JP2017036627A - 嵌合状態評価方法、杭材の圧入施工方法、嵌合状態評価装置、および自動施工装置 - Google Patents

嵌合状態評価方法、杭材の圧入施工方法、嵌合状態評価装置、および自動施工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】杭材の嵌合状態を評価して、作業者に評価結果に対する対処を促すことができる嵌合状態評価方法等を提供する。
【解決手段】杭材の長手方向に沿って形成された継手によって互いに杭材を嵌合させて、複数の杭材の圧入施工を行うための嵌合状態評価方法であって、継手を嵌合させない状態で杭材を地中に圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された信号を取得し(S100、102)、先行して地中に配置された先行杭材の施工方向前方側の継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の施工方向後方側の継手を嵌合させて、後続杭材を圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された信号を取得し(S104)、先行杭材の継手と後続杭材の施工方向後方側の継手との嵌合状態の異常の有無を判定する(S106)。
【選択図】図4

Description

本発明は、嵌合状態評価方法、杭材の圧入施工方法、嵌合状態評価装置、および自動施工装置に関する。
従来、鋼矢板や鋼管矢板等の杭材を地中に圧入する施工技術として、当該杭材の長手方向に沿って形成されている継手同士を嵌合させて複数の杭材を連続して地中に圧入する技術が知られている。この技術により、土留め壁や止水壁などといった、杭材が並んで連結してなる壁体が地中に構築される。従来の技術としては、例えば、特許文献1に記載されているような後続鋼矢板を先行鋼矢板に嵌合させる鋼矢板の打設方法が知られている。
また、従来において、地中の状態を計測する技術として、下記の特許文献2に記載された技術が知られている。特許文献2には、掘削機が所定の地盤に到達したか否かを判断することを可能とした地盤評価装置等が記載されている。特許文献2の地盤評価装置は、掘削機の作動状態に相関する音を解析して掘削機が地盤に達したか否かを判定している。
さらに、従来において、物体の嵌合状態を検出する技術としては、特許文献3および特許文献4に記載された技術が知られている。特許文献3には、物品に設けたスナップフィット機構の嵌合状態を、構造体同士の組付け音に基づいて判定することが記載されている。特許文献4には、環境雑音下においても構造体の嵌合が確実に行われているかを検証するために、嵌合音を含む音響信号の周波数解析を行い、特定の周波数の信号レベルが閾値を超えたことを判定する技術が記載されている。
特開2009−270361号公報 特開2011−038257号公報 特開2004−243501号公報 特開2010−161045号公報
しかしながら、特許文献1に記載された鋼矢板の打設方法は、鋼矢板の継手における抵抗を低減する動作を行っているものの、鋼矢板の嵌合状態を検出して鋼矢板の嵌合状態に対応して作業を見直すといった対処を行えない。また、特許文献2に記載された地盤評価装置等は、音を用いて地中の情報を得る技術ではあるが、評価対象は地盤であり、継手の嵌合状態を評価することはできない。さらに、特許文献3および4に記載された技術では、構造体の動作に起因する急激な音の変化を検出するため、杭材を次第に地中に圧入する時には継続的に音が変化するので、嵌合状態の評価を行うことができない可能性がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、杭材の嵌合状態を評価して、作業者に評価結果に対する対処を促すことができる嵌合状態評価方法、杭材の圧入施工方法、嵌合状態評価装置、および自動施工装置を提供することを目的としている。
(1)本発明の一態様は、杭材の長手方向に沿って形成された継手によって互いに杭材を嵌合させて、複数の杭材の圧入施工における嵌合状態を評価する嵌合状態評価方法であって、先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて、前記後続杭材を圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された第1の信号を取得する第一のステップと、前記第一のステップにおいて取得した第1の信号に基づいて第1の振動圧を求める第二のステップと、前記第二のステップにおいて求められた第1の振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態の異常の有無を判定する第三のステップと、を有する嵌合状態評価方法である。
(2)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第一のステップの前に、前記継手を嵌合させない状態で杭材を地中に圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された第2の信号を取得するステップと、前記第2の信号に基づいて第2の振動圧を求めるステップと、を有し、前記第三のステップは、前記第1の振動圧と前記第2の振動圧との差に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態の異常の有無を判定する。
(3)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第三のステップは、前記第1の振動圧と前記第2の振動圧との差を前記第2の振動圧に基づいて正規化し、正規化した振動圧差に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する。
