JP2017063963A - 疲労度計 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な測定により得られた客観的なデータから被測定者の疲労度を定量化するとともに、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したか否かを被測定者が把握可能な疲労度計を提供する。
【解決手段】疲労度計2は、循環器に関する被測定者の生体信号を一定時間連続して検知する検知部14と、心拍に関する指標と疲労度に関する指標との対応関係を記憶する記憶部15と、検知された生体信号から被測定者の心拍数の時系列データを算出する心拍数算出部24と、検知された生体信号から得られる心拍情報に基づき対応関係を参照して被測定者の疲労度を判定する疲労度判定部と、予め定められた類型の異常な変動を時系列データが示しているか否かを判定する異常判定部27と、疲労度判定部および異常判定部による判定結果を出力する出力部とを有する。
【選択図】図16

Description

本発明は、疲労度計に関する。
疲労は、痛みや発熱と並び、体が発する健康の3大アラームの1つと言われている。例えば、日常生活における疲労レベルの把握、朝や休憩時における疲労回復状態の把握、企業の労働効率改善や健康管理での使用、運転や頭脳労働など疲労が重大な結果を招く職種での使用といった用途のために、疲労の度合いを知りたいという要望がある。
疲労は、脳疲労と肉体疲労に大別される。脳疲労は、中枢性疲労(精神的疲労)であり、心電波または脈波の間隔(心拍間隔)の揺らぎと相関があることが知られている。具体的には、脳疲労がないときには心拍間隔に揺らぎがあるが、脳疲労があるときには心拍間隔の揺らぎがなくなることが知られている。また、肉体疲労は、末梢性疲労(筋肉疲労)であり、心拍数または脈拍数の変化と相関があることが知られている。具体的には、肉体疲労がないときには心拍数は比較的低いが、肉体疲労があるときには、筋肉に多くの血液が送り込まれるため、心拍数が上昇することが知られている。
疲労測定に関しては、心電波または脈波の情報から脳疲労(精神的疲労、精神ストレス)を判定するものが多く提案されている。例えば、特許文献1には、脈波波形および/または心電波形をデジタル化し、その離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成し、そのリアプノフ指数を算出する診断装置が記載されている。また、特許文献2には、脈拍計または心電計を用いて得られる被験者の加速度脈波データを最大エントロピー法により解析して、周波数領域の低周波数成分であるLF値と高周波成分であるHF値に分離し、それらの値から得られるLF/HF値に基づき被験者の疲労度を判定するシステムが記載されている。特許文献2のシステムでは、LF/HF値により脳疲労度(精神ストレス)を測定し、被験者の問診データから得られる因子分析値と合わせることで、身体的疲労度を含む総合的疲労度を判定する。
また、特許文献3には、交感神経活動による代償分を考慮し、官能評価値により近い疲労度を求める疲労解析装置が記載されている。この装置は、基準疲労度を求める第1疲労度算出手段と、最大リアプノフ指数を利用して補正疲労度を求める第2疲労度算出手段と、交感神経活動による疲労の代償作用の有無を判定する判定手段とを備え、累積疲労度出力手段が、交感神経活動による疲労の代償がなされていない状態と判定された時間帯では、第1疲労度算出手段により得られた基準疲労度の累積和を求めて出力し、交感神経活動による疲労の代償がなされている状態と判定された時間帯では、第2疲労度算出手段により得られた補正疲労度の累積和を求めて出力する。
また、肉体疲労に関しては、心拍計を使って心拍数を日々測定することで、安静時の自分の平均心拍数を把握しておき、例えば測定時の心拍数がそれよりも5〜10拍程度高くなったら疲労状態と判断することが行われている。あるいは、例えば仰向けになって3〜10分経過してから心拍数を1分間測定し、その後、起立して15秒後に心拍数を1分間測定して、立位時の心拍数と臥位時の心拍数との差の大きさから肉体疲労度を判断する方法も知られている。これは、仰向けは筋肉が最も使われない状態なので心拍数が一番低く、肉体疲労度が高いほど立位時の心拍数が臥位時の心拍数から乖離するという原理に基づく方法である。
特公平06−009546号公報 特許第5491749号公報 特開2009−195384号公報
問診など、被測定者の回答から疲労度を判断する方法では、本人の意図で回答を誤魔化すことができるため、客観性に欠けるという欠点がある。このため、被測定者の回答を用いずに、客観性な測定データから疲労度を定量化することが望ましい。
また、特許文献2のシステムは医療向けの高価なものであり、特許文献3の装置も実現にはPCが必要になる。疲労度を定量的に測定できる一般向け製品はまだ存在しておらず、小型で安価な装置が求められている。
また、脳疲労は静止状態の心拍間隔の揺らぎ度から判定することができるが、ストレス下では心拍間隔の揺らぎが少なくなるため、被測定者に何らかのストレスがあると、脳疲労度を正確に測定することは難しい。例えば、運動時は運動そのものがひとつのストレス要因となるため、運動中はこの心拍揺らぎが発生せず、運動直後の静止状態でもこの影響を受けるため、脳疲労度を正確に測定することは難しい。また、情動変化や急激な動作によっても心拍数は一時的に大きく変動し得るため、そのような変動がある場合も、脳疲労度と肉体疲労度を正確に測定することは難しい。
そこで、本発明の目的は、簡易な測定により得られた客観的なデータから被測定者の疲労度を定量化するとともに、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したか否かを被測定者が把握可能な疲労度計を提供することである。
循環器に関する被測定者の生体信号を一定時間連続して検知する検知部と、心拍に関する指標と疲労度に関する指標との対応関係を記憶する記憶部と、検知された生体信号から被測定者の心拍数の時系列データを算出する心拍数算出部と、検知された生体信号から得られる心拍情報に基づき対応関係を参照して被測定者の疲労度を判定する疲労度判定部と、予め定められた類型の異常な変動を時系列データが示しているか否かを判定する異常判定部と、疲労度判定部および異常判定部による判定結果を出力する出力部とを有することを特徴とする疲労度計が提供される。
異常判定部は、時系列データが示す心拍数が予め定められた程度以上、時系列データの中で上昇したか否かを判定することが好ましい。
疲労度計は、時系列データが示す心拍数が予め定められた程度以上上昇したと異常判定部が判定したときに、心拍数の上昇度合いに応じた回数の深呼吸を被測定者が行うように誘導する深呼吸誘導部をさらに有することが好ましい。
異常判定部は、時系列データが示す心拍数が時間経過とともに単調減少しているか否かを判定することが好ましい。
疲労度計は、時系列データが示す心拍数が時間経過とともに単調減少していると異常判定部が判定したときに、心拍数の減少度合いに応じた長さの時間だけ検知部による生体信号の検知を停止させる停止制御部をさらに有することが好ましい。
記憶部は、被測定者の臥位時の心拍数を記憶し、異常判定部は、時系列データが示す心拍数が臥位時の心拍数を下回ったか否かを判定することが好ましい。
記憶部は、対応関係として、臥位時に対する立位時の心拍数差と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係を記憶し、疲労度判定部は、時系列データが示す心拍数と臥位時の心拍数との差に基づき対応関係を参照して被測定者の肉体疲労度を判定することが好ましい。
