JP2017052326A - 船外機 - Google Patents

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Akitoshi Kanehara
匡利 金原
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Abstract

【課題】漂流物の衝突や水底への接触した場合などにギアハウジングを保護する。
【解決手段】船外機1は、エンジン11の回転動力を伝達するドライブシャフト12と、ドライブシャフト12から回転動力が伝達されるプロペラシャフト161と、プロペラシャフト161に設けられる推進プロペラ162と、ドライブシャフト12からプロペラシャフト161に回転動力を伝達するシフト機構14と、プロペラシャフト161およびシフト機構14が収容されるギアハウジング103とを有し、ギアハウジング103の下側には、ギアハウジング103よりも変形容易な材料からなりギアハウジング103とは別体のスケグ部材5が着脱可能に取り付けられている。
【選択図】図3

Description

本発明は、船外機に関する。特には、ギアユニットとギアユニットの下側に設けられるスケグを有する船外機に関する。
船舶の船尾に取り付けて使用される船外機は、最上部にエンジンおよびエンジンが収容されたエンジンハウジングが配置され、その下側にドライブシャフトが収容されたドライブシャフトハウジングが配置され、最下部にシフト機構などが収容されたギアハウジングが配置される。さらにギアハウジングの下側には、直進性の向上などのためのスケグが設けられる。
ところで、船舶の航行時においては、ギアハウジングやスケグが漂流物に衝突することがある。また、浅瀬を航行する際には、スケグが水底に接触することがある。従来、ギアハウジングは、スケグを含めて金属材料により一体に形成されていた。このため、スケグが漂流物に衝突したり水底に接触したりして損傷すると、ギアハウジングの全体の修理や交換が必要であった。また、スケグがギアハウジングに一体に形成される構成であると、スケグが漂流物に衝突したり水底に接触したりした場合に、シフト機構が設けられる部分にまで損傷が及ぶことがある。さらに、ギアハウジングが損傷しない場合であっても、塗装が剥離して金属材料が局所的に露出し、ギアハウジングの見栄えを損なうことがある。
特許文献1には、船外機の最下部に設けられるギアハウジングを、プロペラ軸の軸方向に沿ってアッパーハウジングとロアーハウジングとに分割可能とする構成が開示されている。このような構成であると、ロアーハウジングが損傷した場合には、ロアーハウジングのみを修理や交換すればよい。しかしながら、特許文献1に開示される構成は、スケグが漂流物に衝突した場合や水底に接触した場合において、ギアハウジングの保護にはならない。すなわち、ギアハウジング自体が分割可能な構成であるため、スケグが漂流物に衝突した場合や水底に接触した場合には、ロアーハウジングの上部(シフト機構が設けられる部分)やアッパーハウジングにも損傷が及ぶことがある。
特開平11−268689号公報
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、スケグが漂流物に衝突したり水底に接触したりした場合であっても、ギアハウジングの損傷を抑制できる船外機を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、駆動力源と、前記駆動力源が出力する回転動力を伝達するドライブシャフトと、前記ドライブシャフトから回転動力が伝達されるプロペラシャフトと、前記プロペラシャフトに設けられる推進プロペラと、前記ドライブシャフトから前記プロペラシャフトに回転動力を伝達する動力伝達機構と、前記プロペラシャフトおよび前記動力伝達機構が収容されるギアハウジングと、を備える船外機であって、前記ギアハウジングの下側に突出するスケグ部を有し、前記ギアハウジングよりも変形容易な材料からなるスケグ部材をさらに備え、前記スケグ部材が、前記ギアハウジングに着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
前記スケグ部材には、前記ギアハウジングの航行方向の前側を覆うカバー部が一体に設けられる構成であってもよい。
前記ギアハウジングは金属材料からなり、前記スケグ部材は着色材を含有する樹脂材料からなる構成であってもよい。