(4)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第三のステップは、前記第1の振動圧および前記第2の振動圧に含まれる複数の周波数成分を抽出し、抽出された周波数成分ごとに正規化された振動圧差のうち、最も高い振動圧差に基づいて嵌合状態の有無を判定する。
(5)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第三のステップは、前記最も高い振動圧差が得られた周波数成分に基づいて前記最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する。
(6)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第三のステップは、前記後続杭材の貫入長に基づいて前記最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する。
(7)本発明の一態様は、上述の嵌合状態評価方法であって、前記第三のステップは、前記閾値として第1の閾値と、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値とを設定し、前記補正した振動圧差が前記第1の閾値を超えた場合には嵌合状態の異常の前段階であると判定し、前記補正した振動圧差が前記第2の閾値を超えた場合には嵌合状態の異常であると判定する。
(8)本発明の一態様は、嵌合状態を評価するステップと、嵌合状態の評価をしながら、杭材を圧入するステップと、を有する、杭材の圧入施工方法である。
(9)本発明の一態様は、先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて前記後続杭材を圧入している最中に発生する振動に基づいて生成された信号が入力される信号入力部と、前記信号入力部に対し入力された信号に基づく振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態を評価する評価部と、を有する嵌合状態評価装置である。
(10)本発明の一態様は、先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて前記後続杭材を圧入している最中に発生する振動に基づいて生成された信号が入力される信号入力部と、前記信号入力部に対し入力された信号に基づく振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態を評価する評価部とを有する嵌合状態評価装置を備えた自動施工装置である。
本発明の一態様によれば、杭材の嵌合状態を評価して、作業者に評価結果に対する対処を促すことができる。
本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて地中に圧入される鋼矢板1の構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。 複数の鋼矢板1が嵌合されている状態を示す側面図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムの構成を示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおける施工手順を示すフローチャートである。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて他の鋼矢板1を嵌合させないで鋼矢板1を地盤Gに圧入する様子を示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて鋼矢板1同士を嵌合させて鋼矢板1を地盤Gに圧入する様子を示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて他の鋼矢板1を嵌合させないで鋼矢板1を地盤Gに圧入させた時に継手計測部20により検出される音圧信号の周波数スペクトルを示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて鋼矢板1同士を嵌合させて鋼矢板1を地盤Gに圧入させた時に継手計測部20により検出される音圧信号の周波数スペクトルを示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて嵌合状態の異常がないときの表示画面を示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて嵌合状態の異常があるときの表示画面を示す図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおける嵌合状態評価装置300の機能的な構成を示すブロック図である。 本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて嵌合状態評価装置300に記憶される情報を示す図であり、(a)は前処理情報であり、(b)は施工中情報である。
以下、本発明を適用した嵌合状態評価方法、杭材の圧入施工方法、嵌合状態評価装置、および自動施工装置を、図面を参照して説明する。
図1は本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて地中に圧入される鋼矢板1の構成を示し、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。なお、本実施形態において、圧入される杭材をU形鋼矢板(以下、鋼矢板と称する)1として説明するが、杭材の長手方向に沿って形成され、隣り合う他の杭材と嵌合可能な継手を有する杭材であれば、例えばZ形鋼矢板やゼロ矢板や直線形鋼矢板や鋼管矢板やH形鋼矢板などといった他の形状の鋼杭や、例えばコンクリート杭といった鋼杭とは材質の異なる杭材など、他の形態の杭材であってもよい。
