(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る米飯成形装置は、米飯を成形する装置である。米飯成形装置は、例えばおにぎりや寿司シャリ玉などの米飯成形品を製造する際に用いられる。ここでいう「米飯」は、米の飯、つまり炊かれた米であって、多数の米粒の集合からなる。ただし、「米飯」は、米のみでなく、例えば麦や粟などの穀類、又は米と米以外の穀類とを混ぜて炊いた「飯」全般を含む意味である。「米飯」は炊かれたもち米であってもよい。また、ここでいう「成形」は、米飯を構成する多数の米粒が一塊となって成形品(例えばおにぎりなど)の形を成すように、米飯を加工することを意味する。
本実施形態では一例として、米飯成形装置がコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗に設置され、店舗の顧客に対して販売する米飯成形品の製造に米飯成形装置が用いられる場合について説明する。本実施形態では、米飯成形品はおにぎりであることとする。また、本実施形態では、米飯は炊かれた米であることとして説明する。
本実施形態の米飯成形装置1は、図1A及び図1Bに示すように、米飯90を収容する成形型2と、成形型2を公転させる回転機構3とを備えている。回転機構3は、基準平面101に直交する公転軸102を中心とする公転軌道104に沿って成形型2を公転させる。回転機構3は、公転軸102に平行しかつ基準平面101への成形型2の投影面内に位置する自転軸103を中心とする成形型2の自転と非同期で、成形型2を公転させるように構成されている。ここでいう「平行」は、2直線(公転軸102と自転軸103)が互いに交わらない状態を意味している。したがって、互いに平行する公転軸102と自転軸103とは互いに離れて位置することになる。そのため、自転軸103は公転軸102を中心に公転することになる。そこで、本実施形態では、自転軸103の軌道を公転軌道104として説明するが、公転軌道104は成形型2の公転時の軌道であればよく、自転軸103の軌道に限らない。なお、ここでいう「平行」は厳密な平行に限らず、実質的に平行とみなせる状態、つまり略平行な状態を含む。
ここで、基準平面101は実体を伴わない仮想平面であって、図1A及び図1Bでは一点鎖線で示している。また、公転軸102及び自転軸103は実体を伴わない軸(直線)であって、図1A及び図1Bでは一点鎖線で示している。公転軌道104は実体を伴わない軌道であって、図1A及び図1Bでは一点鎖線で示している。
言い換えれば、回転機構3は、公転軸102を中心とする公転軌道104上において成形型2を旋回させるのであって、これにより、成形型2は公転する。ここで、回転機構3は、成形型2の内部を貫通するように設定された自転軸103を中心とする成形型2の回転、つまり成形型2の自転と非同期で、成形型2を公転させる。ここでいう「非同期」は、回転の周期が同期していないことを意味している。つまり、回転機構3による成形型2の公転の周期は、自転軸103を中心とする成形型2の自転の周期と同期しておらず、成形型2の公転の周期と自転の周期との間には、ずれがある。
ここにおいて、回転機構3は、成形型2の自転が成形型2の公転と非同期となるように成形型2を公転させればよく、成形型2が自転することは必須の構成ではない。つまり、回転機構3は、成形型2の自転0度に対して成形型2を360度公転させてもよい。この場合、成形型2の回転は公転のみとなり、成形型2は自転しない。なお、成形型2の公転及び自転の量を回転角で表す場合、一方向(例えば反時計回り)への回転時の回転角を正(プラス)の値とし、他方向(例えば時計回り)への回転時の回転角を負(マイナス)の値とする。
要するに、本実施形態の米飯成形装置1においては、回転機構3が成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させるため、成形型2の自転と成形型2の公転とが同期すること、つまり成形型2が360度公転する間に成形型2が360度自転することはない。よって、成形型2は公転軸102に対して同じ面を向けた状態で公転軸102周りを公転することはなく、成形型2の公転軸102との対向面は、成形型2の公転に伴って変化することになる。
すなわち、米飯成形装置1は、成形型2を回転機構3にて公転軸102周りで公転させることにより、米飯90を成形する。成形型2に収容されている米飯90は、成形型2の公転に伴って生じる遠心力により成形される。要するに、成形型2が公転すると、成形型2内の米飯90の米粒912(図7B,7C参照)一つ一つに対して、基準平面101に沿いかつ公転軸102から離れる向きに遠心力が作用する。この遠心力によって、成形型2内において米飯90が移動し、成形型2内の米飯90が成形型2の内表面(内側の面)に押し付けられるため、成形型2内で米飯90が成形されることになる。さらに、米飯成形装置1は、回転機構3にて成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させている。そのため、回転機構3が成形型を回転(公転)させる際、公転による遠心力が成形型2内の米飯90に対して様々な向きに作用し、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられる。このようにして成形される米飯90においては、基準平面101に沿う平面内において成形型2の重心から離れる程に米粒912が密になり、反対に成形型2の重心に近づく程に米粒912が疎になる。
したがって、本実施形態の米飯成形装置1にて米飯90が成形されることによって得られる米飯成形品(本実施形態ではおにぎり)は、外部(表面付近)は固めで内部は柔らかくふっくらした状態(いわゆる「ふかふか」の状態)となる。そのため、米飯成形装置1によれば、形を保ちながらも内部がふかふかの状態にあり、口の中で解れやすくも食感のよい米飯成形品を提供することができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る米飯成形装置1について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(2.1)システム構成
ここではまず、米飯成形装置1を用いた米飯成形品製造システム8の全体構成について説明する。
米飯成形品製造システム8は、図2に示すように、米飯成形装置1と、成形型保管装置81と、米飯供給装置82と、具材供給装置83と、仕上装置84と、制御装置85とを備えている。
