンによる変動表示が継続される。遊技状態に応じた所定の時間の経過に伴って、普通図柄に係る停止図柄が一定時間に亘って確定表示される。
普通図柄に係る停止図柄が当り図柄である場合には、普通図柄の確定表示後に、右始動入賞装置432の右進入規制機構452が少なくとも1回は進入許容姿勢に移行する。具体的には、非時短状態(通常遊技状態及び特別遊技状態)において当選した場合には、右始動入賞装置432が所定の最大進入許容時間(例えば、略0.1秒)に亘って進入許容状態へ移行し、時短状態(時短遊技状態及び確変遊技状態)における当選の場合には、右始動入賞装置432が非時短状態の場合より長い所定の最大進入許容時間(例えば、略4.8秒)に亘って間欠的に(例えば、3回に分けて)進入許容姿勢に移行する。但し、所定の個数(例えば、10個)の遊技球が右始動入賞スイッチ442によって検出された場合には、右進入規制機構452は最大進入許容時間の経過を待たずに進入禁止姿勢に移行し、また、進入許容姿勢への移行回数が所定の回数に到達していなくても、今回の普通図柄に係る単位遊技における右始動入賞装置432の動作が終了する。
次に、本実施形態のパチンコ機100の遊技性について説明する。第2特別図柄抽選を受けるためには、まず、普通図柄抽選において当選しなければならず、更に、その当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態において遊技球が右始動入賞装置432へ進入しなければならない。通常遊技状態における普通図柄に係る当りの当選確率は時短遊技状態における当選確率と同一であるが、通常遊技状態における当りの当選に基づく右始動入賞装置432の進入許容状態の滞在時間(例えば、略0.1秒)が時短状態における滞在時間(例えば、略4.8秒)に比べて極めて短く設定されているために、通常遊技状態において、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に小さい。逆に、時短遊技状態や確変遊技状態等の時短状態においては、第2特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会は、第1特別図柄抽選を受けられる単位時間当りの機会よりも大幅に大きい。
したがって、遊技者は、第1特別図柄抽選において大当りに当選し、その後の特別遊技状態において遊技球を特定通路TAへ進入させることによる確変遊技状態への移行を目指して遊技する。一方、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、各遊技状態が終了する前に第2特別図柄抽選において大当りに当選することを目指して遊技する。
具体的には、遊技盤400には、遊技球が流下する遊技領域の中央部に中央構造体420が設けられ、主に中央構造体420の左側から遊技球を流下させる遊技手法(左打ち遊技手法)と、主に中央構造体420の右側から遊技球を流下させる遊技手法(右打ち遊技手法)とが選択的に行える構成となっている。遊技者は、通常遊技状態においては、左打ち遊技手法によって遊技を行い、時短遊技状態及び確変遊技状態においては、右打ち遊技手法によって遊技を行う。また、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が中央構造体420に対して右側に配置されているので、特別遊技状態においても右打ち遊技手法によって遊技を行う。
次に、後ブロック104について説明する。図8及び図9は、それぞれ、パチンコ機100を示す背面側斜視図及び背面図である。なお、図8においては、理解の容易のために、外枠101を省略して示している。
後ブロック104は、図8及び図9に示すように、基体501に他の部材や装置が取着されて構成されている。この基体501と中間ブロック103とが後ブロック支持機構136,137によって接続されることにより、後ブロック104が中間ブロック103に対して開閉可能に支持されている。
後ブロック104は、遊技球を貯留する球貯留部としての遊技球タンク510と、遊技球タンク510の下流側に連続して遊技球を(例えば、1列に)整流させると共に1段に整列させる球整列部としてのタンクレール520と、タンクレール520の下流側においてタンクレール520から流入した遊技球を誘導する球誘導部としてのケースレール530と、ケースレール530の下流側において遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを実行する払出装置540と、払出装置540の下流側において払出装置540から流出した遊技球を基体501に形成された誘導通路(図示せず)に誘導する球誘導部としての誘導部材550と、払出装置540による遊技球の払い出しや遊技球の貸し出しを制御する払出制御装置560と、外部電力を各種の装置等で必要とする所定の電圧の電力に変換して出力する電力供給手段としての機能と発射操作装置250に対する発射操作に基づく遊技球の射出を主制御基板920と協同して制御する発射制御手段としての機能とを有する電源・発射制御装置570と、払出制御装置560及び遊技球貸出装置290(図1参照)とパチンコ機100の側方に配置されるカードユニット(図示せず)との間の信号を中継する中継装置950とを備えている。
基体501は、樹脂(例えば、ABS樹脂)により一体成型されており、前側部分に対応するベース部502と、ベース部502よりも後方に位置した保護カバー部503とを含んでいる。ベース部502は、その上側部分が後ブロック104の外形に沿って略枠状に形成されると共に、下側部分が前後方向に厚みを有する略平坦状に形成されており、他の装置が取り付けられる被取付部としての機能を有している。
保護カバー部503は、前後方向に厚みを有する略板状に形成されている。また、保護カバー部503は、中間ブロック103の背面全域を覆う形状でなく、主制御装置370の一部といった頻繁に検査や確認が必要な中間ブロック103の背面における一部をパチンコ機100の背面に露出するための窓部を形成する大きさに設定されている。保護カバー部503の背面には、主制御装置370及び副制御装置390における発熱の放熱性を向上させる機能を有する多数の通気孔503Aが形成されている。
遊技球タンク510は、上方に開口した横長の箱型容器であり、その長手方向の一端側に、島設備の球循環装置(図示せず)から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク510における遊技球の供給される側と異なる長手方向の一端側には開口(図示せず)が形成されている。遊技球タンク510の底面は長手方向に緩やかに傾斜し、遊技球タンク510に供給された遊技球は開口側に自重によって移動する。また、遊技球タンク510の底面は、長手方向に比して、長手方向と直交する方向(前後方向)にも傾斜し、開口が設けられる側(例えば、前側)に優位に遊技球を誘導する。また、遊技球タンク510の底面には、その上に重なるようにして金属製の帯電防止板(図示せず)が取着され、帯電防止板が接地電位に接続されて遊技球タンク510内及びその下流側の遊技球の静電気が除去される。
タンクレール520は、遊技球タンク510の開口が形成される側に取り付けられ、遊技球タンク510の開口を通して遊技球が流入する。タンクレール520は、遊技球が1列に並んで通過する幅を有する略樋状の遊技球の通路を形成する通路形成部材521と、通路形成部材521により形成される通路の上面として次第に高さが低くなる天面部を有してその通路を流下する遊技球を上下に重なった高さから次第に1段の高さに整流する整流部材522とを備えている。タンクレール520により形成される通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜しており、遊技球タンク510とは反対側へ遊技球を誘導する。
ケースレール530は、タンクレール520の下側に連続するように縦長に形成されており、タンクレール520からの遊技球が流入する。ケースレール530には、遊技球が勢いよく流れないように左右に湾曲しつつ下方に連続している。また、ケースレール530における球通路の途中部分には、球切れを検出するための貯留球スイッチ591(図10参照)が取着されている。貯留球スイッチ591は、ケースレール530又はその上流側で球詰り等が発生してケースレール530内に遊技球が正常に補給されていない球切れ状態を検出する。
払出装置540は、遊技球を送り出す送出機構と、送出機構を駆動する駆動手段としての払出モータ542(図10参照)と、払出計数スイッチ592(図10参照)とを備えている。払出制御装置560による制御に基づく払出モータ542の作動に応じて、球通路に貯留されている遊技球が下流側へ放出される。放出された遊技球の球通路の通過は、払出計数スイッチ592に検出され、これにより、払出制御装置560(払出制御基板930)が遊技球の払い出し数を計数する。
払出制御装置560及び電源・発射制御装置570は、図8及び図9に示すように、後ブロック104の背面側下部に位置するように基体501のベース部502における下部背面に重なるようにして取り付けられている。これら払出制御装置560及び電源・発射制御装置570を含む後ブロック104は、機種変更等において遊技盤400を別の遊技盤に交換した場合にも、継続利用可能とされている。
払出制御装置560は、払出制御基板930(図10参照)と、払出制御基板930を収容する基板ケースとを備え、払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、開封の痕跡を残さずに開封できないように封止された基板ケースの内部に収容されている。
電源・発射制御装置570は、電源・発射制御基板900(図10参照)と、電源・発射制御基板900を収容する基板ケースとを備え、電源・発射制御基板900は、主制御基板920と同様に、封止された基板ケースの内部に収容されている。
<電気的な構成>
次に、パチンコ機100の電気的構成について説明する。図10は、パチンコ機100の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機100は、図10に示すように、電源・発射制御基板900、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等の制御回路装置を備えている。なお、図10において、各種の信号を中継するだけの中継回路装置については省略している。以下に、これらの主要な制御回路装置を個別に詳細に説明する。
電源・発射制御基板900は、パチンコ機100の各部に電源供給路(図中の破線)を介して所定の電圧の電力を供給する電源部901と、発射操作装置250の操作に応じて発射装置330の駆動を制御する発射制御部902と、初期化スイッチ907からの初期化信号や球溢れスイッチ249からの球溢れ信号を中継する信号中継部903とを備えている。
電源部901は、外部より供給される外部電力(例えば、交流24ボルト)を取り込んで内部電力(例えば、直流24ボルト)に変換すると共に、その内部電力から各種の電力を生成する。電源部901により生成される電力は、各種のソレノイドや各種のモータ等の機器を駆動するための駆動用電圧(例えば、直流12ボルト)の電力、各種のスイッチを駆動したり制御処理を実行したりするための制御用電圧(例えば、直流5ボルト)の電力、主制御基板920のRAMの内容を保持させるためのバックアップ用電圧の電力等を含んでいる。
電源部901は、内部電力から生成した各種の電力を、電源監視基板910、主制御基板920、払出制御基板930、副制御基板940等に供給する。具体的には、電源監視基板910に対しては、内部電力、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給される。主制御基板920に対しては、駆動用電圧、制御用電圧及びバックアップ電圧の電力が供給され、これら電力は、電源監視基板910の電源監視部911を介して供給される。払出制御基板930に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。副制御基板940に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。発射制御部902及び信号中継部903に対しては、駆動用電圧及び制御用電圧の電力が供給される。
電源部901には、電源スイッチ909が接続されており、電源スイッチ909がオフ状態である場合には外部電力の取り込みが停止される。なお、電源スイッチ909をオフ状態にしたり、電源スイッチ909を介して電源部901に接続される電源プラグ(図示せず)を外部電力の供給コンセント(図示せず)から抜脱したりすることによってパチンコ機100の内部への電力の供給が停止している状態や、外部電力自体の供給が停止している状態を「停電状態」と総称する。
電源部901は、停電状態への移行後においても所定の期間にわたり制御用電圧の電力を正常に出力するように構成されている。これによって、主制御基板920は、現在の制御状態に復帰できるように状態を保存して制御を終了させることができる。
発射制御部902は、主制御基板920と協同して、発射装置330の球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334の駆動を制御する。なお、球送りソレノイド332及び発射ソレノイド334は、所定条件が整っている場合に作動が許可される。具体的には、遊技者が発射ハンドル252(図1参照)に触れていることが接触センサ254からの接触センサ信号に基づいて検知されていること、発射を停止させるための発射停止スイッチ255が操作されていないことを条件に、発射制御部902はオン状態の発射許可信号を主制御基板920に出力する。また、発射許可信号と発射異常信号とに基づいて主制御基板920は発射ソレノイド制御信号及び球送りソレノイド制御信号を発射制御部902に出力する。発射制御部902は、オン状態の球送り制御信号に基づいて球送りソレノイド332を作動させ、オン状態の発射ソレノイド制御信号の受信と可変抵抗器253の抵抗値とに基づいて発射ソレノイド334を作動させる。これによって、発射装置330から可変抵抗器253の抵抗値(発射ハンドル252の回転操作量)に応じた強さで遊技球が順次に発射される。
信号中継部903は、初期化スイッチ907が押下された場合に、主制御基板920へオン状態の初期化信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の初期化信号の受信に応じて主制御基板920のRAMに保存された保存情報を初期化する。なお、初期化スイッチ907は、必ずしも信号中継部903を介して主制御基板920に信号を出力する構成とする必要はなく、例えば、初期化スイッチ907を主制御基板920に直接搭載する等して基板ケース371内に初期化スイッチ907が収容される構成としても良く、これにより信号が伝送される区間を狙った不正な信号入力を抑止することができる。
また、信号中継部903は、球溢れスイッチ249が遊技球を検出した場合に、主制御基板920へオン状態の球溢れ信号を出力する。主制御基板920においては、オン状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に低速払出信号を出力し、低速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度(払出装置540からの遊技球の払出速度)を低速化させる。また、主制御基板920は、オフ状態の球溢れ信号の検知に基づいて払出制御基板930に高速払出信号を出力し、高速払出信号を受信した払出制御基板930は、払出モータ542の回転速度を高速化させる。
電源監視基板910は、電源・発射制御基板900からの電力供給状態を監視する電源監視部911と、電源・発射制御基板900と主制御基板920との間の電力供給及び各種の信号の伝達を中継する信号中継部912とを含んでいる。電源監視部911は、停電状態への移行に応じて主制御基板920へ停電信号を出力するものでもあり、電源部901から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満である状態が所定の時間だけ継続した場合に停電状態であると判断して、オン状態の停電信号を主制御基板920へ出力する。主制御基板920は、オン状態の停電信号の受信によって停電状態への移行を認識する。
主制御基板920は、パチンコ機100の動作を統括的に制御する。主制御基板920には、1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)が搭載されている。MPUは、演算処理装置としてのCPU(図示せず)と、CPUにより実行される各種の制御プログラムや固定データを記憶したROM(図示せず)と、制御プログラムの実行に際して一時的に各種のデータ等を記憶するRAM(図示せず)とを含んでいる。主制御基板920には、その他、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。主制御基板920のRAMは、停電状態への移行後においても電源・発射制御基板900からのバックアップ電圧の電力供給によって内部データを維持(バックアップ)できる構成となっている。
払出制御基板930は、主制御基板920からの指示に応じた払出装置540による遊技球の払い出し動作や遊技球貸出装置290の操作に応じた払出装置540による遊技球の貸し出し動作を制御する。払出制御基板930は、主制御基板920と同様に、CPU(図示せず)、ROM(図示せず)及びRAM(図示せず)を含む1チップマイコンとしてのMPU(図示せず)、タイマ回路(図示せず)、カウンタ回路(図示せず)、クロック発生回路(図示せず)、信号送受信回路(図示せず)等の各種回路が搭載されている。払出制御基板930は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920及び中継装置950とは双方向の情報入出力通信が可能に接続され、開閉検出スイッチ108,109、貯留球スイッチ591、及び、払出計数スイッチ592とは、一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、払出モータ542とは、一方向のみの情報出力通信のみが可能に接続されている。なお、払出制御基板930のRAMは、主制御基板920のRAMと同様に、停電状態において一定の期間にわたって内部データを維持可能とするバックアップ機能を有する構成としても良いし、主制御基板920のRAMとは異なり、停電状態において内部データを維持しない構成としても良い。
副制御基板940は、主制御基板920からの指示に基づいて、各種の演出装置や各種の発光装置や各種の音響装置等の動作を制御する。副制御基板940は、他の装置と情報通信可能に接続する接続手段としての入出力ポートが搭載されており、例えば、主制御基板920とは一方向のみの情報入力通信のみが可能に接続され、入力操作装置260とは双方向に情報通信可能に接続され、装飾図柄表示装置479等とは一方向の情報出力通信のみが可能に接続されている。
<各種の制御処理>
次に、主制御基板920によって実行される各種の制御処理について説明する。主制御基板920における制御処理は、大別すると、停電状態からの復帰に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本形態では2ms(ミリ秒)周期で)メイン処理に割込みをかけて実行されるタイマ割込み処理とで構成されている。
まず、図11を参照して、主制御基板920によって実行されるメイン処理について説明する。図11は、主制御基板920のメイン処理(図11においては「主制御メイン処理」と略記)を示すフローチャートである。
主制御基板920のメイン処理において、まず、主制御基板920の立ち上げや各種の情報を初期設定するための一連の制御開始処理(プログラム開始処理S1001〜乱数初期設定処理S1019)が一度だけ実行され、その後は、割込みを禁止する割込み禁止処理S1020と、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)及び大当り図柄乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)並びに普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する乱数初期値更新処理S1021と、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタ(RAMの一部の領域)の値を更新する変動用カウンタ更新処理S1022と、割込みを許可する割込み許可処理S1023とが繰り返し実行される。なお、割込み許可処理S1023の前にタイマ割込みの要求が発生した場合には、割込み許可処理S1023の直後にタイマ割込み処理が実行される。
一連の制御開始処理において、プログラムの実行を制御するスタックポインタ(RAMの一部の領域)に初期値を設定するプログラム開始処理S1001と、割込みモードを設定する割込みモード設定処理S1002と、払出制御基板930及び副制御基板940等が立ち上がるまで所定の時間だけ待機する立上待機処理S1003とが実行される。
立上待機処理S1003の後に、電源・発射制御基板900の初期化スイッチ907からの初期化信号の出力状態の判定処理S1004、停電情報(RAMの一部の領域)の値の判定処理S1005、保存情報の記憶状態の判定処理S1007が行われ、これらの判定結果に基づいてRAMの保存情報を消去するか否かが判定される。ここで、保存情報とは、停電前の遊技の状態に復帰させるために必要な情報であって、停電前に遊技の進行に応じて更新されていたRAMの一部の領域に対応し、実行中の単位遊技に関するカウンタの値や、始動入賞によって格納されたカウンタの値等が例示される。
保存情報の記憶状態は、次のように判定される。まず、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出して(チェックサム算出処理S1006)、その現在のチェックサム値と前回の停電状態への移行に伴い停電監視処理S1202(図12参照)において算出されたチェックサム値の2の補数であるRAM判定値との排他的論理和が「0」であるか否か(判定処理S1007)が判定され、これにより、現在のチェックサム値と停電状態への移行時のチェックサム値とが同一であるか否かが判定される。
初期化信号がオン状態である場合(S1004:Y)、停電情報が停電状態への移行時に保存情報を保存して終了したことを示す所定の停電値でない場合(S1005:N)、又は、保存情報が正常に保持されていない場合(S1007:N)には、RAMの保存情報を消去するRAMクリア処理S1008が実行される。保存情報が正常に保持されていると判断された後(S1007:Y)、又は、RAMクリア処理S1008が実行された後には、主制御基板920に接続されている各種の装置を初期化するハードウェア初期化処理S1009が実行される。
ハードウェア初期化処理S1009の後には、停電情報が停電値であるか否かの判定処理S1010が実行される。停電情報が停電値である場合(S1010:N)には、保持情報の復帰を含め各種の情報を初期設定するRAM復帰設定処理S1011と、その設定完了を示す復帰コマンドが設定される(復帰コマンド出力処理S1012)。RAM復帰設定処理S1011における保持情報の復帰によって、前回の停電状態への移行直前の制御状態に主制御基板920の制御状態が復帰する。
一方、停電情報が停電値でない場合(S1010:Y)には、保持情報の復帰は行わずに各種の情報が初期設定され(RAM初期設定処理S1013)、その設定完了を示す初期化コマンドが出力される(初期化コマンド出力処理S1014)。
なお、RAM復帰設定処理S1011及びRAM初期設定処理S1013において、停電情報は停電値と異なる所定の通電値に設定され、また、前回の停電状態への移行直前において不正検知エラー等の各種のエラー状態が発生していてもそれらのエラー状態は全て解除される。また、主制御基板920から払出制御基板930及び副制御基板940の双方に復帰コマンドか初期化コマンドのいずれかが出力され、復帰コマンド又は初期化コマンドを受信した払出制御基板930及び副制御基板940の各々においても所定の初期化処理が実行される。
立上時の状況に応じたRAMの初期設定(判定処理S1004〜初期化コマンド出力処理S1014)の後に、前回の停電状態への移行時に条件装置が作動していた場合には、特別遊技状態に復帰させるための準備が行われる(特別遊技状態復帰準備処理S1015)。具体的には、特別遊技状態復帰準備処理S1015においては、条件装置と役物連続作動装置の作動状態が判定され、停電状態時における遊技の状況に対応した処理が、副制御基板940において実行される。
特別遊技状態復帰準備処理S1015の後には、時短状態フラグが設定されているか否かを判定することにより時短状態であるか非時短状態であるかが判定され(判定処理S1016)、時短状態である場合(S1016:Y)には、時短コマンドが出力される(時短コマンド出力処理S1017)。一方、非時短状態である場合(S1016:N)には、非時短コマンドが出力される(非時短コマンド出力処理S1018)。その後、特別図柄に係る当選乱数カウンタ(RAMの一部の領域)の値が初期化される(乱数初期設定処理S1019)。
次に、図12を参照して、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理について説明する。図12は、主制御基板920によって実行されるタイマ割込み処理(図中では「主制御割込み処理」と略記)を示したフローチャートである。
主制御基板920のタイマ割込み処理では、まず、タイマ割込みを開始させるための割込み開始処理S1201が実行される。具体的には、割込み制御レジスタに所定の値が設定される。これにより、本タイマ割込み以外の割込みが禁止される。その後に、パチンコ機100の遊技の進行制御や各種センサの監視等といった実質的な制御に係る停電監視処理S1202〜外部情報出力処理S1221が順次に実行される。但し、各種の不正の検知に基づいて遊技進行が停止されている場合(S1207:Y)には、制御信号出力処理S1208〜外部情報出力処理S1221は実行されない。最後に、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理S1222が実行されて、今回のタイマ割込み処理が終了する。以下において、各種の主要な処理について個別に説明する。
停電監視処理S1202においては、電源監視基板910の電源監視部911から出力されている停電信号の出力状態に基づいて停電情報(RAMの一部の領域)の値が更新される。具体的には停電信号の出力状態が3度に亘り確認され、3度ともオン状態が検出された場合に停電状態であると判定される。この判定において停電状態であると判定されなかった場合には、停電情報は通電値に維持される。
一方、停電監視処理S1202において停電状態であると判定された場合には、以下の処理が実行される。まず、停電情報の値がRAM復帰設定処理S1011又はRAM初期設定処理S1013(図11参照)において設定された通電値から所定の停電値に変更される。また、RAMの所定の範囲の記憶領域に対するチェックサム値を算出し、そのチェックサム値の2の補数をRAM判定値として設定する。これにより、パチンコ機100は、遊技の進行や各種センサの監視等といった実質的な制御を行わない無限ループに入り、RAM判定値が設定された後のRAMの状態がバックアップ電力に基づいて保持される。なお、停電信号の出力状態が3度に亘り確認されるために、停電信号の受信を初めて検知してから、タイマ割込みの各処理は2回に亘り実行される。
乱数更新処理S1203においては、特別図柄に係る当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。但し、変更後の値が特別図柄に係る当選乱数カウンタに対する循環初期値と同一の値となる場合には、特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定され、また、循環初期値も当選乱数初期値カウンタと同一の値に設定される。
大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数カウンタについても、特別図柄に係る当選乱数カウンタの場合と同様にして更新される。ただし、各カウンタの規定最大値と規定最小値とにより定められる更新範囲としては各カウンタに固有の値が設定され、複数のカウンタが非同期で更新される構成とされ、各カウンタの循環初期値には各カウンタに固有の初期値カウンタが参照される。例えば、特別図柄に係る当選乱数カウンタと特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、大当り図柄乱数カウンタと大当り図柄乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一であり、普通図柄に係る当選乱数カウンタと普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタとは値の範囲が同一である。
乱数初期値更新処理S1204においては、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタ、大当り図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタが更新される。具体的には、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値(例えば、「576」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。特別図柄に係る図柄乱数初期値カウンタ及び普通図柄に係る当選乱数初期値カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、特別図柄に係る当選乱数初期値カウンタの場合と同様にして更新される。
変動用カウンタ更新処理S1205においては、変動時間や変動パターン等を決定するための第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタの値が更新される。具体的には、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値(例えば、「187」)と異なる値である場合には、現在値より「1」だけ大きい値に変更され、第1の変動種別カウンタの値が規定最大値である場合には、規定最小値(「0」)に変更される。第2の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタについても、規定最大値や規定最小値がそれらのカウンタに固有の値であること以外は、第1の変動種別カウンタの場合と同様にして更新される。
なお、特別図柄及び普通図柄に係る各当選乱数カウンタ、大当り図柄乱数カウンタ、停止パターン選択カウンタ並びに各変動種別カウンタは、必ずしも上記構成とする必要はなく、上記カウンタの少なくとも一部を他の構成としても良く、例えば、初期値カウンタを利用しないで一定の初期値から更新する構成としても良いし、プログラムを利用しないで乱数生成用ICにより構成して必要に応じて値を参照する構成としても良い。
遊技停止判定処理S1206においては、不正検知情報が不正検知値である場合には、遊技停止値に更新されると共に、遊技進行を停止させるための各種の情報が設定される。一方、不正検知情報が不正検知値でない場合や既に遊技停止値である場合には、遊技進行を停止させるための各処理は実行されずに遊技停止判定処理S1206は終了する。なお、不正検知情報は、不正検知処理S1211において各種の不正の発生が検知された場合に不正検知値に設定される。また、判定処理S1207においては、不正検知情報が遊技停止値であるか否かによって遊技停止中であるか否かが判定される。
制御信号出力処理S1208においては、出力バッファに格納された制御データに基づいて、第1の特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2の特別図柄に係る特別図柄表示装置472及び普通図柄に係る普通図柄表示装置473等の各種の報知装置を制御する信号が出力される。また、出力バッファに格納された制御データに基づいて、球送りソレノイド332、発射ソレノイド334、右進入規制ソレノイド462、下進入規制ソレノイド463、上進入規制ソレノイド464、切換ソレノイド465等の各種のアクチュエータを制御する信号が出力される。
スイッチ読込処理S1209においては、中始動入賞スイッチ441A,441B、右始動入賞スイッチ442、下大入賞スイッチ443、上大入賞スイッチ444、役連作動スイッチ445、始動スイッチ446、非特定通路スイッチ447、特定通路スイッチ448、及び、一般入賞スイッチ449A,449Bの各々からの信号状態が読み込まれて、各種のスイッチによる遊技球の検出状態の変化が検知される。
具体的には、スイッチ読込処理S1209において、各種のスイッチからの信号状態が所定の時間間隔を隔てて2度に亘り入力バッファ(RAMの一部の領域)に読み込まれ、各種のスイッチからの信号ごとに、1回目に読み込まれた信号状態(以下において「第1の信号状態」と略記する)と、2回目に読み込まれた信号状態(以下において「第2の信号状態」と略記する)と、前回のタイマ割込みで検知された検出状態(以下において「前回の検出状態」と略記する)とに基づいて、各種のスイッチの検出状態の変化が検知される。そして、各スイッチに対して、前回の検出状態がオフ状態である場合において、第1の信号状態がオン状態であり、第2の信号状態がオン状態である場合には、オン状態移行と判断されて、スイッチの種類に応じた検出フラグ(RAMの一部の領域)が設定される。なお、停電監視処理S1202で説明したように、電源供給が停止したとしても、タイマ割込みの各処理が2回に亘り実行されるために、電源供給が停止した直後に各種のスイッチのオン状態が開始された場合であっても各種のスイッチの検出フラグを正確に設定することができる。
タイマ更新処理S1210においては、特別図柄及び普通図柄の変動表示、各遊技状態の制御、及び、不正監視等に使用される各種のタイマ(RAMの所定の領域)が更新される。
不正検知処理S1211においては、各種の入賞装置に強制的に遊技球を進入させたり、各種の入賞装置を強制的に作動させたりするような不正行為が検知される。具体的には、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な進入許容姿勢への移動、加振による下大入賞装置433の特定通路TAへの遊技球の誘導、電波による右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の強制的な誤作動の誘発、磁気吸着による各種の入賞装置への遊技球の誘導、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B、右始動入賞装置432、下大入賞装置433及び上大入賞装置434への異常なタイミングでの遊技球の誘導等の不正行為が行われた可能性の高い状況の発生を検知する。
入賞検知応答処理S1212においては、遊技盤400に設けられた各種のスイッチによる遊技球の検出に基づく制御が実行される。具体的には、上側中始動入賞スイッチ441A(図10参照)及び下側中始動入賞スイッチ441B(図10参照)による遊技球の検出に基づいて、中始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、中始動入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第1払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。また、右始動入賞スイッチ442(図10参照)による遊技球の検出に基づいて右始動入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、第1払出カウンタが更新される。また、下大入賞スイッチ443(図10参照)による遊技球の検出に基づいて下大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合や、上大入賞スイッチ444(図10参照)による遊技球の検出に基づいて上大入賞スイッチ検出フラグが設定されている場合には、大入賞カウンタ(RAMの所定の領域)及び第2払出カウンタ(RAMの所定の領域)が更新される。
発射制御処理S1213においては、発射装置330による遊技球の発射を制御するための発射関連情報が更新される。具体的には、球送り機構331を駆動する球送りソレノイド332の作動フラグ及び発射機構333を駆動する発射ソレノイド334の作動フラグが更新される。
入力信号監視処理S1214においては、払出制御基板930を介した開閉検出スイッチ108(図10参照)からの信号の出力状態に基づいて、外枠101(図1及び図2参照)に対して中間ブロック103(図1及び図2参照)が閉鎖されているか否かが検知される。また、払出制御基板930(図10参照)を介した開閉検出スイッチ109からの信号の出力状態に基づいて、中間ブロック103(図2及び図3参照)に対して前ブロック102(図2及び図3参照)が閉鎖されているか否かが検知される。
払出状態監視処理S1215においては、払出制御基板930から出力される払出制御状態を示す情報が監視され、必要に応じて、払出制御状態に応じた各種の払出状態コマンドが設定される。なお、払出状態コマンドを受信した副制御基板940は、払出状態コマンドの種類に応じた報知を装飾図柄表示装置479、左上音響装置281及び右上音響装置282等に実行させる。
払出信号出力処理S1216においては、必要に応じて、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタの値に基づいて各種の賞球コマンドを設定し、払出制御基板930に出力する。なお、第1払出カウンタ及び第2払出カウンタは、賞球コマンドの設定に応じて更新される。例えば、第1払出カウンタは、1回の入賞に相当する遊技球が検出される毎に1ずつ加算され、その入賞に基づく賞球コマンドが設定される毎に1ずつ減算される。払出制御基板930では、その入賞に対応する数(例えば、3個)の遊技球を払い出す制御を実行する毎に(詳細には、払い出しが完了する少し前に)、主制御基板920に賞球コマンドを要求し、賞球の払い出しが継続している状況においては、主制御基板920から更なる賞球コマンドが出力される。第2払出カウンタは、第1払出カウンタとは賞球数が異なる入賞(例えば、13個)に対応して更新されるカウンタであり、第2払出カウンタの値に基づく賞球コマンドを払出制御基板930が受信した場合には、払出制御基板930は、その賞球コマンドに対応した数分の遊技球を払い出す制御を実行する。
特別図柄関連処理S1217においては、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第1特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第1特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476の動作制御が実行される。また、第1特別図柄に係る単位遊技の制御において、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471の動作制御が実行され、第1特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
また、特別図柄関連処理S1217においては、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御及び第2特別図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、第2特別図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477の動作制御が実行される。また、第2特別図柄に係る単位遊技の制御において、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の動作制御が実行され、第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の動作制御が更に実行される。
普通図柄関連処理S1218においては、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御並びに普通図柄に係る単位遊技の制御が実行される。具体的には、普通図柄に係る単位遊技の権利の保留制御において、普通図柄保留表示装置478の動作制御が実行される。また、普通図柄に係る単位遊技の制御において、普通図柄に係る普通図柄表示装置473の動作制御が実行され、普通図柄抽選に当選した場合には更に右始動入賞装置432の動作制御が実行される。
