(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図面を参照して、第1の目的を実現するための分散処理システム、方法、およびプログラムについて説明する。
第1の実施形態では、分散処理システムの一例として、階層構造をなす分散処理システムである階層型分散意思決定システム10を想定する。
図1は、本実施形態の階層型分散意思決定システム10の構成例を示す。
階層型分散意思決定システム10は、上位意思決定システム20と、1つまたは複数の下位意思決定システム30(#1〜#n)とを備えてなる。
この階層型分散意思決定システム10は、所定時間内に所定のアクションを完了させるまでに要する各処理を、上位意思決定システム20と、下位意思決定システム30(#1〜#n)との間で分散処理する。
上位意思決定システム20は、下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々とインターネット等のネットワークを介して接続されている。
上位意思決定システム20は、下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々から依頼されるアクションの確認または修正等の照会に関する情報と、そのアクションを完了させるまでに行われる各処理に要する所定の制限時間に関する情報を受信し、照会された処理の実行を下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可する。
アクションは、例えば、実行開始から実行完了までに行われる一連の各処理を含む。例えば、アクションは、階層型分散意思決定システム10を、耐故障マルチエージェントシステムに適用した場合、故障要因の検知から修理までに行われる各処理を含み(第2の実施形態参照)、病院連携分散処理システムに適用した場合、患者が最初の病院に搬送されてから、最終的にどの病院に搬送すべきかを決定するまでに行われる各処理を含む(第3の実施形態参照)。
下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々は、所定の制限時間内にアクションを完了させるまでに要する各処理を、上位意思決定システム20と他の下位意思決定システム30との間で分散処理を行う。
次に、各意思決定システムの詳細な構成例について説明する。なお、図1では、下位意思決定システム30(#1)について説明するが、下位意思決定システム30(#2〜#n)についても同様に説明することができる。
下位意思決定システム30(#1)は、センシング情報記録・監視部31−1、センシング情報記憶部32−1、センシング情報通知部33−1、アクション実行意思決定部34−1、アクション実行部35−1、アクション実行予定記憶部36−1、GUI表示判定部37−1、GUI(Graphical User Intereface)表示部38−1、上位確認・修正実施判定部39−1、アクション実行予定通知部40−1、およびアクション実行依頼受付部41−1を備えてなる。
センシング情報記録・監視部31−1には、センサAおよびセンサBが接続されている。そして、センシング情報記録・監視部31−1は、センサAおよびセンサBを監視し、センサAによってセンサ情報a1が取得された場合、または、センサBによってセンサ情報a2が取得された場合、取得されたセンサ情報a1またはセンサ情報a2をセンシング情報記憶部32−1に記録させるためのセンサ情報記録指示を、取得されたセンサ情報a1またはセンサ情報a2とともに、センシング情報bとして、センシング情報記憶部32−1に送る。
センサAおよびセンサBは、実行部42aまたは実行部42bによって実行されるアクションの対象となる対象体(図示せず)に関するセンサ情報a1またはセンサ情報a2を取得する。対象体は、例えば、階層型分散意思決定システム10が耐故障マルチエージェントシステムに適用された場合には、修理するための故障要因に相当する。この場合、センサAおよびセンサBは、それぞれ、故障要因を検知するためのセンサである。
また、実行部42aおよび実行部42bは、例えば、階層型分散意思決定システム10が耐故障マルチエージェントシステムに適用された場合には、故障要因を修理するための修理装置等である。
なお、実行部42aおよび実行部42bは、後述するアクション実行部35−1に含まれていてもよい。この場合、アクション実行部35−1が対象体に対してアクションを実行する。
センシング情報bは、センサAまたはセンサBによって検知された対象体に関する情報であり、対象体に対応づけられた時間情報を含む。センシング情報bは、例えば、対象体の現在の状態を示す情報である。具体的には、対象体が移動体である場合、その移動体の位置情報、速度情報、または移動方向等を示す情報である。
また、階層型分散意思決定システム10が病院連携分散処理システムに適用された場合、対象体は、病院等において治療を受ける患者であり、センシング情報bは、患者が患う疾患の状態を示す情報である。なお、このように対象体が患者である場合、第3の実施形態において後述するが、センサAまたはセンサBからの取得されるセンサ情報a1またはセンサ情報a2を用いず、センシング情報bとして、例えば、患者の状態を示すトリアージ情報等を用いてもよい。
センシング情報記憶部32−1は、センシング情報記録・監視部31−1から送られてきたセンシング情報bを記憶する。そして、センシング情報記憶部32−1に記録されているセンシング情報cをセンシング情報通知部33−1およびアクション実行意思決定部34−1に送る。
センシング情報通知部33−1は、センシング情報記憶部32から取得したセンシング情報cのうち上位意思決定システム20によって行われる処理に必要な情報、例えば時間情報、を少なくとも含むセンシング情報e1を上位意思決定システム20に送る。
アクション実行意思決定部34−1は、センシング情報記憶部32−1から取得されたセンシング情報cに基づき、アクションを実行するか否かを決定する。
より詳細には、アクション実行意思決定部34−1は、センシング情報cに基づき、実行候補のアクション(以下、「アクション候補」と称す。)とそのアクション候補に対応付けられた制限時間とを算出する。そして、アクション候補と算出された制限時間とに関する情報(以下、「アクション候補時間情報」と称す。)をアクション実行予定記憶部36−1に記録する。
なお、アクション候補は、例えば、アクション実行意思決定部34−1によってアクションを実行するか否かが決定されていないアクション、上位意思決定システム20によって実行されることが許可されていないアクション、または、下位意思決定システム30(#1〜#n)のうちアクションが実行される下位意思決定システム30が決定されていないアクションである。
そして、アクション実行意思決定部34−1は、アクション候補に関する各処理に要する時間情報であるアクション候補時間情報に基づき、制限時間内にアクションを完了可能か否かを判定し、その判定結果に基づき、アクションの実行に関する意思を決定する。例えば、アクション実行部35−1に対してアクションを実行させるための、すなわち、アクション実行部35−1に対してアクションの実行を許可するための、実行指示f1を通知する。
また、アクション実行意思決定部34−1は、制限時間内にアクションを完了可能ではないと判定された場合、後述するGUI表示部38−1によってなされる表示処理、または、後述するアクション実行予定通知部40−1等によって行われる下位意志決定システム30(#1)から上位意志決定システムが20に対して照会する処理の実行、を省略または簡略化するとともに、アクション実行部35−1に対してアクションの実行を許可する。
また、アクション実行意思決定部34−1は、アクション候補時間情報、および、制限時間内にアクションを完了可能か否かの判定結果を示す情報、等を含むアクション候補に関する情報f2をアクション実行予定記憶部36−1に送る。
また、アクション実行意思決定部34−1は、アクション実行予定記憶部36−1によって記憶されている、上位意思決定システム20によって実行されることが許可されたアクションに関する情報を、アクション実行予定記憶部36−1から取得する。そして、上位意思決定システム20によって実行されることが許可されたアクションを、アクション実行部35−1に対して実行させるための実行指示f1を通知する。
