JP2017058002A - 山歯歯車 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で共振周波数を低周波側に移動させ、もしくは振動を低減させることによりギヤノイズを低減させることが可能な山歯歯車を提供する。
【解決手段】第1歯車片2と第2歯車片3との間の外周部には、前記第1歯車片2と前記第2歯車片3とに軸線方向で一体化された突起部7と、半径方向において前記突起部7と同一の位置に前記第1歯車片2と前記第2歯車片3とに軸線方向で隙間を空けた溝部8とが形成され、前記突起部7に対して、回転中心軸線を中心とした反対側には前記溝部8が位置している。
【選択図】図1

Description

この発明は、軸線方向における一方側の歯の捩れ方向と他方側の歯の捩れ方向とが反対方向を向いて形成されている山歯歯車に関するものである。
山歯歯車は軸線方向に対するスラスト力を相殺することができる歯車であり、そのような山歯歯車の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1には、回転軸の軸線方向に対して歯が所定の角度捩れて形成された第1歯車片と、第1歯車片の捩れ方向とは反対方向に歯が捩れて形成された第2歯車片とを一体化させて構成した山歯歯車が記載されている。
特開2006−090481号公報
山歯歯車は正常な噛み合いを可能とするために、第1歯車片と第2歯車片との位相を適正な位置になるように規制する必要がある。これに対して特許文献1に記載されたように構成された山歯歯車は、各歯車片の組み合わせを変更することにより、特別な装置なしに位相を合わせることが可能である。しかしながら、このような山歯歯車においては、例えば、トルクが入力されることにより歯車が共振した場合、過大なギヤノイズが発生するおそれがある。また共振することにより、歯車等の耐久性の悪化の要因、もしくは摩耗の要因となるおそれがある。したがって、このような不都合を簡単な構成で改善し、共振周波数を低周波側に移動もしくは振動を低減させ、ギヤノイズを低減させることが可能な山歯歯車を開発する余地があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、簡単な構成で共振周波数を低周波側に移動させ、もしくは振動を低減させることによりギヤノイズを低減させることが可能な山歯歯車を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、軸線方向に対して所定方向に捩れた歯が外周部に形成された第1歯車片と、前記歯の捩れ方向とは反対方向に捩れた他の歯が外周部に形成された第2歯車片とを有し、前記第1歯車片と前記第2歯車片とが同一軸線上で互いに隣接しかつ一体となって回転するように配置された山歯歯車において、前記第1歯車片と前記第2歯車片との間の外周部には、前記第1歯車片と前記第2歯車片とに軸線方向で一体化された突起部と、半径方向において前記突起部と同一の位置に前記第1歯車片と前記第2歯車片とに軸線方向で隙間を空けた溝部とが形成され、前記突起部に対して、回転中心軸線を中心とした反対側には前記溝部が位置していることを特徴とするものである。
この発明によれば、第1歯車片と第2歯車片との間にスペーサが配置、もしくは各歯車片と一体となるように形成されている。また、そのスペーサの外周部には、第1歯車片と第2歯車片とによって挟み付けられる突起部と、半径方向において突起部と同一の位置に軸線方向で隙間を空けた溝部とが形成されている。さらに、その溝部は、突起部に対して回転中心軸線を中心とした反対側に位置している。すなわち、円周方向で、突起部と溝部とがそれぞれ点対称とならないように形成されているため、山歯歯車の剛性を低減させることができ、共振周波数を低周波側に移動させることができる。したがって、このような簡単な構成により、歯車の噛み合いの剛性のピークを低周波側に低減させることができ、振動を低下させることによりギヤノイズを抑制もしくは低減させることができる。
この発明の実施例における山歯歯車の一例(第1例)を説明するための断面図である。 この発明の実施例における山歯歯車の一例を説明するための斜視図である。 この発明の実施例における山歯歯車の他の例(第2例)を説明するための断面図である。 この発明の実施例における山歯歯車の更に他の例(第3例)を説明するための断面図である。 この発明の実施例における山歯歯車の更に他の例(第4例)を説明するための断面図である。
この発明の実施例における山歯歯車の一例を図1に模式的に示している。図1および図2に示す山歯歯車1は、回転軸に一体化された第1歯車片2と、その回転軸と一体に回転するように組み付けられる第2歯車片3とにより構成されている。これら各歯車片2,3には、回転軸の軸線方向に所定の長さを有する外歯4,5が形成されている。具体的には、第1歯車片2に形成された第1外歯4および第2歯車片3に形成された第2外歯5は、山歯歯車1がトルクを伝達している際に、常時噛み合うように形成されている。また、これら各歯車片2,3の間にはスペーサ6が設けられている。