本発明によれば、スケグが漂流物に衝突したり水底に接触したりした場合には、ギアハウジングに着脱可能なスケグが損傷することにより、ギアハウジングの損傷を抑制できる。
図1は、本実施形態に係る船外機の構成例を模式的に示す左側面図である。 図2は、ギアハウジングにスケグ部材が取付けられた状態を示す左側面図である。 図3は、ギアハウジングとスケグ部材とが分離した状態を模式的に示す斜視図であり、前方から見た図である。 図4は、ギアハウジングとスケグ部材とが分離した状態を模式的に示す斜視図であり、後方から見た図である。 図5は、図2のV−V線断面図であり、ギアハウジングの構成を模式的に示す図である。
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、駆動力源としてエンジン(内燃機関)を有する船外機を例に示す。各図においては、適宜、船外機の前側(前進方向)を矢印Frで、航行方向の後側(後進方向)を矢印Rrで、航行方向の右側を矢印Rで、航行方向の左側を矢印Lで、上側を矢印Upで、下側を矢印Dnで示す。
<船外機の全体的な構成>
まず、船外機1の全体的な構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る船外機1の構成例を模式的に示す左側面図である。図1に示すように、船外機1は、船舶9の後尾板91に取り付けて使用される。
図1に示すように、船外機1は、筐体として、最上部に配置されるエンジンハウジング101と、最下部に配置されるギアハウジング103と、エンジンハウジング101とギアハウジング103との間に配置されるドライブシャフトハウジング102とを有する。また、これらのハウジングは、船外機1の外観の意匠を構成する。エンジンハウジング101とドライブシャフトハウジング102とは、例えば樹脂材料からなり、射出成形などによって形成される。一方、ギアハウジング103は、アルミニウム合金などといった金属材料からなり、鋳造(例えば、ダイキャスト)などによって形成される。ギアハウジング103には、後述するスケグ部材5が着脱可能に取り付けられる。また、ギアハウジング103の後側には推進プロペラ162が設けられる。このほか、船外機1の筐体(特に、エンジンハウジング101とドライブシャフトハウジング102)の前側には、ブラケット装置13が設けられる。
船外機1の駆動力源であるエンジン11(内燃機関)は、エンジンハウジング101の内部に収容され、エンジンホルダ150に支持されている。エンジン11には、例えば、バーティカル型(縦型)の水冷エンジンが適用される。この場合には、エンジン11は、シリンダヘッド113、シリンダブロック112、クランクケース111、オイルパン114などとの組み合わせにより構成される。そして、エンジン11は、クランクケース111が最も前側に位置し、シリンダブロック112がクランクケース111の後側に位置し、シリンダヘッド113がシリンダブロック112の後側に位置し、これらの下側にオイルパン114が位置するように配置される。また、エンジン11は、回転出力軸であるクランクシャフト115の軸線が上下方向に平行となる向きで配置される。エンジンホルダ150は、エンジン11を支持する部材であり、そのほぼ全体がエンジンハウジング101の内部に収容されるが、前寄りの一部はエンジンハウジング101の外側に露出している。そして、エンジン11のクランクケース111とシリンダブロック112とシリンダヘッド113とはエンジンホルダ150の上側に配置され、オイルパン114はエンジンホルダ150の下側に配置される。
ドライブシャフトハウジング102の内部には、ドライブシャフト12が回転可能に収容される。ドライブシャフト12は、エンジン11が出力する回転動力を、後述するシフト機構14およびプロペラシャフト161を介して推進プロペラ162に伝達する。ドライブシャフト12は、その軸線(回転中心線)が上下方向に平行となる向きで配置される。ドライブシャフト12の上端部は、エンジン11のクランクシャフト115に、動力の伝達を受けることができるように接続される。ドライブシャフト12の下端部は、ギアハウジング103の内部に入り込んでいる。
ギアハウジング103は、ドライブシャフトハウジング102の下側に配置される。ギアハウジング103の内部には、ドライブシャフト12の下端部と、後述するシフトロッド141の下端部と、プロペラシャフト161と、シフト機構14とが収容されている。シフト機構14は、動力伝達機構の例であり、ドライブシャフト12からプロペラシャフト161への回転動力の断続と、回転方向の正逆の切替えを行う。プロペラシャフト161の後端部には、推進プロペラ162がプロペラシャフト161と一体に回転するように設けられる。