アクション実行部35−1は、アクション実行意思決定部34−1から通知された実行指示f1に基づき、実行部42aに対して対象体にアクションを実行するための制御を行わせるための実行制御指示g1、または、実行部42bに対して対象体にアクションを実行するための制御を行わせるための実行制御指示g2、を送る。
実行部42aは、実行制御指示g1に基づき、対象体に対してアクションを実行する。同様に、実行部42bは、実行制御指示g2に基づき、対象体に対してアクションを実行する。
アクション実行予定記憶部36−1は、アクション候補に関する情報f2を記憶する。
GUI表示判定部37−1は、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されているアクション候補に関する情報iを取得し、取得されたアクション候補に関する情報iに基づき、GUI表示部38−1によってアクション候補を表示するか否かを判定する。例えば、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されている各アクション候補の制限時間、または、その制限時間と後述するような重要度や既に表示されているアクション候補の数等の他の判定基準との組み合わせに応じて、GUI表示部38−1によってアクション候補を表示するか否かを判定する。
GUI表示判定部37−1は、GUI表示部38−1によってアクション候補を表示すると判定した場合、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されているアクション候補に関する情報iをGUI表示部38−1に表示させる。そのため、GUI表示部38−1に対して、アクション候補を表示させるための表示指示jをGUI表示部38−1に送る。
GUI表示部38−1は、ディスプレイ(図示せず)等にアクション候補に関する情報をGUI形式で表示する。また、表示されたアクション候補に関する情報kをアクション実行予定記憶部39−1に記憶する。
一方、上位確認・修正実施判定部39−1は、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されているアクション候補に関する情報h1を取得し、取得されたアクション候補に関する情報h1に基づき、上位意思決定システム20に対してアクション候補に関する照会処理を行うか否かを判定する。例えば、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されている各アクション候補の制限時間、または、その制限時間と後述するような重要度や既に表示されているアクション候補の数等の他の判定基準との組み合わせに応じて、アクション候補に関する照会処理を行うか否かを判定する。
上位確認・修正実施判定部39−1は、アクション候補に関する照会処理を行わないと判定された場合、例えば、照会処理を行わないことを示す情報をアクション実行予定記憶部36−1に記憶する。一方、アクション候補に関する照会処理を行うと判定された場合、アクション候補の照会処理を行うことを示す情報h2をアクション実行予定通知部40−1に送る。
アクション実行予定通知部40−1は、照会処理を行うことを示す情報h2に基づき、上位意思決定システム20に、実行予定のアクション候補の照会処理を行うための通知(アクション実行予定情報)m1を送る。なお、通知m1は、例えば、アクション候補に関する情報およびそのアクション候補の制限時間に関する情報を含む。
また、アクション実行依頼受付部41−1は、上位意思決定システム20から送られてきたアクション実行依頼指示s1に基づき、上位意思決定システム20によって実行することが許可されたアクションに関する情報yをアクション実行予定記憶部36−1に記憶する。
上位意思決定システム20は、センシング情報記録・監視部21、センシング情報記憶部22、アクション実行意思決定部23、アクション実行部24、アクション実行予定記憶部25、GUI表示判定部26、GUI表示部27、およびアクション実行予定受付部28を備えてなる。
センシング情報記録・監視部21は、下位意思決定システム30(#1)のセンシング情報通知部33−1からセンシング情報e1を受信する。同様に、他の下位意思決定システム30(#2〜#n)のセンシング情報通知部33からセンシング情報eを受信する。
センシング情報記憶部22は、センシング情報記録・監視部21から送られてきたセンシング情報oを記憶する。センシング情報oは、複数の下位意思決定システム30から受信されたセンシング情報eを含む。
アクション実行意思決定部23は、アクション候補時間情報に基づき、制限時間内にアクションを完了可能か否かを判定する。また、下位意思決定システム30(#1)から上位意思決定システム20に対して照会された処理の実行を、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可するか否かを判定する。
また、アクション実行意思決定部23は、制限時間内にアクションを完了可能ではないと判定された場合、後述するGUI表示判定部26によってなされる表示処理、または、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可するか否かの判定処理、を省略または簡略化するとともに、下位意思決定システム30(#1)から照会された処理の実行を、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可する。
より詳細には、アクション実行意思決定部23は、センシング情報記憶部22に記憶されているセンシング情報pおよび後述するアクション実行予定記憶部25に記憶されているアクション候補照会情報wに基づき、下位意思決定システム20(#1)等から照会されたアクション候補の処理の実行を、下位意思決定システム20(#1)等に対して許可するか否かを判定する。
例えば、アクション実行意思決定部23は、下位意思決定支援システム30(#1〜#n)の何れかから得られた新たなセンシング情報pが得られた場合、センシング情報記憶部22から取得された新たなセンシング情報pに基づき、アクション実行予定記憶部25に記憶されている各アクション候補の確認または修正を行う。そして、確認または修正済みのアクションの実行を、アクション実行部24を介して下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに依頼する。
なお、アクション候補の修正とは、例えば、下位意思決定システム30のアクション実行意思決定部34−1によって決定され、アクションを実行する下位意思決定システム30、例えば下位意思決定システム30(#1)から、他の下位意思決定システム30、例えば下位意思決定システム30(#n)に、変更するような修正を含む。
そして、アクション実行意思決定部23は、制限時間内にアクションを完了可能か否かの判定結果に基づき、アクションの実行に関する意思を決定する。そして、例えば、アクション実行部24に対してアクションを実行させるための実行指示rを通知する。
また、アクション実行意思決定部23は、例えば、アクション候補時間情報、または、制限時間内にアクションを完了可能か否かの判定結果を示す情報、等を含むアクション候補に関する情報qをアクション実行予定記憶部25に送る。
アクション実行部24は、アクション実行意思決定部23から通知された実行指示rに基づき、アクション候補を実行する下位意思決定システム30に対して、アクション実行依頼指示sを送る。例えば、下位意思決定システム30(#1)において実行すべきとアクション実行意思決定部23によって決定された場合、決定されたアクション候補に関するアクション実行依頼指示s1を下位意思決定システム30(#1)に送る。
アクション実行予定記憶部36−1は、アクション候補に関する情報f2を記憶する。
一方、GUI表示判定部26は、上位意志決定システム20に対して下位意志決定システム30から照会された処理に関する情報を表示する。具体的には、アクション実行予定記憶部25に記憶されているアクション候補に関する情報tをGUI表示部27に表示させる。そのため、GUI表示部27に対して、アクション候補を表示させるための表示指示uをGUI表示部27に送る。例えば、アクション実行予定記憶部36−1に記憶されている各アクション候補の制限時間、または、その制限時間と後述するような重要度や既に表示されているアクション候補の数等の他の判定基準との組み合わせに応じて、アクション候補に関する情報を表示させるか否かを判定する。なお、アクション候補に関する情報を表示させるか否かの判定処理は、アクション候補に関する情報を人間等のユーザによって編集可能なように表示するか否かの判定処理も含む。
