JP2017043528A - 光ファイバ素線の製造方法および製造装置 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光ファイバ素線を製造するにあたり、被覆形成前の光ファイバ裸線にかかる線引張力を精度よく一定に保つことができる光ファイバ素線の製造方法および製造装置を提供する。【解決手段】光ファイバ母材2を加熱炉11で加熱することにより溶融紡糸して光ファイバ裸線3を形成する紡糸工程と、光ファイバ裸線3の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、を有する光ファイバ素線の製造方法を提供する。紡糸工程からコーティング工程までの間で、光ファイバ裸線3の方向を、流体により光ファイバ裸線3を浮上させつつ方向変換器20によって変換する。方向変換器20における光ファイバ裸線3の浮上位置を検出し、前記浮上位置の検出値に基づいて光ファイバ素線5の製造条件を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ素線の製造方法および製造装置に関する。
光ファイバ素線の製造工程には、母材を加熱炉により溶融して引取り、ガラス部の周囲に樹脂を塗布・硬化させたのちに巻取る、線引工程がある。線引工程において、光ファイバの特性を左右する重要なパラメータとして線引張力が挙げられる。
これは、引取りによって光ファイバに印加される引張張力に相当し、同じ光ファイバ母材より線引きされた光ファイバ素線においても、線引張力を変化させることで光学特性が変化することが広く知られている。
したがって、安定的に光ファイバ素線を製造するためには線引張力を一定に制御することが求められる。また、線引張力により光学特性が変化することを利用して、線引張力を変化させることで母材段階での長手方向の光学特性変動を小さくする手法も提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
線引張力を一定にするためには、そのときの線引張力を正確に把握する必要がある。ガラス部の光学特性に影響を与えているのはガラス部に印加される張力であることから、光ファイバのガラス部にかかる張力を正確に把握する必要がある。
しかしながら、特許文献2に以下のように記載されているとおり、正確かつ連続的にガラス部にかかる線引張力を測定することは困難であった(段落0020参照)。
「線引張力測定装置2 2には、一般的に接触式張力計が用いられることが多い。接触式張力計は、安価であり、測定精度が高いという利点がある一方、ガラスファイバ3に傷をつけることになるので、一般的に良好部を製造している間は、張力を測定することができない。接触式張力計以外にも、ガラスファイバ3の側方から円偏光の光を照射し、偏光状態の変化から、ガラスファイバ3に生じている線引張力の大きさを測定する方法もあるが、接触式張力計に比べ高価であり、測定精度も落ちる。このため、線引張力を直接測定する代わりに、以下で述べる被覆後張力を測定し、この被覆後張力から線引張力を求めることが多い」。
線引張力を一定にするには、一般的には、光ファイバ裸線へのコーティング(被覆層の形成)後の光ファイバ素線をプーリに介する際に、プーリに設けられたロードセル等を用いて張力を測定し、その測定値に基づいて被覆後の光ファイバ素線の張力(被覆後張力)が一定となるように製造条件を制御する方法がとられることが多い。
しかしながら、被覆後張力にはコーティング装置で発生するコーティング負担張力が含まれているため、被覆後張力を一定になるように制御した場合に、必ずしもガラス部にかかる線引張力まで一定にできるとは言いにくかった。
例えば、光ファイバ外径を一定に保つ制御には、応答速度の速い引取り速度(線引速度)を用いることが多いが、線引速度の変化によってコーティング負担張力が変化することが知られており、線引速度の変動が光ファイバの光学特性の長手変動につながっていた。このような状況から、ガラス部に係る線引張力を一定に保つことができる製造方法および製造装置が求められていた。
特開平8−217481号公報 特開2013−28508号公報
本発明の一態様は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光ファイバ素線を製造するにあたり、被覆形成前の光ファイバ裸線にかかる線引張力を精度よく一定に保つことができる光ファイバ素線の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、光ファイバ母材を加熱炉で加熱することにより溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸工程と、前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、を有し、前記紡糸工程から前記コーティング工程までの間で、前記光ファイバ裸線の方向を、流体により前記光ファイバ裸線を浮上させつつ方向変換器によって変換し、前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出し、前記浮上位置の検出値に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する、光ファイバ素線の製造方法を提供する。
前記制御される製造条件は、紡糸工程における前記加熱炉への加熱用の供給電力とすることができる。
前記制御される製造条件は、前記加熱炉への前記光ファイバ母材の進入速度あってもよい。