ブラケット装置13は、スイベルブラケット131とトランサムブラケット132をと有する。スイベルブラケット131は、上下方向に延伸するパイロットシャフト155を介して、船外機1の筐体(特に、エンジンハウジング101およびドライブシャフトハウジング102)の前側に、水平方向に回転可能(左右方向に揺動可能)に連結される。換言すると、スイベルブラケット131は、パイロットシャフト155を回転可能に支持する。パイロットシャフト155の上端と下端は、それぞれ、アッパーマウントブラケット156とロアーマウントブラケット157を介して船外機1の筐体の前側に固定される。アッパーマウントブラケット156には、ステアリングブラケットが設けられる。ステアリングブラケットは、図略のケーブルなどによって、操舵ハンドル(図略)に連結される。操縦者等は、操舵ハンドルを操作することによって、船外機1の筐体を、パイロットシャフト155を中心としてブラケット装置13に対して左右方向に操舵できる。
トランサムブラケット132とスイベルブラケット131とは、左右方向に延伸するティルト軸152を介して、相対的に上下方向(ピッチング方向)に回転可能(揺動可能)に連結される。具体的には、ティルト軸152は、その軸線が左右方向に延伸する向きでスイベルブラケット131に支持される。そして、トランサムブラケット132は、ティルト軸152を回転可能に支持する。これにより、船外機1の筐体は、ティルト軸152を中心として上下方向にティルトおよびトリムできる。なお、船外機1は、図略のトリムアップ制御装置とトリムダウン制御装置を有しており、これらのトリムアップ制御装置とトリムダウン制御装置が、操縦者等の操作に応じて、油圧によって船外機1のティルトとトリムを行う。
エンジンホルダ150の前部には、左右一対のアッパーマウントユニット153が設けられる。そして、エンジンホルダ150とアッパーマウントブラケット156とは、左右一対のアッパーマウントユニット153を介して結合される。また、ドライブシャフトハウジング102の両側部には、一対のロアーマウントユニット154が設けられる。ドライブシャフトハウジング102とロアーマウントブラケット157とは、一対のロアーマウントユニット154を介して連結される。
パイロットシャフト155には、シフトロッド141が回転可能に挿通されている。シフトロッド141は、後述するシフト機構14のシフトポジションを切替える部材である。シフトロッド141の上端部は図略のアクチュエータに連結されており、シフトロッド141はこのアクチュエータの駆動力によって回転する。シフトロッド141の下端部は、ギアハウジング103の内部に入り込んでおり、後述するシフト機構14のクラッチ駆動機構145を作動させる。
ギアハウジング103は、ドライブシャフトハウジング102の下側に配置される。ギアハウジング103にはギア収容部31が設けられ、ギア収容部31の内部にはギア収容室32が設けられる。ギア収容室32には、ドライブシャフト12の下端部とプロペラシャフト161とが回転可能に収容されるとともに、ドライブシャフト12からプロペラシャフト161に回転動力を伝達する動力伝達機構の例であるシフト機構14が収容される。さらに、ギアハウジング103の内部には、シフトロッド141の下端部が入り込んでいる。
ここで、動力伝達機構の例であるシフト機構14の構成例について、簡単に説明する。シフト機構14は、駆動ギア142と、2つの被動ギア143と、ドッグクラッチ144と、クラッチ駆動機構145とを有する。駆動ギア142は、ドライブシャフト12の下端部に設けられ、ドライブシャフト12と一体に回転する。2つの被動ギア143は、プロペラシャフト161の外周に同心に配置され、プロペラシャフト161に対して相対的に回転できる。そして、2つの被動ギア143は、駆動ギア142に常時噛合しており、駆動ギア142から回転動力が伝達されて互いに反対方向に回転する。なお、駆動ギア142と2つの被動ギア143にはベベルギアが適用される。ドッグクラッチ144は、2つの被動ギア143どうしの間に設けられ、プロペラシャフト161に対して前後方向にスライド式に往復動でき、プロペラシャフト161と一体に回転する。