GUI表示部27は、例えば上位意思決定システム20内のディスプレイ(図示せず)等に、アクション候補に関する情報をGUI形式で表示する。また、表示されたアクション候補に関する情報vをアクション実行予定記憶部25に記憶する。
一方、アクション実行予定受付部28は、下位意思決定システム30(#1)のアクション実行予定通知部40−1から実行予定のアクション候補の照会処理を行うための通知m1を受信する。同様に、他の意思決定システム30(#2〜#n)から、それぞれに対応する実行予定のアクション候補の照会処理を行うための通知m2〜mnを受信する。そして、受信された実行予定のアクション候補の照会処理を行うための通知mに基づき、アクション候補照会情報wを、アクション実行予定記憶部25に記憶させる。
なお、図1では、階層型の分散意思決定システム10について説明したが、本発明は、階層型に限定されるものではない。例えば、上位意思決定システム20と下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々は、同一構成を有する複数の分散された意思決定システムのうちの何れかであってもよい。そして、これら意思決定システムのうちの何れかが、上位意思決定システム20の役割を担い、残りが、下位意思決定システム30となるようにしても良い。
例えば、階層型分散意思決定システム10が耐故障マルチエージェントシステムに適用された場合には、故障要因を最初に検知したセンサに対応する意思決定システムが下位意思決定システム30となり、それ以外の意思決定システムのうちの何れかが上位意思決定システム20となる、逆に、故障要因を最初に検知したセンサが設けられた意思決定システムが上位意思決定システム20となり、それ以外の意思決定システムのうちの何れかが下位意思決定システム20となってもよい。
なお、これらの各分散意思決定システムにおいて、データベース/アプリケーションとして機能する機能部は、独立したエンティティとして記載したが、いずれの組み合わせにおいても同一エンティティとしての実装を制限するものではない。
また、本実施形態の階層型分散意思決定システム10におけるネットワークは、イーサネット(登録商標)等のLAN、あるいは公衆回線や専用回線を介して複数のLANが接続されるWAN等からなる。LANの場合には、必要に応じてルータを介した多数のサブネットから構成される。また、WANの場合には、公衆回線に接続するためのファイアウォール等を適宜備えているが、ここではその図示及び詳細説明を省略する。
また、本実施形態の階層型分散意思決定システム10は、例えば、磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムや、TCP/IP等を用いたインターネット等のネットワークを介してダウンロードしたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されるサーバ等のコンピュータによって実現される。
請求項において、上位ユニットに設けられ、各処理に要する時間情報に基づき、所定時間内にアクションを完了可能か否かを判定するための第1の判定手段は、例えば、アクション実行意志決定部23に対応する。上位ユニットに設けられ、下位ユニットから上位ユニットに対して照会された処理の実行を、下位ユニットに対して許可するか否かを判定するための第2の判定手段は、例えば、アクション実行意志決定部23に対応する。上位ユニットに設けられ、上位ユニットに対して照会された処理に関する情報を表示するための表示手段は、例えば、GUI表示判定部26に対応する。上位ユニットに設けられ、第1の判定手段によって所定時間内にアクションを完了可能ではないと判定された場合、表示手段によってなされる表示処理、または、第2の判定手段によってなされる判定処理、を省略または簡略化するとともに、照会された処理の実行を、下位ユニットに対して許可する許可手段は、例えば、アクション実行意志決定部23に対応する。
次に、図2を参照して、第1の本実施形態の階層型分散意思決定システム10によって実施される分散処理の手順の一例について説明する。なお、図2では、下位意思決定システム30(#1)から上位意思決定システム20に対してアクションに関する照会が行われた場合を想定する。
まず、ステップS10乃至ステップS20において、下位意思決定システム30(#1)によって処理が行われる。
センシング情報記録・監視部31−1によって、センサAまたはセンサBからのセンシング情報bが取得される(ステップS10)。次に、アクション実行意思決定部34−1によって、取得されたセンシング情報bに基づき、実行すべきアクション候補が決定される。また、決定されたそのアクション候補の制限時間が算出される(ステップS12)。
そして、アクション実行意思決定部34−1によって、決定されたアクション候補のうち実行されるべきアクション候補があるか否かが判定される(ステップS14)。実行されるべきアクション候補がない場合(ステップS14:NO)、例えば、決定されたアクション候補がアクション実行予定記憶部36−1に記憶される。
一方、実行されるべきアクション候補がある場合(ステップS14:YES)、上位確認・修正実施判定部39−1によって、実行されるべきアクション候補を上位意思決定システム20によって全体最適化するための時間があるか否かが判定される(ステップS16)。なお、全体最適化は、図5を参照して後述するが、例えば、後続するステップS24において行われる処理のうち、複数の下位意志決定システム30(#1〜#n)の何れかから受信されたセンシング情報を総合的に判断することを意味する。
全体最適化のための時間がないと判定された場合(ステップS16:NO)、後述するステップS36に進む。一方、全体最適化するための時間があると判定された場合(ステップS16:YES)、上位確認・修正実施判定部39―1によって、下位意思決定システム30(#1)から上位意思決定システム20にすでに依頼されている依頼件数が所定の上限値よりも小さいか否かが判定される(ステップS18)。なお、この依頼件数に関する情報は、例えば、アクション実行予定記憶部39−1等に記憶されている。
依頼件数が所定の上限値よりも小さくないと判定された場合(ステップS18:NO)、後述するステップS36に進む。一方、依頼件数が所定の上限値よりも小さいと判定された場合(ステップS18:YES)、上位意思決定システム20に実行されるべきアクション候補があることを報告するために、アクション実行予定通知部40−1によってアクション実行予定情報m1が上位意思決定システム20に通知される(ステップS20)。また、センシング情報通知部33−1によって、ステップS20においてアクション実行予定通知部40−1によって通知されるアクション実行予定情報m1と関連付けられているセンシング情報e1が、上位意思決定システム20に通知される(ステップS20)。なお、アクション実行予定情報m1とセンシング情報e1とは、例えば、1対1に関連付けられている。また、センシング情報e1は、例えば、センシング情報記憶部32−1に記憶されているセンシング情報のうち、上位意志決定システム20において必要な情報が含まれる情報である。
次に、ステップS23乃至ステップS32において、上位意思決定システム20によって処理が行われる。
アクション実行予定受付部28によって、下位意思決定システム30(#1)のアクション実行予定通知部40−1からアクション実行予定情報m1が受信される(ステップS22)。また、センシング情報記録・監視部21によって、下位意思決定システム30(#1)のセンシング情報通知部33−1からセンシング情報e1が受信される(ステップS22)。
そして、アクション実行意思決定部23によって、ステップS22において下位意思決定システム30(#1)から受信されたセンシング情報e1に少なくとも基づいて、全体最適化が行われ、下位意思決定システム30(#1)で実行すべきアクション候補が確認または修正される(ステップS24)。なお、複数の下位意思決定システム30の各々からセンシング情報eが受信された場合、受信された複数のセンシング情報eに基づいて全体最適化が行われ、各下位意思決定システム30で実行すべきアクション候補が確認または修正される(ステップS24)。