本発明の一態様は、光ファイバ母材を加熱炉により溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸部と、前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング部と、前記紡糸部から前記コーティング部までの間で、流体によって前記光ファイバ裸線を浮上させつつ前記光ファイバ裸線の方向を変換する方向変換器と、前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出する位置検出部と、前記浮上位置の検出値に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する制御部と、を備えている、光ファイバ素線の製造装置を提供する。
前記制御される製造条件は、紡糸工程における前記加熱炉への加熱用の供給電力とすることができる。
前記制御される製造条件は、前記加熱炉への前記光ファイバ母材の進入速度あってもよい。
本発明の一態様は、光ファイバ母材を加熱炉で加熱することにより溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸工程と、前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、を有し、前記紡糸工程から前記コーティング工程までの間で、前記光ファイバ裸線の方向を、流体により前記光ファイバ裸線を浮上させつつ方向変換器によって変換し、前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出し、前記浮上位置の検出値に基づいて、前記浮上位置が一定となるように前記方向変換器における前記流体の流量を調整し、前記流量に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する、光ファイバ素線の製造方法を提供する。
本発明の一態様は、光ファイバ母材を加熱炉により溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸部と、前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング部と、前記紡糸部から前記コーティング部までの間で、流体によって前記光ファイバ裸線を浮上させつつ前記光ファイバ裸線の方向を変換する方向変換器と、前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出する位置検出部と、前記浮上位置が一定となるように前記方向変換器における前記流体の流量を調整する流量調整器と、前記流量に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する制御部と、を備えている、光ファイバ素線の製造装置を提供する。
本発明の一態様によれば、検出された光ファイバ裸線の浮上位置に基づいて、制御部によって光ファイバ素線の製造条件を制御することによって、光ファイバ裸線の浮上量を一定範囲に保つことができるため、光ファイバ裸線に加えられる線引張力を一定範囲に保つことができる。
本発明の一態様では、ガラス部(光ファイバ裸線)の浮上位置に基づいて製造条件を制御するため、線引速度にかかわらず、光ファイバ裸線の線引張力を一定範囲に保つことができる。換言すれば、光ファイバ裸線の線引張力を一定範囲に保ちつつ線引速度の調整が可能となるため、工程の運用の幅を広げることができる。
また、更新、修理などのためコーティング部を交換する場合には、交換によってコーティング負担張力が変化することがあるが、その場合でも、製造条件の設定し直しをしなくても安定した品質の光ファイバ素線を製造することができる。
本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の第1実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。 図1に示す製造装置の方向変換器の断面構造を示す模式図である。 第1方向変換器の例を示す正面図である。 第2方向変換器の例を示す正面図である。 第3方向変換器の例を示す正面図である。 本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の第2実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。 本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の第3実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。 試験結果を示すグラフである。
図1は、本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の第1実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。以下、線引き方向に基づいて各構成の位置関係を表す場合がある。例えば、上流側とは線引き方向の上流側であり、下流側とは線引き方向の下流側である。
図1に示す製造装置1は、紡糸部10と、方向変換器20(20A,20B,20C)(非接触保持機構)と、張力測定部30(線引張力測定装置)と、第1コーティング部40と、第1硬化部50と、第2コーティング部60と、第2硬化部70と、スパン装置80と、ターンプーリ90と、制御部100と、を備えている。
図示しないが、ターンプーリ90の下流側には、光ファイバ素線5を巻き取る巻取り機が設けられている。
紡糸部10は、加熱炉11を備えており、加熱炉11によって光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸することによって光ファイバ裸線3を形成する。
方向変換器20は、光ファイバ裸線3の方向を変換する。製造装置1では3つの方向変換器20が用いられる。これらの方向変換器20を、線引き方向の上流側から下流側に、それぞれ第1〜第3方向変換器20A〜20Cという。
第1方向変換器20Aは、光ファイバ母材2から鉛直下向きに引き出された光ファイバ裸線3を、90°の方向変換により水平に向ける。
