JP2017044014A - 男子小便器用飛散防止具 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造が単純で飛散防止効果の高い男子小便器用飛散防止具を提供する。【解決手段】本発明の男子小便器用飛散防止具1は、放尿水0を受ける表面部2と、前記表面部2の内側に薬剤6を内蔵すべき収容部5と、薬剤6又は収容部5を保持するとともに導水及び排水の役割も果たす第2表面部3と、前記表面部2と前記第2表面部3を接合する接合部4を有する。前記表面部2は厚みを有した単層の表面層20から形成される。前記表面層20は、樹脂製ワイヤ21が三次元不規則網状構造29を形成した不規則網状構造体27からなり、表面部2に当たる放尿水0の外側への反射を減じ、放尿水0を表面層内部に進入させ、進入させた放尿水を樹脂製ワイヤ21により様々な方向へ散乱させ、散乱された放尿水を樹脂製ワイヤ21により捕捉し、捕捉した放尿水を樹脂製ワイヤ21を導水線として前記収容部5の方向へと導水するので、優れた尿滴飛散防止効果を発揮する。【選択図】図3

Description

本発明は、男子用小便器の内壁面に置いて使用する飛散防止具に関し、更に詳細には、跳ね返りによる尿滴の便器周囲への飛散を防止し、内部に薬剤を収容可能な、男子小便器用飛散防止具に関する。
男子小便器用飛散防止具に関する先行技術は大きく2つのタイプに分けられる。第1のタイプは標的型の技術であり、的を用意して放尿者の心理に働きかけ、放尿経路を適切化しようとするものである。第2のタイプは構造型の技術であり、飛散防止具の表面付近に跳ね返りを防ぐ構造を設けるものである。本願で開示する発明の大部分は第2のタイプに属するが、一部は両方のタイプの特徴を兼ね備える。
第1のタイプに関して、特許文献1として実用新案登録第3189324号公報が知られている。これは男子小便器用の標的玩具の発明であり、特許文献1の部材符号で次に説明する。尿受け容器11および水車21を吸盤によって男子小便器の内面に取り付け、尿受け容器11の下方に水車21を配置し、尿受け容器11の底に孔11Aを設け、尿受け容器11を標的として用を足したとき、尿受け容器11の内部空間に溜められた尿が孔11Aから落下し、水車21が孔11Aから落下する尿によって回転するものである。
特許文献1の発明は、小用時に標的として利用しようとする興味を持たせ、尿経路を標的の方向へと向けさせ、尿飛散防止を図ることを意図しているが、標的玩具自体の形状や構造は、標的玩具に当たって跳ね返る尿飛沫の飛散抑制に配慮したものではない。
第1のタイプに関しては更に、特許文献2として特開2009−68215号公報が知られている。これは男子小便器用の昆虫のハチの形状に似せた立体疑似形状体の発明である。立体疑似形状体の表面には本物のハチの模様及び色彩に似せて着色した着色層が形成され、この着色層を所定温度で透明になる示温塗料の塗布等により形成するものである。尿が当たると着色層が透明化することに興味を抱く放尿者の心理を巧みに利用して尿経路を立体疑似形状体の方向へと向けさせ、尿飛散防止に役立てることを意図したものである。しかし、特許文献1の発明と同様に、立体疑似形状体自体の形状や構造は、立体疑似形状体に当たって跳ね返る尿飛沫の飛散抑制に配慮したものではない。
第2のタイプに関しては、特許文献3として特開2006−9444号公報が知られている。これは尿の跳ね返りを防止するためのスポンジ部材等の緩衝材からなる板状の受尿部を有する男子小便器用飛散防止具の発明である。スポンジ部材はポリウレタンフォーム等から構成され、厚みは約5mmである(特許文献3の段落[0020]を参照)。受尿部に当たる放尿水の勢いを緩衝材で低下させて、放尿水の跳ね返りを防止することを意図した発明である。
しかしながら、後述する本願の飛散防止効果検証実験が示すように、スポンジ部材により放尿水の跳ね返りを十分に防止することはできない。5mm程度の厚みで一定の強度を確保するためには、スポンジ部材を構成するポリウレタンフォーム等の気泡は細かい必要がある。すると、スポンジ部材の気泡に尿水が入り込み、表面張力により面状に貼り付くため、尿水を含んだスポンジ部材の前面が跳ね返り面として機能し、半分以上の放尿水がスポンジ部材に捕捉されることなく跳ね返される。したがって、スポンジ部材を用いて尿の跳ね返り防止を満足に行うことは困難である。
第2のタイプに関しては更に、特許文献4として特開平7−299088号公報が知られている。これは尿の跳ね返りを防止する飛散防止手段を備えた採尿器の発明であり、男子小便器用飛散防止具を目的とせず、あくまで採尿器の発明である。放尿が採尿器に近接して行われるため、採尿器に当たる放尿水の速さが、本願発明の男子小便器用飛散防止具に当たる放尿水の速さに比べて遅いという本願発明との相違点があるが、飛散防止手段を備えているという共通する特徴を有するがゆえにここで取りあげるものである。
特許文献4の部材符号で説明すると、排尿された尿は、尿貯留器2内へ至る前にまず規則的な格子状の網目を持つ網部材からなる飛散防止手段8を通過し、この通過時に尿を分散、消勢して、尿の跳ね返りを抑制することが意図されている。飛散防止手段8を通過した尿は、次いで脱臭手段10を通過する。
しかし、本発明者の知見によれば、網部材の目が粗い場合には尿の分散、消勢が十分ではないため、網部材を通過した後の尿が脱臭手段10で跳ね返ることを防ぐことができない。逆に、網部材の目が細かい場合には、網部材の目の隙間に尿水が表面張力により面状に貼り付くため、尿水を含んだ網部材全体が跳ね返り面として働き、大部分の放尿水が網部材を通過することなく跳ね返される。したがって、飛散防止手段8として一枚単層の網部材のみを用いて、網部材の目の粗さを調節することにより尿の跳ね返り防止を十分に行うことは困難である。
上記の困難を、網目の粗さの異なる網材を複数枚積み重ねた層状構造を有する吸収通水部材によって解決することを意図した発明が、特許文献5、即ち実開昭63−126475号公報に記載されている。
これは男子用小便器底部の目皿被覆蓋を覆うように固定して用いる尿滴飛散防止具の発明であって、網目の細かさの異なる網材を積み重ねた構造をもつ吸収通水部材を有する。特許文献5の発明では、吸収通水部材に用いる網材として、上部に中目網材、中間部に細目網材、下部に荒目網材を使用することにより、吸収通水部材に分散性、吸収性、通水性をもたせることを意図している。
しかしながら、本発明者の知見によれば、例えば、中目網材、細目網材、荒目網材をこの順に3枚重ねて用いても、十分な尿滴飛散防止効果を発揮することはできない。それぞれの網材は薄く、せいぜい線材径程度の厚みしか有しないため、中目網材を通過した放尿水は細目網材に跳ね返され、跳ね返りで生じた尿滴のかなりの部分が再び中目網材を逆方向に通過して周囲に飛散するからである。
したがって、特許文献5の発明が飛散防止効果を発揮するためには、吸収通水部材の上部に中目網材を複数枚積み重ねた構造を形成することにより、吸収通水部材の上部に十分な厚みを持たせ、吸収通水部材の中間部の細目網材で跳ね返った尿滴が、再び周囲に飛散しないようにする必要がある。吸収通水部材の下部の荒目網材についても同様に複数枚積み重ねることにより厚みを持たせ、通水性を確保しなければならない。
即ち、特許文献5の発明が十分な尿滴飛散防止効果を発揮するためには、網目の粗さの異なる網材を多数枚積み重ねて止着し、それぞれの層が一定の厚みをもった多層構造を形成する必要がある。それ故に、止着がはずれて各層が互いにずれ易い等、多層構造の複雑さに由来する脆弱性を回避することが難しい。
先行技術文献の最後に、特許文献6として、特表2012−526876号公報を挙げる。これは球状トイレ用洗浄ブロックの発明であり、男子小便器用飛散防止具を目的とせず、あくまで洗浄剤を収容するトイレ用洗浄ブロックの発明である。特許文献6には、球
状で多列スリットを有する当該洗浄ブロックが洗浄水の均一な分配を目的とすることは記載されているが(同文献の図4及び段落[0079]を参照)、当該洗浄ブロックの構造が放尿水の飛散防止に役立つ旨の記載は一切なく、示唆すらされていない。しかしながら、この球状で多列スリットを有する構造は、本発明者が「芳香ボール」と呼んでいる男子小便器用飛散防止具の従来品にも存在する。「芳香ボール」は、後述の飛散防止効果検証実験において本願発明の実施例と飛散防止効果を比較するための従来品の1つに選んでいるので、ここで特許文献6に言及した。尚、「芳香ボール」に関しては、本発明者らの知る限り、特許文献は見い出されなかった。
実用新案登録第3189324号公報 特開2009−68215号公報 特開2006−9444号公報 特開平7−299088号公報 実開昭63−126475号公報 特表2012−526876号公報
前述したように、標的型の技術である特許文献1及び特許文献2の発明は、放尿水が当たることによって運動状態や色彩が変化する標的物を用いて、放尿者の心理に働きかけて尿経路を標的の方向へと向けさせ、尿飛散防止に役立てることを意図したものであるが、標的物自体の形状や構造が、標的物に当たって跳ね返る尿飛沫の飛散抑制に配慮したものではなかった。又、構造型の技術である特許文献2の発明は、受尿部にスポンジ部材を使用するものであるが、その飛散防止効果は十分ではなかった。
更に、構造型の技術である特許文献4の発明は、排尿された尿がまず規則的な格子状の網目を持つ網部材からなる飛散防止手段を通過し、この通過時に尿を分散、消勢して、尿の跳ね返りを抑制することを意図するものである。しかし、飛散防止手段8として一枚単層の網部材のみを用いて、網部材の目の粗さを調節することにより尿の跳ね返り防止を十分に行うことは前述の通り困難であった。
