JP2017035380A - 電気磁気治療器 - Google Patents
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Abstract
Description
電気で磁気を発生させる電気磁気治療器として、日本では家庭用電気磁気治療器が知られており、関連する規格で以下の定義がされている。
1) 患部に交流磁界による磁気を作用させて治療を行う。
2) 患部に接触する部分お表面磁束密度は35〜180mTとする。
3) 発生する磁界は50/60Hzの正弦波とする。
これより、日本における一般的な電気磁気治療器は、「商用電源の正弦波の交流をそのまま使用」して、磁気発生コイルにより、「50Hzまたは60Hzの交流の50/60Hz の磁気を発生」させ、その「交流による正弦波の磁気で患者を治療」するものである。
図1は従来の具体例である。U字形の鉄心4にコイル2、コイル3を配置し、このコイルに商用電源をそのまま接続することで50Hz または60Hzの「正弦波の磁気」を発生させる構造である。特許文献1はこの構造である。
磁気治療器は、商用電源を電圧源とし、巻線による電流で安定磁界源をつくり、その磁界源に強磁性体を配置して磁束を治療磁気の出力面まで誘導し、治療用の磁束密度の出力を得る原理である。磁気を発生させるおおもとはこの商用の電圧源によりコイルに流れる電流がつくる安定磁界である。言い換えると安定磁界は形を変えた空間の電流分布の様相をなすため、実際には電流分布を形成する「コイルの分布」が磁気出力を決めるため重要となる。特許文献1ではコイルの分布を工夫している。
なお、磁界は形を変えた電流分布であり、その単位は単位長さ当たりの電流値、すなわちA/mで示される。さらに、この磁界源と配置された磁性体の構成により磁気の発生分布が決定される。
コイル分布による安定電流分布が安定磁界分布を形成されるため、磁界分布と電流分布は相互関係にある。エネルギー源のおおもとは電圧源がつくる安定電流分布源となる。この安定電流分布源がつくる安定磁界源の合計の強さは「起磁力」と言われ、エネルギー源となる能動磁界の合計値である。
磁気治療器では、この起磁力を構成する磁界のみが能動的磁界であり常に安定値を示す。ここで、その他の磁界はこの能動磁界と空間の磁性体構造により決定される「受動的磁界」であり、磁気回路構成によるフィードバック磁界の重畳により受動的に変動する。
起磁力NIは磁気装置が必要とする安定磁界源の総合値であり、実際の磁気デバイスの設計に使用されるが、これは磁界の発生にコイルを用いるためであり、以下となる。
・ 起磁力F = コイル巻数N × コイル電流I (A:アンペア)
図1において、起磁力について説明する。コイル1とコイル2の巻数をN1,N2とすると、二つのコイルの合計巻数をN=N1+N2となる。このときコイルに流れる電流をIとすると、鉄心内部に発生する起磁力Fは F=N・I (A:アンペア)で示される。これは鉄心に鎖交する電流値の総和でもある。この場合、600ターン+600ターン=1200ターンの巻き数であり、1Aが通電されるとすると、起磁力F=1200ターン×1A=1200Aとなる。
磁気治療器ではこのコイル分布の作る起磁力を源として磁束の分布をつくり、治療用の磁気を発生させる。この磁束を効率よく伝達させるためには、磁束の媒介となる磁性体に、高い比透磁率μをもつ強磁性体を用いること、すなわち、高透磁率と高飽和磁束密度を有す磁性体の使用が重要である。これにより、コイル電流で発生した起磁力を効率よく、もれなく磁気の出力面にまで伝達することが可能となる。
図1を例に、高透磁率の磁性体がかかわる過程を説明する。
1) コイル1、コイル2、コイル3に流れる電流9で起磁力を発生させる。
2) この起磁力により、強磁性体である鉄心4内に主磁束5を生成する。
3) 鉄心4が高透磁率を有すため、主磁束5は漏れずに出力部まで媒介される。