光ファイバ母材2から第1方向変換器20Aまでの光ファイバ裸線3の鉛直下向きの経路を第一の経路L1といい、第1方向変換器20Aから第2方向変換器20Bまでの光ファイバ裸線3の水平の経路を第二の経路L2という。
第一の経路L1と第二の経路L2とを含む面をP1という。X方向は、面P1内において第二の経路L2に沿う方向であり、Y方向は、面P1に垂直な方向である。
第2方向変換器20Bは、光ファイバ裸線3を、180°の方向変換により、第二の経路L2とは反対の方向に向ける。
第3方向変換器20Cは、光ファイバ裸線3を、90°の方向変換により、鉛直下向きとする。
第2方向変換器20Bから第3方向変換器20Cまでの光ファイバ裸線3の水平の経路を第三の経路L3といい、第3方向変換器20Cからの鉛直下向きの光ファイバ裸線3の経路を第四の経路L4という。
以下、方向変換器20の構造について詳しく説明する。
図3は、第1方向変換器20A(以下、単に方向変換器20Aということがある。)を示す図である。方向変換器20Aは、平面視円形とされ、外周面20aに全周長にわたってガイド溝21が形成されている。
方向変換器20Aは、中心軸方向(図3の紙面に垂直な方向)をY方向に一致させるとともに、径方向D1(図2参照)を面P1(図1参照)に沿う方向に向けた姿勢で設置される。なお、外周面20aに沿う方向を周方向という。
図2に示すように、ガイド溝21の底部には、ガイド溝21に沿って配線された光ファイバ裸線3を浮上させる流体(例えば空気)の吹出し口22がガイド溝21に沿って形成されている。吹出し口22は、ガイド溝21のうち、少なくとも光ファイバ裸線3が通る範囲の全長にわたって形成することができる。
方向変換器20Aは、方向変換器20Aの内部に確保された空間(流体溜部25)内の流体を、吹出し口22を通してガイド溝21内に放出できる。
方向変換器20Aには、外部から流体溜部25に流体を導入する導入路26(図3参照)が接続されている。
方向変換器20Aは、例えば、流体を外部から導入路26を通して流体溜部25に導入し、吹出し口22を通してガイド溝21内に放出させることができる。ガイド溝21に吹出される流体の流量は、方向変換器20Aへの流体の導入流量に等しい。
図2に示すように、ガイド溝21は、径方向外方に行くほど内側面21c,21cの間隔(Y方向寸法)が徐々に大きくなるように、径方向D1に対して傾斜して形成されていることが好ましい。2つの内側面21c,21cは、径方向D1に対する傾斜角度θ1が互いに等しいことが好ましい。
図3に示す方向変換器20Aでは、光ファイバ裸線3は、入線部23からガイド溝21に入り、出線部24でガイド溝21から出る。出線部24は、入線部23から周方向に約90°周方向にずれた位置にあるため、光ファイバ裸線3は、90°の方向変換がなされる。
図4は、第2方向変換器20B(以下、単に方向変換器20Bということがある。)を示す図である。方向変換器20Bは、平面視円形とされ、外周面20aに全周長にわたってガイド溝31が形成されている。方向変換器20Bは、光ファイバ裸線3の向きを180°変換することができる。
方向変換器20Bは、中心軸方向をY方向に一致させるとともに、径方向D1(図2参照)を面P1(図1参照)に沿う方向に向けた姿勢で設置される。
ガイド溝31の底部には、光ファイバ裸線3を浮上させる流体の吹出し口32がガイド溝31に沿って形成されている。吹出し口32は、ガイド溝31のうち、少なくとも光ファイバ裸線3が通る範囲の全長にわたって形成することができる。
ガイド溝31の断面形状はガイド溝21の断面形状(図2参照)と同じである。流体を吹出し口32を通してガイド溝31内に放出する構造は、図2に示す構造と同様の構造を採用することができる。
方向変換器20Bは、方向変換器20Bの内部に確保された空間(流体溜部25)内の流体を、吹出し口32を通してガイド溝21内に放出できる。
方向変換器20Bには、外部から流体溜部25に流体を導入する導入路26(図4参照)が接続されている。
方向変換器20Bは、例えば、流体を外部から導入路26を通して流体溜部25に導入し、吹出し口32を通してガイド溝31内に放出させることができる。ガイド溝31に吹出される流体の流量は、方向変換器20Bへの流体の導入流量に等しい。
方向変換器20Bでは、光ファイバ裸線3は、入線部33からガイド溝31に入り、入線部33に対して周方向に約180℃ずれた位置にある出線部34でガイド溝31から出ることによって、180°の方向変換がなされる。
図5は、第3方向変換器20C(以下、単に方向変換器20Cということがある。)を示す図である。方向変換器20Cは、図3に示す方向変換器20Aと同様の構成である。
方向変換器20Cでは、光ファイバ裸線3は、入線部43からガイド溝21に入り、出線部44でガイド溝21から出ることによって、90°の方向変換がなされる。
張力測定部30は、光ファイバ裸線3の位置を検出する位置検出部35と、位置検出部35で検出された光ファイバ裸線3の位置に基づいて線引張力を測定する測定部本体36とを有する。
位置検出部35は、第3方向変換器20Cの下流側に設けられ、第四の経路L4の光ファイバ裸線3の位置を検出する。
位置検出部35としては、例えばレーザ方式(光学式)の位置センサを使用できる。レーザ方式の位置センサは、例えば、光源(レーザ光源)から光ファイバ裸線3に向けて照射された光を、前記光源と対向して設置された検知器で受光し、その光に基づいて光ファイバ裸線3の位置を検出することができる。
測定部本体36は、後述するように、予め測定された線引張力と光ファイバ裸線3の位置との相関に基づいて、光ファイバ裸線3の線引張力を測定することができる。測定部本体36は、測定値を表示する液晶パネルなどの表示部を備えていてもよい。
