JP2017032570A - 電子システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
もちろん、車両には燃料メータが装着されているため、ある程度はそのメータの位置で燃料の減り具合はわかるものではあるが、基本的に燃料メータは燃料切れを防止するための報知装置であり、その情報からリアルタイムでの燃料の消費量や自身の運転の仕方でリアルタイムでの燃料の消費量が変わってくることが実感できるわけではない。
また、近年の車両では平均燃費や瞬間燃費を数値としてディスプレイに表示させる機種もある。これを特許文献1に示す。しかし、特許文献1はユーザーに燃料をどれだけ消費したかを想起させる情報ではない。例えば、「ああ、こんなにガソリンを使ってしまった。なんてもったいない」と実感させるような情報手段ではない。
そのため、車両を運転する際にリアルタイムで燃料消費状況をユーザーに実感せしめるための機器が求められていた。
本発明は上記問題を解消するためになされたものであり、その目的は、車両の現在の燃料の消費状況をリアルタイムでユーザーに実感せしめるように表示させることのできる電子システム及びプログラムを提供することにある。
このような構成であれば、制御手段は車両から取得した燃費に関する情報に基づいて燃料の消費速度を算出し、その燃料の消費速度に対応させて表示手段に現在の燃料の消費状況を変動表示させることができ、ユーザーは表示手段に表示される変動表示を目視することでリアルタイムで実際に消費している燃料がどれくらいなのかを実感することができる。その結果、ユーザーは例えば急加速や高回転でのエンジン負荷の大きな運転では燃料の消費が多くなることを実感できることとなり、無駄に燃料を消費するような運転を控えエコロジカルな運転をするように心掛けることとなる。
また、「車両から取得する燃料消費に関する情報」とは、例えば、車両の速度、インジェクション噴射時間、点火タイミング、吸入空気量、吸入空気温度、水温、空燃費補正係数、バッテリー電圧、残燃料量、流量計からの流量パルス、給油量、エンジン回転数、スロットル開度(アクセル開度)、スロットルセンサ電圧、エアフロ電圧、ブースト圧等が挙げられる。「燃料」とはガソリン、軽油、天然ガスのような化石燃料由来の燃料の他にアルコールのようなバイオ燃料も含む概念である。
これら情報は車両に設置が義務付けられているODB−II(On-Board Diagnostic System Stage2)用の車両診断用コネクタに端子が設けられているKラインやCAN(Controller Area Network)から一般に取得できる。但し、車両において車両診断用コネクタ以外からのデータ入手手段があればそれを利用することも自由である。
ここに、「電子システム」としては例えば燃費表示装置、レーダー探知装置やナビゲーション装置等の筐体を備えた電子機器が挙げられる。また、表示手段は電子システム側の制御手段と一体化していてもよく、別体化してデータを無線あるいは有線で制御手段から出力されるような単独の表示手段として存在しても構わない。また、電子システムは必ずしも車両内に設置される必要はない。例えば制御手段を含む筐体が車両外に設置され、車両情報を無線で受信して車両内に配置された表示手段に現在の燃料の消費状況を変動表示させるように制御することも可能である。また、制御手段のすべてが車両中になければならないわけではなく、その一部が車両外(例えばサーバー等)に存在してもよい。
表示手段は別体で構成することも可能であったが、少なくとも電子システムの本体に制御手段とともに車両に搭載されることが取り扱い上有利である。ここに車両に搭載する場合には制御手段が配設されている電子システム本体の筐体内に表示手段が配設される場合と、表示手段を電子システム本体とは別体で車両内に配置し制御手段とは無線あるいはケーブル等の有線化によって接続する場合の両方を含むものである。
これは、表示手段での変動表示をより具体化した構成である。燃料消費に応じて所定の単数あるいは複数のオブジェクトが上下方向や左右方向に移動していき、表示画面から退場するような表示や、画面上に出現したり逆に画面に存在しているオブジェクトが消失するような表示等が想定できる。これらをユーザーに目視させることで「燃料が現在消費されている」というイメージを強く与え燃料を消費していることをより実感させることができる。オブジェクトは例えば図柄によって構成することが好ましい。以下の各手段においても同様である。
第4の手段では第3の手段に加えて、前記オブジェクトは液体のイメージのオブジェクト(以下、液体オブジェクト)であって、前記変動表示は前記燃料消費に応じて前記液体オブジェクトが流下する表示であることをその要旨とする。
これは、表示手段での変動表示をより具体化した構成である。このように表示態様として液体が流下するかのような変動画像を表示手段のディスプレイ部に表示させることでユーザーに「燃料が現在消費されている」というイメージを強く与えることとなり燃料を消費していることをより実感できるからである。
ここに「変動表示」とはアニメーションのように滑らかで秒単位で動作するような表示のみならず、光点の点灯のみで表現されるような単純でなおかつ秒単位のみならず分単位や時間単位でゆっくりと動作するような動作するような表示をも含む意である。
これも、表示手段での変動表示をより具体化した構成である。このように表示態様として容器内に液体が流下して液面が上昇していく変動画像、逆に容器内から液体が流出して液面が下降していく変動画像のいずれかを表示手段のディスプレイ部に表示させることでユーザーにあたかも「燃料が現在消費されている」というイメージを強く与えることとなり燃料を消費していることをより実感させることができ、無駄に燃料を消費するような運転を控えるような傾向となる。
つまり、アイドリング状態という駆動しているエンジンの最も燃料消費の少ない状態でもあっても分レベルで容器がカラの状態からいっぱいになる、あるいはいっぱいの状態からカラになるように液面が移動するような変動表示をさせるようにしたため、実際に車両が動いていない場合であっても燃料が消費されていることを実感させることができ、無駄に燃料を消費するような運転を控えるような傾向となる。
ここに「分レベル」とは1分〜60分であり、その分レベルで容器内の液面がカラ状態といっぱいの状態を繰り返す動作を行わせることが燃料を消費している強いイメージを与えることとなる。一方、繰り返しのタイミングを数秒レベルのようにあまり短時間に設定することはめまぐるしく液面が上下動している状態を表示することとなり、特に高負荷状態で燃料消費の多い状態ではユーザーは液面の上下動とは認識しにくくなるケースもある。一方、分レベルとはいえエンジン始動から停止まで比較的短時間のケースもあるため数十分レベルであると一回も液面の上下を繰り返さないという場合もありうる。そのため、ここでの分レベルとしては1〜10分(数分)程度が好ましい。
