JP2017057842A - 触媒劣化度合推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】NOx吸蔵還元型触媒について、劣化補正係数による補正の精度を高める。【解決手段】NOx吸蔵還元型触媒32と、NOx吸蔵還元型触媒32よりも排気系の下流側に設けられたNOxセンサ45とを備える排気浄化システムの触媒劣化度合推定装置であって、内燃機関10の運転状態に基づいてNOx還元型触媒32を通過した排気に含まれるNOx量を推定し、推定されるNOx量とNOxセンサ45で検出される実NOx量との差に基づき、NOx吸蔵還元型触媒32の劣化度合を算出する劣化度合算出部120と、内燃機関10の運転状態及び/又は内燃機関10の排気系の状態に基づいて、劣化度合算出部120の劣化度合の算出を制御する劣化度合算出制御部121とを備えた。【選択図】図1
Description
本発明は、触媒劣化度合推定装置に関する。
従来、内燃機関から排出される排気中の窒素化合物(NOx)を還元浄化する触媒として、NOx吸蔵還元型触媒が知られている。NOx吸蔵還元型触媒は、排気がリーン雰囲気のときに排気中に含まれるNOxを吸蔵すると共に、排気がリッチ雰囲気のときに排気中に含まれる炭化水素で吸蔵していたNOxを還元浄化により無害化して放出する。このため、触媒のNOx吸蔵量が所定量に達した場合などには、排気管噴射やポスト噴射によって排気をリッチ状態にし、NOx吸蔵還元型触媒のNOx吸蔵能力を回復させる回復処理を定期的に実施する必要がある(例えば、特許文献1,2参照)。
NOx吸蔵還元型触媒は、継続的な使用によってNOxの吸蔵性能が劣化する傾向があるため、劣化を補正するための劣化補正係数が取得される。補正の精度を高めるため、特定の条件の下で劣化補正係数の取得を実施する技術が開示されている。例えば、特許文献3には、リーン運転中に補正パラメータの計算を実施し、リッチ運転中には補正パラメータの計算を実施しない方法が開示されている。特許文献4には、触媒温度が所定値よりも低い場合に補正係数を算出するシステムが開示されている。特許文献5には、エンジンが定常運転中でNOxセンサ値が安定している場合に、NOx補正係数を算出する制御装置が開示されている。
劣化補正係数は、NOx吸蔵還元型触媒よりも排気下流側におけるNOx量の推定値と検出値の差を積分することで算出できる。劣化補正係数による補正の精度を高めるためには、積分時間をできるだけ長くとることが望ましい。
開示の技術は、劣化補正係数による補正の精度を高めることを目的とする。
開示の技術は、内燃機関の排気系に設けられ、排気リーン状態で排気中のNOxを吸蔵すると共に、排気リッチ状態で吸蔵されていたNOxを還元浄化するNOx吸蔵還元型触媒と、前記NOx吸蔵還元型触媒よりも前記排気系の下流側に設けられたNOxセンサと、を備える排気浄化システムの触媒劣化度合推定装置であって、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記NOx還元型触媒を通過した排気に含まれるNOx量を推定し、当該推定されるNOx量と前記NOxセンサで検出される実NOx量との差に基づき、前記NOx吸蔵還元型触媒の劣化度合を算出する劣化度合算出部と、前記内燃機関の運転状態及び/又は前記内燃機関の排気系の状態に基づいて、前記劣化度合算出部の前記劣化度合の算出を制御する劣化度合算出制御部と、を備える。
開示の技術によれば、劣化補正係数による補正の精度を高めることができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る排気浄化システムを説明する。
図1に示すように、内燃機関の一例であるディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10の各気筒には、図示しないコモンレールに畜圧された高圧燃料を各気筒内に直接噴射する筒内インジェクタ11がそれぞれ設けられている。これら筒内インジェクタ11の燃料噴射量や燃料噴射タイミングは、電子制御ユニット(本発明に係る制御部の一例、以下ECUという)50から入力される指示信号に応じてコントロールされる。
エンジン10の吸気マニホールド10Aには新気を導入する吸気通路12が接続され、排気マニホールド10Bには排気を外部に導出する排気通路13が接続されている。吸気通路12には、吸気上流側から順にエアクリーナ14、吸入空気量センサ(以下、MAFセンサという)40、可変容量型過給機20のコンプレッサ20A、インタークーラ15、吸気スロットルバルブ16等が設けられている。排気通路13には、排気上流側から順に可変容量型過給機20のタービン20B、排気後処理装置30等が設けられている。なお、図1中において、符号41はエンジン回転数センサ、符号42はアクセル開度センサ、符号46はブースト圧センサをそれぞれ示している。そして、エンジン回転数センサ41及びアクセル開度センサ42は、エンジン10の運転状態を把握するためのセンサとして用いられる。
EGR装置21は、排気マニホールド10Bと吸気マニホールド10Aとを接続するEGR通路22と、EGRガスを冷却するEGRクーラ23と、EGR量を調整するEGRバルブ24とを備えている。
排気後処理装置30は、ケース30A内に排気上流側から順に酸化触媒31、NOx吸蔵還元型触媒32、パティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという)33を配置して構成されている。また、酸化触媒31よりも上流側の排気通路13には、ECU50から入力される指示信号に応じて、排気通路13内に未燃燃料(主にHC)を噴射する排気インジェクタ34が設けられている。
酸化触媒31は、例えば、ハニカム構造体等のセラミック製担体表面に酸化触媒成分を担持して形成されている。酸化触媒31は、排気インジェクタ34の排気管噴射又は筒内インジェクタ11のポスト噴射によって未燃燃料が供給されると、これを酸化して排気温度を上昇させる。
NOx吸蔵還元型触媒32は、例えば、ハニカム構造体等のセラミック製担体表面にアルカリ金属等を担持して形成されている。このNOx吸蔵還元型触媒32は、排気空燃比がリーン状態のときに排気中のNOxを吸蔵すると共に、排気空燃比がリッチ状態のときに排気中に含まれる還元剤(HC等)で吸蔵したNOxを還元浄化する。
フィルタ33は、例えば、多孔質性の隔壁で区画された多数のセルを排気の流れ方向に沿って配置し、これらセルの上流側と下流側とを交互に目封止して形成されている。フィルタ33は、排気中のPMを隔壁の細孔や表面に捕集すると共に、PM堆積推定量が所定量に達すると、これを燃焼除去するいわゆるフィルタ強制再生が実行される。フィルタ強制再生は、排気管噴射又はポスト噴射によって上流側の酸化触媒31に未燃燃料を供給し、フィルタ33に流入する排気温度をPM燃焼温度まで昇温することで行われる。
