JP2017032488A - 情報処理装置、診断方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 情報処理装置、診断方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、少なくとも2つ以上の集音要素を備えるマイクアレイ70と、マイクアレイ70が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理部303と、マイクアレイ70により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出部306と、マイクアレイ70が取得した音響信号および装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算部305と、異常音検出部305による検出結果と、集音要素の位置と、装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定部307とを備えている。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の情報処理装置は、少なくとも2つ以上の集音要素を備えるマイクアレイ70と、マイクアレイ70が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理部303と、マイクアレイ70により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出部306と、マイクアレイ70が取得した音響信号および装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算部305と、異常音検出部305による検出結果と、集音要素の位置と、装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定部307とを備えている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、情報処理装置、診断方法およびプログラムに関する。
画像処理装置などの装置は、多種・多様な稼働機器が高密度に配置されており、画像スキャン、露光、現像、転写、定着、搬送といった各種のプロセスを経て、その機能が提供されている。また、機器の不具合は、経時的に進行する場合もあり、不具合が小さいうちには、画像形成動作にほとんど影響はないものの、不具合を放置しておくと、早晩、画像形成装置が動作できない程度にまでその不具合が進行してしまう。多くの場合、上述した機器の不具合は、画像形成装置が動作できなくなった段階で、ユーザが発見し、サプライヤに連絡するなどのことで対処されている。
しかしながら、画像形成装置が動作できなくなった段階で対処するのでは、不具合から復帰するまでは、画像形成装置が使用できず、効率が悪く、また高付加価値の情報の損失も生じる懸念がある。
従来からモータその他の機器を含む装置の異常を診断する技術として、装置内部にマイクを配置し、機器からの音響データを計測するものが知られている。従来の技術は、機器からの発生音をマイクで取得し、取得した音響データを解析して、機器の異常を検知するものである。例えば、画像形成装置ではないものの、特開2013−060295号公報(特許文献1)には、エレベータの異常診断を行う目的で、2つ以上の集音ユニットを配置して音源方向を特定し、音源方向が機器周辺であることに基づき、異常診断を行う点が記載されている。特許文献1において音源方向を特定するのは、エレベータに起因しない環境音をエレベータの異常音と誤検知することを防止することを目的とするものである。
本発明は、音響データを使用して、不具合を生じている機器を特定する技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、
少なくとも2つ以上の集音要素を備える集音手段と、
前記集音手段が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理手段と、
前記集音手段により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出手段と、
前記集音手段が取得した音響信号および前記装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算手段と、
前記異常音検出手段による検出結果と、前記集音要素の位置と、前記装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定手段と
を備える、情報処理装置が提供される。
少なくとも2つ以上の集音要素を備える集音手段と、
前記集音手段が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理手段と、
前記集音手段により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出手段と、
前記集音手段が取得した音響信号および前記装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算手段と、
