JP2017057424A - 炉体保護用ステーブ - Google Patents

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【課題】高炉などの炉体内壁に設置するステーブとして、断熱性、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ、長期間の使用においてもセラミックが脱落しにくい、炉体保護用ステーブを提供する。【解決手段】銅製のステーブ本体11の表面に設けた円柱形状の挿入穴12に、円柱形状のセラミック部材31を金属製のスリーブ21を介して挿入穴とスリーブとに形成したねじ部によりねじ込み固定して、ステーブ本体の表面にセラミック部材を敷詰めた構造から炉体保護用ステーブを構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、高温に曝される高炉などの炉壁を保護するために用いられる炉体保護用ステーブに関する。
高炉などの炉体内部は極めて高温となるため、炉体内部では、炉体の壁面すなわち炉壁を冷却して保護するステーブが、炉体の内周面に沿って多数配置されている。こうしたステーブでは、冷却媒体が流通する流路がその本体に形成されており、冷却流路に冷却媒体を流通させることで炉壁を冷却している。しかしながら、ステーブを長期間に亘って使用していると、ステーブに損耗や破損が生じる。そして、このようなステーブの損耗や破損が生じると、ステーブによる冷却機能の低下を招いて炉体内壁を構成する鉄皮の熱負荷が大きくなるため、鉄皮亀裂の原因となり、高炉の炉体寿命の律速となる。
このようなステーブの種類は、鋳鉄、鋳鋼、鋼板等の鉄系の材質で構成される鉄系ステーブと、銅または銅合金材で構成される銅系ステーブと、に大別されている。このうち、高炉の炉下部(シャフト下部、ボッシュ、ベリー部)では、熱負荷が高く、破損進行が早い。そのため、高炉の炉下部では、ステーブひいては高炉の寿命延長のため、冷却能の高い銅系ステーブが採用されてきた。
そのような銅系ステーブの一例として、ステーブ表面の耐熱特性を良好にするために、ステーブの表面に複数のセラミック・ライニングを配置するステーブの製造方法として、複数のセラミック・ライニング同士を銅により鋳込むことによって相互に接合して、セラミック・ライニングと銅とを複合化したステーブを得る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特表2003−500626号公報
特許文献1に開示された技術では、セラミック・ライニングによる耐熱特性と銅本体による冷却特性とを兼ね合わせたステーブを得ることができる。しかしながら、特許文献1に開示されたセラミック・ライニングと銅とを複合化したステーブでは、以下のような問題点があった。
まず、特許文献1の技術では、製造上の問題として、セラミック・ライニングに銅を鋳込む製造が難しい問題がある。すなわち、鋳込み中セラミックの割れを防止するための注意点が多く、また、セラミックに割れが見つかった場合は一からやり直しとなるため、現実的でなかった。また、特許文献1の技術では、形状の問題として、セラミックの特性として引張り応力に弱い(曲げに弱い)ため、局所的な応力が生じるとセラミックが割れる問題がある。すなわち、特許文献1のように板状のセラミック・ライニングとした場合、熱膨張により、セラミック・ライニングの角部に局所的な応力が生じ、セラミック・ライニングに割れが生じ易くなる。一方で、セラミック・ライニングの厚さを十分に確保し剛性を向上させる手法は、セラミックのコスト上現実的ではない。さらに、特許文献1の技術では、熱衝撃の問題として、セラミック・ライニングが熱衝撃に弱い問題がある。すなわち、この構造では、急な熱負荷を受けた場合、セラミック・ライニングを急冷してしまうため、炉内側と炉外側とでセラミック・ライニングに温度差(温度勾配)が生じ、割れて脱落する。
本発明の目的は、高炉などの炉体内壁に設置するステーブとして、断熱性、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ、長期間の使用においてもセラミックが脱落しにくい、炉体保護用ステーブを提案することにある。
従来技術が抱えている前述の課題を解決し、前記の目的を実現するために鋭意研究した結果、発明者らは、以下に述べる新規な炉体保護用ステーブを開発するに到った。即ち、本発明は、銅製のステーブ本体の表面に設けた円柱形状の挿入穴に、円柱形状のセラミック部材を金属製のスリーブを介して挿入穴とスリーブとに形成したねじ部によりねじ込み固定して、ステーブ本体の表面にセラミック部材を敷詰めた構造を有することを特徴とする炉体保護用ステーブである。