鋼矢板1は、図1(a)に示すように、ウェブ部12と、フランジ部14と、継手部16とを有する。ウェブ部12は、後述する圧入機本体100を直線状に移動させながら鋼矢板1を圧入する直線施工を行っている場合には、鋼矢板圧入システムにおける圧入施工の進行方向(X方向)と平行となり、後述の圧入機本体にY方向の両側から掴まれる。フランジ部14は、ウェブ部12の両端部のそれぞれに一体に接続される。1対のフランジ部14は、ウェブ部12から外側(X方向)に広がるテーパ状に形成されている。一対のフランジ部14は、ウェブ部12の略中心位置から互いに対称となる形状を有する。継手部16は、フランジ部14の端部のそれぞれに一体に接続される。この継手部16は、施工方向における前方および後方において隣り合う他の杭材と嵌合可能な継手である。
一対の継手部16は、上面から見て略U字状に形成されている。一対の継手部16は、鋼矢板1における幅方向の両側の端部であって、鋼矢板1の長手方向の上端から下端に亘って形成される。一対の継手部16は、圧入施工の初期において他の鋼矢板1の継手部16と嵌合されるように位置決めされ、圧入施工中において鋼矢板1同士の位置関係の変化によって他の鋼矢板1の継手部16と接触する。−X方向側の継手部16aは、圧入施工の進行方向(X方向)の反対側となり、+X方向側の継手部16bは、圧入施工の進行方向(X方向)側となる。以下、継手部16aと継手部16bとを区別して記載しない場合には単に「継手部16」と記載し、施工方向前方側の継手部である継手部16aを「後方継手部16a」と記載し、施工方向後方側の継手部である継手部16bを「前方継手部16b」と記載する。前方継手部16bと後方継手部16aとは、圧入施工において互いに嵌合される。
図2は、複数の鋼矢板1が嵌合されている状態を示す側面図である。先行して地中への配置が完了した鋼矢板1−1(先行杭材)に対して、後続して地中に圧入される鋼矢板1−2(後続杭材)は、自身の後方継手部16a−2を鋼矢板1−1の前方継手部16b−1に嵌合させるように位置決めされる。後続の鋼矢板1−2は、自身の後方継手部16a−2と前方継手部16b−1との嵌合状態が正常に維持されたまま、地中に圧入される。これによって、複数の鋼矢板1−1と鋼矢板1−2とは、地中に構築される壁体の一部となる。尚、上記「先行して地中への配置が完了した鋼矢板1−1(先行杭材)」の「配置」とは、例えば、圧入による配置や、振動/打撃打ち込みによる配置や、埋め込みによる配置などをいう。すなわち、鋼矢板1−1(先行杭材)は、どのような手段で地中に配置されたものであってもよい。以下では、鋼矢板1−1(先行杭材)が圧入により地中に配置されたものとして説明する。
先行して地盤Gに圧入された鋼矢板1のうち、後続して圧入されようとする鋼矢板1と嵌合される鋼矢板1(図2中の鋼矢板1−1)には、継手計測部20が取り付けられる。継手計測部20は、鋼矢板1−1の圧入施工が完了した後に、例えば磁力等の利用や溶接等の手段により、鋼矢板1に取り付けられる。継手計測部20は、先行する鋼矢板1と後続する鋼矢板1との嵌合状態に起因して発生する振動に基づく信号を生成する。継手計測部20は、生成した信号を後述する嵌合状態評価装置300に出力する。なお、本実施形態において、振動として主として音を説明するが、他の種類の振動であっても本発明が適用可能であることは勿論である。
図3は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムの構成を示す図である。鋼矢板圧入システムは、圧入機本体100と、パワーユニット200とを備える。圧入機本体100は、鋼矢板1を地中に圧入する。パワーユニット200は、圧入機本体100が油圧により鋼矢板1を圧入する動力を与える動作を行う。
圧入機本体100は、後述する嵌合状態評価装置300を有し、自動的に鋼矢板1を圧入施工する自動施工装置である。圧入機本体100は、複数のクランプ102と、サドル104と、スライドフレーム106と、リーダマスト108と、チャック110と、チャックフレーム112と、メインシリンダ114とを備える。また、圧入機本体100は、貫入長計測部120と、嵌合状態評価装置300とを備える。
複数のクランプ102は、先行して地盤Gに圧入された複数の鋼矢板1(先行杭材、以下、完成杭1Rとも記載する。)の杭天端から所定高さまでのウェブ部12のY方向の両側を掴む。複数のクランプ102により複数の完成杭1Rを掴むことにより、圧入機本体100が鋼矢板1を地盤Gに圧入するための反力基盤を形成する。複数のクランプ102は、圧入施工が進むにつれて、圧入施工の進行方向の他の完成杭1Rを掴む。
サドル104は、複数のクランプ102と接続される。サドル104は、複数のクランプ102を完成杭1Rに取り付ける基盤となる。
スライドフレーム106は、サドル104に対して圧入施工の進行方向およびその逆方向に動作する。これにより、スライドフレーム106は、圧入機本体100により地盤Gに圧入しようとする鋼矢板1(後続杭材、以下、圧入杭1Aとも記載する。)を圧入施工の進行方向およびその逆方向において位置決めするように動作する。さらに具体的には、スライドフレーム106は、完成杭1Rのうち、圧入施工の進行方向の端部(+X方向の端部)に圧入施工が完了した完成杭(先行杭材、以下、完成杭1Bとも記載する。)における前方継手部16bと嵌合するように、圧入杭1Aの後方継手部16aの位置(X方向位置およびY方向位置の双方)を決める。
リーダマスト108は、圧入杭1Aを上下方向(Z方向)に移動させるためのガイドとして機能する。また、リーダマスト108は、スライドフレーム106の動作に従って圧入施工の進行方向およびその逆方向に移動される。リーダマスト108の内部には、貫入長計測部120と嵌合状態評価装置300とが収容される。
