JP2017043766A - 発泡成形用組成物、発泡成形体及び発泡成形用熱膨張性微小球 - Google Patents
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Abstract
Description
上記の問題を解消するために充填材を添加し、熱可塑性樹脂の使用量を抑え、さらに、充填材の添加による質量の増加を抑制するため、熱可塑性樹脂を発泡させて軽量化する検討がなされている。
本発明の目的は、無機充填剤を配合した発泡成形用組成物であって、成形時の熱膨張性微小球の破壊による成形体表面の凹みを抑制でき、かつ高い発泡倍率を有する発泡成形用組成物、該発泡成形用組成物を成形してなる発泡成形体及び該発泡成形用組成物に好適に用いることができる熱膨張性微小球を提供することである。
1)前記熱膨張性微小球の重量割合が、前記無機充填剤100重量部に対して、1〜20重量部である。
2)前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分の重合体である。
3)前記重合性成分が、さらにカルボキシル基含有単量体を含む。
4)前記熱膨張性微小球の膨張開始温度が140〜200℃である。
5)前記無機充填剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、ガラスビーズ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種である。
発泡成形体における気泡の体積と無機充填剤の体積の比(気泡:無機充填剤)は、0.5:1〜23:1であることが好ましい。
本発明の発泡成形体は、優れた外観を有し、かつ高い発泡倍率を有する。
本発明の発泡成形用熱膨張性微小球を用いれば、成形時の熱膨張性微小球の破壊による成形体表面の凹みを抑制でき、かつ高い発泡倍率を有する発泡成形体を得るこができる。
本発明の発泡成形用組成物は、特定の熱膨張性微小球、塩化ビニル系樹脂を除く基材成分及び無機充填剤を含有し、発泡成形用組成物に占める無機充填剤の重量割合が20〜70重量%である。以下に詳細に説明する。
無機充填剤は本発明の発泡成形体の必須成分である。発泡成形用組成物に占める前記無機充填剤の重量割合は、20〜70重量%であり、好ましくは30〜68重量%、より好ましくは40〜60重量%であり、さらに好ましくは45〜55重量%である。該重量割合が20重量%未満の場合、樹脂使用量を抑制する点において不十分であり、得られた発泡成形体の剛性も低くなる。一方、該重量割合が70重量%超の場合、発泡性成形用組成物より製造する発泡成形体に割れや裂けが起こる。
無機充填剤は、その表面を飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、樹脂酸等やそれらの塩、シランカップリング剤等で処理を施したものを使用してもよい。
本発明で用いる無機充填剤は、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維を除くものである。充填剤として無機繊維を用いた場合、発泡成形体に歪みが生じやすく、好ましい発泡成形体が得られない可能性がある。
本発明で用いる熱膨張性微小球は、発泡成形用であって、無機充填剤と併用するものである。熱膨張性微小球は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻(シェル)11と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤(コア)12とから構成される熱膨張性微小球である。この熱膨張性微小球はコア−シェル構造をとっており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。
本願効果を発揮するためには、140℃における熱膨張性微小球の内圧が0.6〜1.4MPaであり、250℃における熱膨張性微小球の内圧が3〜6.2MPaである必要がある。このような特定の内圧を有する熱膨張性微小球を用いることにより、無機充填剤が所定量配合された場合であっても、成形時に熱膨張性微小球が大きく膨張することがないため、熱膨張性微小球の外殻の厚みが薄くならず、熱膨張性微小球の破壊は抑制できる。これにより成形時の熱膨張性微小球の破壊による成形体表面の凹みを抑制でき、かつ高い発泡倍率を有する発泡成形体を得るこができる。
同様に、本発明の効果をより発揮させる点から、250℃における熱膨張性微小球の内圧は、好ましくは3.1〜6MPa、より好ましくは3.6〜5.5MPa、さらに好ましくは4〜5.2MPa、特に好ましくは4.2〜5MPaである。当該内圧が3MPa未満の場合、熱膨張性微小球の膨張倍率が低くなり、得られる発泡成形体の発泡倍率が低くなることがある。一方、当該内圧が6.2MPa超の場合、成形時に熱膨張性微小球が大きく膨張し、熱膨張性微小球の外殻の厚みが薄くなり、無機充填剤との接触により破壊されてしまい、所望の軽量化された発泡成形体が得られないことがある。
