JP2017052223A - ワイヤーソー装置 - Google Patents

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雅景 嶋田
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Abstract

【課題】切断対象を含む周辺構造物を不要に損傷することなく安定して作業を行うことのできるワイヤーソー装置を提供する。【解決手段】ワイヤーソー装置1では、切断対象の箱体50を挟むように一対の支柱4が平行に配置されている。各々の支柱4には、スライダー12及び回転軸26を介してガイドプーリー18、20が設けられている。ガイドプーリー18、20は回転軸26の回りに首振り自在に取り付けられている。また、スライダー12は支柱4に対して直交する方向にスライド可能に設けられている。無端状のワイヤーソー2は切断域を形成するように一対のガイドプーリー18の下方から掛け回され、さらに上方のガイドプーリー20の上方に掛け回されている。ガイドプーリー20の上方に掛け回されたワイヤーソー2は駆動装置24の脇に配置されたガイドプーリー22に導かれる。【選択図】図1

Description

本発明は、切断により構造物を解体する際に用いられるワイヤーソー装置に関する。
構造物を解体する方法には、爆破による解体、重機を用いた破壊による解体、切断による解体等が知られている。このうち、騒音、振動の制限が厳しい地域ではワイヤーソーやウォールソー等の切断装置を用いた切断による解体方法が適している。
特に、ワイヤーソーを用いた工法は、切断対象の形状に合わせて柔軟に適応させることができるので、大型の構造物はもとより、大型の装置を持ち込めない狭い場所や水中での作業に有用である。
図7に、従来のワイヤーソー装置の例として原子炉遮蔽壁101の切断装置102を示す。
原子炉遮蔽壁101は長年に渡って原子炉が発する放射線に晒されている上、内部に鉄筋が密に埋設された鉄とコンクリートとの複合構造を有し、解体作業が極めて困難である。このため、遠隔位置から操作することが可能であり、且つ、正確な切断により周辺に与える影響を最小限に抑えることができる解体工法として、ワイヤーソーを用いた工法が適している。
原子炉遮蔽壁101の前方には可動ガイドプーリー105を昇降操作するための昇降駆動装置103を上端に配した支持柱104が立設されている。昇降駆動装置103により可動ガイドプーリー105が切断位置まで持ち上げられる。支持柱104の近傍にはガイドプーリー移動装置106を備えた支柱107が並設されている。このガイドプーリー移動装置106は、切削量の増大や、可動ガイドプーリー105の高さ変更に伴って変化するワイヤーソー100の張力を、調節用プーリー109の昇降操作により調節するものである。
図7に示した状態において、切削量の増大に対応させるように調節用プーリー109を徐々に上昇させながらワイヤーソー駆動装置108によりワイヤーソー100を巡回走行させると、適度な張力を保ちながら可動ガイドプーリー105間に渡された切断域のワイヤーソー100が原子炉遮蔽壁101を切削しながら引き寄せられる。このようにして、原子炉遮蔽壁101を水平に切断することができる。このような切断装置102の構成については、特許文献1に記載がある。
特開平8−194097号公報
ところで、上述のような切断装置102では、ワイヤーソー100の空中に張られた部分の弦振動や、切削部分との間の引っ掛かりなどが原因で細かな振動が発生し易い。そして、このような細かな振動が増幅されると、ワイヤーソー100がプーリー(可動ガイドプーリー105や調節用プーリー109等)から脱落するおそれもある。このため、ワイヤーソー100を安定させるために、個々のプーリーが構造物に対して、アンカーボルト
などにより固定されるのが一般的である。
しかし、アンカーボルトによる固定は作業が煩雑である上、十分な作業スペースが確保できない場合は設置が困難になる。また、切断対象を含む周辺構造物にもアンカーボルトが打ち込まれるので、修復のために一部だけ解体又は切除する場合などにおいては、不要に対象物を損傷してしまうという問題も生じる。
