JP2017062214A - 工業用油の評価方法、工業用油の評価装置、工業用油の循環装置 - Google Patents

工業用油の評価方法、工業用油の評価装置、工業用油の循環装置 Download PDF

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潔 櫻木
Kiyoshi Sakuragi
潔 櫻木
啓之 西田
Hiroyuki Nishida
啓之 西田
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Abstract

【課題】 早期に、簡易に、安価に、迅速に作動工業用油の評価、即ち、劣化判断を行う。【解決手段】 作動油の劣化により生じた酸性物質を水に溶かし込むと共に、正常な状態の作動油をヘキサンに溶かし込み、親水性の酸性物質、即ち、加水分解の劣化により生じた酸性物質が溶かし込まれた水層31のpHを評価し、作動油に存在していた酸性物質の濃度を把握して作動油の劣化を判断する。【選択図】 図2

Description

本発明は、各種の機械設備の機器で使用される作動油等の工業用油の劣化を判断する工業用油の評価方法、及び、工業用油の評価装置に関する。
また、本発明は、各種の機械設備の機器で使用される作動油等の工業用油の循環装置に関する。
従来、各種の機械設備の機器では、動力伝達媒体、潤滑剤、防錆や冷却等の目的のため、様々な工業用油が使用されている。例えば、火力プラントでは、耐火性、潤滑性、酸化安定性及び応答性に優れる油圧作動用の工業用油として、例えば、リン酸エステルが広く利用されている。
工業用油は、使用に伴って徐々に劣化し、また、使用時に混入する水分や塵埃等が劣化を促進する場合もある。工業用油が劣化すると、使用される機器の金属磨耗の過大な増大等、種々の機械トラブルを誘発する。機械トラブルを未然に防ぐには、使用中の工業用油の劣化状態を評価することが有力な手段となる。
従って、工業用油の劣化を的確に評価することは、機械設備の機器の安定した稼働、生産性や経済性の向上につながる重要な要素となる。
工業用油の劣化状態を評価する手段としては、例えば、外表面をイオン液体膜で被覆した特定構造のイオン濃度センサ(pHセンサ)を用い、潤滑油の全酸化(油の劣化指標)を直接に測定する手法がある(特許文献1参照)。また、例えば、特定構造の限外ろ過膜に特定の指示薬を保持させ、当該限外ろ過膜上での中和反応に基づいて潤滑油の塩基価を測定する手法がある(特許文献2参照)。
また、例えば、光学フィルターを発光部と測定試料(作動油)の間に配置し、一つの発光部及び受光部で複数の波長の吸光度を測定する特定構造の装置を用いる手法がある(特許文献3参照)。また、例えば、潤滑油を透過した可視光を3原色に分け、各々の吸光度を検出する特定構造のモニター装置を用いる手法がある(特許文献4参照)。
しかし、特許文献1から特許文献4の何れの技術も、工業用油の劣化を判断するためには、高額あるいは特別な装置、高度な技術、長期間を要することが多く、劣化評価の頻度が限定されてしまう問題があった。火力プラント等の機械設備の現場では、高い稼働率や高負荷条件での運転が要求される機会が多い。このため、従来の技術は適用し難い状況であり、工業用油の劣化を早期に、簡易に、迅速に、安価に発見できる評価の手法が望まれているのが現状である。これらの課題は、火力プラントだけでなく、工業用油を使用する他の機械設備を用いる現場においても同様に存在している。
特開2014−163709号公報 特開2012−52903号公報 特開平10−104223号公報 特開平06−34541号公報
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価、特に、工業用油の劣化判断を行うことができる工業用油の評価方法、及び、工業用油の評価装置を提供することを目的とする。
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価を行うことができる評価装置を備えた工業用油の循環装置を提供することを目的とする。