前記異常音検出手段による検出結果と、前記集音要素の位置と、前記装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定手段と
を備える、情報処理装置が提供される。
音響データを使用して、不具合を生じている機器を特定する技術を提供することが可能となる。
以下、本発明について実施形態を以て詳細に説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態では、情報処理装置が、多機能複写機(以下、MFPとして参照する。)といった画像処理装置であるものとして説明する。しかしながら、本実施形態が適用される情報処理装置は、機器の異常が音響データに影響を与える限り、画像処理装置に限定されるものではない。図1は、本実施形態のMFP100のハードウェアブロックを示す。
図1に示すように、このMFP100は、コントローラ10と、各種周辺機能部とを、PCIバス(Peripheral Component Interface)80で接続した構成を備えている。コントローラ10は、MFP100全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御する。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどとして実装できる。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17とを備える。また、コントローラ10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)103とを備えることができる。ノースブリッジ(NB)13と、ASIC16との間は、AGPバス(Accelerated Graphics Port)15で接続されている。
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスし、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bとを含んで構成される。CPU11は、MFP100の全体制御を行う。CPU11は、NB13、MEM−P12およびSB14を含むチップセットを介して他の機器との間で相互通信をおこなうことで、制御を可能とする。
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジである。NB13は、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを含んで構成される。
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリである。RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD103およびMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの機能を備える。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラとを含む。さらにASIC16は、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)を含む。さらにASIC16は、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとを含んで構成することができる。
このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。操作表示部220はASIC16に直接接続されている。
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリである。HDD103は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うための記憶手段である。また、HDD103は、MFP100で実行されるアプリケーションのライセンスファイルを保存する。
また、PCIバス80には、本実施形態において音響データを取得するためのマイクアレイ70が接続されている。マイクアレイ70は、MFP100の筐体内部の適切な箇所に、2次元的に配置されていて、時間スケールでの音響データを取得している。
図2は、本実施形態が適用されるMFP100における、音源を備える機器ユニットの正面から見た場合の2次元マッピングおよびマイクアレイ70の例示的な配置を示す。MFP100は、モータといった音源となる機器を、定着ユニットの駆動モータから手差し搬送まで、複数備えている。これらの機器ユニットは、設計情報などを使用してその正面方向(図2中、Z軸の方向に対応する。)から見た平面配置が得られる。MFP100は、その記憶手段、例えばMEM−P12のROM12aに機器マップ手段として機能する機器マップ200を格納する。
マイクアレイ70は、本実施形態では、MFP100の筐体正面の裏側に2次元的に配列されており、内部に配置された機器ユニットが含む音源からの音響データを時系列的に測定する。マイクアレイ70は、MFP100の筐体内の適切な空間が確保できる場所に、集音要素70aを、2次元的に配置することができ、マイクアレイ70の取付け箇所に特に限定はない。