チャック110は、圧入杭1Aのウェブ部12をY方向における両端から掴む。チャックフレーム112は、チャック110の上側(−Z方向側)に配設され、メインシリンダ114により与えられた動力によってチャック110を上下方向に移動させる。
メインシリンダ114は、圧入杭1Aを下方向(+Z方向)に移動させ、圧入杭1Aを地盤Gに圧入させる動力を発生させる油圧シリンダである。メインシリンダ114は、パワーユニット200の制御に従って圧入杭1Aを上下方向に移動させる。
以下、上述した鋼矢板圧入システムにおける圧入施工手順について説明する。図4は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおける圧入施工手順を示すフローチャートである。図5は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて他の鋼矢板1を嵌合させないで鋼矢板1を地盤Gに圧入する様子を示す図である。図6は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて鋼矢板1を嵌合させて鋼矢板1を地盤Gに圧入する様子を示す図である。
まず、鋼矢板圧入システムは、図5に示すように、鋼矢板1を他の鋼矢板1と嵌合させないで地盤Gに圧入施工する(ステップS100)。より詳細には、既に地中に配置された鋼矢板1−1の杭天端付近に継手計測部20を取り付け、この鋼矢板1−1に対して予め定めた距離dだけ離間させて、鋼矢板1−2を圧入方向(−Z方向)に圧入する。鋼矢板1−2を圧入すると、鋼矢板1−2と地盤Gとの間の摩擦により発生した音が鋼矢板1−1に伝達され、鋼矢板1−1に設けられた継手計測部20に伝達される。継手計測部20により、鋼矢板1−1内に伝達した音が計測される。この音は、鋼矢板1同士が嵌合していないため、鋼矢板1同士が接触する音を含まない。この音の周波数スペクトルは、例えば図7に示すようになる。図7は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて他の鋼矢板1を嵌合させないで鋼矢板1を地盤Gに圧入させた時に継手計測部20により検出される音圧信号の周波数スペクトルを示す図である。
尚、上記「既に地中に配置された鋼矢板1−1」の「配置」とは、例えば、圧入による配置や、振動/打撃打ち込みによる配置や、埋め込みによる配置などをいう。すなわち、継手計測部20を設ける鋼矢板1−1は、どのような手段で地中に配置されたものであってもよい。
次に鋼矢板圧入システムは、嵌合状態評価装置300により、ステップS100において鋼矢板1−2を圧入している最中において継手計測部20により計測された音圧信号に対して前処理を行う(ステップS102)。この前処理は、嵌合状態を評価できるように音圧信号に対して演算処理を行うことにより前処理情報を生成する。
次に鋼矢板圧入システムは、図6(a)に示すように、鋼矢板1同士を嵌合させて鋼矢板1を地盤Gに圧入する圧入施工を行う(ステップS104)。ここでは、ステップS100で圧入した鋼矢板1−2を引き抜き、この引き抜いた鋼矢板1−2を、鋼矢板1−1の前方継手部16b−1と鋼矢板1−2の後方継手部16a−2とを嵌合させて圧入する。このとき、継手計測部20は、鋼矢板1−1に取り付けられているため、鋼矢板1−2と地盤Gとが摩擦する音に加えて、鋼矢板1−1の前方継手部16b1−と鋼矢板1−2の後方継手部16b−2とが摩擦することにより発生する音等が鋼矢板1−1内に伝達され、継手計測部20で計測される。図8は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて鋼矢板1同士を嵌合させて鋼矢板1を地盤Gに圧入させた時に継手計測部20により検出される音圧信号の周波数スペクトルを示す図である。
鋼矢板圧入システムは、ステップS104の圧入施工をしている最中に、嵌合状態評価装置300により、継手計測部20により検出された音圧信号に基づく施工中情報を生成する。この施工中情報は、ステップS104の最中に得られた音圧信号に対して前処理信号と同様の演算により得られた情報である。鋼矢板圧入システムは、嵌合状態評価装置300により、ステップS102により生成された前処理情報と施工中情報とに基づいて、鋼矢板1−1の前方継手部16b−1と鋼矢板1−2の後方継手部16a−2との嵌合状態を評価する(ステップS106)。
鋼矢板圧入システムは、ステップS106における評価の結果に基づいて、嵌合状態を表示する(ステップS108)。鋼矢板圧入システムは、嵌合状態に異常がない場合、図9に示すような表示画像400Aを提示する。この表示画像には、嵌合状態が「正常」であることを示す嵌合状態402、異常発生時貫入長404、施工の開始または停止の操作を受け付けるためのボタン406、および情報のリセットの操作を受け付けるためのボタン408が含まれる。鋼矢板圧入システムは、警告を行うと判定した場合には警告を表す情報を表示する(ステップS110)。鋼矢板圧入システムは、嵌合状態に異常がある場合、図10に示すような表示画像400Bを提示する。この表示画像には、嵌合状態が「異常」であることを示す嵌合状態402、異常発生時貫入長404、施工の開始または停止の操作を受け付けるためのボタン406、および情報のリセットの操作を受け付けるためのボタン408が含まれる。
鋼矢板圧入システムは、鋼矢板1−2の圧入施工が完了したか否かを判定し(ステップS110)、施工が完了していない場合にはステップS104に処理を戻し、施工が完了した場合には処理を終了する。尚、ステップS104に処理を戻す場合は、図6(b)に示すように、継手計測部20を、先行して地盤Gに圧入された鋼矢板1のうち、後続して圧入する鋼矢板1−3と嵌合される鋼矢板である、圧入施工が完了した鋼矢板1−2に取り付け又は付け替えた上で、ステップS104以降の処理が進められる。