制御部100は、位置検出部35による光ファイバ裸線3の浮上量(浮上位置)の検出値に基づいて、加熱炉11への供給電力を制御することによって、加熱炉11における光ファイバ母材2の加熱温度を調整することができる。
第1コーティング部40は、光ファイバ裸線3の外周面に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して一次被覆層とする。一次被覆層に用いられる被覆材は、例えば紫外線硬化樹脂である。
第1硬化部50は、例えば1または複数のUVランプを備え、紫外線照射によって一次被覆層を硬化させる。
第2コーティング部60は、一次被覆層の外周面に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して二次被覆層とする。これによって、光ファイバ素線中間体4を得る。二次被覆層は、一次被覆層よりヤング率が高いことが好ましい。二次被覆層に用いられる被覆材は、例えば紫外線硬化樹脂である。
第2硬化部70は、1または複数のUVランプ70aを備え、紫外線照射によって二次被覆層を硬化させる。これによって、光ファイバ素線5を得る。
第2硬化部70は、例えば、光ファイバ素線中間体4が通過する空間を挟んで設けられた複数対のUVランプ70aを有する。
なお、光ファイバ裸線3の外周面に形成する被覆材は、2層構造に限らず、1層構造でもよいし、3層以上の構造でもよい。
スパン装置80は、光ファイバ素線5にねじりを加えることができる。
ターンプーリ90は、光ファイバ素線5を引き取るとともに光ファイバ素線5の向きを変え、巻き取り機(図示略)に導くことができる。
次に、製造装置1を用いて光ファイバ素線5を製造する場合を例として、本発明に係る光ファイバ素線の製造方法の第1実施形態を説明する。
(紡糸工程)
紡糸部10において、光ファイバ母材2を加熱して溶融紡糸して光ファイバ裸線3を形成する。
(方向変換器による方向変換)
光ファイバ母材2から鉛直下向き(第一の経路L1)に引き出された光ファイバ裸線3は、第1方向変換器20Aにおける90°の方向変換により、水平(第二の経路L2)に向けられる。
光ファイバ裸線3は、第2方向変換器20Bにおける180°の方向変換により、第二の経路L2とは反対の方向(第三の経路L3)に向けられ、第3方向変換器20Cにおける90°の方向変換により鉛直下向き(第四の経路L4)となる。
方向変換器20A〜20Cでは、流体溜部25内の流体を、吹出し口22,32を通してガイド溝21,31内に放出することによって、光ファイバ裸線3を浮上させることができる。詳細には、放出された流体により、図2に示すように、ガイド溝21の深部21dと浅部21eとの圧力差が大きくなるため、光ファイバ裸線3に、径方向外方の力が作用することによって、光ファイバ裸線3は浮上する。
光ファイバが流体により浮上する原理については、次の説明が可能である。
流体の流路に遮蔽物があると、その遮蔽物は流体から力を受ける。流路を限定された流体は、運動量保存則とエネルギ一保存則を満たしながら遮蔽物に力を加える。例えば、流路面積が徐々に広がる三角錐形状の流路の中に錘を浮上させる場合、錘の前後で発生する圧力差が位置によって変化する。これにより、流体から錘が受ける浮力と錘の荷重が釣り合った位置で錘は静止することができる。錘の荷重が一定の場合、浮上位置(より正確には流路と錘により限定された流路面積)と流量には明確な正の相関が存在する。この現象はフローメータの原理として広く一般に利用されている。
フローメータの原理は、逆説的には、流体の流量が一定の場合に錘の浮上位置と錘の荷重との間に相関が生まれることを示している。そのため、本発明者は、一定流量の流体を流した三角錐形状の流路に錘を浮上させることで、浮上位置から錘の荷重を測定できると考えた。本発明者は、さらに、前述の相関は断面V字状のガイド溝に線条体を浮上させる場合も同様に生じるから、断面V字状のガイド溝に一定流量の流体を流し、そこに線条体を浮上させることで線条体の荷重を測定することができると考えた。
また、一定流量の流体から物体が受ける力は、力を受ける面の形状に依存するが、通常の光ファイバ線引き工程では引取り速度を連続的に変化させることでファイバ外径を一定に保つような制御方法が一般的であるため、光ファイバは、無限に長い円柱とみなすことができる。また、光ファイバの質量は非常に小さいため、断面V字状のガイド溝を流れる流体にかかる荷重はほぼ引張張力と同等とみなせる。
これらのことから、一定流量の流体を流したガイド溝内で光ファイバを浮上させる場合、浮上位置を一定に保つことで引張張力を一定に保つことができる。よって、線引中の光ファイバ(光ファイバ裸線)の一部を、一定流量の流体を流したガイド溝内で浮上させ、浮上位置を一定に保つことでガラス部(光ファイバ裸線)にかかる線引張力を一定に保つことができる。
(第1コーティング工程)
第1コーティング部40において、光ファイバ裸線3の外周面に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して一次被覆層とする。
(第1硬化工程)
第1硬化部50において、例えばUVランプによる紫外線照射などによって、一次被覆層を硬化させる。
(第2コーティング工程)
第2コーティング部60において、一次被覆層の外周面に、ウレタンアクリレート系の樹脂などの被覆材を塗布(コーティング)して二次被覆層とする。これによって、光ファイバ素線中間体4を得る。
(第2硬化工程)
第2硬化部70おいて、例えばUVランプによる紫外線照射などによって、二次被覆層を硬化させる。これによって、光ファイバ素線5を得る。
(スパン工程)
光ファイバ素線5は、必要に応じて、スパン装置80によってねじりを加えることができる。
(引取り工程)
光ファイバ素線5は、ターンプーリ90によって引き取られるとともに向きを変えられ、巻き取り機(図示略)により巻き取られる。