記憶部は、対応関係として、心拍間隔の揺らぎ度と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係を記憶し、疲労度判定部は、検知された生体信号から算出される被測定者の心拍間隔の揺らぎ度に基づき対応関係を参照して被測定者の脳疲労度を判定することが好ましい。
上記の疲労度計によれば、簡易な測定により得られた客観的なデータから被測定者の疲労度を定量化するとともに、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したか否かを被測定者に把握させることができる。
疲労度計1の外観を示す模式図である。 疲労度計1の左側面図、右側面図および使用形態を示す図である。 疲労度計1のブロック図である。 検知部14により検知された心電波形40の説明図である。 RR間隔の揺らぎの例を示す図である。 起立動作による心拍数の時間変化を示すグラフである。 ボルグスケールと疲労度計1の疲労度の判定区分との関係を示す図である。 RR間隔の揺らぎ度と脳疲労度との関係を示すグラフである。 臥位時・立位時の心拍数差と肉体疲労度との関係を示すグラフである。 疲労度の表示例を示す図である。 疲労度の他の表示例を示す図である。 疲労度計1の初期設定モードの動作例を示すフローチャートである。 疲労度計1の測定モードの動作例を示すフローチャートである。 運動直後の心拍数変化を示すグラフである。 情動による心拍数変化を示すグラフである。 疲労度計2のブロック図である。 異常判定部27が使用する心拍数のデータを説明するための図である。 停止制御部28による停止時間の推定を説明するためのグラフである。 表示部13に表示される警告メッセージの例を示す図である。 深呼吸誘導部29によるガイダンス時の表示例を示す図である。 疲労度計2の測定モードの動作例を示すフローチャートである。 疲労度計3のブロック図である。 疲労度計4のブロック図である。 他の検知部14A,14Bの概略構成を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、疲労度計について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1は、疲労度計1の外観を示す模式図である。図2(A)〜図2(C)は、それぞれ、疲労度計1の左側面図、右側面図および使用形態を示す図である。図3は、疲労度計1のブロック図である。
疲労度計1は、電極で検知された同じ心電波の情報から被測定者の脳疲労度と肉体疲労度を測定して出力する装置である。疲労度計1は、被測定者の心拍情報(心拍数とその揺らぎ度)から、脳疲労度と肉体疲労度をそれぞれ別の指標で求め、それらの指標の数値を共通の指標に換算して統合することで、総合的な疲労度を判定し、被測定者に報知する。
疲労度計1は、本体ケース10、主電源スイッチ11、操作部12、表示部13、検知部14、記憶部15および制御部16を有する。図1〜図2(C)に示すように、本体ケース10は、正面から見ると矩形であり、人が両手でつかむのに適した大きさおよび厚さを有する。主電源スイッチ11は、一例として、正面から見て上側の本体ケース10の側面に設けられている。疲労度計1は、例えば電池電源や交流電源からの電力で動作する。
操作部12は、測定ボタン12A、設定ボタン12Bおよび選択ボタン12Cで構成され、図示した例では、本体ケース10の正面下側に設けられている。測定ボタン12Aは、疲労度の測定を開始するためのボタンである。設定ボタン12Bは、疲労度の測定に必要な情報を入力するための初期設定モードに移行するためのボタンである。選択ボタン12Cは、例えば初期設定モードにおいて、使用者が入力項目を選択するために使用するボタンであり、+ボタンと−ボタンで構成される。
表示部13は、出力部の一例であり、例えば液晶表示パネル(LCD)で構成される。表示部13は、疲労度の測定結果や、心電波の検知などの進行状況を示すプログレスバー、使用者に操作を促すための各種メッセージなどを表示する。また、本体ケース10における表示部13の上部には、疲労度の区分表示13Aが記載されている。疲労度計1では、一例として、被測定者の疲労度を、「安静」、「正常」、「軽疲労」および「疲労」の4段階で判定する。図示した例では、疲労度が測定されると、表示部13の液晶表示パネル上において、区分表示13Aの中で測定結果に該当する区分の下の位置に、マークが点灯される。なお、区分表示13Aは、図示した例とは異なり、必要なときだけ液晶表示パネル上に表示してもよい。
検知部14は、循環器に関する被測定者の生体信号として心電波を検知するための1組の電極であり、本体ケース10の右側側面に設けられた電極14Rと、本体ケース10の左側側面に設けられた電極14Lとを有する。図2(C)に示すように、被測定者が両手で本体ケース10をつかみ、右手70Rと左手70Lが電極14R,14Lにそれぞれ触れている間に、検知部14は、被測定者の心電波を連続して検知する。
また、検知部14は、電極14R,14Lから入力された信号を検知する検知回路14Cと、検知された生体信号をデジタル信号に変換するA/D変換器14Dと、その生体信号から交流雑音(ハムノイズ)を除去するためのフィルタ14Eとを有する。商用電源の周波数には50Hzと60Hzの2通りがあるため、検知部14は、設定に応じて、フィルタ14Eとして、50Hzの周波数成分を除去するものと60Hzの周波数成分を除去するものを切り替えて使用する。
図4(A)および図4(B)は、検知部14により検知された心電波形40の説明図である。図4(A)の心電波形40における符号Rで示したピークは、血液が左心室から大動脈に送り出されるときに生じるR波に相当する。1つのR波のピーク(R点)から次のR波のピーク(R点)までの時間間隔のことを、「RR間隔(RRI)」という。図4(B)は、連続する2つのR点R,Rn+1と、それらのRR間隔dとを示す。疲労度計1では、心拍間隔としてRR間隔を使用し、その揺らぎ度と、RR間隔から算出される心拍数に基づき、被測定者の疲労度を測定する。
記憶部15は、例えばEEP−ROMなどの不揮発性メモリであり、疲労度計1の動作に必要な情報を記憶する。詳細は後述するが、記憶部15は、心拍に関する指標と疲労度に関する指標との対応関係を記憶する。
制御部16は、CPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコンピュータの制御回路として構成され、疲労度計1の動作を制御する。
ここで、疲労度計1の測定原理を説明する。脳疲労分析には、疲労度計1は、カオスリアプノフ指数法を使用する。カオスリアプノフ指数法とは、RR間隔の時系列データをカオス力学系の軌道ととらえて、その軌道発散をリアプノフ指数で評価する方法である。
図5(A)および図5(B)は、RR間隔の揺らぎの例を示す図である。図5(A)は脳疲労がないとき(正常時)の例を示し、図5(B)は脳疲労があるとき(疲労時)の例を示す。これらの図は、心電波形から時系列データとして抽出された複数のRR間隔のそれぞれについて、着目するRR間隔の大きさをx座標とし、その1つ前のRR間隔の大きさをy座標としてプロットしたものであり、ローレンツプロットと呼ばれる。各図の横軸は現在のRR間隔d、縦軸は1つ前のRR間隔dn−1であり、単位はともにミリ秒である。
図5(A)と図5(B)を比べればわかるように、脳疲労がない場合の図5(A)では、RR間隔は時間経過とともに不規則に変化し、複雑に揺らいでいる。一方、脳疲労がある場合の図5(B)では、各点はほぼ同じ領域内に集中しているため、RR間隔にはほとんど揺らぎがないか、RR間隔は規則性のある揺らぎで推移している。図5(A)と図5(B)のそれぞれの場合について、プロットされた点の集合を力学系の軌道ととらえると、図5(A)の力学系にはカオス性があるが、図5(B)の力学系にはカオス性がない。力学系の軌道発散を示す指標として最大リアプノフ指数があり、最大リアプノフ指数は、カオス力学系である場合には正になるが、カオス力学系でない場合には負になることが知られている。