本発明は、上記問題に鑑みて想到されたものであり、切断対象を含む周辺構造物を不要に損傷することなく安定して作業を行うことのできるワイヤーソー装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のワイヤーソー装置は、無端状のワイヤーソーを巡回走行させる駆動機構を備えたワイヤーソー装置であって、切断対象を間に置いて平行に立設された一対の支柱と、前記支柱のそれぞれに、旋回キャスタ式に首振り可能に取り付けられた一対の第1プーリーと、各々の前記第1プーリーよりも上方位置で、旋回キャスタ式に首振り可能となるように前記支柱に取り付けられた一対の第2プーリーと、各々の前記第2プーリーよりも下方に配置された一対の第3プーリーとを備え、前記一対の支柱の間に渡されて切断域を形成する前記ワイヤーソーが、前記一対の第1プーリーの下側から前記第2プーリーの上側に掛け回され、前記第3プーリーを介して前記切断域に面して設置された前記駆動機構へ繋がっていることを特徴とする。
また、本発明のワイヤーソー装置は、上記構成に加えて、前記一対の支柱の少なくとも一方には、相対する側に向けて突っ張った状態で配置可能な突っ張り材が備えられていることを特徴とする。
また、本発明のワイヤーソー装置は、上記構成に加えて、前記第3プーリーは、前記切断域の前記ワイヤーソーによって前記切断対象に上下方向に延びるように形成される仮想切断面の法線に対して、下方側へ傾斜するように前記切断対象へ当接配置された傾斜突っ張り材と一体的に設置されていることを特徴とする。
また、本発明のワイヤーソー装置は、上記構成に加えて、前記第1プーリーと前記第2プーリーとは、上下方向へ一体的に位置変更可能となるように前記支柱に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明のワイヤーソー装置は、上記構成に加えて、前記第1プーリーと前記第2プーリーとは、前記支柱に直交配置されたスライダーに対して一体的に固定されており、前記スライダーは前記支柱に対して直交方向へスライド可能であると共に、上下方向へ位置変更可能であることを特徴とする。
また、本発明のワイヤーソー装置は、上記構成に加えて、前記一対の支柱は、相対する側に面した前記切断対象の側面に当接配置された当接材と一体的に固定されていることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、切断対象を間に置いて平行に立設された一対の支柱に取り付けられた第1プーリーには下側からワイヤーソーが掛け回されている。また、第1プーリーよりも上方配置の第2プーリーには上側からワイヤーソーが掛け回されている。これにより、上から切断するために、第1プーリー間に渡されたワイヤーソーを切断対象の上側から掛けると、第1プーリーにはワイヤーソーから上向きの力が働く。また、掛け
回された先が、第2プーリーよりも下方に配置された第3プーリーに繋がる第2プーリーには下向きの力が生じる。上記構成は、ワイヤーソーの方向変換を行うことに加えて、張力に基いて第1、第2プーリーに作用する力を上下方向に対向させて相殺することができるので、振動等の影響を低減し、支柱上の第1プーリー及び第2プーリーを安定させることが可能となる。
また、本発明によれば、上記効果に加えて、一対の支柱の少なくとも一方からは、相対する側に向けて突っ張り材が配置されているので、一対の支柱同士の間へ引寄せる力に対して、少なくとも突っ張り材が備えられた支柱を安定させることができる。
また、本発明によれば、上記効果に加えて、第2プーリーよりも下方に設置された第3プーリーは、切断域のワイヤーソーにより形成される上下方向の仮想切断面の法線に対して下方に傾斜するように切断対象へ当接配置された傾斜突っ張り材と、一体的に設けられている。これにより、ワイヤーソーに生じる張力により第2プーリー側へ引寄せようとする力に対して第3プーリーを安定させることができる。
また、本発明によれば、上記効果に加えて、第1プーリーと第2プーリーとが一体的に上下方向へ位置変更可能となるように支柱に取り付けられており、切断完了位置を任意に選択することができるので、垂直に切り下げる作業を複数回の作業に分割して行うことが可能となる。
また、本発明によれば、上記効果に加えて、第1プーリーと第2プーリーとは、支柱に直交配置されたスライダーに対して固定されており、且つ、スライダーは支柱に対して直交方向へスライド可能に構成されているので、第1プーリーを水平方向へ位置変更することができる。これにより、垂直方向への切り下げ作業後に、スライダーを水平方向へ移動させると、それに伴って首振り動作可能に取り付けられている第1プーリーが自動的に張力の働く方向へ向きを変えるので、水平方向への切断作業への切換えが容易になる。