第1排気温度センサ43は、酸化触媒31よりも上流側に設けられており、酸化触媒31に流入する排気温度(触媒入口温度)を検出する。第2排気温度センサ44は、NOx吸蔵還元型触媒32とフィルタ33との間に設けられており、フィルタ33に流入する排気温度を検出する。NOx/ラムダセンサ45は、本発明に係るNOxセンサの一例である。本実施形態において、NOx/ラムダセンサ45は、フィルタ33よりも下流側に設けられており、NOx吸蔵還元型触媒32を通過した排気のNOx値及びラムダ値(以下、空気過剰率ともいう)を検出する。
ECU50は、エンジン10等の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。これら各種制御を行うため、ECU50にはセンサ類40〜46のセンサ値が入力される。また、ECU50は、フィルタ再生制御部51と、SOxパージ制御部60と、NOxパージ制御部70とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、一体のハードウェアであるECU50に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
[フィルタ再生制御]
フィルタ再生制御部51は、車両の走行距離、あるいは図示しない差圧センサで検出されるフィルタ前後差圧からフィルタ33のPM堆積量を推定すると共に、このPM堆積推定量が所定の上限閾値を超えると再生フラグFDPFをオンにする(図2の時刻t1参照)。再生フラグFDPFがオンにされると、排気インジェクタ34に排気管噴射を実行させる指示信号が送信されるか、あるいは、各筒内インジェクタ11にポスト噴射を実行させる指示信号が送信されて、排気温度をPM燃焼温度(例えば、約550℃)まで昇温させる。この再生フラグFDPFは、PM堆積推定量が燃焼除去を示す所定の下限閾値(判定閾値)まで低下するとオフにされる(図2の時刻t2参照)。なお、再生フラグFDPFをオフにする判定閾値は、例えば、フィルタ再生開始(FDPF=1)からの上限経過時間や上限累積噴射量を基準にしてもよい。
フィルタ再生制御部51は、車両の走行距離、あるいは図示しない差圧センサで検出されるフィルタ前後差圧からフィルタ33のPM堆積量を推定すると共に、このPM堆積推定量が所定の上限閾値を超えると再生フラグFDPFをオンにする(図2の時刻t1参照)。再生フラグFDPFがオンにされると、排気インジェクタ34に排気管噴射を実行させる指示信号が送信されるか、あるいは、各筒内インジェクタ11にポスト噴射を実行させる指示信号が送信されて、排気温度をPM燃焼温度(例えば、約550℃)まで昇温させる。この再生フラグFDPFは、PM堆積推定量が燃焼除去を示す所定の下限閾値(判定閾値)まで低下するとオフにされる(図2の時刻t2参照)。なお、再生フラグFDPFをオフにする判定閾値は、例えば、フィルタ再生開始(FDPF=1)からの上限経過時間や上限累積噴射量を基準にしてもよい。
[SOxパージ制御]
SOxパージ制御部60は、排気をリッチ状態にして排気温度を硫黄離脱温度(例えば、約600℃)まで上昇させて、NOx吸蔵還元型触媒32をSOx被毒から回復させる制御(以下、この制御をSOxパージ制御という)を実行する。
SOxパージ制御部60は、排気をリッチ状態にして排気温度を硫黄離脱温度(例えば、約600℃)まで上昇させて、NOx吸蔵還元型触媒32をSOx被毒から回復させる制御(以下、この制御をSOxパージ制御という)を実行する。
図2は、本実施形態のSOxパージ制御のタイミングチャートを示している。図2に示すように、SOxパージ制御を開始するSOxパージフラグFSPは、再生フラグFDPFのオフと同時にオンにされる(図2の時刻t2参照)。これにより、フィルタ33の再生によって排気温度を上昇させた状態からSOxパージ制御に効率よく移行することが可能となり、燃料消費量を効果的に低減することができる。
本実施形態において、SOxパージ制御によるリッチ化は、空気系制御によって空気過剰率を定常運転時(例えば、約1.5)から理論空燃比相当値(約1.0)よりもリーン側の第1目標空気過剰率(例えば、約1.3)まで低下させるSOxパージリーン制御と、噴射系制御によって空気過剰率を第1目標空気過剰率からリッチ側の第2目標空気過剰率(例えば、約0.9)まで低下させるSOxパージリッチ制御とを併用することで実現される。以下、SOxパージリーン制御及び、SOxパージリッチ制御の詳細について説明する。
[SOxパージリーン制御の空気系制御]
図3は、SOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFSPL_Trgtの設定処理を示すブロック図である。第1目標空気過剰率設定マップ61は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Q(エンジン10の燃料噴射量)に基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したSOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λSPL_Trgt(第1目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
図3は、SOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFSPL_Trgtの設定処理を示すブロック図である。第1目標空気過剰率設定マップ61は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Q(エンジン10の燃料噴射量)に基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したSOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λSPL_Trgt(第1目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
まず、第1目標空気過剰率設定マップ61から、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてSOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λSPL_Trgtが読み取られて、MAF目標値演算部62に入力される。さらに、MAF目標値演算部62では、以下の数式(1)に基づいてSOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFSPL_Trgtが演算される。
