JP2017032403A - 液体クロマトグラフの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフの制御プログラム - Google Patents

液体クロマトグラフの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフの制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】薄層クロマトグラフィの結果を利用して液体クロマトグラフィの結果を高精度で予測することができるような方法を見出す。【解決手段】下記式(1)logk’=alogB+b (1)(ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。k’=(tR-t0)/t0(2)B:溶媒比率a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成する。【選択図】図1

Description

本発明は、液体クロマトグラフの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフの制御プログラムに関するものである。
液体クロマトグラフィにおいては、カラム内に充填された固定相内に、試料が溶解した溶液を通過させる。このとき、カラム内に導入された試料内の各成分は固定相との相互作用や移動相との親和性等により、カラムを通過する時間が異なるため、カラムから排出される時点では各成分が分離される。固定相との相互作用が強い、又は移動相との親和性の弱い物質がカラム中に長く留まり、カラムから遅く排出されることとなる。
このような液体クロマトグラフィにおいては、溶媒種の選択、カラムサイズの選定が重要であり、試料の溶出時間は、これらの条件と密接に関連する。このため、実際の液体クロマトグラフィを行う前に試験結果を予測することができれば、実験の効率を向上させることができる。
上記示した液体クロマトグラフィと同じ原理により行われる薄層クロマトグラフィ(TLC)がある。薄層クロマトグラフィでは、薄層とされたカラム内の固定相に用いられる物質に試料が垂らされ、この薄層が移動層となる溶離液中に浸漬される。そして、毛管現象により溶離液が薄層に吸い上げられると共に試料が吸い上げられる作用により、試料の溶離液に対する移動度Rfを求めることができる(図3,4)。このようにして任意の溶媒比の溶離液で行われるTLCにて求められる移動度Rfと、液体クロマトグラフィの溶出時間との間に相関性があることが知られている。
このようなTLCの結果と液体クロマトグラフィの分離度との相関性を利用して、液体クロマトグラフィの結果をTLCの結果に基づいて事前に予測し、これによって効率よく液体クロマトグラフィを行う液体クロマトグラフィの制御装置について、本出願人は特許文献1を出願した。
特許文献1においては、移動度Rと溶媒の混合比(B/A)との関係について、一次関数に基づく近似的な処理が行われている。このような近似によってTLCの結果から液体クロマトグラフィの結果を予測できる点で、極めて産業的に有用なものである。しかし、溶媒混合比の変化の割合が小さい範囲内では非常に精度よく近似することができるものの、幅広い任意の溶媒混合比の範囲に対して当該方法を適用すると、全範囲において精度よく液体クロマトグラフィの予測を行うことは困難な場合があった。
本発明者は、このような点を考慮し、液体クロマトグラフィの機能を、更に高度化し、特許文献1以上に精密に溶出時間を予測することができるようなシステムについて検討を行った。
特許第3423707号
本発明は上記に鑑み、薄層クロマトグラフィの結果を利用して液体クロマトグラフィの結果を幅広い溶媒混合比に対して高精度で予測することができるような方法を見出すことを目的とするものである。
すなわち、これによって、効率の良い液体クロマトグラフィを行うことができる液体クロマトグラフの制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、薄層クロマトグラフィの分離において複数の溶媒を特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値を前記特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段、
前記実測値記憶手段に記憶された前記特定混合比に対する移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する計算式作成手段、
前記一般式に基づいて、実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示するための液体クロマトグラフィ結果予測手段、
前記液体クロマトグラフィ条件提示手段に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する液体クロマトグラフィ条件決定手段、
前記液体クロマトグラフィ条件決定手段に基づいて作業者によって選択された溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段を備えており、
前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1)
logk’=alogB+b (1)
(ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
k’=(t-t)/t (2)
B:溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものである
ことを特徴とする液体クロマトグラフの制御装置である。
前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
logk’=alogB+b (1−1)
(ただし、式中、
:TLCにおける溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
k’:TLCにおいて下記式(3)で算出される保持力。
k’=(1/R)−1 (3)
で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