図3は、本実施形態のMFP100の機能ブロック300を示す。図3には、説明の便宜上、機能処理部ではない音響信号301およびコンテキスト情報302といった情報も併記する。図3に示した各機能処理部は、CPU11が、MEM−P12のRAM12bに本実施形態にプログラムを読み込んで、CPU11においてプログラムコードを実行することにより、ハードウェア資源との協働において、情報処理装置上に実現される。図3に示すように、MFP100は、音響処理部303と、コンテキスト情報取得部304とを含んで構成されている。
音響信号301は、MFP100からマイクアレイ70を通して音響処理部303に送られ、マイクアレイ70の集音要素70aごとに音響データとして適切な記憶手段に格納される。マイクアレイ70が本実施形態において、集音手段を構成する。コンテキスト情報は、MFP100の可動要素である、モータ、現像器、定着器、ポリゴンミラーなどの機器ユニットおよびその動作状態を対応付けて項目としてリストする。なお、コンテキスト情報についてはより詳細に後述する。
音響処理部303は、さらに、MFP100のコンテキスト項目に登録された機器ユニットの動作状態が変化すると、そのタイミングを、シーケンスの開始または終了として登録し、音響データに対してMFP100のシーケンス情報をマイニングする。音響処理部303が、本実施形態において音響処理手段を構成する。シーケンス情報とは、区間の開始時間、終了時間およびシーケンスを指定するための識別値である。さらに音響処理部303は、MFP100の一連の動作が終了した後、取得した音響データに対し、それぞれシーケンスの時間領域において離散コサイン変換(DCT)を適用する。そして音響処理部303は、当該シーケンスにおける周波数スペクトルを生成し、適切な記憶手段に格納する。
コンテキスト情報取得部304は、コンテキスト情報302を読み込んで、そのシーケンスで動作している機器ユニットを特定し、当該情報を異常音発生ユニット特定に307に送付する。コンテキスト情報取得部304が、本実施形態において動作情報提供手段に相当する。
音源位置計算部305は、異常音を記録した集音要素70aを抽出し、異常音を発生した音源の2次元位置を、集音要素70aの位置から特定する。第1の実施形態では、XY軸に沿って配置した集音要素70aを使用し、異常音が集音要素70aに到達するまでの到達時間の最も早いものを、音源に最も近い集音要素として音源位置を特定する。他の実施形態では、2次元的に配列した集音要素70aを使用し、異常音を最も強く検出した集音要素70aの位置から音源位置を特定する。そして、集音要素70aの指向性を考慮して、異常音の音源位置を計算する。集音要素70aとして指向性の高い要素を使用する場合、異常音の音源は、集音要素70aの2次元位置に存在する機器ユニットとして音源位置を特定する。指向性が低い集音要素70aの場合には音源領域への方向を特定する。なお、本実施形態の音源位置計算部305は、本件位置計算手段に相当する機能手段である。
第1の実施形態では、実施形態では、異常音の到達した時刻を各集音要素において計算し、音源までの距離から音源位置を推定する、例えば、特開2000−125274号公報に記載された従来技術を使用することもできる。なお、この実施形態の場合、集音要素70aは、MFP100のX−Y方向に配列することが好ましい。
異常音検出部306は、MFP100が正常な状態にある時の各集音要素70aが集音した音響データから生成された周波数スペクトルを、音響テンプレートとして管理する。なお、音響テンプレートは、ROM12aなどに出荷時に登録しておくことができる。また、他の実施形態では、MFP100の導入時にオンサイトで音響データを収集し、周波数スペクトルを生成して適切な記憶手段に音響テンプレートとして記録させておいても良い。
異常音発生ユニット特定部307は、図2に示した機器マップ200およびコンテキスト情報取得部304により生成されたコンテキスト項目の状態情報を使用して、異常音を発生している音源の機器ユニットを特定する。その後、異常音発生ユニット特定部307は、特定された機器ユニットの情報を異常通期部308に送付し、MFP100の例えばオペレーション・パネルやLCD上に異常発生を通知する。以上の機能処理部の協働によって、ユーザに対して異常発生を、MFP100が機能不全に陥る前に通知することが可能となる。なお、当該異常音発生ユニット特定部307が本実施形態において異常音発生ユニット特定手段を構成する。
図4は、本実施形態のコンテキスト情報の具体例400を示す。図4に示すコンテキスト情報の具体例400は、機器ユニット名称などの機器ユニットの識別値と、その動作状態を示す2値フラグとを対応付けて項目として定義する。なお、アナログ量の場合は、当該アナログ量にしきい値を設定し、2状態に対応付け2値フラグによる特徴付けを可能としている。
図4に示すコンテキスト項目は、9つあるため、全コンテキスト項目の動作状態は、29通り(512通り)存在する。しかしながら、実際は、機器動作で起こり得ない動作状態も存在するので512通りよりも少なくなる。異常音検知部では、コンテキスト情報と音響データの2つを取得し、コンテキスト情報と時間的に同期した周波数スペクトルから、異常音検知処理を実行する。
