JP2017062977A - 燃料電池スタック及び燃料電池スタックのメンテナンス時期の判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の単位セル2がA方向に積層された積層体3と、積層体3をA方向に沿う両側から挟持する一対のエンドプレートと、第2エンドプレート5と積層体3との間に配置され、単位セル2の発電面に作用するA方向の電極荷重を検出する荷重計測部8と、を備え、荷重計測部8は、カーボンプレート91と、カーボンプレート91をA方向で挟持する金属プレート92,93と、を有し、金属プレート92,93間での電圧降下を検出する検出部87を有していることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
積層体は、複数の単位セルが積層されて構成されている。単位セルは、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟んで構成された膜電極構造体(以下、単にMEAという。)と、この膜電極構造体を挟持するセパレータと、を備えている。
エンドプレートは、積層体を単位セルの積層方向の両側から挟持する。エンドプレート同士は、積層体を間に挟んだ状態で互いに締結されている。したがって、単位セルには、積層方向に沿って締結荷重が作用している。
そこで、例えば下記特許文献1には、固体高分子電解質膜を介在しない2つの構成部品(例えば、冷却板と空気極)間の電圧降下を測定することで、単位セルに作用する荷重の低下を判定する構成が開示されている。この構成によれば、荷重低下に伴う構成部品間の接触抵抗の増加によって電圧降下が増大することで、荷重の低下を判定できると考えられる。
しかも、荷重計測部において、各第2導電材間に第1導電材を介在させることで、各導電材を直接接触させる場合に比べて荷重低下時の電圧降下を大きくすることができる。
[燃料電池スタック]
図1は本実施形態の燃料電池スタック1を第1エンドプレート4側から見た斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の燃料電池スタック1は、図示しない車両の前部に画成されたモータルームやフロア下に搭載されている。燃料電池スタック1は、例えば駆動用モータに電力を供給するのに用いられる。なお、本実施形態の燃料電池スタック1は、例えば図中のA方向(第1方向)が車両の幅方向、B方向が車両の前後方向、C方向が車両の上下方向となるようにして車両に搭載される。
積層体3は、複数の単位セル(燃料電池セル)2がA方向に積層されて構成されている。なお、以下の説明では、上述したA方向、B方向及びC方向において、積層体3の中央部に近づく向きを内側といい、積層体3の中央部から離間する向きを外側という場合がある。
図2は単位セル2の分解斜視図である。
図2に示すように、単位セル2は、例えば一対のセパレータ21,22と、各セパレータ21,22間に挟持されたMEA23と、を備えている。MEA23は、固体高分子電解質膜31と、固体高分子電解質膜31をA方向の両側から挟持するアノード電極32及びカソード電極33と、を備えている。
アノード電極32及びカソード電極33は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子をガス拡散層の表面に一様に塗布して形成された電極触媒層と、を有している。
固体高分子電解質膜31は、例えばペルフルオロスルホン酸ポリマーに水を含浸させた素材により形成されている。固体高分子電解質膜31は、A方向から見た正面視外形がアノード電極32及びカソード電極33よりも大きくなっている。図2の例において、固体高分子電解質膜31は、中央部にアノード電極32及びカソード電極33が重ね合わされ、外周部がアノード電極32及びカソード電極33に対して額縁状にはみ出している。すなわち、上述したMEA23の中央部は、固体高分子電解質膜31、アノード電極32及びカソード電極33が積層された発電面として機能する。
セパレータプレート35は、B方向を長手方向とする長方形状の金属板、又はカーボン板により構成されている。なお、図2の例において、セパレータプレート35は、A方向から見た正面視外形が固体高分子電解質膜31と同等に形成されている。セパレータプレート35は、A方向から見てMEA23に重なり合っている。