特許文献5の発明は、上述の特許文献4の困難を、網目の粗さの異なる網材を多数枚積み重ねて止着し、それぞれの層が一定の厚みをもった多層構造を形成することで解決することを意図しているが、構造の複雑さに由来する脆弱性を回避できなかった。
従って、本発明の目的は、多層構造の複雑さと脆弱性を回避し、併せて尿滴飛散防止効果の飛躍的な向上を可能にする男子小便器用飛散防止具を提供することである。当該目的を達成するため、放尿水を受ける表面部を厚みを有した一層の表面層から形成し、前記表面層の構成として、樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体を採用することとした。
前記不規則網状構造体を構成する樹脂製ワイヤは、一般に曲がっており、前記樹脂製ワイヤの各部分は三次元的に様々な方向に伸びている。
具体的には、前記不規則網状構造体は、表面部に当たる放尿水の外側への反射を減じて放尿水を表面層内部に進入させ、進入させた放尿水を樹脂製ワイヤにより様々な方向へ散乱させ、散乱された放尿水を樹脂製ワイヤにより捕捉し、捕捉した放尿水を樹脂製ワイヤを導水線として前記収容部の方向へと導水することで、一層からなる不規則網状構造体に
よって尿滴飛散防止効果の飛躍的な向上を可能とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、放尿水を受ける表面部と、前記表面部の内側に薬剤を内蔵すべき収容部を有し、前記表面部は厚みを有した表面層から形成されており、前記表面層は、樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体からなり、前記樹脂製ワイヤの線材径は特定の線材径分布を有し、前記表面部を外側から垂直に透視したときに、前記不規則網状構造体は透視面積が様々に異なる多数の透視孔を有し、前記透視孔の透視面積が特定の透視面積分布を有する男子小便器用飛散防止具である。
ここで、上記の「透視孔」と「透視面積」について説明する。前記表面部を外側から垂直に透視すると、視線の多くは前記樹脂製ワイヤによって妨げられるが、前記樹脂製ワイヤと交差しない視線も存在する。そのような視線(直線)の集合は、多数の「透視孔」をなす。個々の「透視孔」は同一の断面を有する無限に伸びた柱体であり、例えば、透視孔の断面の形状が四角形ならば、透視孔は四角柱の形状である。透視孔の断面の面積を「透視面積」と呼ぶ。
本発明の第2の形態は、前記三次元不規則網状構造が、前記樹脂製ワイヤから形成された向き及び形状の異なる多数のループが相互に連結され、又は少なくとも一部が互いに接触して、三次元的に不規則に配列した構造であり、前記樹脂製ワイヤの各部分は、前記表面部に対して三次元的に様々な方向に伸びる男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第3の形態は、前記不規則網状構造体が、前記表面部に当たる前記放尿水の外側への反射を減じて前記放尿水を前記表面層内部に進入させ、進入させた前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより様々な方向へ散乱させ、散乱された前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより捕捉し、捕捉した前記放尿水を前記樹脂製ワイヤを導水線として前記収容部の方向へと導水する男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第4の形態は、前記透視面積分布が、小面積から大面積まで広く分布し、横軸を前記透視孔の透視面積、縦軸を前記透視孔の個数で表したとき、0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も前記透視孔の総個数の5%以上である男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第5の形態は、前記透視面積分布が、前記透視面積が1mm〜5mmの範囲内において、前記透視面積が大面積になる程、前記透視孔の個数が少なくなる減少傾向を有する男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第6の形態は、前記線材径分布が、横軸を前記線材径、縦軸を前記樹脂製ワイヤの測定本数で表したとき、前記線材径が0.4mm〜2mmの範囲内に、過半数の前記測定本数が含まれる男子小便器用飛散防止具である。
ここで、上記「測定本数」の意味を説明する。前記樹脂製ワイヤは断面の形状が略円形であって、その線材径は概ねどこでも均一である。しかし線材径は一般には、樹脂製ワイヤによって異なってもよく、又、一本の樹脂製ワイヤの部分によって異なってもよい。そこで、前記表面層を形成する樹脂製ワイヤを任意に選び、更にその樹脂製ワイヤの任意の箇所の断面の、任意の方向に沿った線材径を測定することとする。線材径のこうした測定をランダムに多数回行うとき、測定される線材径がある範囲に含まれる測定の回数を上では「測定本数」と呼んでいる。
本発明の第7の形態は、前記表面部がドーム形状又はフラット形状である男子小便器用
飛散防止具である。
本発明の第8の形態は、前記収容部を介して前記表面部と対向する側に第2表面部を設け、前記表面部と前記第2表面部を接合する接合部を有する男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第9の形態は、前記第2表面部も前記表面層から形成されている男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第10の形態は、前記第2表面部が、1個以上の水抜き穴を有する平面状又は略平面状の樹脂板からなる男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第11の形態は、前記樹脂製ワイヤが前記放尿水の尿温度に反応して変色するように構成されている男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第12の形態は、前記収容部に芳香洗浄剤を収容した男子小便器用飛散防止具である。
本発明の第1の形態によれば、放尿水を受ける表面部が厚みを有した表面層から形成されており、前記表面層は、樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体からなる男子小便器用飛散防止具を提供することができる。 樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体は、一層からなる表面層を形成する。それ故、前記表面層は多層構造の複雑さに由来する脆弱性を持たない。
前記不規則網状構造体における樹脂製ワイヤの線材径について、樹脂製ワイヤの本数密度を固定して考察する。線材径が太すぎると、前記表面部に照射された放尿水のうち、表面層の表面付近の樹脂製ワイヤに当たって外側へと反射され、尿滴となって周囲に飛散する割合が多くなる。逆に、線材径が細すぎると、表面層が構造的に脆弱となる。前記線材径の分布は、放尿水の外側への反射を抑制し、かつ表面層の構造的な強さを確保できるように選ばれる。
更に、本形態によれば、前記表面部を外側から垂直に透視したときに、前記不規則網状構造体は透視面積が様々に異なる多数の透視孔を有し、前記透視孔の透視面積が特定の透視面積分布を有する男子小便器用飛散防止具を提供できる。
前記不規則網状構造体は、透視面積が様々に異なる多数の透視孔を有するので、様々な大きさの尿滴を効率的に捕捉することができる。更に、前記不規則網状構造体の樹脂製ワイヤの本数密度は、有限の透視面積を有する透視孔が存在しないほど密ではなく、又、透視面積が大きな透視孔ばかりが存在するほど疎でもない。前記透視孔の透視面積の分布は、前記表面層が放尿水の外側への反射を抑制しつつ、様々な大きさの尿滴を効率的に捕捉することができるように選ばれる。
本発明の第2の形態によれば、前記三次元不規則網状構造は、前記樹脂製ワイヤから形成された向き及び形状の異なる多数のループが相互に連結され、又は少なくとも一部が互いに接触して、三次元的に不規則に配列した構造であり、前記樹脂製ワイヤの各部分は、前記表面部に対して三次元的に様々な方向に伸びる男子小便器用飛散防止具を提供することができる。
前記樹脂製ワイヤは互いに、孤立した複数の離散点で連結され、または接触して多数の閉ループや開ループを織りなしているので、優れた導水機能を有する。即ち、前記樹脂製ワイヤに捕捉された放尿水や尿飛沫を、前記樹脂製ワイヤを導水線として、重力を利用して前記収容部の方向へと効率的に導水することができる。
前記樹脂製ワイヤは三次元的に様々な方向に伸びているので、前記表面部に当たる放尿水の反射を減じることができる。放尿水の多くが樹脂製ワイヤに斜めに当たるからである。即ち、前記表面部に平行に伸びる樹脂製ワイヤより、前記表面部に対して斜め又は垂直に伸びる樹脂製ワイヤの方が、放尿水が当たったときに前記表面部の外側へと反射する放尿水は少ない。更に、前記表面層内部に進入した放尿水が前記樹脂製ワイヤに当たり、尿飛沫となって前記表面層の内部に散乱しても、尿飛沫の飛散経路の途中に、その尿飛沫を捕捉するのに相応しい方向に伸びる樹脂製ワイヤが存在するので、大部分の尿飛沫は前記表面層内で捕捉され、前記表面層外へと飛散する尿飛沫は少ない。