また、本発明によれば、上記効果に加えて、支柱は、切断対象の側面に当接配置された当接材と一体的に固定されているので、切断対象側へ引寄せるように働く張力に対して安定する。
本発明の実施の形態に係るワイヤーソー装置の全体斜視図である。 図1のワイヤーソー装置の正面図である。 図1のワイヤーソー装置の側面図である。 図1のワイヤーソー装置の第1プーリーの正面視による拡大図である。 図1のワイヤーソー装置の第1プーリーの側面視による拡大図である。 図1のワイヤーソー装置による水平方向への切断の様子を示した側面図である。 従来の原子炉遮蔽壁の切断装置を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係るワイヤーソー装置について図を用いて説明する。
図1には、本実施の形態に係るワイヤーソー装置1の全体斜視図が、切断対象である箱体50と共に表わされている。ここでは、箱体50の正面側(説明の便宜上、ハッチングを付している。)の上端から鉛直方向へ切り込み、表層部分を薄く切除する際の作業の様子が表わされている。
一対の支柱4が平行に立設されている。これら一対の支柱4は、箱体50を間に置いて
、箱体50の側面50aのそれぞれに面する位置に設置されている。また、これら支柱4のそれぞれの後方側には、支柱4と平行に支柱6が並設されていてもよい。
これら支柱4及び支柱6に対して、高さ方向におけるほぼ中間位置に、支柱4と直交する方向(水平方向)に延びるようにスライダー12が取り付けられている。このスライダー12は、支柱4及び支柱6に対する固定を解除すると、水平(前後)方向へスライドさせることが可能である。
このスライダー12の前方側には、支柱4と平行な方向へ延びるように回転軸26が設けられている。
さらに、この回転軸26の下端にはガイドプーリー18(第1プーリー)が取り付けられていると共に、上端にはガイドプーリー20(第2プーリー)が取り付けられている。ここで、ガイドプーリー18、20は、何れも、台車の車輪などに用いられる旋回キャスター式に、回転軸26を中心として首振り自在となるように取り付けられている。
このように、本実施の形態では、ガイドプーリー18、20は回転軸26を介して一体的に固定されている。ここで、一体的に固定とは、ガイドプーリー18とガイドプーリー20における各々の首振り中心位置同士の相対的位置関係が、支柱4に対するスライダー12の移動に関わらず変化しないということである。したがって、支柱4に対してスライダー12を上下方向に移動させた場合、及び水平方向に移動させた場合の何れに対しても、ガイドプーリー18とガイドプーリー20との相対的な位置関係は一定である。
箱体50の前方側には、無端状のワイヤーソー2を巡回走行させるための駆動装置24(駆動機構)が設けられている。この駆動装置24は、平面視において、一対の支柱4と三角配置を成している。駆動装置24には、駆動プーリー24aに回転力を与えるモーター24cと、ワイヤーソー2の閉路長を調節するための長さ調節機構24bが備えられている。そして、駆動装置24の両脇には、切断対象側に延びるワイヤーソー2をガイドする一対のガイドプーリー22(第3プーリー)が設けられている。このように配置されたガイドプーリー18、20、22に対して無端状のワイヤーソー2が掛け回されている。
本実施の形態では、切断対象の例として、高さ3〜4m、幅2m程の変圧器が内蔵された箱体50を解体する場合について説明する。この箱体50に内蔵された変圧器は鋼材で囲われた上、コンクリートで遮蔽されている。このような箱体50を解体する際、内部の変圧器を傷つけることなく外側のコンクリート壁のみを正確に取り去る必要がある。鋼材と共にコンクリート壁を切削するために、本実施の形態に係るワイヤーソー2にはダイヤモンドワイヤーソーが用いられている。
次に、図1のワイヤーソー装置1の正面図を図2に示す。図2においても、図1と同様に、説明の便宜のため、箱体50の正面側にハッチングを付して示している。本実施の形態では、切断対象の箱体50の正面側の表層を削除する作業において、高さ方向へ2回に分割して作業を行う工法が採用されている。すなわち、箱体50の上端から鉛直方向に所定の長さLで切り下ろされた後、水平方向にワイヤーソー2を引き出すことにより、正面側の表層が上方から部分的に切除される。
