JP2017052456A - ボルト締結部構造およびクロスメンバ締結部構造 - Google Patents

ボルト締結部構造およびクロスメンバ締結部構造 Download PDF

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Abstract

【課題】ボルト締結時の接触面圧の偏りをなくし、安定した締結力が得られるボルト締結部構造およびクロスメンバ締結部構造を提供する。【解決手段】トランスミッションクロスメンバ20の端部23に長孔からなるボルト取付孔25A、25B、25Cを備え、車体部材にナット部32A、32B,32Cを備え、取付ボルト31A、31B、31Cがそれぞれ各ボルト取付孔25A、25B、25Cを貫通しかつ各ナット部32A、32B、32Cに螺合して締結するにあたり、前記端部23の接触面に各ボルト取付孔25A,25B,25Cの囲みかつ当該ナット部に螺合する取付ボルト31A、31B、31Cのボルト軸a、b、cと、ボルト軸a、b、cによって設定される重心Cとを結ぶ直線上でボルト軸a、b、cから重心C側に変位した中心点Oa、Ob、Ocを有する真円状の凹部26A、26B、26Cを設ける。【選択図】図7

Description

本発明は、ボルト締結部構造およびクロスメンバ締結部構造に関する。
自動車等の車両下部には、特許文献1および特許文献2のように、車両の前後方向に延在する左右一対のサイドフレームを有し、サイドフレーム間に縦置きエンジンとトランスミッションが一体構成されたパワープラントが搭載され、トランスミッションの出力部となる後部を左右のサイドフレーム間に架設されたトランスミッションクロスメンバによって支持する車体構造が知られている。
また、特許文献2のように、トランスミッションクロスメンバの両端部におけるサイドフレーム等への取り付けを、それぞれ3点に配置された取付ボルトにて取り付けるように構成し、かつトランスミッションクロスメンバの取付ボルト孔を車体幅方向に延在する長孔とすることも知られている。
特開2007−22155号公報 特開2000−1126号公報
上記のようにトランスミッションクロスメンバのボルト取付孔を長孔とすることで、例えば、衝突時にサイドフレームが後方移動した際や、パワーユニット等が後退移動した際にサイドフレームに対するトランスミッションクロスメンバの相対移動乃至揺動が許容されてトランスミッションクロスメンバの捩れ等が抑制されてトランスミッションクロスメンバの機能が維持される。
しかし、長孔のボルト取付孔を有するトランスミッションクロスメンバを取付ボルトでサイドフレームに締結すると、ボルト取付孔の短軸側において接触面となる座面がサイドフレームの取付面に当接する接触面積に対して、長軸側における接触面積が小さくなるとともに、取付ボルトの中心から短軸側の接触面までの距離が短く設定されかつ長軸側の接触面までの距離が大きく設定されることから、ボルト締結時の接触面圧力が短軸側に集中し、取付ボルト周りで接触面圧にバラツキが生じて取付ボルトによる締結が不安定になるとともに、取付ボルトの緩みを誘発する要因となる。
一方、車両走行に伴う前輪が突起等に乗り越し時等サスペンションからサイドフレーム等の車体部材に捩れ方向や上下方向の荷重が入力される一方、トランスミッションの後部からトランスミッションクロスメンバの中央部に上下方向の荷重が入力されることから、ボルト締結部においてはボルト取付孔の外方側において負荷大きくなり、ボルト結合部に偏在した大きな応力が作用して結合部の挙動による車両の操縦安定性、騒音、乗心地に影響する。
このように長孔のボルト取付孔に起因するボルト締結による接触面圧のバラツキや負荷の偏在の傾向はトランスミッションクロスメンバに限らず、他のボルト締結部構造においても懸念される。
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、ボルト締結時の接触面圧の偏りを抑制し、かつ締結部の接触面圧を適切に設定することで安定した締結力が得られるボルト締結部構造およびクロスメンバ締結構造を提供することにある。
前記目的を達成する請求項1に記載のボルト締結部構造は、取付部材に複数のナット部が配置された取付部材と、前記各ナット部に対応する複数の長孔からなるボルト取付孔を有し、該ボルト取付孔の周囲が前記取付部材と面接触する被締結部材とを前記各ボルト取付孔を貫通し前記各ナット部に螺合する取付ボルトで締結するボルト締結部構造において、前記被締結部材の接触面に前記各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設け、該真円状の凹部の中心が、前記各ナット部に螺合する各取付ボルトのボルト軸によって設定される重心と各取付ボルトのボルト軸とを結ぶ直線上で該ボルト軸から重心側に変位した点とされたことを特徴とする。
