JP2017059537A - 白色発光有機el照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 白色発光OLEDを照明光源に利用する場合、電力効率、寿命、色温度および演色性の性能を考慮しなければならない。しかし、電力効率の高い白色発光OLED光源を得れば色温度が低下する。一方、色温度を高くすると電力効率の低下や演色性の低下が顕著になる。そこで、低コストで電力効率、色温度、演色性が制御できる白色発光有機EL照明装置の実現が求められている。【解決手段】 本発明の白色発光有機EL照明は、少なくともR>W画素領域、G>W画素領域、B>W画素領域を設け、各領域の画素のサイズや形状を変えることにより白色発光の輝度、色温度および演色性を任意に調整・制御された白色有機EL照明装置を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は白色発光有機EL照明装置に係り、特に高い電力効率および高寿命の性能を有し、かつ色温度および演色性の調整が任意に可能な白色発光有機EL照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンスデバイス(Organic Electro-Luminescence Device:以下、OLEDと称する)は、有機EL材料を多層に薄膜積層した自発光デバイスで、適当な直流電流を流すと発光する。発光色は発光層のドーパント材料を選択することにより、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)はもとより黄色(Y)、橙色(O)、白色(W)など任意の発光を実現出来るデバイスで、特にディスプレイに於いては、液晶に代わる低消費電力・高画質・薄型の次世代の画像表示装置として、スマートフォンやTVのディスプレイとして既に実用化されている。また、白色有機EL発光源を応用した照明分野においても、電球に匹敵する高い演色性を持ち、かつ蛍光灯や発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下、LEDと称する)に匹敵する電力効率および寿命が実現されており、環境に配慮した次世代光源として、LEDと同様に注目され、普及が期待されている。
ディスプレイ分野においては、低分子系有機材料を真空中で蒸発させて多層有機薄膜を積層する真空蒸着法(低分子系真空蒸着法)によるフルカラー発光ディスプレイデバイスや白色発光とカラーフイルターを組み合わせたフルカラーディスプレイデバイスの実用化が為されている。また、照明分野においては、白色発光デバイスを用いた照明の実用化が進んでいる。
OLEDの有機薄膜の成膜法には、真空蒸着法の他にスクリーン印刷やインクジェットによる塗布法がある。例えば、高分子ポリマー系有機材料を印刷あるいはインクジェットにより塗布する方法、更には低分子系有機材料を溶媒に溶かし塗布する方法によるデバイス作製が試みられている。しかし、塗布法は比較的厚い膜を短時間で塗布できるため短タクト処理が可能であるが、膜厚の制御精度や性能・品質・寿命等において、未だ低分子系真空蒸着法に比べ劣っており、研究開発段階に止まっている。
図15は、従来のOLED110の基本デバイス構成を示す断面図である。従来の低分子系蛍光有機EL材料を用いたOLED110は、ガラス基板101上に透明電極102、正孔注入層(Hole Injection Layer:以下HIL)103、正孔輸送層(Hole Transfer Layer:以下HTL)104、発光層(Emission Layer:以下EML)105、電子輸送層(Electron Transport Layer:以下ETL)106および陰極107を順次積層したものである(例えば特許文献1参照)。
透明電極102は例えばインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:以下ITO)であり、HIL103は例えばCuPc(Copper phthalocyanine)やLG101等であり、HTL104は例えばp型電気伝導を示す有機薄膜であるNPB(N,N'-Bis(naphthalen-1-yl)-N,N'-bis(phenyl)-benzidine)等である。また、EML105は例えばホスト材としてAlq3(tris-(8-hydroxyquinoline)aluminum(III))等を用い、それにドーパント材を添加して発光色および発光効率を調整している。また、ETL106は例えばAlq3で、陰極界面にLiF(lithium fluoride)をドープしたn型電気伝導を示す有機薄膜等である。また、陰極107は例えば銀マグネシュウム合金あるいはアルミニウム等である。
高効率発光を示すOLEDを実現するためには、まず、有機EL材料そのものの性能向上に向けた改善が必要である。最近では、性能向上を図った蛍光材料を用いたOLEDで、図15の構造を進化させた薄膜構造、すなわちHTLを伝導率の高いp型ドープの第1HTL(以下HTL1)とノンドープの第2HTL(以下HTL2)の2層に分割したり、EMLにホスト(Host)とコホスト(Co-Host)の2種類のホスト材を用いたり、発光中心となる2種類のドーパント(Dopant)材を添加したりしている。また、ETLとしてAlq3の他にB−phen(Bathophenanthroline)を混ぜた2層構成にし、さらに耐湿性を向上させて長寿命化を図るために、および高導電率を持たせてデバイスの低電力化を図るために、陰極界面近傍にLiFを添加した層構造をETLとして採用している。
また、外部に取り出す光の効率、すなわち外部量子効率を向上させることが、OLEDの性能向上には極めて重要である。そのためには、屈折率の異なる多層薄膜からなるデバイス構造での光の透過・屈折・反射を含めた光学調整が十分になされることが重要となる。
例えば、陽極として用いているITOの屈折率はほぼ2であるが、有機EL薄膜材料の屈折率は1.6〜1.7台であり、また陰極の金属は光放射に対して反射鏡として働き、またガラス基板の屈折率は1.5であるため、EMLで発光した光は屈折率の異なる有機EL薄膜層/ITO/ガラス基板を通して外部に取りだされることになる。この場合、外部の屈折率1の空気層とガラス基板との界面、ガラス基板とITOとの界面、およびITOと有機EL薄膜との界面には、それぞれ入射される光と屈折する光の成分がある。この各層での光の屈折により、外部に取り出される光はロスする。
陰極/有機EL多層薄膜/ITO/ガラス基板/空気層からなるOLEDのデバイス構造では、ガラス基板/空気層間での屈折率の差に起因する光取り出し損失(基板ロス)は約34%であり、陰極/多層の有機EL薄膜層/ITO/ガラス基板間での多層の有機EL薄膜層の屈折率の差に起因する光取り出し損失(薄膜ロス)は約47%であるので、合計で81%近くがロスしている。従って、外部量子効率は、高々19%である。
蛍光有機EL材料の場合は、内部量子効率は、理論的に注入されたすべての電子と正孔が再結合して100%の電子―正孔対の励起子を作ったとしても、その25%しか発光に寄与できない。そのため、外部量子効率は、25%×約20%で求められ、高々5%にとどまっている。一方、燐光有機EL材料の場合は、内部量子効率は、理論的には100%発光に寄与できるため、上記デバイス構造の外部量子効率は20%まで向上する。
外部量子効率を向上させる方法としては、例えば、ガラス基板の表面に光取り出しフイルムを貼り付けて輝度の向上を図ったり、蛍光有機EL材料に変えて内部量子効率100%が期待できる燐光有機EL材料を採用してOLEDのデバイス性能の向上を図ろうとしている。
これに加えて、上記OLEDのデバイス構造では、内部で発光した光の透過光だけでなく、陰極で反射した光も含めて、効率良くガラス基板に光を入射させる為に、ITO及び多層有機EL薄膜の膜厚を最適化することを考える必要がある。なぜならば、外部に取りだされる光を最大にするためには、この多層有機EL薄膜層の膜厚をナノメータ単位で調整し、制御する必要がある場合があるからである。低分子系有機EL材料の薄膜成膜に使われる真空蒸着法はこれらの多層薄膜の膜厚を精密に制御できる成膜技術である。一般に、真空蒸着法は、高分子系有機EL材料の成膜に用いられる塗布法に比べて、成膜制御が格段に優れている。従って、この面でも、低分子系有機EL材料を用いたOLEDが実用化できている理由の一つに挙げられる。
ここで、OLEDの輝度および外部量子効率の向上には、多層有機EL薄膜の膜厚の調整に基づいた光学調整が必要であることの一例を説明する。
発光層の構成が一つからなるシングルユニットの発光OLEDである。図16(A)は赤色(R)発光OLEDの積層薄膜構成図、図16(B)はその発光スペクトル図であり、図17(A)は緑色(G)発光OLEDの積層薄膜構成図、図17(B)はその発光スペクトル図であり、図18(A)は青色(B)発光OLEDの積層薄膜構成図、図18(B)はその発光スペクトル図であり、図19(A)は黄色(Y)発光OLEDの積層薄膜構成図、図19(B)はその発光スペクトル図である。なお、薄膜構成図には材料とその膜厚を示し、OLEDのデバイス構造は図15と同様とする。また、図示は省略するが、HTL104は1層とせずにHTL1とHTL2の2層に分割することもでき、後述のようにHTL1とHTL2で異なった材料を用いる場合、あるいは異なった成膜方法でHTL1とHTL2を成膜する場合があるので、ここでは便宜上分けて説明する。
図16〜図19を参照して、R、G、B、Yの各薄膜構成図を比較すると、内部の光を効率良く外部に取り出す為には、金属反射鏡(陰極)から発光層までの距離、すなわちETLとEMLとHTLまでの全体の膜厚が関係していることが分かる。特に、HTLの膜厚の最適化がR、G、B、Yの発光スペクトル強度に強く依存する。HTL(HTL1とHTL2の合計)の膜厚が、Rでは100nm、Gでは50nm、Bでは60nm、Yでは100nmの場合に最大輝度を得られる。また、ETLの膜厚が、RとGでは50nm、Bでは25nm、Yでは40nmの場合に最適となる。EMLの膜厚が、Rでは30nm、Gでは20nm、Bでは35nm、Yでは30nmの場合に最適となる。従って、これらのHTL、ETLおよびEMLの膜厚の最適化が重要である。
そして、正面発光輝度を更に強力に高める方法の一つとして、発光層内の光の共鳴作用を利用した、すなわちマイクロキャビティ効果を取り入れたデバイス構造がある。
このマイクロキャビティ効果により正面輝度を向上させる一例には、スマートフォンの表示装置がある。このスマートフォンの表示装置は、トップエミッタ型OLEDで高分解のメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を使った蒸着法でR、G、B画素を塗り分けるフルカラーOLEDディスプレイを採用しており、輝度の向上および消費電力の低減に効果を発揮している(たとえば、特許文献2参照)。
OLEDでマイクロキャビティ効果を効果的に引き出すためには、トップエミッタ型OLEDの場合は、ITO膜(陽極)の下面に反射率の高い金属薄膜、例えばアルミニウムや銀薄膜を設け、多層に有機EL薄膜を成層した後、陰極には透過率を高めるために金属薄膜の膜厚を10nm程度に抑えた構造を採用して、これらの金属薄膜間で光の共鳴効果を起こさせる。これに対して、ボトムエミッタ型OLEDの場合は、EMLで発光した光をITO膜(陽極)の下面に反射率が高く、かつ透過率の高い半透過金属薄膜、例えば10nm厚の銀薄膜を設け、OLEDの陰極のAg-Mg合金層間で光の共鳴効果を起こさせる。