ここで、所定の長さLとは、切断対象である箱体50と支柱4との間隔や、ワイヤーソー2に許容される曲げ角に応じて設定される。具体的には、切断開始点からガイドプーリー18を下方に移動させ、箱体50の上端に延びる部分と上端からガイドプーリー18へ延びる部分とのなす角θ1が120〜170度となる移動長さを所定の長さLとする。
ワイヤーソー2は、図2に示すように、支柱4に取り付けられたガイドプーリー18、20のうち、下方に配置された一対のガイドプーリー18の下側から掛け回されている。したがって、上述の所定の長さLは、箱体50の上端とガイドプーリー18の下端との鉛直方向における間隔にほぼ等しい値となる。以降、このように一対の支柱4の間に渡されたワイヤーソー2の領域を、便宜的に箱体50を切断する切断域30と呼ぶこととする。
この切断域30から延びるワイヤーソー2は、ガイドプーリー18の下側に掛け回された先が回転軸26内を通ってガイドプーリー20の上側に掛け回されている。回転軸26は、ワイヤーソー2を通すことができる程度の中空構造を有しているので、上下のガイドプーリー18、20がそれぞれ独立に首振り運動を行う場合であっても、ワイヤーソー2の走行の妨げとはならない。
さらに、ガイドプーリー20の上側に掛け回された先は、上述の駆動装置24の両脇に配置されたガイドプーリー22に渡されている。このガイドプーリー22はガイドプーリー18よりも下方側に配置されているので、ワイヤーソー2は、支柱4の上方寄りに配置されたガイドプーリー20からガイドプーリー22へ向かって回転軸26に対して鋭角に延びている。
切断作業の初期段階では、駆動装置24の長さ調節機構24b(図1参照)を調節することにより引き伸ばされ、切断域30のワイヤーソー2が箱体50の上端に掛け渡される。この状態で、ワイヤーソー2を巡回走行させると、箱体50の上端から徐々に鉛直方向へ切削が進む。図2には、切削の中間段階におけるワイヤーソー2aと最終段階におけるワイヤーソー2bとを二点鎖線で表わしている。このように、ワイヤーソー2による切断では、ガイドプーリー18に近い側の切削が幅方向の中央側よりも先行するので、ワイヤーソー2は中央側が上に凸となるカーブを描く。
続いて、図1のワイヤーソー装置1の側面図を図3に示す。ここでも図1と同様に、説明の便宜のため、正面側(前方側)の切断される領域にハッチングを付して表わしている。
図3に示すように、支柱4は、切断されるべき箱体50の仮想切断面36(一点鎖線)の近傍に設置されている。上述のように、ガイドプーリー18は支柱4に平行な回転軸26の回りに首振り自在に設けられているので、切断域30(図2参照)を形成するワイヤーソー2に生じる張力により幅方向中央側へ引っ張られ、回転面が仮想切断面36と平行になっている。これに対して、上方のガイドプーリー20は駆動装置24側のガイドプーリー22側に振られた状態となっている。
ここで、ガイドプーリー22は、切断対象である箱体50の下方に先端を当接させる形で傾斜配置された傾斜当接材13と一体的に設置されている。本実施の形態では、傾斜当接材13とガイドプーリー22とは水平方向に延びる棒状部材を介して一体的に設置された構成を示している。しかし、このような複数の部材を組み合わせて固定する構成に限らず、一種の素材で連続形成された構成でも構わない。したがって、ガイドプーリー22が傾斜当接材13の傾斜部分に直接固定されている構成でも良い。このような構成により、ワイヤーソー2の張力によってガイドプーリー20側に引っ張られるガイドプーリー22は、傾斜当接材13が突っ張り材として張力に対抗するように作用するので設置状態が安定する。
図3において、仮想切断面36の法線方向は、前後方向と一致している。この法線方向に対して、傾斜当接材13が下方側へ傾斜していれば、ガイドプーリー22を安定させることができるのは上述の通りであるが、平面視において仮想切断面36の法線方向と平行
に配置されている必要はない。例えば、図1を参照して、本実施の形態では、2本の傾斜当接材13が設けられており、これらは平面視において平行に配置されている。しかし、平面視において、駆動装置24側から箱体50側に向かってハの字形に拡がるような配置でも構わない。
この前後方向に設けられた当接構造に加えて、幅方向においても当接構造が設けられている。箱体50の側面50aには、支柱4、6と平行に立設された当接材8、10が当接状態で配置されている。これら当接材8、10は、支持ビーム15、17を介して、支柱4、6と一体的に固定されている(図1を参照)。また、支柱4、6の上端は、前後方向に一体的に固定されている。これにより、ワイヤーソー2に生じる張力に対して支柱4、6が前後方向に安定する。
