JP6811295B2 - 固体酸化物形燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池装置に関し、特に、原料ガスを改質して得られた燃料ガスと空気との反応により発電する固体酸化物形燃料電池装置に関する。
固体酸化物形燃料電池装置(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤ガス(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
従来から、固体酸化物形燃料電池装置では、発電に用いられなかったオフガスを燃焼させて発生する排気ガスの熱を利用して酸化ガス(空気)を昇温させ、昇温させた酸化ガスを燃料電池セルに供給することが行われている。このような排気ガスと酸化ガスとの間で熱交換を行う構成として、例えば、特許文献1には、セルスタックを収容する収容室の外側に収容室から排気ガスを排出するための排気通路が形成され、さらに、その外側に酸化ガスを収容室内に供給するための空気通路が形成された装置が開示されている。このような装置によれば、排気通路と空気通路とが隣接して設けられているため、排気通路を通過する排気ガスと空気通路を通過する発電用空気との間で熱交換が行われ、熱交換器を別途設ける必要がなくなる。
特開2012−221659号公報
ここで、このような排気通路内の排気ガスと空気通路内の発電用空気との間で熱交換を行う場合には、高温の排気ガスは排気通路上部に上昇するため、低温の発電用空気を天井面に向けて供給し、天井面において熱交換を行うことが好ましい。そこで、本願出願人らは、排気通路を、モジュールケースの側壁内面に沿って上方に向かい、天板に沿って装置中心に向かうように形成し、空気通路をモジュールケースの天板の中心から天板に沿って外方に向かい、側壁に向かって下方に向かうように形成した固体酸化物形燃料電池装置を提案している。
ここで、固体酸化物形燃料電池を一般消費者用(家庭用)として製造するためには、性能を確保しつつ小型化を図る必要がある。モジュールケースを小型化する場合には、空気通路をモジュールケースの外面に沿って薄い面状に形成することが好ましい。そして、このように空気通路を面状に形成する場合には、空気通路に空気供給口から供給された空気が均一に広がるように、モジュールケースの天面に対して直交方向から吹き付けることが考えられる。
しかしながら、このようにモジュールケースの天面に対して直交方向から空気を吹き付けたとしても、モジュールケースの形状は円形ではないため、空気供給口からの熱交換部への距離が一定とならず、熱交換部へ流れ込む空気が不均一になってしまう。また、空気通路を面状に形成すると空気通路内の圧力が高圧になり、空気供給口から遠い位置まで十分に発電用空気が到達せず、さらに、熱交換部へ流れ込む空気が不均一になってしまう。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、空気供給口から供給された空気が空気通路内に均一に広がるように構成された固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、固体酸化物形燃料電池装置であって、発電用空気と、水蒸気改質して得られた燃料ガスとの反応により発電する燃料電池セルと、モジュール容器と、モジュール容器内に設けられ、燃料電池セルの発電に寄与しなかった燃料ガスを燃焼させ排ガスを生成する燃焼部と、燃焼部の上方に設けられ、原料ガスを水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器と、モジュール容器の少なくとも一つの面の内壁に沿って形成され、排ガスをモジュール容器の外部へ排出するための排出口に、燃焼部で発生した排気ガスを誘導する排ガス通路と、モジュール容器の外部から発電用空気を空気供給口から供給する空気供給管と、モジュール容器の少なくとも一つの面の外壁に沿って形成され、空気供給管から供給された発電用空気が供給される空気通路と、を備え、モジュール容器の少なくとも一つの面には、排ガス通路内の排ガスと、空気通路内の発電用空気との間で熱交換が行われる熱交換部が形成され、さらに、空気供給口から外壁に吹き付けられた発電用空気を空気通路全体に広がるように分配する空気分配機構を備え、空気分配機構は、外壁と対向する対向面と、側面とを含む空気分配部材により囲まれて空気通路の内部に形成された空気分配室を有し、発電用空気は、空気供給口から空気分配室に供給され、空気分配室の側面には、開口が形成されていることを特徴とする。
上記構成の本発明によれば、空気供給口から発電用空気を外壁に向けて供給するため、供給された発電用空気は外壁に沿って均一に拡散する。さらに、本発明によれば、空気分配機構を備えているため、モジュール容器の形状によらず、発電用空気が空気通路全体に分配されて均一に広がる。これにより、より効率のよい熱交換が可能になり、発電用空気に温度ムラがなくなる。
上記構成の本発明によれば、空気供給口から発電用空気が空気分配室内に供給されると、空気分配室が高圧状態となり、発電用空気は圧力差により空気通路に向けて押し出される。さらに、この空気分配室はバッファとして機能するため、発電用空気を空気通路へより均一に供給することができる。また、本発明によれば、対向面と、側面とを有する空気分配部材を設ける構成としているため、空気通路内に壁面を設けて空気分配室を形成する場合に比べて、空気分配室及び複数の開口の寸法及び形状にばらつきが生じるのを防止できる。
本発明において、好ましくは、空気分配室の側面には複数の開口が形成されており、複数の開口の開口面積は、空気供給口から遠い開口ほど、大きい。
