(実施の形態1)
本実施の形態においては、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池装置における熱交換部とその排ガス導入口近傍について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態における固体酸化物形燃料電池装置500の側面を示す図である。燃料ガスマニホールド509上に立設配置された複数の燃料電池セル502が、モジュール容器503の内部に収容されている。モジュール容器503の上方には蒸発器506が配置され、モジュール容器503及び蒸発器506は断熱材501によって周囲を覆われている。また、モジュール容器503と蒸発器506との間にも断熱材501が配置されている。複数の燃料電池セル502の上方には燃焼部503が設けられ、燃焼部503の上方には改質器504が設けられている。また、図1においてモジュール容器の両側面には、外部より供給された酸化剤ガスを燃料電池セル502に供給するための酸化剤ガス供給通路が形成されている。そして、改質器504の上方、モジュール容器503の天面には熱交換部507が形成されている。熱交換部507はモジュール容器503の天面と水平に広がるように設けられ、熱交換部507内において、上部にはカバー部材とモジュール容器503の天面とにより形成された酸化剤通路を有し、下部にはモジュール容器503の天面とその下方に設置された板状部材とにより形成された排ガス通路とを有す。
外部から供給された水は蒸発器506の内部で加熱され、同様に外部から供給された原料ガスと混合された混合ガスとして改質器504に供給される。さらに高温状態の改質器504内部で原料ガスは燃料ガスに改質され、燃料ガスは燃料ガスマニホールド509を介して燃料電池セル502の内部に供給される。一方、外部から供給された酸化剤ガスは、熱交換部507を通過して酸化剤ガス供給通路508から燃料電池セル502の外表面に対して供給される。内部に燃料ガスが供給され、外部に酸化剤ガスが供給された燃料電池セル502は、例えば600℃以上の高温状態下で発電反応により発電する。
一方、発電に用いられずに残余した燃料ガス(オフガス)は、燃料電池セル502の上端から排出され、燃焼部505において燃焼されることで排ガスを生成する。排ガスは改質器504の底面及び側面を加熱しながらモジュール容器503の内部を上昇する。このように排ガスによる加熱によって、改質器504は原料ガスの改質に必要な改質温度に昇温、維持することができる。改質器504を加熱しながらモジュール容器503の上部に上昇する排ガスは、モジュール容器503の側面視において、モジュール容器503の上方両端に位置する排ガス導入口から熱交換部507に供給される。熱交換部507内部において、燃料電池モジュールの外部から供給された酸化剤ガスと排ガスとが熱交換され、回収した熱量により昇温した酸化剤ガスは酸化剤ガス供給通路508から燃料電池セル502に供給される一方で、熱量の低減した排ガスはモジュール容器503から分離した蒸発器506内部を通過し、水蒸気の生成および原料ガスの予熱に熱回収された後、固体酸化物形燃料電池装置500の外部に排出される。
図2は、モジュール容器503の側面視において、さらにモジュール容器503の左側上方を拡大したものである。
すなわち、図1で示した熱交換部507は上述のとおり、排ガスが流れる下部の排ガス通路550と、酸化剤ガスが流れる上部の酸化剤ガス通路551aとから構成される。排ガス通路550は、モジュール容器503の天面を上面とし、この天面より下方に概略等距離分離間させて配置された板状部材511とを下面として区画形成される。他方、酸化剤ガス通路551aは、モジュール容器503の天面を下面とし、この天面よりも上方に概略等距離分離間させて配置されたカバー部材510とを上面として区画形成される。
図2において、排ガスは、モジュール容器503の側面に平行な面として設けられた左端の排ガス導入口より熱交換部内へ進入し、概略水平に右方向に流動後、モジュール容器503の概略中央に位置する排ガス排出口552及び排気管を介して蒸発器へ排出される。これに対し、外部から供給された酸化剤ガスは酸化剤ガス導入管(図示せず)を介して熱交換部507における酸化剤ガス通路551aのモジュール容器上面視における概略中央に供給される。酸化剤ガス通路551a中の酸化剤ガスは、概略水平に左方向に流動し、熱交換部507の端部において下方に続く酸化剤ガス通路551bに移動する。このようにして、熱交換部507において端部より排ガス通路551aに供給された排ガスはモジュール容器503の中央部に向かうように水平方向に移動する一方、モジュール容器503の中央部の酸化剤ガス通路551aに供給された酸化剤ガスは、モジュール容器503の端部に向かうように移動するため、排ガスと酸化剤ガスとは対向する方向に水平流動する(対向流れ)。このとき、モジュール容器503の天面554が熱交換面として機能するため、排ガスがもつ熱が酸化剤ガスに移動することで、排ガスと酸化剤ガスとの間の熱交換がなされる。
なお、酸化剤ガスが流れる酸化剤ガス通路は、モジュール容器の天面に加え、モジュール容器側面にも一部形成することができる。すなわち、モジュール容器の天面554に酸化剤ガス通路551aを画成するためのカバー部材510は、さらにモジュール容器の側面に屈曲して延在することで、モジュール容器の側面とカバー部材510との間に酸化剤ガス通路551bを形成する。
排ガスは、熱交換部507の排ガス導入口555より排ガス通路550へ導入される。この排ガス導入口555は、モジュール容器503の天面554における両端部に設けられ、モジュール容器503の天面554と直交する面に形成されている。このように排ガス導入口555をモジュール容器503の上部両端に配置することによって、モジュール容器503内において上昇する高温の排ガスの熱をそのまま回収することができるとともに、熱交換部503の排ガス排出口552をモジュール容器503の上面視における中央部に配置しているため、酸化剤ガスとの熱交換距離(面積)を十分に確保することができるため、熱交換効率を向上させることができる。
しかし、モジュール容器503の天面554に配置する本実施の形態にかかる熱交換部507においては、その内部の排ガス通路は水平面方向に広がるものとなるため、モジュール容器503内の下方の燃焼部505から上昇する排ガスは、熱交換部507の内部で水平方向に進行するように進路を変更する必要があるが、熱交換部507への排ガスの入口である排ガス導入口555の近傍において排ガスが集中し対流が生じるため、熱交換部507の内部への排ガスのスムーズな進入が妨げられてしまうという課題があった。