方向変換器20(20A,20B,20C)における光ファイバ裸線3の浮上量は、ガイド溝21で吹出される流体から受ける力、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力、などの影響を受ける。通常、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力が高いほど浮上量は小さくなり、線引張力が低いほど浮上量は大きくなる。
例えば、第3方向変換器20Cにおいて、線引張力が高いと、光ファイバ裸線3が方向変換器20Cに近づく方向の力は大きくなるため、光ファイバ裸線3の浮上量は小さくなる。
一方、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力が低いと、光ファイバ裸線3が方向変換器20Cに近づく方向の力は小さくなるため、流体から受ける力によって、光ファイバ裸線3の浮上量は大きくなる。
第3方向変換器20C(図5参照)における光ファイバ裸線3の浮上量が増減すると、第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置が変化する。
例えば、第3方向変換器20Cにおける光ファイバ裸線3の浮上量が減少すると、第四の経路L4の光ファイバ裸線3は、第3方向変換器20Cに近づく方向に移動するため、X方向の位置は、図1および図5における右寄りとなる。
一方、光ファイバ裸線3の浮上量が増加すると、第四の経路L4の光ファイバ裸線3は、第3方向変換器20Cから離れる方向に移動するため、X方向の位置は、図1および図5における左寄りとなる。
前述のように、位置検出部35は、第四の経路L4の光ファイバ裸線3の位置を検出することができる。
第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置は、第3方向変換器20Cにおける光ファイバ裸線3の浮上量に応じた位置となるため、位置検出部35によって第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置を検出すれば、方向変換器20Cにおける光ファイバ裸線3の浮上量(浮上位置)を把握できる。
この製造方法では、位置検出部35によって検出された光ファイバ裸線3の浮上量(浮上位置)に基づいて、制御部100によって加熱炉11の加熱用の供給電力を制御し、これによって、加熱炉11における光ファイバ母材2の加熱温度を調整することができる。
例えば、光ファイバ裸線3の浮上量が大きい場合には、加熱炉11の供給電力を調整して光ファイバ母材2の加熱温度を低くすることによって、浮上量を抑えることができる。一方、光ファイバ裸線3の浮上量が小さい場合には、加熱炉11の供給電力を調整して光ファイバ母材2の加熱温度を高くすることによって、浮上量を大きくすることができる。制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御が好ましい。
このように、光ファイバ素線5の製造条件(加熱炉11の供給電力)を制御することによって、光ファイバ裸線3の浮上量を一定範囲に保つことができるため、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力を一定範囲に保つことができる。
従来の製造方法では、線引張力を一定にするために、線引速度が変化しないという前提の下で、被覆後の光ファイバ素線の張力(被覆後張力)が一定となるように製造条件を制御する方法がとられていた。
しかしながら、被覆後張力にはコーティング装置で発生するコーティング負担張力が含まれているため、線引速度が変動すれば、被覆後張力が一定であっても光ファイバの光学特性の長手方向の変動が起こり得た。
これに対し、本実施形態の製造方法によれば、ガラス部(光ファイバ裸線3)の浮上量(浮上位置)に基づいて製造条件を制御するため、線引速度にかかわらず、光ファイバ裸線3の線引張力を一定範囲に保つことができる。換言すれば、光ファイバ裸線3の線引張力を一定範囲に保ちつつ線引速度の調整が可能となる。そのため、工程の運用の幅を広げることができる。
また、更新、修理などのためコーティング部40,60を交換する場合には、交換によってコーティング負担張力が変化することがあるが、その場合でも、製造条件を設定し直すことなく、安定した品質の光ファイバ素線5を製造することができる。
また、加熱炉11の供給電力を制御対象とすると、他の製造条件への影響を小さくできるという利点がある。
本実施形態の製造方法では、光ファイバ素線5の製造における製造条件の一つである加熱炉11への加熱用の供給電力を制御したが、制御部100によって制御される製造条件は、加熱炉11の供給電力に限定されない。
制御部100によって制御される製造条件は、例えば、加熱炉11への光ファイバ母材2の進入速度であってもよい。図1では、加熱炉11への光ファイバ母材2の進入速度は、光ファイバ母材2の下方移動の速度である。光ファイバ母材2の進入速度は、光ファイバ母材2を加熱炉11に対して移動させる駆動機構(モータなど)の駆動力を調整することによって制御できる。
光ファイバ裸線3の浮上量が大きい場合には、加熱炉11への光ファイバ母材2の進入速度を小さくすることによって浮上量を抑えることができる。一方、光ファイバ裸線3の浮上量が小さい場合には、加熱炉11への光ファイバ母材2の進入速度を大きくすることによって浮上量を大きくすることができる。制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御が好ましい。
加熱炉11への光ファイバ母材2の進入速度を制御対象とすると、他の製造条件への影響を小さくできる。
制御対象となる製造条件は、線引速度であってもよい。線引速度は、例えば、ターンプーリ90の駆動速度を調整することによって制御できる。光ファイバ裸線3の浮上量が大きい場合には、線引速度を高くすることによって浮上量を抑えることができる。一方、光ファイバ裸線3の浮上量が小さい場合には、線引速度を低くすることによって浮上量を大きくすることができる。