表示制御処理S1219においては、特別図柄関連処理S1217における第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471、第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472、第1特別図柄に係る特別図柄保留表示装置476及び第2特別図柄に係る特別図柄保留表示装置477等の動作を制御するために更新される各種の情報に基づいて、それらの装置を具体的に作動させるための出力データが合成される。合成された出力データは、次回のタイマ割込みに基づく制御信号出力処理S1208において各装置に出力される。
モータ制御処理S1220においては、各種のモータの動作制御が実行される。外部情報出力処理S1221においては、パチンコ機100に電気的に接続されるデータ表示装置(図示せず)や管理装置(図示せず)等の外部装置に出力する出力データが設定される。
<確変遊技状態におけるリーチ演出の発生態様>
確変遊技状態におけるリーチ演出の発生態様及びそれらに関連する事項について纏めて詳細に説明する。図13は、確変遊技状態において確定的又は選択的に装飾図柄のリーチ表示を発生させる単位遊技を説明するための説明図であり、図14は、確変遊技状態における内部状態の推移を説明するための説明図であり、図15及び図16の各々は、確変遊技状態において確定的又は選択的に装飾図柄のリーチ表示を発生させる単位遊技の分布を説明するための説明図であり、図17は、確変遊技状態におけるリーチ演出を説明するための説明図である。
まず、遊技状態の移行態様について説明する。通常遊技状態においては、上側中始動入賞装置431A又は下側中始動入賞装置431Bに遊技球を進入させることを目指して遊技が行われる。そして、上側中始動入賞装置431A又は下側中始動入賞装置431Bに遊技球が進入することに基づいて第1特別図柄抽選が行われ、第1特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が作動する特別遊技状態となる。この特別遊技状態において、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路TA(図32(A)参照)に遊技球が進入した場合には、特別遊技状態後に所定回数の単位遊技(本形態では100回)に亘って確変遊技状態となり、一方、特定通路TAに遊技球が進入しなかった場合には、特別遊技状態後に所定回数(本形態では40回、60回又は80回)の単位遊技に亘って時短遊技状態となる。また、確変遊技状態又は時短遊技状態においては、右始動入賞装置432に遊技球を進入させることを目指して遊技が行われる。そして、右始動入賞装置432に遊技球が進入することに基づいて第2特別図柄抽選が行われ、所定回数の単位遊技が終了する前に、第2特別図柄抽選において大当りに当選した場合には、第1特別図柄抽選に当選した場合と同様に、特別遊技状態を経て確変遊技状態又は時短遊技状態となる。なお、確変遊技状態又は時短遊技状態において、所定回数の単位遊技が終了した場合には、通常遊技状態に戻る。
次に、第1特別図柄抽選によって大当りに当選した場合の制御について説明する。第1特別図柄抽選によって大当りに当選した場合には、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づいて、特別遊技状態の態様が決定される。具体的には、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が、「0」〜「181」である場合には継続ラウンド数の少ない短期(本形態では6ラウンド)の特別遊技状態となり、その値が「182」〜「479」である場合には、継続ラウンド数の多い長期(本形態では16ラウンド)の特別遊技状態となる。
また、第1特別図柄抽選の抽選結果として第1特別図柄に係る図柄表示装置471において表示される停止図柄が決定される。具体的には、第1特別図柄に係る停止図柄は、8ビットの値で識別され、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づく所定の演算によって決定される。停止図柄を識別する8ビットの値の各ビットは、8つの発光部で構成される第1特別図柄に係る図柄表示装置471の各発光部に対応付けられており、停止図柄は、ビットの値が「1」である場合に発光部を点灯させ、「0」である場合に消灯させることによって表示される。
また、第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタから取得された値に基づいて、装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動パターンが決定される。これによって、装飾図柄表示装置479において、リーチ表示を経由して最終的に装飾図柄に係る大当り図柄が確定表示される。なお、大当りに当選しなかった場合の装飾図柄の変動パターンとしては、大別すれば、リーチ表示を経由せずに最終的に装飾図柄に係るハズレ図柄が確定表示されるパターン(以下において「ハズレパターン」とも称す)と、リーチ表示を経由するものの最終的に装飾図柄に係るハズレ図柄が確定表示されるパターン(以下において「リーチハズレパターン」とも称す)とがある。
その後、特別遊技状態が開始され、下大入賞装置433及び上大入賞装置434が適宜に作動する。この特別遊技状態において、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路TA(図32(A)参照)へ遊技球が進入し、当該遊技球が特定通路スイッチ448で検出されると、特別遊技状態後に100回の単位遊技に亘って確変遊技状態となり、一方、特定通路TAへ遊技球が進入しなかった場合には、特別遊技状態後に所定回数(本形態では40回、60回又は80回)の単位遊技に亘って時短遊技状態となる。なお、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が「240」〜「479」である場合の長期の特別遊技状態においては、右打ちでの遊技球の打ち出しを継続すれば、特定通路TAへ遊技球を進入させることができ、特別遊技状態後に確変遊技状態となる。一方、その他の値の場合には、右打ちでの遊技球の打ち出しを継続したとしても、特定通路TAへ遊技球を進入させることができず、特別遊技状態後に時短遊技状態となる。
特別遊技状態から確変遊技状態への移行に際して、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づいて、特別遊技状態後の確変遊技状態における変動パターンの選択を制御する内部遊技状態の推移のパターンを識別する値(パターン番号)が決定される。具体的には、推移パターンを識別する値として、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が「240」〜「359」である場合に、それぞれ、「1」〜「120」が設定され、また、「360」〜「479」である場合にも、それぞれ、「1」〜「120」が設定される。これにより、均等に各種の推移パターンが選択される。なお、時短遊技状態(大当り図柄乱数カウンタから取得された値が「0」〜「239」)においては、確変遊技状態の場合と異なる推移パターンが選択される。
次に、第2特別図柄抽選によって大当りに当選した場合の制御について説明する。第2特別図柄抽選によって大当りに当選した場合には、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づいて、特別遊技状態の態様が決定される。具体的には、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が、「0」〜「239」である場合には、継続ラウンド数の少ない短期(本形態では6ラウンド)の特別遊技状態となり、その値が「240」〜「479」である場合には、継続ラウンド数の多い長期(本形態では16ラウンド)の特別遊技状態となる。
また、第2特別図柄抽選の抽選結果として第2特別図柄に係る図柄表示装置472において表示される停止図柄が決定される。なお、第2特別図柄に係る停止図柄は、第1特別図柄に係る停止図柄の場合と同様に、8ビットの値で識別され、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づく所定の演算によって決定される。また、第1特別図柄に係る停止図柄の場合と同様に、第2特別図柄に係る停止図柄を識別する8ビットの値の各ビットは、8つの発光部で構成される第2特別図柄に係る図柄表示装置472の各発光部に対応付けられており、停止図柄は、ビットの値が「1」である場合に発光部を点灯させ、「0」である場合に消灯させることによって表示される。
また、第1の変動種別カウンタ〜第4の変動種別カウンタから取得された値に基づいて、装飾図柄表示装置479における装飾図柄の変動パターンが決定される。これによって、装飾図柄表示装置479において、リーチ表示を経由して最終的に装飾図柄に係る大当り図柄が確定表示される。
その後、特別遊技状態が開始され、上大入賞装置434及び下大入賞装置433が適宜に作動する。この特別遊技状態において、第1特別図柄に係る特別遊技状態と同様に、下大入賞装置433の内部に形成された特定通路TA(図32(A)参照)へ遊技球が進入し、当該遊技球が特定通路スイッチ448で検出されると、特別遊技状態後に100回の単位遊技に亘って確変遊技状態となり、一方、特定通路TAへ遊技球が進入しなかった場合には、特別遊技状態後に第2特別図柄の停止図柄に応じた40回、60回又は80回の単位遊技に亘って時短遊技状態となる。但し、第1特別図柄に係る特別遊技状態と異なり、右打ちでの遊技球の打ち出しを継続した場合には、大当り図柄乱数カウンタの値に関わらず、特定通路TAへ遊技球を進入させることができ、特別遊技状態後には確変遊技状態となる。特別遊技状態から確変遊技状態又は時短遊技状態への移行に際して、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づいて、特別遊技状態後の確変遊技状態における変動パターンの選択を制御する内部遊技状態の推移のパターンを識別する値が決定される。具体的には、推移パターンを識別する値として、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が「0」〜「479」である場合に、4つずつ「1」〜「120」に設定される。例えば、大当り図柄乱数カウンタから取得された値が「0」、「120」、「240」及び「360」である場合に、推移パターンを識別する値が「1」に設定される。
次に、確変遊技状態における遊技について説明する。確変遊技状態は、内部的に更に細かく5種類の内部遊技状態に分類されており、推移パターンは、図14に示されたように、確変状態A、確変状態B、確変状態C、確変状態D及び確変状態Eの組み合わせで構成されている。確変状態A〜確変状態Eの各々は、第2特別図柄抽選(又は第1特別図柄抽選)において通常遊技状態や時短遊技状態に比べて高確率で大当りを抽選する点で共通しているが、装飾図柄表示装置479における演出の選択態様が相違している。確変状態Aにおいては、変動パターンとして複数種類のハズレパターンから1つのハズレパターンを選択する。また、確変状態Bにおいては、変動パターンとして複数種類のリーチハズレパターンから1つのリーチハズレパターンを選択する。また、確変状態Cにおいては、50%の割合で複数種類のリーチハズレパターンから1つのリーチハズレパターンを選択し、50%の割合で複数種類のハズレパターンから1つのハズレパターンを選択する。また、確変状態Dにおいては、確変状態Aと同様に変動パターンとしてハズレパターンを選択すると共に、特定のモード表示への移行の可否について抽選する。また、確変状態Eにおいては、確変状態Aと同様に変動パターンとしてハズレパターンを選択すると共に、確変遊技状態を終了させるための処理を実行する。
具体的には、図13に示されたように、120種類の推移パターン(主制御基板920のROMの所定の領域に記憶)から選択された推移パターンに基づいて、リーチハズレパターンの変動を確定的に発生させる単位遊技を指定するための残り単位遊技数(図中の「確定リーチ発生残り単位遊技数」)と、リーチハズレパターンの変動を抽選によって選択的に発生させる単位遊技を指定するための残り単位遊技数(図中の「抽選リーチ発生残り単位遊技数」)とが設定される。これによって、特定遊技状態における内部遊技状態が、図14に示されたように、初回の単位遊技から確定的にリーチハズレパターンの変動が発生する単位遊技の前までの単位遊技では、確変状態A(図中において単に「A」と略記)に応じた制御が実行される。また、確定的にリーチハズレパターンの変動が発生する単位遊技(以下において「確定リーチ発生単位遊技」とも称す)では、確変状態B(図中において単に「B」と略記)に応じた制御が実行される。また、確定的にリーチハズレパターンの変動が発生する単位遊技の後から選択的にリーチハズレパターンの変動が発生する単位遊技の前までの単位遊技では、再度、確変状態Aとなる。また、選択的にリーチハズレパターンの変動が発生する単位遊技(以下において「抽選リーチ発生単位遊技」とも称す)では、確変状態C(図中において単に「C」と略記)に応じた制御が実行される。また、選択的にリーチハズレパターンが発生する単位遊技の後から最終の単位遊技の前までの単位遊技では、確変状態D(図中において単に「D」と略記)に応じた制御が実行される。また、最終回の単位遊技では、確変状態E(図中において単に「E」と略記)に応じた制御が実行される。
ここで、確変遊技状態における装飾図柄表示装置479での演出態様について説明する。確変遊技状態において、装飾図柄表示装置479の表示画面には、図17に示されたように、装飾図柄を表示する図柄表示領域481に加えて、確変遊技状態の残り単位遊技数を表す残数表示領域482が形成される。たとえば、確変遊技状態における第45回目の単位遊技においては、残り単位遊技数として「55」が表示される。更に、リーチ演出の種類を表すと共にリーチ演出の発生回数を間接的に表すリーチ関連情報表示領域483が形成される。具体的には、リーチ関連情報表示領域483において、大当り期待度の低い第1キャラクタによるリーチ演出に対応する左表示部483Lと、大当り期待度の高い第2キャラクタによるリーチ演出に対応する右表示部483Rと、大当りが確定する第3キャラクタによるリーチ演出に対応する中央表示部483Mとで構成されている。なお、第1回目のリーチ演出が発生するまでは、左表示部483L、右表示部483R及び中央表示部483Mの各々は明るく表示されている。
初回の単位遊技から確定リーチ発生単位遊技の前の単位遊技までにおいて第2特別図柄抽選(又は第1特別図柄抽選)で大当りに当選せず、確定リーチ発生単位遊技においても大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481において第1回目の装飾図柄のリーチ表示が行われ、最終的にハズレ図柄が確定表示される。このリーチ表示に伴って、第1キャラクタによるリーチ演出及び第2キャラクタによるリーチ演出の一方が選択されて、その選択されたリーチ演出が実行される。また、第1キャラクタによるリーチ演出が選択された場合には、左表示部483Lが暗転し、一方、第2キャラクタによるリーチ演出が選択された場合には、右表示部483Rが暗転する。なお、大当りに当選していない場合に、第3キャラクタによるリーチ演出が発生することはない。
更に、抽選リーチ発生単位遊技まで大当りに当選することなく到達し、抽選リーチ発生単位遊技においても大当りに当選していない場合であって、リーチ発生抽選に当選しているときには、図柄表示領域481において第2回目の装飾図柄のリーチ表示が行われ、最終的にハズレ図柄が確定表示される。このリーチ表示に伴って、第1回目のリーチ表示に伴い選択されたキャラクタと異なるキャラクタによるリーチ演出が発生すると共に、今回のリーチ表示に伴い選択されたキャラクタによるリーチ演出に対応する右表示部483R又は左表示部483Lが暗転する。一方、抽選リーチ発生単位遊技において、リーチ発生抽選に当選しなかった場合には、図柄表示領域481において第2回目の装飾図柄のリーチ表示は発生せず、リーチ演出が実行されることもない。その後、最終回の単位遊技まで大当りに当選することなく到達し、最終回の単位遊技においても大当りに当選しなかった場合には、更なるリーチ表示は発生せず、リーチ演出が実行されることもない。
なお、初回の単位遊技から確定リーチ発生単位遊技までの単位遊技で大当りに当選した場合には、図柄表示領域481において第1回目の装飾図柄のリーチ表示が実行され、最終的に、大当り図柄が確定表示される。その大当りに当選した単位遊技においては、第1キャラクタによるリーチ演出、第2キャラクタによるリーチ演出又は第3キャラクタによるリーチ演出が選択される。また、確定リーチ発生単位遊技の後から抽選リーチ発生単位遊技までの単位遊技で大当りに当選した場合には、第2回目のリーチ表示が実行され、最終的に、大当り図柄が確定表示される。その大当りに当選した単位遊技においては、第1回目のリーチ表示に伴い選択されたキャラクタとは異なるキャラクタによるリーチ演出又は第3のキャラクタによるリーチ演出が実行される。また、抽選リーチ発生単位遊技の後から最終回の単位遊技までの単位遊技で大当りに当選した場合には、図柄表示領域481において、抽選リーチ発生単位遊技においてリーチ演出が実行されていれば第3回目のリーチ表示が実行され、一方、抽選リーチ発生単位遊技においてリーチ演出が実行されていなければ第2回目のリーチ表示が実行され、最終的に、大当り図柄が確定表示される。その大当りに当選した単位遊技においては、第3回目のリーチ表示である場合には、必ず第3キャラクタによるリーチ演出が実行され、第2回目のリーチ表示である場合には、第1回目の装飾図柄のリーチ表示で選択されなかったキャラクタによるリーチ演出又は第3のキャラクタによるリーチ演出が実行される。
ここで、推移パターンについて説明する。各確変遊技状態において、確定リーチ発生単位遊技と抽選リーチ発生単位遊技の組み合わせを異ならせた120種類の推移パターンから選択された推移パターンに従って、各単位遊技における装飾図柄の変動パターンが決定される。
各推移パターンにおいて、図13及び図15(A)に示されたように、確定リーチ発生単位遊技は、残り単位遊技数が「87」〜「46」の範囲内であって、「77」,「66」,「64」,「50」及び「55」以外の単位遊技に割り当てられている。確定リーチ発生単位遊技は、残り単位遊技数が「77」の近傍である単位遊技に高頻度で割り当てられている。また、抽選リーチ発生単位遊技は、図13及び図15(B)に示されたように、残り単位遊技数が「68」〜「13」の範囲内であって、「67」,「66」,「64」,「62」,「60」,「59」,「56」,「55」,「50」,「45」,「44」,「36」,「34」,「33」,「23」及び「22」以外の単位遊技に割り当てられている。したがって、残り単位遊技数が「99」である初回の単位遊技から、残り単位遊技数が「90」である第10回目の単位遊技において、第2特別図柄抽選(又は第1特別図柄抽選)で大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で装飾図柄のリーチ表示が行われることはない。逆に、それらの単位遊技において装飾図柄のリーチ表示が発生した場合には、大当りに当選していることが確定する。同様に、残り単位遊技数が「9」である第91回目の単位遊技から、残り単位遊技数が「0」である最終回の単位遊技において、大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で装飾図柄のリーチ表示が行われることはなく、それらの単位遊技で装飾図柄のリーチ表示が発生した場合には、大当りに当選していることが確定する。また、残り単位遊技数が「88」,「77」,「66」,「55」,「44」,「33」,「22」及び「11」(ゾロ目)である第12回目、第23回目、第34回目、第44回目、第56回目、第67回目、第78回目及び第88回目の単位遊技において、大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で装飾図柄のリーチ表示が行われることはなく、それらの単位遊技で装飾図柄のリーチ表示が発生した場合には、大当りに当選していることが確定する。
また、各推移パターンにおいて、図13に示されたように、確定リーチ発生単位遊技の後から抽選リーチ発生単位遊技までに、少なくとも10回(本形態では最少10回:パターン113)の単位遊技が介在している。同様に、確定リーチ発生単位遊技の後から最終回の単位遊技までに、少なくとも10回(本形態では最少12回:パターン55,77,105)の単位遊技が介在している。したがって、装飾図柄のリーチ表示の発生した単位遊技の後から10回以下の単位遊技において、大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で装飾図柄のリーチ表示が行われることはなく、それらの単位遊技で装飾図柄のリーチ表示が発生した場合には、大当りに当選していることが確定する。また、抽選リーチ発生単位遊技は、第33回目、第44回目、第55回目、第66回目、第77回目及び第88回目の単位遊技には割り当てられていないために、それらの単位遊技において、大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で第2回目の装飾図柄のリーチ表示が行われることはなく、それらの単位遊技で第2回目の装飾図柄のリーチ表示が発生した場合には、大当りに当選していることが確定する。なお、確変遊技状態の開始からの単位遊技数は、装飾図柄表示装置479には表示されないが、パチンコ機100に付随して設けられるデータ表示装置(図示せず)によって確認することができる。
また、各推移パターンにおいて、所定の単位遊技、例えば、残り単位遊技数及び確変遊技状態の開始からの単位遊技数が第3キャラクタの名称(サム)を表す「36」である単位遊技においても、第2特別図柄抽選(又は第1特別図柄抽選)で大当りに当選していない場合には、図柄表示領域481で装飾図柄のリーチ表示が行われることはない。
また、120種類の推移パターンにおいて、図15(A)に示されたように、確定リーチ発生単位遊技は、残り単位遊技数が「77」である近傍の単位遊技に高頻度で割り当てられており、単位遊技数が「77」から離れるにつれて頻度が低くなるように割り当てられている。したがって、第1回目の装飾図柄のリーチ表示の発生した単位遊技における大当り期待度は、残り単位遊技数が「77」の近傍である単位遊技において低く、残り単位遊技数が「77」から離れるにつれて高くなる。これによって、第1回目の装飾図柄のリーチ表示の発生した際の大当り期待度を残り単位遊技数ごとに変化させることができる。また、図15(B)に示されたように、抽選リーチ発生単位遊技は、残り単位遊技数が「55」,「44」又は「33」(特に「33」)である近傍の単位遊技に高頻度で割り当てられている。したがって、第2回目の装飾図柄のリーチ表示の発生した単位遊技における大当り期待度は、残り単位遊技数が「55」,「44」又は「33」の近傍である単位遊技において低く、残り単位遊技数が「55」から小さい側に離れるにつれて高くなり、「55」と「44」との中間値(「49」)や「44」と「33」との中間値(「39」)に近づくにつれて高くなり、また、残り単位遊技数が「55」から大きい側に離れるにつれて高くなる。これによって、第2回目の装飾図柄のリーチ表示が発生した際の大当り期待度を概ね5回の単位遊技を周期として変化させることができる。
また、120種類の推移パターンにおいて、図16に示されたように、確定リーチ発生単位遊技の割り当て範囲と抽選リーチ発生単位遊技の割り当て範囲とが一部重複しており、確定リーチ発生単位遊技及び抽選リーチ発生単位遊技は、所定の単位遊技(残り単位遊技数がゾロ目やキャラクタに対応する数である単位遊技)を除き、残り単位遊技数が「87」〜「46」である確変遊技状態の前半部の所定の範囲において概ね均等に割り当てられ、また、残り単位遊技数が「46」〜「13」である確変遊技状態の後半部の所定の範囲において概ね均等に割り当てられている。但し、抽選リーチ発生単位遊技における装飾図柄のリーチ表示の発生割合が1/2であるために、後半部における装飾図柄のリーチ表示の発生頻度は、概ね前半部における装飾図柄のリーチ表示の頻度の1/2となる。したがって、各回の確変遊技状態において、残り単位遊技数が「87」〜「13」の広範囲に亘る単位遊技において、概ね満遍なく装飾図柄のリーチ表示が発生する。
また、120種類の推移パターンは、確定リーチ発生単位遊技に対応する残り単位遊技数が同一であって、抽選リーチ発生単位遊技に対応する残り単位遊技数が異なる推移パターンの複数の組み合わせで構成されている。したがって、第1回目の装飾図柄のリーチ表示の発生によって、第2回目の装飾図柄のリーチ表示の発生する可能性のある単位遊技が容易には推定できない。
上記のパチンコ機100であれば、各推移パターンにおいて装飾図柄のリーチ表示を確定的に発生される単位遊技が規定されており、確変遊技状態において大当りに当選しなかったとしても、装飾図柄のリーチ表示が必ず1回は発生する。これによって、リーチ表示の発生を単位遊技ごとに抽選によって決定する場合のように、確変遊技状態において装飾図柄のリーチ表示すらも発生しないような事態が生じることを防止でき、確変遊技状態における遊技性を向上させることができる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、各推移パターンにおいて、装飾図柄のリーチ表示を確定的に発生される1回の単位遊技と装飾図柄のリーチ表示を選択的に発生させる1回の単位遊技とが規定されており、また、それらの単位遊技以外では装飾図柄のリーチ表示を発生させないように規定されている。したがって、確変遊技状態における100回の単位遊技内で3回目の装飾図柄のリーチ表示が発生すれば必ず大当りとなるが、確変遊技状態における遊技が進行するにつれて、大当りに当選しなかったとしても装飾図柄のリーチ表示の回数(1回又は2回)が必ず増加していくために、大当りへの期待感を遊技が進行するにつれて増幅させることができる。これによって、確変遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、推移パターンによってハズレリーチパターンの変動が制御される期間が100回の単位遊技に制限され、また、当該期間においてハズレリーチパターンの変動が選択される最大回数が2回に制限されている。このため、確変遊技状態の残り単位遊技数と、リーチ表示の発生回数との組み合わせに応じて、異なる大当りへの期待感を遊技者に抱かせることができる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、各推移パターンにおいて、確定リーチ発生単位遊技及び抽選リーチ発生単位遊技を所望の単位遊技に簡便に設定でき、所望の単位遊技でリーチ表示を確定的に又は選択的に発生させることができる。また、全ての推移パターンにおいて、所定の単位遊技、例えば、最初の所定回数以下の単位遊技、最後の所定回数以下の単位遊技、残り単位遊技数がゾロ目やキャラクタに起因する数字等である単位遊技、確定リーチ発生単位遊技又は抽選リーチ発生単位遊技から所定回数以下の単位遊技に、確定リーチ発生単位遊技及び抽選リーチ発生単位遊技を割り当てないことによって、所定の単位遊技において装飾図柄のリーチ表示が発生すれば必ず大当りとなるように簡便に設定することができる。これによって、確変遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、全ての推移パターンにおいて、確定リーチ発生単位遊技が所定の分布(図15(A)参照)となるように割り当てて、第1回目の装飾図柄のリーチ表示が発生した場合の大当りの期待度を変化させたために、装飾図柄のリーチ表示が発生した場合の遊技が単調となることを防止することができる。また、全ての推移パターンにおいて、抽選リーチ発生単位遊技が所定の分布(図15(B)参照)となるように割り当てて、第2回目の装飾図柄のリーチ表示が発生した場合の大当りの期待度を変化させたために、第2回目の装飾図柄のリーチ表示が発生した場合の遊技が単調となることを防止することができる。これらよって、確変遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、全ての推移パターンにおいて、装飾図柄のリーチ表示が確変遊技状態の前半部の所定の範囲(残り単位遊技数が「87」〜「46」)の単位遊技で概ね均等に発生し、また、前半部の所定の範囲と連続する確変遊技状態の後半部の所定の範囲(残り単位遊技数が「46」〜「13」)の単位遊技で概ね均等に発生するように、確定リーチ発生単位遊技と抽選リーチ発生単位遊技とが割り当てられている(図16参照)。したがって、確変遊技状態の大半の範囲(残り単位遊技数が「87」〜「13」))において、あたかも各単位遊技でリーチ表示の発生を抽選しているかのようにリーチ表示を発生させることができ、大当りへの期待感を維持させることができる。また、前半部の所定の範囲の単位遊技リーチ表示が発生した場合と後半部の所定の範囲の単位遊技でリーチ表示が発生した場合とで、大当りの期待度を変化させたために、確変遊技状態における遊技が単調となることを抑制できる。これらよって、確変遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
更に、確定リーチ発生単位遊技に対応する所定の残り単位遊技数が同一であって、抽選リーチ発生単位遊技に対応する残り単位遊技数が異なる推移パターンが一組となっており、そのような推移パターンの組が複数設定されている。したがって、第1回目の装飾図柄のリーチ表示の発生した単位遊技に基づいて、第2回目の装飾図柄のリーチ表示の発生する可能性のある単位遊技を容易には推定できなくなり、常に、リーチ表示の発生を期待しつつ遊技を継続することができる。これによって、確変遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
<特別図柄の表示態様>
第1特別図柄及び第2特別図柄の停止図柄及びその表示態様並びにそれらに関連する事項について纏めて詳細に説明する。図18は、主制御割込み処理における特別図柄関連処理S1217を表すフローチャートである。また、図19は、特別図柄関連処理S1217における特別図柄変動開始処理S1303の一例を表すフローチャートであり、図20は、特別図柄変動開始処理S1303における停止図柄生成処理S1404を表すフローチャートである。
第1特別図柄の停止図柄及び第2特別図柄の停止図柄を識別する停止図柄識別値は、大当り図柄乱数カウンタから取得された大当り図柄乱数値に応じて決定された図柄識別値に基づく所定の演算によって生成され、その演算結果が所定の値の範囲でない場合には、当該生成された値に設定されることとなり、一方、その演算結果が所定の値の範囲である場合には、当該生成された値に対応付けられた所定の値に設定される。大当り図柄乱数カウンタから取得された取得値に基づいて停止図柄識別値を決定する制御は、特別図柄関連処理S1217(図12及び図18参照)の特別図柄変動開始処理S1303(図18及び図19参照)における当選判定処理S1403(図19参照)と、停止図柄生成処理S1404(図19及び図20参照)とによって実現される。
なお、特別図柄関連処理S1217において、図18に示されたように、特別図柄変動開始処理S1303以外に、上側中始動入賞装置431A(図7参照)や下側中始動入賞装置431B(図7参照)への遊技球の進入に伴う第1特別図柄抽選や、右始動入賞装置432(図7参照)への遊技球の進入に伴う第2特別図柄抽選に関連する制御を実行する始動入賞処理S1301も行われる。
また、特別図柄関連状態識別値判定処理S1302が実行され、進行中の遊技状態に対応した特別図柄関連状態識別値を用いて、特別図柄関連処理S1217を構成する具体的な処理のうちいずれの処理を実行するかが選定される。
また、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示に関連する制御を実行する特別図柄変動表示処理S1304や、第1特別図柄や第2特別図柄に係る停止図柄の確定表示に関連する制御を実行する特別図柄確定表示処理S1305も実行される。更に、特別遊技状態における下大入賞装置433(図7参照)や上大入賞装置434(図7参照)の動作を制御する大入賞装置作動開始処理S1306〜大入賞装置作動停止処理S1311も行われる。また、特別図柄変動開始処理S1303において、図19に示されたように、当選判定処理S1403及び停止図柄生成処理S1404以外に、第1特別図柄や第2特別図柄の次回の変動へ移行させるための制御を実行する特別図柄変動前設定処理S1401や、第1特別図柄や第2特別図柄の保留状態を変更するための制御を実行する特別図柄保留データ順送り処理S1402も実行される。
更に、第1特別図柄や第2特別図柄の変動を開始させるための制御を実行する特別図柄変動開始時設定処理S1405が実行される。特別図柄変動開始時設定処理S1405においては、遊技状態や上記した推移パターンに対応して変動パターンの選択が行われる。この選択した変動パターンに対応する変動時間に従って、主制御基板920は、特別図柄表示装置471,472の表示内容を制御し、また、選択された変動パターンに対応した制御コマンドを副制御基板940に送信する。装飾図柄表示装置479においては、副制御基板940の制御によって特別図柄表示装置471,472における変動表示に同期して変動表示が行われる。
ここで、具体的に、大当り図柄乱数カウンタから取得された大当り図柄乱数値から停止図柄識別値を生成する方法について説明する。図21は、大当り図柄乱数値と図柄識別値とを対応付けるためのパラメータを表す説明図であり、図22は、大当り図柄乱数値と図柄識別値及び特別遊技状態の態様との相関を表す説明図である。また、図23は、図柄識別値から停止図柄識別値を生成するための演算を表す説明図であり、図24は、停止図柄識別値が所定の値の範囲である場合の停止図柄識別値の置換を表す説明図であり、図25は、図柄識別値と停止図柄識別値及び発光パターンとの相関を表す説明図である。
主制御基板920(図10参照)は、8ビットを基本演算単位とするCPU(図示せず)を備えており、8ビット単位又は16ビット単位での演算を行える。大当り図柄乱数値は、主制御基板920のRAM(図示せず)の16ビットの領域に格納されており、その取り得る値の範囲は「0」〜「479」の値であり、第1特別図柄及び第2特別図柄に対して共通である。
当選判定処理S1403において、第1特別図柄抽選で大当りに当選した場合には、大当り図柄乱数値が第1の図柄割合「172」(図21(A)の左欄の第1番目の値)未満であるかが判定され、大当り図柄乱数値が第1の図柄割合未満である場合には、更に、大当り図柄乱数値が第1の図柄数「10」(図21(A)の右欄の第1番目の値)未満であるか否かが判定される。大当り図柄乱数値が第1の図柄数未満である場合には、当該大当り図柄乱数値が図柄識別値として設定される。一方、大当り図柄乱数値が第1の図柄割合未満ではあるが、大当り図柄乱数値が第1の図柄数未満でないときには、大当り図柄乱数値から第1の図柄数が繰り返し減じられ、第1の図柄数未満となった場合の値が図柄識別値として設定される。これによって、図22に示されたように、大当り図柄乱数値が「0」〜「171」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に「0」〜「9」の値が繰り返し割り当てられる。
また、大当り図柄乱数値が第1の図柄割合未満でない場合には、大当り図柄乱数値から第1の図柄割合に対応する値が減じられ、当該減算後の値が第2の図柄割合「10」(図21(A)の左欄の第2番目の値)未満であるか否かが判定され、大当り図柄乱数値が第2の図柄割合未満である場合には、当該減算後の値に第1の図柄数「10」を加えた値が図柄識別値として設定される。これによって、図22に示されたように、大当り図柄乱数値が「172」〜「181」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に、図柄識別値に「10」〜「19」の値が割り当てられる。
また、第1の図柄割合に対応する値が減算された後の大当り図柄乱数値が第2の図柄割合未満でない場合には、当該大当り図柄乱数値から更に第2の図柄割合に対応する値が減じられ、当該減算後の値(大当り図柄乱数値から第1の図柄割合及び第2の図柄割合を減じた値)が第3の図柄割合「58」(図21(A)の左欄の第3番目の値)未満であるか否かが判定される。当該減算後の値が第3の図柄割合未満である場合には、当該減算後の値が第3の図柄数「10」(図21(A)の右欄の第3番目の値)未満であるか否かが判定され、第3の図柄数未満である場合には、当該減算後の値に第1の図柄数及び第2の図柄数の合算値「20」を加えた値が図柄識別値として設定される。一方、当該減算後の値が第3の図柄割合未満ではあるが、第3の図柄数未満でないときには、当該減算後の値から更に第3の図柄数が繰り返し減じられ、第3の図柄数未満となった場合の値に第1の図柄数及び第2の図柄数の合算値「20」を加えた値が図柄識別値として設定される。これによって、図22に示されたように、大当り図柄乱数値が「182」〜「231」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に、図柄識別値に「20」〜「29」の値が繰り返し割り当てられる。
また、第1の図柄割合に対応する値及び第2の図柄割合に対応する値が減算された後の大当り図柄乱数値が第3の図柄割合未満でない場合には、当該大当り図柄乱数値から更に第3の図柄割合に対応する値が減じられ、当該減算後の値(大当り図柄乱数値から第1の図柄割合、第2の図柄割合及び第3の図柄割合を減じた値)が第4の図柄割合「240」(図21(A)の左欄の第4番目の値)未満であるか否かが判定される。当該減算後の値が第4の図柄割合未満である場合には、更に、当該減算後の値が第4の図柄数「120」(図21(A)の右欄の第4番目の値)未満であるか否かが判定され、第4の図柄数未満である場合には、当該減算後の値に第1の図柄数、第2の図柄数及び第3の図柄数の合算値「30」を加えた値が図柄識別値として設定される。一方、当該減算後の値が第4の図柄数「120」未満でないときには、当該減算後の値から更に第4の図柄数が減じられ、当該減算後の値に第1の図柄数、第2の図柄数及び第3の図柄数の合算値「30」を加えた値が図柄識別値として設定される。これによって、図22に示されたように、大当り図柄乱数値が「240」〜「479」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に、図柄識別値に「30」〜「149」の値が繰り返し割り当てられる。
更に、当選判定処理S1403において、第2特別図柄抽選で大当りに当選した場合には、図21(B)に示された図柄割合と図柄数とに基づいて、第1特別図柄抽選で大当りに当選した場合と同様にして図柄識別値が導出される。具体的には、大当り図柄乱数値が「0」〜「181」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に、図柄識別値に「0」〜「119」の値が繰り返し割り当てられ、大当り図柄乱数値が「182」〜「479」である場合には、大当り図柄乱数値が小さい方から順に、図柄識別値に「120」〜「239」の値が繰り返し割り当てられる。例えば、大当り図柄乱数値が「0」又は「120」である場合には図柄識別値は「0」となり、大当り図柄乱数値が「61」又は「181」である場合には図柄識別値は「61」となり、大当り図柄乱数値が「119」である場合には図柄識別値は「119」となる。また、大当り図柄乱数値が「182」、「302」又は「422」である場合には図柄識別値は「120」となり、大当り図柄乱数値が「239」、「359」又は「479」である場合には図柄識別値は「177」となり、大当り図柄乱数値が「301」又は「421」である場合には図柄識別値は「239」となる。
図柄識別値は、主制御基板920のRAMの8ビットの領域に格納されており、その取り得る値の範囲は、第1特別図柄に対しては「0」〜「149」であり、第2特別図柄に対しては「0」〜「239」である。また、図柄識別値は、特別遊技状態の態様を決定するために用いられる。具体的には、図22に示されたように、第1特別図柄に係る図柄識別値が「0」〜「9」である場合には、継続ラウンド数の少ない短期(本形態では6ラウンド)の特別遊技状態(図中の短期A)となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では40回)の単位遊技に亘り時短遊技状態となる。また、第1特別図柄に係る図柄識別値が「10」〜「19」である場合には、継続ラウンド数の少ない短期(本形態では6ラウンド)の特別遊技状態(図中の短期B)となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では60回)の単位遊技に亘り時短遊技状態となる。また、第1特別図柄に係る図柄識別値が「20」〜「29」である場合には、継続ラウンド数の多い長期(本形態では16ラウンド)の特別遊技状態(図中の長期A)となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では80回)の単位遊技に亘り時短遊技状態となる。また、第1特別図柄に係る図柄識別値が「30」〜「149」である場合には、継続ラウンド数の多い長期(本形態では16ラウンド)の特別遊技状態(図中の長期B)となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では100回)の単位遊技に亘り確変遊技状態となる。なお、図示しないが、第2特別図柄に係る図柄識別値が「0」〜「119」である場合には、継続ラウンド数の少ない短期(本形態では6ラウンド)の特別遊技状態となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では100回)の単位遊技に亘り確変遊技状態となる。また、第2特別図柄に係る図柄識別値が「120」〜「239」である場合には、継続ラウンド数の多い長期(本形態では16ラウンド)の特別遊技状態となり、特別遊技状態の後には所定回数(本形態では100回)の単位遊技に亘り確変遊技状態となる。なお、各種の時短遊技状態や各種の確変遊技状態において所定回数の単位遊技が終了した後には、通常遊技状態となる。