何れの構造でもマイクロキャビティ効果を顕在化させるためには、陽極と陰極の金属薄膜間のITOを含めた多層に積層した有機EL薄膜の膜厚を精密に調整する必要がある。
以下に、有機ELデバイスのマイクロキャビティ効果について説明する。図20〜図23は、一般的なボトムエミッタ型のR、G、B、Yのシングルユニットの発光OLEDである。図20(A)はR発光OLEDの積層薄膜構成図、図20(B)はその発光スペクトルおよび正面発光輝度を示す図であり、図21(A)はG発光OLEDの積層薄膜構成図、図21(B)はその発光スペクトルおよび正面発光輝度を示す図であり、図22(A)はB発光OLEDの積層薄膜構成図、図22(B)はその発光スペクトルおよび正面発光輝度を示す図であり、図23(A)はY発光OLEDの積層薄膜構成図、図23(B)はその発光スペクトルおよび正面発光輝度を示す図である。
各図(A)を参照して、R、G、B、Yの各OLEDは、ITO薄膜(陽極)の下面に銀薄膜が設けられる。この銀薄膜は、反射率を92%以上確保し、かつ透過率90%を超える半透過膜であり、その膜厚は10nmである。
また、各図(B)を参照して、図16〜図19に示すマイクロキャビティ効果を有しないR、G、B、Yの発光OLEDのスペクトル図とそれぞれ比較すると、マイクロキャビティ効果を有するR、G、B、Yの発光OLEDは、HTL(HTL1とHTL2の合計)の膜厚が、Rでは120nm、Gでは120nm、Bでは90nm、Yでは90nmの場合に最大輝度を得られる。また、ETLの膜厚が、Rでは50nm、Gでは50nm、Bでは20nm、Yでは20nmの場合に最適となる。EMLの膜厚が、RとGでは30nm、Bでは35nm、Yでは35nmの場合に最適となる。この様な条件設定を行うと正面輝度が2倍以上近くまで向上し、それと同時にスペクトル幅が縮小している。すなわち、OLEDの内部で発光した光は陰極と陽極の半透明金属膜との間で共鳴現象を起こすことにより、垂直方向に波長のより揃った単一波長に近い光の波となり、ガラス基板に入射する。ガラス基板と空気層の界面では回折成分が減少し、より多くの光が空気中に放出されていることを表している。このマイクロキャビティ効果を使うと、外部に放射される光束が増大し、外部量子効率の向上が図られることになる。従って、単一波長発光に近い発光波長のOLEDでのマイクロキャビティ効果の有効性は分かった。
それでは、続いて、白色発光OLEDではマイクロキャビティ効果を有効に使えるか如何かを考察する。
有機EL照明の最近の開発および事業化の状況としては、白色発光のOLEDを作製し、積極的にそれを照明光源に適用しようとする試みがこれまでになされて来ており、電力効率も100lm/Wを超える白色有機EL照明デバイスが開発されている。しかしながら、LED照明に比べて普及の速度が遅く、芳しく無い。その理由としては、性能およびコストがまだまだLEDに追いついていないことにある。性能は比肩できる程度にまで進歩してきては要るが、特にコスト面では圧倒的に差を付けられている。そうは云っても、LED同様に固体発光光源であり、地球環境に優しい次世代光源であるので、将来的にはLED照明と補完しながら普及して行くものと信じられている。
照明光源の性能の一つである電力効率の観点から見ると、電球は15lm/W程度の電力効率である。それに対して、蛍光灯の電力効率は100lm/Wであり、また、LEDも市販品の電力効率は100lm/Wと蛍光灯並みの性能をすでに発揮している。しかし、有機ELについては、実験室レベルでは、2cm角程度の大きさの試作パネルで輝度1,000cd/m2で120lm/Wを超えるものが開発されているが、輝度が30%低下する寿命、すなわちT70の寿命は10,000時間程度に止まっており、LEDの40,000時間に比べると見劣りしていた。
しかしながら、2014年頃から10cm角程度の大きさのパネルで、電力効率40〜60lm/W品が徐々に市場に出回り始めている。有機EL照明は、LEDや蛍光灯に比べるとまだまだ効率は低いが、輝度3,000cd/m2でT70が40,000時間の製品も上市される様になってきている。ただし、現状では10cm角のパネルで数千円以上と価格は未だまだ高く、広く普及する段階までには至っていない。
また、これまでに発表されてきた電力効率の高い有機EL照明パネルの色温度は3000〜2800K程度の電球色であり、色温度6500Kを超える昼光色あるいは色温度5000Kの昼白色系のパネルを求める要求が根強くある。ここで、白色光源の色温度とCIEとの関係を図25に示す。図25を参照して、色温度3000KはCIE(x,y)=(0.435,0.4)、色温度6500KはCIE(x,y)=(0,315,0.32)、色温度5000KはCI(x,y)=(0.345,0.35)の値となる。従って、白色発光の電力効率を云々する場合は同じCIEを示す光源で比較し無ければ、あまり意味をなさない。
演色性についてはJIS Z8726:1990(光源の演色性評価方法)としてJISで規格化されている。8色(R1〜R8)の色票を照明した時に生じる色ずれを指数として表したもので、演色評価数を平均したものが平均演色評価数(Ra)と定義されている。色ずれが全く起こっていないものをRa=100としており、太陽光線を照射した時に得られる。
有機EL照明パネルに限って云えば、高い色温度を実現しようと思うと電力効率および寿命が低下する欠点がある。それに対してLEDは色温度が6500Kと高くなれば電力効率も高くなる。その理由の一つに、白色LEDはもともと青色発光を蛍光体に照射して橙、赤に色変換しているので、青色発光成分が強く出てくるが、赤色発光成分の効率は低下し、低い色温度では電力効率は下がる。
一方、有機ELパネルで使われている有機EL材料の青色発光の効率は、緑色や赤色に比べて1桁以上効率が低く、発光しにくい欠点がある。また、比較的効率の良いと云われる青色は波長が450nmの純青色から470nmの空色へシフトしているので、高い色温度の白色発光は得にくい。その反面、OLEDではR、G、Bの光の3原色のみで白色発光を創るだけでなく、橙色発光や黄色発光を同時に混ぜ合わせる事が出来るので、所謂、可視光域全域に亘って切れ目のない発光を得ることが出来る。従って、LEDでは出来ない白色電球に匹敵する高い演色性を持つ白色光源を、電力効率を落とさずに、比較的容易に創りだすことが出来ることが大きな特長として挙げられる。
OLEDで白色光源を作る最も一般的な方法としては、青色と黄色の光の補色関係を利用する方法がある。この方法は緑色の発光が欠けているので演色性に問題を抱えているが、長寿命の比較的電力効率の良いデバイスが作れる。もう一つの方法はR,G,Bの3色の発光層を積層することである(特許文献2参照)。更に演色性を高め、かつ電力効率を上げるために、黄色あるいは橙色の発光を得ることが出来るドーパントを赤色発光層に加える方法もある。
ここでは、これらのOLEDは発光ユニットが一つとして括ることが出来るので、シングルユニット発光と呼ぶ。シングルユニット発光のOLEDは、2〜3層の発光層からなるデバイスである。この場合、発光層内の層の構成をどの様に組み立てるかによって、OLEDの効率が左右される。OLED中に流れる電流は陽極から注入された正孔がHIL/HTL/EML/ETLへと流れる。また、電子はこの反対に陰極から陽極へと流れる。有機ELの場合、正孔の移動度は10−4cm2/Vs程度で、電子の移動度は10−6cm2/Vs程度だといわれており、2桁ほど正孔の移動度が大きい。従って、電子は有機EL薄膜中を流れにくいといえる。そこで効率よく電子と正孔が再結合し、励起子を形成し発光に寄与させることが大事になる。
特開2007−36128号公報 特開2008−503871号公報
一般に、蛍光材料を用いた単色発光OLEDの電流効率は、Bで2〜5cd/A、Gで15〜30cd/A、Rで5〜8cd/A位だと報告されている。これらの電流効率を鑑みるとB<R<Gの関係にあるので、この順序で陰極からB発光層/R発光層/G発光層の構成を持つ発光層を形成し、HTL/HIL/陽極とすることにより、B、G、Rのそれぞれを効率良く発光させることが出来る。しかしながら、このような構成にしたとしても白色発光の効率は、発光効率の低いB発光に律速されることになる。
このことは燐光材料を用いたOLEDでも現状では変わらなく、電流効率はB<R<Gの関係にある。ただし、燐光材料を使った場合の理論的な内部量子効率は、蛍光材料に比べて4倍高いものが得られるので、それぞれの電流効率は蛍光材料に比べて1桁高いものが得られている。そのことから考えても、電力効率の高い有機EL照明パネルを実現するためには、燐光材料の選択および採用が必要である。
蛍光、燐光何れの材料を用いても、特に白色光源を作るにはB、G、Rの発光輝度のバランスを考慮することが大事であり、それは色温度を決めることになる。しかし、電流効率の低い青色を明るく光らせるために電流密度を上げていくと、B発光領域での劣化が激しくなり、OLEDとしての寿命が短くなる問題がある。
また、シングルユニット白色発光OLEDで正孔―電子のキャリアバランスを考慮し、R、G、Bそれぞれの輝度バランスを入れ込んだ白色ポイント、すなわち色温度を持ちながら、電力効率の高い照明パネルを作りこむことは困難である。従って、現状では、シングルユニット白色OLEDでは色温度を幾分犠牲にした、例えば電力効率を稼ぐには色温度も3000Kを切る低い照明パネル作りとなっている。
これに対し、色温度を犠牲にしないで電力効率や輝度および寿命を向上させる方法として、OLEDのデバイス構造をシングル発光ユニットに変えて、マルチ発光ユニットを持つタンデム構造やマルチホトン構造を採用する方法がある。これらマルチ発光ユニットのOLEDは、それぞれが一つの発光層として独立しているため、その発光層に最適な多層薄膜構造をとることができ、各発光層に向いた光学調整を行い量子効率の向上を図ることができる。しかしながら、マルチ発光ユニット構造には欠点もあり、プロセスがシングル発光ユニット構造に比べて倍以上に長くなり、生産性、歩留まりの点でも問題が生じる。そのため、付加価値の高い照明パネル向けのデバイス構造といえる。
最近では、燐光発光を用いた2つの発光ユニットからなる2層タンデム構造で100lm/Wを超える高い電力効率が得られ、T70の寿命も40,000時間を確保でき、色温度の調整も各ユニット間の発光スペクトルを調整することにより、比較的容易に出来ると言われていることから、有機EL照明としての量産技術にまで発展してきている。しかしながら、未だコストが高いという問題が残っている。コスト低減のためには、6G以上の大型ガラス基板を搬送できるラインの構築が求められるが、この問題を解消出来るのは大型投資が可能な僅かな企業に限られる。
そして、このタンデム構造のマルチ発光ユニットであっても、色温度の調節は、あらかじめ各発光ユニットの発光層の光学調整によりなされる。そのため、一度決めたものを変更したい場合には、発光ユニットの基本設計からやり直す必要があり、あらかじめ数種の色温度を持つデバイスの設計に基づいたパネルの生産を手がけ、数種の商品のラインナップで顧客のニーズに応えることになる。従って、商品の品種が増えれば増えるだけコストアップに繋がりかねない問題がある。
図24には、ボトムエミッタ型のシングルユニットで、R,G,Bの3色発光層構成の白色発光OLEDの一例を示す。図24(A)は白色発光OLEDの積層薄膜構成図、図24(B)はその発光スペクトル図である。なお、図24(A)の示す白色発光OLEDの積層構成は特許文献2に開示されているものと類似である。