そこで、排ガスの流れに対して熱交換部507の上流側であって排ガス導入口555の近傍には、排ガスを排ガス通路550へ誘導する排ガス誘導部が設けられている。排ガス誘導部は、上昇する排ガスを水平方向に流動方向を転換させるものであり、例えば排ガス導入口555の近傍のモジュール容器503の側面に排ガスを排ガス通路550へ誘導する凸形状の構造体を単数又は複数設けることができる。また、モジュール容器503の天面554と側面558とが連接するモジュール容器503のコーナー角壁を傾斜するテーパー面として形成することもできる。
このように、排ガス導入口555の近傍に排ガスを熱交換部507の排ガス通路550に誘導する排ガス誘導部材を設けることで、排ガス導入口555の近傍に排ガスが集中して生じる対流により熱交換部507への排ガスの進入が妨げられてしまうことを抑制、回避することができる。
図2に示すように本実施の形態においては、排ガス誘導部は、モジュール容器503の天面554とモジュール容器の側面558とが連設するモジュール容器503のコーナー角壁553であって、モジュール容器503の内部を上昇する排ガスが排ガス導入口に向かうように曲率をもたせたものを示す。
このようにモジュール容器503のコーナー角部553に曲率をもたせた形状とすることで、上昇する排ガスの方向をこれと直交する方向である水平方向に転換して、排ガス導入口553へ排ガスを誘導することができる。とくにコーナー角部553に曲率をもたせて円弧状とすることで、排ガス導入口555近傍での排ガスの停滞を解消し、熱交換部507の排ガス通路550へ排ガスをスムーズに導入することができる。
図2において、排ガスの流れを実線矢印で、酸化剤ガスの流れを破線矢印で示している。排ガスは改質器504を加熱しながら上昇し、排ガス導入口555に向かって集中するように分布する。図2においては、改質器504は排ガスによる昇温性能を向上させるために中央部に開口を有する構成としているが、本発明はこれに限らず、排ガスにより加熱されるとともに排ガスがモジュール容器503の天面に向かうことができる構成であれば、改質器504の構造や形状について適宜設計することができるものである。
排ガスは排ガス導入口555の近傍に集中するものの、モジュール容器503のコーナー角部553の曲率面によって熱交換部507の排ガス通路550へ導入されるように水平方向に進路が変更される。このため、排ガス導入口555の近傍に排ガスの対流は生じずに、排ガスはスムーズに熱交換部507へと導入される。
このように、モジュール容器503のコーナー角部553に曲率をもたせる形状とすると、同時に水平方向に広がる酸化剤ガス通路551aからこれと直交する方向に広がる酸化剤ガス通路551bの接する酸化剤ガス通路の屈曲部においても圧力損失を低減することができる。このため、内部を流れる酸化剤ガスの進路をスムーズに変更することが可能となり、排ガスとの効率的な熱交換を行うことができる。
以上のような、モジュール容器503のコーナー角部553に曲率をもたせる形状とすることは、特段部材を追加するものではないため、コストの増加を抑えた課題対策となっている点でも有益である。
一方、図2においては、酸化剤ガス通路は、モジュール天面554に設けられた酸化剤ガス通路551aと合わせて、カバー部材510がモジュール容器503の天面554から側面558にかけて屈曲して延在することで、モジュール容器503の側面558の一部に延在している酸化剤ガス通路551bを有する。酸化剤ガス通路551aと酸化剤ガス通路551bとを繋ぐ、屈曲することで形成されるカバー部材510のコーナー角壁557の曲率は、コーナー角壁553の曲率よりも大きい。酸化剤ガス流路におけるコーナー角壁557の曲率を大きく設定することにより、当該箇所において酸化剤ガス通路の容積を大きく確保することができる。このため、さらに酸化剤ガス通路のコーナー角部において、圧力損失の増大を低減することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、まず本発明に用いる伝熱板の一例として示す伝熱板について、その流体の拡散のメカニズムを従来構造と比較しながら説明する。
一般に熱交換器に用いる伝熱板は、熱的接続する二つの流路を通過する流体の熱交換量を高めるため、流路を蛇行させて流路を延長したり、流路抵抗として機能する部材を設置するなどして、熱交換領域を増したり、熱交換時間を増やす等の工夫がなされている。例えば、図7に示す従来のコルゲートフィンは、伝熱板を蛇腹状に折り畳んだものであり、折り畳まれることで複数に区画された流路は内部を通過する流体に対して流路抵抗として機能する。また、内部を通過する流体は折り畳まれた伝熱板の上面や下面、側面(壁面)に接して移動するため、伝熱板を介して他流路との熱交換が促進される。
しかし、従来の伝熱板(フィン)では複数に区画された流路のそれぞれを、流体がほぼ直進して排出される。このため、流体は流れに直交する方向には流動しないため、直交方向への温度拡散性が低く、流路全域の熱量を均一にすることは困難である。
これに対して本実施の形態で一例として用いる伝熱板は、図3に示すように、伝熱板300の表面に複数の凸部301をずらして配置している。このため、流体が伝熱板300の一端から導入されると、伝熱板300の上面を流れる流体は当初の流れ方向では必ず凸部301に衝突して、方向転換を余儀なくされる。このため、流体は伝熱板300を直進して抜けることが無く、かならず凸部301と衝突するので、凸部301は流路抵抗として機能する。よって、伝熱板300上の流体の流速は全体的に低下し、その結果として熱交換が促される。
なお、本明細書においては、熱交換を行う対象である高温の流体と低温の流体とを総称して「流体」という。ここで流体は、以下に詳説する高温の流体としての排ガスと低温の流体としての酸化剤ガスとに限られず、その他燃料電池装置に用いられ熱交換の対象となり得る種々の気体又は液体を含むものである。
さらに本実施の形態で一例として用いる伝熱板300は、流体が伝熱板300に流れ込む方向と直交する方向に長く拡散することが可能である。図4は本実施の形態で一例として用いる伝熱板について示す三面図であり、図4(a)は上面、図4(b)は正面(流体が流れ込む方向)、図4(c)は側面を示している。図4に示すように伝熱板300の表面には凸部301が複数設けられており、流体の流れ込む方向と直交する方向には、凸部301が複数配列された第1の領域302aと、凸部301が設けられていない第2の領域302bとが交互に繰り返すように設けられている。このため、凸部301によって流れの方向を転換された流体が第2の領域302bに進入すると、流体の衝突対象である凸部301が設けられていないために直進することが可能となり、流体は障害を受けずに広域に拡散する。このため、広域に流体が拡散可能となるから、熱の均一化を計ることができる。