制御装置85は、米飯成形品製造システム8全体を制御するように構成されている。制御装置85は、米飯成形品製造システム8に必要な情報を記憶する。例えば、制御装置85は、複数種類の具材901(図9参照)の各々と成形型2に供給される米飯90の供給量との対応関係を予め記憶している。制御装置85は、記憶している情報に基づいて、米飯成形品製造システム8の動作を制御する。
制御装置85は、米飯成形品の製造時に、米飯90に供給される具材901に関する具材情報を受け取ると、具材情報に含まれている具材901に対応する米飯90の供給量を対応関係から抽出する。そして、制御装置85は、抽出した供給量に関する供給情報を米飯供給装置82に出力する。
成形型保管装置81は、成形型2を保管するように構成されている。成形型保管装置81は、例えば、成形型2を食塩水などの液体に浸して保管するように構成されている。成形型保管装置81は、米飯90の成形に使用した後、次回の成形に使用するまでの間、成形型2を上記液体に浸して保管する。成形型保管装置81は、成形型2を保持するように構成されている。そして、成形型保管装置81は、保持した成形型2を、成形型2を上記液体に浸す位置と、成形型2を上記液体に浸さない位置との間で移動させるように構成されている。
米飯供給装置82は、成形型2に米飯90を供給するように構成されている。米飯供給装置82は、成形型2に供給するための米飯90を収容する米飯収容機能を有している。米飯供給装置82は、収容している米飯90から適量の米飯90を成形型2に供給する米飯供給機能をさらに有している。
ところで、成形された米飯90において具材901を入れるための空洞(具穴911)の大きさは、具材901の種類ごとに異なる。そして、具穴911(図6C参照)の大きさは、成形型2に供給される米飯90の供給量に応じて変化する。そこで、米飯供給装置82は、成形型2に供給される米飯90の供給量を調節する調節機能をさらに有している。米飯供給装置82は、制御装置85から供給情報を受け取ると、供給情報に含まれている供給量の米飯90を成形型2に供給するように構成されている。
なお、複数種類の具材901の各々と米飯90の供給量との対応関係は、制御装置85ではなく、米飯供給装置82に記憶されていてもよい。この場合、米飯成形品の製造時に、米飯供給装置82は、具材情報を受け取ると、具材情報に含まれている具材901に対応する供給量の米飯90を成形型2に供給する。
なお、成形型2に供給される米飯90として、容器に予め収納されている米飯を用いてもよい。この場合、米飯90の供給量ごとに容器を区別しておけば、容器から成形型2に米飯90を供給するだけで、成形型2には適量の米飯90が供給される。
具材供給装置83は、成形型2に具材901を供給するように構成されている。具材供給装置83は、複数種類の具材901を個別に収容する具材収容機能を有している。例えば各具材901が予め容器に収容されている場合、具材供給装置83は、具材901が収容されている容器が取り付けられるように構成されている。具材供給装置83は、米飯90が供給されている成形型2に供給するための具材901を選択する選択機能をさらに有している。また、具材供給装置83は、選択した具材901に関する具材情報を制御装置85に出力する。具材供給装置83は、選択した具材901を、米飯90が収容されている成形型2に供給する具材供給機能をさらに有している。
なお、具材供給装置83は、互いに異なる具材901が収容されている複数の収容庫を備えてもよい。この場合、具材供給装置83は、店員又は顧客が選択するための操作部を備え、操作部への操作による入力情報に従って、複数種類の具材901から、成形型2の供給するための具材901を選択するように構成されている。そして、具材供給装置83は、選択した具材901を収容庫から成形型2に供給するように構成されている。
仕上装置84は、米飯成形品を容器に収容する収容機能を有している。また、仕上装置84は、成形された二次成形品92(図11B参照)に海苔を巻く海苔巻き機能を有している。仕上装置84は、複数の海苔を保管している。仕上装置84は、保管されている複数の海苔の1枚を所定位置に移動させるように構成されている。米飯成形品を収容する容器は、所定位置に設置されている。仕上装置84は、成形された二次成形品92を、成形型2から取り出して、海苔がセットされている所定位置まで移動し、二次成形品92に海苔が巻かれた三次成形品93(図11C参照)を米飯成形品として容器に収容する。
なお、海苔巻き機能及び収容機能は必須ではなく、米飯成形品製造システム8は、海苔巻き機能を有していなくてもよいし、収容機能を有していなくてもよい。また、米飯成形品製造システム8は、海苔巻き機能及び収容機能の両方を備えていなくてもよい。この場合、店員又は顧客が海苔を巻いたり、米飯成形品を容器に収容したりする。海苔が不要な米飯成形品の場合、仕上装置84は、成形された二次成形品92を成形型2から取り出し、海苔が巻かれていない状態で、容器に収容すればよい。
米飯成形品製造システム8は、米飯成形装置1と成形型保管装置81と米飯供給装置82と具材供給装置83と仕上装置84と制御装置85とを一体に備えていてもよいし、これらを別体に備えていてもよい。また、米飯成形品製造システム8は、これらのうちの一部を一体に備えていてもよい。
ところで、本実施形態では、具材901入りでかつ海苔が巻かれたおにぎりを完成品としているため、三次成形品93(図11C参照)が完成品となる。具材901入りであるが海苔なしのおにぎりを完成品とする場合には、二次成形品92(図11B参照)が完成品となる。また、具材901なしかつ海苔なしのおにぎりを完成品とする場合には、一次成形品91(図7A参照)が完成品となる。
(2.2)米飯成形装置
(2.2.1)基本構成
本実施形態の米飯成形装置1は、基本的な構成として、図1A及び図1Bに示すように、成形型2と、回転機構3とを備えている。以下では、とくに断りがない限り、基準平面101が水平面となる向きで、米飯成形装置1が配置されていることとして説明する。つまり、公転軸102の軸方向は水平面に対して垂直の方向(上下方向)となる。ただし、これらの方向は米飯成形装置1の使用方向を規定する趣旨ではない。
成形型2は、公転軸102の軸方向(上下方向)に対向する一対の側板21,22と、筒状の周壁23とを有している。周壁23は、上下方向の両端が開口されている。一対の側板21,22は、周壁23の上下方向の両端の開口を塞ぐように周壁23と組み合わされている。これにより、成形型2の内部には周壁23と一対の側板21,22とで囲まれた空間が形成される。したがって、成形型2は、内部に米飯90を収容可能な空間を持つ容器として機能する。ここで、一対の側板21,22のうち、下側の側板21は成形型2の底板を構成し、上側の側板22は成形型2の蓋を構成する。