より具体的に説明すると、第1歯車片2には、従来知られているはす歯歯車と同様に、回転軸の軸線方向に対して歯4の長手方向が捩れて形成されている。また、同様に第2歯車片3も回転軸の軸線方向に対して歯5の長手方向が捩れて形成されている。さらに軸線方向に対する各歯4,5の捩れ方向が互いに反対に形成されている。すなわち、軸線方向における一方側の歯4と、他方側の歯5との捩れ角が相反するように形成されている。言い換えれば、伝達されるトルクに応じた軸線方向の分力を相殺できるように構成されている。そして、第1歯車片2と第2歯車片3とを組み合わせた際は、山歯歯車1の歯の形状は、山形になる。なお、捩れ角とは、互いに噛み合う歯車が噛み合うときに滑りが生じないピッチ面と、歯車の歯面との交線である歯筋が、軸線方向に対して傾斜している角度をいう。
スペーサ6は、ほぼ環状なる部材により構成され、第1歯車片2と第2歯車片3との間に挟み付けられるように配置されている。すなわちスペーサ6を介して第1歯車片2と第2歯車片3とが連結されている。また、このスペーサ6は、円周方向に複数の突起が形成されている。具体的には図1に示すように、第1歯車片2の外周部と第2歯車片3の外周部との間に、第1歯車片2と第2歯車片3とに軸線方向で一体化された突起部7が形成されている。すなわち、各歯車片2,3の外周部の間に挟まれ、かつ半径方向外側に突出した突起部7が形成されている。この突起部7は、図1における例では円周方向で一定の間隔を空けて、三つ設けられている。その突起部7は台形形状からなり、かつ各突起部7は同一の大きさとされている。
また、半径方向において突起部7と同一の位置に第1歯車片2と第2歯車片3とに軸線方向で隙間を空けた溝部(クリアランス)8が形成されている。言い換えれば、半径方向における外側で歯車片2,(3)とスペーサ6との間に円弧状の溝部8が三つ形成され、溝部8を形成して残った部分が突起部7とされている。つまり、スペーサ6の外周部に突起部7と溝部8とが形成され、スペーサ6の外周までの半径と、歯車片2,(3)の歯底と突起部7とが接触する部分までの半径とが異なる半径とされ、突起部7までの半径の方が長くなるように構成されている。また、その突起部7が形成されたスペーサ6は、全体として点対称形状にならないように形成され、すなわち、突起部7に対して回転中心軸線を中心とした反対側に溝部8が位置するように構成されている。そして、第1歯車片2とスペーサ6とは面接触するように構成され、同様に第2歯車片3とスペーサ6とはスペーサ6を挟んで第1歯車片2とは反対方向から面接触するように構成されている。さらに図1に示す例では突起部7と歯車片2,(3)の歯底とが、三箇所で接触するように構成されている。
したがって、第2歯車片3をスペーサ6を介して組み付けると、第1歯車片2と第2歯車片3とが一体となって回転する。また、トルク伝達時に、各歯4,5の歯面が接触することにより各歯車片2,3に作用する軸線方向の荷重を相殺させることができるように、第2歯車片3を回転軸に組み付けた後に、第2歯車片3を挟んで第1歯車片2とは反対側から、図示しないナットを回転軸に締め付けている。なお、各歯車片2,3に作用する軸線方向の荷重を相殺することができればよく、つまり、第2歯車片3と、第1歯車片2または回転軸とを軸線方向で一体化させることができればよい。そのため、上述したようにナットにより第2歯車片3を第1歯車片2との間に挟み付ける構成に限らず、例えばスナップリングによって第2歯車片3が、軸線方向において第1歯車片2から離隔しないように構成してもよい。
また上述した例では、第1歯車片2と第2歯車片3とスペーサ6が別体となって形成された例を示しているが、この山歯歯車1は第1歯車片2と第2歯車片3とスペーサ6とが一体に成形されてもよい。具体的には、第1歯車片2と第2歯車片3とスペーサ6とを一体に成形し、第1歯車片2の歯4と、第2歯車片3の歯5との捩れ方向が軸線方向に対して相反するように歯切りする。ついで、一体に成形された山歯歯車1のスペーサ6を図1に示すように均一の形状とならないように溝部8を後から加工する。すなわち、上述した例と同様の形状となるように、溝部8が突起部7に対して回転中心軸線を中心とした反対側に位置するように後から加工する。後述する例についても同様である。
上述したように、山歯歯車1は軸線方向に対するスラスト力を相殺することができる。その一方で、このような山歯歯車1は、固有振動や、噛み合い伝達誤差等による起振力によって、歯車の面外方向もしくは半径方向の共振によって、ギヤノイズが生じ過大となるおそれがある。そこで、この山歯歯車1では、共振周波数を低周波側に移動させるべく、第1歯車片2と第2歯車片3との間に円周方向に均一でない溝が形成されたスペーサ6が設けられている。
スペーサ6は上述したように、円周方向で間隔を空けて複数の突起部7が形成されている。また、その突起部7の回転中心軸線に対して反対側は溝部8とされ、スペーサ全体としての形状は、点対称にならない形状とされている。したがって、このように円周方向で均一でない形状のスペーサ6を第1歯車片2と第2歯車片3との間に配置、もしくは一体化して形成することにより、回転方向で山歯歯車1の撓みもしくは振動にバラツキが生じ、山歯歯車1の剛性を低減させることができる。これにより、例えばトルクが入力された際、共振周波数を低周波側に移動させることができる。共振周波数を低減させることは、言い換えれば固有振動数を低減させることであり、その固有振動数は、以下の式で示すことができる。