図24(A)を参照して、白色発光OLEDにおいて、白色発光のEMLはR,G,Bの3層発光層構成であり、その積層順序は陰極側からB発光層(EML-B)、R発光層(EML-R)、G発光層(EML-G)であり、各膜厚はEML-Bが35nm、EML-Rが10nm、EML-Gが10nmである。また、HTL2の膜厚は10nmと固定し、HTL1の膜厚は40nmの設定である。この設定での発光スペクトルは、図24(B)に示す通りであり、CIE(x,y)=(0.3394,0.3357)成分からなる色温度が5165Kのバランスの取れた白色発光である。
ここでは、CIE(x,y)=(0.3394,0.33574)をとる白色発光が得られる様にOLEDの薄膜の膜構成を選択し、R、G、Bの各発光効率(cd/A)とその時の輝度を調整している。従って、白色発光の電力効率を最大にする為だけの条件下では、R,G,Bの輝度バランスを考慮せずに発光輝度を最大になる条件に設定する事になる。その条件に合致する様にHTL1の膜厚を調整すると赤色発光成分の強度が強くなり、色温度は低下する。これに対して、高い色温度を得る様にHTL1の膜厚を調整すると電力効率は低下することになる。
そのため、顧客の要求を十分満足させる為には、予め、各種異なった色温度および演色性を持つ照明パネル品をラインアップしておくと電力効率はそれに見合った値になる。また、電力効率と寿命を気にする顧客には、色温度や演色性の性能を度外視した照明パネル品も取りそろえて置く必要がある。この様にラインアップを豊富にしても、白色の色温度
や演色性はOLEDの作製において有機EL多層薄膜の構成に拠って決定されるので、変化でき得る幅は自と決まって来る。すなわち、図24に示すデバイス構造の白色発光OLEDの作製では、電力効率を向上させることと色温度を調整することとは別個のものと考え、設計しなければならない問題がある。
そこで、電力効率を変えずに任意に色温度を変えることができる有機EL照明パネルを作製する事が出来れば、上述したユーザの要求をすみやかに満足させることができ、そして、照明の応用範囲を広げる事ができる画期的な照明光源になると期待できる。
本発明は、上記の問題を鑑みて、高輝度領域で寿命を低下させずに電力効率を向上させ、かつ、一定の高い電力効率を保持したまま、所望の色温度や演色性をそれぞれ独立に選択し、制御できる白色発光OLEDパネルを提供することにある。
本発明の白色発光有機EL照明装置は、正孔注入層と、正孔輸送層と、少なくとも赤色、青色および緑色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した白色発光する白色画素を構成し、前記白色画素は、前記正孔輸送層の膜厚を選択して少なくとも赤色発光が強く光る白色サブ画素と緑色発光が強く光る白色サブ画素と青色発光が強く光る白色サブ画素から成るもので、前記白色画素が複数個配列されたことを特徴とする。
また、本発明の白色発光有機EL照明装置は、フロントハーフミラーと、正孔注入層と、正孔輸送層と、赤色、青色および緑色から選択された1色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した第1層発光層と、センターハーフミラーと、正孔注入層と、正孔輸送層と、赤色、青色および緑色から残された色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した第2層発光層とでタンデム型白色発光する白色画素を構成し、前記白色画素は、前記1層目の正孔輸送層の膜厚を選択して少なくとも赤色発光が強く光る白色サブ画素と緑色発光が強く光る白色サブ画素と青色発光が強く光る白色サブ画素から成るもので、前記白色画素が複数個配列されたことを特徴とする。
本発明の白色発光有機EL照明装置に依れば、単色発光波長を持つOLEDで表面輝度を高め、かつ出射光の波長幅を狭めることにより、電力効率を向上させる技術として使われているマイクロキャビティ効果を白色発光OLEDにも適用できることを明示し、その効果的な適用によって発光効率を向上させ、白色発光照明パネルでもわずかな設計変更で電力効率や寿命を保持したまま、色温度や演色性をそれぞれ独立に選択し、制御できる。
すなわち、OLEDに要求される重要な性能、つまり高電力効率、変化に富む色温度、高い演色性を同時に満足する白色発光OLEDのデバイスおよびパネル構造を実現できる。
更に、多少の製造上のコストアップをしても、タンデム型白色発光OLEDにもマイクロキャビティ効果を実現でき、それ以上に高付加価値の高い照明パネル構造を実現できる。
更に、色温度の最適化には画素の要素となるB>Wサブ画素領域(白色発光の中でB発光が強い領域)、G>Wサブ画素領域(白色発光の中でG発光が強い領域)、R>Wサブ画素領域(白色発光の中でR発光が強い領域)の各々のサイズを調整することにより、それぞれの正面輝度の変化が得られ、W画素としてのCIEの設定が可能となる。これにより、任意の色純度および色温度、または演色性を確保できる。すなわち、本発明の有機EL照明デバイスは、R>W画素、G>W画素、B>W画素、Y>W画素の領域を設けて、各々の画素のサイズや形状を変えることにより白色発光の輝度や色温度、演色性を任意に調整・制御された白色有機EL照明パネルを提供できる。
図1は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDを説明する断面図である。 図2は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDの構造を説明する図である。 図3は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDのR(608nm),G(520nm),B(476nm)成分の正面輝度および白色のスペクトル強度と第2正孔輸送層の膜厚との関係を説明する図である。 図4はxy色度図である。 図5(A)〜(C)は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDのR,G,Bの波長スペクトル図である。 図6(A)は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDのR,G,Bの各サブ画素構成の一例を説明する図であり、図6(B)はそのスペクトル図である。 図7(A)は本発明の第1の実施形態の白色発光OLEDのR,G,Bの各サブ画素構成の他の例を説明する図であり、図7(B)はそのスペクトル図である。 図8は本発明の第2の実施形態のR,G,B,Yの4層発光層構成の白色発光OLEDを説明する断面図である。 図9(A)は一般的な白色発光OLEDの構造を説明する図、図9(B)はそのスペクトル図である。 図10は本発明の第2の実施形態の白色発光OLEDの構造を説明する図である。 図11は本発明の第2の実施形態の白色発光OLEDのR(608nm),G(520nm),B(476nm),Y(572nm)成分の正面輝度と第2正孔輸送層の膜厚との関係を説明する図である。 図12(A)〜(D)は本発明の第2の実施形態の白色発光OLEDのR,G,B,Yの波長スペクトル図である。 図13(A)は本発明の第2の実施形態の白色発光OLEDのR,G,B,Yの各サブ画素構成の一例を説明する図であり、図13(B)はそのスペクトル図である。 図14(A)は本発明の第2の実施形態の白色発光OLEDのR,G,B,Yの各サブ画素構成の他の例を説明する図であり、図14(B)はそのスペクトル図である。 図15は従来の基本的なOLEDの構造を説明する断面図である。 図16(A)は従来の単色R発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図16(B)はその発光スペクトル図である。 図17(A)は従来の単色G発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図17(B)はその発光スペクトル図である。 図18(A)は従来の単色B発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図18(B)はその発光スペクトル図である。 図19(A)は従来の単色Y発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図19(B)はその発光スペクトル図である。 図20(A)はマイクロキャビティ効果を有する従来の単色R発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図20(B)はその発光スペクトル図である。 図21(A)はマイクロキャビティ効果を有する従来の単色G発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図21(B)はその発光スペクトル図である。 図22(A)はマイクロキャビティ効果を有する従来の単色B発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図22(B)はその発光スペクトル図である。 図23(A)はマイクロキャビティ効果を有する従来の単色Y発光シングルユニットの各薄膜構成を説明する図であり、図23(B)はその発光スペクトル図である。 図24(A)は一般的なR,G,B3層発光層構成白色発光OLEDの構造を説明する図、図24(B)はそのスペクトル図である。 図25は白色光源の色温度とCIEとの関係を説明する図である。 図26(A)は一般的な白色発光OLEDのタンデム構造を説明する図、図26(B)はその構造を説明する図、図26(C)はそのスペクトル図である。 図27(A)はフロントにハーフミラーを設けた白色発光OLEDのタンデム構造を説明する図、図27(B)はその構造を説明する図である。 図28(A)〜(D)は、それぞれ図27に示した白色発光OLEDのB(476nm),G(520nm),R(608nm),Y(560nm)成分のマイクロキャビティ効果を示すスペクトルを説明する図である。 図29(A)は、センターにハーフミラーを設けた白色発光OLEDのタンデム構造を説明する図、図29(B)はその構造を説明する図である。 図30(A)〜(D)は、図29に示した白色発光OLEDのB(476nm),G(520nm),R(608nm),Y(560nm)成分のマイクロキャビティ効果を示すスペクトルを説明する図である。 図31は、フロントハーフミラーとセンターにハーフミラーを設けた白色発光OLEDのタンデム構造を説明する図である。 図32(A)は図31に示した白色発光OLED本発明の構造を説明する図、図32(B)は白色発光OLEDのR(608nm),G(520nm),B(476nm),Y(560nm)成分の正面輝度と第2正孔輸送層の膜厚との関係を説明する図である。 図33(A)〜(D)は本発明の第3の実施形態の白色発光OLEDのB(476nm),G(520nm),R(608nm),Y(560nm)成分のマイクロキャビティ効果を示すスペクトルを説明する図である。 図34は、本発明の第3の実施形態の白色発光OLEDの構造を説明する図である。 図35(A)は本発明の第3の実施形態の白色発光OLEDのR,G,B,Yの各サブ画素構成の一例を説明する図であり、図37(B)はそのスペクトル図である。 図36(A)は本発明の第3の実施形態の白色発光OLEDのR,G,B,Yの各サブ画素構成の他の例を説明する図であり、図36(B)はそのスペクトル図である。 図37(A)(B)は、各サブ画素構成の他の例におけるスペクトル図である。 図38(A)(B)は、各サブ画素構成のさらに他の例におけるスペクトル図である。 図39はxy色度図である。