この構成によれば、被締結部材の接触面に各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設けることで、被締結部材の取付ボルトを囲む真円状の接触面が取付部材に当接して取付ボルト周りの接触面圧が全周に亘りに偏りがなく略均一安定した締結力が得られ一方、真円状の凹部の中心を複数のボルト軸によって設定される重心と各取付ボルトのボルト軸とを結ぶ直線上で該ボルト軸から重心側に変位した点とすることで、重心と反対側となる各取付ボルトの外方側の接触面圧が大きく設定され、種々の外乱が入力された際に、取付ボルトの接触面圧が高く設定される外方側で効率的に受け止めることができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載のボルト締結部構造において、前記複数の取付ボルトの配置は、同一直線上にない3点であることを特徴とする。
この構成によれば、複数の取付ボルトの配置を同一直線上にない3点に設定することで、重心と反対側となる各取付ボルトの外方側の3点の接触面圧が大きく設定され、種々の外乱が入力された際に、取付ボルトの接触面圧が高く設定される3点で効率的に受け止めることができ、均一な安定した被締結部材と取付部材との締結力が確保できる。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のボルト締結部構造において、前記凹部は、前記ボルト取付孔の長軸より大きな直径を有して前記接触面に開口する真円状の周面および前記ボルト取付孔が開口する底面を備えたことを特徴とする。
この構成によると、凹部をボルト取付孔の長軸より大きな真円状の周面とボルト取付孔が開口する底面により形成することで効率的に接触面の接触範囲が調整できる。
前記目的を達成する請求項4に記載のクロスメンバ締結部構造は、左右の車体部材にそれぞれ複数のナット部を備え、該左右の各車体部材に接触可能なる接触面を有する左右一対の端部に前記ナット部に対応する複数の長孔からなるボルト取付孔を備えたクロスメンバを有し、複数の取付ボルトがそれぞれ前記各端部のボルト取付孔を貫通しかつ前記ナット部に螺合し前記各端部の接触面を前記左右の車体部材に接触した状態で前記各端部を左右の車体部材に締結するクロスメンバ締結部構造において、前記各端部の接触面に前記各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設け、該真円状の凹部の中心が、前記各ナット部に螺合する各取付ボルトのボルト軸によって設定される重心と前記各取付ボルトのボルト軸とを結ぶ直線上で該ボルト軸から重心側に変位した点とされたことを特徴とする。
この構造によれば、クロスメンバの各端部の接触面に各ボルト取付孔を囲みかつ複数のボルト軸により設定される重心と各ボルト軸とを結ぶ直線上でボルト軸から重心側に変位した点を中心とする真円状の凹部を有することで、取付ボルト周りの接触面圧が全周に亘り偏りのなく略均一でかつ、取付ボルトによる結合中心が重心上に設定され、均一な安定した締結力が得られる。
一方、真円状の凹部の中心を重心と各ボルト軸とを結ぶ直線上で各ボルト軸から重心側に変位した点とすることで、重心と反対側となる各取付ボルトの外方側の接触面圧が大きく設定され、クロスメンバおよび車体部材等から種々の外乱が入力された際に、取付ボルトの接触面圧が高く設定される外方側で効率的に受け止めることができ、車体剛性が確保されて操縦安定性が向上する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のクロスメンバ締結部構造において、前記車体部材は、車体前後方向に延在する左右のサイドフレームおよび該サイドフレーム間に架設されるトンネルクロスメンバであり、前記クロスメンバは、前記トンネルクロスメンバの離反する一対の取付面間に架設されてトランスミッションを支持するトランスミッションクロスメンバであることを特徴とする。