本実施形態では、一対の側板21,22及び周壁23の各々は、平面視(上面視)が略三角形状に形成されている。成形型2全体としては、上下方向に扁平な略三角柱状に形成されている。ここで、一対の側板21,22及び周壁23の各々は、厳密には三角形ではなく、図1Aに示すように角部が丸く、かつ各辺が外側に膨らむように湾曲した形状である。つまり、ここでいう「略三角形状」には、図1Aに示すような一部が湾曲した三角形状を含んでいる。ここでは、一対の側板21,22及び周壁23の各々は、三辺の長さが同じ三角形状、つまり略正三角形状である。
成形型2は合成樹脂製である。成形型2は、例えばポリプロピレン樹脂にフッ素樹脂を加えた、米飯90が付着しにくい材質であることが好ましい。なお、成形型2の内表面は平坦面に限らず、成形型2の内表面に多数の凹凸が形成されていてもよい。
一対の側板21,22のうち、成形型2の底板としての側板21は、周壁23に対して周壁23の下端の開口を閉塞する位置に固定されている。ただし、本実施形態では、側板21は、周壁23に対して常時固定されているわけではなく、周壁23に対して相対的に移動可能に構成されている。詳しくは後述するが、成形型2から二次成形品92を排出する際には、側板21は、側板21の厚み方向に沿って周壁23に対し相対的に移動することで、二次成形品92を押し出す。
一対の側板21,22のうち、成形型2の蓋としての側板22は、周壁23に対してヒンジ25によって連結されている。側板22は、ヒンジ25を中心に回転することによって、周壁23の上端の開口を塞ぐ閉状態と、周壁23の上端の開口を開放する開状態との切り替え、つまり開閉が可能である。側板22の開閉は、後述する開閉機構11(図3参照)によって行われる。成形型2内への米飯90や具材901の供給は、側板22が開状態にあるときに行われる。
一対の側板21,22は、いずれも周壁23の開口と略同一形状に形成されている。そのため、側板22が閉状態にあれば、成形型2の内部空間24(図6A参照)は略密閉された空間となり、成形型2からの米飯90の漏出が防止される。
回転機構3は、筐体31と、モータ(電動機)32と、複数(図示例では3つ)の歯車33,34と、複数(図示例では2つ)の歯車軸35と、リンク装置36とを有している。回転機構3は、モータ32、複数の歯車33,34、及び複数の歯車軸35を筐体31内に有している。回転機構3は、モータ32で生じる駆動力をリンク装置36を介して成形型2に伝達し、成形型2を回転(公転)させるように構成されている。回転機構3は、後述する制御部10(図3参照)からの回転制御信号を受け、回転制御信号に応じて成形型2を回転させる。
筐体31は中空の直方体状に形成されている。筐体31は、筐体31の上面が基準平面(ここでは水平面)101と略平行となるように設置されている。筐体31の上面(天板)には、リンク装置36を通すための透孔311が形成されている。なお、図示する筐体31の形状や寸法は、実際の筐体31の形状や寸法を表している訳ではない。また、筐体31や透孔311の図示は、図4A以降においては適宜省略する。
モータ32は、減速機又は増速機が一体に設けられたギアードモータである。モータ32は、出力軸321を上方に向けた状態で筐体31に固定されている。出力軸321には、歯車33が結合されている。なお、モータ32とは別に、ギアボックス(減速機又は増速機)が設けられてもよい。
一対の歯車34は、図4A,4Bに示すように、基準平面101に沿う一方向において歯車33の両側に配置されている。一対の歯車34の各々は歯車33と噛み合うように設けられている。一対の歯車34の各々は各歯車34を上下方向に貫通する歯車軸35に取り付けられている。一対の歯車軸35は、回転可能な状態で筐体31に保持されている。これにより、モータ32の出力軸321が回転すると、一対の歯車軸35は同じ向きに回転することになる。
リンク装置36は、いわゆる平行リンク機構(四節リンク機構)であって、一対の歯車軸35の回転力を成形型2に伝達するように構成されている。ここでは、リンク装置36は、一対の第1リンク361,362と、一対のピン363,364と、第2リンク365とを有している。
第1リンク361の一端部には歯車軸35が結合され、第1リンク361の他端部にはピン363を介して第2リンク365が回転可能に連結されている。第1リンク362の一端部には歯車軸35が結合され、第1リンク362の他端部にはピン364を介して第2リンク365が回転可能に連結されている。これにより、一対の歯車軸35が同じ向きに回転すると、モータ32の出力軸321の中心軸周りで第2リンク365が回転する。
第2リンク365は、成形型2の底を構成する側板21に結合されている。回転機構3は、第2リンク365を回転させることによって、図5A〜5Cに示すように、公転軌道104に沿って成形型2を公転させる。このとき、成形型2は、モータ32の出力軸321の中心軸周りで公転することになるため、出力軸321の中心軸が公転軸102に相当する。さらに、第2リンク365は、一対のピン363,364の各々を回転軸として第1リンク361,362に対して相対的に回転する。第2リンク365の重心が自転軸103に相当する。
ここにおいて、公転軸102は、基準平面101への成形型2の投影面内に位置する。
つまり、本実施形態では、自転軸103(第2リンク365の重心)と公転軸102(出力軸321の中心軸が)との両方が、基準平面101への成形型2の投影面内に位置している。
また、本実施形態では、自転軸103は、基準平面101への成形型2の投影面の重心を通る軸である。具体的には、筐体31の上面と成形型2の下面(側板21の下面)とは略平行となるように、つまり成形型2の下面が略水平となるように、成形型2が第2リンク365に結合されている。ここで、第2リンク365の重心(中心)は成形型2の下面の重心と一致している。これにより、自転軸103は成形型2の重心(質量中心)を通ることになる。
また、本実施形態では、回転機構3は、成形型2の自転0度に対して成形型2を360度公転させるように構成されている。具体的には、回転機構3は、成形型2が公転軸102の周囲を1周(1回転)する間に、成形型2が自転軸103周りで0周(0回転)するように、成形型2を公転させる。この場合、成形型2の回転は公転のみとなり、成形型2は自転せず、結果的に、基準平面101を基準とした成形型2の向きは一定(不変)となる。例えば、図5A〜5Cに示すように、成形型2が反時計回りに公転する場合、成形型2が360度公転する間に、成形型2の自転は0度(つまり成形型2は自転しないこと)になる。本実施形態では、リンク装置36は、いわゆる平行リンク機構であるから、基準平面101に対する第2リンク365の相対的な向きは一定であり、第2リンク365に結合された成形型2の向きも一定となる。