ドッグクラッチ144が前側に移動して前側の被動ギア143に係合すると、前側の被動ギア143とプロペラシャフト161とが一体に回転する。この状態では、駆動ギア142からの回転動力は、前側の被動ギア143を介してプロペラシャフト161に伝達される。ドッグクラッチ144が後側に移動して後側の被動ギア143と係合すると、後側の被動ギア143とプロペラシャフト161とが一体に回転する。この状態では、駆動ギア142からの回転動力は、後側の被動ギア143を介してプロペラシャフト161に伝達される。また、ドッグクラッチ144が2つの被動ギア143の中間に位置して2つの被動ギア143のいずれにも係合しない状態では、駆動ギア142からの回転動力はプロペラシャフト161に伝達されない。このような構成のシフト機構14のシフトポジションは、例えば、ドッグクラッチ144が後側の被動ギア143に係合する場合が「前進」であり、前側の被動ギア143に係合する場合が「後進」であり、いずれにも係合しない場合が「中立」である。
クラッチ駆動機構145は、シフトロッド141の回転によってドッグクラッチ144をスライド式に移動させる。クラッチ駆動機構145には、シフトロッド141の回転をドッグクラッチ144の直線運動に変換するカム機構などが適用される。操縦者等は、アクチュエータを操作することによってシフトロッド141を回転させ、シフトポジションを切替えることができる。なお、前述のシフト機構14の構成は一例であり、本発明は前述の構成に限定されない。シフト機構14には、公知の各種シフト機構が適用できる。
<ギアハウジングおよびスケグ部材>
次に、ギアハウジング103およびスケグ部材5の構成例について、図2〜図5を参照して説明する。図2は、ギアハウジング103にスケグ部材5が取付けられた状態を示す左側面図である。図3と図4は、ギアハウジング103とスケグ部材5とが分離した状態を模式的に示す斜視図である。なお、図3は斜め前方から見た図であり、図4は、斜め後方から見た図である。図5は、スケグ部材5がギアハウジング103に取り付けられた状態を示す模式図であり、図2のV−V線断面図である。
ギアハウジング103は、シフト機構14およびプロペラシャフト161が収容されるギア収容部31と、ギア収容部31の上方に設けられるキャビテーションプレート33と、ギア収容部31とキャビテーションプレート33との間に設けられる中間部34とを有する。さらに、ギア収容部31の下側には、スケグ部材5を着脱可能に固定するための係止部38が設けられる。そして、ギアハウジング103は、ギア収容部31とキャビテーションプレート33と中間部34と係止部38とを含め、アルミニウム合金などといった金属材料により一体に形成される。例えば、ギアハウジング103は、鋳造(ダイキャスト)などによって一体に形成される。
ギア収容部31は、軸線方向が前後方向に平行な向きの略円柱形状や略円筒形状を有している。ギア収容部31の前側(航行方向の前寄りの部分、前端部)は、水の抵抗が小さくなるように、先細りの曲面形状を有する。このため、ギア収容部31は、全体として前側が丸い略砲弾形状を有する。ギア収容部31の内部にはギア収容室32が設けられる。ギア収容室32は、前側が閉鎖し、後側が開口している。そして、シフト機構14とプロペラシャフト161とは、ギア収容室32に収容されている。また、ギア収容部31の前側に設けられる先細りの曲面形状の部分(略砲弾形状における弾頭に相当する部分)には、エンジン11の冷却水を取り入れるための取水口37が設けられる。
係止部38は、ギア収容部31の下側、すなわち、ギアハウジング103の最下部に設けられる。この係止部38は、第1の係止凸部381と、当接部382と、第1のネジ止め部384とを有する。第1の係止凸部381は、後述するスケグ部材5の第1の係止溝51にスライド式に嵌め込むことができる部分である。第1の係止凸部381は、ギアハウジング103のギア収容部31の下面から下側に向かって突出し、前後方向に延伸するリブ状の構成を有する。第1の係止凸部381を長手方向に直角な面で切断した断面形状は、上辺(ギア収容部31の下面に繋がる辺)よりも底辺(下側の辺)の方が長い台形(例えば、等脚台形)が適用される。
当接部382は、第1の係止凸部381の後側に設けられるブロック状の部分である。当接部382には、スケグ部材5の後側に設けられる段差面521(後述)を当接させる当接面383が設けられる。ギアハウジング103の当接面383は、前側を向く面であり、前後方向視において、第1の係止凸部381の周囲に設けられる。第1のネジ止め部384は、当接部382のさらに後側に設けられる部分であり、第1の係止凸部381および当接部382よりも下側に突出する。第1のネジ止め部384には、スケグ部材5をギアハウジング103に固定するためのネジ57を挿通するために、前後方向に貫通する貫通孔385が設けられる。なお、前述のとおり、係止部38(第1の係止凸部381、当接部382、第1のネジ止め部384)は、ギアハウジング103の他の部分と一体に形成される。