図1〜図14を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態の有機エレクトロルミネッセンスデバイス(Organic Electro-Luminescence Device:以下、OLEDと称する)の構造を説明する断面図である。第1の実施形態のOLEDは、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色発光からなる白色発光有機EL照明装置にマイクロキャビティ効果を働かせる構造である。
基板11は、例えばガラスまたはプラスチックなどの絶縁性材料による透明基板である。基板11には金属を所望の形状にパターンニングしたバスライン(不図示)が設けられる。
第1電極12は、基板11上に設けられた半透明金属薄膜である。例えば、Ag−Mg合金膜等からなり、透過率の高い半透過性を有し、且高い反射率を維持できる金属薄膜としての膜厚は10〜30nmに設けられる。尚、以下の説明では、図1(図2以降も同様)の断面図で紙面の上端方向を上(方)、下端方向を下(方)、右端方向を右(方)、左端方向を左(方)として説明する。
第2透明電極13は、OLED1の陽極となる透明電極である。例えば、インジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)膜である。ITO膜13は基板11上に、例えば60nmの膜厚に設けられ、図6、図7、図13、図14に示される様な画素の所望の形状にパターニングされる。
ITO膜13上には、将来白色画素およびサブ画素領域を確定するパターニングされた絶縁膜14、例えばポリイミド膜14が設けられる。例えば、100nmの膜厚に設けられ、所望の形状にパターニングされる。ここでは、右方のパターニングされた領域を第1サブ画素領域14aとし、中央のパターニングされた領域を第2サブ画素領域14bとし、左方のパターニングされた領域を第3サブ画素領域14cとする。
ポリイミド膜でパターン化されたITO膜13上には、正孔注入層(HIL)15が塗布法によりメタルマスクを用いないで全面に塗布される。例えば、10nmの膜厚に塗布される。
HIL15上には、第1正孔輸送層(HTL1)16の第一層16aが塗布法によりメタルマスクを用いないで全面に形成される。例えば、HTL1の第一層16aは10nmの膜厚に、第1サブ画素領域14a、第2サブ画素領域14b、第3サブ画素領域14c内に形成される。HTL1の第一層16aは、将来、白色発光の中で青色発光強度が強い「B>Wサブ画素」となる層である。
続いて、HTL1の第一層16a上には、HTL1の第二層16bが塗布法によりパターニング形成される。例えば、HTL1の第二層16bは30nmの膜厚に、第2サブ画素領域14b、第3サブ画素領域14c内にメタルマスクを用いてパターニング形成される。HTL1の第二層16bは、将来、白色発光の中で緑色発光強度が強い「G>Wサブ画素」となる層である。
さらに続いて、HTL1の第二層16b上には、HTL1の第三層16cが塗布法によりパターニング形成される。例えば、HTL1の第三層16cは50nmの膜厚に、第3サブ画素領域14c内にメタルマスクを用いてパターニング形成される。HTL1の第三層16cは、将来、白色発光の中で赤色発光強度が強い「R>Wサブ画素」となる層である。
なお、以下、白色有機EL照明パネルにおいて、白色発光する基本の白色画素を「W画素」とし、W画素の中でも赤色発光が強い領域をここでは便宜上「R>W画素」と呼び、またW画素の中でも緑色発光が強い領域をここでは便宜上「G>W画素」と呼び、さらにW画素の中でも青色発光が強い領域をここでは便宜上「B>W画素」と呼ぶ事にする。
HTL1 16の上には、真空蒸着法により第2正孔輸送層(HTL2)17を積層する。このように、順次、OLEDを構成する複数の有機薄膜が積層される。
OLED1は、第1電極12側から、ITO膜13、ポリイミド膜14、HIL15、HTL1 16(16a,16b,16c)までは大気中で処理される。そして、これ以後のHIL2 17、発光層(Emissive Layer:以下EML)18、電子輸送層(Electron Transport Layer:以下ETL)19は真空中で処理される。EML18は、緑色発光層(GEML)18a、赤色発光層(REML)18b、青色発光層(BEML)18cで構成され、HTL2上にこの順番に積層される。
ETL19はEML18上に設けられ、例えばAlq3などからなり膜厚は45nm程度である。なお、ETL19とEML18の間に、正孔注入防止壁HB(Hole Blocking Layer)を設けてもよい。HBは、例えばNPBなどからなり膜厚は5nm程度である。蛍光材料を用いたOLEDはHBを必ずしも必要でないが、燐光材料を用いる場合に於いてはHBを設ける事により電流効率を向上させる事が出来るので、HBを設ける事は必須である。
EL層(ETL19)の上には、第3電極20が設けられる。第3電極20は、OLEDの陰極となる。第3電極20は、例えばアルミニウム(Al)層あるいは銀(Ag)層などからなり、膜厚は100nmである。
EL層は、第2電極13から注入されたホールと、第3電極20から注入された電子とが発光層18、すなわちBEML18c/REML18b/GEML18c層の内部で再結合し、発光層18を形成する有機分子を励起して励起子が生じる。この励起子が放射失活する過程で発光層から光が放たれる。この光の一部は、第3電極20に反射されるものがある。また、内部で発光した大部分の光は、直接に透明な第2電極13を透過し、第1電極12で反射されて第3電極20側に戻る成分と、第1電極12を透過してガラス基板11に入射し、ガラス基板11を介して外部へ放出される成分である。EL層内部で多重反射された光は共鳴現象、つまりマイクロキャビティ効果によって直進性の高い波となり、その波長幅も狭められる。
ここで、図2〜図5を用いて、ボトムエミッタ型のシングルユニット白色発光OLEDのマイクロキャビティ効果の有無と、陽極と陰極の金属薄膜間のITO膜を含めた多層積層有機EL薄膜の膜厚との関係について説明する。
図2は、ボトムエミッタ型のシングルユニットで、マイクロキャビティ効果を有するR,G,Bの3色発光層構成の白色OLEDの積層薄膜構成図である。図3は、図2に示す白色OLEDのHTL1を0〜130nmまで変化させた場合の白色発光正面輝度の変化及び白色発光に含まれるR(608nm),G(520nm),B(475nm)の各発光成分の正面輝度変化のシミュレーション結果を示す図である。図4はxy色度図である。図5(A)は赤色の発光輝度を示すスペクトル図であり、図5(B)は緑色の発光輝度を示すスペクトル図であり、図5(C)は青色の発光輝度を示すスペクトル図である。
図3を参照して、このOLEDは、HTL1の膜厚が40nm近傍でCIE(x,y)=(0.3394,0.3357)を示す白色発光が得られた(図4の黒塗の星印を参照)。この白色発光をR,G,Bに分解してみると、HTL1の膜厚が10nm近傍で青色(B)発光の最大値を、HTL1の膜厚が40nm近傍で緑色(G)発光の最大値を、HTL1の膜厚が90nm近傍で赤色(R)の正面輝度の最大値を示す事が解る。このことから白色発光の色温度を変化させたい場合には、HTL1の膜厚を所望の厚みに設定することで達成できる事が解る。しかしながら、一旦HTL1の膜厚を設定してしまうと色温度は決まってしまい、任意に調節する事は出来無くなる。一方、色温度を変えたい場合には、HTL1の厚みを変えた白色発光OLEDを新たに作製しなければならない。色温度を変化させるためにHTL1の膜厚を変えると白色発光輝度も変わり、電力効率も下がってしまうというマイナス要因が出て来る。
そこで、電力効率を変えずに任意に色温度を変えることができる有機EL照明パネルが作製する事が出来れば、ユーザの要求をすみやかに満足させることが出来、照明の応用範囲を広げることが出来る画期的な照明光源になると期待できる。
これまでに、トップエミッタ型のR,G,Bの三色発光からなる白色発光OLEDにマイクロキャビティ効果を働かせる考えはある(例えば、特開2012−238854の図4を参照)。しかしながら、このトップエミッタ型の三色発光からなる白色発光OLEDは、R,G,Bの各波長のマイクロキャビティ効果を発揮させるための光学長の調整を陽極に用いられているITO膜の膜厚で行っている。ITO膜の膜厚は、R,G,Bの各波長に対応する厚みで制御され、その他の多層積層膜はR,G,BのそれぞれのOLEDで同一の膜厚を採用している。特に、赤色発光のOLEDではITO膜の膜厚は100nm以上と厚くなる。ITO膜の膜厚が厚くなるとITO膜での透過率が低下して光の減衰が起きるが、このデバイスはトップエミッタ型OLEDであるので陰極側の外部へ取り出す光に対する影響は少ないものと判断出来る。
しかしながら、ボトムエミッタ型OLEDでこの様な手法を採用すると、ITO膜を通過する光の減衰がそのまま外部に取りだされる光の効率に寄与するので、効果的なマイクロキャビティ効果は生み出せなくなる。従って、ITOの膜厚を光学長の調整に用いる事は難しい。
そこで、本発明の白色発光OLEDは、図2に示す様に、ボトムエミッタ型のR,G,Bの3色発光構成の白色発光OLEDでマイクロキャビティ効果の機能を持たせるためにITO膜の下面に半透過Ag膜を10nmの膜厚で設置し、HTL(HTL1およびHTL2)の膜厚を変化させて、光学長調整を行う構成になっている。
上述のように、図3を参照して、白色発光の正面輝度をR,G,Bの成分に分解したスペクトルのHTL1の膜厚の依存性を見ると、Bでは10nm、Gでは40nm、Rでは90nm近傍に各ピークが見られる事が解る。
このことから、R,G,Bのそれぞれのピーク位置に合致する様にHTL1の膜厚を設定すると、Rについては、図5(A)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトル(図24(B)参照)に比べて608nm近傍にピークを持つ赤色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。赤色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3394,0.3357)から(0.3957,0.2728)に変化する。また、Gについては、図5(B)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトルに比べて520nm近傍にピークを持つ緑色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。緑色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3394,0.3357)から(0.2390,0.4181)に変化する。さらに、Bについては、図5(C)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトルに比べて510nm近傍にピークを持つ青色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。青色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3394,0.3357)から(0.1813,02356)に変化する。
以上のことから解る様に、白色発光OLEDでもHTL1の膜厚を最適化することによりR,G,Bのそれぞれの発光輝度が強く得られ、白色発光デバイスを造ることが出来ることを示唆している。