上記構成の本発明によれば、モジュール容器の外壁、空気分配室、及び空気供給口の大きさ、形、位置によらずに、発電用空気を空気通路へ均等に供給することができる。
本発明において、好ましくは、排ガス通路は、モジュール容器の天面の内壁に沿って形成され、空気通路は、モジュール容器の天面の外壁に沿って形成され、複数の開口は、空気分配部材の側面の外壁側に形成されている。
モジュール容器天面に吹き付けられた発電用空気が空気分配室内で上昇してしまうと、空気通路の上部を流れてしまい、熱交換効率が低下するおそれがある。これに対して、上記構成の本発明によれば、開口を外壁よりに形成することにより、空気分配室から放出された発電用空気は外壁に沿うように流れることになり、熱交換効率を向上することができる。
本発明において、好ましくは、空気通路内の空気分配室よりも下流側には、空気通路を上空間と下空間とに区分する伝熱プレートが設けられ、複数の開口は、伝熱プレートよりも下方に形成されている。
上記構成の本発明によれば、空気分配部材の開口が空気通路を上空間と下空間とに区分する伝熱プレートの下方に位置しているため、開口を通った発電用空気が伝熱プレートの下方側で外壁に沿って流れることにより、熱交換効率を向上することができる。
本発明において、好ましくは、伝熱プレートには、発電用空気を上空間から下空間へ通過させる第1の通過穴と、発電用空気を下空間から上空間へ通過させる第2の通過穴と、が発電用空気の流動方向に対して交互に配置されており、開口の最も近傍に位置する貫通穴は第1の通過穴である。
熱交換効率を上げるためには、熱交換時間を長くすることが望ましい。これに対して、上記構成の本発明によれば、第1の通過穴及び第2の通過穴が交互に配置されているため、発電用空気は蛇行しながら流れることになり、熱交換効率を向上することができる。さらに、上記構成の本発明によれば、開口から流出した空気がすぐに第2の通過穴を通り上方に逃げてしまうのを防止でき、熱交換効率をより向上できる。
本発明において、好ましくは、空気通路の流出口及び排ガス通路の流入口は、空気通路の上面視において対向する一方の端と他方の端に設けられており、空気供給口及び排出口とは一方の端と他方の端との中心近傍にもうけられている。
本発明によれば、空気分配室を設けることにより、空気供給口及び排出口を容器天面の中央近傍に配置することが可能になる。そして、上記構成の本発明によれば、空気通路では発電用空気は空気供給口から一方及び他方の端に向かって流れ、排ガス通路では一方及び他方の端から排出口に向かって流れる。このため、空気通路と排ガス通路とでカウンターフローを形成することができ、熱交換効率を向上することができる。
本発明によれば、空気供給口から供給された空気が空気通路内に均一に広がるように構成された固体酸化物形燃料電池が提供される。
本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 図2のIV-IV線に沿った断面図である。 モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。 空気通路カバーを取り外した状態の燃料電池モジュールの上部を示す斜視図である。 空気分配部材の開口近傍を拡大して示す鉛直断面図である。 モジュールケースの天板に沿う空気通路に設けられたプレートフィンを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。 図7と同様の空気分配部材の開口近傍を拡大して示す鉛直断面図である。 固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの空気通路の高さにおける水平断面図である。 固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの第1排気通路の高さにおける水平断面図である。 本発明の別の実施形態の固体酸化物形燃料電池装置における空気通路カバーを取り外した状態の燃料電池モジュールの上部を示す斜視図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16(図6参照)が直列接続されて構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給減である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2乃至図6を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図であり、図5は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図であり、図6は、空気通路カバーを取り外した状態の燃料電池モジュールの上部を示す斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図5に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167と、発電用空気導入管74を貫通させるための開口部160cとが設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
また、空気通路161a内には、空気分配部材180が配置されている。空気分配部材180は、平面視矩形状の天板180Aと、天板180Aの両縁部から下方に向かって延びる一対の側壁部180Bと、一対の側壁部180Bの下端の縁から水平方向外方に延びる基部180Cとを有する。天板180Aには、排気管171に対応する位置に排気管用開口180aが形成され、また、幅方向中央に発電用空気導入管74が接続される導入開口180bが形成されている。