中間部34は、図5に示すように、ドライブシャフト12の軸線方向に直角な面で切断した断面が、前後方向の中央部の幅が大きく前側および後側の幅が小さい「両凸レンズ」のような形状を有する。換言すると、前後方向に長く左右方向に短い略楕円形状を有する。中間部34には、ドライブシャフト12が収容されるドライブシャフト収容室35と、シフトロッド141が収容されるシフトロッド収容室36と、取水口37からエンジン11に至る冷却水の経路とが設けられる。ドライブシャフト収容室35とシフトロッド収容室36は、いずれも上下方向に延伸する孔状の領域であり、上端部はギアハウジング103の上端に達しており、下端部はギア収容室32に連通している。
ギアハウジング103の外周面のうち、後述するスケグ部材5のカバー部502で覆われる部分(カバー部502が重畳する部分)は、他の部分よりも窪んだ窪み部301が設けられる。具体的には、図3〜図5に示すように、ギア収容部31の前端部の先細りの曲面形状の部分と、中間部34の前側の部分であって、ギア収容部31の前側の先細りの曲面形状の部分の上側に位置する部分に、他の部分から窪んでいる窪み部301が設けられる。なお、この窪み部301は、スケグ部材5のカバー部502の厚さと同じ深さを有する。また、中間部34に設けられる窪み部301には、後述するスケグ部材5の第2の係止凸部56が係止する第2の係止溝39が設けられる。第2の係止溝39は、窪み部301の後側の縁部(窪み部301ではない部分との境界)に沿って、上下方向に延伸するように設けられる。
なお、ギアハウジング103のキャビテーションプレート33は、従来公知の各種構成が適用でき、具体的な構成は限定されない。また、ギアハウジング103のうち、説明を省略した部分についても、従来公知の各種構成が適用できる。
スケグ部材5は、ギアハウジング103とは別体の部材である。図2〜図5に示すように、スケグ部材5は、スケグ部501とカバー部502とを有する。スケグ部501は、直進性の向上などを目的として設けられる平板状の部分であり、スケグ部材5がギアハウジング103に組み付けられた状態で、ギアハウジング103の下面から下方に向かって突出する。カバー部502は、ギアハウジング103のギア収容部31と中間部34の航行方向の前側を覆うことにより、これらを保護する。
スケグ部501の上面には、ギアハウジング103の第1の係止凸部381を嵌め込むことができる第1の係止溝51が設けられる。第1の係止溝51は、上面側と後面側が開口し、前後方向に延伸する溝である。第1の係止溝51を長手方向に直角な面で切断した断面形状と寸法は、第1の係止凸部381の断面形状と寸法と同じに設定される(ただし、実際には、寸法公差を考慮して大きく設定される)。すなわち、第1の係止凸部381の断面形状が上辺よりも底辺が長い台形であれば、第1の係止溝51の断面形状も上辺よりも底辺が長い台形に設定される。このような構成であると、第1の係止溝51に第1の係止凸部381を、前後方向にスライド式に移動させることができる。また、第1の係止凸部381と第1の係止溝51の断面形状を台形(特に、上辺よりも底辺の方が長い台形)とすることにより、第1の係止凸部381は第1の係止溝51に、上下方向には挿抜できない。
スケグ部501の後部であって、第1の係止溝51の後側には、後側を向く段差面521が設けられる。この段差面521は、ギアハウジング103の当接部382の当接面383に当接する面である。例えば、図2〜図4に示すように、スケグ部501の上縁の後端部は、側面視において略四辺形の形状の切欠部52が設けられる。そして、この切欠部52の面のうち、上下方向に平行な面であって後側を向く面が、ギアハウジング103の当接部382の当接面383に当接する段差面521となる。さらに、スケグ部501の後端面であって切欠きよりも下側には、ネジ孔53が設けられる。このネジ孔53には、スケグ部材5をギアハウジング103に着脱可能に固定するネジ57が締結される。