4) 出力部から効率よく治療用の磁束6が出力される。
このような過程で、仮に低い比透磁率で、低い飽和磁束密度を有す磁性体を使用した場合は、図1の漏れ磁束10が発生し、鉄心内の主磁束5が途中で漏れてしまう現象が起きる。磁気治療器の磁気回路は強磁性体としてケイ素鋼板空気に使用する場合は透磁率が高く、且つ、安価なものとして、一般的にケイ素鋼板が用いられる。
図2に、コイルの均等巻線配置による漏れ磁束の防止手法を示す。このように鉄心4の全体に均等コイル11を巻く、均等巻線を適用することで鉄心からの漏れ磁束をある程度低減することができる。これは、起磁力を鉄心全体に分布させることにより、鉄心のみが磁束の媒介となる構造をなくしているからである。特許文献1のコイル配置がこれに相当する。
磁性体は前述のように、磁界空間に配置することで目的とする磁気分布を得る。しかし、磁性体にはもう一つの重要な因子として磁性体の透磁率が飽和してしまう磁気飽和現象がある。たとえばパーマロイ合金は非常に大きな透磁率を持つが、飽和磁束密度が低いためケイ素鋼板に比べておよそ1/3程度の磁気エネルギーしか媒介できない。このため、より高い磁束密度を得るにはケイ素鋼板の方が適している。
磁気治療器は高い磁気出力を得るために、コイルの内部に発生する磁界の媒介として、高透磁率で且つ高飽和磁束密度であるケイ素鋼板を用いることが多い。
磁束は電流による磁界源(起磁力)により「磁性体内部に流れる磁気」の総量であり、一般的にΦで示される。一方で、磁束Φはファラデーの法則によるコイルの起電力e=N・dΦ/dtの関係から、コイル構造との相関で決定される値でもある。一般的に、おおもととなる磁束の源はコイルによる磁界源、つまりは起磁力である。このとき、起磁力の媒介が真空や空気をある種の磁性体のため、磁束は発生している。しかし、相対的に小さな値であるため、大きな磁束の利用には、効率のよい磁束媒介である強磁性体を挿入する。
磁気治療器では、コイルに電流を流して磁界源(起磁力)をつくり、コイル内部の磁界源(起磁力)に磁性体を配置することで磁性体内部に透磁率に応じた強い磁束を発生させ、これを磁束源としている。
通常の変圧器等の閉磁路と異なり、磁気治療器は電磁石のような非常に大きなギャップを有する磁気回路となる。図1に例をとれば、U字型の鉄心の左右の距離はギャップとみなすことができる。このような場合は磁気回路の半分程度が空気の層となり、ある意味で非常に大きなギャップをもつ磁気回路とみなせる。
図3は磁気治療器の均等巻線の場合の概略の磁化曲線である。横軸が起磁力NI、縦軸が磁束密度Bである。
磁気治療器の磁束設計には磁気抵抗を計算して対応する方法もあるが、この例のように概略の磁化曲線を実測することの方が現実的である。この例では鉄心断面積2cm2、起磁力NI=1000Aにおいて、鉄心端部の表面磁束密度B=100mTとなる例である。なお、磁気治療器は大きなギャップを持つ鉄心と同等なので、磁化曲線はギャップ励磁電流の分が加算されるため水平方向にシフトし、且つ、通常の電流領域では飽和特性はないため、図3には示していない。
図4に磁気治療器の電流値とコイルの巻数との関係の例を示す。磁気治療器はインダクタンスとみなせ、電源電圧Vが固定値であることが重要となり、関係式は以下となる。
1)インダクタンスと電流
・インダクタンス L ∝ N・N・Sc・μ/lm
I:コイルの電流
N:コイルの巻数
Sc:鉄心断面積
μ:透磁率
lm:鉄心の磁路長
V:電源電圧
F:周波数
・電流値 I ∝ V/(L・F)
∝ V・lm/(N・N・Sc・μ・F) ・・・(1)
これらの関係から、電流値を抑えて、発熱を防ぐには次が言える。
・ 鉄心をコンパクトにして磁路長lmを小さくする。
・ 鉄心断面積Scを増やす。しかし、同時に磁束密度は低下。
・ コイルの巻数を増やす。しかし、同時に磁束密度は低下。
2)磁束と磁束密度