次いで、これを
Δ=logB−logB(4)
(Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
で表されるΔを用い、
logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
(但し、式中、k’は、
k’=(t-t)/t (5)
:液体クロマトグラフィにおける溶媒比率
:液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
:溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものであってもよい。
本発明は、複数の成分を特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの実測値を薄層クロマトグラフィを行って求める第1の工程、
前記第1の工程で求められた移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する第2の工程、
実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示する第3の工程、
第3の工程によって定時された内容に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する第4の工程、
前記第4の工程によって選択された液体クロマトグラフィ条件の溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段
からなり、
前記第2の工程は、第1の工程の結果にもとづいて下記式(1)
logk’=alogB+b (1)
(ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
k’=(t-t)/t (2)
B:溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものであることを特徴とする液体クロマトグラフィの実行方法でもある。
前記第2の工程は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
logk’=alogB+b (1−1)
(ただし、式中、
:溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
k’:下記式(2)で算出される保持力。
k’=(1/R)−1 (3)
で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
次いで、これを
Δ=logB−logB(4)
(Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
で表されるΔを用い、
logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
(但し、式中、k’は、
k’=(t-t)/t (5)
:液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
:溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものであってもよい。
本発明は、薄層クロマトグラフィの分離において複数の溶媒を特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値を前記特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段、
前記実測値記憶手段に記憶された前記特定混合比に対する移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する計算式作成手段、
前記一般式に基づいて、実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示するための液体クロマトグラフィ結果予測手段、
前記液体クロマトグラフィ条件提示手段に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する液体クロマトグラフィ条件決定手段、
前記液体クロマトグラフィ条件決定手段に基づいて作業者によって選択された溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段を備え、
前記計算式作成手段は、下記式(1)
logk’=alogB+b (1)
(ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
k’=(t-t)/t (2)
B:溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものであり、
液体クロマトグラフィを制御するためにコンピュータを機能させるものであることを特徴とする液体クロマトグラフィの制御プログラムであってもよい。
前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
logk’=alogB+b (1−1)
(ただし、式中、
:TLCにおける溶媒比率
a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
k’:TLCにおいて下記式(3)で算出される保持力。
k’=(1/R)−1 (3)
で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
次いで、これを
Δ=logB−logB(4)
(Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
で表されるΔを用い、
logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
(但し、式中、k’は、
k’=(t-t)/t (5)
:液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
:溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものであってもよい。