更に、図柄識別値は、特別遊技状態後の確変遊技状態及び時短遊技状態における変動パターンを制御するための内部遊技状態の推移のパターンを識別するためにも用いられ、特に、確変遊技状態にあっては、上述のように、異なる図柄識別値に対しては、異なる内部遊技状態の推移のパターンが割り当てられる。
次に、図柄識別値と、図柄識別値と同一の値に対して0埋めの左ビットシフト演算を4回実行した値との排他的論理和演算が実行され、図柄識別値の変換値が生成される(変換値生成処理S1501:図20参照)。この変換値において、下位4ビットの値は元の図柄識別値の下位4ビットの値と同一であり、上位4ビットの値は元の図柄識別値の下位4ビットの値に基づいて変化するが、異なる図柄識別値から同一の変換値が生成されることはない。
次に、変換値に補正値「2(02H)」を加算した参照値が生成される(参照値生成処理S1502:図20参照)。なお、8ビットの加算演算において、「FFH」に「1(01H)」を加算した場合には「00H」となるために、図24に示されたように、「FEH」及び「FFH」に補正値を加算した場合には、それぞれ、通常の加算結果とは異なる値「00H」及び「01H」をとる。
次に、参照値が「5(05H)」以下であるか否かが判定されて(判定処理S1503:図20参照)、参照値が「5(05H)」以下である場合(S1503:Y)には、変換値が、図24に示されたように、6種類の参照値に対応付けられた互いに異なる置換値に置き換えられる(変換値置換処理S1504:図20参照)。なお、参照値が「5(05H)」以下でない場合(S1503:N)には、変換値が他の値に置き換えられることはない(変換値置換処理S1504のスキップ)。
最終的に、変換値が「00H」〜「03H」並びに「FEH」及び「FFH」である場合にはその値に対応する置換値が停止図柄識別値として設定され、変換値がその他の値である場合には、変換値そのものが停止図柄識別値として設定される(停止図柄設定処理S1505:図20参照)。これによって、図25に示されたように、図柄識別値において連続性を有する範囲の値であっても停止図柄識別値においては連続性を有さない離散的な値となる。
ここで、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472における停止図柄識別値に基づく停止図柄の表示態様について説明する。
第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472の各々は、8つの発光部を備え、それらの各発光部は、停止図柄識別値における各ビットに対応付けられており、図25に示されたように、停止図柄識別値を構成するビットの値が「1」である場合には、点灯し(図25における発光パターンの黒丸)、その値が「0」である場合には、消灯する(図25における発光パターンの白丸)。
変換値が「FFH」である場合のように全ての発光部が点灯する識別性の最も高い態様や、変換値が「00H」である場合のように全ての発光部が消灯する識別性の最も高い態様は、パチンコ機100の電源投入時におけるそれらの点灯や消灯のチェックの際に用いることとして、大当りに係る停止図柄を表示するためには用いないように設定されている。
また、変換値が「01H」及び「02H」である場合は、右端の2つの発光部を交互に点灯させて第1特別図柄や第2特別図柄の変動中を表すために用いることとして、大当りに係る停止図柄を表示するためには用いないように設定されている。また、変換値が「03H」である場合のように右端の2つの発光部が点灯する態様は、第1特別図柄抽選や第2特別図柄抽選において大当りに当選しなかった場合に用いることとして、大当りに係る停止図柄を表示するためには用いないように設定されている。これによって、第1特別図柄抽選や第2特別図柄抽選において大当り当選しなかった場合には、第1特別図柄や第2特別図柄の変動中の表示やハズレの表示を右端の2つの発光部のみによって実行できる。
上記のパチンコ機100であれば、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472において、確変遊技状態の内部遊技状態(推移パターン)との関連性が高い図柄識別値ではなく、その関連性を希薄にした停止図柄識別値に基づく発光態様によって確変遊技状態の内部遊技状態が報知される。したがって、遊技者によっては、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472による報知態様からは確変遊技状態における内部遊技状態、つまり、装飾図柄によるリーチ表示の発生態様を制御する複数の推移パターンのうちのいずれの推移パターンが選択されているかを推察することが、発光態様が図柄識別値に基づいて決定される場合に比べて、困難となる。これによって、確変遊技状態において確定リーチ発生単位遊技や抽選リーチ発生単位遊技が何回目の単位遊技に対応するかを遊技者が推察することは困難となり、確変遊技状態における遊技性が飛躍的に向上する。
更に上記のパチンコ機100であれば、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472において、時短遊技状態の内部遊技状態(継続回数)との関連性が高い図柄識別値ではなく、その関連性を希薄にした停止図柄識別値に基づく発光態様によって確変遊技状態の内部遊技状態が報知される。したがって、遊技者によっては、第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472による報知態様からは時短遊技状態が何回の単位遊技に亘って継続するかを推察することが、発光態様が図柄識別値に基づいて決定される場合に比べて、困難となる。これによって、時短遊技状態における遊技性が飛躍的に向上する。
更に、上記のパチンコ機100であれば、停止図柄識別値の生成において、一部を除き(変換値が「00H」,「01H」,「02H」,「03H」,「FEH」及び「FFH」である場合を除き)、図柄識別値に基づく所定の演算のみによって生成されるために、図柄識別値と停止図柄識別値との対応を表すテーブルのみに基づいて決定する場合に比べて、プログラム容量やデータ容量を大幅に増加させることなく、多様な停止図柄識別値を簡便に生成できる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、図柄識別値の変換値の生成に用いる演算が、論理演算である0埋め左ビットシフト演算と論理演算である排他的論理和演算との組み合わせであるために、四則演算と含む場合に比べて高速に演算を行える。これによって、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示の開始前に停止図柄識別値を生成する演算を行ったとしてもその変動の開始が遅延することを抑制できる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、図柄識別値の変換値が停止図柄識別値として採用したくない値(「00H」,「01H」,「02H」,「03H」,「FEH」及び「FFH」)の場合に、テーブルに基づいて所定の置換値に置換することによって、簡便にそれらの値を排除できる。なお、停止図柄識別値として採用したくない少数の値に対してのみテーブルに基づいて置換するために、テーブルの記憶に必要なデータ容量の増加を抑制できる。
更に、上記のパチンコ機100であれば、停止図柄識別値として採用したくない値が2つの離隔する範囲(「00H」〜「03H」と「FEH」〜「FFH」)に分布しているが、それらの離隔する範囲が最小値「00H」を含む連続範囲と最大値「FFH」を含む連続範囲とであるために、所定の補正値の加減算によって、2つの離隔する範囲を1つの連続する範囲に統合することができる。したがって、図柄識別値の変換値を所定の置換値に置換するか否かを一括して判定することができ、制御処理が簡素化される。なお、上記のパチンコ機100においては、最大値側の範囲(「FEH」〜「FFH」)に含まれる値の個数と同数の値「2」を変換値に加算することによって、2つの離隔する範囲(「00H」〜「03H」と「FEH」〜「FFH」)は最小値を含む1つの連続する範囲(「00H」〜「05H」)に統合されている。
<確変遊技状態における先行演出及び小当り>
パチンコ機100には、先行演出と小当りの機能が付加されており、先行演出の構成について説明をした後に、小当りの構成について説明する。
先行演出とは、未だ実行が開始されていない単位遊技における特典の付与を示唆する演出である。先行演出は、装飾図柄表示装置479等の表示による視覚に対しての演出、発射操作装置250や入力操作装置260の振動等による触覚に対しての演出、音響装置281,282からの音声出力による聴覚に対しての演出等、遊技者が状況を認識可能な感覚を刺激するいずれか又は複数の装置により実行される。以下においては、表示による視覚に対しての演出を用いて先行演出を実行する場合について説明するが、表示による先行演出に代えて、又は表示による先行演出に加えて、他の感覚に対しての装置を動作させる先行演出によって遊技者に特典を示唆しても良い。
先行演出において、遊技者に示唆される特典の付与としては、遊技者に有利な遊技状態が付与されることとなる大当り当選や後述する小当り当選、或いは、確変遊技状態の発生等が例示され、この種の特典は、遊技価値としての賞球の払い出しの付与につながる実質的な特典である。また、遊技者に付与される特典としては、大当り当選を期待させるリーチ演出や特定のキャラクタの出現といった特別な演出による特典も含み、この種の特典は遊技価値が付与されない形式的な特典である。リーチ演出の結果として単位遊技の抽選結果がハズレであったとしても、リーチ演出を伴わない単位遊技と比較すると、遊技者には大当り当選へつながる複数の段階を一部クリアして当選へ近づく期待感を抱かせる特典を付与することができる。
先行演出は、まだ実行が開始されていない単位遊技の内容を判定し、その内容に対応した表示や音声出力によって実行される。例えば、図26及び図27に示すように、主制御基板920における表示演出の実行設定の制御によって先行演出の実行が制御される。
図26は、特別図柄関連処理S1217(図18参照)における始動入賞処理S1301の一例を表すフローチャートであり、図27は始動入賞処理S1301における保留情報出力設定処理S1707を表すフローチャートである。
図26に示すように、始動入賞処理S1301においては、まず、第1特別図柄の始動入賞があったか否かが判定され(S1601)、第1特別図柄の始動入賞があれば(S1601:Y)、賞球の払い出しをするための払出カウンタの値を更新する賞球設定処理S1602と、いずれの始動入賞装置に入賞が発生したかを外部装置に出力する入賞情報出力設定処理S1603が実行される。
S1603の処理の後には、現在の単位遊技の保留回数が4未満であって最大数の単位遊技の権利が保留されている状況であるか否かが判定され(S1604)、権利の保留回数が最大数未満であれば(S1604:Y)、第1図柄保留回数記憶部(RAMの所定の領域)に記憶している現在の保留回数の情報(例えば、「3」)を、1回分の保留回数を加えた情報(例えば、「4」)に更新する(S1605)。
S1605の処理の後には、乱数取得処理S1606と、保留情報出力設定処理S1607とが行われる。乱数取得処理S1606においては、更新した保留回数の情報に対応させて第1特別図柄に係る当選乱数、大当り図柄乱数及び停止パターン乱数の値を第1図柄保留情報記憶部(RAMの所定の領域)に格納する。保留情報出力設定処理S1607では、副制御基板940に単位遊技の権利増加を含む保留情報を副制御基板940に伝達する設定を実行し、上記した先行演出に対応した処理も行われる。保留情報出力設定処理S1607にて設定された保留情報は、その後に行われる外部情報出力処理S1221(図12参照)によって副制御基板940に送信される。
一方、S1601の処理において第1特別図柄の始動入賞がないと判定された場合には(S1601:N)、S1602からS1607の処理をスキップして、S1701へ処理を移行する。また、S1604の処理において単位遊技の保留回数が「4」であれば(S1604:N)、保留回数の更新や乱数取得の処理等は実行しないで、S1701へ処理を移行する。
S1701からS1707の処理においては、上記した第1特別図柄に係る始動入賞の処理(S1601〜S1607)と同様に、第2特別図柄に係る始動入賞に関する処理が実行される。処理の内容については、上記した第1特別図柄に係る処理と同様である。第2特別図柄に係る処理の一部としての保留情報出力設定処理S1707においては、確変遊技状態中に実行される先行演出に対応した処理が実行され、この処理の詳細については、図27を参照して説明する。なお、第1特別図柄に係る保留情報出力設定処理S1607は、第2特別図柄に係る保留情報出力設定処理S1707と同様の処理によって構成されるため、説明を省略する。
保留情報出力設定処理S1707においては、図27に示すように、まず、今回の始動入賞に基づく単位遊技の権利が保留される状況か否かを判定する(S1801)。この判定は、確変遊技状態中であって単位遊技の権利の成立を待機している状況であるか、それとも単位遊技の実行中であって単位遊技の権利が保留される状況であるかを判定して行われる。
単位遊技の権利が保留されずに即座に単位遊技が実行される場合には(S1801:N)、通常保留コマンドを設定して(S1802)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。今回の保留情報出力設定処理S1707が実行されている始動入賞処理S1301において始動入賞が発生した状況においては、確率変動状態中で即座に単位遊技が開始されるので、その単位遊技における特典の付与を先行演出によって示唆する必要がないため、先行演出を実行するためのS1805以降の処理を経由しないで保留情報出力設定処理S1707を終了するのである。なお、S1801の処理を省略し、始動入賞に基づく単位遊技が即座に実行される状況であってもS1803以降の処理を実行しても良く、この場合には、プログラムを簡略化することができる。
単位遊技の権利が保留される場合には(S1801:N)、大当りの発生情報が大当り情報記憶部(RAMの所定の領域)に記憶されているか否かを判定する(S1803)。
大当り情報記憶部は、大当りの発生情報の有無を確認するための領域であり、例えば1ビットのフラグ(大当り記憶有フラグ)により構成されている。大当り記憶有フラグとしては、実行中の単位遊技と既に開始が保留されて未実行の単位遊技との中に大当り当選に対応する当選乱数カウンタの値が格納された単位遊技がある場合にオンとなって大当り発生情報が記憶され、その大当り当選に対応する単位遊技が終了した場合にオフとなって大当り発生情報が消去されるフラグが例示される。
S1803の処理において、大当りの発生情報が記憶されている場合には(S1803:Y)、通常保留コマンドを設定して(S1802)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。大当りの発生情報が記憶されている場合、確変遊技状態から特別遊技状態へと遊技状態が移行し、その大当りにおいて選定された新たな推移パターンによって確変遊技状態が開始される可能性があり、このような遊技状態の変更を伴う単位遊技が実行中か、その単位遊技の権利が既に保留されている場合、その後に成立した単位遊技の先行演出が実際の単位遊技の内容とは異なってしまう可能性がある。そこで、先行演出を実行するためのS1805以降の各処理を経由しないで保留情報出力設定処理S1707を終了する。
S1803の処理において、大当りの発生情報が記憶されていなければ(S1803:N)、残り単位遊技数が「0」より大きいか判定し(S1804)、残り単位遊技数が「0」であれば(S1804:N)、通常保留コマンドを設定して(S1802)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。残り単位遊技数が「0」であれば、遊技状態が確変遊技状態中でなく、確変遊技状態における先行演出を実行するための各処理は必要ないためである。なお、残り単位遊技数が「0」である場合にも(S1804:N)、S1805以降の処理を実行しても良く、この場合には、確変遊技状態とは別の遊技状態(例えば、通常遊技状態)においても、大当り当選やリーチ発生に対する先行演出を実行することができる。
S1804の処理において、残り単位遊技数が「0」より大きいと判定した場合には(S1804:Y)、単位遊技数記憶部(RAMの所定の領域)から現在の残り単位遊技数を抽出し、その残り単位遊技数から現在の保留回数を減算して対象回数を算出し、対象回数に対応した情報(例えば、対象回数自体)を対象回数記憶部(RAMの所定の領域)に記憶する(S1805)。
S1805の処理の後には、第2特別図柄が変動表示中であるか判定し(S1806:Y)、変動表示中でなければ、対象回数記憶部に記憶された対象回数に「1回」に相当する分を加えた回数を新たな対象回数とし、その対象回数に対応した情報を対象回数記憶部に格納する。
ここで、パチンコ機100では、変動表示を停止させる特別図柄確定表示処理S1305(図18参照)において、単位遊技数記憶部における残り単位遊技数が更新される構成とし、変動表示が連続して実行されている状況においては、対象回数記憶部に記憶された対象回数と、実際の残り単位遊技数とは一致する。一方、単位遊技の実行が待機されている状況(例えば、変動表示の確定停止中や特別遊技状態中)においては、保留された単位遊技のうち最初に実行される単位遊技(すなわち最初に保留された単位遊技)が残り単位遊技数における最初の単位遊技に相当するものの、S1805の処理で対象回数として保留回数を減算すると、対象回数と、残り単位遊技数との間に1回分のずれが生じ得る。
S1806及びS1807の処理は、先行演出の対象となる今回始動入賞が成立した単位遊技の残り単位遊技数を補正する処理であり、これにより、対象回数を正確に計数し、且つ、1つの残り単位遊技数のみを単位遊技数記憶部に記憶して保留回数に対応した対象回数と実行中の残り単位遊技数とを主制御基板920の制御において利用できるので、別々に回数を記憶させる場合に比較して、記憶された残り単位遊技数間に制御のほんの一瞬においてもずれを生じる機会を少なくすることができる。よって、タイマ割込処理とメイン処理とが混在し、且つ、停電時の処理等が発生した各状況におけるプログラムのデバッグ等を簡易にし、少ない容量の記憶部を利用して正確な処理を実現することができる。
なお、単位遊技数記憶部における残り単位遊技数の更新としては、必ずしも変動表示の終了するタイミングとする必要はなく、変動表示の開始するタイミングとしても良いし、単位遊技に関する遊技の終了(例えば、確定停止の処理が終了するタイミングや、大当りを発生させる単位遊技の場合における当該大当りに基づく特別遊技状態の終了するタイミング)としても良く、これらのタイミングとした場合には、S1806及びS1807の補正処理を省略し、しかも、プログラムのデバッグ等を簡易にし、且つ、少ない容量の記憶部を利用した正確な処理を実現することができる。なお、単位遊技数記憶部に、実行中の単位遊技を基準にした残り単位遊技数と、実行中の単位遊技と権利が保留された数分を消化した場合の残数を基準にした残り単位遊技数とを別々に記憶しても、対象回数を導出することができる。
S1901からの処理においては、対象回数記憶部に記憶された対象回数を利用し、権利が発生した単位遊技の内容を確認して、その内容に対応した保留情報が設定される。まず、S1901の処理において、始動入賞の発生によって取得された当選乱数カウンタの値が大当りに当選となる当選値(以下、大当り当選値という)であるか否かが判定され(S1901)、大当り当選値であれば(S1901:Y)、大当り記憶有フラグをオンして大当り情報記憶部に大当りの発生情報を記憶し(S1902)、さらに、大当り当選情報を付加した保留コマンドを設定して(S1903)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。
ここで、保留コマンドとしては、更新された保留回数に対応した情報と、図柄の種別として第1特別図柄、第2特別図柄又は普通図柄のいずれの保留であるかが判別可能な情報とを含み、更に、先行演出の実行に必要な情報として大当り当選の有無やリーチ発生の有無に対応する情報を付加して副制御基板940に出力される情報が例示される。副制御基板940は、保留コマンドを受信すると、その内容に応じた表示態様や音声の出力によって先行演出を実行し、遊技者に大当り当選やリーチ発生を示唆する。なお、必ずしも大当り当選やリーチ発生といった遊技者に特典が付与される単位遊技の権利が発生した場合に、100%の確率で遊技者にその権利発生を示唆する必要はなく、100%未満の予め定めた割合で先行演出を実行し、先行演出が実行されない状況であっても大当り当選を発生させる構成としても良く、また、大当りに当選しなかった単位遊技やリーチが発生しない単位遊技等、特典の付与が成立しなかった単位遊技においても先行演出と同一の態様で先行演出を実行し、先行演出が実行されても特典の付与が確定するものでなく、その付与を期待させるものとする構成としても良い。
S1901の処理において、始動入賞の発生によって取得された当選乱数カウンタの値が大当り当選値でないと判定した場合には(S1901:N)、その単位遊技は大当りに当選しない遊技であり、その遊技でリーチ演出がハズレ図柄で確定停止するハズレリーチが発生するか否かを判定する(S1904)。このハズレリーチの発生判定は、対象回数記憶部に記憶された対象回数と、内部遊技状態の推移パターンを識別する値(パターン番号)と、そのパターン番号に対応した状態の推移パターン(ROMの所定の領域)とを参照し、対象回数の単位遊技における変動表示でリーチが発生するか判定して行われる。
S1904の処理において、ハズレリーチが発生すると判定した場合には(S1904:Y)、リーチ発生に対応したハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドを設定する(S1905)。一方、S1904の処理において、ハズレリーチが発生しないと判定した場合には(S1904:N)、通常保留コマンドを設定する(S1906)。
S1905又はS1906の処理が実行された後には、対象回数の1回前の単位遊技における遊技状態が状態C(確変状態C)であるか判定し(S1907)、確変状態Cであると判定した場合には(S1907:Y)、保留コマンドに有利遊技開始情報を付加してから(S1908)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。パチンコ機100においては、確変状態Cの後に続いて開始される確変状態Dは、通常の遊技状態より遊技者に有利な小当りによる特典を付与し易い遊技状態に設定され、その有利な遊技状態の開始が副制御基板940を通じた先行演出によって遊技者に示唆される。小当りに関する遊技状態の内容詳細については後述する。
S1907の処理において、対象回数の1回前の遊技状態が確変状態Cでないと判定した場合には(S1907)、対象回数の遊技状態が状態D(確変状態D)であるか判定し(S1909)、確変状態Dであれば(S1909:Y)、保留コマンドに有利遊技実行情報を付加してから(S1910)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。確変状態Dの単位遊技においては、小当りによる特典が遊技者に付与され易く、その特典の付与が副制御基板940を通じた先行演出によって遊技者に示唆される。
S1909の処理において、対象回数の遊技状態が状態Dでないと判定した場合には(S1909:N)、対象回数の9回後に実行される単位遊技の遊技状態が確変状態Cであるか判定し(S1911)、確変状態Cであれば(S1911:Y)、保留コマンドに有利遊技接近情報を付加してから(S1912)、保留情報出力設定処理S1707を終了する。対象回数に対して一定の回数後(本実施形態では、9回後)に実行される遊技状態が確変状態Cの状況においては、小当りによる特典が遊技者に付与され易くなる有利な遊技状態が残り10回で開始され得るので、その有利な遊技状態による特典の付与が近づいている状況が副制御基板940を通じた先行演出によって遊技者に示唆される。
S1911の処理において、対象回数の9回後に実行される単位遊技の遊技状態が状態Cでないと判定された場合には(S1911:N)、保留コマンドに対して先行演出を発生させるための情報を付加せずに保留情報出力設定処理S1707を終了する。
次に、小当りについて説明する。
パチンコ機100には、第2特別図柄に係る単位遊技の抽選結果として、上記した大当りの他に、小当りが設定されている。小当りに当選した場合には、大当りに当選した場合とは異なる特典が遊技者に付与される。なお、大当りに当選した場合に発生する特別遊技状態の種類の1つとして、小当りの当選と同一の大きさの特典が付与される特別遊技状態が設定されていても良い。
パチンコ機100においては、第2特別図柄に係る右始動入賞装置432へ進入した遊技球が右始動入賞スイッチ442で検出されることに基づく第2特別図柄抽選において小当りに当選した場合に下進入規制ソレノイド463が作動する。始動入賞に基づいて取得された特別図柄に係る当選乱数カウンタの値が予め定めた小当りに当選となる値(以下、小当り当選値という)であった場合には、小当りの当選となる。小当り当選値は、大当り当選値とは別の値に設定され、1回の始動入賞において大当りと小当りとが同時には成立しない設定とされている。小当りに当選した単位遊技においては、大当り図柄とは別の図柄(大当りに当選しなかった場合に表示されるハズレ図柄)のうち、予め定められた小当り図柄が特別図柄表示装置471,472における停止図柄として設定される。
小当りに当選した場合には、下進入規制ソレノイド463が作動し、下大入賞装置433が進入許容姿勢となる。進入許容姿勢は、1回の小当り当選において、所定の個数(例えば、5個)の遊技球が大入賞スイッチ443によって検出された場合、又は、所定の最大進入許容時間(例えば、3秒)が経過した場合に終了し、その後に、進入禁止姿勢に復帰する。この進入許容姿勢が継続している期間中は、小当りに係る遊技状態(小当り遊技状態)に対応し、小当りの当選に対応した停止図柄が表示された場合に小当り遊技状態が開始され、下大入賞装置433が進入禁止姿勢に復帰した後に小当り遊技状態が終了する。小当り遊技状態は、大当りに対応する特別遊技状態と同様、変動表示の実行が待機され、小当り遊技状態の後に次の単位遊技に係る変動表示が行われる。
小当り遊技状態の制御は、特別図柄関連処理S1217(図18参照)において行われ、特別図柄確定表示処理S1305において小当りに当選したか否かが判定される。小当りに当選している場合には、大入賞装置作動開始処理S1306〜大入賞装置作動停止処理S1311の各処理が行われて上記した時間に対応した期間にわたって下大入賞装置433が進入禁止姿勢となる。なお、小当り遊技状態中に必ずしも変動表示を待機させる必要はなく、小当り遊技状態中に次の単位遊技の変動表示が開始される構成としても良い。
小当りは、大当りの当選と比較して遊技状態を変更させる契機となるものではない点において異なっている。小当りに当選した場合には、前回以前の抽選において定められていた遊技状態に従って、遊技が進行する。例えば、通常遊技状態においては、小当り遊技状態の後には通常遊技状態が継続し、確変遊技状態においては、小当り遊技状態の終了によって1回の単位遊技が実行されたこととなり、残り単位遊技数が1回分減少する。
ここで、遊技状態の内容詳細について、図28及び図29を参照して説明する。図28は、パチンコ機100における遊技状態の進行を表すフローチャートであり、図29は、各遊技状態における遊技の仕様を比較した説明図である。なお、図28においては、時短遊技状態を省略して示している。
パチンコ機100の電源が投入されて遊技が開始される場合には、図28に示すように、まずは、通常遊技状態からスタートする。通常遊技状態においては、始動入賞によって単位遊技の権利を発生させて大当りの獲得を期待して遊技を実行することとなる。始動入賞によって単位遊技の権利が発生すると特別図柄(具体的には、第1特別図柄又は第2特別図柄)の変動表示と確定停止とが行われ、特別図柄に係る単位遊技の大当り抽選に当選すると特別遊技状態へ遊技状態が移行する。大当り抽選に当選したか否かは、特別図柄に係る単位遊技を制御する特別図柄関連処理S1217(図12参照)を構成する当選判定処理S1403(図19参照)によって判定される。
特別遊技状態においては、例えば、略30秒の大入賞装置(具体的には、下大入賞装置433及び上大入賞装置434)の作動が所定回数(具体的には、6回又は16回)実行され、特別遊技状態中に確変遊技状態への移行条件(V入賞)が成立すると、その後に確変遊技状態へ移行し、その移行条件が成立しなければ時短遊技状態を経由して通常遊技状態へと移行する。V入賞が発生したか否かは、特別図柄関連処理S1217(図12参照)の一部の処理として実行され、V入賞が発生して確変遊技状態が開始されることとなる条件(所定の特定遊技開始条件に相当)が成立している場合には、遊技状態を記憶する遊技状態記憶部(RAMの所定の領域)に確変遊技状態に対応した情報が記憶され、それら情報に従って特別図柄に係る抽選条件が設定され、また、確変遊技状態の実行回数に相当する残り単位遊技数が設定される。また、普通図柄関連処理S1218(図12参照)における普通図柄抽選の条件や右始動入賞装置432の進入許容姿勢への移行時間についても遊技状態記憶部に記憶された情報に対応して制御される。
確変遊技状態においては、始動入賞(主に、第2特別図柄に係る始動入賞)によって単位遊技の権利を発生させて遊技を実行することとなる。この確変遊技状態においては、大当りと小当りとが発生し、推移パターンに応じて予め定めた残り単位遊技数となった後に小当りが連続して発生する設定とされている。一方、確変遊技状態において大当りが発生した場合には、確変遊技状態は終了して特別遊技状態へ移行し、再び、大当り当選の際に取得した大当り図柄乱数カウンタの値に応じた推移パターンに従って確変遊技状態が開始される。確変遊技状態においては、1回の始動入賞が発生し、特別図柄が変動表示された後に確定停止する毎に残り単位遊技数が1ずつ減算され、残り単位遊技数が「0」となるまで大当りに当選しなかった場合には、遊技状態が通常遊技状態へ移行する。
次に、各遊技状態における遊技の具体的仕様について説明する。パチンコ機100において選択され得る変動時間を4つに区分し、短い時間から順に、「短時間」が1秒から5秒、「通常時間」が15秒から30秒、「長時間1」が60秒から90秒、「長時間2」が120秒から180秒と区分した場合、各遊技状態に対応して、大当りに当選しなかった場合(大当り非当選)に選択される変動時間の選択頻度が異なる設定とされている。各遊技状態における大当り非当選の変動時間の選択頻度については、図29において、高い頻度から順に、「◎」、「○」、「△」、「−」の順に示している。
通常遊技状態は、通常時間が最も選択され易く、この通常時間の変動表示として、単位遊技においてリーチ表示が伴わないハズレの変動表示が実行される。次に、通常時間の次に時間の長い長時間1が選択され易く、ハズレリーチの変動表示が主に実行される。長時間1より長い長時間2の変動表示が最も発生頻度が少なく設定され、長時間2の変動表示を経由した場合には大当り当選の割合が多く、大当り当選の期待度が高い変動表示が実行される。短時間の変動は、選択されないか、長時間2よりも選択され難い設定とされている。
確変遊技状態は、5つの確変状態A〜Eによって選択される変動時間が異なり、確変状態Aと確変状態Dとでは、短時間の変動表示が大部分を占めて、他の変動時間は大当り当選の場合を除いて、実行されないか又はほとんど実行されない設定とされている(例えば、1%未満)。確変状態B,Eにおいては、確変状態A,Dに比べて長い長時間1の変動表示が選択され易く、確変状態Bにおいては、特定のキャラクタの出現を伴うハズレリーチの演出が実行され易く、確変状態Eにおいては、確変状態の終了を遊技者に伝える表示や音声を伴う終了演出が実行される。確変状態Cは、短時間の変動表示と長時間1の変動表示とがほぼ同一の割合で実行される。
大当り確率については、通常遊技状態が低確率で、確変遊技状態が通常遊技状態より高確率に設定される。大当り特典としては、通常遊技状態においては、所定のラウンド数(例えば、6ラウンド又は16ラウンド)にわたって下大入賞装置433又は上大入賞装置434の入賞口に遊技球が進入可能な長時間の開放状態に相当する進入許容姿勢が継続し、確変遊技状態では、通常遊技状態より有利な設定とされて所定のラウンド数(例えば、16ラウンド)にわたる長時間の開放状態が継続する設定とされている。
小当り確率は、遊技状態に対応して変化し、通常遊技状態及び確変状態A〜Cにおいては低確率(例えば、288.5分の1であって通常遊技状態における大当り確率と同一)に設定されている。一方、確変状態Dにおいては、通常遊技状態より高確率に設定され、例えば、大当り抽選に外れた場合に必ず小当りに当選する設定とされている。当選乱数カウンタの値のうち大当り当選値の数は、通常遊技状態における数(例えば、「2」)より確変状態の方が多い数(例えば、「20」)が設定されている。確変状態D,Eにおいては、当選乱数カウンタの値のうち大当り当選値以外の全ての値が小当りの当選値として設定されている。確変状態D,Eにおいては、小当りは大当りより極めて高確率で成立することとなり、確変状態D,Eに対応する遊技が連続する分、小当り当選が連続発生し易く設定されている。
小当り特典は、通常遊技状態においても、確変遊技状態においても一定の特典に設定されている。この小当り特典として、下大入賞装置433の入賞口に遊技球が進入可能な開放状態が所定の開放時間(例えば、3秒間)にわたって発生する。
次に、パチンコ機100における小当りによる遊技性について、図29及び図30を主に参照して説明する。図30は、確変遊技状態における時間の進行と、遊技者が遊技球の払い出しによって獲得し得る球数(以下、獲得球数という)との関係を例示した図である。ここで、獲得球数としては、入賞によって払い出された賞球数から、遊技領域に発射した球数を差し引いた差球数としている。
パチンコ機100においては、通常遊技状態において大当りに当選すると、確変遊技状態における内部状態の切り替わるタイミングが異なる複数種類の推移パターンから1の推移パターンが決定され、その推移パターンに従って遊技が進行する。図30(A)は、大当りに当選して確変遊技状態へ遷移する場合であって、推移パターンとしてパターン65が選択され、確変遊技状態において大当りに当選することなく通常遊技状態へ移行した場合を例示している。
パターン65は、確定リーチ発生残り単位遊技数が68回、抽選リーチ発生残り単位遊技数が32回のパターンである(図13参照)。すなわち、確変遊技状態において大当りに当選しなければ、確変状態Aにおける単位遊技が1回から31回まで(残り単位遊技数=100〜69)の合計31回実行され、32回目(残り単位遊技数=68)の単位遊技において確変状態Bにおける単位遊技が1回実行され、その単位遊技においてハズレリーチが発生する。
その後、確変状態Aに戻り、単位遊技が33回目から67回目(残り単位遊技数=67〜33)の合計35回実行され、68回目(残り単位遊技数=32)の単位遊技において確変状態Cにおける単位遊技が1回実行される。確変状態Cにおける単位遊技においては、ハズレリーチを伴う変動表示又は確変状態Aと同様の短時間の変動表示が2分の1の確率で実行される。
その後、確変状態Dの単位遊技が69回目から99回目(残り単位遊技数=31〜1)の合計31回実行される。この確変状態Dの単位遊技においては、大当りに当選しなければ小当りに当選することとなり、第2特別図柄に係る始動入賞に基づいて略3秒間の変動表示が実行される。その後、小当り当選に対応した第2特別図柄が確定停止し、一定時間(例えば、3秒間)の下大入賞装置433の進入許容姿勢による有利な遊技状態が発生する。これにより、1回の単位遊技において、予め設定した所定数(例えば、平均5個)の入賞が発生し、その所定数に対して1回の入賞に対する賞球数(例えば、13個)を乗じた数(例えば、5×13=65個)の遊技球が1回の小当りに対する払出しによる特典として遊技者に付与される。獲得球数としては、変動表示の時間と有利な遊技状態の時間とを加えた略6秒間に発射される10球分の発射球数を小当りに対する払出しから差し引いた数(例えば、55個)に設定されている。
ここで、1回の単位遊技における入賞数は、必ずしも一定の数とはならず、下大入賞装置433が進入許容姿勢となった後に、入賞を許容する所定の個数(5個)の遊技球の入賞を検出して進入禁止姿勢に移行するまでに余分に遊技球が入賞する場合があったり、その所定の個数に到達しないで進入禁止姿勢へ移行する場合があったりして変動するが、本説明においては、その入賞数を一定のものとして簡略化して説明し、以下においても同様とする。なお、小当りが発生する1回の単位遊技における獲得球数や、特別遊技状態における獲得球数は、パチンコ機100の下大入賞装置433の構造や、遊技球の流下する経路の形状等によって調整可能であり、獲得球数を実測し、設計値に合致するように構造部分の形状及びスイッチの配置位置、進入許容姿勢の継続時間、1回の小当りに対する入賞数等を調整することで微調整することができる。
確変状態Eの単位遊技においては、第2特別図柄に係る始動入賞に基づいて確変状態Dより長い特別図柄の変動表示(例えば、略60秒の変動表示)が実行される。その後、小当り当選に対応した第2特別図柄が確定停止し、確変状態Dと同様に、一定時間(例えば、3秒間)の下大入賞装置433の進入許容姿勢による有利な遊技状態が発生し、確変状態Dにおける単位遊技より多くの遊技球を獲得し得る。すなわち、確変状態Dと確変状態Eの単位遊技の回数を合算した回数分の小当り当選の遊技状態による特典が確変遊技状態の開始から一定時間が経過した後に遊技者に付与される。
1回の確変遊技状態においては、小当りに対する特典は、確変状態D及びEの単位遊技の回数分に相当し、推移パターンがパターン65の場合には、1回の小当りに対する特典としての獲得球数に31回の単位遊技数を乗じた数(例えば、55球×31回=略1700個)の遊技球が特典として遊技者に付与される。この遊技球数は、大当り当選後に制御される16ラウンドの特別遊技状態の獲得球数より多数であり、遊技者は、単に、特別遊技状態の発生だけでなく、その後の確変遊技状態における確変状態Dの開始を期待して遊技をする。
確変状態Eの単位遊技が実行された後は、確変遊技状態から通常遊技状態へ遊技状態が移行し、遊技を継続することによって一旦獲得した獲得球数が次第に消費されることとなる。
大当り当選から特別遊技状態と確変遊技状態とを経由した獲得球数は、図30(A)に示すように、特別遊技状態、確変状態D及びEにおいては、獲得球数が次第に増加し、確変状態A〜Cにおいて次第に減少する。まずは、大当り発生後の特別遊技状態によって獲得球数が増加する。
特別遊技状態においては、特別遊技状態の種別として大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づいて決定された継続ラウンドに応じた獲得球数となる。特別遊技状態では、1ラウンドにおける進入許容姿勢から進入禁止姿勢へと移行する条件としての遊技球の入賞個数(8個)に、遊技球の入賞により払い出される賞球数(13個)を乗じた個数(104個)の遊技球が1ラウンドの経過により基本的に払い出される。ただし、進入禁止姿勢へ移行する直前に遊技球が大入賞装置に進入して多くの遊技球が払い出されるラウンドが生じるなどして、一定の獲得球数となるものでない。パチンコ機100における特別遊技状態の獲得球数は、例えば、6ラウンドの当選であれば略500個、16ラウンドの当選であれば6ラウンドの場合より多い略1500個に設定されている。