請求項1から請求項6に係る本発明は、工業用油は、劣化に伴って酸性物質が生じる という知見を基礎とし、酸性物質が親水性であることに着目してなされている。本発明における工業用油の劣化は、使用時に水分や塵埃、空気(酸素)等が混入して工業用油としての機能が低下することである。工業用油が劣化すると、使用される機器の金属磨耗の過大な増大等、種々の機械トラブルを誘発することになる。即ち、使用される機器の金属磨耗が増大したり、種々の機械トラブルを誘発したりする状態になる工業用油の性状を劣化としている。
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の工業用油の評価方法は、評価対象の工業用油に対して、前記工業用油に含まれる酸性物質を溶解させる水、及び、前記工業用油を溶解させる親油性の試薬を混合し、混合した液体の水層の水素イオン濃度指数に基づいて前記油の評価を行うことを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、酸性物質を水に溶かし込むと共に、正常な工業用油を親油性の試薬に溶かし込み、水層の水素イオン指数に基づいて工業用油の評価を行うことで、工業用油の中の酸性物質の状況を把握する。このため、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価、特に、工業用油の劣化判断を行うことが可能になる。
そして、請求項2に係る本発明の工業用油の評価方法は、請求項1に記載の工業用油の評価方法において、前記水素イオン濃度指数が酸性の値である場合に、前記工業用油が劣化していると判断することを特徴とする。
請求項2に係る本発明では、工業用油に含まれていた酸性物質が水に溶かし込まれた場合、水素イオン濃度指数が酸性の値を示すため、工業用油に酸性物質が含まれて劣化していると判断される。
また、請求項3に係る本発明の工業用油の評価方法は、請求項1もしくは請求項2に記載の工業用油の評価方法において、前記工業用油は、リン酸エステルであり、前記試薬は、ヘキサンであることを特徴とする。
請求項3に係る本発明では、ヘキサンを用いてリン酸エステルの評価(劣化判断)を行うことができる。
上記目的を達成するための請求項4に係る本発明の工業用油の評価装置は、工業用油の系統から工業用油が取り出される分取手段と、前記分取手段で取り出された前記工業用油に対し、前記工業用油に含まれる酸性物質が溶解される水を混合すると共に、前記工業用油が溶解される親油性の試薬を混合する混合液体調製手段と、前記混合液体調製手段で混合された混合液体の水層の水素イオン濃度指数を計測するpH計測手段と、前記pH計測手段の情報が入力され、前記pH計測手段の水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、前記油に酸性物質が含まれていると判断する評価手段とを備えたことを特徴とする。
請求項4に係る本発明では、分取手段により工業用油が取り出され、混合液体調製手段により、工業用油に含まれる酸性物質が溶解される水が混合されると共に、工業用油が溶解される親油性の試薬が混合され、混合液体の水層の水素イオン濃度指数がpH計測手段で計測される。そして、pH計測手段で計測された水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、評価手段により、工業用油に酸性物質が含まれていると判断される(工業用油の劣化が判断される)。
このため、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価、特に、工業用油の劣化判断を行うことが可能になる。
そして、請求項5に係る本発明の工業用油の評価装置は、請求項4に記載の工業用油の評価装置において、前記工業用油は、リン酸エステルであり、前記試薬は、ヘキサンであることを特徴とする。
請求項5に係る本発明では、ヘキサンを用いてリン酸エステルの評価(劣化判断)を行うことができる。
また、工業用油は、貯留手段と工業用油が使用される機器との間で工業用油を循環させる循環路と、循環路から工業用油を抽出して浄化し、浄化された工業用油を貯留手段に戻す浄化手段と、工業用油の浄化手段への抽出を制御する流通制御手段とを備えた循環系統を流通する工業用油であることが好ましい。分取手段は、循環路から分岐して備えられ、評価手段は、劣化を判断した際に、流通制御手段により工業用油を浄化手段に抽出させることができる。