MAFSPL_Trgt=λSPL_Trgt×Qfnl_corrd×RoFuel×AFRsto/Maf_corr・・・(1)
数式(1)において、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
数式(1)において、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
MAF補正係数Maf_corrは、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号として補正係数設定マップ(不図示)から読み取られる。補正係数設定マップには、エンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したMAFセンサ40のセンサ特性を示すMAF補正係数Maf_corrが予め実験等に基づいて設定されている。
MAF目標値演算部62によって演算されたMAF目標値MAFSPL_Trgtは、SOxパージフラグFSPがオン(図2の時刻t2参照)になるとランプ処理部63に入力される。ランプ処理部63は、各ランプ係数マップ63A,63Bからエンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてランプ係数を読み取ると共に、このランプ係数を付加したMAF目標ランプ値MAFSPL_Trgt_Rampをバルブ制御部64に入力する。
バルブ制御部64は、MAFセンサ40から入力される実MAF値MAFActがMAF目標ランプ値MAFSPL_Trgt_Rampとなるように、吸気スロットルバルブ16を閉側に絞ると共に、EGRバルブ24を開側に開くフィードバック制御を実行する。
このように、本実施形態では、第1目標空気過剰率設定マップ61から読み取られる空気過剰率目標値λSPL_Trgtと、各インジェクタ11の燃料噴射量とに基づいてMAF目標値MAFSPL_Trgtを設定し、このMAF目標値MAFSPL_Trgtに基づいて空気系動作をフィードバック制御するようになっている。これにより、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けることなく、或いは、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けた場合も当該ラムダセンサのセンサ値を用いることなく、排気をSOxパージリーン制御に必要な所望の空気過剰率まで効果的に低下させることが可能になる。
また、MAF目標値MAFSPL_Trgtにエンジン10の運転状態に応じて設定されるランプ係数を付加することで、吸入空気量の急激な変化によるエンジン10の失火やトルク変動によるドライバビリティーの悪化等を効果的に防止することができる。
[SOxパージリッチ制御の燃料噴射量設定]
図4は、SOxパージリッチ制御における排気管噴射又はポスト噴射の目標噴射量QSPR_Trgt(単位時間当たりの噴射量)の設定処理を示すブロック図である。第2目標空気過剰率設定マップ65は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したSOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λSPR_Trgt(第2目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
図4は、SOxパージリッチ制御における排気管噴射又はポスト噴射の目標噴射量QSPR_Trgt(単位時間当たりの噴射量)の設定処理を示すブロック図である。第2目標空気過剰率設定マップ65は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したSOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λSPR_Trgt(第2目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
まず、第2目標空気過剰率設定マップ65から、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてSOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λSPR_Trgtが読み取られて、噴射量目標値演算部66に入力される。さらに、噴射量目標値演算部66では、以下の数式(2)に基づいてSOxパージリッチ制御時の目標噴射量QSPR_Trgtが演算される。
QSPR_Trgt=MAFSPL_Trgt×Maf_corr/(λSPR_Trgt×RoFuel×AFRsto)−Qfnl_corrd・・・(2)
数式(2)において、MAFSPL_TrgtはSOxパージリーン時のMAF目標値であって、前述のMAF目標値演算部62から入力される。また、Qfnl_corrdはMAF追従制御適用前の燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
数式(2)において、MAFSPL_TrgtはSOxパージリーン時のMAF目標値であって、前述のMAF目標値演算部62から入力される。また、Qfnl_corrdはMAF追従制御適用前の燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
噴射量目標値演算部66によって演算された目標噴射量QSPR_Trgtは、後述するSOxパージリッチフラグFSPRがオンになると、排気インジェクタ34又は、各筒内インジェクタ11に噴射指示信号として送信される。
このように、本実施形態では、第2目標空気過剰率設定マップ65から読み取られる空気過剰率目標値λSPR_Trgtと、各インジェクタ11の燃料噴射量とに基づいて目標噴射量QSPR_Trgtを設定するようになっている。これにより、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けることなく、或いは、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けた場合も当該ラムダセンサのセンサ値を用いることなく、排気をSOxパージリッチ制御に必要な所望の空気過剰率まで効果的に低下させることが可能になる。
[SOxパージ制御の触媒温度調整制御]