本発明はこのマイクロキャビティ効果を積極的に白色有機ELパネル作製に取りいれる事によって、通常のデバイス構造で得られる白色発光にマイクロキャビティ効果により顕在化した発光を重乗させた効果が得られる為、高い電力効率を維持しながら、色温度や演色性を制御できる。
白色発光の色温度はCIEのx値、y値を制御することによってCIE(x,y)の白色点を決める事によって決まる。また、演色性については白色発光のスペクトル分布を調整する事によって高める事ができる。例えば、太陽光と同じ連続スペクトルを持つ光源は最も演色性が高い。それに準じたスペクトル分布を持つ電球は、演色性は高いが、蛍光灯や青色発光を基調としたて白色LEDは演色性が劣る。有機ELの白色発光を創り出す場合に於いては発光層の構成をR,G,B3波長構成だけでは不十分であるので、発光層をR,G,B,Yの4波長構成とすることにより高めることができる。
図6は本実施形態のOLED1の製造方法に従って作製された白色発光OLEDを示している。
基本のW画素としては、赤色発光が強く光る白色サブ画素(R>W画素)、緑色発光が強く光る白色サブ画素(G>W画素)、青色発光が強く光る白色サブ画素(B>W画素)を各サブ画素として備える。有機EL照明装置は、このW画素を複数配列された照明パネルを設計して作り込むことにある。各サブ画素のサイズは白色照明として利用する場合に不自由を感じない大きさで有れば良い。例えば、数ミリ程度も有れば良い。ここでは、画素およびサブ画素の形状は四角形としているが、それ以外の形状、例えば三角形でも円形でも良い。
また、そのパネルのW画素のCIE(W)は、R>Wサブ画素のCIE(R)と、G>Wサブ画素のCIE(G)と、B>Wサブ画素のCIE(B)の3つのサブ画素構成から成り、以下の式(数1)で定義することができる。
図6(A)を参照して、白色照明は、各サブ画素のサイズが等しい四角形とし、RとGを左右に並べて配置し、その中央上部にBを配置する。上述のように、R,G,Bの各サブ画素のCIEバランスは白色以外に偏っているが、画素全体のCIEバランスはCIE(x,y)=(0.2754,0.3007)であり取れている(図4の斜線でハッチングした星印を参照)。色温度は9887Kである。その白色発光のスペクトルは図6(B)に示す。このデバイスはR,G,B3波長構成であるので、580nm近傍の発光が欠落しているので、演色性はRa=59.1%であり、不足している。
図7は、本実施形態のOLED1の製造方法に従って作製されたもので、他の形態に変化させた白色発光OLEDを示している。
R>W,G>W,B>Wの各サブ画素のサイズを別の態様に変化させることにより、色温度や演色性の調整をすることができる。R>Wサブ画素,G>Wサブ画素,B>Wサブ画素のそれぞれのサイズを変化させ、それぞれのサブ画素から得られるCIE(x,y)を考慮し、所望の色温度あるいは演色性を満足させるものである。
例えば、図7(A)を参照して、B>Wサブ画素のサイズを一番大きくし、その次にR>Wサブ画素、G>Wサブ画素を最小のサイズにした場合に、それぞれのサブ画素で得られるCIEを組み合わせてW画素のCIEとし、CIEの調整がサブ画素サイズの調整により可能となる。具体的には、一例として各画素のサイズをB:R:G=3:2:1の比率に設定する。
そのパネルのW画素は、R>Wサブ画素のCIE(R)、G>Wサブ画素のCIE(G)、B>Wサブ画素のCIE(B)にそれぞれの画素の輝度成分、すなわち各画素の面積成分を考慮した3つのサブ画素構成から為り、以下の式(数2)で再定義できる。
ここで、Srは赤色発光が強く光る白色サブ画素(R>Wサブ画素)の面積、Sgは緑色発光が強く光る白色サブ画素(G>Wサブ画素)の面積、Sbは青色発光が強く光る白色サブ画素(B>Wサブ画素)の面積を表している。Stは各画素面積の合計を表し、すなわち、St=Sr+Sg+Sbである。
図7(B)にR,G,Bのそれぞれの画素サイズをB:R:G=3:2:1に変えた場合のスペクトルを示す。この時のCIE(x,y)=(0.2642,0.2735)である(図4の白塗の星印を参照)。色温度は13833Kであり、演色性はRa=47.9%である。
ここで、図示は省略するが、実施例の追加としては画素サイズをそれぞれに変化させ比率をB:R:G=1:14:2に変えた場合に得られる白色発光OLEDはCIE(x,y)=(0.3683,0.2842)、色温度が3385K、演色性がRa=40.5%を得られ、暖色系の白色照明パネルを作製することもできる。
以下に、図6および図7の白色発光OLEDを効果的に実現するための本発明の白色発光OLED1の製造方法を説明する。
本発明の第1の実施形態の白色発光OLED1は、ITO膜13の全面に半透明金属膜12を備えることにより、マイクロキャビティ効果を有するサブ画素として使われるものである。R,G,Bの各波長のマイクロキャビティ効果を強調した領域をサブ画素、例えばR>Wサブ画素(第3サブ画素領域14c)、G>Wサブ画素(第2サブ画素領域14b)、B>Wサブ画素(第1サブ画素領域14a)として作りだすには、マイクロキャビティ効果を生み出す多層薄膜構成からなるOELDデバイス構造において、HTL1薄膜層の膜厚をR,G,B画素にそれぞれ適した膜厚に変化させることだけで、W画素の中にR,G,Bそれぞれのマイクロキャビティ効果を生み出す事が出来る。従って、本発明の基本要素プロセスは、R>Wサブ画素,G>Wサブ画素,B>Wサブ画素のHTL1でそれぞれ異なる膜厚を持つ領域をパターン化して作り込むことにある。
その各サブ画素の領域は膜厚をそれぞれ所定の厚みにしたHTL1を、図1に示したデバイスの断面図から解る様に、予めパターンしたものを基板として採用することで実現出来る。
また、ディスプレイとは異なり、照明パネルは性能もさることながらコスト重視が強く要求されるので、膜厚の異なったHTL1をパターン化するには、ディスプレイで通常使われているメタルマスクによる選択成膜はコスト的には不利である。従って、HTL1のパターニングには3回塗布のスクリーン印刷法が適していると考えられる。
ガラス基板上に半透過の膜厚10nmを持つAg薄膜をスパッタあるいは蒸着で成膜した後にITO膜厚60nmをスパッタ成膜したものを基板として用いる。
そのITO付き基板に予め絶縁材料、例えばポリイミド材を100nm塗布し、R>Wサブ画素、G>Wサブ画素、B>Wサブ画素の各サブ画素の境界およびW画素間の境界にはポリイミド膜(絶縁膜)で出来たバンクが設けられる。このバンクの形成はフォトリソによるパターニングで形成が可能である。各領域の形状、サイズはどの様な仕様の白色有機ELパネルを造るかの設計によって決められる。
その上にスクリーン印刷で所望の膜厚10nmのHILを全面に塗布した後、B>Wサブ画素となる領域を含めた全面に10nm厚のp型ポリマー材、例えばPDOT/PSSあるいは溶液に容解できるp型低分子材を塗布する。その後にG>Wサブ画素となる領域に同じ材料を再度所望の膜厚40nmをパターニング塗布する。さらに、R>Wサブ画素となる領域に同じ材料を用いて90nm厚をパターニング塗布し、B>Wサブ画素、G>Wサブ画素、R>Wサブ画素領域を確定する。
この様な塗布方式により正孔注入層、HILおよび第1正孔輸送層、HTL1をスクリーン印刷法で塗布し、パターニングした後に、p型低分子材料、例えばNPBを真空蒸着法により所望の膜厚10nmを成膜し、第2正孔輸送層(HTL2)とし、その後順次発光層(EML)、電子輸送層(ETL)を成膜し形成した後、陰極としてAgを蒸着成膜しマイクロキャビティ効果付き白色有機EL照明パネルとする。
なお、有機EL薄膜形成に高分子系あるいは容液タイプの低分子系有機EL材を用いた塗布法と低分子系有機EL材を用いた真空蒸着法のハイブリッド材をコンビネーションで成膜する方法は、厚い膜厚を必要とするHTLの成膜に塗布法と蒸着法を併用することにより、デバイス性能を高性能に維持しながら、生産性を向上させることが出来るメリットがある。すなわち、第1の(先の)成膜工程でHTL全体の大半の膜厚(HTL全体の2分の1以上の膜厚)を有するHTL1を塗布法により成膜しタクトの短縮を図る。そして、HTLとしての残りの膜厚分の膜厚を有するHTL2を第2の(後の)成膜工程で蒸着法により成膜する。この場合蒸着法であるので膜厚の精密な制御が可能となりデバイスの高性能化を実現できる。
OLEDの有機薄膜の成膜方法において、生産性を考慮した場合は塗布法が好適であるが、多層の有機薄膜の積層構造を形成することが困難である。そのため、一般的に、塗布法で成膜する場合にはHTLとETLの2層積層構造のOLEDが開発され、実用化段階を迎えている。一方、有機薄膜が多層に積層された構造では、各有機薄膜を塗布法で成膜することが困難であるため、一例として、各有機薄膜に低分子有機材料を用いた真空蒸着法が多層薄膜積層構造の有機EL照明パネルの作製にも採用されている。
〔第2の実施形態〕
上述した第1の実施形態であるR,G,B3色発光構成からなる白色発光OLEDに比べて、更に演色性の向上を図ったデバイス構造にするには、発光波長構成をR,G,B,Yの4色発光層とした白色発光OLEDのデバイス構造が考えられる。後述の図9に示すように、この白色発光のスペクトルは、図24に示したR、G、B3色発光構成の白色発光のスペクトルで欠落していたY発光が補充されている。従って、太陽光に近いほぼ連続波長の発光が得られているので、演色性は高まっている。
なお、Yに代えて発光波長構成をR,G,B,O(橙色)の4色発光層としてもよい。なぜならば、図4のCIE図に示されている様に黄色(Y)の波長は560〜575nm帯にあり、橙色(O)の波長は570〜585nm帯に有る。即ち、YとOとを明確に区別をすることは難しいと考えられ、つまり有機ELでの発光では単一波長の発光が出ているのでなく、幅を持った帯状のスペクトルにあるからである。従って、第2の実施形態では、後述の図11に示すように、Yの波長を572nmに固定し、即ちYとOとの境界の波長を用いて実施している。よって、RGBYあるいはRGBOを示すデータである。
便宜上、ここではR,G,B,Yの4色発光層の場合として説明する。なお、以下、第1の実施形態と重複する部分の説明は省略する。
図8は、本発明の第2の実施形態の有機エレクトロルミネッセンスデバイス1の構造を説明する断面図である。第2の実施形態のOLED30は、赤(R),緑(G),青(B),黄色(Y)の4色発光からなる白色発光OLEDにマイクロキャビティ効果を働かせる構造である。R,G,B,Yの4色発光構成の白色発光OLEDは、R,G,Bの3色発光構成からなる白色発光OLED1に比べて、更に演色性の向上を図ったデバイス構造である。
ここで、図9〜図11を用いて、ボトムエミッタ型のシングルユニット白色発光OLEDのマイクロキャビティ効果の有無と、陽極と陰極の金属薄膜間のITO膜を含めた多層積層有機EL薄膜の膜厚との関係について説明する。
図9(A)はボトムエミッタ型のシングルユニットで、マイクロキャビティ効果の無いR,G,B,Yの4色発光層構成の白色OLEDの積層薄膜構成図で、図9(B)はそのスペクトル図である。図10は、ボトムエミッタ型のシングルユニットで、マイクロキャビティ効果を有するR,G,B,Yの4色発光層構成の白色OLEDの積層薄膜構成図である。図11は、図10に示す白色OLEDのHTL1を0〜110nmまで変化させた場合の白色発光に含まれるR,G,B,Yの各発光成分の正面輝度変化のシミュレーション結果を示す図である。図12(A)は赤色の発光輝度を示すスペクトル図で、図12(B)は緑色の発光輝度を示すスペクトル図で、図12(C)は青色の発光輝度を示すスペクトル図で、図12(D)は黄色の発光輝度を示すスペクトル図である。