さらに、対をなす支柱4、6の上方側からは、相対する支柱4、6側に向かって支持ビーム14、16が配置されている。これら支持ビーム14、16の箱体50側の端部は、金具を用いて箱体50の上端の角に係合している。これにより、切断域30(図2参照)のワイヤーソー2に生じる張力に基づいて幅方向内向きに引き寄せられる力に対して、支柱4、6の上方側を幅方向に安定させることが可能となる。
次に、切断域30(図2を参照)近傍のガイドプーリー18、20に作用する力について説明する。ガイドプーリー18、20の周辺の正面視による拡大図を図4に示す。ここでは、箱体50の図示を省略し、設置されている方向のみを矢印で示している。また、説明の便宜のため、ワイヤーソー2とガイドプーリー18、20との間には摩擦がないものとし、静的な力関係について着目する。
図4に示すように、ワイヤーソー2には切削のために一定の張力が生じているので、このワイヤーソー2が掛け回されたガイドプーリー18、20には、中心方向に向かう圧力が生じる。図4では、ガイドプーリー18に作用する圧力32は周上に並んだ複数の矢印により示されている。このような圧力32が作用するので、ガイドプーリー18には、それらの合力34が上向きに働く。
同様に、ガイドプーリー20に作用する圧力33は、周上に並んだ複数の矢印により示されている。このような圧力33が作用するので、ガイドプーリー20には、それらの合力35が下向きに働く。
図2を用いて説明したように、切断初期の段階においては、切断域30のワイヤーソー2は大きく上に凸のカーブを描くので、ガイドプーリー18に働く合力34の向きは図4に示すように上向きである。しかし、切断が進むに連れて切断域30のワイヤーソー2は下がって来るので、合力34の傾斜角θ2は小さくなる。すなわち、合力34の向きは箱体50の幅方向内側寄りに変化する。
続いて、ガイドプーリー18、20周辺の側面視による拡大図を図5に示す。上述の説明と同様に、箱体50の切断対象となる領域にはハッチングを付して表わしている。ここでも図4の場合と同様に、ワイヤーソー2とガイドプーリー18、20との間には摩擦がないものとし、静的な力関係について説明を行う。
上方のガイドプーリー20は、上述のように、下方のガイドプーリー22の方向に引っ張られた状態となっているので、ワイヤーソー2から受ける圧力33から生じる合力35はやや前方に傾いた下方を向いている。ところが、図4を用いて説明したガイドプーリー18に働く合力34とは異なり、切削が進んでも、ガイドプーリー20とガイドプーリー22との位置関係に変化は生じないので、ガイドプーリー20に働く合力35は一定であ
る。
以上のように、本発明によれば、支柱4に対して一体的に固定されたガイドプーリー18、20がワイヤーソー2から受ける力は、下方のガイドプーリー18に対しては略上向きに、上方のガイドプーリー20に対しては略下向きに働く。よって、ガイドプーリー18及びガイドプーリー20を支持している支柱4に対してワイヤーソー2から作用する力は、殆どがガイドプーリー18、20の一体構成内において相殺され、振動の影響が低減される。
そして、上述のように、下方のガイドプーリー18から箱体50の上方に掛け渡されるワイヤーソー2の傾斜角θ2(図4参照)は、切削位置の高い作業前半の段階の方が大きいので、振動を相殺させて低減する作用は、切削初期の段階の方が顕著である。
ここで、この切削初期の段階とは、ワイヤーソー2に局所的な折れ曲がり(図2のなす角θ1)が生じる切削開始時の段階であり、また、ワイヤーソー2が上側に大きく湾曲して切削対象と接する部分の長さが増大する前半の段階(傾斜角θ2が大きい段階)でもある。これは、ワイヤーソー2の受ける抵抗が最も増大する段階である。
すなわち、本実施の形態に係るワイヤーソー装置1は、振動が最も発生し易い初期段階において振動を抑制する効果が最も大きくなるように構成されているので、作業の進行状況に関わらず、支柱4、6を安定させることができる。したがって、アンカーボルト等を用いなくても安全に作業を行うことが可能であり、延いては、設置コストの低減や作業時間の短縮が可能となる。また、切断域30のワイヤーソー2を安定させることができれば、切断面が滑らかになるので、例えば、部分的に修復する施工などにおいては、後工程が容易になる。