発泡剤は熱膨張性微小球の膨張倍率を高める点から、炭素数11以下の炭化水素を含有することが好ましい。発泡剤に占める炭素数11以下の炭化水素の重量割合は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは55〜90重量%、さらに好ましくは60〜85重量%である。更に、発泡剤に占める炭素数13以上の炭化水素と炭素数11以下の炭化水素の合計の重量割合は、好ましくは70重量%超、より好ましくは73重量%超、さらに好ましくは80重量%超である。
また、熱膨張性微小球の内圧を調整する点から、発泡剤に占める炭素数12の炭化水素を含有してもよい。発泡剤に占める炭素数12の炭化水素の重量割合は、好ましくは30重量%未満、より好ましくは27重量%未満、さらに好ましくは20重量%未満である。
ニトリル系単量体は、熱膨張性微小球の外殻の強度を高める点から、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルを含有することが好ましく、メタクリロニトリルを必須に含有することが好ましい。
ニトリル系単量体に占めるメタクリロニトリルの重量割合は、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%、さらに好ましくは32〜40重量%である。
カルボキシル基含有単量体としては、遊離カルボキシル基を1分子当たり1個以上有するものであれば特に限定はないが、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;不飽和ジカルボン酸の無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸モノエステル等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は、1種又は2種以上を併用してもよい。カルボキシル基含有単量体は、一部又は全部のカルボキシル基が重合時や重合後に中和されていてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に限定はないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミド系単量体としては、特に限定はないが、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、特に限定はないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、p−ニトロスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
架橋剤としては、特に限定はないが、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。これらの架橋剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール;クメンハイドロパーキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等のパーオキシエステルを挙げることができる。
水性分散媒は、油性混合物を分散させるイオン交換水等の水を主成分とする媒体であり、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、重合性成分100重量部に対して、100〜1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、例えば、第三リン酸カルシウム、複分解生成法により得られるピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウムや、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの分散安定剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
分散安定剤の配合量は、重合性成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部である。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、例えば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法では、所定粒子径の球状油滴が調製されるように油性混合物を水性分散媒中に懸濁分散させる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水性分散媒に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、例えば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