この構成は、車体部材の具体的構成であって、車体前後方向に延在する左右のサイドフレームおよび該サイドフレーム間に架設されるトンネルクロスメンバであり、前記クロスメンバは、前記トンメルクロスメンバの離反する一対の取付面間に架設されるトランスミッションクロスメンバあり、トランスミッションからトランスミッションクロスメンバに上下方向の荷重が入力された際や、サスペンションからサイドフレームおよびトンネルクロスメンバ等から上下方向の荷重が入力され際には、主に接触面圧が高く設定される取付ボルトの外方側により効率的に受け止ることで車体剛性が確保されて操縦安定性が向上する。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載のクロスメンバ結合部構造において、前記各端部における前記複数の取付ボルトの配置は、同一直線上にない3点であることを特徴とする。
この構成によれば、複数の取付ボルトの配置を同一直線上にない3点に設定することで、重心と反対側となる取付ボルトの外方側の3点の接触面圧が大きく設定され、効率的に種々の外乱が入力された際に、取付ボルトの接触面圧が高く設定される3点で効率的に受け止めることができ、均一な安定したクロスメンバと車体部材の締結が確保できる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のクロスメンバ締結部構造において、前記取付ボルトの配置は、各端部における車体外端側と、これより車体内側で前方および後方に振り分けられた3点であること特徴とする。
この構成によれば、クロスメンバに上下方向の荷重が入力された際には、主に接触面圧が高く設定される内側の取付ボルトの内側前方および内側後方により効率的に受け止める一方、車体部材から上下方向の荷重が入力され際には、主に接触面圧が高く設定される取付ボルトの外方側により効率的に受け止められて高い締結力が確保されて車体剛性が確保されて操縦安定性が向上する。
請求項8に記載の発明は、請求項4〜7の何れか1項に記載のボルト締結部構造において、前記凹部は、前記ボルト取付孔の長軸より大きな直径を有して接触面に開口する周面および前記ボルト取付孔が開口する底面を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、凹部をボルト取付孔の長軸より大きな真円状の周面とボルト取付孔が開口する底面により形成することで効率的接触面の接触範囲が調整できる。
本発明によると、被締結部材の接触面に各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設け、その真円状の凹部の中心を複数のボルト軸による設定される重心とボルト軸とを結ぶ直線上でかつボルト軸から重心側に変位した点とすることで、ボルト取付孔を囲む真円状の接触面が取付部材に当接して接触面圧のバラツキが抑制されて安定した締結力が得られる一方、種々の外乱が入力された際に、接触面圧が高く設定される取付ボルトの外方側で効率的に受け止めることができる。
車体フレーム構成の概要を示す概略平面図である。 図1のII−II線断面相当のフロアを含めた説明図である。 トランスミッションクロスメンバの取付状態を示す斜視図である。 トランスミッションクロスメンバの取付状態を示す下面図である。 トランスミッションクロスメンバの斜視図である。 図4のVI部拡大図である。 ボルト締結部の概要を示す分解斜視図である。 トランスミッションクロスメンバの端部の斜視図である。 トランスミッションクロスメンバの端部の平面図である。 締結状態を示す図であり、(a)、(b)はそれぞれ図6のa−a線断面図、b−b線断面図である。 締結部の接触面圧分布状態説明図である。 締結部の接触面圧分布状態説明図である。 締結部の接触面圧分布状態説明図である。
本発明におけるボルト締結部構造の一実施の形態を、車両のトランスミッションクロスメンバを車体部材となるトンネルクロスメンバにボルト結合する場合を例に図を参照して説明する。なお、各図において矢印Ftは車体前方方向を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示す。
図1は、車体フレーム構成の概要を示す概略平面図、図2は図1のII−11線断面相当のフロアパネルを含めた説明図である。
図1に示すように車両の主骨格は、車体前部に前後方向延在して配置される左右一対のフロントサイドフレーム1と、各フロントサイドフレーム1の外側で車体側部に沿って前後方向に延在するサイドシル2と、車体後部の両側に配置されるリヤサイドフレーム3とを備える。
左右のフロントサイドフレーム1の後端は、車幅方向に延在して左右のサイドシル2の後部に架け渡されたリヤクロスメンバ4に連結され、リヤクロスメンバ4の端部にリヤサイドフレーム3の前端が連結される。リヤサイドフレーム3の中間部にはリヤサスペンションクロスメンバ5が連結される。左右のリヤサイドフレーム3は後輪13の前側において上方に傾斜する傾斜部3aが設けられる。