SOxパージ制御中にNOx吸蔵還元型触媒32に流入する排気温度(以下、触媒温度ともいう)は、図2の時刻t2〜t4に示すように、排気管噴射又はポスト噴射を実行するSOxパージリッチフラグFSPRのオン・オフ(リッチ・リーン)を交互に切り替えることで制御される。SOxパージリッチフラグFSPRがオン(FSPR=1)にされると、排気管噴射又はポスト噴射によって触媒温度は上昇する(以下、この期間を噴射期間TF_INJという)。一方、SOxパージリッチフラグFSPRがオフにされると、排気管噴射又はポスト噴射の停止によって触媒温度は低下する(以下、この期間をインターバルTF_INTという)。
SOxパージ制御中にNOx吸蔵還元型触媒32に流入する排気温度(以下、触媒温度ともいう)は、図2の時刻t2〜t4に示すように、排気管噴射又はポスト噴射を実行するSOxパージリッチフラグFSPRのオン・オフ(リッチ・リーン)を交互に切り替えることで制御される。SOxパージリッチフラグFSPRがオン(FSPR=1)にされると、排気管噴射又はポスト噴射によって触媒温度は上昇する(以下、この期間を噴射期間TF_INJという)。一方、SOxパージリッチフラグFSPRがオフにされると、排気管噴射又はポスト噴射の停止によって触媒温度は低下する(以下、この期間をインターバルTF_INTという)。
本実施形態において、噴射期間TF_INJは、予め実験等により作成した噴射期間設定マップ(不図示)からエンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに対応する値を読み取ることで設定される。この噴射時間設定マップには、予め実験等によって求めた排気の空気過剰率を第2目標空気過剰率まで確実に低下させるのに必要となる噴射期間が、エンジン10の運転状態に応じて設定されている。
インターバルTF_INTは、触媒温度が最も高くなるSOxパージリッチフラグFSPRがオンからオフに切り替えられた際に、フィードバック制御によって設定される。具体的には、SOxパージリッチフラグFSPRがオフされた際の目標触媒温度と推定触媒温度との偏差ΔTに比例して入力信号を変化させる比例制御と、偏差ΔTの時間積分値に比例して入力信号を変化させる積分制御と、偏差ΔTの時間微分値に比例して入力信号を変化させる微分制御とで構成されるPID制御によって処理される。目標触媒温度は、NOx吸蔵還元型触媒32からSOxを離脱可能な温度で設定され、推定触媒温度は、例えば、第1排気温度センサ43で検出される酸化触媒31の入口温度と、酸化触媒31及びNOx吸蔵還元型触媒32の内部でのHC・CO発熱量、外気への放熱量等に基づいて推定すればよい。
図5の時刻t1に示すように、フィルタ再生の終了(FDPF=0)によってSOxパージフラグFSPがオンされると、SOxパージリッチフラグFSPRもオンにされ、さらに前回のSOxパージ制御時にフィードバック計算されたインターバルTF_INTも一旦リセットされる。すなわち、フィルタ再生直後の初回は、噴射期間設定マップで設定した噴射期間TF_INJ_1に応じて排気管噴射又はポスト噴射が実行される(図5の時刻t1〜t2参照)。このように、SOxパージリーン制御を行うことなくSOxパージリッチ制御からSOxパージ制御を開始するので、フィルタ再生で上昇した排気温度を低下させることなく、速やかにSOxパージ制御に移行され、燃料消費量を低減することができる。
次いで、噴射期間TF_INJ_1の経過によってSOxパージリッチフラグFSPRがオフになると、PID制御によって設定されたインターバルTF_INT_1が経過するまで、SOxパージリッチフラグFSPRはオフとされる(図5の時刻t2〜t3参照)。さらに、インターバルTF_INT_1の経過によってSOxパージリッチフラグFSPRがオンにされると、再び噴射期間TF_INJ_2に応じた排気管噴射又はポスト噴射が実行される(図5の時刻t3〜t4参照)。その後、これらSOxパージリッチフラグFSPRのオン・オフの切り替えは、後述するSOxパージ制御の終了判定によってSOxパージフラグFSPがオフ(図5の時刻tn参照)にされるまで繰り返し実行される。
このように、本実施形態では、触媒温度を上昇させると共に空気過剰率を第2目標空気過剰率まで低下させる噴射期間TF_INJをエンジン10の運転状態に基づいて参照されるマップから設定すると共に、触媒温度を降下させるインターバルTF_INTをPID制御によって処理するようになっている。これにより、SOxパージ制御中の触媒温度をパージに必要な所望の温度範囲に効果的に維持しつつ、空気過剰率を目標過剰率まで確実に低下させることが可能になる。
[SOxパージ制御の終了判定]
SOxパージ制御は、(1)SOxパージフラグFSPのオンから排気管噴射又はポスト噴射の噴射量を累積し、この累積噴射量が所定の上限閾値量に達した場合、(2)SOxパージ制御の開始から計時した経過時間が所定の上限閾値時間に達した場合、(3)エンジン10の運転状態やNOx/ラムダセンサ45のセンサ値等を入力信号として含む所定のモデル式に基づいて演算されるNOx吸蔵還元型触媒32のSOx吸着量がSOx除去成功を示す所定の閾値まで低下した場合の何れかの条件が成立すると、SOxパージフラグFSPをオフにして終了される(図2の時刻t4、図5の時刻tn参照)。
SOxパージ制御は、(1)SOxパージフラグFSPのオンから排気管噴射又はポスト噴射の噴射量を累積し、この累積噴射量が所定の上限閾値量に達した場合、(2)SOxパージ制御の開始から計時した経過時間が所定の上限閾値時間に達した場合、(3)エンジン10の運転状態やNOx/ラムダセンサ45のセンサ値等を入力信号として含む所定のモデル式に基づいて演算されるNOx吸蔵還元型触媒32のSOx吸着量がSOx除去成功を示す所定の閾値まで低下した場合の何れかの条件が成立すると、SOxパージフラグFSPをオフにして終了される(図2の時刻t4、図5の時刻tn参照)。
このように、本実施形態では、SOxパージ制御の終了条件に累積噴射量及び、経過時間の上限を設けたことで、SOxパージが排気温度の低下等によって進捗しなかった場合に、燃料消費量が過剰になることを効果的に防止することができる。
[NOxパージ制御]
図6は、本実施形態のNOxパージ制御のタイミングチャートを示している。NOxパージ制御部70は、排気をリッチ雰囲気にしてNOx吸蔵還元型触媒32に吸蔵されているNOxを還元浄化により無害化して放出することで、NOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復させる制御を実行する。
図6は、本実施形態のNOxパージ制御のタイミングチャートを示している。NOxパージ制御部70は、排気をリッチ雰囲気にしてNOx吸蔵還元型触媒32に吸蔵されているNOxを還元浄化により無害化して放出することで、NOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵能力を回復させる制御を実行する。