なお、前記のように構成される本発明に係る炉体保護用ステーブにおいては、
(1)前記セラミック部材が、円柱形状の円柱部とその一端部に設けられた円柱部の直径より大きい直径を有する段部とから構成され、前記スリーブの端部が段部と接触した状態となるまで、セラミック部材の円柱部の外周にスリーブを挿入して一体化し、一体化されたセラミック部材とスリーブとを、スリーブの外周に設けたねじ部とステーブ本体の挿入穴の内周に設けたねじ部とを係合させて、挿入穴の内部に挿入し、セラミック部材の段部を有する端部が挿入穴の底部と接触させ、セラミック部材とスリーブとを挿入穴内にねじ込み固定した構造であること、
(2)前記ステーブ本体の挿入穴の底部と前記セラミック部材の段部を有する端部との間に、断熱材を配置したこと、
(3)前記ステーブ本体の表面において、前記セラミック部材の露出した端部の面積の合計が全表面積に対し20〜80%であること、
(4)前記ステーブ本体が、冷却媒体が流通する流路を有すること、
がより好ましい解決手段となるものと考えられる。
本発明の炉体保護用ステーブによれば、従来、高炉などの炉壁保護用ステーブは、炉内ガスの急激な熱変動による熱衝撃や原料の摩耗性等により長期間保持(通常火入れ2〜3年で脱落)できるものではなかったが、本構造を採用することにより、断熱性、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れたステーブを得ることができ、従来よりも長期間保持することができる。この効果により、長期間炉内からの抜熱を既設銅ステーブの約1/2に抑え、燃料コストの削減と、ステーブ本体の熱変形を防ぎ、漏水破損を抑止し、長期間に亘って高炉などの安定操業に寄与することができる。
本発明の炉体保護用ステーブの一例を示す平面図である。 (a)、(b)は、それぞれ、本発明の炉体保護用ステーブにおけるステーブ本体の一例を示す側面図および平面図である。 本発明の炉体保護用ステーブにおけるステーブ本体に設けた挿入穴の一例を示す図である。 本発明の炉体保護用ステーブで用いるスリーブの一例を示す図である。 本発明の炉体保護用ステーブで用いるセラミック部材の一例を示す図である。 (a)〜(c)は、それぞれ、スリーブおよびセラミック部材をステーブ本体の挿入穴にねじ込み固定して本発明の炉体保護用ステーブを構成する場合の一例を説明するための図である。 本発明の炉体保護用ステーブの好適な例を説明するための図である。
図1は、本発明の炉体保護用ステーブの一例を示す平面図である。図1に示す例において、本発明の炉体保護用ステーブ1は、冷却媒体が流通する流路を有する銅製のステーブ本体11の表面に設けた円柱形状の挿入穴(図3参照)に、円柱形状のセラミック部材31(図5参照)を金属製のスリーブ(図4参照)を介して挿入穴とスリーブとに形成したねじ部によりねじ込み固定して、ステーブ本体11の表面にセラミック部材31を敷詰めた構造となっている。図1に示す例では、ステーブ本体11の炉体の内部側の表面において、セラミック部材31の露出した端部の面積の合計を炉体の内部側の全表面積に対し20〜80%とすることが好ましい。その理由は、セラミック部材31の合計の面積が全表面積に対し20%未満であると、セラミック部材31を設けた効果を十分に得ることができない場合があるとともに、セラミック部材31の合計の面積が全表面積に対し80%を超えると、セラミック部材31間の間隔が小さくなりステーブ本体11の強度が維持できない場合があるためである。
図2(a)、(b)は、それぞれ、本発明の炉体保護用ステーブにおけるステーブ本体の一例を示す側面図および平面図である。図2(a)、(b)に示す例において、本発明の炉体保護用ステーブ1を構成する銅製のステーブ本体11は、その一方の炉体の内部側の表面11aに円柱形状の複数の挿入穴12を設けて構成されている。ステーブ本体11の他方の表面11bには、ステーブ本体11を炉壁の鉄皮などに取り付けて、図示しない流路に冷却媒体を循環させるための冷却媒体入口13aおよび冷却媒体出口13bを設けている。この冷却媒体入口13a、流路、および、冷却媒体出口13bの組は、図2(b)の平面図において、複数組例えば6組設けられている。ステーブ本体11の具体的な大きさの一例は、図中幅Wが500〜3000mm、長さLが500〜4000mm、厚みは50〜500mmである。ステーブ本体11の材料は、銅系の金属であればよく、純銅(無酸素純銅)などの他、従来から銅製のステーブの材料として用いられているもののいずれでも使用することができる。