確変遊技状態においては、確変状態A〜Eのうち、一部の状態に相当する確変状態A〜Cにおいては、特別遊技状態に比べて獲得球数が増加しないで一定に近い数量を維持し、詳細には、徐々に減少する設定とされている。確変状態A〜Cにおいて獲得球数が一定量でなく徐々に減少する設定としていることにより、確変状態A〜Cの期間の長さに応じて獲得球数の状況を変化させることができ、獲得球数を推移パターンとして選定されたパターンに応じて有意に異ならせ、推移パターンの変化による多様な遊技性を遊技者に提供することができる。なお、確変状態A〜Cとしては、発射球数と賞球数とが一致し、結果として獲得球数が減少しないで一定に近い状況を維持する設定としても良いし、通常遊技状態と略同一の割合で遊技球が減少する設定としても良い。
確変遊技状態においては、確変状態A〜Eのうち、一部の状態に相当する確変状態D,Eにおいては、確変状態A〜Cに比べて獲得球数が増加する。この獲得球数の増加は、小当りの当選に基づく有利な遊技状態が複数回連続発生することによるものであり、推移パターンに応じた長さによって、確変状態Cのタイミングを契機に、複数回の単位遊技により一定の期間にわたって遊技球を獲得し続けることが可能な有利な遊技状態による特典を享受し得る。例えば、推移パターンとしてパターン65が選択された場合には、略1700個、推移パターンの中で確変状態Dが最も長く継続するパターン7では、確変状態D及びEの単位遊技が67回継続して獲得球数が略3700個となる。一方、推移パターンの中で確変状態Dが最も短いパターン105では、確変状態D及びEの単位遊技が12回継続して獲得球数が略650個となる。このように、確変遊技状態において大当りに当選しなくても、一定の単位遊技が実行された後は、小当りの当選によって遊技者に特典が付与される。
次に、確変遊技状態において大当りに当選した場合について説明する。図30(B)は、大当りに当選して確変遊技状態へ遷移する場合であって、推移パターンとしてパターン7が選択されて特別遊技状態が実行された後に確変遊技状態が開始され、確変遊技状態中に更に大当りに当選して特別遊技状態と、パターン105を推移パターンとする確変遊技状態が実行される場合を例示している。パターン7は、確変状態Dが長く設定された推移パターンであり、図30(B)に一点鎖線を付した線によって示すように、確変遊技状態中に大当りに当選しなければ、特別遊技状態によって得られるより多くの賞球を確変遊技状態の途中から最後にわたって獲得し、例えば、略4500個の獲得球数が期待できる。
しかし、確変遊技状態の途中で2回目の大当りに当選し、別の推移パターンの確変遊技状態が開始されて確変状態Dの回数が短い推移パターンが選択されていると、特別遊技状態の発生によって遊技球が増加しても確変遊技状態中の遊技球の増加が大当り発生前の推移パターン(パターン7)より少なく、最終的な出球としての獲得球数は、大当りが発生しても減少する場合が生じ得る。このため、遊技者は、大当り発生を期待しつつも、その大当り発生によって当初に獲得し得る可能性のあった小当り当選による獲得球数が減少する場合も心配して遊技を行うこととなる。この場合とは逆に、確変状態Dの回数が短い推移パターンが選択されていた後に、その回数が長い推移パターンが選択された場合には、多量の遊技球を獲得することとなり、推移パターンの選択順によって遊技者に付与される特典が変動する多彩な遊技性を付加することができる。
次に、パチンコ機100における先行演出による遊技性について説明する。パチンコ機100においては、確変状態Dが開始されるタイミングが早いほど、確変遊技状態が終了するまでの獲得球数が増加する。このため、遊技者は、大当り当選の他に確変状態Dの早期開始を期待して確変遊技状態において遊技を行う。確変遊技状態においては、先行演出が実行され、大当り当選や、確変状態Dの開始時期が遊技者に示唆される。
大当り当選に対する先行演出は、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において設定され、大当り当選情報を付加した保留コマンドが始動入賞の発生の際に主制御基板920から副制御基板940へ送信され、その保留コマンドに対応して装飾図柄表示装置479の表示内容が制御される。例えば、図17に示すように、横並びの丸印による保留表示の数で第1特別図柄及び第2特別図柄の保留回数をそれぞれ表示し、第2特別図柄の保留表示として大きな丸印で表示する場合、通常の始動入賞に基づいて大当りに当選していない単位遊技の保留表示については青色の丸印を追加表示し、大当りに当選している単位遊技の保留表示については、当選していない場合とは別の態様(例えば、虹色に変化する丸印を追加表示)にて保留表示する。遊技者は、単位遊技の保留回数が増加しただけでなく、大当りに当選する単位遊技が保留されたことを装飾図柄表示装置479の表示内容を視認して認識することができる。また、大当り当選情報を付加した保留コマンドを副制御基板940が受信した場合には、一定の確率(例えば、10分の1の確率)で後述するハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドを副制御基板940が受信した場合と同一の態様で装飾図柄表示装置479の表示内容を制御し、リーチ演出の後には大当りとなって特別遊技状態が発生する可能性を示唆する設定とされている。
確変状態Dの開始時期に対する先行演出としては、複数種類の先行演出が設定されている。1つは、確変状態Dの開始時期としては選定されているものの未だに、その実行は確定していない状況における未確定の先行演出(以下、確定前先行演出という)であり、他には、確変状態Dの開始が確定した後の実行確定後の先行演出(以下、確定後先行演出という)である。以下においては、確定前先行演出として表示される内容を確定前先行演出表示といい、確定後先行演出として表示される内容を確定後先行演出表示という。
確定前先行演出は、確変状態Cの9回前の単位遊技の権利が始動入賞により成立した場合に実行され得る。具体的には、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において、有利遊技接近情報を付加した保留コマンドが始動入賞の発生の際に主制御基板920から副制御基板940へ送信され、その保留コマンドに対応して装飾図柄表示装置479の表示内容が制御される。例えば、図17に示すように、表示領域の中央部分に「55」の数字で表示された残り単位遊技数に相当する残り単位遊技数表示が通常時には一定の輝度で点灯表示されており、副制御基板940が有利遊技接近情報を付加した保留コマンドを受信した際には、単位遊技の保留増加分の丸印を追加表示する以外に、確定前先行演出表示として残り単位遊技数表示が点滅表示となり、この点滅表示を確変遊技状態が終了するか又は大当りに当選するまで継続する。遊技者は、単位遊技の保留回数が増加しただけでなく、確変状態Cの後に続く確変状態Dが約10回後の単位遊技において開始され得ることを認識し、小当り当選が連続する有利な遊技状態を期待することができる。このため、少しでも早い段階で残り単位遊技数表示の点滅表示が開始されることを期待して残り単位遊技数の態様の変化を視認する遊技性を享受することができる。
この残り単位遊技数表示の点滅表示が開始された後に成立した始動入賞によって大当りに当選した場合には、確変遊技状態は終了して特別遊技状態へと移行する。このため、残り単位遊技数の点滅表示が開始されたからといって必ずしも確変状態Dの単位遊技が実行されるものではない。このようにして、残り単位遊技数の点滅表示は、確変状態Dに対する確定前先行演出となっている。
また、他の確定前先行演出は、確変状態Cの単位遊技の権利が始動入賞により成立した場合に実行され得る。この確変状態Cの単位遊技の権利が成立した場合には、保留表示による確定前先行演出と、ハズレリーチの演出実行による確定前先行演出とが実行される。保留表示による確定前先行演出は、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において、有利遊技開始情報を付加した保留コマンドが始動入賞の発生の際に主制御基板920から副制御基板940へ送信され、その保留コマンドに対応して装飾図柄表示装置479の表示内容が制御される。例えば、図17に示すように、表示領域の下側部分に丸印で表示された単位遊技の保留増加に対応する保留表示が通常時には青色の丸印で追加表示され、副制御基板940が有利遊技実行情報を付加した保留コマンドを受信した際には、確定前先行演出表示として単位遊技の保留増加分の丸印を緑色で追加表示する。すなわち、上記した確変状態A及びBに対しての単位遊技の権利追加に対応する態様(青色丸印)及び大当り当選に対しての単位遊技の権利追加に対応する態様(虹色丸印)とは別の態様(緑色丸印)によって単位遊技の権利の追加に相当する保留表示を実行する。この緑色による単位遊技の保留表示は、実行中の単位遊技が終了する毎に左側にシフトして表示され、確変状態Cの単位遊技が開始されるまで継続して表示される。
また、確変状態Cにおいて大当り抽選に当選しなかった場合、2分の1の確率で、第2回目のリーチ表示を伴うリーチ演出が実行される。遊技者は、確変遊技状態が開始されてから2回のリーチ表示を伴うリーチ演出がハズレ図柄で確定停止する表示(確定前先行演出表示)をもって、確変状態Dが次の単位遊技から開始され得ることを認識することができる。すなわち、変動表示の態様としてのリーチ演出の実行回数により有利な遊技状態の発生を示唆することができ、この有利な遊技状態の発生の制御は、推移パターンを利用して実現することができるために、予め設定した変動時間に従って遊技状態を遷移させるだけで先行演出を容易に実現することができる。また、リーチ演出が実行される変動表示の変動時間は、リーチ演出が実行されない確変状態Aの変動表示より長い変動時間が設定されるので、その時間を利用して「チャンスタイム発生」等の有利な遊技状態を示唆する演出を付加した変動表示を実行し、遊技状態の切り替えを明確に区別する演出を実行した後に、確変状態Dによる有利な遊技状態に移行することができる。
また、確変状態Cにおいて大当り抽選に当選しなかった場合、2分の1の確率で短時間の変動表示が選択される。遊技者には、確変遊技状態が開始されてから2回のリーチ表示を伴うリーチ演出がハズレ図柄で確定停止しなくても、確変状態Dが次の単位遊技から開始され得ることを期待することができる。すなわち、変動表示の態様としてのリーチ演出の実行回数が所定回数に到達しない場合にも、推移パターンを利用して有利な遊技状態が発生させることができる。また、リーチ演出が実行されない変動表示の変動時間としては、確変状態Aの変動表示と同等(又は同一)の変動時間が設定され、単調な状況が連続した後に突発的に有利な遊技状態が開始される状況を遊技者に享受することができる。これにより、遊技状態の切り替えを明確に区別する演出とは別形式とした多様な態様によって確変状態Dによる有利な遊技状態に移行する遊技性を提供することができる。
確変遊技状態中にハズレリーチが発生する場合には、ハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドが設定される。具体的には、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において、ハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドが始動入賞の発生の際に主制御基板920から副制御基板940へ送信され、その保留コマンドに対応して装飾図柄表示装置479の表示内容が制御される。例えば、図17に示すように、表示領域の下側部分に丸印で表示された単位遊技の保留増加に対応する保留表示が通常保留コマンドを受信した際には青色の丸印で点灯表示され、副制御基板940がハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドを受信した際には単位遊技の保留増加分の青色丸印を点滅表示する。この点滅表示による単位遊技の保留表示は、実行中の単位遊技が終了する毎に左側にシフトして表示され、その単位遊技が開始されるまで継続して表示される。
2回のハズレリーチの発生によって有利な遊技状態へ移行することとなるので、遊技者は、保留表示の点滅表示によりハズレリーチの発生を認識して有利な遊技状態への遷移を期待することができるので、保留増加分の青色丸印の点滅表示についても確定前先行演出表示に対応する。また、大当り当選情報を付加した保留コマンドを副制御基板940が受信した場合にも、ハズレリーチ発生情報を付加した保留コマンドを受信した場合と同一の態様で装飾図柄表示装置479の表示内容が制御されるので、その青色丸印の点滅表示を視認することで大当り当選に基づく特別遊技状態の発生を遊技者に期待させることができる。
確定後先行演出は、確変状態Dの実行に対する始動入賞が発生した場合に実行され得る。具体的には、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において、有利遊技実行情報を付加した保留コマンドが始動入賞の発生の際に主制御基板920から副制御基板940へ送信され、その保留コマンドに対応して装飾図柄表示装置479の表示内容が制御される。例えば、図17に示すように、表示領域の下側部分に丸印で表示された単位遊技の保留増加に対応する保留表示が通常時には青色の丸印で追加表示され、副制御基板940が有利遊技実行情報を付加した保留コマンドを受信した際には保留表示を赤色で追加表示する。この赤色による単位遊技の保留表示は、確定後先行演出表示に対応し、実行中の単位遊技が終了する毎に左側にシフトして表示され、その単位遊技が開始されるまで継続して表示される。確変状態Dは、残り単位遊技数が1回になるまで複数回にわたって連続し、その連続する回数分、確変状態Dの実行開始を示唆する赤色による単位遊技の保留表示が連続表示される。遊技者は、単位遊技の保留が増加しただけでなく、確変状態Dの遊技が複数回繰り返して実行されることを認識し、小当り当選が連続する有利な遊技状態の開始の確定を認識することができる。このため、少しでも早い段階で残り単位遊技数の点滅表示が開始されることを期待して残り単位遊技数の態様の変化を視認し、その点滅表示の確認後には確定後先行演出表示を期待する遊技性を享受することができる。
以上説明したパチンコ機100によれば、当選判定処理S1403において、始動入賞によって取得された大当り図柄乱数値の値が判定され、その大当り図柄乱数値に対応した特別遊技状態後の確変遊技状態の推移パターンが設定される。推移パターンは、確変状態A〜Eのうち確変状態B及びCのタイミングが異なり、確変状態Cの後に続いて行われる確変状態Dの長さが異なる120種類の推移パターン(パターン1からパターン120、図13参照)が設定されている。確変遊技状態においては、複数回の第2特別図柄の始動入賞に基づいて実行される複数回の単位遊技の組合せによって通常の遊技状態に比べて遊技者に有利な小当り当選が連続する確変状態D及びEを含む確変遊技状態が主制御基板920の制御によって発生させられる。
確変遊技状態においては、推移パターンに対応して定められた抽選リーチ発生残り単位遊技数によって確変状態Dの開始時期が定められ、遊技者に付与される特典の内容として小当りが連続発生する確変状態Dの単位遊技の回数が異なり、また、特典の付与時期としての確変遊技状態が開始されてから確変状態Dが開始される時期も異なる。
当選判定処理S1403においては、各推移パターンによる確変遊技状態に対応する大当り図柄乱数値が取得されているかが判定され、その後の停止図柄生成処理S1404によって停止図柄識別値が定められる。そして、その停止図柄識別値に基づく停止図柄が第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472のいずれかによって特別遊技状態の開始前に表示され、停止図柄識別値に対応するパターン番号に従った推移パターンによる確変遊技状態が発生する。
このように、確変遊技状態の推移パターンは、確変遊技状態開始前における推移パターンの設定によって定められるので、確変遊技状態として複数回の始動入賞に基づく単位遊技よって構成される連続遊技を複数種類の推移パターン従った異なる態様にて実行可能することができる。また、推移パターンによって確変状態Dの開始時期が定められているので、確変状態Dの開始時期に対応した先行演出を推移パターンに従って予め定められている残り単位遊技数に基づいて容易に制御することができ、確変状態Dに関する情報を遊技者に好適に伝達することができる。
また、確変遊技状態が開始される前に、実行される特定遊技状態に対応する情報が第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472のいずれかによって表示されるので、確変遊技状態として実行され得る内容が予めパチンコ機100に搭載された表示装置によって表示される。よって、パチンコ機100を不当に改造しようとした場合に表示内容と確変状態Dの開始時期との整合性を含めて不正をする必要性を生じさせ、確変状態Dの期間調整を困難にし、犯罪者が不当に利益を得ようとする不正行為を効率良く抑制することができる。特に、特別図柄表示装置471,472によって表示される表示内容は、上記したように、演算と置換とを組み合わせた制御によって決定され、しかも多数の停止図柄識別値が設定され得るので、その停止図柄識別値としての表示内容の生成方法を不正に再現することを困難にすることができる。
また、特定遊技状態が開始される前に予め特典の付与される内容及び時期を設定し、その内容に対応した情報を遊技者に前もって示すことができるので、単に1回の単位遊技の当選によって特典が付与される遊技性と比べて複数回の単位遊技に跨がって特典が付与される新たな遊技性と、その特典の付与を早期の段階で期待させる演出とを組合せ可能な遊技機を提供することができる。また、複数の制御パターンを各単位遊技に適用することにより複数回の単位遊技によって構成される確変遊技状態を制御することができるので、確変遊技状態の実行によって付与される特典としての小当りの当選回数に対応する大きさやリーチ演出の実行回数等を制御し易くすることができる。
また、通常の遊技状態に比べて遊技者に特典の付与され易い単位遊技が複数回連続する確変状態Dが、確変状態Dに比べて特典の付与され難い単位遊技が複数回連続する確変状態A〜Cの実行後に、実行される。このため、遊技者には、単に確変遊技状態中における1回毎の単位遊技の抽選だけでなく、後に開始される確変状態Dの早期開始を期待させる遊技性を提供することができる。
また、確変状態Dが開始される前であって確変状態Dが開始される単位遊技の始動入賞が成立する前に、確定前先行演出表示として緑色での保留表示や残り単位遊技数の点滅表示によって確変状態Dの開始時期が遊技者に示唆される。このため、確変状態Dの開始に対する期待感を、確変状態Dの単位遊技に対応する始動入賞より前の早い段階から高めることができる。
また、確変状態Dが開始される前であって確変状態Dが開始される単位遊技の始動入賞が成立した後には、確定前先行演出表示とは異なる態様に設定された確定後先行演出表示としての赤色での保留表示によって確変状態Dの開始が遊技者に示唆される。このため、確変状態Dの開始を確定的に期待できる期間として、緑色での保留表示を視認した後に赤色での保留表示を視認し、最終的に確変状態Dが開始されることとなり、特典の付与に対する期待感を段階的に高めていく演出を実行することができる。
また、確変状態Dが開始される単位遊技の始動入賞が成立した後に確定後先行演出表示が確定前先行演出表示とは異なる態様にて表示される。このため、確定後先行演出表示が早い段階で表示され、その後の遊技の進行状況によって特典の付与が無効化される事態を回避したり、始動入賞の発生が困難な設定となっていることにより特典の付与までに相当な時間と遊技球の消費とを遊技者に強いるといった不都合が生じない好適なタイミングで特典付与の時期に対応する特典付与時期情報を表示することができる。
また、遊技者に対して、確定前先行演出表示は、その後に遊技状態が変更される可能性のある演出であって確定後先行演出表示とは異なることを態様の相違により識別させることができる。よって、確定前先行演出表示によって確変状態Dの開始時期が示唆された後で、その後の始動入賞による大当り当選により遊技状態が変更される可能性があり、また、始動入賞が困難な設定となっていることにより確変状態Dが開始されるまでに遊技球の一定量以上の消費を遊技者に強いる可能性があることを遊技者には事前に告知する等して、これらの状況発生により遊技者が不満感を抱く可能性を低減することができる。
また、保留情報出力設定処理S1707(図27参照)において、大当り記憶有フラグを用いて実行中の単位遊技と既に開始が保留されて未実行の単位遊技との中に大当り当選に対応する当選乱数カウンタの値が格納された単位遊技があるかを確認し、大当り当選に対応する単位遊技があれば、通常保留コマンドを設定し(図27のS1802の処理)、上記した先行演出を実行するための各処理(具体的には、ハズレリーチ発生情報、有利遊技開始情報、有利遊技開始情報、有利遊技実行情報、及び、有利遊技接近情報を保留コマンドに付加する各処理)を実行しない設定とされている。このため、大当り当選による遊技状態の移行によって遊技状態の変更が確定した後に成立した始動入賞に対しては、確定前先行演出の実行後に遊技状態が変化する状況を抑制し、また、大当り当選による遊技状態の変更が発生しない状況に限って確定後先行演出を実行することができる。
また、確変遊技状態中に大当り当選が発生した場合には、予め定めた100回の単位遊技が実行される前に確変遊技状態が特別遊技状態へ移行する。このため、特別図柄表示装置471,472に表示された停止図柄識別値を視認して推移パターンを理解し、例えば、長期間の確変状態Dの発生を遊技者に認識されたとしても、その後の大当り当選によっては確変状態Dが実行されない状況も生じ得るなど、遊技の進行を多様にすることができる。よって、確変遊技状態の内容がその開始前に一義的に選定されてしまい、その後に確変状態Dの実行によって獲得球数を得るだけの作業のように単調に感じてしまうという不都合を回避することができる。また、大当り当選によって確変遊技状態を含めた獲得球数の期待値としては、確変状態Dの全てが実行された場合に対応する大きな数量としつつ、その後に大当りに当選した場合の実際の獲得球数は全ての確変状態Dを合算した期待値よりも少なくすることができる。よって、遊技者に期待させる獲得球数を大きく設定し易く、且つ、過度の射幸性を抑えた好適な設定とすることができる。しかも、大当り当選によって特別遊技状態へ移行するので、確変遊技状態中に期待された少なくとも一部の特典が遊技者に付与されなくても、新たな特別遊技状態と、その後に移行し得る確変遊技状態とによる別の特典による利得感を遊技者に付与することができ、遊技者が抱く損失感を低減することができる。
確変状態Dにおいては、変動時間が他の遊技状態と比較して最短の短時間に設定されて小当り当選が高確率の単位遊技が連続して実行される。このため、下大入賞装置433への入賞が可能な入球可能期間の割合が長い単位遊技を複数回連続発生させて、確変遊技状態中において確変状態Dのタイミングにおいて遊技者に効率良く特典を付与することができる。
推移パターンの制御により確変遊技状態における変動時間を制御可能とし、確変状態Dの開始1回前の単位遊技として、リーチ演出を伴う変動時間の長い単位遊技が実行され易い確変状態Cを設定している。このため、確変状態Dによる特典の付与時期にリーチ演出の実行を対応させ、特典の付与時期を期待する単位遊技を遊技者に注目し易いものにして特典の付与時期を示唆する演出を好適に実行することができる。
保留情報出力設定処理S1707(図27参照)においては、単位遊技の実行が保留されている期間中に始動入賞が発生した場合に始動入賞が発生した単位遊技の実行時期に相当する対象回数を、実行中の単位遊技の残り単位遊技数に基づいて導出する。このため、始動入賞が発生した単位遊技の対象回数と、残り単位遊技数とを別々に管理する場合に比べて、単位遊技数記憶部として使用するRAMの記憶領域を少なくし、且つ、両回数の更新の同期が崩れる可能性を低減することができる。
保留情報出力設定処理S1707(図27参照)においては、一旦導出した対象回数に基づいて、その対象回数の1回前や9回後といった別の回数の遊技状態についても判定する。このため、各演出の実行判定に必要な回数導出の処理をまとめることができ、多様な演出の実行に必要な処理負担を軽減することができる。
<特定通路TAへの遊技球の進入制御>
次に、特別図柄に係る抽選において大当りに当選した場合に特定通路TAへ遊技球を進入させるか否かの制御について、図31から図35を参照して説明する。まず、特定通路TAへの遊技球の進入可否を制御する下大入賞装置433及び上大入賞装置434を含む入賞装置ユニット600の構造について図31及び図32を参照して説明し、その後、特別遊技状態における入賞装置ユニット600の動作について説明する。
図31は、遊技領域の右側部分の流下経路を示した図である。図32は、入賞装置ユニット600の構造説明図であり、図32(A)には、入賞装置ユニット600の構成を正面側から示し、図32(B)には、球搬送装置602を平面視した状態を模式的に示している。なお、理解の容易のために、図31以降の図面においては、必要に応じて、特定通路TAの位置に「V」の文字を、非特定通路TBの位置に「N」の文字を付して示し、流下経路を流下する遊技球の例を実線で示し、遊技球の流下経路を矢印で示している。また図32(A)には、入賞装置ユニット600の前カバー612が取り外された状態を示し、図32(B)には、球搬送装置602の動作方向を矢印で示し、搬送通路KT(接続通路KD)を一点鎖線で示し、下大入賞装置433の位置を実線で示している。
入賞装置ユニット600は、図31に示すように、遊技盤400の前面側であって遊技領域の右下側に配設されている。中央構造体420の右側から遊技球を流下させる右打ち遊技手法によって遊技が行われる場合には、遊技球は、中央構造体420の右側に相当する遊技領域の右側部分の流下経路(右側流下経路KR)を経由して下方へ流下する。遊技盤400の右側部分には、右側流下経路KRに沿って、上流側から役連作動装置435、始動装置436、始動入賞装置432、上大入賞装置434、下大入賞装置433が順に設けられている。右打ち遊技手法によって遊技が行われる場合、各装置432〜436の上流側に設けられる釘411や中央構造体420の壁面等といった流下変化部材によって遊技球の流下方向が制御され、それぞれの装置432〜436に対して設定される一定の割合で各装置432〜436の配置位置に遊技球が誘導される。
入賞装置ユニット600は、透明な合成樹脂製の基体611と、下大入賞装置433と、上大入賞装置434と、球搬送装置602と、振分機構601とを備えている。複数の大入賞装置433,434及び振分機構601は、基体611に取り付けられて一体化された入賞装置ユニット600の状態にされた後、遊技盤400の基体401へ取り付けられる。入賞装置ユニット600の前面には、透明な合成樹脂製の前カバー612が基体611の一部として取り付けられ、入賞装置ユニット600の内部を流下する遊技球に遊技盤400の前面側から容易に接触できない構成とされている。なお、入賞装置ユニット600は、必ずしも、複数の大入賞装置433,434,601及び振分機構601を一体化して構成する必要はなく、一部の装置または全ての装置が別部品として遊技盤400の基体401に取り付けられ、複数に分離された装置により入賞装置ユニット600を構成しても良い。
入賞装置ユニット600には、図32(A)に示すように、右側流下経路KRの一部として、下大入賞装置433と上大入賞装置434とを接続する接続通路KDが設けられている。接続通路KDは、入賞装置ユニット600の基体611によって形成され、その一部に下流側(図32(A)の一点鎖線で示す矢印方向)に向かって上り傾斜した搬送通路KTが設けられている。搬送通路KTは、遊技球が自重では下流側へと進行できない構成とされ、搬送通路KTに対しては遊技球を搬送するための球搬送装置602が設けられている。搬送通路KTに到達した遊技球は、球搬送装置602によって右側流下経路KRの下流側として上り傾斜した斜め上側(図32(A)の左斜め上側)へ搬送可能とされている。
球搬送装置602は、図32(A)に示すように、搬送通路KTに対して後側に位置するようにして基体611に取り付けられ、基体611に形成される開口部613を通じて、その一部分が搬送通路KT内に突出している。球搬送装置602は、図32(B)に示すように、ゴム製のベルト621と、ベルト621を搬送通路KTの連続する方向に沿った複数箇所で支持する支持体としてのプーリ622と、ベルト621から搬送通路KT側に突出可能にベルト621に一体化された合成樹脂製の球搬送部623と、ステッピングモータにより構成されてベルト621を回動させる搬送モータ624(図10参照)とを備えている。
球搬送部623は、搬送通路KTの底面に対して遊技球の半径分上側に位置するようにして搬送通路KT内に突出し、搬送モータ624が動作することにより、搬送通路KT内の遊技球は、球搬送部623によって一球ずつ斜め下側を支持された状態で下大入賞装置433が設けられる下流側へと搬送される。
搬送モータ624は、主制御基板920の制御によって動作し、パチンコ機100の電源投入から常時一定の速度にて動作する。搬送モータ624の動作速度は、上大入賞装置434の設置位置から流下した遊技球が接続通路KDを経由して一定時間(例えば、略3.0秒)経過した後に下大入賞装置433の設置位置へ到達する設定とされている。そして、上大入賞装置434の設置位置から下大入賞装置433の内部に設けられる特定通路TAの入口までは、所定の時間(例えば、略3.6秒)を最短の流下時間(最短流下時間)として、遊技球が流下する。
また、搬送モータ624の動作速度は、遊技球の発射時間間隔と略同一か、僅かに短い時間間隔(例えば、略70%から略90%の割合で短い時間)にて、球搬送装置602から下大入賞装置433の位置する下流側へと1球ずつ個別に遊技球を流下させる設定とされている。このため、遊技球が球搬送装置602の上流側に滞留する事態を生じにくくし、且つ、球搬送装置602によって遊技球が一定の間隔を隔てて下流側へと流下し、下大入賞装置433の内部等における傾斜に沿って遊技球が流下した場合に遊技球同士が干渉して速度が極端に低下したり、停留してしまう可能性を低減することができる。
振分機構601は、下大入賞装置433に進入した遊技球(すなわち、下大入賞口433Aに入賞した遊技球)を、下大入賞口433Aの内部領域に形成される非特定通路TB、又は特定通路TAに振り分けるものである。振分機構601は、特定通路TAの入口部分に設けられる板状のシャッタが切換ソレノイド465(図10参照)の駆動により動作して、特定通路TAへの遊技球の進入を許容する誘導姿勢と、特定通路TAへの遊技球の進入を許容しないで非特定通路TBへ遊技球を進入させる非誘導姿勢とを切替可能とされている。下大入賞口433Aの内部へ進入した遊技球は、振分機構601が非誘導姿勢であれば、特定通路TAの入口を塞ぐシャッタの上を通過して非特定通路TBへ進行する。振分機構601が誘導姿勢となって特定通路TAの入口が開放された状態になっていれば、下大入賞口433Aの内部へ進入した遊技球は特定通路TAへと進入する。
次いで、特別遊技状態における入賞装置ユニット600(具体的には、下大入賞装置433、上大入賞装置434および振分機構601)の動作制御について、図33から図35を参照して説明する。図33は、入賞装置ユニット600の動作制御を説明するための図であり、図34は、入賞装置ユニット600の主要な動作を示すタイミングチャートである。図35は、入賞装置ユニット600の動作を示した図であり、図32(A)に示した入賞装置ユニット600が特別遊技状態中に動作した主要な状態を例示している。なお、図35においては、理解の容易のために、進入許容姿勢とされた下進入規制機構453と、誘導姿勢とされた振分機構601を一点鎖線で示している。
特別遊技状態においては、下大入賞装置433、上大入賞装置434および振分機構601の動作が主制御基板920により制御され、通常遊技状態よりも遊技価値の付与として賞球が払い出される入賞が発生し易い状態となる。この特別遊技状態は、特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態と、特定通路TAへ遊技球が進入不能な特別遊技状態との2種類があり、この特定通路TAへ遊技球を進入させるか否かの制御が主制御基板920によって行われる。
特定通路TAへ遊技球が進入可能な状態は、複数回で構成されるラウンドの一部において発生するものであり、振分機構601が動作して特定通路TAの入口が開放されるラウンド(以下、特定ラウンドといい、本実施形態における第6ラウンド)に限られている。また、特定ラウンドで、特定通路TAへ遊技球を進入させるか否かは、特定ラウンドの前に実行される直前のラウンド(本実施形態では、第5ラウンド)が終了してから、特定ラウンド(第6ラウンド)が開始されるまでの時間(インターバル時間)を異ならせることで実現している。
本実施形態のパチンコ機100では、特別遊技状態において、大当りに当選した特別図柄の種類によって異なる確率で特定通路TAへ遊技球が進入可能な制御が行われる。第1特別図柄に係る当選の場合には、継続ラウンド数の多い長期(16ラウンド)の特別遊技状態の一部(図22の長期B)において特定通路TAへ遊技球が進入可能であり、残りの特別遊技状態であって継続ラウンド数の短い短期(6ラウンド)の特別遊技状態(図22の短期A及び短期B)と長期の特別遊技状態の一部(図22の長期A)とにおいて特定通路TAへ遊技球が進入不能となる設定とされている。これら特別遊技状態の当選比率によって特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態が発生する確率が定められ、この確率は、50%に設定されている。第2特別図柄に係る当選の場合には、継続ラウンド数の異なる短期と長期のいずれの特別遊技状態においても特定通路TAへ遊技球が進入し、特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態が発生する確率は、100%に設定されている。
特別遊技状態においては、特定通路TAへ遊技球が進入するか否かで一部のみが異なり、大部分が共通する制御が行われる、以下においては、長期の特別遊技状態の制御について例示し、特定通路TAへ遊技球が進入可能な16ラウンド大当り(以下、「16R大当り(V入賞)」という)と、特定通路TAへ遊技球が進入不能な16ラウンド大当り(以下、「16R大当り(V非入賞)」という)についての制御例について説明する。継続ラウンド数の短い6ラウンド大当りについては、16ラウンド大当りに対して7ラウンド目以降を省略したものであり、その説明を省略する。
「16R大当り(V入賞)」が発生した場合、図33に示すように、第1ラウンドから第4ラウンドまでと、第7ラウンドから第16ラウンドまでは、上大入賞装置434が各ラウンドにおいて同一の開放パターン(連続開放)及び終了条件によって動作する。各ラウンドは、上大入賞装置434の上進入規制機構454が、上大入賞装置434の内部へ遊技球を進入可能な進入許容姿勢をとることにより開始され、各ラウンド中には進入許容姿勢が継続する(図35(A)参照)。
また、各ラウンドは、ラウンドの終了条件としての所定の進入許容個数(例えば、8個)の遊技球が上大入賞スイッチ444に検出されるか、又は、ラウンド開始から最大進入許容時間(例えば、29.5秒)が経過した場合に終了し、この終了条件の成立に伴って主制御基板920の制御により上進入規制機構454が進入禁止姿勢へと移行する。上大入賞装置434には、右側流下経路KRに対して後側に、横長矩形状に開口形成された入賞口(上大入賞口434A)が設けられており、上進入規制機構454として上大入賞口434Aを閉塞する板状の蓋部材により上大入賞口434Aが開閉されて上大入賞口434Aへの遊技球の進入可否が制御される。各ラウンドの終了から次のラウンド開始までのインターバル時間は、基本的に一定の時間(例えば、2.0秒)に設定され、特定ラウンドの直前の時間だけが、特定通路TAへの遊技球の進入可否に対応して異なる時間に設定されている。
「16R大当り(V入賞)」における第5ラウンドは、それ以前のラウンド(第1〜第4ラウンド)と比べて、上大入賞装置434が進入許容姿勢をとるラウンドである点においては一致し、進入許容姿勢の時間が長くなるようにラウンドの終了条件が異なる点において相違している。具体的には、第5ラウンドにおける進入許容個数は、第1〜第4ラウンドと異なる数(例えば、10個)に設定され、右打ち遊技手法によって右側流下経路KRを遊技球が流下するように遊技球が発射されていれば、第1〜第4ラウンドとは異なるタイミングで第5ラウンドが終了することとなる。本実施形態のパチンコ機100では、遊技球が発射装置330によって一定の発射時間間隔(略0.6秒)毎に遊技領域へ発射され、右打ち遊技手法によって発射が継続される通常の発射操作をしていれば、第1〜第4ラウンドでは、発射時間間隔に進入許容個数を乗じた時間(略4.8秒)で各ラウンドが終了し、第5ラウンドは、それ以前のラウンドより多い数の入賞が発生するまで長時間が経過してからラウンド終了となる。
ここで、遊技球の消費を少しでも抑えようとする遊技者は、各ラウンドにおいて遊技球が進入許容個数に相当する数(8個)ずつ上大入賞口434Aに入賞し、その後のラウンド間のインターバル時間中に入賞とはならず排出口401Aへ向かう遊技球の数を極力減らそうと、入賞が発生するタイミングだけを狙って遊技球を断続的に発射する可能性がある。この断続的な遊技球の発射が特定ラウンドに相当する6ラウンド目の直前に行われた場合、特定通路TAへ遊技球が進入可能なように特定ラウンドにおいて下大入賞装置433と、振分機構601とを動作制御しても、遊技球が特定通路TAへ進入せず、せっかく獲得した確変遊技状態の発生する権利を遊技者が無効にしてしまって不利益を被る可能性がある。
これに対して、本実施形態のパチンコ機100では、第5ラウンドの終了条件が、それ以前のラウンドとは異なる設定とされている。このため、断続的な発射操作を行う遊技者が第4ラウンドまでと同様に8球毎の遊技球の発射をした場合に、その第5ラウンドは終了しない。これにより、第5ラウンドから第6ラウンドにかけての状況がそれ以前の状況とは異なるものであることを遊技者に判り易く示唆し、第5ラウンドの終了に向けて改めて遊技球を発射を促し、第6ラウンドまで遊技球の発射を継続する可能性を高くすることができる。例えば、第6ラウンドまで遊技球の発射をしないとV入賞が無効になることを装飾図柄表示装置479の表示画面に文字や図形などの情報により表示し、それを遊技者が見落としにくくすることができるのである。この結果、特定ラウンド(第6ラウンド)において特定通路TAへ遊技球が進入することとなる遊技球の発射を促進し、確変遊技状態の発生する権利を遊技者が無効にしてしまう可能性を低減することができる。
なお、第5ラウンドの終了条件は、第4ラウンドまでより短い時間で終了するようにしても良い。この場合には、第4ラウンドまでと同様の発射操作によって余計に遊技球が発射されるため、第5ラウンド終了後において特定通路TAへ向けて遊技球を流下させることができる。第5ラウンドの終了条件を、第4ラウンドまでと同一の設定としても良く、この場合には、第5ラウンドの終了制御を第4ラウンドまでと共通化することができて好ましい。
「16R大当り(V入賞)」における第5ラウンドから第6ラウンドにかけては、図34(A)に示すように、第5ラウンド(図34(A)の「5R」)の期間終了から長時間のインターバル時間(長インターバル)を経て、第6ラウンド(図34(A)の「6R」)が開始される。第5ラウンド中は、上進入規制ソレノイド464がオンとされ、上大入賞装置434の前に到達した遊技球が上大入賞口434Aへ進入する(図35(A)参照)。このため、第5ラウンド中は、接続通路KDへは遊技球が流下せず、特定通路TAが設けられる下大入賞装置433側へ遊技球が流下しない期間(流下不能期間)となる(図34(A)参照)。
第5ラウンドにおいて、上大入賞口434Aへの進入許容個数(10個)の遊技球の進入が上大入賞スイッチ444によって検出されると第5ラウンドが終了し、上進入規制ソレノイド464がオフとなる(時期t1)。上進入規制ソレノイド464がオフとなると、上大入賞装置434の前に到達した遊技球が上大入賞口434Aに入賞せず、上大入賞装置434の前を下方に向かって遊技球が流下し、特定通路TAが設けられる下大入賞装置433側へ遊技球が流下可能な期間(流下可能期間)となる。この流下可能期間は、第7ラウンドが開始されて上大入賞口434Aの開放が開始されるまで継続する。
第5ラウンドから第6ラウンドにかけての長インターバルの時間は、第5ラウンドの終了後に上大入賞装置434の前を流下した遊技球が、第6ラウンド開始後であって振分機構601が誘導姿勢をとる一定の期間中に特定通路TAの入口まで到達可能な時間に設定され、例えば、3.0秒に設定されている。長インターバルの期間中には、第5ラウンドの終了後に上大入賞装置434の前を流下した遊技球が特定通路TAの入口側に向かって進行し、搬送通路KTにおいて遊技球が搬送される範囲を含む接続通路KDを流下する。
接続通路KDを経由して特定通路TAの入口に到達するまでには、上記したように、最短流下時間(例えば、3.6秒)が必要とされている。このため、第5ラウンドにおける特定通路TA側への流下不能期間の終了から最短流下時間が経過した時期(時期t2)を最短の時期(進入可能最短時期)として、遊技球が特定通路TAの入口に到達可能であり、この進入可能最短時期より後の一定の期間を含むように振分機構601が制御されると特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能期間が発生する。下進入規制ソレノイド463は進入可能最短時期より前からオンとされて第6ラウンドが開始され、第6ラウンドの開始後には振分機構601側へ遊技球が流下可能となっている。