本発明によって、特定の混合比の溶媒に対するTLCを1回行うのみで、任意の溶媒混合比に対応した液体クロマトグラフィを行った際の溶出時間を正確に予測することができる。これによって、液体クロマトグラフィを効率よく行う方法を簡単に知ることができる。
本発明におけるk’とBとの関係を示すグラフである。 液体クロマトグラフ制御装置のディスプレイへの表示例を描いた図面である。 TLCを行う装置を示す斜視図である。 TLCを行う際のシリカゲル薄層板の模式図であり、(a)はTLC前、(b)はTLC後をそれぞれ示している。 本発明が適用される液体クロマトグラフ装置を示す模式図である。 実施例の結果にもとづいて、lnk’とlnBとをプロットしたグラフである。 実施例の結果にもとづいて、Rと溶媒中の酢酸エチル含有割合(体積比)とをプロットしたグラフである。 実施例の結果にもとづいて、N-フェニルマレイミドのTLCと液体クロマトグラフィによるlnk’とlnBとをプロットしたグラフである。 実施例の結果にもとづいて、4−アミノベンゾニトリルのTLCと液体クロマトグラフィによるlnk’とlnBとをプロットしたグラフである。 実施例の結果にもとづいて、4−ニトロアニリンのTLCと液体クロマトグラフィによるlnk’とlnBとをプロットしたグラフである。 実施例の結果にもとづいて、o−エトキシベンズアミドのTLCと液体クロマトグラフィによるlnk’とlnBとをプロットしたグラフである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
(本発明の計算式について)
本発明者は、液体クロマトグラフィについて、溶媒の混合比と溶出時間との関係について多くの実験データを採取し、これらの関係について精査を行うことによって、
logk’=alogB+b (1)
(ただし、
保持力:k’=(t-t)/t (2)
溶媒比率:B
溶出に使用される溶媒系によって決定される定数:a)
との関係式が成立することを見出した。
当該一般式によって、特定の液体クロマトグラフィ条件(例えば、使用するカラム、使用する充填剤、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターン)に対応した溶出時間を高精度で予測することができる。このため、実際に液体クロマトグラフィを行う前に、好適な液体クロマトグラフィ条件の選定を効率よく行うことができ、液体クロマトグラフィの精度を高め、実験の手間を大幅に減らすことができる。
なお、上述した特許文献1に示した文献においては、液体クロマトグラフィの溶出時間を予測するための数式が本願とは完全に異なる。特許文献1の方法は、比較的狭い範囲の溶媒混合比に対しては良好な予測ができるが、幅広い範囲の混合比に対応させようとした場合には、一部領域では予測値が実際の液体クロマトグラフィと相違することがあった。本発明においては、更に研究を推し進め、より現実のデータに近い計算式を見出すことによって、幅広い範囲の溶媒比の変化に対しても正確な結果の予測ができ、上述した問題を改善するものである。
以下に、当該一般式について、更に詳細な説明を行う。
本発明においては、以下の式(2)
k’=(t-t)/t (2)
によって保持力k’を定義する。
ここで、tは溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間であり、カラムのサイズ、形状等によって決定されるカラム固有の値である。
は、対象となるサンプルが特定のカラム中を通過するのに必要とされる溶出時間である。tはカラム固有の定数であるから、このk’を求めることで特定カラムを使用した場合の溶出時間tを求めることができる。
当該保持力k’は、溶媒比率Bとの間に、以下の式(1)
logk’=alogB+b (1)
で表される関係を有する。
ここで、Bは、溶媒の混合比であり、例えば、X,Yの2種の溶剤の混合系での液体クロマトグラフィを行う場合、いずれか一方の溶媒の割合を示す値である。当該混合比は、モル分率(mol%)、体積比(vol%)、重量比(wt%)等のいずれであっても、一定の相関性を示すため、これらのうち、任意のものを使用することができる。なお、以下の実施例においては、モル分率(mol%)を基準としたものについての実験結果を示した。
aは、溶媒系及び充填剤種に応じて決定される定数である。すなわち、同一の溶媒の組み合わせ、充填剤種等のクロマトグラフィ条件が同一である限り、溶質であるサンプルの種類に関わらずaは一定であることを本願の発明者は発見した。この点が本発明の完成において重要な点となる。
このような関係を図1に示した。図1は、同一の混合溶媒系において、複数種の化合物についての、logk’とlogBとの関係を示したグラフである。61,62,63,64は、それぞれ異なる化合物についてのlogk’とlogBをプロットして得られた直線である。これらは、それぞれが図1に示したように直線関係を有し、かつ、その傾きaは化合物に関わらず一定であり、bのみが化合物によって相違するものとなる。
なお、本出願の実施例においては、自然対数(底がe)を使用するとして説明を行っているが、数学的な理論からみて、底がいかなる値であっても、同様の関係が成立するものであることから、本発明の実施において、対数の底は任意のものであってよく、特に限定されるものでない。
更に、上述した一般式(1)の関係は幅広い範囲において適用される関係式であるが、例外的に、サンプルと充填剤との相互作用が非常に強い場合や、逆に極端に弱い場合においては、aの値にずれを生じる場合がある。本発明の方法を適用する場合は、この点に留意することが好ましい。
上述した関係を考慮すれば、溶媒系に対応したaの値を事前に測定しておき、液体クロマトグラフィを行う化合物について、特定の溶媒混合比Bの一点についてk’とBとの関係を明らかにすれば、これによって、当該化合物に対応したbを求めることができる。
すなわち、特定の溶媒の混合比Bとk’との関係を薄層クロマトグラフィによって測定すれば、これによって式(1)中のbを求めることができ、これによってk’とBとの関係式を導くことができる。そして、このような式に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した溶出時間を極めて簡便に算出することができる。