コンテキスト情報を使用した異常音検出処理について、以下説明する。異常音検出部306は、コンテキスト情報A及びコンテキスト情報Bに基づいて、どの種類の異常が発生する可能性があるかを特定する。コンテキスト情報B410は、異常の態様をコンテキスト項目に対応付けて登録し、動作状態を網羅的に検索することを排除するために利用することができる。図4に示す様に、コンテキスト情報A400とは異なり、予め設定される情報である。
異常音検出部306は、取得したコンテキスト情報A400から、装置の動作状態を特定する。動作フラグはシーケンスの時系列に従って刻々と変化し、たとえば、ある時刻における9つの動作フラグの組み合わせを参照して、動作状態を特定することができる。その後、特定された動作状態に基づいて、どの機器ユニットに関連した異常が特定される。コンテキスト情報B410内のアスタリスクは、ワイルドカードである。ワイルドカードが付された機器ユニットについては、動作状態は問わないことを示す。
なお、コンテキスト情報B410における異常(1)は、搬送モータ関連の異常であり、異常(2)は、環境制御モータ関連の異常である。なお図4に示した異常の種類はこれに限定されるものではなく、さらに他の異常については異常(3)、異常(4)などとして項目化することができる。
コンテキスト情報B410を使用することにより、動作状態に対応する音響テンプレートを網羅的に検索することを排除することができる。具体的には、図4に示した実施形態では、{搬送モータがON&紙有り&手差し搬送モータがON&手差し搬送ローラがON)を満たす動作状態の音響テンプレートを検索すれば、異常の有無を判断することが可能となる。
図5は、MFP100の動作シーケンスのタイミングチャートと、コンテキスト情報との対応付けを説明する図である。MFP100のタイミングチャート500は、図4に示したコンテキスト項目の識別番号順に配置されており、最初にLED発光7および手差し搬送モータ4の状態がONとなり、順次、トナーボトル回転モータ8、手差し搬送ローラ9、搬送モータ2がONとされ、順次動作制御が進行して行く。区間Aは、手差し搬送ローラ9がOFFとなった時点で開始し、手差し搬送モータがOFFとなるまでのシーケンスとしてシーケンスがマイニングされる。図5には、コンテキスト項目−シーケンス関連付けテーブル510も示されている。このコンテキスト項目−シーケンス関連付けテーブル510は、音響処理部303が管理し、音響テンプレートの検索を高精度に行うために利用される。
例えば、区間Aは、コンテキスト項目−シーケンス関連付けテーブル510のシーケンス1に相当する状態である。区間Aをシーケンス1として対応付け、これに対応した音響テンプレートを予め作成しておくことにより、他のシーケンスで動作するべき機器ユニットの影響を排除することができる。この結果、本実施形態では、高精度の音響テンプレートを生成でき、かつ周波数スペクトルとの比較も高精度に行うことができる。コンテキスト−シーケンス関連付けテーブル510は、音響データに対してシーケンス情報をマイニングするために使用される。
図6は、本実施形態における音響テンプレートへのシーケンス情報のマイニングの態様を示す。音響データは、プロセスの進行に伴い、図6のタイミングチャート600の左手側から右手側へと生成されて行く。本実施形態の音響処理部303は、プロセスの進行に伴い、いずれかのコンテキスト項目の状態が遷移したことを契機として、シーケンス区間を音響データに割り当てる。例えば、区間(a)は、LED発光7および手差し搬送モータ4の状態がONとなったタイミングで開始し、トナーボトル回転モータ8、手差し搬送ローラ9、搬送モータ2がONとされるまでの区間として規定される。
音響処理部303は、当該区間で音響データのパワースペクトルに対してDCTを適用し、区間(a)における周波数スペクトルを作成する。当該周波数スペクトルは、正常状態において測定されたものが、音響テンプレートとされ、実際にMFP100がサービスを提供している期間に測定されたものが周波数スペクトルとなる。このため、複数の動作区間にまたがった音響テンプレートではなく、動作する機器ユニットが対応付けられた音響テンプレートが生成される。また、異常音判断に使用するべき周波数スペクトルも、同一の機器ユニットが対応付けられたもの同士で比較でき、高精度化か可能とされる。
図7は、本実施形態で、異常音検出部306が管理する、音響テンプレート700を示す。図7に示した実施形態では、区間が、図6に対応して(a)から(e)として登録され、それに対応するシーケンスを指定するための識別値が登録される。さらに当該区間およびシーケンスで各集音要素が測定した音響データから生成した周波数スペクトルが、集音要素(#i、i=1,...,nで指定される。)の数に対応して登録された構成とされている。
上述した構成の音響テンプレート700を使用することにより、実時間スケールの比較ではなく、周波数スケールでの比較を行うことができ、紙サイズ、搬送時間、データ量その他の条件の変動に伴う印刷時間の影響を排除しながら高精度の比較が可能となる。