ここで、第5ラウンドにおける流下不能期間の長さは、第5ラウンドにおける上大入賞口434Aへの進入許容個数(10個)に発射時間間隔を乗じた時間(6.0秒)に略一致するものであり、この流下不能期間の長さが最短流下時間(3.6秒)よりも長く設定されている。このため、第5ラウンドが終了して第6ラウンドが開始されるときには、接続通路KDに相当する上下の入賞口433A,434Aの間に遊技球は全く存在しなくなる。よって、第5ラウンドの実行より前のインターバル時間において上大入賞口434Aの前を通過した遊技球が第5ラウンドの終了後において特定通路TAへ向かってしまう事態の発生を阻止することができる。この第5ラウンドにおける流下不能期間の長さは、遊技球の流下時間のバラツキを考慮して、最短流下時間に対して、遊技球の発射時間間隔の2倍分以上に長く設定されることが好ましく、その発射時間間隔の4倍分以上に長く設定されることが好適である。
第5ラウンドの終了後に長インターバルの時間が経過すると、第6ラウンドの開始となる。この第6ラウンドが開始されるときには、接続通路KDには遊技球が全く存在せず、第5ラウンドにおいて最後に上大入賞口434Aへ進入した後に続く遊技球が、特定通路TAへ向かって上大入賞口434Aの前を通過して下流側へ進行する。
第6ラウンドにおいては、下大入賞装置433と振分機構601とが動作する。具体的には、第6ラウンドは、図34(A)に示すように、下進入規制ソレノイド463がオンとなって下大入賞装置433が進入許容姿勢をとって開始され、図35(B)に示すように、第6ラウンド中は下大入賞口433Aに遊技球が進入可能な状態となる。また、第6ラウンドの開始から一定期間(例えば、3.0秒)が経過するまでは、切換ソレノイド465がオンとされ、振分機構601が誘導姿勢とされて特定通路TAへ遊技球が進入可能な状態となる。
ここで、第6ラウンドにおいては、切換ソレノイド465は、進入可能最短時期より後の期間を含むように設定されており、進入可能最短時期の僅か前から後の一定期間(3.0秒間)においてオンとされる。このため、第5ラウンドの終了前から遊技球が発射され続けていれば、第5ラウンドにおいて最後に上大入賞口434Aへ進入した後に続く遊技球は、特定通路TAへ向かって進行して特定通路スイッチ448によって検出される。下進入規制ソレノイド463及び切換ソレノイド465は、進入可能最短時期の後において少なくとも特定通路TAへ遊技球を進入可能な状態をとって進入可能期間を発生し、これにより、「16R大当り(V入賞)」において特定通路TAへ遊技球が進入してV入賞が発生する。
また、第6ラウンドにおいて下進入規制ソレノイド463及び切換ソレノイド465が動作して、下大入賞装置433から特定通路TAへ遊技球が進入可能な状態をとっている一定期間(以下、進入可能形成期間という)の長さ(3.0秒)は、第5ラウンドにおける上大入賞口434Aへの進入許容個数(10個)に発射時間間隔を乗じた時間(6.0秒)よりも短く設定されている。これにより、第5ラウンドにおける流下不能期間において特定通路TA側へ遊技球が進行しない期間を発生させ、この流下不能期間中によって遊技球が特定通路TA側へ進行していない期間中において、「16R大当り(V非入賞)」では進入可能形成期間を発生させる。このため、「16R大当り(V非入賞)」において下大入賞口433A及び特定通路TAの入口が開放している状況では遊技球が下大入賞口433Aの入口に到達せず、特定通路TAへは遊技球を進入不能とすることができる。従って、第5ラウンドにおける流下不能期間は、遊技球の流下時間のバラツキを考慮して進入可能形成期間の長さより十分長く設定されることが必要であり、遊技球の発射時間間隔の2倍分(0.6秒)以上に長く設定されることが好ましく、4倍分(2.4秒)以上に長く設定されることが好適である。
第6ラウンドの開始から進入可能形成期間としての一定期間(3.0秒)が経過すると、下進入規制ソレノイド463がオンのままで切換ソレノイド465がオフされ、進入可能期間の終了となる。下大入賞口433Aに進入した遊技球は非特定通路TBへと誘導され(図35(C)参照)、非特定通路スイッチ447によって検出される。下大入賞口433Aへの遊技球の入賞は、下大入賞口433Aの入口付近に設けられる下大入賞スイッチ443(図10参照)によって検出され、進入許容個数(8個)の遊技球が下大入賞口433Aに進入するか、又は、ラウンド開始から最大進入許容時間が経過した場合に第6ラウンドは終了する。
第7ラウンド以降においては、再び、上大入賞装置434が進入許容姿勢をとり(図33参照)、第1〜第4ラウンドと同様、所定の進入許容個数(8個)の遊技球が大入賞スイッチ443に検出されるか、又は、ラウンド開始から最大進入許容時間が経過することで各ラウンドが終了する。
「16R大当り(V入賞)」において最終ラウンド(第16ラウンド)までラウンドが進行し、第16ラウンドにおいて進入許容個数(8球)の遊技球が上大入賞装置434に進入すると特別遊技状態が終了する。「16R大当り(V入賞)」の特別遊技状態においては、特別遊技状態の間に右打ち遊技手法で遊技球の発射が継続していれば特定通路TAへ必ず遊技球が進入することとなり、その進入可能な確率は100%となる。特別遊技状態の終了後には、特別遊技状態中に特定通路TAに遊技球が進入してV入賞が発生していることにより、確変遊技状態が開始される。
「16R大当り(V非入賞)」は、第5ラウンドの終了から第6ラウンドの開始までのインターバル時間のみが「16R大当り(V入賞)」と異なり、下大入賞装置433及び上大入賞装置434の開放パターン(連続開放)及びラウンド終了条件といった他の条件は同一の条件に従って特別遊技状態が進行する。このため、以下においては、「16R大当り(V入賞)」に対して、「16R大当り(V非入賞)」が異なる点についてのみ説明する。また、第5ラウンドから第6ラウンドにかけての上進入規制ソレノイド464の動作と上大入賞スイッチ444による遊技球の検出タイミングについては、「16R大当り(V非入賞)」と「16R大当り(V入賞)」とにおいて共通するため、図34(B)においては図示を省略している。
「16R大当り(V非入賞)」においては、図34(B)に示すように、第5ラウンドの終了から短時間の短インターバル(例えば、0.5秒)の経過後に第6ラウンドの開始となり、下大入賞装置433が進入許容姿勢をとり、且つ、その開始から一定時間(3.0秒)が経過するまで、切換ソレノイド465がオンとなって振分機構601が特定通路TAの入口を開放した誘導姿勢とされる。
「16R大当り(V非入賞)」において第5ラウンドの終了後に上大入賞装置434の前を流下した遊技球は、第5ラウンドの終了から最短流下時間(3.6秒)を経過した時期(進入可能最短時期)より後にならなければ、振分機構601の設けられる位置に到達しない。振分機構601が誘導姿勢をとる期間は、「16R大当り(V入賞)」と同じく第6ラウンドの開始から一定時間(3.0秒)であり、この時間の設定であっても、「16R大当り(V非入賞)」では進入可能最短時期より早いタイミングで切換ソレノイド465がオフとなるように、短インターバルの時間長さが設定されている。このため、第5ラウンドの終了後、下大入賞装置433内に遊技球が進入して振分機構601に到達するときには、特定通路TAの入口が閉鎖され(図35(C)参照)、遊技球は、非特定通路TBへ誘導される。
「16R大当り(V非入賞)」において最終ラウンドまでラウンドが進行し、進入許容個数の遊技球が上大入賞装置434に進入すると特別遊技状態が終了する。「16R大当り(V非入賞)」においては、特別遊技状態中に特定通路TAに遊技球が進入し得ず、特定通路TAへ遊技球が進入可能な確率は0%となっている。特別遊技状態が終了すると、特別遊技状態中に特定通路TAに遊技球が進入していないV非入賞のため、確変遊技状態より遊技者にとって価値の低い時短遊技状態が開始される。
このように、パチンコ機100によれば、大当り抽選に当選する当選条件が成立した場合、複数回(16回)のラウンドを組み合わせた特別遊技状態が発生し、特別遊技状態における特定ラウンド(第6ラウンド)で特定通路TAに遊技球が進入した場合には、特定通路TAに遊技球が進入しない場合より有利な確変遊技状態が発生し、この確変遊技状態の発生が主制御基板920の制御によるインターバル時間の相違によって制御される。このため、複数種類の特別遊技状態に対する特定通路TAへの遊技球の進入を許否する制御パターンはインターバル時間を除いて共通化することができるので制御を簡略化することができ、且つ、特定通路TAへの遊技球の進入確率は容易に異ならせることができる。よって、パチンコ機100のコスト増を抑えつつ遊技状態の移行に影響する特定通路TAへの遊技球の進入確率を多様化することができる。
また、特定ラウンド(第6ラウンド)において特定通路TAへの入口が開放される誘導姿勢をとり得る振分機構601に対して上流側には上大入賞装置434が設けられ、特定ラウンドの直前のラウンド(第5ラウンド)において上大入賞装置434によって進行方向が制御された遊技球が、上大入賞口434Aの内部に設けられる上大入賞スイッチ444の検出部(所定領域)を一定数(8個)通過すると、直前のラウンドの終了条件成立となり、その後に振分機構601を誘導姿勢に制御して特定ラウンドが開始される。このため、特定ラウンドの直前のラウンドにおいて特定通路TAへ通じる右側流下経路KRの遊技球の流下を上大入賞装置434の動作によって制御することができ、特定ラウンドにおける振分機構601および下大入賞装置433の動作制御が同一であっても、特定ラウンドの開始前におけるインターバル時間(待機時間)の長さを相違させて特定通路TAへ遊技球が進入する確率を異ならせることができる。
また、特定ラウンドとしての第6ラウンドが開始される場合に特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構601に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御として、第5ラウンドにおける進入許容個数が、それ以前のラウンドとは異なる数に設定されている。この進入許容個数を異ならせる制御が主制御基板920により行われることで、特定ラウンドが開始される場合に、特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構601に到達可能に遊技球の発射を継続させ易くすることができる。このため、特別遊技状態中で遊技球の発射を継続することが必要なタイミングにおいて意図的に遊技者が遊技球の発射を停止し、特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達しなくなって遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
なお、特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構601に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御は、第5ラウンドにおける進入許容個数を、それ以前のラウンドと異ならせる構成に限るものでなく、進入許容個数を異ならせる制御に代えて、又は、その制御に加えて、他の制御により実現しても良い。例えば、特定ラウンド(第6ラウンド)に対して直前に実行される直前のラウンド(第5ラウンド)の実行前におけるインターバル時間を、短い時間(例えば、0.5秒)とし、その短い時間に比べて、直前のラウンドより前に実行される1又は複数回のラウンドの実行前におけるインターバル時間を長い時間(例えば、2秒)とした特別遊技状態を発生させるようにしても良い。これにより、遊技球の発射を継続しても無駄な遊技球の消費となる事態が少ない可能性を遊技者に示唆し、遊技球の発射を継続させ易くすることができる。この場合に、直前のラウンドとして設定される短いインターバル時間としては、遊技球の発射時間間隔よりも短い時間に設定されることが、遊技球の無駄な消費を効率良く抑制することができて好ましい。
また、特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構601に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御として、特定ラウンドを発生させる特別遊技状態に対して、直前のラウンドの途中まで特別遊技状態の進行内容が共通し、その直前のラウンドにおいて遊技球の発射を長く継続することで遊技者が遊技価値を得ることが可能な別種類の特別遊技状態を発生させるようにしても良い。例えば、「16R大当り(V入賞)」に対して、特定ラウンドの直前のラウンドの途中まで、特定ラウンドと同一の動作パターン及び動作終了条件により入賞装置が動作し、その直前のラウンドでは「16R大当り(V入賞)」よりも多数の遊技球が入賞装置に進入可能なように進入許容個数が多く、又は、「16R大当り(V入賞)」における最大進入許容時間が短く(例えば、4.2秒)、その時間よりも長い最大進入許容時間(例えば、6.0秒)が設定された特別遊技状態を発生するようにしても良い。
次に、特別遊技状態の特定ラウンドにおいて停電が発生した場合について説明する。パチンコ機100には、特定通路TAに遊技球が進入可能な進入可能状態を発生可能な振分機構601より上流側に、球搬送装置602が設けられている。球搬送装置602は、停電が発生した場合には、特定通路TAに通じる流下経路としての搬送通路KTを流下していた遊技球を所定の範囲としての搬送通路KT内に保持する停電時球保持機能を備えている。
具体的には、主制御基板920の制御により搬送モータ624が一定速度で動作し、停電が発生した場合には、搬送モータ624への電力供給が停止されて搬送モータ624が停止する。特定通路TAを通過するはずだった遊技球が特定通路TAに通じる流下経路(搬送通路KT)を流下している状況(すなわち、第5ラウンドから第6ラウンドのインターバル時間内)で停電が発生した場合には、その遊技球は球搬送装置602によって搬送通路KT内に保持することができる。
パチンコ機100が復電した後においては、主制御基板920による特別遊技状態の制御が進行して停電前の制御が再開され、その制御の進行に合わせて特定通路TAに向けて遊技球の流下が再開される。このため、16R大当り(V入賞)の特別遊技状態においては、停電が発生しなかった場合と同様に、特定通路TAへ遊技球が進入する状況を発生させることができる。すなわち、第5ラウンドから第6ラウンドのインターバル時間内で停電が発生した場合、停電時球保留機能がなければ、復電後に遊技球を急いで発射したとしても、特定通路TAの入口に到達する前に、特定通路TAが進入不能な状態となって間に合わないものの、かかる事態を停電時球保留機能により遊技球を搬送通路KTに保持することで回避することができる。よって、不測の事態により正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
また、球搬送装置602は、特定通路TAへ通じる流下経路としての搬送通路KTにおいては、搬送通路KTに沿って球搬送部623が遊技球を支持可能な複数の箇所で遊技球を保持可能とされており、搬送通路KTの複数の箇所において遊技球を保持することができる。このため、搬送通路KTに保持された一部の遊技球が特定通路TAへ進入可能なタイミングで停電が発生した場合に遊技球を搬送通路KT内における複数の箇所で保持し、停電前に特定通路TAへ進入可能であった遊技球は特定通路TAへ進入させ、それ以外の遊技球は特定通路へ進入しないようにすることができる。また、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態においては、搬送通路KTの最上流端において遊技球の流下を阻止することができるので、第5ラウンドから第6ラウンドにかけての短インターバルの途中で停電が発生した場合に、その遊技球は、特定通路TAから十分に離間した上流側で保持し、特定通路TAが進入可能状態となっている状況において特定通路TAまで遊技球が到達しないようにすることができる。このように、停電前に決まっていた遊技状態の移行制御に対応した特定通路TAへ遊技球が流下するか否かの状況を遊技領域内において保存し、復電後に遊技球の流下を復元し易くすることができる。
また、振分機構601より上流側には、特定通路TA側へ遊技球を進行させるか否かを切替可能な上大入賞装置434が設けられ、球搬送装置602は、上大入賞装置434より下流側であって振分機構601より上流側に位置する搬送通路KTに遊技球を保持する。このため、上大入賞装置434によって振分機構601側へ流下した遊技球に限定して効率良く特定通路TAへ向かう遊技球を停電中に保持することができ、停電前に決まっていた遊技状態の移行制御に対応した遊技球の流下を停電後に効率良く復元することができる。ここで、上大入賞装置434より上流側で遊技球を保持する構成とした場合には、上大入賞装置434に進入することとなる遊技球をも含めて右側流下経路KRにおいて遊技球を停留させることとなる。特定通路TAの進入に関与しない遊技球をも停電中に遊技領域内に保持することとなると、想定外の不正行為などが生じてしまう可能性も高まってしまう。よって、必要最小限の遊技球に限定して球保持機能を発揮させるためにも、上大入賞装置434より下流側にて停電時球保持機能を設けることは好ましい。
また、球搬送装置602は、特定通路TAへ進入しないはずの特別遊技状態においても停電時球保持機能を発揮し、停電前の状況を保存して、停電後には特定通路TAへ遊技球を進入不能とすることができる。この場合において、不正に遊技球が保持された位置を移動させられることの無いように、不正防止機能が設けられることが好ましく、例えば、入賞装置ユニット600の基体611の一部として前カバー612が搬送通路KTを覆うことにより、遊技球の保持位置を移動させるための不正な接触を防止している。
なお、不正防止機能として、前カバー612に代えて、又は前カバー612に加えて、他の構成を設けても良く、例えば、ベルト621の回転位置を検出するセンサによりベルト621の回転していた位置を停電発生時にバックアップし、復電後の立ち上げ時の処理においてベルト621の位置を確認する制御を行って回転位置が移動していたらエラーとし、その後の特定通路TAへの遊技球の進入を無効とするなどの一定のペナルティを付加する処理に例示される所定の処理を主制御基板920により実施して不正防止機能としても良い。
また、停電時球保持機能は、下大入賞装置433の上流側だけでなく、下大入賞装置433の入口よりも振分機構601に近い下流側に遊技球を保持する球保持機能を有する構成としても良く、この場合には、停電前の状況を更に詳細に保存し、復電後に復元することができるために好ましい。
次に、特別遊技状態において所定の発射異常状態が発生した場合における特定通路TAへの遊技球の進入に関する制御ついて説明する。パチンコ機100には、特定通路TAへ遊技球を進入可能な16R大当り(V入賞)の特別遊技状態において、発射装置330による遊技球の発射に異常が生じた発射異常状態であるか否かを検出し、発射異常状態が検出された場合に特別遊技状態を一時停止することで遊技の進行を停止し、その後に発射異常状態が解除された場合に、その進行を停止した遊技を進行する制御を行う異常対応制御機能が設けられている。
具体的には、異常対応制御機能として、遊技盤400には、図7に示すように、遊技領域の上流側部分に、右打ち検出スイッチ603が設けられている。右打ち検出スイッチ603は、特別遊技状態において実行される右打ち遊技手法によって遊技球が通過することとなる全ての遊技球を検出可能な位置に設けられている。この右打ち検出スイッチ603は、遊技球の通過を検出する非接触式のセンサにより構成され、主制御基板920に接続されている(図10参照)。
また、主制御基板920には、異常対応制御機能としての各処理として、主制御基板920のタイマ更新処理S1210と、上大入賞許容中処理S1309と、上大入賞禁止中処理S1310とが設けられ、これらの処理は、主制御基板920の制御プログラムの一部としてROM(図示せず)に記憶されている。以下、主制御基板920による異常対応制御について、図36から図38を主に参照して説明する。
図36は、主制御基板920のタイマ更新処理S1210の一例を表すフローチャートである。タイマ更新処理S1210では、一時停止フラグが設定されているか否かが判定され(S2001)、一時停止フラグが設定されていなければ(S2001:N)、特別図柄関連制御タイマを更新する処理を実行する(S2002)。一方、一時停止フラグが設定されていなければ、特別図柄関連制御タイマを更新しないで、処理をS2003へ移行する。S2003の処理では、特別図柄関連制御タイマ以外の他のタイマの更新をし、タイマ更新処理を終了する。
ここで、一時停止フラグは、特定ラウンドを含む特定ラウンドにおける特定領域への遊技球の進入可否に影響するタイミングにおいて、右打ち遊技手法によって遊技球の発射が正常に行われていない場合に設定されてオン状態となるフラグであり、主制御基板920のRAMの一部によって構成されている。一時停止フラグのオンオフの切り替わりについては、図37及び図38を参照して説明する。
図37は、主制御基板920の上大入賞許容中処理S1309の一例を表すフローチャートであり、図38は、主制御基板920の上大入賞禁止中処理S1310の一例を表すフローチャートである。上大入賞許容中処理S1309及び上大入賞禁止中処理S1310は、主制御割込み処理(図12参照)の一部を構成する特別図柄関連処理S1217の処理の一部として主制御基板920のROMに記憶されている。
上大入賞許容中処理S1309は、特別遊技状態を発生させるための処理であり、上大入賞口434Aへ遊技球を進入可能なように上進入規制機構454が進入許容姿勢をとったラウンド開始のタイミングから、そのラウンドが終了するまでの状況において実行される。この上大入賞許容中処理S1309は、大入賞装置作動開始処理S1306(図18参照)によってオープニング期間に対応した処理の最後に開始の設定が行われ、第1ラウンドの開始となる。また、上大入賞許容中処理S1309は、下大入賞禁止中処理S1308または上大入賞禁止中処理S1310(図18参照)によって下大入賞装置433または上大入賞装置434の動作が禁止された後の状況においてインターバル時間が経過した場合にも、次のラウンドが開始される場合に開始の設定が行われる。上大入賞許容中処理S1309の開始の設定は、大入賞装置作動開始処理S1306、下大入賞禁止中処理S1308または上大入賞禁止中処理S1310において、特別図柄関連処理S1217において参照される特別図柄関連状態識別値の値を更新することによって行われる。
上大入賞許容中処理S1309においては、まず、一時停止フラグが設定されているか否かを判定し(S2101)、一時停止フラグが設定されていなければ(S2101:N)、特定ラウンド前フラグが設定されているか否かを判定する(S2102)。特定ラウンド前フラグは、振分機構601が動作して特定通路TAの入口が開放される特定ラウンド(第6ラウンド)の一部を含む一定期間において遊技球が特定通路TAへの進入可否に影響するタイミング(以下、特定通路側進行期間という)で設定される(オンとなる)フラグであり、主制御基板920のRAMの一部によって構成されている。
S2102の処理において、特定ラウンド前フラグが設定されていなければ(S2102:N)、未だ特定通路側進行期間より前か、その期間より後の状況である。この場合には、特定ラウンドの直前ラウンド(第5ラウンド)であるか否かを判定し(S2103)、直前ラウンドであれば(S2103:Y)、当該ラウンドにおける進入許容個数が「3」であるかを判定する(S2104)。直前ラウンドにおいて、進入許容個数が「3」となった後に発射された遊技球が、パチンコ機100において、特定通路TAへ進入可能な可能性がある遊技球であるため、本実施形態において、進入許容個数が「3」となったタイミングで特定ラウンド前フラグを設定することとしている。
S2104の処理において、進入許容個数が「3」と判定された場合には(S2104:Y)、特定ラウンド前フラグを設定して、処理をS2115へと移行する。一方、S2103の処理において特定ラウンドの直前ラウンドでないと判定された場合(S2103:N)、又は、S2104の処理において特定ラウンドの直前ラウンドであるものの未だ進入許容個数が「4」以上であると判定された場合には(S2104:N)、S2105の処理をスキップして、処理をS2115へ移行する。
S2102の処理において、特定ラウンド前フラグが設定されていると判定された場合には(S2102:Y)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したか否かを判定し(S2106)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していれば(S2106:Y)、発射停止時間計測カウンタをリセットする(S2107)。発射停止時間計測カウンタは、特定通路側進行期間において、右側流下経路KRを遊技球が流下していない時間を計測するためのカウンタであり、主制御基板920のRAMの一部により構成されている。
S2106の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していないと判定された場合には(S2106:N)、発射停止時間計測カウンタを「1」ずつ加算更新する(S2108)。上大入賞許容中処理S1309は、主制御基板920のタイマ割込み処理において実行されるものであり、一定時間(2ms)毎に実行される。このため、特定通路側進行期間中に右側流下経路KRを流下していない状況においては、発射停止時間計測カウンタは、2ms毎に「1」ずつ加算更新される。
S2108の処理後、発射停止時間計測カウンタが発射異常状態としての6.0秒以上の遊技球の通過無しに対応する値(「3000以上」)となったか否かを判定し(S2109)、6.0秒以上の通過無しと判定されると(S2109:Y)、一時停止フラグを設定し(S2110)、上進入規制ソレノイド464の作動を解除して上大入賞口434Aへ遊技球が進入不能となる処理を実行する(S2111)。これにより、特定ラウンドの直前ラウンドにおいて特別遊技状態の進行が一時停止する準備が完了する。一時停止フラグが設定されている状況では、上記したように、タイマ更新処理S1210にて特別図柄関連制御タイマの更新処理がスキップされ、特別図柄関連制御タイマが、そのままの値に維持されるため、特別遊技状態の進行は一時停止することとなる。
S2101の処理において、一時停止フラグが設定されていると判定された場合には(S2101:Y)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したか否かを判定する(S2112)。S2112の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していないと判定した場合には(S2112:N)、S2113及びS2114の処理をスキップして、処理をS2115へと移行する。
S2112の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したと判定した場合には(S2112:Y)、一時停止フラグを解除する(オフとする)処理を実行し(S2113)、更に、上進入規制ソレノイド464を作動状態に復帰させて上大入賞口434Aへ遊技球が進入可能としてから(S2114)、処理をS2115へと移行する。ここで、一時停止フラグが設定された状況において右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過した場合には、発射異常状態が解除されている状況であり、この場合には、S2113及びS2114の処理の実行によって特定ラウンドの直前ラウンドにおいて一時停止していた特別遊技状態の進行が再開される。
S2115以降の処理では、まず、進入許容個数を更新するための進入許容個数更新処理S2115が実行される。この進入許容個数更新処理S2115では、上大入賞口434Aへの遊技球の進入を上大入賞スイッチ444が検出したタイミングで、進入許容個数に対応するカウンタ(主制御基板920のRAMの一部)の値を、1球の入賞分を減算した値に更新する。
S2115の処理後、特別図柄関連制御タイマが解除されたタイミングであるか否かを判定する(S2116)。特別図柄関連制御タイマは、各ラウンド及びインターバルの開始前に、そのラウンド及びインターバルの時間長さに対応した値が設定され、タイマ更新処理において、その時間が経過するまで更新(例えば、減算して更新)されるタイマであり、主制御基板920のRAMの一部によって構成されている。
S2116の処理において、特別図柄関連制御タイマが解除されていれば(S2116:Y)、実行中のラウンドにおいて最大進入許容時間が経過したタイミングであるので、上進入規制ソレノイド464の作動を解除して上大入賞装置434への遊技球の進入を禁止し、次の期間に移行する設定を行うラウンド終了設定処理を実行してから(S2118)、上大入賞許容中処理S1309を終了する。
S2116の処理において、特別図柄関連制御タイマが解除されていなければ(S2116:N)、実行中のラウンドにおける進入許容個数が「0」であるか否かが判定され(S2117)、「0」であれば(S2117:Y)、ラウンド終了のタイミングであるので、ラウンド終了設定処理(S2118)へ移行する。S2115の処理において進入許容個数が「1」以上であれば(S2117:N)、未だ実行中のラウンドを継続するタイミングであるので、ラウンド終了設定処理S2118をスキップして、上大入賞許容中処理S1309を終了する。
ここで、ラウンド終了設定処理S2118においては、特別遊技状態において次のラウンドが残っている第1ラウンドから第15ラウンドの終了であれば、特別図柄関連状態識別値の値が上大入賞禁止中処理S1310に対応する値「7」に更新され、インターバル時間に移行する設定が行われる(図18参照)。一方、第16ラウンドの終了であれば、特別図柄関連状態識別値の値は、エンディング期間に移行するための大入賞装置作動停止処理S1311(図18参照)に対応する値「8」に更新される。また、ラウンド終了設定処理S2118においては、特別図柄関連制御タイマの値は、インターバル時間又はエンディング期間の長さに対応する値に設定される。特定ラウンドの直前において、複数種類の特別遊技状態に対応して長さの異なるインターバル時間の設定は、このラウンド終了設定処理S2118において、特別遊技状態の種類に対応した停止図柄識別値を参照して行われる。
上大入賞禁止中処理S1310は、上大入賞装置434の動作が禁止された後のインターバル時間中に実行される処理であり、特定ラウンドの直前に相当する第5ラウンドから第6ラウンドの間のインターバル期間中に実行される処理である。
上大入賞禁止中処理S1310においては、図38に示すように、まず、一時停止フラグが設定されているか否かを判定し(S2201)、一時停止フラグが設定されていなければ(S2201:N)、特定ラウンド前フラグが設定されているか否かを判定する(S2202)。特定ラウンド前フラグは、特定ラウンド(第6ラウンド)の直前ラウンド(第5ラウンド)において上大入賞許容中処理S1309が実行された場合にオンされるので、特定ラウンド前フラグが設定されている場合には、特定ラウンドの直前のインターバル期間(以下、直前インターバル期間ともいう)であり、設定されていなければ、別のインターバル期間である。
S2202の処理において、特定ラウンド前フラグが設定されていなければ(S2202:N)、直前インターバル期間でないので、直前インターバル期間に必要なS2203〜S2211の各処理をスキップして、処理をS2231へ移行する。
S2202の処理において、特定ラウンド前フラグが設定されていれば(S2202:Y)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したか否かを判定し(S2203)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していれば(S2203:Y)、発射停止時間計測カウンタをリセットしてから、処理をS2208へ移行する。
S2203の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していないと判定された場合には(S2203:N)、発射停止時間計測カウンタを「1」ずつ加算更新し(S2205)、その更新後の発射停止時間計測カウンタによって6.0秒以上の遊技球の通過無しか否かを判定し(S2206)、6.0秒以上の通過無しと判定されると(S2206:Y)、一時停止フラグを設定し(S2207)、処理をS2208へ移行する。
S2208の処理においては、インターバル時間計測カウンタが1.0秒以上に対応する値となったか否かを判定する(S2208)。インターバル時間計測カウンタは、直前インターバルが開始されてからの経過時間を計測するためのカウンタであり、主制御基板920のRAMの一部により構成されている。
S2208の処理において、インターバル時間計測カウンタが1.0秒以上に対応する値となっていなければ(S2208:N)、直前インターバルの開始後1.0秒以上でなく1.0秒未満の状況である。この場合には、インターバル時間計測カウンタを更新(例えば、「1」ずつ加算更新)し(S2209)、処理をS2231へ移行する。
一方、S2208の処理において、インターバル時間計測カウンタが1.0秒以上に対応する値となっていれば(S2208:Y)、直前インターバルの開始後1.0秒以上経過した状況である。この場合には、インターバル計測カウンタをリセットし(S2210)、特定ラウンド前フラグを解除して(S2211)、処理をS2231へ移行する。
S2201の処理において、一時停止フラグが設定されていると判定された場合には(S2201:Y)、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したか否かを判定する(S2221)。S2221の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過していないと判定した場合には(S2221:N)、S2222の処理をスキップして、処理をS2231へと移行する。
S2221の処理において、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過したと判定した場合には(S2221:Y)、一時停止フラグを解除する(オフとする)処理を実行し(S2222)、処理をS2231へと移行する。
S2231の処理においては、特別図柄関連制御タイマが解除されたタイミングであるか否かを判定し(S2231)、特別図柄関連制御タイマが解除されていなければ(S2231:N)、インターバル期間を継続するためS2232の処理をスキップして、上大入賞禁止中処理S1310を終了する。
S2231の処理において、特別図柄関連制御タイマが解除されたタイミングであると判定された場合には(S2231:Y)、インターバルが終了して次のラウンドを開始するタイミングであるので、次のラウンドに移行する設定を行うラウンド開始設定処理を実行してから(S2232)、上大入賞禁止中処理S1310を終了する。
ここで、発射異常状態が発生した場合におけるパチンコ機100の動作について説明する。パチンコ機100においては、16R大当り(V入賞)の特別遊技状態中に遊技球が発射できない状況が発生した場合には、特定通路TAへ遊技球が進入せず、特別遊技状態の後に発生するはずだった確変遊技状態による特典を遊技者が受けられなくなる。遊技球の発射異常状態は、遊技領域の入口部分における球詰まり、発射装置330の故障、或いは、パチンコ機100への遊技球の供給トラブルなど、種々の条件で発生し得るものである。この種の発射異常状態が発生している状況で、特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能期間が発生してしまうと、折角の特別図柄に係る抽選の当選によって得た確変遊技状態への移行という遊技価値を享受する機会が無効になって、遊技者が不利益を被る可能性がある。
これに対し、本実施形態に係るパチンコ機100では、特別遊技状態中の特定ラウンドの直前ラウンドが開始された後、そのラウンドの残り時間として進入許容個数が「3」になったタイミングになると、特定ラウンド前フラグが設定される。特定ラウンド前フラグが設定されると、右側流下経路KRの遊技球の流下が、上大入賞許容中処理S1309と上大入賞禁止中処理S1310とにおける右打ち検出スイッチ603の状態確認によって監視される(S2106及びS2203の処理)。
特定ラウンド前フラグが設定されている状況において、右打ち検出スイッチ603が一定時間(6.0秒)以上、遊技球の通過を検出しなければ、一時停止フラグが設定されて、特別遊技状態の進行が停止される。特別遊技状態の進行停止は、特別図柄関連制御タイマの更新処理を実行せず、上進入規制ソレノイド464の作動中には作動解除すること(S2111)によって行われる。
一時停止フラグが設定された状況は、右打ち検出スイッチ603を遊技球が通過することを検出した場合に解除される。これにより、遊技球の発射が再び実行された状況において特別遊技状態の進行が再開となる。特定ラウンドの直前ラウンドと、その後の直前インターバルにおいて、一時停止フラグの設定による特別遊技状態の一時停止が実行可能となり、特定ラウンドの開始時点で特定通路TAへ遊技球が向かわなくなってしまう状況が発生し難くなる。
このように、16R大当り(V入賞)の特別遊技状態が発生した場合に遊技球が正常に発射されていない発射異常状態となった場合には、少なくとも一部の遊技の進行が停止される。このため、特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能期間において遊技球が発射されない事態を回避し易くして、正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
また、発射異常状態を検出するための右打ち検出スイッチ603は、遊技領域の一部であって振分機構601及び上大入賞装置434より上流側に設けられている。このため、振分機構601側に遊技球が流下していない状況を適切に検出し、発射異常状態が発生した場合には、その状態に対応した制御を適切に実行することができる。
また、特定ラウンドの直前ラウンドにおいて発射異常状態が発生した場合には、遊技球が右側流下経路KRを流下していない状況であっても、上進入規制ソレノイド464の作動を解除して上大入賞口434Aへ遊技球が進入しないようにする。このため、遊技者にとって有利な状態の発生を見た目にも一時停止することができ、他の遊技者に比べて入賞条件が成立し易い有利な状態が長く発生しているとの誤解を生じさせることなく、正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
また、遊技者の発射操作の有無に関わらず、右打ち検出スイッチ603による遊技領域内における遊技球の一定時間の不通過によって発射異常状態と判定されるので、遊技に不慣れな遊技者が不用意に発射操作を停止してしまって、不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
次に、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態において遊技球が不当に特定通路TAへ進入しないようにするための不当進入抑制機能について説明する。本実施形態に係るパチンコ機100には、特定通路TAに遊技球が進入可能な進入可能状態を発生可能な振分機構601より上流側に球搬送装置602が設けられている。球搬送装置602は、停電が発生した場合には、特定通路TAに通じる流下経路としての搬送通路KTを流下していた遊技球を所定の範囲としての搬送通路KT内に保持し、これにより、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態における遊技球の特定通路TAへの進入を抑制する不当進入抑制機能を発揮する。
具体的には、16R大当り(V非入賞)の短インターバルの期間中に主制御基板920が一時的に停電状態となった場合、搬送通路KTを流下していた遊技球は、特定通路TAへ近づくことなく、その場に停滞する。この搬送通路KTが遊技球の自重により特定通路TAへ近づくような下降傾斜した通路であった場合には、停電の期間中に遊技球が特定通路TAへ近づいてしまい、復電後には、短インターバルを経由したにも関わらず、特定通路TAへ遊技球が進入してしまう状況が発生し得る。
これに対して、本実施形態に係るパチンコ機100においては、搬送通路KTを経由して特定通路TAへ遊技球が向かうためには、球搬送装置602への通電が必須である。よって、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態中に停電が発生することで不当に遊技球が特定通路TAへ進入してしまう事態を回避することができる。
<第2実施形態>