・磁気抵抗 R ∝ lm/(μ・Sc) ・・・(2)
・発生磁束 Φ ∝ N・I/R ・・・(3)
・発生磁束 Φ ∝ N・I・(μ・Sc)/lm ・・・(4)
・発生磁束 Φ ∝ V/(N・F) ・・・(5)
・発生磁束密度 B ∝ V/(N・F・Sc) ・・・(6)
・電流磁束密度効率 B/I ∝ N・μ/lm ・・・(7)
これらの関係から、高い磁束密度を得るには、次が言えるが、前述と背反する。
・ 鉄心断面積Scを減らす。しかし、同時に電流は増大する。
・ コイルの巻数を減らす。しかし、同時に電流は増大する。
また、電流磁束密度効率の式(7)から、効率を上げるには次が言える。
・ 電流効率のためには巻数Nは増やした方が良い。
・ 透磁率μの高い鉄心を使用し、鉄心の磁路長lmを減らす。
なお、これらの関係は電圧が固定となる変圧器の設計でも同じであり、磁束密度を設計値以下にするために巻数Nを増やし、鉄心断面積Scを増やすが、磁気治療器は磁束密度を上げるために調整する点が異なる。
1)鉄心断面積:まず、予定する磁気発生面と重量制限から鉄心断面積を決定。
2)巻数N:効率のため、巻数Nを増やす。しかし、磁束密度の下限にとどめる。
3)巻線サイズ:抵抗発熱が設計発熱値となる巻線用の電線サイズを決める。
4) 巻線構造:効率的磁束伝達のため、漏れ磁束の無い均等巻線構造とする。
5)磁性体:高い比透磁率、高い飽和磁束密度の磁性体を使用する。
6) 磁路長:鉄心をコンパクトにして磁路長を小さくする。
たとえば、まずは重量とサイズの制約から鉄心断面積は2cm2程度とし、次に目標磁束密度Bと電流Iによる発熱のバランスからコイルの巻数Nを調整して適切値が決められる。このようにして決められた磁気治療器の起磁力NIはおおむね1000A〜2000A程度である。これは電流1A程度で、巻き数1000〜2000Tに相当する
特許文献2がこれに該当し、鉄心や巻線を小型とする一方で、鉄心の先端ギャップを小さくして磁気が集中する構成とし、かつ、インダクタンスを大きくすることで電流値を下げ、局所的な磁気出力を大きくするために鉄心の先端構造を鋭利にし、かつ、外郭の内側に溝を構成して外郭の厚みを部分的に薄くする構成とし、さらに、細い巻線構成で抵抗分を増大させて電流値を下げることを行っている。
図5に例を示すが、鉄心断面積が小さく、治療用磁束6が局所であり限定された空間にのみ磁気を出力するタイプであり、おおむね以下の特徴を持つ。
1) 磁気が浸透する範囲は患部の表面の数cmの範囲に限定。
2) コンパクト化が前提で、鉄心断面積は0.1〜0.3cm2程度と通常形の1/10程度。
3) コンパクト化のための、大きなインダクタンスと、大きな抵抗値。
・ 抵抗で電流値を下げるため、0.1〜0.2Φ前後の細線で巻き、抵抗値を確保。
・ 電流値低減のため巻数を増大させ、500〜1000Ω程度の大きな巻線抵抗値。
・ このために巻数は通常型の10倍程度の10000T前後で構成する。
4) 局所出力のため、軽量、小型、低電流容量である。
5) 局所限定のピンポイントの強磁気を出力する下記等の構造を有す。
・ 鉄心構造を工夫し、磁気が集中する先端鋭利構造や、小さなギャップ構造等。
・ 小形の鉄心により磁束密度を上げ、1000A前後の起磁力で高い磁気を発生。
1)磁気出力の調整ができない。
2)連続通電電流による過熱。
3)50/60Hzで出力磁気が変化。
4)直列複数接続時に電流容量が増大。
5)磁気出力や発熱制御が一意的。
6)通常形では局所出力の強磁気出力が困難。
従来の磁気治療器では磁気の発生レベルの制御ができず、たとえば治療器の表面で60mTの磁気出力であれば、開始ボタンで出力し、タイマー時間の終わりまで、変わらずに60mTを連続して出力していた。また、出力レベルを制御する構造がない。
磁気治療器の磁気発生面と磁束密度が決定されていた場合を想定する。このとき、電圧Vと周波数Fは一定であり、鉄心断面積Scと巻数Nと結果としての電流値Iは固定値となる。