つまり、最高燃料流量では最も燃料が消費されており燃料の消費速度が最も大きい状態である。この最も燃料が消費されている状態で液面の上下動を認識できるのであれば、通常の運転状態では液面の上下動は同じ秒単位でもより緩やかな挙動で変動させられることとなるため、結果としてユーザーはどのような運転状況でも確実に液面の上下動を視認することが可能となる。
ここに「秒レベル」とは1秒〜60秒であり、その秒レベルで容器内の液面がカラ状態といっぱいの状態を繰り返す動作を一回の運転中で行わせることが燃料を消費している強いイメージを与えることとなる。あまり、短い秒数ではユーザーは液面の上下動とは認識しにくくなるケースもある。そのため、ここでの秒レベルとして好ましいのは3〜10秒(数秒)程度が好ましい。
このように平均燃費又は平均燃料流量に基づけば大体どのくらいの速度で燃料が消費されるかが把握できるため、その情報に基づいて妥当な一回の液面の妥当な上下動の速度を設定することが容易となる。例えば、平均燃料流量が分速120ml(ミリリットル)であるとすると、容器の上下動間隔を240mlとすればちょうど平均2分で一回の上下動が完了することとなる。容器の上下長さにもよるが2分ならばユーザーは液面の上下動を認識するのにもちょうどよい程度の時間となる。制御手段はあらかじめ妥当な所定の時間で一回の上下動が完了するように液面の変動量を設定する。つまり一回の上下動時間を一定と考え、平均燃費又は平均燃料流量から容器の容量を計算することができる。
ここに「当該車両の平均燃費又は平均燃料流量に基づいて決定する」とは直接または間接に、車両またはユーザーから取得した情報に基づいて決定するとよく、例えばその車種の平均燃費又は平均燃料流量から最適な変動タイミングを選択してもよく、ユーザーが適宜平均燃費又は平均燃料流量を入力するようにしてもよい。
これによって、燃料消費の増減に影響のある運転状況の変化があった場合に速やかに液体オブジェクトの表示態様が変更されるため、ユーザーは無駄な燃料消費につながるような運転を自重したり、より燃費のよい運転に心掛けるようになる。ここに「他の種類の表示態様への変更」とは、例えば、燃料消費の少ないアイドリング状態では液体オブジェクトである雫オブジェクトがまばらに落ち、燃料消費の多い状態では雫オブジェクトが大量に落ちるように数の違いで表示させるとか、小粒と大粒というような大きさの違いで表示させるような場合が考えられる。また、色の違いや、形状の違いと言った変化でも構わない。
このような構成であると、アイドリング時における液体オブジェクトの表示態様が平均燃費又は平均燃料流量の少なくとも1つの情報の変化に応じて変動する場合に、単位時間当たりの燃料流量に対応する単位変化量を変更することで車種に応じた最適な変動パターンを設定することができる。ここに「単位時間当たりの燃料流量に対応する単位変化量」とはあるオブジェクトの一定の変化量に対応する一定時間内の燃料流量である。
これによって次のような対応が可能である。例えばある車種Aで非常に燃費が良い場合があるとする。デフォルトで設定された単位変化量ではアイドリング時に燃料流量aml(ミリリットル)で3秒に1つの雫が流下する変動表示をさせるものとすると、この車種Aでは非常にゆっくりとしたタイミングで(例えば30秒とか)1つの雫が流下する変動表示になってしまう可能性がある。それでは変動表示としてあまりに遅すぎるため、その場合には1つの雫が流下することに対応する燃料流量をもっと少なく設定することで燃費が良い車種に対応させるようにするものである。「単位変化量」は下記実施の形態では
取得燃料流量Bpが相当する。
ここに「単位変化量」の変更方法としては制御手段がその車種の平均燃費又は平均燃料流量から最適な変動タイミングを選択してもよく、ユーザーが適宜入力するようにしてもよい。
このような構成であると、最大燃料流量時における液体オブジェクトの表示態様が平均燃費又は平均燃料流量の少なくとも1つの情報の変化に応じて変動する際に、単位時間当たりの燃料流量に対応する単位変化量を変更することで車種に応じた最適な変動パターンを設定することができる。「単位時間当たりの燃料流量に対応する単位変化量」の定義は上記の通りである。
これによって次のような対応が可能である。例えばある車種Bで非常に燃費が悪い場合があるとする。デフォルトで設定された単位変化量では最大燃料流量時に燃料流量bml(ミリリットル)で1秒に1つの雫が流下する変動表示をさせたとすると、この車種Bでは非常に早いタイミングで(例えば0.1秒とか)1つの雫が流下する変動表示になってしまう場合がある。それでは変動表示としてあまりに早すぎるため、その場合には1つの雫が流下することに対応する燃料流量をもっと多く設定することで燃費が良い車種に対応させるようにするものである。
ここに「単位変化量」の変更方法としては制御手段がその車種の平均燃費又は平均燃料流量から最適な変動タイミングを選択してもよく、ユーザーが適宜入力するようにしてもよい。
また、ここで設定は最大燃料流量側だけではなく、最小燃料流量(つまりアイドリング時)も同時に設定することが好ましい。最大燃料流量と最小燃料流量の間の変動パターンの変動表示特性はリニア的(一次関数)でもよく、曲線的(高次関数)でもよい。
これによって燃料消費を伴わない場合には液体オブジェクトを変動させず、燃料を消費しているエンジンの駆動中にのみ液体オブジェクトを変動させるようにしているため、液体オブジェクトの変動からエンジンの駆動=燃料の消費であるとしてユーザーに燃料を消費していることを視覚を通じてよく自覚させることになる。ここに、エンジンが駆動中でもっとも燃料消費の少ない状態がアイドリング状態であるため、ここではアイドリング状態以上で液体オブジェクトを変動させるようにしていると解釈することも可能である。
また、液体オブジェクトを変動させる際に所定範囲の瞬間消費燃料と雫オブジェクトの数を割り付け、ある範囲の瞬間消費燃料に応じた数の液体オブジェクトを表示させるようにしてもよい。そして、その割りつける雫オブジェクトの数は車両の平均燃費又は平均燃料流量に応じて変更可能とすることが好ましい。割りつける場合には制御手段がその車種の平均燃費又は平均燃料流量から適宜雫オブジェクトの数を割りつけてもよく、ユーザーが自ら入力するようにしてもよい。
これによって、画面に複数の異なるスケール単位のスケールオブジェクトが表示されるため、ユーザーは運転中に例えば比較的短時間で変動するスケールオブジェクトから、よりゆったりとした変動のスケールオブジェクトまでを同時に目視することができ、状況に応じた燃料消費の情報を得ることができる。
これにユーザーは異なるスケール単位の4種類の重要な燃料消費情報のうちの少なくとも2種類以上を同時に得ることができ、どのような消費状況や消費傾向にあるかを把握しやすくなる。