これにより、循環路を工業用油が流通することで、貯留手段と工業用油が使用される機器との間で工業用油が循環され、浄化手段により、循環路から工業用油が抽出されて浄化され、浄化された工業用油が貯留手段に戻される。工業用油の浄化手段への抽出は流通制御手段により制御される。循環路及び浄化手段により循環系統が形成され、循環系等を流通する工業用油に酸性物質が含まれていることが判断される(工業用油の劣化が判断される)。
上記目的を達成するための請求項6に係る本発明の工業用油の循環装置は、機器の作動を行う工業用油を貯留する貯留手段と、前記貯留手段と前記機器との間で前記工業用油を循環させる循環路と、前記循環路から前記工業用油を抽出して浄化し、浄化された前記工業用油を前記貯留手段に戻す浄化手段と、前記工業用油の前記浄化手段への抽出を制御する流通制御手段と、前記循環路から分岐して備えられ、前記工業用油を取り出す分取手段と、前記分取手段で取り出された前記工業用油に対し、前記工業用油に含まれる劣化物質を溶解させる水を混合すると共に、前記工業用油を溶解させる親油性の試薬を混合する混合液体調製手段と、前記混合液体調製手段で調製された混合液体の水層の水素イオン濃度指数を計測するpH計測手段と、前記pH計測手段の情報が入力され、前記pH計測手段の水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、前記工業用油に劣化物質が含まれているとして前記工業用油が劣化していると判断する評価手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6に係る本発明では、循環路を工業用油が流通することで、貯留手段と工業用油が使用される機器との間で工業用油が循環され、浄化手段により、循環路から工業用油が抽出されて浄化され、浄化された工業用油が貯留手段に戻される。分取手段により工業用油が取り出され、混合液体調製手段により、工業用油に含まれる酸性物質が溶解される水が混合されると共に、工業用油が溶解される親油性の試薬が混合され、混合液体の水層の水素イオン濃度指数がpH計測手段で計測される。そして、pH計測手段で計測された水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、評価手段により、工業用油に酸性物質が含まれていると判断される(工業用油の劣化が判断される)。
このため、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価を行うことができる評価装置を備えた工業用油の循環装置とすることが可能になる。
本発明の工業用油の評価方法、及び、工業用油の評価装置は、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価、特に、工業用油の劣化判断を行うことが可能になる。
また、本発明の工業用油の循環装置は、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に工業用油の評価、特に、工業用油の劣化判断を行うことができる評価装置を備えた工業用油の循環装置とすることが可能になる。
本発明の一実施例に係る工業用油の評価装置を備えた循環装置の全体構成図である。 本発明の一実施例に係る工業用油の評価方法を説明する概念図である。 水素イオン濃度指数(pH)の経時変化を表すグラフである。
図1には本発明の一実施例に係る工業用油の評価方法を実施する評価装置を備えた循環装置の全体の概略構成を示してある。図示の実施例で評価される工業用油は、蒸気タービンの出力制御を行う弁部材(蒸気弁)の動作を行うアクチュエータ(機器)の作動油(リン酸エステル)の例を示してある。
蒸気タービン1は、図示しないボイラからの高圧の蒸気が導入されて駆動力を得る高圧タービン2と、高圧タービン2から抽出された蒸気により駆動力を得る中圧タービン3と、中圧タービン3から抽出された蒸気により駆動力を得る低圧タービン4を備えている。高圧タービン2、中圧タービン3、低圧タービン4には発電機5が接続され、高圧タービン2、中圧タービン3、低圧タービン4の駆動により発電機5が運転されて発電電力が得られる。低圧タービン4で仕事を終えた蒸気は復水器6で冷却されて凝縮され、復水器6で得られた復水は図示しないボイラに給水される。