車両中央部である左右のフロントサイドフレーム1の中間分部が車幅方向に延在するリヤトンネルクロスメンバ6によって連結される。このトンネルクロスメンバ6はフロアパネル10の車幅方向中央で前後方向に延設するフロアトンネル部11に対応する略U字状のトンネル形状部6aを有している。このフロントフレーム1の中間部とサイドシル2の中間部がフロアクロスメンバ7を介して連結される。
フロントサイドフレーム1の前端側には、前輪12を支持するフロントサスペンションや、エンジン16を支持するエンジンマウント部が接合される。左右のフロントサイドフレーム1の間に搭載される縦置きエンジン16の後部にトランスミッション17が一体的に連結され、この一体構成されるエンジン16とトランスミッション17によってパワーユニット15を構成する。このトランスミッション17の出力部となる後部17aが、左右のフロントサイドフレーム1に架け渡されたトンネルクロスメンバ18に取付けられたトランスミッションクロスメンバ20によって支持される。トランスミッション17の後部17aから突出する出力軸に、フロアトンネル部11内に延在してディファレンシャル装置45に動力伝達するプロペラシャフト46の前端が連結される。
図1および図2に示すように、トンネルクロスメンバ18は、中央部にフロアパネル10に形成されたフロアトンネル部11の下面に沿って配置されて下方が開放された略U字状のトンネル形状部18Aと、トンネル形状部18Aの両下端から車幅方向外方に屈曲してフロアパネル10の下面に沿って延在してフロントサイドフレーム1に結合するフロア形状部18Bとを有する。各フロア形状部18Bの下面に後述するトランスミッションクロスメンバ20の各端部23を取付ける取付面18Cが形成される。
また、フロア形状部18Bは、車室内にフロアパネル10の上面に沿って車幅方向に配置されてフロアトンネル部11とサイドシル2とを結合するフロントクロスメンバ19にフロアパネル10を介在して結合される。
次に、図2および図3乃至図5を参照してトランスミッションクロメンバ20を詳細に説明する。図3はトランスミッションクロスメンバ20の取付状態を示す斜視図、図4はトランスミッションクロスメンバ20の取付状態を示す下面図、図5はトランスミッションクロスメンバ20の斜視図である。
トランスミッションクロスメンバ20は、例えば軽量で剛性に優れたアルミニウム合金製であって、図3および図4に示すように、フロアトンネル部11の対向する開口端11a付近間であるトンネルクロスメンバ18のトンネル形状部18Aの両下端18Aa間に車幅方向に延在して架け渡されるトランスミッション保持部21と、このトランスミッション保持部21の両端に連続して下方に屈曲する段差状の屈曲部22を介在して車幅方向外側に延在するとともにフロントトンネルクロスメンバ18の両フロア形状部18Bの下面に重合してフロア形状部18Bの取付面18Cにボルト結合される各端部23とが一体形成される。
トランスミッション保持部21の車幅方向中央上面部に、トランスミッション17の後部17aを支持するミッションマウント40が配置される。トランスミッションマウント40は、ミッション側ブラケット41と、クロスメンバ側ブラケット42と、クッションゴム部43とを備える。ミッション側ブラケット41は矩形鋼板をトランスミッション17の後部17aの外形に倣って曲げ加工して形成され、トランスミッション17の後部17aにボルト41aによって結合する。クロスメンバ側ブラケット42は、矩形鋼板の車幅方向両端を斜め上方に折曲し、平坦な中央部から下方に突出するボルト42a等によってミッションクロスメンバ20のトランスミッション保持部21に固定される。このクロスメンバ側ブラケット42とミッション側ブラケット41の間にクッションゴム43が配置される。なお、ミッションマウント40は既存の構成であり、かつ本発明と直接関係がないので詳細な説明を省略する。
被締結部材であるトランスミッションクロスメンバ20の端部23と取付部材となるトンネルクロスメンバ18とのボルト締結部構造を図6乃至図11等を参照して説明する。
図6は、ボルト締結部であるトンネルクロスメンバ18とトランスミッションクロスメンバ20の端部23の下面を示す図4のVI部拡大図、図7はボルト締結部の概要を示す分解斜視図、図8はトランスミッションクロスメンバ20の端部23の斜視図、図9はトランスミッションクロスメンバ20の端部23の平面図、図10の(a)(b)はそれぞれ図6のa−a線断面図、b−b線断面図である。