次に、上記実施形態(以下、第1実施形態ともいう)とは別の第2実施形態について説明する。
第1実施形態に係るパチンコ機100においては、上大入賞装置434と、振分機構601と、球搬送装置602とを用いて、特定通路TAに進入可能な進入可能状態が発生する特定ラウンドを含む特別遊技状態を実現した。第2実施形態においては、球搬送装置602を設けず、上大入賞装置434と振分機構601との間において遊技球が自重により流下するようにする機構により特定通路TAへ遊技球が進入可能な特定ラウンドが発生する構成となっている。
図39は、第2実施形態に係る遊技盤1400を例示した図である。図39には、理解の容易のために、進入許容姿勢とされた下進入規制機構1453と、誘導姿勢とされた振分機構1601とを一点鎖線で示している。以下の第2実施形態に係る説明では、第1実施形態のパチンコ機100に対して異なる部分のみを説明する。
遊技盤1400の前面右側部分の右側流下経路KRには、上流側と下流側とに離間して2つの大入賞装置1433,1434が設けられている。遊技盤1400の前面上側部分には、上記実施形態に係る上大入賞装置434と同一の構成とされた上大入賞装置1434が設けられ、遊技盤1400の前面右下部分には、上記実施形態に係る下大入賞装置433と同一の構成とされ、特定通路TAが内部に設定された下大入賞装置1433が設けられている。上下の大入賞装置1433,1434には、それぞれ遊技領域を流下する遊技球を進入可能なように、進入禁止姿勢と進入許容姿勢とをとる上下の進入規制機構1453,1454が設けられ、その姿勢を変化させる進入規制ソレノイドが主制御装置370(主制御基板920)によって制御される。これにより、各大入賞装置1433,1434に対して、それぞれの入口部分としての上下の入賞口1433A,1434Aへ遊技球を進入させることが可能に構成されている。
下大入賞装置1433(下大入賞口1433A)の内部には、上記実施形態に係る振分機構601と同一の構成とされた振分機構1601が設けられている。また、上下の入賞口1433A,1434Aが配置される右側流下経路KRに沿った上流側部分及び下流側部分には、始動装置1436と右始動入賞装置1432とが設けられている。始動装置1436は、上記実施形態に係る始動装置436と同一の構成とされ、右始動入賞装置1432は、遊技領域の後側に遊技球を進入可能に動作する構成とされている点において上記実施形態に係る右始動入賞装置432と異なっている。
上下の大入賞装置1433,1434に設けられる上下の入賞口1433A,1434Aの間の通路部分に相当する接続通路KDは、上大入賞口1434Aの前側を通過した遊技球が下大入賞口1433Aに到達するまでに一定以上の時間(本変形例においては、3.0秒に設定された最短流下時間)が経過するように構成されている。接続通路KDには、遊技球の流下を遅延させる流下遅延部1435が設けられている。流下遅延部1435は、左右に折れ曲がって形成され、且つ、緩い下り傾斜(例えば、10度以下)に遊技球の流路の底面が形成されている。
上大入賞装置1434の左下側には、遊技球が進入可能な排出口1438が設けられている。排出口1438は、遊技領域へ進入した遊技球が入賞とならないで外部に排出される回収排出通路の入口部分である。上大入賞装置1434の周辺部分及びその上側において正面視左側に外れた遊技球は、排出口1438に進入する構成とされている。このため、右打ち遊技手法によって遊技を行う状況において、進入可能な上大入賞口1434Aへ遊技球が入賞する確率は100%でない設定とされ、流下遅延部1435を通じて下大入賞口1433Aへ入賞する確率も100%でない設定とされている。この設定として、右打ち遊技手法をした場合には、上大入賞口1434Aへ遊技球が進入可能な状況において略99%以上の確率で上大入賞口1434Aへ遊技球が進入(入賞)し、また上大入賞口1434Aへ遊技球が進入不能な状況においては流下遅延部1435を略99%以上の確率で遊技球が流下し、下大入賞口1433Aへ遊技球が進入可能な状況においては略99%以上の確率で下大入賞口1433Aへ遊技球が進入(入賞)する設定とすることが好ましい。
上下の大入賞装置1433,1434が進入禁止姿勢をとった状況(上下進入禁止状態)では、上下の入賞口1433A,1434Aが進入不可に閉鎖される。上下進入禁止状態では、図39(A)に示すように、遊技領域の右側に発射された遊技球は、上大入賞口1434Aの前側を通過して下流側へ流下する。そして、流下遅延部1435を左右に往来しながら下方へと遊技球が移動し、下大入賞口1433Aの入口部分を通過して下流側へと流下する。
上大入賞装置1434が進入許容姿勢をとった状況(上側進入許容状態)では、図39(B)に示すように、進入規制機構1454を構成する開閉板部が起立姿勢から前側に傾倒して遊技領域内へ突出する。これにより、遊技領域の後側に開口する上大入賞口1434Aに遊技球が進入して下流側への遊技球の流下が阻止され、下大入賞口1433Aが設けられる側に遊技球が全く進行しない状態(流下不能状態)となる。そして、流下不能状態が一定時間以上継続した場合には、上下の入賞口1433A,1434Aの間部分に相当する接続通路KDには遊技球は全く存在しなくなる。
上側進入許容状態が一定時間継続した後に上大入賞装置1434が進入禁止姿勢に移行すると、遊技球が上大入賞口1434Aの前側を通過して下流側へと流下し始める。上大入賞装置1434が進入禁止姿勢に移行した後であって最短流下時間が経過した後には、遊技球が下大入賞口1433Aまで遊技球が到達する。このため、上側進入許容状態が終了しても最短流下時間が経過する前では、下大入賞装置1433が進入許容姿勢をとったとしても遊技球が下大入賞口1433Aに進入できず、その最短流下時間が経過した後に遊技球が下大入賞装置1433へ進入可能となる。
下大入賞装置1433が進入許容姿勢をとった状況(下側進入許容状態)では、図39(C)に示すように、下進入規制機構1453を構成する開閉板部が前方に突出した姿勢から後方側に没入して遊技領域の後側に格納される。これにより、上方側に開口する下大入賞口1433Aに遊技球が進入可能な状態となる。
本変形例に係る上下の大入賞装置1433,1434と、振分機構1601は、上記した実施形態に係る上下の大入賞装置433,434と、振分機構601とに対する制御と同様に主制御基板920によって動作制御される。これにより、特定ラウンド(第6ラウンド)において特定通路TAへ遊技球を進入可能な特別遊技状態と、当該特別遊技状態に対して特定ラウンドの直前のインターバル時間を相違させて特定通路TAへ遊技球を進入不能な特別遊技状態とを発生させることができる。
また、右側流下経路KRにおける複数の箇所及び下大入賞装置1433(下大入賞口1433A)の内部には、経路の奥側から経路内に断続的に突出して遊技球の流下を阻止可能な可動突出片S1〜S5が設けられている。可動突出片S1〜S5は、主制御基板920の制御により動作し、オン状態で経路外へ退出する電磁ソレノイド(図示せず)により動作可能とされている。可動突出片S1〜S5は、遊技球の発射時間間隔以下(例えば、0.55秒)の周期で動作し、遊技球を1球ずつ下流側へと離間した状態で流下させる球間隔生成機能を備えている。これにより、流下遅延部1435において自重により遊技球が流下している途中で遊技球同士が干渉し、下流側へと遊技球が流下不能となったり、流下遅延部1435を極度にゆっくりと遊技球が流下する可能性を低減することができ、特定通路TAへ適切なタイミングで遊技球を流下させることができる。可動突出片S1〜S5は、停電中には、遊技球の流下経路から退出し、遊技球が下流側へと流下する。
ここで、第2実施形態に係るパチンコ機では、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態において遊技球が不当に特定通路TAへ進入することを防止する不当進入抑制機能と、16R大当り(V入賞)の特別遊技状態において停電が発生しなければ特定通路TAへ進入するはずだった遊技球が特定ラウンド開始直前の停電発生等によって無効にされてしまう状況を回避する停電無効回避機能が設けられている。
第2実施形態に係るパチンコ機には、停電状態の発生中にも一部の処理を継続して実行する停電監視処理S9202が設けられている。第2実施形態に係るパチンコ機の停電監視処理S9202は、第1実施形態に係る停電監視処理S1202(図12参照)に対して一部の処理を追加した構成とされている。この停電監視処理S9202は、第2実施形態に係るパチンコ機における不当進入抑制機能と停電無効回避機能に対応する。
図40は、第2実施形態に係る停電監視処理S9202の一例を示すフローチャートである。停電監視処理S9202では、まず、停電準備フラグがオンであるか否かを判定し(S9001)、停電準備フラグがオンでなければ停電信号の出力であるか否かを判定する(S9002)。停電準備フラグは、電源監視部911から主制御基板920へ停電信号が3回の確認において連続して出力されていることが確認された場合にオンとなるフラグであり、主制御基板920のRAMの一部により構成されている。停電準備フラグがオンとなると一部の基板は停電の発生に対応する処理として払出途中の遊技球の払出しを完了するなどの一部の処理を実行した後に電源断を待機する状態となり、パチンコ機において消費される電力を抑制する。
S9002の処理において、停電信号が出力中であると判定された場合には(S9002:Y)、主制御基板920へ停電信号が送信されている状況である。この場合には、停電信号カウンタの値を更新(例えば、「1」加算更新)し(S9003)、更新後の値が「3」に達したか否かを判定する(S9004)。停電信号カウンタは、停電信号の出力の確認回数を計数するためのカウンタであり、主制御基板920のRAMの一部により構成されている。
S9004の処理において、停電信号カウンタの値が「3」以上であると判定された場合には(S9004:Y)、S9007以降の停電発生に対応した処理へ移行する。一方、S9004の処理において、停電信号カウンタの値が「3」に達していないと判定された場合には(S9004:N)、停電監視処理S9202を終了する。
S9002の処理において、停電信号が出力中でないと判定された場合には(S9002:N)、正常に電力が供給されている状況であり、この場合には、停電信号カウンタの値が「0」であるか判定し(S9005)、「0」でなければ(S9005:N)、停電信号カウンタに「0」を設定してリセットし(S9006)、停電監視処理S9202を終了する。一方、S9005の処理において、停電信号カウンタの値が「0」であると判定された場合には(S9005:Y)、S9006の処理をスキップして、停電監視処理S9202を終了する。
S9002〜S9006の各処理により、停電信号が3回連続してオンとなっていた場合に停電状態の発生と判定して停電準備フラグをオンし、停電状態に対応した各処理を実行可能とされている。
S9004の処理において、停電信号カウンタの値が「3」以上であると判定された場合には(S9004:Y)、停電信号カウンタに「0」を設定し(S9007)、払出制御基板930と副制御基板940へ電源断コマンドを送信する(S9008)。電源断コマンドを受信した払出制御基板930と副制御基板940は、実行途中で最低限必要な処理のみを実施して速やかに電源断の準備をし、払出制御基板930と副制御基板940との制御によって電力が必要な電気部品や電気素子の制御を停止する。
S9008の処理の後、停電準備フラグをオンし(S9009)、特定ラウンド前フラグが設定されているか否かを判定する(S9010)。特定ラウンド前フラグが設定されていれば(S9010:Y)、停電監視処理S9202を終了し、主制御基板920としては、停電発生前の処理をそのまま継続する。
S9010の処理において、特定ラウンド前フラグが設定されていないと判定された場合には(S9010:N)、直前インターバル中であるか否かを判定し(S9011)、直前インターバル中であれば(S9011:Y)、停電監視処理S9202を終了する。S9011の処理において、直前インターバル中でないと判定された場合には(S9011:N)、切換ソレノイド465の作動中であるか否かを判定し(S9012)、切換ソレノイド465の作動中であれば(S9012:Y)、停電監視処理S9202を終了する。
S9010〜S9012の処理により、特定ラウンドの直前ラウンドの終了前から、特定ラウンドが開始されて切換ソレノイド465が作動し、特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能期間の終了までにおいては、主制御基板920は、停電の準備をしないで、特別遊技状態の進行に関する各処理を継続して実行することができる。よって、特定ラウンドの直前において停電状態が発生しても、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態においては特定通路TAへは遊技球が進入せず、16R大当り(V入賞)の特別遊技状態においては特定通路TAへ遊技球を進入可能にすることができる。
S9012の処理において、切換ソレノイド465の作動中でないと判定された場合には(S9012)、停電準備フラグをオフし(S9013)、電源・発射制御基板900へ電源断コマンドを送信して電源・発射制御基板900に停電に対応する処理の準備を行わせ(S9014)、RAM判定値を算出して格納してから(S9015)、RAMのアクセスを禁止し(S9016)、無限ループへに入る。
S9001の処理において、停電準備フラグがオンと判定された場合には(S9001:Y)、S9010の処理へ移行する(S9001:Y)。これにより、特定ラウンドの直前ラウンドの終了前から、特定ラウンドにおいて特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能期間の終了までの期間に限定して、主制御基板920は、停電の準備をしないで、特別遊技状態の進行に関する各処理を継続して実行することができる。
このように、第2実施形態に係るパチンコ機によれば、停電監視処理S9202によって3回の停電信号が連続確認された所定の停電状態が検出された場合であって、特定通路TAへ遊技球が進入可能なように切換ソレノイド465が作動する進入可能状態を発生させる進入可能期間を含む期間において、特別遊技状態を進行させる制御を実行する。このため、停電状態が発生した状況であっても、進入可能期間を含む一定の期間においては、特別遊技状態を進行させる制御が実行される。よって、特定通路TAへ進入するはずだった遊技球が停電の発生によって特定通路TAへ進入しなくなって正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被ったり、犯罪者が停電状態を故意に発生させて不当に特定通路TAへ遊技球を進入させることを狙う不正行為を行おうとする事態を回避することができる。
また、所定の停電状態が発生した場合には、停電準備フラグがオンとされるより前に、副制御基板940に対して電源断コマンドが送信され、副制御基板940による装飾図柄表示装置479の制御は、主制御基板920による振分機構601と上大入賞装置434の動作制御を含む一部の制御より先行して停止する。このため、装飾図柄表示装置479の表示制御による電力消費を抑制し、その分を、振分機構601と上大入賞装置434との制御を含む一部の制御に振り分けることができる。よって、特定通路TAへの遊技球の進入に関する特別遊技状態の遊技の進行を限られた電力を利用して継続し易くすることができる。
また、特定ラウンドにおいて切換ソレノイド465がオンとなって振分機構601が進入可能状態を発生させる制御が行われる場合には、所定の停電状態が発生しても進入可能状態が開始される前から、切換ソレノイド465がオフとなって進入可能状態が終了するまでの期間にわたって、S9010〜S9012の各処理によって停電準備フラグはオン状態を維持し、特別遊技状態の進行に対応した特別図柄関連制御タイマの値は、タイマ更新処理S1210(図36参照)によって更新し続ける。この特別図柄関連制御タイマの更新によって特別遊技状態が進行することとなるので、特定通路TAへの遊技球の進入に関して停電の発生による影響を抑制することができ、停電の発生によって生じる不都合を好適に回避し易くすることができる。
なお、必ずしも停電監視処理S9202によって、主制御基板920の各処理を停電監視前と同じように進行させる必要はなく、少なくとも特別図柄関連制御タイマの更新に関する処理を実行することにより、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態においては特定通路TAへの遊技球の進入を抑制することができて好ましい。
次に、第3実施形態に係るパチンコ機について説明する。第3実施形態に係るパチンコ機は、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態においては特定通路TAへの遊技球の進入を抑制する不当進入抑制機能を有する下大入賞装置2433が設けられている。下大入賞装置2433は、上記第1及び第2実施形態に係る下大入賞装置433,1433とは異なる機構を備え、振分機構601によって特定通路TAに1球の遊技球だけが進入した場合にはV入賞とはならず、特定通路TAに複数の遊技球が進入した場合に特定領域としてのV領域側へ遊技球が進行してV入賞が発生する。
図41(A)〜図41(D)は、第3実施形態に係るパチンコ機の下大入賞装置2433の説明図である。図41(B)〜図41(D)には、理解の容易のために、遊技球の流下する方向を矢印で例示すると共に、遊技球を併せて示し、進入許容姿勢とされた下進入規制機構453と、誘導姿勢とされた振分機構601と、遊技球の通路から退出した閉塞動作機構2001とを一点鎖線で示している。
下大入賞装置2433は、図41(A)に示すように、下進入規制機構453が下大入賞口433Aの入口部分に設けられ、その下大入賞口433Aの内部に振分機構601が設けられている。振分機構601の内部に相当する振分機構601の下側においては、特定通路TAの下流側が複数の方向に分岐し、遊技球が優先して流下しない一方側(図41(A)の右下側)に特定通路TAが連続するように構成されている。特定通路TAにおいて右下側に連続する領域には、特定領域としてのV領域(図41(A)の「V」の文字を付した領域)が設けられ、左側から左方に折れ曲がって連続する通路は、非特定通路TA(図41(A)の「N」の文字を付した領域側)に連続している。V領域側に分岐した下流側には、特定通路スイッチが設けられ(図示せず)、V領域に遊技球が到達した場合に、V入賞が発生する。
振分機構601の内部には、特定通路TAから非特定通路TAを閉鎖可能な閉塞動作機構2001が設けられている。閉塞動作機構2001は、主制御基板920の制御によって振分機構601に同期して動作する。閉塞動作機構2001は、切換ソレノイド465がオンとなって振分機構601が誘導姿勢をとっている状況、すなわち特定通路TAに遊技球が進入可能な状況では非特定領域へ通じる通路を開放するように後方側に退出する。一方、振分機構601が非誘導姿勢をとって特定通路TAに遊技球が進入可能な状況では、閉塞動作機構2001は、特定通路TAから非特定領域へ通じる通路を閉鎖する。
振分機構601の内部には、閉塞動作機構2001が特定通路TAから非特定領域へ通じる通路を閉鎖している状況において遊技球を1球だけ閉塞動作機構2001の上流側(図41の右側)に保留可能な保留領域2002が設けられている。保留領域2002は、振分機構601が誘導姿勢をとって遊技球が振分機構601の内部に進入した場合にV領域側より優先して遊技球が進入するように、振分機構601の下側に配置されている。
保留領域2002に対してV領域が位置する右側には、上方側に突出して、保留領域2002と、特定通路TAの下流側に相当するV領域とを仕切る保留板部2003が設けられている。保留領域2002に一旦進入した遊技球は、保留板部2003により右側への移動が制限され、V領域には進行できない高さ(例えば、遊技球の中心に近い位置までの高さ)に設定されている。
遊技領域を流下する遊技球が特定通路TAへ進入可能な進入可能期間においては、図41(B)に示すように、最初に特定通路TAへ進入した遊技球は、保留領域2002へと進入する。保留領域2002へ遊技球が保留された状況において、後続の遊技球が特定通路TAに進入すると、図41(C)に示すように、保留領域2002に保留された遊技球(保留球)と衝突し、保留球によってV領域側へと遊技球が誘導される。
進入可能期間の経過後に切換ソレノイド465がオフとなると、図41(D)に示すように、特定通路TAへの入口が振分機構601によって閉塞される。これにより、その後に下大入賞口433Aに進入した遊技球は非特定通路TAへ誘導される。また、切換ソレノイド465がオフとなると閉塞動作機構2001が後方側に退出し、保留領域2002に保留された保留球は非特定通路TAへと誘導される。
ここで、振分機構601の動作によって、特定ラウンドにおいて遊技球が特定通路TA側へ誘導される数は、1球分が保留球によって消費されてしまうので、少なくとも2球以上に設定される必要があり、複数の遊技球が特定通路TA側に誘導される設定とされることが好ましい。この特定通路TAへ誘導される遊技球数は、特定ラウンドにおける切換ソレノイド465のオンしている時間長さによって調整することができる。また、特定通路TA側へ遊技球を誘導するための保留球の数を2球以上の他の数に設定しても良く、例えば、保留領域2002を遊技球2球が保留される深さに設定しても良い。
このように、第3実施形態に係るパチンコ機では、特定ラウンドにおいて複数の遊技球が振分機構601によって特定通路TA側に誘導された場合に限ってV領域が設けられた特定通路TAを遊技球が進行可能とすることができる。このため、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態において、第5ラウンドで上大入賞装置434の上進入規制機構454に引っ掛かった状態となり、第5ラウンドの終了より前に下方に遊技球が流下してしまうような偶発的な事象によって特定通路TA側へ遊技球が進入してしまう状況が発生しても、V領域へは到達しないようにすることができる。よって、16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態において、V領域に遊技球が進入する確率をゼロに近づけることができ、メーカ側としては遊技者が得られないように設定した利益を不当に得てしまう状況を回避することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、例えば、以下に記載するように変形して実施しても良い。この場合に、以下に記載する各構成を上記実施形態に対して適用しても良く、以下に記載する複数の構成を組み合わせて上記実施形態に対して適用しても良い。
(1)上記のパチンコ機100においては、確定リーチ発生単位遊技よりも後の単位遊技に抽選リーチ発生単位遊技が割り当てられている構成について説明したが、確定リーチ発生単位遊技よりも前の単位遊技に抽選リーチ発生単位遊技を割り当てることができる。
また、上記のパチンコ機100においては、各推移パターンに、1回の単位遊技に確定リーチ発生単位遊技が割り当てられ、また、1回の単位遊技に抽選リーチ発生単位遊技が割り当てられている構成について説明したが、複数回の単位遊技に確定リーチ発生単位遊技又は抽選リーチ発生単位遊技を割り当てる構成とすることができる。この構成の場合には、確定リーチ発生単位遊技に割り当てられている単位遊技の回数と抽選リーチ発生単位遊技に割り当てられている単位遊技の回数との総数を超える回数のリーチ表示が発生すれば、大当りとなることが確定する。なお、1回以上の単位遊技に確定リーチ発生単位遊技が割り当てられ、また、1回以上の単位遊技に抽選リーチ発生単位遊技が割り当てられる場合には、それらの単位遊技の順序は適宜に変更することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、各推移パターンにおいて、確定リーチ発生単位遊技が割り当てられている単位遊技の回数と、抽選リーチ発生単位遊技が割り当てられている単位遊技の回数とは同一である場合について説明したが、それらが割り当てられる回数が異なる構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、確定リーチ発生単位遊技に割り当てられた単位遊技と抽選リーチ発生単位遊技に割り当てられた単位遊技との双方を含む構成について説明したが、それらの一方のみを含む構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、推移パターンに基づいて装飾図柄のリーチ表示の発生態様を制御する構成について説明したが、装飾図柄の変動に係る他の所定の表示、例えば、装飾図柄の一部を停止させる際の停止態様、装飾図柄の変動に伴い出現するキャラクタ、装飾図柄の変動に伴い発生する演出の発生態様を制御する構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、推移パターンに基づいて装飾図柄のリーチ表示の発生態様を制御する構成について説明したが、所定の時間よりも長い変動時間の変動の発生態様を制御する構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、最大継続単位遊技数が決められた確変遊技状態におけるリーチ表示の発生態様を推移パターンに基づいて制御する構成について説明したが、最大継続単位遊技数に制限のない確変遊技状態におけるリーチ表示の発生態様を推移パターンに基づいて制御する構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、通常遊技状態より遊技者にとって有利な確変遊技状態におけるリーチ表示の発生態様を推移パターンに基づいて制御する構成について説明したが、通常遊技状態においてリーチ表示の発生態様を推移パターンに基づいて制御することもできる。
(2)上記のパチンコ機100においては、変換値の置換判定で、最大値側の範囲に含まれる値の個数と同数の値を変換値に加算することによって、2つの離隔する範囲を1つの連続する最小値側の範囲に統合して、変換値を置換するか否かを一括して判定する場合について説明したが、最小値側の範囲に含まれる値の個数と同数の値を変換値から減算することによって、2つの離隔する範囲を1つの連続する最大値側の範囲に統合して、変換値を置換するか否かを一括して判定する構成とすることができる。
また、上記のパチンコ機100においては、停止図柄識別値として採用しない値の集合が最小値を含み連続する値の範囲と最大値を含み連続する値の範囲とである場合について説明したが、停止図柄識別値として採用しない値の集合が最小値や最大値を含まない範囲の値であってもよい。更に、停止図柄識別値として採用しない値の集合が2つの離隔する範囲に分散する場合について説明したが、停止図柄識別値として採用しない値の集合が1つの連続する範囲である場合や、3つ以上の離隔する範囲に分散する構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、図柄識別値の変換値の生成に用いる演算が、0埋め左ビットシフト演算と排他的論理和演算との組み合わせである場合について説明したが、他の基本論理演算の組合せとすることができる。基本論理演算としては、ビット反転演算、0埋め左ビットシフト演算、1埋め左ビットシフト演算、0埋め右ビットシフト演算、1埋め右ビットシフト演算、左ビットローテーション演算、右ビットローテーション演算、論理和演算、論理積演算、排他的論理和演算が挙げられる。更に、上記においては、図柄識別値の変換値の生成に用いる演算が、基本論理演算のみの組合せである場合について説明したが、四則演算等の基本論理演算とは異なる演算を含む演算とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、図柄識別値の変換値の生成に用いる演算を第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示の開始前に行う場合について説明したが、その所定の演算を第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示中に行う構成とすることができる。更に、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示期間が終了した際に行う構成とすることもできる。なお、図柄識別値の変換値の生成に用いる演算が本形態の演算よりも大幅に複雑な場合や論理演算以外の演算を含む場合であって、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示の開始の遅延や第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示から停止図柄表示への移行の遅延が懸念される場合には、第1特別図柄や第2特別図柄の変動表示中に行うことが好ましい。
また、上記のパチンコ機100においては、大当り図柄乱数カウンタから取得された値から図柄識別値への変換を行った後に、図柄識別値に基づく所定の演算によって変換値を生成する構成について説明したが、例えば、大当り図柄乱数カウンタの取り得る値を「250」以下に規制して、大当り図柄乱数カウンタから取得された値に基づく所定の演算によって変換値を生成する構成とすることもできる。
また、上記のパチンコ機100においては、図柄識別値や停止図柄識別値の取り得る範囲が主制御基板920における基本演算ビット数と同数のビット数で表現される場合について説明したが、他のビット数で表現される構成とすることもできる。
また、上記においては、確変遊技状態で確定的や選択的にハズレリーチを発生させる推移のパターンが遊技者によって容易には推察されないようにして、確変遊技状態における遊技性を向上させる場合について説明したが、特別遊技状態における継続ラウンド数を容易には推察されないようにして、特別遊技状態における遊技性を向上させる構成や、特定遊技状態(確変遊技状態や時短遊技状態)における単位遊技の継続数を容易には推察されないようにして、特定遊技状態における遊技性を向上させる構成に適用することができる。
(3)上記のパチンコ機100においては、上側中始動入賞装置431A、下側中始動入賞装置431B又は右始動入賞装置432のいずれかへの始動入賞によって始動条件が成立して単位遊技が実行される構成としたが、単位遊技の権利を発生させる始動条件は上記構成に限らず、他の構成としても良い。例えば、始動条件を成立させる装置の数を異ならせても良いし、始動条件の成立を始動装置としての入球部の通過を条件としても良いし、入賞装置の内部に設けられる入球部に遊技球が入球した場合を始動条件の成立としても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、各推移パターンによる確変遊技状態に対応する特定遊技状態を開始させる特定遊技開始条件の成立として、始動入賞に基づく単位遊技における大当り当選と、始動入賞に基づく各推移パターンに対応した停止図柄識別値の決定と、大当り当選によって実行される特別遊技状態における特定通路TAへの遊技球の入球(V入賞)という3つの条件が成立した場合について説明したが、特定遊技開始条件の成立としては上記条件に限らず、V入賞を省略して大当り当選の際に確変遊技状態への移行抽選も大当り図柄乱数カウンタの値により決定する等、他の条件としても良い。また、特定遊技開始条件としての停止図柄識別値の決定は、大当り当選に使用する当選乱数カウンタとは別のカウンタの値に基づく構成としたが、当選乱数カウンタの値に推移パターンの種類に対応した当選値を設定し、停止図柄識別値を当選乱数カウンタの値に対応させて決定しても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、各推移パターンによる確変遊技状態に対応した停止図柄識別値を第1特別図柄に係る特別図柄表示装置471及び第2特別図柄に係る特別図柄表示装置472によって表示する構成としたが、これに代えて、又はこれに加えて装飾図柄表示装置479によって停止図柄識別値に対応した情報を表示しても良い。例えば、特別遊技状態中に装飾図柄表示装置479において確変状態B及びCの回数を予め定めた表示条件の成立によって表示する構成としても良く、確変状態Cの回数として残り単位遊技数が50回以上といった特典の大きな確変遊技状態に対応した推移パターンが選定された場合には、特別遊技状態中に「チャンス到来」などの文字による情報を表示しても良いし、確変状態Dの開始回数を「50回以上」といった特典の付与される回数を示唆する数字を含む情報により表示しても良いし、具体的な、確変状態Dの開始される残り単位遊技数をそのまま表示しても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、確変状態A〜Eのうち確変状態D,Eのみが小当り確率を高確率に設定して遊技者に特典を付与する確変遊技状態を発生させたが、遊技者に付与される特典の内容を異ならせる方法としては、上記方法に限らず、小当り確率を高確率とした遊技状態が確変遊技状態の開始から一定期間にわたって継続し、その継続終了回数を停止図柄識別値に対応して異ならせて遊技者に付与される特典の内容を異ならせても良い。また、必ずしも付与される特典の内容としての小当り確率が高確率となる回数を異ならせる必要はなく、確変状態D,Eの長さは一定(例えば、10回)とし、開始時期のみを異ならせても良い。この場合であっても、大当り当選による遊技状態の移行の有無に応じて得られる特典に差異を生じさせることができ、遊技を多様にすることができる。
また、上記のパチンコ機100においては、確変遊技状態の期間の長さは、大当り当選しなければ単位遊技が100回実行される一定回数としたが、その回数を変動させるものとしても良い。この場合において、左打ち遊技手法による第1特別図柄による単位遊技の変動表示と、右打ち遊技手法による第2特別図柄による単位遊技の変動表示が同時に並行して実行され、一方の変動表示が当選した場合に他方の変動表示が停止し、確変遊技状態中における確変状態Cの長時間1の変動時間の単位遊技として長時間2の変動時間より長い超長変動時間(例えば、1時間)が選定される構成とし、その超長変動時間が選定されるよりも前の単位遊技(例えば、確変状態Bの単位遊技)から特典が付与される(例えば、小当り確率を高確率とする)設定としても良い。この場合には、推移パターンの制御によって確変状態Cの実行時期が変動するので、推移パターンに応じて付与される特典の大きさを異ならせることができるし、推移パターンとしては共通のパターンであっても確変状態Cにおいて超長変動時間が選定された場合には、その後の右打ち手法による遊技継続は不能となるので小当り連続当選による特典の付与を予め設定した確率によって途中終了させることができる。すなわち、推移パターンによる変動時間の制御によって予め定めた回数で小当り確率が高確率となった特典を付与する遊技状態の終了時期を設定可能とすることができる。
ここで、超長変動時間としては、必ずしも1時間以上にわたる変動時間に設定する必要はなく、通常遊技状態において設定され得る最大変動時間よりも十分に長い時間に設定されていれば良く、最大変動時間の略2倍以上の時間に設定されていることが好ましく、略3倍以上の時間に設定することが好適である。
また、複数の推移パターンとして、確変状態Dの開始回数が同一であって、その確変状態Dの途中において上記超長変動時間が設定された別の遊技状態を、確変状態Dの開始から異なるタイミングで実行される設定としても良く、この場合には、確変状態Dとしての遊技者に特典の付与される単位遊技の回数を同一回数に設定しても、遊技者に付与される特典の内容を実質的には異ならせることができる。
また、推移パターンの少なくとも1つとして、確変状態Dの単位遊技において、上記超長変動時間が大当り当選よりも低確率(例えば、1000分の1)で選定される構成としても良く、この場合には、同一の推移パターンであっても、小当りの連続回数を異ならせることができるので、特典の付与される態様を更に増加させて多様な遊技性を実現することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、確変遊技状態の途中で大当り当選があって確変状態Dの開始回数が遅い推移パターンでの確変遊技状態が選定された場合には、大当り当選がなかった場合より付与される特典が少ない推移パターンによる遊技状態が選択され得る構成について説明したが、確変遊技状態中に大当り当選があった場合には、大当り当選がなかった場合より確実に付与される特典が大きくなる構成としても良い。例えば、確変状態Dによる獲得球数の最大値を、大当り当選によって得られる獲得球数の最小値より小さく設定しても良い。大当り当選によって得られる獲得球数の最小値としては、特別遊技状態における獲得球数と、確変状態Dの単位遊技の回数が最小の回数に設定された推移パターンによる確変遊技状態における獲得球数とを合算した獲得球数が例示される。
また、上記のパチンコ機100においては、特別遊技状態の後の確変遊技状態において遊技者に特典を付与する例について説明したが、特別遊技状態中には遊技者に特典が付与されずに確変遊技状態中によってのみ、特典が付与される構成としても良い。また、必ずしも小当り当選によって遊技者に特典を付与する遊技状態を確変遊技状態とする必要はなく、通常遊技状態と大当り当選確率は同一とし、小当り当選確率は高い期間が設定された遊技状態を停止図柄識別値に対応して発生させても良い。また、時短状態についても、必ずしも確変遊技状態において時短状態を付加する必要はなく、右始動入賞装置432として進入確率を変化させる機構のない入賞装置を設けても良いし、単位遊技の保留機能についても必ずしも必要でなく、例えば、第2特別図柄の単位遊技は保留不能とし、実行中の単位遊技が終了した後に始動入賞が発生した場合に限って次の単位遊技の権利が成立する構成としても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、推移パターンによって制御される確変遊技状態の一部の遊技状態(確変状態D,E)について小当り確率を高確率に設定して遊技者に特典を付与する特典付与遊技状態を発生させたが、特典付与遊技状態は、当選確率に限らず、推移パターンの制御による変動時間の設定を単位遊技の実行回数に対応して異ならせて実現しても良いし、小当りに当選した場合に下大入賞装置433に遊技球が進入可能な入球可能期間の長さや進入禁止姿勢に移行するまでの入賞個数といった小当り特典を変化させても良い。小当りに当選する単位遊技であっても、特別図柄の変動時間が長ければ、その分、特別図柄の変動表示中に下大入賞装置433付近を通過する遊技球の数が増加するので、変動時間が長いほど入賞とはならない発射球数が増加して特典としての獲得球数を少なくすることができる。また、特典付与遊技状態における変動時間としては、変動表示の開始から遊技球を継続発射しなければ遊技球が下大入賞装置433の進入許容姿勢への移行に間に合わずに獲得球数が少なくなる設定とした単位遊技とすることが好ましく、遊技球を発射してから下大入賞装置433へ遊技球が到達するまでの平均時間よりも変動時間が短く設定された状態とすることが好ましい。これにより、特典付与遊技状態においては、小当り当選によって下大入賞装置433の入球可能期間が長い単位遊技を複数回連続発生させて変動時間の長さを異ならせる期間を設定するだけで、確変遊技状態中において予め定めたタイミングにて遊技者に効率良く特典を付与することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、第2特別図柄に係る単位遊技の抽選結果として小当りが設定されている構成について説明したが、第1特別図柄に係る単位遊技の抽選結果としても小当りを設定しても良く、同一の抽選条件によって小当り当選を制御しても良い。ただし、右打ち遊技手法によって特典が付与される遊技性を明確にし、第1特別図柄と第2特別図柄とに係る単位遊技において小当りに当選した場合の小当り特典を右打ち遊技手法の方が左打ち遊技手法に比べて大きくすることが好ましく、例えば、第1特別図柄と第2特別図柄とに係る単位遊技における小当り当選に際しての変動時間又は下大入賞装置433の進入口への進入許容時間を異ならせても良く、第2特別図柄に係る単位遊技の方が1回の当選に際して進入許容時間が長い設定としても良いし、第2特別図柄に係る単位遊技の方が1回の特別図柄の変動時間が短い設定としても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、確変状態Dの変動時間を、確変状態Aや確変状態Cの一部の変動時間と同一の時間としたが、確変状態Dの変動時間を他の状態における変動時間に比べて短い変動時間とする設定としても良く、これにより、確変遊技状態中における小当りの連続当選により特典が付与される遊技状態を他の遊技状態と異なることを判り易く遊技者に示すことができる。