各側壁部180Bには、所定の間隔で複数の開口180cが形成されている。開口180cの開口面積はそれぞれ異なっており、発電用空気導入管74の空気供給口に接続される導入開口180bに近いほど、開口面積が小さく、導入開口180bから遠いほど、開口面積が大きくなっている。また、後に詳述するように、複数の開口180cは、プレートフィン162の本体部200(図7)よりも下方となるような位置に形成されている。
空気分配部材180は、排気管用開口180aに排気管171を挿通させた状態で、基部180Cがモジュールケース8の天板8aの上面に当接するように配置される。また、空気分配部材180は、一対の側壁部180Bがモジュールケース8の一対の側板8bの側に位置し、開口180cがモジュールケース8の側板8bの側に向かって開口するように配置されている。これにより、モジュールケース8の天板8aと、天板8aと対向する空気分配部材180の天板180Aと、天板180Aと天板8aの間を結ぶ空気分配部材180の一対の側壁部180Bとにより囲まれた空気分配室182が画成される。空気分配部材180の天板180Aに形成された導入開口180bに発電用空気導入管74の空気供給口が接続される。発電用空気導入管74は第2ヒータ48から延びており、発電用空気導入管74の端部は、空気供給口が天板8aに対向するように上下方向に延びている。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図5参照)。発電用空気導入管74から導入開口180bに供給された発電用空気は、天板8a及び空気分配部材180により囲まれた空気分配室182に導入される。後に詳述するが、空気分配室182は導入された発電用空気を空気通路161a全体に広がるように、複数の開口180cを通して空気通路161aに分配する。すなわち、空気分配室182は、発電用空気を空気通路161a全体に広がるように分配する空気分配機構として機能する。
そして、発電用空気は、モジュールケース8の天板8a及び側板8bの外壁に沿って空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。
また、空気通路161a,161bの内部には、第1及び第2排気通路172a、172b内の排気ガスと空気通路161a,161b内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、プレートフィン162は、空気通路161a内の後述する第1排気通路172aに対応する部分に設けられている。また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、プレートフィン163は、空気通路161b内の後述する第2排気通路172b及び排気集中部176に対応する部分に設けられている。
図7は、空気分配部材の開口近傍を拡大して示す鉛直断面図である。また、図8は、モジュールケースの天板に沿う空気通路に設けられたプレートフィンを示す斜視図である。なお、モジュールケース8の側板8bに沿う空気通路161bに設けられるプレートフィン163、並びに、第1排気通路172a及び第2排気通路172bに設けられるプレートフィン175a、175bも、空気通路161aに設けられたプレートフィン162と同様の構成である。
プレートフィン162は、一枚の金属製プレートを加工して製造されている。プレートフィン162は、板状の本体部200と、下方に突出する第1の突出部204と、上方に突出する第2の突出部202とを有する。
また、第1の突出部204は、それぞれ、斜め下方に向かって延びる一対の傾斜部204aと、一対の傾斜部204aの下端部の間を結ぶ連結部204bとにより構成される。そして、本体部200の第1の突出部204の上方に当たる位置に第1の通過穴204cが形成されている。第1の通過穴204cの下方には、第1の突出部204が形成されているため、プレートフィン162の下方の空間から上方の空間へ第1の通過穴204cを通る空気の流れは妨げられ、プレートフィン162の上方の空間から下方の空間へ第1の通過穴204cを通る空気の流れが引き起こされる。
第2の突出部202は、それぞれ、斜め上方に向かって延びる一対の傾斜部202aと、一対の傾斜部202aの上端部の間を結ぶ連結部202bとにより構成される。そして、本体部200の第2の突出部202の下方に当たる位置には、第2の通過穴202cが形成されている。第2の通過穴202cの上方に第2の突出部202が形成されているため、プレートフィン162の上方の空間から下方の空間へ第2の通過穴202cを通る空気の流れは妨げられ、プレートフィン162の下方の空間から上方の空間へ第2の通過穴202cを通る空気の流れが引き起こされる。
図7に示すように、プレートフィン162の上流側端部は、空気分配部材180の側壁部180Bに当接している。また、空気分配部材180の開口180cは、側壁部180Bのプレートフィン162が当接した位置よりも下方の部分に形成されている。プレートフィン162は、空気通路161aの上流から下流に向かって、第1の突出部204と第2の突出部202が交互に並ぶように配置されている。また、開口180cの最も近傍に位置する(最も上流側の)通過穴が、第1の突出部204に対応する第1の通過穴204cとなっている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