本発明の第3の形態によれば、前記不規則網状構造体が、前記表面部に当たる前記放尿水の外側への反射を減じて前記放尿水を前記表面層内部に進入させ、進入させた前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより様々な方向へ散乱させ、散乱された前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより捕捉し、捕捉した前記放尿水を前記樹脂製ワイヤを導水線として前記収容部の方向へと導水する男子小便器用飛散防止具を提供することができる。
表面層は、厚みを有する不規則網状構造体からなる。前記不規則網状構造体における樹脂製ワイヤの線材径と本数密度は、前記表面部に照射された放尿水のほとんどが、前記表面層の内部をある程度の深さまで進んだときに初めて、前記樹脂製ワイヤに当たって捕捉或いは散乱されるような線材径と本数密度に選ばれている。したがって、前記不規則網状構造体は、放尿水の反射を減じて、放尿水を前記表面層内部に進入させることができる。
樹脂製ワイヤに当たった放尿水は、捕捉されるか、或いは反射されて尿飛沫となって飛散する。樹脂製ワイヤの断面の形状は略円形又は略だ円形である。したがって、樹脂製ワイヤに当たった放尿水が反射される場合、戻る方向に尿飛沫が飛散することは少ない。ほとんどの反射尿飛沫は前方、斜め前、又は側方へと飛散する。反射尿飛沫の大部分は、表面層の内部へと進行し、外側へ飛散する尿飛沫は少ない。表面層の内部へと飛散した尿飛沫のほとんどは、反射後の進行方向に存在する同一の、又は別の樹脂製ワイヤにより捕捉される。
引用文献4の発明では、網目の粗さの異なる網材をそれぞれ複数枚重ねあわせた多層構造を用いることで、各層にそれぞれ尿水の分散、消勢、吸収、及び通水の役割を担わせている。それに対して本願発明では、三次元不規則網状構造からなる前記表面層を用いることで、単層の表面層によって、放尿水の反射抑制と進入、表面層内部での散乱と捕捉、及び導水を可能にし、飛躍的な飛散防止効果を実現している。
本発明の第4の形態によれば、前記透視面積分布が、小面積から大面積まで広く分布し、横軸を前記透視孔の透視面積、縦軸を前記透視孔の個数で表したとき、0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も前記透視孔の総個数の5%以上である男子小便器用飛散防止具を提供できる。
本形態においては、透視孔の断面の面積が、小面積から大面積まで広く分布しており、上記の5つの区間においてどの区間にも少なくない個数の透視孔が存在している。このことは、前記表面層における樹脂製ワイヤの本数密度と前記表面層の厚さが、有限の透視面積を有する透視孔が存在しないほど高密度でも肉厚でもなく、又、透視面積が5mmより大きな透視孔ばかりが存在するほど低密度でも肉薄でもなく、透視面積が5mm以下の透視孔が満遍なく存在する本数密度と厚みであることを意味している。したがって本形態においては、単層の表面層によって、放尿水の反射抑制、表面層内部での散乱と捕捉、及び導水を可能にし、飛躍的な飛散防止効果を実現できる。
本発明の第5の形態によれば、前記透視面積分布が、前記透視面積が1mm〜5mmの範囲内において、前記透視面積が大面積になる程、前記透視孔の個数が少なくなる減少傾向を有する男子小便器用飛散防止具を提供できる。
本形態が満たす透視面積分布についての上記の条件は、本形態の表面層を構成する樹脂
製ワイヤからなる三次元不規則網状構造が「自然な」方法で製造されることを保証するものである。例えば、数学的な平面上に場所も方向もランダムに多数の直線を落とすならば、平面は多数の多角形に分割される。このとき、分割で生じた多角形の面積の分布は、面積が大きい多角形ほど個数が少ないという特徴を有する。本願発明の樹脂製ワイヤは直線ではなくて曲がっているけれども、局所的に見れば直線に近いから、多数の樹脂製ワイヤがランダムに配置されるならば、形成される透視孔の透視面積の分布も、透視面積が大きくなるほど個数が少なくなる特徴を有すると考えられる。尚、上記の特徴を有する透視面積の下限を1mmとしたのは、樹脂製ワイヤの線材径がゼロではないことを考慮したためである。
本発明の第6の形態によれば、前記線材径分布が、横軸を前記線材径、縦軸を前記樹脂製ワイヤの測定本数で表したとき、前記線材径が0.4mm〜2mmの範囲内に、過半数の前記測定本数が含まれる男子小便器用飛散防止具を提供できる。
透視面積分布についての前記の条件は、前記表面層における前記樹脂製ワイヤの本数密度と前記表面層の厚みを限定するものであった。ここで、透視面積分布が同じでも樹脂製ワイヤの線材径が異なれば、放尿水の飛散防止効果は異なる。線材径が2mmを超える太い樹脂製ワイヤが大半を占める場合、表面部に当たって直接外部へと反射する放尿水が多くなり、飛散防止効果は小さくなる。又、線材径が0.4mm未満の細い樹脂製ワイヤが大半を占める場合、透視面積分布についての前記の条件を満たすような樹脂製ワイヤの体積量は少ないので、表面層が構造的に脆弱となる。樹脂製ワイヤの線材径を、0.4mm〜2mmの範囲内に過半数の前記測定本数が含まれるものとすることで、放尿水の反射防止効果と構造的な強固さを兼ね備えた男子小便器用飛散防止具を実現できる。
本発明の第7の形態によれば、前記表面部がドーム形状又はフラット形状である男子小便器用飛散防止具を提供できる。
本発明の前記表面層を形成する前記不規則網状構造体は、どの方向から放尿水を受けても反射尿滴を周囲にほとんど飛散させることなく放尿水を捕捉することができるので、尿滴の飛散防止効果に関する限り、表面部の形状はそれほど問題にならない。しかし、本発明は、内部に芳香洗浄剤等の薬剤を収容することのできる収容部を有するので、内部に収容スペースを確保するため、表面部は凸型に盛り上がった形状をしていることが望ましい。凸型に盛り上がった形状としては例えば、ドーム形状又はフラット形状が考えられる。
ドーム形状とは、半球形状や凸レンズの片面の形状であって、内部に収容スペースが確保できるならば、その曲率は問わない。フラット形状とは、円錐台の上面及び側面からなる形状であって、例えるならば菓子のプリンの上面及び側面からなる形状である。上面が平坦であることをもってフラット形状と呼んでいる。内部に収容スペースが確保できるならば、上記円錐台の上面と底面の面積比や、側面の高さは問わない。
本発明の樹脂製ワイヤは熱可塑性を有していてもよい。樹脂製ワイヤが熱可塑性を有する場合には、まず三次元不規則網状構造を有する前記不規則網状構造体を厚みのある平面形状に形成した後に、熱可塑性を利用して変形することにより、厚みのある前記表面層からなる前記表面部でドーム形状又はフラット形状のものを製造することができる。
本発明の第8の形態によれば、前記収容部を介して前記表面部と対向する側に第2表面部を設け、前記表面部と前記第2表面部を接合する接合部を有する男子小便器用飛散防止具を提供できる。
第2表面部の役割は少なくとも3つある。1つは、前記表面部と第2表面部により空間を囲み、前記収容部となるスペースを確保する役割である。又、第2表面部には、芳香洗浄剤が便器面に直接触れないようにし、その溶解速度を適度に保つ役割もある。更に第2表面部は、前記表面部に捕捉され、前記収容部を通って第2表面部へと導かれた放尿水を、適切に外部へと排水する役割も果たす。
本発明の第9の形態によれば、前記第2表面部も前記表面層から形成されている男子小便器用飛散防止具を提供できる。
いずれも前記不規則網状構造体からなる前記表面部と第2表面部が接合部で接合されているので、本形態には上下の区別がなく、裏返して使用することができる。即ち、本形態の男子小便器用飛散防止具は、第2表面部を上に、前記表面部を下にして男子小便器の内壁面に置くことにより、第2表面部が尿水を受ける状態にして使用することもできる。この場合、下側になった前記表面部は、前記第2表面部に捕捉され、前記収容部を通って前記表面部へと導かれた放尿水を、適切に外部へと排水する役割を担う。
本形態は、使用により表面部または第2表面部に汚れ等が付着した場合に、裏返すことで新鮮な面を上にして継続使用できる利点を有する。又、収容部に収容された薬剤の溶け具合に偏りが見られる場合に、裏返してその偏りを正すことのできる利点も有する。
本形態の第2表面部の形状は、表面部の形状と同じ形状であって、本形態は前記接合部に関し対称的であることが望ましいが、非対称であってもよい。非対称な場合、第2表面部の形状は、前記収容スペースを確保できるならば如何なる形態でもよいが、例えば、ドーム形状又はフラット形状であってもよい。
本発明の第10の形態によれば、前記第2表面部が、1個以上の水抜き穴を有する平面状又は略平面状の樹脂板からなる男子小便器用飛散防止具を提供できる。
本形態は、第2表面部として水抜き穴を有する樹脂板を用いることにより、薬剤の収容スペースを確保しつつ、第2表面部に十全な排水機能を持たせるものである。
本発明の第11の形態によれば、前記樹脂製ワイヤが前記放尿水の尿温度に反応して変色するように構成されている男子小便器用飛散防止具を提供できる。
前記樹脂製ワイヤは、すべての部分が前記放尿水の尿温度に反応して変色する物質から構成されていてもよいし、又は一部分がそのような物質から構成されていてもよい。或いは、前記樹脂製ワイヤの全表面に、或いは表面の一部に、前記放尿水の尿温度に反応して変色する物質が塗布されていてもよい。前記樹脂製ワイヤが尿温度に反応して変色したときに、前記表面層に放尿者の関心を惹きつける模様が現れるように構成することもできる。
本形態は、放尿水の尿温度に反応して変色する樹脂製ワイヤを用いて前記表面層を構成することにより、放尿者の心理に働きかけて、放尿水の経路を本発明の男子小便器飛散防止具に当たる方向へと向けさせることを意図したものである。特許文献1及び2の発明とは異なり、本形態においては、標的となる表面層が、放尿水の飛散を抑制する構造を有している。即ち、本形態は、標的型の技術と構造型の技術の利点を兼ね備えたものである。