また、上記のパチンコ機100においては、特別遊技状態後の確変遊技状態中の遊技状態として、推移パターンに対応して変動時間と小当りの条件との双方を変動させる例について説明したが、変動時間又は小当り当選確率のいずれか一方のみを変動させるものであっても良い。例えば、確変遊技状態中における変動時間の選定条件を一定に設定しても、推移パターンに応じて確変遊技状態における単位遊技の小当り確率及び小当り特典を停止図柄識別値に対応して変化させた場合には、確変遊技状態において遊技者に付与される特典の内容を異ならせた遊技性を遊技者に提供することができる。また、確変遊技状態中における小当りの条件を一定に設定しても、推移パターンに応じて確変遊技状態における変動時間を停止図柄識別値に対応して変化させた場合には、確変遊技状態における先行演出の実行によって形式的な特典の付与内容を異ならせた遊技性を遊技者に提供することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、先行演出として、複数種類の確定前先行演出と確定後先行演出とを実行する構成について説明したが、確定前先行演出及び確定後先行演出のうちいずれか一方を実施するものであっても良いし、いずれも実施しないものであっても良い。また、先行演出として、上記した複数種類の先行演出の一部のみを実施しても良い。
(4)上記のパチンコ機100においては、上大入賞装置434、下大入賞装置433、及び、振分機構601は、遊技球の進行方向を変化させるために動作するラウンドにおいて、一定の進入許容姿勢または誘導姿勢をとった後、動作終了条件の成立により元の姿勢に復帰するものとしたが、必ずしも各ラウンドにおいて一定の姿勢をとる動作パターンで動作するものとする必要はなく、各ラウンドの少なくとも一部において、断続的に、又は、複数回に跨がって、進入許容姿勢または誘導姿勢をとる動作パターンで動作し、動作終了条件の成立により、動作開始前の元の姿勢を維持する場合が含まれても良い。
例えば、特定ラウンドの直前のラウンド(上記実施形態における第5ラウンド)において特定通路TA側へ遊技球を流下不能にしていた上大入賞装置434の動作を、断続的に進入許容姿勢をとり、一定の周期で又は不定期で一時的に進入禁止姿勢をとるように構成し、一定の割合(例えば、30球に1球の割合)で遊技球が上大入賞口434Aの前を流下して特定通路TA側へと進行する特別遊技状態を発生させるようにしても良い。この場合には、第5ラウンドにおいて特定通路TA側へ遊技球が流下し難いものの一定の確率で遊技球が流下するような流下困難期間を、流下不能期間に代えて発生させることができ、その後に短インターバルを経由した「16R大当り(V非入賞)」の特別遊技状態の特定ラウンドでも僅かな確率(例えば、略15%)で特定通路TAへ遊技球が進入し、V入賞が発生可能な遊技性を付加することができる。
また、特定ラウンド(上記実施形態における第6ラウンド)において特定通路TAへ遊技球を流下可能にしていた振分機構601の動作を、断続的に誘導姿勢をとり、一定の周期で又は不定期で一時的に非誘導姿勢をとるように構成し、一定の割合(例えば、10球に1球の割合)で遊技球が特定通路TAではなく非特定通路TB側へと進行する特別遊技状態を発生させるようにしても良い。この場合には、「16R大当り(V入賞)」の特別遊技状態の第6ラウンドにおける進入可能期間において偶発的に特定通路TAへ遊技球が進入しない遊技性を付加することができ、進入可能期間として100%では特定通路TAへ遊技球が進入せず、高確率(例えば、略95%)で遊技球が特定通路TAへ進入し、V入賞が発生可能な遊技性を付加することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、特別遊技状態の種類(具体的には、「16R大当り(V入賞)」および「16R大当り(V非入賞)」に応じて、100%か、0%の確率で特定通路TAに遊技球が進入する場合について説明したが、少なくともいずれかの確率に代えて、又は、それらの確率に加えて、他の確率で特定通路TAに遊技球が進入する特別遊技状態を発生させるものとしても良い。例えば、特定通路TAに遊技球が進入可能な進入可能期間を、遊技球の発射時間間隔と略同一に設定した特別遊技状態を発生し、略70%の確率で遊技球が特定通路TAに進入する特別遊技状態を含む構成としても良い。特定ラウンドの直前のインターバル時間の長さと、特定ラウンドにおける下大入賞装置433から特定通路TAへ遊技球が進入可能な状態を形成している進入可能形成期間の長さとの比率を異ならせることによって種々の確率で遊技球が特定通路TAに進入する特別遊技状態を設定することができる。
また、上記のパチンコ機100においては、振分機構601によって特定通路TAに進入した場合に100%の確率で必ずV入賞となる構成について説明したが、特定通路TAに進入した遊技球が遊技球の振り分けにより一定の確率(例えば、3分の1)で特定通路TA内の特定領域に進入してV入賞の発生となり、V入賞が発生した場合に限って遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、確変遊技状態)が発生する構成としても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、待機時間のみが異なる複数種類の特別遊技状態のうち特定ラウンドの直前において待機時間としてのインターバル時間の長い特別遊技状態にて特定通路TAへ遊技球が進入する構成について説明したが、特定ラウンドの直前においての待機時間の短い特別遊技状態の方が特定通路TAへ遊技球が進入する確率が高くなるようにしても良い。例えば、インターバル時間として、役連作動装置435の作動後にオープニング時間が経過し、その後に短時間(例えば、0.6秒)の第1ラウンドを経由して第2ラウンドが開始する構成とし、第1ラウンドと第2ラウンドのインターバル時間が異なる複数の特別遊技状態を発生する構成としても良く、役連作動装置435の下流側にて役連作動装置435を通過した遊技球が特定通路TAへ進入するタイミングを含むように第2ラウンドを開始して進入可能形成期間を発生させ、特定通路TAへ遊技球を進入可能とするか、或いは、その遊技球が進入するタイミングの僅かに後で進入可能形成期間を発生させて特定通路TAへ遊技球を進入不能とするかが異なる特別遊技状態を発生させて、特定通路TAへの遊技球の進入確率を異ならせても良い。また、役連作動装置435を通過した遊技球を特定通路TAへ進入させる構成とした場合には、必ずしもインターバル時間が異なる複数の特別遊技状態によって特定通路TAへ遊技球が進入する確率を異ならせる必要はなく、例えば、オープニング時間が異なる複数の特別遊技状態を発生させ、その後の第1ラウンドを特定ラウンドとして特定通路TAへ遊技球が進入する確率を異ならせても良い。
また、上記のパチンコ機100においては、右側流下経路KRを経由した遊技球が、全て特定通路TAの入口側に進行する可能性がある場合を説明したが、右側流下経路KRにおける振分機構601より上流側に、振分機構601側に一定の割合でしか遊技球が流下しないように遊技球の流下を制御する制御機構を設けても良い。例えば、特定通路TAが下流側に位置する流路と、特定通路TAが下流側に位置しない流路とに、1球毎に流下方向が切り替わるシーソー式の構造体を、振分機構601より上流側に1又は複数設け、発射時間間隔の複数倍の時間間隔でしか、特定通路TA側に遊技球が進行しないようにしても良い。これにより、特定通路TAへ遊技球が進入可能な進入可能形成期間を発生させている状況で特定通路TAへ向かう遊技球の数を少なくすることができるので、特定通路TAへの進入可否の時間設定等を容易に行うことができる。
また、上記のパチンコ機100においては、待機時間のみが異なる複数種類の特別遊技状態として、「16R大当り(V入賞)」と、「16R大当り(V非入賞)」の特別遊技状態が発生する構成について説明したが、必ずしも待機時間のみが異なる特別遊技状態によって特定通路TAに遊技球が進入する確率を変化させる必要はなく、少なくとも一部のラウンドにおける進入許容個数を異ならせるなど、待機時間以外の他の条件が異なる特別遊技状態によって特定通路TAに遊技球が進入する確率を変化させても良い。この場合であっても特定通路TAに遊技球が進入する確率が異なる複数の特別遊技状態において、一部のラウンドにおける制御を同一に設定することが特別遊技状態の制御を簡略化することができて好ましい。
また、上記のパチンコ機100においては、待機時間が異なる複数種類の特別遊技状態によって特定通路TAへ遊技球が進入する確率を異ならせる機能と、停電時に特定通路TAに通じる流下経路を流下していた遊技球を所定の範囲内に保持する停電時球保持機能と、特定ラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構601に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構601に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御を行う機能とを有する場合について説明したが、これらの機能の少なくともいずれかを有しない遊技機としても良い。例えば、特定通路TAに遊技球が進入する確率が異なるようにインターバル時間が異なる複数種類の特別遊技状態が発生せず、インターバル時間以外の振分機構601の動作制御によって特定通路TAに遊技球が進入する確率が異なる構成としても良い。かかる場合であっても、停電時球保持機能により停電前に決まっていた遊技状態の移行制御を復電時に復元することができ、また、特定ラウンドより前のラウンド終了条件の設定によって特定通路TAへ遊技球が進入可能な状況において遊技球を特定通路TAへ進入し易くなるように発射操作を促すことができて好ましい。
また、上記のパチンコ機100においては、第1特別図柄及び第2特別図柄に係る抽選に当選した場合に、抽選結果に対応する特別図柄の種類(例えば、図柄識別値や、停止図柄識別値)に応じて特別遊技状態の種類が一定に定まっていて、各特別図柄の種類毎に設定された確率で、特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態と、進入不能な特別遊技状態とが発生する場合について説明したが、これに限らず、その条件に代えて、又は、その条件を加えて、特定通路TAへの遊技球の進入可否が異なる特別遊技状態のいずれが発生するかが決定されるようにしても良い。例えば、特別図柄の種類としての図柄識別値が同一であっても、当選が発生した遊技状態に対応して特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態の発生確率を異ならせても良く、例えば、第2特別図柄に係る抽選に当選し、図柄識別値が「0」であった場合に、その抽選に当選した遊技における所定のタイミング(例えば、変動表示が開始されるタイミング)において確変遊技状態であれば100%の確率で特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態が発生し、時短遊技状態であれば0%の確率で特定通路TAへ遊技球が進入可能な特別遊技状態(すなわち、特定通路TAへ遊技球が進入不能な特別遊技状態)を発生させるように主制御基板920で制御しても良い。この場合に、複数の図柄識別値に対して、所定のタイミングにおける遊技状態に対しての特定通路TAへの遊技球の進入可否を異なる設定としても良く、これにより、遊技状態に応じた確率で遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる遊技機とすることができる。例えば、確変遊技状態における第2特別図柄の当選では、100%の確率で確変遊技状態が発生し、時短遊技状態における第2特別図柄の当選では、80%の確率で確変遊技状態が発生する設定とすることができ、これらの遊技状態の発生制御はインターバル時間を異ならせた特別遊技状態によって容易に発生させることができる。
また、上記のパチンコ機100においては、下大入賞装置433の内部における下流側に振分機構601が設けられる構成について説明したが、必ずしも下大入賞装置433と振分機構601との双方が設けられる構成とする必要はなく、下大入賞装置433を省略し、特定ラウンドにて振分機構601のみが動作し、振分機構601によって特定通路TAと、特定通路以外(非特定通路TBや排出口)とに遊技球が振り分けられる構成としても良い。
(5)上記第2実施形態に係る遊技機では、停電が発生した状況においては各可動突出片S1〜S5が遊技球の流下経路から退出する構成について説明したが、停電が発生した状況において各可動突出片S1〜S5が遊技球の流下経路に突出した状態を維持して停電時球保持機能及び不当進入抑制機能を発揮し、特定通路TAに通じる流下経路を流下していた遊技球を一定の範囲内に保持する構成としても良い。この場合に、最下流に位置する可動突出片S5は、下大入賞装置1433の内部に設けられ、特定通路TAへ確実に進入することとなっていた遊技球を、より確実に特定通路TAに通じる流下経路上に保持することができて好ましい。
また、上記第2実施形態に係る遊技機のS2111の処理は省略し、上進入規制ソレノイド464はオフしなくても良い。一時停止フラグが設定されている期間中は、右側流下経路KRを遊技球が流下していないため、上大入賞口434Aに進入する遊技球は存在せず、一時停止フラグの設定により遊技者が特別遊技状態において獲得可能な遊技球数が増加することはないからである。
また、上記第2実施形態に係るパチンコ機においては、特別遊技状態の一部において、右打ち検出スイッチ603による右側流下経路KRに一定時間の遊技球の流下がない場合に、発射異常状態の検出となって一時停止フラグを設定して特別遊技状態を一時停止する構成について説明したが、それに代えて、又は、それに加えて他の条件に対応して一時停止フラグを設定しても良い。例えば、遊技者が発射操作を実行しているか否かを発射操作装置250の接触センサ254の状態によって検出し、発射操作の実行中であることを条件の少なくとも1つとして一時停止フラグを設定しても良く、この場合には、遊技者による意図的な発射操作の実行を必要条件として発射異常状態を検出し、遊技者が意図的に発射操作を実施していない状況では遊技者の責任として特別遊技状態が進行する遊技性を付加することができる。
また、上記第1及び第3実施形態のいずれかに係るパチンコ機100において、上記第2実施形態に係る可動突出片S1〜S5の少なくともいずれかを右側流下経路KR又は下大入賞装置433,2433の内部に設けても良い。
(6)本発明を上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当りすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当り状態が発生するまで、大当り期待値が高められるようなパチンコ機として実施しても良い。また、大当り図柄が表示された後に、所定の領域に球が入賞することを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。また、球が循環する封入式のパチンコ機に実施しても良い。さらに、パチンコ機以外にも、アレンジボール型パチンコ、雀球等の各種遊技機として実施するようにしても良い。また、パチンコ機に限定されることはなく、スロットマシンに適用しても良く、パチンコ機とスロットマシンとを融合した形式のパロット等の遊技機に適用しても良い。
<上記実施形態から抽出される発明>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
<特徴10>
所定の抽選(例えば、第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選)を行う抽選手段(例えば、当選乱数カウンタ及び大当り初期値乱数カウンタ)と、
複数の図柄(例えば、3つの装飾図柄)を変動表示した後に前記所定の抽選の結果に応じた組み合わせで停止表示する表示手段と、
前記所定の抽選における当選に基づいて、遊技状態を特定遊技状態(例えば、確変遊技状態)に変化させる遊技状態制御手段と、
を含む遊技機であって、
前記表示手段において実行される前記複数の図柄の変動表示の態様であって前記所定の抽選に当選していない場合の態様として、前記複数の図柄の一部が所定の組み合わせで停止される特定表示(例えば、リーチ表示)を経て前記複数の図柄がハズレに応じた組み合わせで停止表示される特定ハズレ態様の変動表示を含み、
前記特定遊技状態における単位遊技ごとに、前記特定ハズレ態様による変動表示の実行を制御する制御パターン(例えば、推移パターン)を、前記特定遊技状態となる前に、複数の制御パターンから選択する選択手段(例えば、大当り図柄乱数カウンタ及び大当り図柄初期値乱数カウンタ)を含み、
前記特定ハズレ態様での変動表示を許容する単位遊技に対応する許容単位遊技(例えば、確定リーチ発生単位遊技及び抽選リーチ発生単位遊技)の許容回が異なる2以上の制御パターン(例えば、推移パターン)を含み、当該許容単位遊技の許容回数が所定数(例えば、2回)以下となるように前記複数の制御パターン(例えば、120種類の推移パターン)を規定し、当該許容単位遊技の許容回と異なる単位遊技において前記特定ハズレ態様での変動表示を禁止するように制御することを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、大当り抽選において大当りに当選した場合に、特別遊技状態を経て、所定の回数の単位遊技に亘って通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態となる構成が知られている。このような遊技機では、特定遊技状態において、大当りに当選しなかった単位遊技では、単位遊技ごとに行われる変動態様の抽選によって図柄の変動態様が決定され、リーチ表示を経てハズレ図柄が表示される態様又はリーチ表示を経ずにハズレ図柄が表示される態様で大当り抽選の結果が報知される。なお、大当りに当選した単位遊技において、リーチ表示を経て大当り図柄が表示される態様で抽選結果が報知される。
しかしながら、上記の従来の遊技機では、特定遊技状態における各単位遊技において、大当りに当選しなかった場合に一定の確率でリーチ表示を伴う態様が抽選により選択される。したがって、特定遊技状態中にリーチ表示が繰り返し発生するのに当選とならない状況等において遊技者が不満感を抱く可能性があり、特定遊技状態の遊技性に対して改良の余地があった。
これに対して、特徴10に記載の遊技機であれば、特定遊技状態の遊技性を向上させることができる。
すなわち、各制御パターンにおいて、特定ハズレ態様での変動表示を許容する許容回数が所定数以下に制限されているために、特定遊技状態において許容回数を超える回数の特定表示が発生すれば、所定の抽選における当選が確定する。したがって、特定遊技状態において所定の抽選に当選することなく遊技が進行したとしても、特定表示が実行された回数が許容回数に向けて増加するために、遊技が進行するにつれて所定の抽選における当選の期待感を増幅させることができる。これによって、特定遊技状態における遊技性を更に向上させることができる。
また、所定の抽選に当選していない場合に特定表示が繰り返し発生することがないために、特定表示が繰り返し発生するのに当選とならないことによって遊技者が不満感を抱くことを抑制できる。また、単位遊技ごとに特定表示の発生抽選が行われている場合と同様に、特定遊技状態中において特定表示が発生する単位遊技をばらつかせることができる。
<特徴11>
特徴10に記載の遊技機において、
前記許容単位遊技として、前記特定ハズレ態様での変動表示を行う確定単位遊技(例えば、確定リーチ発生単位遊技)を含み、
前記複数の制御パターンの各々において、前記特定遊技状態における少なくとも1回の単位遊技が前記確定単位遊技に割り当てられていることを特徴とする遊技機。
特徴11に記載の遊技機であれば、前記特定遊技状態において、所定の抽選における当選を期待できる特定表示が少なくとも一度は実行され、特定ハズレ態様での変動表示を行うか否かを各許容単位遊技で抽選によって決定する場合や、従来の遊技機のように特定ハズレ態様での変動表示を行うか否かを各単位遊技で抽選によって決定する場合のように、所定の抽選における当選を期待できる特定表示が、せっかく特定遊技状態に移行しても全く実行されない事態が発生することを防止できる。
<特徴12>
特徴10又は11に記載の遊技機において、
前記複数の制御パターンの全てにおいて、所定回の単位遊技に前記許容単位遊技は割り当てられていないことを特徴とする遊技機。
特徴12に記載の遊技機であれば、所定の抽選に当選していなければ、所定回の単位遊技において特定表示が実行されることはなくなるために、特定表示が実行されれば、所定の抽選に当選していることが確定するような単位遊技を簡便に設定することができる。また、遊技者が理解し易い法則(例えば、ゾロ目)に従って許容単位遊技を割り当てない単位遊技を設定とすることもでき、特定表示が発生した場合に当選確定の単位遊技であるか否かを理解し易い遊技性を実現できる。
<特徴20>
所定の抽選を行う抽選手段(例えば、大当り図柄乱数カウンタ及び大当り図柄初期値乱数カウンタ)と、前記抽選手段による抽選結果に基づいて表示情報(例えば、停止図柄識別値)を生成する表示情報生成手段(停止図柄生成処理S1404)と、前記表示情報を表示する表示手段(例えば、第1特別図柄や第2特別図柄に係る特別図柄表示装置471,472)と、前記抽選結果に基づいて遊技態様(例えば、確変遊技状態における推移パターン)を決定する遊技態様決定手段とを含む遊技機であって、
前記表示情報生成手段は、前記抽選結果に対応する値(例えば、図柄識別値)に基づいて所定の演算(例えば、0埋め左ビットシフト演算と排他的論理和演算の組み合わせ)により変換値を生成する変換手段と、前記変換手段で生成された変換値が所定の値である場合に、当該変換値を所定の置換値に置換する置換手段とを備えており、
前記表示情報は、前記変換手段により生成された変換値が前記所定の値と異なる場合に、前記置換手段による置換を経ずに生成され、前記変換手段により生成された変換値が前記所定の値である場合に、前記置換手段による置換を経て生成されることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の抽選の結果表示を多様化し、当該結果表示に基づいては、所定の抽選の結果に依存する遊技進行の態様を容易には判別できないようにして、所定の抽選に当選した後の遊技状態における遊技性を向上させる構成が知られている。例えば、特別遊技状態への移行抽選において、複数種類の利益の異なる大当りのいずれに当選したかを容易には判別できないようにし、かつ、大当りに付随する特別遊技状態中に利益の低い大当りから利益の高い大当りへの昇格演出を行って遊技性を向上させる構成が挙げられる。
上記の従来の遊技機では、所定の抽選に用いられる乱数と結果表示の態様との対応を表すテーブルを参照することによって、乱数に応じて結果表示の態様が決定されている。しかしながら、テーブルに基づいて結果表示の態様を決定する場合には、結果表示の態様を増加させるにつれてテーブルを形成するためのデータ容量も増加することとなり、所定の抽選結果の表示態様の多様化に関して改良の余地があった。
これに対して、特徴20に記載の遊技機であれば、所定の抽選結果の表示態様を好適に多様化して、所定の抽選に当選した後の遊技における遊技性を向上させることができる。
すなわち、表示手段において、遊技態様との関連性が高い抽選結果そのものではなく、抽選結果に基づく所定の演算により生成されてその関連性が希薄になった表示情報(変換値又は置換値)に基づいて、抽選結果が表示される。したがって、遊技者によっては、表示手段における表示からは抽選結果に基づく遊技態様を推察することが困難となる。これによって、抽選結果に基づいて設定される遊技状態における遊技性が向上する。また、表示情報の生成において、一部を除き、表示情報が抽選結果に基づく所定の演算によって生成されるために、抽選結果と表示情報との対応を表すテーブルに基づいて表示情報を決定する場合に比べて、プログラム容量やデータ容量を大幅に増加させることなく多様な表示情報を簡便に生成できる。また、変換値が表示情報として採用したくない値又は他の用途に利用したい値である場合にそれらの値を好適に排除できる。
<特徴21>
特徴20に記載の遊技機において、
前記変換手段における前記所定の演算は、前記抽選結果に対応する値から当該値における所定のビット範囲の配列と同一であるビット配列を特定のビット範囲に含む値を生成する基本論理演算と、当該演算により生成された値と前記抽選結果に対応する値との基本論理演算とを組合せた演算であることを特徴とする遊技機。
特徴21に記載の構成であれば、変換手段における演算が基本論理演算のみで構成されているために、一般的な四則演算等の基本論理演算とは異なる演算を含む場合に比べて、変換手段における演算を高速に行える。また、変換手段における演算が所定のビット範囲におけるビット配列を入れ替えたりする演算を含まないために、所定のビット範囲におけるビット配列を入れ替えたりする演算を行う場合に比べて、高速に行える。これによって、所定の間隔で実行されるタイマ割込み処理の1回の割込みにおいて変換手段における演算を完遂できるために、次回の割込みが遅延することを抑制できると共に、複数回の割込みで分散して実行する場合に比べてプログラムを簡素化できることとなり、遊技進行を円滑に制御できる。
<特徴22>
特徴20又は21に記載の遊技機において、
前記所定の値は、前記表示情報を構成する複数ビットで表される最小値を含み、前記最小値から連続する所定の最小値側の範囲の値と、前記複数ビットで表される最大値を含み、前記最大値まで連続する所定の最大値側の範囲の値とを含み、
前記表示手段は、前記複数ビットの各ビットに対応し、前記各ビットの値に応じて表示態様が決定される表示体を含んでおり、前記表示体の全てが同一の表示態様となる表示形態を含む所定の表示形態とは異なる表示形態によって、前記抽選結果を表示する。
特徴22に記載の遊技機であれば、変換値が表示情報として採用したくない値又は他の用途に利用したい値である場合にそれらの値を簡便に排除できる。
<特徴23>
特徴22に記載の遊技機において、
前記表示情報は、基本演算ビット数と同数又は倍数のビットで構成され、
前記置換手段は、前記変換手段により生成された変換値に所定の補正値を加算又は減算して、所定の最小値側の範囲の値と所定の最大値側の範囲の値とを連続する値に変換し、当該連続する値に基づいて、前記変換手段により生成された変換値を前記所定の置換値に置換するか否かを判定することを特徴とする遊技機。
特徴23に記載の遊技機であれば、表示情報として採用したくない値又は他の用途に利用したい値が最小値を含む最小値側範囲と最大値を含む最大値側範囲とに分散されていても、所定値の加減算によって、それらの範囲を1つの連続する範囲に統合することができる。したがって、変換値を所定の置換値に置換するか否かを一括して判定することができ、制御処理が簡素化される。
<特徴24>
特徴22又は23に記載の遊技機において、
前記置換手段は、前記変換手段により生成された変換値と前記所定の最大値側の範囲に含まれる値の個数に対応する値とを前記複数ビットの加算演算に基づいて加算して判定値を生成し、当該判定値が前記所定の最小値側の範囲に含まれる値の個数と前記所定の最大値側の範囲に含まれる値の個数との加算値未満である場合に、当該判定値を当該判定値に応じた置換値に置換し、当該置換値を前記表示情報として設定することを特徴とする遊技機。
特徴24に記載の遊技機であれば、最小値を含む最小値側範囲と最大値を含む最大値側範囲とを、最小値を含む連続する範囲に統合することができる。
<特徴25>
特徴22又は23に記載の遊技機において、
前記置換手段は、前記変換手段により生成された変換値に前記所定の最小値側の範囲に含まれる値の個数に対応する値を減算して判定値を生成し、当該判定値が前記最大値から前記所定の最小値側の範囲に含まれる値の個数と前記所定の最大値側の範囲に含まれる値の個数との加算値を減じた値を超える値である場合に、当該判定値を当該判定値に応じた置換値に置換し、当該置換値を前記表示情報として設定することを特徴とする遊技機。
特徴25に記載の遊技機であれば、最小値を含む最小値側範囲と最大値を含む最大値側範囲とを、最大値を含む連続する範囲に統合することができる。
<特徴30>
所定の始動条件が成立した場合に所定の特定遊技開始条件が成立したか否かを判定する判定手段(主制御基板920の当選判定処理S1403)と、
該判定手段の判定結果に対応した情報を表示する判定情報表示手段(特別図柄表示装置471,472)と、
前記判定手段によって前記特定遊技開始条件が成立したと判定された場合に、複数回の始動条件の成立に基づいて実行される複数回の単位遊技の組合せによって通常の遊技状態に比べて遊技者に有利な特定遊技状態(確変遊技状態)を発生させる特定遊技状態制御手段(主制御基板920の確変遊技状態を制御する各処理)とを備えた遊技機であって、
前記特定遊技状態制御手段は、遊技者に付与される特典の内容及び付与時期のうち少なくとも一方が異なる複数種の特定遊技状態を発生させるものであり、
前記判定手段は、複数種の特定遊技状態に対応して設定された特定遊技開始条件が成立したか否かを判定し、
前記判定情報表示手段は、前記特定遊技開始条件が成立した始動条件に基づく単位遊技において前記特定遊技状態制御手段によって制御が開始される特定遊技状態に対応した情報を表示し、
前記特定遊技状態が開始される前に、複数種の特定遊技状態のいずれを開始させるかが選択され、実行される特定遊技状態に対応する情報が前記判定情報表示手段によって表示されることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、通常遊技として始動口へ遊技球が入球し、その入球に基づく抽選によって大当りに当選した場合に特別遊技状態となり、特別遊技状態において遊技球が入賞口へ多数入賞可能となる構成が知られている。また、この種の遊技機においては、特別遊技状態となった後に、大当りの当選確率が通常遊技状態より高い確変遊技状態や、始動口へ遊技球が通常遊技状態より入球し易い遊技状態等が付加され、遊技を多様にするものも知られている(例えば、特開2005−074175号公報参照)。
しかしながら、上記の従来の遊技機においては、始動口への遊技球の入球によって行われる抽選結果によって有利な遊技状態へ遷移するか否かが定まるので、有利な遊技状態へ遷移することとなる1回毎の抽選結果を重視する等の画一的な遊技となり易いという課題があった。また、有利な遊技状態を新たに設けた場合には、その有利な遊技状態を狙った不正が行われる可能性があるという課題があった。
特徴30に記載の遊技機によれば、特定遊技状態として複数回の始動条件の成立によって構成される連続遊技を、特典の内容又は付与時期が少なくとも異なる複数種のパターンによって実行可能とし、さらに、その連続遊技の内容に対応した情報を遊技者や遊技場の管理者に必要に応じて伝達することができる。よって、複数回の始動条件の成立によって構成される連続遊技によって遊技性を多様にしたり、不正行為を抑制したりすることが可能な遊技機を提供することができる。
<特徴31>
特徴30に記載の遊技機において、
前記特定遊技状態制御手段は、前記始動条件が成立した場合に実行される単位遊技の内容として、変動時間の設定条件(変動時間)と、遊技者に特典を付与するか否かを決定する特典付与条件(小当り確率)と、その特典付与条件が成立した場合の特典の内容(入賞口への進入を許容する時間)とのうち少なくとも一部の条件を異ならせた複数の制御パターンを記憶するパターン記憶手段(主制御基板920のROM)を備え、
前記特定遊技状態が開始されてから終了するまでの単位遊技の実行回数に対応した制御パターンにて前記単位遊技を制御して前記特定遊技状態を発生させることを特徴とする遊技機。
特徴31に記載の遊技機によれば、特定遊技状態が開始される前に予め特典の付与される内容及び時期を設定し、その内容に対応した情報を遊技者に前もって示すことができるので、単に1回の単位遊技の当選によって特典が付与される遊技性と比べて複数回の単位遊技に跨がって特典が付与される新たな遊技性と、その特典の付与を早期の段階で期待させる演出とを組合せ可能な遊技機を提供することができる。また、複数の制御パターンを各単位遊技に適用することにより複数回の単位遊技によって構成される特定遊技状態を制御することができるので、特定遊技状態の実行によって付与される特典を制御し易くすることができる。
<特徴32>
特徴30又は31に記載の遊技機において、
遊技者に付与される特典の付与時期に対応する特典付与時期情報を前記特定遊技状態中に表示する特典付与情報表示手段(保留情報出力設定処理S1707)を備え、
前記特定遊技状態制御手段は、通常の遊技状態に比べて遊技者に特典の付与され易い単位遊技が複数回連続する特典付与遊技状態(確変状態D)を、該特典付与遊技状態に比べて特典の付与され難い単位遊技が複数回連続する遊技状態(確変状態A〜C)の実行後に、実行して前記特定遊技状態を発生させるものであって、前記特定遊技状態が開始されてから前記特典付与遊技状態が開始されるまでの単位遊技の実行回数が異なる複数種の特定遊技状態を発生させるものであり、
前記特典付与情報表示手段は、前記特典付与遊技状態が開始される前であって前記特典付与遊技状態が開始される単位遊技の始動条件が成立した後に前記特典付与時期情報の少なくとも一部(確定後先行演出表示)を表示することを特徴とする遊技機。
特徴32に記載の遊技機によれば、特定遊技状態中においては特典付与遊技状態が開始される前の複数回の単位遊技が実行されるため、その複数回の単位遊技の期間を、特典付与遊技状態を期待して遊技を実行する期間とすることができる。そして、その期間中のうち特典付与遊技状態が開始される単位遊技の始動条件の成立した後に、特典付与情報表示手段によって特典付与時期情報が表示される。よって、特典付与時期情報が表示された後の遊技の進行状況によって特典の付与が無効化される事態を回避したり、始動条件の成立が困難な設定となっていることにより特典の付与までに相当な時間と遊技球の消費とを遊技者に強いるといった不都合が生じない好適なタイミングで特典付与時期情報を表示することができる。
<特徴33>
特徴30から32のいずれかに記載の遊技機において、
前記特定遊技状態制御手段は、前記特定遊技状態中に予め定めた特典付与条件が成立した場合には、予め定めた回数の単位遊技が実行される前に実行中の特定遊技状態から他の遊技状態へ移行させることを特徴とする遊技機。
特徴33に記載の遊技機によれば、特定遊技状態が必ずしも予め定めた回数の単位遊技を待たずに終了する状況が発生し得る。このため、特定遊技状態に対応した情報が情報表示手段によって表示されても、その後の遊技の進行を多様にすることができ、特定遊技状態の内容がその開始前に一義的に選定されてしまって、その後の遊技が単調に感じてしまうという不都合を回避することができる。また、特典付与条件が成立した場合に他の遊技状態へ移行するので、特定遊技状態中に期待された少なくとも一部の特典が遊技者に付与されなくても別の特典を遊技者に付与することができる。よって、単に特定遊技状態の一部を喪失してしまう場合に比べて遊技者の落胆感を少なくすることができる。
<特徴34>
特徴30から33に記載の遊技機において、
遊技球が入球した場合に遊技者に予め定めた特典が付与される入球部(下大入賞装置433)と、
該入球部に遊技球が入球可能な入球容易状態と、該入球可能状態より遊技球が前記入球部に入球困難な状態、又は前記入球部に遊技球が入球不能な状態に対応した入球困難状態とを発生させる入球状態切替手段(下進入規制ソレノイド463)とを備え、
前記特定遊技制御手段は、前記始動条件の成立に基づいて前記特定遊技状態中に予め定めた状態継続入賞条件が成立した場合に前記入球状態切替手段を制御して前記入球容易状態を予め定めた入球可能期間にわたって発生させる入球可能状態発生手段(特別図柄関連処理S1217)と、
前記状態継続入賞条件の成立に対応した情報を表示する前に実行される変動表示の時間を選定する変動時間選定手段(特別図柄変動開始時設定処理S1405)とを備え、
該変動時間選定手段は、前記特定遊技状態において実行される単位遊技の回数に応じて選択される変動時間の長さが異なる複数種類の変動時間の選定条件に基づいて前記単位遊技の変動時間を選定することを特徴とする遊技機。
特徴34に記載の遊技機によれば、変動時間を制御することで特定遊技状態中に入球可能期間が発生する時間の割合を制御することができ、特定遊技状態の制御を簡易にしつつ遊技を多様にすることができる。また、特定遊技状態中において、変動時間が短く、入球可能期間が長い単位遊技を複数回連続発生させる等して変動時間の長さを異ならせる期間を設定するだけで、特定遊技状態中において予め定めたタイミングにて遊技者に効率良く特典を付与することができる。
<特徴40>
所定の始動条件が成立した場合に所定の特定遊技開始条件が成立したか否かを判定する判定手段(主制御基板920の当選判定処理S1403)と、
前記始動条件が成立した場合に変動表示を行い、その変動表示の後に前記判定手段の判定結果に対応した情報を表示する識別情報表示手段(装飾図柄表示装置479)と、
該識別情報表示手段の表示内容を制御する情報表示制御手段(主制御基板920及び副制御基板940)と、
前記判定手段によって前記特定遊技開始条件が成立したと判定された場合に、複数回の始動条件の成立に基づいて実行される複数回の単位遊技の組合せによって通常の遊技状態に比べて遊技者に有利な特定遊技状態(確変遊技状態)を発生させる特定遊技状態制御手段(主制御基板920の確変遊技状態を制御する各処理)とを備えた遊技機であって、
1の始動条件の成立に基づく単位遊技の実行中に成立した他の始動条件の成立に基づく単位遊技の実行を保留可能な保留手段(主制御基板920の単位遊技を保留する機能)を備え、
前記特定遊技状態制御手段は、遊技者に付与される特典の付与時期が異なる複数種の特定遊技状態を発生させるものであり、
前記情報表示制御手段は、前記特定遊技状態制御手段によって制御が開始される特定遊技状態における前記特典の付与時期に対応した情報を当該特典の付与が実行される単位遊技の始動条件が成立する前に表示する第1付与時期表示手段(保留情報出力設定処理S1707のS1908及びS1912の処理)と、
当該特典の付与が実行される単位遊技の始動条件が成立し、前記保留手段によって単位遊技の実行が保留されている期間中に、前記第1付与時期表示手段による表示とは別の態様にて前記特典の付与時期に対応した情報を表示する第2付与時期表示手段(保留情報出力設定処理S1707のS1910の処理)とを備えていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、通常遊技として始動口へ遊技球が入球し、その入球に基づく抽選によって大当りに当選した場合に特別遊技状態となり、特別遊技状態において遊技球が入賞口へ多数入賞可能となる構成が知られている。また、この種の遊技機においては、特別遊技状態となった後に、大当りの当選確率が通常遊技状態より高い確変遊技状態や、始動口へ遊技球が通常遊技状態より入球し易い遊技状態等が付加され、遊技を多様にするものも知られている(例えば、特開2005−074175号公報参照)。
しかしながら、始動口への遊技球の入球によって行われる抽選結果によって有利な遊技状態へ遷移するか否かが定まるので、有利な遊技状態へ遷移することとなるか否かの遊技の始動条件が成立した後でなければ、抽選結果に対応した演出を実行することができず、保留機能を有する場合であっても実行が保留された遊技に対しての演出にしかなり得ないという課題があった。
特徴40に記載の遊技機によれば、特定遊技状態として複数回の始動条件の成立によって構成される連続遊技を、特典の付与時期が異なる複数種のパターンによって実行可能とし、さらに、その特典の付与時期が、特典の付与が実行される単位遊技の始動条件が成立した後には第1付与時期表示手段によって表示され、その始動条件の成立前であっても第2付与時期表示手段によって表示される。よって、特典の付与に対する期待感を、その特典の付与時期における単位遊技に対応する始動条件の成立より前の早い段階から高めることを可能にしたり、特典の付与に対する期待感を段階的に高めていく演出を実行したりするなど、複数回の始動条件の成立によって構成される連続遊技に伴う演出を好適に実行可能な遊技機を提供することができる。
<特徴41>
特徴40に記載の遊技機において、
前記特定遊技状態制御手段は、前記始動条件が成立した場合に実行される単位遊技の内容として、少なくとも変動時間の設定条件を異ならせた複数の制御パターンを記憶するパターン記憶手段(主制御基板920のROM)を備え、
前記特定遊技状態が開始されてから終了するまでの単位遊技の実行回数に対応した制御パターンにて前記単位遊技を制御して前記特定遊技状態を発生させることを特徴とする遊技機。
特徴41に記載の遊技機によれば、複数の制御パターンを各単位遊技に適用することにより複数回の単位遊技によって構成される特定遊技状態における少なくとも変動表示の変動時間を制御することができるので、特典の付与時期に対応した演出と変動時間とを組み合わせ、変動時間の長い変動表示を特典の付与時期に対応させて、特典の付与時期を期待する単位遊技を遊技者に注目し易いものにして特典の付与時期を示唆する演出を好適に実行することができる。
<特徴42>
特徴40又は41に記載の遊技機において、
前記特定遊技状態における単位遊技の実行回数に対応した情報を記憶する単位遊技数記憶部と、
前記保留手段によって単位遊技の実行が保留されている期間中に前記始動条件が成立した場合に当該始動条件の成立した単位遊技の実行時期を前記単位遊技数記憶部に記憶された情報に基づいて導出する実行時期導出手段(保留情報出力設定処理S1707のS1805〜S1807の処理)とを備え、