トランスミッションクロスメンバ20の端部23におけるトンネルクロスメンバ18への取り付けは、同一直線上にない3点に配置される取付ボルト31A、31Bおよび31Cで取り付けられる。この3点に配置される取付ボルト31A、31B3、31Cは、端部23の車幅方向外端側に配置される取付ボルト31Aと、この取付ボル31Aとこれより車体内側において車体前後方向に振り分けられた一対の取付ボルト31B、31Cとから構成される。
トンネルクロスメンバ18の取付面18Cには、図7に示すように予め設定されたこれらの取付ボルト31A、31B、31Cの各ボルト中心位置に相応する位置にナット部32A、32B、32Cが配設される。このフロントトンネルクロスメンバ18の取付面18Cに配接されるナット部32A、32B、32Cは、取付ボルト31A、31B、31Cの配置に基づいて車幅方向外端側に配置されるナット部32A、このナット部32Aから車体内側において車体前後方向に振り分けられて配置される一対のナット部32Bおよび32Cによって構成される。このナット部32A,32Bおよび32Cに螺合する各取付ボルト31A、31B、31Cのボルト軸心がそれぞれ各ボルト締結中心であるボルト軸a、b、cとなる。
一方、トランスミッションクロスメンバ20の端部23には、図8および図9に示すように、これらのボルト軸a、b、cに位置に相応して下面23Aから上面23Bに形成されて接触面となる座面27A、28B、27Cに貫通するボルト取付孔25A、25B、25Cが形成される。この各ボルト取付孔25A、25B、25Cは、取付ボルト31A、31B、31Cと同様に外端側に形成されるボルト取付孔25Aと、これより車体内側において車体前後方向に振り分けられる一対のボルト取付孔25B、25Cとから構成される。
図8および図9に示すように、外端側のボルト取付孔25Aは、取付ボルト31Aによる取付点、すなわちボルト軸aを中心に車体外方側および車体内方側に延長された長孔に形成される。一方、内側前方のボルト取付孔25Bは取付ボルト31Bによるボルト軸bより車体外方側に延長された長孔に形成され、ボルト取付孔25Cは取付ボルト31Cによるボルト軸cより車体外方側に延長された長孔に形成される。これらのボルト取付孔25A、25B、25Cは例えば短軸Sが14mm、長軸Lが16mmの長孔に形成される。
ボルト取付孔25Aの上面23B側に形成される接触面となる平坦な座面27Aにボルト軸a、bおよびcにより設定される重心Cとボルト軸aとを結ぶ直線La上でかつボルト軸aから重心C側に所定量α、例えば0.5mmだけ変位した点Oaを中心としてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触範囲を調整する真円状の凹部26Aが形成される。凹部26Aはボルト取付孔25Aを囲む大きさで、その周面26Aaの直径Dがボルト取付孔25Aの長軸Lより大きな例えば18mmでかつ、座面27Aからボルト取付孔25Aの端部が開口する底面26Abまでの深さHが締結状態においてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触が回避される例えば1mmに設定される。
内側前方のボルト取付孔25Bは、取付ボルト31Bによるボルト軸bより車体外方側に延長された長孔で、例えば短軸Sが14mm、長軸Lが16mmの長孔に形成される。ボルト取付孔25Bの上面23B側に接触面となる平坦な座面27Bが形成され、座面27Bにボルト軸a、bおよびcにより設定される重心Cとボルト軸bとを結ぶ直線Lb上でかつ重心C側に所定量α、例えば0.5mm変位した点Obを中心としてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触範囲を調整する真円状の凹部26Bが形成される。凹部26Bはボルト取付孔25Bの囲む大きさで、その周面26Baの直径Dがボルト取付孔25Bの長軸Lより大きな例えば18mmでかつ、座面27Bから底面26Bbまでの深さHが締結状態においてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触が回避可能な例えば1mmに設定される。
内方後方のボルト取付孔25Cは、取付ボルト31Cによるボルト軸cより車体外方側に延長された長孔で、例えば短軸Sが14mm、長軸Lが16mmの長孔に形成される。ボルト取付孔25Cの上面23B側に接触面となる平坦な座面27Cが形成され、座面27Cにボルト軸a、bおよびcで設定される重心Cとボルト軸cとを結ぶ直線Lc上でかつボルト軸cから重心C側に所定量α、例えば0.5mm変位した点Ocを中心としてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触範囲を調整する真円状の凹部26Cが形成される。