さらに、最大リアプノフ指数λは、Wolf法(Alan Wolf,“DETERMINING LYAPUNOV EXPONENTS FROM A TIME SERIES”,Physica 16D(1985),pp.285−317,North-Holland, Amsterdam)により、次式で簡易的に算出できることが知られている。
Figure 2017063963
ここで、Mは時系列データの総サンプル時間、dは時系列データの時刻kと時刻k−1のパターン間の距離(ローレンツプロットにおける2次元平面上の距離)である。λ>0であることが観測されれば、周期性のないカオス状態に入っていると言える。そこで、疲労度計1は、RR間隔の時系列データからWolf法に従って最大リアプノフ指数λを算出し、その符号および大きさを調べることによりRR間隔の揺らぎ度を定量化して、脳疲労度を判定する。
また、肉体疲労分析には、疲労度計1は、臥位立位比較方式を使用する。臥位立位比較方式とは、被測定者が仰向けになったときに測定された臥位時心拍数と、被測定者が立ったときに測定された立位時心拍数との差に基づき、肉体疲労度を推定する方法である。
図6は、起立動作による心拍数の時間変化を示すグラフである。図6の横軸は経過時間tを示し、単位は秒である。また、縦軸は心拍数HRを示し、単位はbpm(拍/分)である。図6のグラフは、1人の被測定者について、肉体疲労度がそれぞれ異なる状態のときに心拍数の時間変化を測定して得られた複数の結果を重ねてプロットしたものである。符号41で示す曲線群は、正常時(肉体疲労がないとき)の心拍数であり、符号42で示す曲線群は、疲労時(肉体疲労があるとき)の心拍数である。被測定者は、t=−5のとき仰向けに寝た状態であり、t=0で起き上がり、t>0では起立の状態を継続した。
図6のグラフからわかるように、仰向けの状態(−5≦t<0)では、有熱時などの特別に体調が異なる場合以外には、肉体疲労度による大きな差は見られない。一方、起立直後(0<t<20)に心拍数は上昇し、起立後30秒以上(t>30)経過すると、符号41で示す正常時の心拍数よりも、符号42で示す疲労時の心拍数の方が高くなり、肉体疲労度によって心拍数に差異が見られる。そこで、疲労度計1は、例えば被測定者が仰向けになったときの心拍数を予め記憶部15に記憶しておき、被測定者が起立してから30秒以上経過した後で心拍数を測定して、それらの心拍数差に基づき肉体疲労度を判定する。なお、心拍40拍が30秒程度に相当するので、疲労度計1は、例えばRR間隔を40拍分測定し、その最後のデータを用いることにより、起立から30秒以上経過した時点での心拍数を算出する。
疲労度計1は、脳疲労度と肉体疲労度の両方を、RPEという同じ指標に換算して定量化する。RPE(Rate of Perceived Exertion:自覚運動強度)とは、元々は運動時の疲れ方を5〜20(文献によっては6〜20)段階で表現したものであり、Bolgという人が最初に考案したことから、ボルグスケールとも呼ばれる。主に自律神経系評価に基づく脳疲労と、スポーツ医学に基づく肉体疲労とは、評価尺度が異なりそのままでは比較しにくい。このため、疲労度計1では、上記の方法で得られた脳疲労度と肉体疲労度の数値を、脳疲労度および肉体疲労度とRPE値との間の相関関数に従って、RPEに一元化する。
図7は、ボルグスケールと疲労度計1の疲労度の判定区分との関係を示す図である。疲労度計1は、疲労度の指標をRPEに一元化した上で、その大小に応じて、被測定者の疲労度を4区分で判定する。疲労度計1は、例えば、RPEが7以下のときには、疲労なしであることを意味する「安静」と、8〜11のときには、活動中正常範囲であることを意味する「正常」と、12〜14のときには、やや疲労気味であることを意味する「軽疲労」と、15以上のときには、完全な疲労状態であることを意味する「疲労」と判定する。なお、この区分判定は一例であり、区分の個数は5個以上でも3個以下でもよく、RPEの値と区分との対応関係も適宜定めてよい。
図8は、RR間隔の揺らぎ度と脳疲労度との関係を示すグラフである。図9は、臥位時・立位時の心拍数差と肉体疲労度との関係を示すグラフである。図8の横軸は、図7に示すRPE値であり、縦軸は、RR間隔の時系列データに関する最大リアプノフ指数λの値である。図9の横軸は、図7に示すRPE値であり、縦軸は、立位時心拍数と臥位時心拍数との差ΔHR(bpm)である。各グラフは、5人の被験者について、各自が色々な疲労度のときに、上記の最大リアプノフ指数λと心拍数差ΔHRを測定して、得られたデータをプロットしたものである。心拍情報から最大リアプノフ指数と心拍数差を測定し、そのときのRPEを判定してプロットしたところ、図8および図9に示すように相関があることがわかった。そこで、疲労度計1は、これらのグラフのデータを参照して、最大リアプノフ指数λと心拍数差ΔHRの測定値から、被測定者の脳疲労度の指標であるRPE値と、肉体疲労度の指標であるRPE値とを取得する。
以上の原理に基づき、記憶部15は、心拍間隔の揺らぎ度および臥位時に対する立位時の心拍数差と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係を記憶する。より詳細には、記憶部15は、図8に示したRR間隔の時系列データに関する最大リアプノフ指数λとRPE値との対応関係を示すデータ、および図9に示した臥位時に対する立位時の心拍数差とRPE値との対応関係を示すデータを記憶する。また、記憶部15は、1人または複数の被測定者について、各自の臥位時の心拍数を記憶する。
制御部16は、CPUにより実現される機能ブロックとして、RR間隔抽出部21、揺らぎ度算出部22、脳疲労度取得部23、心拍数算出部24、肉体疲労度取得部25および統合判定部26を有する。以下では、これらの機能ブロックについて説明する。
RR間隔抽出部21は、検知部14により検知された心電波(生体信号)からRR間隔の時系列データを作成する。その際、RR間隔抽出部21は、心電波形のうちで、振幅について予め定められた検出しきい値を超えた各領域について最大値をとる位置を求め、それらの各位置の時間間隔をRR間隔として抽出する。なお、RR間隔抽出部21が使用する心電波(R波)の検出しきい値(感度)は、初期設定モードにおいて使用者が操作部12を介して調整可能であるとよい。
揺らぎ度算出部22は、第1の算出部の一例であり、検知部14により検知された心電波形から被測定者の心拍間隔の揺らぎ度を算出する。その際、揺らぎ度算出部22は、揺らぎ度として、RR間隔抽出部21により抽出されたRR間隔(心拍間隔)の時系列データから、例えばWolf法に従って最大リアプノフ指数λを算出する。
脳疲労度取得部23は、第1の取得部および疲労度判定部の一例であり、揺らぎ度算出部22により算出された最大リアプノフ指数λ(心拍間隔の揺らぎ度)に基づき、記憶部15に記憶されている図8の対応関係を参照して、被測定者の脳疲労度を取得する。例えば、図7の疲労度区分および図8の対応関係から、脳疲労度取得部23は、λ=1.3のときは脳疲労度(RPE)=5であり、その区分は「安静」であると判定する。また、脳疲労度取得部23は、λ=−1.5のときは脳疲労度(RPE)=19であり、その区分は「疲労」であると判定する。脳疲労度取得部23は、λが−0.1より小さければ(図8の矢印を参照)、脳疲労度(RPE)が12以上であり、区分は「軽疲労」または「疲労」であると判定する。