図11は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおける嵌合状態評価装置300の機能的な構成を示すブロック図である。
嵌合状態評価装置300には、貫入長計測部120と、継手計測部20と、表示部320とが接続される。表示部320は、嵌合状態評価装置300による評価結果を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置である。表示部320は、例えば、圧入施工を管理する作業者によって視認される。表示部320は、表示制御部314の制御に従って、上述した図9または図10に示すような画像を表示させる。表示制御部314は、評価部310における評価結果に基づいて表示部320を駆動制御する。
貫入長計測部120は、メインシリンダ114の動作に基づいて圧入杭1Aの貫入長を示す信号(以下、貫入長信号と記載する。)を生成する。貫入長計測部120は、例えば所定間毎に貫入長信号を嵌合状態評価装置300に出力する。継手計測部20は、完成杭1Bに伝達されている振動に基づく信号を生成する。完成杭1Bに伝達されている振動には、圧入杭1Aと地盤Gとが摩擦する音や完成杭1Bと圧入杭1Aとが接触する音等が含まれる。継手計測部20は、完成杭1Bに伝達される振動として音圧信号を生成する。継手計測部20は、音圧信号を無線送信部20aによって嵌合状態評価装置300に送信させる。
嵌合状態評価装置300は、入出力回路、演算回路、制御回路、および記憶装置を含むコンピュータである。嵌合状態評価装置300は、信号入力部302と、無線受信部304と、周波数解析部306と、同期処理部308と、評価部310と、記憶部312と、表示制御部314とを備える。
無線受信部304は、無線送信部20aにより送信された音圧信号を受信する。無線受信部304は、所定の信号処理を施した音圧信号を信号入力部302に出力する。信号入力部302には、貫入長計測部120により出力された貫入長信号、および無線受信部304により出力された音圧信号が入力される。無線受信部304は、貫入長信号を同期処理部308に出力すると共に、音圧信号を周波数解析部306に出力する。尚、ここでは無線により音圧信号を送信する構成を例として挙げたが、有線で音圧信号を送信する構成であってもよい。
周波数解析部306、同期処理部308、および評価部310は、演算回路および制御回路としてのCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、メモリに記憶されたプログラムを実行することで機能するソフトウェア機能部であってもよいし、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
周波数解析部306は、信号入力部302から入力された音圧信号に対してフーリエ変換等の周波数解析処理を行って、周波数成分に対する信号強度を表す周波数スペクトル信号を生成する。周波数解析部306は、生成した周波数スペクトル信号を同期処理部308に出力する。
周波数解析部306は、周波数スペクトル信号のうち、予め設定された周波数帯域の信号強度を表す周波数−強度情報を抽出して同期処理部308に出力することが望ましい。予め設定された周波数帯とは、圧入杭1Aと完成杭1Bとの嵌合状態を評価できるような周波数帯である。予め設定された周波数帯は、例えば、圧入杭1Aが完成杭1Bに嵌合されて圧入されている期間において完成杭1B内に生じる定常波の周波数帯である。
また、予め設定された周波数帯は、複数であることが望ましい。予め設定された複数の周波数帯とは、圧入杭1Aと完成杭1Bとの嵌合状態の評価の精度を高くすることができるような複数の周波数帯である。予め設定された複数の周波数帯は、例えば、圧入杭1Aが完成杭1Bに嵌合されて圧入されている期間において完成杭1B内に生じる複数の定常波の周波数帯である。以下の実施形態の説明は、周波数解析部306が予め設定された複数の周波数帯の周波数スペクトル信号として、周波数帯f1の周波数スペクトル信号、周波数帯f2の周波数スペクトル信号、および周波数帯f3の周波数スペクトル信号を同期処理部308に出力するものとして説明する。
同期処理部308は、周波数解析部306により出力された複数の周波数スペクトル信号と、信号入力部302から入力された貫入長信号との同期を取る。同期処理部308は、信号入力部302における貫入長信号の入力タイミングと、信号入力部302における音圧信号との入力タイミングとに基づいて、複数の周波数スペクトル信号と貫入長信号との同期をとる。同期処理部308は、同期が取られた複数の周波数スペクトル信号と貫入長信号とを対応づけて記憶部312に記憶させる。
記憶部312は、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。また、記憶部312には、ファームウェアやアプリケーションプログラム等の各種プログラム、嵌合状態評価装置300の各部における設定情報や処理結果の情報などが記憶される。
記憶部312には、前処理情報Da、施工中情報Dbと、評価結果Drとが記憶される。評価結果Drは、前処理情報Daおよび施工中情報Dbに基づく嵌合状態の評価を表す情報である。前処理情報Daとは、継手を嵌合させない状態で地盤Gに鋼矢板1を圧入することによって取得された情報である。施工中情報Dbとは、圧入施工中において地盤Gに鋼矢板1を圧入することによって取得された情報である。前処理情報Daと施工中情報Dbとは、評価部310により嵌合状態の評価を行うために必要な信号である。