凹部26Cは取付孔25Cを囲む大きさで、その周面26Caの直径Dがボルト取付孔25Cの長軸Lより大きな例えば18mmでかつ、座面27Cから底面26Cbまでの深さHが締結状態においてトンネルクロスメンバ18の取付面18Cとの接触が回避される例えば1mmに設定される。
これら凹部26A、26B、26Cの直径Dや深さHおよび変位量αはボルト締結時の塑性変形等を考慮し、予め実験やシミュレーション等に基づいて設定することが好ましい。
このように端部23にボルト取付孔25A、25B、25Cおよび凹部26A、26B、26C等が形成れたトンネルクロスメンバ18は、両端部23がそれぞれトンネルクロスメンバ18の左右の取付面18Cに下方から座面27A、27B、27Cが当接して位置めされてセットされる。
このセットされた各端部23のボルト取付孔25Aに下方から取付ボルト31Aを挿入および貫通し、トンネルクロスメンバ18の各取付面18Cに配設されたナット部32Aに予め設定された規定トルクで締結する。なお、この締結状態を示す図6のa−a線断面図、b−b線断面図をそれぞれ図10の(a)および(b)に示す。
同様に端部23のボルト取付孔25B、25Cに下方から取付ボルト31B、31Cを挿入して、取付面18Cに配設されたナット部32B、32Cに規定トルクで締結する。
図11乃至図13は、本実施の形態における取付面18Cと端部23の接触面となる座面27A、27B,27Cとの接触面圧分布と従来の取付部の接触面圧分布を模式的に示す比較説明図である。なお、各図において接触面圧分布状態をドットの粗密で示し、粗側から密側に移行するに従って接触面圧が増大する。なお、説明の便宜上従来の対応する部位に本実施の形態と同一符号を付する。
図11において従来の外端側の取付部の接触面圧分布を(a)に示し、本実施の形態におる外端側の接触面圧分布を(A)に示す。
従来の外端側の取付部にあっては図11(a)に示すように、長孔のボルト取付孔25Aを有する座面27Aがトンネルクロスメンバ18の取付面18Cに当接した状態で、取付ボルト31Aをナット部32Aに螺合すると、ボルト取付孔25Aの短軸側における座面27Aが取付部18Cに圧接する接触面積に対して、長軸側における座面27Aが圧接する接触面積が小さく、かつ取付ボルト31Aの中心、すなわちボルト軸aから短軸側の座面27Aにおける接触面までの距離が短く、取付ボルト31Aの中心から長軸側の接触面までの距離が大きく設定されて、取付ボルト31Aの締結時の接触面圧が短軸方向に集中し、取付ボルト31Aの中心から離れた長軸方向で低くなり接触面圧に大きなバラツキが生じて取付ボルト31Aによる接触面圧応力にバラツキが生じて締結力が不安定になるとともに、取付ボルト31Bの緩みを誘発する要因となる。
一方、本実施の形態の外端側の取付部においては、図11(A)に示すように、長孔のボルト取付孔25Aより大径でほぼボルト軸aを中心とする真円状の凹部16Aが形成された座面27Aを取付部18Cに当接した状態で、長孔のボルト取付孔25Aに取付ボルト31Aを挿入してナット部32Aに締結すると、長孔のボルト取付孔25Aにかかわらずボルト軸aをほぼ中心とする真円状の凹部16Aにより真円状で座面27Aが取付面18Cに圧接して接触面圧力が全周に渡り略均一でかつ、ボルト結合中心がボルト軸a上に設定され、均一な安定した締結力が得られる。
一方、ボルト軸a、b、cによる重心Cとボルト軸aを結ぶ直線La上でかつボルト軸aから重心C側に所定量α変位した点Oaを凹部26Aの中心とすることで、取付ボルト31Aの中心から車幅方向外方における接触面までの距離が短くなり、重心Cの反対側となる凹部26Aの車幅方向外方側部分の接触応力が大きく設定される。
図12において従来の内側前方の取付部の接触面圧分布を(a)に示し、本実施の形態におる内側前方の取付部の接触面圧分布を(A)に示す。
従来の内側前方の取付部にあっては図12(a)に示すように、長孔のボルト取付孔25Bを有する座面27Bをトンネルクロスメンバ18の取付面18Cに当接した状態で、取付ボルト31Bでナット部32Bに締結すると、ボルト取付孔25Bの短軸側における座面27Bが取付面18Cに圧接する接触面積に対して、長軸側における座面27Bが圧接する接触面積が小さく、かつ取付ボルト31Bの中心から短軸側の接触面までの距離が短く、取付ボルト31Bの中心から長軸側の接触面までの距離が大きく設定されて、取付ボルト31Bの締結時の接触面圧が短軸方向に集中し、長軸方向で低くなり接触面圧に大きなバラツキが生じて取付ボルト31Bによる締結力が不安定になるとともに、取付ボルト31Bの緩みを誘発する要因となる。