本発明の第12の形態によれば、前記収容部に芳香洗浄剤を収容した男子小便器用飛散防止具を提供できる。
本発明の前記表面層は多数の透視孔を有するので、芳香洗浄剤からの芳香が容易に周囲に拡散する。又、前記表面層で捕捉された放尿水は、樹脂製ワイヤを導水線として前記収容部へと導水され、収容された芳香洗浄剤を溶解させる。芳香洗浄剤を溶かし込んだ前記放尿水は、前記第2表面層を通って男子小便器の内壁へと排出される。本形態は、内壁の洗浄と消臭、悪臭発生の防止に役立つ利点を有する。
図1は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有するものの斜視図である。 図2は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有するものの裏面からの斜視図である。 図3は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有するものの断面図であり、薬剤6を収容した状態を示す。 図4は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の樹脂板7の平面図である。 図5は、図4の樹脂板7のA?A線断面図である。 図6は、本発明における表面層20において、樹脂製ワイヤ21が形成する三次元不規則網状構造29の説明図である。 図7は、本発明における透視孔23の拡大斜視説明図である。 図8は、本発明において、表面層20の厚みが薄い場合の透視孔の断面24の斜視説明図である。 図9は、本発明において、表面層20の厚みが厚い場合の透視孔の断面24の斜視説明図である。 図10は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有する実施例2の多数の透視孔の断面24を示す写真である。 図11は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有し、樹脂製ワイヤ21の平均線材径が0.45mmである実施例1(ドーム形状、平均線材径Φ0.45mm)の線材径の度数分布図(11A)と透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(11B)である。 図12は、図11と同じ実施例1の透視孔23の断面の周長の度数分布図(12C)と透視面積の度数分布図(12D)である。 図13は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)の線材径の度数分布図(13A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(13B)である。 図14は、図13と同じ実施例2の透視孔23の断面の周長の度数分布図(14C)と透視面積の度数分布図(14D)である。 図15は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例3(ドーム形状、平均線材径Φ1.17mm)の線材径の度数分布図(15A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(15B)である。 図16は、図15と同じ実施例3の透視孔23の断面の周長の度数分布図(16C)と透視面積の度数分布図(16D)である。 図17は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例4(ドーム形状、平均線材径Φ1.81mm)の線材径の度数分布図(17A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(17B)である。 図18は、図17と同じ実施例4の透視孔23の断面の周長の度数分布図(18C)と透視面積の度数分布図(18D)である。 図19は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例2の前駆品Zにおいて、平面形状(円盤形状)を有する表面層の線材径の度数分布図(19A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(19B)である。この平面形状を加工して、ドーム状の実施例2を形成した。 図20は、図19と同じ前駆品Zにおいて、平面形状(円盤形状)を有する表面層の透視孔23の断面の周長の度数分布図(20C)と透視面積の度数分布図(20D)である。 図21は、比較例1として、従来技術のように1枚の網材A,Bを飛散防止に用いる場合の、透視面積の度数分布図(21A,21B)である。 図22は、比較例2として、従来技術のように2枚の網材A,Bを重ねて飛散防止に用いる場合の、透視面積の度数分布図である。 図23は、男子小便器用飛散防止具1の従来品と本発明の実施例に対して行った飛散防止効果検証実験の斜視説明図である。 図24は、本発明の実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を示す写真である。 図25は、従来品S1(スポンジ構造、保水状態)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を示す写真である。 図26は、従来品B2(ボール形状、表面に多列スリット)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を示す写真である。 図27は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具101において、フラット形状の表面部2を有する実施例5の斜視図である。 図28は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具102において、表面部2と第2表面部3のいずれもがドーム形状の前記表面層から構成される実施例6の斜視図である。 図29は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有する実施例2の、表面部2と接合部4だけを取り出して撮影した写真である。
以下に、本発明に係る男子小便器用飛散防止具の実施形態を添付する図面に従って詳細に説明する。
まず、図1、図2、図3、図29、及び図6により説明する。図1は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有するものの斜視図である。図2は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有し、前記第2表面部が樹脂板7からなるものの裏面からの斜視図である。図3は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1であって、ドーム形状の表面部2を有するものの断面図であり、薬剤6を収容した状態を示す。図29は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有する実施例2の、表面部2と接合部4だけを取り出して撮影した写真である。
男子小便器用飛散防止具1は、放尿水を受ける表面部2と、前記表面部2の内側に薬剤6を内蔵すべき収容部5と、薬剤6又は収容部5を保持するとともに導水及び排水の役割も果たす第2表面部3と、前記表面部2と前記第2表面部3を接合する接合部4を有する。
前記表面部2は厚みを有した表面層20から形成され、前記表面層20は、図6に示すように樹脂製ワイヤ21が三次元不規則網状構造29を形成した不規則網状構造体27からなるので、表面部2に当たる放尿水0の外側への反射を減じ、放尿水0を表面層内部に進入させ、進入させた放尿水を樹脂製ワイヤ21により様々な方向へ散乱させ、散乱された放尿水を樹脂製ワイヤ21により捕捉し、捕捉した放尿水を樹脂製ワイヤ21を導水線として前記収容部5の方向へと導水するゆえ、一層からなる表面層20によって反射尿滴8の周囲への飛散量を減らして、尿滴飛散防止効果の飛躍的な向上を実現している。
前記接合部4は環状の形状を有する。前記表面部2と前記接合部4とは溶着又は接着されるか、嵌合により接合され、或いは一体成形されている。即ち、前記表面部2を形成する樹脂製ワイヤ21の一部又は全部は、前記接合部4と溶着又は接着されるか、嵌合により接合され、或いは一体成形されている。前記第2表面部3と前記接合部4も溶着又は接着されるか、嵌合により接合され、或いは一体成形されている。
前記第2表面部3は、樹脂板7からなるか(図1を参照)、又は厚みを増した表面層20からなる(図28を参照)。樹脂板7には1つ以上の水抜き穴74が設けられている。前記第2表面部3が樹脂板7からなる場合には、前記樹脂製ワイヤ21によって捕捉され、前記収容部5へと導水され、更に前記第2表面部3へと導かれた放尿水は、前記水抜き穴74を通して外部へと排水される。
樹脂製ワイヤ21は、その全部又は一部を放尿水0の尿温度に反応して変色する物質か
ら構成することができる。又は、樹脂製ワイヤ21の全表面に、或いは表面の一部に、放尿水0の尿温度に反応して変色する物質を塗布してもよい。樹脂製ワイヤ21が尿温度に反応して変色したとき、表面層2に放尿者の関心を引く模様が現れるように構成することもできる。放尿水0の尿温度に反応して変色する樹脂製ワイヤ21を用いて前記表面層2を構成することにより、放尿者の心理に働きかけて、放尿水0の経路を本発明の男子小便器飛散防止具1に当たる方向へと向けさせることができるので、本形態は標的型の技術の利点も併せ持つものとなる。