次に、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167、及び、空気分配部材180の排気管用開口180aを貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図2,図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜(ガス断熱層)135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる第1排気通路172aが形成されている。この第1排気通路172aは、モジュールケース8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、第1排気通路172a内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175aが配置されている。このプレートフィン175aは、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。
上部誘導板132は、上部誘導板132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる第2排気通路172bが形成されている。第2排気通路172bは上部において第1排気通路172aと連通している。第2排気通路172b内にも、空気通路161a、161b内のプレートフィン162、163と同様なプレートフィン175bが配置されている。このプレートフィン175bは、下端が下部誘導板131の高さまで延びている。
空気通路161a、161bと、第1及び第2排気通路172a、172bのうち、プレートフィン162、163、175a、175bが設けられた部分において、空気通路161a、161bを流れる発電用空気と第1及び第2排気通路172a、172bを流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる第3排気通路173が形成されている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる第4排気通路174を形成している。この第4排気通路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で第3排気通路173と合流し、排気ガスが集中する排気集中部176が形成される。
次に、図9を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図9は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図9に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
次に、図10乃至図14を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図10は、図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図11は、図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。また、図12は、図7と同様の空気分配部材の開口近傍を拡大して示す鉛直断面図である。また、図13は固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの空気通路の高さにおける水平断面図であり、図14は固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの第1排気通路の高さにおける水平断面図である。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図10に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び第1排気通路172aを順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
更に、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図10及び図11に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74からモジュールケース8の天板8aに向けて下方に空気分配室182に吹き込まれる。図13に示すように、空気分配室182に吹き込まれた発電用空気は、モジュールケース8の天板8aにぶつかり、発電用空気導入管74の空気供給口から水平方向に同心状に広がる。このように、空気分配室182に発電用空気が吹き込まれることにより、空気分配室182内は空気通路161aに比べて高圧になる。このため、空気分配室182内の発電用空気は、空気分配部材180の開口180cを通じて空気通路161aへと導入される。この際、開口180cの開口面積は、発電用空気導入管74の空気供給口に近いほど、開口面積が小さく、空気供給口から遠いほど、開口面積が大きくなっている。このため、各開口180cからは略同量の発電用空気が空気通路161aへと導入される。空気通路161aに導入された発電用空気は、モジュールケース8の一対の側板8bの上縁に向かって(すなわち、図13の上下方向に)流れ、空気通路161bに導入される。そして、空気通路161b内をモジュールケース8の側板8bに沿って下方に向かって流れる。
発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された第1及び第2排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図11に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、第3排気通路173と第4排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、第4排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく第3排気通路173に向けて誘導され、排気集中部176において第3排気通路173を流れる排気ガスに合流する。ここで、第2排気通路172内にはプレートフィン175bが設けられているため、第3排気通路173及び第4排気通路174を通過した排気ガスは排気集中部176において滞留する(図11のAの部分)。