金属塩は、2価以上の金属カチオンが好ましく、例えばAl、Ca、Mg、Fe、Ti、Cu等が挙げられる。添加のしやすさから、水溶性が好ましいが、非水溶性でも構わない。金属含有有機化合物は、表面処理効率より、水溶性であると好ましく、周期表3〜12に属する金属を含有する有機化合物であると、耐熱性がさらに向上するため好ましい。
イオン性物質の含有量を低減させる目的で、ケーキ状物を水洗及び/又は再分散後に再濾過し、乾燥させても構わない。また、スラリーを噴霧乾燥機、流動乾燥機等により乾燥し、乾燥粉体を得てもよい。
基材成分とは、発泡成形体を構成する成分であって、成形により一定の形を付与することを可能とする成分である。本発明で用いる基材成分は、塩化ビニル系樹脂を除くものである。ここで、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニル単量体のみを重合性成分として重合した樹脂、塩化ビニル単量体を主成分(重合性成分に占める塩化ビニル単量体の重量割合が50重量%以上100重量%未満をいう)として酢酸ビニル単量体等の塩化ビニル単量体以外の重合性単量体を含有する重合性成分を重合させた樹脂をいう。
これらの中でも、無機充填剤を含む発泡成形体の成形性の点から、好ましくはゴム類、ワックス類、熱可塑性樹脂、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー、バイオプラスチックである。
熱膨張性微小球と基材成分以外にも、必要に応じて、有機系充填剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、安定剤等の各種添加剤を含有していてもよい。その場合、熱膨張性微小球および基材成分に対して、第三成分として各種添加剤を添加してもよい。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、カオリン、クロム黄、フタロシアニンブルー、赤鉛等が挙げられる。
帯電防止剤としては、特に限定はないがアニオン系帯電防止剤、非イオン系帯電防止剤等が挙げられる。
発泡成形用組成物の製造方法としては、1)前述の無機充填剤、熱膨張性微小球及び基材成分を基材成分の融点又は軟化点以上、熱膨張性微小球の膨張開始温度以下の温度で溶融混練して無機充填剤、熱膨張性微小球及び基材成分のコンパウンド(発泡成形用組成物)を製造する方法、2)無機充填剤と基材成分を基材成分の融点又は軟化点以上の温度で溶融混練して、無機充填剤のマスターバッチを製造し、これとは別に熱膨張性微小球と基材成分を基材成分の融点又は軟化点以上、熱膨張性微小球の膨張開始温度以下の温度で溶融混練して熱膨張性微小球のマスターバッチを製造し、無機充填剤及び熱膨張性微小球のマスターバッチを均一に混合して製造する方法、3)1)において、無機充填剤を2)に記載の無機充填剤のマスターバッチに変えて、コンパウンド(発泡成形用組成物)を製造する方法、4)1)において、熱膨張性微小球を2)に記載の熱膨張性微小球のマスターバッチに変えて、コンパウンド(発泡成形用組成物)を製造する方法等が挙げられる。
コンパウンド又はマスターバッチを製造する方法としては、特に限定はないが、ニーダー、ロール、ミキシングロール、ミキサー、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等により混合することが好ましい。
製造したコンパウンドを単軸押出機や二軸押出機等に供給し加熱成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。また、製造したコンパウンドをニーダーや単軸押出機や二軸押出機等を使用して造粒し、単軸押出機や二軸押出機や射出成形機等に供給し加熱成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。
製造した無機充填材及び熱膨張性微小球のマスターバッチの混合物である発泡成形用組成物を単軸押出機や二軸押出機や射出成形機等に供給し加熱成形することにより、発泡成形体を製造することが可能である。
また、熱膨張性微小球のマスターバッチにおける熱膨張性微小球の重量割合は、25〜75重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
本発明の発泡成形体は、前述の発泡成形用組成物を成形してなるものである。本発明の発泡成形体は、本発明の発泡成形用組成物を用いているため、成形時の熱膨張性微小球の破壊による成形体表面の凹みを抑制できるため、優れた外観を有しており、また、高い発泡倍率を有している。
発泡成形体の製造方法について、押出成形により発泡成形体を製造する工程を例に挙げて説明する。使用する押出成形機としては、シリンダー部にヒーター及び熱電対を備えており、発泡成形用組成物を供給するための原料供給口を装備している。シリンダー内部には発泡成形用組成物をさらに溶融混練しながら原料供給口から押出し方向へ移動させるためのスクリューが設置されている。
ここで、発泡成形体の成形温度とは、溶融混練物が成形機のシリンダー内を移動する時の溶融混練物の温度をいう。