高圧タービン2の上流側には、蒸気タービン1の出力制御を行う蒸気弁8が備えられている。即ち、高圧タービン2に送られる蒸気の流量が蒸気弁8の動作により制御される。蒸気弁8は、工業用油(評価対象)としての作動油(リン酸エステル)が使用される機器であるアクチュエータ9により開閉動作され、蒸気弁8の開閉動作により、高圧タービン2に送られる蒸気の流量が制御されて蒸気タービン1の出力が制御される。
アクチュエータ9の作動油が流通する循環系統11が備えられている。循環系統11には作動油を貯留する貯留手段としての貯留タンク12が備えられ、循環路13を通してポンプ14により作動油がアクチュエータ9に送られる。アクチュエータ9から排出された作動油は貯留タンク12に戻される。
循環系統11には浄化手段16が備えられている。即ち、循環系統11の循環路13から分岐して貯留タンク12に循環する抽出路17が設けられ、抽出路17には循環ポンプ18及び洗浄フィルター19が備えられている。循環ポンプ18の上流側の抽出路17には流通制御手段としての流量制御弁20が設けられている。流量制御弁20により作動油が浄化手段16に送られ、洗浄フィルター19を流通することで作動油が浄化される。
そして、循環系統11を流通する作動油の評価(劣化判断)を行う工業用油の評価装置が備えられている。即ち、使用時に作動油に水分や塵埃、空気(酸素)等が混入して、作動油としての機能が低下した状態になっていないかが評価装置で評価される。具体的には、評価装置では、使用される機器(アクチュエータ9等)の金属磨耗が過大になる状態の作動油の性状になっていないか、また、蒸気弁8の機械トラブルが誘発される状態の作動油の性状になっていないか、等が評価される。
評価装置として、抽出路17が分岐する部位の上流側(貯留タンク12側)の循環路13から分岐して分取手段としての分取路21が備えられている。分取路21で取り出された作動油を入れる容器22が設けられ、容器22の中には、作動油に含まれる酸化物質を溶かすための水と、正常な状態の作動油を溶かすためのヘキサン(親油性の試薬)が混合される(混合液体調製手段23)。
尚、親油性の試薬としては、親油性で油が溶け込む試薬であれば、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、2−プロパノール、クロロホルム、もしくは、これらの混合液等、ヘキサン以外のものを適用することが可能である。
容器22の中の混合液体の水の層(水層)の水素イオン濃度指数を計測するpH計測手段24(pHメーター)が設けられ(配され)、pH計測手段24の計測情報は評価手段としての劣化判断手段25に入力される。劣化判断手段25では、水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定値(例えば、3から6の間の任意の値)以下の場合、水層が酸性であり作動油に酸化物質が含まれているとして、作動油の劣化が判断される。作動油の劣化が判断された場合、劣化判断手段25の指令により流量制御弁20が制御され、作動油が浄化手段16に送られて浄化運転を実行する。
尚、水素イオン濃度指数の値が所定値以下の場合、更に低い値をしきい値として設定し、水素イオン濃度指数の値がしきい値を下回った場合、機器やプラントを停止させて、作動油を交換する等をすることも可能である。
上述した実施例の工業用油の評価方法(評価装置)は、リン酸エステルをはじめとする工業用の作動油は、劣化に伴って酸性物質が生じる、という知見を基礎とし、その酸性物質が親水性であることに着目している。
つまり、作動油としてのリン酸エステル(下記式(1)参照)は、使用に伴って徐々に劣化し、加水分解され、これにより親水性の酸性物質(下記式(2)の(a)〜(d)を参照)等を生じ得る。使用時に混入する水分や塵埃等が劣化を促進し、酸性物質の生成を促進する場合もある。酸性物質は、ここで例示する構造に限定されない。
Figure 2017062214