ここで、さらに効率を上げるに、電流磁束密度効率を上げるための(7)式から、鉄心の磁路長lmを短くし、透磁率μの大きい鉄心を使用する。
ここで、これ以上の発熱を抑える手段はコイルの巻線抵抗値を抑える一択となるが、このためには巻線構造を均等にする、磁路長lmを短くする等の制限条件があるため、可能な手段はコイルの電線を抵抗値の少ない太い電線で巻くことしかないが、太い巻線ではサイズが大きくなる等の制約があり、限界がある。もちろん、超電導線等を使用することも原理的に可能であるが、現在のシーズにおいてはほぼ不可能である。
このように巻線の抵抗値が大きいと、たとえば磁気治療器を連続して使用することができなくなる。たとえば、一人の患者が磁気治療器を30分間使用し、その後、別の人が治療することを繰り返した場合には発熱が蓄積し、治療器によっては表面温度が75℃にも達する場合がある。このような場合は低温やけど等の健康被害も考慮しなければならなくなる。一般にはそれほど高い温度にする前に、たとえばサーモスタット等の安全装置により安全動作させるが、この場合、冷却によりサーモスタットがリセットされるまでの温度差が一般的には20℃〜40℃程度あり、治療器の設置条件によってはリセットにより再使用できるまでに3時間程度を要する場合もあり、非常に不便である。
実際には磁気出力を弱レベルで治療したい人もいるが、一定値である場合は、たとえば30分タイマーの10分経過で自分でタイマーを切る等の動作を行うことで対応するため、種々の使用者にとっても選択肢がなく、不便である。
磁気治療器は一種のインダクタであり、(6)式にも示すが、多くの磁気応用機器と同等に、発生する磁気の強さは、おおむね周波数に反比例する。50Hzで設計された磁気装置は、60Hzでは内部の磁束密度が0.83倍(=50/60)に低下する。この逆の現象で、60Hz地区の変圧器やモーター等の磁気応用装置を50Hz地区で使用すると内部の磁束密度が1.2倍(=60/50)と高くなり、最悪の場合は過熱して焼損する。
このことにより、現状の磁気治療器は50Hz地区と60Hz地区では出力が異なり、一般的に50Hz地区に比べて、60Hz地区では0.83倍の出力に低下する。
磁気治療器を一度に多数の部位に適用するために、ユニット化された磁気治療器を想定する。ユニット当たり1.5Aとすると、たとえば5個等を直列につなげると合計で、1.5A×5個=7.5Aの電流容量が必要となる。このため電源としては750VAの容量が必要となり、必要とする電源線のサイズや、コンセントタップの容量等の誤選択による発熱や火災等の原因となる可能性がある。
通常の磁気治療器はたとえば、60mTの出力を連続でタイマー時間、たとえば30分間出力して終了するのみである。インターバルや、出力の強弱パターン等の組み合わせや、治療モードの選択機能がない。また、複数ユニットを組み合わせた場合に、それら個々のユニット毎に異なるパターンの治療パターンが出力できる構造となっていない。このため、腰や肩等の異なる部位であっても同じパターンの出力に推移している。
通常の磁気治療器には、局所タイプのようなピンポイントで強力な磁気を出力する機能がなく、一般的に平均した出力を出すタイプである。ピンポイントで強力な磁気を要求された場合に対応できない。
図6に従来例の基本となる構造を示すが、固定値である商用電源をそのまま使用しているため、治療出力の磁束6は当然ながら一定値で調整が不可能である。
従来例では、たとえば磁気出力60mTを連続して、治療時間30分間治療する、一定値である。解決手段の例では、60mTの出力をインターバル時間t2を有し、これを繰り返し時間t1で繰り返す例である。これにより、実際の出力レベルを下げたことと同等の効果を得ることができる。なお、この例ではインターバル出力であるが、個別のパターン、たとえば1/Fパルス列パターンや、対数パルス列パターンでもよい。このようにすることで、30分のタイマーを薄める結果になり、実際のON時間は10分等にできるため、患者に合わせた強弱の制御と同じ効果をえることができる。