なお、図6に示す例では、凸部301は伝熱板300の両面に設けられており、点線で示す凸部301は裏面に設けられた凸部(つまり表面から見た凹部303)を示している。この場合、凸部301の設けられていない第2の領域302bには、その裏面に凸部が設けられている。
さらに、本実施の形態で一例として用いる伝熱板300は、伝熱板300を流れる流体を伝熱板300の上面及び下面の双方に行き渡らせながら三次元的に流動させることができるため、流路内の熱の均一性を高め、熱交換部の熱交換率を向上させることができる。
上述したように、図7に示す従来の伝熱板300では、蛇腹状に折り畳んだ伝熱板の壁面によって流路が複数に区画されているため、それぞれの区画を流体は直進することしかできない。あるいはさらにこの壁面に通気孔を設け、区画された流路間の行き来を可能にしても、隣り合う区画の壁面によって流体の流動の大部分は遮断されるため、横方向の流体の流動性に乏しく、流路全体を均熱にするには至らない。
これに対して本実施の形態で一例として用いる伝熱板は、伝熱板300の上面に凸部301と共に下面へ流体が流動可能とする通気孔を備えている。そのため、伝熱板300には伝熱板の上面と下面との間を流動可能なように複数の通気孔が設けられており、伝熱板が凸部301と通気孔を有することで、凸部301に衝突した流体は伝熱板300の上面だけでなく、下面へも流動が可能となる。従って、流体は伝熱板300の両面を使って広域に拡散することができるようになるため、熱交換効率を向上させることができる。
ここで本発明にかかる伝熱板300は、図3に示すように、伝熱板300に形成された凸部301と通気孔301cとを、伝熱板300から切り起こされた一対として形成することが可能である。すなわち、同一の領域に凸部301と通気孔301cが形成可能なため、高密度に形成することができ、これにより熱交換性能を高めることができる。また、複数の凸部301と通気孔301cとが一回の切り起こしよって形成することができるため、製造が非常に容易であり、製造コストを安価にすることができる。
なお、伝熱板300に、凸部301および凹部303を形成する際には、伝熱板300の両面をプレス機でプレスすることにより、切り起こし(打ち出し)をおこなっても良いし、ローラ加工により行っても良い。さらに、切り起こしはプレス加工とローラ加工を組み合わせて成形しても良い。
さらに、本実施の形態で一例として用いる伝熱板300について図4と図5を参照しながら説明する。図4(c)に示すように、伝熱板300の両面は伝熱板300から切り起こされた凸部301と、切り起こしによって裏面に生じた凹部303とを有し、一方の面における第1の領域302aの裏面は第2の領域302bに対応し、第2の領域の裏面は第1の領域に対応する。すなわち、本発明における伝熱板300は、一回のプレス加工による切り起こしによって両面に凸部301、凹部303を形成することができる。これにより、3次元的に流動可能であり、また伝熱板の両面において、同質の熱交換性能を有する伝熱板を安価に製造することができる。
また、図5は伝熱板300の表面の流体の流れの一例を示したものである。図5(a)は伝熱板300の斜視図、図5(b)は凸部301の拡大図、図5(c)は凹部303の拡大図である。図中の矢印は流体の流れを示し、実線矢印は伝熱板300の表面を流れる流体、点線矢印は伝熱板300の裏面を流れる流体の一例を示している。図5(a)、図5(b)を参照しながら凸部301を通過する流体の流れの一例を示す。凸部301に流れ込む流体は、図5(a)の凸部301を通過して伝熱板300の上面をそのまま吹き抜ける流路(304a)、通気孔301cを通過して伝熱板300の下面を吹き抜ける流路(304b)、凸部301の脚部301aに衝突し、屈折して流れる流路(304c)などに分散される。凸部301を通過した流体はその後、他の凸部や凹部と干渉しあい拡散し、このような流体が互いに影響しあうことで、全体として複雑でかつ広域の拡散を呈する。
さらに、図5(a)、図5(c)を参照して凹部303に流入する流体の流れの一例を示す。凹部303に流れ込む流体は、凹部303を真っ直ぐ吹き抜けて他の凹部303へ向かう流路(305a)、凹部303(伝熱板300の下面における通気孔301c)を通過し、下面を吹き抜ける流路(305b)、凹部303を吹き抜けた後に、凸部301の脚部301aと衝突し、屈折して流れる流路(305c)、凹部303に流入し、その凹部303に対応する凸部301の脚部301aと接触し、伝熱板300の下面を屈折して流れる流路(305d)などに分散される。そのため、凹部303を通過することにより、流体は3次元的に拡散され、熱分散性が向上する。なお、ここでは流体の流れを単純化した一例として示したものであり、本来当然に流体の流れは複雑なものであるが、本発明にかかる伝熱板300においては、流体が伝熱板300に対して3次元的に拡散するように機能するものであれば良い。
さらに本発明においては、凸部301を上面視において長辺と短辺とを有し、桁部301bと脚部301aとを持つ橋形状とすることで、流体の流れを阻害する脚部301aと流路壁面に接触させて熱伝達する桁部301bと、下面への流体の移動を可能とする通気孔301cとを一体的に形成することができる。さらに当該形状は、一回のプレス加工による切り起こしによって低コストで簡易な製造工程により形成することができる。
また、図6に示すように、複数の凸部301は上面視において、流体が伝熱板300の上に流れ込む方向に対して、長辺または短辺が斜めになるように配置されている。そのため、上面視において長辺と短辺とを有する矩形上の凸部301を流れ方向に斜めに配置することによって、凸部に衝突する流体の流れを左右方向に転換させることができ、これにより流体を広域に拡散させることができる。
また、本明細書で開示する発明の構成の一態様は、図4(a)および図6に示すように、第1の領域内における複数の凸部301は、上面視において同一の方向及び角度で斜めになるように配置され、さらに間に第1の領域302aを挟んで隣り合う第1の領域302a同士では、それぞれの凸部は上面視において互いに直交するように配置されている。すなわち、隣り合う第1の領域302a内の凸部301を互いに直交するように配列することで、流れの方向が転換された流体がさらに凸部301に衝突するため、拡散性能を向上させることができる。