また、押出成形においては、ダイ直前に設けられたベントに真空ポンプ等を接続し、廃棄して、混練時に発生したボイドを抜くことも可能である。
ダイより押出された発泡成形体は、通常、空冷、水冷、ロール等の冷却設備にて冷却され、所望の発泡成形体となる。本発明においては、冷却設備、引取設備等の一般的な設備を使用できる。
また、以下で用いる熱膨張性微小球、実施例及び比較例で成形した発泡成形体について次に示す要領で物性の評価を行った。熱膨張性微小球を単に微小球ということがあり、発泡成形体を単に成形体ということがある。
レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC社製、HEROS&RODOS)を使用した。乾式分散ユニットの分散圧は5.0bar、真空度は5.0mbarで乾式測定法により測定し、D50値を平均粒子経とした。
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業株式会社)を用いて測定した。
熱膨張性微小球の140℃又は250℃における内圧は、発泡剤を構成する各炭化水素の配合量より発泡剤を構成する各炭化水素のモル分率を算出し、発泡剤を構成する各炭化水素の140℃及び250℃の蒸気圧と算出した各炭化水素のモル分率を乗算し、それぞれ乗算した値を合計して、発泡剤の140℃及び250℃における蒸気圧を算出して、熱膨張性微小球の140℃又は250℃における内圧とした。
イソペンタン:140℃の蒸気圧1.5MPa、250℃の蒸気圧6.4MPa、分子量72
イソヘキサン:140℃の蒸気圧0.73MPa、250℃の蒸気圧3.8MPa、分子量86
イソオクタン:140℃の蒸気圧0.28MPa、250℃の蒸気圧1.8MPa、分子量114
イソドデカン:250℃の蒸気圧0.45MPa、分子量170
イソヘキサデカン:分子量226
イソドデカンの140℃の蒸気圧、イソヘキサデカンの140℃及び250℃の蒸気圧は非常に低いため、イソドデカンの140℃の蒸気圧、イソヘキサデカンの140℃及び250℃の蒸気圧を実質0MPaとして熱膨張性微小球の内包成分の蒸気圧を算出した。
測定装置として、DMA(DMA Q800型、TA instruments社製)を使用した。微小球0.5mgを直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに入れ微小球層の上部にアルミ蓋(直径5.6mm、0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧子により0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定した。正方向への変位開始温度を膨張開始温度(Ts)とし、最大変位量を示したときの温度を最大膨張温度(Tmax)として測定した。
熱膨張成微小球を含まずに成形した成形体の比重を発泡成形体の比重で除した値を算出し、発泡倍率とした。成形体の比重はK−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定を実施した。
電子顕微鏡(SEM)装置を用いて、得られた成形体断面の気泡状態の確認を行った。30倍で撮影したSEM写真から、単位面積あたりに占める独立気泡の割合を算出し、以下の評価基準に基づいて判定。
◎:均一独立(独立気泡率80%以上)
○:ほぼ均一独立(独立気泡率が50%以上80%未満)
×:不均一(独立気泡率が50%未満)
得られた成形体の断面を100倍で撮影したSEM写真より、ASTM・D3576−77に準じた方法で算出した。
得られた発泡成形体を幅15cm、長さ50cmに調製し、調製した発泡成形体を目視により確認し、以下の評価基準に基づいて判定した。
○:良好(熱膨張性微小球の破壊による凹みが5箇所未満で、表面荒れのない状態。)
△:やや不良(熱膨張性微小球の破壊による凹みが5箇所以上15箇所未満で、一部表面荒れが見られる状態。)
×:不良(熱膨張性微小球の破壊による凹みが5箇所以上15箇所未満で、全体的に表面荒れが見られる状態。)
発泡成形用樹脂組成物に配合される基材成分(無機充填剤および熱膨張性微小球のマスターバッチに含まれる基材成分も含む)、無機充填剤の重量を基材成分および無機充填剤のそれぞれの密度で除した値を基材成分および無機充填剤の体積として算出し、算出した体積の値を合算した。合算した体積の値と、前記の方法にて算出した発泡成形体の発泡倍率から1引いた値とを乗算して、発泡成形体における気泡の体積の値を算出した。算出した無機充填剤の体積の値を1として、算出した気泡の体積の値を無機充填剤の体積の値で除して算出した値を、発泡成形体における気泡の体積と無機充填剤の体積の比とした。なお、基材成分及び無機充填剤の密度は以下の通りである。
エチレン―酢酸ビニル(EVA)樹脂:密度0.93g/cm3
ポリエチレン樹脂:密度0.94g/cm3
酸変性ポリエチレン樹脂:密度0.94g/cm3
ポリプロピレン樹脂:密度0.90g/cm3
酸変性ポリプロピレン樹脂:密度0.90g/cm3
炭酸カルシウム:密度2.7g/cm3