なお、R値が極端に大きい場合や小さい場合であっても、aが相違する値になるものの、上述した一般式(1)の関係は成立していることから、例えば、2点についてのTLCを行うことでaを求める方法、特定のR値に対応したaの値を保存しておき、必要に応じてこれを呼び出す方法等によって、aの値が一定とならない範囲に対しても対応できるようにすることもできる。
(薄層クロマトグラフィ(TLC)の結果と、液体クロマトグラフィの結果について)
上述した一般式(1)で示された関係式を得ることができれば、これによって簡便に液体クロマトグラフィの結果を実験前に予測することができる。そして、このような一般式(1)を得るためには、TLCを行い、その結果として得られたBとRとの関係を利用して上記一般式を得られれば、非常に簡便な手法で液体クロマトグラフィの結果を予測できる点で好ましい。
理論的には、数学的処理によってBとRとの関係から上述した一般式(1)を得ることができる。しかしながら、本発明者らの実験結果によると、このような一般式(1)の関係においては、TLCの結果と、液体クロマトグラフィの結果とが、完全には一致しない場合もある。
このような場合には、TLCの結果と、液体クロマトグラフィの結果のずれを補正してもよい。以下の説明においては、まず、
(A)薄層クロマトグラフィの結果とから上述した一般式(1)を得るための数学的方法を説明し、
次いで、
(B)TLCの結果と、液体クロマトグラフィの結果のずれの補正について説明する。
なお、(A)の要素は、本発明の必須要件であるが、(B)の要素は、TLCの結果と液体クロマトグラフィの結果のずれが大きい場合においてのみ適用する任意の要件である。
薄層クロマトグラフィを行った結果によって得られたRのk’への変換は、以下の算出方法で行うことができる。
一般に、薄層クロマトグラフィのRと液体クロマトグラフィにおけるtとtの間には、
=t/R
の関係が成立することが知られている。
このため、Rを測定すれば、これによって、tとtとの関係が明らかとなり、これを一般式(2)に代入することで、上記一般式のk’が求められる。
具体的には、
k’=(1/R)−1
である。
当該数式を用い、TLCの結果によって得られたRからk’を算出し、k’とBとを式(1)に代入し、事前に明らかになっているaを利用すれば、bを求めることができる。
(TLCと液体クロマトグラフィの差異の補正)
上述したTLCによって得られた上記一般式(1)と、液体クロマトグラフィにおけるk’とBとの関係式とは完全には一致しない場合がある。
このため、本発明者らは、このような相違を補正する手段についても、検討を行った。
その結果、上記一般式(1)において、
(A)TLCと液体クロマトグラフィのいずれであっても、aの値に大きな差異は存在しない。
(B)Δ=logB−logB(4)
(なお、式(4)中のB及びBは、特定のk’に対応するB(TLCにおける溶媒比)、B(液体クロマトグラフィにおける溶媒比)を意味する)
として算出されるΔは、化合物種に無関係であり、クロマトグラフィの条件のみによって決定される値である。
という2点が明らかとなった。以下、これらの知見に基づいた、TLCと液体クロマトグラフィの差異の補正について詳述する。
上述したような薄層クロマトグラフィの結果から得られる関係式について、添え字Tを付して、
logk’=alogB+b (1−1)
k’=(1/R)−1 (3)
とする。
上記(A)(B)の知見に基づいて、本発明者は上述した式(1)を、液体クロマトグラフィの溶媒比率Bc、保持力k’の関係を示す式に変換する。
このような変換は、(4)の関係を(1−1)に代入するだけでよく、これによって、
logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
を得ることができる。
当該式中の、a及びΔは、クロマトグラフィ条件によって決定される定数であるから、これらを事前に測定しておき、TLCの結果からbを算出すれば、上述した一般式(1−2)によって、k’とBとを関連付けることができる。
複数の化合物が混在するサンプルの分離を行う場合、分離対象となる複数の化合物についての薄層クロマトグラフィの測定によって、成分毎に上述した式(1)又は(1−2)を導き、各成分の溶出時間をそれぞれ予測することができる。これによって、当該サンプルの分離を行う上で適した上記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した溶出曲線を得ることができる。これによって、実験前に液体クロマトグラフィ方法の適否を判断することができる。
(グラジエントについて)
なお、本発明におけるクラジエントパターンとは、液体クロマトグラフィを行うに際して、時間とともに溶媒の混合比を変化させて行う場合の変化パターンを指す。例えば、図2の上図に示したようなものを意味する。グラジエントを行うこと自体は、液体クロマトグラフィにおける汎用的な方法である。
上述した
logk’=alogB+b (1)
又は
logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
の関係式が明らかになっていれば、溶媒混合比、すなわち、Bを時間に応じて変化させるようなグラジエントをかけた液体クロマトグラフィを行う場合であっても、aとbとが明らかになっていれば、
logk’=alogB(t)+b (1−3)
又は
logk’=a(logB(t)+Δ)+b (1−4)
(B(t)又はB(t)は、Bの時間変化を示す関係式である))
の式をtによって積分することで、当該グラジエントパターンに応じた溶出時間を知ることができる。
これによって溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンによる試料の溶出時間を算出することができるため、液体クロマトフラフィによる分離を達成できるかどうかが事前に判断できる。よって、この算出結果に基づいて、充分に分離が行えるような最適な溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを選択できるようになる。
(本発明の構成について)
本発明は、上述した計算式を用いて、効率よく液体クロマトグラフィを行うものである。このような理論を実際に液体クロマトグラフィに適用するに際しては、液体クロマトグラフの制御装置、液体クロマトグラフィの実行方法及び液体クロマトグラフの制御プログラム等の装置の形態とするものである。