上述したように伝熱板300を構成することで、伝熱板300が流路抵抗として働き、熱交換器内部を通過する流体の滞在時間が増え、これにより必要な熱量の熱交換が可能となる。すなわち、排熱を利用する固体酸化物形燃料電池装置に伝熱板300を設けることで、シンプルな構造で熱交換効率を維持向上させるとともに、製造容易で低コストを両立する熱交換部を有する固体酸化物形燃料電池装置を提供することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、伝熱板を用いた本発明の実施の形態の一例として、実施の形態2で説明した伝熱板を用いた固体酸化物形燃料電池装置について、図8乃至図10を用いて説明する。
図8は、本実施の形態にかかる固体酸化物形燃料電池装置を説明する図であって、図1に対して、複数の伝熱板512のみを用いた点において相違する。伝熱板512は、排ガス通路及び酸化剤ガス通路の内部に配置されている。その他の構成については図1と同様であるため、説明は省略する。
図9及び図10は、モジュール容器503の側面視において、さらにモジュール容器503の左側上方を拡大したものであり、伝熱板512が配置されていない図2に対応する。排ガス通路550には伝熱板512aが設けられ、この排ガス通路550に対向するモジュール容器503の天面に設けられた酸化剤ガス通路551aには伝熱板512bが、モジュール容器の側面に設けられた酸化剤ガス通路551bには伝熱板512cが設けられている。
伝熱板512はモジュール容器503の内部及び、排ガス通路550と酸化剤ガス通路551a、551bとの壁面間を熱伝導させることにより、これらの内部を流れる排ガスと酸化剤ガスとの熱交換を促進するものである。伝熱板512は実施の形態2で説明したように、板状部材の表裏面に複数の凸部をずらして配置したものを用いる。
このような略平板状の伝熱板512は、排ガス通路550及び酸化剤ガス通路551a、551bの平面的な広がりにあわせて配置することができる。上記のように伝熱板512は板状部材の表裏面に複数の凸部を配置するものであるため、凸部を支えとして、板状部材が各通路間距離の概略中央に位置するように配置している。このように伝熱板512を各通路内に配置することによって、各通路の内部を上下(または左右)の空間に二分することができる。また、本実施の形態で用いる伝熱板512は、凸部の形成された位置にあわせて通気孔が形成されているため、伝熱板512により二分された空間どうしを、通路の内部を流れる流体は行き来することができる。
ここで、排ガス通路を流れる排ガスと酸化剤ガス通路を流れる酸化剤ガスとは、それぞれの通路の一部を構成する共通の面であるモジュール容器503の天面554を熱交換面として熱の授受を行う。このため、熱交換効率を高めるためには、排ガスを伝熱板512aによって二分された排ガス通路550のうち下層560bよりも上層560a側に流れるようにし、酸化剤ガスを伝熱板512bによって二分された酸化剤ガス通路551aのうち上層561aよりも下層561bに流れるようにすることが好ましい。排ガス及び酸化剤ガスを熱交換面であるモジュール容器503の天面に接して流すことで、熱交換効率を向上させることができる。
ここで、酸化剤ガス通路は、モジュール容器503の天面554に設けられた酸化剤ガス通路551aと、モジュール容器503の側面558に設けられた酸化剤ガス通路551bとで構成される。それぞれの酸化剤ガス通路は伝熱板512b、512cによって二分される。このとき、カバー部材510がモジュール容器503の角部で屈曲することにより形成される酸化剤ガス通路のコーナー角部557において、その形状はR形状であることが好ましい。当該構成により、酸化剤ガス通路の容積を最大化させることでコーナー角部557における酸化剤ガスによる圧力損失の増加を抑制することができるとともに、モジュール容器503の天面554及び側面558に位置する酸化剤ガス通路のそれぞれに、伝熱板をコーナー角部557で互いに接して配置することができる。酸化剤ガス通路のコーナー角部557において二つの伝熱板を直交するように接して配置することで、酸化剤ガス通路551aから酸化剤ガス通路551bにわたる一続きの酸化剤ガス通路において、酸化剤ガス通路の上層561aと下層561bとを確実に区分することができる。このように、酸化剤ガス通路の上下層を明確に区分したため、熱交換効率向上のために下層に主体的に酸化剤ガスを流すことが可能となる。
また、酸化剤ガス通路において、カバー部材557が屈曲するコーナー角壁557における下層561b部分には、伝熱板512b、512cのうち凸部は配置されていないことが好ましい。カバー部材の屈曲により形成される酸化剤ガス通路のコーナー角壁557においては、二層に区画する伝熱板512b、512cが有する凸部が位置しないように配置することで、上層561aに比べ下層561bを流れる酸化剤ガスの圧力損失が少ないため、コーナー角部557において下層に酸化剤ガスを主体的に流動させることができる。このため、酸化剤ガスをモジュール容器503の天面554及び側面558に接するように流すことができ、熱交換効率を高めることができる。
また、図10に示すように、排ガス通路550内には、排ガス通路550をモジュール容器503の天面554に平行な二層の通路(上層560a及び下層560b)に区画する伝熱板512aが配置され、伝熱板512aは熱交換部507の内部において排ガス導入口555よりも内側に配置されている
排ガス導入口555の近傍に伝熱板512aを配置すると、伝熱板512aがガス流動を妨げる障害として機能することで、排ガスが流入するコーナー角部553において圧力損失が増加してしまうことになる。そこで、伝熱板512aを排ガス導入口555に対してオフセット配置することによって、コーナー角部553における圧力損失の増加を緩和することができる。なお、伝熱板512aの排ガス導入口555とのオフセット距離は、短すぎると排ガス導入口555近傍での圧力損失が増大する一方で、長すぎる場合には排ガスを伝熱板512aで区分する上層560aに集中させることで熱交換効率を向上させる面積が少なくなることから、モジュール容器503や排ガス通路550等の設計に併せて適切なオフセット距離を適宜設定することが望ましい。
また、伝熱板512aは、排ガス通路550をモジュール容器503の天面554に平行な二層の通路に区画する主面と、二層の通路(上層560a及び下層560b)のうち一方の層から他方の層へ排ガスの流動を可能とするとともにモジュール容器503の天面554と熱伝導するための、主面に複数配置された一対の凸部と通気孔とを有し、二層に区分された排ガス通路550のうち、上層560aの排ガス導入口555の近傍には、伝熱板512aの凸部は配置されていないことが好ましい。