その後、排気ガスは、排気集中部176から第2排気通路172bに導入される。そして、第2排気通路172bを通過した排気ガスは、モジュールケース8の一対の側板8bの上縁近傍から第1排気通路172aに導入される。図14に示すように、第2排気通路172bから導入された排気ガスは、幅方向中央に向かって(図14の上下方向)流れる。幅方向中央まで到達した排気ガスは、長手方向中央に向かって(図14の左右方向)流れ、排気口111へと導入される。
なお、排気ガスが排気集中部176に滞留する際に、空気通路161b内の排気集中部176に対応する部分に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。さらに、排気ガスが第2排気通路172b及び第1排気通路172aを流れていく際に、第2及び第1排気通路172b、172a内に設けられたプレートフィン175b、175aと、空気通路161a、161b内のプレートフィン175b、175aに対応する部分に設けられたプレートフィン162、163とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
以上説明したように、本実施形態の固体酸化物形燃料電池装置によれば、モジュールケース8の天板8aと対向するように設けられた発電用空気導入管の空気供給口から、天板8aに向けて発電用空気を供給している。これにより、供給された発電用空気は天板8aに沿って均一に広がる。さらに、本実施形態によれば、発電用空気は、空気分配部材180により形成された空気分配室182から分配されて空気通路161aに供給される。このため、発電用空気が空気通路161aの全体に均一に分配され、より効率のよい熱交換が可能になる。
また、本実施形態によれば、空気分配部材180により空気分配室182を形成し、空気分配室182の側壁部180Bには、複数の開口180cが形成されている。これにより、空気供給口から発電用空気が空気分配室182に供給されると、空気分配室182が高圧状態となり、開口180cから空気通路161aに押し出される。さらに、空気分配室182がバッファとして機能するため、発電用空気を空気通路161aへより均一に供給することができる。
また、本実施形態によれば、空気分配部材180の複数の開口180cの開口面積は、空気供給口から遠い開口ほど、大きい。これにより、空気供給口からの距離によらずに、各開口180cから空気通路161aに発電用空気を均等に供給することができる。
また、本実施形態によれば、空気分配部材180の複数の開口180cは側壁部180Bの天板8a側に形成されている。これにより、空気分配室182から開口180cを通って排出された発電用空気は天板8aに沿って流れ、熱交換効率を向上することができる。
また、本実施形態によれば、空気分配部材180の複数の開口180cは空気通路161aのプレートフィン162の板状の本体部200よりも下方に形成されている。これにより、開口180cを通った発電用空気がプレートフィン162の下方側で天板8aに沿って流れ、熱交換効率をより向上することができる。
また、本実施形態によれば、第2の通過穴202c及び第1の通過穴204cが交互に形成されたプレートフィン162が空気通路161a、161bに配置されているため、発電用空気は蛇行しながら流れ、これにより熱交換時間を長くすることができる。さらに、本実施形態によれば、第1の通過穴204cが空気分配部材180の開口180c近傍に配置されているため、開口180cから流出した発電用空気が上方に逃げてしまうのを防止し、熱交換効率をより向上できる。
また、本実施形態によれば、発電用空気導入管74の空気供給口及び排ガスの排気口111が装置中央近傍に設けられ、空気通路161aの下流及び第1排気通路172aの上流がモジュールケース8の側部に位置している。これにより、空気通路161aでは発電用空気が中心から側方に向かって流れ、第1排気通路172aでは排ガスが側方から中心に向かって流れる。このように、空気通路161aと第1排気通路172aとでカウンターフローが形成され、熱交換効率を向上できる。
なお、本実施形態では、矩形状の空気分配部材を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限られない。図15は本発明の別の実施形態の固体酸化物形燃料電池装置における空気通路カバーを取り外した状態の燃料電池モジュールの上部を示す斜視図である。図15に示すように、本実施形態では、空気分配部材280が、中央の排気管171に当たる部位は幅が広く、その他の部位では幅が狭くなっている。このような構成においても上記説明した第1実施形態と同様の効果が奏される。
1 固体酸化物形燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
6 ハウジング
7 断熱材
8 モジュールケース
8a 天板
8b 側板
8c 底板
8d 閉鎖側板
8e 閉鎖側板
8f 吹出口
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
16 燃料電池セルユニット
18 燃焼室
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット
30 燃料供給源
32 ガス遮断弁
36 脱硫器
38 燃料流量調整ユニット