タルク:密度2.7g/cm3
〔製造例1〕
イオン交換水600gに、塩化ナトリウム120g、シリカ有効成分20重量%であるコロイダルシリカ50g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物3g及び5%水溶液のエチレンジアミン四酢酸・4Na塩0.1gを加え、pHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
これとは別に、アクリロニトリル155g、メタクリロニトリル79g、メタアクリル酸メチル15g、エチレングリコールジメタクリレート1g、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)1.5g、イソペンタン30g、イソオクタン25g、イソドデカン15gを混合して油性混合物を調整した。
水性分散媒と油性混合物を混合し、得られた混合物をホモミキサー(特殊機化工業社製、TKホモミキサー)により分散して、懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.5MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で20時間重合した。重合後に得られた重合液を濾過、乾燥して得られた熱膨張性微小球を微小球1とした。得られた微小球1の物性を表1に示す。
製造例1で用いた各種成分および量を、表1、2に示すものに変更する以外は製造例1と同様にして微小球2〜20をそれぞれ得た。得られた微小球2〜20のそれぞれの物性を表1、2に示す。なお、表1、2の各種成分の略号の詳細を表3に示す。
50重量部の熱膨張性微小球1、2重量部の流動性パラフィンオイル(P−200)及び48重量部のエチレン―酢酸ビニル(EVA)樹脂をリボンミキサーでブレンドし、ラボプラストミル(東洋精機社製;シリンダー温度およびダイ温度は全て100℃、スクリュー回転数30rpm)を用いて直径2mmのストランド状に押出した。得られたストランドを空冷した後、ペレタイザーにて長さ4mmの俵状のペレットとし、熱膨張性微小球1を50重量%含有したマスターバッチ1(MB1)を得た。
また、熱膨張性微小球1を熱膨張性微小球2〜20に変更する以外はMB1の調製と同様にして、マスターバッチ2〜20(MB2〜20)をそれぞれ得た。
75重量部の炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、PO−120−B−10、平均粒子径1.8μm)、5重量部のポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLL UJ960、融点:126℃)及び20重量部の酸変性ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、レクスパールET230X、融点:99℃)をリボンミキサーでブレンドし、ラボプラストミル(東洋精機社製;シリンダー温度およびダイ温度は全て165℃、スクリュー回転数20rpm)を用いて直径2mmのストランド状に押出した。得られたストランドを空冷した後、ペレタイザーにて長さ4mmの俵状のペレットとし、無機充填剤である炭酸カルシウムを75重量%含有した無機充填剤マスターバッチ1を得た。
100重量部の無機充填剤マスターバッチ1(炭酸カルシウム75重量%含有)、40重量部のポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、ノバテックLL UJ960)、5重量部の熱膨張性微小球1のマスターバッチ(MB1)をあらかじめリボンミキサーにて混合させ発泡成形用組成物を得た。得られた発泡成形用組成物中の無機充填剤の含有率は52重量%、無機充填剤100重量部に対する熱膨張性微小球の含有量は3.3重量部となった。
得られた発泡成形用組成物の混合物を押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)の原料供給口から供給し、シリンダー内での混練物の温度(発泡成形体の成形温度)を190℃、Tダイ(幅150mm、リップ厚み1.7mm)の温度を190℃とし、スクリュー回転数40rpmで溶融混合物を押出し、板状発泡成形体(幅148mm、厚み1.7mm)を得た。
得られた発泡成形体の気泡状態、気泡径、表面の状態、発泡倍率、気泡の体積と無機充填剤の体積の比(気泡:無機充填剤)の評価をした。その結果を表4に示す。
実施例1−1において、使用する熱膨張性微小球のマスターバッチとその配合量、ポリエチレン樹脂の配合量、シリンダー内での混練物の温度(発泡成形体の成形温度)、Tダイの温度を表4、5に示すものに変更する以外は実施例1−1と同様にして、各発泡成形用組成物および各発泡成形体を得た。得られた各発泡成形体について、気泡状態、気泡径、表面の状態、発泡倍率、気泡の体積と無機充填剤の体積の比(気泡:無機充填剤)の評価をした。その結果を表4、5に示す。