図3は、本発明の炉体保護用ステーブにおけるステーブ本体に設けた挿入穴の一例を示す図である。図3に示す例では、図2(a)、(b)に示すようにステーブ本体11に複数設けた挿入穴12のうちの1つのみを示しているが、全ての挿入穴12が図3に示す構成を有している。図3に示す例では、銅製のステーブ本体11の平らな表面に、フラットドリル等を使用してドリル加工することで、円柱形状の挿入穴12を形成している。そして、挿入穴12の内周面に雄ねじ(または雌ねじ)を設けて、ねじ部14を形成している。挿入穴12の具体的な大きさの一例は、図中直径dが48mm、深さDが31mmである。
図4は、本発明の炉体保護用ステーブで用いるスリーブの一例を示す図である。図4に示す例において、金属製のパイプなどからなるスリーブ21は、内径diと外径doとを有する円筒形状となっている。スリーブ21の外径doは、ステーブ本体11の挿入穴12の直径dとほぼ同じ大きさを有している。また、スリーブ21の外周面に雌ねじ(または雄ねじ)を設けて、ねじ部22を形成している。そのため、このねじ部22は挿入穴12のねじ部14と係合可能に構成され、これらねじ部22とねじ部14とを協働させることで、スリーブ21を挿入穴12内にねじ込むことが可能である。スリーブ21の具体的な大きさの一例は、図中、内径diが10〜300mm、外径doが15〜310mm、長さLが10〜300mmである。スリーブ21の材料としては、例えばSUS304などの種々のステンレス材料を用いることができる。
図5は、本発明の炉体保護用ステーブで用いるセラミック部材の一例を示す図である。図5に示す例において、セラミック部材31は、直径d1を有する円柱形状の円柱部31aと、その一端部に設けられた円柱部31aの直径d1より大きい直径d2を有する段部31bと、から構成されている。円柱部31aの直径d1は、スリーブ21の内径diとほぼ同じか少し小さい大きさを有しており、段部31bの直径d2は、挿入穴12の内径dとほぼ同じ大きさを有している。また、円柱部31aの長さL1はスリーブ21の長さLとほぼ同じ大きさを有しており、段部31bの長さL2は挿入穴12の深さDとスリーブ21の長さLとの差(D−L)とほぼ同じ大きさを有しており、セラミック部材31の長さ(L1+L2)は挿入穴12の深さDとほぼ同じ大きさを有している。セラミック部材31の具体的な大きさの一例は、図中、直径d1が10〜300mm、直径d2が15〜310mm、長さL1が10〜300mm、長さL2が2〜20mmである。セラミック部材31の材料としては、種々のセラミックス、例えば、アルミナ、ジルコニア、窒化珪素やそれらを含む複合セラミックスなどを用いることができる。
図6(a)〜(c)は、それぞれ、スリーブおよびセラミック部材をステーブ本体の挿入穴にねじ込み固定して本発明の炉体保護用ステーブを構成する場合の一例を説明するための図である。図6(a)〜(c)に示す例において、本発明の炉体保護用ステーブを組み立てるためには、まず、図6(a)に示すように、スリーブ21の端部がセラミック部材31の段部31bと接触した状態となるまで、セラミック部材31の円柱部31aの外周にスリーブ21を挿入して一体化する。次に、図6(b)に示すように、一体化されたセラミック部材31とスリーブ21とを、スリーブ21の外周に設けたねじ部22とステーブ本体11の挿入穴12の内周に設けたねじ部14とを係合させてねじを回すことで、挿入穴12内に徐々に挿入する。その後、図6(c)に示すように、セラミック部材31の段部31bを有する端部を挿入穴12の底部と接触させて、セラミック部材31とスリーブ21とを挿入穴12内にねじ込み固定する。以上のセラミック部材31のねじ込み固定を、すべてのセラミック部材31に対し行うことで、本発明の炉体保護用ステーブを得ることができる。
図7は、本発明の炉体保護用ステーブの好適な例を説明するための図である。図7に示す例では、ステーブ本体11の挿入穴12の底部とセラミック部材31の段部31bを有する端部との間に断熱材41を配置している。このように断熱材41を配置することで、ステーブ本体11とセラミック部材31との間における断熱および衝撃吸収を達成でき、より好ましい特性の炉体保護用ステーブを得ることができる。断熱材41の材料としては、カオウールなど従来から公知の種々の断熱材を用いることができる。
なお、上述した実施例では、セラミック部材31の外周とスリーブ21の内周とは接着させずに、セラミック部材31の段部31bを利用してスリーブ21を介して挿入穴12内にセラミック部材31をねじ込み固定したが、セラミック部材31の外周とスリーブ21の内周とが何らかの手段例えば接着剤により固定された場合は、セラミック部材31に段部31bを設ける必要はない。また、上述した実施例では、ステーブ本体11内に冷却媒体を循環させるために、冷却媒体入口13a、流路および冷却媒体出口13bを設けたが、ステーブに冷却媒体による循環が必要ない場合は、これらの構成を設ける必要はない。