ところで、本実施形態の米飯成形装置1は、成形型2及び回転機構3に加え、図3に示すように制御部10、開閉機構11、供給機構12、移動機構13、補助振動機構14、及び排出機構15をさらに備えている。
制御部10は、回転機構3、開閉機構11、供給機構12、移動機構13、補助振動機構14、及び排出機構15の各々と電気的に接続されている。そして、制御部10は、回転機構3、開閉機構11、供給機構12、移動機構13、補助振動機構14、及び排出機構15の各々を制御する機能を有している。制御部10は、マイクロコンピュータなどのコンピュータを主構成とし、メモリに記録されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めコンピュータのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
制御部10には、米飯成形装置1の動作に関連する情報を入力する入力部17が電気的に接続されている。入力部17には、ユーザインタフェースが接続され、例えば顧客がユーザインタフェースを用いて入力した入力情報が入力部17から制御部10に入力される。ここで顧客が入力する入力情報には、具材901の種類や具材901の量(多め、少なめ)などを指定する情報、さらには、おにぎりの固さや米飯90の量(多め、少なめ)などの顧客の好みを指定する情報が含まれている。
制御部10は、回転制御信号によって回転機構3を制御する。制御部10は回転機構3を制御することで、回転機構3による成形型2の公転の回転数と成形型2の公転時間との少なくとも一方を制御する。ここでいう「回転数」は公転する成形型2の回転速度の意味であり、「公転時間」は公転を継続している時間の意味である。本実施形態では、制御部10は成形型2の回転数と成形型2の公転時間との両方を制御する。ここで、制御部10は、入力情報に合わせて成形型2の回転数及び公転時間の各々を自動的に決定するように構成されている。つまり、成形型2の回転数及び公転時間の各々は、具材901の種類や具材901の量、さらには顧客の好みに応じて自動的に決定される。
具材901の種類や具材901の量にもよるが、成形型2の回転数は、100〔rpm〕〜3000〔rpm〕の範囲で調節されることが好ましい。さらに、成形型2の回転数は500〔rpm〕以上であることがより好ましい。成形型2の回転数は2000〔rpm〕以下であることがより好ましい。また、成形型2の公転時間は、5〔秒〕〜60〔秒〕の範囲で調節されることが好ましい。さらに、成形型2の公転時間は10〔秒〕以上であることがより好ましい。成形型2の公転時間は30〔秒〕以下であることがより好ましい。
制御部10は、例えば回転機構3の筐体31内に収納される。ただし、制御部10は、全ての機能が集約されていることは必須ではなく、制御部10のうち一部の機能が他の機能とは別体に設けられていてもよい。また、制御部10のうち少なくとも一部の機能は、筐体31内に限らず、例えば移動機構13に設けられていてもよい。
開閉機構11は、成形型2の蓋となる側板22を開閉する機構である。開閉機構11は、制御部10からの開閉制御信号を受け、開閉制御信号に応じて側板22を開閉する。ここで、開閉機構11には、側板22が閉状態にあるときに、側板22を閉状態に保持するロック機構が備わっていることが好ましい。これにより、成形型2が回転(公転)する米飯90の成形時において、側板22が開いてしまうことを防止できる。
供給機構12、移動機構13、補助振動機構14、及び排出機構15については、「(2.2.3)付加機能」の欄で説明する。
(2.2.2)基本動作
以下、上述した構成の米飯成形装置1の動作、つまり米飯成形装置1を用いた米飯成形方法について、図6A〜図7Cを参照して説明する。
まず、米飯供給工程において、図6Aに示すように、解れた状態の米飯90を成形型2に供給する。このとき、成形型2の側板22は開閉機構11(図3参照)によって開状態にある。米飯90の供給が完了すると、開閉機構11が側板22を閉状態とする。ここで、成形型2に供給(収容)される米飯90の量は、開閉機構11が側板22を閉めた際に側板22にて軽く米飯90が押され、成形型2の内部空間24の略全体に米飯90が行きわたる程度の量であることが好ましい。成形型2に供給される米飯90の量は、米飯供給装置82にて調節される。予め適当な量に小分けにされた米飯90が成形型2に供給されてもよい。
次に、成形工程において、図6Bに示すように、回転機構3が成形型2を回転させる。このとき、成形型2が公転軸102周りで公転することにより、成形型2内の米飯90が成形される。つまり、成形型2が公転すると、成形型2内の米飯90の米粒912一つ一つに対して、基準平面101に沿いかつ公転軸102から離れる向きに遠心力が作用する。この遠心力によって、成形型2内において米飯90が移動し、成形型2内の米飯90が成形型2の内表面(内側の面)に押し付けられるため、成形型2内で米飯90が成形される。さらに、米飯成形装置1は、回転機構3にて成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させている。そのため、回転機構3が成形型を回転(公転)させる際、公転による遠心力が成形型2内の米飯90に対して様々な向きに作用し、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられる。
成形工程では、成形型2は制御部10にて決定された回転数で回転(公転)する。成形型2の回転数は、成形工程の開始から終了まで一定に限らず、成形工程の途中で変化してもよい。また、成形工程では、成形型2は制御部10にて決定された公転時間に亘って回転(公転)する。
本実施形態では、回転機構3は、成形型2を公転させることにより、米飯90内に空洞が生じるように米飯90に遠心力を作用させる。このようにして生じる空洞が一次成形品91(図6C参照)における具穴911(図6C参照)となる。具穴911は公転軸102の軸方向に一次成形品91を貫通していてもよいし、貫通せずに一次成形品91の表面が窪んでいるだけであってもよい。本実施形態では、具穴911は、例えば一次成形品91の表面が窪んだ状態である。具穴911は、具材901を埋め込むことができる程度に、一次成形品91内において他の部分よりも米粒912の密度が低い疎の部分といえる。