なお、図9に示すマイクロキャビティ効果の無いRGBYの4色発光層構成の白色OLEDは、CIE(x,y)=(0.3384,0.3871)である(図4の黒塗の三角形を参照)。色温度は5712Kであり、演色性はRa=84.5%である。
図11を参照して、このOLED30は、HTL1の膜厚が80nm近傍で白色発光の輝度の最大値を示した。この白色発光をR,G,B,Yに分解してみると、HTL1の膜厚が10nm近傍で青色(B)発光の最大値を、HTL1の膜厚が40nm近傍で緑色(G)発光の最大値を、HTL1の膜厚が90nm近傍で赤色(R)発光の最大値を、HTL1の膜厚が70nm近傍で黄色(Y)発光の正面輝度の最大値を示すことが解る。
このことから、R,G,B,Yのそれぞれのピーク位置に合致するようにHTL1の膜厚を設定すると、Rについては、図12(A)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトル(図9(B)参照)に比べて、610nm近傍にピークを持つ赤色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。赤色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3384,0.3871)から(0.4626,0.3657)に変化する。また、Gについては、図12(B)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトルに比べて、510nm近傍にピークを持つ緑色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。緑色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3384,0.3871)から(0.3226,0.4709)に変化する。さらに、Bについては、図12(C)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトルに比べて、470nm近傍にピークを持つ青色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。青色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3384,0.3871)から(0.2560,0.3024)に変化する。さらに、Yについては、図12(D)に示される様に、マイクロキャビティ効果を持たない白色発光スペクトルに比べて、550nm近傍にピークを持つ青色発光の正面輝度が強く表われる白色発光が得られる。黄色の正面輝度の増大によって、図4を参照して、CIE(x,y)は(0.3384,0.3871)から(0.3996,0.4675)に変化する。
以上のことから解る様に、白色発光OLED30でもHTL1の膜厚を最適化することにより、R,G,B,Yのそれぞれの発光輝度が強く得られ白色発光デバイスを造ることが出来ることを示唆している。
図13(A)は本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製された白色発光OLEDの画素構成を、図13(B)はその白色スペクトルをそれぞれ示している。
基本のW画素としては、R>W画素,G>W画素,B>W画素,黄色発光が強く光る白色サブ画素(Y>Wサブ画素)を各サブ画素として備える。なお、Yに代えて発光波長構成をR,G,B,O(橙色)の4色発光層とした場合には、Y>Wサブ画素に代えて、橙色発光が強く光る白色サブ画素(Or>Wサブ画素)を備えることとなる。
また、そのパネルのW画素のCIE(W)は、R>Wサブ画素のCIE(R)と、G>Wサブ画素のCIE(G)と、B>Wサブ画素のCIE(B)と、Y>Wサブ画素のCIE(Y)の4つのサブ画素構成から成り、以下の式(数3)で定義することができる。
図13(A)を参照して、白色照明は、各サブ画素のサイズが等しい四角形とし、RとGを左右に並べて配置し、その上部にBとYを左右に並べて配置する。R,G,B,Yの各サブ画素のCIEバランスは白色以外に偏っているが、画素全体のCIEバランスはCIE(x,y)=(0.3692,0.4032)でありバランスが取れている(図4の斜線でハッチングした三角形を参照)。色温度は4463Kで、演色性Ra=79.7%である。
図14(A)は、本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製されたもので、他の形態に変化させた白色発光OLEDの画素構成を、図14(B)はそのスペクトルをそれぞれ示している。
R>W,G>W,B>W,Y>Wの各サブ画素のサイズを別の態様に変化させ、それぞれのサブ画素から得られるCIE(x,y)を考慮することにより、所望の色温度あるいは演色性を満足させるものである。例えば、図14を参照して、B>Wサブ画素のサイズを一番大きくし、その次にR>Wサブ画素、G>Wサブ画素を最小のサイズにした場合、つまりB:R:Y:G=4:3:2:1に比率を設定した一例の場合、それぞれのサブ画素で得られるCIEを組み合わせてW画素のCIEとし、CIEの調整がサブ画素サイズの調整により可能となる。この時のCIE(x,y)=(0.3647,0.3752)である(図4の白塗の三角形を参照)。色温度は4444Kで、演色性はRa=83.1%である。
そのパネルのW画素は、R>Wサブ画素のCIE(R),G>Wサブ画素のCIE(G),B>Wサブ画素のCIE(B),Y>Wサブ画素のCIE(Y)にそれぞれの画素の輝度成分、すなわち各画素の面積成分を考慮した4つのサブ画素構成から為り、以下の式(数4)で再定義できる。
ここで、Srは赤色発光が強く光る白色サブ画素(R>Wサブ画素)の面積、Sgは緑色発光が強く光る白色サブ画素(G>Wサブ画素)の面積、Sbは青色発光が強く光る白色サブ画素(B>Wサブ画素)の面積、Syは黄色発光が強く光る白色サブ画素(Y>Wサブ画素)の面積を表している。Stは各画素面積の合計を表し、すなわち、St=Sr+Sg+Sb+Syである。
以下に、図13および図14の白色発光OLEDを効果的に実現するための本発明の白色発光OLED1の製造方法を説明する。なお、第1の実施形態と異なる部分のみを説明する。
膜厚の異なった所定のHTL1をパターニング形成する工程のうち、R,G,B、Yの4つのサブ画素が形成できる様な膜厚の異なったHTL1を塗布形成することが異なる。それに伴い、発光層の構成工程において、R,G,Bの3層構成からR,G,B,Yの4層構成に変わることが異なる。
〔第3の実施形態〕
上述したOLEDに比べて、より電力効率及び色温度・演色性の向上を図るデバイス構造として、2層タンデム型白色発光デバイスが考えられる。以下、図26〜図39を参照して、タンデム型白色発光有機EL照明パネルについて詳細に説明する。
図26(A)は、2つの発光ユニットを縦方向に積層した2層タンデム型白色発光デバイス40である。2層タンデム型白色発光デバイス40は、B発光のみから成る第1層発光ユニットデバイス41と、G/Y/Rの3つの発光である3層発光層から成る第2層発光ユニットデバイス42とを、タンデム型構造にしたものである。一般的に、第1層発光ユニットデバイス41と第2層発光ユニットデバイス42との電気的な接続は、透明の伝導性有機薄膜あるいは透明・半透明の導電性無機薄膜電極、例えばITOや半透明金属で接続する。なお、第1層発光ユニットデバイス構造で用いる電子輸送層(以下、ETLと称する場合もある)と第2層発光ユニットデバイス構造で用いる正孔注入層(以下、HILと称する場合もある)とを直接接続しても、電気的には接続可能である。ただし、ETLとHILとの間には、バンド構造の違いから電位差が生じ、電圧ロスが生まれるが、高々0.5V程度であるので、問題はない。
図26(B)は、図26(A)に示すタンデム型構造の積層膜構成図である。図26(B)に示す白色発光デバイスの構成は、第1層発光層にB発光(図26(B)の層番号No.6)を用い、第2層発光層にR発光(図26(B)の層番号No.10)/Y発光(図26(B)の層番号No.11)/G発光(図26(B)の層番号No.12)を用いる。第1層発光層と第2層発光層は、N型伝導を示す有機EL薄膜(以下、ETLと称する場合もある。なお、図26(B)の層番号No.7である。)と、P型伝導を示す有機EL薄膜(以下、HIL2と称する場合もある。なお、図26(B)の層番号No.8である。)とを直接コンタクトすることにより、電気的に接続される。本発明では、このN型コンダクターとしてのETLとP型コンダクターとしてのHIL2の2層が、コンダクター層を兼ねた構造になっている。
図26(C)は、第1正孔輸送層(以下、HTL1と称する場合もある)の膜厚を50nmとした時のデバイスの発光スペクトル図である。図26(A)に示す2層タンデム型白色発光デバイスは、CIE(x,y)=(0.3212,0.3706)である。色温度は、5929Kの白色発光であり、演色性は、Ra=71%であり、昼光色に近い昼白色光源である。なお、図26に示した2層タンデム型白色発光デバイスではマイクロキャビティ効果を得ることはできない。
ここで、本発明では、マイクロキャビティ効果を得るため、ハーフミラーを所定の位置に設けることについて検討を行った。
まず、ハーフミラーをフロントハーフミラーとして用いる場合を検討した。図27(A)は、図26(A)に示したタンデム型白色発光デバイスに、ハーフミラー(フロントハーフミラー)を挟んだ構造である。例えば、ガラス基板とITO膜の間に10nmのAgのハーフミラー(フロントハーフミラー43)を挟む。図27(B)は、図27(A)に示すタンデム型構造の積層膜構成図である。ここでは、図27(A)に示す2層タンデム型白色発光デバイスの第1正孔輸送層(以下、HTL1と称する場合もある)を、10〜110nmの範囲で変化させ、マイクロキャビティ効果を付与出来るかを調べた。図28には、HTL1を変化させた場合の、白色発光に含まれるR(608nm)、G(520nm)、B(476nm)、Y(560nm)の発光輝度を示すスペクトル図を示す。
図28(A)は、第1正孔輸送層(HTL1)の膜厚を10nmとした場合の、青色の発光輝度を示すスペクトル図であり、青色発光の鋭いピークを持つスペクトルが得られる。この構造では、青色発光層と陰極までの距離、更に青色発光層とITO膜上のハーフミラー43との距離が、それぞれ青色発光の波長の整数倍に設定したときに、陰極電極とフロントハーフミラー43との距離も青色発光の波長の整数倍になり、キャビティに合致した波長の青色発光のみが主としてマイクロキャビティ効果を付与され、高い輝度で外部に取り出されることになる。なお、赤色、緑色および黄色発光のときも同様である。
図28(B)は、HTL1の膜厚を50nmとした場合の、緑色の発光輝度を示すスペクトル図であり、緑色発光が鋭いスペクトルを示す。図28(C)は、HTL1の膜厚を110nmとした場合の、赤色の発光輝度を示すスペクトル図であり、上述の緑色発光の鋭いスペクトルに良く似たスペクトルが得られる。図28(D)は、HTL1の膜厚を90nmとした場合の、黄色の発光輝度を示すスペクトル図である。なお、この場合には、上述の緑色発光の鋭いスペクトルに良く似たスペクトルが得られなかった。