スケグ部材5のカバー部502は、ギア収容部31の前側(先細りの曲面形状の部分)と中間部34の前側を覆うことによりこれらを保護する。カバー部502は、ギア収容部31および中間部34の前側に設けられる窪み部301に嵌まり込むことができ、かつ、窪み部301に嵌まり込んだ状態において、窪み部301ではない部分との間に段差や隙間が設けられないような形状と寸法を有する。このため、カバー部502は、ギアハウジング103に設けられる窪み部301と同じ形状および寸法を有する。また、カバー部502の厚さは、窪み部301と深さと同じ厚さを有する。
カバー部502のうち、ギア収容部31の前側を覆う部分は、先細りの曲面形状(砲弾形状の弾頭に相当する形状)を有する。なお、この部分の左右一方の取水口37に対応する位置(本実施形態では左側の取水口37に対応する位置)には、水が通過可能な複数の取水孔54が設けられる。左右他方の取水口37に対応する位置(本実施形態では右側の取水口37に対応する位置)には、後述する固定具6を嵌め込むことができる開口部55が設けられる。また、カバー部502のうち、中間部34の前側を覆う部分は、上面視において略「V」字形状を有する(特に図5参照)。そして、中間部34の前側を覆う部分の後縁部には、第2の係止凸部56が設けられる。第2の係止凸部56は、ギアハウジング103に設けられる第2の係止溝39に係止可能な部分であり、例えば、左右方向の中心側に向かって突起し上下方向に延伸する凸状の構成を有する。
スケグ部材5は、スケグ部501とカバー部502とを含めて、ギアハウジング103よりも変形容易な材料により一体に形成される。前述のとおりギアハウジング103がアルミニウム合金などといった金属材料からなる構成であれば、スケグ部材5は、金属材料よりも柔らかい樹脂材料からなる構成が適用できる。例えば、スケグ部材5は、樹脂材料の射出成形により一体に形成される。また、スケグ部材5は、表面のみならず内部まで着色されている。特に、スケグ部材5の表面と内部とは同じ色に着色されている。例えば、スケグ部材5は、所定の色の着色材を含有する樹脂材料により形成される。このような構成によれば、スケグ部材5の内部は、表面と同じ色になる。なお、着色材は特に限定されるものではなく、公知の各種塗料(顔料や染料)などが適用できる。また、具体的な色は限定されるものではない。
固定具6は、スケグ部材5をギアハウジング103に固定するために用いられる部材である。固定具6は、本体部61と、本体部61から突出するように設けられる第2のネジ止め部62とを有する。本体部61は、カバー部502に設けられる開口部55に嵌め込むことができる寸法および形状を有する。特に、本体部61は、カバー部502に設けられる開口部55に嵌め込まれた状態で、カバー部502との間に段差や隙間が存在しないような形状および寸法を有する。すなわち、本体部61は、カバー部502に設けられる開口部55に嵌め込まれた状態で、その表面がカバー部502の表面に滑らかに連続するような形状(本体部61がカバー部502と一体に見えるような形状)を有する。第2のネジ止め部62は、左右方向の内側に向かって突出する柱状の構成を有し、雌ねじが形成されたネジ孔が設けられる。なお、固定具6も、スケグ部材5と同様にギアハウジング103よりも変形容易な材料からなり、表面のみならず内部まで着色材によって着色される。固定具6の材質および色は、スケグ部材5と同じでよい。
次に、スケグ部材5の組み付け構造について説明する。図3と図4に示すように、ギアハウジング103の前側からスケグ部材5を組み付ける。具体的には、スケグ部材5に設けられる第1の係止溝51に、ギアハウジング103に設けられる第1の係止凸部381を、前側から嵌め込む。そして、第1の係止溝51に第1の係止凸部381が嵌まり込んだ状態で、スケグ部材5をギアハウジング103に対して後側に向かってスライド式に移動させる。これにより、スケグ部材5の後側に設けられる段差面521をギアハウジング103の当接部382に設けられる当接面383に当接させる。また、図5に示すように、スケグ部材5の第2の係止凸部56を、ギアハウジング103の第2の係止溝39に嵌め込む。なお、スケグ部材5を弾性変形させて第2の係止凸部56どうしの間隔を広げることにより、第2の係止凸部56を第2の係止溝39に嵌め込むことができる。
その状態で、スケグ部材5のカバー部502に設けられる開口部55に、固定具6を嵌め込む。この際、固定具6に設けられる第2のネジ止め部62を、ギアハウジング103に設けられる取水口37に挿入する。そして、固定具6が嵌め込まれた側とは反対側の側面からネジ63を締結する。また、ギアハウジング103の第1のネジ止め部384に設けられる貫通孔385を介して、スケグ部材5の後端面に設けられるネジ孔53にネジ57を締結する。このような構成により、スケグ部材5および固定具6はギアハウジング103に取り付けられる。スケグ部材5をギアハウジング103から取り外すには、固定具6に締結されるネジ63と後端部に締結されるネジ57とを取外し、スケグ部材5をギアハウジング103に対して前側にスライドさせるように移動させればよい。