図3に示すように、シール部材36は、ゴム等の弾性変形可能な材料により形成されている。シール部材36は、A方向に突出する突起部36aを有している。突起部36aは、MEA23の外周部において固体高分子電解質膜31にA方向で密接している。すなわち、MEA23の外周部は、シール部材36に密接するシール面23aとして機能する。
冷媒入口連通孔42iは、純水やエチレングリコール等の冷媒が流通する。
燃料ガス出口連通孔43oは、アノード電極32を通過した使用済みの燃料ガス(例えば、水素等)が流通する。
冷媒出口連通孔42oは、単位セル2との間で熱交換され、温度が上昇した冷媒が流通する。
酸化剤ガス出口連通孔41oは、カソード電極33を通過した使用済みの酸化剤ガスが流通する。
具体的に、第1セパレータ21のうち、アノード電極32に対向する面側には、MEA23のアノード電極32との間に燃料ガス流路45が形成されている。燃料ガス流路45は、燃料ガス入口連通孔43i及び燃料ガス出口連通孔43oにそれぞれ連通している。
図4は、燃料電池スタック1の分解斜視図である。
図4に示すように、積層体3に対してA方向の両側には、ターミナルプレート(第1ターミナルプレート61及び第2ターミナルプレート62)がそれぞれ配置されている。各ターミナルプレート61,62は、A方向から見た正面視外形がセパレータ21,22よりも小さくなっている。各ターミナルプレート61,62には、A方向の外側に向けて突出する出力端子63,64が各別に形成されている。なお、各出力端子63,64には、絶縁性を有する筒体65a,65bが外挿されている。
第1インシュレータ66は、A方向から見た正面視外形が第1ターミナルプレート61よりも大きくなっている。また、第1インシュレータ66は、A方向の厚さが第1ターミナルプレート61よりも厚くなっている。第1インシュレータ66の中央部には、A方向の外側に向けて窪む収容部70が形成されている。収容部70内には、上述した第1ターミナルプレート61が収容されている。
図4に示すように、エンドプレート4,5は、A方向から見た正面視外形が単位セル2よりも大きい長方形状に形成されている。第1エンドプレート4は、積層体3との間に第1ターミナルプレート61及び第1インシュレータ66を挟み込んだ状態で、積層体3に対してA方向の一方側に配置されている。第1エンドプレート4には、上述したガス入口接続孔72i,73i、ガス出口接続孔72o,73o及び冷媒接続孔74i,74oに各別に連通するガス入口孔(酸化剤ガス入口孔75i及び燃料ガス入口孔76i)、ガス出口孔(酸化剤ガス出口孔75o及び燃料ガス出口孔76o)、冷媒入口孔77i及び冷媒出口孔77oが形成されている。
第1エンドプレート4及び第1インシュレータ66の中央部には、これらをA方向に貫通する引出孔81,82がそれぞれ形成されている。上述した第1ターミナルプレート61の出力端子63は、引出孔81,82を通して第1エンドプレート4に対してA方向の外側に引き出されている。
第2エンドプレート5及び第2インシュレータ67の中央部には、これらをA方向に貫通する引出孔83,84が形成されている。上述した第2ターミナルプレート62の出力端子64は、引出孔83,84を通して第2エンドプレート5に対してA方向の外側に引き出されている。
図3に示すように、荷重計測部8は第2インシュレータ67の上述した収容部71内に収容されている。すなわち、荷重計測部8は、積層体3と第2ターミナルプレート62との間にA方向で挟持されている。なお、荷重計測部8は、各エンドプレート4,5と各インシュレータ66,67との間のうち、少なくとも一方に配置されていれば構わない。
第2金属プレート93は、山部(接触部)94カーボンプレート91に接触し、谷部95が第2ターミナルプレート62に接触している。
第1検出端子97は、その一端部が第1金属プレート92に電気的に接続されている。
第2検出端子98は、その一端部が第2金属プレート93に電気的に接続されている。
電圧計99は、各検出端子97,98の他端部が接続されている。
制御部9は、締結荷重設定部100と、電極荷重設定部101と、シール荷重設定部102と、メンテナンス時期判定部103と、を主に有している。
締結荷重設定部100は、上述したひずみゲージから出力されるひずみ信号に基づいて締結荷重F1を設定する。なお、締結荷重とは、エンドプレート4,5から積層体3(各単位セル2)に付与されるA方向の荷重である。