図4は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の前記第2表面部3が樹脂板7からなる場合の、樹脂板7の平面図であり、図5は、図4の樹脂板7のA?A線断面図である。
前記樹脂板7は平面状又は略平面状の形状であり、1個以上の水抜き穴74が設けられている。前記表面部2の前記樹脂製ワイヤ21によって捕捉され、前記収容部5へと導水され、更に前記樹脂板7へと導かれた放尿水は、前記水抜き穴74を通して外部へと排水される。
前記樹脂板7には、樹脂板周縁部71と樹脂板中央部72との間に段差73が設けられているので、本発明品の使用状態において、男子用小便器の内壁面と樹脂板中央部72との間に隙間が生じ、水抜き穴74からの放尿水の排水が前記内壁面によって妨げられることがないため、排水効率が向上する。段差73の高さは前記樹脂板7の厚みと同程度から数倍程度であることが望ましいが、樹脂板7の厚みが薄いときにはそれ以上の高さでも良く、逆に樹脂板7の厚みが厚いときにはそれ以下の高さでもよい。
1個以上の水抜き穴74は前記樹脂板中央部72に設けることが望ましい。1個以上の水抜き穴74は点対称な配置となるように設けることができる。排水効率を大きくするためには、1個以上の水抜き穴74の内径は、前記樹脂板周縁部71に近づく程大きくなることが望ましい。
図6は、本発明における表面層20において、樹脂製ワイヤ21が形成する三次元不規則網状構造29の説明図である。
各部分が三次元的に様々な向きに伸びる多数の曲がった樹脂製ワイヤ21が互いに、孤立した複数の離散点において接触し、又は連結された結果、三次元的に織りなす多数の閉ループや開ループからなる三次元不規則網状構造29は、一層からなる表面層20を形成するので、本発明の表面層20は多層構造の複雑さに由来する脆弱性を持たない。
尚、閉ループとは1本以上の樹脂製ワイヤ21が接触し、又は連結されて生じる、1本以上の樹脂製ワイヤ21に沿った閉経路のことである。又、開ループとは、1本以上の樹脂製ワイヤ21が接触し、又は連結されて生じる、1本以上の樹脂製ワイヤ21に沿った開経路のことである。開ループの両端は通常、接合部4に連結されているが、開ループを構成する樹脂製ワイヤ21が他の樹脂製ワイヤ21と離散点で止着されている場合には、開ループの一端または両端が何にも連結されずに浮いていてもよい。閉ループと開ループを合わせてループと呼ぶ。表面層20の樹脂製ワイヤ21に捕捉された放尿水0は、樹脂製ワイヤ21が織り成す前記閉ループや前記開ループを導水線として、重力により収容部5又は接合部4の方向へと導水される。
図7は、本発明における透視孔23の拡大斜視説明図である。
表面部2を外側から垂直に透視すると、視線の多くは樹脂製ワイヤ21によって妨げられるが、樹脂製ワイヤ21の隙間を通る視線も存在する。そのような視線(直線)の集合は、多数の透視孔23をなす。個々の透視孔23は同一の断面を有する無限に伸びた柱体であり、例えば、透視孔の断面24の形状が(曲がった)三角形ならば、透視孔23は三角柱の形状である。透視孔の断面24の面積を「透視面積」と呼ぶ。
説明の便宜のため、外側から表面部2のある部分に垂直に平行光線22を照射し、平行光線22に垂直な投影面28に樹脂製ワイヤの影25が落ちているとする。図7では3本
の樹脂製ワイヤの影25が投影面28に落ちており、樹脂製ワイヤの影25は(曲がった)三角形をなしている。この三角形の内部24には平行光線22が当たっているが、これらの平行光線22が通っている空間領域(無限に伸びた三角柱体)が透視孔23である。この例の場合、透視面積とはこの三角形の内部24の面積のことであり、透視孔の断面24の周長とはこの三角形の三辺の長さの和のことである。
図8は、本発明において、表面層20の厚みが薄い場合の透視孔の断面24の斜視説明図である。
前記表面層20に垂直に平行光線22が照射され、樹脂製ワイヤの影25が、平行光線22に垂直な投影面28に落ちている。投影面28においては、複数の樹脂製ワイヤの影25によって囲われた透視孔の断面24に平行光線22が当たっている。透視孔の断面A、B,C、Dはそれぞれ順に(曲がった)4角形、3角形、3角形、4角形の形状をしている。
図9は、本発明において、表面層20の厚みが厚い場合の透視孔の断面24の斜視説明図である。表面層20における樹脂製ワイヤ21の本数密度や線材径分布は図8におけるものと同じであるが、表面層20の厚みだけが図8の場合より大きい。
図9においても図8と同様に、前記表面層20に垂直に平行光線22が照射され、樹脂製ワイヤの影25が、平行光線22に垂直な投影面28に落ちている。図8に比べて前記表面層20の厚みが厚いので、投影面28に落ちる樹脂製ワイヤの影25の本数が多い。そのため、図8と比べて透視孔23の個数が多く、透視孔の断面24の面積(透視面積)は小面積のものが多くなっている。
本願発明では、放尿水0の外部への飛散を防止するのに最適な表面層20の性質を限定する際に、表面層20における樹脂製ワイヤ21の密度や表面層20の厚みを直接用いることはしない。その代わりに、透視面積が特定の分布をする、という形の限定を用いる。透視面積の分布には、樹脂製ワイヤ21の密度と表面層20の厚みの情報が、飛散防止効果を評価するのに望ましい形で集約されているからである。
図10は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有する実施例2の、表面部2を構成する表面層20の多数の透視孔の断面24の写真である。図10は、白い紙の上に表面部2のみを置き、上方から光を当てて上方遠方から撮影した写真であって、樹脂製ワイヤ21(の影25)が多数の透視孔の断面24を囲っている。そのうちのごく一部を太線で囲って示した。太線で囲ったものは、3角形や5角形或いは6角形の形状を有する透視孔の断面24である。一般には、透視孔の断面24の形状は曲がった辺で構成される多角形である。
[実施例1とその特性]
図11は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1において、ドーム形状の表面部2を有し、樹脂製ワイヤ21の平均線材径が0.45mmである実施例1(ドーム形状、平均線材径Φ0.45mm)の線材径の度数分布図(11A)と透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(11B)である。
計測の方法としては、図10に示したものと同様な、樹脂製ワイヤ21(の影25)と多数の透視孔の断面24の写真を画像寸法計測ソフトに取り込み、線材径、透視孔の断面24の周長、透視面積のいずれにおいても、100個のサンプル計測データを得て、度数分布図或いは散布図を作成したものである。
(11A)の度数分布図から分かるように、樹脂製ワイヤ21の線材径は0.30mm〜0.55mmの範囲に分布し、その平均値(平均線材径)は0.45mmである。
又、(11B)の散布図から分かるように、透視孔の断面24の周長Lが大きくなるほど、透視孔の断面24の面積(透視面積)Sは大きくなる傾向を有する。
(11B)の図中に示した長点線201は、透視孔の断面24の形状が円の場合の周長
Lと透視面積Sとの関係を示す曲線であって、式で書くと
式1: S = L/(4π)
である。尚、式1は、半径rの円の円周の長さを表す式L=2πrと、同じ円の面積を表す式S=πrの両式から、半径rを消去すると得られる。(曲がった)多角形の周長Lを固定したとき、その面積は多角形の形状が円の場合に最大となり、その面積の最大値Sが式1で与えられることは周知であるから、(11B)の散布図に示される計測点は必ず長点線201の下側にくる。
そこで、任意の透視孔の断面24の「太り具合」を、透視面積が、周長が同じ円の面積の何倍であるか、によって定義する。「太り具合」は0以上1以下の実数である。透視孔の断面24の形状が円に近い「太った」多角形である場合には「太り具合」は1に近く、逆に、透視孔の断面24の形状が「やせた」多角形である場合には「太り具合」は0に近い。
図中に示した点線202は、透視面積が式1の値の3分の1であるような、透視面積と周長の関係を表し、式で書くと
式2: S = L/(12π)
である。式2は、「太り具合」が1/3であることを示す関係式である。
(11B)の散布図においては、すべての計測点が長点線201と点線202の間に存在している。つまり、透視孔の断面24の「太り具合」はすべて、1/3より大きく1より小さい。更に、大半の透視孔の断面24の「太り具合」が、0.4以上0.9以下であることも読み取れる。
図12は、図11と同じ実施例1の透視孔23の断面の周長の度数分布図(12C)と透視面積の度数分布図(12D)である。
(12C)の度数分布図において、透視孔の断面24の周長は最小値が3.14mm、最大値が12.25mm、平均値が7.46mmであり、幅広い範囲に分布している。
(12D)の度数分布図において、透視面積は最小値が0.52mm2、最大値が8.44mm2、平均値が2.90mm2であり、小面積から大面積まで広く分布している。これは、様々な周長と様々な「太り具合」の透視孔の断面24の存在を反映している。
(12D)に示す透視面積の度数分布図は、透視面積が1mm〜5mmの範囲内において、透視面積が大面積になる程、透視孔の個数が少なくなる減少傾向を有しており、又、0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も透視孔の総個数の5%以上であるという条件を満たしている。尚、前記減少傾向と前記条件は、本願発明の他の実施例2〜4と前駆品Zについて計測された透視面積の度数分布図においても満たされている。この事実は、後述の、図(14D)、図(16D)、図(18D)、及び図(20D)から読み取れる。