なお、ギアハウジング103とネジ57とが異種の金属である場合には、ネジ57とギアハウジング103とが直接接触すると、使用中に電蝕が生じることがある。そこで、第1のネジ止め部384に挿通されるネジ57またはギアハウジング103の電蝕を防止するため、樹脂製のワッシャーなどを用いることにより、ネジ57が第1のネジ止め部384に直接に接触しないようにする。
本実施形態によれば、スケグ部材5のカバー部502によって、ギアハウジング103のギア収容部31や中間部34の航行方向の前側が保護される。すなわち、ギアハウジング103のギア収容部31や中間部34の航行方向の前側がスケグ部材5のカバー部502によって覆われるから、前進航行時において、漂流物等はカバー部502に衝突することになり、ギアハウジング103のギア収容部31や中間部34(本実施形態では、金属材料により形成される部分)には直接衝突することが抑制される。したがって、漂流物等の衝突によってギアハウジング103が損傷することが抑制される。
また、航行時にスケグ部材5のスケグ部501が水底に接触した場合には、スケグ部材5のスケグ部501が破損することにより、ギア収容部31や中間部34の破損が抑制される。すなわち、スケグ部材5のスケグ部501が水底に接触すると、スケグ部501に衝撃や負荷が掛かるとともに、ギアハウジング103にもスケグ部501を介して衝撃や負荷が掛かる。本実施形態では、スケグ部材5はギアハウジング103よりも変形容易な材料により形成されることから、スケグ部501に衝撃や負荷がかかった場合には、ギアハウジング103が破損するよりも小さい衝撃や負荷によって、スケグ部材5が破損する。このように、ギアハウジング103とは別体の部材であるスケグ部材5が破損することによって、ギアハウジング103の破損が抑制される。
スケグ部材5はギアハウジング103(特に、ギア収容部31や中間部34)とは別体の部材であり、ギアハウジング103に着脱可能に取り付けられる。このため、スケグ部材5が漂流物の衝突や水底への接触などによって破損した場合には、スケグ部材5を交換すればよく、ギアハウジング103の修理や交換が不要となる。そして、スケグ部材5を交換することにより、船外機1の使用を継続できる。また、ギアハウジング103の修理や交換が不要になるから、所有者等の経済的な負担を軽減することができる。
スケグ部材5は、表面のみならず内部まで着色されている。このような構成であると、スケグ部材5が漂流物や水底に接触して傷がついた場合であっても、傷がついた個所と傷がついていない箇所とで色が異なるようになることが防止される。すなわち、スケグ部材5の表面が塗装される構成であると、漂流物や水底に接触するなどして塗装が剥離したり傷がついたりした場合には、塗装が剥離した個所や傷がついた個所に、材料の地の色が現れる。この際、材料の地の色と塗装された色とが異なると、見栄えを損なう。これに対して、本実施形態によれば、このような見栄えを損なわないようにできる。また、本実施形態おいては、ギア収容部31および中間部34の前側やスケグ部501といった、漂流物が衝突しやすい箇所や水底に接触しやすい箇所に、内部まで着色されたスケグ部材5が設けられる。このように、傷つきやすい箇所に内部まで着色されたスケグ部材5が設けられる構成であると、船外機1の見栄えを損なわないようにできる。
スケグ部材5は樹脂材料により形成される。樹脂材料は一般的に金属材料に比較して軽量であることから、スケグが金属材料によりギアハウジングと一体に形成される構成と比較して、船外機1の軽量化を図ることができる。
スケグ部材5がギアハウジング103に取り付けられると、スケグ部材5のスケグ部501は、ギアハウジング103の下面から下側に向かって突出する構成となる。このため、スケグ部501は、従来公知の船外機のスケグと同様に、船外機1の直進性の向上を図る機能を有することになる。そして、ギアハウジング103の第1の係止凸部381がスケグ部材5の第1の係止溝51に嵌まり込んだ状態では、スケグ部501が左右方向から受ける水の横圧は、第1の係止溝51に係合する第1の係止凸部381を介してギアハウジング103に掛かることになる。第1の係止凸部381は、前後方向に延伸するように形成され、その全体でスケグ部材5にかかる水の横圧を受けることができる。したがって、例えばネジなどによって局所的な箇所で水の横圧を受ける構成と比較して、スケグ部材5とギアハウジング103との結合強度の向上を図ることができる。