図10は一般の磁気治療器に換気口23をつけた例である。磁気治療器の過熱は、たとえば、多数の患者が交替で連続して使用する場合に起こり得る。この例では、本体7の内部の発熱は換気口23により排出され、過熱を避けて、連続運転が可能となる。しかしながら、大きな換気口のため、害虫や埃が侵入で内部の安全機能に支障をきたす可能性が高く、あまり好ましくない。さらに、毛布やタオル等をかけて使用することにより、換気口の効果はほとんどなくなり、過熱が発生しやすくなる欠点もある。
一般に、コイル40と鉄心39は図示しない樹脂等の構造物で熱的には絶縁されている状態となっている。このため、図16においては、熱伝達スペーサー41を設けている。これはたとえば熱伝導ジェルや、シリコンプレート等でもよい。
この例のモード1の前半は磁気出力大と連続出力の組合せであり、電流増大とほぼ連続通電のため、当然ながら発熱も大となる。モード2は前半が磁気出力大とインターバル50%、後半が磁気出力低とほぼ連続の組み合わせであり、結果的に概略として発熱は半減する。モード3はさらに前半と後半にインターバルを増大させ、発熱量を抑えたクールダウンモードとなる。これらは、このようなモード選択機能をもたせることで、適切な発熱量で治療を行うことができる選択肢を提供できる例である。
たとえば、コイルの適切な温度の最高値を85℃とし、これを超えないように管理すると仮定する。この状態で、図19の左側のグラフのように、開始直前のコイル温度が72℃を測定した場合は、温度上昇値15℃と予想されるモード1を使用すると最終温度が72+15=87℃と予想されるため、コイルの管理温度を超える。その結果、モード1は選択できず、選択拒否動作を行う制御を採用することで、未来の過熱を未然に防ぐことが可能となる。
図19の右側のグラフは治療前のコイルの温度が78℃の場合の例である。この場合はこのグラフからモード1とモード2は治療中にコイル温度が85℃を超えることが予想される。したがって、治療を行うことができるモードはモード3にのみに制限される動作となる。
なお、このようなモードに応じて発熱しやすいモードと、ほとんど発熱しないモードを割り付けることにより、ほとんど発熱しないモードをクールダウンモードとしてほぼ連続で使用できるように設計してもよい。
図21に実施例を示す。ここでは、タップの位置関係の説明の関係を明記するために、図7に示した高低の磁気出力を切替える出力調整タップA16と出力調整タップB21を有す回路を例とする。50/60Hzの切替えタップは図7におけるコモン側に追加する形となり、結果として図21の位置に60Hz切替タップ46と、50Hz切替タップ47が設けられる形態となる。この例では、周波数検出装置48により電源8の周波数信号を検出し、CPU49により判定し、周波数選択スイッチ45を制御する構成となる。周波数検出装置は、詳細は省略するが、たとえば電源8の電圧を整流して、半波のみの直流信号を抵抗経由でフォトカプラによりパルス信号に変換するようなパルスカウント信号発生装置でもよい。
なお、特許文献3において、周波数切り替えタップの必要性に言及しているが、本願ではそれを具体的に示したものである。
このため、例えば全巻数1000Tと仮定すると、(6)式から、周波数が60/50=1.2倍となる場合は、巻数Nが50/60=0.83倍となることで変化を相殺できるため、170Tのタップを設けることで巻数は1000T-170T=830Tとなることで0.83倍とすることができ、これにより変化を相殺できることになる。これにより、電源の周波数を検出し、自動でタップを切り替えることにより、50Hz地域と60Hz地域でほぼ同等の磁気出力をえることが可能となる。なお、この例ではスイッチで示したが、この部分も磁気ノイズでメカニカルリレー等が使用できない場合はトライアック等の半導体を使用した切替構造でもよい。