心拍数算出部24は、第2の算出部の一例であり、検知部14により検知された心電波形から被測定者の心拍数の時系列データを算出し、さらに被測定者の臥位時と測定時との心拍数差を算出する。その際、心拍数算出部24は、例えば、起立直後に測定されRR間隔抽出部21により抽出された40拍分のRR間隔のデータを8ブロックに分け、最後または最後から2個のブロックのRR間隔から平均心拍数を求めて、それを被測定者の測定時の心拍数とする。心拍40拍が30秒程度に相当するので、算出されたこの心拍数は、起立から30秒以後の心拍数になる。そして、心拍数算出部24は、記憶部15に記憶されている被測定者の臥位時の心拍数と、上記の通り算出された被測定者の測定時の心拍数とを用いて、心拍数差ΔHRを算出する。
肉体疲労度取得部25は、第2の取得部および疲労度判定部の一例であり、心拍数算出部24により算出された心拍数差ΔHRに基づき、記憶部15に記憶されている図9の対応関係を参照して、脳疲労度と共通の指標で表された被測定者の肉体疲労度を取得する。例えば、図7の疲労度区分および図9の対応関係から、肉体疲労度取得部25は、ΔHR=5のときは肉体疲労度(RPE)=10であり、その区分は「正常」であると判定する。また、肉体疲労度取得部25は、ΔHR=20のときは肉体疲労度(RPE)=14であり、その区分は「軽疲労」であると判定する。肉体疲労度取得部25は、ΔHRが12より大きければ(図9の矢印を参照)、肉体疲労度(RPE)が12以上であり、区分は「軽疲労」または「疲労」であると判定する。
統合判定部26は、判定部の一例であり、脳疲労度取得部23により取得された脳疲労度および肉体疲労度取得部25により取得された肉体疲労度に基づき、被測定者の総合的な疲労度を判定する。一般に、人は脳疲労と肉体疲労のうちで高い方を疲労として感じるため、統合判定部26は、上記の通り取得された脳疲労度と肉体疲労度のRPE値のうちで高い方を総合的な疲労度のRPE値とし、その区分を総合的な疲労度の区分と判定する。例えば、統合判定部26は、脳疲労度が「安静」で肉体疲労度が「軽疲労」であれば、総合的な疲労度は「軽疲労」であると判定し、脳疲労度が「疲労」で肉体疲労度が「正常労」であれば、総合的な疲労度は「疲労」であると判定する。
脳疲労度取得部23、肉体疲労度取得部25および統合判定部26による判定結果は、表示部13に表示される。なお、表示部13に表示される情報は、疲労度(脳疲労度、肉体疲労度および総合的な疲労度)の値と区分のいずれか一方でもよいが、それらの両方を表示すると被測定者にとって分かりやすい。また、疲労度計1による判定(測定)結果の出力方法は、音声メッセージの出力や、疲労度の区分に応じたアラーム鳴動、外部装置へのデータ出力などの他の形態でもよい。
なお、心拍数算出部24は、揺らぎ度算出部22が最大リアプノフ指数λの算出に用いたものと同じ心電波形から、心拍数差ΔHRを算出する。すなわち、疲労度計1では、脳疲労度と肉体疲労度を判定するために心電波形を2回測定する必要はなく、被測定者にとっては1回の測定で、脳疲労度、肉体疲労度およびそれらを統合した総合的な疲労度を把握することができる。
図10は、疲労度の表示例を示す図である。図10では、脳疲労度が「軽疲労」であり、肉体疲労度が「正常」である場合の例を示す。この場合、統合判定部26による判定結果として、脳疲労度より高い肉体疲労度の「軽疲労」が、例えば区分表示13Aとマーク13Bの組合せにより、被測定者の総合的な疲労度として表示される。また、例えば、マーク13Bの下には、脳疲労度を示すRPE値のバーグラフ13Cと、肉体疲労度を示すRPE値のバーグラフ13Dとが表示される。
図11は、疲労度の他の表示例を示す図である。図11でも、脳疲労度が「軽疲労」であり、肉体疲労度が「正常」である場合の例を示す。図11に示すように、総合的な疲労度を表示せず、脳疲労度を示すRPE値のバーグラフ13Eと、肉体疲労度を示すRPE値のバーグラフ13Fとを別々に表示してもよい。この場合、例えば、2秒ごとに脳疲労度のバーグラフ13Eと肉体疲労度のバーグラフ13Fとを交互に表示してもよい。
以下では、疲労度計1の動作フローについて説明する。図12と図13に示す動作フローは、制御部16のROMに予め記録されているプログラムに従って、制御部16のCPUにより実行される。
図12は、疲労度計1の初期設定モードの動作例を示すフローチャートである。初期設定モードは、被測定者の臥位時心拍数を記憶部15に記憶するためのモードである。臥位時心拍数は被測定者が疲労度計1を使用するときに毎回測定すれば正確だが、図12に示す処理は、例えば疲労度計1の使用開始時に最低1回行えばよい。例えば、被測定者(使用者)が設定ボタン12Bを押下すると、図12のフローが開始する。
まず、制御部16は、使用地域(関東/関西)の入力を受け付ける(ステップS11)。また、制御部16は、RR間隔抽出部21が使用する心電波(R波)の検出しきい値の入力を受け付ける(ステップS12)。その際、使用者(被測定者)は、選択ボタン12Cで入力値を選択し、設定ボタン12Bを押下して決定する。ステップS11での設定に応じて、検知部14は、交流雑音(ハムノイズ)を除去するためのフィルタ14Eとして使用する50Hzと60Hzのフィルタを切り替える。
そして、制御部16は、臥位時(安静時)心拍数の入力方法の選択を受け付ける(ステップS13)。この入力方法として、疲労度計1では、使用者は直接入力と仰向け実測のいずれかを選択可能である。そこで、使用者が自分の臥位時心拍数を把握しており直接入力を選択した場合には、制御部16は、臥位時心拍数の直接入力を受け付ける(ステップS14)。
一方、使用者が自分の臥位時心拍数を把握しておらず仰向け実測を選択した場合には、制御部16は、臥位時心拍数を測定する(ステップS15)。その際、使用者が仰向け姿勢になって測定ボタン12Aを押下し、電極14R,14Lを握ると、心拍数が測定される。そして、制御部16は、ステップS14で入力またはステップS15で測定された臥位時心拍数を表示部13に表示させ、記憶部15に記憶させる(ステップS16)。以上で、疲労度計1の初期設定モードの動作は終了する。
図13は、疲労度計1の測定モードの動作例を示すフローチャートである。測定モードは、被測定者の疲労度を測定するためのモードである。起立動作完了後、被測定者が測定ボタン12Aを押下し、電極14R,14Lを握ると、図13のフローが開始する。
心電波が検出されると、まず、RR間隔抽出部21はR波を検出する(ステップS31)。例えばR波が4秒以内に2回検出されると(ステップS31でYes)、RR間隔抽出部21は、RR間隔を連続して40拍分(約30秒間)測定し、そのデータを記憶部15に記憶させる(ステップS32)。特に、カオスリアプノフ指数法では2のべき乗のデータ数が必要であるため、RR間隔抽出部21は、32拍以上のRR間隔を測定する。
続いて、ステップS33〜S35では、脳疲労分析が行われる。その際、揺らぎ度算出部22は、ステップS32で記憶されたRR間隔の時系列データから、Wolf法に従って最大リアプノフ指数λを算出する(ステップS33)。そして、脳疲労度取得部23は、記憶部15に記憶されている図8の対応関係を参照して、ステップS33で算出された最大リアプノフ指数λの値をRPE値に換算する(ステップS34)。さらに、脳疲労度取得部23は、ステップS34で得られたRPE値がいずれの疲労度区分に属するかを判定する(ステップS35)。
また、ステップS36〜S38では、肉体疲労分析が行われる。その際、心拍数算出部24は、ステップS32で記憶されたRR間隔の時系列データのうち例えば最後の10拍分のデータから被測定者の測定時の心拍数を算出し、その値と、予め記憶部15に記憶されている被測定者の臥位時の心拍数との差を算出する(ステップS36)。そして、肉体疲労度取得部25は、記憶部15に記憶されている図9の対応関係を参照して、ステップS36で算出された心拍数差をRPE値に換算する(ステップS37)。さらに、肉体疲労度取得部25は、ステップS37で得られたRPE値がいずれの疲労度区分に属するかを判定する(ステップS38)。