次に、GUI表示判定部26によって、アクション照会処理情報uをGUI表示部27によって表示させるための時間またはアクション照会処理情報uに関する入力処理を行うための時間を含む上位アクション情報表示時間があるか否かが判定される(ステップS26)。上位アクション情報表示時間がないと判定された場合(ステップS26:NO)、上位意思決定システム20における表示処理を省略して、ステップS32に進む。
一方、上位アクション情報表示時間があると判定された場合(ステップS26:YES)、GUI表示判定部26によって、上位GUI表示数が上限値以下であるか否かが判定される(ステップS28)。GUI表示部27によって表示されているアクション照会処理情報uに対応する数(上位GUI表示数)が上限値以下ではないと判定された場合(ステップS28:NO)、上位意思決定システム20における表示処理が省略され、ステップS32に進む。
一方、上位GUI表示数が上限値以下であると判定された場合(ステップS28:YES)、下位意志決定システム30で実行すべきアクション候補に関する情報であるアクション照会処理情報uをGUI表示部27に表示させる(ステップS30)。なお、ステップS30において、アクション照会処理情報uがGUI表示部27に表示されている間、例えば、人がアクション候補を実行するか否かの確認または修正の処理を行い、アクション実行予定記憶部25の内容を更新してもよい。
次に、アクション実行部24によって、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して、下位意思決定システム30に対して、実行すべきアクション候補に関する情報を含むアクション実行通知情報sが通知される(ステップS32)。
そして、ステップS34乃至ステップS44において、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかによって処理が行われる。なお、図2では、下位意思決定システム30(#n)によってステップS34乃至ステップS44の処理が行われる場合を想定する。
アクション実行依頼受付部41−nによって、上位意思決定システム20のアクション実行部24から通知されたアクション実行通知情報snが受信される(ステップS34)。
次に、GUI表示判定部26によって、アクション照会処理情報jをGUI表示部38−nによって表示させるための時間またはアクション照会処理情報jに関する入力処理を行うための時間を含む下位アクション情報表示時間があるか否かが判定される(ステップS36)。なお、下位意思決定システム30(#1)による処理であるステップS16またはステップS18において、上述したようにステップS36に進む場合、ステップS36乃至ステップS44における処理は下位意思決定システム30(#n)の代わりに下位意思決定システム30(#1)によって行われる。
下位アクション情報表示時間がないと判定された場合(ステップS36:NO)、下位意思決定システム30(#n)における表示処理が省略され、ステップS42に進む。
一方、下位アクション情報表示時間があると判定された場合(ステップS36:YES)、GUI表示判定部37−nによって、下位GUI表示数が上限値以下であるか否かが判定される(ステップS38)。GUI表示判定部37−nよってGUI表示部38−nによって表示されているアクション照会処理情報jに対応する数(下位GUI表示数)が上限値以下ではないと判定された場合(ステップS38:NO)、下位意思決定システム30(#n)における表示処理が省略されて、ステップS42に進む。
一方、下位GUI表示数が上限値以下であると判定された場合(ステップS38:YES)、アクション照会処理情報jをGUI表示部38−nに表示させる(ステップS40)。なお、ステップS40において、アクション照会処理情報jがGUI表示部38−nに表示されている間、例えば、人がアクション候補を実行するか否かの確認または修正の処理を行い、アクション実行予定記憶部36−nの内容を更新してもよい。
そして、アクション実行意思決定部34−nによってアクション候補を実行するか否かが判定される(ステップS42)。ステップS42の処理は、例えば、ステップS14においてアクション候補を実行する必要があると判定された後、新たなセンシング情報が取得される等によって状況が変更されるような場合があるため行われる。アクション候補を実行する必要がないと判定された場合(ステップS42:NO)、処理を終了する。一方、アクション候補を実行する必要があると判定された場合(ステップS42:YES)、アクション実行部35−mによって、実行する必要があるアクション候補に対応した実行部が選択され、選択された実行部が制御される(ステップS44)。
以上のように、第1の実施形態によれば、分散処理による意思決定を行いつつ、所定時間内にアクションを完了させることが可能となる。また、ユーザインタフェース等によって表示処理や入力処理が行われるような場合でも、あるいは、上位意志決定システム20によって全体最適化が行われ全体調整されるような場合でも、制限時間内にアクションの実行の意思決定を行うことが可能となる。そのため、自動的にまたは半自動的に、局所的な緊急対応等と全体の調整とのバランスをとりつつ、制限時間内にアクションの実行の意思決定が可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、図3乃至図10を参照して、第2の目的を実現するための耐故障マルチエージェントシステムについて説明する。
第2の実施形態では、階層型分散意思決定システム10を、耐故障マルチエージェントシステムに適用した場合を想定している。なお、第1の実施形態と同様の構成または内容については説明を省略する。
図3は、第1の実施形態における図1の階層型分散意思決定システム10の構成例をより具体的に示した耐故障マルチエージェントシステム300の構成例である。耐故障マルチエージェントシステム300は、故障要因の検知から修理までのアクションを所定時間内に完了させるために、そのアクションに含まれる各処理を、上位意思決定システム20と下位意思決定システム(#1〜#n)とで分散して行うための分散処理システムである。
図3では、下位意思決定システム30(#1〜#n)としてデスクトップPC200等の複数のコンピュータPC1〜PCnと、上位意思決定システム20としてデスクトップPC200等のコンピュータPC0と、がネットワーク100を介して互いに接続され、分散処理環境が形成されている。また、各PCは、第1の実施形態において説明した分散処理を実行する分散処理プログラム200aを備える。
また、図3では示していないが、各PCは、故障要因を検知するためのセンサと接続されている。なお、各意思決定システムが、センサを有していてもよい。
下位意思決定システム30(#1〜#n)は、それぞれ、ネットワーク100を介して他の下位意思決定システム30または上位意思決定システム20と情報を授受する仲立ちとなるインタフェース部(I/F)53と、ディスプレイ52と、記憶部50と、制御部51と、ユーザインタフェース部54とを備えており、それぞれ、バス55等を介して互いに接続されている。
ここでは、下位意思決定システム30(#1)について説明するが、他の下位意思決定システム30(#2〜#n)についても同様に説明することができる。
記憶部50−1は、上述したような、センシング情報記憶部32−1、アクション実行予定記憶部36−1等を備える。
ユーザインタフェース部54−1は、キーボードやマウス(図示せず)等を備え、例えば、ディスプレイ52−1上のGUI環境を用いたユーザの操作を受け付ける。
制御部51−1は、上述したような、上位確認・修正実施判定部39−1、GUI表示判定部37−1等を備える。なお、図3では示していないが、制御部51−1は、第1の実施形態の図1で示した下位意思決定システム30(#1)の各機能部も備える。
また、制御部51−1は、センサによって故障要因が検知された場合、検知された故障要因の修理の許可を求める要求を上位意思決定システム20に照会するための照会機能を有する。
例えば、上位確認・修正実施判定部39−1によって、アクションに関する照会処理を行うと判定された場合、制御部51−1は、照会機能によって、上位意思決定システム20に対して検知された故障要因の修理の許可を求める要求を行う。
