JP2017043937A - 変位計測方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切羽から斜め前方に向うガイド管31を配置する配管工程と、ガイド管31内に変位計32を挿入する計器設置工程と、変位計32により切羽前方の変位を測定するとともに、トンネル1坑内において変位計測を行う変位計測工程とを備えており、配管工程では、標準断面よりも少なくとも頂部が拡幅された部分から標準断面の外側に位置するようにガイド管31を配置し、変位計測工程では、切羽前方の計測結果とトンネル坑内の計測結果とを統合する。
【選択図】図3
Description
そのため、トンネル施工中は、変位計測を実施して、適切な支保構造や補助工法を選定することで周辺地盤の変位を管理する必要がある。
トンネル施工時の変位計測は、トンネル坑内において実施するのが一般的であるが、地山状況に応じた支保構造や補助工法を採用するためには、切羽前方の地山状況を把握する必要がある。
また、特許文献2には、切羽から斜め前方に向けてガイド管を打設し、続いて、トンネルの掘削断面内に突出するガイド管の基端部をはつり取りつつトンネルを掘進した後、掘削断面の外側に配管されたガイド管の残部に変位計を挿入し、この変位計により切羽前方の変位を計測する地中変位計測方法が開示されている。
また、特許文献2に記載の変位計測方法は、ガイド管の基端部の数mを撤去する必要があるため、その分、切羽前方の計測範囲が狭くなってしまう。また、トンネル掘削に伴ってガイド管の基端部をはつるため、変位計挿入時のガイド管の姿出しに手間がかかる。また、ガイド管の基端部には切削し易く強度が比較的弱い材質(例えば、塩化ビニル)を採用するため、ガイド管の打設を慎重に行う必要がある。さらに、基端部の切削に伴う振動によりガイド管に変位が生じるおそれがある。ガイド管に変位が生じると、トンネル施工に伴う変位測定値に影響が及ぶおそれがある。
なお、前記ガイド管の基端の変位を測定し、前記ガイド管の先端を基点とした変位量を算出するのが望ましい。また、前記ガイド管の長さ方向に設定された複数の測点において変位を測定するのが望ましい。
また、トンネル坑内から切羽前方に向けて変位計を設置することができるため、立坑の有無やトンネルの延長の大小に関わらず、トンネル各所において変位計測を実施することができる。
また、切羽前方の計測結果とトンネル坑内の計測結果とを統合するため、切羽前方を含めた全体的な変位計測を高精度に実施することができる。
本実施形態のトンネル1は、図1に示すように、掘削により露出した地山を、鋼製支保工12や吹付けコンクリート13等の支保工11により閉塞する、いわゆる山岳トンネル工法により形成する。なお、トンネル1は、支保工11に加えて、補助工法を併用してもよい。
図1に示すように、トンネル1には、所定の延長(例えば12m)毎に拡幅部14が設けられている。
拡幅部14では、図2(b)に示すように、トンネル1の上半が標準断面S0よりも上側に拡幅されている。本実施形態では、トンネル1の上半のみを拡幅する場合について説明するが、拡幅部14の断面形状は、少なくとも上部が拡幅されていれば限定されるものではなく、例えば、上側に加え側方を拡幅してもよい。
拡幅部14では、図3に示すように、最大拡幅断面Smaxの手前(切羽の反対側)2基目の鋼製支保工12A(12)から徐々にトンネル断面を拡幅し、最大拡幅断面Smaxの次基の鋼製支保工12B(12)において標準断面S0になるように縮径する。なお、拡幅部14の範囲(延長距離)は限定されるものではない。
本実施形態では、変位計32として、ケーブル状の傾斜計であって、所定の長さ毎の測点において傾斜角度を測定することができる3D地中変位計(SAAセンサー:SK Laboratory社製)を使用する。なお、変位計32は前記のものに限定されるものではなく、例えば、棒状のプローブを備えた傾斜計等であってもよい。
本実施形態のトンネル施工方法は、トンネル1の掘進とともに地盤の変位計測を行う(変位計測方法を含む)ものであり、拡幅部施工工程、配管工程、掘進工程、計器設置工程および変位計測工程を備えている。
拡幅部14は、前方変位計測装置3(ガイド管31)の設置個所(最大拡幅断面Smax)の支保工12の2基手前の支保工12Aから、拡幅掘削を行うことにより形成する。なお、拡幅掘削の開始位置は限定されるものではなく、例えば、最大拡幅断面Smaxの支保工12の3基以上手前の支保工12から開始してもよい。
拡幅部14は、ガイド管31を打設するドリルジャンボのガイドセルが吹き付け面に干渉しない形状に形成する。本実施形態では、最大拡幅断面Smaxの頂部が標準断面S0よりも200mm大きくなるようし、その手前1mにおける拡幅断面S1の頂部が標準断面S0よりも100mm大きくなるように拡幅部14を形成する。
拡幅部14の施工に伴い、切羽2には鏡吹付けを行い、鏡コンクリート15を形成する。
ガイド管31は、ドリルジャンボを利用して配置する。
具体的には、最大拡幅断面Smaxの拡幅部分(標準断面からはみ出す部分)から標準断面S0の外側に位置するようにガイド管31を打設する。すなわち、ガイド管31の基端部は、トンネル1の一般部(標準断面S0)の内面よりも外側(地山側)に位置する。なお、ガイド管31は、吹付けコンクリート13の表面に近接した位置から地盤Gに挿入するように施工するのが望ましい。