これらの発明は、実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段を備えたものである。
以下に、これらの各手段について詳述する。
(実測値記憶手段)
上記実測値記憶手段は、薄層クロマトグラフィの結果を記憶する手段である。
図3において、薄層クロマトグラフィ(TLC)に用いられるTLC装置1を示す。TLC装置1は、試料3が表面に垂らされたシリカゲル薄層板2と、容器5に貯留された溶離液4とを備えている。尚、試料3、シリカゲル薄層板2を形成するシリカゲルは、後述する液体クロマトグラフィに用いられるのと同等のものである。
更に、使用する溶離液4は、液体クロマトグラフィにおいて使用するものと同様の溶媒系のものであり、混合溶媒を使用する。
TLCでは、まず、図2(a)に示すように、試料3が垂らされた状態のシリカゲル薄層2が、図1に示すように溶離液4中に浸漬される。すると、毛管現象により混合溶液4がシリカゲル薄層2に吸い上げられてゆく。これに伴い、試料3も上方に移動する。溶離液4及び試料3の移動が終了すると、図2(b)に示すように、試料3は試料3´の位置に移動する。このとき、試料3の混合溶液4中に浸漬される前の位置から、溶離液4の上端までの距離を1.0として、その1.0に対する試料3´までの距離が移動度Rfとして求められる。
この場合、測定後の薄層板から作業者がR値を読み取り、その値を数値として入力するものであってもよいし、薄層クトマログラフィ板を装置の所定の位置に載置させ、画像解析に基づいてR値を自動で読み取るものであってもよい。スポットの解析においては、必要に応じて紫外線等の検出光を当てて、これによる発光を利用してスポット位置を読み取る方法等を採用することができる。
実測値記憶手段は、上記薄層クロマトグラフィによって得られたR値を、溶媒の混合比Bと関連付けて記憶する手段である。このようにして記憶した値を以下の計算式作成手段における計算式の作成に利用する。
(計算式作成手段)
本発明における計算式作成手段は、上述した薄層クロマトグラフィの結果に基づいて、特定の成分についての特定の溶媒系に対する一般式(1)を作成する手段である。当該計算式については、既に詳細に説明を行っていることから、幾つかの点について補足的に説明する。
上記溶出時間算出手段において必要とされる定数a及びΔは、液体クロマトグラフィにおいて汎用される一般的な溶媒の組み合わせについて事前に測定を行い、溶出時間算出手段に保存されたものとし、使用者が使用する溶媒の組み合わせを指定するのみで自動的に必要なa及びΔの値が呼び出されることが好ましい。また、作業者が一般的ではない溶媒の組み合わせを選択した場合に対応するため、手入力で溶媒の組み合わせとそれに対応したaの値を入力する機能を有するものであってもよい。
そして、作業者が薄層クロマトグラフィを行い、その結果にもとづいてBとこれに対応したk’を入力すると、上述した方法によってbが計算され、必要な数式が得られる。
上述した計算式作成手段は、更に、TLCと液体クロマトグラフィとの数式の差に考慮して、上述した方法で得られた数式に上述した修正を加えるものであってもよい。更に、この計算に際して必要な数値を計算式作成手段中に保存するものであってもよい。
(液体クロマトグラフィ結果予測手段及び液体クロマトグラフィ条件決定手段)
分離が必要なすべてのサンプルについてbを決定されると、任意の溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターン及び使用するカラムに対応した溶出時間が予測できる状況ができあがる。よって、作業者が液体クロマトグラフィ条件を入力すると、これに応じた溶出時間が直ちに提示される。作業者は、これを見ることによって、複数種の液体クロマトグラフィ条件の良否を容易に判断することができる。これによって、容易に最適な液体クロマトグラフィ条件を実験前に選択することができることとなる。
このような液体クロマトグラフィ結果予測手段は、上述した計算式に基づいて液体クロマトグラフィの結果を予測し、予測された結果を作業者が一目で条件の適否を判断することができるように、表示手段上に表示するものである。
このような液体クロマトグラフィ結果予測の作成、通常のコンピュータによって行うことができ、結果の表示は液晶ディスプレイに代表される一般的な表示装置上に行うことができる。
このような液体クロマトグラフィ結果予測の提示としては、例えば、図2に示したような、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターン、及び、液体クロマトグラフィ条件に対応した溶出曲線を表示するものとすることが好ましい。このような溶出曲線を描出することで、作業者は液体クロマトグラフィの結果予測において、溶出ピークに重なりがないかどうかという点も含めて実験結果についての判断を容易に行うことができる。
そして、描出された溶出曲線が、好適でない場合には、新たな液体クロマトグラフィ条件を作成し、これに対応した溶出曲線を表示させることができる。このような作業を繰り返すことで、最適な液体クロマトグラフィ条件を設定することができる。
また、本発明においては、汎用される液体クロマトグラフィ条件をライブラリーとして保管しておき、成分毎の一般式(1)の結果に基づいて、推奨される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンをライブラリーからコンピュータが自動的に選択して、作業者に推奨するものであってもよい。作業者は推奨された条件を承認するという形で液体クロマトグラフィ条件を決定するものであってもよい。
なお、クロマトグラフィ条件の決定においては、カラムの選定も重要な要素となる。このため、tについても、液体クロマトグラフにおいて使用されている各カラムに対応したtを液体クロマトグラフィ結果予測手段中に保管しておき、作業者がカラムを選択した際にこれに対応するtの値が呼び出されることが好ましい。また、必要に応じて、手入力でtを入力する機能を有するものであってもよい。
本発明は、このようにして、液体クロマトグラフィ結果予測手段を利用しながら作業者は自らが作成した又は装置によって推奨された液体クロマトグラフィ条件の評価を行い、最終的に液体クロマトグラフィ条件を決定するものである。