[NOxパージ制御の開始処理]
図7は、NOxパージ制御部70によるNOxパージ制御の開始処理を示すブロック図である。NOxパージ制御部70は、NOxパージ開始判定部111、NOx吸蔵量推定部113、吸蔵量閾値マップ114、触媒温度推定部115、吸蔵量閾値補正部116、浄化率演算部117、インターバル目標値マップ118、インターバル目標値補正部119、劣化度合推定部120を一部の機能要素として有する。
図7は、NOxパージ制御部70によるNOxパージ制御の開始処理を示すブロック図である。NOxパージ制御部70は、NOxパージ開始判定部111、NOx吸蔵量推定部113、吸蔵量閾値マップ114、触媒温度推定部115、吸蔵量閾値補正部116、浄化率演算部117、インターバル目標値マップ118、インターバル目標値補正部119、劣化度合推定部120を一部の機能要素として有する。
NOxパージ開始判定部111は、予め定められた開始条件の何れかが成立した場合、前回のNOxパージの制御終了からの経過時間Int_Timeがインターバル目標値補正部119から入力されたインターバル目標値Int_tgrを経過したことを条件に、NOxパージを開始すると判定し、NOxパージフラグFNPをオン(FNP=1)に設定してNOxパージ制御を開始させる(図6の時刻t1参照)。
NOxパージ開始判定部111で判定される開始条件としては、例えば、(1)強制リッチスイッチ(不図示)から操作信号が入力された場合、(2)NOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の吸蔵量閾値STR_thr_NOx以上に増加した場合、(3)NOx吸蔵還元型触媒32でのNOx浄化率NOx_pur%が所定の浄化率閾値以下に低下した場合、(4)アイドリングが所定期間に亘って行われている場合、(5)エンジン10が所定の回転数閾値以上で回転し、エンジン10に対する負荷が所定の負荷閾値以上の場合、(6)触媒推定温度Temp_LNTが所定の触媒温度閾値未満である低温状態が、所定時間に亘って継続している場合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
開始条件の判定に用いられるNOx吸蔵量推定値m_NOxは、NOx吸蔵量推定部113によって推定される。NOx吸蔵量推定値m_NOxは、例えば以下の数式(3)に基づいて演算される。
NOx吸蔵量推定値m_NOx=エンジンアウトNOx量×触媒温度に基づく吸蔵効率×NOx蓄積率に基づく吸蔵効率・・・(3)
なお、エンジンアウトNOx量は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号とするエンジンアウトNOxマップから取得される。エンジンアウトNOxマップは、実験等によって予め作製されている。また、エンジンアウトNOx量は、NOxセンサやモデル式など他の方法で取得することもできる。
なお、エンジンアウトNOx量は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号とするエンジンアウトNOxマップから取得される。エンジンアウトNOxマップは、実験等によって予め作製されている。また、エンジンアウトNOx量は、NOxセンサやモデル式など他の方法で取得することもできる。
触媒温度に基づく吸蔵効率(0<C≦1)は、触媒温度推定部115で推定された触媒推定温度Temp_LNTを入力信号とするT_STRマップから取得される。T_STRマップは、実験等によって予め作製されている。
NOx蓄積率に基づく吸蔵効率(0<C≦1)は、NOx蓄積率NOx_LEVを入力信号とするFill_STRマップから取得される。Fill_STRマップは、実験等によって予め作製されている。そして、NOx蓄積率NOx_LEVは、その時点でNOx吸蔵還元型触媒32に蓄積されているNOx蓄積量NOx_STRの、最大NOx吸蔵量に対する比率である。なお、NOx蓄積量_STRは、直前のNOx吸蔵量からNOx還元量を減算することで求められる。これらのマップでは、さらにMAFやエンジンアウトNOxなどによって適宜補正することもできる。
開始条件の判定に用いられるNOx吸蔵量閾値STR_thr_NOxは、NOx吸蔵還元型触媒32の触媒推定温度Temp_LNTに基づいて参照される吸蔵量閾値マップ114で設定される。触媒推定温度Temp_LNTは、触媒温度推定部115によって推定される。触媒推定温度Temp_LNTは、例えば、第1排気温度センサ43で検出される酸化触媒31の入口温度、酸化触媒31及びNOx吸蔵還元型触媒32の内部でのHC・CO発熱量等に基づいて推定される。
吸蔵量閾値マップ114に基づいて設定されたNOx吸蔵量閾値STR_thr_NOxは、吸蔵量閾値補正部116によって補正される。吸蔵量閾値補正部116は、NOx吸蔵量閾値STR_thr_NOxに、劣化度合推定部120によって求められる劣化補正係数(劣化度合)を乗算することで行われる。なお、劣化補正係数の算出については、後で説明する。
開始条件の判定に用いられるNOx浄化率NOx_pur%は、浄化率演算部117によって演算される。NOx浄化率NOx_pur%は、例えば、NOx/ラムダセンサ45で検出される触媒下流側のNOx量を、エンジン10の運転状態等から推定される触媒上流側のNOx排出量で除算することで求められる。
開始判定に用いられるインターバル目標値Int_tgrは、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるインターバル目標値マップ118で設定される。このインターバル目標値Int_tgrは、インターバル目標値補正部119によって補正される。インターバル目標値補正部119は、NOx吸蔵還元型触媒32の劣化度合が大きくなるほど短縮させる短縮補正を実行する。この短縮補正は、NOx吸蔵量閾値STR_thr_NOxに、劣化度合推定部120によって求められる劣化補正係数(劣化度合)を乗算することで行われる。
[劣化補正係数の算出]
図8は、劣化補正係数の算出処理を説明するブロック図である。同図に示すように、劣化度合推定部120は、算出開始条件判定部121、エンジンアウトNOxs取得部122、出口NOx推定部123、補正係数算出部124を一部の機能要素として有する。
図8は、劣化補正係数の算出処理を説明するブロック図である。同図に示すように、劣化度合推定部120は、算出開始条件判定部121、エンジンアウトNOxs取得部122、出口NOx推定部123、補正係数算出部124を一部の機能要素として有する。