図12は、本発明を適用した鋼矢板圧入システムにおいて嵌合状態評価装置300に記憶される情報を示す図であり、(a)は前処理情報であり、(b)は施工中情報である。前処理情報には、貫入長D−1、・・・D−nに対応して周波数帯f1の平均強度Ap−1(f1)、周波数帯f2の平均強度Ap−1(f2)および周波数帯f3の平均強度Ap−1(f3)が含まれる。平均強度は、各周波数帯の周波数スペクトル信号に含まれる音圧信号の平均値である。平均強度は、評価部310により演算されて記憶部312に格納される。施工中情報には、貫入長、周波数帯、および平均強度に加えて、圧入杭1Aの番号、および評価結果が対応づけられる。施工中情報は、完成杭1Rごとに記憶部312に記憶される。なお、鋼矢板圧入システムは、圧入杭1Aを圧入施工する最中にしか施工中情報を使用しない場合には、杭番号および評価結果を記憶させなくてもよい。
評価部310は、施工中情報Dbに基づいて完成杭1Bの前方継手部16bと、圧入杭1Aの後方継手部16aとの嵌合状態における異常の有無を評価する。評価部310は、異常の有無を評価するために下記の演算(1)、(2)、(3)および(4)を行う。
(1)評価部310は、前処理情報Daに含まれる平均強度Apと、施工中情報Dbに含まれる平均強度Aとの差を算出する。評価部310は、算出された平均強度Apと平均強度Aとの差を平均強度Apにより除算することにより、平均強度Aを平均強度Apにより正規化した正規化強度差を算出する。評価部310は、周波数帯f1の正規化強度差、周波数帯f2の正規化強度差、および周波数帯f3の正規化強度差を得る。
(2)評価部310は、周波数帯f1の正規化強度差、周波数帯f2の正規化強度差、および周波数帯f3の正規化強度差のうち、最も高い正規化強度差を選択する。
(3)評価部310は、選択した正規化強度差を、当該正規化強度差が得られた周波数帯に基づいて補正する。
評価部310は、周波数帯が高いほど正規化強度差を大きくするように補正をする。評価部310は、例えば、周波数帯の高低関係がf1<f2<f3である場合、周波数帯がf1の場合の正規化強度差の補正幅よりも、周波数帯がf2およびf3の場合の正規化強度差の補正幅を大きくする。この補正の理由は、完成杭1B内における音のうち高い周波数帯の音ほど完成杭1B内において減衰しやすく、周波数帯の差によって正規化強度差がばらつくことを抑制するためである。
評価部310は、圧入杭1Aの貫入長が大きいほど正規化強度差を大きくするように補正をする。この補正の理由は、貫入長が大きいほど、杭先端近くで発生する音が完成杭1B内を伝達する距離が長くなって減衰が大きくなるからであり、貫入長によって正規化強度差がばらつくことを抑制するためである。
評価部310は、正規化強度差を補正することより得た値を、嵌合状態の評価のための指標Xとして取得する。なお、正規化強度差の補正は、周波数帯または貫入長の少なくとも一方に基づいて補正してもよい。
(4)評価部310は、指標Xと、閾値とを比較して、指標Xが閾値を超えたか否かを判定する。評価部310は、指標Xが閾値を超えたと判定した場合に嵌合状態の異常があることを評価し、指標Xが閾値を超えたと判定していない場合に嵌合状態の異常が無いことを評価する。
評価部310は、閾値を複数設定し、指標Xと複数の閾値とを比較して嵌合状態を評価してもよい。評価部310は、2つの閾値aおよびb(a<b)を設定し、指標Xと複数の閾値aおよびbとを比較する。評価部310は、指標Xが閾値aを超えていないと判定した場合には嵌合状態に異常がないと判定する。評価部310は、指標Xが閾値aを超えて閾値bを超えていないと判定した場合には完成杭1Bと圧入杭1Aとの嵌合部の抵抗が増大していると評価する。完成杭1Bと圧入杭1Aとの抵抗が増大しているとは、嵌合状態の異常の前段階の一つであり、完成杭1Bと圧入杭1Aとの間にせりが生じている状態等である。評価部310は、指標Xが閾値aおよびbを超えたと判定した場合には完成杭1Bの前方継手部16bと圧入杭1Aの後方継手部16aとが離脱している異常であると評価する。
以上説明したように、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、先行して地中に圧入された鋼矢板1の前方継手部16bに対して後続して地中に圧入される鋼矢板1の後方継手部16aを嵌合させて、後続の鋼矢板1を圧入しながら、先行の鋼矢板1に伝達する振動に基づいて生成された第1の信号に基づいて第1の振動圧を求め、第1の振動圧に基づいて、先行の鋼矢板1の前方継手部16bと後続の鋼矢板1の後方継手部16aとの嵌合状態の異常の有無を判定する。この鋼矢板圧入システムによれば、先行の鋼矢板1において伝達されている振動に基づいて先行の鋼矢板1に対する後続の鋼矢板1の嵌合状態を評価することができるので、作業者に評価結果に対する対処を促すことができる。
また、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、既に地中に配置された鋼矢板1の前方継手部16bに対して後続して地中に圧入される鋼矢板1の後方継手部16aを嵌合させない状態、すなわち既に地中に配置された鋼矢板1と離間して鋼矢板1を圧入したことにより発生する音に基づいて生成された前処理情報と施工中情報との差に基づいて、先行する鋼矢板1の前方継手部16bと後続する鋼矢板1の後方継手部16aとの嵌合状態の異常の有無を判定する。これにより、鋼矢板圧入システムによれば、施工中情報から前処理情報を差し引いて嵌合状態を評価できる。すなわち、鋼矢板1と地盤とが摩擦する音等の雑音の影響を打ち消すことができる。この結果、鋼矢板圧入システムによれば、嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
さらに、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、前処理情報と施工中情報との差を前処理情報に基づいて正規化し、正規化した振動圧差に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する。これにより、鋼矢板圧入システムによれば、継手の嵌合状態以外の圧入施工が実施される時の条件(地盤Gの性質や鋼矢板1の材料等)を考慮して施工中情報を加工することができるので、より嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