f=ω/2π ・・・(1)
なお、式(1)におけるfは固有振動数を示し、ωは円振動数(角振動数)を示している。したがって、式(1)より円振動数ωの値を小さくすることにより固有振動数、すなわち共振周波数を低減させることができる。その円振動数ωは、以下の式で示すことができる。
ω=λ/R・√D/ρs ・・・(2)
なお、式(2)におけるλは振動によって決まる無次元の定数を示し、Rは半径を示し、Dは円板の曲げ剛性を示し、ρsは比重を示している。したがって、式(2)により曲げ剛性Dの値を低減させることにより、固有振動数、すなわち共振周波数を低減させることができる。
したがって、上述したように、円周方向でスペーサ6の外周部に突起部7と溝部8を形成することにより、曲げ剛性を低減させることができるため共振周波数を低減させることができる。これにより、ギヤノイズを抑制もしくは低減させることができる。また、このスペーサ6に形成された突起部7は上述した形状に限定されず、図3に示すような形状でもよい。
図3に示す例は、図1の構成に比べ、突起部7が大きく形成されている。具体的には、スぺーサ6の円周方向で、図1より大きい台形形状の突起部7が三つ形成されている。すなわち、図1に形成された台形形状の突起がより大きく形成されている。言い換えれば、円周方向で歯車片2,(3)とスペーサ6との間に、より大きな湾曲した溝部8が形成されている。そして、歯車片2,(3)の歯底と突起部7とが図1と同様に三箇所で接触している。これにより、山歯歯車1の剛性をより低減することができ、共振周波数をより低周波側に移動させることができ、ギヤノイズを抑制することができる。
さらに突起部7は図4,図5に示すように、円周方向で、不規則な形状により構成されてもよい。図4はスペーサ6に一つ突起部7を形成した例を示している。具体的には、図1に形成された三つの突起部7を一つのみ形成し、円周方向で不規則な形状とされている。すなわち、歯車片2,(3)の歯底と突起部7との接触は一箇所となるように形成されている。言い換えれば、円周方向で歯車片2,(3)とスペーサ6との間に、図1より大きな溝部8が連続的に形成され、ほぼ一つの円状もしくは環状な溝部8とされている。
また図5は、図1の例と同様に円周方向で台形形状の突起部7が三つ形成されているが、その突起部7がそれぞれが異なった形状もしくは大きさの形状とされている。具体的には、突起部7の円周方向における長さが、突起部7aに比べて突起部7bの方が短く形成されて、さらに突起部7cは突起部7bより短く形成されている。すなわち突起部が、7a,7b,7cの順で小さくなるように形成されている。つまり、それぞれの突起部が同様の大きさでなく、不規則な形状により形成されている。言い換えれば、円周方向で歯車片2,(3)とスペーサ6との間に、それぞれ異なった大きさからなる円弧状の溝部8が形成されている。
したがって、図4および図5のようにスペーサ6に不規則もしくは不均一な形状からなる突起部7および溝部8を形成することにより、より剛性を低減でき、低周波側に共振周波数を移動させることができる。また共振周波数を低減させることにより、共振を抑制することができ、その結果ギヤノイズを抑制もしくは低減することができる。
以上、上述したように、複数の実施例に基づいて説明したが、この発明は上述した例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更されてよい。
1…山歯歯車、 2…第1歯車片、 3…第2歯車片、 4…第1外歯、 5…第2外歯、 6…スペーサ、 7…突起部、 8…溝部(クリアランス)。

Claims (1)

  1. 軸線方向に対して所定方向に捩れた歯が外周部に形成された第1歯車片と、前記歯の捩れ方向とは反対方向に捩れた他の歯が外周部に形成された第2歯車片とを有し、前記第1歯車片と前記第2歯車片とが同一軸線上で互いに隣接しかつ一体となって回転するように配置された山歯歯車において、
    前記第1歯車片と前記第2歯車片との間の外周部には、前記第1歯車片と前記第2歯車片とに軸線方向で一体化された突起部と、半径方向において前記突起部と同一の位置に前記第1歯車片と前記第2歯車片とに軸線方向で隙間を空けた溝部とが形成され、
    前記突起部に対して、回転中心軸線を中心とした反対側には前記溝部が位置していることを特徴とする山歯歯車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS56168649U (ja) * 1980-05-16 1981-12-12
JP2000220726A (ja) * 1999-02-02 2000-08-08 Mazda Motor Corp 歯車の騒音低減装置
EP2221507A2 (de) * 2009-02-19 2010-08-25 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Spezielle Gestaltung einer Zahnriemenscheibe für Zugmitteltriebe

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