前記表面層20を形成する前記不規則網状構造体27は、前記表面部2に当たる前記放尿水0の外側への反射を減じて前記放尿水0を前記表面層20の内部に進入させ、進入させた前記放尿水を前記樹脂製ワイヤ21により様々な方向へ散乱させ、散乱された前記放尿水を前記樹脂製ワイヤ21により捕捉する。放尿水0の上記の進入、散乱及び捕捉のプロセスは、放尿水0を構成する尿滴の大きさにより異なり、放尿水0の外側への反射を減じる上で最適な前記樹脂製ワイヤ21の線材径分布や前記透視面積分布は、前記尿滴の大きさにより異なる。
本願発明において、前記線材径が特定の範囲に分布し、且つ、前記透視面積が小面積から大面積まで広く分布し、又、前記透視面積の分布が0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も透視孔の総個数の5%以上であるという条件を満たすことは、放尿水0に含まれるあらゆる大きさの尿滴に対して、十分な反射抑制効果を発揮する上で効果的である。
更に、前記透視面積の分布が、前記透視面積が大面積になる程、透視孔23の個数が少なくなる減少傾向を有することは、表面層20に透視面積の小さい透視孔23が少なくともある程度の個数は存在することを保証するとともに、前記表面層20の不規則網状構造
体29が「自然な」方法で製造されることを保証するものである。
[実施例2とその特性]
図13は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)の線材径の度数分布図(13A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(13B)である。
(13A)の度数分布図において、樹脂製ワイヤ21の線材径は0.45mm〜0.75mmの範囲に分布し、その平均値(平均線材径)は0.63mmである。又、(13B)の散布図から分かるように、透視孔の断面24の周長Lが大きくなるほど、透視孔の断面24の面積(透視面積)Sは大きくなる傾向を有し、すべての計測点が長点線201と点線202の間に存在している。つまり、透視孔の断面24の「太り具合」はすべて、1/3より大きく1より小さい。更に、大半の透視孔の断面24の「太り具合」が、0.4以上0.9以下であることも読み取れる。
図14は、図13と同じ実施例2の透視孔23の断面の周長の度数分布図(14C)と透視面積の度数分布図(14D)である。
(14C)の度数分布図において、透視孔の断面24の周長は最小値が2.96mm、最大値が13.00mm、平均値が6.28mmであり、幅広い範囲に分布している。又、(14D)の度数分布図において、透視面積は最小値が0.38mm2、最大値が8.97mm2、平均値が2.10mm2であり、小面積から大面積まで広く分布している。これは、様々な周長と様々な「太り具合」の透視孔の断面24の存在を反映している。
[実施例3とその特性]
図15は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例3(ドーム形状、平均線材径Φ1.17mm)の線材径の度数分布図(15A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(15B)である。
(15A)の度数分布図において、樹脂製ワイヤ21の線材径は0.90mm〜1.40mmの範囲に分布し、その平均値(平均線材径)は1.17mmである。又、(15B)の散布図から分かるように、透視孔の断面24の周長Lが大きくなるほど、透視孔の断面24の面積(透視面積)Sは大きくなる傾向を有し、すべての計測点が長点線201と点線202の間に存在している。つまり、透視孔の断面24の「太り具合」はすべて、1/3より大きく1より小さい。更に、大半の透視孔の断面24の「太り具合」が、0.4以上0.9以下であることも読み取れる。
図16は、図15と同じ実施例3の透視孔23の断面の周長の度数分布図(16C)と透視面積の度数分布図(16D)である。
(16C)の度数分布図において、透視孔の断面24の周長は最小値が2.58mm、最大値が12.40mm、平均値が6.67mmであり、幅広い範囲に分布している。又、(16D)の度数分布図において、透視面積は最小値が0.27mm2、最大値が9.12mm2、平均値が2.38mm2であり、小面積から大面積まで広く分布している。これは、様々な周長と様々な「太り具合」の透視孔の断面24の存在を反映している。
[実施例4とその特性]
図17は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例4(ドーム形状、平均線材径Φ1.81mm)の線材径の度数分布図(17A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(17B)である。
(17A)の度数分布図において、樹脂製ワイヤ21の線材径は1.4mm〜2.1mmの範囲に分布し、その平均値(平均線材径)は1.81mmである。又、(17B)の散布図から分かるように、透視孔の断面24の周長Lが大きくなるほど、透視孔の断面24の面積(透視面積)Sは大きくなる傾向を有し、すべての計測点が長点線201と点線202の間に存在
している。つまり、透視孔の断面24の「太り具合」はすべて、1/3より大きく1より小さい。更に、大半の透視孔の断面24の「太り具合」が、0.4以上0.9以下であることも読み取れる。
図18は、図17と同じ実施例4の透視孔23の断面の周長の度数分布図(18C)と透視面積の度数分布図(18D)である。
(18C)の度数分布図において、透視孔の断面24の周長は最小値が2.79mm、最大値が10.84mm、平均値が6.04mmであり、幅広い範囲に分布している。又、(18D)の度数分布図において、透視面積は最小値が0.31mm2、最大値が6.00mm2、平均値が1.88mm2であり小面積から大面積まで広く分布している。これは、様々な周長と様々な「太り具合」の透視孔の断面24の存在を反映している。
[前駆品Zとその特性]
図19は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具1の実施例2の前駆品Zにおいて、平面形状(円盤形状)を有する表面層の線材径の度数分布図(19A)と、透視孔23の断面の周長と透視面積との関係を示す散布図(19B)である。この平面形状を加工して、ドーム状の実施例2を形成した。
(19A)の度数分布図は図13におけるものと同一であって、樹脂製ワイヤ21の線材径は0.45mm〜0.75mmの範囲に分布し、その平均値(平均線材径)は0.63mmである。
又、(19B)の散布図から分かるように、透視孔の断面24の周長Lが大きくなるほど、透視孔の断面24の面積(透視面積)Sは大きくなる傾向を有し、すべての計測点が長点線201と点線202の間に存在している。つまり、透視孔の断面24の「太り具合」はすべて、1/3より大きく1より小さい。更に、大半の透視孔の断面24の「太り具合」が、0.4以上0.9以下であることも読み取れる。
図20は、図19と同じ前駆品Zにおいて、平面形状(円盤形状)を有する表面層の透視孔23の断面の周長の度数分布図(20C)と透視面積の度数分布図(20D)である。
(20C)の度数分布図において、透視孔の断面24の周長は最小値が3.93mm、最大値が13.53mm、平均値が7.32mmであり、幅広い範囲に分布している。又、(20D)の度数分布図において、透視面積は最小値が0.66mm2、最大値が9.08mm2、平均値が2.95mm2であり、小面積から大面積まで広く分布している。これは、様々な周長と様々な「太り具合」の透視孔の断面24の存在を反映している。
ドーム形状に加工した後の度数分布図である図14と、加工する前の度数分布図である図20とを比べると、図14の度数分布は図20と比べてわずかに、周長及び透視面積が小さい方へシフトしている。これは、ドーム形状に加工することにより、接合部4に近い透視孔の断面24については、視線が斜めから見る形となるため、垂直方向から見る図20の場合と比べて、透視孔の断面24の周長及び透視面積が小さくなるためであると思量される。
[比較例1:網材を1枚だけ用いる場合]
図21は、比較例1として、従来技術のように1枚の網材A又はBを飛散防止に用いる場合の、透視面積の度数分布図(順に(21A)又は(21B))である。網材Aは中目の網材であり、一辺が2.8mmの正方形の形状の規則的な網目を有し、その線材径は0.6mmである。網材Bは細目の網材であり、一辺が2.1mmの正方形の形状の規則的な網目を有し、その線材径は同じく0.6mmである。表面部2として網材Aだけを用いる場合には、透視孔の断面24はすべて一辺が2.1mmの正方形であるから、透視面積はすべて4.84mm2である。図(21A)に示すように、透視面積の度数分布図は、1つの透視面積に集中した離散的な分布となる。又、表面部2として網材Bだけを用いる場合には、透視孔の断面24はすべて一辺が1.5mmの正方形であるから、透視面積はすべて2.25mm2である。図(21B)に
示すように、透視面積の度数分布図はやはり、1つの透視面積に集中した離散的な分布となる。したがって、1枚の網材のみを用いる場合には一般に、0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も透視孔の総個数の5%以上であるという本願発明の透視面積の度数分布についての条件は満たされない。