(混合比制御手段)
本発明は、上述した液体クロマトグラフィ条件決定手段による決定に基づいて、液体クロマトグラフィが行われるものである。混合比制御手段は、前記液体クロマトグラフィ条件決定手段に基づいて作業者によって選択された液体クロマトグラフィ条件に基づいて、カラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための手段である。なお、当該混合比制御手段は、公知のものを使用することができ、例えば、特許文献1に開示されたようなものを使用することができる。
(液体クロマトグラフの制御装置)
以下、図に基づいて本発明の液体クロマトグラフの制御装置の態様の一例を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す図面に記載されたものに限定されるものではない。
本発明は、必要な要素を備えた液体クロマトグラフィ装置及びこれを制御するコンピュータによって、上述したような各手段によって液体クロマトグラフィを制御する制御装置に関するものである。
上述したような手法を実際の装置として運用する上での態様の一例について、以下詳述する
図5において、液体クロマトグラフ装置11を示す。液体クロマトグラフ装置11は、溶媒Aが貯留された容器12と、溶媒Bが貯留された容器13と、溶媒Aと溶媒Bとが連結された位置に設けられた電磁弁14と、溶離液4が貯留される混合器15と、ポンプ16と、インジェクター17と、カラム18と、検出器19と、フラクションコレクター20とが、この順に配置され経路が形成されている。そして、電磁弁14に液体クロマトグラフ制御装置21が接続されている。
容器12には溶媒Aが、容器13には溶媒Bが貯留されている。尚、用いられる溶媒は2種類に限定されず、使用状態・目的に応じて数を増やしてもよい。一般に、溶媒A・溶媒Bには、非極性分子と極性分子との組合せで用いられる。
ポンプ16は、液体クロマトグラフ装置11の回路において、容器15・電磁弁14を介して溶媒A・溶媒Bを汲み上げる。電磁弁14は、液体クロマトグラフ制御装置21からの制御信号により、汲み上げられる溶媒を溶媒A又は溶媒Bから選択する。電磁弁14での各溶媒の選択時間に応じて混合器15内での溶媒A、Bの混合比が決定される。混合器15は、汲み上げられた溶媒A及び溶媒Bが一旦貯留され、溶離液10とされる。この溶離液10は、後述するように、算出された混合比を有するものである。
インジェクター17は、試料3を有しており、溶離液10が通過することで試料3が送出されるようになっている。尚、インジェクター17は1本に限定されず、選択的に経路を選ぶことができる並設された複数のインジェクターとし、複数の試料について連続的に作業を行うことも可能である。
カラム18には固定相が充填されており、混合溶媒10が通過することで液体クロマトグラフが行われる。この固定相としては、図1におけるシリカゲル薄層板2を形成するシリカゲルが用いられている。尚、カラムは1本に限定されず、選択的に経路を選ぶことができる並設された複数のカラムとし、複数種類の液体クロマトグラフィを行うことも可能である。
検知器19は、カラム18にて行われる液体クロマトグラフの結果の検出を行う。そして、フラクションコレクター20は、複数の試験管を有しており、検知器19の分析結果により、試料3に含まれる成分毎に各試験管に分取されるようになっている。
本発明の液体クロマトグラフィ制御装置は、図5に示したような液体クロマトグラフィを制御するための装置であり、上述したような実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段を内部ハードディスクに有するコンピュータであるか、これらの手段を行うために必要な情報が保管されたサーバーに接続するクライアントコンピュータであることが好ましい。
これによって、上述したような計算を行い、液体クロマトグラフィを制御することによって、良好な液体クロマトグラフィを行うものである。
(液体クロマトグラフィの実行方法)
本発明は、上述したような実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段を用いて、液体クロマトグラフィを実行する方法でもある。
このような液体クロマトグラフィの実行方法は、実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段を備えた液体クロマトグラフの制御装置を用いて、液体クロマトグラフィを実行する方法であり、このような液体クロマトグラフィの制御装置を使用して、各手段の機能を利用することで液体クロマトグラフィを行う方法である。
(液体クロマトグラフの制御プログラム)
本発明は、上述したような実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段を有し、これらによってコンピュータを機能させるための液体クロマトグラフィの制御プログラムでもある。
すなわち、上述したような実測値記憶手段、計算式作成手段、液体クロマトグラフィ結果予測手段、液体クロマトグラフィ条件決定手段、混合比制御手段の各手段は、通常、コンピュータによって実行されるものである。本発明は、これらをコンピュータによって実行するための制御プログラムでもある。
以下、実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
溶媒として酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒を使用し、N−フェニルマレイミド、4−アミノベンゾニトリル、4−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、o−エトキシベンズアミドをサンプルとしてTLCを行った。
その際、混合溶媒として、酢酸エチル10体積%、20体積%、30体積%、40体積%、50体積%、60体積%、70体積%、80体積%、90体積%、100体積%のものを使用し、これらそれぞれについて、TLCを行い、R値を求めた。更に表中Bは、酢酸エチルのモル分率を基準としてBの算出を行った。
これらの結果について、lnk’を縦軸に、lnBを横軸にプロットした結果を図6に示す。