ここに「1回のエンジン始動からエンジン停止までの燃料消費量に相当するスケールのスケールオブジェクト」とはエンジン始動から停止までの1回のサイクルが比較的短い場合の走行距離に相当する燃料消費量などが挙げられ、例えば会社への通勤、郊外のショッピングモールへの買い物、子供の送り迎え等の5〜20km程度の距離の燃料消費量が相当する。
つまり、あるスケール単位の小さなオブジェクトがいっぱいになるまたはカラになることを受けてその容量に応じてスケール単位のより大きなオブジェクトが所定の変動表示を行うことである。
これによって、スケール単位の小さなオブジェクトの増減で表示された消費された燃料に対応する表示はスケール単位のより大きなオブジェクトに変動分が表示されるため、スケール単位の小さなオブジェクトでリアルタイムの消費状況を把握できるとともに、スケール単位のより大きなオブジェクトである期間における通算燃料消費も把握できることとなる。
つまり、燃料の消費に伴って複数の異なるスケールオブジェクトがスケール単位は違っていても同時に変動することである。そのため、各スケールオブジェクトの変動速度は自然と異なるものとなる。
これは、表示手段での変動表示をより具体化した構成である。このように表示態様として燃料の消費に連動して増加又は減少のいずれかの方向に変動するようなスケールの変動画像を表示手段のディスプレイ部に表示させることでユーザーにあたかも「燃料が現在このようなレベルで消費されている」という量的な消費イメージを量的に与えることとなり燃料を消費していることをより実感できるからである。
ここに「第1のスケールオブジェクト」の形状は増加又は減少のいずれかの方向に変動が量的なものであれば特に形状は限らない。棒グラフのような明らかなスケール形状、ヤカン、ビーカー、ポリタンク、樽等の容器を模した形状でもよい。また、ドットの点灯数で示すようにしてもよい。また、第1のスケールの容量や第1のスケール内の現在の容量について変動画像と併せて数値で表示するようにしてもよい。
上記容器オブジェクトがこのような量的なスケールを意味するものであれば、ユーザーに燃料を消費していることをより実感させることができる。
これも第1のスケールオブジェクトの視認性をより向上させたものである。
これによって、ユーザーは第1のスケールオブジェクトが燃料の消費に伴って繰り返し一定の消費量に対応したスケールの増減を繰り返すのを目視することとなるため、運転と燃料消費とが連動していることをよく理解できることとなり、無駄に燃料を消費するような運転を控えエコロジカルな運転をするように心掛けることとなる。更に、第1のスケールオブジェクトの増減で表示された消費された燃料に対応する表示は適宜過去の燃料消費履歴に積算されて表示されるため、過去にどの程度消費したかも併せてユーザーは目視することとなり、より運転と燃料消費との関係を理解することとなる。
ここに、「過去の燃料消費履歴」とは直近のエンジン始動から現在までの燃料消費履歴であってもよく、また、本発明の電子システムを車両に取り付けて以来のトータルの燃料消費履歴であってもよく、また、当該車両の走行開始以来のータルの燃料消費履歴であってもよい。過去の燃料消費履歴が当該車両の走行開始以来のトータルの燃料消費履歴である場合は本発明の電子システムを車両に取り付けた際に車両から走行距離データを入手し、それを現在の平均燃費に基づいて使用燃料を算出し、基準となる過去の燃料消費履歴を算出し、それを初期値とすることが考えられる。また、過去の燃料消費履歴の表示態様としては変動画像であってもよく、数値で表示させるようなものであってもよい。
これによって、ユーザーは第1のスケールオブジェクトが燃料の消費に伴って繰り返し一定の消費量に対応したスケールの増減を繰り返すのを目視することとなるため、運転と燃料消費とが連動していることをよく理解できることとなり、無駄に燃料を消費するような運転を控えエコロジカルな運転をするように心掛けることとなる。更に、第1のスケールオブジェクトの増減で表示された消費された燃料に対応する表示はスケール単位の大きな第2のスケールオブジェクトに積算されて表示されるため、過去にどの程度消費したかも併せてユーザーは目視することとなり、より運転と燃料消費との関係を理解することとなる。
ここに「第2のスケールオブジェクト」の形状は増加又は減少のいずれかの方向に変動が量的なものであれば特に形状は限らない。棒グラフのような明らかなスケール形状、ヤカン、ビーカー、ポリタンク、樽等の容器を模した形状でもよい。また、ドットの点灯数で示すようにしてもよい。また、第2のスケールの容量や第2のスケール内の現在の容量について変動画像と併せて数値で表示するようにしてもよい。
これによって、エンジン始動からエンジン停止までの一回の走行の度ごとに第1及び第2のスケールオブジェクトの変動画像は変動開始前の初期表示状態に復帰させられるため、次のエンジン始動から改めてその回のエンジン停止までの燃料消費量が第1及び第2のスケールオブジェクトを介してユーザーに表示されることとなり、運転毎の燃料消費状態が非常にわかりやくなっている。更に、第1及び第2のスケールオブジェクトの増減で表示された消費された燃料に対応する表示は適宜過去の燃料消費履歴に積算されて表示されるため、過去にどの程度消費したかも併せてユーザーは目視することとなり、より運転と燃料消費との関係を理解することとなる。
ここに、「過去の燃料消費履歴」とは本発明の電子システムを車両に取り付けて以来のトータルの燃料消費履歴であってもよく、また、当該車両の走行開始以来のータルの燃料消費履歴であってもよい。また、過去の燃料消費履歴の表示態様としては変動画像であってもよく、数値で表示させるようなものであってもよい。
これによって、エンジン始動からエンジン停止までの一回の走行の度ごとに第1及び第2のスケールオブジェクトの変動画像は変動開始前の初期表示状態に復帰させられるため、次のエンジン始動から改めてその回のエンジン停止までの燃料消費量が第1及び第2のスケールオブジェクトを介してユーザーに表示されることとなり、運転毎の燃料消費状態が非常にわかりやくなっている。更に、第1及び第2のスケールオブジェクトの増減で表示された消費された燃料に対応する表示はスケール単位の大きな第2のスケールオブジェクトに積算されて表示されるため、過去にどの程度消費したかも併せてユーザーは目視することとなり、より運転と燃料消費との関係を理解することとなる。
ここに「第3のスケールオブジェクト」の形状は増加又は減少のいずれかの方向に変動が量的なものであれば特に形状は限らない。棒グラフのような明かなスケール形状、ヤカン、ビーカー、ポリタンク、樽等の容器を模した形状でもよい。また、ドットの点灯数で示すようにしてもよい。また、第3のスケールの容量や第2のスケール内の現在の容量について変動画像と併せて数値で表示するようにしてもよい。