(R〜Rは、それぞれ独立して、H、CH、OHの何れかを表す。)
Figure 2017062214

(R〜Rは、それぞれ独立して、H、CH、OHの何れかを表す。)
図2には評価装置の概念状況を示してある。
図2に示すように、容器22の中の混合液体は、親水性の酸性物質が溶け込んだ水の層(水層31)と、正常な状態の作動油が溶け込んだヘキサンの層(油層32)とが存在することになる。容器22の中の混合液体の水層31の水素イオン濃度指数をpH計測手段24で計測する(pHを検出する)。計測されたpHの情報は劣化判断手段25に送られて劣化が判断される。
つまり、劣化により生じた酸性物質を水に溶かし込むと共に、正常な状態の作動油をヘキサンに溶かし込み、親水性の酸性物質、即ち、加水分解の劣化により生じた酸性物質が溶かし込まれた水層31のpHを評価することで、作動油に存在していた酸性物質の濃度を把握し、作動油の劣化が判断されている。作動油の劣化が判断された場合、音や表示等による警報が発せられる。
図3に基づいて作動油であるリン酸エステルのpHの経時変化を説明する。図3にはリン酸エステルの使用時間(月)の経過によるpHの変化、即ち、酸性物質が増えてpHが示す酸性の度合いの変化を示してある。
新品に近い作動油の場合(時刻t0)、作動油のpHの値は、例えば、中性に近い7を若干下回る値となる。数ヶ月使用した作動油の場合(時刻t1)、酸性物質が増えて作動油のpHの値は、例えば、6に近い値となる。更に、数ヶ月使用して、例えば、10ヶ月から15ヶ月使用した作動油の場合(時刻t2、t3)、親水劣化が進むことで酸性物質が増加し、作動油のpHの値は、例えば、6を下回る値となる。
作動油の劣化に起因する不具合が生じた作動油の場合、親水劣化が進むことで酸性物質が大幅に増加し、作動油のpHの値は、例えば、5に近い値となる。このため、不具合が生じた作動油のpHの値(若干高い値)をしきい値として設定し、pHを検出することで、作動油の使用限界を認識することが可能になる。
従って、劣化判断手段25では、pHの値が、7よりも小さい所定値(例えば、3から6の間の任意の値)以下の場合に、水層31が酸性であり作動油に酸性物質が含まれているとして、作動油の劣化を判断することができる。
上述した、蒸気タービン1の蒸気弁8を動作させるためのアクチュエータ9の作動油(リン酸エステル)を循環させる循環装置では、循環系統11の循環路13を作動油が流通することで、貯留タンク12とアクチュエータ9との間で作動油が循環される。作動油の劣化を判断する場合、分取路21から作動油が取り出され、混合液体調製手段23により、作動油に含まれる酸性物質が溶解される水が混合されると共に、正常な状態の作動油が溶解されるエステルが混合される。
混合液体の水層31のpHがpH計測手段24で計測され、pH計測手段24で計測されたpHの値が、例えば、7よりも小さい所定の値以下の場合に、劣化判断手段25により、作動油に酸性物質が含まれて劣化していると判断される。作動油の劣化が判断された場合、音や表示等による警報が発せられ、例えば、発電設備の運転員に作動油が劣化していることが報知される。
尚、作動油の劣化が判断された場合、劣化判断手段25により浄化手段16の流量制御弁20の動作を制御し、作動油が抽出路17に導かれる状態(導かれる作動油が増量される状態)にすることも可能である。
また、作動油の劣化の判断により、作動油の使用限界が認識された場合、蒸気タービン1や循環系統11の運転を停止させ、作動油の交換等、必要なメンテナンスを実行する。
上述した工業用油の評価装置(評価方法)では、作動油の劣化により生じた酸性物質を水に溶かし込むと共に、正常な状態の作動油をヘキサンに溶かし込み、親水性の酸性物質、即ち、加水分解の劣化により生じた酸性物質が溶かし込まれた水の層のpHを評価し、作動油に存在していた酸性物質の濃度を把握して作動油の劣化を判断している。
このため、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に作動油の評価、即ち、劣化判断を行うことが可能になる。
また、上述した工業用油の循環装置は、上記評価装置を備えて作動油を循環させているので、特別な装置を用いることなく、早期に、簡易に、安価に、迅速に作動油の評価、即ち、劣化判断を行うことができる評価装置を備えた循環装置とすることが可能になる。