以上より、フロントハーフミラーを備えた2層白色タンデム型発光デバイス構造では、上述の単一発光ユニット型白色発光デバイスで取り扱った手法と同様の方法では、白色を構成する波長、即ち、B、G、R、Yのすべての発光にマイクロキャビティ効果を付与させる事は出来ず、B、Gの特定の波長のみにだけマイクロキャビティ効果が付与されることが分かった。
次に、ハーフミラーをセンターハーフミラーとして用いる場合を検討した。図29(A)は、図26(A)に示したタンデム型白色発光デバイスに、ハーフミラー(センターハーフミラー44)を挟んだ構造である。例えば、第1層発光ユニットデバイスと第2層発光ユニットデバイスを接続するコンダクター間に、Agのハーフミラー(センターハーフミラー44)を設ける。図29(B)は、図29(A)に示すタンデム型構造の積層膜構成図である。ここでは、図29(A)に示す2層タンデム型白色発光デバイスの第1正孔輸送層(HTL1)を、10〜110nmの範囲で変化させ、マイクロキャビティ効果を付与出来るかを調べた。図30には、HTL1を変化させた場合の、白色発光に含まれるR(608nm)、G(520nm)、B(476nm)、Y(560nm)の発光輝度を示すスペクトル図を示す。
図30(A)は、HTL1の膜厚を10nmとした場合の、青色の発光輝度を示すスペクトル図である。図30(B)は、HTL1の膜厚を50nmとした場合の、緑色の発光輝度を示すスペクトル図である。図30(C)は、HTL1の膜厚を90nmとした場合の、赤色の発光輝度を示すスペクトル図である。図30(D)は、HTL1の膜厚を110nmとした場合の、黄色の発光輝度を示すスペクトル図である。図30(A)〜(D)より、この構造では、B発光、G発光、Y発光、R発光に対応したキャビティ効果が付与されているか否かを判断できないスペクトルを、それぞれ得たことが分かった。
そこで、本発明者らは、フロントハーフミラー43とセンターハーフミラー44の両方を挿入する場合について、更に検討した。マイクロキャビティ効果をより効果的に調べるには、単一の各発光波長、例えばB発光では476nm、G発光で520nm、Y発光では560nm、R発光では608nmの発光波長のピーク強度の推移に注力する必要がある。そのため、本発明では、B発光を476nm、G発光を520nm、Y発光を560nm、R発光を608nmに固定した。
本発明では、図31に示す、マイクロキャビティ効果を付与させたフロントハーフミラー43とセンターハーフミラー44の両方を備えたタンデム型白色発光デバイス構造とする。また、図32(A)に示す積層膜構成図とする。
なお、この構造を実現する為に、図26に示すハーフミラーを設けていない2層タンデム型白色発光デバイスの構造を基本構成とし、また、図26(B)に示す積層膜構成および各膜厚を基本構成とした。
図32(B)は、第1正孔輸送層(HTL1)の膜厚を10〜130nmまで変化させた場合のB発光、G発光、Y発光、R発光のピーク強度の変化を示した図である。図32(B)より、B発光はHTL1の膜厚が10nmの近傍でB発光の最大値を、G発光はHTL1の膜厚が50nm近傍でG発光の最大値を、Y発光はHTL1の膜厚が80nm近傍でY発光の最大値を、R発光はHTL1の膜厚が110nm近傍でR発光の最大値を示すことが分かる。
図31に示すフロントハーフミラー43とセンターハーフミラー44の両方を備えたタンデム型白色発光デバイスは、図33(A)に示すB発光のスペクトルを示し、CIE(x,y)=(0.3008,0.2777)である(図39に示すCIE図の黒塗りの三角形を参照)。色温度は、8327Kであり、演色性はRa=60.6%である。また、図33(B)に示すG発光のスペクトルであり、CIE(x,y)=(0.3376,0.4992)である(図39に示すCIE図のハッチングが斜線の三角形を参照)。色温度は5418Kであり、演色性はRa=59.1%である。また、図33(D)に示すY発光のスペクトルであり、CIE(x,y)=(0.3970,0.4842)である(図39に示すCIE図の白塗りの三角形を参照)。色温度は4223Kであり、演色性はRa=52.4%である。また、図33(C)に示すR発光のスペクトルであり、CIE(x,y)=(0.4444,0.3356)である(図39に示すCIE図のハッチングが点々の三角形を参照)。色温度は2277Kであり、演色性はRa=56.7%である。
図33より、次のことが分かった。フロントハーフミラー43とセンターハーフミラー44の両方を備えたタンデム型白色発光デバイスでは、さらに第1正孔輸送層(HTL1)の膜厚を最適値に設定することにより、マイクロキャビティ効果を持たないタンデム型白色発光デバイス(図26)に比べて、476nm近傍にピークを持つ青色(B)発光の正面輝度が強く表れる白色発光が得られる。すなわち、白色発光(W)の中でもB発光(B)が強く表れる発光、すなわちB>Wの関係にある発光が得られる。青色の正面輝度の増大により、図39を参照して、CIE(x,y)は(0.3212,0.3706)から(0.3008,0.2777)に変化する。
また、520nm近傍にピークを持つ緑色(G)発光の正面輝度が強く表れる白色発光が得られる。すなわち、白色発光(W)の中でもG発光(G)が強く表れる発光、すなわちG>Wの関係にある発光が得られる。緑色の正面輝度の増大により、図39を参照して、CIE(x,y)は(0.3212,0.3706)から(0.3376,0.4992)に変化する。
さらに、560nm近傍にピークを持つ黄色(Y)発光の正面輝度が強く表れる白色発光が得られる。すなわち、白色発光(W)の中でもY発光(Y)が強く表れる発光、すなわちY>Wの関係にある発光が得られる。黄色の正面輝度の増大により、図39を参照して、CIE(x,y)は(0.3212,0.3706)から(0.3970,0.4842)に変化する。
さらに、608nm近傍にピークを持つ赤色(R)発光の正面輝度が強く表れる白色発光が得られる。すなわち、白色発光(W)の中でもR発光(R)が強く表れる発光、すなわちR>Wの関係にある発光が得られる。赤色の正面輝度の増大により、図39を参照して、CIE(x,y)は(0.3212,0.3706)から(0.4444,0.3356)に変化する。
以上の結果から、本発明者らは、単一発光ユニットを縦方向に積層した複数の発光層を持たせたタンデム型白色発光デバイス(タンデム型白色発光有機EL照明パネル)の作製では、上述の第1、2の実施形態と同様に、HTL1膜厚をそれぞれのB、G、R、Y発光に対応した最適値に設定し、マイクロキャビティ効果を最大限に引き出すことができることを知見した。すなわち、単一発光ユニット構造に適用したHTL1膜厚をそれぞれのB、G、R、Y発光に対応した最適値に設定することにより、マイクロキャビティ効果を最大限に引き出すことができるデバイス構造を、タンデム型白色発光デバイスにも適用できることが分かる。以下に、その具体的な構造などについて説明する。
図34は、本発明の第3の実施形態のOLEDの構造を説明する断面図である。第3の実施形態のOLEDは、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄色(Y)の4色発光からなるタンデム型白色発光有機EL照明装置にマイクロキャビティ効果を働かせる構造である。また、フロントハーフミラーとセンターハーフミラーの両方を備える構造である。また、図32(A)に示す積層膜構成図とする。
なお、タンデム型白色発光構造は、複数の発光ユニットから成り、その各発光ユニットは必ずしも一つの白色発光から構成されているものでなくて良い。また、積層された各単一発光ユニットはそれぞれ異なった発光ユニットから構成されて、総合して白色発光を示すものでも良い。具体的には、第1発光ユニットには赤色(R)緑色(G)青色(B)から選択された1色を用い、第2発光ユニットには残る色と追加される黄色(Y)を用いるとよい。
図34に示すように、例えば、ガラス基板31からみて、第1発光ユニット41は青色(B)の単一発光層から成り、その上に積層された第2発光ユニット42は緑色(G)と黄色(Y)と赤色(R)発光が合成された複数の発光からなる層を持つ構造である。これにより、高輝度で高寿命の白色有機発光が得られる。その結果、それを用いた白色有機EL照明パネルは、単一発光白色有機EL照明パネルよりも高性能の照明パネルが実現出来る。
続いて、図34のタンデム型白色発光OLEDを効果的に実現するための構造、その効果についてより詳細に説明する。
一般的なタンデム型白色発光ユニットデバイス構成を持つ有機EL白色パネルは、第1発光層にB発光(図32の層番号No.7)を、第2発光層にR発光(図32の層番号No.2)/Y発光(図32の層番号No.13)/G発光(図32の層番号No.14)を用いる。第1発光層と第2発光層は、N型伝導を示す有機EL薄膜(ETL(図32の層番号No.8))とP型伝導を示す有機EL薄膜(HIL2(図32の層番号No.10))とが、直接的に接続されているか、その間に導電性薄膜層を挿入して電気的に接続されている。
本発明のデバイスは、図34に示す構造でマイクロキャビティ効果を効果的に生み出す為に、一般的な従来のタンデム型白色発光デバイス構造に加えて、ガラス基板31(図32の層番号No.1)とITO透明電極32(図32の層番号No.3)との間に、半透明の導電性銀(Ag(図32の層番号No.2))薄膜を第1のハーフミラー43(フロントハーフミラー)として挿入する。このフロントハーフミラー43は、Ag膜厚を10nmとすることにより、金属膜で有りながら半透明性を確保する。また、Ag薄膜を用いているので、高い反射率を維持できる。
更に、N型コンダクターとしてのETL(図32の層番号No.8)とP型コンダクターとしてのHIL2(図32の層番号No.10)との間にも、膜厚10nmのAg薄膜(図32の層番号No.9)の第2のハーフミラー44(センターハーフミラー)を設ける。このセンターハーフミラー44は、Conductor Electrodeとして働き、且つミラーとしての働きを生み出す為に挿入される。フロントハーフミラー43とセンターハーフミラー44間で挟まれた第1発光ユニットと、センターハーフミラー44と陰極間で挟まれた第2発光ユニットで発光した光は、各々のミラー間で反射および透過を繰り返し、ガラス基板31(図32の層番号No.1)を通して外部に光が放射される。従って、フロントハーフミラー43(図32の層番号No.2)とセンターハーフミラー44(図32の層番号No.9)との間の膜厚を最適に調整する事により、マイクロキャビティ効果を最大限に引き出すことができる。
特に、マイクロキャビティ効果を効果的に引き出すための膜厚調整で重要なのは、第1発光層のB発光では、EML−B(図32の層番号No.7)〜センターハーフミラー44(図32の層番号No.9)までの間の距離と、EML−B(図32の層番号No.7)〜陰極33(図32の層番号No.17)までの間の距離とが、B波長の整数倍になる様に調整する事が重要である。また、第2発光ユニットでは、EML−R(図32の層番号No.12)〜陰極33(図32の層番号No.17)までの間の距離の調整が重要となる。
図32(A)に示すように、HTL2(図32の層番号No.6)〜陰極33(図32の層番号No.7)までの各薄膜層の厚みを最適に設定すると、第1正孔輸送層(HTL1)(図32の層番号No.5)の膜厚を変えるだけで、各波長の発光は最大限にマイクロキャビティ効果を生み出すことができる。