エンジン始動からエンジン停止までの最大燃料消費量とは燃料タンク内がいわゆる満タン状態である。あまりに第2のスケールオブジェクトのスケール単位が小さいと第2のスケールオブジェクトの変動が早すぎてしまうため、第2のスケールオブジェクトは十分な消費量に応じたスケール単位であることが望ましいからである。例えば、30〜100リットル(L)程度のスケールが想定される。
第25の手段では第第21〜第24のいずれかの手段に加えて、前記第2のスケールオブジェクトの最大変動量は当該車両の燃料タンク容量に応じて変更されることをその要旨とする。
例えば、トラックのように燃費が悪く、そのかわりに燃料タンク容量が非常に大きな車種もあれば、軽自動車のように燃料タンク容量が比較的小さい車種もある。そのため、適宜車種に応じた妥当なスケール単位とすることが望ましいからである。これは燃料タンク内の満タンを電気的に感知できる車種であればその情報に基づいて制御手段が第2のスケールオブジェクトのスケールを最適に設定することで実現される。また、ユーザーが適宜入力するようにしてもよい。
これは棒グラフの棒の幅を広くしたイメージであり、より第1のスケールオブジェクトの視認性を向上させたものである。
これによって、少なくとも今回のエンジン始動時点から現在時点までの燃料消費量が数値として表示されるため、ユーザーは変動表示というイメージ的な情報とともにより正確な燃料消費に関する情報を併せて入手することができる。
第28の手段では第1〜第27のいずれかの手段に加えて、前記表示手段に燃料流量、瞬間燃費、平均燃費の少なくとも1つの情報を数値として前記変動表示とともに表示させることをその要旨とする。
これによって、少なくとも燃料流量、瞬間燃費、平均燃費の少なくとも1つの情報が数値として表示されるため、ユーザーは変動表示というイメージ的な情報とともにより正確なこれらの燃料消費に関する情報を併せて入手することができる。
第29の手段では第1〜第28のいずれかの手段に記載の電子システムにおける制御手段の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムがその要旨である。
図1は電子システム(電子機器)としての燃費表示装置10の外観斜視図である。燃費表示装置10は本体となる略直方体形状の筐体11中に機構が収納されており、車両内において例えばダッシュボード上に取り付け用ブラケット12を介して固定されるようになっている。
筐体11前面(運転者側に向く面)に配置された額縁状の前面枠13内には表示手段の一部をなすディスプレイ部14が露出させられている。本実施の形態ではディスプレイ部14は2.4インチの小型の液晶ディスプレイから構成されている。ディスプレイ部14は入力手段としてのタッチパネルを兼ねている。筐体11側面には記憶媒体としてのSDカードを挿入するためのスロット15が形成されている。筐体11背面(フロントウィンドウ側に向く面)からはメインケーブル17が延出されている。図2に示すように、メインケーブル17の先端には雌型コネクタ18が固着されている。また、筐体11背面には図示しない電源スイッチが形成されている。
図2に示すように、燃費表示装置10は接続用アダプタ21を介して図3に示すような正面形状の車両診断用コネクタ22に接続される。車両診断用コネクタ22は車両内において運転の邪魔にならない所定の位置(車種によって一定ではない)に配設されている。接続用アダプタ21は接続用ケーブル23の両端に雄型コネクタ24と接続用コネクタ25を有している。燃費表示装置10から延出されるメインケーブル17先端の雌型コネクタ18と雄型コネクタ24が連結され、接続用コネクタ25は車両側に設置された車両診断用コネクタ22に接続される。尚、本実施の形態では燃費表示装置10は車両診断用コネクタ22内のIGN信号端子から電源を取得するものとするが、例えばシガーソケットから電源を取得するようなDC電源ジャックを設けるようにすることも可能である。
制御手段としてのコントローラMCには前記ディスプレイ部14及びメモリカードリーダー27がそれぞれ接続されている。
コントローラMCは周知のCPUやROM及びRAM等のメモリ、タイマ等から構成されている。コントローラMCのROM内には車両診断用コネクタ22から出力される各種車両情報を任意に取得し、それら情報に基づいて燃料流量、瞬間燃費、平均燃費、消費燃料、積算使用燃料等の計算を実行する消費燃料等計算プログラムや、算出した結果をディスプレイ部14に表示させる消費燃料等表示プログラム、ディスプレイ部14に所定のオブジェクトを変動表示させる変動表示プログラム、平均燃費又は平均燃料流量の変化に基づいて所定のオブジェクトの変動表示態様を変更させる変動表示変更プログラム、OS(Operation System)等の各種プログラム、ディスプレイ部14に表示させるオブジェクトデータ、マスター画像データ、ディスプレイ部14に表示させる各種フォントデータ等が記憶されている。RAM内には車両診断用コネクタ22から取得した各種車両情報、上記消費燃料等計算プログラムで計算された計算値が記憶される。
コントローラMCはインターフェース28を介して車両側の車両診断用コネクタ22のKラインあるいはCANに出力された車両情報を処理可能な通信プロトコル、例えばUART信号に変換する。
燃料流量の取得手段はいくつかある。まず、車両側から定期的に燃料消費量の値が出力される場合にはその値をそのまま利用する。一方、定期的な燃料消費量の値が取得できない場合には一定のサンプリング時間での吸入空気量あるいはインジェクション噴射時間のいずれか一方の値に基づいて公知の方法で算出することができる。本実施の形態ではインジェクション噴射時間を使用する。サンプリング時間は任意であるがここでは1秒とする。
インジェクション噴射時間(開弁時間)はエアフロメータの出力(インテークダクトの空気流量)とエンジン回転数に所定の補正値を与え、所定の各種補正を行うことで算出できる。この補正した燃料流量を消費燃料とする。サンプリング時間に対応した1秒間の燃料流量を取得燃料流量Bpとする。所定の時間における取得燃料流量Bpの積算した値をその時間で除することでその時間内における平均燃料流量Hpが算出できる。
瞬間燃費はまず、車両側から定期的に瞬間燃費が出力される場合にはその値をそのまま利用する。取得できない場合には一定のサンプリング時間での車両の速度と走行時間から走行距離を算出し、これを燃料流量で除し、補正値を与えることで算出する。車両の速度は上記の車両診断用コネクタ22から取得し、時間はコントローラMCに付属する公知のタイマから取得する。あるいは上記と同様エアフロメータの出力とエンジン回転数に所定の補正値を与え、所定の各種補正を行うことで算出してもよい。平均燃費は瞬間燃費の蓄積と走行時間から算出するようにする。コントローラMCはエンジンの始動から現在までの時間における平均燃費を算出する。
今回の運転の積算燃料消費量ΔPcはエンジンの始動から停止までの取得燃料流量Bpを積算して算出さている。