また、制御部51−1は、GUI表示判定部37−1によってディスプレイ52−1にアクション候補に関する情報がGUI形式で表示された場合、表示されたアクション候補に関する情報に対してユーザインタフェース部54−1を介してユーザ等から入力される操作に応じて、例えば、上位意思決定システム20に対して検知された故障要因の修理の許可を求める要求を行う。
上位意思決定システム20は、それぞれ、ネットワーク100を介して下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々と情報を授受する仲立ちとなるインタフェース部(I/F)63と、ディスプレイ62と、記憶部60と、制御部61と、ユーザインタフェース部64とを備えており、それぞれ、バス65等を介して互いに接続されている。
記憶部60−1は、上述したような、センシング情報記憶部22、アクション実行予定記憶部25等を備える。
ユーザインタフェース部64は、キーボードやマウス(図示せず)等を備え、例えば、ディスプレイ22上のGUI環境を用いたユーザの操作を受け付ける。
制御部61は、上述したような、GUI表示判定部26等を備える。なお、図3では示していないが、制御部61は、第1の実施形態の図1で示した上位意思決定システム20の各機能部も備える。
例えば、制御部61は、GUI表示判定部26によってディスプレイ62にアクション候補に関する情報がGUI形式で表示された場合、表示されたアクション候補に関する情報に対してユーザインタフェース部64を介してユーザ等から入力される操作に応じて、例えば、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して故障要因の修理の許可を行う。
より詳細には、制御部61は、下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々に備えられている照会機能によって上位意思決定システム20に照会されると、センサによって取得されたセンシング情報に基づき算出される各処理に要する時間情報に基づき、制限時間内にアクションを完了可能か否かを判定するためのアクション判定機能を有する。
また、制御部61は、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかの照会機能によって照会された要求を、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可するか否かを判定するための許可判定機能も有する。
さらに、制御部61は、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかの照会機能によって照会された要求に関する情報をディスプレイ62等に表示するための表示機能を有する。
また、制御部61は、アクション判定機能によって制限時間内にアクションを完了可能ではないと判定された場合、制御部61の表示機能によってなされる表示処理、または、許可判定機能によってなされる判定処理、を省略または簡略化するとともに、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかからの要求を下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可する許可機能も有する。
また、この許可機能は、複数の故障要因に対して処理を行う場合、所定の故障要因に対する所定のアクションの実行に関する重要度よりも、他の故障要因に対する他のアクションの実行に関する重要度が高い場合、他のアクションに関する表示処理、または、他のアクションに関する許可判定機能による許可判定処理を省略または簡略化するとともに、他の故障要因の修理の要求を下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに対して許可する。
さらに、この許可機能に関して、複数の故障要因に対して処理を行う場合、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかの照会機能によって所定の故障要因の修理の許可を求める所定の要求が照会される。そして、上位意思決定システム20の許可判定機能による所定の要求に関する判定処理、または、制御部61の表示機能によってなされる所定の要求に関する表示処理がなされている場合に、下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかの照会機能によって、所定の故障要因と異なる他の故障要因の修理の許可を求める他の要求が照会された場合、許可機能は、この他の要求に関する許可判定処理、または、制御部61の表示機能によってなされるこの他の要求に関する表示処理がなされることなく、この他の要求を許可する。
また、図3に示すように、複数の下位意思決定システム30(#1〜#n)が存在するが場合、制御部61の許可判定機能は、複数の下位意思決定システム30(#1〜#n)のうちの何れかの照会機能によって照会された要求に対して許可する判定を行う場合、その要求に対応する故障要因の修理に最適な下位意思決定システム30を判定する。そして、制御部61の許可機能は、制御部61の許可判定機能によって判定された最適な下位意思決定システム30に対して、その要求を許可する。
また、制御部61のアクション判定機能は、制御部61の許可判定機能によって所定の要求が許可された後、同一の故障要因を再修理する必要がある場合、所定時間内に再修理を完了可能か否かを判定する。再修理を必要とする場合は、例えば、故障要因に対する修理に失敗した場合が想定される。
なお、上位意思決定システム20と下位意思決定システム30(#1〜#n)とは、図3に示すように、階層構造をなしていなくてもよいし、例えば、上位意思決定システム20が上位層となるように階層構造をなしていてもよい。
具体的には、階層構造をなしていない場合、上位意思決定システム20と下位意思決定システム30(#1〜#n)とは、同一構成を有する複数のユニットのうちの何れかであって、例えば、故障要因を最初に検知したセンサが設けられたユニットが下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかとなり、それ以外のユニットのうちの何れかが上位意思決定システム20となる、または、故障要因を最初に検知したセンサが設けられたユニットが上位意思決定システム20となり、それ以外のユニットのうちの何れかが下位意思決定システム30(#1〜#n)となっても良い。
次に、図4乃至図10を参照して、耐故障マルチエージェントシステム300についてより詳細に説明する。
図4は、従来の耐故障エージェントシステム70の概要を説明するための概念図である。
従来の耐故障エージェントシステム70は、修理単位である1つのユニットでアクションが実行される。
まず、センサ71が、故障要因等の故障要因Xを感知する。そして、修理管制部72に、故障要因Xが発見されたことが通知される。修理管制部72では、人間によって、故障要因Xが発見されたことが確認される。
そして、修理管制部72は、人間によって故障要因Xが確認された後、実行部73に対して故障要因Xを修理するための指示を行う。実行部73は、その指示に従い、故障要因Xを修理するための制御を行う。
図5は、従来の別の耐故障マルチエージェントシステム400の概要を説明するための概念図である。
この耐故障マルチエージェントシステム400は、複数の耐故障エージェントシステム70と情報調整部74を備える。なお、図5では、4つの耐故障エージェントシステム70(#1〜#4)を例示している。また、以下、耐故障エージェントシステム70(#1〜#4)を、それぞれ、ユニット1、ユニット2、ユニット3、およびユニット4と称す。
ユニット1,2,3,4は、それぞれ、各々に設けられたセンサを用いて、故障要因等である故障要因を感知する。
まず、ユニット1に設けられたセンサ71−1によって故障要因Xが感知される。次に、修理管制部72−1は、故障要因Xが感知されたことを情報調整部74に報告する。一方、ユニット2に設けられたセンサ71−2によって故障要因Yが感知される。次に、修理管制部72−2は、故障要因Yが感知されたことを情報調整部74に報告する。
情報調整部74は、ユニット1,2からの各々の報告に基づき、全体的に故障要因修理確率が高くなるように、各故障要因と各ユニットとの組み合わせを全体最適化する。