75重量部のタルク(日本タルク社製、ミクロエースP−3、平均粒子径5.0μm)、5重量部のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP MA3H、軟化点:110℃)及び20重量部の酸変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成社製、ユーメックス1010、軟化点:145℃)をリボンミキサーでブレンドし、ラボプラストミル(東洋精機社製;シリンダー温度およびダイ温度は全て220℃、スクリュー回転数20rpm)を用いて直径2mmのストランド状に押出した。得られたストランドを空冷した後、ペレタイザーにて長さ4mmの俵状のペレットとし、無機充填剤であるタルクを75重量%含有した無機充填剤マスターバッチ2を得た。
100重量部の無機充填剤マスターバッチ2(タルク75重量%含有)、40重量部のポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP MA3H、軟化点:110℃)、5重量部の熱膨張性微小球7のマスターバッチ(MB7)をあらかじめリボンミキサーにて混合させ発泡成形用組成物を得た。得られた発泡成形用組成物中の無機充填剤の含有率は52重量%、無機充填剤100重量部に対する熱膨張性微小球の含有量は3.3重量部となった。
得られた発泡成形用組成物の混合物を押出成形機であるラボプラストミル(東洋精機社製)の原料供給口から供給し、シリンダー内での混練物の温度(発泡成形体の成形温度)を230℃、Tダイ(幅150mm、リップ厚み1.7mm)の温度を230℃とし、スクリュー回転数40rpmで溶融混合物を押出し、板状発泡成形体(幅149mm、厚み1.7mm)を得た。
得られた各発泡成形体について、気泡状態、気泡径、表面の状態、発泡倍率、気泡の体積と無機充填剤の体積の比(気泡:無機充填剤)の評価をした。その結果を表6に示す。
実施例2−1において、使用する熱膨張性微小球のマスターバッチとその配合量、ポリプロピレン樹脂の配合量、シリンダー内での混練物の温度(発泡成形体の成形温度)、Tダイの温度を表6、7に示すものに変更する以外は実施例2−1と同様にして、各発泡成形用組成物および各発泡成形体を得た。得られた各発泡成形体について、成形性、気泡状態、表面状態、発泡倍率の評価をした。その結果を表6、7に示す。
12 発泡剤
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包されかつ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される熱膨張性微小球、塩化ビニル系樹脂を除く基材成分及び無機充填剤を含有する発泡成形用組成物であって、
発泡成形用組成物に占める前記無機充填剤の重量割合が20〜70重量%であり、
140℃における前記熱膨張性微小球の内圧が0.6〜1.4MPaであり、250℃における前記熱膨張性微小球の内圧が3〜6.2MPaである、
発泡成形用組成物。 - 前記熱膨張性微小球の重量割合が、前記無機充填剤100重量部に対して、1〜20重量部である、請求項1に記載の発泡成形用組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、ニトリル系単量体を含む重合性成分の重合体である、請求項1又は2に記載の発泡成形用組成物。
- 前記重合性成分が、さらにカルボキシル基含有単量体を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡成形用組成物。
- 前記熱膨張性微小球の膨張開始温度が140〜200℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡成形用組成物。
- 前記無機充填剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、ケイ酸カルシウムアルミニウム、タルク、マイカ、ワラストナイト、ガラスビーズ及びカーボンブラックから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の発泡成形用組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の発泡成形用組成物を成形してなる、発泡成形体。
- 発泡成形体における気泡の体積と無機充填剤の体積の比(気泡:無機充填剤)が、0.5:1〜23:1である、請求項7に記載の発泡成形体。
- 無機充填剤と併用する発泡成形用熱膨張性微小球であって、
ニトリル系熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包されかつ加熱することによって気化する発泡剤とから構成され、
140℃における前記熱膨張性微小球の内圧が0.6〜1.4MPaであり、250℃における前記熱膨張性微小球の内圧が3〜6.2MPaである、
発泡成形用熱膨張性微小球。
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