過去の運転の積算燃料消費量Pccは前回のエンジンの停止までの燃燃費表示装置10を車両に取り付け時からの すべての取得燃料流量Bpを積算して算出さしている。
図5〜図8に示すように、ディスプレイ部14の右端寄りには容器オブジェクト及び第1のスケールオブジェクトとしてのメスシリンダーオブジェクト31を配置している。メスシリンダーオブジェクト31内の上方位置には液体オブジェクトとしての雫オブジェクト32を配置している。メスシリンダーオブジェクト31に隣接した左方位置には5つずつ縦方向に平行に2列となるように計10個の同形状の第2のスケールオブジェクトとしてのタンクオブジェクト33を配置している。
これらメスシリンダーオブジェクト31及びタンクオブジェクト33の上方の第1のエリア34には「今回使用燃料」の文字を配置し、今回のエンジン始動から現時点までの積算燃料消費量ΔPcの数値(ml単位)を表示している。
ディスプレイ部14の左方には第3のスケールオブジェクトとしての多数のブロックオブジェクト35を積層した積層オブジェクト36を配置している。積層オブジェクト36の上方の第2のエリア37には「積算燃料」の文字を配置し、本燃費表示装置10の積算した積算燃料消費量ΔPcの数値リットル(L)単位)を表示させるようにしている。
ディスプレイ部14の中央位置の第3のエリア38には上から順に「燃料流量」、「瞬間燃費」、「平均燃費」の各文字を配置し、それらに応じた数値を表示させるようにしている。
メスシリンダーオブジェクト31は上方が開口された容器状の形状のオブジェクトであって、満タン状態を10とする目盛線を有する。燃料消費に伴ってメスシリンダーオブジェクト31内において燃料をイメージする液体が増えていき液面が上昇するような動画の変動をする。更に、液面が満タン位置に達すると瞬時に液体が消滅してカラ状態となる。このカラ〜満タンを繰り返すような動画を表示する。
本実施の形態においてメスシリンダーオブジェクト31の容量、つまりカラ〜満タンまでの変動量に対応するデフォルトの燃料消費量は100mlに設定されている。但し、後述するようにこの設定値は変更可能である。このデフォルト燃料消費量は所定の燃費の車両がアイドリング状態のみの燃料消費で2分程度で消費する量に想定されている。通常の走行ではアイドリング状態の燃料消費量の2、3倍の燃料消費量となるため、概ね数十秒でメスシリンダーオブジェクト31の液状動画の液面が満タン位置に達する。これはユーザーが目視した場合に適度な速度でメスシリンダーオブジェクト31の目盛が上昇するような変動である。
コントローラMCは未だエンジンが始動していない段階ではメスシリンダーオブジェクト31に初期画面としてカラの状態を表示させる。そして、燃料消費に対応した上昇量で液面が上昇する液体動画の変動をさせる。コントローラMCは1秒ごとのタイミングで取得した取得燃料流量Bpに応じた量の液面を上昇させるように制御している。具体的にはある基準燃料流量をBp1とし、メスシリンダーオブジェクト31の液面の満タン時における液面の高さデータ(例えば画面上で30mm)をN1とすると、このBp1によってコントローラMCが1秒ごとに上昇させる液面の上昇量H1は下記式で表すことができる。
H1=(N1・Bp1)/100
つまり、取得燃料流量Bpが0である場合、例えば未だセルモータを駆動させる前であってキーがACC電源投入位置に配置されているような状態では、メスシリンダーオブジェクト31はカラの状態のままである。しかし、一旦セルモータを駆動させ少なくともアイドリング状態となれば取得燃料流量Bpを取得できるため、上記式に従ってコントローラMCは液面が上昇するような動画の変動をさせることとなる。
そして、液面がメスシリンダーオブジェクト31の上端に達すると、コントローラMCは液体の動画を消失させカラの初期画面に復帰させるように変動させる。また、コントローラMCはエンジンの停止に伴ってメスシリンダーオブジェクト31の表示を一旦クリアさせ次のエンジン始動の際にはカラの初期画面から再び変動を開始させる。
本実施例では上昇する液体動画を燃料消費の抑制喚起のための注意色として赤色で表示させるようにしているが、背景に対して目立つ色であれば特に赤色に限定されるものではない。
雫オブジェクト32はメスシリンダーオブジェクト31の上方から各々異なるタイミングで出現する棒状の外形のオブジェクトで、コントローラMCは雫オブジェクト32をメスシリンダーオブジェクト31の幅方向のランダムな位置で所定の長さを保って降下(流下)させ、メスシリンダーオブジェクト31の底面あるいは液面に衝突して消失するように変動させる。メスシリンダーオブジェクト31の液面の上昇に伴って降下距離は徐々に少なくなり、液面がメスシリンダーオブジェクト31の上端近くでは出現とほぼ同時に液面と一体化するような動画となる。
本実施例ではコントローラMCは取得燃料流量Bpに応じた数の雫オブジェクト32を1秒ごとに異なるタイミングで、かつ幅方向のランダムな位置から出現させる。本実施例では、例えばデフォルトで図9(a)に示すテーブルに従って雫オブジェクト32を出願させるように設定されている。例えば、平均燃料流量Hpが125ml/mで取得燃料流量Bpが1.1〜2.5ml/sであれば1秒間に2つの雫オブジェクト32を出現させることとしている。但し、後述するようにこの設定値は平均燃料流量Hp等によって変更可能である。本実施例では雫オブジェクト32を燃料消費の抑制喚起のための注意色として、またメスシリンダーオブジェクト31の液体動画と協調させるため赤色で表示させるようにしているが、背景に対して目立つ色であれば赤色に限定されるものではない。
タンクオブジェクト33の変動表示は次のように実行される。コントローラMCは燃料の消費に伴って2つ並んだタンクオブジェクト33の最下方右側(メスシリンダーオブジェクト31側)から順に燃料をイメージする液体が上昇するような変動をさせ、タンクオブジェクト33が満タンになると次に左側のタンクオブジェクト33→1つ上の段の右側のタンクオブジェクト33というように下方のタンクオブジェクト33が満タンになると順に上側のタンクオブジェクト33を変動させていく。
本実施の形態における1つのタンクオブジェクト33の容量(変動量に対応する燃料消費量)はデフォルトで5リットル(L)に設定されている。従って、任意のタンクオブジェクト33には5L=5000mlで5000÷100=50で、50回のメスシリンダーオブジェクト31の上下動に対応して液面が50回上昇することでタンクオブジェクト33がちょうど満タン状態となる。つまり、コントローラMCがメスシリンダーオブジェクト31を初期状態に復帰させるごとに上昇させるタンクオブジェクト33の液面の上昇量H2はタンクオブジェクト33の高さをN2とすると、次の式で表すことができる。
H2=N2/50