その後、統合判定部26は、ステップS34で得られた脳疲労度のRPE値と、ステップS37で得られた肉体疲労度のRPE値とのうちで高い方を、被測定者の総合的な疲労度のRPE値とし、その区分を総合的な疲労度の区分と判定する(ステップS39)。そして、統合判定部26は、以上で得られた脳疲労度、肉体疲労度および総合的な疲労度のRPE値とそれらの区分とを、判定結果として表示部13に表示させる(ステップS40)。以上で、疲労度計1の測定モードの動作は終了する。
以上説明したように、疲労度計1は、検知部14で検知された同じ心電波の情報から、脳疲労度を反映する指標値と、肉体疲労度を反映する指標値とを算出し、それぞれを共通の指標であるRPE値に変換する。そして、疲労度計1は、脳疲労度と肉体疲労度をRPE値で数値化して、それらを統合した総合的な疲労度を被測定者に報知する。疲労度計1の測定では、問診に依存する部分がないため、被測定者の主観によらない客観的な結果が得られる。また、疲労度計1では、カオスリアプノフ指数法を利用することにより、脳疲労度の測定時間が約30秒と比較的短時間で済むため、肉体疲労度の測定と合わせても、同程度の測定時間で最終的な結果が得られる。特に、Wolf法を利用すればマイコンレベルに実装可能であるため、疲労度計1の測定方法は一般向け製品への応用に適している。
なお、脳疲労分析におけるRR間隔の揺らぎの解析には、カオスリアプノフ指数法以外に、例えばLF/HF法を用いてもよい。LF/HF法は、RR間隔時系列の周波数成分を解析し、LF=0.04〜0.15HzおよびHF=0.15〜0.40Hzの区間におけるスペクトルパワーの合算によりLF/HF値を算出して、その値を評価する方法である。LF/HF法での周波数解析の方式には、例えば、高速フーリエ変換(FFT)法、最大エントロピー法(MEM)およびCD(Complex Demodulation)法の3つがある。
高速フーリエ変換法は、時系列データを三角関数の合成波ととらえて周波数成分に分解する方法である。高速フーリエ変換法では、カオスリアプノフ指数法よりも多くのデータ量が必要であり、測定時間も5分以上が必要であるため、PCでの実装に適している。最大エントロピー法は、自己回帰モデルと自己回帰係数から連立方程式を作成して、確率的にスペクトルを求める方法である。最大エントロピー法は、高速フーリエ変換法より少ないデータと短い測定時間(2〜3分程度)で実行可能であるが、処理が複雑で演算負荷が大きいため、PCでの実装に適している。CD法は、無線のヘテロダイン方式のように時系列に所定の周波数を加算し、発生する変調成分からスペクトルを求める方法である。CD法は、最大エントロピー法はよりさらに短い数秒程度の測定時間で実行可能であるが、最大エントロピー法はよりも演算負荷が大きいため、やはりPCでの実装に適している。
また、脳疲労分析におけるRR間隔の揺らぎの解析には、CVRR方式を用いてもよい。CVRR方式は、RR間隔の揺らぎ度を次式により評価する方法である。
CVRR=(RR間隔の標準偏差/RR間隔の平均値)×100(%)
LF/HF法やCVRR方式を使用する場合でも、カオスリアプノフ指数法の場合と同様に、得られた指標値をRPE値に換算して脳疲労度を定量化することができる。ただし、LF/HF法では、周波数分解が行われるために多くのデータ数が必要であり、測定時間が長くなる。また、CVRR方式は、単純な方法ではあるが、呼吸などによるRR間隔の変動の影響を受けやすいという不具合がある。一方、カオスリアプノフ指数法では、周波数分解が必要ないので、LF/HF法と比べて短時間で測定でき、また、CD法やCVRR方式と比べて妥当性がある結果が得られる。このため、実用上は、脳疲労分析には、カオスリアプノフ指数法を使用することが好ましい。
また、肉体疲労分析では、カルボーネン法に従って、心拍運動強度から次式のように心拍数を求めてもよい。
運動強度=(現在の心拍数−安静時心拍数)/(最大心拍数−安静時心拍数)
最大心拍数=220−年齢
ただし、カルボーネン法の場合には、被測定者が安静時心拍数を把握している必要がある。一方、臥位立位比較方式では、使用者が安静時心拍数を把握していなくても、仰向けになって心拍数を測定すれば実行できるため、製品に応用しやすい。このため、実用上は、肉体疲労分析には、臥位立位比較方式を使用することが好ましい。
ところで、例えば、運動直後に疲労度計1で測定した場合や、情動変化または急激な動作などが疲労度計1の測定中に起こった場合には、心拍間隔の揺らぎや心拍数がそれらの要因によって変化するため、測定値の信頼性が低下するおそれがある。
図14は、運動直後の心拍数変化を示すグラフである。図14の横軸は時間t(秒)であり、縦軸は心拍数HR(bpm)である。図14のグラフは、被験者が0<t<120において運動を継続し、t=120で運動を停止した場合の心拍数変化を示す。曲線43〜46は、心拍数の初期値がそれぞれ異なる4人の被験者についての測定結果である。運動中は心拍数が比較的高い値になるが、運動を停止すると、心拍数は、安静時心拍数に向けて一次遅れで減衰していく。このように、被測定者が測定直前に運動していた場合には、心拍間隔の揺らぎや心拍数が時間変化するため、それによって疲労度の測定結果も影響を受ける。被測定者は、運動後どの程度、時間をおいてから測定すればよいかわからないため、測定誤差が生じているのかどうかを把握することも難しい。
図15は、情動による心拍数変化を示すグラフである。図15の横軸は時間t(秒)であり、縦軸は心拍数HR(bpm)である。図15のグラフは、心拍数の測定中に被験者がt=70付近で急に話しかけられた場合の心拍数変化を示す。図15に示すように、人の心拍数は、測定中に話しかけられることによって急峻に大きく上昇する。例えば、被測定者が測定直前や測定中に驚いたり、測定中に大きく動いたり、立ち上がり中に測定した場合にも同様に、心拍数は急峻に大きく上昇する。したがって、驚きによる情動変化や急激な動きなどがある場合にも、心拍間隔の揺らぎや心拍数が変化するため、疲労度の測定結果が影響を受ける。
また、心拍数は発熱などの体調によっても変化するため、例えば、発熱がある疾患状態で被測定者が臥位時心拍数を測定した場合には、その後、疾患が治った状態で被測定者が疲労度計を使用したときの測定時(立位時)心拍数が、記憶されている臥位時心拍数より低くなることもあり得る。この場合、肉体疲労度の測定の基準となる臥位時心拍数の値が正確でないため、肉体疲労度の測定精度が低下する。
そこで、以下で説明する疲労度計2は、測定中の心拍数の時系列データから、疲労度の測定結果に影響を与え得る心拍変動が測定中に生じたか否かを判定する。疲労度計2は、上記のような心拍変動が生じたと判定した場合には、その旨を被測定者に警告し、被測定者に再測定などを行うように促す。
図16は、疲労度計2のブロック図である。
疲労度計2は、制御部のCPUにより実現される機能ブロックのみが疲労度計1とは異なり、ハードウェアに関しては疲労度計1と同じ構成を有する。このため、以下では、疲労度計2について、疲労度計1とは異なる機能を主に説明し、疲労度計1と重複する部分の説明を省略する。
疲労度計2の制御部17は、CPUにより実現される機能ブロックとして、RR間隔抽出部21、揺らぎ度算出部22、脳疲労度取得部23、心拍数算出部24、肉体疲労度取得部25、統合判定部26、異常判定部27、停止制御部28および深呼吸誘導部29を有する。このうち、異常判定部27、停止制御部28および深呼吸誘導部29以外の機能ブロックは、疲労度計1のものと同じである。したがって、以下では、疲労度計1の制御部16にはない機能ブロックについて説明する。