図22は磁気発生ユニットを5個使用し、直列に接続した例である。このように構成した場合は、一様の連続電流が流れるとして、ユニット1個の電流の5倍の電流が合計電流として流れることになる。このため、たとえばユニット一個あたり2A流れるとした場合は2×5=10Aの電流容量が必要となり、電源ケーブルサイズや、使用者の設備容量が相応のサイズと容量が求められる。
この例では進相コンデンサ50を追加することにより、コイルのインダクタンス分による遅れ電流を補償し、結果的に総合電流値を下げることができるものである。一般的に磁気治療器はほとんどがインダクタンス成分であり、力率は10%程度と低い値であるが、適切なコンデンサを挿入することで、この値を50%以上に上げることが可能となる。
しかし、この方法では、電源側の向こう側に別のインダクタンスを有す機器が存在したり、非線形的なインダクタンスを有す機器が存在したりする場合にコンデンサに外部からパルス電流的なノイズが発生する場合がある。したがって、原理的には外部の別のインダクタンスの影響を受けないコンデンサの配置が求められる。
さらにこの回路では、電圧の高いタップとなるため、進相コンデンサとしての期待される容量が電圧上昇分だけ増えるため、補償可能な電流値も増大する効果が得られるものである。
この解決手段は前述した解決手段の下記がその一部をなしている。
・ 図7で示した磁気出力の調整手段。
・ 図8で示したインターバルの挿入。
・ 図9で示した磁気発生パターンのモード選択機能。
・ 図17で示した過熱対策を考慮した磁気発生パターン。
・ 図23で示した電流容量の総合値のタイミング調整を行う治療パターン。
個々のユニットについてはこれらの機能により、治療パターンが得られるが、全体のユニットを総合的に制御することは、図23の単純な制御で一部行っているのみである。
図26は、複数のユニットからなる磁気治療器をRS485による制御で一括コントロールする方式の例である。たとえば、このようにして、シリアル通信制御により各磁気治療器ユニットを制御することを行えば、ユニット単位で複雑な治療パターンを実施しながら、マスター部分であるリモコンで統一した制御を行うことが可能となるものである。
このような、通信と制御パターンの割り付けにより、たとえば、肩の部分と腰の部分と脚の部分を別々の制御で、図27のようにユニット毎のパターン制御を行うことが可能となる。
図29に、まずは本願のいままでの課題を適用した例を示す。ここでは前述の各機能を搭載、または一部の機能を搭載することにより、図示しない過熱を避ける制御パターンと、電流容量を低減する制御パターンと、本図に示した電流容量を下げる進相コンデンサと、過熱した場合の放熱経路を有すコンパクトな構成とを組み合わせたている。これにより、総合的に安定かつ、安全な磁気治療器を提供することが可能となる。
この状態で、局所的に磁気出力が最大となるポイントは図の磁束が集中する鉄心角部上部表面57となる。しかしながら、図の鉄心角部53は磁束が一点に集中的に入り込む構造であるため、ほぼ角部からの距離の二乗で磁気レベルが低減する。このため、鉄心角部53の表面でたとえば150mTの磁束密度が観測されたとしても、その直上部の上部外郭54の表面、すなわち鉄心角部上部表面57においては磁束密度が減衰して、離隔にもよるが、数mm〜6mm程度の離隔で60〜40mT程度と半減以下まで減衰する。
図31は図30の磁気強度改善溝58に表面磁性体59を挿入した例である。この磁性体により、周囲の磁束が集められるため、この磁性体の表面の磁気の強さは、鉄心角部53の表面とほぼ同程度の値、たとえば150mTと強い磁束密度が得られる。実際の現象は鉄心の一部を表面に設けたことにより、この表面磁性体59に磁束が集中する事から、表面に強い磁気がシフトしただけであるが、見かけ上は磁気増幅板の様相をなすものである。