全体最適化とは、どのくらいの確率で故障要因を修理することができるかを示す故障要因修理確率に基づき、どのユニットで故障要因を修理するのが最適かを調整することである。
故障要因修理確率は、例えば、図5の左上に示すように、各ユニットで故障要因に対して修理を行った場合における、各故障要因に対する修理確率である。例えば、故障要因Xに対しては、ユニット3またはユニット4による故障要因修理確率が90%であり、故障要因Yに対しては、ユニット3による故障要因修理確率が90%である。このような場合、例えば、故障要因Xに対してユニット4が修理し、故障要因Yに対してユニット3が修理することが最適である。このような全体最適化は、例えば、非特許文献1乃至4に示すような従来の技術を用いて行われてもよい。
また、情報調整部74は、全体最適化だけでなく、故障要因を確認するための表示処理を行う。例えば、図5では、情報調整部74に設けられたディスプレイ等に、故障要因Xに対してユニット4が修理し、故障要因Yに対してユニット3が修理することが、人間に分かるように表示画面75が表示される。また、表示画面75には、例えば、故障要因Xに対してユニット4が修理することを人間が確認した場合に、人間がマウス等のユーザインタフェース等を使用して押下する故障要因Xに関する確認ボタンが表示される。
そして、人間によって、例えば、表示画面75に示す故障要因Xおよび故障要因Yに対応する確認ボタンが押下された場合、情報調整部74は、故障要因Xの修理を実行する依頼をユニット4に対して行う。同様に、故障要因Yの修理を実行する依頼をユニット3に対して行う。
ユニット3の修理管制部72―3は、ユニット3に設けられたディスプレイ等に、故障要因Yに対して修理を行うことを人間が確認するための確認ボタンを表示画面76に表示する。そして、例えばユニット3に属する人間によって、例えば表示画面76の確認ボタンが押下された場合、修理管制部72―3は、実行部73―3に対して故障要因Yを修理するための故障要因Y修理命令を通知する。
同様に、ユニット4の修理管制部72―4は、ユニット4に設けられたディスプレイ等に、故障要因Xに対して修理を行うことを人間が確認するための確認ボタンを表示画面77に表示する。そして、例えばユニット4に属する人間によって、例えば表示画面77の確認ボタンが押下された場合、修理管制部72―4は、実行部73―4に対して故障要因Xを修理するための故障要因X修理命令を通知する。
次に、図6乃至図10を参照して、第2の実施形態の耐故障マルチエージェントシステム300についてより詳細に説明する。なお、図4および図5と同様の構成および内容については説明を省略する。
耐故障マルチエージェントシステム300は、従来の耐故障マルチエージェントシステム400と異なり、少なくとも、故障要因の制限時間、すなわちアクション候補に対応付けられており、故障要因を検知(センシング)してから故障要因を修理するまでに要する制限時間に応じて、第1の実施形態において説明したような表示処理または判定処理等を省略または簡略化する。
図6は、故障要因Xの制限時間および故障要因Yの制限時間が、例えば、<1>上位意思決定システム20に対応する情報調整部81において人間がアクション候補の確認または修正するために要する時間(以下、「<1>の時間」と称す)、<2>下位意思決定システム30(#1〜#4)の各々において人間がアクション候補の確認または修正するために要する時間(以下、「<2>の時間」と称す)、<3>上位意思決定システム20において全体最適化を行うために要する時間(以下、「<3>の時間」と称す)、<4>上位意思決定システム20と下位意思決定システム30(#1〜#4)の各々との間で行われる通信に要する時間(以下、「<4>の時間」と称す)、および、<5>その他のアクションに関する各処理に要する時間(以下、「<5>の時間」と称す)、からなる5つの時間の合計時間よりも長い場合を想定している。
このような場合、修理管制部80−1および情報調整部81における表示処理または判定処理等を省略または簡略化することなく、アクションの各処理を行うことによって、故障要因Xはユニット4によって修理され、故障要因Yはユニット3によって修理される。
図7は、故障要因Xの制限時間が、<1>乃至<5>の時間の合計よりも長く、故障要因Yの制限時間が、<1>乃至<5>の時間の合計時間よりも短い場合を想定している。
このような場合、故障要因Xに関しては、図6の場合と同様に、アクションの各処理を行うことによって故障要因Xを修理することができる。しかしながら、故障要因Yに関しては、図6の場合と異なり、<1>乃至<5>の時間に対応する処理を行った場合、図7に示すように、ユニット3によって故障要因Yを修理する前に、故障要因Yが故障する可能性がある。
そこで、第2の実施形態では、図8に示すように、故障要因Yの制限時間が<1>乃至<5>の時間の合計時間よりも短く、且つ、<2>乃至<5>の時間の合計時間よりも長いような場合、<1>の時間に対応する処理、すなわち情報調整部81におけるアクションの確認または修正処理を省略または簡略化することによって、故障要因Yの制限時間までにアクションを実行し、故障要因Yを修理することができる。
具体的には、図8に示すように、例えば、表示画面75に故障要因Yに関する情報を表示せず、情報調整部81による故障要因Xの確認処理を待つことなく、故障要因Yをユニット3に割り当てる。例えば、ユニット3に対して故障要因Yを修理するための実行依頼を行う。なお、以下、図8および図10において、例えば、故障要因Xが故障要因Yよりも早く感知される等によって、表示画面75において確認される故障要因の優先順位が故障要因Yよりも故障要因Xの方が高い場合を想定している。
このように、上位意思決定システム20における表示処理に要する時間を省略する。なお、表示画面75に故障要因Yに関する表示を省略するために、例えば、表示画面75に表示される各故障要因に関する情報の数を制限してもよい。
他の例として、図9は、故障要因Yの制限時間が、<2>乃至<5>の時間の合計時間よりも短く、<3>乃至<5>の時間の合計時間よりも長い場合を想定している。
このような場合、例えば、<1>の時間および<2>の時間を省略または簡略化することによって、故障要因Yを修理することができる。
具体的には、表示画面75に故障要因Yに関する情報を表示せず、情報調整部81による故障要因Xに関する確認を待つことなく、ユニット3に故障要因Yを修理するための割り当て処理を行う。
さらに、ユニット3において、表示画面76に故障要因Yに関する情報を表示しないことによって、下位意思決定システム30(#3)における表示処理に要する時間を省略または簡略化する。
さらに他の例として、図10は、故障要因Yの制限時間が、<3>乃至<5>の時間の合計時間よりも短く、<5>の時間よりも長い場合を想定している。
このような場合、<1>乃至<4>の時間を省略または簡略化することによって、故障要因Yを修理することができる。
具体的には、ユニット2によって故障要因Yが感知され、修理管制部80−2に故障要因Yが発見されたことが通知される。そして、修理管制部80−2において、例えば上位意思決定システム20である情報調整部81に対する故障要因Yに関する照会処理等を行わず、且つ、ユニット2に設けられたディスプレイ等に表示される表示画面78に故障要因Yに関する情報を表示しないことによって、<1>乃至<4>の時間を省略または簡略化することができる。
そして、このような場合、ユニット2において、修理管制部80−2から実行部73−2に対して故障要因Yを修理するための故障要因修理命令が通知され、故障要因Yが修理される。
また、このような場合、修理管制部80−2は、実行部73−2に対して故障要因修理命令を通知したことを、情報調整部81に報告する。
ここで、第2の実施形態における再プランニングについて説明する。再プランニングとは、例えば、故障要因と下位意思決定システム30との最適な組み合わせを再度計算するための処理である。
例えば、センサ等によって新たな故障要因が検知された場合、各故障要因を修理するための下位意思決定システム30と各故障要因との組み合わせを変更し、各故障要因を下位意思決定システム30(#1〜#n)の何れかに再割り当てを行う必要がある場合がある。このような場合において、例えば、この組み合わせに必要な計算等の処理を再度行うための時間がある場合、再度組み合わせに必要な計算等の処理を行う。一方、このような再割り当てに要する時間がない場合、各故障要因の再割り当てを行わず、既に割り当てられている下位意志決定システム30においてアクションを実行するための処理を行う。