[比較例2:網材2枚を重ねて用いる場合]
図22は、比較例として、従来技術において、図21の2枚の網材A,Bを重ねて飛散防止に用いる場合の透視面積の度数分布図である。いずれも規則的な正方形の網目を有する中目の網材Aと細目の網材Bを重ねて表面部2として用いる場合を考えている。網材Aと網材Bの線材は、互いに45°の角度を成していると仮定する。多くの場合、2つの網材は互いに接触あるいは固着した状態で用いる。
上述の通り、中目の網材Aだけならば透視面積はすべて4.84mm2であり、細目の網材Bだけならば透視面積はすべて2.25mm2である。網材Aと網材Bを重ねて用いることで、透視面積の度数分布は図22が示すように、細目の網材Bの透視面積2.25 mm2と等しいか、それより小さな面積の処にのみに分布することとなる。この場合には、透視面積が0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間の中に、度数(頻度)がゼロとなる区間が存在するから、どの区間の個数も透視孔の総個数の5%以上であるという本願発明の透視面積の度数分布についての条件は満たされない。
一般に、いずれも規則的な網目を有する複数の網材を重ねて用いる場合には、その透視面積分布は、もっとも網目の細かい網材を単独で用いた場合の透視面積と等しいか、それより小さい面積の処にのみ分布することとなる。従って、本願発明の透視面積分布についての条件を満たすためには、単独で用いた時に透視面積が5mm以上である粗目の網材ばかりを重ねて用いる必要がある。しかし、その場合には構造的な脆弱性と止着の困難性という問題点を回避することは難しい。
[飛散防止効果検証実験]
図23は、男子小便器用飛散防止具1の従来品と本発明の実施例の飛散防止効果を比較するために行った検証実験の斜視説明図である。直方体の形状を有する透明なアクリル容器300は、一辺が30cmの正方形の形状である容器底面302と、容器底面302に対向する容器上面301と、高さ30cmの4枚の容器側面303を有し、容器上面301には注水穴306が設けられている。
男子小便器用飛散防止具1の従来品又は本発明品の実施例(以下では両者を合わせて試行品と呼ぶ)を容器底面302の中央に置き、ビーカー304に入れた200mlの染料水310を注水穴306を通して10秒間かけて試行品をめがけて注ぎ入れる。染料水310は、常に試行品の表面部2の表面部最高点307に当たるようにする。その際、ビーカー注ぎ口305は、表面部最高点307から70cmの高さを保つ。注ぎ入れられた染料水310の一部は、表面部2で反射し、反射尿滴8となって周囲に飛散し、容器側面303に付着して付着染料水311となる。
付着染料水311を重量が既知のペーパーで拭き取り、重量の増加量を計測して、付着染料水311の量を測定する。1つの試行品について重量測定を3回行い、3回の測定の平均値を付着染料水311の重量であるとみなした。
ここで、尿の落ちる高さを70cmと設定した根拠について説明する。次に示す表1は、文部科学省の学校保健統計調査による17歳男子の平均身長、平均座高、及び平均股下(概算)の推移である。「平均股下」は平均身長から平均座高を引いて求めた値であり、およその股下長さを表す。表1には参考情報として現在の年齢も記載した。現在の年齢によって若干の差異はあるが、平均股下は概算で75〜80cmである。以上から、尿が落ちる高さを70cmと設定した。
表1
次の4つの従来品について上記の飛散防止効果検証実験を行い、本発明の実施例とその効果を比較した。
[従来品S1:スポンジ構造、保水状態]
従来品S1の外形は略円筒形であって、円筒の底面は直径が80mmの円であり、円筒の高さは35mmである。内部は中空で薬剤ポケットとなっている。円筒の底面、上面、及び側面を構成する表面層は、厚みが約5mmの発泡ウレタンからなり、スポンジ構造を有する。気泡セル数は、25mmあたり30セルである。
従来品S1の受尿部(上面)はフラット(平面状)である。従来品S1の飛散防止効果は、特許文献3に記載の、スポンジ部材等からなる板状の受尿部を有する男子小便器用飛散防止具の発明と類似すると考えられる。
尚、実験の結果、スポンジが水分を含んだ状態と乾燥した状態とで飛散防止効果が異なることが判明したので、スポンジ構造を有する同じ従来品について、保水状態をS1、乾燥状態をS2として区別し、飛散防止効果検証実験を行った。
[従来品S2:スポンジ構造、乾燥状態]
従来品S1と同じ物品であるが、乾燥状態のものを指す。
[従来品B1:芳香ボール、受尿部に多列スリットなし]
従来品B1は樹脂製の球形ボールであり、樹脂の厚みは約1mmである。球の内部は中空となっており、洗浄芳香剤を収容できる。球面には多列スリットが4カ所に配置されている。各所の多列スリットにおいては、幅1.5mmのスリットが間隔4mmを隔てて5列並んでいる。スリットを介して球の内部と外気が通じているので、芳香が外部へと拡散する。放尿水や洗浄水は、スリットから球の内部に流れ込み、又、流れ出すことができる。
多列スリットを有する球形の従来品S1の飛散防止効果は、特許文献6に記載の、スリット状の流水入口を有する球形トイレ用洗浄剤ブロックの発明と類似すると考えられる。
従来品B1に放尿水が当たるとき、ボール表面のどの部分に放尿水が当たるかによって、飛散の具合が異なる。即ち、多列スリットの部分に放尿水が当たるときには、樹脂の部分に当たるときに較べて、飛散量は少ない。そこで、樹脂製の球形ボールである同じ従来品について、樹脂の部分に放尿水が当たる場合をB1、多列スリットの部分に当たる場合をB2として区別し、飛散防止効果検証実験を行った。
[従来品B2:芳香ボール、受尿部に多列スリットあり]
従来品B1と同じ物品であるが、多列スリットの部分に放尿水が当たる場合を指す。
[実施例2:付着染料水の写真]
図24は、本発明の実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を
示す写真である。次の図25に示す、スポンジ構造の従来品S1に比べると、飛び散り水の量は極めて少なく、約10分の1である。
[従来品S1:付着染料水の写真]
図25は、従来品S1(スポンジ構造、保水状態)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を示す写真である。図24に示した本発明の実施例2に比べて、飛び散り水の量は非常に多く、約10倍である。
[従来品B2:付着染料水の写真]
図26は、従来品B2(ボール形状、受尿部に多列スリットあり)を用いて飛散防止効果検証実験を行った際に、飛び散って容器側面303に付着した付着染料水311の量を示す写真である。図24に示した本発明の実施例2に比べて、飛び散り水の量は多く、約4倍である。
[従来品と本発明の実施例2の飛散防止効果の比較]
次の表2は、男子小便器用飛散防止具1の従来品と本発明の実施例2の飛散防止効果検証実験の結果を比較してまとめたものである。
表2
基準Nは、比較の基準とするためのもので、なにも置かないで実験した結果を示す。即ち、容器底面302に何も置かずに、容器底面302から70cmの高さから染料水310を落として、付着染料水311の重量を計測したものである。3回の計測の結果、付着染料水311の重量、即ち飛び散り水の質量の平均値は6.52gであった。以下では、この基準Nの場合の飛び散り水の質量の平均値6.52gを基準として、試行品を置いて3回実験した場合の飛び散り水の質量の平均値を百分率で表した値を飛び散り率と呼ぶ。
本発明の実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)の場合には、飛び散り水の質量
の平均は0.47g、飛び散り率は7.2%であった。基準Nと比べて飛び散り水を92.8%も低減しており、本発明品が優れた飛散防止効果を示すことがわかる。
従来品S1(スポンジ構造、保水状態)の場合には、飛び散り水の質量の平均は4.49g、飛び散り率は68.9%であった。基準Nと比べて飛び散り水を約3割低減しているが、本発明の実施例2と比べると飛散防止効果は小さく、飛び散り水の量は実施例2の約10倍である。
従来品S2(スポンジ構造、乾燥状態)の場合には、飛び散り水の質量の平均は3.76g、飛び散り率は57.6%であった。基準Nと比べて飛び散り水を約4割低減しているが、本発明の実施例2と比べると飛散防止効果は小さく、飛び散り水の量は実施例2の約8倍である。
尚、スポンジ構造の従来品において、保水状態(S1)の方が乾燥状態(S2)より飛び散り水の量が多くなるのは、保水状態ではスポンジの気泡部分が水分で埋まり、スポンジ表面が水分で覆われた面を形成し、落下する染料水をより反射し易くなるためと思量される。
本発明品においては、様々な方向に伸びる樹脂製ワイヤ21や、樹脂製ワイヤ21が形成する閉ループや開ループが、迅速な導水と排水を可能とするので、小さな閉ループであっても、閉ループを縁としてその内部に表面張力により面的に水分が張りつくことは少なく、放尿水の表面部2における外側への反射を低減することができる。
従来品B1(芳香ボール、受尿部に多列スリットなし)の場合、飛び散り水の質量の平均は8.07gで、基準Nの約1.2倍と多かった。これは、樹脂製ボールの上に凸な曲面部分に当たった染料水310が周囲に反射して飛び散るためであり当然である。
従来品B2(芳香ボール、受尿部に多列スリットあり)の場合、飛び散り水の質量の平均は2.01g、飛び散り率は30.8%であった。基準Nと比べて飛び散り水を約7割低減しているが、本発明の実施例2と比べると飛散防止効果は小さく、飛び散り水の量は実施例2の約4倍と多い。