この手法の特徴は、鉄心の角部の上部の磁束が集中する部分に限定して表面磁性体59を設けることにある。その他の部分では効果がないこともその理由となる。
ここで、このような配置にすると、鉄心本体39と、鉄心上部投影表面磁性体60との間に磁気力が発生するため、磁気強度改善溝58にしっかりと埋め込むことが重要である。この溝自身が、磁気力による物理的力に対して固定する構造となり、安定して固定されることができるものである。
図7は本願の例であり、巻数NAの出力調整タップAと、巻数NBの出力調整タップBを有し、この切替えにより出力磁束6の値を制御する。このとき巻数の少ないタップの選択で高い磁束密度の磁気が出力される。この例ではタップ数は二つであるが、複数タップを有してもよい。タップの選択はスイッチではなくともよく、リレー、トライアックやフォトモスリレー、SSR等の半導体スイッチでもよい。
図12は解決手段の例である。治療器本体7の底面に接触するようにアルミシート等からなる放熱シート27を構成している。このため、本体で発生した熱はアルミシート全体に伝達して底板28全体を介する放熱経路29により放熱される。
一般に、コイル40と鉄心39は図示しない樹脂等の構造物で熱的には絶縁されている状態となっている。このため、図16においては、熱伝達スペーサー41を設けている。これはたとえば熱伝導ジェルや、シリコンプレート等でもよい。
図21に実施例を示す。ここでは、タップの位置関係の説明の関係を明記するために、図7に示した高低の磁気出力を切替える出力調整タップA16と出力調整タップB21を有す回路を例とする。50/60Hzの切替えタップは図7におけるコモン側に追加する形となり、結果として図21の位置に60Hz切替タップ46と、50Hz切替タップ47が設けられる形態となる。この例では、周波数検出装置48により電源8の周波数信号を検出し、CPU49により判定し、周波数選択スイッチ45を制御する構成となる。周波数検出装置は、詳細は省略するが、たとえば電源8の電圧を整流して、半波のみの直流信号を抵抗経由でフォトカプラによりパルス信号に変換するようなパルスカウント信号発生装置でもよい。なお、この例ではスイッチで示したが、この部分も磁気ノイズでメカニカルリレー等が使用できない場合はトライアック等の半導体を使用した切替構造でもよい。
図23は解決例であり、各ユニット毎の最大電流を発生するタイミングをずらせて調整している。このように、各ユニットの最大電流が極力重ならないようなタイミング調整を行うことにより、全体の合計電流値を低減することができるものである。
この例では進相コンデンサ50を追加することにより、コイルのインダクタンス分による遅れ電流を補償し、結果的に総合電流値を下げることができるものである。
図26は、複数のユニットからなる磁気治療器をRS485による制御で一括コントロールする方式の例である。たとえば、このようにして、シリアル通信制御により各磁気治療器ユニットを制御することを行えば、ユニット単位で複雑な治療パターンを実施しながら、マスター部分であるリモコンで統一した制御を行うことが可能となるものである。
図30は鉄心角部上部表面57と上部外郭部54の表面との離隔を低減するために、筐体の表面側に磁気強度改善溝58を左右に二カ所設けた例である。このようにすることで、鉄心角部53と鉄心角部上部表面57の離隔が小さくなり、より大きな磁気が表面で観測されるため、結果的に患者に局所的に大きな磁気を供給することができる。なおこの溝は溝形状でなくてもよく、部分的に筐体の厚みが薄い構造にしてもよい。
ここで、このような配置にすると、鉄心本体39と、鉄心上部投影表面磁性体60との間に磁気力が発生するため、磁気強度改善溝58にしっかりと埋め込むことが重要である。この溝自身が、磁気力による物理的力に対して固定する構造となり、安定して固定されることができるものである。