このようにコーナー角壁553においては、二層に区画する伝熱板512aの主面に有する凸部が位置しないように配置することで、コーナー角壁において上層560aに排ガスを主体的に流動させることができる。このため、排ガスをモジュール容器503の壁面に接するように流すことで酸化剤ガスとの熱交換を促進することができ、熱交換効率を高めることができる。
次に、添付図面を参照して、本発明にかかる固体酸化物形燃料電池装置の実施例について説明する。
図11は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図11に示すように、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュール容器8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュール容器8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16(図15参照)が直列接続されて構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。
燃料電池モジュール2のモジュール容器8の発電室10の上方には、燃焼部18が形成され、この燃焼部18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の酸化剤ガスとが燃焼し、排ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュール容器8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼部18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュール容器8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュール容器8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給減である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、酸化剤ガス供給源40から供給される酸化剤ガスを遮断する電磁弁42と、酸化剤ガスの流量を調整する改質用酸化剤ガス流量調整ユニット44及び酸化剤ガス流量調整ユニット45(モータで駆動される「酸化剤ガスブロア」等)と、改質器120に供給される改質用酸化剤ガスを加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される酸化剤ガスを加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施例では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用酸化剤ガス流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図12乃至図13を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図12は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図13は、モジュール容器及び酸化剤ガス通路カバー(カバー部材)の分解斜視図である。
図12に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュール容器8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュール容器8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュール容器8は、図13に示すように、略矩形の天板8a、底板8c、これらの長手方向(図12の左右方向)に延びる辺どうしを連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向に延びる辺どうしを連結する閉鎖側板8d、8eからなる。
モジュール容器8は、酸化剤ガス通路カバー(カバー部材とも呼ぶ)160によって天板8a及び側板8bが覆われている。酸化剤ガス通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。酸化剤ガス通路カバー160aの天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュール容器8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュール容器8の天板8a及び側板8bと、酸化剤ガス通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての酸化剤ガス通路161a、161bが形成されている。
モジュール容器8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図13参照)。酸化剤ガスは、酸化剤ガス通路カバー160の天板160aのうち、モジュール容器8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた酸化剤ガス導入管74から流路方向調整部164を介して酸化剤ガス通路161a内に供給される(図12、図13参照)。そして、酸化剤ガスは、酸化剤ガス通路161a、161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図13参照)。
また、酸化剤ガス通路161a、161bの内部には、排ガス通路172及び排ガス流路173内の排ガスと酸化剤ガス通路161a、161b内の酸化剤ガスとの間の熱交換を促進する熱交換促進部材としての伝熱板162、163が設けられている(図17参照)。伝熱板162は、モジュール容器8の天板8aと酸化剤ガス通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、伝熱板162は、酸化剤ガス通路161a内の後述する排ガス通路172に対応する部分に設けられている。また、伝熱板163は、モジュール容器8の側板8bと酸化剤ガス通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、伝熱板163は、酸化剤ガス通路161b内の後述する排ガス流路177及び排ガス集中部176に対応する部分に設けられている。