上述した構成の本発明の炉体保護用ステーブによれば、まず、セラミック部材31をスリーブ21を介して挿入穴12にねじ込み固定するよう構成したことにより、好ましくは、スリーブ21に段部31bを有するセラミック部材31を一体化し、スリーブ21のねじ部22と挿入穴12のねじ部14とを利用して、一体化したスリーブ21とセラミック部材31とを挿入穴12内にねじ込み固定するよう構成したことにより、セラミック部材31の挿入穴12からの脱落を効果的に防止することができる。
また、セラミック部材31と銅製のステーブ本体11との間に、銅およびセラミックスの中間の熱伝導率を有するステンレスなどの金属製のスリーブ21が存在するため、好ましくは、さらにセラミック部材31の段部31bを有する端部と銅製のステーブ本体11の挿入穴12の底部との間に断熱材41を配置することで、銅製のステーブ本体11側からの急激な吸熱を防止し、セラミック部材31の急激な温度低下による割れを防止することができる。加えて、カオウール等の断熱材41は、炉内の原料圧をセラミック部材31が受けた場合の緩衝材の役割も果たすことができる。
さらに、セラミック部材31を円柱形状としているため、セラミック部材を四角形状で角部がある形状とした場合と比べて、応力の局部集中を防止することができ、セラミック部材31の破損を防止することができる。
以上により、従来の方法で耐火物を取り付けたステーブでは不可能だった耐熱性、耐摩耗性、耐熱衝撃性の両立を図ることができ、しかも長期間断熱層の脱落なく保持することができる。そのため、従来の銅のみから構成された銅ステーブと比較して1/2程度まで抜熱を抑えることができ、断熱によるステーブ変形を防止でき、長寿命化を図ることができる。
実際に、図1〜6に示された無酸素純銅からなるステーブ本体11、SUS304からなるスリーブ21、アルミナからなるセラミック部材31、さらには、カオウールからなる断熱材41を用いて、セラミック部材が全表面の50%で敷詰められた本発明例のステーブと、同じ寸法で銅のみから構成された従来例のステーブと、に対し、同じ条件下で抜熱量についてシミュレーションを行った。その結果、従来例の銅ステーブの抜熱量は1枚あたり約1.16GJ/Hであるのに対し、本発明例のステーブの抜熱量は1枚あたり約0.58GJ/Hとなり、本発明例のステーブを採用することで、抜熱量を約1/2カットできることがわかった。
本発明に係る炉体保護用ステーブは、高温に曝される炉体内壁に設置するステーブとして、断熱性、耐摩耗性、耐熱性、耐熱衝撃性に優れ、長期間の使用においても脱落しにくい、炉体保護用ステーブを得ることができるため、高炉以外の加熱炉においても、高温に曝される炉壁内部の保護する用途として有効な方法である。
1 炉体保護用ステーブ
11 ステーブ本体
11a、11b 表面
12 挿入穴
13a 冷却媒体入口
13b 冷却媒体出口
14、22 ねじ部
21 スリーブ
31 セラミック部材
31a 円柱部
31b 段部
41 耐熱材

Claims (5)

  1. 銅製のステーブ本体の表面に設けた円柱形状の挿入穴に、円柱形状のセラミック部材を金属製のスリーブを介して挿入穴とスリーブとに形成したねじ部によりねじ込み固定して、ステーブ本体の表面にセラミック部材を敷詰めた構造を有することを特徴とする炉体保護用ステーブ。
  2. 前記セラミック部材が、円柱形状の円柱部とその一端部に設けられた円柱部の直径より大きい直径を有する段部とから構成され、前記スリーブの端部が段部と接触した状態となるまで、セラミック部材の円柱部の外周にスリーブを挿入して一体化し、一体化されたセラミック部材とスリーブとを、スリーブの外周に設けたねじ部とステーブ本体の挿入穴の内周に設けたねじ部とを係合させて、挿入穴の内部に挿入し、セラミック部材の段部を有する端部が挿入穴の底部と接触させ、セラミック部材とスリーブとを挿入穴内にねじ込み固定した構造であることを特徴とする請求項1に記載の炉体保護用ステーブ。
  3. 前記ステーブ本体の挿入穴の底部と前記セラミック部材の段部を有する端部との間に、断熱材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の炉体保護用ステーブ。
  4. 前記ステーブ本体の炉体の内部側の表面において、前記セラミック部材の露出した端部の面積の合計が炉体の内部側の全表面積に対し20〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炉体保護用ステーブ。
  5. 前記ステーブ本体が、冷却媒体が流通する流路を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炉体保護用ステーブ。
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