また、再プランニングの他の例として、下位意志決定システム30において、人間による確認処理が行われた結果、既に割り当てられている故障要因と下位意志決定システム30との組み合わせが認められなかった場合、すなわち下位意志決定システム30においてこの組み合わせが拒否されアクションの実行が行われなかった場合、例えば、上位意志決定システム30に再度依頼することによって、再プランニングを行ってもよい。あるいは、下位意志決定システム30において、人間等による確認処理が行われなかった場合、例えば、上位意志決定システム30に再度依頼することによって、再プランニングを行ってもよい。
さらに他の例として、上位意志決定システム20においてアクションの依頼に対する人間等による回答が下位意志決定システム30に対してない場合、例えば、依頼を要求した下位意志決定システム30に故障要因に対する処理を割り当てるようにしてもよい。また、ヒューマンエラー等を想定して、一定期間、上位意志決定システム20から回答がない場合、例えば、予め設定された下位意志決定システム30に故障要因に対する処理を割り当てるようにしてもよい。
次に、様々な状況を想定した場合について説明する。
まず、故障要因の速度や移動方向等の状態が変化したような場合、すなわち、同一の故障要因に対して新たなセンシング情報を取得した場合、例えば、このような場合を予め想定して、予め制限時間にマージンをとっていてもよい。マージンをとることによって、このような故障要因の状態が変化したような場合でも、動的に対応することができる。
なお、センシング情報に基づき算出される制限時間は、例えば、故障要因に対する修理に失敗したような場合に要する時間を予め考慮して、制限時間を長く設定してもよい。
また、所定の故障要因に関するセンシング情報が取得された後、新たに他の故障要因に関するセンシング情報が取得された場合において、例えば、所定の故障要因に対して既にアクションが実行される下位意志決定システム30が割り当てられている場合、所定の故障要因に対して再プランニングを行わないようにしてもよい。これにより、例えば、同一の故障要因に対して異なるユニットから修理が行われる状況である過剰修理を防止することができる。
また、同時に多くの故障要因が感知された場合、これらの故障要因に対して上述したような表示処理や確認処理等を省略または簡略化し、アクションを実行することを許可するようにしてもよい。
また、感知された故障要因の移動方向が重要な場所に設定されている場合、その故障要因に対して上述したようなアクションの表示処理や確認処理等を省略または簡略化し、優先してアクションを実行するようにしてもよい。
また、感知された故障要因の数よりもユニットの数が少ない場合、または、所定の2つの故障要因に関して故障要因修理確率がほぼ同じであるような場合、より多くの故障要因を修理可能なユニットを優先して割り当てるようにしてもよい。これにより、例えば、過剰修理等を防止することができる。
また、耐故障マルチエージェントシステム300は、学習機能を有していてもよい。例えば、上述したような人間によるアクションの確認処理において、各人間の傾向を学習する機能を有していてもよい。具体的には、特定の人間は、確認処理において、アクションの実行に関して拒否する割合が高いような場合において、その人間によって確認処理が行われることが予め分かっているような場合、例えば、その人間による確認処理の結果、再プランニングを行うための時間を予め考慮して制限時間を設定してもよい。
また、<1>乃至<5>の時間に関して、耐故障マルチエージェントシステム300が、<1>乃至<5>の時間の何れの時間を優先して省略するかを決定するような優先時間決定時間モジュール等を備えていてもよい。
以上のように、第2の実施形態によれば、故障要因を検知してから修理までのアクションを所定時間内に完了させることが可能となる。例えば、自動的に修理を行うようなシステムと修理を行うまでに行われる人間による意思確認とのバランスや、下位意志決定システム30における緊急対応と全体の状況とを考慮した全体の調整とのバランスをとりつつ、制限時間内にアクションの実行に関する意思決定が可能となる。
具体的には、故障要因を感知してから修理を行うまでの時間が短い場合、GUI等を用いた表示処理に要する時間を省略または簡略化する、または、表示数を制限することによって、制限時間が短い場合でも、アクションの実行に関する意思決定が可能となる。より詳細には、上位意志決定システム20または下位意志決定システム30において、表示処理に要する時間を省略または簡略化する、または、表示数を制限する。
さらに、上位意志決定システム20において、全体最適化に要する時間を省略または簡略化することによって、制限時間が短い場合でも、アクションの実行に関する意思決定が可能となる。
また、制限時間の長さに応じて、自動的または半自動的にアクションの実行に必要な処理を行うことによって、局所的な対応と全体における最適化とのバランスをとることが可能となる。
また、アクションに関する情報を人間が確認し、意志決定までに時間を要するような場合や、人間によって短時間に確認できるアクションの数が限られているような場合でも、状況に応じて、故障要因とユニットとの組み合わせを最適化して、複数のユニットと連携して修理のための処理を行うことが可能となる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、図11および図12を参照して、第3の目的を実現するための病院連携分散処理システム500について説明する。
第3の実施形態では、階層型分散意思決定システム10を、病院連携分散処理システム500に適用した場合を想定している。なお、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成または内容については説明を省略する。
より詳細には、病院連携分散システム500は、各病院にある意思決定システムを連携するシステムであり、例えば、病院に到着した患者情報をセンシング情報として使用する。また、病院連携分散システム500におけるアクションは、患者に医者を割り当てるための各処理を含む。そして、例えば、患者が治療までに待つことのできる制限時間(以下、「患者の制限時間」と称す。)と病院の受け入れ可能な患者数と医師の専門性とによって、病院に到着した患者をその病院で受け入れるか否か、あるいは、他の病院の意思決定システムに受け入れ可能か否かを確認し、患者を他の病院に搬送すべきかどうかを決定する。
図11は、第1の実施形態における図1の階層型分散意思決定システム10の構成例をより具体的に示した病院連携分散処理システム500の構成例である。病院連携分散処理システム500は、患者が搬送された最初の病院において、患者を受け入れるか、他の病院に移送するかの判定をするための各処理を、各病院に設けられた下位意思決定システム30(#1〜#n)と、各病院が所在する地域に代表的に設けられた上位意思決定システム20との間で連携して分散処理する連携分散処理システムである。
図11では、第2の実施形態において図3を参照して説明したような構成において、下位意思決定システム30(#1〜#n)の各々の制御部51が、判定部90、問合せ部91、および返信部92をさらに備えている。また、上位意思決定システム20の制御部61が、照会部93および送信部94をさらに備えている。
また、PC1乃至PCnは、例えば、所定の地域内に所在する各地域病院の下位意志決定システム30(#1〜#n)の各々に設けられたPCを示している。PC0は、所定の地域に代表的に設けられた代表病院の上位意思決定システム20に設けられたPCを示している。
判定部90は、患者が搬送された最初の病院に対応する下位意思決定システム30において、患者の疾患状態と、患者の制限時間と、病院の受け入れ可能患者数と、病院において現在対応可能な医師の専門性とに基づいて、患者を、この病院で受け入れ可能であるか否かを判定する(以下、「第1の判定処理」と称する)。
また、判定部90は、後述する上位意志決定システム20の照会部93からの照会に応じて、患者の疾患状態および制限時間と、病院の受け入れ可能患者数と、病院において現在対応可能な医師の専門性とに基づいて、患者を、照会を受けた当該病院で受け入れ可能であるか否かを判定する(以下、「第2の判定処理」と称する)。