算出開始条件判定部121は、劣化補正係数の算出開始条件が成立したか否かを判定し、条件が成立した場合には、エンジンアウトNOx算出部122、出口NOx推定部123、補正係数算出部124に対して算出処理の実行を許可する許可信号を出力する。例えば、許可信号の電圧をHレベルに設定する。各部122、123、124は、許可信号の出力が開始されたことを条件に処理を開始し、許可信号の出力期間に亘って処理を実行する。また、各部122、123、124は、許可信号が出力されていない期間(例えば信号がLレベルの期間)において処理を停止する。なお、算出開始条件判定部121による算出開始条件の判定については後で説明する。
エンジンアウトNOx取得部122は、エンジン10の運転状態に基づいて、エンジン10から排出される排気に含まれるNOx量(エンジンアウトNOx量)を取得する。本実施形態において、エンジンアウトNOx量は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号とするエンジンアウトNOx量マップから取得される。エンジンアウトNOx量マップは、実験等によって予め作製される。なお、エンジンアウトNOx量に関し、モデル式から求めてもよいし、他の手法によって求めてもよい。
出口NOx推定部123は、NOx吸蔵還元型触媒32を通過した排気に含まれるNOx量(出口NOx推定量)を推定する。本実施形態において、出口NOx推定量は、エンジンアウトNOx取得部122で取得されたエンジンアウトNOx量からNOx吸蔵量推定部113で推定されたNOx吸蔵量を減算することで算出される。
補正係数算出部124は、NOx吸蔵還元型触媒32を通過した排気に含まれるNOx量に関し、推定値を検出値に補正するための劣化補正係数を算出する。本実施形態における劣化補正係数は、出口NOx推定部123で推定された出口NOx推定量から、NOx/ラムダセンサ45の検出値に基づく出口NOx推定量を減算した差分を、時間積分することで算出される。前述したように、算出された劣化補正係数は、吸蔵量閾値補正部116での閾値補正に用いられたり、インターバル目標値補正部119での目標値補正に用いられる。
[算出開始条件の判定]
図9は、算出開始条件判定部(劣化度合算出制御部)121による算出開始条件を模式的に説明する図である。同図において、符号m_NOxの実線はNOx吸蔵量推定値であり、符号NOx_actの点線はNOx/ラムダセンサ45の検出値に基づく実NOx量であり、符号NOx_Estの一点鎖線は出口NOx推定部123による推定NOx量であり、符号NOx_Errの二点鎖線は実NOx量と推定NOx量の誤差である。また、符号T_ALの矢印は、劣化補正計算の許可期間である。
図9は、算出開始条件判定部(劣化度合算出制御部)121による算出開始条件を模式的に説明する図である。同図において、符号m_NOxの実線はNOx吸蔵量推定値であり、符号NOx_actの点線はNOx/ラムダセンサ45の検出値に基づく実NOx量であり、符号NOx_Estの一点鎖線は出口NOx推定部123による推定NOx量であり、符号NOx_Errの二点鎖線は実NOx量と推定NOx量の誤差である。また、符号T_ALの矢印は、劣化補正計算の許可期間である。
算出開始条件判定部121は、NOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の閾値NOx_TH1以下であることを条件に劣化補正係数の算出を開始する。本実施形態における閾値NOx_TH1は、吸蔵量閾値STR_thr_NOxの20%であるが、この値に限定されるものではない。同図の例では、NOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の閾値NOx_TH1に到達するのが時刻t3である。このため、エンジン始動時の時刻t0から時刻t3までの期間に、劣化補正係数の算出処理が開始される。
このように、NOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の閾値NOx_TH1以下であることを条件に、劣化補正係数の算出処理を開始させる(NOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の閾値NOx_TH1を超えている場合は、NOx吸蔵量推定値m_NOxが所定の閾値NOx_TH1以下になるまで算出処理を開始させない)ことで、算出された劣化補正係数について補正の精度を高めることができる。これは、劣化補正係数が、NOx吸蔵還元型触媒32を通過した排気に含まれるNOx量の、推定値と検出値の差の積分で算出されるためである。この場合、算出開始時点のNOx吸蔵量推定値m_NOxが低いほど、NOx吸蔵量推定値m_NOxが吸蔵量閾値STR_thr_NOxに達するまでの期間を長くでき、推定値と検出値の差が明確になるからである。
なお、算出開始条件判定部121は、エンジン10の始動時から、NOx/ラムダセンサ45によるNOx量の有効な検出が行えるまでの所定期間に亘って、劣化補正係数の算出を禁止する。本実施形態のNOx/ラムダセンサ45はヒータ(不図示)を備えているが、センサに付着した水分が除去された状態でヒータへの通電が実施される。このため、エンジン10の始動後、排気温度が所定の乾燥温度(例えば100℃)に達したことを条件にヒータへの通電が開始される。あわせて、NOx/ラムダセンサ45によるNOx量の検出が開始される。図9の例では、時刻t1にてヒータへの通電とNOx量の検出が開始されている。ここで、符号NOx_actの点線で示すように、検出の開始直後はNOx量の検出値が安定しないため、劣化補正係数の算出に用いると誤差が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、検出値の安定に必要な時間が経過したことを条件に、劣化補正係数の算出処理を開始させている。同図の例では、時刻t2から劣化補正係数の算出処理を開始させている。その結果、劣化補正係数の算出精度を高めることができる。
また、ヒータへの通電開始(NOx/ラムダセンサ45による検出開始)から劣化補正係数の算出処理を開始するまでの待機期間に関し、上記のように予め定めた所定期間としてもよいし、NOx/ラムダセンサ45の単位時間あたりの変化量が検出の安定状態を示す判断閾値以下になったことを条件としてもよい。
また、算出開始条件判定部121は、前述したSOxパージリッチ制御の終了から所定期間が経過するまで、或いは、後述するNOxパージリッチ制御の終了から所定期間が経過するまでは、劣化補正係数の算出を禁止する。これは、各リッチ制御の終了直後は、NOx吐き出し量の推定値に大きな誤差が生じるためである。そこで、本実施形態では、検出値の安定に必要な時間が経過したことを条件に、劣化補正係数の算出処理を開始させている。図9の例では、NOxパージリッチ制御の終了時刻t4から時刻t5までを待機期間として、劣化補正係数の算出を禁止させている。これにより、劣化補正係数の算出精度を高めることができる。なお、この待機期間に関し、NOx吸蔵量推定値m_NOxにおける単位時間あたりの変化量が、安定状態を示す判断閾値以下になるまでの期間としてもよい。