酸化剤ガス通路161a、161bを流れる酸化剤ガスは、特に伝熱板162、163を通過する際に、これら伝熱板162、163の内側のモジュール容器8内を通過する排ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、狭い通路として構成された排ガス通路173を流れる排ガスと酸化剤ガス通路161aにおいて伝熱板162が設けられた部分は、熱交換効率の高い熱交換部として機能する。このため、伝熱板162が設けられた部分が主たる熱交換部として機能し、伝熱板163が設けられた部分も副次的に熱交換機能を有する。
次に、蒸発器140は、モジュール容器8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュール容器8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図12及び図17参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図12の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用の酸化剤ガスを含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排ガスを排出するための排ガス排出管82とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、酸化剤ガス通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュール容器8の天板8a上に形成された排ガス排出口111に連結されている。排ガス排出口111は、モジュール容器8内の燃焼部18で生成された排ガスをモジュール容器8の外へ排出する開口部であり、モジュール容器8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図12及び図17に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施例の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
さらに、図12に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内、排気管171内を通過してモジュール容器8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼部18の上方でモジュール容器8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュール容器8の天板8aとの間にガス断熱層135を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排ガス排出口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排ガス排出口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュール容器8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用の酸化剤ガスを含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a、123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図12参照)。改質部120Bは、仕切り板123a、123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a、123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュール容器8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、さらにマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと酸化剤ガスとの燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼部18に設けられている。
ガス断熱層135は、改質器120と天板8aとの間でモジュール容器8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。ガス断熱層135は、上下方向に所定距離だけ離間された下面部材131及び上面部材132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133、134とを備えている(図12参照)。上面部材132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下面部材131に連結されている。連結板133、134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、ガス断熱層135及び改質器120を天板8aに固定している。
図17に示すように、下面部材131は、幅方向の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上面部材132は、下面部材131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュール容器8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上面部材132及び下面部材131を貫通して、改質器120に連結されている。
ガス断熱層135は、上面部材132、下面部材131、連結板133、134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜により形成されている。このガス断熱層135は、燃焼部18と流体連通している。すなわち、上面部材132、下面部材131、連結板133、134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス断熱層135には、運転中に燃焼部18から排ガスが流入したり、停止時に外部から酸化剤ガスが流入したりすることが可能となっているが、総じてガス断熱層135の内外間のガスの移動は緩やかである。