その結果、いずれも高い相関係数を有する直線関係が得られた。そして、3つのすべてのサンプルについて、aが同一であった。
以上の結果より、クロマトグラフィにおいては、上記一般式(1)の関係が成立し、溶媒系が同一であると、aは同一で、bのみがクロマトグラフィの対象化合物によって変化することが明らかである。
一方、Rを縦軸に、溶媒中の酢酸エチルの含有割合(体積%)を横軸にとってプロットを行った。その結果を図7に示す。
図7においては、狭い範囲で見れば(例えば、30〜60体積%の範囲に限定して見れば)一次直線で近似することができるが、10〜100体積%という幅広い範囲にわたって見ると、完全に直線状態の関係式とはならなかった。
よって、図7の関係を一次式に近似して、当該一次式に基づいて液体クロマトグラフィの結果を近似的に予測した場合、混合比の変化割合が小さい範囲内においては、充分な予測を行うことができるが、体積比で10〜100%という非常に幅広い範囲で溶媒比の混合を変化させた場合には、本願発明のほうが精度よく液体クロマトグラフィの結果を予測できることは明らかである。
(実施例2)
N−フェニルマレイミド、4−アミノベンゾニトリル、4−ニトロアニリン、o−エトキシベンズアミドについて、酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒を使用し、TLC及び液体クロマトグラフィによってそれぞれB及びk’との関係を測定した。これらをプロットした結果を図8(N−フェニルマレイミド)、図9(4−アミノベンゾニトリル)、図10(4−ニトロアニリン)、図11(o−エトキシベンズアミド)に示す。
これらの実験結果において、
Δ=logB−logB(4)
で表されるΔは、化合物の種類に関わらず、ほぼ一定であることが明らかになった。
以上より、本発明において使用する各計算式の妥当性が明らかとなったから、本発明の方法によって好適に液体クロマトグラフィの結果が導かれることは明らかである。
本発明の液体クロマトグラフの制御装置は、有機化学の分野における分離操作のための液体クロマトグラフィにおいて、好適に行うことができる。特に実験・研究における分離操作において、効率よく分離を行うために使用することができる。
1 TLC装置
2 シリカゲル薄層板
3 試料
4 溶離液
5 容器
6 検出器
11 液体クロマトグラフ装置
12、13 容器
14 電磁弁
15 混合器
16 ポンプ
17 インジェクター
18 カラム
20 フラクションコレクター

Claims (6)

  1. 薄層クロマトグラフィの分離において複数の溶媒を特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値を前記特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段、
    前記実測値記憶手段に記憶された前記特定混合比に対する移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する計算式作成手段、
    前記一般式に基づいて、実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示するための液体クロマトグラフィ結果予測手段、
    前記液体クロマトグラフィ条件提示手段に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する液体クロマトグラフィ条件決定手段、
    前記液体クロマトグラフィ条件決定手段に基づいて作業者によって選択された溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段を備えており、
    前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1)
    logk’=alogB+b (1)
    (ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
    k’=(t-t)/t (2)
    B:溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
    で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものである
    ことを特徴とする液体クロマトグラフの制御装置。
  2. 前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
    logk’=alogB+b (1−1)
    (ただし、式中、
    :TLCにおける溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
    k’:TLCにおいて下記式(3)で算出される保持力。
    k’=(1/R)−1 (3)
    で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
    次いで、これを
    Δ=logB−logB(4)
    (Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
    で表されるΔを用い、
    logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
    (但し、式中、k’は、
    k’=(t-t)/t (5)
    :液体クロマトグラフィにおける溶媒比率
    :液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
    :溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
    として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものである
    ことを特徴とする請求項1記載の液体クロマトグラフの制御装置。
  3. 複数の成分を特定混合比で含む溶離液を用いたときの試料の移動度Rfの実測値を薄層クロマトグラフィを行って求める第1の工程、