一方、本実施の形態の内側前方の取付部においては、図12(A)に示すように、長孔のボルト取付孔25Bより大径でほぼボルト軸bを中心とする真円形状の凹溝16Bが形成された座面27Bを取付面18Cに当接した状態で、長孔のボルト取付孔25Bに取付ボルト31Bを挿入してナット部32Bに締結すると、長孔のボルト取付孔25Bにかかわらずボルト軸bをほぼ中心とする円形の凹部16Bにより真円状で座面27Bが取付面18Cに圧接して接触面圧が全周に渡り略均一でかつ、結合中心がボルト軸b上に設定され、均一な安定した締結力が得られる。
一方、ボルト軸a、b、cによって設定される重心Cとボルト軸bを結ぶ直線Lb上でかつボルト軸bから重心C側に所定量α変位した点Obを凹部26Bの中心とすることで、取付ボルト31Bの中心から車幅方向内側前方における接触面までの距離が短くなり、重心Cの反対側となる凹部26Bの車幅方向内方側前方の接触応力が大きく設定される。
図13において従来の内側後方の取付部の接触面圧分布を(a)に示し、本実施の形態におる内側後方の取付部の接触面圧分布を(A)に示す。
従来の内側後方の取付部にあっては図13(a)に示すように、長孔のボルト取付孔25Cを有する座面27Cをトンネルクロスメンバ18の取付面18Cに当接した状態で、取付ボルト31Cでナット部32Cに締結すると、ボルト取付孔25Cの短軸側における座面27Cが取付面18Cに圧接する接触面積に対して、長軸側における座面27Cが当接する接触面積が小さく、かつ取付ボルト31Cの中心から短軸側の接触面までの距離が短く、取付ボルト31Cの中心から長軸側の接触面までの距離が大きく設定されて、取付ボルト31Cの締結時の接触面圧が短軸方向に集中し、長軸方向で低くなり接触面圧に大きなバラツキが生じて取付ボルト31Cによる締結力が不安定になるとともに、取付ボルト31Cの緩みを誘発する要因となる。
一方、本実施の形態の内側後方の取付部においては、図13(A)に示すように、長孔のボルト取付孔25Cより大径でほぼボルト軸cを略中心とする円形の凹部16Cが形成された座面27Cを取付面18Cに当接した状態で、長孔のボルト取付孔25Cに取付ボルト31Cを挿入してナット部32Cに締結すると、長孔のボルト取付孔25Cにかかわらずボルト軸cをほぼ中心とする円形の凹部16Cにより真円状で座面27Cが取付部18Cに圧接して接触応力が全周に亘り略均一でかつ、取付ボルト31Cによる結合中心がほぼボルト軸c上に設定され、均一な安定した締結力が得られる。
一方、ボルト軸a、b、cの重心Cとボルト軸cを結ぶ直線Lc上でかつボルト軸cから重心C方向に所定量α変位した点Ocを凹部26Cの中心とすることで、取付ボルト31Cの中心から車幅方向内方側後方における接触面までの距離が短くなり、重心Cの反対側となる凹部26Cの車幅方向内側後方の接触応力が大きく設定される。
このように、トランスミッションクロスメンバ20の各端部23をトンネルクロメンバ18に同一直線上にない3点に配置される取付ボルト31A、31B、31Cにより取付ける際に、トンネルクロスメンバ18との接触面となる各座面27A、27B、27Cに長孔に形成されたボルト取付孔25A、25B、25Cに対し、各ボルト軸a、b、cからそれぞれ重心C側に変位した点Oa、Ob、Ocを中心としてボルト取付孔25A、25B、25Cを囲む真円状の凹部26A、26B、26Cを形成することで、各座面27A、27B、27Cが真円状でトンネルクロスメンバ18に当接して接触応力が全周に亘り略均一でかつ、重心Cとは反対側となる各取付部の外側の接触応力が集中するように設定される。
これにより、3点の取付ボルト31A、31B、31Cによる締結中心と重心Cが一致し接触応力の偏りにおる締結力の低下が抑制されるとともに、トランスミッションクロスメンバ20およびトンネルクロスメンバ18等から種々の外乱が入力された際に、取付ボルト31A、31B、31Cの接触面圧が高く設定される外側で効率的に受け止めることができる。