本実施の形態では5Lまで貯留できるタンクオブジェクト33が10個あるので50Lの燃料消費量を表現することが可能である。この数は適宜変更可能である。また、後述するように各タンクオブジェクト33の容量は変更可能である。また、コントローラMCはエンジンの停止に伴ってすべてのタンクオブジェクト33の表示を一旦クリアさせ次のエンジン始動の際には最下方右側のカラの初期画面から再び変動を開始させる。
コントローラMCは過去の積算燃料消費量Pccに対応して積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)を変動させる。積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)の変動はタンクオブジェクト33及びメスシリンダーオブジェクト31の変動とリンクしており、エンジンの停止に伴ってタンクオブジェクト33及びメスシリンダーオブジェクト31のトータルの燃料消費量がクリアされると、過去の積算燃料消費量Pccに新たにその回の運転の積算燃料消費量ΔPcが積算される。従って、この積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)では車両運転中にリアルタイムで変動するというものではなく、エンジン停止をしてから、次のエンジン始動で前回とは異なる新たな積算燃料消費量Pccの表示態様として示される。
より具体的なブロックオブジェクト35の変動手法について説明する。上記のようにコントローラMCは積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)に直近のエンジン始動からエンジン停止までの燃料消費が合算された積算燃料消費量Pccを反映した表示をさせる。ここではブロックオブジェクト35は50Lに対応する量を示しているが、本実施の形態では10L単位で5段階で液体画像を表示させその際に10L以下の単位は切り捨てるものとする。例えば、積算燃料消費量Pccが722Lであるとする。その場合には722÷50=14・・・余り22Lとなる。つまり14個のブロックオブジェクト35に満タン表示をさせ、15個目については半端の22L分の表示をさせる。このとき2Lは切り捨てて20Lに相当する液面の高さのみを表示させるようにする。つまりブロックオブジェクト35の高さの下から2/5の位置に液面があるように液体画像を表示させるようにする。
表示する順番、つまりブロックオブジェクト35の使用順は最下方左側のブロックオブジェクト35から右方に向かって満タン表示をさせ、その列を使用し切ると上段に移ってまた左側のブロックオブジェクト35から右方に向かって変動表示をさせていく。本実施例では液体画像を燃料消費の抑制喚起のための注意色として赤色で表示させるようにしているが、背景に対して目立つ色であれば特に赤色に限定されるものではない。
また、上記においては取得燃料流量Bpに応じて出現させる雫オブジェクト32の数はデフォルトで図9(a)であった。しかし、コントローラMCは所定の時間(例えば過去10分間)の平均燃料流量Hpに基づいて出現数を適宜変動させている。これも上記と同様で例えばあまりに燃料の消費が少ないと「液体がパラパラ降ってくる」というような雰囲気の動画にならない不具合を解消するものである。つまり、燃料の消費が多ければ出現させる雫オブジェクト32の数を減らし、逆に燃料の消費が少なければ雫オブジェクト32の数を増やすようにするわけである。コントローラMCは図9(a)〜(c)に示すテーブルに従って、出現する雫オブジェクト32の数を変更する。テーブルの値は一例であって他の数値を設定することも可能である。
また、上記においてはタンクオブジェクト33はデフォルトで5Lの容量(最大貯留量)に設定されている。しかし、コントローラMCは当該車両から取得する平均燃料流量Hpに基づいて容量を変動させている。これは、タンクオブジェクト33としてはなるべく車両の燃料タンクの容量をタンクオブジェクト33全体の満タンの単位として表示したいため、平均燃料流量Hpから当該車種の燃料タンクの容量を決定し、タンクオブジェクト33を最適な容量を設定するものである。コントローラMCは所定の時間(例えば過去30分間)の平均燃料流量Hpを算出し、その値に基づいて図11に示すテーブルに従って容量を変更する。テーブルの値は一例であって他の数値を設定することも可能である。また、タンク容量情報を取得できる場合は、その情報に基づいて容量を変動させてもよい。
まず、図12に基づいて燃料消費表示メインルーチンについて説明する。
コントローラMCはステップS1においてACC電源のON状態を検出すると、ディスプレイ部14への表示動作を開始する。具体的にはマスター画像を表示させ前回までの積算燃料消費量Pccを第2のエリア37内に数値として表示させるとともに、その数値に対応する数(半端分は10L分ずつの表示)のブロックオブジェクト35の液体画像を下方側から表示順に従って赤色で表示させる。
コントローラMCはステップS2の変動表示サブルーチンにおいてエンジン回転数からエンジンの始動を検出すると、燃料消費に応じてディスプレイ部14上にメスシリンダーオブジェクト31の液体動画と雫オブジェクト32を赤色で変動表示を開始させる。
そして、コントローラMCはステップS3においてエンジン回転数からエンジンの停止かどうかを検出し、エンジン停止を検出するとエンジンの始動からエンジンの停止までの燃料消費量を過去の積算燃料消費量Pccに積算して保存し、ステップS4で後述するようにステップS2で設定したフラグFを0としてメインルーチンを終了させる。一方、テップS3においてエンジン停止ではないと判断するとステップS2に移行する。
コントローラMCはステップS11において今回のタイミングで取得した取得燃料流量Bpに応じてメスシリンダーオブジェクト31と雫オブジェクト32に所定の変動表示をさせる。次にステップS12においてフラグFが0かどうかを判断し、フラグFが0である場合にはステップS13においてエンジン始動以来の積算燃料消費量ΔPcに新たに算出された取得燃料流量Bpを加えた値が100以上かどうか、つまりメスシリンダーオブジェクト31のデフォルトの容量100mlが満タンになったかどうかを判断する。ここでフラグFを設定しているのは次のような理由による。メスシリンダーオブジェクト31の容量は運転開始時点では0mlであるが、その後取得燃料流量Bpを合算していって満タンに達した場合にちょうど100mlとならず余りが発生する場合がある。そうすると、正確な燃料消費量を表示するためにはその余りを次の積算のベースとする必要がある。そこで、運転開始第1回目の満タンか2回目以降かを区別するためにフラグFを設定している。ここでコントローラMCは値(Pc+Bp)が100に達していないと判断すると一旦ルーチンを終了させる。