一方、積層体3内に供給される燃料ガスは、各単位セル2の燃料ガス入口連通孔43iを、A方向における第2エンドプレート5側に向けて流通する。燃料ガス入口連通孔43iを流通する燃料ガスは、燃料ガス流路45に導入されることで、MEA23のアノード電極32に供給される。
その結果、アノード電極32で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜31を透過してカソード電極33まで移動し、カソード電極33で酸化剤ガスと電気化学反応を起こして発電する。
一方、アノード電極32で発電に供された使用済みの燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔43oに流入する。燃料ガス出口連通孔43oに流入した使用済みの燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔43o内をA方向における第1エンドプレート4側に向けて流通する。その後、使用済みの燃料ガスは、図示しない循環路を通って燃料ガス入口連通孔43iに戻される。また、循環路から定期的に排出された燃料ガスは、希釈器で使用済みの酸化剤ガスと混合して希釈された後、車外へ排出される。
次に、上述した燃料電池スタック1におけるメンテナンス時期の判定方法を説明する。図6は、メンテナンス時期の判定方法を説明するためのフローチャートである。なお、以下の各ルーチンは、制御部9によって主に行われる。
図6に示すように、ステップS1において、締結荷重設定部100は、上述したひずみゲージから出力されるひずみ信号に基づいて締結荷重F1を設定する。
次に、ステップS2において、電極荷重設定部101は、電圧計99から出力される電圧信号に基づいて図5に示すマップから電極荷重F2を設定する。
ステップS3において、シール荷重設定部102は、締結荷重設定部100で算出された締結荷重F1と、電極荷重設定部101で算出された電極荷重F2と、の差分をシール荷重F3として設定する。
ステップS4における判定結果が「NO」の場合、所望のシール荷重F3が作用しており、メンテナンスの必要はないと判定する。この場合には、ステップS1に戻り、上述したルーチンを繰り返す。
一方、ステップS4の判定結果が「YES」の場合、シール荷重F3が低下しており、メンテナンスが必要であると判定する。
図7に示すように、燃料電池スタック1では、時間経過に伴い、電極荷重F2やシール荷重F3が低下していることが分かる。電極荷重F2の低下は、時間経過に伴うMEA23の機械劣化や化学劣化等が要因として考えられる。電極荷重F2が低下すると、各金属プレート92,93及びカーボンプレート91間での接触抵抗の増加により抵抗過電圧が増加する。これにより、単位セル2で発生した電力の取出し効率が低下し、発電性能が低下することになる。
また、シール荷重F3の低下は、時間経過に伴うシール部材36の劣化等が要因として考えられる。シール荷重F3が低下すると、隣り合う単位セル2間でシール性が低下して、反応ガスのリーク等に繋がるおそれがある。
図8に示すように、上述したようにステップS4において、メンテナンスが必要であると判定された場合には、燃料電池スタック1のメンテナンスを行う。メンテナンス方法としては、例えば第2エンドプレート5と第2インシュレータ67の間に、着脱可能なシム部材110を介在させることが考えられる。シム部材110は、A方向から見た正面視外形が例えば第2インシュレータ67と同等に形成されている。
図9に示すように、第2インシュレータ67の収容部71内において、第2ターミナルプレート62と荷重計測部8との間にシム部材111を介在させても構わない。シム部材111は、A方向から見た正面視外形が単位セル2の発電面と同等に形成されている。
この構成によれば、荷重計測部8における金属プレート92,93間の電圧降下を検出することで、接触抵抗の増加に伴う電極荷重F2の低下を検出できる。この場合、例えば発電面及びシール面(例えば、シール面23a)を含む単位セル2の全面にA方向に作用する締結荷重F1を検出する構成に比べ、単位セル2の発電面に作用する電極荷重F2を正確かつ簡単に検出できる。また、締結荷重F1を検出した場合には、締結荷重F1と電極荷重F2とに基づいて単位セル2のシール面(例えば、シール面23a)に作用するシール荷重F3を検出できる。その結果、単位セル2の各所に作用する荷重を検出することができるので、荷重低下のメンテナンス時期や、荷重低下の要因が特定し易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