制御対象となる製造条件は、このほか、コーティング部40,60における樹脂の供給圧力であってもよい。
本実施形態の製造方法では、次に示すように、張力測定部30を用いて、光ファイバ裸線3の線引張力を測定することもできる。
光ファイバ裸線3の線引張力を測定するには、予め、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力と、第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置との相関を把握しておく。例えば、予備試験により、線引張力が異なる複数の条件で、第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置を位置検出部35によって検出しておくのが好ましい。
張力測定部30の測定部本体36には、予め測定された線引張力と光ファイバ裸線3の位置との相関に関するデータが入力されており、このデータを用いて、位置検出部35の検出値から線引張力を導出する。例えば、位置検出部35の検出値を前記データと照合することで、線引張力を導出できる。
位置検出部35の検出値は、光ファイバ裸線3の浮上量に応じた値となるため、ガラス部(光ファイバ裸線3)にかかる線引張力を精度よく測定できる。また、位置検出部35の検出値から線引張力を導出するため、光ファイバ素線5の製造工程において、光ファイバ裸線3の長さ方向に連続的に線引張力を測定できる。そのため、測定値に基づいて製造条件を制御する場合には、即応性の点で有利となる。また、張力異常が生じた場合にその異常の原因箇所を特定しやすくなるため、修復が容易となる。
この方法では、光ファイバ裸線3に接触せずに線引張力を測定できる。そのため、接触式張力計を用いた場合と異なり、光ファイバ裸線3が傷つくことはなく、光ファイバ裸線3の強度劣化が起きることはない。よって、強度劣化を原因とする断線および歩留まり悪化を防ぐことができる。
さらに、線引張力の測定にあたって、装置構成が複雑化したり製造条件の制約が生じることはないため、光ファイバ素線5の製造における不利は生じない。
なお、張力測定部30で得られた線引張力の測定値に基づいて、製造条件(例えば加熱炉11への加熱用の供給電力など)を制御してもよい。
図6は、本発明に係る光ファイバの製造方法の第2実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。以下、図1に示す第1実施形態の製造装置1と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図6に示す製造装置1Aでは、2つの方向変換器20が用いられる。これらの方向変換器20を、それぞれ第1および第2方向変換器20A,20Dという。
第2方向変換器20Dは、光ファイバ裸線3を、90°の方向変換により鉛直下向きとする。第2方向変換器20Dからの鉛直下向きの光ファイバ裸線3の経路を第三の経路L5という。
位置検出部35は、第2方向変換器20Dの下流側に設けられ、第三の経路L5の光ファイバ裸線3の位置を検出する。
製造装置1Aを用いた光ファイバ素線5の製造においても、第1実施形態の製造方法と同様に、製造条件(例えば加熱炉11への加熱用の供給電力、光ファイバ母材2の進入速度など)を制御することによって、光ファイバ裸線3の浮上量を一定範囲に保つことができる。よって、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力を一定範囲に保つことができる。
図7は、本発明に係る光ファイバの製造方法の第3実施形態を実施可能な光ファイバ素線の製造装置の一例の概略構成を示す模式図である。
図7に示す製造装置1Bは、制御部110と、流量調整器120とを備えている点で、図1に示す製造装置1と異なる。
制御部110は、位置検出部35からの検出信号に基づいて、流量調整器120を用いて、方向変換器20(例えば方向変換器20C)への流体の導入流量を制御することで、方向変換器20における光ファイバ裸線3の浮上量を調整することができる。流量調整器120としては、マスフローコントローラ(MFC)等が使用できる。
位置検出部35は、第四の経路L4の光ファイバ裸線3の位置情報に基づいて、検出信号を制御部110に出力する。この検出信号は、例えば、方向変換器20におけるガイド溝21内の光ファイバ裸線3の位置に応じた信号である。
制御部110は、検出信号に基づいて、流量調整器120を用いて、方向変換器20への流体の導入流量を制御する。これによって、方向変換器20において、吹出し口22からガイド溝21に放出される流体の流速を制御し、光ファイバ裸線3の浮上量を調整することができる。
例えば、光ファイバ裸線3の浮上量が小さくなることで、第四の経路L4の光ファイバ裸線3が方向変換器20Cに近づく方向に変位すると、制御部110は、方向変換器20Cへの流体の導入流量を大きくする。これによって、方向変換器20Cにおいて、吹出し口22からガイド溝21に放出される流体の流速が大きくなり、光ファイバ裸線3の浮上量が回復する。
一方、光ファイバ裸線3の浮上量が大きくなることで、第四の経路L4の光ファイバ裸線3が方向変換器20Cから離れる方向に変位すると、制御部110は、方向変換器20Cへの流体の導入流量を小さくする。これによって、方向変換器20Cにおいて、吹出し口22からガイド溝21に放出される流体の流速が小さくなり、光ファイバ裸線3の浮上量が抑制される。
このようにして、光ファイバ裸線3の浮上位置を一定に保つことができる。
制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御を採用すると、流体の流量の制御を応答性よく行うことができる。