前記第2付与時期表示手段は、前記実行時期導出手段により導出された単位遊技の実行時期が前記特典の付与時期に対応するか否かに応じて前記特典の付与時期に対応した情報を表示することを特徴とする遊技機。
特徴42に記載の遊技機によれば、特定遊技状態における単位遊技の実行回数に対応した情報に基づいて、始動条件の成立した単位遊技の実行時期を導出する。このため、始動条件の成立した単位遊技の実行時期に相当する単位遊技の実行が予定されている回数と、特定遊技状態において進行中の単位遊技の実行回数とを別々に管理する場合に比べて、単位遊技数記憶部として使用するRAMの記憶領域を少なくし、且つ、両回数の更新の同期が崩れる可能性を低減することができる。
<特徴43>
特徴40から42のいずれかに記載の遊技機において、
前記第2付与時期表示手段は、前記特定遊技状態の実行開始前に前記特典の付与時期に対応した情報を表示する特定遊技前時期表示手段(保留情報出力設定処理S1707のS1908及びS1912の処理)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴43に記載の遊技機によれば、特定遊技状態における連続遊技の内容に対応した情報を遊技者や遊技場の管理者に必要に応じて伝達することができる。よって、連続遊技の遊技性を多様にしたり、不正行為を抑制したりすることが可能な遊技機を提供することができる。
<特徴50>
所定の当選条件が成立した場合に、通常遊技状態よりも遊技価値が付与される入賞条件が成立し易い特別遊技状態が発生する遊技機であって、当該特別遊技状態が複数回のラウンドを組み合わせて構成された遊技機において、
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって、前記複数回のラウンドの少なくとも一部において前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態(誘導姿勢)を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
前記振分機構より上流側に設けられ、遊技球を前記振分機構側へ進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434)と、
前記振分機構と前記切替機構の動作制御を含む制御をして前記特別遊技状態を発生させる動作制御手段(主制御基板920における振分機構601,1601と上大入賞装置434,1434の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が進入した場合には、前記特定領域に遊技球が進入しない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)とを備え、
前記動作制御手段は、前記進入可能状態が発生する所定のラウンド(特定ラウンド)の開始前に前記切替機構によって進行方向が制御された遊技球が所定領域を通過するか、または、既定の時間が経過するかの少なくともいずれかを含む所定のラウンド開始準備条件が成立し、該ラウンド開始準備条件の成立後に、少なくとも2以上の異なる時間に設定された待機時間(「0.5秒」と「3.0秒」のインターバル時間)のいずれかが経過した後に前記振分機構を前記進入可能状態に制御して前記所定のラウンドを開始するものであり、
前記待機時間の異なる特別遊技状態として、第1特別遊技状態(16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態)と、該第1特別遊技状態より前記待機時間の長い第2特別遊技状態(16R大当り(V入賞)の特別遊技状態)とが設けられ、
前記特定領域へ遊技球が進入する確率が前記待機時間の長さに応じて異なることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入するか否かは可変入賞装置への遊技球の進入許容動作に応じた略一定の確率に定められた画一的なものであり、特定領域へ遊技球を進入させる形態について改良の余地がある。
特徴50に記載の遊技機によれば、遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる特定領域へ遊技球を好適に進入させることが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、特定ラウンドの開始前における待機時間の長さを変化させて特定領域へ遊技球が進入する確率を異ならせることができるので、複数種類の特別遊技状態に対する動作制御手段による制御パターンの少なくとも一部は共通化し易くして制御を簡略化しつつ、特定領域への進入確率は容易に異ならせることができる。よって、遊技機のコスト増を抑えつつ遊技状態の移行に影響する特定領域への遊技球の進入確率を多様化することができる。
なお、特徴50に記載の遊技機において、切替機構を経由するとは、切替機構によって遊技球の進行方向が切り替えられる位置を経由するものであれば良く、切替機構として起立した開閉部材の前側を遊技球が流下するなど、切替機構に遊技球が接触しない場合であって切替機構が動作した場合に接触し得る位置を経由する場合を含む。
<特徴51>
特徴50に記載の遊技機において、
前記待機時間の経過後における前記動作制御手段による前記振分機構の動作パターンと動作終了条件とが同一であって、特別遊技状態の種類に対応した前記待機時間の長さに応じて前記ラウンド開始準備条件の成立後に前記進入可能状態が発生するタイミングが相違し、前記切替機構を経由した遊技球が前記ラウンド開始準備条件の成立後に前記振分機構へ到達したタイミングにおいて前記振分機構により前記特定領域へ遊技球が進入する確率が前記待機時間の長さに応じて異なることを特徴とする遊技機。
特徴51に記載の遊技機によれば、特定ラウンドにおける振分機構の動作制御が同一であっても、特定ラウンドの開始前における待機時間の長さを変化させて特定領域へ遊技球が進入する確率を異ならせることができる。よって、複数種類の特別遊技状態に対する動作制御手段による特定領域への遊技球の進入を許容する制御パターンの少なくとも一部を共通化し易くして制御を一層簡略化することができる。従って、遊技機のコスト増を抑えつつ遊技状態の移行に影響する特定領域への遊技球の進入確率を多様化し易くすることができる。
<特徴52>
特徴50又は51に記載の遊技機において、
前記動作制御手段は、前記第1特別遊技状態および前記第2特別遊技状態の制御として、前記待機時間の長さが異なり、前記複数回のラウンドの開始から各ラウンドにおける終了条件が成立するまでの前記振分機構と前記切替機構の動作パターンが前記第1特別遊技状態と前記第2特別遊技状態とにおいて同一の設定とされた特別遊技状態を発生させることを特徴とする遊技機。
特徴52に記載の遊技機によれば、第1特別遊技状態と第2特別遊技状態における複数回のラウンドの開始から各ラウンドの終了条件が成立するまでの動作パターンが同一の設定とされているので、特定領域への進入確率が異なる複数種類の特別遊技状態の制御を一層共通化し易くすることができる。
なお、特徴52に記載の遊技機において、複数回のラウンドの開始は、入賞条件が成立する所定の入賞口へ遊技球が進入可能な進入許容状態へ移行するタイミングとしても良く、所定の入賞口としては、1又は2以上のいずれに設定されても良い。
<特徴53>
特徴52に記載の遊技機において、
所定の抽選を行う抽選手段(例えば、大当り図柄乱数カウンタ及び大当り図柄初期値乱数カウンタ)と、
該抽選手段による抽選結果に対応した表示情報を表示する情報表示手段(例えば、第1特別図柄や第2特別図柄に係る特別図柄表示装置471,472)とを備え、
前記動作制御手段は、前記情報表示手段に前記表示情報として所定の表示情報(停止図柄識別値)が停止表示された場合に、前記第1特別遊技状態と前記第2特別遊技状態とのいずれも発生させる設定とされていることを特徴とする遊技機。
特徴53に記載の遊技機によれば、情報表示手段によって所定の表示情報が停止表示されても、特定領域へ遊技球が進入するか否かの確率が異なる2種類の特別遊技状態が発生する。よって、所定の抽選に対する当選に対応する表示情報のパターンを増大させることなく、遊技状態の移行制御を複雑化して遊技の多様化を図ることができる。また、同一の表示情報が停止表示された場合においての特別遊技状態中の振分機構や切替機構の動作制御は共通化し易くすることができ、同一種類の表示情報に対して遊技者に付与される見た目上の価値は略同一にして遊技者が不満を抱き難くすることができる。
<特徴54>
特徴53に記載の遊技機において、
前記動作制御手段は、前記情報表示手段に前記所定の表示情報が停止表示された場合に、該所定の表示情報が停止表示された遊技の始動条件が成立してから当該遊技が終了するまでの所定のタイミングにおける遊技状態の種類に応じて前記第1特別遊技状態と前記第2遊技状態とのいずれを実行するかが決定されることを特徴とする遊技機。
特徴54に記載の遊技機によれば、所定の識別情報が停止表示された場合に、その変動表示においての所定のタイミングにおける遊技状態に応じて、特別遊技状態の後に移行する遊技状態の移行確率が異なる遊技性を付加することができる。よって、遊技状態の移行パターンを多様化しつつ、表示情報の種類増加や特別遊技状態の制御の複雑化は抑えて遊技機のコスト増を抑えることができる。
なお、特徴54に記載の遊技機において、所定のタイミングとしては、所定の表示情報が停止表示された変動表示に対する始動入賞が発生したタイミングとしても良いし、所定の表示情報が停止表示された変動表示が開始されるタイミングとしても良いし、所定の表示情報が停止表示された変動表示が終了するタイミングとしても良い。
また、遊技状態の種類に応じて第1特別遊技状態と第2特別遊技状態とのいずれを実行するかが決定されるとは、遊技状態の種類に完全に対応して第1特別遊技状態と第2特別遊技状態のいずれを実行するかが決定されても良いし、遊技状態の種類において設定された確率に従って第1特別遊技状態と第2特別遊技状態のいずれを実行するかが決定されても良く、また、第1特別遊技状態と第2特別遊技状態とは別の特別遊技状態を含む遊技状態からいずれを実行するかが決定されるものであっても良い。
<特徴55>
特徴50から54のいずれかに記載の遊技機において、
前記振分機構は、遊技領域の入口から前記特定領域へ通じる流下経路(接続通路KDを経由して特定通路TAの入口へ通じる経路)に設けられ、前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態と、前記特定領域に遊技球が進入しない進入不能状態とを移行可能な下流側振分機構(振分機構601,1601)であり、
前記切替機構は、前記下流側振分機構に対して前記流下経路の上流側であって少なくとも所定の最短流下時間が必要な経路分離間した位置に設けられ、前記流下経路に沿った前記下流側振分機構側に遊技球が流下可能な流下可能状態と流下しない流下不能状態とを移行可能な上流側振分機構(上大入賞装置434,1434の上進入規制機構454,1454)であり、
前記動作制御手段として、
所定の条件が成立した場合(特別図柄に係る抽選に当選した場合)に該上流側振分機構を前記流下不能状態とする流下不能期間と、該流下不能期間の後に前記上流側振分機構を前記流下可能状態とする流下可能期間とを発生させる上流側制御手段(上進入規制機構454,1454の制御部)と、
前記所定の条件が成立した場合に前記流下可能期間の開始から前記最短流下時間が経過した後の進入可能最短時期より後に予め設定された進入可能期間を少なくとも含む期間において前記下流側振分機構を前記進入可能状態に制御し、前記特定領域へ遊技球を進入可能とする下流側進入可能制御手段(主制御基板920による振分機構601,1601の制御部)と、
前記所定の条件が成立した場合に前記進入可能最短時期より早い進入不能期間において前記下流側振分機構の前記進入可能状態を発生させ、前記進入可能最短時期より早いタイミングで前記進入不能状態へ移行して前記特定領域へ遊技球を進入不能とする下流側進入不能制御手段(主制御基板920による振分機構601,1601の制御部)とが設けられていることを特徴とする遊技機。
特徴55に記載の遊技機によれば、所定の条件が成立した場合には、下流側進入可能制御手段の制御によって特定領域へ遊技球が進入する場合でも、下流側進入不能制御手段の制御によって特定領域へ遊技球が進入しない場合でも、上流側振分機構と下流側振分機構とのいずれもが動作するので、所定の条件が成立した場合に特定領域へ遊技球が進行する可能性があることを遊技者の視覚を通じて分かり易く示すことができる。
特に、下流側進入不能制御手段の制御によって特定領域へ遊技球が進入しない場合でも下流側振分機構によって進入可能状態が発生させられる。このため、上流側振分機構から進入可能状態とされている下流側振分機構へ向かうように遊技球が流下することとなり、遊技者に遊技球の挙動を注目する機会を発生させることができる。よって、その後の遊技球の進入先に対応した抽選の結果を遊技者に分かり易く示すことができ、遊技球の流下を利用して有利な遊技状態の発生を遊技者に好適に報知可能な遊技機を提供することができる。
<特徴56>
特徴55に記載の遊技機において、
前記所定の条件が成立可能な遊技状態として、前記有利な遊技状態を含む複数の遊技状態が設けられ、
該複数の遊技状態として、前記所定の条件が成立した場合における前記下流側進入可能制御手段と前記下流側進入不能制御手段との実行比率が異なり、前記有利な遊技状態が発生する確率が異なる遊技状態(通常遊技状態と、確変遊技状態及び時短遊技状態)を含むことを特徴とする遊技機。
特徴56に記載の遊技機によれば、有利な遊技状態が発生する確率が、所定の条件が成立した遊技状態に応じて異なるので、実行中の遊技状態に応じた期待感を抱いて有利な遊技状態の発生を期待することができる。よって、有利な遊技状態の発生に対しての期待感に抑揚を抱かせることが可能な遊技機を提供することができる。
なお、特徴55に記載の遊技機において、複数の遊技状態は、所定の条件の成立確率、及び、所定の始動領域への遊技球の進入し易さ、のいずれか又はそれらの組合せが異なる複数種類の遊技状態を有するものとしても良い。
また、特徴56に記載の遊技機において、遊技球が進入した場合に変動表示が実行されて所定の条件が成立したか否かが結果表示される表示情報(第1特別図柄及び第2特別図柄)が複数種類設定され、各表示情報に対応して始動領域が複数設定されている場合には、複数の遊技状態において遊技球が進入した始動領域に応じて、所定の条件が成立した場合における下流側進入可能制御手段と前記下流側進入不能制御手段との実行割合が異なり、特定領域へ遊技球が進入して有利な遊技状態が発生する確率が異なるものとしても良い。
<特徴57>
特徴56に記載の遊技機において、
前記上流側振分機構により進入可否が制御され、該上流側振分機構が前記流下不能状態とされた場合に遊技球が進入可能な上側の入賞口(上大入賞口434A,1434A)と、
前記下流側振分機構により進入可否が制御され、該下流側振分機構が前記進入可能状態とされた場合に遊技球が進入可能な下側の入賞口(下大入賞口433A,1433A)とを備え、
前記特定領域は、前記下側の入賞口を通じて進入可能に構成され、
前記上流側振分機構は、通常遊技状態において下流側振分機構側に遊技球が流下可能な流下可能状態とされ、前記特別遊技状態の一部期間において前記流下不能状態を発生させて上側の入賞口へ遊技球を進入させるものであり、
前記動作制御手段は、前記所定の条件として複数種類設定された条件の種別に応じて上流側振分機構と下流側振分機構との動作を制御し、前記特定領域への遊技球の進入可否を制御することを特徴とする遊技機。
特徴57に記載の遊技機によれば、上流側振分機構が流下不能状態を発生させている状況において上側の入賞口へ遊技球が進入するので、特定領域が下流側に位置する流下経路に対しての発射操作を、上側の入賞口への入賞を発生させる状況によって調整させることができる。そして、上側の入賞口への入賞が発生する発射操作をそのまま継続するだけで、下側の入賞口を通じて特定領域へ遊技球を進入させることができる。よって、遊技者が発射操作を誤って有利な遊技状態の発生を無効にしてしまう可能性を低減することができる。
<特徴60>
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
該振分機構の動作を制御する動作制御手段(主制御基板920による振分機構601,1601の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が進入した場合には、前記特定領域に遊技球が進入しない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)と、
前記振分機構より上流側に設けられ、停電が発生した場合に前記特定領域に通じる流下経路を流下していた遊技球を所定の範囲内に保持する停電時球保持手段(球搬送装置602、可動突出片S1〜S5)とを備えていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、停電等により不測に発生した遊技機の内部への電力供給の停止から復帰した場合に、バックアップ機能によって遊技機をその電力供給の停止の発生時の状態と概ね同一の状態から制御を復帰させたとしても、遊技者が不利益を被る可能性があった。
特徴60に記載の遊技機によれば、遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる特定領域への遊技球の進入に関して遊技者が不利益を被る可能性を低減することが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、特定領域を通過するはずだった遊技球が特定領域に通じる流下経路を流下している状況で停電が発生した場合に、その遊技球を停電時球保持手段によって所定の範囲内に保持することができる。よって、遊技機の復電後において、特定領域に向けての遊技球の流下を再開させて特定領域へ遊技球が進入し易くすることができ、不測の事態により正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴61>
特徴60に記載の遊技機において、
前記停電時球保持手段は、前記流下経路に沿った複数の箇所において遊技球を保持することを特徴とする遊技機。
特徴61に記載の遊技機によれば、特定領域へ通じる流下経路に沿った上流側と下流側とに分けて、遊技球を保持することができるので、下流側には特定領域へ向かって流下していた遊技球を保持し、上流側には、本来特定領域へ進入するタイミングから遅れて流下する遊技球の下流側への流下を阻止することができる。よって、停電前に決まっていた遊技状態の移行制御に対応した特定領域へ遊技球が流下するか否かの状況を遊技領域内において保存し、復電後に遊技球の流下を復元し易くすることができる。
<特徴62>
特徴60又は61に記載の遊技機において、
前記振分機構より上流側に設けられ、遊技球を前記特定領域側へ進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434、下大入賞装置433,1433)を備え、
前記停電時球保持手段は、前記切替機構より下流側であって前記振分機構より上流側に遊技球を保持することを特徴とする遊技機。
特徴62に記載の遊技機によれば、切替機構によって振分機構側へ流下した遊技球に限定して効率良く特定領域へ向かう遊技球を停電中に保持することができ、停電前に決まっていた遊技状態の移行制御に対応した遊技球の流下を停電後に効率良く復元することができる。
<特徴70>
所定の当選条件が成立した場合に、通常遊技状態よりも遊技価値が付与される入賞条件が成立し易い特別遊技状態が発生する遊技機であって、当該特別遊技状態が複数回のラウンドを組み合わせて構成された遊技機において、
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって、前記複数回のラウンドの少なくとも一部において前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
前記振分機構の上流側または下流側に設けられ、前記入賞条件を成立させる入賞領域へ遊技球を進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434、下大入賞装置433,1433)と、
前記切替機構と前記振分機構の動作を制御して前記特別遊技状態を発生させる動作制御手段(主制御基板920における上大入賞装置434,1434及び振分機構601,1601の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が案内された場合には、前記特定領域に遊技球が案内されない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)とを備え、
前記進入可能状態を発生させる所定のラウンドより前に1又は複数のラウンドを含む特別遊技状態が設けられ、
前記所定のラウンドが開始される場合に当該所定のラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって当該振分機構に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御を行う発射継続制御手段(主制御基板920による第4ラウンド以前と比べて進入許容個数の異なる第5ラウンドの制御部)を備えていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入するか否かは可変入賞装置への遊技球の進入許容動作に応じた略一定の確率に定められた画一的なものであり、特定領域への遊技球を進入させる形態について改良の余地がある。
また、特定領域に遊技球が進入し易い遊技者にとって有利な状況が発生したとしても、遊技者が発射操作を行っていなければ、かかる有利な状況を無駄に消費してしまう可能性があり、一部の遊技者が不利益を被る可能性が考えられる。すなわち、特定領域へ遊技球を進入させるために遊技者に発射操作を好適に行わせることが可能な遊技機とすることが好ましく、未だ改良の余地がある。
特徴70に記載の遊技機によれば、複数回のラウンドの少なくとも一部において特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態を発生させる所定のラウンドが開始される場合に、所定のラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構に遊技球が到達するタイミングの前から当該タイミングの後に跨がって振分機構に到達可能に遊技球の発射を継続させるための制御が発射継続制御手段によって行われる。このため、特別遊技状態中で遊技球の発射を継続することが必要なタイミングにおいて意図的に遊技者が遊技球の発射を停止し、所定のラウンドにおいて進入可能状態とされる振分機構に遊技球が到達しなくなって遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴71>
特徴70に記載の遊技機において、
前記発射継続制御手段は、前記所定のラウンドに対して2回以上前に実行される1又は複数のラウンドに対し、前記所定のラウンドの直前に実行されるラウンドの入賞条件の成立する許容回数が異なる特別遊技状態を発生させる制御を行うことを特徴とする遊技機。
特徴71に記載の遊技機によれば、所定のラウンドに対して直前に実行されるラウンドは、それ以前のラウンドに対して入賞条件の成立する許容回数が異なるため、遊技者が、入賞条件の成立する回数より多くの遊技球を発射しないように発射球数を計数しながら遊技を行ったとしても、直前のラウンドの終了より後に跨がって余分に遊技球が発射され易くなる。よって、所定のラウンドの開始直後において遊技球が遊技領域を流下するように遊技者が遊技球の発射を継続し易くなるので、所定のラウンド開始直後において遊技球が振分機構に到達可能な状況を発生させ易くすることができ、遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
なお、特徴71に記載の遊技機において、入賞条件の成立する許容回数が少ないラウンドは、所定のラウンドに対して2回以上前に実行される1又は複数のラウンドと比較して、入賞条件の成立する入賞口の進入許容個数を少なく構成しても良いし、最大進入許容時間を短く構成しても良い。
<特徴72>
特徴70又は71に記載の遊技機において、
前記動作制御手段は、複数回のラウンドの間において所定のインターバル時間が経過した後に後続のラウンドの制御を行うものであり、
前記発射継続制御手段は、前記所定のラウンドに対して直前に実行される直前のラウンドの実行前におけるインターバル時間より、当該直前のラウンドより前に実行される1又は複数回のラウンドの実行前におけるインターバル時間の方が長い特別遊技状態を発生させる制御を行うことを特徴とする遊技機。
特徴72に記載の遊技機によれば、直前のラウンドの実行前におけるインターバル時間より、直前のラウンドより前に実行される1又は複数回のラウンドの実行前におけるインターバル時間の方が長い特別遊技状態が発生する。遊技者は、インターバル時間が長いと感じると無駄な遊技球の発射を抑制しようと遊技球の発射を停止し易く、インターバル時間が短ければ、その発射停止をしないで遊技球の発射を継続し易い。このため、直前のラウンドの実行前においてインターバル時間が短ければ、その後の所定のラウンドにおいても遊技球を効率良く入賞させようとして遊技球の発射を継続しやすくなる。よって、所定のラウンド開始直後において遊技球が振分機構に到達可能な状況を発生させ易くして、遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴73>
特徴70から72のいずれかに記載の遊技機において、
遊技者による所定の発射操作によって遊技球を遊技領域へ一定の発射時間間隔に従って発射する発射手段(発射装置330)を備え、
前記発射継続制御手段は、前記所定のラウンドに対して直前に実行される直前のラウンドの実行前を含む1又は複数回のラウンドの実行前におけるインターバル時間を、前記発射時間間隔以下の所定時間とした特別遊技状態を発生させる制御を行うことを特徴とする遊技機。
特徴73に記載の遊技機によれば、インターバル時間が遊技球の発射時間間隔以下の所定時間とされるので、そのインターバル時間において遊技球の発射を継続し続けたとしても、断続した場合と比較して入賞条件が成立しない無駄な遊技球が発生し難い。このため、少なくとも所定のラウンドの直前のラウンドの実行前において、遊技球の発射を継続し続けても無駄な遊技球の発射が抑制された特別遊技状態である可能性を遊技者に事前に示唆することができる。よって、その直前のラウンドの終了から所定のラウンドの開始に跨がって遊技球の発射が継続され易く、遊技球が振分機構に到達可能な状況を発生させ易くして、遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴80>
所定の当選条件が成立した場合に、通常遊技状態よりも遊技価値が付与される入賞条件が成立し易い特別遊技状態が発生する遊技機であって、当該特別遊技状態が複数回のラウンドを組み合わせて構成された遊技機において、
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって、前記複数回のラウンドの少なくとも一部において前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態(誘導姿勢)を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
前記振分機構より上流側に設けられ、遊技球を前記振分機構側へ進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434)と、
前記振分機構と前記切替機構の動作制御を含む制御をして前記特別遊技状態を発生させる動作制御手段(主制御基板920における振分機構601,1601と上大入賞装置434,1434の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が進入した場合には、前記特定領域に遊技球が進入しない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)と、
所定の発射異常状態であるか否かを検出する発射異常検出手段(右打ち検出スイッチ603)と、
該発射異常検出手段によって前記所定の発射異常状態が検出された場合に所定の異常対応制御を行う異常対応制御手段(主制御基板920のタイマ更新処理S1210と、上大入賞許容中処理S1309と、上大入賞禁止中処理S1310)とを備え、
前記特別遊技状態として、第1特別遊技状態(16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態)と、該第1特別遊技状態と比べて前記特定領域に遊技球が進入する確率が高い第2特別遊技状態(16R大当り(V入賞)の特別遊技状態)とが設けられ、
前記異常対応制御手段は、前記第2特別遊技状態の少なくとも一部において前記発射異常検出手段によって前記所定の発射異常状態が検出された場合に、遊技の少なくとも一部の進行を停止し、当該発射異常状態が解除された場合に、前記進行を停止した遊技を進行する制御を行うことを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、特定領域に遊技球が進入可能な状態が発生しても、そのタイミングにおいて遊技球の発射が正常に行われなければ折角の機会が無効になってしまい、遊技者が不利益を被る可能性があった。
特徴80に記載の遊技機によれば、遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる特定領域への遊技球の進入に関して遊技者が不利益を被る可能性を低減することが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、第2特別遊技状態が発生した場合に遊技球が正常に発射されていない発射異常状態となった場合には、少なくとも一部の遊技の進行が停止される。このため、特定領域へ遊技球が進入可能な状況において遊技球が発射されない事態を回避し易くして、正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴81>
特徴80に記載の遊技機において、
前記発射異常検出手段は、前記遊技領域の一部であって前記振分機構より上流側に設けられ、前記振分機構側に流下する遊技球の通過を検出可能な球検出手段を備え、
前記異常対応制御手段は、該球検出手段による遊技球の検出結果に応じて遊技の少なくとも一部の進行を制御することを特徴とする遊技機。
特徴81に記載の遊技機によれば、振分機構側に遊技球が流下していない状況を適切に検出し、所定の発射異常状態が発生した場合には、その状態に対応した制御を適切に実行することができる。
<特徴82>
特徴80又は81に記載の遊技機において、
前記特別遊技状態の進行に対応した時間情報を更新する時間情報更新手段を備え、
前記異常対応制御手段は、前記動作制御手段によって前記入賞条件が成立し易い入賞容易制御が実行されている状況において前記所定の発射異常状態が検出された場合には、前記入賞容易制御を停止すると共に前記時間情報更新手段による前記時間情報の更新を停止して、遊技の少なくとも一部の進行を停止することを特徴とする遊技機。
特徴82に記載の遊技機によれば、遊技者にとって有利な状態の発生を一時停止することで、他の遊技者に比べて入賞条件が成立し易い有利な状態が長く発生しているとの誤解を生じさせることなく、正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被る事態を回避し易くすることができる。
<特徴90>
所定の当選条件が成立した場合に、通常遊技状態よりも遊技価値が付与される入賞条件が成立し易い特別遊技状態が発生する遊技機であって、当該特別遊技状態が複数回のラウンドを組み合わせて構成された遊技機において、
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって、前記複数回のラウンドの少なくとも一部において前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態(誘導姿勢)を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
前記振分機構より上流側に設けられ、遊技球を前記振分機構側へ進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434)と、
前記振分機構と前記切替機構の動作制御を含む制御をして前記特別遊技状態を発生させる動作制御手段(主制御基板920における振分機構601,1601と上大入賞装置434,1434の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が進入した場合には、前記特定領域に遊技球が進入しない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)と、
所定の停電状態であるか否かを検出する停電検出手段(停電監視処理S9202の一部)と、
該停電検出手段によって前記所定の停電状態が検出された場合に所定の停電対応制御を行う停電制御手段(停電準備フラグがオンの状態における主制御基板920の各処理)とを備え、
前記特別遊技状態として、第1特別遊技状態(16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態)と、該第1特別遊技状態と比べて前記特定領域に遊技球が進入する確率が高い第2特別遊技状態(16R大当り(V入賞)の特別遊技状態)とが設けられ、
前記停電制御手段は、前記停電検出手段によって前記所定の停電状態が検出された場合であって前記進入可能状態を発生させる期間を含む所定の期間において、前記所定の停電対応制御として前記特別遊技状態を進行させる制御を実行することを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、特定領域に遊技球が進入可能な状態が発生しても、そのタイミングにおいて停電が発生してしまうと折角の機会が無効になってしまい、遊技者が不利益を被る可能性があった。また、犯罪者が遊技機に対する電力供給を故意に停止して不当に利益を得ようとする可能性があった。
特徴90に記載の遊技機によれば、遊技者にとって有利な遊技状態を発生させる特定領域への遊技球の進入に関して停電の発生によって生じる不都合を回避し易くすることが可能な遊技機を提供することができる。すなわち、所定の停電状態が発生した状況であっても、進入可能状態を発生させる期間を含む所定の期間においては、特別遊技状態を進行させる制御が実行される。このため、特定領域へ進入するはずだった遊技球が停電の発生によって特定領域へ進入しなくなって正当に遊技を行っていた遊技者が不利益を被ったり、犯罪者が停電状態を故意に発生させて不当に特定領域へ遊技球を進入させることを狙う不正行為を行おうとする事態を回避することができる。
<特徴91>
前記停電制御手段は、前記動作制御手段によって前記進入可能状態を発生させる制御が行われる場合には、前記所定の停電状態が発生しても前記進入可能状態が開始される前から当該進入可能状態が終了するまでの期間にわたって前記特別遊技状態の進行に対応した時間情報を更新する時間情報更新手段(停電準備フラグがオンの状態における主制御基板920の特別図柄関連制御タイマの更新処理)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴91に記載の遊技機によれば、所定の停電状態が発生しても、進入可能状態が終了するまでの期間にわたって時間情報更新手段による時間情報の更新を継続することができるので、特定領域への遊技球の進入に関して停電の発生による影響を抑制することができ、停電の発生によって生じる不都合を好適に回避し易くすることができる。
<特徴92>
前記特別遊技状態の実行に関する抽選結果を含む所定の抽選の結果を表示する表示手段(装飾図柄表示装置479)と、
該表示手段の表示内容を制御する表示制御手段(副制御基板940)とを備え、
前記停電制御手段は、前記所定の停電状態が発生した場合に、前記表示制御手段による前記表示手段の制御を含む所定の制御を、前記動作制御手段による前記振分機構と前記切替機構の動作制御を含む一部の制御より先行して停止することを特徴とする遊技機。
特徴92に記載の遊技機によれば、表示手段の表示制御による電力消費を抑制し、その分を、振分機構と切替機構との制御を含む一部の制御に振り分けることができる。よって、特定領域への遊技球の進入に関する特別遊技状態の遊技の進行を限られた電力を利用して継続し易くすることができる。
<特徴A0>
所定の当選条件が成立した場合に、通常遊技状態よりも遊技価値が付与される入賞条件が成立し易い特別遊技状態が発生する遊技機であって、当該特別遊技状態が複数回のラウンドを組み合わせて構成された遊技機において、
特定領域(特定通路TA)を含む複数の領域に遊技球を振り分け可能であって、前記複数回のラウンドの少なくとも一部において前記特定領域に遊技球が進入可能な進入可能状態(誘導姿勢)を発生可能な振分機構(振分機構601,1601)と、
前記振分機構より上流側に設けられ、遊技球を前記振分機構側へ進行させるか否かを切替可能な切替機構(上大入賞装置434,1434)と、
前記振分機構と前記切替機構の動作制御を含む制御をして前記特別遊技状態を発生させる動作制御手段(主制御基板920における振分機構601,1601と上大入賞装置434,1434の制御部)と、
前記特定領域に遊技球が進入した場合には、前記特定領域に遊技球が進入しない場合より有利な特定遊技状態を発生させる遊技状態制御手段(主制御基板920における遊技状態の制御部)とを備え、
前記特別遊技状態として、第1特別遊技状態(16R大当り(V非入賞)の特別遊技状態)と、該第1特別遊技状態と比べて前記特定領域に遊技球が進入する確率が高い第2特別遊技状態(16R大当り(V入賞)の特別遊技状態)とが設けられ、
前記第1特別遊技状態が発生した場合において前記特定領域への遊技球の進入を抑制する進入抑制手段(球搬送装置602、停電監視処理S9202、下大入賞装置2433)が設けられていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機において、所定の条件の成立によって遊技球の進入を許容する進入許容状態をとる可変入賞装置を備えており、可変入賞装置に進入した遊技球が特定領域に進入した場合に遊技者にとって有利な遊技状態とする遊技機が知られている(例えば、特開2009−028117号公報参照)。
上記の従来の遊技機において、特定領域に遊技球が進入する確率が異なる複数種類の遊技状態(特別遊技状態)を発生させる設定とした場合に、各特別遊技状態において特定領域に遊技球が進入する確率はメーカの設定に従った確率となることが好ましく、この点に関して改良の余地がある。
特徴A0に記載の遊技機によれば、特定領域へ遊技球が進入する確率を低く設定した特別遊技状態において、偶発的に特定領域へ遊技球が進入してしまう事態を回避し易い遊技機を提供することができる。すなわち、特定領域へ遊技球が進入する確率が第2特別遊技状態より低い第1特別遊技状態においては、進入抑制手段によって特定領域への遊技球の進入が抑制されるので、第1特別遊技状態が発生した場合にメーカ側としては遊技者が得られないように設定した利益を不当に得てしまう状況を回避することができる。
<特徴A1>
特徴A0に記載の遊技機において、
前記動作制御手段は、前記第2特別遊技状態の一部として、少なくとも2以上に設定された所定数の遊技球が前記振分機構より前記特定領域が設けられる側へ進行可能な進行可能期間を発生させるものであり、
前記進入抑制手段は、前記進行可能期間において前記振分機構より前記特定領域側へ前記所定数以上の遊技球が進行した場合に前記特定領域へ遊技球を進入させることを特徴とする遊技機。
特徴A1に記載の遊技機によれば、複数に設定された所定数の遊技球が振分機構より特定領域が設けられる側に進行した場合に限って特定領域へ遊技球を進入させることができるので、偶発的に1の遊技球が振分機構より特定領域側に進行してしまった状況においては特定領域へ遊技球を進入しないようにすることができる。
なお、特徴10〜A1に記載の少なくとも1つの特徴を他のいずれか又は複数の特徴に組み合わせて適用しても良い。以下には、上記した各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ機:遊技者が操作する発射操作手段と、その発射操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く通路部と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:始動操作手段の操作に基づき周回体の回転を開始させ、停止操作手段の操作に基づき周回体の回転を停止させ、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。