また、燃料電池スタック1の端部に荷重計測部8が設けられているので、積層体3の中間に荷重計測部を設ける場合等に比べて荷重計測部8に安定して荷重が作用することになり、計測精度を高めることができる。
しかも、荷重計測部8において、各金属プレート92,93間にカーボンプレート91を介在させることで、各金属プレート92,93を直接接触させる場合に比べて荷重低下時の電圧降下を大きくすることができる。
この構成によれば、単位セル2の面内方向(B方向及びC方向)において、単位セル2に対する荷重計測部8の位置ずれを抑制し、単位セル2の発電面と荷重計測部8との導通を確保できる。また、荷重計測部8の追加に伴う燃料電池スタック1のA方向への拡大を抑制できる。
例えば、上述した実施形態では、第1導電材及び第2導電材としてカーボンプレート91及び金属プレート92,93を用いる構成について説明したが、これに限らず、導電性を有する異種材料であれば適宜設計変更が可能である。
上述した実施形態では、波形に形成された各金属プレート92,93のうち、第1金属プレート92の谷部95と、第2金属プレート93の山部94と、を接触部として構成した場合について説明したが、これに限られない。金属プレート92,93の接触部は、カーボンプレート91に接触可能な構成であれば、適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、シール荷重に基づいてメンテナンス時期を判定する構成について説明したが、これに限られない。例えば、電極荷重F2のみに基づいてメンテナンス時期を判定しても構わない。この場合には、各金属プレート92,93間の電圧降下が閾値以上の場合に電極荷重F2が所望の値よりも低下し、メンテナンスが必要であると判定することが可能である。また、電極荷重F2及びシール荷重F3の少なくとも一方に基づいてメンテナンス時期を判定しても構わない。
2…単位セル(燃料電池セル)
3…積層体(燃料電池積層体)
4…第1エンドプレート(エンドプレート)
5…第2エンドプレート(エンドプレート)
8…荷重計測部
67…第2インシュレータ(インシュレータ)
71…収容部
87…検出部
91…カーボンプレート(第1導電材)
92…第1金属プレート(第2導電材)
93…第2金属プレート(第2導電材)
Claims (3)
- 複数の燃料電池セルが第1方向に積層された燃料電池積層体と、
前記燃料電池積層体を前記第1方向に沿う両側から挟持する一対のエンドプレートと、
前記一対のエンドプレートのうち、少なくとも一方の前記エンドプレートと前記燃料電池積層体との間に配置され、前記燃料電池セルの発電面に作用する前記第1方向の電極荷重を検出する荷重計測部と、を備え、
前記荷重計測部は、
第1導電材と、
前記第1導電材を前記第1方向で挟持するとともに、前記第1導電材に接触する接触部を有する第2導電材と、を有し、
前記第1導電材を間に挟んで前記第1方向で対向する前記第2導電材間での電圧降下を検出する検出部を有していることを特徴とする燃料電池スタック。 - 前記一方のエンドプレートと前記荷重計測部との間には、インシュレータが配設され、
前記インシュレータのうち、前記第1方向で前記発電面に対向する部分には、前記第1方向における前記燃料電池積層体側から前記荷重計測部を収容する収容部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池スタック。 - 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池スタックのメンテナンス時期の判定方法であって、
前記検出部で検出された前記電圧降下に基づいてメンテナンス時期を判定する判定工程を有し、
前記判定工程では、前記電圧降下が閾値以上である場合に前記メンテナンス時期であることを判定することを特徴とする燃料電池スタックのメンテナンス時期の判定方法。
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