問合部91は、判定部90による第1の判定処理によって受け入れ可能ではないと判定された場合、上位意思決定システム20に対して、患者の疾患状態および患者の制限時間に関する情報を送信するとともに、患者を受け入れが可能な他の病院を問い合わせる。
返信部92は、判定部90による第2の判定処理の結果を、上位意志決定システム20に返信する。
一方、上位意志決定システム20において、照会部93は、下位意志決定システム30の問合部91からの問い合わせに応じて、例えば他の病院の下位意志決定システム30に対して、患者の制限時間内に必要な処置を講じることが可能か否かを照会する。
また、送信部94は、下位意志決定システム30の返信部92によって上位意志決定システム20に返信された第2の判定処理の結果を、問い合わせ元の病院の下位意志決定システム30に送信する。
さらに、制御部61に含まれる第1の実施形態等で説明したGUI表示部27は、下位意志決定システム30の返信部92によって上位意志決定システム20に返信された第2の判定処理の結果をディスプレイ62等に表示する。
ここで、制御部61に含まれる第1の実施形態等で説明したGUI表示判定部26は、問合部91によって問い合わせを受けた患者の制限時間が、予め定められたしきい時間よりも短い場合には、上位意志決定システム20に返信された第2の判定処理の結果を、ディスプレイ62等に表示しないようにする。
次に、図12を参照して、第3の実施形態の病院連携分散処理システム500によって実施される分散処理の手順の一例について説明する。図12では、下位意志決定システム30(#1)が患者を最初に受け入れる病院である場合を想定している。
まず、下位意志決定システム30(#)において、受け入れる患者の状態が取得される(ステップS50)。次に、患者の状態等に基づき算出される患者の制限時間に関する情報を含むトリアージ情報等に応じて、判定部90−1によって、患者を受け入れ可能であるか否かを判定する第1の判定処理が行われる(ステップS52)。
ステップS52における第1の判定処理の結果、患者が最初に搬送された病院が患者を受け入れることが可能であると判定された場合(ステップS52:YES)、患者が最初に搬送された病院において患者を受け入れることによって、分散処理は終了する。
一方、ステップS52における第1の判定処理の結果、患者が最初に搬送された病院が患者を受け入れることが可能ではないと判定された場合(ステップS52:NO)、問合部91−1によって、患者の制限時間に関する情報が上位意志決定システム20に送信されるとともに、上位意志決定システム20に対して、患者を受け入れが可能な他の病院についての問い合わせが行われる(ステップS54)。
上位意志決定システム20において、照会部93によって、他の病院の下位意志決定システム30(図12では、下位意志決定システム30(#n)である。)に対して、患者の制限時間内に必要な処置を講じることが可能か否かが照会される(ステップS56)。なお、他の病院の下位意志決定システム30は、問い合わせ元の病院の下位意志決定システム30(#1)を含んでいてもよい。
そして、下位意志決定システム30(#n)において、判定部90−nによって、患者を、照会を受けた当該病院である下位意志決定システム30(#n)で受け入れ可能であるか否かを判定する第2の判定処理が行われる(ステップS58)。
ステップS58における第2の判定処理の結果、患者の受け入れが可能であると、下位意志決定システム30(#n)によって判定された場合(ステップS58:YES)、返信部92−nによって、第2の判定処理の結果が、上位意志決定システム20に返信される(ステップS60)。
一方、ステップS58における第2の判定処理の結果、患者の受け入れが可能ではないと、下位意志決定システム30(#n)によって判定された場合(ステップS58:NO)、下位意志決定システム30(#n)における分散処理は終了する。なお、このような場合でも、上位意志決定システム20は、ステップS56において、下位意志決定システム30(#n)以外の他の病院の下位意志決定システム30に対しても、照会処理を行っている場合、下位意志決定システム30(#n)以外の下位意志決定システム30からの返信結果を受信することができる。
上位意志決定システム20において、例えば下位意志決定システム30(#n)からの返信結果に応じて、制御部61に含まれるGUI表示判定部26によって、患者の制限時間が予め定められたしきい時間よりも短いか否か、すなわち患者の制限時間以内に第2の判定結果等を表示する表示処理が可能か否か、が判定される(ステップS62)。
患者の制限時間以内に第2の判定結果等を表示する表示処理が可能であると判定された場合(ステップS62:YES)、GUI表示部27によって、第2の判定処理の結果がディスプレイ62等に表示される(ステップS64)。そして、ステップS66に進む。
一方、患者の制限時間以内に第2の判定結果等を表示する表示処理が可能でないと判定された場合(ステップS62:NO)、GUI表示部27によって、第2の判定処理の結果がディスプレイ62等に表示されないようにされる。そして、ステップS66に進む。
次に、送信部94によって、第2の判定処理の結果が、問い合わせ元である下位意志決定システム30(#1)に送信される(ステップS66)。
そして、下位意志決定システム30(#1)において、ステップS66において送信された第2の判定処理の結果に基づき、例えば、患者が最適な治療を受けることが可能な他の病院に患者が移送される(ステップS68)。
以上のように、第3の実施形態によれば、患者が搬送された最初の病院において、この患者を受け入れるか、他の病院に移送するかの判定を、患者が待つことのできる制限時間内に完了させることが可能となる。
また、患者の制限時間が、予め定められたしきい時間よりも短い場合には、例えば上位意志決定システム20に返信された第2の判定処理の結果を、ディスプレイ62等に表示せず、最適な治療を受けることが可能な他の病院に患者をより迅速に移送することが可能となる。
また、患者に対する病院または医師の割り当てを行う際、自動処理と半自動処理とのバランスや、各病院での緊急患者対応と病院間の患者割り当て調整のバランスをとりつつ、患者が待つことのできる制限時間内に患者への病院、すなわち医師の割り当ての意思決定が可能となる。
(その他の変形例)
その他の変形例として、第1の実施形態乃至第3の実施形態において、例えば、図1に示す下位意志決定システム30(#1〜#n)のアクション実行予定記憶部39、または、上位意志決定システム20のアクション情報実行予定記憶部25に記憶されるアクション候補に関する情報f2のデータベース1200の一例について図13を参照して説明する。
データベース1200は、例えば、アクション候補項目12a、制限時間項目12b、GUI項目12c、および確認中項目12dからなる。
アクション候補項目12aは、アクション候補を識別するための情報を示している。例えば、アクション候補Xは故障要因Xに対応し、アクション候補Yは故障要因Yに対応する。
制限時間項目12bは、各アクション候補項目12cの要素に対応した制限時間に関する情報を示している。例えば、アクション候補Xの制限時間は3分であり、アクション候補Yの制限時間は5分である。
GUI項目12cは、GUI表示部38またはGUI表示部27によって、アクション候補に関する情報が表示されているか否かを示している。図13では、例えば、アクション候補Xに関する情報が表示されており、アクション候補Yに関する情報が表示されていないことが示されている。
確認中項目12dは、上位確認・修正判定部39等によって、上位意思決定システム20に対してアクション候補に関する照会処理が行われているか否かを示している。図13では、例えば、アクション候補Xに関する照会処理が行われておらず、アクション候補Yに関する照会処理が行われていることが示されている。なお、確認中項目12dは、アクション実行予定記憶部25に記憶されているデータベース1200には含まれていなくてもよい。
また、第1の実施形態乃至第3の実施形態における、階層型の分散処理システム、階層型の耐故障マルチエージェントシステム、および階層型の病院連携分散処理システムは、2層からなる例について説明したが、3層以上の多層で構成されていてもよい。
以上のように、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。