異常音検出部306は、異常音検出処理において、音響データにマイニングされたシーケンス情報のうち、開始時間および終了時間を使用して、当該区間の音響データに対してDCTを適用し、周波数スペクトルを生成する。そして、シーケンスを指定する識別値を参照して、当該シーケンスの同一の集音要素の音響テンプレートを取得する。その後、当該区間について得られた周波数スペクトルと、音響テンプレートとを比較し、異常音の存在を判断する。
異常音が存在すると判断した場合、異常音発生ユニット特定部307は、当該区間にマイニングされたコンテキスト項目の状態から、関連する機器ユニットを抽出する。その後、異常音に最も関連づけられる集音要素の位置座標に対応する機器ユニットを、図2に記載した機器マップ200を使用して特定する。
図8は、異常音検出部306が実行する異常音の存在判定処理800の概念図である。図8(a)が音響テンプレート、図8(b)が正常と判断される周波数スペクトル、図8(c)が異常と判断される周波数スペクトルである。瀬本実施形態においては、音響テンプレートと、周波数スペクトルとの差分スペクトルを計算する。当該差分スペクトルに存在する周波数成分の強度が、しきい値Th1以下の場合、正常範囲と判断する。また、差分スペクトルに存在する周波数成分の強度がTh1を超える場合に、異常音発生と判断する。
さらに他の実施形態では、しきい値を、差分スペクトルの周波数成分の積分値とし、差分スペクトルの積分値が第2のしきい値Th2を超えた場合に、異常音発生として判断する構成も採用することができる。当該実施形態では、偶発的に発生した機械的ノイズの影響を効率的に排除することが可能となる。さらに他の実施形態では、音響テンプレートに帰属する正常音の成分の積分値に対する異常音に帰属される成分の積分値を計算する。
そして、異常音の積分強度が、正常音の積分強度に対して第3のしきい値Th3で与えられる比率以上となったことにより異常音発生と判断することができる。その他、本実施形態では、上述した実施形態に限定されず、適切に異常音の発生を識別できるいかなる基準・尺度でも使用することができる。
図9は、本実施形態において、異常音を発生している音源に最も関連する集音要素を決定する処理の実施形態を示す。マイクアレイ70を構成する集音要素は、2次元的に配置されており、音源から近い方が異常音のスペクトル強度が強く、音源から離れるにつれて異常音のスペクトル強度は減少する。このことから、例えば、集音要素が取得した周波数スペクトルを、一定方向に検査して行く。そして、異常音のスペクトル強度(最大ピーク、積分値、または積分値の比)が最も大きくなる位置の集音要素が、異常音の音源に近いものとして、異常音の音源の2次元位置とすることができる。
図9に示した実施形態では、図9(c)で示した周波数スペクトルが、最もその強度が大きく、#iで指定される集音要素の(x,y)位置が異常音の音源位置として特定できる。この(x,y)位置を、図2の機器マップ200と比較して、異常音の音源とするべき機器ユニットが特定できる。なお、集音要素の指向性などを考慮して複数の音源か可能な場合、可能な複数の機器ユニットを特定することもできる。
図10は、本実施形態の診断方法の処理のフローチャートを示す。図10の処理は、ステップS1000から開始し、ステップS1001で、直近に取得した音響データを各プロセスタイミングの区間に分解する。ステップS1002で区間内の音響データにDCTを適用して周波数スペクトルを生成し、当該区間のシーケンスを特定する。ステップS1003で特定されるシーケンスの音響テンプレートと、実測した周波数スペクトルとの差分を計算する。
ステップS1004で、差分の大きさがしきい値以下であるか否かを判断し、しきい値以下である場合(yes)、ステップS1008で正常と判断し、処理をステップS1009に分岐させ、処理を終了する。一方、ステップS1004で差分の大きさが、しきい値を超えると判断された場合(no)、ステップS1005で異常と判断し、ステップS1006で異常発生ユニットを特定する。その後、ステップS1007でユーザに対して警告を表示させ、ステップS1009で処理を終了する。なおステップS1003以下の処理は、該当する区間の集音要素70a全部について行われる。
図11には、各集音要素70aが取得する音響データ(パワースペクトル)に対して、図10のステップS1001でデータマイニングされた、データ構造を示す。集音要素#1〜#nは、それぞれパワースペクトルを音響データとして取得する。MFP100は、各プロセスタイミングの発生に従って、開始時刻、終了時刻、シーケンス識別値を、図5に示したコンテキスト項目−シーケンス関連付けテーブル510を使用して各集音要素70aが取得したパワースペクトルにマイニングして行く。
図12は、図10のステップS1006の異常音発生ユニットを特定する処理のフローチャートである。処理は、ステップS1200から開始し、異常と判断されたか否かを判断する。異常と判断された区間ではない場合(no)、処理をステップS1205に分岐させ処理を終了する。一方、異常と判断された場合(yes)、当該区間に属する集音要素#1〜#nの差分スペクトルのうち、異常音を最も早く検出した集音要素を特定する(第1の実施形態)。または、異常音のスペクトル強度が最大となる集音要素を特定する(第2の実施形態)。