    前記第1の工程で求められた移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する第2の工程、
    実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示する第3の工程、
    第3の工程によって定時された内容に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する第4の工程、
    前記第4の工程によって選択された液体クロマトグラフィ条件の溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段
    からなり、
    前記第2の工程は、第1の工程の結果にもとづいて下記式(1)
    logk’=alogB+b (1)
    (ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
    k’=(t-t)/t (2)
    B:溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
    で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものであることを特徴とする液体クロマトグラフィの実行方法。
  4. 前記第2の工程は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
    logk’=alogB+b (1−1)
    (ただし、式中、
    :溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
    k’:下記式(2)で算出される保持力。
    k’=(1/R)−1 (3)
    で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
    次いで、これを
    Δ=logB−logB(4)
    (Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
    で表されるΔを用い、
    logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
    (但し、式中、k’は、
    k’=(t-t)/t (5)
    :液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
    :溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
    として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものである
    ことを特徴とする請求項3記載の液体クロマトグラフィの実行方法。
  5. 薄層クロマトグラフィの分離において複数の溶媒を特定混合比で含む溶離液を用いて分離を行ったときの試料の移動度Rfの実測値を前記特定混合比に関連づけて記憶するための実測値記憶手段、
    前記実測値記憶手段に記憶された前記特定混合比に対する移動度Rfの実測値に基づいて、溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料の溶出時間を算出するための一般式を作成する計算式作成手段、
    前記一般式に基づいて、実施候補となる溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに対応した試料中の各成分の溶出時間の対応関係を算出し、作業者にこれを提示するための液体クロマトグラフィ結果予測手段、
    前記液体クロマトグラフィ条件提示手段に基づいて作業者が液体クロマトグラフィ条件を決定する液体クロマトグラフィ条件決定手段、
    前記液体クロマトグラフィ条件決定手段に基づいて作業者によって選択された溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンに基づいてカラムに送液される前記溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンを制御する制御信号を出力するための混合比制御手段を備え、
    前記計算式作成手段は、下記式(1)
    logk’=alogB+b (1)
    (ただし、式中、k’は下記式(2)で算出される保持力である。
    k’=(t-t)/t (2)
    B:溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数)
    で表される溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成するものであり、
    液体クロマトグラフィを制御するためにコンピュータを機能させるものであることを特徴とする液体クロマトグラフィの制御プログラム。
  6. 前記計算式作成手段は、TLCの結果に基づいて下記式(1−1)
    logk’=alogB+b (1−1)
    (ただし、式中、
    :TLCにおける溶媒比率
    a:溶出に使用される溶媒系によって決定される定数
    k’:TLCにおいて下記式(3)で算出される保持力。
    k’=(1/R)−1 (3)
    で表されるTLCにおける溶離液の混合比又は溶離液の混合比のグラジエントパターンと溶出時間との関係式を作成し、
    次いで、これを
    Δ=logB−logB(4)
    (Δ:クロマトグラフィ条件によって決定される定数)
    で表されるΔを用い、
    logk’=a(logB+Δ)+b (1−2)
    (但し、式中、k’は、
    k’=(t-t)/t (5)
    :液体クロマトグラフィにおけるサンプルの溶出時間
    :溶出溶媒が特定のカラム中を通過するのに必要とされる時間)
    として、液体クロマトグラフィにおける一般式(1−2)のBcとk’との関係式を得るものである
    ことを特徴とする請求項5記載の液体クロマトグラフィの制御プログラム。
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