図27は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具101において、フラット形状の表面部2を有する実施例5の斜視図である。
フラット形状とは、円錐台の上面及び側面からなる形状であって、例えるならば菓子のプリンの上面及び側面からなる形状である。上面が平坦であることをもってフラット形状と呼んでいる。内部に薬剤6を収容するための収容部5のスペースが確保できるならば、上記円錐台の上面と底面の面積比や、側面の高さは問わない。表面部2の形状は、収容部5に収容する薬剤6の形状、男子小便器用飛散防止具1を置く男子用小便器の内壁面の形状、及び美的外観等を考慮して、ドーム形状又はフラット形状などから選択することができる。
図28は、本発明に係る男子小便器用飛散防止具102において、表面部2と第2表面部3のいずれもがドーム形状の前記表面層から構成される実施例6の斜視図である。
いずれも前記不規則網状構造体27からなる表面部2と前記第2表面部3が接合部4で接合されているので、本形態には上下の区別がなく、裏返して使用することができる。即ち、本形態の男子小便器用飛散防止具は、前記第2表面部3を上に、前記表面部2を下にして男子小便器の内壁面に置くことにより、前記第2表面部3が放尿水0を受ける状態にして使用することもできる。この場合、下側になった前記表面部2は、前記第2表面部3に捕捉され、前記収容部5を通って前記表面部2へと導かれた放尿水を、前記表面部2の前記樹脂製ワイヤ21を導水線として外部へと排水する役割を担う。
図28の第2表面部3の形状は、表面部2の形状と同じ形状であって、男子小便器用飛散防止具201は前記接合部4に関し対称的である。しかし、一般には非対称であってもよい。その場合、前記第2表面部3の形状は、収容部5に収容する薬剤6の形状、男子小便器用飛散防止具1を置く男子用小便器の内壁面の形状、及び美的外観等を考慮して、ドーム形状又はフラット形状などから選択することができる。
[線材径や形状の異なる本発明の実施例の飛散防止効果]
次の表3は、線材径や形状の異なる本発明の実施例の飛散防止効果検証実験の結果をまとめたものである。
表3
基準Nは、前述の通り、なにも置かないで実験した結果を示す。
実施例1(ドーム形状、平均線材径Φ0.45mm)の場合には、飛び散り水の質量の平均は0.52g、飛び散り率は8.0%であった。基準Nと比べて飛び散り水を92.0%低減している。
実施例2(ドーム形状、平均線材径Φ0.63mm)の場合は再掲になるが、飛び散り水の質量の平均は0.47g、飛び散り率は7.2%であった。基準Nと比べて飛び散り水を92.8%低減している。
実施例3(ドーム形状、平均線材径Φ1.17mm)の場合には、飛び散り水の質量の平均は0.55g、飛び散り率は8.4%であった。基準Nと比べて飛び散り水を91.6%低減している。
実施例4(ドーム形状、平均線材径Φ1.81mm)の場合には、飛び散り水の質量の平均は0.60g、飛び散り率は9.2%であった。基準Nと比べて飛び散り水を90.8%低減している。
実施例1〜4の実験結果より、線材径が異なっても透視面積分布が特定の条件を満たしていれば、本発明品が飛び散り水の量を基準Nと比べて10分の1未満に低減し、優れた飛散防止効果を示すことがわかる。
尚、線材径分布が本願の特定する条件を満たさず、線材径が2mmを超える太い樹脂製ワイヤが大半を占める場合には、表面部に当たって直接外部へと反射する放尿水が多くなり、飛散防止効果は小さくなる。逆に、線材径が0.4mm未満の細い樹脂製ワイヤが大半を占める場合には、透視面積分布についての前記の条件を満たすような樹脂製ワイヤの体積量は少ないので、表面層が構造的に脆弱となる。
実施例5(フラット形状、平均線材径0.63mm)を表す。飛び散り水の質量の平均は0.51g、飛び散り率は7.8%であった。基準Nと比べて飛び散り水を92.2%低減している。実施例5については透視面積分布の直接測定は行っていないが、当該分布は、前駆品Zの透視面積分布とほぼ同じであると考えられる。この結果から、表面部の形状が異なっても透視
面積分布が特定の条件を満たしていれば、本発明品が飛び散り水の量を基準Nと比べて10分の1未満に低減し、優れた飛散防止効果を示すことがわかる。
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
以上詳述したように、本発明に係る男子小便器用飛散防止具は、放尿水を受ける表面部を厚みを有した一層の表面層から形成し、前記表面層を樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体からなるものとすることで、多層構造の複雑さを回避して構造的な強固さを確保し、併せて尿滴飛散防止効果の飛躍的な向上を図るものである。又、放尿水の尿温度に反応して変色する樹脂製ワイヤを用いて前記表面層を構成することにより、放尿者の心理に働きかけて、放尿水の経路を本発明の男子小便器用飛散防止具に当たる方向へと向けさせることができる。更に、本発明に係る男子小便器用飛散防止具は、内部に洗浄芳香剤等の薬剤を収容可能であり、表面部の前記不規則網状構造体が優れた導水性と通気性を有するので、薬剤を溶かし込んだ放尿水が洗浄機能を発揮し、又、芳香拡散機能も有する。従って、トイレ用品業界の業態の活性化を図ることができる。
0 放尿水
1 男子小便器用飛散防止具
2 表面部
3 第2表面部
4 接合部
5 収容部
6 薬剤
7 樹脂板
8 反射尿滴
20 表面層
21 樹脂製ワイヤ
22 平行光線
23 透視孔
24 透視孔の断面
25 樹脂製ワイヤの影
27 不規則網状構造体
28 投影面
29 三次元不規則網状構造
71 樹脂板周縁部
72 樹脂板中央部
73 段差
74 水抜き穴
101 表面部がフラット形状を有する男子小便器用飛散防止具
102 第2表面部がドーム形状を有する男子小便器用飛散防止具
201 多角形の周長と面積の関係(円の場合)
202 多角形の周長と面積の関係(円の3分の1の面積の場合)
300 アクリル容器
301 容器上面
302 容器底面
303 容器側面
304 ビーカー
305 ビーカー注ぎ口
306 注水穴
307 表面部最高点
310 染料水
311 付着染料水

Claims (12)

  1. 放尿水を受ける表面部と、前記表面部の内側に薬剤を内蔵すべき収容部を有し、前記表面部は厚みを有した表面層から形成されており、前記表面層は、樹脂製ワイヤが三次元不規則網状構造を形成した不規則網状構造体からなり、前記樹脂製ワイヤの線材径は特定の線材径分布を有し、前記表面部を外側から垂直に透視したときに、前記不規則網状構造体は透視面積が様々に異なる多数の透視孔を有し、前記透視孔の透視面積が特定の透視面積分布を有することを特徴とする男子小便器用飛散防止具。
  2. 前記三次元不規則網状構造とは、前記樹脂製ワイヤから形成された向き及び形状の異なる多数のループが相互に連結され、又は少なくとも一部が互いに接触して、三次元的に不規則に配列した構造であり、前記樹脂製ワイヤの各部分は、前記表面部に対して三次元的に様々な方向に伸びる請求項1に記載の男子小便器用飛散防止具。
  3. 前記不規則網状構造体は、前記表面部に当たる前記放尿水の外側への反射を減じて前記放尿水を前記表面層内部に進入させ、進入させた前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより様々な方向へ散乱させ、散乱された前記放尿水を前記樹脂製ワイヤにより捕捉し、捕捉した前記放尿水を前記樹脂製ワイヤを導水線として前記収容部の方向へと導水する請求項1又は2に記載の男子小便器用飛散防止具。
  4. 前記透視面積分布は、小面積から大面積まで広く分布し、横軸を前記透視孔の透視面積、縦軸を前記透視孔の個数で表したとき、0mm〜1mm、1mm〜2mm、2mm〜3mm、3mm〜4mm、及び4mm〜5mmの5つの区間において、どの区間の個数も前記透視孔の総個数の5%以上である請求項1、2、又は3に記載の男子小便器用飛散防止具。
  5. 前記透視面積分布は、前記透視面積が1mm〜5mmの範囲内において、前記透視面積が大面積になる程、前記透視孔の個数が少なくなる減少傾向を有する請求項4に記載の男子小便器用飛散防止具。
  6. 前記線材径分布は、横軸を前記線材径、縦軸を前記樹脂製ワイヤの測定本数で表したとき、前記線材径が0.4mm〜2mmの範囲内に、過半数の前記測定本数が含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の男子小便器用飛散防止具。
  7. 前記表面部は、ドーム形状又はフラット形状である請求項1〜6のいずれかに記載の男子小便器用飛散防止具。
  8. 前記収容部を介して前記表面部と対向する側に第2表面部を設け、前記表面部と前記第2表面部を接合する接合部を有する請求項1〜7のいずれかに記載の男子小便器用飛散防止具。
  9. 前記第2表面部も前記表面層から形成されている請求項8に記載の男子小便器用飛散防止具。
  10. 前記第2表面部が、1個以上の水抜き穴を有する平面状又は略平面状の樹脂板からなる請求項8に記載の男子小便器用飛散防止具。
  11. 前記樹脂製ワイヤが前記放尿水の尿温度に反応して変色するように構成されている請求項1〜10のいずれかに記載の男子小便器用飛散防止具。
  12. 前記収容部に芳香洗浄剤を収容した請求項1〜11のいずれかに記載の男子小便器用飛散
    防止具。
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