ガイド管31の傾斜角φは限定されるものではないが、本実施形態では水平面に対して傾斜角φ=6°となるようにガイド管31を打設する。なお、ガイド管31の傾斜角φは、次基の鋼製支保工12との離隔を確保できるように設定する。傾斜角φは、なるべく小さくすることでトンネル1とガイド管31との離隔を小さくすることが望ましい。
掘進工程では、ガイド管31を損傷することがないように、地山の掘削および支保工の設置を行う。
なお、最大拡幅断面の次基の支保工11(鋼製支保工12)の施工が完了したら、掘進工程を中断し、計器設置工程を実施する。
ガイド管31内に変位計32を挿入したら、ガイド管31の内面と変位計32との隙間に充填材33を充填する。なお、充填材33を構成する材料は限定されるものではなく、例えばセメントミルクやモルタル等のセメント系固化材、シリカレジン等を使用すればよい。
切羽前方の変位測定は、ガイド管31内に挿入された変位計32により行う。変位計32は、ガイド管31の長さ方向に設定された複数の測点において変位を測定する。
切羽前方の地盤変位を測定する場合には、まず、変位計32を設置した直後に初期値を測定する。初期値を測定した後、トンネルの掘進を再開するとともに自動計測により切羽前方の変位計測を行う。
なお、ガイド管31の基端の測定方法は限定されるものではないが、本実施形態では、トータルステーションを用いて測定する。
図6(a)に示すように、切羽前方の変位(線形L1)は、ガイド管31の先端から切羽2に近づくにしたがって変位量が増加する傾向を示す。ここで、図6(a)〜(c)は、変位量uを最終変位量u0で除したトンネル内空変位比率と切羽からの距離との関係を示すグラフである。
図6(b)に示すように、トンネル坑内の変位(線形L2)は、切羽通過直後に急激に増加し、その後、切羽から離れるに従って徐々に増加した後、一定の変位量(最終変位量)に落ち着く。
トンネル坑内の変位測定結果は、図6(c)に示すように、切羽前方の計測結果と統合する。変位測定結果の統合は、切羽前方の変位(線形L1)にトンネル坑内の変位(線形L2)をつなぎ合わせることにより行う。このとき、線形L2(トンネル坑内の変位)の基点が、線形L1の切羽(ガイド管31の基点)における変位量となるように、線形L2を全体的にスライド(上昇)させる。すなわち、トンネル坑内の変位量(トンネル壁面の変位量)は、ガイド管31の先端を不動点と仮定した場合におけるガイド管31の基端部における沈下量をトンネル坑内の変位の測定値に加えた値とする。
ガイド管31を拡幅部14において施工するため、掘削作業の際に、ガイド管31を切断する必要がなく、したがって、計測範囲が広い。また、ガイド管31の基端が露出しているため、ガイド管31の姿出しを要しない。そのため、簡易に変位計を設置することができる。さらに、ガイド管31として鋼管等の強度の高い管材を全長にわたって使用すれば、ガイド管31の打設が容易である。
また、トンネル坑内から切羽前方に向けて変位計32を設置することができるため、立坑の有無やトンネル1の延長の大小に関わらず、トンネル1の全長にわたって変位計測を実施することができる。
また、トンネル坑内から変位計測を行うため、トンネル上方の地上部を占有する必要がなく、都市部等のように地上部から計測が困難な場合であっても、計測管理を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、ガイド管の先端を基点として変位量を算出するものとしたが、変位量の算出方法は限定されるものではない。
また、前記実施形態では、ガイド管の長さ方向に沿った複数の測点において変位を測定するものとしたが、測点をガイド管の先端のみにする等、ガイド管の長さ方向に対して必ずしも複数の測点を設定する必要はない。
前記実施形態では、トンネル1の支保構造とは別に変位計測装置3を設置する場合について説明したが、例えば、AGF工法や先受けフォアパイリング等の補助工法で使用する鋼管内に変位計32を設置してもよい。
11 支保工
12 鋼製支保工
13 吹付けコンクリート
14 拡幅部
2 切羽
3 変位計測装置
31 ガイド管
32 変位計
S0 標準断面
Smax最大拡幅断面
Claims (3)
- 切羽から斜め前方に向うガイド管を配置する配管工程と、
前記ガイド管内に変位計を挿入する計器設置工程と、
前記変位計により切羽前方の変位を測定するとともに、トンネル坑内において変位計測を行う変位計測工程とを備える変位計測方法であって、
前記配管工程では、標準断面よりも少なくとも頂部が拡幅された部分から前記標準断面の外側に位置するように前記ガイド管を配置し、
前記変位計測工程では、切羽前方の計測結果とトンネル坑内の計測結果とを統合することを特徴とする、変位計測方法。 - 前記ガイド管の基端の変位を測定し、前記ガイド管の先端を基点とした変位量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の変位計測方法。
- 前記ガイド管の長さ方向に設定された複数の測点において変位を測定することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の変位計測方法。
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