本実施形態では、光ファイバ裸線3の浮上位置が一定となるように調整された、方向変換器20(20C)における流体の流量に基づいて、制御部100によって、製造条件(例えば加熱炉11への加熱用の供給電力、光ファイバ母材2の進入速度など)を制御する。
例えば、方向変換器20(20C)における流体の流量に基づいて、制御部100によって加熱炉11の加熱用の供給電力を制御し、これによって、加熱炉11における光ファイバ母材2の加熱温度を調整することができる。
詳しくは、方向変換器20(20C)における流体の流量が大きい場合には、加熱炉11の供給電力を調整して光ファイバ母材2の加熱温度を高くすることによって、流体の流量を抑えることができる。一方、流体の流量が小さい場合には、加熱炉11の供給電力を調整して光ファイバ母材2の加熱温度を低くすることによって、流体の流量を大きくすることができる。制御方法としては、PID制御などのフィードバック制御が好ましい。
このように、光ファイバ素線5の製造条件を制御することによって、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力を一定範囲に保つことができる。
図7に示す製造装置1Bでは、予備試験により、線引張力が異なる複数の条件、および、方向変換器20への流体の導入流量が異なる複数の条件で、第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置を位置検出部35によって検出しておくことができる。これにより、光ファイバ裸線3の浮上位置を一定に保つことができるような方向変換器20への流体の導入流量と、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力との相関を把握する。
測定部本体36は、流体の導入流量と線引張力との相関を用いて、方向変換器20への流体の導入流量から線引張力を測定することができる。
以上、本発明の光ファイバ素線の製造方法及び製造装置の実施形態について説明してきたが、本発明は前記の例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
図1に示す製造装置1では第3方向変換器20Cの下流側に位置検出部35を設け、図6に示す製造装置1Aでは第2方向変換器20Dの下流側に位置検出部35を設けたが、位置検出部の位置は、これらの例に限定されない。
例えば、図1に示す製造装置1において、方向変換器20A,20B,20Cのうち1または2以上の下流側にそれぞれ位置検出部を設けてもよい。
方向変換器20Aの下流側(方向変換器20Aと方向変換器20Bとの間)に位置検出部を設ける場合には、方向変換器20Aにおける光ファイバ裸線3の浮上量を検出できる。方向変換器20Bの下流側(方向変換器20Bと方向変換器20Cとの間)に位置検出部を設ける場合には、方向変換器20Bにおける光ファイバ裸線3の浮上量を検出できる。
また、方向変換器20における方向変換は、紡糸工程の後、第1コーティング工程の前のいずれかの位置で行うことができる。方向変換器20の設置位置は、紡糸部10の下流側であり、かつ第1コーティング部40の上流側であれば、いずれの位置であってもよい。
方向変換器20の数は、1または複数であってよい。
光ファイバ裸線3の外径が変動すると、方向変換器20における浮上量が変化する可能性があるため、光ファイバ裸線3の外径を測定してもよい。
光ファイバ裸線3の外径を測定するには、例えば、位置検出部35の下流側(位置検出部35と第1コーティング部40との間)に、外径測定部(図示略)を設けることができる。外径測定部としては、例えば、光源と検知器とを備えた光学式の測定装置を使用できる。この測定装置は、例えば、光ファイバ裸線3の側方位置に設置された光源(レーザ光源など)から光を照射し、前記光源と対向して設置された検知器で前方散乱光を受光し、そのパターンまたは強度を解析することにより光ファイバ裸線3の外径を測定する。
光ファイバ裸線3の外径を測定する場合には、外径測定部からの測定信号を制御部100に送り、制御部100において、光ファイバ裸線3の外径を考慮した制御を行うことができる。
流体から物体が受ける力は、力を受ける物体の面の大きさに影響されるため、例えば、光ファイバ裸線3の外径が大きくなると、線引張力が一定でも浮上量は大きくなる。一方、光ファイバ裸線3の外径が小さくなると、線引張力が一定でも浮上量は小さくなる。そのため、このような光ファイバ裸線3の外径の変化を原因とする浮上量の変動を考慮して、この変動の影響を打ち消すように、制御部100によって製造条件(例えば加熱炉11への加熱用の供給電力など)を制御することができる。
[実施例1]
図1に示す製造装置1を作製した。
方向変換器20(20A,20B,20C)における光ファイバ裸線3の浮上旋回半径は、約62.5mmとした。
図2に示すように、方向変換器20A,20Cのガイド溝21の内側面21cの、径方向Rに対する傾斜角度θはそれぞれ0.5°とした。ガイド溝21の底における幅は50μmとした。方向変換器20Bのガイド溝31にはガイド溝21と同様の構造を採用した。
方向変換器20A〜20Cに導入される流体は、除湿した空気であり、その温度は室温(約24℃)とした。
空気の導入流量は、方向変換器20A,20Cについてそれぞれ100リットル/分とし、方向変換器20Bについて200リットル/分とした。
紡糸部10において光ファイバ母材2を溶融紡糸して光ファイバ裸線3(外径125μm)を得た。
光ファイバ母材2から鉛直下向き(第一の経路L1)に引き出された光ファイバ裸線3を、第1方向変換器20Aによって水平(第二の経路L2)に方向変換し、次いで、第2方向変換器20Bにおける180°の方向変換により、第二の経路L2とは反対の方向(第三の経路L3)に向け、第3方向変換器20Cにおける90°の方向変換により鉛直下向き(第四の経路L4)とした。