異常判定部27は、疲労度の判定に影響し得るものとして予め定められた類型の異常な変動を、被測定者の心拍数の時系列データが示しているか否かを判定する。
図17は、異常判定部27が使用する心拍数のデータを説明するための図である。図17の上側には、RR間隔抽出部21により心電波形から抽出された40拍分のRR間隔(RRI)のデータ01〜05,06〜10,11〜15,16〜20,21〜25,26〜30,31〜35,36〜40を示す。図17の下側には、心拍数算出部24によりRR間隔のデータから算出されたブロックごとの平均心拍数(BPM)のデータX01,X06,X11,X16,X21,X26,X31,X36を示す。図17に示すように、40拍分のRR間隔データは、5拍分ずつ8ブロックに分けられ、ブロックごとに平均心拍数が算出される。すなわち、X01は01〜05のデータから算出され、X06は06〜10のデータから算出され、以下同様に、X36は36〜40のデータから算出される。このうち、心拍数算出部24は、破線で示したX31とX36の値を使用して測定時(立位時)の心拍数を算出するが、異常判定部27は、X01からX36までのすべてを平均心拍数の時系列データとして使用する。
まず、異常判定部27は、時系列データX01〜X36が示す平均心拍数が時間経過とともに単調減少しているか否かを判定する。その際、異常判定部27は、X01からX36の値が
(1)X01>X06>X11>X16>X21>X26>X31>X36
を満たすか否かを判定する。このように、平均心拍数が時間経過とともに徐々に下がっていれば、異常判定部27は、運動直後に測定が行われたと判定する。この場合、異常判定部27は、運動直後による測定と考えられ疲労度の判定結果の信頼性が低いことを被測定者に警告するメッセージを、表示部13に表示させる。
また、異常判定部27は、時系列データX01〜X36が示す平均心拍数が予め定められた程度以上上昇したか否かを判定する。その際、異常判定部27は、例えば、X01〜X36のうちで最初、中間および最後の平均心拍数の値が
(2)−D<(X01−X36)<Dまたは−D<(X01−X21)<D
を満たすか否かを判定する。ここで、Dは、例えば10bpmなどの、適宜設定されるしきい値である。このように、異常判定部27は、測定の最初と最後および最初と中間(最後と中間でもよい)の心拍数差を調べて、その差がしきい値よりも大きければ、測定中に情動などによる心拍数の変動があったと判定する。この場合、異常判定部27は、測定中に情動などによる心拍数の変動があったと考えられ疲労度の判定結果の信頼性が低いことを被測定者に警告するメッセージを、表示部13に表示させる。
また、異常判定部27は、時系列データX01〜X36が示す平均心拍数が臥位時の心拍数を下回ったか否かを判定する。その際、異常判定部27は、X01からX36までのいずれかの平均心拍数Xnが
(3)(Xn−臥位時心拍数)<0
を満たすか否かを判定する。このように、記憶部15に記憶されている臥位時心拍数と、新たに測定された立位時心拍数との大小関係が逆転していれば、異常判定部27は、臥位時心拍数の信頼性が低いことを被測定者に警告するメッセージを、表示部13に表示させる。
停止制御部28は、時系列データX01〜X36が示す心拍数が時間経過とともに単調減少していると異常判定部27が判定したときに、検知部14による心電波(生体信号)の検知を一定時間停止させる。すなわち、上記(1)の判定式が成立し、測定直前に運動が行われたと判定された場合に、停止制御部28は、疲労度計2の測定を一定時間停止させる。その際、被測定者がいつ運動を停止したかわからず、また、運動後の人間の代謝変化の時定数Tは約56秒である(弘前大,佐川貢一「ヒトの動作の測定と解析及び応用」日本テクノセンター発行,2007)ことから、停止制御部28は、心拍数が収束するまでの停止時間を、例えば4T=4×56秒=224秒であると推定する。なお、この推定は、被測定者が疲労度計2による測定を少なくとも静止状態で行っていることを前提とする。そして、停止制御部28は、推定した待ち時間を表示部13にカウントダウン表示させることで、どの程度の時間が経ってから再測定すればよいかを被測定者に報知する。
あるいは、停止制御部28は、時系列データX01〜X36が示す心拍数が時間経過とともに単調減少していると異常判定部27が判定したときに、心拍数の減少度合いに応じた長さの時間だけ検知部14による心電波の検知を停止させてもよい。すなわち、停止制御部28は、運動後の測定待ち時刻を、心拍数の減衰傾向に応じて変化させてもよい。
図18は、停止制御部28による停止時間の推定を説明するためのグラフである。図18の横軸は経過時間tであり、縦軸は心拍数HRである。t<0のとき被測定者は運動を行っており、そのときの心拍数はEであり、t=0のとき被測定者は運動を停止したとする。また、被測定者の臥位時心拍数をZとおき、測定された末尾ブロックの平均心拍数X36と臥位時心拍数Zとの差をΔZとおく(ΔZ=X36−Z)。すると、運動後の心拍数の収束ラインと臥位時心拍数との間には相関があることから、ΔZが大きいほど、心拍数減衰カーブの傾きが大きいt=0に近い時刻であり、ΔZが小さいほど、心拍数減衰カーブの傾きが小さいt=0から遠い時刻であると考えられる。そこで、平均心拍数についての上記(1)の判定式が成立するときには、停止制御部28は、ΔZの値を算出し、その値によって、停止時間(待ち時間)を例えば以下のように推定してもよい。
−1<ΔZ<1のとき、 待ち時間= 0秒
1≦ΔZ<10のとき、 待ち時間= 56秒(=T)
10≦ΔZ<20のとき、待ち時間=112秒(=2T)
20≦ΔZ<30のとき、待ち時間=168秒(=3T)
30≦ΔZのとき、 待ち時間=224秒(=4T)
深呼吸誘導部29は、時系列データX01〜X36が示す心拍数が予め定められた程度以上上昇したと異常判定部27が判定したときに、心拍数の上昇度合いに応じた回数の深呼吸を被測定者が行うように誘導する。すなわち、上記(2)の判定式が成立し、測定中に情動変化などがあったと判定された場合に、深呼吸誘導部29は、被測定者に深呼吸を行わせることで、一時的な心拍数の変動を解消させる。
一般に、心拍数変動の大きさによって、必要な深呼吸の回数は異なる。例えば、(X01−X36)=−13bpmの変動があった場合に、心拍数を元の状態に戻すために5回の深呼吸が必要であったとすると、(X01−X21)=−27bpmの変動があった場合には、心拍数を元の状態に戻すためには10回の深呼吸が必要になる。そこで、深呼吸誘導部29は、情動による心拍数変動の大きさに応じて、深呼吸の回数を変化させる。例えば、深呼吸誘導部29は、上記(2)の判定式が、
0<D<10について成立するとき、深呼吸回数= 5回
10≦D<20について成立するとき、深呼吸回数=10回
20≦D<30について成立するとき、深呼吸回数=15回
30≦D<40について成立するとき、深呼吸回数=20回
としてもよい。
また、深呼吸誘導部29は、統合判定部26による判定結果、すなわち、脳疲労度取得部23または肉体疲労度取得部25による判定結果が「軽疲労」または「疲労」であった場合にも、自律神経を安定させるために被測定者が深呼吸を行うように誘導する。疲労しているという判定結果が出された場合でも、被測定者が深呼吸後に再測定を行って判定結果に改善傾向が見られれば、最初の判定結果は、一時的な情動変化によるものと考えられる。したがって、疲労しているという判定結果が出された場合には、被測定者が深呼吸を行った上で再測定して結果が改善されるかどうかで、最初の判定結果が一時的な情動変化なのか、本当の疲労によるものなのかを見分けることができる。