一方、ステップS13においてコントローラMCは値(Pc+Bp)が100以上であると判断すると、満タンになったとしてステップS14でコントローラMCは一旦メスシリンダーオブジェクト31に液体動画をカラにするような変動をさせるとともにタンクオブジェクト33に対して100mlに相当する液体動画を上昇させる表示をさせる。そして、ステップS15で100mlに達した際の値(Pc+Bp)から100を減算した残差T0を算出し、フラグを1に設定し、この残差T0を記憶する。ステップS15は積算された値がちょうど100とならず100以上となる場合を考慮して、100以上の余りの部分を次の100までの積算のベースとするための処理である。
これに対してステップS12でフラグFが1の場合には過去に1回以上メスシリンダーオブジェクト31が満タンになっていると判断して、ステップS16で前回の余りである残差T0に対して新たに算出された取得燃料流量Bpを加えた値が100以上かどうかを判断する。ここでコントローラMCは値(T0+Bp)が100に達していないと判断すると一旦ルーチンを終了させる。
一方、ステップS16でコントローラMCは値(T0+Bp)が100以上であると判断すると、満タンになったとしてステップS17でステップS14と同じ変動をさせる。そして、ステップS18で100mlに達した際の値(T0+Bp)から100を減算した新たな残差T0を算出しこの残差T0を記憶して一旦ルーチンを終了させる。
ユーザーは燃費表示装置10を接続用アダプタ21を介して車両診断用コネクタ22に接続することでディスプレイ部14に図5〜図8のような現在の燃料の消費状況を変動表示させてリアルタイムで燃料の消費状況を把握することができる。
図5は走行開始直後のディスプレイ部14である。メスシリンダーオブジェクト31に半分(つまり、50ml)程度まで液面が上昇した液体動画が表示されている。この段階ではタンクオブジェクト33の変動はない。また、前回までの積算燃料消費量Pccが積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)に表示される。
図6は1時間ほど走行した段階のディスプレイ部14である。例えば平均燃料流量Hpを毎分120mlとすると、7.2L余りを消費しているため、1つ目のタンクオブジェクト33Aは満タンとなり、2つ目のタンクオブジェクト33Bが現在変動中である。
図7はあるタイミングで負荷が大きな状態のディスプレイ部14である。負荷が大きな状態では燃料流量及び燃料消費量は多くなり、従ってディスプレイ部14に表示される燃料流量の数値は大きくなる傾向となり、一方瞬間燃費や平均燃費の数値は小さくなる傾向となる。負荷が大きな状態では燃料流量の多さを受けて雫オブジェクト32が大量にメスシリンダーオブジェクト31の液面に降り注いでいる。このとき、メスシリンダーオブジェクト31の液面の上昇スピードも速くなっている。
図8はアイドリング状態のディスプレイ部14である。雫オブジェクト32は少量となりメスシリンダーオブジェクト31の液面に降り注いでいる。この降り注ぐ量はこの車両では最も少ない状態である。このとき、メスシリンダーオブジェクト31の液面の上昇スピードはこの車両では最も遅くなっている状態である。
(1)ユーザーは燃費表示装置10のディスプレイ部14を目視することで、リアルタイムで自身の運転よる燃料の消費に対応した表示がメスシリンダーオブジェクト31と雫オブジェクト32の動画によって表示されるため、運転と燃料消費とが連動していることをよく理解できることとなり、無駄に燃料を消費するような運転を控えエコロジカルな運転をするように心掛けることとなる。
(2)メスシリンダーオブジェクト31はその形状と目盛を備えていることからユーザーに刻々と燃料を消費しているイメージを与え、また、雫オブジェクト32はメスシリンダーオブジェクト31内に降り注ぐような動画で表現されるため、トータルとして非常にインパクトが強い動画を目視させることとなってためエコロジカルな運転をさせるための心理的な効果が高い。
(3)燃料の消費速度が速くなるとメスシリンダーオブジェクト31の液面の上昇速度も上がり、雫オブジェクト32の数も増加するため、無駄に燃料を消費するような運転を控えより燃費のよいエコロジカルな運転をするように心掛けることとなる。
(4)燃料の消費に伴って目に見えて変動するメスシリンダーオブジェクト31によりスケール単位の大きなタンクオブジェクト33を併設することで、メスシリンダーオブジェクト31に側に燃料の消費速度に敏感な動きをさせることができるため、画面が小さくともユーザーに十分燃料の消費を消費している印象を強調した動画を目視させることができる。
(5)メスシリンダーオブジェクト31がカラになるとその量に対応した表示がタンクオブジェクト33側に蓄積されていくため、その回の運転で消費した燃料も同時に目視できることとなり、短い時間でのリアルタイムな燃料の消費だけでなく運転を通じての燃料の消費も併せて理解できることとなり、この点でもエコロジカルな運転をするように心掛けることに貢献する。
(6)新たにエンジンを始動させることで前回までの積算燃料消費量Pccが積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)に表示されることとなり、今までにどれだけの燃料を消費したかが今回の運転によるメスシリンダーオブジェクト31等の燃料消費表示と併せて目視できることとなり、燃料消費の詳細が理解しやすくなっている。
(7)当該車両の平均燃料流量Hpに応じてメスシリンダーオブジェクト31のカラ〜満タンまでの変動量に対応する燃料消費量、雫オブジェクト32の数、タンクオブジェクト33の最大貯留量を最適な状態に変動させることができるため、ユーザーがもっとも見やすい変動画面を提供することが可能である。
(8)今回の運転での消費燃料、現在の燃料流量、瞬間燃費、平均燃費、過去の積算燃料消費量Pcc等の正確な数値も併せて表示されるため、ユーザーのエコロジカルな運転における判断情報となる。
・上記実施例では雫オブジェクト32のような液体オブジェクトが流下してメスシリンダーオブジェクト31内に貯留されていくような動画で燃料消費量を表現していたが、逆にメスシリンダーオブジェクト31のような容器から液体が抜けていくような動画であってもよい。
・例えば図15のようにメスシリンダーオブジェクト31がなく、雫オブジェクト32が単に上方から下方に向かって流下して消失するような姿態で燃料消費状態を表現するようにしてもよい。液体オブジェクトの数や密度でリアルタイムに燃料を消費していることが目視できるからである。上記実施の形態では一旦メスシリンダーオブジェクト31溜まった消費燃料分をバッチ的にタンクオブジェクト33に移動させて表示させていたが、この図15では雫オブジェクト32の消失に伴って少しずつタンクオブジェクト33の液体動画の液面を上昇させるような変動が好ましい。
・上記実施の形態では雫オブジェクト32は燃料消費が多くなるとその出現数が多くなるような設定であったが、燃料消費に伴って雫オブジェクト32の形状を変更したり、色を変えたりすることも可能である。