2 コイル2
3 コイル3
4 U字形鉄心
5 鉄心内の磁束Φ
6 治療出力の磁束Φc
7 磁気治療器
8 商用電源
9 電流
10 漏れ磁束ΦL
11 均等巻線
12 局所出力用鉄心
13 H形鉄心
14 巻線
15 出力調整タップ付巻線
16 出力調整タップA
17 タップB電流
18 タップA電流
19 スイッチA
20 スイッチB
21 出力調整タップB
22 コモンタップ
23 換気口
24 ソファー本体
25 ウレタン
26 レザーカバー
27 下部放熱シート
28 底板
29 下部放熱経路
30 上部筐体
31 蓋板用放熱板
32 治療出力面放熱経路
33 下部筐体
34 ボトムケース放熱板
35 磁気発生コイル機構
36 下部全面からの放熱経路
37 磁気出力面放熱カバー
38 放熱構造下部コアシメ金具
39 円盤型コイル用鉄心
40 円盤型コイル用ボビン
41 コイル放熱シート
42 磁気発生コイル本体
43 低磁気出力ドライブ用トライアック
44 高磁気出力ドライブ用トライアック
45 50/60Hz 出力調整用スイッチ
46 60Hz出力用タップ
47 50Hz出力用タップ
48 周波数パルス検出器
49 制御用CPU
50 進相用コンデンサ
51 進相用コンデンサ専用タップ
52 強い磁気出力が発生する部分
53 鉄心上部角部
54 上部筐体
55 下部筐体
56 制御基板
57 鉄心上部角部の延長上の筐体表面の磁気出力面
58 磁気強度改善溝
59 表面磁性体
60 鉄心上部投影表面磁性体
61 分割表面磁性体
62 副鉄心
Claims (9)
- 磁気発生強度を可変する磁気の強弱調整タップを少なくとも一つ有し、且つ、50/60Hzでの磁気出力をほぼ同等にするタップを有し、磁気の強弱調整タップの強弱出力の制御、必要に応じてインターバル制御をすることを特徴とする電気磁気治療器。
- 電流容量を低減するための進相用コンデンサを有し、該コンデンサを接続するために、等価的に直列にコイルの自己インダクタンスが挿入されるようにした進相用コンデンサ接続専用のタップを有することにより電流補償回路を商用電源回路から分離したこと特徴とする電気磁気治療器。
- 複数の磁気発生ユニットと、各ユニットを同時制御する通信手段と個別制御する制御手段と、少なくとも二つ以上の磁気出力制御レベルを制御するタップと、50/60Hzを切り替える周波数切り替えタップとを有し、各ユニットの磁気出力レベルの電流最大値が少なくとも一組は重ならないような、高電流とその他の低電流のタイミング調整制御を行うことにより合計の電流容量を下げるモードを少なくとも一つは持つことを特徴とする電気磁気治療器。
- 磁気治療器本体の筐体の内面の上部または下部、またはその両方の少なくとも上面または下面の50%以上の領域に外郭に密着する放熱板構造を有することを特徴とした電気磁気治療器。
- ソファー等の構造物に組み込む電気磁気治療器において、底面側の少なくとも50%以上の領域にわたる放熱シート構造部を有することを特徴とした電気磁気治療器。
- ソファー等の構造物に組み込む電気磁気治療器において、本体の磁気治療器の表面以外の5面を囲む形状の放熱と固定構造を兼ねた「磁気治療器本体に固定して本体からの熱伝導効果を向上した構造物」を有することを特徴とする電気磁気治療器。
- 電気磁気治療器の治療出力面の内部の磁気出力用の鉄心に対抗する筐体の表面側に溝を設け、該溝に本文に記載する表面磁性体構造を埋め込みで設け、出力磁気を結果的に増幅する機能をもたせたことを特徴とする電気磁気治療器。
- 請求項1において、円盤型のコイルを有す、磁路長を極小としたH型鉄心を有する電気磁気治療器。
- 請求項1〜7までの機能を有することを特徴とした、ソファー内臓の多ユニット構造の電気磁気治療器。
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