第1コーティング部40で光ファイバ裸線3の外周面に紫外線硬化樹脂からなる一次被覆層を形成し、第1硬化部50で紫外線を照射して一次被覆層を硬化させ、第2コーティング部60で一次被覆層の外周面に紫外線硬化樹脂からなる二次被覆層を形成し、第2硬化部70で紫外線を照射して二次被覆層を硬化させて光ファイバ素線5(外径250μm)を得た。
光ファイバ素線5は、スパン装置80、ターンプーリ90を経て巻き取り機(図示略)により巻き取った。線引速度は1000m/minとした。
このようにして光ファイバ素線5を製造する際に、光ファイバ裸線3にかかる線引張力を経時的に測定したところ、線引張力は一定に保たれていたことが確認できた。
図8は、予備試験によって、光ファイバ裸線3に加えられる線引張力と、第四の経路L4の光ファイバ裸線3のX方向の位置(位置検出部35の検出値)との相関を調べた結果を示すグラフである。位置検出部35の検出値(出力)は、方向変換器20Cのガイド溝21の底部からの径方向の高さ位置(浮上位置)とほぼ等しい。予備試験における線引張力の測定には、例えば、ロードセル、接触式張力計などを使用できる。この例では方向変換器20における流体の流量は一定である。なお、1gfは約9.81×10−3Nである。
図8より、光ファイバ裸線3の浮上量に応じて線引張力が変化することがわかる。
1,1A…光ファイバ素線の製造装置、2…光ファイバ母材、3…光ファイバ裸線、5…光ファイバ素線、10…紡糸部、20,20A〜20D…方向変換器、21,31…ガイド溝、22,32…吹出し口、35…位置検出部、40…第1コーティング部、60…第2コーティング部、100…制御部。

Claims (8)

  1. 光ファイバ母材を加熱炉で加熱することにより溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸工程と、
    前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、を有し、
    前記紡糸工程から前記コーティング工程までの間で、前記光ファイバ裸線の方向を、流体により前記光ファイバ裸線を浮上させつつ方向変換器によって変換し、
    前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出し、前記浮上位置の検出値に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する、光ファイバ素線の製造方法。
  2. 前記制御される製造条件は、紡糸工程における前記加熱炉への加熱用の供給電力である、請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  3. 前記制御される製造条件は、前記加熱炉への前記光ファイバ母材の進入速度である、請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  4. 光ファイバ母材を加熱炉により溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸部と、
    前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング部と、
    前記紡糸部から前記コーティング部までの間で、流体によって前記光ファイバ裸線を浮上させつつ前記光ファイバ裸線の方向を変換する方向変換器と、
    前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出する位置検出部と、
    前記浮上位置の検出値に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する制御部と、を備えている、光ファイバ素線の製造装置。
  5. 前記制御される製造条件は、前記加熱炉への加熱用の供給電力である、請求項4に記載の光ファイバ素線の製造装置。
  6. 前記制御される製造条件は、前記加熱炉への前記光ファイバ母材の進入速度である、請求項4記載の光ファイバ素線の製造装置。
  7. 光ファイバ母材を加熱炉で加熱することにより溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸工程と、
    前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング工程と、を有し、
    前記紡糸工程から前記コーティング工程までの間で、前記光ファイバ裸線の方向を、流体により前記光ファイバ裸線を浮上させつつ方向変換器によって変換し、
    前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出し、前記浮上位置の検出値に基づいて、前記浮上位置が一定となるように前記方向変換器における前記流体の流量を調整し、前記流量に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する、光ファイバ素線の製造方法。
  8. 光ファイバ母材を加熱炉により溶融紡糸して光ファイバ裸線を形成する紡糸部と、
    前記光ファイバ裸線の外周に樹脂からなる被覆層を設けるコーティング部と、
    前記紡糸部から前記コーティング部までの間で、流体によって前記光ファイバ裸線を浮上させつつ前記光ファイバ裸線の方向を変換する方向変換器と、
    前記方向変換器における前記光ファイバ裸線の浮上位置を検出する位置検出部と、
    前記浮上位置が一定となるように前記方向変換器における前記流体の流量を調整する流量調整器と、
    前記流量に基づいて前記光ファイバ素線の製造条件を制御する制御部と、を備えている、光ファイバ素線の製造装置。
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