まず、「メスシリンダーオブジェクト31のカラ〜満タンまでの変動量に対応する燃料消費量(以下、単に燃料消費量とする)」の設定について説明する。
ユーザーはディスプレイ部14のタッチパネルにタッチして上位階層から順に目的とするメニュー画面を選択する(図14(a)(b))。そして、ユーザーは自身の車両に対応する平均燃費(ここでは5〜15未満)をデフォルトとして選択して確定させる。「雫オブジェクト32の数」、「タンクオブジェクト33の最大貯留量」についても同様に目的とするメニュー画面を図14(a)から選択し、それぞれ車両の平均燃費に応じた雫オブジェクト32の数とタンクオブジェクト33の最大貯留量を選択する。また、画面上で数値入力するようにしてもよい。
尚、ここでのユーザーの選択は段落0037でのコントローラMCの判断による自動的な「メスシリンダーオブジェクト31のカラ〜満タンまでの変動量に対応する燃料消費量」、「雫オブジェクト32の数」、「タンクオブジェクト33の最大貯留量」を設定することに優先させてもよく、あくまで初期設定値としてコントローラMCの判断を優先させるようにしてもよい。
また、ユーザーが選択する場合はこのようにディスプレイ部14上で画面にタッチして設定してもよく、SDカードを取り出してパソコンから入力するようにしてもよい。
・上記においてはメスシリンダーオブジェクト31の容量、つまりカラ〜満タンまでの変動量に対応するデフォルトの燃料消費量が100mlに設定されており、この量は所定の燃費の車両がアイドリング状態のみの燃料流量で2分程度で消費する量に想定されていた。
一方、カラ〜満タンまでの変動量に対応するデフォルトの燃料消費量を非常に負荷の大きな状態での運転時の燃料流量(最高燃料流量)で数秒で消費する量に設定することも可能である。この最も燃料が消費されている状態で液面の上下動を認識できるのであれば、通常の運転状態では液面の上下動は同じ秒単位でもより緩やかな挙動で変動させられることとなるため、結果としてユーザーはどのような運転状況でも確実に液面の上下動を視認することが可能となる。
・第2のスケールオブジェクトとしてタンクオブジェクト33の形状や数や配置位置は上記に限定されない。また、燃料消費に伴う変動表示の順、つまりどのタンクオブジェクト33から変動させるかは適宜変更可能である。
・第3のスケールオブジェクトとして積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)の形状や数や配置位置は上記に限定されない。また、燃料消費に伴う変動表示の順、つまりどのブロックオブジェクト35から変動させるかは適宜変更可能である。
・積層オブジェクト36(ブロックオブジェクト35)をなくして、積算燃料消費量Pccの数値のみを表示させるようにしてもよい。
・タンクオブジェクト33をなくして、今回のエンジン始動からの積算燃料消費量ΔPcはその数値のみを表示させるようにしてもよい。
・ディスプレイ部14に走行距離を表示させてもよい。
・ディスプレイ部14にエンジン始動から現在までの時間を表示させてもよい。
・ディスプレイ部14に現在時刻を表示させてもよい。
・ディスプレイ部14の画面の大きさは変更可能である、
・制御手段としての上記実施の形態ではコントローラMCは燃費表示装置10内に配設していたが、コントローラMCを含む本体を車両外に設置し、無線によってデータを送受信を実行し、表示手段のみ車両内に設置するようにしてもよい。
・上記実施の形態ではメスシリンダーオブジェクト31タンクオブジェクト33は二次元的にディスプレイ部14に表示させるようにしたが、3次元的に、つまり奥行きのあるような画像としてディスプレイ部14に画像を表示させるようにしてもよい。
・車両からの情報として当該車両のトータルの走行距離を取得できるのであれば、燃費表示装置10を取り付けた際にその走行距離と平均燃費から燃費表示装置10を取り付けるまでの積算燃料消費量Pccを算出することで、燃費表示装置10を取り付けてからではなく、当該車両の走行開始から燃費表示装置10を取り付けまでの間も加味した積算燃料消費量Pccを表示させるようにすることも可能である。
・車両情報が取得できるものであればODB−II用の車両診断用コネクタ22以外の出力部から情報を取得するようにしてもよい。
このようなスケールオブジェクトとしてエンジン始動から停止までの1回のサイクルが比較的短い場合の走行距離、例えば会社への通勤、郊外のショッピングモールへの買い物、子供の送り迎え等の5〜20km程度の距離の燃料消費量に応じたオブジェクト(以下、近距離用燃料消費オブジェクト)を表示させることが想定される。この新たな近距離用燃料消費オブジェクトは上記3種のスケールオブジェクトに追加してもタンクオブジェクト33に代わって使用するようにしてもよい。
・上記実施の形態ではメスシリンダーオブジェクト31がエンジンが駆動している際に常時変動するオブジェクトであり、タンクオブジェクト33、積層オブジェクト36は常時変動しておらず、他の条件が成立することで変動するものであった。しかし、上記においてメスシリンダーオブジェクト31、タンクオブジェクト33、積層オブジェクト36のあるいは近距離用燃料消費オブジェクトが表示されている場合にこれらをエンジンが駆動している際に常時変動させるような表示態様とすることも可能である。
・本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
Claims (4)
- 車両から取得する燃料消費に関する情報に基づき、今回のエンジンの始動からの積算燃料消費量を示すオブジェクトの表示と、車両に取り付け時からの積算燃料消費量を示すオブジェクトの表示とを、同一の表示画面内に異なるオブジェクトとして表示させる制御を行うこと
を特徴とする電子システム。 - さらに、現在の燃料の消費速度に対応した速度で現在の燃料の消費状況を変動表示させるオブジェクトの表示を、前記同一の表示画面内に異なるオブジェクトとして表示させる制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の電子システム。 - 前記現在の燃料の消費速度に対応した速度で現在の燃料の消費状況を変動表示させるオブジェクトは、液体オブジェクトを変動表示させるオブジェクトであり、
前記現在の燃料の消費速度に対応した速度は、車両のアイドリング状態において液体オブジェクトの位置が変動する速度であること
を特徴とする請求項2に記載の電子システム。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の電子システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
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