また、図32(B)に示すように、HTL1の膜厚を変化させた時、B、G、Y、Rのそれぞれの発光波長における、外部に取り出されるスペクトル強度が変化する。図32(B)より、B発光のスペクトル強度は10nmの近傍で、G発光のスペクトル強度は50nmの近傍で、Y発光のスペクトル強度は80nmの近傍で、R発光のスペクトル強度は110nmの近傍で、それぞれ最大とするピークが表れる。すなわち、HTL1の膜厚をそれぞれのピーク値に設定すると、それに対応した波長のスペクトル強度はマイクロキャビティ効果を最大限に生み出せた事を示している。
図33(A)は、HTL1の膜厚を10nmとし、B発光のスペクトル強度をマイクロキャビティ効果で強調させた時の白色発光のスペクトルを示している。B発光波長近傍に強いピークが表れている。このため、CIE(X,Y)は(0.3008、0,2778)を示し、高い色温度は8327Kを示す白色発光である。これはB発光が強い白色発光、すなわちB>Wが実現できたといえる。
図33(B)は、HTL1の膜厚を50nmとし、G発光のスペクトル強度をマイクロキャビティ効果で強調させた時の白色発光のスペクトルを示している。G発光波長近傍に強いピークが表れている。このため、CIE(X、Y)は(0.3376、0,4992)を示し、色温度は5418Kを示す昼光色に近い白色発光である。これはG発光が強い白色発光、すなわちG>Wが実現できたといえる。
図33(C)は、HTL1の膜厚を80nmとし、Y発光のスペクトル強度をマイクロキャビティ効果で強調させた時の白色発光のスペクトルを示している。Y発光波長に強いピークが表れている。このため、CIE(X、Y)は(0.3970、0,4842)を示し、色温度は4223Kを示す昼白色に近い白色発光である。これはY発光が強い白色発光、すなわちY>Wが実現できたといえる。
図33(D)は、HTL1の膜厚を110nmとし、R発光のスペクトル強度をマイクロキャビティ効果で強調させた時の白色発光のスペクトルを示している。R発光波長に強いピークが表れている。このため、CIE(X、Y)は(0.4445、0,3356)を示し、色温度は2277Kを示す暖色である。
なお、本発明のタンデム型白色発光OLEDは、上述の第1の実施形態に示した製造方法と同様の製造方法を用いて、製造できる。例えば、図34に示すように、ガラス基板上に半透明の10nm膜厚のAg薄膜を成膜し、更にその上に60nm膜厚のITO膜を成膜したものを基板として準備する。そして、その上に10nm、50nm、80nm、110nmと膜厚の異なる高分子有機EL(HTL1)膜を塗布法でパターン形成する。なお、パターン形成は、順次、それぞれの画素に適応したHTL1膜と画素面積になる様に予め作り込めばよく、これを基板とする。
さらにこの基板上に、図32(A)に示すHTL2(図32の層番号No.6)〜陰極(図32の層番号No.17)までの構造を、真空蒸着法により、それぞれの有機EL薄膜を成膜する。これにより、B>W画素、G>W画素、Y>W画素、R>W画素のそれぞれを持った領域の白色発光パネルが作製出来る。なお、それぞれの画素の大きさ、形状を変えることにより、その白色発光パネルのCIE、色温度を任意に変えることができる。
図35(A)は本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製された白色発光OLEDの画素構成を、図35(B)はその白色スペクトルをそれぞれ示している。
基本のW画素としては、R>W画素,G>W画素,B>W画素,Y>Wサブ画素を各サブ画素として備える。なお、Yに代えて発光波長構成をR,G,B,O(橙色)の4色発光層とした場合には、Y>Wサブ画素に代えて、橙色発光が強く光る白色サブ画素(Or>Wサブ画素)を備えることとなる。
図35(A)を参照して、白色照明は、各サブ画素のサイズが等しい四角形とし、RとGを左右に並べて配置し、その上部にBとYを左右に並べて配置する。R,G,B,Yの各サブ画素のCIEバランスは白色以外に偏っているが、画素全体のCIEバランスはCIE(x,y)=(0.3812,0.3867)でありバランスが取れている。色温度は4052Kで、演色性Ra=81.8%の白色発光パネルを得られる。
なお、図26(C)に示すマイクロキャビティ効果の無い白色発光のスペクトルと比較すると、色温度は低温側にシフトしていることがわかる。
図36(A)は、本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製されたもので、他の形態に変化させた白色発光OLEDの画素構成を、図36(B)はそのスペクトルをそれぞれ示している。
R>W,G>W,B>W,Y>Wの各サブ画素のサイズを別の態様に変化させ、それぞれのサブ画素から得られるCIE(x,y)を考慮することにより、所望の色温度あるいは演色性を満足させるものである。例えば、図36を参照して、B>Wサブ画素のサイズを一番大きくし、その次にR>Wサブ画素、G>Wサブ画素を最小のサイズにした場合、つまりR:G:B:Y=4:3:2:1に比率を設定した一例の場合、それぞれのサブ画素で得られるCIEを組み合わせてW画素のCIEとし、CIEの調整がサブ画素サイズの調整により可能となる。この時のCIE(x、y)は(0.3690、0.3532)である。色温度は4161Kで、演色性はRa=86.9%の暖色発光パネルを得られる。
そのパネルのW画素は、R>Wサブ画素のCIE(R),G>Wサブ画素のCIE(G),B>Wサブ画素のCIE(B),Y>Wサブ画素のCIE(Y)にそれぞれの画素の輝度成分、すなわち各画素の面積成分を考慮した4つのサブ画素構成から為り、以下の式(数5)で定義できる。
ここで、CIEx(W)は白色画素のX値、CIEy(W)は白色画素のY値、CIEx(R)はR>Wの画素のX値、CIEy(R)はR>Wの画素のY値、CIEx(G)はG>Wの画素のX値、CIEy(G)はG>Wの画素のY値、CIEx(B)はB>Wの画素のX値、CIEy(B)はB>Wの画素のY値、CIEx(Y)はY>Wの画素のX値、CIEy(Y)はY>Wの画素のY値である。
Stは白色画素の面積、SrはR>W画素の面積、SgはG>W画素の面積、SbはB>W画素の面積、SyはY>W画素の面積である。
図37(A)は、本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製されたもので、他の形態に変化させた白色発光OLEDの画素構成を、図37(B)はそのスペクトルをそれぞれ示している。
なお、画素比率をR:B:G:Y=4:1:1:4に設定した場合、図37(A)に示すように、CIE(x、y)は(0.4144、0.3887)である。色温度は3290Kであり、演色性はRa=86.9%であり、暖色発光パネルが得られる。
図38(A)は、本実施形態のOLEDの製造方法に従って作製されたもので、他の形態に変化させた白色発光OLEDの画素構成を、図38(B)はそのスペクトルをそれぞれ示している。
本例では、画面比率をR:G:B:Y=1:1:7:1に設定した場合、図38(B)に示すように、CIE(x、y)は(0.3335、0.3221)である。色温度は5436Kであり、演色性はRa=82.1%であり、昼光色の白色発光パネルが得られる。
以上のとおり、本発明によれば、各々の画素の組み合わせを変えるだけで、CIEおよび色温度の異なる白色照明パネルが容易に作製する事ができる。
従って、本発明は、上述の単一白色発光ユニットデバイスを持つ有機EL白色照明パネルで示したCIE,色温度を任意に変えることが出来る白色照明パネルを、同様に、タンデム型白色有機EL照明パネルにも適用できる。これにより、電力効率が高く、色温度、演色性を任意に調節できる、より高性能な白色有機ELパネルを提供できる。その基本的な技術思想は、B、G、Y、Rの発光をそれぞれの画素でマイクロキャビティ効果を効果的に引き出すデバイス構造にある。特に、HTL1層の膜厚を調整すること、最適な画素サイズにパターニングすることにより、有機EL白色照明パネルを実現できる。
1 有機エレクトロルミネッセンスデバイス
11 基板
12 第1電極
13 第2透明電極
14 絶縁膜
15 正孔注入層
16 第1正孔輸送層
17 第2正孔輸送層
18 発光層
19 電子輸送層
20 第3電極
31 基板
32 ITO透明電極
33 陰極
41 第1発光ユニット
42 第2発光ユニット
43 フロントハーフミラー
44 センターハーフミラー

Claims (10)

  1. 正孔注入層と、正孔輸送層と、少なくとも赤色、青色および緑色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した白色発光する白色画素を構成し、
    前記白色画素は、前記正孔輸送層の膜厚を選択して少なくとも赤色発光が強く光る白色サブ画素と緑色発光が強く光る白色サブ画素と青色発光が強く光る白色サブ画素から成るもので、前記白色画素が複数個配列されたことを特徴とする白色発光有機EL照明装置。
  2. 前記白色画素は、さらに黄色の発光層を加え黄色発光が強く光る白色サブ画素あるいは橙色発光が強く光る白色サブ画素を含むことを特徴とする請求項1に記載の白色発光有機EL照明装置。
  3. 前記白色画素を構成する各サブ画素は、それぞれ同一サイズおよび同一形状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色発光有機EL照明装置。
  4. 前記白色画素を構成する各サブ画素は、それぞれ異なったサイズあるいは形状に形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の白色発光有機EL照明装置。
  5. 前記正孔輸送層は、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層を積層して構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の白色発光有機EL照明装置。
  6. フロントハーフミラーと、正孔注入層と、正孔輸送層と、赤色、青色および緑色から選択された1色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した第1層発光層と、センターハーフミラーと、正孔注入層と、正孔輸送層と、赤色、青色および緑色から残された色の発光層と、電子輸送層とを積層して形成した第2層発光層とでタンデム型白色発光する白色画素を構成し、
    前記白色画素は、前記1層目の正孔輸送層の膜厚を選択して少なくとも赤色発光が強く光る白色サブ画素と緑色発光が強く光る白色サブ画素と青色発光が強く光る白色サブ画素から成るもので、前記白色画素が複数個配列されたことを特徴とする白色発光有機EL照明装置。
  7. 前記白色画素は、さらに黄色の発光層を加え黄色発光が強く光る白色サブ画素あるいは橙色発光が強く光る白色サブ画素を含むことを特徴とする請求項6に記載の白色発光有機EL照明装置。
  8. 前記白色画素を構成する各サブ画素は、それぞれ同一サイズおよび同一形状に形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の白色発光有機EL照明装置。
  9. 前記白色画素を構成する各サブ画素は、それぞれ異なったサイズあるいは形状に形成されることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の白色発光有機EL照明装置。
  10. 前記正孔輸送層は、第1正孔輸送層と第2正孔輸送層を積層して構成されることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の白色発光有機EL照明装置。
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