成形工程の開始から公転時間が経過して成形工程が終了すると、図6Cに示すように、成形型2の側板22は開閉機構11によって開状態となる。成形工程の終了後においては、成形型2内の米飯90が成形され一次成形品91を構成する。このようにして成形された一次成形品91は、基準平面101に沿う平面内において成形型2の重心から離れる程に米粒912が密になり、反対に成形型2の重心に近づく程に米粒912が疎になる。
さらに詳しく説明すると、成形工程によって得られた一次成形品91は、図7Aに示すように、成形型2の形状に合わせて略三角形状に成形されることになる。一次成形品91における重心付近には具穴911が形成される。そして、成形工程では遠心力によって、成形型2内の米飯90が成形型2の内表面(内側の面)、とくに周壁23の内表面に押し付けられている。そのため、一次成形品91は、図7Bに示すように外部では米粒912が密になり、米飯90が比較的固くなる。これに対して、図7Cに示すように内部では米粒912が疎になるため、米飯90は空気を多く含み柔らかくふっくらした状態(いわゆる「ふかふか」の状態)となる。なお、図7Bは、図7Aの領域X1の拡大図、図7Cは、図7Aの領域X2の拡大図である。
ここにおいて、成形型2に供給される米飯90の量にもよるが、成形型2の回転数が高く(速く)なるほどに、一次成形品91の外部では米粒912が密になり米飯90が固くなり、内部では米粒912が疎になり柔らかくふっくらした状態になる。同様に、成形型2の公転時間が長くなるほどに、一次成形品91の外部では米粒912が密になり米飯90が固くなり、内部では米粒912が疎になり柔らかくふっくらした状態になる。また、成形型2の回転数が高く(速く)なるほど、又は成形型2の公転時間が長くなるほどに、一次成形品91に生じる空洞(具穴911)は大きくなる。反対に、成形型2の回転数が低く(遅く)なるほど、又は成形型2の公転時間が短くなるほどに、一次成形品91に生じる空洞(具穴911)は小さくなる。
(2.2.3)付加機能
供給機構12は、図8に示すように、米飯90の所定範囲の空間に追加用米飯902を供給する機構である。供給機構12は、制御部10からの供給制御信号を受け、供給制御信号に応じて追加用米飯902を成形型2に供給する。供給機構12は、下方に向けて開口するノズル121を有している。供給機構12は、ノズル121の先端部を成形型2の内部空間24(図6A参照)のうち自転軸103を含む所定範囲の空間に対向させた状態で、ノズル121の先端部から追加用米飯902を供給する。なお、供給機構12は米飯供給装置82と共用されていてもよく、この場合、ノズル121の付け替えによって供給機構12と米飯供給装置82とが切り替えられる。
供給機構12は、成形工程の終了後、成形型2の側板22が開状態にあるときに、成形型2の内部空間24に追加用米飯902を供給する。ここで、成形工程の終了後においては、内部空間24のうち自転軸103を含む所定範囲の空間は、一次成形品91の具穴911に相当する。すなわち、供給機構12は、成形工程にて成形された一次成形品91の具穴911に対して、追加用米飯902を供給することになる。
移動機構13は、成形型2を移動させる機構である。移動機構13は、制御部10からの移動制御信号を受け、移動制御信号に応じて成形型2を移動させる。移動機構13は、筐体31を支持するアーム131を有している。移動機構13は、アーム131を伸縮させたり、アーム131を回転させたりすることによって、アーム131にて支持された筐体31ごと、成形型2を移動させる。
移動機構13は、図8に示すように、供給機構12の下方と具材供給装置83の下方との間で成形型2を移動させる。そして、供給機構12の下方に成形型2が位置する状態では、供給機構12により、一次成形品91の具穴911に追加用米飯902が供給される。一方、具材供給装置83の下方に成形型2が位置する状態では、具材供給装置83により、一次成形品91の具穴911に具材901(図9参照)が供給される。
より詳細には、成形工程の終了後、具材供給工程において、まず具材供給装置83の下方に成形型2が位置する状態で、具材供給装置83が具材901を具穴911に供給する。その後、移動機構13が成形型2を移動させ、供給機構12の下方に成形型2が位置する状態で、具材901が供給されている具穴911を塞ぐように供給機構12が追加用米飯902を成形型2に供給する。これにより、図9に示すように、一次成形品91の具穴911には、具材901、及び追加用米飯902が順に供給される。
具穴911に具材901及び追加用米飯902が供給される具材供給工程の間、成形型2の側板22は開閉機構11(図3参照)によって開状態にある。具材901及び追加用米飯902の供給が完了すると、開閉機構11が側板22を閉状態とする。これにより、側板22にて軽く追加用米飯902が押され、具穴911に具材901及び追加用米飯902が詰められ具穴911が塞がれた二次成形品92(図11A参照)が形成される。
補助振動機構14(図3参照)は、図10に示すように、公転軸102の軸方向に成形型2を振動させる。つまり、補助振動機構14は、一対の側板21,22が対向する方向(上下方向)に、成形型2を振動させる。補助振動機構14は、制御部10からの補助制御信号を受け、補助制御信号に応じて成形型2を振動させる。補助振動機構14は、成形型2を振動させることができればよく、例えば移動機構13と一体に設けられ、アーム131を上下方向に振動させることにより、成形型2を振動させる。なお、補助振動機構14は、移動機構13と別体に設けられていてもよく、例えば回転機構3の筐体31内に設けられていてもよい。
補助振動機構14は、具材供給工程の終了後、補助振動工程において、成形型2の側板22が閉状態にあるときに、成形型2を振動させる。これにより、成形型2内においては公転軸102の軸方向に二次成形品92が移動し、成形型2内の二次成形品92が一対の側板21,22の内表面(内側の面)に押し付けられる。このようにして成形される二次成形品92においては、公転軸102の軸方向において、中心から離れる程に米粒912が密になり、反対に中心に近づく程に米粒912が疎になる。
排出機構15(図3参照)は、図11A,11Bに示すように、二次成形品92を成形型2から排出する機構である。排出機構15は、制御部10からの排出制御信号を受け、排出制御信号に応じて図11Aの矢印の向きに側板21を押す。このとき、側板21は、側板21の厚み方向に沿って周壁23に対し相対的に移動することで、二次成形品92を押し出す。そうすると、二次成形品92は、図11Bに示すように、成形型2から排出される。