図19(A)〜図19(D)は、表示部13に表示される警告メッセージの例を示す図である。
図19(A)は、上記(1)の判定式が成立し、運動直後の測定と判定された場合の警告メッセージ(1)の例である。疲労度計2は、運動直後と判定した場合には、その旨を被測定者に警告するとともに、図14に示した一次遅れの特性に基づき推定された待ち時間の経過後に、被測定者に再測定するように促す。この場合、例えば、「224秒後に再測定」の秒数がカウントダウンされ、0秒後になったときに再測定が可能になる。
図19(B)は、上記(2)の判定式が成立し、測定中に情動変化や急激な動きなどがあったと判定された場合の警告メッセージ(2)の例である。疲労度計2は、情動変化や急激な動きなどがあったと判定した場合には、その旨を被測定者に警告する。心拍数は、一時的な情動変化などにより上昇しても、早く吸ってゆっくり吐く深呼吸により、低下することが知られているので、この場合には、疲労度計2は、一時的な情動変化などの影響を抑えるために、被測定者が深呼吸するように誘導する。
図19(C)は、被測定者の疲労度が「軽疲労」または「疲労」であると判定された場合の警告メッセージ(3)の例である。疲労度計2は、この場合にも、判定結果が一時的な情動変化なのか、本当の疲労によるものなのかを見分けるために、被測定者が深呼吸するように誘導する。
図19(D)は、上記(3)の判定式が成立し、記憶部15に記憶されている臥位時心拍数の信頼性が低いと判定された場合の警告メッセージ(4)の例である。疲労度計2は、記憶部15に記憶されている臥位時心拍数よりも新たに測定された立位時心拍数の方が小さいと判定した場合には、被測定者にその旨を警告するとともに、臥位時心拍数を再測定するように促す。
図20は、深呼吸誘導部29によるガイダンス時の表示例を示す図である。図19(B)または図19(C)の警告メッセージの後に、深呼吸誘導部29は、以下で説明する深呼吸のナビゲーションを表示部13に表示させる。まず、符号61,62で示すように、「吸う」アイコン65が点灯し、バー66が例えば2秒かけて画面左端から画面右端に向かって伸びる。次に、「吸う」アイコン65とバー66の表示が消え、符号63,64で示すように、「吐く」アイコン67が点灯し、バー68が例えば6秒かけて画面左端から画面右端に向かって伸びる。その後、「吐く」アイコン67とバー68の表示が消え、再び「吸う」アイコン65とバー66が表示される。深呼吸誘導部29は、以上の表示を複数回繰り返して、被測定者が深呼吸するように誘導する。
図21は、疲労度計2の測定モードの動作例を示すフローチャートである。図21に示す動作フローは、制御部17のROMに予め記録されているプログラムに従って、制御部17のCPUにより実行される。使用者が測定ボタン12Aを押下し、電極14R,14Lを握ると、図21のフローが開始する。
心電波が検出されると、まず、RR間隔抽出部21はR波を検出する(ステップS51)。例えばR波が4秒以内に2回検出されると(ステップS51でYes)、RR間隔抽出部21は、RR間隔を連続して40拍分(約30秒間)測定し、そのデータを記憶部15に記憶させる(ステップS52)。そして、心拍数算出部24は、40拍分のRR間隔のデータを8個のブロックに分割し、各ブロックについて、平均心拍数X01〜X36を算出する(ステップS53)。
ここで、異常判定部27は、条件式(1)が成立するか否かを判定する(ステップS54)。条件式(1)が成立する場合(S54でYes)には、異常判定部27は、図19(A)の警告メッセージ(1)を表示部13に表示させる(ステップS55)。その後、停止制御部28は、待ち時間を推定し、その時間を表示部13にカウントダウン表示させる(ステップS56)。
一方、条件式(1)が成立しない場合(S54でNo)には、異常判定部27は、条件式(2)が成立するか否かを判定する(ステップS57)。条件式(2)が成立する場合(S57でYes)には、異常判定部27は、図19(B)の警告メッセージ(2)を表示部13に表示させる(ステップS58)。その後、深呼吸誘導部29は、図20に示した深呼吸のガイダンスを表示部13に表示させる(ステップS59)。
一方、条件式(2)が成立しない場合(S57でNo)には、異常判定部27は、条件式(3)が成立するか否かを判定する(ステップS60)。条件式(3)が成立する場合(S60でYes)には、異常判定部27は、図19(D)の警告メッセージ(4)を表示部13に表示させる(ステップS61)。
一方、条件式(3)が成立しない場合(S60でNo)には、疲労度測定に影響を与える要因はないと考えられるため、疲労度分析が行われる(ステップS62)。この疲労度分析は、疲労度計1について説明した、脳疲労度分析、肉体疲労度分析およびそれらの結果の統合判定と同じである。そして、疲労度分析の結果が「軽疲労」または「疲労」でない場合(ステップS63でNo)には、制御部17は、その結果を表示部13に表示させる(ステップS64)。
一方、疲労度分析の結果が「軽疲労」または「疲労」である場合(ステップS63でYes)には、制御部17は、図19(C)の警告メッセージ(3)を表示部13に表示させる(ステップS65)。その後、深呼吸誘導部29は、図20に示した深呼吸のガイダンスを表示部13に表示させる(ステップS66)。以上で、疲労度計2の測定モードの動作は終了する。
そして、ステップS55,S58,S61またはS65で警告メッセージ(1)〜(4)が表示された場合には、被測定者は、再び測定ボタン12Aを押下して、再測定を行う。これにより、図21の動作フローが再度繰り返される。
以上説明したように、疲労度計2では、検知部14で検知された心電波の情報から、運動直後や、情動変化または急激な動作があった場合に特有の心拍変動の有無を判定し、それらがあったと判定した場合には、その旨を被測定者に警告する。これにより、被測定者は、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したことを把握することができるので、再測定を行うことにより、測定結果の信頼性を高めることが可能になる。
なお、疲労度計2の異常判定部27、停止制御部28および深呼吸誘導部29の機能は、脳疲労度と肉体疲労度のどちらか一方だけを測定する疲労度計であっても適用可能である。また、例えば製造コストを抑えるなどの理由で製品の機能を限定する場合には、停止制御部28と深呼吸誘導部29の一方または両方を省略してもよい。
図22は、疲労度計3のブロック図である。疲労度計3は、肉体疲労度を測定せず、脳疲労度のみを測定し、かつ、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したか否かを判定し、必要に応じて被測定者に警告する。疲労度計3は、制御部のCPUにより実現される機能ブロックのみが疲労度計1,2とは異なり、ハードウェアに関しては疲労度計1,2と同じ構成を有する。このため、疲労度計3については、疲労度計1,2とは異なる機能のみを説明し、疲労度計1,2と重複する部分の説明を省略する。
疲労度計3の制御部18は、CPUにより実現される機能ブロックとして、RR間隔抽出部21、揺らぎ度算出部22、脳疲労度取得部23、心拍数算出部24、異常判定部27、停止制御部28および深呼吸誘導部29を有する。すなわち、疲労度計3の機能ブロックは、肉体疲労度取得部25と統合判定部26がない点を除けば、疲労度計2のものと同じである。疲労度計3の記憶部15は、心拍間隔の揺らぎ度と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係として、図8に示したRR間隔の時系列データに関する最大リアプノフ指数λとRPE値との対応関係を示すデータを記憶する。そして、脳疲労度取得部23は、揺らぎ度算出部22により算出された最大リアプノフ指数λに基づき、記憶部15に記憶されている図8の対応関係を参照して、被測定者の脳疲労度およびその区分を判定し、判定結果を表示部13に表示させる。