さらに、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、鋼矢板1に伝達される振動に含まれる複数の周波数成分を抽出し、抽出された周波数成分ごとに正規化された振動圧差のうち、最も高い振動圧差に基づいて嵌合状態の有無を判定するので、地盤Gや鋼矢板1の材料等の施工条件によって鋼矢板1に伝達される振動の周波数のうち鋼矢板1において定常波が生ずる周波数帯の振動を考慮して嵌合状態の評価を行うことができる。この結果、鋼矢板圧入システムによれば、より嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
さらに、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、最も高い振動圧差が得られた周波数成分に基づいて最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定するので、振動の周波数に依存して振動が鋼矢板1に伝達されやすさが変動する場合であっても、嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
さらに、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、圧入杭1A(後続杭材)の貫入長に基づいて最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定するので、圧入杭1A(後続杭材)の貫入長に依存して鋼矢板1に伝達される振動の大きさが変動する場合であっても、嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
さらに、本発明を適用した鋼矢板圧入システムによれば、複数の閾値aおよびbを設定し、振動圧差が閾値aを超えた場合には嵌合状態の異常の前段階であると判定し、振動圧差が閾値bを超えた場合には嵌合状態の異常であると判定するので、嵌合状態の評価を段階的に行うことができ、嵌合状態の異常の前段階において圧入施工に対する処置を促すことができる。
上述した実施形態における嵌合状態評価装置300の機能をコンピュータで実現するようにしても良い。例えば、嵌合状態評価装置300は、鋼矢板1を圧入する施工を管理する管理者が保有する端末のコンピュータにより実現してもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態では、前処理情報を生成する際、既に地中に配置された鋼矢板1−1に継手計測部20を取り付け、その鋼矢板1−1から離間した位置に別の鋼矢板1−2を圧入し、鋼矢板1−1内に伝達した音を継手計測部20で計測しているが、例えば、圧入施工における最初の圧入時などで既に地中に配置された鋼矢板が存在しない場合には、上述した実施形態よりは評価精度は低下するものの、他の鋼矢板と嵌合させることなく地盤に圧入する鋼矢板自身の杭天端付近に継手計測部を設けて音を計測するようにしてもよい。このように、前処理情報を生成する際の継手計測部20は、鋼矢板(杭材)の継手を嵌合させない状態で、鋼矢板を地中に圧入したことにより発生する振動に基づく信号を生成するものであれば良いのである。
また、上述した実施形態では、施工中情報を生成する際、先行して地盤Gに圧入された鋼矢板1のうち、後続して圧入する鋼矢板1−2(後続杭材)と嵌合される鋼矢板1−1(先行杭材)に継手計測部20を取り付け、鋼矢板1−1(先行杭材)内に伝達した音を継手計測部20で計測しているが、他の鋼矢板と嵌合させることなく地盤に圧入する鋼矢板自身の杭天端付近に継手計測部を設けて音を計測して前処理情報を生成した場合は、その後の、鋼矢板同士を嵌合させて鋼矢板を地盤に圧入する、嵌合状態を評価しながら行う圧入施工において、継手計測部を、後続して圧入する鋼矢板(後続杭材)自身の杭天端付近に取り付けることが好ましい。このように、施工中情報を生成する際の継手計測部20は、鋼矢板(杭材)の継手を嵌合させた状態で、後続杭材を地中に圧入したことにより発生する振動に基づく信号を生成するものであれば良いのである。
また、上述した実施形態では、継手計測部20により計測された音圧信号に基づく前処理情報を生成する評価方法としているが、このような前処理情報を利用する評価方法に限定されることはなく、予めデータベース化された前処理情報を利用した評価方法としても良い。例えば、生成した前処理情報の取得状況やそのときの地盤情報が対応付けられた前処理情報をデータベース化して蓄積しておく。そして、新たに施工する地盤が、蓄積された地盤情報と略同一又は類似する場合に、上述した実施形態のような既設の鋼矢板から得られる前処理情報を取得することなく、その地盤情報に対応付けられた前処理情報を利用して嵌合状態を評価することができる。このような評価方法によれば、既に地中に配置された鋼矢板の杭天端付近に設けられた継手計測部20に伝達した音に基づいて生成された前処理情報がデータベース化されている場合に、その前処理情報に対応付けられた地盤情報と施工地盤との類似度によっては、圧入する鋼矢板自身の杭天端付近に継手計測部を設けて生成する前処理情報を利用するより場合も、嵌合状態の評価精度を高くすることができる。