39 バルブ
40 空気供給源
42 電磁弁
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
63 燃料供給配管
64 燃料ガス供給管
64a 水平部
64b 燃料供給孔
65 水添脱硫器用水素取出管
66 マニホールド
68 下支持板
74 発電用空気導入管
82 排気ガス排出管
83 点火装置
84 燃料電池セル
86 内側電極端子
88 燃料ガス流路
90 内側電極層
92 外側電極層
94 電解質層
96 シール材
98 燃料ガス流路細管
111 排気口
112 混合ガス供給管
120 改質器
120A 混合ガス受入部
120B 改質部
120C ガス排出部
120a 混合ガス供給口
120b 貫通孔
121 上側ケース
122 下側ケース
123a 仕切り板
123b 仕切り板
130 排気ガス誘導部材
131 下部誘導板
131a 凸状段部
132 上部誘導板
132a 凹部
133 連結板
134 連結板
135 ガス断熱層(ガス溜)
140 蒸発器
140A 排気通路部
140B 蒸発部
140C 混合部
141 蒸発器ケース
142 上側ケース
143 下側ケース
144 中間板
144a 開口
160 空気通路カバー
160a 天板
160b 側板
160c 開口部
161a 空気通路
161b 空気通路
162 プレートフィン
163 プレートフィン
167 開口部
171 排気管
172a 第1排気通路
172b 第2排気通路
173 第3排気通路
174 第4排気通路
175a プレートフィン
175b プレートフィン
176 排気集中部
180 空気分配部材
180A 天板
180B 側壁部
180C 基部
180a 排気管用開口
180b 導入開口
180c 開口
182 空気分配室
200 本体部
202 第2の突出部
202a 傾斜部
202b 連結部
202c 第2の通過穴
204 第1の突出部
204a 傾斜部
204b 連結部
204c 第1の通過穴
280 空気分配部材

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池装置であって、
    発電用空気と、水蒸気改質して得られた燃料ガスとの反応により発電する燃料電池セルと、
    モジュール容器と、
    前記モジュール容器内に設けられ、前記燃料電池セルの発電に寄与しなかった燃料ガスを燃焼させ排ガスを生成する燃焼部と、
    前記燃焼部の上方に設けられ、原料ガスを水蒸気改質して前記燃料ガスを生成する改質器と、
    前記モジュール容器の少なくとも一つの面の内壁に沿って形成され、前記排ガスを前記モジュール容器の外部へ排出するための排出口に、前記燃焼部で発生した排気ガスを誘導する排ガス通路と、
    前記モジュール容器の外部から前記発電用空気を空気供給口から供給する空気供給管と、
    前記モジュール容器の少なくとも一つの面の外壁に沿って形成され、前記空気供給管から供給された発電用空気が供給される空気通路と、を備え、
    前記モジュール容器の少なくとも一つの面には、前記排ガス通路内の排ガスと、前記空気通路内の発電用空気との間で熱交換が行われる熱交換部が形成され、
    さらに、前記空気供給口から前記外壁に吹き付けられた発電用空気を前記空気通路全体に広がるように分配する空気分配機構を備え、
    前記空気分配機構は、前記外壁と対向する対向面と、側面とを含む空気分配部材により囲まれて前記空気通路の内部に形成された空気分配室を有し、
    前記発電用空気は、前記空気供給口から前記空気分配室に供給され、
    前記空気分配室の側面には、開口が形成されている、ことを特徴とする固体酸化物形燃料電池装置。
  2. 前記空気分配室の側面には複数の前記開口が形成されており、前記複数の開口の開口面積は、前記空気供給口から遠い開口ほど、大きい、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  3. 前記排ガス通路は、前記モジュール容器の天面の内壁に沿って形成され、
    前記空気通路は、前記モジュール容器の天面の外壁に沿って形成され、
    前記複数の開口は、前記空気分配部材の前記側面の前記外壁側に形成されている、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  4. 前記空気通路内の前記空気分配室よりも下流側には、前記空気通路を上空間と下空間とに区分する伝熱プレートが設けられ、
    前記複数の開口は、前記伝熱プレートよりも下方に形成されている、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  5. 前記伝熱プレートには、
    前記発電用空気を前記上空間から前記下空間へ通過させる第1の通過穴と、
    前記発電用空気を前記下空間から前記上空間へ通過させる第2の通過穴と、が前記発電用空気の流動方向に対して交互に配置されており、
    前記開口から流出した前記発電用空気は初めに前記第1の通過穴を通過する、請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  6. 前記空気通路の流出口及び前記排ガス通路の流入口は、前記空気通路の上面視において対向する一方の端と他方の端に設けられており、
    前記空気供給口及び前記排出口とは前記一方の端と他方の端との中心近傍にもうけられている、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
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