ここまでは、箱体50の表層を削り取る作業を高さ方向に2分割し、その前半部分の作業についての説明を行った。これに対して、後半部分の作業では、ガイドプーリー18の設置位置が引き下げられる。本実施の形態では、ガイドプーリー18とガイドプーリー20とは回転軸26を介して一体的に支柱4に取り付けられているので、同時にガイドプーリー20の設置高さも引き下げられる。このため、ガイドプーリー20の高さがガイドプーリー22の設置高さに近くなる。図5を用いた説明によれば、ガイドプーリー20からガイドプーリー22へ延びるワイヤーソー2の水平方向に対する傾斜角θ3が小さくなる。
すなわち、ガイドプーリー20に対するワイヤーソー2の接触域が小さくなり、合力35の絶対値が小さくなると共に、水平方向に対する傾斜角θ3が小さくなる。これにより、前半部分の作業のように、振動を相殺する作用は小さくなる。
しかし、前半部分の作業とは異なり、切断域30を形成するガイドプーリー18は、比較的安定した支柱4の低位置に設置されるので、振動の影響を受け難くなる。
このように、支柱4の安定性が低下する上方へ設置するほど、振動を相殺する作用が向上するので、支柱4に対する取り付け高さに関わらず、作業を安定させることができる。したがって、作業の分割数に関わらず、安定した作業を行うことができるので、切断対象の状況に応じて分割数を変更するなど、設定の自由度が高くなる。
次に、水平方向への切断作業について説明する。図6は、水平方向への切断作業を表わした側面図である。
本実施の形態に係るワイヤーソー装置1では、ガイドプーリー18及びガイドプーリー
20はスライダー12に対して一体的に配置されているので、前後に設けられている2本の支柱4、6に対する固定を解除してスライダー12を前方へスライドさせると、ガイドプーリー18、20を同時に前方へ移動させることができる。
スライダー12を前方へスライドさせると、ガイドプーリー18は回転軸26に対して首振り自在に取り付けられているので、特に角度変更のための工具を用いることなく、ガイドプーリー18は適した方向(張力に沿った方向)へ自動的に首振り動作を行う。
表層を薄く切除する作業では、水平方向への切断は、上述の垂直方向への切断に比べて切断幅が小さい。このため、切削域のワイヤーソー2も大きく撓むこともなく、水平切断作業全般に渡って張力等は大きく変動せず、安定して作業を行うことが可能である。
以上述べてきたように、本発明に係るワイヤーソー装置1では、駆動装置24から切断域30へ架け渡すために方向変換するガイドプーリーを、上下方向に配置された2つのガイドプーリー18、20によって構成し、振動を低減させる機能を持たせている。
加えて、ガイドプーリー18、20及び22を、切削対象である箱体50との間に設けた当接構造(傾斜当接材13による前後方向の当接構造、支持ビーム14〜17及び当接材8、10による幅方向の当接構造)と一体的に固定している。これにより、ワイヤーソー2に生じる張力を利用して、各ガイドプーリー18、20及び22を箱体50に対して圧接状態で安定保持できるので、アンカーボルト等の構造物に損傷を与えるような固定方法を用いなくても正確な切削作業を行うことが可能となる。
なお、上記の実施の形態では、ガイドプーリー18(第1プーリー)とガイドプーリー20(第2プーリー)とが同じ回転軸26を中心に首振り動作可能に設定されている構成を例として示した。しかし、第1プーリーと第2プーリーとの高さ関係が保たれ、独立に首振り動作が可能となる構成であれば、それぞれ異なる軸回りに首振り動作する構成でも構わない。
また、以上説明してきた実施の形態では、ガイドプーリー18とガイドプーリー20とが共に、支柱4、6と平行な回転軸26回りに首振り動作可能な構成を例として示した。しかし、少なくとも、第2プーリーが第1プーリーよりも上方に位置する構成であれば、回転軸26は支柱4、6に対して傾斜していても構わない。
また、上記の実施の形態では、ガイドプーリー18とガイドプーリー20とはスライダー12に対して一体的に設けられた構成を例として示した。しかし、少なくとも、第2プーリーが第1プーリーよりも上方に位置する構成であれば、独立に位置変更可能な構成であっても構わない。
また、上記の実施の形態では、支柱4、6と一体的に固定される当接材8、10が設けられている構成を例として示した。しかし、これら当接材8、10は必須の構成ではない。