ガス断熱層135の天面を形成する上面部材132は、モジュール容器の天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上面部材132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる排ガス通路172が形成されている。この排ガス通路172は、モジュール容器8の天板8aを挟んで酸化剤ガス通路161aと並設されており、排ガス通路172内には、酸化剤ガス通路161a内の伝熱板162と同様な伝熱板175が配置されている。この伝熱板175は、伝熱板162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。ガス断熱層135の上面部材132は、上面部材132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上面部材132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる排ガス流路177が形成されている。排ガス流路177は上部において排ガス通路172と連通している。
酸化剤ガス通路161a、161bと、排ガス通路172及び排ガス流路177のうち、酸化剤ガス通路161aを流れる酸化剤ガスと排ガス通路172を流れる排ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排ガスの熱により酸化剤ガスが昇温されることとなる。また酸化剤ガス通路161bを流れる排ガスと排ガス流露177を流れる排ガスとの間でも副次的に熱交換が行われる、当該箇所においても排ガスの熱により酸化剤ガスの昇温が可能となる。
また、改質器120は、モジュール容器8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排ガスを下方から上方へ通過させる排ガス流路173が形成されている。
さらに、下面部材131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下面部材131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排ガスを通過させる排ガス流路174を形成している。この排ガス流路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で排ガス流路173と合流し、排ガスが集中する排ガス集中部176が形成される。
図14は、排ガス通路172及びこれに対応する酸化剤ガス通路161aの部分を拡大して示す鉛直断面図である。図14に示すように、伝熱板175は、上面部材132と、モジュール容器8の天板8aとに挟まれて配置されている。伝熱板175は、天板8bとは凸部204の上面で接触しているが、上面部材132の上面とは下方に張り出した凸部の下面に設けた突起部205を介して接触している。
突起部205は、天板部204bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、例えば、凸部204の一部を外方へ突出させることにより形成することができる。また、突起部205は、熱伝導性の良好な伝熱板とは別部材とすることもできる。この場合、伝熱板よりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
突起部205は、上面部材132の上面側のすべての凸部204の下面に設けられてはおらず、下方に張り出した凸部204の少なくとも1つに設けられている。このため、下方に向けて突出する凸部204のうち、ほとんどの凸部204が上面部材132の上面と接触せず、1つ又は少数の凸部204のみが突起部205を介して上面部材132の上面と接触している。
このように、伝熱板175は、天板8aに対しては凸部204を介して接触しているが、上面部材132の上面に対しては、接触面積が小さく、好ましくは熱伝導性が低い突起部205を介して接触している。このため、伝熱板175は、ガス断熱層135を画成する上面部材132よりも、酸化剤ガス通路161aへの熱の伝達量を増加させることができる。これにより、排ガス流路172の排ガスと酸化剤ガス通路161aの酸化剤ガスとの間の熱交換効率より向上させることができる。
また、伝熱板162は、モジュール容器8の天板8aと酸化剤ガス通路カバー160の天板160aに挟まれて配置されている。伝熱板175と同様に、伝熱板162は、モジュール容器の天板8aとは凸部202の下面で接触しているが、酸化剤ガス通路カバー160の天板160aとは凸部202の上面に設けた突起部203を介して接触している。
突起部203は、凸部202の上面よりも接触面積が小さくなるように形成されており、突起部203は、熱伝導性の良好な伝熱板とは別部材とすることもできる。この場合、伝熱板よりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
また、突起部203は、酸化剤ガス通路カバー160の天板160a側のすべての凸部202の上面に設けられておらず、1つ又は少数の凸部202のみが突起部203を介して側板160bと接触している。
このため、伝熱板162から天板160aを介して外部の断熱材7へ熱を放散させること(熱損失)を抑制することが可能となり、排ガス通路172の排ガスと酸化剤ガス通路161aの酸化剤ガスとの間の熱交換効率より向上させることができる。なお、伝熱板163でも同様である。
このように、酸化剤ガス通路161a及び排ガス通路172のそれぞれに伝熱板を配置することによって、各通路を上下の空間に区分することができる。ここで、酸化剤ガスと排ガスとが熱交換する熱交換面は天板160aであるため、伝熱板によって上下層に区画される酸化剤ガス通路161aのうち酸化剤ガスは熱交換面を下面としてもつ下層に酸化剤ガスを主体的に流し、伝熱板によって上下層に区画される排ガス通路172のうち熱交換面を上面としてもつ上層に排ガスを主体的に流すことで、熱交換部における熱交換効率を向上させることができる。
次に、図15を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図15は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図15に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、酸化剤ガスと接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図12参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼部18(図12参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