排出機構15は、補助振動工程の終了後、排出工程において、成形型2から二次成形品92を排出する。このとき、公転軸102が水平となるように移動機構13が成形型2を移動させ、開閉機構11が側板22を開状態とする。成形型2から排出された二次成形品92には仕上装置84(図2参照)にて海苔が巻かれ、図11Cに示すように三次成形品93が完成する。
(3)比較例
本実施形態の米飯成形装置1の比較例として、米飯が収容される成形型が自転しながら公転軸の周囲を公転し、成形型の公転と成形型の自転とが同期した構成により、米飯を成形する米飯成形装置が考えられる。比較例の米飯成形装置では、成形型が1回公転する間に成形型が1回自転、つまり成形型が360度公転する間に成形型が360度自転する。よって、比較例では、成形型は公転軸に対して同じ面を向けた状態で公転軸周りを公転することになる。比較例における成形型の動きを天体に例えるならば、自転しながら地球の周囲を公転する月に相当する。月の公転と月の自転とは同期している、つまり月は1回公転する間に1回自転するので、常に同じ面を地球(公転軸)に向けることになる。比較例の米飯成形装置では、米飯が収容された状態の成形型が公転する際の遠心力によって、米飯を成形型の内表面に押し付けて又は成形型内で米飯を転がして、米飯を成形する。しかしながら、比較例の米飯成形装置では成形型内の米飯に対して、一方向(公転軸から離れる向き)の力が作用するため、成形型内で米飯全体が同じ向きに移動することになる。
これに対して、本実施形態の米飯成形装置1では、回転機構3は、成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させている。そのため、公転による遠心力が成形型2内の米飯90に対して様々な向きに作用し、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられる。したがって、比較例の米飯成形装置にて米飯が成形されることによって得られる成形品(おにぎり)に比べて、本実施形態の米飯成形装置1では、外部(表面付近)は比較的固めで内部はよりふっくらと柔らかい状態の成形品を得ることができる。
(4)効果
以上説明した本実施形態の米飯成形装置1は、米飯90を収容する成形型2と、成形型2を公転させる回転機構3とを備えている。回転機構3は、基準平面101に直交する公転軸102を中心とする公転軌道104に沿って成形型2を公転させる。回転機構3は、自転軸103を中心とする成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させることにより、米飯90を成形する。成形型2が公転すると、成形型2内の米飯90に対して、基準平面101に沿いかつ公転軸102から離れる向きに遠心力が作用する。この遠心力によって、成形型2内において米飯90が移動し、成形型2内の米飯90が成形型2の内表面(内側の面)に押し付けられるため、成形型2内で米飯90が成形される。さらに、米飯成形装置1は、回転機構3にて成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させている。そのため、回転機構3が成形型を回転(公転)させる際、公転による遠心力が成形型2内の米飯90に対して様々な向きに作用し、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられる。このようにして成形される米飯90においては、基準平面101に沿う平面内において成形型2の重心から離れる程に米粒912が密になり、反対に成形型2の重心に近づく程に米粒912が疎になる。
したがって、本実施形態の米飯成形装置1にて米飯90が成形されることによって得られる米飯成形品(本実施形態ではおにぎり)は、外部(表面付近)は固めで内部は柔らかくふっくらした状態(いわゆる「ふかふか」の状態)となる。そのため、米飯成形装置1によれば、形を保ちながらも内部がふかふかの状態にあり、口の中で解れやすくも食感のよい米飯成形品を提供することができる。このようにして得られる米飯成形品は、機械でなく、熟練の職人の手によって作れられた(握られた)のに近い出来の米飯成形品となる。
また、本実施形態のように、回転機構3は、基準平面101を基準とした成形型2の向きが一定となるように、成形型2の自転0度に対して成形型2を360度公転させるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、成形型2の回転は公転のみとなり、成形型2は自転せず、結果的に、基準平面101を基準とした成形型2の向きは一定(不変)となる。したがって、成形型2が公転軸102周りを1周(1回転)する間に、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられることになる。さらに、いわゆる平行リンク機構のように、比較的簡単な機構を用いて回転機構3を実現可能である。なお、成形型2の自転0度に対して成形型2を360度公転させることは、米飯成形装置1に必須ではなく、成形型2の公転の周期と自転の周期との間にずれがあればよい。例えば、成形型2の自転180度に対して成形型2を360度公転させてもよいし、成形型2の自転−360度に対して成形型2を360度公転させてもよい。
また、本実施形態のように、公転軸102は、基準平面101への成形型2の投影面内に位置することが好ましい。この構成によれば、成形型2の公転の半径が比較的小さくなり、成形型2内の米飯90に対して適当な遠心力を作用させることができる。そのため、米飯成形品は、より外部が固めで内部が柔らかくふっくらした状態となる。さらに、回転機構3に掛かる負荷を小さく抑えることができる。なお、公転軸102が基準平面101への成形型2の投影面内に位置することは、米飯成形装置1に必須ではなく、公転軸102が基準平面101への成形型2の投影面の外に位置してもよい。
また、本実施形態のように、回転機構3は、成形型2を公転させることにより、米飯90内に空洞(具穴911)が生じるように米飯90に遠心力を作用させるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、成形型2を回転(公転)させるだけで、米飯90内に空洞が形成されるので、具材901を入れるスペースが米飯90内に確保されることになる。よって、成形型2を回転させる工程と別に、空洞(具穴911)を形成するための工程が不要となる。なお、米飯90内に空洞が生じることは、米飯成形装置1に必須ではなく、空洞を生じさせるか否かは、例えば具材901の有無によって任意に決定される。