このように本実施形態では、劣化補正係数の算出精度を高めることができるので、NOx吸蔵還元型触媒32について、劣化補正係数による補正の精度を高めることができる。
[NOxパージ制御によるリッチ化]
本実施形態において、NOxパージ制御によるリッチ化は、空気系制御によって空気過剰率を定常運転時(例えば、約1.5)から理論空燃比相当値(約1.0)よりもリーン側の第3目標空気過剰率(例えば、約1.3)まで低下させるNOxパージリーン制御と、噴射系制御によって空気過剰率を第3目標空気過剰率からリッチ側の第4目標空気過剰率(例えば、約0.9)まで低下させるNOxパージリッチ制御とを併用することで実現される。以下、NOxパージリーン制御及び、NOxパージリッチ制御の詳細について説明する。
本実施形態において、NOxパージ制御によるリッチ化は、空気系制御によって空気過剰率を定常運転時(例えば、約1.5)から理論空燃比相当値(約1.0)よりもリーン側の第3目標空気過剰率(例えば、約1.3)まで低下させるNOxパージリーン制御と、噴射系制御によって空気過剰率を第3目標空気過剰率からリッチ側の第4目標空気過剰率(例えば、約0.9)まで低下させるNOxパージリッチ制御とを併用することで実現される。以下、NOxパージリーン制御及び、NOxパージリッチ制御の詳細について説明する。
[NOxパージリーン制御のMAF目標値設定]
図10は、NOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFNPL_Trgtの設定処理を示すブロック図である。第3目標空気過剰率設定マップ71は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したNOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λNPL_Trgt(第3目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
図10は、NOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFNPL_Trgtの設定処理を示すブロック図である。第3目標空気過剰率設定マップ71は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したNOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λNPL_Trgt(第3目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
まず、第3目標空気過剰率設定マップ71から、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてNOxパージリーン制御時の空気過剰率目標値λNPL_Trgtが読み取られて、MAF目標値演算部72に入力される。さらに、MAF目標値演算部72では、以下の数式(4)に基づいてNOxパージリーン制御時のMAF目標値MAFNPL_Trgtが演算される。
MAFNPL_Trgt=λNPL_Trgt×Qfnl_corrd×RoFuel×AFRsto/Maf_corr・・・(4)
数式(4)において、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
数式(4)において、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
MAF目標値演算部72によって演算されたMAF目標値MAFNPL_Trgtは、NOxパージフラグFNPがオン(図6の時刻t1参照)になるとランプ処理部73に入力される。ランプ処理部73は、各ランプ係数マップ73A,Bからエンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてランプ係数を読み取ると共に、このランプ係数を付加したMAF目標ランプ値MAFNPL_Trgt_Rampをバルブ制御部74に入力する。
バルブ制御部74は、MAFセンサ40から入力される実MAF値MAFActがMAF目標ランプ値MAFNPL_Trgt_Rampとなるように、吸気スロットルバルブ16を閉側に絞ると共に、EGRバルブ24を開側に開くフィードバック制御を実行する。
このように、本実施形態では、第3目標空気過剰率設定マップ71から読み取られる空気過剰率目標値λNPL_Trgtと、各インジェクタ11の燃料噴射量とに基づいてMAF目標値MAFNPL_Trgtを設定し、このMAF目標値MAFNPL_Trgtに基づいて空気系動作をフィードバック制御するようになっている。これにより、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けることなく、或いは、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けた場合も当該ラムダセンサのセンサ値を用いることなく、排気をNOxパージリーン制御に必要な所望の空気過剰率まで効果的に低下させることが可能になる。
また、MAF目標値MAFNPL_Trgtにエンジン10の運転状態に応じて設定されるランプ係数を付加することで、吸入空気量の急激な変化によるエンジン10の失火やトルク変動によるドライバビリティーの悪化等を効果的に防止することができる。
[NOxパージリッチ制御の燃料噴射量設定]
図11は、NOxパージリッチ制御における排気管噴射又はポスト噴射の目標噴射量QNPR_Trgt(単位時間当たりの噴射量)の設定処理を示すブロック図である。第4目標空気過剰率設定マップ75は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したNOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λNPR_Trgt(第4目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
図11は、NOxパージリッチ制御における排気管噴射又はポスト噴射の目標噴射量QNPR_Trgt(単位時間当たりの噴射量)の設定処理を示すブロック図である。第4目標空気過剰率設定マップ75は、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qに基づいて参照されるマップであって、これらエンジン回転数Neとアクセル開度Qとに対応したNOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λNPR_Trgt(第4目標空気過剰率)が予め実験等に基づいて設定されている。