次に、図16を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図16は、図12と同様の、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。図16は、それぞれ、図12中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は酸化剤ガスの流れ、一点鎖線矢印は排ガスの流れを示す。
図16に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュール容器8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A、排気管171及び排ガス通路172を順に通過しているため、これらの通路を流れる排ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスはさらに加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
さらに、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図16に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス導入管74から酸化剤ガス通路161aに供給される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス通路161a、161b内において、伝熱板162を通過する際に、伝熱板162の下部のモジュール容器8内に形成された排気通路172を通過する排ガスとの間でも効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
この後、酸化剤ガスは、モジュール容器8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施例では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において酸化剤ガスと排ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、酸化剤ガス通路161b内の酸化剤ガスに上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、燃焼部18で燃焼されて排ガス(燃焼ガス)となり、モジュール容器8内を上昇していく。具体的には、改質器120の外側面とモジュール容器8の側板8bとの間を流れる排ガス流路173と、改質器120の貫通孔120bから改質器120とガス断熱層135との間を流れる排ガス流路174とに分岐して通過する。このとき、排ガス流路174を通過する排ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、ガス断熱層135の下方に留まることなく排ガス流路173に向けて誘導され、排ガス集中部176において排ガス流路173を流れる排ガスに合流する。
その後、排ガスは、排ガス集中部176から排ガス流路177に流れる。そして、排ガス流路177を通過した排ガスは、排ガス通路172を水平方向に流れていき、モジュール容器8の天板8aの中央に形成された排ガス排出口111から流出する。
ここで、排ガスが排ガス通路172を流れていく際に、排ガス通路172内に設けられた伝熱板175と、酸化剤ガス通路161a内に設けられた伝熱板162とを介して、酸化剤ガスと排ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排ガスの熱により酸化剤ガスが昇温される。
そして、排ガス排出口111から流出した排ガスは、モジュール容器8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排ガス排出管82へ排出される。排ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
本実施例による固体酸化物形燃料電池装置1によれば以下の効果が奏される。すなわち、本実施例では、モジュール容器8の天板8aと改質器120との間に、周囲が金属製の下面部材131及び上面部材132で画成されたガス断熱層135を設け、これによりガス断熱層135とモジュール容器8の天板8a及び側板8bとの間に排ガス通路172及び排ガス流路177が形成されている。これにより、改質器120の貫通孔120bを通過した排ガス流路174内の(すなわち、上流側の)高温の排ガスから、排ガス通路172内の(すなわち、下流側の)低温の排ガスへ熱が移動するのを抑止することができ、高温な排ガスが排ガス集中部176から排ガス流路177及び排ガス通路172へ流れこむ。このため、熱交換性能が向上され、短い熱交換距離であっても排ガスと酸化剤ガスとの間で十分な熱交換を行うことができる。
また、排ガス通路172に伝熱板162を設けることにより、排ガス通路172内の排ガスと酸化剤ガス通路161a内の酸化剤ガスとの間の熱交換を短い距離で行うことができる。
ここで、ガス断熱層135とモジュール容器8の天板8aとの間に設けられる排ガス通路172への排ガス導入口の近傍(図17の排ガス流路177)では、燃焼部18より上昇する排ガスが集中して排ガスの導入に支障がでるおそれがあった。このため、比較例では、図17に矢印Cで示すように、排ガス流路177内に滞留する排ガスからガス断熱層135への排熱の散逸が生じてしまい、排ガスの温度が低下し、排ガスと酸化剤ガスとの熱交換の効率が低下してしまうおそれがあった。そこで、モジュール容器8の天板8aと側板8bとが連設するコーナー角壁において、曲率をもたせた形状とすることで、上昇する排ガスを水平方向の進路に転換することでスムーズに排ガス通路172へ誘導することを可能にした。
さらに、排ガス通路172及び酸化剤ガス通路161a、161bの通路の内部に通路をガスの進行方向に対して水平に上下二層に区分する伝熱板を配置するとともに、伝熱板に設けられる凸部をコーナー角壁から遠ざかる位置に配置し、また伝熱板を排ガス導入口からオフセット配置することで、排ガス及び酸化剤ガスを熱交換面に直接接する層に流して、熱交換効率を高めることができる。
このようにして、本実施形態によれば、燃料電池装置の小型化を図りつつ、モジュール容器の天面付近に形成された熱交換部により排ガスと酸化剤ガスとの間の熱交換を効率的に行うことができる。