また、本実施形態のように、米飯成形装置1は、米飯90の所定範囲の空間に追加用米飯902を供給する供給機構12をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、米飯90の所定範囲の空間に追加用米飯902を供給することによって、米飯90を成形した後に所定範囲の空間を塞ぐことができる。例えば具材901入りの米飯成形品を製造する場合、具材901と共に追加用米飯902を供給することで、具材901を追加用米飯902で覆うことができる。さらに、具材901なしの米飯成形品を製造する場合でも、追加用米飯902にて具穴911を塞ぐことができる。なお、供給機構12は米飯成形装置1に必須の構成ではなく、供給機構12は適宜省略可能である。
また、本実施形態のように、米飯成形装置1は、回転機構3による成形型2の公転の回転数と成形型2の公転時間との少なくとも一方を制御する制御部10をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、成形型2の回転数と成形型2の公転時間との少なくとも一方を制御することによって、具材901の種類や具材901の量、さらには顧客の好みなどに応じて、米飯90の成形後の状態を調節することができる。つまり、一次成形品91における外部と内部の固さのバランス、具穴911の大きさを調節することができる。なお、制御部10は米飯成形装置1に必須の構成ではなく、制御部10は適宜省略可能である。
また、本実施形態のように、米飯成形装置1は、公転軸102の軸方向に成形型2を振動させる補助振動機構14をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、公転軸102の軸方向も含めた米飯成形品の全ての面において米粒912が密になり、より形が崩れにくい米飯成形品を提供することができる。なお、補助振動機構14は米飯成形装置1に必須の構成ではなく、補助振動機構14は適宜省略可能である。
(5)変形例
実施形態1の第1の変形例として、図12A,12Bに示すように、米飯成形装置1は、複数(図示例では6つ)の成形型2を備え、回転機構3は、複数の成形型2を同時に公転させるように構成されていてもよい。図12A,12Bの例では、複数の成形型2は、連結台26によって連結されている。
本変形例では、回転機構3におけるリンク装置36の第2リンク365は、連結台26に結合されている。これにより、回転機構3は、図13A〜13Cに示すように、複数の成形型2を、連結台26ごと回転(公転)させることができる。その結果、回転機構3は、複数の成形型2を同時に回転(公転)させることができる。本変形例の米飯成形装置1によれば、複数の成形型2を同時に公転させることによって、複数の米飯90を同時に成形することができる。
また、実施形態1の第2の変形例として、図14に示すように、米飯成形装置1は、大きさ(サイズ)の異なる複数(図示例では3つ)の成形型2S,2L,2Mを備えていてもよい。複数の成形型2S,2L,2Mは、連結台26によって連結されている。本変形例においても、第1の変形例と同様に、回転機構3は、複数の成形型2S,2L,2Mを、連結台26ごと回転(公転)させる。これにより、大きさの異なる複数個のおにぎりを同時に成形することが可能である。又は、米飯成形装置1は、複数の成形型2S,2L,2Mのうち1つに米飯90を収容した状態で複数の成形型2S,2L,2Mを回転させてもよい。この場合、複数の成形型2S,2L,2Mのうちいずれに米飯90を収容するかによって、成形されるおにぎりの大きさを変えることができる。
また、実施形態1の第3の変形例として、回転機構3は、成形型2の公転の向きを切替可能に構成されていてもよい。例えば、成形型2が反時計回りに公転する正回転モードと、成形型2が時計回りに公転する逆回転モードとを、回転機構3にて切替可能とする。この構成によれば、例えば周期的に成形型2の回転(公転)の向きが交互に切り替わることで、より偏りの少ない米飯成形品を得ることができる。
以下、実施形態1のその他の変形例を列挙する。
成形型2の形状は上記実施形態のような三角柱状に限らず、成形品の形状に合わせて適宜変更可能である。例えば、円柱状(俵形)のおにぎりを成形する場合には成形型2は円柱状となり、球形状のおにぎりを成形する場合には成形型2は球形状となり、円盤状のおにぎりを成形する場合には成形型2は円盤状となる。
また、成形型2は回転機構3に対して着脱可能に取り付けられるアタッチメント(付属品)であってもよい。この構成では、回転機構3に取り付けられた成形型2を、形状の異なる成形型2に付け替えることで、様々な形状のおにぎりを成形することが可能である。さらに、回転機構3に取り付けられた成形型2を、形状が同じでも大きさ(サイズ)の異なる成形型2に付け替えることで、様々な大きさのおにぎりを成形することも可能である。なお、成形型2の形状及び大きさに合わせて、成形型2へ収容される米飯90の量が調節されることが好ましい。
また、自転軸103は、基準平面101への成形型2の投影面の重心を通らなくてもよい。つまり、自転軸103は成形型2の重心(質量中心)から離れた位置を通る偏心軸となる。この場合でも、回転機構3が成形型2の自転と非同期で成形型2を公転させることにより、成形型2内の米飯90には、公転による遠心力が様々な向きに作用し、米飯90は自転軸103周りの全周に亘って成形型2の内表面に万遍なく押し付けられる。
米飯成形装置1の設置場所は、上記実施形態のようにコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗に限らず、例えば飲食店やオフィス、工場、学校、駅構内、テーマパーク、サービスエリアなどに米飯成形装置1が設置されていてもよい。また、米飯成形装置1の用途はおにぎりの製造用に限らず、例えば寿司シャリ玉など、おにぎり以外の米飯成形品の製造に米飯成形装置1が用いられてもよい。
(実施形態2)
実施形態2に係る米飯成形装置1は、図15Cに示すように、成形型2Aの一対の側板21A,22Aを、一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向きに押し込む押込機構16をさらに備えている点で、実施形態1に係る米飯成形装置1と相違する。なお、実施形態1に係る米飯成形装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態の成形型2Aは、図15Aに示すように、一対の21A,22Aと、周壁23Aとを備えている。側板21Aは、周壁23Aよりも柔らかく、成形型2Aに米飯90が収容されている状態では下側に凸となるように湾曲している。側板22Aは、周壁23Aよりも柔らかく、成形型2Aに米飯90が収容されている状態では上側に凸となるように湾曲している。なお、成形型2A、一対の側板21A,22A、及び周壁23Aは、それぞれ実施形態1における成形型2、一対の側板21,22、及び周壁23に相当する。