また、上記の実施の形態では、支柱4、6の上端に、切断対象との間に渡される支持ビーム14、16が設けられた構成を例として示した。しかし、これら支持ビーム14、16は必須の構成ではない。
また、上記の実施の形態では、支柱4、6は切断対象を挟んで左右に前後2本ずつ配置されている構成を例として示した。しかし、左右に1本ずつの構成でも構わない。
また、上記の実施の形態では、対をなす支柱4、6のそれぞれから箱体50に向かって支持ビーム14、16を渡すように配置した構成を例として示した。しかし、対をなす支柱4、6の少なくとも一方側に支持ビーム14、16を配置していれば良い。さらに、対をなす各々の支柱4、6同士を直接繋ぐ支持ビームであっても構わない。
本発明のワイヤーソー装置によれば、ワイヤーソーに生じる振動を低減することができるので、アンカーボルトを用いずとも簡易な支柱のみでガイドプーリーを安定して保持することができる。このため、軟弱な地盤への設置や、アンカーボルトの設置が困難な切断対象に対して有用である。また、切断面以外に切断対象を損傷しないので、解体のみならず、修復等の分野においても有用である。
1 ワイヤーソー装置
2、2a、2b ワイヤーソー(ダイヤモンドワイヤーソー)
4、6 支柱
8、10 当接材
12 スライダー
13 傾斜当接材(傾斜突っ張り材)
14、15、16、17 支持ビーム(突っ張り材)
18 ガイドプーリー(第1プーリー)
20 ガイドプーリー(第2プーリー)
22 ガイドプーリー(第3プーリー)
24 駆動装置(駆動機構)
24a 駆動プーリー
24b 長さ調節機構
24c モーター
26 回転軸
30 切断域
32、33 圧力
34、35 合力
36 仮想切断面
50 箱体(切断対象)
50a (箱体の)側面
101 原子炉遮蔽壁
102 切断装置
103 昇降駆動装置
104 支持柱
105 可動ガイドプーリー
106 ガイドプーリー移動装置
107 支柱
108 ワイヤーソー駆動装置
θ1 なす角
θ2、θ3 傾斜角

Claims (6)

  1. 無端状のワイヤーソーを巡回走行させる駆動機構を備えたワイヤーソー装置であって、
    切断対象を間に置いて平行に立設された一対の支柱と、
    前記支柱のそれぞれに、旋回キャスタ式に首振り可能に取り付けられた一対の第1プーリーと、
    各々の前記第1プーリーよりも上方位置で、旋回キャスタ式に首振り可能となるように前記支柱に取り付けられた一対の第2プーリーと、
    各々の前記第2プーリーよりも下方に配置された一対の第3プーリーとを備え、
    前記一対の支柱の間に渡されて切断域を形成する前記ワイヤーソーが、前記一対の第1プーリーの下側から前記第2プーリーの上側に掛け回され、前記第3プーリーを介して前記切断域に面して設置された前記駆動機構へ繋がっていることを特徴とするワイヤーソー装置。
  2. 前記一対の支柱の少なくとも一方には、相対する側に向けて突っ張った状態で配置可能な突っ張り材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーソー装置。
  3. 前記第3プーリーは、前記切断域の前記ワイヤーソーによって前記切断対象に上下方向に延びるように形成される仮想切断面の法線に対して、下方側へ傾斜するように前記切断対象へ当接配置された傾斜突っ張り材と一体的に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤーソー装置。
  4. 前記第1プーリーと前記第2プーリーとは、上下方向へ一体的に位置変更可能となるように前記支柱に取り付けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のワイヤーソー装置。
  5. 前記第1プーリーと前記第2プーリーとは、前記支柱に直交配置されたスライダーに対して一体的に固定されており、前記スライダーは前記支柱に対して直交方向へスライド可能であると共に、上下方向へ位置変更可能であることを特徴とする請求項4に記載のワイヤーソー装置。
  6. 前記一対の支柱は、相対する側に面した前記切断対象の側面に当接配置された当接材と一体的に固定されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のワイヤーソー装置。
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