ステップS1203で、区間に対応するコンテキスト情報から、可能性の有る、すなわち稼働中のユニットを特定する。その後、ステップS1204で集音要素の位置座標から図2に示した機器マップ200を使用して異常ユニットを特定し、ステップS1205で処理を終了する。
以上の処理により、音響データを使用して、不具合を生じている機器を特定する技術を提供することが可能となる。
これまで本発明を、実施形態をもって説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
200 :機器マップ
220 :操作表示部
300 :機能ブロック
301 :音響信号
302 :コンテキスト情報
303 :音響処理部
304 :コンテキスト情報取得部
305 :音源位置計算部
306 :異常音検出部
307 :異常音発生ユニット特定部
308 :異常通期部
400 :コンテキスト情報の具体例
500 :タイミングチャート
510 :シーケンス関連付けテーブル
600 :タイミングチャート
700 :音響テンプレート
220 :操作表示部
300 :機能ブロック
301 :音響信号
302 :コンテキスト情報
303 :音響処理部
304 :コンテキスト情報取得部
305 :音源位置計算部
306 :異常音検出部
307 :異常音発生ユニット特定部
308 :異常通期部
400 :コンテキスト情報の具体例
500 :タイミングチャート
510 :シーケンス関連付けテーブル
600 :タイミングチャート
700 :音響テンプレート
Claims (9)
- 少なくとも2つ以上の集音要素を備える集音手段と、
前記集音手段が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理手段と、
前記集音手段により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出手段と、
前記集音手段が取得した音響信号および前記装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算手段と、
前記異常音検出手段による検出結果と、前記集音要素の位置と、前記装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定手段と
を備える、情報処理装置。 - 前記異常音検出手段が異常音の存在を検出した場合に、前記音源位置計算手段により求めた位置から、異常音を発生する機器ユニットを特定することを特徴とする、請求項1に記載の異常診断装置。
- さらに、前記情報処理装置は、装置の動作情報に紐づけられた位置座標を登録する機器マップ手段を備え、前記機器マップ手段を参照して異常音の音源となる機器ユニットを特定することを特徴とする、情報処理装置。
- 前記異常音検出手段は、前記集音手段を構成する集音要素の一部で集音した音響信号を使って異常音を検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
- 前記異常音の音源となる機器ユニットを、前記集音要素への異常音の到達時間の差または前記集音要素の位置座標を使用して特定する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
- 少なくとも2つ以上の集音要素を使用して機器ユニットが発生する音響信号を取得するステップと、
前記集音要素が取得した音響信号をデジタル処理するステップと、
前記集音要素により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異ステップと、
前記集音要素が取得した音響信号と前記装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得するステップと、
前記異常音の検出結果と、前記集音要素の位置と、装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定するステップと
を含む、診断方法。 - さらに、前記機器ユニットを特定するステップは、異常音の存在を検出した場合に、音響信号および前記装置の動作時刻に基づいて異常音を発生する機器ユニットを特定するステップを含むことを特徴とする、請求項6に記載の診断方法。
- さらに、前記機器ユニットを特定するステップは、装置の動作情報に紐づけられた位置座標を登録する機器マップ手段を参照して異常音の音源となる機器ユニットを特定するステップを含むことを特徴とする、診断方法。
- 情報処理装置を、
少なくとも2つ以上の集音要素を備える集音手段が取得した音響信号をデジタル処理する音響処理手段、
前記集音手段により集音された音響信号から機器ユニットの異常音を検知する異常音検出手段、
前記集音手段が取得した音響信号および前記装置の動作時刻に基づいて音源の位置を取得する音源位置計算手段、
前記異常音検出手段による検出結果と、前記集音要素の位置と、装置の動作時刻における動作情報とに基づき、異常音の音源となる機器ユニットを特定する異常音発生ユニット特定手段
として機能させるための情報処理装置実行可能なプログラム。
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