押込機構16は、側板21Aを押し込む第1の押込部161と、側板22Aを押し込む第2の押込部162とを有している。第1の押込部161は、成形型2の一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向き、すなわち上向きに側板21Aを押し込む。第2の押込部162は、成形型2の一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向き、すなわち下向きに側板22Aを押し込む。
次に、本実施形態の米飯成形装置1の動作、つまり本実施形態の米飯成形装置1を用いた米飯成形方法について、図15A〜15Dを参照して説明する。
まず、米飯供給工程において、解れた状態の米飯90を成形型2Aに供給する。米飯90の供給が完了すると、図15Aに示すように、開閉機構11(図3参照)が側板22Aを閉状態とする。
次に、成型工程において、回転機構3が成形型2Aを回転(公転)させることにより、米飯90を成形する。このとき、米飯90つまり一次成形品91内には、具穴911としての空洞が形成される。その後、具穴911に具材901を供給する(図15B参照)。
その後、開閉機構11が側板22Aを閉状態とし、図15Cに示すように、押込機構16が一対の側板21A,22Aを押し込む。このとき、具材901を埋め込むようにして、具穴911の周囲の米飯が具穴911を塞ぐように移動する。その結果、図15Dに示すように、具材901が埋め込まれた状態で具穴911が塞がれた二次成形品92が形成される。
以上説明した本実施形態の米飯成形装置1によれば、成形型2Aの一対の側板21A,22Aの少なくとも一方を、一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向きに押し込む押込機構16をさらに備えている。したがって、例えば具材901入りの米飯成形品を製造する場合、具材901が埋め込まれた状態で具穴911が塞がれた二次成形品92を形成することができる。そのため、成形工程の終了後、成形型2Aの内部空間に追加用米飯を供給することなく、具穴911を塞ぐことが可能である。さらに、具材901なしの米飯成形品を製造する場合でも、具穴911の周囲の米飯にて具穴911を塞ぐことができる。
また、側板22Aが開状態にある排出工程において、押込機構16が側板21Aを押し込むことによって、成形型2から二次成形品92を排出することも可能である。つまり、押込機構16は、排出機構15(図3参照)に兼用可能である。
実施形態2の変形例として、押込機構16は、側板21Aと側板22Aとの一方のみを、一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向きに押し込む構成であってもよい。つまり、押込機構16は、成形型2Aの一対の側板21A,22Aの少なくとも一方を、一対の側板21A,22Aの間隔を狭める向きに押し込む構成であればよく、一対の側板21A,22Aの両方を押し込むことは必須でない。
実施形態2の他の変形例として、押込機構16は、一対の側板21A,22Aの各々を押し込むことにより、一対の側板21A,22Aの各々を、周壁23Aに対して相対的に移動させてもよい。すなわち、一対の側板21A,22Aの各々は、実施形態1の側板21,22と同様に平板状に形成されていてもよく、押込機構16に押されて、周壁23Aに対し相対的に移動してもよい。
なお、実施形態2(変形例を含む)で説明した構成は、実施形態1(変形例を含む)で説明した構成と、適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態3)
実施形態3に係る米飯成形装置1は、具穴911ではなく、図16Aに示す具材埋込部分913を有する米飯(一次成形品91)を成形する点で、実施形態1に係る米飯成形装置1と相違する。なお、実施形態1に係る米飯成形装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の成形型2Aは、実施形態2の成形型2Aと同様の構成であり、図16Aに示すように、一対の側板21A,22A(図15A参照)と、周壁23Aとを備えている。なお、成形型2A、一対の側板21A,22A、及び周壁23Aは、それぞれ実施形態1における成形型2、一対の側板21,22、及び周壁23に相当する。
本実施形態の回転機構3は、成形型2Aを公転させることにより、米飯90内に具材埋込部分913が生じるように米飯913に遠心力を作用させるように構成されている。
具材埋込部分913は、具材901を埋め込むことができる程度に、一次成形品91内において他の部分よりも米粒912の密度が低い疎の部分である。具材埋込部分913は、具穴911(図9参照)のような空洞や窪みではなく、他の部分よりも米粒912間の隙間が大きい部分である。
次に、本実施形態の米飯成形装置1の動作、つまり本実施形態の米飯成形装置1を用いた米飯成形方法について、図16A〜16Cを参照して説明する。なお、米飯供給工程については、実施形態1と同様であるから説明を省略する。
成型工程においては、回転機構3が成形型2Aを回転(公転)させることにより、米飯90を成形する。このとき、図16Aに示すように、一次成形品91内には、具材901を埋め込むことができる程度に米粒912の密度が低い具材埋込部分913が形成される。その後、図16Bに示すように、具材供給装置83は、具材埋込部分913の表面に具材901を置く。そして、図16Cに示すように、具材押込機構831が、具材埋込部分913の表面に置かれた具材901を一次成形品91の米飯90内に押し込む。その後、米飯供給装置82が、米飯90内に押し込まれた具材901の上に追加用米飯902を供給する。これにより、具材901が埋め込まれた二次成形品92(図11B参照)を形成することができる。なお、具材押込機構831は、一次成形品91に具材901を押し込むように構成されている。具材押込機構831は、例えば具材供給装置83(図8参照)に設けられる。
以上説明した本実施形態の米飯成形装置1は、回転機構3が成形型2Aを公転させることにより米飯913に遠心力を作用させて、米飯90内に具材埋込部分913を設ける。これにより、実施形態1と同様に、具材901が供給される場所を米飯90内に設けることができる。
なお、上記実施形態では、米飯を収容する成形型として、実施形態2と同様の成形型2Aを用いたが、実施形態1の成形型2を用いてもよい。
実施形態3で説明した構成は、実施形態1,2(変形例を含む)で説明した構成と、適宜組み合わせて適用可能である。