図23は、疲労度計4のブロック図である。疲労度計4は、脳疲労度を測定せず、肉体疲労度のみを測定し、かつ、測定結果に影響を与え得る一時的な要因が測定時に発生したか否かを判定し、必要に応じて被測定者に警告する。疲労度計4は、制御部のCPUにより実現される機能ブロックのみが疲労度計1,2とは異なり、ハードウェアに関しては疲労度計1,2と同じ構成を有する。このため、疲労度計4については、疲労度計1,2とは異なる機能のみを説明し、疲労度計1,2と重複する部分の説明を省略する。
疲労度計4の制御部19は、CPUにより実現される機能ブロックとして、RR間隔抽出部21、心拍数算出部24、肉体疲労度取得部25、異常判定部27、停止制御部28および深呼吸誘導部29を有する。すなわち、疲労度計4の機能ブロックは、揺らぎ度算出部22と脳疲労度取得部23と統合判定部26がない点を除けば、疲労度計2のものと同じである。疲労度計4の記憶部15は、臥位時に対する立位時の心拍数差と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係として、図9に示した臥位時に対する立位時の心拍数差とRPE値との対応関係を示すデータを記憶する。そして、肉体疲労度取得部25は、心拍数算出部24により算出された心拍数差ΔHRに基づき、記憶部15に記憶されている図9の対応関係を参照して、被測定者の肉体疲労度およびその区分を判定し、判定結果を表示部13に表示させる。
なお、図1に示した疲労度計1は手のひらで心電波を測定する形式のものであるが、疲労度計の検知部は、例えば被測定者の指先または首などに取り付けて心電波を検知するものであってもよい。あるいは、疲労度計は、心電波の代わりに被測定者の脈波を測定し、脈波の波形から心拍間隔のデータを抽出して、それを使用してもよい。すなわち、疲労度計の検知部は、生体信号として脈波を検知するための脈波センサであってもよい。そこで、最後に、脈波を検知する検知部の例を説明する。
図24(A)および図24(B)は、それぞれ、他の検知部14A,14Bの概略構成を示す断面図である。
図24(A)に示す検知部14Aは、脈波を検知する光電センサであり、発光素子51、受光素子52および遮光部材53を有する。発光素子51は、被測定者の生体54に光を照射し、受光素子52は、生体54で散乱、反射または透過した光を受光する。遮光部材53は、発光素子51と受光素子52の間に配置され、発光素子51からの光が受光素子52に直接に入射しないように遮光する。発光素子51から生体54に照射された光は、生体54内の組織や血管55内の血液で散乱し、再び生体54の外に出射される。生体54から出射する光の強度は血流に応じて変動するため、検知部14Aは、受光された光の強度の変動に基づいて、被測定者の脈波を検出する。
図24(B)に示す検知部14Bは、被測定者の皮膚56の表面に接触して取り付けられ、被測定者の生体54から発せられる振動を検知することで脈波を検知するセンサである。生体54内の動脈の血管55は、血流の変動に応じて、脈拍に同期して振動し、その振動は、振動波57となって生体54内を伝搬する。検知部14Bには、例えば圧力センサや振動センサが用いられ、検知部14Bは、振動波57を圧力変化または振動変化として検知する。
検知部14に代えて検知部14Aまたは検知部14Bを用いる場合でも、心拍間隔(RR間隔)を求めるための生体信号が心電波から脈波に変わるだけであり、疲労度計の測定に関するその後の制御は、疲労度計1〜4のものと同じである。
脈波は、心電波に同期して血流が起こって生じるため、本来は心電波と1対1に対応していると考えられるが、脈波は末梢で測定されることから、伝播に個人差が生じ、心電波と脈波が1対1に対応していないこともあり得る。このため、脈波より心電波を用いた方が測定値の精度は高くなると考えられる。一方、脈波を検知する検知部14A,14Bであれば、被測定者が両手で電極14R,14Lを握らなくても、例えば被測定者の指先、手首または耳たぶなどに取り付けて使用することができるので、利便性の点では有利である。
1,2,3,4 疲労度計
10 本体ケース
11 主電源スイッチ
12 操作部
13 表示部
14,14A,14B 検知部
15 記憶部
16,17,18,19 制御部
21 RR間隔抽出部
22 揺らぎ度算出部
23 脳疲労度取得部
24 心拍数算出部
25 肉体疲労度取得部
26 統合判定部
27 異常判定部
28 停止制御部
29 深呼吸誘導部

Claims (8)

  1. 循環器に関する被測定者の生体信号を一定時間連続して検知する検知部と、
    心拍に関する指標と疲労度に関する指標との対応関係を記憶する記憶部と、
    検知された生体信号から被測定者の心拍数の時系列データを算出する心拍数算出部と、
    検知された生体信号から得られる心拍情報に基づき前記対応関係を参照して被測定者の疲労度を判定する疲労度判定部と、
    予め定められた類型の異常な変動を前記時系列データが示しているか否かを判定する異常判定部と、
    前記疲労度判定部および前記異常判定部による判定結果を出力する出力部と、
    を有することを特徴とする疲労度計。
  2. 前記異常判定部は、前記時系列データが示す心拍数が予め定められた程度以上、前記時系列データの中で上昇したか否かを判定する、請求項1に記載の疲労度計。
  3. 前記時系列データが示す心拍数が予め定められた程度以上上昇したと前記異常判定部が判定したときに、前記心拍数の上昇度合いに応じた回数の深呼吸を被測定者が行うように誘導する深呼吸誘導部をさらに有する、請求項2に記載の疲労度計。
  4. 前記異常判定部は、前記時系列データが示す心拍数が時間経過とともに単調減少しているか否かを判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疲労度計。
  5. 前記時系列データが示す心拍数が時間経過とともに単調減少していると前記異常判定部が判定したときに、前記心拍数の減少度合いに応じた長さの時間だけ前記検知部による前記生体信号の検知を停止させる停止制御部をさらに有する、請求項4に記載の疲労度計。
  6. 前記記憶部は、被測定者の臥位時の心拍数を記憶し、
    前記異常判定部は、前記時系列データが示す心拍数が前記臥位時の心拍数を下回ったか否かを判定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の疲労度計。
  7. 前記記憶部は、前記対応関係として、臥位時に対する立位時の心拍数差と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係を記憶し、
    前記疲労度判定部は、前記時系列データが示す心拍数と前記臥位時の心拍数との差に基づき前記対応関係を参照して被測定者の肉体疲労度を判定する、請求項6に記載の疲労度計。
  8. 前記記憶部は、前記対応関係として、心拍間隔の揺らぎ度と自覚的運動強度を示すボルグスケールとの対応関係を記憶し、
    前記疲労度判定部は、検知された生体信号から算出される被測定者の心拍間隔の揺らぎ度に基づき前記対応関係を参照して被測定者の脳疲労度を判定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の疲労度計。
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