スケグ部材5のカバー部502とギアハウジング103に設けられる窪み部301とは、同じ寸法および形状であり、カバー部502の厚さは窪み部301の深さと同じである。このため、スケグ部材5がギアハウジング103に組み付けられると、スケグ部材5のカバー部502とギアハウジング103の窪み部301ではない部分との間には隙間や段差が生じない。このため、カバー部502の表面は、スケグ部材5がギアハウジング103に組み付けられた状態で、ギアハウジング103の表面に滑らかに連続し、カバー部502がギアハウジング103と一体に見える。このような構成であれば、船外機1の美感の向上を図ることができる。
スケグ部材5はギアハウジング103に着脱可能であり、スケグ部材5をギアハウジング103から取り外すことによって、船外機1の全高を低くできる。このような構成であると、船外機1の収納時や梱包時においてスケグ部材5を取り外すことによって、収納スペースの省スペース化や、梱包サイズの小型化を図ることができる。
ギアハウジング103とスケグ部材5とが別体の部材であるため、例えばギアハウジング103を鋳造で製造する場合には、鋳型の小型化を図ることができる。このため、製造コストの削減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明したが、前記実施形態は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、前記実施形態では、船外機が駆動力源としてエンジンを有する構成を示したが、船外機の駆動力源はエンジンに限定されない。船外機が、駆動力源として電動機を有する電動船外機であってもよい。駆動力源として電動機を有する電動船外機であっても、本発明を適用できる。なお、電動船外機は、前進と後進(推進プロペラの回転の正逆)の切替えを、電動機の回転出力軸の回転方向の切替えにより行う。このため、ギアハウジングには、動力伝達機構として、ドライブシャフトの回転動力をプロペラシャフトに伝達する歯車列などが収容される。
本発明は、船外機のギアハウジングの保護に好適な技術である。本発明によれば、漂流物が衝突した場合や水底へ接触した場合などにおいて、ギアハウジングを保護することができる。
1:船外機、101:エンジンハウジング、102:ドライブシャフトハウジング、103:ギアハウジング、11:エンジン、12:ドライブシャフト、14:シフト機構(動力伝達機構)、301:窪み部、31:ギア収容部、32:ギア収容室、33:キャビテーションプレート、34:中間部、35:ドライブシャフト収容室、36:シフトロッド収容室、37:取水口、38:係止部、381:第1の係止凸部、382:当接部、383:当接面、384:第1のネジ止め部、385:貫通孔(ネジ挿通孔)、39:第2の係止溝、5:スケグ部材、501:スケグ部、502:カバー部、51:第1の係止溝、52:切欠部、521:段差面、53:ネジ孔、54:取水孔、55:開口部、56:第2の係止凸部、57:ネジ、6:固定具、61:本体部、62:第2のネジ止め部、63:ネジ

Claims (3)

  1. 駆動力源と、前記駆動力源が出力する回転動力を伝達するドライブシャフトと、前記ドライブシャフトから回転動力が伝達されるプロペラシャフトと、前記プロペラシャフトに設けられる推進プロペラと、前記ドライブシャフトから前記プロペラシャフトに回転動力を伝達する動力伝達機構と、前記プロペラシャフトおよび前記動力伝達機構が収容されるギアハウジングと、を備える船外機であって、
    前記ギアハウジングの下側に突出するスケグ部を有し、前記ギアハウジングよりも変形容易な材料からなるスケグ部材をさらに備え、
    前記スケグ部材が、前記ギアハウジングに着脱可能に取り付けられることを特徴とする船外機。
  2. 前記スケグ部材には、前記ギアハウジングの航行方向の前側を覆うカバー部が一体に設けられることを特徴とする請求項1に記載の船外機。
  3. 前記ギアハウジングは金属材料からなり、前記スケグ部材は着色材を含有する樹脂材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の船外機。
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