具体的には、例えばトランスミッション17の後部17aからトランスミッションクロスメンバ20のトランスミッション保持部21に上下方向の荷重が入力された際には、主に接触面圧が高く設定される内側の取付ボルト31B、31Cの内側前方および内側後方により効率的に受け止める一方、サスペンションからサイドフレーム1およびトンメルクロスメンバ18等の車体部材から上下方向の荷重が入力され際には、主に接触面圧が高く設定される外方側の取付ボルト31B、31Cの外方により効率的に受け止める高い締結力が確保されて車体剛性が確保されて操縦安定性が向上する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、トランスミッションクロスメンバ20の各端部23を端部23の外端側、内側の前方および後方の3点の取付ボルト31A、31Bによりトンネルクロスメンバ18の取付面18Cに締結する例を説明したが、この3点に限ら外端側及び内側の2点、あるいは外端側、内側および外端側と内側の間で前後方向に振り分けた中間の前方および後方の4点など他の複数に配置される取付ボルトにより締結することの可能であり、また、トランスミッションクロスメンバ20とトンメルクロスメンバ18との結合となる被結合部材を結合部材にボルト結合するボルト締結部構造に広く適用することができる。
1 フロントサイドフレーム(車体部材)
10 フロアパネル
11 フロアトンネル部
15 パワーユニット
17 トランスミッション
17a 後部
18 トンネルクロスメンバ
18C 取付部
20 トランスミッションクロスメンバ(クロスメンバ、被締結部材)
23 端部
25A,25B、25C ボルト取付孔
27A、27B,27C 座面(接触面)
26A、26B、26C 凹部
26Aa,26Ba、26Ba 周面
26Ab、26Bb、26Cb 底面
31A、31B、31C 取付ボルト
32A、32B、32C ナット部
a、b、c ボルト軸
0a、Ob、Oc 凹部中心
C 重心

Claims (8)

  1. 取付部材に複数のナット部が配置された取付部材と、前記各ナット部に対応する複数の長孔からなるボルト取付孔を有し、該ボルト取付孔の周囲が前記取付部材と面接触する被締結部材とを前記各ボルト取付孔を貫通し前記各ナット部に螺合する取付ボルトで締結するボルト締結部構造において、
    前記被締結部材の接触面に前記各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設け、
    該真円状の凹部の中心が、
    前記各ナット部に螺合する各取付ボルトのボルト軸によって設定される重心と各取付ボルトのボルト軸とを結ぶ直線上で該ボルト軸から重心側に変位した点とされたことを特徴とするボルト締結部構造。
  2. 前記複数の取付ボルトの配置は、同一直線上にない3点であることを特徴とする請求項1に記載のボルト締結部構造。
  3. 前記凹部は、前記ボルト取付孔の長軸より大きな直径を有して前記接触面に開口する真円状の周面および前記ボルト取付孔が開口する底面を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のボルト締結部構造。
  4. 左右の車体部材にそれぞれ複数のナット部を備え、該左右の各車体部材に接触可能なる接触面を有する左右一対の端部に前記ナット部に対応する複数の長孔からなるボルト取付孔を備えたクロスメンバを有し、複数の取付ボルトがそれぞれ前記各端部のボルト取付孔を貫通しかつ前記ナット部に螺合し前記各端部の接触面を前記左右の車体部材に接触した状態で前記各端部を左右の車体部材に締結するクロスメンバ締結部構造において、
    前記各端部の接触面に前記各ボルト取付孔を囲む真円状の凹部を設け、
    該真円状の凹部の中心が、
    前記各ナット部に螺合する各取付ボルトのボルト軸によって設定される重心と前記各取付ボルトのボルト軸とを結ぶ直線上で該ボルト軸から重心側に変位した点とされたことを特徴とするクロスメンバ締結部構造。
  5. 前記車体部材は、車体前後方向に延在する左右のサイドフレームおよび該サイドフレーム間に架設されるトンネルクロスメンバであり、
    前記クロスメンバは、前記トンネルクロスメンバの離反する一対の取付面間に架設されてトランスミッションを支持するトランスミッションクロスメンバであることを特徴とする請求項4に記載のクロスメンバ締結部構造。
  6. 前記各端部における前記複数の取付ボルトの配置は、同一直線上にない3点であることを特徴とする請求項4または5に記載のクロスメンバ結合部構造。
  7. 前記取付ボルトの配置は、各端部における車体外端側と、これより車体内側で前方および後方に振り分けられた3点であること特徴とする請求項6に記載のクロスメンバ締結部構造。
  8. 前記凹部は、前記ボルト取付孔の長軸より大きな直径を有して接触面に開口する周面および前記ボルト取付孔が開口する底面を備えたことを特徴とする請求項4〜7の何れか1項に記載のクロスメンバ締結部構造。
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