上述した実施例では、作動油(工業用油)として、リン酸エステルを例に挙げて説明したが、その他の作動油(油圧作動油等)や、潤滑油等、様々な工業用油を評価(劣化判断)の対象とすることが可能である。即ち、劣化に伴って親水性の酸性物質を生じる油(工業用油)であれば、基本的には、本発明の評価方法、評価装置を使用することができ、本発明の循環装置に適用することができる。
1 蒸気タービン
2 高圧タービン
3 中圧タービン
4 低圧タービン
5 発電機
6 復水器
8 蒸気弁
9 アクチュエータ
11 循環系統
12 貯留タンク
13 循環路
14 ポンプ
16 浄化手段
17 抽出路
18 循環ポンプ
19 洗浄フィルター
20 流量制御弁
21 分取路
22 容器
23 混合液体調製手段
24 pH計測手段
25 劣化判断手段
31 水層
32 油層

Claims (6)

  1. 評価対象の工業用油に対して、前記工業用油に含まれる酸性物質を溶解させる水、及び、前記工業用油を溶解させる親油性の試薬を混合し、混合した液体の水層の水素イオン濃度指数に基づいて前記工業用油の評価を行う
    ことを特徴とする工業用油の評価方法。
  2. 請求項1に記載の工業用油の評価方法において、
    前記水素イオン濃度指数が酸性の値である場合に、前記工業用油が劣化していると判断する
    ことを特徴とする工業用油の評価方法。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の工業用油の評価方法において、
    前記工業用油は、リン酸エステルであり、
    前記試薬は、ヘキサンである
    ことを特徴とする工業用油の評価方法。
  4. 工業用油の系統から工業用油が取り出される分取手段と、
    前記分取手段で取り出された前記工業用油に対し、前記工業用油に含まれる酸性物質が溶解される水を混合すると共に、前記工業用油が溶解される親油性の試薬を混合する混合液体調製手段と、
    前記混合液体調製手段で混合された混合液体の水層の水素イオン濃度指数を計測するpH計測手段と、
    前記pH計測手段の情報が入力され、前記pH計測手段の水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、前記工業用油に酸性物質が含まれていると判断する評価手段とを備えた
    ことを特徴とする工業用油の評価装置。
  5. 請求項4に記載の工業用油の評価装置において、
    前記工業用油は、リン酸エステルであり、
    前記試薬は、ヘキサンである
    ことを特徴とする工業用油の評価装置。
  6. 機器の作動を行う工業用油を貯留する貯留手段と、
    前記貯留手段と前記機器との間で前記工業用油を循環させる循環路と、
    前記循環路から前記工業用油を抽出して浄化し、浄化された前記工業用油を前記貯留手段に戻す浄化手段と、
    前記工業用油の前記浄化手段への抽出を制御する流通制御手段と、
    前記循環路から分岐して備えられ、前記工業用油を取り出す分取手段と、
    前記分取手段で取り出された前記工業用油に対し、前記工業用油に含まれる酸性物質が溶解される水を混合すると共に、前記工業用油が溶解される親油性の試薬を混合する混合液体調製手段と、
    前記混合液体調製手段で調製された混合液体の水層の水素イオン濃度指数を計測するpH計測手段と、
    前記pH計測手段の情報が入力され、前記pH計測手段の水素イオン濃度指数の値が7よりも小さい所定の値以下の場合に、前記油に酸性物質が含まれているとして前記工業用油が劣化していると判断する評価手段とを備えた
    ことを特徴とする工業用油の循環装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017144370A (ja) * 2016-02-16 2017-08-24 一般財団法人電力中央研究所 工業用油の保守方法及び工業用油の保守装置

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