また、上述した実施形態では、嵌合状態の異常の有無を判定するにあたっての嵌合が、複数の杭材を予め定めた施工方向に連続して地中に圧入する圧入施工において、先行して地中に圧入された先行杭材の施工方向前方側の継手と、後続して地中に圧入される後続杭材の施工方向後方側の継手との嵌合である例を挙げて説明したが、本発明にいう嵌合は、複数の杭材の圧入施工における先行杭材の開放された継手と後続杭材の継手との嵌合であればよい。例えば、複数の杭材を連続して地中に圧入してなる壁体に対して杭材の長手方向に沿わせて補強材を圧入するような圧入施工における杭材と補強材との嵌合などにも本発明を適用できる。
また、上述した実施形態では、前処理情報を生成するために圧入した鋼矢板1−2を引き抜き、この引き抜いた鋼矢板1−2を、既に地中に配置された鋼矢板1−1に嵌合させて圧入施工を行い、施工中情報を生成する例を挙げたが、例えば、鋼矢板1−2を引き抜くことなく捨て杭とし、施工中情報を生成する圧入施工では新たな鋼矢板を鋼矢板1−1に嵌合させてもよい。また、例えば、既に地中に配置された鋼矢板1−1を捨て杭とし、前処理情報を生成するために圧入した鋼矢板1−2に新たな鋼矢板を嵌合させて施工中情報を生成する圧入施工としてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 鋼矢板
1A 圧入杭
1B 完成杭
1R 完成杭
16a 後方継手部
16b 前方継手部
20 継手計測部
100 圧入機本体
120 貫入長計測部
300 嵌合状態評価装置
302 信号入力部
304 無線受信部
306 周波数解析部
308 同期処理部
310 評価部
312 記憶部
314 表示制御部
320 表示部
400A、400B 表示画像
402 嵌合状態
404 異常発生時貫入長

Claims (10)

  1. 杭材の長手方向に沿って形成された継手によって互いに杭材を嵌合させて、複数の杭材の圧入施工における嵌合状態を評価する嵌合状態評価方法であって、
    先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて、前記後続杭材を圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された第1の信号を取得する第一のステップと、
    前記第一のステップにおいて取得した第1の信号に基づいて第1の振動圧を求める第二のステップと、
    前記第二のステップにおいて求められた第1の振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態の異常の有無を判定する第三のステップと、
    を有する嵌合状態評価方法。
  2. 前記第一のステップの前に、前記継手を嵌合させない状態で杭材を地中に圧入したことにより発生する振動に基づいて生成された第2の信号を取得するステップと、
    前記第2の信号に基づいて第2の振動圧を求めるステップと、を有し、
    前記第三のステップは、前記第1の振動圧と前記第2の振動圧との差に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態の異常の有無を判定する、
    請求項1に記載の嵌合状態評価方法。
  3. 前記第三のステップは、前記第1の振動圧と前記第2の振動圧との差を前記第2の振動圧に基づいて正規化し、正規化した振動圧差に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する、
    請求項2に記載の嵌合状態評価方法。
  4. 前記第三のステップは、前記第1の振動圧および前記第2の振動圧に含まれる複数の周波数成分を抽出し、抽出された周波数成分ごとに正規化された振動圧差のうち、最も高い振動圧差に基づいて嵌合状態の有無を判定する、
    請求項3に記載の嵌合状態評価方法。
  5. 前記第三のステップは、前記最も高い振動圧差が得られた周波数成分に基づいて前記最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する、
    請求項4に記載の嵌合状態評価方法。
  6. 前記第三のステップは、前記後続杭材の貫入長に基づいて前記最も高い振動圧差を補正し、補正した振動圧差と閾値との比較結果に基づいて嵌合状態の異常の有無を判定する、
    請求項4または5に記載の嵌合状態評価方法。
  7. 前記第三のステップは、前記閾値として第1の閾値と、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値とを設定し、前記補正した振動圧差が前記第1の閾値を超えた場合には嵌合状態の異常の前段階であると判定し、前記補正した振動圧差が前記第2の閾値を超えた場合には嵌合状態の異常であると判定する、
    請求項6に記載の嵌合状態評価方法。
  8. 請求項1から7のうちいずれか1項に記載の嵌合状態を評価するステップと、
    嵌合状態の評価をしながら、杭材を圧入するステップと、
    を有する、杭材の圧入施工方法。
  9. 先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて前記後続杭材を圧入している最中に発生する振動に基づいて生成された信号が入力される信号入力部と、
    前記信号入力部に対し入力された信号に基づく振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態を評価する評価部と、
    を有する嵌合状態評価装置。
  10. 先行して地中に配置された先行杭材の開放された継手に対して後続して地中に圧入される後続杭材の継手を嵌合させて前記後続杭材を圧入している最中に発生する振動に基づいて生成された信号が入力される信号入力部と、前記信号入力部に対し入力された信号に基づく振動圧に基づいて、前記先行杭材の開放された継手と前記後続杭材の継手との嵌合状態を評価する評価部とを有する嵌合状態評価装置を備えた自動施工装置。
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