まず、第4目標空気過剰率設定マップ75から、エンジン回転数Ne及びアクセル開度Qを入力信号としてNOxパージリッチ制御時の空気過剰率目標値λNPR_Trgtが読み取られて噴射量目標値演算部76に入力される。さらに、噴射量目標値演算部76では、以下の数式(5)に基づいてNOxパージリッチ制御時の目標噴射量QNPR_Trgtが演算される。
QNPR_Trgt=MAFNPL_Trgt×Maf_corr/(λNPR_Trgt×RoFuel×AFRsto)−Qfnl_corrd・・・(5)
数式(5)において、MAFNPL_TrgtはNOxパージリーンMAF目標値であって、前述のMAF目標値演算部72から入力される。また、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
数式(5)において、MAFNPL_TrgtはNOxパージリーンMAF目標値であって、前述のMAF目標値演算部72から入力される。また、Qfnl_corrdは燃料噴射量(ポスト噴射を除く)、RoFuelは燃料比重、AFRstoは理論空燃比、Maf_corrはMAF補正係数をそれぞれ示している。
噴射量目標値演算部76によって演算される目標噴射量QNPR_Trgtは、NOxパージフラグFSPがオンになると、排気管噴射装置34又は各インジェクタ11に噴射指示信号として送信される(図6の時刻t1)。この噴射指示信号の送信は、後述するNOxパージ制御の終了判定によってNOxパージフラグFNPがオフ(図6の時刻t2)にされるまで継続される。
このように、本実施形態では、第4目標空気過剰率設定マップ75から読み取られる空気過剰率目標値λNPR_Trgtと、各インジェクタ11の燃料噴射量とに基づいて目標噴射量QNPR_Trgtを設定するようになっている。これにより、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けることなく、或いは、NOx吸蔵還元型触媒32の上流側にラムダセンサを設けた場合も当該ラムダセンサのセンサ値を用いることなく、排気をNOxパージリッチ制御に必要な所望の空気過剰率まで効果的に低下させることが可能になる。
[NOxパージ制御の終了判定]
NOxパージ制御は、(1)NOxパージフラグFNPのオンから排気管噴射又はポスト噴射の噴射量を累積し、この累積噴射量が所定の上限閾値量に達した場合、(2)NOxパージ制御の開始から計時した経過時間が所定の上限閾値時間に達した場合、(3)エンジン10の運転状態やNOx/ラムダセンサ45のセンサ値等を入力信号として含む所定のモデル式に基づいて演算されるNOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵量がNOx除去成功を示す所定の閾値まで低下した場合の何れかの条件が成立すると、NOxパージフラグFNPをオフにして終了される(図6の時刻t2参照)。
NOxパージ制御は、(1)NOxパージフラグFNPのオンから排気管噴射又はポスト噴射の噴射量を累積し、この累積噴射量が所定の上限閾値量に達した場合、(2)NOxパージ制御の開始から計時した経過時間が所定の上限閾値時間に達した場合、(3)エンジン10の運転状態やNOx/ラムダセンサ45のセンサ値等を入力信号として含む所定のモデル式に基づいて演算されるNOx吸蔵還元型触媒32のNOx吸蔵量がNOx除去成功を示す所定の閾値まで低下した場合の何れかの条件が成立すると、NOxパージフラグFNPをオフにして終了される(図6の時刻t2参照)。
このように、本実施形態では、NOxパージ制御の終了条件に累積噴射量及び、経過時間の上限を設けたことで、NOxパージが排気温度の低下等によって成功しなかった場合に燃料消費量が過剰になることを確実に防止することができる。
[その他]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
10 エンジン
11 筒内インジェクタ
12 吸気通路
13 排気通路
16 吸気スロットルバルブ
24 EGRバルブ
31 酸化触媒
32 NOx吸蔵還元型触媒
33 フィルタ
34 排気インジェクタ
40 MAFセンサ
45 NOx/ラムダセンサ
50 ECU
11 筒内インジェクタ
12 吸気通路
13 排気通路
16 吸気スロットルバルブ
24 EGRバルブ
31 酸化触媒
32 NOx吸蔵還元型触媒
33 フィルタ
34 排気インジェクタ
40 MAFセンサ
45 NOx/ラムダセンサ
50 ECU
Claims (4)
- 内燃機関の排気系に設けられ、排気リーン状態で排気中のNOxを吸蔵すると共に、排気リッチ状態で吸蔵されていたNOxを還元浄化するNOx吸蔵還元型触媒と、前記NOx吸蔵還元型触媒よりも前記排気系の下流側に設けられたNOxセンサと、を備える排気浄化システムの触媒劣化度合推定装置であって、
前記内燃機関の運転状態に基づいて前記NOx還元型触媒を通過した排気に含まれるNOx量を推定し、当該推定されるNOx量と前記NOxセンサで検出される実NOx量との差に基づき、前記NOx吸蔵還元型触媒の劣化度合を算出する劣化度合算出部と、
前記内燃機関の運転状態及び/又は前記内燃機関の排気系の状態に基づいて、前記劣化度合算出部の前記劣化度合の算出を制御する劣化度合算出制御部と、を備える
触媒劣化度合推定装置。 - 前記劣化度合算出制御部は、前記内燃機関の始動時から、前記NOxセンサによるNOx量の有効な検出が行えるまでの所定期間に亘って、前記劣化度合の算出を禁止する
請求項1に記載の触媒劣化度合推定装置。 - 前記劣化度合算出制御部は、排気をリッチ状態にして前記NOx吸蔵還元型触媒のNOx浄化能力を回復させる触媒再生処理が実行された際に、当該触媒再生処理の実行時から所定期間に亘って、前記劣化度合の算出を禁止する
請求項1又は2に記載の触媒劣化度合推定装置。 - 前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記NOx吸蔵還元型触媒に吸蔵された吸蔵NOx量を推定する吸蔵NOx量推定部をさらに備え、
前記劣化度合算出制御部は、前記所定期間の経過により前記劣化度合算出部が前記劣化度合の算出を開始する際に、前記吸蔵NOx量推定部によって推定される前記吸蔵NOx量が所定の閾値を超えている場合は、前記劣化度合の算出開始を禁止する
請求項1から3の何れ一項に記載の触媒劣化度合推定装置。
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